明細書
G 1 i 1遺伝子の用途 技術分野
本発明は G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を用いた G 1 i 1遺伝子 の発現を制御 (促進または阻害) する活性を有する化合物またはその塩のスクリ —ニング方法、 該スクリーニング方法を用いて得られうる化合物またはその塩、 および該化合物の用途に関する。 背景技術
グリア芽腫遺伝子 (G 1 i 1、 G 1 i 2および G 1 i 3 ) のうち、 G l i l遺 伝子の産物である G l i 1タンパク質は zinc f ingerを有する転写因子に属し、 ショウジヨウバエの転写因子 C i (Cubi tus interruptus) の脊椎動物における ホモログとされている (Aza- Blanc, P. et al. , Trends Genet. (1999) 15, .45 8-462) 。 ショウジヨウバエ C iの機能については研究が進んでおり、 C iが誘 導する分子などが報告されている (McMahon, A. P. et al. , Cel l (2000) 100, 1 85-188) 。 G l iタンパク質については、 3種の G l iタンパク質すべてが zinc f inger領域を介して共通な配列に結合すること、 G l i 3タンパク質が直接 G 1 i 1遺伝子に含まれるプロモーター領域に結合し、 その転写を誘導しているこ となどが報告されてはいるが、 G 1 i 1タンパク質の機能はショウジヨウバエの C iタンパク質の機能からの類推が主となっており、 誘導分子などについても未 知の点が多い。
一方、 G l i 1遺伝子発現はヘッジホッグ (hedgehog) と呼ばれる可溶性分泌 タンパク質によるシグナル伝達によって誘導されるとされている (Dai,P. et al . , J. Biol. C em. (1999) 274, 8143-8152) 。 ヘッジホッグファミリ一は昆虫 から脊椎動物までを含む多くの動物種における形態形成の鍵として注目されてい る一群のタンパク因子であり、 例えば Sonic hedgehogの活性部位である N末端ド メインを強制発現させた繊維芽細胞をヌードマウスに移植すると異所性骨形成が 誘導されることが報告されている (Kinto, N. et al. , FEBS let t. (1997) 404,
319-323) 。 これらの点でヘッジホッグタンパク質は様々な骨 ·軟骨障害、 骨 ' 軟骨疾患の治療、 予防に有効と考えられるが、 天然には微量にしか存在せず、 治 療に使用するべく大量に入手するためには組み換え型タンパク質を生産する必要 がある。 一般的に組み換え型タンパク質の生産は低分子化合物の生産よりはるか に多くの費用を要し、 またタンパク質という特性から、 医薬品としての物性、 投 与法にも制約がある。
骨 ·軟骨組織は未分化間葉系細胞等の多分化能を有する細胞の骨 ·軟骨前駆細 胞への分化決定の後、 骨 ·軟骨細胞への分化、 増殖、 骨 ·軟骨基質の合成といつ た一連の過程を経て形成される。 胎生期や骨折治癒などの骨形成過程においては 一般に軟骨分化が骨形成に先立つて起こることから、 軟骨分化促進は骨分化促進 にもつながる。 障害を受けた骨 ·軟骨組織の修復や誘導を要する疾患、 あるいは 過形成が問題となっている疾患はこれらのいずれかの過程が破綻していると考え られるが、 これらを治癒に向わせる安価で、 効果的な優れた医薬品の創製が切望 されていた。 発明の開示
本発明者らは、 上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、 G l i 1の機 能解析研究において G 1 i 1を強制発現させると、 軟骨マ一カーの発現が亢進す ることを見出し、 さらには例えば S c 1 e r a i sなどのヘッジホッグシグナ ルに関与するとの報告がない転写因子の遺伝子を強制発現させることによつても G 1 i 1誘導は可能であることなどからヘッジホッグタンパク質を用いなくとも G 1 i 1発現の制御が可能であることを見出した。
さらにへッジホッダレセプターに直接作用するものではない一部の既存低分子 化合物が G l i 1の発現を誘導し、 ひいては軟骨マーカー遺伝子の発現をも誘導 することを見出した。 本発明者らは、 これらの知見に基づいて、 さらに検討を重 ねた結果、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は
( 1 ) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩を含有する骨 ·軟 骨分化誘導剤、
(2) G 1 i 1タンパク質が配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 1 3、 配列番号: 15または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列と同一もしく は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質である前記 (1) 記載の剤 (3) G 1 i 1タンパク質が配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 1 3、 配列番号: 15または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列を含有する夕 ンパク質である前記 (1) 記載の剤、
(4) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩を含有する骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症または 骨粗鬆症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損部の再生治療剤、 骨再建剤または骨移植 治療剤、
(5) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAを含有 する骨 ·軟骨分化誘導剤、
(6) DN Aが配列番号: 9、 配列番号: 12、 配列番号: 14、 配列番号: 16または配列番号: 18で表される塩基配列を含有する前記 (5) 記載の剤、
(7) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAを含有 する組換えベクターを含有する前記 (5) 記載の剤、
(8) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAを含有 する骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形 成症または骨粗鬆症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損部の再生治療剤、 骨再建剤ま たは骨移植治療剤、
(9) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の有効量を哺乳動 物に投与することを特徴とする骨 ·軟骨分化誘導方法、
(10) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の有効量を哺乳 動物に投与することを特徴とする骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外 傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症または骨粗鬆症の予防 ·治療方法、
(11) 骨 ·軟骨分化誘導剤を製造するための G l i 1タンパク質、 その部分 ぺプチドまたはそれらの塩の使用、
(12) 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟
骨無形成症または骨粗鬆症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損部の再生治療剤、 骨再 建剤または骨移植治療剤を製造するための G 1 i 1タンパク質、 その部分べプチ ドまたはそれらの塩の使用、
(13) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAの有 効量を哺乳動物に投与することを特徴とする骨 ·軟骨分化誘導方法、
(14) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAの有 効量を哺乳動物に投与することを特徴とする骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟 骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症または骨粗鬆症の予防 ·治療方法、
(15) 骨 ·軟骨分化誘導剤を製造するための G 1 i 1タンパク質またはその 部分ペプチドをコードする DN Aの使用、
(16) 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟 骨無形成症または骨粗鬆症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損部の再生治療剤、 骨再 建剤または骨移植治療剤を製造するための G 1 i 1タンパク質またはその部分べ プチドをコ一ドする DNAの使用、
(17) 配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 13、 配列番号: 15 または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチドをコードする DN Aの 塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列を含有するアンチセンス D NAを含有する骨 ·軟骨分化阻害剤、
(18) 配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 13、 配列番号: 15 または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNA、 または該 DNAの塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列を含有す るアンチセンス DNAを含有する骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤、
(19) 配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 13、 配列番号: 15 または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAの 塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列を含有するァンチセンス D NAを含有する骨 ·軟骨疾患の診断剤、
(20) 配列番号: 10、 配列番号: 11、 配列番号: 13、 配列番号: 15 または配列番号: 17で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するタンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNA、 または該 D N Aの塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列を含有す るアンチセンス DNAを用いることを特徴とする骨 ·軟骨疾患の診断方法、
(21) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の抗体を含 有する骨 ·軟骨疾患の診断剤、
(22) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の抗体を用 いることを特徴とする骨 ·軟骨疾患の診断方法、
(23) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩を用いるこ とを特徴とする骨 ·軟骨分化調節作用を有する化合物またはその塩のスクリー二 ング方法、
(24) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する 細胞を用いることを特徴とする前記 (23) 記載のスクリーニング方法、
(25) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する 細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、 軟骨分化のマーカー遺伝子 の発現量を測定することを特徴とする前記 (23) 記載のスクリーニング方法、
(26) 軟骨分化のマーカ一遺伝子が I I型 Bコラーゲン遺伝子である前記 ( 25) 記載のスクリーニング方法、
(27) G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する 細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、 細胞の軟骨分化状態を観察 することを特徴とする前記 (23) 記載のスクリーニング方法、
(28) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する ことを特¾ [とする骨 ·軟骨分化調節作用を有する化合物またはその塩のスクリー ニング用キッ卜、
(29) 前記 (23) 〜 (27) 記載のスクリーニング方法、 または前記 (2 8) 記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、 骨 ·軟骨分化調節作用 を有する化合物またはその塩、
(30) 前記 (29) 記載の化合物またはその塩を含有する骨 ·軟骨分化調節
剤、
(31) 前記 (29) 記載の化合物またはその塩を含有する骨折、 変形性関節 症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症、 骨粗鬆症または 骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損部の再生治療剤、 骨再建剤ま たは骨移植治療剤、
(32) 前記 (29) 記載の化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に投与す ることを特徴とする骨'軟骨疾患の予防 ·治療方法、
(33) 前記 (29) 記載の化合物またはその塩の有効量を哺乳動物に投与す ることを特徴とする骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不 全症、 軟骨無形成症、 骨粗鬆症または骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療方法、
(34) 骨'軟骨疾患の予防'治療剤を製造するための前記 (29) 記載の化合 物またはその塩の使用、
(35) 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟 骨無形成症、 骨粗鬆症または骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤、 骨 ·軟骨欠損 部の再生治療剤、 骨再建剤または骨移植治療剤を製造するための前記 (29) 記 載の化合物またはその塩の使用、
(36) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の作用を増強ま たは活性化することを特徴とする骨 ·軟骨分化誘導方法、
(37) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはその塩の作用を増強ま たは活性化することを特徴とする骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外 傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症または骨粗鬆症の予防 ·治療方法、
(38) G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を用いることを特徴とす る G l i 1遺伝子の発現を制御する活性を有する化合物またはその塩のスクリー ニング方法、
(39) G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下お よび非存在下に培養し、 G l i 1遺伝子 DNAもしくはその相補 DNAまたはそ の部分 DNAを用いてそれぞれの G 1 i 1タンパク質をコードする mRNAの量 を測定することを特徴とする前記 (38) 記載のスクリーニング方法、
(40) G 1 i 1遺伝子のプロモー夕一もしくはェンハンサーをレポーター遺
伝子に連結させた DN Aで形質転換した細胞を試験化合物の存在下および非存在 下に培養し、 それぞれの該レポ一夕一遺伝子の発現を検出することを特徴とする G 1 i 1遺伝子のプロモー夕一もしくはェンハンサ一の活性を制御する作用を有 する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(41) G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞が骨または軟骨への分化 能を有する細胞あるいは既に分化形態を示している細胞である前記 (38) 記載 のスクリーニング方法、
(42) G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を含有することを特徴と する G l i 1遺伝子の発現を制御する活性を有する化合物またはその塩のスクリ —ニング用キット、
(43) G 1 i 1遺伝子のプロモーターもしくはェンハンサ一をレポーター遺 伝子に連結させた DNAで形質転換した細胞を含有することを特徴とする G 1 i 1遺伝子のプロモー夕一もしくはェンハンサ一の活性を制御する作用を有する化 合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(44) 前記 (38) 記載のスクリーニング方法、 または前記 (42) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られうる、 G l i 1遺伝子の発現を制御する 活性を有する化合物またはその塩 (但し、 配列番号: 20または配列番号: 22 で表される G 1 i 3遺伝子またはその産物 (配列番号: 19または配列番号: 2 1) を除く) 、
(45) 前記 (40) 記載のスクリーニング方法、 または前記 (43) 記載の スクリーニング用キットを用いて得られうる、 G l i 1遺伝子のプロモーターも しくはェンハンサ一の活性を制御する作用を有する化合物またはその塩、
(46) 前記 (44) または (45) 記載の化合物またはその塩を含有する医
(47) 前記 (44) または (45) 記載の化合物またはその塩を含有する骨 •軟骨疾患の予防 ·治療剤、
(48) 前記 (44) または (45) 記載の化合物またはその塩の有効量を哺 乳動物に投与することを特徴とする骨 ·軟骨疾患の予防'治療方法、
(49) 骨 ·軟骨疾患の予防 .治療剤を製造するための前記 (44) または (
4 5 ) 記載の化合物またはその塩の使用、
( 5 0 ) G 1 i 1遺伝子の発現を増強または活性化することを特徴とする骨 · 軟骨分化誘導方法、
( 5 1 ) G 1 i 1遺伝子の発現を増強または活性化することを特徴とする骨折 、 変形性関節症、 骨関節炎、 軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症また は骨粗鬆症の予防 ·治療方法などを提供する。 図面の簡単な説明
図 1は一文字表記によるマウス G 1 i 1のアミノ酸配列を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明において G l i 1遺伝子とは Sasaki et al. Development (1999) 129, 3915-3924、 Kinzler, KW. et al. , Science (1987) 236, 70 - 73などに記載され ている公知の遺伝子であり、 マウスの遺伝子は A F 0 2 6 3 0 5、 A B 0 2 5 9 2 2、 ヒトの遺伝子は X 0 7 3 8 4として G e n B a n kに各々対応するァミノ 酸配列とともに登録されている。
また、 G l i 1遺伝子の多型についての研究がなされ、 配列番号: 1 4、 1 6 および 1 8 (対応するアミノ酸配列はそれぞれ配列番号: 1 3、 1 5および 1 7 ) で表される、 ヒト G l i 1遺伝子上に 3箇所の塩基置換が存在していることが 報告されている (J. Invest. Dermatol. (2000) 115, 328-329) 。
本発明において 「G 1 i 1タンパク質」 としては、 配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ ノ酸配列を含有するタンパク質を挙げることができる。
G 1 i 1タンパク質は、 例えば、 温血動物 (例えば、 ヒト、 モルモット、 ラッ ト、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サル等) のあらゆる細胞 (例えば、 脾細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 膝臓 |S細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥ ム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細胞、 内皮細胞、 繊維芽細胞、 繊 維細胞、 筋細胞、 筋芽細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マクロファージ、 T細胞 、 B細胞、 ナチュラルキラー細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球
) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝 細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくはガン細胞 など) や血球系の細胞、 またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁頭核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 視床 下核、 大脳皮質、 延髄、 小脳、 後頭葉、 前頭葉、 側頭葉、 被殻、 尾状核、 脳染、 黒質) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 滕臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄 、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓 、 顎下腺、 末梢血、 末梢血球、 前立腺、 睾丸、 精巣、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関 節、 骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、 また合成タンパク質であ つてもよい。
なかでも温血動物 (例えば、 ヒト、 モルモット、 ラット、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サル等) の細胞 (例えば、 グリア細胞、 骨髄細胞 、 表皮細胞、 繊維芽細胞、 筋芽細胞、 軟骨細胞、 骨細胞もしくは骨芽細胞、 また はこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくはガン細胞等) などに由来するタンパク 質が好ましく用いられる。
配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表わされるアミノ酸配列と実 質的に同一のアミノ酸配列としては、 例えば、 配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表わされるアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以 上、 より好ましくは約 7 0 %以上、 さらに好ましくは約 8 0 %以上、 なかでも好 ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列などが挙げられる。
本発明の配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表わされるアミノ酸 配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、 例えば、 配 列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表わされるアミノ酸配列と実質的 に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7 で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の活性を有する夕 ンパク質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 転写活性や骨 ·軟骨分化誘導作用など が挙げられる。 実質的に同質とは、 転写活性や骨 ·軟骨分化誘導作用が性質的に
同質であることを示す。 したがって、 転写活性や骨 ·軟骨分化誘導作用が同等 ( 例、 約 0. 01〜100倍、 好ましくは約 0. 5〜20倍、 より好ましくは約 0 . 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの活性の程度やタンパク質の分子 量などの量的要素は異なっていてもよい。
骨 ·軟骨分化誘導作用などの活性の測定は、 公知の方法に準じて行うことがで きるが、 例えば、 後に記載するスクリーニング方法に従って測定することができ る。
転写活性の測定は公知の方法、 例えばレポ一ターアツセィや、 R T— P C Rな どの方法を用いて行うことができる。
また、 本発明で用いられるの Gl i 1タンパク質としては、 ①配列番号: 10 、 11、 13、 15または 17で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好まし くは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 ②配列番号: 10 、 11、 13、 15または 17で表わされるアミノ酸配列に 1または 2個以上 ( 好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましく は数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号: 10、 11、 13、 15または 17で表わされるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 ( 好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましく は数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 ま たは④それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質なども用いられ る。
