WO2002018232A1

WO2002018232A1 - Insulated container

Info

Publication number: WO2002018232A1
Application number: PCT/JP2001/007361
Authority: WO
Inventors: Takafumi Fujii; Eiji Otsuka
Original assignee: Japan Oxygen Co Ltd; Nippon Sanso Corp
Current assignee: Japan Oxygen Co Ltd; Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date: 2000-08-30
Filing date: 2001-08-28
Publication date: 2002-03-07
Anticipated expiration: 2003-02-28
Also published as: JP2002068324A; EP1318084A1; CA2419437A1; KR20030038715A; CN1447767A; EP1318084A4; US20030168459A1; US6648168B2; CA2419437C

Description

明細書断熱容器技術分野

本発明は、内容器と外容器とを空隙部を隔てて一体に接合した二重壁構造の断熱容器に関し、特に、空隙部を断熱層とし、内容器外面と外容器内面のうち少なくとも一方に輻射熱防止膜を形成した断熱容器に関する。背景技術

近年、従来のガラス製の魔法瓶（以下「断熱容器」という）に代わって、内外容器がス亍ンレス鋼等の金属からなる金属製断熱容器が広く使用されてきている。金属製断熱容器は、強度の点で優れているため、携行使用に適している。金属製の断熱容器は、ステンレス鋼などの金属製の内■外容器を空隙部を隔てて配して、これらを開口端部で接合、一体化して二重壁容器とし、前記空隙部を断熱層としたものである。特に、空隙部を真空排気して真空断熱層とした金属製真空断熱容器は、保温性能が高い断熱容器として一般的に使用されている。

しかし、上記金属製真空断熱容器では、内■外容器が不透明な金属製であることから、内容物の量等を外部から確認することができず、確認するためには、蓋や中栓を取り外して、開口部から内容器内を確認する必要があった。

容器内を確認する際には、外部の空気が容器内に流入するため、例えば容器内に冷たい飲料物等を入れている場合、流入空気によリ飲料物の温度が上昇してしまうことがあった。また容器内に湯等の熱い飲料物を入れている場合には、飲料物の温度が降下することがあった。

このため、本来断熱容器が有する保温機能が損なわれていた。

また上記ガラス製断熱容器では、輻射熱を防止し保温性能を高めるため、内外容器の断熱層側に、銀鏡反応法によリ銀メツキ膜を形成することが多い。この場合には、外部から内容物を確認することができなくなるため、上記金属製断熱容器と同様に、内容物の保温が不十分となる問題があった。また、特開 2 0 0 0— 6 0 7 4 3号の公開公報には、内■外容器に透明な合成樹脂を用いた断熱容器が開示されている。

この断熱容器は、空隙部に、空気よりも熱伝導率が小さいガス（以下、低熱伝導率ガスという）、例えばクリプトン、キセノン、アルゴンが封入された断熱層が形成されている。

この断熱容器では、輻射熱防止のため、内■外容器の断熱層側の表面に、可視光が透過可能であって赤外線を吸収または反射させる輻射熱防止フィルムが設置されている。

輻射熱防止フィルムは、金属微粒子、金属酸化物、または金属窒化物を、単層または複層にして、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどによりフィルム基体に付着させたものである。

この断熱容器では、可視光が透過可能な輻射熱防止フィルムが用いられているため、輻射熱防止フィルムを通して、外部から内容器内を確認することができる。

しかしながら、この断熱容器に使用される輻射熱防止用フィルムは剛性が高いため、曲面をなす形状とするのが難しい。

このため、平坦部や、展開すると平坦となる部分（円筒部の胴部など）のような場所には設置可能であるが、容器の底部や肩部等のように、曲面を形成している場所に設置するのは難しかった。

本発明は、上記の現状に鑑み、容器内に収容した内容物等を視認でき、かつ保温性能に優れ、しかも輻射熱防止機能を容器の平面部だけでなく曲面をなす部分にも具備させて輻射熱防止機能を向上させることができる断熱容器を提供することを目的とする。発明の開示

