明細書
マグネシゥムイオン測定用蛍光プローブ
技術分野
本発明は、 溶液中に存在するマグネシウムイオンを測定するための蛍光プロ一 ブに関する。
背景技術
検体中のマグネシウムイオンを定量する方法としてイオン選択性電極、 原子吸 光光度法が挙げられる。 イオン選択性電極は、 様々なイオンの含まれた混合溶液 中で、 目的イオンに対して選択的に応答して電気化学的情報に変換し、 その応答 電位からイオン活量を導くセンサーである。 また、 原子吸光光度法は、 原子蒸気 化させた金属原子に特有の波長の光を照射し、 その吸収量から定量を行う方法で ある。 両者の方法とも感度、 精度共に良い反面、 前処理が必要であり、 逐次モニ タリングが不可能であることが指摘されている。
一方、 先に述べた原子吸光光度法と同様、 物質が光を吸収する過程及び発光す る過程を利用して検体中の目的試料を定量する方法が、 分光学の進歩と共に近年 飛躍的に進歩している。 中でも、 蛍光光度法は、 前処理が簡単でありリアルタイ ム測定が可能であること、 高感度、 高精度であること、 及び蛍光顕微鏡、 共焦点 レーザー顕微鏡を初めとした測定機器の飛躍的な進歩もあり、 生体内の金属ィォ ンの動的挙動を追跡できる手法の一つとして、 現在広く汎用されている。 中でも カルシウムイオンを測定する蛍光プローブは、 本分野で最もシェアを占め、 多数 のカルシウムイオン選択性蛍光分子プローブが合成され、 神経、 筋肉、 内臓の細 胞中におけるカルシウムイオンの動態が蛍光顕微鏡、 共焦点レーザー顕微鏡を用 いることにより画像化され、 医学、 生物学の分野に大きく貢献している。
マグネシウムイオンは、 緩化剤、 酵素反応、 さらには緑色植物の光合成反応を 司る生体内の重要な金属イオンである。 先に述べたカルシウムイオンの場合、 多 種多様な蛍光色素分子が開発され、 生体内の挙動が明らかにされているのに対し、 マグネシウムイオンの場合、 有効な蛍光プローブが未だ開発されていない。 その 理由として、 マグネシウムイオンはカルシウムイオンよりも水和エネルギーが大
きく、 水中において大きな結合定数を稼ぐことができないこと、 及び、 カルシゥ ムイオンとの競走反応が生じ、 マグネシウムイオンと選択的に錯形成できないこ とが挙げられる。
発明の開示
従って、 本発明の目的は、 水系においてマグネシウムイオンと選択的に錯体を 形成することができる、 マグネシウムイオン測定用蛍光プローブを提供すること である。
本願発明者らは、 銳意研究の結果、 環式構造上の ージケトン構造が水系中の マグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することを見出し、 該構造を有する蛍 光性分子がマグネシウムイオンに対して選択的な蛍光プローブとして用いること ができることを実験的に確認し、 本願発明を完成した。
すなわち、 本発明は、 下記一般式 [I]
(但し、 式中、 R 1は水素原子、 金属原子又はエステル形成基、 Αは式中の炭素 原子 1及び 2と共に環式構造を形成する原子団、 Xは蛍光性原子団であって、 A を含む環と縮合環を形成していてもよい)
で表される構造を有するマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを提供する。 ま た、 本発明は、 上記一般式 [ I ]で示される化合物のマグネシウムイオン測定用蛍 光プローブを製造するための使用を提供する。 さらに、 本発明は、 上記本発明の マグネシウムイオン測定用蛍光プローブを、 マグネシウムイオンを含む試料と接 触させ、 試料中のマグネシウムイオンと結合した該蛍光プローブの蛍光を測定す ることを含む、 試料中のマグネシウムイオンの測定方法を提供する。
本発明により、 水系において、 カルシウムイオン共存下においても、 マグネシ ゥムイオンと選択的に錯体を形成することができる、 選択的なマグネシウムィォ ン測定用蛍光プローブが初めて提供された。 本発明の蛍光プローブは、 生体内で のマグネシウムイオンの挙動の解析等に大いに威力を発揮するものと考えられる。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施例 1で合成した蛍光プローブ KMG- 20投与後、 FCGPを添加 した際の、 添加後の時間 (分) と、 血管内皮細胞の蛍光顕微鏡画像の蛍光強度と の関係を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、 環式構造上の 一ジケトン構造が、 水系において、 カルシウムィォ ンの共存下であってもマグネシウムイオンと選択的に錯体形成するという、 新知 見に基づくものである。 ここで、 一ジケトン構造とは、 メチレン基を介して 2 つのカルポニル基が結合されている構造を言う。 分子中に、 ージケトン構造が 存在すれば、 一ジケトン構造によって水系中のマグネシウムイオンが選択的に キレート化されるので、 該分子が蛍光性を有する場合には、 マグネシウムイオン 選択的プローブとして用いることができる。 従って、 分子中に環式構造上の ー ジケトン構造と、 任意の蛍光性原子団とを含む分子はいずれも選択的マグネシゥ ムイオン測定用プローブとして利用可能であり、 本発明の範囲内に含まれる。 す なわち、 本発明の蛍光プローブは、 上記一般式 [ I ]で表される。
なお、 一般に、 蛍光性原子団が発する蛍光は、 分子が金属と錯体形成すること により変化 (増大又は減少) するので、 この変化に基づきマグネシウムイオンを 測定することができる。 また、 金属錯体の形成によって蛍光特性がほとんど変わ らない場合でも、 検体から未結合のプローブを除去することによりマグネシウム イオンの測定を行うことができる。 なお、 本明細書において、 「測定」 とは定量 と検出の両者を包含'する。
上記一般式 [ I ]中、 R 1は水素原子、 金属原子又はエステル形成基である。 金 属原子の場合、 水系媒体中で電離して C O O一基をもたらし、 この C O O一基が マグネシウムイオンのキレー卜化の一翼を担うので、 R 1は任意の金属原子であ つてよく、 例としてナトリウム及びカリウムのようなアルカリ金属等の 1価の金 属原子を挙げることができる。 また、 「エステル形成基」 とは、 カルボキシル基 とエステルを形成して C O O R 1のエステル構造を構成している R 1のことを意 味する。 C O O R 1の構造は、 生体内でエステラーゼの作用を受けてエステル結
合が切断されて c o o—基が生成され、 この c o o一基がマグネシゥムイオンの キレート化の一翼を担うので、 R1は何ら限定されるものではなく、 任意の基で あってよい。
プローブが一般式 [I]に示される構造を有する場合、 一ジケトン構造が環式 摴造により堅固に支持されているので、 より的確にマグネシウムイオンをキレー ト化することができる。 なお、 Aを含む環式構造は、 ージケトン構造を環式構 造上に支持するものであればいかなる環式構造であってもよいので、 環式構造自 体は何ら限定されない。 通常、 5員環〜 7員環であり、 ベンゼン環のような芳香 環であってもよく、 二重結合を含むことがあるシクロアルキルのような構造でも よく、 複素環であってもよい。 また、 一般式 [I]の構造では、 一方のカルポニル 基を、 カルボキシル基由来のものとしているため、 R1を任意に選択することが 可能であり、 例えば、 細胞中のマグネシウムイオンを測定する場合には、 R1と して、 細胞膜を通過しやすくさせる構造を採用することができる。 細胞膜を通過 しゃすくさせる R1の構造として、 一般式 [IX]
— R9— OCO— R10 [IX]
(但し、 R9は炭素数 1〜4のアルキレン基、 R1Qは炭素数 1〜4のアルキル基 を表す)
で示される構造を挙げることができる。 なお、 本明細書において、 「アルキル基 J は、 特に断りがない限り、 直鎖状アルキル基及び分枝状アルキル基の両者を包 含する。 一般式 [IX]において、 R 9及び R1Qの炭素数が少ない方が好ましく、 従 つて、 R 9はメチレン基、 R1Qはメチル基が最も好ましい。 なお、 R1について の上記説明は、 下記一般式 [M]、 [II I], [IV], [V]、 [VII], [VI II]. [X]、 [XI II], [XIV], [XV]及び [XVI]中の R1についてもあてはまる。
