明 細 書 重合性リン酸エステル及びその製造方法 技術分野 本発明は、 重合性リン酸エステル及びその製造方法に関する t 背景技術 一般に、 重合性リン酸エステルは、 金属との親和性が強く、 かつ他のビニル系 モノマーとの共重合性を有することから、 金属への密着性の向上、 防鲭効果や難 燃性などの機能付与を目的に、 塗料、 コーティング剤、 接着剤等のベース樹脂改 質用モノマーとして使用されている。
かかる重合性リン酸エステルの製造方法としては、 例えば、 次の 2つの方法が 知られている (高分子加工, 3 9巻, 2号, 3 8〜 3 9頁 (1 9 9 0 ) ) 。
( 1 ) ォキシ塩化リンを用いる方法
ヒドロキシアルキル (メタ) ァクリレートとォキシ塩ィ匕リンとを反応させてホ スホリルクロライド中間体を得る。 この際、 反応系の粘度を低下させ、 且つ反応 熱を蒸発潜熱として除去する目的で揮発性溶剤が用いられる。 該揮発性溶剤とし ては、 塩化メチレン、 ベンゼン、 トルエン等の非プロトン性の溶剤に限られる。 次に加水分解することにより重合性リン酸エステル粗物を得る。 この際、 副生す る塩化水素を捕捉する目的で、 通常、 ピリジン、 トリェチルァミン、 水酸化ナト リウム等の塩基性化合物が用いられる。 その後、 水による洗浄や溶剤抽出により 副生した塩類を除去した後、 加熱、 減圧下に揮発性溶剤等を留去して目的物を得 る。
( 2 ) 五酸化リンを用いる方法
ヒドロキシアルキル (メタ) ァクリレートと五酸化リンとを反応させてピロリ
ン酸エステル中間体を得る。 この際、 反応系の粘度を低下させ、 反応熱を蒸発潜 熱として除去する目的で揮発性溶剤を併用するが、 適用可能な揮発性溶剤として はベンゼン、 トルエン等の非プロトン性の溶剤に限られる。 次に加水分解した後、 加熱、 減圧下に揮発性溶剤等を留去して目的物を得る。
しかしながら、 これらの製造方法では、 P— C 1結合や P— O— P (ピロリン 酸) 結合の加水分解の工程が必要であり、 その際、 目的とする生成物のエステル 結合も一部加水分解を受けて (メタ) アクリル酸が副生する。 更に、 ォキシ塩化 リンを用いる方法では、 重合性リン酸エステル中に微量の塩素が残留する。
これらの製造方法で得られる (メタ) アクリル酸又は塩素が残留した重合性リ ン酸エステルを塗料、 コーティング剤、 接着剤等のベース樹脂改質用モノマ一と して適用した場合、 下地や周辺の金属部材を腐食し、 所期の防鲭性能が得られな くなる。
また、 これらの製造方法では、 揮発性溶剤や副生した (メタ) アクリル酸等を 除去する目的で加熱や減圧 (脱溶剤工程) の条件を厳しくするため、 重合反応を 起こし易く、 製品中に濁りや固形物を生じたり、 また、 重合反応がさらに進めば 反応装置の内容物がゲル化してしまう危険性を有する。
一方、 異常重合を抑制しつつ脱溶剤工程の条件を緩やかにすると揮発性溶剤の 除去が不完全になる。 揮発性溶剤が残留したかかる重合性リン酸エステルを塗料、 コーティング剤、 接着剤等に適用する場合には、 塗装物品や接着製品からベンゼ ンゃトルエン等の残留溶剤が揮発し、 特に居住空間、 自動車内等の密閉された空 間における空気汚染を惹起し、 安全衛生性を低下させる。 又、 食品、 医薬品、 ェ レクトロニクス材料等を取り扱う産業分野においては、 残留揮発性溶媒が、 製品 等の汚染や品質不良の原因となる等の悪影響を引き起こす。
このため、 残留する揮発性溶剤の含有量が、 5 0 p p m以下、 好ましくは 1 0 p p m以下であり、 且つ、 (メタ) アクリル酸や塩素といった腐食性不純物の含 有量が、 1重量%以下、 好ましくは 0 . 1重量%以下である重合性リン酸エステ ルが強く要望されている。 しかし、 一般式 (1 ) で表される化合物を含有する重 合性リン酸エステルであって、 揮発性溶剤含有量が 5 0 ppm以下であり、 且つ、 (メタ) アクリル酸含量が 1重量%以下であるものは従来得られていない。
発明の開示 本発明は、 揮発性溶剤及び塩素を実質上含まず、 且つ、 副生するアクリル酸や メタクリル酸などの重合性有機酸の含有量が一定水準以下の従来知られていなか つた重合性リン酸エステル、 及び異常重合を起こすことなく安全かつ簡便な工業 的に優れた該重合性リン酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 重合性リン酸エステ ルを製造するに際し、 反応溶媒として、 揮発性溶剤を使用する代わりに該重合性 リン酸エステルを使用し、 ポリリン酸とヒドロキシアルキル— —置換ァクリレ ートとを反応させることにより、 重合性有機酸の副生や異常重合を抑制できるこ と、 その結果、 揮発性溶剤の含有量が 5 0 p p m以下であり、 且つ、 重合性有機 酸の含有量が 1重量%以下である該重合性リン酸エステルを製造できることを見 出し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明は、 次の重合性リン酸エステル及びその製造方法を提供するもの である。