本明細書における Gl i 1タンパク質は、 ペプチド表記の慣例に従って、 左端 が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (力ルポキシル末端) である。 配列番号 : 10、 11、 13、 15または 17で表わされるアミノ酸配列を含有するタン パク質をはじめとする、 本発明の Gl i 1タンパク質は、 C末端が力ルポキシル 基 (—COOH) 、 カルポキシレート(—COO―)、 アミド (一 CONH2) ま たはエステル (― COOR) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル 、 イソプロピルもしくは n—ブチルなどの アルキル基、 例えば、 シクロべ
ンチル、 シクロへキシルなどの C 3— 8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 α 一ナフチルなどの C 6 _ 1 2ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフ ェニルー C卜 2アルキル基もしくは α—ナフチルメチルなどの —ナフチルー C アルキル基などの C 7 ^ 4ァラルキル基のほか、 経口用エステルとして汎用 されるピバロイルォキシメチル基などが用いられる。
本発明における G l i 1タンパク質が C末端以外に力ルポキシル基 (または力 ルポキシレート) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化またはエステル 化されているものも本発明における G 1 i 1タンパク質に含まれる。 この場合の エステルとしては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明における G l i 1タンパク質には、 上記したタンパク質におい て、 N末端のメチォニン残基のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチ ルなどの C 2 _ 6アルカノィル基などの Cェ— 6ァシル基など) で保護されているも の、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピ口グルタミン酸化した もの、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば、 一 O H、 一 S H、 アミノ基 、 イミダゾール基、 インド一ル基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば
、 ホルミル基、 ァセチルなどの C 2 _ 6アルカノィル基などの ァシル基など ) で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの 複合タンパク質なども含まれる。
本発明における G l i 1タンパク質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 1 0、 1 1、 1 3、 1 5または 1 7で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク 質などが用いられる。
本発明における G l i 1タンパク質の部分ペプチド (以下、 部分ペプチドと略 記する場合がある) としては、 上記した G l i 1タンパク質の部分ペプチドであ れば何れのものであってもよい。
本発明における部分ペプチドのアミノ酸の数は、 上記した G 1 i 1タンパク質 の構成アミノ酸配列のうち少なくとも 2 0個以上、 好ましくは 5 0個以上、 より 好ましくは 1 0 0個以上のアミノ酸配列を含有するペプチドなどが好ましい。 実質的に同一のアミノ酸配列とは、 これらアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ま しくは約 6 0 %以上、 より好ましくは約 7 0 %以上、 さらに好ましくは約 8 0 %
以上、 なかでも好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性 を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、 「実質的に同質の活性」 とは、 上記と同意義を示す。 「実質的に同質 の活性」 の測定は上記と同様に行うことができる。
また、 本発明の部分ペプチドは、 上記アミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好 ましくは、 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が 欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜2 0 個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数個 (1〜5個) ) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好まし くは、 1〜1 0個程度、 より好ましくは数個、 さらに好ましくは 1〜5個程度) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、 本発明の部分ペプチドは C末端が力ルポキシル基 (― C O O H) 、 カル ポキシレート (― C O O_) 、 アミド (― C〇NH 2) またはエステル (一C O O R) の何れであってもよい。
さらに、 本発明の部分ペプチドには、 上記した本発明の G l i 1タンパク質と 同様に、 N末端のメチォニン残基のァミノ基が保護基で保護されているもの、 N 端側が生体内で切断され生成した G 1 nがピログルタミン酸化したもの、 分子内 のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖 鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明の G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドの塩としては、 酸または 塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、 とりわけ生理学的に許容される酸 付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン 酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピ オン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸 、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる 本発明における G l i 1タンパク質またはその塩は、 上記した哺乳動物の細胞 または組織から公知のタンパク質の精製方法によって製造することもできるし、 後に記載する本発明の G l i 1タンパク質をコードする D NAを含有する形質転
換体を培養することによつても製造することができる。 また、 後に記載するタン パク質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 哺乳動物の組織または細胞をホ モジナイズした後、 酸などで抽出を行い、 該抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることに より精製単離することができる。
本発明における G l i 1タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩ま たはそのアミド体の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることが できる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチ ル樹脂、 ベンズヒドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4—ベンジルォキシべ ンジルアルコール樹脂、 4—メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 P AM樹脂、 4 —ヒドロキシメチルメチルフエニルァセトアミドメチル樹脂、 ポリアクリルアミ ド樹脂、 4ー (2 ' , 4 ' —ジメトキシフエ二ル一ヒドロキシメチル) フエノキ シ樹脂、 4— ( 2, , 4, ージメトキシフエ二ルー Fm o cアミノエチル) フエ ノキシ樹脂などを挙げることができる。 このような樹脂を用い、 ひ—アミノ基と 側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質の配列通りに、 公知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパ ク質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中で分子内ジス ルフィド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質またはそのアミド体を取得す る。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジィ ミド類としては、 D C C、 N, N ' —ジイソプロピルカルポジイミド、 N—ェチ ルー N ' — (3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミドなどが用いられる。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t、 HO O B t ) とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加する力、、 または、 対称酸無水物または H O B tエステルあるいは H〇〇B tエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活 性化を行なつた後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質
縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N, N—ジメ.チルホルムアミド, N, N—ジメチルァセ卜アミド, N—メチルビ 口リドンなどの酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化 水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドな どのスルホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなどのエーテ ル類、 ァセトニトリル, プロピオ二トリルなどの二卜リル類、 酢酸メチル, 酢酸 ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応 温度は夕ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜 選択され、 通常約一 2 0 ° (〜 5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性化されたァ ミノ酸誘導体は通常 1 . 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリン反応を用いた テス卜の結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を 繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。 反応を繰り返しても十分な 縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾ一ルを用いて未反 応アミノ酸をァセチル化することができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c、 夕一シャリーペンチ ルォキシカルポニル、 ィソボルニルォキシカルポニル、 4—メ卜キシベンジルォ キシカルポニル、 C I— Z、 B r _ Z、 ァダマンチルォキシカルポニル、 トリフ ルォロアセチル、 フタロイル、 ホルミル、 2—ニトロフエニルスルフエ二ル、 ジ フエニルホスフイノチオイル、 Fm o cなどが用いられる。
力ルポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 プチル、 ターシャリーブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シ クロへプチル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしく は環状アルキルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステ ル、 4—ニトロべンジルエステル、 4ーメトキシベンジルエステル、 4一クロ口 ベンジルエステル、 ベンズヒドリルエステル化) 、 フエナシルエステル化、 ベン ジルォキシカルポニルヒドラジド化、 夕一シャリ一ブトキシカルボニルヒドラジ ド化、 トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低
級アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカルポニル 基、 エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。 また 、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒドロビラニル 基、 卜ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 Bz 1、 C 12- Bz l、 2—二トロベンジル、 B r— Z、 夕一シャリーブチルなどが用いられる ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 例えば、 To s、 4ーメ卜キシ -2, 3, 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル 、 Bum、 Bo c、 Tr t、 Fmo cなどが用いられる。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール、 2 , 4, 5—トリクロ口フエノール、 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメチル アルコール、 パラニトロフエノール、 HONB、 N—ヒドロキシスクシミド、 N —ヒドロキシフタルイミド、 HOBt) とのエステル〕 などが用いられる。 原料 のァミノ基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用い られる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 Pd—黒あるいは Pd—炭素な どの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタ ンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれ らの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルアミ ン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリ ゥムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約一 2 0°C〜40°Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソ一ル、 フエノール、 チオアニソール、 メタクレゾール、 パラクレゾ一ル、 ジメチルスル フイド、 1, 4一ブタンジチオール、 1, 2—エタンジチオールなどのような力 チオン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基とし て用いられる 2, 4ージニトロフエニル基はチオフエノ一ル処理により除去され 、 トリブトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1,
2—エタンジチオール、 1 , 4一ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による 脱保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアなどによるアルカリ処理 によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から 適宜選択しうる。
タンパク質のアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 力ルポキシ末 端アミノ酸の α—力ルポキシル基をアミド化して保護した後、 アミノ基側にぺプ チド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ペプチド鎖の Ν末端のひ ーァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質と C末端の力ルポキシル基の保護基 のみを除去したタンパク質とを製造し、 この両タンパク質を上記したような混合 溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により 得られた保護タンパク質を精製した後、 上記方法によりすベての保護基を除去し 、 所望の粗タンパク質を得ることができる。 この粗タンパク質は既知の各種精製 手段を駆使して精製し、 主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパク質のアミ ド体を得ることができる。
タンパク質のエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシ末端アミノ酸のひ— カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、 タン パク質のアミド体と同様にして、 所望のタンパク質のエステル体を得ることがで きる。
本発明における G l i 1タンパク質の部分ペプチドまたはその塩は、 公知のぺ プチドの合成法に従って、 あるいは本発明における G 1 i 1タンパク質を適当な ぺプチダ一ゼで切断することによって製造することができる。 ぺプチドの合成法 としては、 例えば、 固相合成法、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち 、 本発明のタンパク質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分と を縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的の ペプチドを製造することができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例 えば、 以下の①〜⑤に記載された方法が挙げられる。
ΦΜ. Bodanszkyおよび M. A. Ondet t i, ペプチド シンセシス (Pept ide Synth
esis), Interscience Publishers, New York (1966年)
② Schroederおよび Luebke、 ザペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
③泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年)
④矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205 、 (1977年)
⑤矢島治明監修、 続医薬品の開発 第 14巻 ペプチド合成 広川書店
また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 ·蒸留 ·カラムクロマトダラ フィー ·液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて本発明の部分ぺプ チドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分ペプチドが遊離体で ある場合は、 公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩で 得られた場合は、 公知の方法によって遊離体に変換することができる。
本発明における Gl i 1タンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、 上記した本発明における G 1 i 1タンパク質をコードする塩基配列 (DNAまた は RNA、 好ましくは DNA) を含有するものであればいかなるものであっても よい。 該ポリヌクレオチドとしては、 本発明における Gl i 1タンパク質をコ一 ドする DNA、 mRNA等の RNAであり、 二本鎖であっても、 一本鎖であって もよい。 二本鎖の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA: RNAの ハイブリッドでもよい。 一本鎖の場合は、 センス鎖 (すなわち、 コード鎖) であ つても、 アンチセンス鎖 (すなわち、 非コード鎖) であってもよい。
本発明における Gl i 1タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて、 例えば、 実験医学増刊 「新 PCRとその応用」 15(7)、 1997記載の公知の方法ま たはそれに準じた方法により、 Gl i 1タンパク質の mRNAを定量することが できる。
G 1 i 1タンパク質をコードする DNAとしては、 ゲノム DNA、 ゲノム DN Aライブラリー、 上記した細胞 ·組織由来の c DNA、 上記した細胞 ·組織由来 の cDNAライブラリー、 合成 DNAのいずれでもよい。 ライブラリーに使用す るべクタ一は、 パクテリオファージ、 プラスミド、 コスミド、 ファージミドなど いずれであってもよい。 また、 上記した細胞 '組織より to lRNAまたは mR
NA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— P CR法と略称する) によって増幅することもできる 具体的には、 G l i 1タンパク質をコードする DNAとしては、 例えば、 配列 番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含有する DNA 、 または配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列とハ イストリンジェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を有し、 本発明の G 1 i 1タンパク質と実質的に同質の活性 (例、 転写活性や骨 ·軟骨分化誘導作用 など) を有する G l i 1タンパク質をコードする DNAであれば何れのものでも よい。
IH列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列とハイプリ ダイズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列と約 70 %以上、 好ましくは約 80%以上、 より好ま しくは約 90 %以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性を有する塩基配列を 含有する DNAなどが用いられる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー -クローニンク (Molecular Cloning; 2nd (J. Saibrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行うことが できる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の 方法に従って行うことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェン卜な条件 に従って行うことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、 例えば、 ナトリゥム濃度が約 19〜 40 mM、 好ましくは約 19〜 20 mMで、 温度が約 50〜 70 °C、 好ましくは約 6 0〜 65 °Cの条件を示す。 特に、 ナトリゥム濃度が約 19 mMで温度が約 65^ の場合が最も好ましい。
より具体的には、 配列番号: 10で表わされるアミノ酸配列を含有する G 1 i 1タンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 9で表わされる塩基配列 を含有する DNAなどが用いられる。 配列番号: 11で表わされるアミノ酸配列 を含有する G l i 1タンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 12で
表わされる塩基配列を含有する DNAなどが用いられる。 配列番号: 13で表わ されるアミノ酸配列を含有する G 1 i 1タンパク質をコードする DNAとしては 、 配列番号: 14で表わされる塩基配列を含有する DNAなどが用いられる。 配 列番号: 15で表わされるアミノ酸配列を含有する G 1 i 1タンパク質をコード する DNAとしては、 配列番号: 16で表わされる塩基配列を含有する DNAな どが用いられる。 配列番号: 17で表わされるアミノ酸配列を含有する G 1 i 1 タンパク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 18で表わされる塩基配列 を含有する D N Aなどが用いられる。
