明細書
組織特異的新規分泌型ポリぺプチドおよびその D N A 技術分野
本発明は、 新規な分泌性生体機能調節ポリペプチドおよびその D N Aなどに関 する。 背景技術
細胞はその原核性、 真核性を問わず、 その固有の機構で多種多様なタンパク質 を分泌している。 特に多細胞生物 (生体) は、 その分化、 増殖および恒常性の維 持のためにさまざまな情報を細胞間で交換しているが、 そこで中心的役割を果た す各種液性因子もその多くが分泌夕ンパク質或いはその成熟体であり、 その構造 的、 機能的特徴等からホルモン、 神経伝達物質、 サイト力イン、 増殖因子等に分 類されている。 近年の組換え D N A技術と細胞培養技術の進歩により、 これら分 泌タンパク質をコードする遺伝子とタンパク質構造の解明が着実に進んでいる。 一方でこうした因子の発見は、 細胞表面に発現しているそのレセプ夕一の解析を 飛躍的に前進させ、 さらには各細胞内での情報伝達のメカニズム解明にもつなが り、 その生理機能を特徴づけることになる。 ヒトにおける多くの疾病、 あるいは 各種疾患モデル動物の病態では、 こうした本来恒常性を保つべき何らかの液性因 子の異常な発現がその原因となったり、 結果として増悪化につながる場合も多く 見出される他、 例えば癌において特異的に発現の亢進が認められるいわゆる腫瘍 マーカー等、 各種疾患の診断分野で応用可能な現象もあり、 その発現制御機構は 創薬研究を行う上での重要な標的にもなつている。
一方、 現在、 一つの生物のもつ全 D NA、 つまりゲノム解析が、 古細菌、 真正 細菌、 酵母、 線虫、 昆虫、 植物を含む約 7 0種の生物については終了し、 ヒトに ついてもほぼ解析を終了している (N a t u r e 第 4 0 9巻、 7 4 5— 9 6 4 ページ (2 0 0 1 ) ; S c i e n c e 第 2 9 1巻、 1 1 4 5— 1 4 3 4ページ ( 2 0 0 1 ) ) 。 数年前に約 1 0万と予想されていた遺伝子数は約 4万と少ない ものではあったが、 単離された分泌タンパク質或いは分泌ペプチドをコードする
遺伝子数は全ゲノムからみればとてもそのすベてを網羅したとはいえない。 個体 レベルの生命現象を理解する上でその中で起こっているあらゆる細胞間の情報交 換が説明可能になっていかなければならないが、 こうした既知の遺伝子以外にも 未だ知られていない液性の機能分子が重要な生理的役割を果たしている可能性が 高く、 そうした物質の発見が強く望まれていた。
本発明は新規生体機能調節分泌ポリペプチドもしくはそのアミドもしくはその エステルまたはその塩 (以下、 D R L 1 3 8ポリペプチドまたは単に D R L 1 3 8と称する場合がある。 また、 単に 「本発明のポリペプチド」 と称する場合もあ る) 、 その部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩 (以下、 単に 「本発明の部分ペプチド」 と称する場合がある) 、 該ポリペプチド または部分ペプチドをコードする D NA (以下、 単に 「本発明の D NA」 と称す る場合がある) 、 組換えベクター、 形質転換体、 該ポリペプチドまたは部分ぺプ チドの製造法、 該ポリべプチドまたは部分べプチドまたは D N Aを含有する医薬 、 該ポリぺプチドまたは部分べプチドに対する抗体等を提供することを目的とす る。 発明の開示
新たな生体機能調節分泌タンパク質の単離は、 細胞の分化、 増殖、 生体防御、 癌化等のメカニズムに新たな知見を与え、 ひいては個体の発生、 恒常性の維持等 の生命現象の解明をより一層進展させることができ、 該タンパク質に対して阻害 活性或いは促進活性を発揮し、 種々の疾患の予防や診断、 治療に役立つ新たな医 薬品の開発が期待できる。
本発明者らは、 鋭意研究を重ねた結果、 ヒト卵巣 c D NAライブラリーから新 規な塩基配列を有する c D N Aをクローニングすることに成功した。 そして、 本 発明者らは、 得られた c D NAにコードされるタンパク質が主に気管、 胎児肺な どの生体機能の調節時に重要な臓器で作られている分泌性の液性因子であること を見出した。 これらの知見に基づいて、 さらに検討を重ねた結果、 本発明を完成 するに至った。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 配列番号: 4 (シグナル無しのヒ ト全長) で表されるァミノ酸配列と同 一または実質的に同一のァミノ酸配列を含有することを特徴とするポリぺプチド もしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩、
(2) 配列番号: 4 (シグナル無しのヒト全長) 、 配列番号: 2 (シグナル含 むヒト全長) 、 配列番号: 16 (シグナル含むヒト全長 + FLAG配列) 、 配列 番号: 18 (シグナル含むマウス全長) または配列番号: 20 (シグナル無しの マウス全長) で表されるアミノ酸配列を含有する上記 (1) 記載のポリペプチド もしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩、
(3) 配列番号: 6 (ヒト成熟体 1) 、 配列番号: 8 (ヒト成熟体 2) 、 配列 番号: 22 (マウス成熟体 1) または配列番号: 24 (マウス成熟体 2) で表さ れるァミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸配列を含有することを特 徴とするぺプチドもしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩、
(4) 配列番号: 6、 配列番号: 8、 配列畚号: 22または配列番号: 24で 表されるアミノ酸配列を含有する上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミド もしくはそのエステルまたはその塩、
(5) 上記 (1) 記載のポリペプチドまたは上記 (3) 記載のペプチドの部分 ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(6) 上記 (1) 記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有す るポリヌクレオチド、
(7) DNAである上記 (6) 記載のポリヌクレオチド、
(8) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 17、 配列番 号: 1 9または配列番号: 21で表される塩基配列を有する上記 (7) 記載の D NA、
(9) 上記 (3) 記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポ リヌクレオチド、
(10) DN Aである上記 (9) 記載のポリヌクレオチド、
(1 1) 配列番号: 7、 配列番号: 9、 配列番号: 23または配列番号: 25 で表される塩基配列を有する上記 (10) 記載の DNA、
(12) 上記 (6) または (9) 記載のポリヌクレオチドを含有する組換えべ
クタ一、
(13) 上記 (12) 記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(14) 上記 (13) 記載の形質転換体を培養し、 上記 (1) 記載のポリぺプ チドまたは上記 (3) 記載のペプチドを生成 ·蓄積せしめることを特徴とする上 記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそ の塩、 または上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ ルまたはその塩の製造法、
(15) 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはその エステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩に対する抗体、
(16) 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはその エステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩を用いることを特徴とする上記 (1) 記載 のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 ( 3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 ま たは上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま たはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方 法、
(17) 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはその エステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる上記 (1) 記載のポリぺプ チドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 (3) 記載の ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 または請求項 5記載の部分べプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の 活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キッ卜、
(18) 上記 (16) 記載のスクリーニング方法または上記 (17) 記載のス
クリーニング用キットを用いて得られうる、 上記 (1) 記載のポリペプチドもし くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 ('3) 記載のペプチド もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載 の部分べプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を 促進または阻害する化合物またはその塩、
(19) 上記 (16) 記載のスクリーニング方法または上記 (17) 記載のス クリーニング用キットを用いて得られうる、 上記 (1) 記載のポリペプチドもし くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチド もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載 の部分べプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を 促進または阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(20) 上記 (16) 記載のスクリーニング方法または上記 (17) 記載のス クリーニング用キットを用いて得られうる、 上記 (1) 記載のポリペプチドもし くはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチド もしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載 の部分べプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を 促進する化合物またはその塩を含有してなる呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症 、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨 ·関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療剤、 (21) 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 または上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしく はそのエステルまたはその塩を含有してなる医薬、
(22) 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 または上記 (3) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミドも しくはそのエステルまたはその塩を含有してなる呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感 染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨 ·関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療剤
(23) 上記 (6) または (9) 記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬
(24) 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨 ·
関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療剤である上記 (23) 記載の医薬、 (25) 上記 (15) 記載の抗体を含有してなる診断剤、
(26) 上記 (15) 記載の抗体を含有してなる医薬、
(27) 上記 (1) 記載のポリペプチドまたは上記 (3) 記載のペプチドをコ —ドする DNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し 、 該 D N Aの発現を抑制し得る作用を有するァンチセンス D N A、
(28) 上記 (27) 記載のアンチセンス DNAを含有してなる医薬、