項 1 一般式 (1 )
[式中、 R 1は水素又は炭素数 1〜4のアルキノレ基を示す。 R 2は直鎖状又は分 岐鎖状の炭素数 2〜 6のアルキレン基を示す。 nは 1又は 2の整数を示す。 ] で表される少なくとも 1種の化合物を含有する重合性リン酸エステルであって、 該重合性リン酸エステル重量を基準として、 常圧下での沸点が 5 0〜2 0 0 °Cの 範囲にある揮発性溶剤の含有量が 5 0 D p m以下であり、 且つ、 一般式 (2 )
R O
II
CH2 c OH (2)
[式中、 R 1は水素又は炭素数 1〜4のアルキル基を示す。 ]
で表される重合性有機酸の含有量が 1重量%以下であることを特徴とする重合性 リン酸エステル。
項 2 —般式 (1 ) において、 R 1が水素である上記項 1に記載の重合性リ ン酸エステル。
項 3 —般式 (1 ) において、 R 1が水素、 R 2がエチレン基である上記項 1に記載の重合性リン酸エステル。
項 4 上記項 1記載の重合性リン酸エステルの製造方法であって、 反応溶媒 として該重合性リン酸エステルを用い、 ポリリン酸と
一般式 (3 )
R3 o
CH2 = C— C— O— R4— OH (3)
[式中、 R 3は水素又は炭素数 1〜4のアルキル基を示す。 R 4は直鎖状又は分 岐鎖状の炭素数 2〜6のアルキレン基を示す。 ]
で表される少なくとも 1種のヒドロキシアルキル— α—置換ァクリレートとをェ ステル化反応させることを特徴とする製造方法。 項 5 . ポリリン酸が、 リン酸含量 1 1 4〜1 1 8重量%のものである上記項 4 に記載の製造方法。 項 6 . 重合性リン酸エステルにポリリン酸を溶解させてなるポリリン酸溶液に、
一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキル一 α—置換ァクリレートを少量ずつ 添加するか、 又は、 重合性リン酸エステルに一般式 (3) で表されるヒドロキシ アルキル一 α—置換ァクリレ一トを溶解させてなる溶液に、 ポリリン酸を少量ず つ添加する上記項 4又は項 5に記載の製造方法。 項 7. ポリリン酸溶液中の未反応ポリリン酸の濃度、 又は、 重合性リン酸エス テルに一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキル _ α—置換ァクリレートを溶 解させてなる溶液中の一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキル— α—置換ァ クリレートの濃度が、 50重量%を越えない上記項 6に記載の製造方法。 項 8. ポリリン酸 1当量に対して、 一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキ ルー a—置換ァクリレートが、 0. 2モル〜 1. 2モルの量で使用される上記項 4〜 7のいずれかに記載の製造方法。 項 9. エステル化反応を、 重合禁止剤の存在下で行う上記項 4〜 8のいずれか に記載の製造方法。 項 10. エステル化反応を、 酸素含有気体を反応液中に吹き込みながら行う上 記項 9に記載の製造方法。 項 1 1. 一般式 (3) で表される化合物が、 一般式 (4)
0
CH2 CH—— C一 O— R5 — OH (4)
[式中、 R5は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数 2〜6のアルキレン基を示す。 ] で表されるヒドロキシアルキルァクリレートである上記項 4〜10のいずれ力、 記載の製造方法。
項 12. —般式 (4) で表される化合物が、 2—ヒドロキシェチルァクリレー トである上記項 11に記載の製造方法。 項 13. 上記項 4〜12のいずれかに記載の方法により製造することができる 重合性リン酸エステル。 項 14. 一般式 (1)
[式中、 R1は水素又は炭素数 1〜4のアルキル基を示す。 R2は直鎖状又は分 岐鎖状の炭素数 2〜6のアルキレン基を示す。 nは 1又は 2の整数を示す。 ] で表される少なくとも 1種の化合物を含有する重合性リン酸エステルであって、 該重合性リン酸エステル重量を基準として、 常圧下での沸点が 50〜200°Cの 範囲にある揮発性溶剤の含有量が 50 ppm以下であり、 且つ一般式 (2)
[式中、 R1は水素又は炭素数 1〜4のアルキル基を示す。 ]
で表される重合性有機酸の含有量が 1重量%以下であり、 上記項 4〜12のいず れかに記載の方法により製造することができることを特徴とする重合性リン酸ェ ステル。
発明の詳細な記載 重合性リン酸エステル