本発明の断熱容器は、透明な材料よりなる内容器と外容器とを空隙部を隔てて配置して一体に接合した二重壁容器の前記内■外容器間の空隙部が断熱層とされ、かつ内容器外面と外容器内面のうち少なくとも一方に輻射熱防止膜が形成され、前記輻射熱防止膜が、この膜を形成するべき容器表面の 3 0 %以下の面積の輻射熱防止膜削除部を有することを特徴とするものである。また、上記断熱容器において、該透明な材料は、ガラスであってもよい。

また、上記断熱容器において、該透明な材料は、合成樹脂であってもよい。

また、上記断熱容器において、該断熱層は、真空断熱層であってもよい。

また、上記断熱容器において、該断熱層は、低熱伝導率ガスが封入されていてもよい。

また、上記断熱容器において、該輻射熱防止膜削除部は、容器の軸方向に沿つてスリット状に形成されていてもよい。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の断熱容器の一例を示す概略斜視図である。

図 2は、図 1に示す断熱容器の製造方法を説明する説明図である。

図 3は、輻射熱防止膜削除部の面積と、断熱容器の保温性能との関係を示すグラフである。発明を実施するための最良の形態

本発明の断熱容器の第一の実施の形態を図 1を参照して説明する。図 1は本発明の断熱容器の一例であるガラス製真空断熱容器を示すものである。

ここに示す断熱容器 1は、ガラス製の内容器 2とガラス製の外容器 3から構成されている。これら内 '外容器 2、 3は、円筒形の胴部 2 c、 3 cの上部に、胴部 2 c、 3 cよりも外径が小さい首部 2 d、 3 dが形成された形状とされている。内容器 2と外容器 3とは、空隙部 4を隔てて配置され、各開口端部 2 a、 3 a が接合され一体化されて二重壁容器が形成されている。空隙部 4は、真空排気されて真空断熱層 Vとなっている。

内容器 2と外容器 3の空隙部 4 (真空断熱層 V ) 側の面、すなわち内容器外面 2 bと外容器内面 3 bの少なくとも一方には、輻射熱防止膜 5が形成されている図示例では、外容器内面 3 bに輻射熱防止膜 5が形成されておらず、内容器外面 2 bのみに輻射熱防止膜 5が形成されている。

なお輻射熱防止膜 5は外容器内面 3 bのみに形成してもよいし、また、内容器外面 2 bと外容器内面 3 bの双方に形成してもよい。また、真空排気用またはガス置換用のチップ管 6が外容器 3の底部に設けられる。

輻射熱防止膜 5としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどからなる金属膜を用いることができる。

輻射熱防止膜 5は、化学メツキ法（銀鏡反応法など）、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルーゲル法、スプレーコーティング法、ディップコ一卜法などにより形成されたものが好適である。またアルミニウム等からなる金属箔からなるものであってもよい。

輻射熱防止膜 5の膜厚は、 5 0 0 A以上（5 0 n m以上）とすると、優れた輻射防止機能を得ることができ、特に、 1 0 0 O A ( 1 0 0 n m以上）以上とすれば、より優れた輻射防止作用を得ることができる。

輻射熱防止膜 5は、その一部に輻射熱防止膜 5を欠落させた輻射熱防止膜削除部 7を有する。

輻射熱防止膜削除部 7は、内容器 2の軸方向に沿ってスリツト状に形成されており、これによつて、内容器 2内に収容した内容物を外部から確認できるようになっている。

輻射熱防止膜削除部 7は、内容器 2の開口端部 2 aから底部にかけて、幅がほぼ一定となるように形成されている。

輻射熱防止膜削除部 7は、輻射熱防止膜 5を形成するべき容器表面の 3 0 0/0以下の面積となるように形成されている。図示例の場合、輻射熱防止膜削除 35 7の面積は、内容器外面 2 bの面積の 3 0 %以下となるように設定されている。

