WO2002018889A1 - Sound measuring method and device allowing for auditory sense characteristics - Google Patents

Description

明 細 書 聴覚特性を考慮した音の測定方法および装置 技術分野

この発明は、 年齢別、 個人別の聴覚特性を考慮した音の測定方法及び測定装 置に関する。 背景技術

音に対する人間の聴覚感度は、 周波数によって異なる。 そこで、 音の測定に おいては、 その聴覚特性を模した周波数重み付けを施した音圧レベルを測定す ることが提案された。 この 「A特性」 と呼ばれる周波数補正回路は、 1930 年代からアメリカ、 ドイツ等で相次いで騒音計の規格に取り入れられた。 日本 における現行の騒音評価法においても、 「周波数補正回路 A特性で重み付けら れた音圧レベル」 の使用による評価が規定されている （ J I S Z 8731 「騒 音レベル測定方法」 及び I SO 1996/1 「音響一環境騒音の記述と測定方 法—第 1部：基本量とその求め方」）。

そこで、 現在の騒音計の規格 J I SC 1502 「基本騒音計」， J I SC 15 05 「精密騒音計」 では、 この A特性 （第 3図の周波数特性） の周波数補正回 路を組み込み、 その測定値 （騒音レベル， dB) が表示できることが必要とさ れている。 また、 近年になって、 周波数特性を補正するだけでなく、 I SOの 規格 [I S0532, 方法 B] に基づいて音の大きさ （ラウドネス） をより正 確に表示する騒音計 （ラウドネス 'メータ） も、 国内外で発売されている。

差替え用紙（規细 26) 第 4図は、 日本の騒音評価法に規定された音圧レベル測定装置の一例を示す。 1はマイクロホン、 2はレベル調整回路、 3は周波数補正回路、 4は二乗回路、 5は積分回路、 6はレベル化回路、 7は表示器を表している。 マイクロホン 1 は測定音圧を電気信号に変換し、 レベル調整回路 2はマイクロホン 1よりの入 力信号のゲインを変える回路であり、 周波数補正回路 3は測定された音圧信号 Pを上述のようにその聴覚特性を模した周波数の重み付けを施し、 例えば第 3 図のような A特性を有する回路である。 二乗回路 4は A特性により補正された 音圧 P Aを二乗し、積分回路 5は二乗された音圧信号 P A ²を平滑化する回路で、 平滑化された信号はレベル化回路 6で音圧信号の音圧実効値を対数値 ( d B値） に変換し、 表示器 7で表示する。 代表的な評価量は J I S Z 8 7 3 1の表 1に 記載されている。例えば A特性音圧レベル L p Aは 1 0 log₁₍₎ P A²/ P 0²で表さ れる （ここで、 P 0は基準音圧で若年健聴者の最小可聴音の音圧に近い 2 0〃 P aが使用されている。）。

A特性音圧レベルなどの聴感補正を施した測定値やラウドネス計算値は、 人 間が実際に感じる音の大きさとも対応が良い。 しかし、 それは聴覚の正常な若 年者を対象とした場合に限られる。 更に、 聴覚障害や加齢によって聴覚特性が 変化している場合には、 聴感上の大きさとの対応は必ずしも良くない。

第 5図に加齢による聞こえの変化を例示的に示している。 第 5図の横軸の値 は時間を、 縦軸の値は音の相対振幅を表している。 第 5図 （a ) の上段の音は 低い周波数成分が多い大型バスの音を、 第 5図 （b ) の上段の音は「キーン」 という高い周波数成分が多い製材機の音を従来の A特性補正回路を使用して補 正した例である。 これらの音は若年健聴者が聞く音をシユミレートして作成し たものである。 これに対して、 第 5図 （a)， ( b ) の下段の音は高齢者が聞く 音をシミュレートして作成したものである。