一般式 (1 ) で表される化合物を含有する重合性リン酸エステルは、 R 1が、 水素又は炭素数 1〜4のアルキル基であり、 R 2が、 エチレン基、 トリメチレン 基、 プロピレン基、 ェチルエチレン基、 テトラメチレン基、 ペンタメチレン基、 へキサメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数 2〜 6のアルキレン基であり、 nが 1又は 2の化合物を、 少なくとも 1種含有する化合物ないし混合物である。 そして、 これらの化合物のうち、 特に、 他のビニル系モノマーとの共重合性及 ぴ実用性を重視する場合には、 R 1が水素である化合物が好ましい。 また、 R 1 が水素であり、 R 2がエチレン基 (― C H2— C H2—) である化合物がさらに好 ましい。
本発明に係わる揮発性溶剤としては、 該揮発性溶剤の常圧下での沸点が、 5 0 〜2 0 0 °Cの範囲にある揮発性有機化合物であり、 具体的には、 へキサン、 ヘプ タン、 ノナン、 デカン等の脂肪族炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 ェチルベンゼン、 1 , 3, 5—トリメチルベンゼン、 1, 2 , 4—トリメチルベ ンゼン、 1, 2 , 3—トリメチルベンゼン、 p—ジクロ口ベンゼン等の芳香族炭 化水素類、 クロ口ホルム、 トリクロロエチレン、 テトラクロロエチレン、 1 , 1, 1一トリクロロェタン、 1, 2—ジクロロェタン、 1, 2—ジクロ口プロパン等 のハロゲン含有炭化水素類、 ジメトキシェタン、 テトラヒドロフラン等のェ一テ ル類、 酢酸ェチル、 酢酸ブチル等のエステル類、 及びメチルェチルケトン、 メチ ルイソブチルケトン等のケトン類、 及び n—ブタノール、 n—へキサノール等の アルコール類が例示される。
本発明の重合性リン酸エステルは、 上記揮発性溶剤の含有量が低減されており、 通常 5 O p p m以下、 特に 2 O p p m以下、 好ましくは 1 0 p p m以下である。 従って、 本発明の重合性リン酸エステルは、 残留溶剤の揮発に伴う従来の問題、 例えば、 閉鎖空間での安全衛生の低下の問題、 食品、 医薬品、 エレクトロニクス 材料等の分野における製品の汚染、 品質低下等の問題を有しない。
本発明に係わる一般式 (2 )
R O
I I
CH2= C— cC— OH (2)
[式中、 R 1は水素又は炭素'数 1〜4のアルキル基を示す。 ]
で表される重合性有機酸としては、 具体的には、 アクリル酸、 メ夕クリル酸、 α -ェチルァクリル酸、 α— η—プチルァクリル酸等が例示される。
本発明の重合性リン酸エステルは、 上記重合性有機酸の含有量も低減されてお り、 通常 1重量%以下、 特に 0 . 2重量%以下、 好ましくは 0 . 1重量%以下で ある。 このため、 本発明の重合性リン酸エステルは、 従来の重合性リン酸エステ ルとは異なり、 重合性有機酸に起因する金属部材の腐食を実質上起こさないとい う利点を有する。
また、 本発明では、 後述する製造法についての記載から明らかなように、 塩素 含有原料を全く使用しないため、 本発明の重合性リン酸エステルは塩素の含有量 も極めて低く、 実質上塩素を含んでいない。 従って、 塩素に起因する金属部材の 腐食を実質上起こさないという利点をも有する。 本発明の重合性リン酸エステルの製造方法
<ポリリン酸 >
本発明にかかる重合性リン酸エステル製造方法において、 原料として用いられ るポリリン酸は、 特に限定されるものではないが、 化学式
H (k + 2 ) P k O ( 3 k + 1 )
[式中、 kは 2以上の整数であり、 特に 3〜 6である。 ]
で表される化合物が推奨される。 工業的に入手可能なポリリン酸は、 一般的に強 リン酸、 或いは縮合リン酸とも呼ばれ、 上記化学式における kの値 (縮合度) の 異なるポリリン酸の混合物である。
かかるポリリン酸は、 目的に応じて適宜選択されるが、 例えば、 重合性リン酸
エステル中の上記一般式 (1 ) で表される化合物の組成比率を高くするためには、 リン酸含有率 1 1 4重量% ( kの平均値が 3に相当) 以上のポリリン酸を用いる ことが推奨され、 一方、 作業性を重視し、 反応系の粘度を低減するためには、 リ ン酸含有率 1 1 8重量% ( kの平均値が 6に相当) 以下のポリリン酸を用いるこ とが推奨される。 従って、 本発明では、 kの平均値が 3〜6 (即ち、 リン酸含有 率 1 1 4〜1 1 8重量%) のポリリン酸を使用することが好ましい。
<一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル一 0! _置換ァクリレート >