また、 一般式 [I]中の Xで示される蛍光原子団は、 任意の蛍光原子団であって よい。 例えば、 カルシウムイオン測定用の蛍光プローブ自体は、 種々のものが公 知であり、 このような蛍光プローブに用いられている蛍光性原子団はいずれも本 発明において採用することができる。 このような蛍光性原子団の例として、 ロー ダミン、 フルォレセイン、 ナフタレン、 アントラセン、 ピレン、 クマリン、 キノ
リン、 スチルベン、 ベンゾチォゾール、 ピラゾリン等を挙げることができるが、 本発明において採用される蛍光性原子団はこれらに限定されるものではない。 さらに、 一般式 [I]で示される構造のうち、 下記、 一般式 [I I]で示されるもの が感度の点から好ましい。
(但し、 式中、 R1は一般式 [I]と同義、 Yは、 一 O—、 一 CH2—又は一 NH―、 Y' は一 CH=又は一 N=、 X' は蛍光性原子団であって、 式中の炭素原子 3及 び 4と共に縮合環を形成していてもよく、 式 [I I]中の環構造を構成する任意の 1 又は 2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、 炭素数 1〜6のアルキル基、 炭素数 1〜6のアルコキシル基、 アミノ基、 ハロゲン、 又はニトロ基で置換され ていてもよい) 。 なお、 本明細書において、 「ハロゲン」 としては、 フッ素、 塩 素、 臭素及びヨウ素が好ましい。
一般式 [II]中、 Y' は一 CH=であることが好ましい。 また、 Yは一 0—であ ることが好ましい。 また、 環を構成する炭素原子に結合している各水素原子は、 上記の通り置換されていてもよい。 もっとも、 このような置換基は特に必要なも のではないので、 置換されていない構造が単純で好ましい。 また、 X' としては、 公知の種々の蛍光性原子団を好ましく採用することが可能である。
一般式 [II]で表される構造のうち、 感度の観点から、 一般式 [III]で示される クマリン(coumar i n)誘導体が特に好ましい。
(但し、 式中、 R1は一般式 [I]と同義、 X' 'は蛍光性原子団であって、 式中に 示されるベンゼン環と縮合する環であってもよく、 式 [Ml]中の環構造を構成す る任意の 1又は 2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、 炭素数 1〜6の アルキル基、 炭素数 1〜 6のアルコキシル基、 アミノ基、 各アルキル基の炭素数
1〜6のモノ一又はジアルキルァミノ、 ノヽロゲン、 又はニトロ基で置換されてい てもよい)
一般式 [III]で示される構造において、 環を構成する炭素原子に結合している 各水素原子は、 上記の通り置換されていてもよい。 もっとも、 このような置換基 は特に必要なものではないので、 置換されていない構造が単純で好ましい。 また、 X' 'としては、 公知の種々の蛍光性原子団を好ましく採用することが可能である。
—般式 [III]で表される構造のうち、 好ましい例として、 クマリン部分の縮合 ベンゼン環がさらに縮合して合計 3〜 5個の縮合環構造となっている構造を挙げ ることができる。 このような好ましい構造の例として、 下記一般式 [IV]又は [V] で表される構造を有するものを挙げることができる。
但し、 一般式 [IV]及び [V]において、 R1は一般式 [I]と同義、 式 [V]中の環構 造を構成する任意の 1又は 2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、 炭素 数 1〜6のアルキル基、 炭素数 1〜 6のアルコキシル基、 アミノ基、 各アルキル 基の炭素数 1〜 6のモノー又はジアルキルァミノ、 ハロゲン、 又はニトロ基で置 換されていてもよい。 もっとも、 上記の通り、 これらの置換基は特に必要ではな く、 置換基がないものが好ましい。 また、 一般式 [V]で示される構造は、 一般式 [ IV]で示される構造に、 共役二重結合を有する、 縮合されたベンゼン環が 1つ追 加された構造であり、 共役二重結合が一般式 [IV]のものよりも増えているので、
一般式 [ I V]で示されるものよりも長波長側で励起することが可能となり、 波長 48 8nm程度の励起光を用いてレーザー顕微鏡により観察することが可能になる。 従 つて、 細胞中のマグネシウムイオンの動態を観察する等の目的にとって特に有利 である。
また、 マグネシウムイオンに対する錯形成能力、 吸収スぺクトルおよび蛍光ス ぺク トルといった光学的特性に優れ、 さらには細胞内に投与した際、 均一に染色 でき、 さらに、 萤光強度が大きい、 本発明の好ましい蛍光プローブとして、 下記 一般式 [XI I I]で表される化合物を挙げることができる。
(但し、 式中、 R1は一般式 [门と同義、 R1 3、 R1 4、 R1 5及び R1 6は、 互い に独立に水素原子、 炭素数 1〜5のアルキル基又はハロゲンを示す (ただし、 R
13 14
R R 1 5及び R 1 166が同時に水素原子である場合を除く) )
13
一般式 [XI I I]で表される化合物のうち、 R R 14
R1 5及び R1 6がいず れも炭素数 1〜5のアルキル基であるものが好ましい。 とりわけ、 R13、 R14、 R15及び R16がいずれもメチル基である化合物 (KMG-27)は、 下記実施例 1で製 造した本発明の好ましい化合物である KMG-20の特性 (錯形成能力、 光学的特性、 細胞に投与した場合の均一染色性) を保つことができ、 しかもこの化合物の場合、 KMG - 20よりも蛍光強度が大きくなる (明るくなる) ことがわかった。 さらに、 細胞内に投与しても、 KMG - 20と同様、 細胞内に均一に分散し、 マグネシウムィ オン濃度を増加させるような刺激剤を与えると、 蛍光強度の増加が観察された。 一般式 [XI M]で表される化合物は、 452 nm Ar レーザーを搭載した共焦点レ一 ザ一走査蛍光顕微鏡を行うことにより、 被検対象が細胞である場合、 該細胞の 3 次元的情報を得ることが出来る。
また、 高い水溶性を有する本発明の好ましい蛍光プローブとして、 下記一般式
[XIV]で表される化合物を挙げることができる c
(但し、 式中、 R1は一般式 [I]と同義、 R1 7及び R1 8は互いに独立に水素原 子、 水酸基、 ハロゲン、 カルボキシル基又は一 COOR1 9 (ただし、 R1 9¾1 価の金属イオン) である (ただし、 R1 7及び R1 8が同時に水素原子である場合 を除く) ) 。 1価の金属イオンとしては、 ナトリウムやカリウムのようなアル力 リ金属が好ましい。 1 7及ぴ1^1 8は、 いずれも水素原子以外の上記基であるこ とが好ましく、 特に両者とも水酸基であるものが好ましい。 水酸基部位に官能基 修飾を行うことは、 合成上、 簡単である上に、 様々な有機合成反応が確立されて し、る。 従って、 上記化合物は、 単に KMG - 20よりも水溶性を増した化合物として だけでなく、 KMG-20よリも優れた化合物を合成する上での反応中間体としての 用途も有する。
なお、 一般式 [XIV]で示される化合物は、 高い水溶性を有するので、 KMG- 20等 とは異なる細胞内での試薬の分散状況が期待できる。
—般式 [XIV]で表される化合物は、 452 nm Ar レーザ一を搭載した共焦点レー ザ一走査蛍光顕微鏡を行うことにより、 被検対象が細胞である場合、 該細胞の 3 次元的情報を得ることが出来る。
さらに、 吸収帯が長波長側にある、 本発明の好ましい蛍光プローブとして、 下 記一般式 [XV]で示される化合物を挙げることができる。
(但し、 式中、 は一般式 [I]と同義、 R20、 R21、 R22、 R23、 R24及
び R25は、 それぞれ独立に水素原子、 炭素数 1〜5のアルキル基、 ハロゲン又 は水酸基を示す)
—般式 [XV]で示される化合物は、 R2 Qが結合している炭素原子と R21が結合 している炭素原子とが二重結合により結合されており、 この二重結合の故に吸収 帯が KMG- 20よりも長波長側にある。 従って、 汎用性の高い 488 nm Arレーザ一 で励起することができ、 かつ、 錯形成能力、 光学的特性、 細胞に投与した場合の 均一染色性も良好である。
さらに、 一般式 [UI]で示される構造のうちの好ましい例として、 一般式 [III] 中の X''が、 一般式 [VI]
X" ' -Z- [VI]
(式中、 X'''は、 2〜 4個の環を含む縮合環を有する蛍光性原子団、 一 Z—は 該蛍光性原子団と一般式 [III]中に示されるベンゼン環とを結合する原子団を表 す)