第 5図 （a ) のように低い周波数成分の多い音は若年層も高齢者も聞こえに 大きな差はない。 しかし、 第 5図 （b ) のように高周波成分の多い音では若年 層と高齢者の聞こえの違いが大きくなる。 このように、 音の種類 （含まれる周 波数成分） の違いによって、 高齢者は聴覚特性の変化のために小さく聞こえる 音と、 若年者と同程度に大きく聞こえる音がでてくる （第 5図参照。 聴覚障害 者においても、 同じ問題が生じる。）。

機器が発する警告音や公共空間でのアナゥンスなどの音声は、 全ての人が適 切に聞き取る必要がある。 しかし、 聴覚特性の変化した高齢者や聴覚障害者は、 それらの音が必ずしも聞き取れないことがある。 しかし、 現在の A特性補正回 路を使用した測定器 （騒音計） による測定では、 若年者の聴覚特性 （A特性） を基にしているため、 高齢者や聴覚障害者が知覚する、 このような音の大きさ の違いを的確に測定することが不可能である。 従って、 聴覚障害者の聴覚特性 を考慮した音の大きさを評価するのにも限界があった。

また、 聴覚特性にはおのずと個人差があるが、 現在の測定器は上記のように 若年健聴者の平均的な特性を基にして測定しているため、 個人の聴覚特性の違 いに適切に対処することができなかつた。

この発明は、 年齢別或いは個人別の聴覚特性を考慮して、 その聴覚特性に対 応した音の測定方法及び測定装置を提供することを目的としている。 発明の開示

本発明は、 年齢別聴覚特性データをメモリより読み取り、 入力した音を所定 の年齢の聴覚特性データにより補正することから成る、 所定年齢の聴覚特性に 対応した音を測定する方法及び装置である。

更に、 本発明は、 聴覚特性は個人によっても異なるので、 各個人聴覚特性を 測定し、 基準聴覚特性に対する補正値を算出し、 入力した音を上記補正値によ り補正することから成る個人の聴覚特性に対応した音の測定する方法及び装置 である。

この発明に依る測定装置は、 年齢別聴覚特性デ一夕と個人別聴覚特性デ一夕 を任意に選択できる選択手段を備えているものを含む。

この発明は、 上述の如く、 年齢別聴覚特性データ又は個人別聴覚特性デ一夕 に基いて入力する音を補正した上で測定するので、 その聴覚特性に対応した音 を正確に測定することができる。 図面の簡単な説明

第 1図は、 本発明に依る音の測定装置の一例を示す構成図である。

第 2図は、 本発明に使用する年齢別聴覚特性データ （7 0歳代） の一例を示 す図である。

第 3図は、 騒音計の周波数重み特性 （補正値， A特性） を示す図である。 第 4図は、 騒音レベル測定方法を説明する測定装置を示す構成図である。 第 5図は、 加齢による聞こえの変化を説明する図であり、 第 5図 （a) は大 型バスの騒音の場合、 第 5図 （b ) は製材機の騒音の場合を示す。 発明を実施するための最良の形態

第 1図は、 本発明に依る音の測定装置の一例を示す構成図であり、 音響測定 部 Aは、 音を入力する音響入力手段 1 1、 測定値算出手段 1 2及び年齢別聴覚 特性データを記憶したメモリ 1 3を含み、 測定値算出手段 1 2の出力は、 表示 手段により表示される。 聴覚特性測定部 Bは、 個人別聴覚特性測定手段 1 5、 個人補正値算出手段 1 6及び算出された個人別聴覚特性データを記憶するメモ リ 1 7を含み、 1 8は補正値として年齢別聴覚特性デ一夕の選択又は算出され た個人別聴覚特性データに入力切換え、 データ選択を行う信号を入力する切換 部であ 。

測定値算出手段 1 2は、 まず、 音響入力手段 1 1の出力信号を年齢別聴覚特 性データを記憶したメモリ 1 3に記憶されたデータ若しくは個人補正値算出手 段 1 6で求めた個人別聴覚特性デ一夕を記憶しているメモリ 1 7のデ一夕に基 づいて重み付けし、 測定値を算出する。