また、 一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル _ α—置換ァクリレートと しては、 具体的には、 2—ヒドロキシェチルァクリレート、 2—ヒドロキシプロ ピルァクリレー卜、 3—ヒドロキシプロピルァクリレート、 2—ヒドロキシプチ ルァクリレ一ト、 4—ヒドロキシブチルァクリレート、 6—ヒドロキシへキシル ァクリレート、 5—ヒドロキシ— 3—メチルペンチルァクリレート等のァクリル 酸エステル類、 2—ヒドロキシェチルメタクリレート、 2—ヒドロキシプロピル メタクリレート、 3—ヒドロキシプロピルメタクリレート、 2—ヒドロキシプチ ルメタクリレート、 4ーヒドロキシブチルメタクリレート、 6—ヒドロキシへキ シルメタクリレート、 5—ヒドロキシー 3—メチルペンチルメ夕クリレート等の メタクリル酸エステル類、 及び 2—ヒドロキシェチル一 0;—ェチルァクリレート、 2—ヒドロキシェチルー α— η—プロピルァクリレート、 2—ヒドロキシェチル —α _ η—ブチルァクリレート等の α—アルキル (炭素数 2〜 4 ) 置換アクリル 酸エステル類が例示され、 夫々単独で又は 2種以上を適宜組み合わせて使用する ことが可能である。
特に、 他のビニル系モノマ一との共重合性を重視する場合には、 アクリル酸ェ ステル類、 即ち、 一般式 (3 ) において R 3 =Ηである化合物が推奨され、 中で も、 2—ヒドロキシェチルァクリレートが推奨される。
<反応溶媒 >
本発明では、 反応溶媒として本発明重合性リン酸エステルを使用するが、 最初 に使用する反応溶媒は、 本発明の重合性リン酸エステルを用いることなく製造せ
ざるを得ない。 そのために、 例えば、 少量のポリリン酸に、 一般式 (3 ) で表さ れる化合物 (好ましくは後述の重合禁止剤を含有する) をゆっくりと滴下すると 少量の重合性リン酸エステルが生成する。 このようにしてリン酸エステルが生成 すると、 これが反応溶媒として機能するので、 以後は本発明の製造法と同様の反 応系になる。
例えば、 容量 5 0 0 m 1のフラスコに 5 0 g程度のポリリン酸を仕込み、 撹拌、 空気 (酸素) の導入 (吹き込み) 、 冷却を十分に行いながら、 一般式 ( 3 ) で表 される化合物 (好ましくは後述の重合禁止剤を含有する) をゆっくり滴下する。 この反応は発熱が大きいので、 該滴下は反応系の温度を 1 2 0 °C以下、 好ましく は 1 0 0 °C以下に抑制するのに有効な速度で、 必要に応じて冷却しながら行う。 これにより、 少量の重合性リン酸エステルが生成する。 以後は、 本発明に従い、 段階的に反応物容量を増大させて反応を続ける。 こうすると、 各段階で得られる 生成物 (重合性リン酸エステル) は、 ほぼ同一組成であり、 本発明の重合性リン 酸エステルの製造用の溶媒として使用できる。
こうして、 ある量以上の本発明の重合性リン酸エステルを製造すると、 これを 反応溶媒として用いて本発明の製造法を行うことにより、 更に大量の本発明の重 合性リン酸エステルを製造でき、 更にこれを反応溶媒として本発明の製造方法に おいて用いることができる。
一般には、 反応溶媒として使用する重合性リン酸エステルを製造する際に使用 する一般式 (3 ) で表される化合物は、 当該反応溶媒を使用して本発明のエステ ル化反応に従い得られる重合性リン酸エステルを製造する際に使用する一般式
( 3 ) で表される化合物とは、 相異なっていてもよいが、 通常は、 同一であるの が好ましい。 同一とすることにより、 反応溶媒として用いる重合性リン酸エステ ルと、 本発明の製造法の生成物とが同一となるので、 両者を分離する必要がなく なる利点が得られる。
<エステル化反応 >
本発明にかかる一般式 (1 ) で表される化合物の少なくとも 1種を含有する重 合性リン酸エステルを製造するには、 反応溶媒として所望の該重合性リン酸エス
テルを用いること以外は特に限定されることはない。
本発明の製造方法において、 反応溶媒として用いる該重合性リン酸エステルの 使用量は、 ポリリン酸重量に対して、 等重量以上、 特に等重量〜 3倍重量程度が 好ましい。 等重量未満であると、 反応熱の除去が困難になる傾向が見られる。 製 造例として、 具体的には以下の方法が挙げられる。
①所望の該重合性リン酸エステルにポリリン酸を溶解してなるポリリン酸溶液 を得、 次いで、 得られたポリリン酸溶液に、 一般式 (3 ) で表されるヒドロキシ アルキル— α—置換ァクリレートを連続的若しくは間欠的に添加し、 エステル化 反応させる方法、
②一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル一ひ一置換ァクリレートに、 上 記①に記載のポリリン酸溶液を連続的若しくは間欠的に添加し、 エステル化反応 させる方法、
③所望の該重合性リン酸エステルに一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキ ルー α—置換ァクリレ一トを溶解し、 得られるヒドロキシアルキル一 α—置換ァ クリレート溶液にポリリン酸を連続若しくは間欠的に添加し、 エステル化反応さ せる方法、 などである。
上記反応方法①〜③において、 一般式 (3 ) で表される化合物中のヒドロキシ アルキル一 一置換ァクリレート残基 (一般式 (3 ) の化合物から、 一般式 ( 3 ) の右末端の水素原子を除いて得られる残基) は、 反応溶媒として使用する 重合性リン酸エステルを構成しているヒドロキシアルキル— α—置換ァクリレー ト残基と相異なっていてもよいが、 一般式 (3 ) で表される化合物は、 反応溶媒 として使用する重合性リン酸エステルを構成しているのと同一のヒドロキシアル キル一 (¾一置換ァクリレート残基を含む化合物 (以下 「反応溶媒に対応する一般 式 (3 ) の化合物」 ということがある) であるのが好ましい。