で表されるものを挙げることができる。 ここで、 X'''の例としては、 ローダミ ンゃフルォレセインのような種々の公知の蛍光性原子団を採用することができる。 また、 一 z—は、 クマリン構造と蛍光性原子団とを結合しているだけの構造であ るので、 何ら限定されるものではなく、 例えば炭素数 1〜 4の低級アルキレン基 を挙げることができる。 もっとも、 親水性を高めるために、 ァミン、 カルポニル 基、 チォカルボニル基、 エーテル基等の極性基を含む構造が好ましく、 例えば、 — NH— C (=S) — NH—のように、 ァミンと (チォ) カルボニル基のみから 成る構造や、 一 NH— (CH2) 〜 ー。一等を好ましい例として挙げることが できるがこれに限定されるものではない。
一般式 [VI]中の X'''としては、 下記一般式 [VII]で示されるものを好ましい例 として挙げることができ、 これらには周知の蛍光性原子団であるローダミンゃフ ルォレセインが包含される。
(但し、 式 [VI I]中、 R 2は水素原子又は力ルポキシル基、 R3及び R4は、 互い に独立に、 水酸基、 炭素数 1〜6のアルキル基、 又は各アルキル部分の炭素数が 1〜6のジアルキルアミノ基 (但し、 窒素原子が、 環を構成する炭素原子と二重 結合して第四級ァミンとなっていてもよい) )
一般式 [VII]で示される蛍光性原子団を有する、 一般式 [III]で示される構造の うち、 特に好ましいものとして、 下記一般式 [VIII]で示されるものを挙げること ができる。
(但し、 式中、 R1は一般式 [ と同義、 R5、 R6、 R7 R8は互いに独立に、 炭素数 1〜 6のアルキル基を表す)
さらに、 一般式 [II で表される蛍光プローブの好ましい例として、 クマリン 誘導体にアミンを結合した、 下記一般式 [X]で示される構造を有するものを挙げ ることができる。
(但し、 式中、 R 1は一般式 [ I ]と同義、 ^及び!^ ま、 互いに独立に、 水 素、 水酸基、 ハロゲン、 炭素数 1〜6のアルキル基、 炭素数 1〜6のハロアルキ ル基、 炭素数 1〜6のアルコキシル基、 炭素数 1 ~ 6のハロアルコキシル基、 ベ ンジル基若しくはァセチル基、 又は 1個若しくは 2個の単糖構造若しくはそのァ シル化物を含む基である) 。
式 [X]で表される化合物のうち、 前記 1個若しくは 2個の単糖構造若しくはそ のァシル化物を含む基が、 グリコシル基、 グリコシド基、 フラクトシル基、 フラ クトシド基若しくは式 [XI]
で示される基又はこれらの基の中の 1ないし 4個の水酸基が炭素数 1ないし 6の ァシル基でァシル化された構造を含む基であるものが好ましい。
また、 式 [X]における単糖構造が、 炭素数 1〜6のアルキル基又はアルコキシ ル基を介して式 [X]中の窒素原子に結合しているものが好ましい。
このような化合物の好ましい例として、 下記式 [XI I ]に示される化合物を挙げ ることができる。
また、 上記一般式 [I II]中の X''が、 上記一般式 [VI]
X'" -Z- [VI]
で表される場合、 一般式 [VI]で表される基の好ましい例として、 下記一般式 [XVI
]で表されるものを挙げることができる。
(ただし、 式中、 R26は存在してもしなくてもよく、 存在する場合には炭素数 1 ~ 5のアルキレン基; 27は一1\11"1ー、 一 N H— CO—又は一 OCO—; R 28は水素原子、 カルボキシル基又は一 COOR33 (ただし、 R33は 1価の金 属原子又は炭素数 1〜 5のアルキル基) ; R 29及び R 30はそれぞれ独立に水素
原子、 炭素数 1 〜5のアルキル基又はハロゲン; R31は水酸基、 炭素数 1 〜5 のアルキル基、 又は各アルキル部分の炭素数が 1 〜 5のジアルキルアミノ基; R 32と環を結合している ZZZIは単結合又は二重結合を示し、 これが単結合を示す 場合には、 R32は水酸基、 炭素数 1 〜5のアルキル基、 又は各アルキル部分の 炭素数が 1 〜 5のジアルキルアミノ基、 二重結合を示す場合にはカルボ二ル基又 は =N + R34R35 (但し、 R 34及び R 35は互いに独立に炭素数 1〜 5のアル キル基) を示す) 。
なお、 R 2フが一 NH— CO—又は一◦ CO—である場合には、 その方向 (すな わち、 一 NH— CO—の場合には、 一NH—が一般式 [XVI]において一 CO—よ リも上に来るのか下に来るのか、 また、 一O CO—の場合には、 _0—が一般式 [XVI]において一 CO—よりも上に来るのか下に来る'のか) は限定されず、 両者 とも包含される。
一般式 [XVI]で表される化合物のうち、 R 28が水素原子又はカルボキシル基、 R 29及び R 30が水素原子、 R31がジアルキルアミノ基、 R32が二重結合によ リ環に結合されたジアルキル第四級ァミンであるものが好ましく、 特には、 R2 6がメチレン基、 R27が一 NH―、 R28、 R29及び R30がいずれも水素原子、 R 31が N (CH3) 2、 R 32が二 N+ (CH3) 2であるものが好ましい。
一般式 [XVI]で表される、 蛍光発色団がローダミン又はフルォレセイン、 好ま しくはローダミンであるものは、 高いモル吸光係数と量子収率を持ち、 光安定性 が良好で、 蛍光強度は pHに依存しないといった特性を持つ。 さらにローダミン は、 細胞内のミトコンドリアの染色剤として使われている。 従って、 KMG- 20お よびその類縁体は、 細胞質に均一に分散し、 しかも核を除いたその周辺に分散し ていることが明らかとされているが、 一般式 [XVI]で示される化合物を用いるこ とにより、 さらに細胞の局所部位を染色し、 その場所におけるマグネシウムィォ ンの動態を観察することが可能となる。
本発明の蛍光プローブは、 公知の手法に基づいて、 容易に製造することができ る。 とりわけ、 力ルポキシル基又はその塩若しくはエステルを有するクマリン誘 導体に公知の蛍光性原子団を結合すれば本発明の好ましい蛍光プローブを得るこ
とができるので、 本発明の蛍光プローブを合成することは、 当業者にとって容易 である。 下記実施例にも、 複数の蛍光プローブの合成方法の例が詳細に記載され ている。
本発明の蛍光プローブは、 検体に蛍光プローブを作用させ、 励起光を当てて蛍 光を測定するという、 従来の蛍光プローブと全く同様な方法によって使用するこ とができる。 例えば、 ジメチルスルフォキシド (DMS0)のような、 極性有機溶媒に 溶解したものを、 緩衝液に加え、 これを検体に加え (又は検体にこれを加え) て インキュベートし、 励起光を当てて蛍光を測定することができる。 極性有機溶媒 中のプローブ濃度は、 特に限定されないが、 通常、 0. 1 mMないし 10 mM程度、 好ましくは、 0. 5 m ないし 2 mM程度であリ、 また、 緩衝液に添加した後のプロ ーブ濃度は、 特に限定されないが、 通常、 1 ; u Mないし 0. 1 mM程度、 好ましく は、 5 Mないし 2 Ο Μ程度である。 インキュベーションの時間は、 特に限定 されず、 検体に応じて適宜選択できるが、 通常、 5分間〜 1時間程度でよい。 ま た、 インキュベーションの温度は、 特に限定されず、 各検体に適した温度が適宜 選択できるが、 通常、 0 °C〜4 0 °C程度であり、 検体が細胞又は組織である場合 には、 その培養に適した温度 (例えば、 ヒト由来の細胞又は組織であれば 3 7 °C ) であることが好ましい。 また、 蛍光の測定は、 市販の蛍光計を用いて行うこと もできるし、 細胞内のマグネシウムイオンの動態を調べる場合には、 蛍光顕微鏡 や共焦点レーザー.顕微鏡を用いて観察することができる。 このような測定方法自 体は公知である。 また、 検体としては、 特に限定されず、 その中に含まれるマグ ネシゥムイオンを測定しょうとするいずれのものであってもよく、 好ましい例と して、 各種細胞や組織を挙げることができる。 検体が細胞又は組織である場合に は、 細胞又は組織の培養液を、 上記した蛍光プローブ溶液に置換し、 上記のよう にインキュベートし、 蛍光を測定することができる。
実施例
以下、 本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。 もっとも、 本発明は下 記実施例に限定されるものではない。
