WO2003041093A1

WO2003041093A1 - Rare-earth permanent magnet having corrosion-resistant coating, process for producing the same, and treating liquid for forming corrosion-resistant coating

Info

Publication number: WO2003041093A1
Application number: PCT/JP2002/011726
Authority: WO
Inventors: Kazuhide Ohshima; Seiichi Sakaguchi; Tetuyuki Nakagishi
Original assignee: Neomax Co Ltd; Sumitomo Special Metals Co Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 2001-11-09
Filing date: 2002-11-11
Publication date: 2003-05-15
Anticipated expiration: 2004-05-09
Also published as: CN1613124A; KR100959737B1; JP2003151808A; JP3572040B2; EP1453069B1; EP1453069A4; KR20050044362A; EP1453069A1; CN1280843C; US20050008838A1

Description

耐食性被膜を有する希土類系永久磁石、その製造方法および耐食性被膜形成処理液技術分野

本発明は、優れた耐熱性と接着性を兼ね備えた安価な耐食性被膜を表面に有する希土類系永久磁石、その製造方法および耐食性被膜形成処理液に関する。背景技術

N d _ F e— B系永久磁石に代表される R— F e—B系永久磁石や S m— F e 一 N系永久磁石に代表される R— F e— N系永久磁石などの希土類系永久磁石は、資源的に豊富で安価な材料が用いられ、つ、高い磁気特性を有していることから、特に R— F e— B系永久磁石は今日様々な分野で使用されている。

しかしながら、希土類系永久磁石は反応性の高い希土類金属： Rを含むため、大気中で酸化腐食されやすく、何の表面処理をも行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの存在によって表面から腐食が進行して鲭が発生し、それに伴って、磁石特性の劣化やばらつきを招く。さらに、鲭が発生した磁石を磁気回路などの装置に組み込んだ場合、鯖が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。

従つて、希土類系永久磁石表面に各種の耐食性被膜を形成することが古くから行われている。

ところで、今日における希土類系永久磁石の適用範囲の拡大に伴って、その表面に形成される耐食性被膜については高い耐食性は勿論のこと、温度変化の激しい使用環境下での耐熱性、部品組み込み時に使用される接着剤をはじめとする有機樹脂との接着性などについても優れた性能が要求されている。しかも形成される耐食性被膜は安価であることが望ましい。

そこで本発明は、優れた耐熱性と接着性を兼ね備えた安価な耐食性被膜を表面に有する希土類系永久磁石、その製造方法および耐食性被膜形成処理液を提供することを目的とする。発明の開示

本発明者らは上記の点に鑑み、種々の検討を行う過程において、希土類系永久磁石表面に耐食性被膜としてアル力リ珪酸塩を構成成分とするガラス状保護被膜を形成する方法に着目した。アルカリ珪酸塩を構成成分とする被膜は古くから知られている耐食性被膜の一つであり、安価で形成することができるという点において上記の要求を満たすことのできる被膜となりうるが、本発明者らの検討により、この被膜は耐食性をはじめとする各種性能の点において満足すべきものではなく、さらなる性能向上が必要であることがわかった。また、近年、ガラス状保護被膜の性能向上を目的として種々の改良が検討されており、例えば、米国特許第 6 1 7 4 6 0 9号においては 3重量％ 1 0重量％のアルカリ珪酸塩と 9 0重量％〜9 7重量％の熱硬化性樹脂を構成成分とする耐食性被膜が提案され、このような構成とすることで、より高い耐食性を発揮させることに成功しているが、この被膜においても、耐熱性と接着性の点において必ずしも満足すべき性能を有していないことがわかった。

そこで更なる検討を行った結果、珪酸リチウムを構成成分とする被膜中に所定量の熱可塑性樹脂を均一分散させることで、珪酸リチウムと熱可塑性樹脂とが相俟つて均質な三次元的ネットワーク構造を形成し、温度変化の激しい使用環境下においても被膜の熱収縮による被膜自体の割れの発生や被膜と素材磁石との熱膨張率の違いによる割れの発生が効果的に防止される耐熱性に優れた耐食性被膜が得られること、また、各種接着剤との接着性に優れるとともに、接着性の劣化が起りにくい耐食性被膜が得られることを見出した。