本発明における G l i 1タンパク質をコードする DNAの塩基配列の一部、 ま たは該 DN Aと相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチドとは、 下記の本発明の部分ペプチドをコードする D N Aを包含するだけではなく、 R N Aをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、 G l i 1タンパク質遺伝子の複製または発現を阻害すること のできるアンチセンス 'ポリヌクレオチド (核酸) を、 クローン化した、 あるい は決定された G l i 1タンパク質をコードする DNAの塩基配列情報に基づき設 計し、 合成しうる。 そうしたポリヌクレオチド (核酸) は、 G 1 i 1タンパク質 遺伝子の RN Aとハイブリダィズすることができ、 該 RN Aの合成または機能を 阻害することができるか、 あるいは G l i 1タンパク質関連 RNAとの相互作用 を介して G l i 1タンパク質遺伝子の発現を調節 ·制御することができる。 G 1 i 1タンパク質関連 RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、 およ び G l i 1タンパク質関連 RNAと特異的にハイブリダィズすることができるポ リヌクレオチドは、 生体内および生体外で G 1 i 1タンパク質遺伝子の発現を調 節 ·制御するのに有用であり、 また病気などの治療または診断に有用である。 用 語 「対応する」 とは、 遺伝子を含めたヌクレオチド、 塩基配列または核酸の特定 の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。 ヌクレオチド、 塩基配列または核酸とペプチド (タンパク質) との間で 「対応する」 とは、 ヌク レオチド (核酸) の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド ( タンパク質) のアミノ酸を通常指している。 G l i 1タンパク質遺伝子の 5' 端 ヘアピンループ、 5, 端 6—ベースペア 'リピート、 5, 端非翻訳領域、 ポリべ
プチド翻訳開始コドン、 タンパク質コード領域、 翻訳終止コドン、 3 ' 端非翻訳 領域、 3 ' 端パリンドローム領域、 および 3 ' 端ヘアピンループは好ましい対象 領域として選択しうるが、 G l i 1タンパク質遺伝子内の如何なる領域も対象と して選択しうる。
目的核酸と、 対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係 、 即ち対象物と八イブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、
「アンチセンス」 であるということができる。 アンチセンス ·ポリヌクレオチド は、 2—デォキシ— D—リボースを含有しているポリデォキシヌクレオチド、 D —リポ一スを含有しているポリデォキシヌクレオチド、 プリンまたはピリミジン 塩基の N—グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、 あるいは非ヌ クレオチド骨格を有するその他のポリマ一 (例えば、 市販のタンパク質核酸およ び合成配列特異的な核酸ポリマ一) または特殊な結合を含有するその他のポリマ 一 (但し、 該ポリマーは D N Aや R N A中に見出されるような塩基のペアリング や塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する) などが挙げられる 。 それらは、 二本鎖 D NA、 一本鎖 D NA、 二本鎖 R NA、 一本鎖 R NA、 さら に D NA : R NAハイブリッドであることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチ ド (または非修飾オリゴヌクレオチド) 、 さらには公知の修飾の付加されたもの 、 例えば当該分野で知られた標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化 されたもの、 1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌ クレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネー卜 、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデート、 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合または硫黄含有結合 (例えば、 ホスホロチォェ一ト、 ホスホロ ジチォエー卜など) を持つもの、 例えばタンパク質 (ヌクレアーゼ、 ヌクレア一 ゼ*インヒビ夕一、 トキシン、 抗体、 シグナルペプチド、 ポリ一 L—リジンなど ) や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を有しているもの、 イン ターカレント化合物 (例えば、 ァクリジン、 ソラレンなど) を持つもの、 キレ一 卜化合物 (例えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化性の金属など) を 含有するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの (例え ば、 aァノマー型の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌ
クレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみ でなく、 修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。 こうした修飾物は、 メチル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化されたプ リンおよびピリミジン、 あるいはその他の複素環を含むものであってよい。 修飾 されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されてい てよく、 例えば、 1個以上の水酸基がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されて いたり、 あるいはェ一テル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンス ·ポリヌクレオチド (核酸) は、 R NA、 D NA、 ある いは修飾された核酸 (RNA、 D NA) である。 修飾された核酸の具体例として は核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフェート誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミド やオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、 それに限定 されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設 計されうる。 すなわち、 細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、 目標とするセンス鎖に対する親和 性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性 をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば J. Kawakami et al. , Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp. 247, 1992 ; Vol. 8, pp. 395, 1992 ; S. T. Cro oke et al. ed. , Ant isense Research and Appl icat ions, CRC Press, 1993など に開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結 合を含有していて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与 されたり、 遺伝子治療により適用されたり、 付加された形態で与えられることが できうる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を 中和するように働くポリリジンのようなポリカチォン体、 細胞膜との相互作用を 高めたり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド、 コ レステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂 質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステリルクロ口ホルメ ート、 コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3, 端あるいは 5
' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付着 させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3' 端あるいは 5' 端に特 異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレア一ゼ、 RNas eなどのヌ クレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こうしたキャップ用 の基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレングリコールなどのダリ コールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それ に限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、 Gl i 1遺伝子または G l i 1遺伝子を含有 する組換えべクタ一を含有する形質転換体、 生体内や生体外の遺伝子発現系、 あ るいは Gl i 1タンパク質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができ る。 該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
本発明における部分ペプチドをコードする DN Aとしては、 上記した本発明の 部分べプチドをコ一ドする塩基配列を含有するものであればいかなるものであつ てもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲノム DN Aライブラリ一、 上記した細胞 '組 織由来の cDNA、 上記した細胞 ·組織由来の c DN Aライブラリー、 合成 DN Aのいずれでもよい。 ライブラリーに使用するベクターは、 バクテリオファージ 、 プラスミド、 コスミド、 ファ一ジミドなどいずれであってもよい。 また、 上記 した細胞 ·組織より mRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcri tase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— P CR法と略称する) によつ て増幅することもできる。
具体的には、 本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 ( 1) 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含有す る DNAの部分塩基配列を含有する DNA、 または (2) 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含有する DNAとハイストリンジ ェン卜な条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 本発明の Gl ΐ 1タン パク質と実質的に同質の活性 (例、 転写活性や骨 ·軟骨分化誘導作用など) を有 する Gl i 1タンパク質をコードする DNAの部分塩基配列を含有する DNAな どが用いられる。
より具体的には、 本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば
、 (1) 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含 有する DNAの部分塩基配列を含有する DNA、 または (2) 配列番号: 9、 1 2、 14, 16または 18で表わされる塩基配列を含有する DNAとハイストリ ンジェン卜な条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 本発明における G 1 i 1タンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードする DNA の部分塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含有する DNAとハイブリダィズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列と約 70%以上、 好ましくは約 80 %以上、 より好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性を 有する塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
また、 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列を含 有する DNAとハイブリダィズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 9、 12、 14、 16または 18で表わされる塩基配列と約 70%以上、 好ましくは 約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相 同性を有する塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
本発明における Gl i 1タンパク質またはその部分ペプチド (以下、 本発明の タンパク質と略記する場合がある) を完全にコードする DNAのクローニングの 手段としては、 本発明のタンパク質の部分塩基配列を含有する合成 DN Aプライ マーを用いて PC R法によって増幅するか、 または適当なベクタ一に組み込んだ DNAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする DN A断片もし くは合成 D N Aを用いて標識したものとのハイブリダイゼ一シヨンによつて選別 することができる。 ハイブリダィゼ一シヨンの方法は、 例えば、 モレキュラー ' クローニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring H arbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行うことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行 うことができる。
DNAの塩基配列の置換は、 PCRや公知のキット、 例えば、 Mutan™— super Express Km (宝酒造) 、 Mutan™— K (宝酒造) 等を用いて、 0DA— LA PCR法、 a
pped duplex法、 Kunkel法等の公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って 行うことができる。
クローン化された本発明のタンパク質をコードする DN Aは目的によりそのま ま、 または所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付加したりして使用す ることができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを 有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまたは TAG を有していてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質の発現ベクターは、 例えば、 (ィ) 本発明のタンパク質を コードする DNAを含む、 例えば c DNAから目的とする DNA断片を切り出し 、 (口) 該 DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結する ことにより製造することができる。
ベクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pCR4、 pCR2. 1、 p BR 322, p BR 325, pUC 12、 pUC 13) 、 枯草菌由来のプラス ミド (例、 pUB 110、 pTP 5、 p C 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 pSH19、 p SHI 5) 、 λファージなどのパクテリオファージ、 レトロウイ ルス、 ワクシニアウィルス、 バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 ρ A 1 - 11 , XT 1, R c/CMV, pRc/RSV、 p cDNA I/Ne oなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応 して適切なプロモータ一であればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞を宿 主として用いる場合は、 SR Kプロモ一夕一、 SV40プロモーター、 LTRプ ロモ—夕—、 CMVプロモータ一、 HSV-TKプロモーターなどが挙げられる 。 これらのうち、 CMVプロモー夕一、 S R αプロモーターなどを用いるのが好 ましい。
宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモーター、 l a cプロモー ター、 r e cAプロモーター、 λΡ^プロモーター、 l ppプロモーターなどが 、 宿主がバチルス属菌である場合は、 SPOlプロモーター、 SP02プロモー 夕一、 p e n Pプロモータ一など、 宿主が酵母である場合は、 PH05プロモ一
夕一、 PGKプロモ一夕一、 GAPプロモーター、 ADHプロモーターなどが好 ましい。 宿主が昆虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロモーター、 P10プロ モータ一などが好ましい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサ一、 スプライシングシ ダナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r iと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることがで きる。 選択マーカ一としては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 dh f r と略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシ リン耐性遺伝子 (以下、 Ampfと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺 伝子 (以下、 Ne orと略称する場合がある、 G418耐性) 等が挙げられる。 特に、 CHO (dh f r— ) 細胞を用いて d h f r遺伝子を選択マ一カーとして 使用する場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。 また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のタンパク質の N 端末側に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 P h o A ·シグナル 配列、 OmpA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 α— アミラーゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母で ある場合は、 MFo! ·シグナル配列、 SUC2 ·シグナル配列など、 宿主が動物 細胞である場合には、 インシュリン ·シグナル配列、 α—インターフェロン ·シ グナル配列、 抗体分子 ·シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のタンパク質をコードする DNAを含有する ベクターを用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、 ェシエリヒア ·コリ (Escherichia col i ) K 12 · DH1 〔プロシ一ジングズ 'ォブ ·ザ ·ナショナル .アカデミー ·ォ ブ 'サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスェ一 (Proc. Natl. Acad. Sci. US A) , 60卷, 160 (1968)〕 , JM103 〔ヌクイレック ·ァシッズ'リ サーチ, (Nucleic Acids Research) , 9巻, 309 (1981)〕 , J A221 〔ジャーナル ·ォブ ·モレキュラー ·バイオロジー (Journal of Molecular Bio
logy) , 1 20巻, 5 17 (1 978)〕 , HB 10 1 〔ジャーナル ·ォブ ·モレ キュラー 'バイオロジー, 41巻, 459 (1969)〕 , C 600 〔ジエネティ ックス (Genetics) , 39巻, 440 (1954)〕 , DH5 o; [Inoue, H. , Noj im a, H. and Okayama, H. , Gene, 96, 23-28 (1990) ) , DH10 B 〔プロシージングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ュ一 エスェ一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 87巻, 4645— 4649 (1 9 90)3 などが用いられる。
バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サブチルス (Bacillus subtilis ) M I 1 14 〔ジーン, 24巻, 255 (1983)〕 , 207 - 21 〔ジャーナ ル ·ォブ ·バイオケミストリ一 (Journal of Biochemistry) , 95巻, 87 (1 984)〕 などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス ·セレピシェ (Saccharomyces cere visiae) AH 22, AH 22 R~, NA87 - 1 1 A, DKD— 5D、 20 B- 12、 シゾサッカロマイセス 'ボンべ (Schizosaccharomyces pombe) NCYC 1 9 13, NCYC 2036, ピキア 'パストリス (Pichia pastoris) などが 用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが Ac NPVの場合は、 夜盗蛾の幼虫由 来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f細胞) 、 Trichoplusia niの中 腸由来の MG 1細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High Five™細胞、 Mamestra brassicae由来の細胞または Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。 ウイ ルスが BmNPVの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N; BmN細胞) な どが用いられる。 該 S f細胞としては、 例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL1711) 、 S f 21細胞 (以上、 Vaughn, J丄ら、 イン 'ヴィポ (In Vivo) , 13, 213-217, (1977)) などが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、 ネイチヤー (Nature) , 3 1 5巻, 592 (1985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7、 Ve r o, チャイニーズハ ムスター細胞 CHO (以下、 CHO細胞と略記) 、 dh f r遺伝子欠損チヤィニ ーズハムスター細胞 CHO (以下、 CHO (dh f r_) 細胞と略記) 、 マウス
L細胞, マウス At T— 20、 マウスミエローマ細胞、 ラット GH3、 ヒト FL 細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、 例えば、 プロシージングズ ·ォブ ·ザ
•ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンジィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスエー ( Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 69巻, 2110 ( 1972)やジーン (Gen e) , 17巻, 107 (1982)などに記載の方法に従って行うことができる。 バチルス属菌を形質転換するには、 例えば、 モレキュラー ·アンド ·ジエネラ ル'ジェネティックス (Molecular & General Genetics) , 168巻, 111 (
1979)などに記載の方法に従って行うことができる。
酵母を形質転換するには、 例えば、 メッソズ ·イン ·ェンザィモロジ一 (Meth ods in Enzymology) , 194巻, 182— 187 (1991) 、 プロシ一ジン グズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ · ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 75巻, 1929 (1978) などに記載の方法に従って行うことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 バイオ/テクノロジ一 (Bi o/Technology) , 6, 47-55 (1988)) などに記載の方法に従って行うことができる 動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8新細胞工学実験プロ卜 コール. 263— 267 (1995) (秀潤社発行) 、 ヴイロロジー (Virology ) , 52巻, 456 (1973) に記載の方法に従って行うことができる。