実施例 1 蛍光プローブ(13 -ァザ- 3-ォキサ - 4 -才キソ亍トラシクロ [7. 7. 1 . 0く 2,
7>.0<13, 17>]ヘプタデ力- 1 (17), 2 (7) , 5, 8-テトラエン- 5 -ィルカルポ二口キシ)メ チルァセテ一ト(KMG-20)の製造
KMG-0020
(1) 9-ァザトリシク口 [7.3.1.0く 5, 13>]トリデカ -1 (13) , 2, 4-トリエン- 2-オール の合成
2
100 ml二口フラスコに 3-メ トキシァニリン 1.0 g (8.13 mmol)、 1-ブロモ- 3- クロ口プロパン 5.0 mlを加え、 窒素気流下、 70°Cで 1時間、 100°Cで 2時間撹拌後、 11時間還流した。 放冷後、 濃塩酸、 水をゆっくり加えた。 エーテルで抽出後、 無 水硫酸マグネシウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィー で精製し目的化合物を得た。
(2) 9-ァザー 2—ヒドロキシトリシクロ [7.3.1.0く 5, 13>] トリデカー 1 (13), 2, 4—トリ ェン- 3-カルバルデヒドの合成
2 I
10 ml二口フラスコに化合物 1.0 g (5.29 mo I)を加え窒素置換後、 乾燥 DMF 5,
0 mlを加えた。 P0CI3 0.65 ml (6.42 mmol)を乾燥 DNIF 5mlに溶解し、 ゆっくり滴 下した。 室温で 30分間撹拌後、 水を加えて反応を停止した。 析出した沈殿を分取
後、 へキサンで再結晶し、 目的化合物を得た。
(3) メチル 13—ァザ -3-ォキサ -4—ォキソテ卜ラシクロ [7.7.1.0<2, 7>.0<13, 17>] ヘプタデ力- 1 (17),2 (7), 5, 8-テトラェン- 5-カルポキシレー卜の合成
3 4
100 ml二口フラスコに化合物さ 1.0 g (4.61 mmol)、 マロン酸メチルエステル 0. 6 ml (5.50 mmol)、 ピぺリジン 0.7 g (7.48 mmol)、 ァセトニトリル 10.0 ml、 ベ ンゼン 20.0 mlを加え 3時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 水を加えエーテルで抽 出した。 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 カラムクロマトグラフィーで精製し目 的化合物を得た。
(4) 13 -ァザ一 3 -ォキサ—4-ォキソテトラシクロ [7.7.1.0く 2, 7>.0<13, 17>]へプタ デカ- 1 (17) , 2(7), 8-トリエン- 5-カルボン酸の合成
4
100 mlなす型フラスコに化合物 41.0 g (3.48 mttiol), 5 %水酸化ナトリウム水 溶液 5.0 mし エタノール 50.0 mlを加え、 12時間還流した。 放冷後、 1. O N塩酸を 加え酸性にした後、 エーテルで抽出した。 水で有機層を洗浄後、 無水硫酸ナトリ ゥ厶で乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 ポンプで減圧乾燥した。
上記のようにして得られたクマリン 343から、 次の反応式に従って(13-ァザ- 3
-ォキサ- 4-ォキソテトラシクロ [7.7· 1.0く 2, 7>.0<13, 17>]へプタデカ- 1 (17), 2 (7) , 5, 8-テトラェン- 5-ィルカルポ二口キシ)メチルァセテ一ト(KMG- 20)を合成した。
KMG-20
すなわち、 50 ml二口フラスコに上記の方法で得られたクマリン 343 0.10 g (0. 35 mmol)を加え脱気窒素置換後、 ジメチルホルムアミド(DMF) 10.0 ml、 テトラ ヒドロフラン(THF)10.0 mし 卜リエチルァミン(TEA)0.07 g (0· 70 mmol)を加え、 室温で 1時間撹抻した。 ァセトキシメチルブロミドを 0· 10 g (0.70 mmol)加え、 室温で 12時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、 0.1 N塩酸 50 mlで 1回、 飽和食塩水 5 0 mlで 3回洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラム クロマトグラフィー(Si02; CHCI3 : MeOH = 20 : 1)で精製し、 黄色固体を得た。 同定は、 1H- NMR、 ES卜 T0F質量分析を用いて行った。
収率 52 %
1H -剛 R (300 MHz,GDCl3, TMS, r. t. , δ / ppm) 1.90〜2·05 (m, 4Η), 2.13 (s, 3Η), 2.77 (t, 2H), 2.88 (t, 2H), 3.36 (q, 4H), 5.94 (s, 2H), 6.93 (s, 1H ), 8.35 (s, 1H)
ESI-T0F [M + Na]+ = 380
実施例 2 蛍光プローブ( (17 -ァザ- 5-ォキサ -6 -ォキソペンタシクロ [11 · 7.1.0 く 2, 11 >· 0く 4, 9>.0く17, 21 >]へニコサ- 1 (21 ), 2 (11 ), 3, 7, 9 (10), 12-へキサェン- 7 -ィ ルカルポニルォキシ)メチルァセテ一ト)の合成
下記の反応式に従って、 (17 -ァザ- 5-ォキサ -6 -ォキソペンタシク口 [11, 7.1.0く 2,11 >.0く 4, 9>.0く 17, 21 >]へニコサ- 1 (21) , 2 (11) , 3, 7, 9 (10) , 12-へキサェン- 7—ィ ルカルボニルォキシ)メチルアセテート (化合物旦) を合成した。
(1) 6 -メ トキシ- 2-ナフチルァミンの合成
1 2
50 ml二口フラスコに 6-メ トキシナフタレン- 2-カルボン酸(化合物 1) 1.0 g (3. 5 mmol)、 アジ化ナトリウム 2.28 g (35.0 mmol)、 ポリリン酸(PPA) 15.0 gを加え、 40 °Gで 12時間撹拌した。 酢酸ェチル 1 00 gを加え、 飽和炭酸水素ナトリウム 水溶液で洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 シリカゲ ルカラムクロマトグラフィーで精製し、 目的化合物を得た。
(2) 13 -ァザ- 4-ヒドロキシテ卜ラシクロ [7.7.1.0<2,7>.0<13, 17>]へプタデカ-1 (17), 2 (7) , 3, 5, 8-ペンタェン- 4-ォ一ルの合成
100 ml二口フラスコに化合物 1.0 g (5.78 議 ol)、 1-ブロモ -3-クロ口プロパ ン 1.0gを加え、 窒素気流下、 70 °Gで 1時間、 100 °Gで 2時間撹袢後、 11時間還流 した。 放冷後、 濃塩酸、 水をゆっくり加えた。 エーテルで抽出後、 無水硫酸マグ ネシゥムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィーで精製し目 的化合物を得た。
(3) 13-ァザ- 4 -ヒドロキシテ卜ラシクロ [7.7.1.0く 2, 7>·0く 13, 17>]ヘプタデカ- 1 (17), 2 (7) , 3, 5, 8 -ペンタェン- 5-カルバルデヒドの合成
10 ml二口フラスコに化合物 1.0 g (4.18 mo I)を加え窒素置換後、 乾燥 DMF 5. 0 mlを加えた。 P0CI3 0.65 ml (6.42 mmol)を乾燥 DMF 5mlに溶解し、 ゆつくリ滴 下した。 室温で 30分間撹拌後、 水を加えて反応を停止した。 析出した沈殿を分取 後、 へキサンで再結晶し、 目的化合物を得た。
(4) メチル 17-ァザー 5 -ォキサ -6-ォキソペンタシクロ [11.7.1.0<2, 11>.0く 4, 9>. 0く 17,21>]へニコサ- 1 (21 ),2 (11 ),3, 7, 9(10), 12-へキサェン- 7-カルボキシレート の合成
100 ml二口フラスコに化合物 41-0 g (3.74 國 ol)、 マロン酸メチルエステル 0.6 ml (5.50 mrnol), ピぺリジン 0.7 g (7.48 國 ol)、 ァセトニトリル 10.0 ml、 ベンゼン 20.0 ml を加え 3時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 水を加えエーテル で抽出した。 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 カラムクロマトグラフィーで精製 し目的化合物を得た。