本発明は以上のような研究過程を経て完成されたものであり、本発明の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 1項記載の通り、珪酸リチウムと熱可塑性榭脂を構成成分とする耐食性被膜であって、該被膜中に熱可塑性樹脂が 0 . 1重量％〜5 0重量％の含量で均一分散した被膜を表面に有することを特徴とする。

また、請求の範囲第 2項記載の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石において、更に珪酸ナ卜リゥムを被膜の構成成分とすることを特徴とする。

また、請求の範囲第 3項記載の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 2項記載の希土類系永久磁石において、被膜中におけるナトリウム含量が 1 0重量％以下であることを特徴とする。

また、請求の範囲第 4項記載の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石において、熱可塑性樹脂がソープフリー水溶性ェマルジョン樹脂であることを特徴とする。

また、請求の範囲第 5項記載の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石において、熱可塑性樹脂がァクリルスチレン樹脂であることを特徴とする。

また、請求の範囲第 6項記載の希土類系永久磁石は、請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石において、磁石単位表面積当たりの被膜付着量が 0. O l g/ m²〜5 . 0 g/m²であることを特徴とする。

また、本発明の希土類系永久磁石の製造方法は、請求の範囲第 7項記載の通り、熱可塑性樹脂のソープフリ一水溶性ェマルジヨン樹脂を珪酸リチウム水溶液に分散させて、熱可塑性樹脂を 0 . 1重量％〜5重量％、珪酸リチウムを 2重量％〜 3 0重量％含む処理液を調製し、この処理液を磁石表面に塗装した後、加熱乾燥することにより而ナ食性被膜とすることを特徴とする。

また、請求の範囲第 8項記載の製造方法は、請求の範囲第 7項記載の製造方法において、処理液中に更に珪酸ナトリウムを含むことを特徴とする。

また、請求の範囲第 9項記載の製造方法は、請求の範囲第 8項記載の製造方法において、処理液中におけるナトリウム含量が 1重量％以下であることを特徴とする。

また、請求の範囲第 1 0項記載の製造方法は、請求の範囲第 7項記載の製造方法において、熱可塑性樹脂がアクリルスチレン樹脂であることを特徴とする。また、本発明の希土類系永久磁石表面への耐食性被膜形成処理液は、請求の範囲第 1 1項記載の通り、熱可塑性樹脂をソープフリー水溶性ェマルジヨン樹脂として 0 . 1重量％〜5重量％、珪酸リチウムを 2重量％〜3 0重量％含むことを特徴とする。また、請求の範囲第 1 2項記載の処理液は、請求の範囲第 1 1項記載の処理液において、処理液中に更に珪酸ナトリウムを含むことを特徴とする。

また、請求の範囲第 1 3項記載の処理液は、請求の範囲第 1 2項記載の処理液において、処理液中におけるナトリウム含量が 1重量％以下であることを特徴とする。

また、請求の範囲第 1 4項記載の処理液は、請求の範囲第 1 1項記載の処理液において、熱可塑性樹脂がアクリルスチレン樹脂であることを特徴とする。発明を実施するための最良の形態

本発明の希土類系永久磁石は、 '珪酸リチウムと熱可塑性樹脂を構成成分とする耐食性被膜であって、該被膜中に熱可塑性樹脂が 0 . 1重量％〜5 0重量％の含量で均一分散した被膜を表面に有することを特徴とするものである。

本発明における耐食性被膜は、構成成分の一つとして珪酸リチウムを含む。珪酸リチウムを構成成分とする被膜は、一般式： L i ₂0 · n S i 0₂で表される珪酸リチウムの水溶液から形成されるものであり、耐食性に優れるという特性を本質的に有する。前記一般式中における nはモル比 ( S i〇ノ L i ₂0) を意味し、本発明においては、通常、 nが 1 . 5〜1 0の範囲にあるものが使用される。