いずれの反応方法でも採用できるが、 エステル化反応の際発生する反応熱を効 率良く除去し、 且つ原料や生成物の重合反応をできるだけ抑制するには、 該ポリ リン酸溶液にヒドロキシアルキル一 α—置換ァクリレートを添加し、 エステル化 反応させる①の方法が特に好ましい。
また、 ①の方法において、 ポリリン酸を少量ずつに分割して該重合性リン酸ェ
ステルに添加してもよく、 分割添加したポリリン酸量に対して、 エステル化反応 を完結させるのに必要な量のヒドロキシアルキル一 α—置換ァクリレートを、 連 続的に若しくは間欠的に添加する操作を繰り返えしてもよい。
従って、 本発明では、 重合性リン酸エステルにポリリン酸を溶解させてなるポ リリン酸溶液に、 一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル一 —置換ァクリ レートを少量ずつ添加するか、 又は、 重合性リン酸エステルに一般式 (3 ) で表 されるヒドロキシアルキル一 一置換ァクリレートを溶解させてなる溶液に、 ポ リリン酸を少量ずつ添加することによりエステル化反応を行うことができる。 一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル一 a—置換ァクリレートを少量ず つ添加する場合の添加速度は、 適宜選択できる。 しかし、 本反応が発熱反応であ るから、 添加速度を過度に大きくすると、 発熱量が大きくなり過ぎ、 望まない重 合反応が開始される傾向がある。 従って、 一般には、 反応系の温度が 1 2 0 °C、 好ましくは 4 0〜 1 0 0 °Cに調節できるような添加速度とするのが好ましい。 上記①及び②の反応方法において、 上記ポリリン酸溶液の濃度は、 特に限定さ れるものではないが、 通常、 ポリリン酸溶液中の未反応ポリリン酸の濃度が 5 0 重量%を越えないように調節することが好ましい。 換言すると、 溶媒としての重 合性リン酸エステル 1 0 0重量部に溶解させるポリリン酸が 1 0 0重量部を超え ないように調節するのが好ましい。
反応装置は、 特に限定されるものではないが、 例えば、 攪拌槽型反応器を用い て製造することができる。 この場合、 あらかじめ添加しておく重合性リン酸エス テルとポリリン酸との合計体積は、 使用する反応装置の攪拌能力や冷却能力に応 じて適宜決定されるが、 反応器の容量の 3割程度までにすることが撹拌効率や冷 却効率の点で好ましく、 また、 重合性リン酸エステルに対するポリリン酸の使用 量は、 5 0重量%以下にすることが好ましい。 即ち、 溶媒としての重合性リン酸 エステル 1 0 0重量部に溶解させるポリリン酸が 5 0重量部を超えないように調 節するのが好ましい。
また、 上記③の反応方法においても、 一般式 (3 ) で表される化合物の溶液の 濃度は特に限定されないが、 5 0重量%以下であるのが望ましい。
一方、 ポリリン酸と一般式 (3 ) で表されるヒドロキシアルキル一 Q!—置換ァ
クリレ一卜との反応は発熱反応であるため、 例えば、 一般式 (3) で表されるヒ ドロキシアルキル一 Q!—置換ァクリレ一トを少量ずつ添加することが好ましい。 ボリリン酸 1当量に対する一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキル一 a— 置換ァクリレ一卜の使用量は、 特に限定されるものではないが、 0. 2モル〜 1. 2モル、 特に、 0. 5モル〜 1. 0モルが推奨される。 尚、 ポリリン酸 1当量は、 アポガドロ数個のリン原子を含むポリリン酸の量を示し、 ポリリン酸のリン酸含 有率 C [%] から、 計算式: (リン酸の分子量) X 100/C= 9, 800/C により算出できる。 ヒドロキシアルキル一 一置換ァクリレートの使用量が 0. 2モル未満であると、 未反応のポリリン酸が多くなる傾向にあり、 また、 1. 2 モルを越えると、 未反応のヒドロキシアルキル一 ο;—置換ァクリレートが多くな る傾向にある。
更に、 目的とする重合性リン酸エステル及び原料の一般式 (3) で表されるヒ ドロキシアルキル一 a—置換ァクリレートは、 重合性のビニル結合を有している ため、 上記反応において、 重合禁止剤を使用すると共に、 反応温度を後述の温度 範囲に制御するのが好ましい。
重合禁止剤としては、 特に限定されるものではないが、 具体的には、 ハイド口 キノン、 2, 5—ジー t e r t—ブチルハイドロキノン、 p— t e r t—ブチル 力テコ一ル、 p—メトキシフエノール、 2— t e r t—プチルー 4—メトキシフ ェノール、 2 , 6—ジー t e r t—ブチル一4—メチルフエノール等のフエノ一 ル系化合物、 フエノチアジン、 メチレンブルー等が例示される。 これらの重合禁 止剤は、 得られる重合性リン酸エステルに対し、 通常、 0. 0001重量%〜1 重量%、 好ましくは 0. 01〜0. 5重量%の範囲で使用することが推奨される。 また、 重合禁止剤は、 あらかじめ溶媒として添加しておく重合性リン酸エステ ルと後で添加するヒドロキシアルキル一 a—置換ァクリレートの両方に存在させ ておくことが好ましい。