(5) (17-ァザ— 5-ォキサ -6—ォキソペンタシクロ [11 · 7.1 · 0<2, 11 >■ 0く 4, 9>.0く 17, 2 1〉]へニコサ- 1 (21 ) , 2 (11 ) , 3, 7, 9 (10), 12-へキサェリ-トイルカルボニルォキシ) メチルァセテ一卜の合成
100 mlなす型フラスコに化合物 1.0 g (2.86 mmol)、 5 %水酸化ナトリウム水 溶液 5.0 mし エタノール 50.0 mlを加え、 12時間還流した。 放冷後、 1.0 N塩酸を
加え酸性にした後、 エーテルで抽出した。 水で有機層を洗浄後、 無水硫酸ナトリ ゥムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 ポンプで減圧乾燥した。
得られた化合物に、 DMF 10.0 mし 卜リエチルァミン 0· 29 ml (2.86 mmol)を 加え、 窒素気流下、 氷浴につけた。 ァセトキシメチルブロミ ド (4.29 mmol)を加 え、 氷浴下で 30分間、 室温に戻して 12時間撹袢した。 溶媒を減圧留去後、 得ら れた化合物に塩化メチレンを加え、 0.1 N塩酸、 飽和食塩水の順に洗浄した。 無 水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー で精製し、 目的化合物を得た。
実施例 3 蛍光プローブ (5-((((3- ((ァセチルォキシメチル)ォキシ力ルポ二 ル) -2 -ォキソ(2H-ク口メン- 7 -ィル))ァミノ)チォキソメチル)ァミノ)- 2 - (6 -(ジ ェチルァミノ)- 3- (ジェチルイリデン)キサンテン- 9-ィル)ベンゾイツクァシド) の合成
下記の反応式に従つて、 5- ( ( ( (3- ( (ァセチルォキシメチル)ォキシ力ルポニル) - 2 -ォキソ(2H -ク口メン- 7-ィル))ァミノ)チォキソメチル)ァミノ)- 2- (6- (ジェチ ルァミノ)- 3- (ジェチルイリデン)キサンテン- 9 -ィル)ベンゾイツクァシド (化合 物 5) を合成した。
100 ml 二口フラスコに 3-ァミノフエノール (化合物 1)1.0 g (9.17 mmol)を加 え窒素置換後、 ジェチルエーテル 50 mし トリェチルァミン 0.92 ml (9.17 mmol) を加え氷浴につけた。 ジ- tert -プチルジカーボネート 1.99 g (9.17 酬 ol)を加え、 室温に戻してから 2時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィ 一 (Si02, 酢酸ェチル : n -へキサン = 1 : 1)で精製し、 目的化合物を得た。
(2) (tert-ブトキシ) -N-(4-フオルミル- 3-ヒドロキシフ ιニル)フオルムアミド の合成
50 mlなす型フラスコに化合物 1.0 g (4.78 mmol), クロ口ホルム 10.0 mし 5
% NaOH水溶液 10· 0 mlを加え、 60 °Cで 2時間撹拌した。 溶媒の大部分を溶留去後、 エーテルで抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 目的化 合物を得た。
(3) メチル 7 -((tert-ブトキシ)力ルポニルァミノ) -2-ォキソ -2H-クロメネ- 3- カルポキシレー卜の合成
3 4
100 mlなす型フラスコに化合物 1.0 g (4.22 画 ol)、 ベンゼン 30 ml、 ァセト 二トリル 20 mし マロン酸メチルエステル 0.83 g (6.33 mmol), ピぺリジン 1.08 g(12.65 睡 ol)を加え、 3時間還流した。 溶媒を減圧留去後水を加え、 ベンゼンで 抽出した。 有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラム クロマトグラフィーで精製し、 目的化合物を得た。
(4) 2- (6- (ジェチルァミノ)- 3- (ジェチリデン)キサンテン- 9-ィル) -5-((( (3 -(
メ トキシカルボニル) - 2-ォキソ(2H-ク口メン -7-ィル))ァミノ)チォキソメチル) ァミノ)ベンゾイツクァシドの合成
4
50 ml二口フラスコに化合物 41.0 g (3.13 隱 ol)、 塩化メチレン 20.0 ml、 トリフルォロ酢酸 5.0 ml を加え、 室温で 1時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、 ポンプで減圧乾燥した。
得られた化合物にクロ口ホルム 10.0 ml、 ローダミンイソチオシァネート 1.67 g (3.13 mmol)を加え、 1時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグ ラフィ一で精製し目的化合物を得た。
(5) 5 -((((3- ( (ァセチルォキシメチル)ォキシ力ルポニル) - 2-ォキソ(2H-ク口メ ン -7-ィル))ァミノ)チォキソメチル)ァミノ) 2 - (6- (ジェチルァミノ) -3- (ジェチ ルイリデン)キサンテン- 9-ィル)ベンゾィックァシドの合成
100 mlなす型フラスコに化合物 1.0 g (1.27 mmol)、 5 %水酸化ナトリウム水 溶液 5.0 mし エタノール 40 mlを加え、 10時間還流した。 放冷後、 溶媒の大部分 を減圧留去し、 1 N塩酸を加え酸性にした。 溶媒を減圧留去後、 アセトンを加え、 析出した沈殿を濾別した。 得られた沈殿を減圧乾燥し目的化合物を得た。
得られた化合物に DMF 40 mし 卜リエチルァミン 0.28 ml (2.80 mmol)を加え 氷浴につけた。 ァセトキシメチルブロミ ド 0.40 ml (2.80 mmol)を加え、 氷浴下 で 30分間、 室温に戻して 24時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、 アセトン -塩化 メチレンで再沈殿操作を行い、 目的化合物を得た。
実施例 4 蛍光プローブ (メチル- 13 -ァザ- 10, 10, 16, 16-テトラメチル -3 -ォキ
サー 4-ォキソーテトラシクロ [7, 7,■), 0<2, 7>. 0く 13, 17>]へプタデカ— 1 (17) , 2 (7) , 5, 8 -テトラェン- 5-カルボキシレー卜) (KMG-27)の合成
下記の反応式に従って、 メチル -13-ァザ -10, 10, 16, 16 -亍トラメチル -3-ォキサ - 4 -才キソ-テトラシクロ [7, 7, 1 , 0く 2, 7>. 0<13, 17>]へプタデカ- 1 (17) , 2 (7) ' 5, 8- テトラェン- 5 -カルボキシレート (4.) を合成した。
寸 I
(1 ) メチル- 13-ァザ -10, 10, 16, 16 -テトラメチル- 3 -ォキサ - 4-ォキソテトラシク 口 [7· 7· 1 . 0く 2, 7〉. 0く 13, 17>]ヘプタ -1 (17) , 2 (7) , 5, 8 -テトラエンー 5—力ルポキシレ
一ト (化合物 ) の合成
100 ml二口フラスコに、 8-ヒドロキシ- 1, 1,7, 7 -テトラメチルジュロリジン - 9 -カルボキシアルデヒド(1) 0.70 g (2.56 圆 ol)、 ジメチルマロネート 0.51 g (3.84 mmol)、 ベンゼン 35.0 mlおよびァセトニトリル 15.0ml を加え、 窒素気流 下、 4時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 残査を酢酸ェチルに溶解し、 飽和食塩 水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロ マトグラフィ一(Si02, CH2GI2→CH2CI2 : AcOEt = 1 : 1 v/v)で精製し、 黄色固体 を得た。
収率: 78 %.
1H NMR (300 MHz, CDCI3, r. t. , TMS, δ/ppm) 1.29 (s, 6H) , 1.54 (s, 6H) , 1. 72Ί.81 (m, 4H), 3.28 (t, 2H) , 3.38 (t, 2H) , 3.89 (s, 3H) , 7.15 (s, 1H),
8.37(s, 1H).