このようにして、 Gl i 1タンパク質をコードする DNAを含有する発現べク ターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培養 に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体の生 育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源としては 、 例えば、 グルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖など、 窒素源として は、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ' リカー、 ペプトン 、 カゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液などの無機または有機物質、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウム、 塩化マグ
ネシゥムなどが挙げられる。 また、 酵母エキス、 ビタミン類、 生長促進因子など を添加してもよい。 培地の p Hは約 5〜 8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザミ ノ酸を含む M 9培地 〔ミラ一 (Miller) , ジャーナル ·ォブ'ェクスペリメンッ ·イン ·モレキュラー ·ジエネティックス (Journal of Experiments in Molecu lar Genetics) , 431 -433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕 が好ましい。 ここに必要によりプロモータ一を効率よく働かせるため に、 例えば、 3 /3—インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。 宿主がェシェリヒア属菌の場合、 培養は通常約 15〜 43 °Cで約 3〜 24時間 行い、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 30〜 40 °Cで約 6〜 24時間行い 、 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バークホ 一ルダ一 (Burkliolder) 最小培地 〔Bostian, K. L. ら、 プロシ一ジングズ *ォ プ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ュ一エス エー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 77巻, 4505 (1980)〕 や 0. 5 %カザミノ酸を含有する SD培地 〔Bitter, G. A. ら、 プロシージングズ ·ォブ •ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ュ一エスェ 一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 81巻, 5330 (1984) 〕 が挙げら れる。 培地の pHは約 5〜8に調整するのが好ましい。 培養は通常約 20t:〜 3 5°Cで約 24〜72時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Gr ace's Insect Medium (Grace, T.C.C.,ネイチヤー (Nature) , 195,788 (1962)) に非動化した 10%ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培 地の pHは約 6. 2〜6. 4に調整するのが好ましい。 培養は通常約 27 °Cで約 3〜5日間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約 5 〜20 %の胎児牛血清を含む MEM培地 〔サイエンス (Science) , 122巻, 501 (1952)〕 , DMEM培地 〔ヴイロロジ一 (Virology) , 8巻, 396
(1959)〕 , RPM I 1640培地 〔ジャーナル 'ォブ ·ザ ·アメリカン ' メディカ レ'アソシエーション (The Journal of the American Medical Associ at ion) 199巻, 519 (1967)) , 199培地 〔プロシ一ジング 'ォブ' ザ 'ソサイエティ 'フォー ·ザ ·バイオロジカル 'メディスン (Proceeding of the Society for the Biological Medicine) , 73巻, 1 (1950)〕 などが 用いられる。 pHは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 30° (:〜 40 で約 15〜60時間行い、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明のタン パク質を生成せしめることができる。
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、 例えば、 下記の方法 により行うことができる。
本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養後 、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音波 、 リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した のち、 遠心分離やろ過によりタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いら れる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどのタンパク質変性剤や、 トリトン X- 100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。 培養液中にタンパク質 が分泌される場合には、 培養終了後、 公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを 分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれるタンパク質の 精製は、 公知の分離 '精製法を適切に組み合わせて行うことができる。 これらの 公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および SDS—ポリアクリルアミドゲル電気 泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロマ卜グラフィ —などの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティークロマトグラフィーなどの特 異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差 を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用い られる。
このようにして得られるタンパク質が遊離体で得られた場合には、 公知の方法
あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られた 場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他の塩に変 換することができる。
なお、 組換え体が産生するタンパク質を、 精製前または精製後に適当なタンパ ク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリペプチドを 部分的に除去することもできる。 タンパク質修飾酵素としては、 例えば、 卜リブ シン、 キモトリブシン、 アルギニルエンドべプチダ一ゼ、 プロテインキナーゼ、 グリコシダーゼなどが用いられる。
このようにして生成する本発明の G 1 i 1タンパク質またはその塩の活性は、 例えば G l i 1結合配列を持つ二本鎖 D N Aへの結合能等を指標に測定すること ができる。
本発明における G l i 1タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に 対する抗体は、 本発明における G l i 1タンパク質もしくはその部分ペプチドま たはその塩を認識し得る抗体であれば、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗 体の何れであってもよい。
本発明における G l i 1タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩 ( 以下、 本発明のタンパク質等と略記する場合がある) に対する抗体は、 本発明の タンパク質等を抗原として用い、 公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造 することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクロナール抗体産生細胞の作製
本発明の夕ンパク質等は、 哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位 にそれ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能 を高めるため、 完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを 投与してもよい。 投与は通常 2〜6週毎に 1回ずつ、 計 2〜1 0回程度行なわれ る。 用いられる哺乳動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモット、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギが挙げられるが、 マウスおよびラットが好ましく 用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原を免疫された温血動物、
例えば、 マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾 臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合 させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリドーマを調製することがで きる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化タンパク質等と抗血清 とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行うこ とができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケ一ラーとミルスタインの方法 〔 ネィチヤ一 (Nature)、 256巻、 495頁 ( 1975年) 〕 に従い実施するこ とができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (PEG) ゃセンダイウイルスなどが挙げられるが、 好ましくは P E Gが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS—1、 P3U1、 SP2Z0などが挙げら れる力 P3U1が好ましく用いられる。 用いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1〜20 : 1程度であり、 PEG (好 ましくは、 PEG1000〜PEG6000) が 10〜 80 %程度の濃度で添加 され、 約 20〜 40 ° (:、 好ましくは約 30〜 37 °Cで約 1〜 10分間ィンキュベ 一卜することにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリ一ニングには種々の方法が使 用できるが、 例えば、 タンパク質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させ た固相 (例、 マイクロプレート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放射 性物質や酵素などで標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞 がマウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫グロプリ ン抗体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ培養上清を添加し 、 放射性物質や酵素などで標識したタンパク質等を加え、 固相に結合したモノク 口一ナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 公知あるいはそれに準じる方法に従って行うこ とができるが、 通常は HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を 添加した動物細胞用培地などで行うことができる。 選別および育種用培地として は、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例 えば、 1~20%、 好ましくは 10〜20%の牛胎児血清を含む RPMI 16
4 0培地、 1〜1 0 %の牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) ま たはハイプリドーマ培養用無血清培地 (S F M— 1 0 1、 日水製薬 (株) ) など を用いることができる。 培養温度は、 通常 2 0〜4 0で、 好ましくは約 3 7 °Cで ある。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養 は、 通常 5 %炭酸ガス下で行うことができる。 ハイプリドーマ培養上清の抗体価 は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
( b ) モノクロナ一ル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 通常のポリク口一ナル抗体の分離精製と同 様に免疫グロブリンの分離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿 法、 電気泳動法、 イオン交換体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲ ルろ過法、 抗原結合固相またはプロティン Aあるいはプロティン Gなどの活性吸 着剤により抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従 つて行うことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 公知あるいはそれに準じる方法にしたがって 製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (タンパク質等の抗原) とキャリアー タンパク質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺 乳動物に免疫を行い、 該免疫動物から本発明のタンパク質等に対する抗体含有物 を採取して、 抗体の分離精製を行うことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリア一タンパク質との複 合体に関し、 キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合 比は、 キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれ ば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アル ブミン、 ゥシサイログロプリン、 キーホール ·リンペット ·へモシァニン等を重 量比でハプテン 1に対し、 約 0. 1〜 2 0、 好ましくは約 1〜 5の割合で力プル させる方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できるが、 ダルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チ オール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜10回程度行うことができる。 ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクロ一ナル抗体価の測定は、 上記の血清中の抗体価の測定と同 様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナル 抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行うことができる
(1) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 または該夕 ンパク質またはその部分ペプチドをコードする DNAは骨 ·軟骨分化誘導剤とし て有用である。
(2) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 G l i 1遺 伝子 DNAもしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAおよび G 1 i 1タンパ ク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する細胞は、 G l i 1遺伝子の 発現を制御する活性を有する化合物、 G l i 1遺伝子のプロモータ一もしくはェ ンハンサ一の活性を制御する作用を有する化合物、 ひいては骨 ·軟骨分化調節作 用を有する化合物等のスクリーニングに用いることができる。
(3) G 1 i 1遺伝子のアンチセンス DNA等は、 所謂遺伝子治療剤 (骨 -軟 骨分化阻害剤または骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤) として、 または遺伝子 診断剤 (骨 ·軟骨疾患の診断剤) などとして有用である。
(4) G 1 i lタンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の抗体は骨- 軟骨疾患の診断剤として有用である。
G 1 i 1タンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩 (以下、 本発明のタン パク質等と略記する場合がある) 、 G l i 1タンパク質またはその部分ペプチド をコードする DNA (以下、 本発明の DNAと略記する場合がある) 、 G l i 1 タンパク質等に対する抗体 (以下、 本発明の抗体と略記する場合がある) 、 G 1 i 1遺伝子のアンチセンス DNAの用途等について、 以下に具体的に説明する。
( 1 ) 骨 ·軟骨分化誘導剤
① G l i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 または該タンパ ク質またはその部分ペプチドをコードする D NAは骨 ·軟骨分化誘導剤などの医 薬として使用することができる。
例えば、 生体内において G l i 1タンパク質またはヘッジホッグが減少してい るために、 またはヘッジホッグによるシグナルが有効に伝達されないために G 1 i 1遺伝子またはその産物よる生理作用 (転写活性、 骨 ·軟骨分化誘導作用など ) が期待できない (該 G l i 1タンパク質の欠乏症) 患者がいる場合に、 ① G 1 i 1タンパク質等を該患者に投与し該タンパク質の量を補充したり、 ② (ィ) 本 発明のタンパク質をコードする D NAあるいは該 D N Aを含有する組換えべクタ —を該患者に投与し発現させることによって、 あるいは (口) 対象となる細胞 ( 例えば、 グリア細胞、 骨髄細胞、 表皮細胞、 繊維芽細胞、 筋芽細胞、 軟骨細胞、 骨細胞もしくは骨芽細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞等) に本発明の タンパク質をコードする D NAを挿入し発現させた後に、 該細胞を該患者に移植 することなどによって、 患者の体内における G l i 1タンパク質の量を増加させ 、 転写活性、 骨 ·軟骨分化誘導作用を充分に発揮させることができる。 すなわち 、 本発明のタンパク質または該タンパク質をコードする D NAは、 安全で低毒性 な骨 ·軟骨分化誘導剤として有用である。
本発明のタンパク質または該タンパク質をコードする D NAは骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等 の軟骨損傷、 外傷、 腫瘍摘出などによる骨、 軟骨欠損部の再生、 脊椎固定術、 脊 柱管拡大術などの骨再建、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾 患) 、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂、 下顎骨再建術、 歯槽堤形成術などの骨再建 ) 、 骨粗鬆症などの予防 ·治療剤などの医薬として用いることができる。 また、 美容外科領域における骨移植の治療剤などの医薬としても用いることができるし 、 再生医療における自家移植の際の分化誘導剤としても利用できる。
本発明のタンパク質を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 常套手段に従 つて製剤化することができる。
一方、 本発明のタンパク質をコードする D NA (以下、 本発明の D NAと略記
する場合がある) を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 本発明の D NAを 単独あるいはレトロウイルスベクタ一、 アデノウイルスベクター、 アデノウィル スァソシェ一テツドウィルスベクタ一などの適当なベクターに挿入した後、 常套 手段に従って実施することができる。 本発明の D NAは、 そのままで、 あるいは 摂取促進のための補助剤とともに、 遺伝子銃やハイド口ゲルカテーテルのような カテーテルによって投与できる。
例えば、 ①本発明のタンパク質または②該タンパク質をコードする D NAは、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル 剤などとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液と の無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。 例え ば、 ①本発明のタンパク質または②該夕ンパク質をコードする D NAを生理学的 に認められる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤 などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和するこ とによつて製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示された 範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル ロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのような膨 化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカリ ンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリ一のような香味剤な どが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記タイプの材料に さらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物 は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油などのような天然産 出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ とができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他 の補助薬を含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マンニトール、 塩化ナ トリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレンダリ コール) 、 非イオン性界面活性剤 (例、 ポリソルベート 8 0™、 H C O - 5 0 )
などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いら れ、 溶解補助剤である安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどと併用しても よい。
また、 上記予防 ·治療剤は、 例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢酸 ナトリウム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロカイ ンなど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコールなど ) 、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸化防止剤など と配合してもよい。 調製された注射液は通常、 適当なアンプルに充填される。 このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 ( 例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サ ルなど) に対して投与することができる。