(29) 上記 (6) 、 (9) のポリヌクレオチドまたは上記 (27) 記載のァ ンチセンス D N Aを含有してなる遺伝子診断剤、
(30) 哺乳動物に対して、 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミ ドもしくはそのエステルまたはその塩、 または上記 (3) 記載のペプチドもしく はそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の有効量を投与することを特徴 とする呼吸器疾患、 瘙、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨 ·関節 疾患または内分泌疾患の予防 ·治療方法、
(31) 哺乳動物に対して、 上記 (6) または (9) 記載のポリヌクレオチド の有効量を投与することを特徴とする呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化 管疾患、 循環器疾患、 骨 ·関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療方法、
(32) 哺乳動物に対して、 上記 (16) 記載のスクリーニング方法または上 記 (17) 記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、 上記 (1) 記載 のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 上記 ( 3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 ま たは上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルま たはその塩の活性を促進する化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴 とする呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨,関節 疾患または内分泌疾患の予防 ·治療方法、
(33) 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨- 関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療剤を製造するための上記 (1) 記載のポ リペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、 または上記 ( 3 ) 記載のぺプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の
使用、
(34) 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨- 関節疾患または内分泌疾患の予防 ·治療剤を製造するための上記 (6) または ( 9) 記載のポリヌクレオチドの使用、
(35) 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 骨 - 関節疾患または内分泌疾患の予防,治療剤を製造するための、 上記 (16) 記載 のスクリーニング方法または上記 (17) 記載のスクリーニング用キットを用い て得られうる、 上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはその エステルまたはその塩、 上記 (3) 記載のペプチドもしくはそのアミドもしくは そのエステルまたはその塩、 または上記 (5) 記載の部分ペプチドもしくはその アミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩 の使用、
(36) 外来性の上記 (7) または (10) 記載の DNAまたはその変異 DN Aを有するトランスジエニック非ヒト哺乳動物、
(37) 非ヒト動物がゲッ歯動物である上記 (36) 記載の非ヒト哺乳動物、
(38) ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記 (37) 記載の非ヒト哺 乳動物、
(39) 外来性の上記 (7) または (10) 記載の DNAまたはその変異 DN Aを含有し、 非ヒ卜哺乳動物において発現しうる組換えベクター、
(40) 上記 (7) または (10) 記載の DNAが不活性化された非ヒ卜哺乳 動物胚幹細胞、
(41) 当該 DNAがレポ一ター遺伝子を導入することにより不活性化された 上記 (40) 記載の胚幹細胞、
(42) ネオマイシン耐性である上記 (40) 記載の胚幹細胞、
(43) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記 (40) 記載の胚幹細胞、
(44) ゲッ歯動物がマウスである上記 (43) 記載の胚幹細胞、
(45) 上記 (7) または (10) 記載の DNAが不活性化された当該 DNA 発現不全非ヒ卜哺乳動物、
(46) 当該 DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、
該レポータ一遺伝子が当該 D N Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる上 記 (45) 記載の非ヒト哺乳動物、
(47) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記 (46) 記載の非ヒト哺乳動 物、
(48) ゲッ歯動物がマウスである上記 (47) 記載の非ヒト哺乳動物、
(49) 上記 (46) 記載の非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポ一 ター遺伝子の発現を検出することを特徴とする上記 (7) または (10) 記載の DNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス クリーニング方法、
さらには、 本発明は、
(50) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列 力 配列番号: 4で表されるァミノ酸配列と約 50 %以上 (好ましくは約 60 % 以上、 さらに好ましくは約 70 %以上、 より好ましくは約 80 %以上、 特に好ま しくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上) の相同性を有するアミノ酸 配列である上記 (1) 記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエス テルまたはその塩、 および
(51) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列 力 ①配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは 、 1〜30個程度、 さらに好ましくは 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10 個程度、 特に好ましくは 1〜5個程度、 最も好ましくは 1または 2個) のァミノ 酸が欠失したァミノ酸配列、 ②配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中の 1また は 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 さらに好ましくは 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 特に好ましくは 1〜5個程度、 最も好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が付カ卩したアミノ酸配列、 ③配列番号: 4で表される ァミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜 30個程度、 さらに好ま しくは 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 特に好ましくは 1〜5 個程度、 最も好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された アミノ酸配列、 または④それらを組合せたアミノ酸配列である上記 (1) 記載の ポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩などを提供
する。
さらに本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチド、 本発明の DN A等は、 分子量マーカー、 組織マーカー、 染色体マッピング、 遺伝病の同定、 病態の診断
、 プライマー、 プローブの設計等の基礎研究に利用できる。 図面の簡単な説明
図 1は DRL 138 h— FLAGの COS— 7細胞での発現の結果と発現産物 の模式図を示す。
各レーンの試料は次の通りである。 1: COS- 7(DRL138h-FLAG)培養濃縮液、 2: C 0S_7(DRL138h- FLAG)細胞、 3: C0S-7 (control)培養濃縮液、 4: C0S-7 (control)細 胞、 5: COS- 7(DRL138h- FLAG)培養液、 6: COS- 7 (control)培養液。
図 2はヒト DRL 138 (hDRL 138) とマウス DRL 138 (mDRL 1 38) のァミノ酸配列の比較を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明の配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のァ ミノ酸配列を含有するポリペプチド (以下、 本発明のポリペプチドと称する場合 がある。 また、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一 のアミノ酸配列を含有するポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステ ルまたはその塩を総称して、 本発明のポリペプチドと称する場合もある。 ) は、 ヒトゃ温血動物 (例えば、 モルモッ ト、 ラット、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ タ、 ヒッジ、 ゥシ、 サル等) の細胞 (例えば、 肝細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グリ ァ細胞、 脾臓 細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮 細胞、 上皮細胞、 内皮細胞、 繊維芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細 胞 (例、 マクロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラルキラー細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨 芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞 、 幹細胞もしくはガン細胞等) もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる糸且織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁祧核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下
部、 大脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 膝臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血 管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 唾液腺、 末梢血、 前立腺、 睾丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨 、 軟骨、 関節、 骨格筋等に由来するポリペプチドであってもよく、 組換えポリべ プチドであってもよく、 さらに合成ポリペプチドであってもよい。
また、 本発明のポリペプチドがシグナルペプチドを有している場合 (具体的に は、 配列番号: 2または配列番号: 1 8のように、 配列番号: 4または配列番号 : 2 0の N末端に 1 5アミノ酸から 3 0アミノ酸残基からなるシグナル配列を有 するアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特 徴とするポリペプチド) は、 ポリペプチドを効率よく細胞外に分泌させることが できる。
「実質的に同一」 とはポリペプチドの活性、 例えば、 呼吸器疾患、 消化器疾患 、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患 等の予防 ·治療活性 (作用) など、 生理的な特性などが、 実質的に同じことを意 味する。 アミノ酸の置換、 欠失、 付加あるいは挿入はしばしばポリペプチドの生 理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさないが、 こうした場合その置 換、 欠失、 付加あるいは挿入を施されたポリペプチドは、 そうした置換、 欠失、 付加あるいは揷入のされていないものと実質的に同一であるとされるであろう。 該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、 たとえばそのァ ミノ酸が属するところのクラスのうち、 他のアミノ酸類から選ぶことができる。 非極性 (疎水性) アミノ酸としては、 ァラニン、 ロイシン、 イソロイシン、 バ リン、 プロリン、 フエ二ルァラニン、 トリブトファン、 メチォニンなどがあげら れる。 極性 (中性) アミノ酸としてはグリシン、 セリン、 スレオニン、 システィ ン、 チロシン、 ァスパラギン、 グルタミンなどがあげられる。 陽電荷をもつ (塩 基性) アミノ酸としてはアルギニン、 リジン、 ヒスチジンなどがあげられる。 負 電荷をもつ (酸性) アミノ酸としては、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸などがあ げられる。
配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては 、 該アミノ酸配列を含有するポリペプチドが、 配列番号: 4で表されるアミノ酸
配列を含有するポリペプチドと実質的に同一の活性 (性質) を有する限り、 特に 限定されるものではないが、 例えば配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 さらに好ましくは約 7 0 %以上、 より好ま しくは約 8 0 %以上、 特に好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以 上の相同性を有するアミノ酸配列等が挙げられる。 より具体的には、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列、 配列番号: 1 6、 配列番号: 1 8または配列番号: 2 0で表されるアミノ酸配列等があげられる。
上記の実質的に同質の活性 (性質) としては、 例えば、 分泌され液性因子とし て作用すること等が挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの性質が定性的に同 質であることを示す。 したがって、 分泌作用や溶解度等の性質が同等 (例、 約 0 . 1〜1 0 0倍、 好ましくは約 0 . 5〜1 0倍、 より好ましくは 0 . 5〜2倍) であることが好ましいが、 これらの性質の程度、 ポリペプチドの分子量等の量的 要素は異なっていてもよい。
上記の実質的に同質の活性 (性質) としては、 例えば、 配列番号: 4で表され るアミノ酸配列を含有するポリペプチドの有する呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感 染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患等の予防 ·治療作用 が定性的に同質であることを示す。
また、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を 含有するポリペプチドとしてより具体的には、 例えば、 ①配列番号: 4または配 列番号: 2 0で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜 3 0個程度、 さらに好ましくは 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度 、 特に好ましくは 1〜5個程度、 最も好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が欠 失したアミノ酸配列、 ②配列番号: 4または配列番号: 2 0で表されるアミノ酸 配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜3 0個程度、 さらに好ましくは 1 〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 特に好ましくは 1〜5個程度、 最も好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号 : 4または配列番号: 2 0で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ま しくは、 1〜3 0個程度、 さらに好ましくは 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1 〜 1 0個程度、 特に好ましくは 1〜5個程度、 最も好ましくは 1または 2個) の
ァミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または④それらを組合わせ たアミノ酸配列を含有するポリペプチド等のいわゆるムティンも含まれる。 上記のようにアミノ酸配列が挿入、 欠失または置換されている場合、 その挿入 、 欠失または置換の位置としては、 特に限定されないが、 配列番号: 4または配 列番号: 2 0の塩基性アミノ酸対以外の位置等が挙げられる。
本発明のポリペプチドの部分ペプチド (本発明の部分ペプチド) としては、 前 記した本発明のポリぺプチドの部分べプチドであれば何れのものであってもよい が、 例えば、 本発明のポリペプチドと実質的に同質の活性 ( 「実質的に同質の活 性」 は上記と同意義を示す) ものなどが好ましく用いられる。
しかし、 本発明のポリペプチドとは異なり、 本発明の部分ペプチドは抗体作成 のための抗原として用いることができるので、 必ずしも本発明のポリぺプチドが 有する活性を有する必要はなレ。
本発明の部分ペプチドとしてより具体的には、 ①配列番号: 6または配列番 号: 2 2で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含 有する本発明のポリペプチドの部分ペプチド (より具体的には、 配列番号: 6ま たは配列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ 酸配列からなる本発明のポリペプチドの部分ペプチド、 さらに具体的には、 配列 番号: 6または配列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド) 、 ② 配列番号: 8または配列番号: 2 4で表されるアミノ酸配列と同一または実質 的に同一のアミノ酸配列を含有する本発明のポリペプチドの部分ペプチド (より 具体的には、 配列番号: 8または配列番号: 2 4で表されるアミノ酸配列と同一 または実質的に同一のアミノ酸配列からなる本発明のポリペプチドの部分べプチ ド、 さらに具体的には、 配列番号: 8または配列番号: 2 4で表されるアミノ酸 配列からなるペプチド) などがあげられる。
「実質的に同一」 とは、 上記本発明のポリペプチドの説明における 「実質的に 同一」 と同意義を示す。
上記、 配列番号: 6で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列、 配列番号: 8で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列、 配列番号 : 2 2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列、 配列番号: 2 4
で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 該アミノ酸配 列を含有するポリペプチドが、 配列番号: 6で表されるアミノ酸配列を含有する 部分ペプチド、 配列番号: 8で表されるアミノ酸配列を含有する部分ペプチド、 配列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列を含有する部分ペプチド、 配列番号: 2 4で表されるアミノ酸配列を含有する部分ペプチドと実質的に同一の活性 (性質 ) を有する限り、 特に限定されるものではないが、 例えば配列番号: 6で表され るアミノ酸配列、 配列番号: 8で表されるアミノ酸配列、 配列番号: 2 2で表さ れるアミノ酸配列、 配列番号: 2 4で表されるアミノ酸配列と約 7 0 %以上、 好 ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以上、 さらに好ましくは約 9 5 %以上、 最も好ましくは約 9 8 %以上の相同性を有するアミノ酸配列等があげら れる。
また、 配列番号: 6、 配列番号: 8、 配列番号: 2 2または配列番号: 2 4で 表されるアミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列を含有する部分ペプチドと してより具体的には、 例えば、 (1 ) ①配列番号: 6で表されるアミノ酸配列中 の 1または 2個以上 (例、 1〜1 0個程度、 好ましくは 1〜5個程度、 より好ま しくは 1または 2個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 ②配列番号: 6で表 されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜1 0個程度、 好ましくは 1 〜5個程度、 より好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列 、 ③配列番号: 6で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜1 0 個程度、 好ましくは 1〜5個程度、 より好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が 他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または④それらを組合せたアミノ酸配 列を含有する部分ペプチド、 (2 ) ①配列番号: 8で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜5個程度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が 欠失したアミノ酸配列、 ②配列番号: 8で表されるアミノ酸配列中の 1または 2 個以上 (例、 1〜5個程度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が付加したァ ミノ酸配列、 ③配列番号: 8で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例 、 1〜5個程度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ れたアミノ酸配列、 または④それらを組合せたアミノ酸配列を含有する部分ぺプ チド、 (3 ) ①配列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (
例、 1〜5個程度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配 列、 ②配列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜 5個程度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配 列番号: 2 2で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜5個程度 、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配 列、 または④それらを組合せたアミノ酸配列を含有する部分ペプチド、 (4 ) ① 配列番号: 2 4で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜5個程 度、 好ましくは 1または 2個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 ②配列番号 : 2 4で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜5個程度、 好ま しくは 1または 2個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号: 2 4で 表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (例、 1〜5個程度、 好ましくは 1 または 2個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または④そ れらを組合せたアミノ酸配列を含有する部分べプチド等のいわゆるムテインも含 上記のようにアミノ酸配列が挿入、 欠失または置換されている場合、 その挿入 、 欠失または置換の位置としては、 特に限定されないが、 各アミノ酸配列の塩基 性アミノ酸以外の位置等があげられる。
また、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドには、 分子内のアミノ酸 の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合し たいわゆる糖ペプチドなどの複合べプチドなども含まれる。
さらに、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドには、 おのおのの Ν末 端または C末端などにェピトープ (抗原認識部位) となりうる任意の外来べプチ ド配列 (例えば、 F L A G、 H i sタグ、 HAタグ、 H S Vタグなど) を有して いるものも含まれる。
このような (ポリ) ペプチドの具体例としては、 例えば、 配列番号: 1 6で表 されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどがあげられる。
本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドは、 ペプチド標記の慣例に従つ て左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (力ルポキシル末端) である。 配 列番号: 4で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをはじめとする、 本