輻射熱防止膜削除部 7の面積を、内容器外面 2 bの面積の 3 0 %を越えるように設定すると、輻射熱防止効果が低下し、保温性能が低下する。

輻射熱防止膜削除部 7は、内容器 2内に収容した内容物を外部から確認できるように形成されていればよく、その面積の下限はとりたてて特定されず、使用態様に依って適宜選択して適用することができるが、その面積は 5 %以上とするのが好適である。

輻射熱防止膜 5を形成するには、輻射熱防止膜削除部 7を形成するべき箇所の内容器外面 2 bに適当なマスキング材を設置した後に、内容器外面 2 bに、化学メツキ法（銀鏡反応法など）、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルーゲル法、スプレーコーティング法、ディップコート法などを施し、次いで上記マスキング材を取り外す方法をとることができる。

また、輻射熱防止膜 5は、予め輻射熱防止膜削除部 7となる欠落部を形成した金属箔を内容器外面 2 bに貼り付ける方法によって形成することもできる。

上記断熱容器 1では、内■外容器 2、 3の間の空隙部 4を、真空排気した真空断熱層 Vとしたが、断熱層 Vが、クリプトンガス、キセノンガス、アルゴンガス等の低熱伝導率ガス（空気より熱伝導率が低いガス）を空隙部 4に封入したものである場合にも、優れた断熱効果を得ることができる。

上記断熱容器 1では、内 '外容器 2、 3を構成する透明な材料としてガラスを用いたが、本発明では、この透明な材料として合成樹脂を使用することもできる c この場合には、断熱層 Vは、クリプトンガス、キセノンガス、アルゴンガス等の低熱伝導率ガスを空隙部 4に封入したものとするのが好ましい。

また、輻射熱防止膜 5としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属膜を用いることができる。輻射熱防止膜 5は、化学メツキ法（銀鏡反応法など）、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルーゲル法、スプレーコーティング法、ディップコ一ト法によって形成されたものが好適である _c 特に、マグネトロンスパッタリング工法を用いて得られたものが好ましい。

次に、図 1に示すガラス製真空断熱容器 1を製造する方法を、図 2を参照して説明する。

(内 ·外容器の製作）

まず、内容器 2を成形加工する。また、内容器 2とほぼ相似形の外容器 3を成形加工する。外容器 3は、空隙部 4を隔てて内容器 2を収容し得る寸法となるように成形する。

この外容器 3を、開口端部 3 aを有する上部外容器 3 Aと、底部排気用チップ管 6を有する下部外容器 3 Bとに分割する。

(輻射熱.防止膜の形成）

輻射熱防止膜削除部 7を形成するべき個所の内容器外面 2 bに、マスキング用テープを貼り付けた後、内容器外面 2 bに、化学メツキ法（銀鏡反応法など）、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルーゲル法、スプレーコーティング法、ディップコ一卜法などを用いて輻射熱防止膜 5を形成する。次いで、マスキング用テープを取り外し、この部分が輻射熱防止膜削除部 7となった輻射熱防止膜 5を形成する。

(内 ·外容器の組立） ·

上部外容器 3 A内に、内容器 2の上部を収容し、開口端部 2 aと開口端部 3 a とを気密に接合する。

この際、内容器 2と上部外容器 3 Aとの間にパッド 8を介在させ、これら容器間に一定間隔の空隙部 4が形成されるようにする。

次いで、下部外容器 3 B内に、内容器 2の下部を収容する。この際、内容器 2 と下部外容器 3 Bとの間に空隙部 4が形成されるようにする。

次いで、上部外容器 3 Aの下端（接合部 3 A ' ) と、下部外容器 3 Bの上端 (接合部 3 B ' ) とを溶着接合することによって、これら上部外容器 3 Aと下部外容器 3 Bとを一体化し、二重壁容器とする。