このように、 溶媒としての重合性リン酸エステルとヒドロキシアルキル _ a— 置換ァクリレートの両方に対して重合禁止剤を使用する場合、 重合禁止剤の使用 量は、 一般式 (3) で表されるヒドロキシアルキル— 一置換ァクリレートに対 して、 通常 0001重量%~2重量%、 好ましくは 0. 01〜1重量%の範
囲で使用することが推奨される。
尚、 このエステルイ匕反応において使用した重合禁止剤は、 実質上破壌されない ので、 得られる本発明の重合性リン酸エステルにも残存し、 本発明の重合性リン 酸エステルのための重合禁止剤として働く。
更に、 これら重合禁止剤の添加とともに、 必要に応じて、 空気、 空気/窒素混 合気、 酸素 Z窒素混合気等の酸素含有気体を反応液中に吹き込むことが特に好ま しい。 かかる酸素含有気体は、 塩化カルシウム、 シリカゲル等を通じ、 又は空気 圧縮器等により水分が取り除かれていることが好ましい。
これら酸素含有気体の吹き込み速度は、 広い範囲から選択できるが、 例えば、 空気を用いる場合は、 最終目的物 (反応溶媒として用いる重合性リン酸エステル を含む) 1 k g当たり、 0 . 1〜: L 0 m 1 Zm i n程度、 特に 0 . 5〜5 m l Z m i n程度の速度とするのが好ましい。 また、 酸素含有気体の吹き込みは、 エス テル化反応の全反応時間を通して行ってもよく、 また、 反応時間のうちの一部の 時間の間に行ってもよい。
上記の反応温度は、 通常、 室温〜 1 2 0 °Cの範囲が好ましく、 4 01〜 1 0 0 :の範囲がより好ましい。 反応温度が室温より低い場合には、 反応液の粘度が高 く攪拌困難となる傾向があり、 また反応温度が 1 2 0 °Cよりも高い場合には、 重 合を抑制することが困難となる傾向がある。
また、 反応時の圧力は、 特に限定されるものではないが、 常圧もしくは加圧 (例えば、 0 . 1 0〜0 . 1 5 MPa程度) であるのが好ましい。 反応圧力が減圧 状態になると、 酸素不足等の理由により重合を起こしやすくなる傾向にある。 また、 反応時間は、 反応装置、 原料の種類や仕込量、 反応温度等に依存し、 上 記エステル化反応が完結するように適宜設定することができる。 また、 反応形式 は、 バッチ式或いは連続式のいずれでもよい。
こうして得られる反応混合物が本発明の重合性リン酸エステルであり、 該重合 性リン酸エステルは、 揮発性溶剤の含有量が 5 O p p m以下であり、 且つ、 前記 一般式 (2 ) で表される重合性有機酸の含有量が 1重量%以下である。 こうして 得られる反応混合物、 即ち、 本発明の重合性リン酸エステルは、 そのまま下記の 用途に使用できる。
かくして得られた本発明の重合性リン酸エステルは、 従来公知の重合性リン酸 エステルの用途と同様の用途に使用できる。 例えば、 かかる重合性リン酸エステ ルは、 重合性ビニル結合を有し、 他のビニル系モノマーとの共重合性が良好であ り、 かつ金属との親和性が強いため、 塗料、 コーティング剤、 接着剤等のベース 樹脂改質用モノマーとして使用できる。
特に、 紫外線又は電子線硬化型の塗料、 コーティング剤、 接着剤等のモノマー として有用であり、 用途に応じて 2—ヒドロキシェチルァクリレート、 2—ェチ ルへキシルァクリレート、 1 , 4一ブタンジォ一ルジァクリレート、 1, 6—へ キサンジオールジァクリレート、 ジエチレングリコールジァクリレート、 ネオペ ンチルダリコールジァクリレート等の市販のビニル系モノマーとともに混合使用 され、 ベンゾフエノン類、 チォキサントン類、 ひーヒドロキシアルキルフエノン 類、 ァシルフォスフィンォキサイド類等の市販の光重合開始剤を 1重量%〜 5重 量%添加して光硬化される。 このものは、 腐食性を有する不純物が 1重量%以下 に低減されているため優れた防鲭性を発揮し、 難燃性を具備し、 残存溶剤による 環境汚染が実質上無いことから、 家庭用又は厨房用金属製物品、 自動車用部材、 電子部品等の塗装や接着用途に特に適した材料となる。
また、 重合性リン酸エステル及びその重合物は、 キレート剤、 帯電防止剤、 防 曇剤、 難燃剤、 防鲭剤としても使用できる。 実施例 以下、 実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。
得られた重合性リン酸エステル中の (メタ) アクリル酸、 未反応のヒドロキシ アルキル— α—置換ァクリレ一ト及び揮発性成分の含有量は、 へッドスべ一スガ スクロマトグラフィ一により分離、 定量した。