ESI-TOFMS (+) : 378.18 [ +Na] +
元素分析. C21H25N04:
計算値: C, 70.96; H, 7.09; N. 3.94.
実測値: C, 71.03; H, 7.12; N, 4.01.
(2) 13-ァザ -10, 10, 16, 16-テトラメチル -3-ォキサ -4-ォキソテトラシクロ [7.7, 1.0く 2, 7>.0く 13, 17〉]ヘプタデ力- 1 (17), 2 (7) , 5, 8-テトラェン- 5-力'ルボン酸 (さ)の 合成
10 mlナス型フラスコに化合物 および濃塩酸 5.0 ml を加え、 24時間室温で 撹拌した。 反応溶液を氷水にあけ、 塩化メチレンで抽出した。 有機層を水で洗浄 後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 オレンジ色の固体を得 た。
収率: 95 %·
1H 剛 R (300 MHz, CDCI3, r.t. , TMS, δ/ppm) 1.30 (s, 6H) , 1.55 (s, 6H), 1. 74-1.85 (m, 4H), 3.36 (t, 2H), 3.44 (t, 2H) , 3.89 (s, 3H) , 7.23 (s, 1H), 8.55 (s, 1H).
ESI-TOFMS (+) : 364.16 [M+Na] +
元素分析. C2。H23N04:
計算値: C, 70.36; H, 6.79; N. 4.10.
実測値: G, 70.54; H, 6.90; , 4.15.
(3) メチル- 13 -ァザ- 10, 10, 16, 16-テトラメチル- 3 -ォキサ -4-ォキソ -テトラシ クロ [7, 7, 1 , 0く 2, 7>.0<13, 17>]へプタデカ- 1 (17), 2 (7) , 5, 8-テトラエン- 5-力ルポ キシレート の合成
窒素気流下、 30 ml二口フラスコに化合物 3 0· 10 g (0.29 隱 ol)、 トリェチ ルァミン 0.04 g (0.35 國 ol)、 乾燥 THF 5.0 ml を加え、 氷浴につけた。 ブロモ メチルアセテート(AM- Br) 0.05 g (0.35 mmol)を加え、 室温で 24時間撹拌した。 溶媒を減圧留去後、 反応混合物を塩化メチレンに溶解し、 水で洗浄した。 無水硫
酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 大型薄層クロマトグラフィー (Si 02, n-へキサン : 酢酸ェチル = 10 : 7 vA/)で精製し、 オレンジ色固体を得た。 収率: 75 %.
1H 刚 R (300 MHz, CDCI3, r.t. , TMS, δ/ppm) 1.30 (s, 6H), 1.55 (s, 6H), 1. 72-1.85 (m, 4H) , 2.12 (s, 3H) , 3.36 (t, 2H) , 3.44 (t, 2H) , 3.89 (s, 3H) , 5.95 (s, 2H), 7, 16 (s, 1H), 8.38 (s, 1H).
ESI-TOFMS (+) : 436.15 [M+Na] +
元素分析. G23H27N06:
計算値: C, 66.81; H, 6.58; N. 3.39.
実測値: C, 66.97; H, 6.51; N, 3.24.
実施例 5 (13-ァザ- 10, 16-ジヒドロキシ- 3 -ォキサ -4-ォキソテ卜ラシクロ [7. 7.1 · 0<2, 7>.0く 13, 17>]へプタデカ- 1 (17) ,2 (7), 5, 8 -亍トラエン- 5-ィルカルボニ 口キシ)メチルアセテート )の合成
下記の反応式に従って、 (13-ァザ- 10, 16-ジヒドロキシ- 3-ォキサ -4-ォキソテ トラシクロ [7.7.1.0<2, 7>.0<13, 17>]へプタデカ- 1 (17), 2 (7) , 5, 8-テトラェンー 5- ィルカルポ二口キシ)メチルァセテー卜(7)を合成した。
1 2
50 mlナス型フラスコに、 7-メ トキシ- 2, 3, 4, 5, 3a-ペンタヒドロ- 3a-ァザフエ ナレン- 1, 6-ジオン ) 3.0 g (12.98 画 ol)、 水素化ホウ素ナトリウム 0.48 g ( 12.98 國 ol)、 エタノール 20 ml を加え、 室温で 6時間撹拌した。 溶媒を減圧留 去後、 反応混合物を酢酸ェチルに溶解し、 水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで 乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02, GH2GI2)で精製 し、 目的化合物を得た。
(2) 9—ァザ卜リシクロ [7.3.1.0く 5, 13>トリデカー 1 (13), 2, 4-トリエン— 2, 6, 12-ト リオール (さ)の合成
2 3
50 mlナス型フラスコに化合物 2 2.0 g (8.51 圃 ol)、 臭化水素酸 2.0 ml、 酢 酸 10.0 ml を加え、 24時間還流した。 反応溶液を冷水にあけ、 塩化メチレンで 抽出した。 有機層を水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留 去後、 カラムクロマトグラフィー(Si02, CH2CI2 : 酢酸ェチル = 3 : 1 vA/)で精 製し、 目的化合物を得た。
(3) 9一ァザー 2, 6, 12 -トリヒドロキシトリシクロ [7.3.1.0く 5, 13>] トリデカ— 1 (13), 2, 4-トリェン- 3-力ルポアルデヒド(4)の合成
3 4
50 ml三口フラスコに化合物 1.0 g (4.52 睡 ol)、 乾燥 DMF 20.0 ml およ び P0GI30,69 g(4.52 睡 ol)を加え、 窒素気流下、 12時間室温で撹拌した。 溶媒 を減圧留去後、 反応混合物を塩化メチレンに溶解し、 飽和食塩水で洗浄した。 無 水硫酸ナトリウムで乾燥後、 カラムクロマトグラフィー (Si02, GH2GI2:酢酸ェチ ル = 5 : 1 v/v)で精製し、 目的化合物を得た。
(4) メチル -13-ァザ- 10, 16-ジヒドロキシ -3-ォキサ -4-ォキソテトラシクロ [7.7. 1.0く 2, 7>.0く 13, 17〉]ヘプタデ力- 1 (17), 2(7), 5, 8 -テトラェン- 5 -力ルポキシレ一 ト( )の合成
4 5
100 mlナス型フラスコに化合物 41.0 g (4.01 mmol)、 ジメチルマロネート 0.53 g (4.01 mmol)、 ベンゼン 35.0 mし ァセトニトリル 15· 0 mし ピぺリジン 0.34 g (4.01 mmol)を加え、 窒素気流下、 4時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 反応混合物を塩化メチレンに溶解し、 水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥 後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02, CH2CI2 : 酢酸ェチ ル = 2 : 1 v/v)で精製し、 目的化合物を得た。
(5) 13-ァザ- 10, 16-ジヒドロキシ- 3-ォキサ -4-ォキソテトラシクロ [7.7.1.0く 2, 7>.0く 13, 17>]ヘプタデカ- 1 (17), 2(7), 5, 8—テトラェン -5 -力ルボン酸 (6)の合成
さ 6 50 mlナス型フラスコに化合物 1.0 g (3.02 ol)および濃塩酸 10· 0 ml を 加え、 室温で 24時間撹拌した。 反応溶液を冷水にあけ、 塩化メチレンで抽出し た。 有機層を水で洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィー (Si02 CH2GI2)で精製し、 目的化合物を得た。
(6) (13 -ァザ- 10, 16-ジヒドロキシ- 3-ォキサ -4-ォキソテトラシク口 [7.7.1.0<2,
7>.0<13, 17>]ヘプタデカ- 1 (17) ,2 (7) , 5 8-テトラエン- 5 -ィルカルポ二口キシ)メ チルアセテート(7)の合成
6 1
50 ml二口フラスコに化合物 0.50 g (1,58 mmol)、 乾燥 THF 20 mし トリェ チルァミン 0.16 g (1.58 ol)を加え氷浴につけた。 ァセトキシメチルブロミ ド 0.29 g (1.58 mmol)を加え、 氷浴下で 30分間、 室温に戻して 24時間撹拌し た。 溶媒を減圧留去後、 反応混合物を塩化メチレンに溶解し、 水で洗浄した。 無 水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 大型薄層クロマトグラフィー
(Si02, CH2CI2)で精製し、 目的化合物を得た。
実施例 6 5 -ェチル- 6 6 8-トリメチル -3-ォキソ -4 5 6-トリヒドロ- 5-ァザ -4 -ォキサアントラセン- 2-カルボン酸 (2)の合成
下記の反応式に従って、 5-ェチル -6, 6 8-トリメチル -3-ォキソ -4, 5 6-トリヒ ドロ- 5-ァザ- 4-ォキサアントラセン- 2-カルボン酸 (7)を合成した。
(1) 7 -メ トキシ- 2, 2,4-トリメチル- 1,2-ジヒドロキノリン(2)の合成
Acetone, ¾
Hゥ N OCH'
200ml二口フラスコに 3 -メ トキシァニリン(1) 5.0 g (40.63 國 ol)、 ヨウ素 0.