(真空排気■封止）

最後に、排気用チップ管 6を通して、空隙部 4を、所定の真空度（例えば 1 3 3 . 3 X 1 0— ³ P a以下）に達するまで真空排気した後、排気用チップ管 6を溶着して封止し、空隙部 4に真空断熱層 Vを形成する。

合成樹脂材料からなる内■外容器 2、 3を用いて断熱容器を製造する場合には、上部外容器 3 Aと下部外容器 3 Bとの接合を、接着剤または超音波溶着機等を利用して行うとよい。

合成樹脂材料を用いる場合には、空隙部 4に、クリプトンガス、キセノンガス、アルゴンガス等の低熱伝導率ガスを置換封入することによって断熱層 Vを形成すると、長期にわたって断熱性能を維持することができるようになる。

上記断熱容器 1では、輻射熱防止膜 5が輻射熱防止膜削除部 7を有するので、輻射熱防止膜削除部 7を通して内容器 2内部の内容物を確認できる。

このため、内容物確認の際に、蓋等を取り外して開口部を開放する必要がなく, 外気によつて内容物の温度が変化するのを防ぐことができる。

また、断熱容器 "Iでは、輻射熱防止膜 5が輻射熱防止膜削除部 7を有するので, 輻射熱防止膜削除部 7が形成されていない輻射熱防止膜 5を有する断熱容器に比ベ、断熱性能を高めることができる。

従って、保温性能を向上させることができる。

また、輻射熱防止膜削除部 7を形成することによって、輻射熱防止膜 5に用いる金属の使用量を削減し、低コスト化を図ることができる。

また、輻射熱防止膜削除部 7を、内容器 2の軸方向に沿ってスリット状に形成することによって、内容物の軸方向位置（例えば水面の高さ位置）にかかわりなく、内容物を確認することができるようになる。

従って、内容物量の多少にかかわらず、内容物やその量を確実に確認することができる。

さらに、断熱容器 1では、輻射熱防止膜 5を、化学メツキ法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルーゲル法、スプレーコーティング法、ディップコート法などにより形成することができるため、輻射熱防止膜 5を、平面に限らず、球面、曲面、角面等、いかなる形状の容器表面にも形成することができる。

このため、内容器外面 2 bが、曲面をなすものである場合でも、輻射防止膜を設けることができ、優れた保温性能を得ることができる。

また、輻射熱防止膜 5を蒸着法などによって形成する場合には、内容器 2の底部を蒸着源に向けた状態で膜形成を行うことによって、輻射熱防止膜 5を、. 内容器 2の底部付近で厚く、開口部方向に向けて徐々に薄くなるように形成することができる。

この場合には、外観に優れた断熱容器 1を得ることができる。

また、内容器 2の側面を蒸着源に向けた状態で蒸着を行うことにより、輻射熱防止膜 5を、内容器 2の側面の所定の周方向位置で厚く、周方向に向けて徐々に薄くなるように形成することができる。

例えば、上記内容器側面への蒸着を、周方向位置が 1 2 0度ずつ異なる 3箇所に行うことによって、輻射熱防止膜 5を、周方向位置が異なる 3箇所で厚く、それ以外の箇所で薄くなるように形成することができる。このため、縞模様を呈し, 外観の点で優れた断熱容器を得ることができる。

なお、本発明の断熱容器は、外容器を保護カバーを用いて覆うことによって、その強度を高めて使用することができる。従って、この断熱容器は携帯時にも好適に使用される。

また本発明の断熱容器は、卓上用の容器として使用することもできる。

[試験例 1 ]

図 1に示すガラス製真空断熱容器 1を以下のようにして作製した。

ほうけい酸ガラスを用い、ブローイングマシーンを用いて、内容器 2および外容器 3を製造した。、

これら内容器 2および外容器 3を用いて、上記製造方法に従って断熱容器 1を製造した。

断熱容器 1の仕様を以下に示す。

■内容器 2 ：

壁厚：約 1.5mm、開口端部 2 aの外径： 38mm、全高： 21 Omm、胴部外径： 9 O.Omm, 全表面積： 580 cm²

■上部外容器 3 A：

壁厚：約 1.5mm、開口端部 3 aの内径： 44.8mm、全高： 8 Omm, 胴部内径： 99.8 mm

■下部外容器 3 B ： '