( 1 ) 年齢別の聴覚特性を考慮した測定

加齢にともなう一般的な聴覚特性の変化に対応するために、 A特性などの聴 感補正に代わる音響測定部 Aを組み込む。 これによつて、 年代別の聴感補正を 施した音のレベル表示を可能にする。 ただし、 若年健聴者の場合は A特性によ る聴感補正と一致する。

音響入力手段 1 1は一般には、 マイクロホンであるが、 マイクロホンで音を 直接入力しなくとも、 適切に録音された音信号を再生し、 その電気信号を入力 する手段でもよい。 入力信号は、 A/Dコンバータを通じてデジタル信号に変 換される。 以下の処理はデジタル化された信号を対象として説明するが、 原理 的にはアナ口グ回路でも等価な処理により可能である。

年齢別聴覚特性データは、 周波数と音圧レベルごとの重み付け係数（補正値） で、 測定された音の補正値としてメモリ 1 3に年齢別に記憶されている。 第 2 図に 7 0歳代における年齢別聴覚特性データの一例を示す。 第 2図の横軸の値 は入力音の周波数、 縦軸の値は補正レベル、 グラフ中の値は入力音圧レベルを 表している。 表示手段 1 4は、 算出した音の測定結果 ( d B ) をアナログメー 夕や数値等で表示する。

ここでは、 まずマイクロホン等の音響入力手段 1 1より音を入力する。 入力 された音は、 測定値算出手段 1 2へ送られ、 音の大きさの計算を行う。 この時、 年齢別聴覚特性データ 1 3を参照することによって、 目的とする年齢の聴覚特 性に合わせた音の測定値を算出する。 その結果は、 表示手段 1 4を通して出力 される。

表示手段 1 4に表示された数値 ( d B ) が、 例えばゼロ以下であれば 「聞こ えない」 と判定できる。 その結果、 多数の高齢者や聴覚障害者に実際に音を聞 かせて聞こえるか否かを問うといつた煩雑な作業が不要になる。

( 2 ) 個人の聴覚特性を考慮した測定

平均的なデ一夕 （例えば第 2図の補正値） を利用するのではなく、 個人の聴 覚特性に対応した測定値を求めるためには、 聴覚特性測定部 Bによって対象と する個人の聴覚特性を測定する。 そのデ一夕を補正特性として利用することに よって、 個人の特性に合わせた音のレベル表示を可能にする。

個人聴覚特性測定手段 1 5は、 様々な周波数と音圧の音を、 ヘッドホン等を 通して対象者に提示する。 そして、 聞こえるか否か、 若しくはどの程度の大き さに聞こえているかの判断を求める。 その判断の結果に基づいて、 対象者の聴 覚特性を推定する。 個人補正値算出手段 1 6は個人聴覚特性測定手段 1 5の測 定結果をもとに、 年齢別聴覚特性データ （例えば第 2図の特性） に相当するデ —夕を算出し、 そのデ一夕をメモリ 1 7に記憶する。

測定されたそのデ一夕は、 個人補正値算出手段 1 6によって加工され、 個人 別聴覚特性データを記憶するメモリ 1 7に記憶される。 切換部 1 8の切換え、 選択信号により、 特定個人の聴覚特性デ一夕を測定値算出手段 1 2に取り込む。 その後、 その個人の聴覚特性に基づいた測定値を算出し、 表示手段 1 4を通し て結果を出力する。

第 1図に示した測定装置の実施例では、 音響測定部 Aと聴覚特性測定部 Bと を設け、 切換部 1 8により、 目的に応じて補正値として年齢別聴覚特性デ一夕 の代わりに算出された個人別聴覚特性データを選択してより詳しく音を測定す ることができる。 又、 音響測定部 Aと聴覚特性測定部 Bとを別装置にしても良 いのは勿論である。 産業上の利用の可能性