発明のポリペプチドは、 C末端が通常カルボキシル基 (― COOH) またはカル ポキシレ一ト(― COO— ) であるが、 C末端がアミド (一 CONH2) またはェ ステル (― COOR) であってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル 、 イソプロピルもしくは n—ブチル等の アルキル基、 例えば、 シクロペン チル、 シクロへキシル等の C3— 8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 α—ナ フチル等の C6_12ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチル等のフエ二ルー C丄― 2アルキル基もしくは ―ナフチルメチル等のひ一ナフチルーじェ アルキ ル基等の C7_14ァラルキル基のほか、 経口用エステルとして汎用されるピバロ ィルォキシメチル基等が用いられる。
本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドが C末端以外に力ルポキシル基
(またはカルポキシレート) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化また はエステル化されているものも本発明のポリペプチド、 本発明の部分べプチドに 含まれる。 この場合のエステルとしては、 例えば上記した C末端のエステル等が 用いられる。
上記の本発明の部分ペプチドのうち、 配列番号: 8または配列番号: 24で表 されるアミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列を含有する部分ペプチドはそ のアミド体 (具体的には、 C末端の力ルポキシル基 (一 COOH) がアミド化 ( ― CONH2) されたもの) が好ましく用いられる。
さらに、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドには、 N末端のァミノ 酸残基 (例、 メチォニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセ チル基等の アルカノィル等の C^— 6ァシル基等) で保護されているもの、 生体内で切断されて生成する N末端のダル夕ミン残基がピ口グルタミン酸化した もの、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば一 OH、 一 SH、 アミノ基、 イミダゾール基、 インドール基、 グァニジノ基等) が適当な保護基 (例えば、 ホ ルミル基、 ァセチル基等の アルカノィル基等の Cい 6ァシル基等) で保護 されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ポリペプチド等の複合ポリ ペプチド等も含まれる。
本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドの塩としては、 生理学的に許容
される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例、 アルカリ金属塩) 等との塩が用い られ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては 、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるい は有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク 酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼ ンスルホン酸) との塩等が用いられる。
本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドは、 前述したヒ卜やその他の温 血動物の細胞または組織から公知のポリペプチド (タンパク質) の精製方法によ つて製造することもできるし、 後述する本発明のポリペプチド、 本発明の部分べ プチドをコードする D N Aを含有する形質転換体を培養することによつても製造 することができる。 また、 後述のペプチド合成法に準じて製造することもできる ヒトやその他の哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトやその他の 哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、 酸等で抽出を行ない、 得られ た抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー等のクロマ トグラフィーを組み合わせることにより本発明のポリぺプチド等を精製単離する ことができる。
本発明のポリペプチドもしくは本発明の部分べプチドまたはその塩、 またはそ のアミド体の合成には、 通常市販のポリペプチド (タンパク質) 合成用樹脂を用 いることができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒド ロキシメチル樹脂、 ベンズヒドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4—ベンジ ルォキシベンジルアルコール樹脂、 4一メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 P A M樹脂、 4—ヒドロキシメチルメチルフエニルァセトアミドメチル樹脂、 ポリア クリルアミド樹脂、 4— ( 2 ' , 4 ' —ジメトキシフエ二ル―ヒドロキシメチル ) フエノキシ樹脂、 4ー (2, , 4, 一ジメトキシフエ二ル一 Fm o cアミノエ チル) フエノキシ樹脂等をあげることができる。 このような樹脂を用い、 0!—ァ ミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするポリペプチドの配 列通りに、 公知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂 力、らポリべプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中
で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、 目的のポリペプチドまたはそれら のアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 ポリべプチド合成に使用できる各種 活性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジ イミド類としては、 D C C、 N, N ' —ジイソプロピルカルポジイミド、 N—ェ チル— N ' — ( 3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミド等が用いられる。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H 0 B t、 HO O B t ) とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、 対応する酸無水物または HO B tエステルあるいは H O O B tエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の 活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 ポリべプチ ド (タンパク質) 縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択さ れうる。 例えば、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセ卜アミ ド、 N—メチルピロリドン等の酸アミド類、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等のハ ロゲン化炭化水素類、 トリフルォロエタノール等のアルコール類、 ジメチルスル ホキシド等のスルホキシド類、 ピリジン、 ジォキサン、 テトラヒドロフラン等の エーテル類、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリル等の二トリル類、 酢酸メチル、 酢酸ェチル等のエステル類あるいはこれらの適宜の混合物等が用いられる。 反応 温度はポリペプチド (タンパク質) 結合形成反応に使用され得ることが知られて いる範囲から適宜選択され、 通常約一 2 0〜 5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性化されたアミノ酸誘導体は通常 1 . 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリ ン反応を用いたテス卜の結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうこ となく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。 反応を 繰り返しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダ ゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響 を与えないようにすることができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c、 t—ペンチルォキシ カルボニル、 イソポルニルォキシカルポニル、 4—メトキシベンジルォキシカル ポニル、 C 1 _ Z、 B r _ Z、 ァダマンチルォキシカルポニル、 トリフルォロア
セチル、 フタロイル、 ホルミル、 2—ニトロフエニルスルフエ二ル、 ジフエ二ル ホスフイノチオイル、 Fmo c等が用いられる。
力ルポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 t—ブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロヘプ チル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチル等の直鎖状、 分枝状もしくは環状アル キルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4一二 トロべンジルエステル、 4ーメトキシベンジルエステル、 4—クロ口ベンジルェ ステル、 ベンズヒドリルエステル化) 、 フエナシルエステル化、 ベンジルォキシ カルボニルヒドラジド化、 t—ブトキシカルポニルヒドラジド化、 トリチルヒド ラジド化等によつて保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基等の低級
アルカノィル基、 ベンゾィル基等のァロイル基、 ベンジルォキシカル ボニル基、 エトキシカルポニル基等の炭酸から誘導される基等が用いられる。 ま た、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テ小ラヒドロピラニ ル基、 t-ブチル基等である。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 B z 1、 C 12- B z 2—二トロベンジル、 B r— Z、 t一ブチル等が用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 例えば、 To s、 4—メトキシ —2, 3, 6 _トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル 、 Bum, Bo c、 T r t、 Fmo c等が用いられる。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペン夕クロ口フエノール、 2 , 4, 5—卜リクロロフエノ一ル、 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメチル アルコール、 パラニトロフエノール、 HONB、 N—ヒドロキシスクシミド、 N —ヒドロキシフ夕ルイミド、 HOB t) とのエステル〕 等が用いられる。 原料の ァミノ基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いら れる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 Pd—黒あるいは Pd—炭素等
の触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタン スルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれら の混合液等による酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルァミン、 ピぺリジン、 ピぺラジン等による塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリウムに よる還元等も用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約一 2 0〜4 0 °Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール、 フエノール 、 チオアニソール、 メタクレゾ一ル、 パラクレゾール、 ジメチルスルフイド、 1 , 4一ブタンジチオール、 1 , 2—エタンジチオール等のようなカチオン捕捉剤 の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる 2 . 4ージニトロフエニル基はチォフエノール処理により除去され、 トリプトフ アンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1 , 2—エタンジ チオール、 1, 4一ブタンジチオール等の存在下の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化ナトリゥム溶液、 希アンモニア等によるアル力リ処理によっても除去さ れる。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化等は公知の基または公知の手段から適 宜選択しうる。