また、 重合性リン酸エステルの比重は、 J I S K 0 0 6 1— 4及び粘度は、 J I S K 7 1 7 1 - 1に準じて測定した。
実施例 1
回転式撹拌装置、 空気吹き込み管、 ガス抜き口、 温度計を備えた 5 L槽型反応
器に、 反応溶媒として目的とする重合性リン酸エステル (p—メトキシフエノー ル (重合禁止剤) を 0. 4重量%含有) 2000 g、 ポリリン酸 (116重量% 強リン酸、 ラサ工業 (株) 製) 1000 g (11. 8当量) を仕込み、 得られる 混合物に、 空気圧縮器より空気を 5 Oml /mi nで吹き込みながら、 60°Cで 0. 5時間撹拌してポリリン酸溶液を得た。
その後、 上記反応溶媒に対応する一般式 (3) の化合物である 2—ヒドロキシ ェチルァクリレート 1374 g (11. 8mo 1 ) に p—メトキシフエノール 9. 5 gを溶解し、 得られた溶液を、 60°Cで 2時間かけて、 上記ポリリン酸溶液に 滴下し、 更に 60°Cで 1時間熟成した。
その結果、 粘度 (40°C) 8. 4P a · s , 比重 d (40°C/4°C) 1. 43 7、 アクリル酸含有量 0. 02重量%、 未反応の 2—ヒドロキシェチルァクリレ 一卜含有量 0. 3重量%、 揮発性溶剤含有量が 10 p p m以下の淡黄色透明液体 4374 gを得た。 該淡黄色透明液体は、 重合禁止剤である p—メトキシフエノ ールを 0. 4重量%含有していた。
上記の淡黄色液体が、 2—ヒドロキシェチルァクリレートのリン酸エステル、 即ち、 本発明にかかる重合性リン酸エステルであることは、 I R及び13 C— NM Rの分析結果より確認された。 即ち、 上記反応生成物は、 I R分析において、 原 料 (2—ヒドロキシェチルァクリレート) に観察される 3430 cm— 1の吸収 (〇— H結合) が消失し、 995〜1020 cm— 1に新たな吸収 (P— O— C結 合) が出現し、 13C— NMR (D20) において、 64ppm (CH2O) 、 68 ppm (CH2O) 、 127 p pm (=CH) 、 133 p pm (CH2=) 、 16 8 p pm (CO) のシグナルを示した。
尚、 上記反応溶媒として使用した重合性リン酸エステルは、 次の通り調製した。 上記と同型の 500ml槽型反応器に、 上記と同じポリリン酸 50 g (0. 59 当量) を仕込み、 p—メトキシフエノール 0. 475 gを溶解させた 2—ヒドロ キシェチルァクリレート 68. 7 g (0. 59mol) を、 撹拌下、 空気の吹き込み を 5m 1 Zm i nで行いながら滴下反応させて、 最初に使用する反応溶媒を調製 した。 該滴下の間は発熱が大きいので、 反応系の温度を 60 に保ちながら、 6 時間かけて滴下し、 滴下後さらに 60°Cで 1時間熟成した。
かくして得られた最初の反応溶媒をもとに、 本発明に従い、 段階的に反応物容 量を増大させて反応を続けた。 即ち、 上記で得られた生成物 119. 2 gが入つ た反応器に、 上記と同じポリリン酸 119 g (1. 4当量) を仕込み、 得られる 混合物に、 空気を 5 m 1 Zm i nで吹き込みながら、 60 °Cで 0. 5時間撹拌し た後、 p—メトキシフエノール 1. 13 gを溶解させた 2—ヒドロキシェチルァ クリレート 163. 5 g (1. 4mo 1 ) を、 撹拌下、 60 で 2時間かけて滴 下し、 さらに 60°Cで 1時間熟成した。
その後、 反応器中の生成物 380 gを同型の 2 L槽型反応器に移し替え、 上記 と同じポリリン酸 20 O g (2. 36当量) を仕込み、 得られる混合物に、 空気 を 20ml Zmi nで吹き込みながら、 60°〇で0. 5時間撹拌した後、 p—メ トキシフエノ一ル 1. 9 gを溶解させた 2—ヒドロキシェチルァクリレート 27 4. 8 g (2. 36mo 1) を、 撹拌下、 60 で 2時間かけて滴下し、 さらに 60 Cで 1時間熟成した。
次いで、 生成物 856. 7 gに、 上記と同じポリリン酸 500 g (5. 9当 量) .を仕込み、 得られる混合物に空気を 20ml Zmi nで吹き込みながら、 6 0nCで 0. 5時間撹拌した後、 p—メトキシフエノ一ル 4. 75 gを溶解させた 2—ヒドロキシェチルァクリレー卜 687 g (5. 9mo 1 ) を、 撹拌下、 60 °Cで 2時間かけて滴下し、 さらに 60°Cで 1時間熟成した。
かくして実施例 1の反応溶媒として使用する重合性リン酸エステル 2048 g (重合禁止剤として p—メトキシフエノールを 0. 4重量%含有) を得た。
実施例 2
実施例 1と同様の反応器に、 反応溶媒として目的とする重合性リン酸エステル (ハイドロキノン 0. 1重量%含有) 2000 g、 ポリリン酸 (115重量%ポ リリン酸、 市販試薬) 1000 g (11. 7当量) を仕込み、 得られた混合物に、 空気圧縮器より空気を 50ml /mi nで吹き込みながら、 70 で0. 5時間 撹拌してポリリン酸溶液を得た。