本発明における耐食性被膜は、アル力リ珪酸塩として珪酸リチウムのみを構成成分とするものであってもよいが、珪酸リチウムに加えて更に珪酸ナトリゥム (水ガラス）ゃ珪酸カリウムゃ珪酸アンモニゥムなどを構成成分とするものであつてもよい。中でも珪酸ナトリウムを被膜の構成成分とすることで、被膜形成時の良好な造膜性および磁石との強固な密着性を確保することが可能となる。また、珪酸ナトリゥムを被膜の構成成分とすれば、被膜に外傷ゃクラックなどが存在していても、珪酸ナトリウムが水にわずかに溶解して当該部分に浸透固化し、自己修復的耐食作用を発揮する。珪酸ナトリウムを被膜の構成成分とする場合、被膜中のその含量はナトリウム含量として 1 0重量％以下にすることが望ましく、 5 重量％以下にすることがより望ましい。 1 0重量％を越えると形成される被膜の耐水性に悪影響を及ぼすことがあり、これに起因して耐熱性と接着性の劣化を招く恐れがあるからである。

本発明における耐食性被膜の構成成分たる熱可塑性樹脂としては、例えば、ァクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は被膜中に 0 . 1重量％〜5 0重量％の含量で均一分散される。 0 . 1重量％未満であると形成された被膜において優れた接着性や耐熱性が発揮されないからである。一方、 5 0重量％を越えると高温時に樹脂が表面凝集を起してしまい、耐熱性の劣化を招くとともに、接着剤の種類によっては接着性にも影響を及ぼすことがあるからである。被膜中に均一分散される熱可塑性樹脂の含量は、望ましくは 1重量％〜3 0重量％であり、より望ましくは 5重量％〜2 0重量％である。

本発明における耐食性被膜は、珪酸リチウム水溶液に熱可塑性樹脂を分散させた処理液を調製し、この処理液を磁石表面にスプレー塗装したり、処理液中に磁石を浸漬して浸漬塗装を行った後、例えば、 6 0 °C〜3 0 O t:の温度条件下で 1 分間〜 1 2 0分間加熱乾燥させることにより形成する。磁石表面に優れた性能を有する耐食性被膜を形成するためには、処理液中において熱可塑性樹脂を均一分散させることが ffF要である。また、大量生産を念頭に置いた場合、調製される処理液は保存安定性に優れ、液寿命（ポットライフ）が長いことが理想である。以上の点に鑑みれば、珪酸リチウム水溶液に分散させる熱可塑性樹脂は、乳化剤 (界面活性剤）が添加されていないソープフリ一水溶性ェマルジョン榭脂が望ましい。アルカリ珪酸塩水溶液はアルカリ性を呈するので（p H 1 0〜p H 1 3 ：このような p Hは磁石腐食の問題を生じさせることがなく作業環境上の面においても望ましい）、熱可塑性樹脂を乳化剤（特にノニオン系界面活性剤）が添加された水溶性ェマルジョン樹脂として分散させた場合、液中においてェマルジョン破壊が生じて樹脂のゲル化が起ることが多いため、熱可塑性樹脂が均一分散した処理液を調製することが困難となり、その結果、優れた性能を有する耐食性被膜を形成することができなくなる恐れがあるからである。また、このような処理液は当然のことながら以上のような現象に起因して液寿命の点においても劣るからである。

本発明者らの検討によれば、熱可塑性樹脂としてアクリルスチレン脂をソ一プフリ一水溶性ェマルジョン樹脂として珪酸リチウム水溶液に分散させて調製した処理液は、処理液中におけるァクリルスチレン樹脂の均一分散性に優れるようである。従って、この処理液を使用して形成された耐食性被膜は、被膜中においてアクリルスチレン樹脂が均一分散し、優れた耐熱性や接着性を発揮する。なお、アクリルスチレン樹脂とは、スチレンモノマーとアクリル酸エステルモノマーを重合することにより得られる樹脂を意味する。スチレンモノマ一としてはスチレンゃ 0；—メチルスチレンなどが使用され得る。ァクリル酸エステルモノマ一としては、アクリル酸メチル、アクリル酸ェチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸プチル、アクリル酸 2—ェチルへキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチル、メ夕クリル酸プロピル、メ夕クリル酸ブチル、メタクリル酸 2—ェチルへキシルなどが試用され得る。好適なアクリルスチレン樹脂としては、スチレン— メタクリル酸メチル共重合体、スチレン一アクリル酸ブチル共重合体、スチレン —メタクリル酸メチル一ァクリル酸ブチル共重合体、スチレンーメタクリル酸ブチルなどがある。ソープフリー水溶性ェマルジョンタイプのァクリルスチレン樹脂としては、例えば、旭化成工業社製の商品名： F— 2 0 0 0が好適に使用される。