本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドのアミド体を得る別の方法とし ては、 例えば、 まず、 カルボキシ末端アミノ酸のひ一力ルポキシル基をアミド化 して保護した後、 アミノ基側にペプチド (ポリペプチド) 鎖を所望の鎖長まで延 ばした後、 該ぺプチド鎖の N末端のひ一アミノ基の保護基のみを除いたポリぺプ チドと C末端の力ルポキシル基の保護基のみを除去したポリぺプチドとを製造し 、 この両ポリペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳 細については上記と同様である。 縮合により得られた保護ポリペプチドを精製し た後、 上記方法によりすベての保護基を除去し、 所望の粗ポリペプチドを得るこ とができる。 この粗ポリペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要 画分を凍結乾燥することで所望のポリベプチドのアミド体を得ることができる。 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドのエステル体を得るには、 例え ば、 カルポキシ末端アミノ酸の Q!—力ルポキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドの アミド体と同様にして、 所望のポリペプチドのエステル体を得ることができる。 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドは、 公知のペプチドの合成法に 従って製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例えば、 固相合成法 、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明の部分ペプチドを構成 し得る部分ペプチド (本発明の部分ペプチドを構成し得る部分ペプチド) もしく はアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱 離することにより目的のぺプチドを製造することができる。 公知の縮合方法や保 護基の脱離としては、 例えば、 以下の①〜⑤に記載された方法などが挙げられる
®M. Bodanszkyおよび M. A. Onde t t i, ペプチド ·シンセシス (Pept ide Syn the s is) , Intersc ience Publ ishers, New York (1966年)、
② Schroederおよび Luebke、 ザ ·ペプチド(The Pept ide) , Academic Press, New York (1965年)、
③泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年) 、
④矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 ( 1977年)、 および
⑤矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 14巻、 ペプチド合成、 広川書店。
また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 ·蒸留 ·カラムクロマトダラ フィ一 ·液体クロマトグラフィー ·再結晶等を組み合わせて本発明のポリべプチ ド、 本発明の部分ペプチドを精製単離することができる。 上記方法で得られるポ リペプチドが遊離体である場合は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によつ て適当な塩に変換することができるし、 逆に塩で得られた場合は、 公知の方法あ るいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドをコードする D NA (以下、 こ れらを総称して、 本発明の D NAと称する場合がある) としては、 前述した本発 明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するもの であればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム D NA、 前記した細胞 -組 織由来の c D NA、 合成 D NAのいずれでもよい。
ライブラリーに使用するベクターは、 バクテリオファージ、 プラスミド、 コス ミド、 ファージミド等いずれであってもよい。 また、 前記した細胞 ·組織より to talRN Aまたは mRN A画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcripta se Polymerase Chain Reaction (以下、 RT— P C R法と略称する) によって増 幅することもできる。
本発明のポリペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 本発明のポリべ プチドと実質的に同質の活性 (性質) (例、 免疫原性;呼吸器疾患、 癌、 免疫疾 患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患の予防 ·治療 活性 (作用) 等) を有するポリペプチドをコードする DNA等を有し、 本発明の ポリペプチドと実質的に同質の性質を有するポリペプチドをコードする DN Aで あれば何れのものでもよい。
本発明のポリペプチドをコードする D N Aとして、 具体的には、
① 配列番号: 5で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA、
② 配列番号: 3で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA、 ③ 配列番号: 1で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA
④ 配列番号: 17で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA、
⑤ 配列番号: 19で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA、
⑥ 配列番号: 21で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNAなどが あげられるが、 この内、 「配列番号: 3で表される塩基配列を有する DN Aを含 有する DNA」 、 「配列番号: 1で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA」 および 「配列番号: 17で表される塩基配列を有する DNAを含有する DNA」 は、 「配列番号: 5で表される塩基配列を有する DNAを含有する DN A」 の具体例に含まれ、 「配列番号: 19で表される塩基配列を有する DNAを 含有する DNA」 は、 「配列番号: 21で表される塩基配列を有する DNAを含 有する DNA」 の具体例に含まれる。
配列番号: 5、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 17、 配列番号: 1 9または配列番号: 21で表される塩基配列とハイストリンジェン卜な条件下で ハイブリダィズできる DN Aも本発明のポリペプチドをコードする DN Aとして あげることができ、 例えば、 配列番号: 5、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列
番号: 1 7、 配列番号: 1 9または配列番号: 2 1で表される塩基配列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 さらに好ましくは約 9 0 %以上の相同性を有 する塩基配列を含有する D N A等が用いられる。
また、 配列番号: 5、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 1 7、 配列番 号: 1 9または配列番号: 2 1で表される塩基配列とハイストリンジェントな条 件下でハイブリダィズできる D NAとして、 具体的には、 配列番号: 5、 配列番 号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 1 7、 配列番号: 1 9または配列番号: 2 1 で表される塩基配列とハイス卜リンジェントな条件下で八イブリダィズする塩基 配列を有し、 本発明のポリペプチドと実質的に同質の性質 (上記と同意義) を有 するポリペプチドをコードする D NA等があげられる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー ·クロ一ニンク (Molecular Cloning) 2 nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法等に従って行なうことが できる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の 方法に従って行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェントな条 件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェン卜な条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 1 9〜4 0 m M、 好ましくは約 1 9〜 2 0 mMで、 温度が約 5 0〜 7 0 °C、 好ましくは約 6 0 〜6 5での条件を示す。
配列番号: 4で表されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコード する D NAとしては、 配列番号: 5で表される塩基配列を有する D NA等が、 配 列番号: 2で表されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 3で表される塩基配列を有する D N A等が、 配列番 号: 1 6で表されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 1 7で表される塩基配列を有する D NA等が、 配列番 号: 1 8で表されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 1 9で表される塩基配列を有する D N A等が、 配列番 号: 2 0で表されるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 2 1で表される塩基配列を有する D NA等が用いられ
る。 また、 配列番号: 1で表される塩基配列を有する D NAは、 後述の実施例 1 に記載されているように、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列を有する本発明 のポリペプチドをコードする D NAとしての配列番号: 3で表される塩基配列を 有する D NAを含有する D NAである。
本発明の部分ペプチドをコードする D NAとしては、 本発明の部分ペプチドを コードする D N Aであれば何れのものでもよい。
本発明の部分ペプチドをコードする D NAとして、 具体的には、
① 配列番号: 7で表される塩基配列を有する D NAを含有する D NA、
② 配列番号: 9で表される塩基配列を有する D NAを含有する D NA、 ③ 配列番号: 2 3で表される塩基配列を有する D NAを含有する D NA、 およ び
④ 配列番号: 2 5で表される塩基配列を有する D NAを含有する D NA、 などがあげられる。
また、 配列番号: 7、 配列番号: 9、 配列番号: 2 3または配列番号: 2 5で 表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる D N Aも本発明の部分ペプチドをコードする D NAとしてあげることができ、 例えば 、 配列番号: 7、 配列番号: 9、 配列番号: 2 3または配列番号: 2 5で表され る塩基配列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 さらに好ましくは約 9 0 %以上の相同性を有する塩基配列を含有する D N A等が用いられる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー ·クローニンク (Molecular Cloning) 2 nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法等に従って行なうことが できる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の 方法に従って行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェントな条 件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェン卜な条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 1 9〜4 0 m M、 好ましくは約 1 9〜 2 0 mMで、 温度が約 5 0〜 7 0 1:、 好ましくは約 6 0 〜 6 5 の条件を示す。