本発明のタンパク質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに より差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 軟骨損傷患者 (60 kg として) においては、 一日につき約 0. lmg〜l 00mg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omgである。 非経口的に投与する 場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても 異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 軟骨損傷患者 (6 Okgとして ) においては、 一日につき約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは約 0. 1~2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与する のが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与する ことができる。
本発明の DNAの投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより 差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 軟骨損傷患者 (6 O kgとし て) においては、 一日につき約 0. lmg〜 10 Omg、 好ましくは約 1. 0〜 5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omgである。 非経口的に投与する場合 は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異な るが、 例えば、 注射剤の形では通常例えば、 軟骨損傷患者 (6 O kgとして) に おいては、 一日につき約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. l〜20m g程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが
好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与すること ができる。
(2) ① G l i 1遺伝子の発現を制御する活性を有する化合物、 ② G l i 1遺伝 子のプロモーターもしくはェンハンサ一の活性を制御する作用を有する化合物ま たは③骨 ·軟骨分化調節作用を有する化合物のスクリーニング方法
上記したごとく、 G l i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 G 1 i 1遺伝子 DNAもしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAおよび G 1 i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する細胞は、 G l i 1遺伝子の発現を制御する活性を有する化合物や G 1 i 1遺伝子のプロモーター もしくはェンハンサ一の活性を制御する作用を有する化合物等のスクリーニング に用いることができ、 ひいては骨 ·軟骨分化調節作用を有する化合物のスクリー ニングに用いることができる。
G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞としては、 温血動物 (例えば、 ヒ ト、 モルモット、 ラット、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ夕、 ヒッジ、 ゥシ、 サ ル等) の細胞 (例えば、 グリア細胞、 骨髄細胞、 表皮細胞、 繊維芽細胞、 筋芽細 胞、 軟骨細胞、 骨細胞もしくは骨芽細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞 もしくはガン細胞等) が用いられる。
特に、 骨または軟骨への分化能を有する細胞あるいは既に分化形態を示してい る細胞が好ましく、 軟骨細胞、 繊維芽細胞 (例、 マウス繊維芽細胞株 C3H10 T 1/2) 、 筋芽細胞 (例、 マウス筋芽細胞株 C2 C 12) などがより好ましい 以下に、 本発明の G l i 1遺伝子の発現を制御 (促進または阻害) する活性を 有する化合物またはその塩のスクリーニング方法について詳述する。
G 1 i 1遺伝子発現はヘッジホッグと呼ばれる可溶性タンパク質によるシグナ ル伝達によって誘導され、 骨形成を誘導し、 骨 ·軟骨分化促進活性を有するため 、 G l i 1遺伝子の発現を促進する活性を有する化合物またはその塩は、 骨 ·軟 骨分化調節 (特に促進) 作用を有し、 骨 '軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 腫瘍摘 出などによる骨、 軟骨欠損部の再生、 脊椎固定術、 脊柱管拡大術などの骨再建、
骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾患 (例 、 口蓋裂、 下顎骨再建術、 歯槽堤形成術などの骨再建) 、 骨粗鬆症などの予防 · 治療剤などの医薬として用いることができる。 また、 美容外科領域における骨移 植の治療剤などの医薬としても用いることができるし、 再生医療における自家移 植の際の分化誘導剤としても利用できる。
一方、 G l i 1遺伝子の発現を阻害する活性を有する化合物またはその塩は、 骨 ·軟骨分化調節 (特に阻害) 作用を有し、 例えば骨 ·軟骨形成過剰症などの治 療 ·予防剤などの医薬として使用できる。
したがって、 G l i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 G 1 i 1遺伝子 DNAもしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAまたは G 1 i 1 遺伝子を発現する能力を有する細胞は、 G l i 1遺伝子の発現を制御 (促進また は阻害) する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング、 ひいては骨' 軟骨分化調節作用を有する化合物のスクリーニングのための材料として用いるこ とができる。
すなわち、 本発明は、
① G l i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、 G 1 i 1遺伝子 DNAもしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAを用いて G 1 i 1タンパク質をコードする mRNA (以下、 G l i lmRNAと略称する場 合がある。 ) の量を測定することを特徴とする G 1 i 1遺伝子の発現を制御する 活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、 より具体的には、
② ( i) G l i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養した場合の G 1 i 1 mRNAの発現量と、 (i i) G l i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞を試 験化合物の存在下に培養した場合の G 1 i 1 mRNAの量との比較を行うこと を特徴とする、 G l i 1遺伝子の発現を制御する活性を有する化合物またはその 塩のスクリーニング方法を提供する。
G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞としては、 例えば、 前記した G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する公知の温血動物細胞などがあげられる。
G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する公知の温血動物細胞としては、 例えば 、 骨または軟骨への分化能を有する細胞あるいは既に分化形態を示している細胞
が好ましく、 具体的には軟骨細胞、 繊維芽細胞 (例、 マウス繊維芽細胞株 C 3 H 10T1/2) 、 筋芽細胞 (例、 マウス筋芽細胞株 C2C12) などが用いられ る。
G 1 i 1遺伝子を発現する能力を有する細胞の培養は、 公知の動物細胞培養法 と同様にして行われる。 例えば、 培地としては、 約 5〜 20%の胎児牛血清を含 む MEM培地 〔サイエンス (Science) , 122巻, 501 (1952)〕 , DM EM培地 〔ヴイロロジー (Virology) , 8巻, 396 (1959)〕 , RPMI 1640培地 〔ジャーナル ·ォブ ·ザ ·アメリカン ·メディカル ·ァソシエーシ ヨン (The Journal of the American Medical Association) 199巻, 519 ( 1967)] , 199培地 〔プロシ一ジング ·ォブ ·ザ ·ソサイエティ ·フォー •ザ ·バイオロジカル 'メディスン (Proceeding of the Society for the Biol ogical Medicine) , 73巻, 1 (1950)〕 等が用いられる。 pHは約 6〜8 であるのが好ましい。 培養は通常約 30〜40°Cで約 15〜60時間行い、 必要 に応じて通気や撹拌を加えてもよい。
発現誘導剤を接触させることによって G 1 i 1遺伝子が発現する動物細胞を用 いる場合には、 該動物細胞を発現誘導剤の存在下または非存在下で培養すること ができる。
mRNAの発現量の比較をハイブリダィゼ一ション法によって行うには、 公知 の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー ·クローニング (Mole cular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法等に従って行うことができる。
具体的には、 G l 〖 1タンパク質をコードする mRNAの量の測定は、 公知の 方法に従って細胞から抽出した RNAと G 1 i 1遺伝子をコードする DNA (G 1 i 1遺伝子 DNA) もしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAとを接触さ せ、 G 1 i 1遺伝子 DNAまたはその相補 DNAに結合した mRNAの量を測定 することによって行われる。 Gl i 1遺伝子 DNAの相補 DNAまたはその部分 DNAを、 例えば放射性同位元素、 色素などで標識することによって、 G l i 1 遺伝子 DNAの相補 DNAに結合した G 1 i 1 mR N Aの量が容易に測定できる 。 放射性同位元素としては、 例えば32 P、 3Hなどが用いられ、 色素としては、
例えば fluorescein、 FAM (PE Biosystems社製) 、 JOE (PE Biosystems社 製) 、 TAMRA (PE Biosystems社製) 、 ROX (PE Biosystems社製) 、 Cy 5 (Amersham社製) 、 Cy 3 (Amersham社製) などの蛍光色素が用いられる。 また、 G l i lmRNAの量は、 細胞から抽出した RN Aを逆転写酵素によつ て cDNAに変換した後、 G 1 i 1遺伝子をコードする DNAもしくはその相補 DNAまたはその部分 DNAをプライマ一として用いる P CRによって、 増幅さ れる c DNAの量を測定することによって行うことができる。
G 1 i lmRNAの量の測定に用いられる G 1 i 1遺伝子 DNAの相補 DNA としては、 G l i 1遺伝子 DNA (上鎖) に相補的な配列を有する DNA (下鎖 ) があげられる。 G l 〖 1遺伝子 DNAの部分 DNAとしては、 例えば G 1 i 1 遺伝子 DNAの塩基配列中、 連続した 10〜2200個程度、 好ましくは 10〜 300個程度、 さらに好ましくは 10〜30個程度の塩基から構成される塩基配 列があげられる。 G l i 1遺伝子 DNAの相補 DNAの部分 DNAとしては、 例 えば前記した G l i 1 DNAの部分 DNAに相補的な配列を有する DNAがあげ られる。 即ち、 例えば G 1 i 1遺伝子 DNAの塩基配列中、 連続した 10〜22 00個程度、 好ましくは 10〜300個程度、 さらに好ましくは 10〜30個程 度の塩基から構成される塩基配列に相補的な配列を有する DNAがあげられる。
PCRに用いられるプライマーとしては、 例えば配列番号: 1で表される塩基 配列を含有する DN Aおよび配列番号: 2で表される塩基配列を含有する DN A などがあげられる。
G l i 1 mRNAの量を増加させる試験化合物を、 G l i 1遺伝子の発現を 促進する活性を有す 化合物あるいは骨 ·軟骨分化調節 (特に促進) 作用を有す る化合物として選択することができ、 また G 1 i 1 mRNAの量を減少させる 試験化合物を、 G l i 1遺伝子の発現を阻害する活性を有する化合物あるいは骨 ·軟骨分化調節 (特に阻害) 作用を有する化合物として選択することができる。 上記①〜②に示したスクリーニング方法において試験化合物としては、 例えば 、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞 抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などが挙げられ、 これら化合物は新規な化 合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。
また、 本発明は、
③ G 1 i 1の公知プロモーターゃェンハンサ一領域をゲノム DNAよりクロー二 ングし、 適当なレポーター遺伝子の上流に連結させた DNAで形質転換した細胞
(例えば、 軟骨細胞、 繊維芽細胞 (例、 マウズ繊維芽細胞株 C3H10T1Z2 ) 、 筋芽細胞 (例、 マウス筋芽細胞株 C 2C 12) など) を試験化合物の存在下 で培養し、 G l i 1の発現に代えてレポーター遺伝子の発現を検出することを特 徵とする、 G l i 1遺伝子のプロモーターもしくはェンハンサ一の活性を制御す る作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、 ひいては G 1 i 1遺 伝子の発現を制御する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を 提供する。
レポ一夕一遺伝子としては、 例えば、 l a c Z (j3—ガラクトシダ一ゼ遺伝子 ) などの染色マーカー遺伝子等などが用いられる。
レポーター遺伝子産物 (例、 mRNA、 タンパク質) の量を公知の方法を用い て測定することによって、 レポ一夕一遺伝子産物の量を増加させる試験化合物を G 1 i 1遺伝子のプロモーターもしくはェンハンサ一の活性を制御 (特に促進) する作用を有する化合物、 すなわち G l i 1遺伝子の発現を促進する活性を有す る化合物として選択でき、 逆に、 レポ一夕一遺伝子産物の量を減少させる試験化 合物を G l i 1遺伝子のプロモーターもしくはェンハンサ一の活性を制御 (特に 阻害) する作用を有する化合物、 すなわち G l i 1遺伝子の発現を阻害する活性 を有する化合物として選択することができる。
試験化合物としては、 前記と同様のものが使用される。
細胞の培養は、 公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
また、 本発明は、
④ G l i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する細胞を試 験化合物の存在下および非存在下に培養し、 軟骨分化のマ一カー遺伝子の発現量 を測定することを特徴とする骨 ·軟骨分化調節 (促進または阻害) 作用を有する 化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
軟骨分化のマーカー遺伝子としては I I型 Bコラーゲン遺伝子が好ましい。 軟骨分化のマーカー遺伝子の発現量の測定は例えば配列番号: 5、 6、 7または
8で表される塩基配列を有するプライマーを用いた R T— P C R法を実施するこ とにより測定することができる。
軟骨分化のマーカー遺伝子の発現量を増加させる試験化合物を、 骨 ·軟骨分化 調節 (特に促進) 作用を有する化合物として選択することができ、 また軟骨分化 のマーカ一遺伝子の発現量を減少させる試験化合物を、 骨 ·軟骨分化調節 (特に 阻害) 作用を有する化合物として選択することができる。
試験化合物としては、 前記と同様のものが使用される。
細胞の培養は、 公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
また、 本発明は、
⑤ G l i 1タンパク質またはその部分ペプチドを発現する能力を有する細胞を試 験化合物の存在下および非存在下に培養し、 細胞の軟骨分化状態、 例えば軟骨分 化マーカ一の発現を測定することを特徴とする骨 ·軟骨分化調節 (促進または阻 害) 作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
試験化合物としては、 前記と同様のものが使用される。
細胞の培養は、 公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
さらに、 G l i 1タンパク質は G l i 1遺伝子自身の転写あるいは、 脳もしく は肺の分化に関与する HN F— 3 /3遺伝子の転写を誘導していると報告されてい る。
したがって、 例えば上記した①または②のスクリーニング方法を実施すること により直接的に G l i 1タンパク質の転写活性を測定できるか、 または HN F— 3 βを発現し得る細胞株を用いれば例えば上記した①または②に記載の方法に準 じて HN F— 3 ]3の mR NAの発現量を試験化合物の存在下および非存在下で測 定し、 比較することにより G l i 1タンパク質の転写活性を測定することも可能 である。
本発明のスクリーニング用キッ卜には上記スクリーニング方法を実施するため 、 上記の G l iタンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩、 または G 1 i 1遺伝子またはその産生物を産生する能力を有する細胞、 または G l i 1遺伝子 発現レポーターベクターを導入した細胞 (G l i 1遺伝子のプロモータ一もしく はェンハンサーをレポ一夕一遺伝子に連結させた D NAで形質転換した細胞) 、
および G 1 i 1遺伝子 D NAもしくはその相補 D NAまたはその部分 D NAを含 有するものである。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 化合物またはその塩は、 上記した試験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物 組織抽出液、 血漿などから選ばれた化合物であり、 G l i 1遺伝子の発現を制御 (促進または阻害) する活性を有する化合物あるいは G 1 i 1遺伝子のプロモー 夕一もしくはェンハンサ一の活性を制御 (促進または阻害) する作用を有する化 合物、 ひいては骨 ·軟骨分化調節作用を有する化合物である。
該化合物の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩 基 (例、 アルカリ金属塩) 等との塩が挙げられる。
G 1 i 1遺伝子の発現を促進する活性を有する化合物 (または G l i 1遺伝子 のプロモーターもしくはェンハンサ一の活性を促進する作用を有する化合物、 骨 •軟骨分化誘導作用を有する化合物) またはその塩は、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整 形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損 傷、 外傷、 腫瘍摘出などによる骨、 軟骨欠損部の再生、 脊椎固定術、 脊柱管拡大 術などの骨再建、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯 科領域の疾患 (例、 口蓋裂、 下顎骨再建術、 歯槽堤形成術などの骨再建) 、 骨粗 鬆症などの予防,治療剤などの医薬として用いることができる。 また、 美容外科 領域における骨移植の治療剤などの医薬としても用いることができるし、 再生医 療における自家移植の際の分化誘導剤としても利用できる。
一方、 G l i 1遺伝子の発現を阻害する活性を有する化合物 (または G l i 1 遺伝子のプロモ一夕一もしくはェンハンサ一の活性を阻害する作用を有する化合 物、 骨 ·軟骨分化阻害作用を有する化合物) またはその塩は、 例えば骨 ·軟骨形 成過剰症などの治療 ·予防剤などの医薬として使用できる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 化合物を上述の治療 ·予防剤として使用する場合、 常套手段に従って実施するこ とができ、 例えば、 錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤、 無 菌性溶液、 懸濁液剤などとして、 経口的または非経口的に投与することができる
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 温血動物 ( 例えば、 ヒト、 マウス、 ラッ卜、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 トリ、 ネ コ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど;好ましくは哺乳動物) に対して投与するこ とができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 その作用、 対象疾患、 投与対象、 投与ル一 トなどにより差異はあるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で G l i 1遺伝子の発 現を促進する活性を有する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 kgとして) においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜: L 00mg、 好まし くは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omg投与する。 非経口 的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによって も異なるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で G l i l遺伝子の発現を促進する活 性を有する化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. l〜20m g程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが 好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与すること ができる。
一方、 骨 ·軟骨形成過剰症の治療目的で G l i 1遺伝子の発現を阻害する活性 を有する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 6 O kgとして) にお いては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜10 Omg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口的に投与する場合 は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例え ば、 骨 ·軟骨形成過剰症の治療目的で G 1 i 1遺伝子の発現を阻害する活性を有 する化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合、 一日に つき該化合物を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. l〜20mg程度 、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合 である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与することができ る。
(3) アンチセンスヌクレオチドを含有する医薬 (骨 ·軟骨分化阻害剤) または
診断剤 (骨 ·軟骨疾患の診断剤)
本発明で用いられる D N Aに相補的に結合し、 前記 D N Aの発現を抑制するこ とができる本発明で用いられるアンチセンスヌクレオチド (例、 アンチセンス D NA) は低毒性であり、 生体内における本発明で用いられるタンパク質または本 発明で用いられる D NAの機能抑制することができるので、 例えば、 骨 '軟骨形 成過剰症などの治療 ·予防剤などとして使用することができる。
上記アンチセンスヌクレオチドを上記の予防 ·治療剤として使用する場合、 公 知の方法に従って製剤化し、 投与することができる。
例えば、 前記アンチセンスヌクレオチドを用いる場合、 前記アンチセンスヌク レオチドを単独あるいはレトロウイルスベクタ一、 アデノウイルスベクタ一、 ァ デノウィルスァソシエーテッドウィルスベクタ一などの適当なベクタ一に揷入し た後、 常套手段に従って、 温血動物 (例えば、 ヒト、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 トリ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど、 好ま しくは哺乳動物) に対して経口的または非経口的に投与することができる。 前記 アンチセンスヌクレオチドは、 そのままで、 あるいは摂取促進のために補助剤な どの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイドロゲルカテ 一テルのようなカテーテルによって投与できる。
前記アンチセンスヌクレオチドの投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルート などにより差異はあるが、 例えば、 骨 ·軟骨形成過剰症の治療の目的で本発明で 用いられるアンチセンスヌクレオチドを経口投与する場合、 成人 (体重 6 O k g ) に対し、 一日につき前記アンチセンスヌクレオチドを約 0 . l〜1 0 0 m g投 与する。
さらに、 前記アンチセンスヌクレオチドは、 組織や細胞における本発明で用い られる D NAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプ ローブとして使用することもできる。
上記アンチセンスヌクレオチドと同様に、 二本鎖 R NA、 リポザィム、 デコイ オリゴヌクレオチドなども、 前記 D NAの発現を抑制することができ、 生体内に おける本発明で用いられるタンパク質または本発明で用いられる D N Aの機能抑 制することができるので、 例えば、 骨 ·軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤などとし
て使用することができる。