1 g、 アセトン 100.0 ml を加え、 窒素気流下、 2日間還流した。 溶媒を減圧留去 後、 反応混合物を塩化メチレンに溶解し、 飽和食塩水で洗浄した。 無水硫酸ナト リウムで洗浄後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02, へ キサン : 酢酸ェチル = 1 : 1 v/v)で精製し、 目的化合物を得た。
(2) 9-ァザ卜リシクロ [7.3.1.0〈5, 13>トリデカ- 1 (13) , 2, 4—トリエン -2, 6, 12-卜 リオール (3)の合成
200 ml二口フラスコに化合物 2.0 g (9.85 mmol)、 ァセトニトリル 100· 0 m し ヨウ化工チル 1.56 g (10.0 讓 ol)、 炭酸ナトリウム 1.06 g (10.0 画 ol)を加 え、 2日間還流した。 炭酸ナトリウムを濾別後、 濾液を減圧濃縮した。 反応混合 物に酢酸ェチルを加え、 飽和食塩水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02, /7 "へキサン : 酢酸ェチ ル = 5 : 1 v/v)で精製し、 目的化合物を得た。
(3) 1-ェチル -2, 2,4-トリメチル- 1,2 -ジヒドロキノリン- 7 -オール(4)の合成
3フ
100 mlナス型フラスコに、 化合物さ 1.0 g (4.32 mmol)、 臭化水素酸 2· 0 mし 酢酸 20 ml を加え、 24時間還流した。 反応溶液を冷水にあけ、 水酸化ナトリウ ムで中性にした後、 塩化メチレンで抽出した。 有機層を水で洗浄後、 無水硫酸ナ トリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィー (Si02, n- へキサン : 酢酸ェチル = 2 : 1)で精製し、 目的化合物を得た。
(4) 1-ェチル- 7-ヒドロキシ- 2, 2,4 -トリメチル -1,2-ジヒドロキノリン- 6-カル ポアルデヒド(5)の合成
4 5
100 ml三口フラスコに、 化合物 1.0 g (4.60 國 ol)、 乾燥 DMF 30.0 mし P0C l3 0.76 g (5.00 mmol)を加え、 窒素気流下、 24時間室温で撹拌した。 溶媒を減 圧留去後、 反応混合物を酢酸ェチルに溶解後、 水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウ ムで乾燥後、 カラムクロマトグラフィー (Si02, n~へキサン : 酢酸ェチル = 1 : 1) で精製し、 目的化合物を得た。
(5) メチル— 5 -ェチルー 6, 6, 8 -卜リメチル -3 -ォキソ—4, 5, 6—トリヒドロ- 5 -ァザ一 4 -ォキサアントラセン- 2-カルボキシレート(6)の合成
100ml二口フラスコに化合物 1.0 g (4.08 mmol)、 ジメチルマロネート 0.5 4 g (4.08 mmol)、 ピぺリジン 0.35 g (4.08 隱 ol)、 ベンゼン 35.0 ml、 ァセト 二トリル 15.0 ml を加え、 窒素気流下、 4時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 反 応混合物を酢酸ェチルに溶解し、 飽和食塩水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで 乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02, AT"へキサン : 酢酸ェチル = 5 : 1 v/v)で精製し、 目的化合物を得た。
(6) 5—ェチル—6, 6, 8—卜リメチルー 3 -ォキソ—4, 5, 6—トリヒドロ— 5 -ァザ—4—ォキサ アントラセン- 2-カルボン酸 )の合成
20 ml二口フラスコに、 化合物 6 1.0 g (3.06 睡 1)、 濃塩酸 10.0 mlを加え、 室温で 24時間撹拌した。 反応溶液を冷水にあけ、 塩化メチレンで抽出した。 有機 層を水で洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラ厶ク 口マトグラフィー (Si02, n -へキサン : 酢酸ェチル = 2 : 1)で精製し目的化合 物を得た。
実施例 7 化合物 の合成
下記の反応式に従って、 反応式中に示される化合物 9を合成した。
0.10 gを加え、 水素雰囲気下、 室温で 2時間撹拌した。 Pd/Gを濾別後、 溶媒を減 圧留去した。 カラムクロマトグラフィー(Si02, GH2GI2 : MeOH = 10 : 1 v/v)で
アルデヒド 0.40 g (11.56画 ol)を加え、 100 °Cで 12時間撹拌した。 反応溶液を 冷水にあけ、 1 N HGIで酸性にした後、 エーテルで抽出した。 有機層を飽和食塩 水で洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマ 卜グラフィー(Si02, /7~へキサン : 酢酸ェチル = 10 : 1 v/v)で精製し、 目的化 合物を得た。
(4) 化合物 の合成
5 6
100 mlナス型フラスコに化合物 1.0 g (5.38画 ol)、 ジメチルマロネート 0.
71 g (5.38 mmol)、 ピぺリジン 0.46 g (5.38議 ol)、 ベンゼン 35.0 ml、 ァセト 二トリル 15.0 mlを加え、 窒素気流下、 4時間還流した。 溶媒を減圧留去後、 反応 混合物を塩化メチレンに溶解し、 水で洗浄した。 無水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 カラムクロマトグラフィー (Si02 CH2CI2 : AcOEt = 2 : 1 )で精製し、 目的化合物を得た。
(5) 化合物 7の合成
100 ml三口フラスコに、 化合物 0.50 g (1.39 mmol)、 化合物旦 0.41 g (1.3 9 mmol), 炭酸カリウム 0.69 g (5.00 mmol)、 ァセトニトリル 50.0 mlを加え、 窒素気流下、 24時間還流した。 炭酸カリウムを濾別後、 溶媒を減圧留去した。 反 応混合物を酢酸ェチルで溶解後、 水で洗浄し、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィー(Si02, CH2CI2 : MeOH = 10 : 1 v /v)で精製し、 目的化合物を得た。
(6) 化合物 8の合成
7 8
50 mlナス型フラスコに化合物 20.50 g (0.89 國 ol)および濃塩酸 20.0 ml を加え、 24時間室温で撹拌した。 反応溶液を冷水にあけ、 塩化メチレンで抽出
した。 有機層を水で洗浄後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去後、 カラムクロマトグラフィー(Si02, CH2CI2 : MeOH = 50 : 1 v/v)で精製し、 目的 化合物を得た。
(7) 化合物 9の合成
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100 ml三口フラスコに化合物 8 0.50 g (0.89 麵 ol)、 THF 20.0 tnし トリェチ ルァミン 0.10 g (0.90 mmol)を加え、 氷浴につけた。 ァセトキシメチルブロミ ド 0.16 g (0.90 mmol)を加え、 氷浴下で 30分間、 室温に戻して 24時間撹拌し た。 溶媒を減圧留去後、 反応混合物を塩化メチレンで溶解し、 水で洗浄した。 無 水硫酸ナトリウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去した。 大型薄層クロマトグラフィー (Si02, CH2GI2 : MeOH = 20 : 1 vA/)で精製し、 目的化合物を得た。
実施例 8 蛍光プローブを用いた細胞内マグネシウムイオンの測定 (その 1 ) 実施例 1で合成した蛍光プローブ KNIG- 20を用いて細胞内マグネシウムイオン を測定した。 蛍光プローブ KMG - 20は、 ァセトキシメチル基を有しているため、 脂溶性が高く細胞の培養液から細胞膜への移行が容易であり、 細胞膜近傍で細胞 内のエステル加水分解酵素によって、 ァセ卜キシメチル基が外れ、 再びカルポキ シル基を有する水溶性化合物となり、 細胞質内へ拡散する。 また、 KMG-20は、 マグネシウムイオンと錯結合することにより、 その蛍光が増大する。