配列番号: 6で表されるァミノ酸配列を有する本発明の部分ペプチドをコード
する DNAとしては、 配列番号: 7で表される塩基配列を有する DNA等が、 配 列番号: 8で表されるアミノ酸配列を有する本発明の部分ペプチドをコードする DNAとしては、 配列番号: 9で表される塩基配列を有する DNA等が、 配列番 号: 22で表されるアミノ酸配列を有する本発明の部分ペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 23で表される塩基配列を有する DNA等が、 配列番 号: 24で表されるアミノ酸配列を有する本発明の部分ペプチドをコードする D NAとしては、 配列番号: 25で表される塩基配列を有する DNA等が用いられ る。
本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドを完全にコードする D N A のクローニングの手段としては、 本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ぺプ チドの部分塩基配列を有する合成 DN Aプライマーを用いて PC R法によってゲ ノム DNAや cDNAを増幅するか、 または適当なベクタ一に組み込んだ DN A (ライブラリ一) を本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドの一部あ るいは全領域をコードする DN A断片もしくは合成 DN Aを用いてラジオァイソ 1 ^一プゃ酵素で標識したもの (DNAプローブ) とのハイプリダイゼーシヨンに よって選別することができる。 ハイブリダィゼ一シヨンの方法は、 例えば、 モレ キユラ一 ·クローニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Col d Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法等に従って行なうことができ る。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法 に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の置換は、 PCRや公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (宝酒造) 、 Mutan™- K (宝酒造) 等を用いて、 ODA- LA PCR法や Gappe d duplex法や Kimkel法等の公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行な うことができる。
クローン化されたポリペプチドをコードする DNAは目的によりそのまま、 ま たは所望により制限酵素で消化したり、 リンカーを付加したりして使用すること ができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまたは TAGを有し ていてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNA
アダプターを用いて付加することもできる。
本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドの発現ベクターは、 例えば 、 (ィ) 本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドをコードする DNA を含む DNA (例えば、 cDNA) から目的とする DNA断片を切り出し、 (口 ) 該 DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することに より製造することができる。
ベクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 pBR322, pBR 32 5, pUC 12, pUC 13) 、 枯草菌由来のプラスミド (例、 pUB 110, TP 5, pC 194) 、 酵母由来プラスミド (例、 pSHl 9, p SHI 5) 、 λファージ等のパクテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニアウィルス, バキュロウィルス等の動物ウィルス等の他、 pAl— 11、 pXTl、 R c/ CMV、 p R c/RS V, p cDNA I ZNe o等が用いられる。
本発明で用いられるプロモー夕一としては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応 して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞を宿 主として用いる場合は、 SRaプロモータ一、 SV40プロモーター、 LTRプ 口モーター、 CMVプロモーター、 HSV— TKプロモーター、 jS—ァクチン等 が挙げられる。
これらのうち、 CMV (サイトメガロウィルス) プロモーター、 SR ¾プロモ 一夕一等を用いるのが好ましい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r p プロモー夕一、 l acプロモー夕一、 r e cAプロモーター、 APLプロモ一夕 ―、 l ppプロモータ一、 T 7プロモ一夕一等が、 宿主がバチルス属菌である場 合は、 SPOlプロモータ一、 SPO 2プロモーター、 p e nPプロモー夕一等 、 宿主が酵母である場合は、 PH05プロモータ一、 PGKプロモーター、 GA Pプロモ一夕一、 ADHプロモータ一等が好ましい。 宿主が昆虫細胞である場合 は、 ポリヘドリンプロモータ一、 P 10プロモータ一等が好ましい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシ ダナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 S V40 o r iと略称する場合がある) 等を含有しているものを用いることができ る。 選択マ一カーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 dh f rと
略称する場合がある) 遺伝子 〔メソトレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシリ ン耐性遺伝子 (以下、 Amp rと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺伝 子 (以下、 Ne orと略称する場合がある、 G418 (Ge n e t i c i n) 耐 性) 等が挙げられる。 特に、 dh f r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を 用いて dh f r遺伝子を選択マ一カーとして使用する場合、 組換え体細胞をチミ ジンを含まない培地によっても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のポリペプチドの N端末側に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA*シグナ ル配列、 Omp A ·シグナル配列等が、 宿主がバチルス属菌である場合は、 α— アミラーゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列等が、 宿主が酵母であ る場合は、 MFo! ·シグナル配列、 SUC2 ·シグナル配列等、 宿主が動物細胞 である場合には、 インシュリン ·シグナル配列、 ひ—インタ一フエロン ·シグナ ル配列、 抗体分子 ·シグナル配列等がそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ぺプチド をコードする DNAを含有するベクターを用いて、 形質転換体を製造することが できる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞等が用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、 例えば、 ェシエリヒア 'コリ (Escheric hia coli) K 12 · DH 1 〔プロシ一ジングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·ァカデ ミー 'ォブ 'サイェンシィズ 'ォブ ·ザ ·ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sc i. USA) , 60巻, 160 (1968)〕 , JM 103 〔ヌクイレック ·ァシ ッズ 'リサーチ, (Nucleic Acids Research) , 9巻, 309 (1981)〕 , J A221 〔ジャーナル ·ォブ ·モレキュラー ·バイオロジー (Journal of Molec ular Biology) 〕 , 120巻, 517 (1978)〕 , HB 101 〔ジャーナル · ォブ 'モレキュラー 'バイオロジー, 41巻, 459 (1969)〕 , C 600 〔 ジェネティックス (Genetics) , 39巻, 440 (1954)〕 等が用いられる。 パチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サブチルス (Bacillus subtilis ) M I 114 〔ジーン, 24巻, 255 (1983)〕 , 207 - 21 〔ジャーナ
ル 'ォブ 'バイオケミストリー (Journal of Biochemistry) , 95巻, 87 (1 984)〕 等が用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス ·セレピシェ (Saccharomyces cere visiae) AH 22, AH22R -, NA87 - 11 A, DKD_5D, 20 B- 12、 シゾサッカロマイセス 'ボンべ (Schizosaccharomyces poinbe) NCYC 1913, NCYC 2036, ピキア ·パストリス (Picliia pastoris) KM 7 1等が用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが AcNP Vの場合は、 ョトウガの幼虫 由来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f細胞) 、 Tric oplusia niの 中腸由来の MGl細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High Five™細胞、 Mamestra brassicae由来の細胞または Estigmena acrea由来の細胞等が用いられる。 ウイ ルスが BmNPVの場合は、 カイコ由来株化細胞 (Bombyx mori N細胞; BmN 細胞) 等が用いられる。 該 S f細胞としては、 例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL17 11) 、 S f 21細胞 (以上、 Vaughn, J.L.ら、 イン 'ヴィポ (In Vivo) , 13, 21 3-217, (1977)) 等が用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫等が用いられる 〔前田ら、 ネイチヤー ( Nature) , 315巻, 592 (1985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7、 Ve ro、 チャイニーズハ ムスター細胞 CHO (以下、 CHO細胞と略記) 、 dh f r遺伝子欠損チヤィニ —ズハムスター細胞 CHO (以下、 CHO (dh f r_) 細胞と略記) 、 マウス L細胞、 マウス At T— 20、 マウスミエ口一マ細胞、 ラット GH3、 ヒト FL 細胞等が用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、 例えば、 プロシ一ジングズ ·ォブ -ザ •ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ュ一エスエー ( Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 69巻, 2110 ( 1972)やジーン (Gen e) , 17巻, 107 (1982)等に記載の方法に従って行なうことができる。 バチルス属菌を形質転換するには、 例えば、 モレキュラー ·アンド ·ジエネラ ル ·ジエネティックス (Molecular & General Genetics) , 168巻, 111 ( 1979)等に記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、 例えば、 メソッズ》イン ·ェンザィモロジ一 (Meth ods in Enzymology) , 194巻, 182— 187 (1991) 、 プロシ一ジン グズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ザ · ュ一エスェ一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 75巻, 1929 (1978 ) 等に記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 バイオ/テクノロジ一 (Bi o/Technology) , 6, 47-55 (1988)) 等に記載の方法に従って行なうことができる 動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロ 卜コール. 263— 267 (1995) (秀潤社発行) 、 ヴイロロジー (Virolo gy) , 52巻, 456 (1973)に記載の方法に従って行なうことができる。 