優れた性能を有する耐食性被膜を形成するための好適な処理液としては、熱可塑性樹脂をソープフリ一水溶性ェマルジョン樹脂として 0 . 1重量％〜 5重量％、望ましくは 0 . 5重量％〜3重量％含み、珪酸リチウムを 2重量％〜3 0重量％含む処理液が挙げられ、この組成範囲内で被膜中に均一分散させる熱可塑性樹脂が所望含量となるように適宜調整することが望ましい。なお、アルカリ珪酸塩として更に珪酸ナトリゥムを処理液中に含ませる場合は、処理液中におけるナトリゥム含量が 1重量％以下となるようにすることが望ましい。

本発明における耐食性被膜は磁石単位表面積当たりの被膜付着量が 0 . 0 1 g Zm²以上（膜厚にして 1 5 nm程度以上）となるように形成することが望ましい。 0 . 0 1 g Zm²よりも少ないと耐食性被膜としての性能を十分に発揮できない恐れがあるからである。なお、被膜付着量の上限は特段限定されるものではないが、被膜付着量が多すぎると磁石表面全体に対する均一付着性の確保が困難になり、接着剤をはじめとする有機樹脂との接着性に悪影響を及ぼす恐れがある。従って、以上の観点からは被膜付着量の上限は 5. 0 gZm²とすることが望ましい。

本発明に適用される希土類系永久磁石としては、例えば、 R— Fe_B系永久磁石や R— F e—N系永久磁石などの公知の希土類系永久磁石が挙げられる。中でも、 R— Fe— B系永久磁石は、前述のように、磁気特性が高く、量産性や経済性に優れている上に、被膜との優れた密着性を有する点において望ましいものである。これらの希土類系永久磁石における希土類元素（R) は、 Nd、 P r、 Dy、 Ho、 Tb、 Smのうち少なくとも 1種、あるいはさらに、 La、 Ce、 Gd、 Er、 Eu、 Tm、 Yb、 Lu、 Yのうち少なくとも 1種を含むものが望ましい。

また、通常は Rのうち 1種をもって足りるが、実用上は 2種以上の混合物（ミッシュメタルゃジジムなど）を入手上の便宜などの理由によつて使用することもできる。

さらに、 Al、 T i、 V、 C r、 Mn、 B i、 Nb、 Ta、 Mo、 W、 Sb、 Ge、 Sn、 Z r、 N i、 S i、 Zn、 Hf、 G aのうち少なくとも 1種を添加することで、保磁力ゃ減磁曲線の角型性の改善、製造性の改善、低価格化を図ることが可能となる。また、 F eの一部を Coで置換することによって、得られる磁石の磁気特性を損なうことなしに温度特性を改善することができる。

なお、本発明に適用される希土類系永久磁石は、焼結磁石であってもポンド磁石であってもよい。

本発明の耐食性被膜の表面に、更に別の被膜を積層形成してもよい。このような構成を採用することによって、耐食性被膜の特性を増強 '補完したり、更なる機能性を付与したりすることができる。実施例

本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

実施例 A：

例えば、米国特許 4770723号公報や米国特許 4792368号公報に記載されているようにして、公知の铸造インゴットを粉碎し、微粉碎後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた 14Nd— 79Fe— 6B— I Co組成（a t %) の縦 3 OmmX横 2 OmmX高さ 3mm寸法の平板状焼結磁石（以下、磁石体試験片と称する）の表面に耐食性被膜を以下のようにして形成した。