蛍光プローブ KMG-20の DNIS0溶液(1,0 mM)を、 終濃度が 10.0 Mになるよう に Hanks- HEPES緩衝液に加え、 超音波処理した。 培養液中で 37 °Cでシャーレ上
に培養されていたゥシ血管内皮細胞の培養液を上記 KMG- 20溶液に置き換え、 3 7 °Cで 3 0分間インキュベートした。 次いで、 新しい緩衝液と交換し、 蛍光顕微 鏡 Ax i overtS 100で細胞を 2 0倍の倍率で観察した。 励起波長は 440 nm、 検出 波長は 500〜530 nmであった。 また、 比較のため、 蛍光プローブを投与する前の 細胞も同様に蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、 蛍光プローブ投与前には、 蛍光は観察されなかったが、 蛍光プロ一 ブ投与後の細胞では、 蛍光プローブが細胞質中に均一に分散し、 染色しているこ とが観察された。 また、 全ての細胞において、 蛍光強度が低い部分が観察された。 この部分は、 細胞の核の部分に相当し、 蛍光プローブは細胞の核を抜かしたその 周辺に存在することがわかつた。
次に細胞内の遊離マグネシウムイオンの動態を明らかにするため、 5 μ Μの力 ルボニルシアノィド ρ - (トリフルォロメ トキシ)フエニルヒドラゾン(FGGP)を添 加した。 その結果、 細胞全体が明るくなつた。 また、 FGGPを添加してからの蛍 光強度の時間変化を観察したところ、 添加後 1分間は蛍光強度の増加が観察され、 その後蛍光強度はほぼ一定となった。 この際の時間 (分) と蛍光強度との関係を 図 1に示す。 通常、 マグネシウムイオンは、 ATP、 ADP、 糖リン酸、 核酸、 その他 のリン酸化基質のリン酸エステル部分の酸素原子と結合し電荷を中和するととも に、 酸触媒として働き、 リン酸エステル化合物を基質とする酵素はマグネシウム イオンを補因子として必要とすることが知られている。 FGGPは細胞内のミトコ ンドリァの呼吸阻害剤として働くため、 細胞内の ATP活性が落ち、 遊離マグネシ ゥ厶ィォン濃度が増加し、 KMG - 20がマグネシウムイオンと複合体を形成したた め、 蛍光強度が増加したと考えられる。
さらに、 細胞に 1 0 u Mのアセチルコリンを添加し、 細胞内のカルシウム濃度 を強制的に増加させた。 その結果、 蛍光強度の増加は観察されなかった。 このこ とから、 KMG- 20はカルシウムイオン共存下でも、 十分選択的にマグネシウムィォ ンを測定できることが明らかになつた。
実施例 9 蛍光プローブを用いた細胞内マグネシウムイオンの測定 (その 2 ) 実施例 4で合成した KMG - 27を蛍光プローブとして用いて細胞内マグネシウムィ
オンの動態について測定した。
この蛍光プローブは、 ァセトキシメチル基を有しているため、 脂溶性が高く、 細胞培養液から細胞膜への移行が容易であり、 細胞膜近傍で細胞内のエステル加 水分解酵素によって、 ァセトキシメチル基が外れ、 再び力ルポキシル基を有する 水溶性化合物となり、 細胞内へ拡散する。
蛍光プローブの DMS0溶液(1 · 0 mM)を、 終濃度が 10. 0 μΜとなるように Hanks- HEPES緩衝溶液に加え、 超音波処理した。 培養液中で 3 7 °Cでシャーレ上で培養 されていた PC - 12細胞 (ラッ卜副腎髄質クロム親和性細胞種より単離された神経 系クローン細胞) の培養液を、 蛍光プローブ溶液に置き換え、 37 °Gで 30分間 インキュベートした。 次に新しい緩衝溶液と交換し、 蛍光顕微鏡 Ax i overt S100 で細胞を観察した。 励起波長は 440 nm、 検出波長は 500〜530 nmに設定した。 また、 比較のため、 蛍光プローブを投与する前の細胞も同様に蛍光顕微鏡で観察 した。
その結果、 蛍光プローブ投与前は、 蛍光は観察されなかったが、 蛍光プローブ 投与後の細胞は、 蛍光プローブが細胞内に均一に分散し、 染色されていることが 観察された。 また、 核の部分は蛍光強度が低く、 蛍光プローブは細胞の核を抜か したその周辺に存在することが明らかとなった。
次に細胞内の遊離しているマグネシウムイオンの動態を明らかにするため、 5. 0 μΜのカルボ二ルシアノイド p -(トリフルォロメ トキシ)フエニルヒドラゾン(F GGP)を添加した。 その結果、 細胞全体が明るくなリ、 FGGPを添加してからの蛍 光強度の時間変化を観察したところ、 添加後 1分間は蛍光強度の増加し、 その後 蛍光強度は一定となった。 通常、 マグネシウムイオンは、 ATP、 ADP、 核酸などの リン酸化基質のリン酸エステル部分の酸素原子と結合し、 電荷を中和するととも に、 酸触媒として働くことが知られている。 FGGPは細胞内のミ トコンドリアの 呼吸阻害剤として働くため、 細胞内の ATP活性が落ち、 遊離したマグネシウムィ オン濃度が増加する。 従って、 蛍光プローブとマグネシウムイオンが複合体を形 成し、 蛍光強度が増加したと考えられる。
さらに、 10.0 μΜのアセチルコリンを添加し、 細胞内のカルシウムイオン濃度 を強制的に増加させた。 その結果、 蛍光強度の増加は観察されなかった。 このこ とから、 新たに開発した蛍光プローブはカルシウムイオン共存下でも、 十分選択 的にマグネシウムイオン濃度を測定出来ることが明らかとなった。
実施例 1 0 蛍光プローブのマグネシウムイオン選択性
実施例 1で合成した KMG-20及び実施例 4で合成した KMG-27のマグネシゥ厶ィォ ンに対する選択性 (すなわち、 マグネシウムイオンに対する結合定数とカルシゥ ムイオンに対する結合定数との比) を測定した。 この測定は具体的には次のよう にして行った。
蛍光指示薬を、 濃度が 10 μΜとなるように溶媒(HEPES 10.0 mM, KC1 120.0 m
M, NaCl 20.0 mM, EGTA 2.0 mM, pH 7.20)となるように溶解した。 ここに金属塩 (MgCl2, CaCl2)を上記溶媒に溶かした溶液を、 濃度が 0 ~ 500 となるように 加え、 蛍光スぺクトルを測定した。
この時の蛍光光度計(日立 F4500)の条件は、 励起波長: 448 nm, スリツ卜幅: 励起側 2.5 nm, 蛍光側 2.5 nm, ホトマル電圧: 700 V, スキャン速度: 240 nm / mi nとし 7二。
金属イオン濃度を変化させた時の極大蛍光波長 (505 nm)における蛍光強度を観 測し、 Benesi - Hi Idebrandプロット法(丄 Am. Chem. Soc. 71, 2703 (1949)) を用いて、 Mg2+および Ga2+との結合定数を算出した。 結果を下記表 1に示す。 比較のため、 Molecular Probes社より市販されている公知のマグネシウムィォ ンプローブである mag-fur a- 2 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 2981 (1989) ) 、 mag-indo-1 (J. Physiol, 475, 319 (1994)) 、 mag-fur a-5 (J. Physiol, 4 75, 319 (1994)) 及びマグネシウムグリーン (丄 Biol. Chem. 270, 18975 (199 5)) の結合定数も併せて下記表 1に示す。 .
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表 1から明らかな通り、 本発明の蛍光プローブのマグネシウムイオンに対する 選択性 (KMg/KCa) は、 従来のマグネシウムイオンプローブの選択性の 2 0 0倍以 上も高かった。
産業上の利用可能性
本発明の蛍光プローブは、 水系において、 カルシウムイオン共存下においても、 マグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することができる、 選択的なマグネシ ゥムイオン測定用蛍光プローブである。 本発明の蛍光プローブは、 生体内でのマ グネシゥムイオンの挙動の解析等に大いに威力を発揮するものと考えられる。