このようにして、 ポリペプチドをコードする DNAを含有する発現ベクターで 形質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培養 に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体の生 育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源としては 、 例えば、 グルコース、 デキス卜リン、 可溶性澱粉、 ショ糖等、 窒素源としては 、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ ·リカー、 ペプトン、 カゼイン、 酵母エキス、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液等の無機または有 機物質、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウム、 塩化マグネシウム等が挙げられる。 また、 酵母エキス、 ビタミン類、 生長促進因 子等を添加してもよい。 培地の ρ Ηは約 5〜 8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザミ ノ酸を含む Μ 9培地 〔ミラ一 (Miller) , ジャーナル ·ォブ ·ェクスペリメンッ ·イン 'モレキュラー ·ジエネティックス (Journal of Experiments in Molecu lar Genetics) , 431 -433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕 が好ましい。 ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため に、 例えば、 3 j3—インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。 宿主がェシエリヒア属菌の場合、 培養は通常約 15〜43 :で約 3〜24時間
行ない、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 30〜 40 °Cで約 6〜 24時間行な レ 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バークホ 一ルダ一 (Burkholder) 最小培地 〔Bostian, K. L. ら、 プロシージングズ ·ォ ブ.ザ.ナショナル .アカデミー .ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ .ザ ·ユーエス ェ一 (Pro Natl. Acad. Sci. USA) , 77巻, 4505 (1980)〕 や 0. 5%カザミノ酸を含有する SD培地 〔Bitter, G. A. ら、 プロシ一ジングズ-ォ ブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー 'ォブ ·サイェンシィズ .ォブ ·ザ ·ユーエス ェ一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 81巻, 5330 (1984) 〕 が 挙げられる。 培地の pHは約 5〜8に調整するのが好ましい。 培養は通常約 20 〜35°Cで約 24〜72時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Gr ace's Insect Medium (Grace, Τ· C. ,ネイチヤー (Nature) , 195, 788(1962)) に非動化した 10%ゥシ血清等の添加物を適宜加えたもの等が用いられる。 培地 の pHは約 6. 2〜6. 4に調整するのが好ましい。 培養は通常約 27 °Cで約 3 〜5日間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約 5 〜20 %の胎児牛血清を含む MEM培地 〔サイエンス (Science) , 122巻, 501 (1952)〕 , DMEM培地 〔ヴイロロジ一 (Virology) , 8巻, 396 (1959)〕 , RPM I 1640培地 〔ジャーナル ·ォブ ·ザ ·アメリカン · メディカル ·アソシエーション (The Journal of the American Medical Associ at ion) 199卷, 519 (1967)〕 , 199培地 〔プロシ一ジング ·ォブ' ザ 'ソサイエティ 'フォー ·ザ ·バイオロジカル 'メディスン (Proceeding of the Society for the Biological Medicine) , 73巻, 1 (1950)〕 等が用 いられる。 pHは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 30〜40 で約 15〜60時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外 (好ましくは細 胞外) に本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドを生成せしめること
ができる。
上記培養物から本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドを分離精製 するには、 例えば、 下記の方法により行なうことができる。
本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドを培養菌体あるいは細胞か ら抽出するに際しては、 培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを 適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リゾチームおよび Zまたは凍結融解等によって 菌体あるいは細胞を破壊したのち、 遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出 液を得る方法等が適宜用いられる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジン等の夕ン パク質変性剤や、 トリトン X— 1 0 0 TM等の界面活性剤が含まれていてもよい 。 培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、 培養終了後、 公知の方法で菌 体あるいは細胞と上清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれる本発明のポリ ペプチドまたは本発明の部分ペプチドの精製は、 公知の分離 ·精製法を適切に組 み合わせて行なうことができる。 これらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ 溶媒沈澱法等の溶解度を利用する方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 およ び S D S—ポリアクリルアミドゲル電気泳動法等の主として分子量の差を利用す る方法、 イオン交換クロマトグラフィー等の荷電の差を利用する方法、 ァフィ二 ティ一クロマトグラフィ一等の特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体ク口 マトグラフィ一等の疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法等の等電点の 差を利用する方法等が用いられる。
このようにして得られる本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドが 遊離体で得られた場合には、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に 変換することができ、 逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じ る方法により、 遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、 組換え体が産生する本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチド を、 精製前または精製後に適当なタンパク質修飾酵素またはタンパク質分解酵素 等を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 本発明のポリペプチドまた は本発明の部分ペプチドを部分的に除去することもできる。 これらの酵素として は、 例えば、 卜リブシン、 キモトリブシン、 アルギニルエンドべプチダーゼ、 プ
ロティンキナーゼ、 グリコシダ一ゼ等が用いられる。
このようにして生成する本発明のポリべプチドまたは本発明の部分べプチドの 存在は、 特異抗体を用いたェンザィムィムノアツセィゃウェスタンプロット解析 等により測定することができる。
また、 上述のとおり、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチドの N末端 または C末端などにェピトープ (抗原認識部位) となりうる任意の外来ペプチド 配列 (例えば、 F L A G、 H i sタグ、 my cタグ、 HAタグ、 H S Vタグなど ) を融合させ、 該ペプチド配列を認識する抗体を用いて、 化学発光等を検出する ことにより、 本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドの存在を測定す ることも可能である。 例えば、 配列番号: 1 6で表されるアミノ酸配列を含有す るポリペプチドなどを作成し、 後述の実施例 4に記載の方法またはそれに準じた 方法により、 本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドの存在を測定す ることが可能である。
本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドに対する抗体 (以下、 本発 明の抗体と称する場合がある) は、 本発明のポリペプチドまたは本発明の部分べ プチドを認識し得る抗体であれば、 ポリクロ一ナル抗体 (以下、 本発明のポリク ローナル抗体と称する場合がある) 、 モノクローナル抗体 (以下、 本発明のモノ クローナル抗体) の何れであってもよい。
本発明のポリぺプチドまたは本発明の部分べプチドに対する抗体は、 本発明の ポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドを抗原として用い、 公知の抗体または 抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のポリペプチドまたは本発明の部分ペプチドは、 温血動物に対して投与 により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与され る。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完 全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投与は通常 2〜 6週毎に 1回ずつ 、 計 2〜1 0回程度行われる。 用いられる温血動物としては、 例えば、 サル、 ゥ サギ、 ィヌ、 モルモット、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリが挙げられ
るが、 マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノク口一ナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原で免疫された温血動物、 例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾臓 またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物 の骨髄腫細胞と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリドーマ を調製することができる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化ポ リぺプチドと抗血清とを反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定す ることにより行なうことができる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケーラーと ミルスタインの方法 〔ネィチヤ一 (Nature) , 256、 495 (1975) ] に徒い実施する ことができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (P E G ) やセンダイウィルス等が挙げられるが、 好ましくは P E Gが用いられる。 骨髄腫細胞としては、 例えば、 N S— 1、 P 3 U 1、 S P 2 / 0 , A P— 1等 の温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、 P 3 U 1が好ましく用いられる。 用い られる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1〜 2 0 : 1程度であり、 P E G (好ましくは P E G 1 0 0 0〜P E G 6 0 0 0 ) が 1 0〜 8 0 %程度の濃度で添加され、 約 2 0〜 4 0 °C、 好ましくは約 3 0〜 3 7 °Cで約 1〜 1 0分間ィンキュペートすることにより効率よく細胞融合を実施でき る。