1 ：処理液の調製とその保存安定性

各種のアル力リ珪酸塩水溶液に各種の樹脂を添加し、スターラーにて混合攪拌することにより表 1に示す 15種類の処理液を調製した。なお、表 1における樹脂 aである F— 2000 (商品名）はソ一プフリー水溶性ェマルジヨンタイプのアクリルスチレン樹脂（旭化成工業社製の熱可塑性樹脂）であり、樹脂 bである M6520 (商品名）は乳化剤添加型の水溶性ェマルジヨンタイプのアクリルスチレン樹脂（クラリアントポリマ一社製の熱可塑性樹脂）であり、樹脂 cである E 1022 (商品名）は乳化剤添加型の水溶性ェマルジヨンタイプのエポキシ樹脂（吉村油化学社製の樹脂であり同社製の硬化剤 H— 35 (商品名）とともに添加して熱硬化性樹脂とするもの）である。

得られた処理液（その pHはいずれも 11〜12) を 40°Cにて 2週間保存することにより、その保存安定性を調べた結果を表 1に併せて示す（表 1中、〇は 2週間後も分散良好であることを意味し、 Xは調製後 4日以内に成分の沈降固化が生じることを意味し、 X Xは調製後 1日以内に成分の沈降固化が生じることを意味する）。

へ'-スとなるアル珪酸塩水溶液添加した樹脂処理液 No

Na含量処理液安定性アルカリ珪酸塩含量処理液中樹脂含量種類植類

(重量 %) (重量 %) (重量 %)

1 A 10 0.4 a 0.5 〇

2 A 10 0.4 a 1.0 〇

3 B 10 0.2 a 1.5 〇

4 A 10 0.4 a 2.0 〇

5 C 10 0 a 2.0 〇

6 C 5 0 a 5.0 〇

7 A 15 0.6 a 0.5 〇

8 D 10 0.9 a 1.0 〇

9 A 1 0.04 a 10.0 〇

10 A 10 0.4 b 1.0 X

11 A 10 0.4 b 2.0 X

12 A 10 0.4 b 5.0 X X

13 E 10 1.9 b 1.0 X

14 A 1 0.04 c 10.0 X

15 A 10 0.4 0 〇

*1 ) *2)

A:珪酸リチウム (n=4.5)/珪酸ナトリウム (n=3)=4/1(重量比） F2000

B :珪酸リチウム (n=4.5)/珪酸ナトリウム (n=3)=9/1(重量比） M6520

C :珪酸リチウム (n=4.5) E1022

D :珪酸リチウム (n=4.5)/珪酸ナトリウム (n=3)=5/4(重量比）

E:珪酸ナトリウム (n=3) 表 1から明らかなように、ソ一プフリー水溶性ェマルジョン樹をアルカリ珪酸塩水溶液に分散させた処理液（N o . 1〜9 ) は、そのいずれもが保存安定性に優れており、処理液調製から 2週間保存後も優れた分散性を示した。一方、乳化剤添加型の水溶性ェマルジョン樹脂をアル力リ珪酸塩水溶液に分散させた処理液（N o . 1 0〜1 4 ) は、そのいずれもが保存安定性に劣っていた。

2 ：耐食性被膜の形成とその特性

ァセトンで超音波洗浄することにより表面に付着している磁性粉を除去した磁石体試験片を、調製してから 3時間経過後の各処理液中に浸漬した。その後、磁石体試験片を処理液中から引き上げて 2 0 O で 2 0分間加熱乾燥して磁石体試験片表面に耐食性被膜を形成した。なお、被膜付着量はエアワイビングのワイピング圧を調整することにより調整した。

以上の方法で形成された耐食性被膜の特性について表 2に示す。なお、表 2において、耐熱耐食性は、大気中にて 1時間毎に室温（2 5 °C) 雰囲気下と 1 7 0 °C雰囲気下に存置するという加熱冷却サイクルを 1 2 0回行った耐食性被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、温度 8 0 °C X相対湿度 9 0 %の高温高湿条件下に存置するという湿潤試験を行い、赤鯖の磁石体試験片表面積における発生率が 1 %になるまでの時間で示した（n = 5の平均値）。また、磁束変化は上記の 1 2 0回の加熱冷却サイクルとそれに続く湿潤試験を行う前後における耐食性被膜を表面に有する磁石体試験片の磁束の変化率（減磁率）で示した（n = 5の平均値）。また、接着性は 2 O mmX 2 0 mmのセロテープ（ニチバン社製の登録商標）を 3 O mm X 2 0 mmの面の耐食性被膜に貼付し、 1 8 0度水平方向へ引っ張った際の強度について、「被膜形成直後の強度 Z被膜形成から 2週間室内放置後の強度」で示した（n == 5の平均値）。表 2 処理液 No 被膜付着量被膜中樹脂含量被膜中 Na含量耐熱耐食性磁束変化接着性判定