二本鎖 RNAは、 公知の方法 (例、 Nature, 411巻, 494頁, 2001年) に準じて 、 本発明で用いられる DNAの配列を基に設計して得られる。
リポザィムは、 公知の方法 (例、 TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁 , 2001年) に準じて、 本発明で用いられる DNAの配列を基に設計して得られる デコイオリゴヌクレオチドは、 公知の方法 (例、 The Journal of Clinical In vestigation, 106巻, 1071頁, 2000年) に準じて、 本発明で用いられる DNAの 配列を基に設計して得られる。 Gl i 1は転写因子であるので G 1 i 1の結合配 列を含むデコイ G 1 i 1バインディングオリゴヌクレオチド 〔例えば 5'- GACCACC CA-3'(Kinzler KW, Vogelstein B., Mol Cell Biol 1990 Feb; 10 (2): 634 - 42)を 含有するオリゴヌクレオリドなど〕 などを有効に使用できる。
上記の予防 ·治療剤として使用する場合、 公知の方法に従って製剤化し、 投与 することができる。
(4) 遺伝子診断剤
本発明の DNAまたはアンチセンス DNAは、 プローブとして使用することに より、 哺乳動物 (例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ 、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) における本発明のタンパク質またはその部分ペプチド をコードする DNAまたは mRNAの異常 (遺伝子異常) を検出することができ るので、 例えば、 該 DNAまたは mRNAの損傷、 突然変異あるいは発現低下や 、 該 D N Aまたは m R N Aの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有 用である。
本発明の DN Aまたはアンチセンス DN Aを用いる上記の遺伝子診断は、 例え ば、 公知のノーザンハイブリダィゼ一シヨンや PCR— S SCP法 (ゲノミック ス (Genomics) , 第 5巻, 874〜 879頁 (1989年) 、 プロシージングズ •ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ユーエス エー (Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA) , 第 8 6巻, 2766〜 2770頁 (1989年) ) などにより実施することができる
例えば、 ノ一ザンハイブリダイゼーシヨンにより本発明の夕ンパク質またはそ の部分ペプチドをコードする m R N Aの発現低下が検出された場合は、 例えば、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎 、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂) 、 骨粗鬆症などの疾患である可能 性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、 ノーザンハイブリダイゼ一シヨンにより本発明のタンパク質またはその 部分ペプチドをコードする mR NAの発現過多が検出された場合は、 例えば、 骨 •軟骨形成過剰症などの疾患である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高 いと診断することができる。
( 5 ) G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の抗体を用いた 診断剤
G 1 i 1タンパク質、 その部分ペプチドまたはそれらの塩の抗体 (以下、 本発 明の抗体と略称する場合がある) は、 本発明のタンパク質等を特異的に認識する ことができるので、 被検液中の本発明のタンパク質等の定量、 特にサンドイッチ 免疫測定法による定量などに使用することができる。 すなわち、 本発明は、 例え ば、
( i ) 本発明の抗体と、 被検液および標識化タンパク質等とを競合的に反応さ せ、 該抗体に結合した標識化タンパク質等の割合を測定することを特徴とする被 検液中の本発明のタンパク質等の定量法、
(i i) 被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の 抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、 不溶化担体上の標識剤の活性を 測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質等の定量法を提供する 上記 (i i) においては、 一方の抗体が本発明のタンパク質等の N端部を認識す る抗体で、 他方の抗体が本発明のタンパク質等の C端部に反応する抗体であるこ とが好ましい。
本発明のタンパク質等に対するモノクローナル抗体 (以下、 本発明のモノクロ ーナル抗体と称する場合がある) を用いて本発明のタンパク質等の測定を行なえ
るほか、 組織染色等による検出を行うこともできる。 これらの目的には、 抗体分 子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F ( a b ' ) 2、 F a b '、 あるいは F a b画分を用いてもよい。 本発明のタンパク質等に対する抗体を用いる測定法 は、 特に制限されるべきものではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 タンパク 質量) に対応した抗体、 抗原もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理 的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲 線より算出する測定法であれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフ ロメトリー、 競合法、 ィムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いら れるが、 感度、 特異性の点で、 後に記載するサンドイッチ法を用いるのが特に好 ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元 素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例 えば、 〔125 I〕 、 〔13i I〕 、 〔3H〕 、 〔i4C〕 などが用いられる。 上記酵素とし ては、 安定で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 3—ガラクトシダ一ゼ、 ^ _ダルコシダーゼ、 アルカリフォスファターゼ、 パ一ォキシダーゼ、 リンゴ酸 脱水素酵素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物質としては、 例え ば、 ルミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフェリン、 ルシゲニンなどが用いられ る。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にピオチン一アビジン系を用い ることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常、 タンパク質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用い る方法でもよい。 担体としては、 例えば、 ァガロース、 デキストラン、 セルロー スなどの不溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合成 樹脂、 あるいはガラス等が用いられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を 反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した本発明のモノクローナル抗体を反応さ せ (2次反応) た後、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液 中の本発明の夕ンパク質量を定量することができる。 1次反応と 2次反応は逆の
順序に行なっても、 また、 同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよ レ 。 標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができる。
また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あるいは標識用 抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を向上させ る等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドィツチ法によるタンパク質等の測定法においては、 1次反応と 2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体はタンパク質等の結合する部 位が相異なる抗体が好ましく用いられる。 すなわち、 1次反応および 2次反応に 用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体が、 タンパク質の C端部 を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好ましくは C端部以外、 例えば N端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドィツチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリ一などに用いることができる 。 競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた のち、 未反応の標識抗原と(F) と抗体と結合した標識抗原 (B) とを分離し ( BZF分離) 、 B, Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定量する 。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 B ZF分離をポリエチレンダリ コール、 上記抗体に対する第 2抗体などを用いる液相法、 および、 第 1抗体とし て固相化抗体を用いるか、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用い第 2抗体と して固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
ィムノメトリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗 体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは、 被検液中の抗 原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗 体を固相に結合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識 量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果、 生 じた不溶性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量の沈 降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリー などが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件 、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質等の測定系を 構築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書など を参照することができる 〔例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談 社、 昭和 4 9年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 5 4年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 5 3年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 2版) (医学書院、 昭和 5 7年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 3版) (医学書院、 昭和 6 2年発行) 、 「 メソッズ ·イン ·ェンザィモノジー (Methods in ENZYMOLOGY) 」 Vol. 70 (I讓 un ochemical Techni ues (Part A) )、 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniaues (P art B) ) 同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniaues (Part 0 ) , 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniaues (Part D: Selected Immunoassays) ) , 同書 Vol. 92 (I匪 nochemical Techniaues (Part E: Monoclonal Ant ibodies and General I匪 u noassay Methods) )、 同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniaues (Part I: Hybri doma Technology and Monoclonal Ant ibodies) ) (以上、 アカデミックプレス社発 行)など参照」 。
以上のように、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明のタンパク質等を 感度良く定量することができる。
さらに、 本発明の抗体を用いて、 生体内での本発明のタンパク質等を定量する ことによって、 上記したような各種骨 ·軟骨疾患の診断をすることができる。 例えば、 上記の定量法を用いることにより本発明のタンパク質またはその部分 ペプチドの濃度減少が検出された場合は、 例えば、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外 科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾 患 (例、 口蓋裂) 、 骨粗鬆症などの疾患である可能性が高いまたは将来罹患する 可能性が高いと診断することができる。
一方、 上記の定量法を用いることにより本発明のタンパク質またはその部分べ プチドの濃度上昇が検出された場合は、 例えば、 骨 ·軟骨形成過剰症などの疾患
である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。 また、 本発明の抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタンパ ク質等を特異的に検出するために使用することができる。 また、 本発明のタンパ ク質等を精製するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明 のタンパク質等の検出、 被検細胞内における本発明のタンパク質の挙動の分析な どのために使用することができる。
(6) DNA転移動物
本発明は、 外来性の本発明のタンパク質等をコードする DNA (以下、 本発明 の外来性 DNAと略記する) またはその変異 DNA (本発明の外来性変異 DNA と略記する場合がある) を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2) 非ヒ卜哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1)記載の動物、
(3) ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第 (2) 記載の動物、 および (4) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを含有し、 哺乳動物において 発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒ卜哺乳動物 (以下、 本発明の DNA転移動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始 原細胞を含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒ卜哺乳動物の発生におけ る胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般 に 8細胞期以前) に、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リポフエクシヨン法 、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DEAE—デキ ストラン法などにより目的とする DNAを転移することによって作出することが できる。 また、 該 DNA転移方法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織細胞などに 目的とする本発明の外来性 DNAを転移し、 細胞培養、 組織培養などに利用する こともでき、 さらに、 これら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融 合させることにより本発明の DNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブ夕、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ 、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 マウス、 ラットなどが用いられる。 なかでも
、 病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 また、 繁殖が容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として、 C57 BLZ6系統, DBA 2系統など、 交雑系として、 B 6 C 3 F 1系統, BDF 1 系統, B6D2F 1系統, BALBZc系統, I CR系統など) またはラッ卜 ( 例えば、 Wi s t a r, SDなど) などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えべクタ一における 「哺乳動物」 としては、 上記の非ヒ卜哺乳動物の他にヒ卜などが挙げられる。
本発明の外来性 DNAとは、 非ヒ卜哺乳動物が本来有している本発明の DNA ではなく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DNAをいう。
本発明の変異 DNAとしては、 元の本発明の DN Aの塩基配列に変異 (例えば 、 突然変異など) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基への 置換などが生じた DNAなどが用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。
該異常 DN Aとしては、 異常な本発明のタンパク質を発現させる DN Aを意味 し、 例えば、 正常な本発明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させ る DN Aなどが用いられる。
本発明の外来性 DN Aは、 対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳 動物由来のものであってもよい。 本発明の DNAを対象動物に転移させるにあた つては、 該 D N Aを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した D N Aコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明のヒト D NAを転移させる場合、 これと相同性が高い本発明の DNAを有する各種哺乳動 物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスな ど) 由来の DNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、 本発明のヒト DN Aを結合した DNAコンストラクト (例、 ベクターなど) を対象哺乳動物の受精 卵、 例えば、 マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明 の DN Aを高発現する DN A転移哺乳動物を作出することができる。
本発明のタンパク質の発現べクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミド、 枯草 菌由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージなどのバクテリオファ ージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウイルス、 ワクシニアウィルスまた はバキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。 なかでも、 大腸菌由
来のプラスミド、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好 ましく用いられる。
上記の DNA発現調節を行なうプロモーターとしては、 例えば、 ①ウィルス ( 例、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J C ウィルス、 乳癌ウィルス、 ポリオウイルスなど) に由来する DNAのプロモータ 一、 ②各種哺乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムス夕一、 ラ ット、 マウスなど) 由来のプロモーター、 例えば、 アルブミン、 インスリン I I 、 ゥロプラキン I I、 エラス夕ーゼ、 エリスロポエチン、 エンドセリン、 筋クレ ァチンキナーゼ、 グリア繊維性酸性タンパク質ク、 ダルタチオン S—トランスフ エラーゼ、 血小板由来成長因子 /3、 ケラチン K l, 1 0ぉょび1:1 4、 コラー ゲン I型および I I型、 サイクリック AMP依存タンパク質キナーゼ] 3 Iサブュ ニット、 ジストロフィン、 酒石酸抵抗性アルカリフォスファタ一ゼ、 心房ナトリ ゥム利尿性因子、 内皮レセプターチ口シンキナーゼ (一般に T i e 2と略される ) 、 ナトリウムカリウムアデノシン 3リン酸化酵素 (Na, K-ATP a s e) 、 ニューロフィラメント軽鎖、 メタ口チォネイン Iおよび I I A、 メタ口プロテ イナーゼ 1組織インヒビ夕一、 MHCクラス I抗原 (H— 2 L) 、 H— r a s、 レニン、 ド一パミン /3—水酸化酵素、 甲状腺ペルォキシダーゼ (TPO) 、 ポリ ペプチド鎖延長因子 1ひ (EF- 1 α) 、 βァクチン、 ひおよび j8ミオシン重鎖 、 ミオシン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク質、 チログロブリン、 Thy — 1、 免疫グロブリン、 H鎖可変部 (VNP) 、 血清アミロイド Pコンポ一ネン ト、 ミオグロビン、 トロポニン (:、 平滑筋ひァクチン、 プレブ口エンケフアリン A、 バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。 なかでも、 全身で高発 現することが可能なサイトメガロウィルスプロモーター、 ヒトポリペプチド鎖延 長因子 1 ひ (EF— l o のプロモー夕一、 ヒトおよびニヮトリ /3ァクチンプロ モータ一などが好適である。
上記べクタ一は、 DN A転移哺乳動物において目的とする mRN Aの転写を終 結する配列 (一般に夕一ミネ夕一と呼ばれる) を有していることが好ましく、 例 えば、 ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各 DNAの配列を用いることがで き、 好ましくは、 シミアンウィルスの SV40夕一ミネ一夕一などが用いられる
その他、 目的とする外来性 D N Aをさらに高発現させる目的で各 D N Aのスプ ライシングシグナル、 ェンハンサ一領域、 真核 D NAのイントロンの一部などを プロモーター領域の 5 '上流、 プロモー夕一領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域 の 3 '下流 に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のタンパク質の翻訳領域は、 各種哺乳動物 (例えば、 ヒ卜、 ゥサ ギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) 由来の肝臓、 腎臓、 甲状腺細胞、 繊維芽細胞由来 D NAおよび市販の各種ゲノム D NAライブ ラリーよりゲノム D NAの全てあるいは一部として、 または肝臓、 腎臓、 甲状腺 細胞、 繊維芽細胞由来 R NAより公知の方法により調製された相補 D NAを原料 として取得することが出来る。 また、 外来性の異常 D NAは、 上記の細胞または 組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異し た翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうる D NAコンストラクトとして、 前記 のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常の 遺伝子工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 D N Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。 D N A転移後の作出動 物の胚芽細胞において、 本発明の外来性 D N Aが存在することは、 作出動物の後 代がすべて、 その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 D N Aを保持 することを意味する。 本発明の外来性 D NAを受け継いだこの種の動物の子孫は その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 D N Aを有する。