壁厚：約 1.5mm、胴部内径： 99.8mm, 全高： 1 39mm

-輻射熱防止膜 5 ：

内容器外面 2 bに、アルミニウム箔を貼り付けることによつて輻射熱防止膜 5を形成した。

このアルミニウム箔としては、容器軸方向に延びるスリット状の欠落部（輻射熱防止膜削除部 7) を有するものを用いた。この欠落部の内容器外面 2 b に対する面積比率（削除率）は、以下のとおりとした。

削除率： 5%、 1 0%、 20%. 30%

また、輻射熱防止膜 5を形成しない断熱容器を作製した。この断熱容器は、削除率 1 00%に相当する。

また、輻射熱防止膜 5に輻射熱防止膜削除部 7が形成されていない断熱容器を作製した。この断熱容器は、削除率 0%に相当する。 -断熱層 V ：

空隙部 4を真空排気した後、低熱伝導率ガスであるクリプトンガスを、大気圧とほぼ同じか、やや高い圧力となるように空隙部 4に充填し、排気用チップ管 6を封止した。

これらの輻射熱防止膜削除部 7の面積が異なる 6種の断熱容器に、各々約 1 0 0 °Cの熱湯約 1 0 0 0 c cを入れ、 2 5 °Cの恒温室内に 3時間放置した際の水温の変化を図 3に示す。図 3において、横軸は経時時間（m i n ) を示し、縦軸は容器内の水の温度（°C) を示す。

[比較例]

空隙部 4の真空排気、クリプトンガス封入を行わず、空隙部 4を空気が入ったままの状態として断熱容器を作製した。

内容器外面 2 bに、上記欠落部（輻射熱防止膜削除部 7 ) が形成されていないアルミニウム箔を貼り付けることによって輻射熱防止膜 5を形成した（削除率 0 %) 。

また輻射熱防止膜 5を形成しない断熱容器を作製した。この断熱容器は、削除率 1 0 0 <½に相当する。

これら 2種の断熱容器に、約 1 0 0 °Cの熱湯約 1 0 0 0 c cを入れ、 2 5 °Cの恒温室内に 3時間放置した際の水温の変化を図 3に併せて示す。

図 3より、以下の事項が確認された。

( 1 ) 削除率 5 «½の輻射熱防止膜削除部 7を有する輻射熱防止膜 5を設けた断熱容器は、輻射熱防止膜 5を内容器外面 2 bの全面に形成した断熱容器（削除率 0 %) に比べ、試験開始後、 3時間までの保温性能が優れている。

( 2 ) 削除率 1 0 0/0の輻射熱防止膜削除部 7を有する輻射熱防止膜 5を設けた断熱容器では、削除率 0 %の断熱容器に比べ、試験開始後、 2時間 3 0分までの保温性能が優れている。

( 3 ) 削除率 2 0 0/0の輻射熱防止膜削除部つを有する輻射熱防止膜 5を設けた断熱容器では、削除率 0 <½の断熱容器に比べ、試験開始後、 1時間までの保温性能が優れていることが確認された。

( 4 ) 削除率 3 0 %の輻射熱防止膜削除部 7を有する輻射熱防止膜 5を設けた断熱容器では、削除率 0 %の断熱容器に比べ、試験開始後、 3 0分までの保温性能が優れている。

( 5 ) 断熱層 Vを、低熱伝導率ガスを用いて形成した試験例 1の断熱容器は、断熱層 Vを空気で形成している比較例の断熱容器に比べ、保温性能が優れている。これら（1 ) 〜（5 ) の結果から、以下の考察が可能となる。