(g/m²) (重量 %) (重量 %) (時間） (%) (g/400mm²)

1 0.8 4.8 3.6 192 < 1 380/350 実施例

2 0.8 9.1 3.5 192 < 1 390/370 実施例

3 0.8 13.0 1.8 216 く 1 380/370 実施例

4 0.8 16.7 3.2 216 < 1 400/380 実施例

5 0.8 16.7 < 0.1 216 ぐ 1 380/380 実施例

6 3.0 50.0 0 192 ぐ 1 380/350 実施例

7 1.5 3.2 4.0 216 < 1 380/350 実施例

8 0.8 9.1 8.2 192 ぐ 1 370/350 実施例

9 0.8 90.0 0.3 96 2 350/300 比較例

10 0.8 9.1 1.7 96 2 350/240 比較例

11 0.8 16.7 1.6 96 2 330/250 比較例

12 0.8 33.3 1.3 72 2 300/200 比較例

13 0.8 9.1 17.3 96 2 330/150 比較例

14 0.8 90.0 0.3 144 2 330/320 比較例

15 0.8 0 3.8 144 ぐ 1 370/300 比較例表 2から明らかなように、熱可塑性樹脂をソープフリー水溶性ェマルジョン樹脂としてアル力リ珪酸塩水溶液に分散させて調製された処理液から形成される被膜であって、該被膜中の熱可塑性樹脂が 50重量％以下の含量で均一分散した被膜であれば優れた耐食性を示すことがわかった。

実施例 B：

例えば、米国特許 4770723号公報や米国特許 4792368号公報に記載されているようにして、公知の錶造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた 14Nd— 79 Fe— 6 B— I Co組成（a t %) の直径 9 mm X高さ 3 mm寸法の円柱状焼結磁石（以下、磁石体試験片と称する）の表面に実施例 Aにおける処理液 4を使用し、実施例 A と同様にして耐食性被膜を形成した。

形成された耐食性被膜について、被膜形成直後と温度 80°CX相対湿度 9 0%の高温高湿条件下に 100時間存置するという湿潤試験を行った後の各種接着剤との接着性を以下のようにして調べた。

接着剤 1 ：

接着面を J I S R 6001規定の # 100の砥粒を有するダイヤモンド砥石を用いて研磨した铸鉄（S 45 C) 製の 4 OmmX 5 OmmX 6 Omm寸法の治具にサンプルを次のようにして接着した。即ち、サンプルと治具の両方の接着面にプライマー（プライマ一 7649 ：ヘンケルジャパン社製の商品名）を塗布した。プライマ一中の溶媒を乾燥除去した後、接着面に嫌気性紫外線硬化型接着剤（ロックタイト 366 ：ヘンケルジャパン社製の商品名）を塗布したサンプルを治具の接着面の上に載置し、サンプルの上から 4kg f (39. 2N) の加重を 10秒間かけて両者を圧着した。なお、サンプルの接着面への接着剤の塗布は圧着時に圧着部分周囲から接着剤がはみ出る程度にまで行った。圧着部分周囲からはみ出た接着剤を紫外線照射機 (HLR100T-1 ：セン特殊光源社製）を使用し、 365 n mにおける紫外線強度が 100 mWZ c _m ²の条件下で 2分間処理して硬化させた後、室温（25°C) にて 60時間放置することにより圧着部分の接着剤を硬化させた。以上のようにして治具に接着させたサンプルを万能試験機（AUTO GRAPH AG— 10 TB：島津製作所社製）にセットし、せん断強度 2 mm/分の条件下にてサンプルが治具から脱離する時の加重を測定し、サンプルの接着面の表面積（0. 64 cm²) で除するせん断接着強度を求め、この平均値（n=5) を接着性の評価基準とした。