その後、 上記反応溶媒に対応する一般式 (3) の化合物である 2—ヒドロキシ プロピルメタクリレ一ト 1353 g (9. 4mo 1 ) に、 ハイドロキノン 2. 4 gを溶解し、 得られた溶液を 70°Cで 2時間かけて上記ポリリン酸溶液に滴下し、
得られた反応混合物を更に 70°Cで 5時間熟成した。
その結果、 粘度 (40°C) 5. 8 P a · s、 比重 d (40。<3/4 ) 1. 39
0、 メタクリル酸含有量 0. 04重量%、 未反応の 2—ヒドロキシプロピルメタ クリレ一ト含有量 1. 7重量%、 揮発性溶剤含有量が 10 p pm以下の黄色透明 液体 4352 gを得た。 該淡黄色透明液体は、 重合禁止剤であるハイドロキノン を 0. 1重量%含有していた。
上記の液体が、 2—ヒドロキシプロピルメタクリレートのリン酸エステル、 即 ち、 本発明にかかる重合性リン酸エステルであることは、 I R及び13 C—NMR の分析結果より確認された。 即ち、 上記反応生成物は、 I R分析において、 原料 に観察される 3430 cm— 1の吸収 (0— H結合) が消失し、 1024〜 103
6 cm— 1に新たな吸収 (P— O— C結合) が出現し、 13C— NMR (D2〇) にお いて、 17 p pm (CH3) 、 18 p pm (CH3) 、 70 p pm (CH〇) 、 7
5 p pm (CH2O) 、 124 p pm (CH2=) 、 137 p pm (=C) 、 16
8 p pm (CO) のシグナルを示した。
尚、 上記反応溶媒として使用した重合性リン酸エステルは、 2—ヒドロキシェ チルァクリレートに代えて 2—ヒドロキシプロピルメタクリレ一トを使用する以 外は実施例 1と同様の方法で調製した。
実施例 3
実施例 1と同様の反応器に、 目的とする重合性リン酸エステル (p—メトキシ フエノ一ル 0. 4重量%含有) 2000 gを添加した後、 上記反応溶媒に対応す る一般式 (3) の化合物である 2—ヒドロキシェチルァクリレ一ト 1031 g
(8. 9mo l) 、 p—メ卜キシフエノール 8. l gを加え、 得られた混合物に、 空気圧縮器より空気を 50mlノ mi nで吹き込みながら、 60°Cで 0. 5時間 撹拌して 2—ヒドロキシェチルァクリレ一ト溶液を調製した。
次いで、 ポリリン酸 (116重量%強リン酸、 ラサ工業 (株) 製) 1000 g (11. 8当量) を 60°Cで、 上記 2—ヒドロキシェチルァクリレート溶液に 4 時間かけて滴下し、 得られた反応混合物を、 60°Cで 1時間熟成した。 その結果、 アクリル酸含有量が 0. 8重量%、 粘度 (40°C) 9. 6P a · s、 比重 d (4 0°C/4°C) 1. 500、 未反応の 2—ヒドロキシェチルァクリレート含有量 0.
2重量%、 揮発性溶剤含有量が 1 0 p p m以下の淡黄色透明液体 4 0 2 9 gを得 た。 該淡黄色透明液体は、 重合禁止剤である p—メトキシフエノ一ルを 0 . 4重 量%含有していた。
上記の淡黄色液体の I R及び1 3 C— NMRの分析結果は、 実施例 1の場合と実 質上同一であり、 2—ヒドロキシェチルァクリレ一卜のリン酸エステル、 即ち、 本発明にかかる重合性リン酸エステルであることが確認された。
尚、 反応溶媒として使用した重合性リン酸エステルは実施例 1と同様の方法で 製造した。
比較例 1
あらかじめ添加しておく重合性リン酸エステル (反応溶媒) に代えて揮発性溶 剤を使用した以外は実施例 1と同様の反応を行った。
より詳しくは、 回転式撹拌装置、 空気吹き込み管、 還流冷却装置、 温度計を備 えた 5 L槽型反応器に反応溶媒としてトルエン 2 0 0 0 g、 ポリリン酸として 1 1 6重量%強リン酸 1 0 0 0 g ( 1 1 . 8当量) を加え、 得られる混合物に、 空 気圧縮器より空気を 5 O m l Zm i nで吹き込みながら、 6 0 °Cで攪拌してポリ リン酸の分散液を得た。
次いで、 p—メトキシフエノール 9 . 5 gを溶解した 2—ヒドロキシェチルァ クリレ一ト 1 3 7 4 g ( 1 1 . 8モル) を、 上記ポリリン酸の分散液に、 6 0 °C で 2時間かけて滴下し、 得られた反応混合物を、 6 0 で 1時間熟成した。
その後、 空気の吹き込みを継続しながら、 反応器内を減圧にして溶剤を回収し、 さらに 6 0 °C、 6 6 7 P aで 1時間かけてトルエンを留去した。 その結果、 生成 物は、 不溶不融の重合物が多量に析出した白濁ペース卜状液体となり、 揮発性有 機溶剤 (トルエン) の含有量は 2 0 0 0 p p mと高い数値を示した。 産業上の利用可能性 本発明に係る重合性リン酸エステルの製造方法により、 有害な揮発性有機化合 物類や塩素を実質上含まず、 製造工程中の異常重合による製品の白濁やゲル状物 の生成を起こすことなく、 腐食性の不純物を極力低減させることが可能になる。