輻射熱防止膜 5を内容器外面 2 b全体に形成する場合に比べ、輻射熱防止膜削除部 7を形成した断熱容器 1では、断熱容器 1の保温性能を高めることができるまた、輻射熱防止膜削除部 7の面積が比較的大きい場合でも、短時間であれば優れた保温性能を発揮することができる。

このため、輻射熱防止膜削除部 7の面積は、必要な保温時間に応じて設定することができる。

[試験例 2 ]

試験例 1で用いたものと同様の内 '外容器 2、 3を良く洗浄した後、内容器外面 2 bと外容器内面 3 bに、マスキング材として油脂を容器軸方向に沿って塗布した。

次いで、内 '外容器 2、 3を接合し二重壁容器にした後、内容器外面 2 bと外容器内面 3 に、銀鏡反応法を用いて化学メツキを施した。

これによつて、マスキング部（油脂塗布部分）が輻射熱防止膜削除部 7となり、それ以外の部分に銀メツキ膜が形成された輻射熱防止膜 5が形成された。

次いで、排気用チップ管 6を通して空隙部 4を真空排気した後、排気用チップ管 6を溶着して封止し、断熱容器 1を得た。

内容器外面 2 bに対する輻射熱防止膜削除部 7の面積比率（削除率）は、 5 %、 1 0 %、 2 0 %、 3 0 %とした。

また、輻射熱防止膜 5を形成しない断熱容器（削除率 1 0 0 %) と、輻射熱防止膜 5に輻射熱防止膜削除部 7が形成されていない断熱容器（削除率 O o/o) とを作製した。

これら 6種の断熱容器について、試験例 1 と同様の保温性能評価試験を実施した。その結果、これら削除率 0〜 1 0 0 %の 6種の断熱容器内の水の温度の経時変化は、それぞれ試験例 1における削除率 0〜 1 0 0 %の 6種の断熱容器内の水の温度の経時変化にほぼ等しくなることが確認された。産業上の利用可能性

本発明の断熱容器は、輻射熱防止膜が輻射熱防止膜削除部を有するので、輻射熱防止膜削除部を通して内容器内部の内容物を確認できる。このため、内容物確認の際に、蓋等を取り外して開口部を開放する必要がなく、外気によって内容物の温度が変化するのを防ぐ。

また、この断熱容器は、輻射熱防止膜削除部が形成されていない輻射熱防止膜を有する断熱容器に比べ、断熱性能を高めることができる。従って、保温性能を向上させることができる。

また、輻射熱防止膜削除部を、容器軸方向に沿ってスリット状に形成することによって、内容物の軸方向位置（例えば水面の高さ位置）にかかわりなく、内容物を確認することができるようになる。従って、内容物量の多少にかかわらず、内容物やその量を確実に確認することができる。

さらに、本発明の断熱容器では、輻射熱防止膜を化学メツキ法、蒸着法などにより形成することができるため、容器表面が曲面をなす場合でも、輻射熱防止膜を形成することができる。従って、輻射熱防止機能を高め、優れた保温性能を得ることができる。

Claims

請求の範囲

1 . 透明な材料よりなる内容器と外容器とを空隙部を隔てて配置して一体に接合した二重壁容器の前記内■外容器間の空隙部を断熱層とし、かつ内容器外面と外容器内面のうち少なくとも一方に輻射熱防止膜を形成した断熱容器において、前記輻射熱防止膜は、この膜を形成するべき容器表面の 3 0 %以下の面積の輻射熱防止膜削除部を有することを特徴とする断熱容器。

2 . 前記透明な材料が、ガラスであることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の断熱容器。

3 . 前記透明な材料が、合成樹脂であることを特徴とする請求の!^囲第 1項記載の断熱容器。

4 . 前記断熱層が、真空断熱層であることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の断熱容器。

5 . 前記断熱層が、低熱伝導率ガスを封入してなることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の断熱容器。

6 . 前記輻射熱防止膜削除部が、容器の軸方向に沿ってスリッ卜状に形成されていること'を特徴とする請求の範囲第 1項記載の断熱容器。