接着剤 2 ：

接着剤として変性ァクリレート系接着剤（ハードロック G55 ：電気化学工業社製の商品名）を使用し、接着剤 1の場合と同様の方法で接着性の評価を行った。なお、接着剤 2においては、治具へのサンプルの接着は、接着剤を塗布したサンプルを治具の接着面の上に載置し、サンプルの上から 4kg f (39. 2N) の加重を 10秒間かけて両者を圧着し、室温 (25°C) にて 60時間放置することにより圧着部分の接着剤を硬化させることによって行った。

接着剤 3 ：

熱硬化性エポキシ系接着剤（AV138 ：チバガイギ一社製の商品名）と硬化剤（HV998 ：チバガイギ一社製の商品名）を容積比にして 5 ： 1の割合で混合して接着剤 3とし、接着剤 1の場合と同様の方法で接着性の評価を行った。なお、接着剤 3においては、治具へのサンプルの接着は、接着剤を塗布したサンプルを治具の接着面の上に載置し、サンプルの上から 4kg f (39. 2N) の加重を 10秒間かけて両者を圧着し、 100°Cにて 30分間加熱することにより圧着部分の接着剤を硬させることによって行った。

以下に示す表 3から明らかなように、本発明において形成される耐食性被膜は長期間過酷条件下に曝された場合でも被膜劣化がほとんど起らず、優れた接着性を維持していた。表 3

単位： kg/cm

*)接着剤の凝集破壊が-部あり

産業上の利用可能性

本発明によれば、優れた耐熱性と接着性を兼ね備えた安価な耐食性被膜を表面に有する希土類系永久磁石、その製造方法および耐食性被膜形成処理液'が提供される。

Claims

請求の範囲

I . 珪酸リチウムと熱可塑性樹脂を構成成分とする耐食性被膜であって、該被膜中に熱可塑性樹脂が 0 . 1重量％〜 5 0重量％の含量で均一分散した被膜を表面に有することを特徴とする希土類系永久磁石。

2 . 更に珪酸ナトリゥムを被膜の構成成分とすることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石。

3 . 被膜中におけるナトリウム含量が 1 0重量％以下であることを特徴とする請求の範囲第 2項記載の希土類系永久磁石。

4. 熱可塑性樹脂がソープフリー水溶性ェマルジョン樹脂であることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石。

5 . 熱可塑性樹脂がァクリルスチレン樹脂であることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石。

6 . 磁石単位表面積当たりの被膜付着量が 0 . 0 1 g /m ²〜5 . 0 g /m ² であることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の希土類系永久磁石。

7 . 熱可塑性樹脂のソープフリー水溶性ェマルジョン樹脂を珪酸リチウム水溶液に分散させて、熱可塑性樹脂を 0 . 1重量％〜5重量％、珪酸リチウムを 2重量％〜 3 0重量％含む処理液を調製し、この処理液を磁石表面に塗装した後、加熱乾燥することにより耐食性被膜とすることを特徴とする希土類系永久磁石の製造方法。

8 . 処理液中に更に珪酸ナトリゥムを含むことを特徴とする請求の範囲第 7項記載の製造方法。

9 . 処理液中におけるナトリゥム含量が 1重量％以下であることを特徴とする請求の範囲第 8項記載の製造方法。

1 0 . 熱可塑性樹脂がァクリルスチレン樹脂であることを特徴とする請求の範囲第 7項記載の製造方法。

I I . 熱可塑性樹脂をソープフリー水溶性ェマルジヨン樹脂として 0 . 1重量％〜5重量％、珪酸リチウムを 2重量％〜 3 0重量％含むことを特徴とする希土類系永久磁石表面への耐食性被膜形成処理液。

1 2 . 処理液中に更に珪酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求の範囲第 1 1項記載の処理液。

1 3 . 処理液中におけるナトリウム含量が 1重量％以下であることを特徴とする請求の範囲第 1 2項記載の処理液。

1 4. 熱可塑性樹脂がァクリルスチレン樹脂であることを特徴とする請求の範囲第 1 1項記載の処理液。