本発明の外来性正常 D NAを転移させた非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 D NAを安定に保持することを確認して、 該 D N A保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 D N Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。 D NA転移後の作 出動物の胚芽細胞において本発明の外来性 D N Aが過剰に存在することは、 作出 動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過
剰に有することを意味する。 本発明の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動物の 子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 D N Aを過剰に有する 導入 D NAを相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄 の動物を交配することによりすべての子孫が該 D N Aを過剰に有するように繁殖 継代することができる。
本発明の正常 D NAを有する非ヒ卜哺乳動物は、 本発明の正常 D NAが高発現 させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を促進することにより最終的に本発 明のタンパク質の機能亢進症 (例、 転写、 骨 ·軟骨分化誘導などの亢進症)を発症 することがあり、 その病態モデル動物として利用することができる。 例えば、 本 発明の正常 D NA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能亢進症や、 本発 明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法 の検討を行なうことが可能である。
また、 本発明の外来性正常 D NAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の タンパク質の増加症状を有することから、 本発明のタンパク質に関連する疾患に 対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、 本発明の外来性異常 D NAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外来 性 D N Aを安定に保持することを確認して該 D NA保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 D N Aを前述のプラス ミドに組み込んで原科として用いることができる。 プロモータ一との D NAコン ストラク卜は、 通常の遺伝子工学的手法によって作製することができる。 受精卵 細胞段階における本発明の異常 D N Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽細胞および 体細胞の全てに存在するように確保される。 D N A転移後の作出動物の胚芽細胞 において本発明の異常 D NAが存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚芽 細胞および体細胞の全てに本発明の異常 D NAを有することを意味する。 本発明 の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動物の子孫は、 その胚芽細胞および体細胞 の全てに本発明の異常 D N Aを有する。 導入 D NAを相同染色体の両方に持つホ モザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫 が該 D N Aを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常 D N Aを有する非ヒ卜哺乳動物は、 本発明の異常 D N Aが高発現 させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を阻害することにより最終的に本発 明のタンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モデル動物と して利用することができる。 例えば、 本発明の異常 D NA転移動物を用いて、 本 発明のタンパク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療 方法の検討を行なうことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、 本発明の異常 D N A高発現動物は、 本発 明のタンパク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質による正 常タンパク質の機能阻害 (dominant negat ive作用) を解明するモデルとなる。 また、 本発明の外来異常 D N Aを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の夕 ンパク質の増加症状を有することから、 本発明のタンパク質の機能不活性型不応 症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、 上記 2種類の本発明の D NA転移動物のその他の利用可能性として、 例 えば、
①組織培養のための細胞源としての使用、
②本発明の D NA転移動物の組織中の D N Aもしくは R N Aを直接分析するか、 または D N Aにより発現されたタンパク質組織を分析することによる、 本発明の タンパク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質との関連性につい ての解析、
③ D N Aを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらを使用し て、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
④上記③記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリ 一二ング、 および
⑤本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。 さらに、 本発明の D N A転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活性 型不応症などを含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べるこ とができ、 また、 本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器におけるよ り詳細な病理学的所見が得られ、 新しい治療方法の開発、 さらには、 該疾患によ る二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、 本発明の DNA転移動物から各臓器を取り出し、 細切後、 トリプシンな どのタンパク質分解酵素により、 遊離した DN A転移細胞の取得、 その培養また はその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本発明のタンパク 質産生細胞の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関連性、 またはそれ らにおけるシグナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べることなどができ、 本 発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、 本発明の DNA転移動物を用いて、 本発明のタンパク質の機能不活性 型不応症を含む、 本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行なうた めに、 上述の検査法および定量法などを用いて、 有効で迅速な該疾患治療薬のス クリーニング法を提供することが可能となる。 また、 本発明の DNA転移動物ま たは本発明の外来性 DNA発現べクタ一を用いて、 本発明のタンパク質が関連す る疾患の D N A治療法を検討、 開発することが可能である。
(7) ノックアウト動物
本発明は、 本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本 発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の DNAが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞、
(2) 該 DNAがレポ一ター遺伝子 (例、 大腸菌由来の ;8—ガラクトシダ一ゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化された第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(3) ネオマイシン耐性である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(4) 非ヒ卜哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(5) ゲッ歯動物がマウスである第 (4) 項記載の胚幹細胞、
(6) 本発明の DNAが不活性化された該 DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7) 該 DNAがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の /3—ガラクトシダーゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化され、 該レポーター遺伝子が本発明の DN
Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物
(8) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(9) ゲッ歯動物がマウスである第 (8) 項記載の非ヒ卜哺乳動物、 および
(10) 第 (7) 項記載の動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発 現を検出することを特徴とする本発明の DNAに対するプロモーター活性を促進 または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の DN Aが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒ卜哺乳 動物が有する本発明の DN Aに人為的に変異を加えることにより、 DNAの発現 能を抑制するか、 もしくは該 DNAがコードしている本発明のタンパク質の活性 を実質的に喪失させることにより、 DN Aが実質的に本発明のタンパク質の発現 能を有さない (以下、 本発明のノックアウト DNAと称することがある) 非ヒ卜 哺乳動物の胚幹細胞 (以下、 ES細胞と略記する) をいう。
非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学的 手法により該 D N A配列の一部又は全部の削除、 他の D N Aを挿入または置換さ せることによって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コドンの 読み取り枠をずらしたり、 プロモーターあるいはェキソンの機能を破壊すること により本発明のノックァゥト DNAを作製すればよい。
本発明の DN Aが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の D NA不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の具体 例としては、 例えば、 目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の DNAを単離 し、 そのェキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子 を代表とする薬剤耐性遺伝子、 あるいは 1 a c Z (jS—ガラクトシダーゼ遺伝子 ) 、 c a t (クロラムフエニコールァセチルトランスフェラーゼ遺伝子) を代表 とするレポーター遺伝子等を挿入することによりェキソンの機能を破壊するか、 あるいはェキソン間のィントロン部分に遺伝子の転写を終結させる DN A配列 ( 例えば、 ポリ A付加シグナルなど) を挿入し、 完全な mRNAを合成できなくす ることによって、 結果的に遺伝子を破壊するように構築した DNA配列を有する DNA鎖 (以下、 夕ーゲッティングベクターと略記する) を、 例えば相同組換え 法により該動物の染色体に導入し、 得られた ES細胞について本発明の DNA上 あるいはその近傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーシヨン 解析あるいは夕一ゲッティングベクター上の DNA配列とターゲッティングべク
夕一作製に使用した本発明の D N A以外の近傍領域の D N A配列をプライマーと した PC R法により解析し、 本発明のノックアウト ES細胞を選別することによ り得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の DNAを不活化させる元の ES細胞とし ては、 例えば、 前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、 また公知 Eva nsと Kauimaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの ES 細胞の場合、 現在、 一般的には 129系の ES細胞が使用されているが、 免疫学 的背景がはっきりしていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が 明らかな ES細胞を取得するなどの目的で例えば、 C 57 BL/6マウスや C 5 7 BL/6の採卵数の少なさを DBA/2との交雑により改善した BDF 1マウ ス (C 57BL/6と DBAZ2との F 1) を用いて樹立したものなども良好に 用いうる。 BDF1マウスは、 採卵数が多く、 かつ、 卵が丈夫であるという利点 に加えて、 C 57 BLZ6マウスを背景に持つので、 これを用いて得られた ES 細胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C 57 BL/ 6マウスとバッククロス することでその遺伝的背景を C 57 BLZ 6マウスに代えることが可能である点 で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3.5日目の胚盤胞を使用す るが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率 よく多数の初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの ES細胞を用いてもよいが、 通常雄の ES細胞の方が生殖 系列キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減するため にもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の性 決定領域の遺伝子を増幅、 検出する方法が、 その 1例として挙げることができる 。 この方法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 106個の細胞数を要し ていたのに対して、 1コロニー程度の ES細胞数 (約 50個) で済むので、 培養 初期における E S細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能で あり、 早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減 できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンデイング法による染色 体数の確認等により行うことができる。 得られる ES細胞の染色体数は正常数の 100%が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細 胞の遺伝子をノックアウトした後、 正常細胞 (例えば、 マウスでは染色体数が 2 n = 40である細胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体発 生できる能力を失いやすいので、 注意深く継代培養することが必要である。 例え ば、 S TO繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F (1- 1000 OU/m'l) 存在下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 5%炭酸ガス、 95%空気ま たは 5%酸素、 5%炭酸ガス、 90 %空気) で約 37 °Cで培養するなどの方法で 培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン ZEDTA溶液 (通常 0. 001— 0 . 5%トリプシン Z0. 1— 5mM EDTA、 好ましくは約 0. 1 %トリプシ ン /ImM EDTA) 処理により単細胞化し、 新たに用意したフィーダ一細胞 上に播種する方法などがとられる。 このような継代は、 通常 1一 3日毎に行なう が、 この際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその 培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または細 胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、 頭頂筋、 内臓筋、 心筋などの種 々のタイプの細胞に分化させることが可能であり 〔M. J. Evans及び M. H. Kaufm an, ネィチヤ一 (Nature) 第 292巻、 154頁、 1981年; G. R. Martin プロシ一デ ィングス ·ォブ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス ·ュ一エスェ一 ( Proc. Natl. Acad. Sci. USA) 第 78巻、 7634頁、 1981年; T. C. Doetschmanら、 ジャーナル ·ォブ ·ェンブリオロジ一 ·アンド ·ェクスペリメンタル ·モルフォ 口ジ一、 第 87巻、 27頁、 1985年〕 、 本発明の E S細胞を分化させて得られる本発 明の DNA発現不全細胞は、 インビト口における本発明のタンパク質の細胞生物 学的検討において有用である。
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 該動物の mRN A量を公知方法を 用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別する ことが可能である。
該非ヒ卜哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製し たターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、 導 入により夕ーゲッティングベクタ一の本発明の D N Aが不活性化された D N A配 列が遺伝子相同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の 本発明の D NAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の D NAを ノックアウトさせることができる。
本発明の D NAがノックアウトされた細胞は、 本発明の D NA上またはその近 傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ一ション解析またはター ゲッティングベクター上の D N A配列と、 夕一ゲッティングベクターに使用した マウス由来の本発明の D N A以外の近傍領域の D N A配列とをプライマ一とした P C R法による解析で判定することができる。 非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた 場合は、 遺伝子相同組換えにより、 本発明の D NAが不活性化された細胞株をク ローニングし、 その細胞を適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒト哺乳動物胚ま たは胚盤胞に注入し、 作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮 に移植する。 作出された動物は正常な本発明の D N A座をもつ細胞と人為的に変 異した本発明の D NA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。 該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明の D NA座をもつ場合、 この ようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全ての 組織が人為的に変異を加えた本発明の D N A座をもつ細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラーの判定等により選別することにより得られる。 このように して得られた個体は、 通常、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体であり、 本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、 それらの産仔から本発 明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション法 で D N A溶液を注入することにより夕一ゲッティングベクタ一を染色体内に導入 したトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトランスジ エニック非ヒト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の D NA座に 変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明の D N Aがノックアウトされている個体は、 交配により 得られた動物個体も該 D NAがノックアウトされていることを確認して通常の飼 育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不活化 D NAの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 D NAを 相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得しうる。 得られたホモザィゴ —ト動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1, ホモザィゴート複数になるような 状態で飼育することにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴート動物の 雌雄を交配することにより、 該不活化 D N Aを有するホモザィゴ一トおよびへテ ロザィゴ一卜動物を繁殖継代する。
本発明の D NAが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D NA 発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の D NA発現不全非ヒ卜哺乳動物は、 本発明のタンパク質により 誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明のタンパク質の生物活性の 不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これらの疾病の原因究明及 び治療法の検討に有用である。
( 7 a ) 本発明の D NAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防効 果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明の D NA発現不全非ヒ卜哺乳動物は、 本発明の D NAの欠損や損傷など に起因する疾病、 例えば、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨折 、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟 骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂) 、 骨粗 鬆症などの疾患に対して治療 ·予防効果を有する化合物のスクリーニングに用い ることができる。
すなわち、 本発明は、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を 投与し、 該動物の変化を観察 ·測定することを特徴とする、 本発明の D NAの欠 損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物またはその 塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳
動物としては、 前記と同様のものが挙げられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合 成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿などが 挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。
具体的には、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物を、 試験化合物で処理し 、 無処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状などの変化を 指標として試験化合物の治療 ·予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注射 などが用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質などにあわせて適宜選択す ることができる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質な どにあわせて適宜選択することができる。