( i ) 聴覚障害者による聞こえの有無の判定が可能になる。

本発明の測定装置を用いて目的の音や音声を測定することによって、 高齢者 や聴覚障害者に聞こえるか否かを判定することが可能となり、 その結果、 多数 の高齢者や聴覚障害者に実際に音を聞かせて聞こえるか否かを問うといった煩 雑な作業が不要になる。

また、 警告音やアナウンスの音響特性の設計に当たっては、 本発明の測定装 置を用いてそれらの音を測定することによって、 高齢者や聴覚障害者に確実に 聞こえるか否かを確認できる。 その結果、 警告音やアナウンス設備を現場に導 入する前に、 設計の段階で聞こえの適切さを判定することができ、 効率的な製 品設計ができる。

( ϋ ) 聴覚障害者を考慮した音の大きさの測定が可能になる。

本発明の測定装置を用いて、 交通騒音などの環境騒音や工業製品の発する音 を測定することによって、 高齢者や聴覚障害者が感じる騒音の大きさを推定す ることが可能となる。 その結果、 例えば機器の設計にあたって騒音を低減する ためにはどの周波数成分を削除すれば良いかが明らかとなり、 効率的な騒音制 御指針が得られるようになる。

( )個人の聴覚特性に応じた測定も可能になる。

「年齢別聴覚特性データ」 として装置に内蔵された高齢者や聴覚障害者の平 均的な聴覚特性をもとに行うだけではなく、 本発明の 「聴覚特性測定部」 を用 いることによって、 個人住宅内など限られた人が利用する空間での音の測定の 際に、 使用者の聴覚特性に、 より適合した騒音の制御や警報音等の設計が可能 となる。

Claims

請 求 の 範 囲

1. 音響入力手段により音を入力し、 年齢別聴覚特性デ一夕をメモリより読み 取り、 入力した音を所定の年齢の聴覚特性デ一夕に応じて補正することにより、 所定年齢の聴覚特性に対応した音を測定することから成ることを特徴とする聴 覚特性を考慮した音の測定方法。

2. 個人聴覚特性を測定し、 基準聴覚特性に対する補正値を算出し、 音響入力 手段により入力した音を該補正値により補正することにより、 個人の聴覚特性 に対応した音を測定することから成ることを特徴とする聴覚特性を考慮した音 の測定方法。

3. 音響入力手段 （11) と、

年齢別聴覚特性デ一夕を記憶するメモリ （13) と、

該音響入力手段により入力された音を該メモリに記憶された年齢別聴覚特性 データにより補正する測定値算出手段 （12) と、

該測定値算出手段の算出出力値を表示する表示手段 （14) と、

から成ることを特徴とする聴覚特性を考慮した音の測定装置。

4. 音響入力手段 （11) と、

個人聴覚特性測定手段 （15) と、

該個人聴覚特性測定手段の測定値に基づき個人の聴覚特性に応じて補正する 補正値を算出する個人補正値算出手段（16) と、

該補正値を記憶する個人別聴覚特性データのメモリ （17) と、

音響入力手段により測定された音を該メモリに記憶された個人別聴覚特性デ

—夕により補正する測定値算出手段 （12) と、 該測定値算出手段の算出出力値を表示する表示手段 （14) と、

から成ることを特徴とする聴覚特性を考慮した音の測定装置。

5. 音響入力手段 (11) と、

年齢別聴覚特 f生データを記憶するメモリ （13) と、

個人聴覚特性測定手段 （15) と、

該個人聴覚特性測定手段の測定値に基づき個人の聴覚特性に応じて補正する 補正値を算出する個人補正値算出手段 （16) と、

該補正値を記憶する個人別聴覚特性デ一夕のメモリ （17) と、

該年齢別聴覚特性デ一夕と個人別聴覚特性データとを選択する手段 （18) と、

音響入力手段により測定された音を選択された該年齢別聴覚特性データ若し くは該個人別聴覚特性デ一夕のいずれかにより補正する測定値算出手段（12) と、

該測定値算出手段の算出出力値を表示する表示手段 （14) と、

から成ることを特徴とする聴覚特性を考慮した音の測定装置。