例えば、 G L I 1遺伝子発現不全に起因して起こるような軟骨損傷治癒不全に 対して治療 ·予防効果を有する化合物をスクリーニングする場合、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物に骨 ·軟骨損傷処置 (例えば、 骨折など) を行ない、 骨 ·軟骨損傷処置前または処置後に試験化合物を投与し、 該動物の軟骨分化マ一 カーの発現量、 体重変化などを経時的に測定する。
該スクリーニング方法において、 試験動物に試験化合物を投与した場合、 該試 験動物の軟骨分化マーカーが約 1 0 %以上、 好ましくは約 3 0 %以上、 より好ま しくは約 5 0 %以上上昇した場合、 該試験化合物を軟骨損傷に対して治療 ·予防 効果を有する化合物として選択することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物 から選ばれた化合物であり、 本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによって引 き起こされる疾患、 例えば、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨 折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂) 、 骨 粗鬆症などの疾患に対して治療 ·予防効果を有するので、 該疾患に対する安全で 低毒性な治療 ·予防剤などの医薬として使用することができる。 さらに、 上記ス クリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができ
る。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例アル カリ金属) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好 ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水 素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フ マル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸 、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、,前記 した本発明のタンパク質の活性を調節する化合物を含有する医薬と同様にして製 造することができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 (例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で該化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 kgとして) においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜; L 0 Omg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omg投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象 、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で該化合物を 注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合、 一日につき該化合物 を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜2 Omg程度、 より好まし くは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の 動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与することができる。
(7 b) 本発明の DNAに対するプロモーターの活性を促進する化合物をスクリ 一二ング方法
本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の DNAに対するプ ロモ一ターの活性を促進する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す
る。
上記スクリーニング方法において、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物と しては、 前記した本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、 本発明の D NAがレポ一夕一遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポ一夕一遺伝 子が本発明の D N Aに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられ る。
試験化合物としては、 前記と同様のものが挙げられる。
レポ一夕一遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 /3—ガラクトシダ ーゼ遺伝子 (1 a c Z) 、 可溶性アルカリフォスファタ一ゼ遺伝子またはルシフ エラ一ゼ遺伝子などが好適である。
本発明の DN Aをレポーター遺伝子で置換された本発明の DNA発現不全非ヒ ト哺乳動物では、 レポ一夕一遺伝子が本発明の D N Aに対するプロモーターの支 配下に存在するので、 レポ一夕一遺伝子がコードする物質の発現をトレースする ことにより、 プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、 本発明のタンパク質をコードする DNA領域の一部を大腸菌由来の ]3 —ガラクトシダーゼ遺伝子 (1 a c Z) で置換している場合、 本来、 本発明の夕 ンパク質の発現する組織で、 本発明のタンパク質の代わりに jS—ガラクトシダ一 ゼが発現する。 従って、 例えば、 5—ブロモ—4—クロロー 3—インドリル一 /3 一ガラクトピラノシド (X— g a l) のような /3—ガラクトシダーゼの基質とな る試薬を用いて染色することにより、 簡便に本発明のタンパク質の動物生体内に おける発現状態を観察することができる。 具体的には、 本発明のタンパク質欠損 マウスまたはその組織切片をダルタルアルデヒドなどで固定し、 リン酸緩衝生理 食塩液 (PBS) で洗浄後、 X— g a 1を含む染色液で、 室温または 37°C付近 で、 約 30分ないし 1時間反応させた後、 組織標本を ImM EDTA/PBS 溶液で洗浄することによって、 ]8—ガラクトシダ一ゼ反応を停止させ、 呈色を観 察すればよい。 また、 常法に従い、 1 a c Zをコードする mRNAを検出しても よい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した試 験化合物から選ばれた化合物であり、 本発明の DN Aに対するプロモーター活性
を促進または阻害する化合物である。
該スクリ一ニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸) や塩基 (例、 有機酸) な どとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この 様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレ イン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスル ホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明の D NAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、 本発明のタンパク質の発現を促進し、 該タンパク質の機能を促進することができ るので、 例えば、 骨 ·軟骨疾患、 例えば整形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性 関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 骨形成不全症、 軟骨無形成 症などの先天性骨 ·軟骨疾患) 、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂) 、 骨粗鬆症など の疾患などに対する安全で低毒性な治療 ·予防剤などの医薬として有用である。 該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のタンパク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造すること ができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 (例えば、 ヒト、 ラッ卜、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどによ り差異はあるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で本発明の D NAに対するプロモ 一夕一活性を促進する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 6 0 k g として) においては、 一日につき該化合物を約 0 . l〜1 0 0 m g、 好ましくは 約 1 . 0〜5 O m g、 より好ましくは約 1 . 0〜 2 0 m g投与する。 非経口的に 投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異 なるが、 例えば、 軟骨損傷の治療目的で本発明の D N Aに対するプロモーター活 性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O k gとして) に投与する場合 、 一日につき該化合物を約 0 . 0 1〜3 O m g程度、 好ましくは約 0 . 1〜2 0
m g程度、 より好ましくは約 0 . 1〜1 O m g程度を静脈注射により投与するの が好都合である。 他の動物の場合も、 6 O k g当たりに換算した量を投与するこ とができる。
このように、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D NAに対 するプロモーターの活性を促進する化合物またはその塩をスクリーニングする上 で極めて有用であり、 本発明の D NA発現不全に起因する各種疾患の原因究明ま たは予防 ·治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、 本発明のタンパク質のプロモーター領域を含有する D NAを使って、 そ の下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、 これを動物の卵細胞に注 入していわゆるトランスジエニック動物 (遺伝子移入動物) を作成すれば、 特異 的にその夕ンパクを合成させ、 その生体での作用を検討することも可能となる。 さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、 これが発現 するような細胞株を樹立すれば、 本発明のタンパク質そのものの体内での産生 能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使 用できる。 また該プロモータ一部分を解析することにより新たなシスエレメント やそれに結合する転写因子を見つけることも可能である。
本明細書および図面において、 塩基やアミノ酸等を略号で表示する場合、 I U P A C - I U B Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるい は当該分野における慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミ ノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものと する。
D NA デォキシリポ核酸
c D NA 相補的デォキシリポ核酸
A アデニン
T チミン
G グァニン
C
R NA リポ核酸
mRNA リポ核酸
G 1 y
A 1 a ァラニン
Va 1
Leu
I 1 e イソロイシン
S e r セリン
Th r スレオニン
Cy s
Me t メチォニン
G 1 u グル夕ミン酸
As p ァスパラギン酸
L y s リジン
A r g アルギニン
H i s ヒスチジン
P h e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
T r p トリブトファン
P r o プロリン
A s n ァスパラギン
G 1 n グルタミン
p G 1 u ピログルタミン酸 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
[配列番号: 1 ]
G 1 i 1 mRNAの量を測定する際に使用できる PCR用プライマ一を示す (実施例 4および 5)
[配列番号: 2]
G 1 i 1 mRNAの量を測定する際に使用できる PCR用プライマーを示す
(実施例 4および 5)
[配列番号: 3]
マウス G 1 i 1 cDN Aの取得のために使用したプライマ一を示す。
[配列番号: ]
マウス G 1 i 1 cDN Aの取得のために使用したプライマ一を示す。
[配列番号: 5]
実施例 1、 2および 4の RT— PCRで使用したプライマーを示す。
[配列番号: 6]
実施例 1、 2および 4の RT— PCRで使用したプライマーを示す。
[配列番号: 7]
実施例 3の RT P C Rで使用したプライマーを示す。
[配列番号: 8]
実施例 3の RT PCRで使用したプライマ一を示す。
[配列番号: 9]
マウス G i 1遺伝子 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号 10]
マウス G i 1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
[配列番号 11]
ヒ卜 G 1 1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
[配列番号 12]
ヒ卜 G 1 1遺伝子 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号 13]
ヒ卜 G 1 1変異タンパク質 1のァミノ酸配列を示す。
[配列番号 14]
ヒ卜 G 1 1変異遺伝子 1 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号 15]
ヒ卜 G 1 1変異タンパク質 2のァミノ酸配列を示す。
[配列番号 16]
ヒ卜 G 1 1変異遺伝子 2 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号: 17]
ヒト Gl i 1変異タンパク質 3のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 18]
ヒ卜 Gl i 1変異遺伝子 3 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号: 19]
マウス Gl i 3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 20] . マウス Gl i 3遺伝子 (cDNA) の塩基配列を示す。
[配列番号: 21]
ヒト Gl i 3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 22]
ヒト G l i 3遺伝子 (cDNA) の塩基配列を示す。 実施例
以下に、 実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明はそれらに限定 されるものではない。 なお、 大腸菌を用いての遺伝子操作は、 モレキユラ一 .ク ローニング (Molecular Cloning) に記載されている方法に従い、 各種キット類 の使用法は添付されているマニュアルに従った。 まず実施例に用いた G 1 i 1および S c 1 e r a X i s発現べクタ一の作製方 法、 細胞培養条件、 遺伝子導入法を以下に示す。
CG 1 i 1発現べクタ一の調製〕
マウス 19日胎児ライブラリ一より配列番号: 3および 4に示すプライマーを 使用し、 PfuTurbo(Stratagene)DNA polymerase を用いて P C R法にてマウス G 1 i 1 cDNAを得た。 得られた断片は pCRb 1 un t (Invitrogen) べク ターにクローニング後、 塩基配列を決定した。 その結果、 得られた遺伝子は公知 のマウス遺伝子である AF 026305とはアミノ酸レベルで 24個、 また AB 025922とは同じく 2個の異なる配列を有していた 〔DNA配列:配列番号
: 9 (マウス G 1 i 1遺伝子の塩基配列は具体的には配列番号: 9の第 213番 目の Aから第 3545番目の Cまでの塩基配列) 、 タンパク質のアミノ酸配列: 配列番号: 10および図 1〕 。 次にこのべクタ一を No t I、 H i n d I I Iで 消化し、 pcDNA3. 1 (Invitrogen) に G 1 i 1断片をサブクロ一ニングす ることによつて動物細胞発現べクターを調製した。
CS c 1 e r a X i s発現べクタ一の調製〕
S c 1 e r a X i sは骨 ·軟骨分化に関与することが報告されているが (Liu, Y . et al. J. Biol. C em. (1997) 272, 29880-29885), その機能の詳細は不明な ところが多い転写因子である。 マウスライブラリーより PCR法にてマウス S c 1 e r a X i s c D NAを得た。 得られた断片は p C R b 1 u n t (Invitroge n) ベクタ一にクローニング後、 B amH I— Xh o Iで消化し、 pcDNA3 . 1 (Invitrogen)に Sc l e r ax i s断片をサブクローニングすることによつ て動物細胞発現べクタ一を調製した。
〔細胞培養法〕
マウス繊維芽細胞株 C 3 H 10 T 1 Z 2株、 およびマウス筋芽細胞種 C 2 C 1 2は ATCCより購入し、 10% FBSを含む DMEM (GI BCO) にて培 養した。 ヒ卜正常軟骨細胞は東洋紡より購入しヒト正常軟骨細胞培養キッ卜に含 まれる Chondrocytes growth mediumを用い、 細胞培養ディッシュ (Fa l c on ) で培養した。 なお、 この細胞はディッシュで培養しているため脱分化しており 、 軟骨細胞マ一カーである I I型 Bコラーゲン遺伝子は発現しなくなつている。
〔遺伝子導入法〕
ゥエルあたり約 15万個の細胞を 24ゥエルプレートに播き、 翌日上記発現べ クタ一と Fugene6 (ベーリンガー) を混和し、 各種細胞に添加することによって トランスフエクシヨンした。
〔化合物添加法〕
ゥエルあたり約 20万個の細胞を 24ゥエルプレートに播き、 2時間後、 ジメ チルスルフォキシド (DMSO) に溶解した 9- (2- Tetrahydrofury adenine (T HFA) を添加した。 最終 DMSO濃度は 0. 1% (v/v) 以下とした。 〔発現量比較〕
トランスフエクシヨン、 あるいは化合物添加後 2日目に RNeasy mini kit (Qia gen) を用いて RNAを抽出し、 message clean kit (genhunter) で DNas e 処理した後、 RNAPCR kit (Takara) に従い RT— P CRを行った。 反応後、 ァ ガロースゲルにて電気泳動し、 Gel image (Genomic solutions) を用いて目的の バンドの比較を行った。 実施例 1 G l i 1発現ベクター導入によるマウス C3H10T1Z2細胞の軟 骨分化に及ぼす影響
G 1 i 1発現べクタ一または p c DNA3. 1を C 3H 10 T 1 / 2細胞株に トランスフエクシヨン後, 2日目に配列番号: 5および 6に示すプライマーを用 いて RT— P CRを行ったところ軟骨分化のマーカ一である I I型 Bコラーゲン 遺伝子 (Co 12 a l) の発現が、 ベクター pcDNA3. 1 (Invitrogen) を 導入した場合を 1とすると G 1 i lを導入すると 3. 0を示した。 また、 この時 同時に Sonic hedgehog, Indian hedgehogおよび S c 1 e r a x i sの発現を見 たが、 全く発現を認めなかった。 実施例 2 G 1 i 1発現ベクター導入によるマウス C2C 12細胞の軟骨分化に 及ぼす影響
G 1 i 1発現べクタ一または p c DNA3. 1を C 2 C 12細胞株にトランス フエクシヨン後 2日目に配列番号: 5および 6に示すプライマーを用いて RT— PCRを行ったところ、 この細胞はベクター p CDNA3. 1を導入した場合 C o 12 a 1を全く発現していなかつたのに対し、 G l i l遺伝子を導入すること によって C o 12 a 1の発現を認めた。
実施例 3 G l i 1発現ベクター導入による脱分化型ヒ卜正常軟骨細胞の再分化 に及ぼす影響
G 1 i 1発現ベクターまたは p CDNA3. 1を脱分化型ヒト正常軟骨細胞に トランスフエクシヨン後 2日目に配列番号: 7および 8に示すプライマーを用い て RT— PCRを行ったところ、 この細胞はべクタ一 p cDNA3. 1を導入し た場合 COL 2 A1を全く発現していなかつたのに対し、 G l i 1遺伝子を導入 することによって COL 2 A1の発現を認めた。 実施例 4 マウス C3H10T 1Z2細胞の軟骨分化に及ぼす S c 1 e r ax i s遺伝子の発現による軟骨分化に及ぼす効果
マウス C3H10T 1X2細胞の軟骨分化に及ぼす G 1 i 1以外の転写因子の 発現による軟骨分化に及ぼす効果を見るために、 S c 1 e r ax i s遺伝子をト ランスフエクシヨンした。 トランスフエクシヨン 2日目に配列番号: 5および 6 に示すプライマーを用いて RT_ PC Rを行ったところ軟骨分化のマーカーであ る I I型 Bコラーゲン遺伝子 (Co 1 2 a 1) の発現が、 ベクター p cDNA3 . 1を導入した場合の約 2倍向上していた。 この時同様に S c 1 e r a X i sit 伝子発現による G l i 1遺伝子の発現を配列番号: 1および 2に示すプライマー を用いて見たところ p CDNA3. 1を導入した場合の約 2. 5倍向上している ことがわかった。
このことは S c 1 e r ax i sの軟骨分化に対する効果は G 1 i 1の発現上昇 に起因することを示唆しているが、 Sonic hedgehogおよび Indian hedgehogはこ の条件ではいずれも発現しておらず、 S c 1 e r ax i sはヘッジホッグを介さ ずに G l i 1を誘導しうることがわかった。 即ちヘッジホッグタンパク質を用い なくとも G l i 1を介した軟骨分化を誘導しうることが明らかとなった。 実施例 5 G 1 i 1発現を誘導する低分子化合物の探索
C3H10T1Z2細胞を用いて G 1 i 1発現を誘導する低分子化合物を探索 した。 その結果、 9- (2-Tetraiiydrofuryl) adenine (THFA) を 500 /iMで添加 すると 2日後には G l i 1遺伝子の発現は DM SO添加時に比べ約 2. 3倍向上
していることが配列番号: 1および 2に示すプライマーを使用した R T— P C R にてわかった。
この時 C o 1 2 a 1の発現も約 2 . 3倍向上していた。 この場合も S c l e r a x i sや Sonic hedgehog, Indian hedgehogの発現は認められず、 TH F Aの 軟骨分化誘導効果はヘッジホッグタンパクを介さずに G 1 i 1を誘導することに 起因していることがわかった。 以上の結果より、 G l i 1の発現の増減を指標として選択される化合物は骨- 軟骨疾患予防、 治療薬として有望であることが判明した。
また上記の実験はマウスの遺伝子を用いて実施されたが、 ヒトの遺伝子とマウ スの遺伝子には非常に高い相同性があることは既知であり、 ヒ卜の遺伝子を用い てもこれらの結果と同様の結果が得られることは容易に予測できる。 産業上の利用可能性
G 1 i 1遺伝子またはその産物は骨あるいは軟骨分化誘導活性をするため、 整 形外科領域の疾患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損 傷、 外傷、 腫瘍摘出などによる骨、 軟骨欠損部の再生、 脊椎固定術、 脊柱管拡大 術などの骨再建、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) また は、 歯科領域の疾患 (例、 口蓋裂、 下顎骨再建術、 歯槽堤形成術などの骨再建) 、 さらには骨粗鬆症などの予防 ·治療剤として用いることができる。 また、 美容 外科領域における骨移植の治療剤としても用いることができるし、 再生医療にお ける自家移植の際の分化誘導剤としても利用できる。
また、 G l i 1タンパク質等を用いたスクリーニング方法、 G l i 1遺伝子を 発現する能力を有する細胞を用いたスクリーニング方法またはレポ一夕一遺伝子 発現形質転換体を用いたスクリーニング方法は、 G l i 1遺伝子の発現を制御 ( 促進または阻害) する活性を有する化合物、 G l i 1遺伝子のプロモー夕一もし くはェンハンサ一の活性を制御 (促進または阻害) する作用を有する化合物、 骨 ,軟骨分化調節 (促進または阻害) 作用を有する化合物、 またはそれらの塩の探 索に用いることができる。
このような化合物を用いて G 1 i 1遺伝子またはその産物の作用 (例、 転写活 性) を増強または活性化することによって骨 ·軟骨分化を誘導することができる 上記スクリーニングにより得られうる G 1 i 1遺伝子の発現を促進する活性を 有する化合物などは骨、 あるいは軟骨誘導活性を有するため、 整形外科領域の疾 患 (例、 骨折、 変形性関節症、 骨関節炎、 半月板損傷等の軟骨損傷、 外傷、 腫瘍 摘出などによる骨、 軟骨欠損部の再生、 脊椎固定術、 脊柱管拡大術などの骨再建 、 骨形成不全症、 軟骨無形成症などの先天性骨 ·軟骨疾患) または、 歯科領域の 疾患 (例、 口蓋裂、 下顎骨再建術、 歯槽堤形成術などの骨再建) 、 さらには骨粗 鬆症などの予防 ·治療剤として用いることができる。 また、 美容外科領域におけ る骨移植の治療剤としても用いることができるし、 再生医療における自家移植の 際の分化誘導剤としても利用できる。
一方、 上記スクリーニングにより得られうる G 1 i 1遺伝子の発現を阻害する 活性を有する化合物や G l i 1遺伝子のアンチセンス D NAなどは、 例えば骨 · 軟骨形成過剰症の予防 ·治療剤として用いることができる。