モノクローナル抗体産生ハイプリドーマのスクリ一ニングには種々の方法が使 用できるが、 例えば、 ポリペプチド抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた 固相 (例、 マイクロプレート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放射性 物質や酵素等で標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞がマ ウスの場合、 抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロテイン Aを 加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、 抗免疫グロブリン抗 体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリドーマ培養上清を添加し、 放 射性物質や酵素等で標識したポリぺプチドを加え、 固相に結合したモノクローナ ル抗体を検出する方法等が挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、 公知あるいはそれに準じる方法に従って行なう ことができる。 通常 HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添
加した動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地としては、 ハイプリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例えば 、 約 1〜20%、 好ましくは約 10〜20%の牛胎児血清を含む RPMI 16 40培地、 約 1〜10%の牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) あるいはハイプリドーマ培養用無血清培地 (SFM— 10 1、 日水製薬 (株) ) 等を用いることができる。 培養温度は、 通常約 20〜40°C、 好ましくは約 37 °Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養は、 通常 5%炭酸ガス下で行なうことができる。 ハイプリドーマ培養上清の 抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b) モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 公知の方法、 例えば、 免疫グロブリンの分 離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、 電気泳動法、 イオン 交換体 (例、 DEAE) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、 抗原結合固相 あるいはプロテイン Aあるいはプロテイン G等の活性吸着剤により抗体のみを採 取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従って行なうことができる
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 公知あるいはそれに準じる方法に従って製造 することができる。 例えば、 免疫抗原 (ポリペプチド抗原) 自体、 あるいはそれ とキャリアータンパク質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製造 法と同様に温血動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発明のポリペプチドまた は本発明の部分ペプチドに対する抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行な うことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複 合体に関し、 キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合 比は、 キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれ ば、 どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アル プミンゃゥシサイログロプリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1に対し、 約 0. 1〜20、 好ましくは約 1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できるが、 ダルタルアルデヒドやカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チ オール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。 縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜 1 0回程度行なわれる。
ポリクロ一ナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水等、 好 ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と 同様にして測定できる。 ポリクロ一ナル抗体の分離精製は、 上記のモノクロ一ナ ル抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行なうことがで さる。
本発明の D NAに相補的な、 または実質的に相補的な塩基配列を有するアンチ センス D NAとしては、 本発明の D NAに相補的な、 または実質的に相補的な塩 基配列を有し、 該 D NAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、 いずれ のアンチセンス D N Aであってもよい。
本発明の D NAに実質的に相補的な塩基配列とは、 例えば、 本発明の D NAに 相補的な塩基配列 (すなわち、 本発明の D N Aの相補鎖) の全塩基配列あるいは 部分塩基配列と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する塩基配列等が挙げられる 。 特に、 本発明の D NAの相補鎖の全塩基配列うち、 本発明のポリペプチドの N 末端部位をコードする部分の塩基配列 (例えば、 開始コドン付近の塩基配列等) の相補鎖と約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以 上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアンチセンス D NAが好適で ある。 これらのアンチセンス D NAは、 公知の D N A合成装置等を用いて製造す ることができる。
本発明のポリぺプチドがシグナルべプチドを有する場合は、 細胞外に効率よく 分泌され、 液性因子として、 シグナル伝達や自己防衛等のための重要な生物活性
を発揮する。
以下に、 本発明のポリペプチド、 本発明の部分ペプチド (以下、 本発明のポリ ぺプチドと本発明の部分べプチドを合わせて本発明のポリぺプチドと略記する場 合がある) 、 本発明の DNA、 本発明の抗体、 およびアンチセンス DNAの用途 を説明する。
(1) 一般的に、 生理活性ペプチド タンパク質は以下のような特徴を備えてい る。
1. 細胞内で生合成された後、 細胞外へ分泌される。
2. 始めは前駆体タンパク質の形で作られ、 分泌される過程で前駆体タンパク質 から特異的に切り出され、 成熟型 (活性型) の分子種に変換される。
3. 組織特異的な発現分布を示す。
これらの特徴を持っている具体的な遺伝子産物としては、 インシュリン、 リラ キシン、 エンドセリン、 プロォピオメラノコルチン、 CRF、 GHRH、 LH- RH、 P r P, ソマトスタチン、 アドレノメジュリン、 ガラニン、 夕ヒキニン 、 V I P、 PACAP、 グルカゴン、 モチリンなど多くのものが知られている。 したがって、 上記の諸条件を備えた本発明のポリペプチドは、 これらの遺伝子 産物と同様に有用な生理活性物質であり、 オートクライン的、 パラクライン的に 発現組織の近くにある標的組織に作用したり、 血中を流れて離れた標的組織に効 果を及ぼし、 発生、 成長、 外敵からの防御などの生体の恒常性の維持に重要な ¾役 割を担っていると考えられる。
(2) 本発明のポリペプチドは、 後述の実施例 2からも明らかなように、 気管、 胎児肺などの組織に特異的に発現しているため、 これらの組織マーカ一として使 用することができる。 すなわち組織の分化、 病態、 癌の導入等の検出のためのマ 一力一として有用である。 また、 対応するレセプ夕一、 結合ポリペプチド等の分 取にも利用できる。 さらに、 公知のハイスループットスクリーニングのためのパ ネルにして、 生物活性を調べるのに利用できる。 また、 染色体マッピングを行い 、 遺伝病の研究にも利用できる。
(3) 本発明のポリペプチドが関与する各種疾病の治療,予防剤
本発明のポリペプチドは、 生体内で液性因子として存在するため、 本発明のポ
リペプチド、 または本発明の D NA等に異常があったり、 欠損している場合ある いは発現量が異常に減少または亢進している場合、 例えば、 呼吸器疾患、 癌、 免 疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患等の種々 の疾病が発症する。
したがって、 本発明のポリペプチドおよび本発明の D NAは、 例えば呼吸器疾 患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾 患等の種々の疾病の治療 ·予防剤等の医薬として使用することができる。
例えば、 生体内において本発明のポリべプチドが減少あるいは欠損しているた めに、 細胞における情報伝達が十分に、 あるいは正常に発揮されない患者がいる 場合に、 (ィ) 本発明の D NAを該患者に投与し、 生体内で本発明のポリべプチ ドを発現させることによって、 (口) 本発明の D NAが導入され、 本発明のポリ ペプチドを発現する細胞を前記疾患をもつ患者に移植することによって、 または (八) 本発明のポリペプチドを該患者に投与すること等によって、 該患者におけ る本発明のポリペプチドの役割を十分に、 あるいは正常に発揮させることができ る。
本発明の D NAを上記の治療 ·予防剤として使用する場合は、 該 D NAを単独 あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノウイルスァ ソシエーテツドウィルスベクター等の適当なベクターに挿入した後、 常套手段に 従って、 ヒトまたはその他の温血動物に投与することができる。 本発明の D NA は、 そのままで、 あるいは摂取促進のための補助剤等の生理学的に認められる担 体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルに よって投与できる。
れる担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤等とともに一般 に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造す ることができる。 これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量 が得られるようにするものである。
錠剤、 カプセル剤等に混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラチ ン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル口 ースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸等のような膨化剤 、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカリンの ような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリ一のような香味剤等が用 いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 前記タイプの材料にさらに 油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物は注射 用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油等のような天然産出植物油 等を溶解または懸濁させる等の通常の製剤実施に従って処方することができる。 . 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を 含む等張液 (例えば、 D—ソルビトール、 D—マンニトール、 塩化ナトリウム等 ) 等が挙げられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例えば、 エタノール 等) 、 ポリアルコール (例えば、 プロピレングリコール、 ポリエチレングリコ一 ル等) 、 非イオン性界面活性剤 (例えば、 ポリソルべ一ト 8 0™、 H C O - 5 0 等) 等と併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油等が挙げら れ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコール等と併用してもよ レ また、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢酸ナトリウム緩衝液等) 、 無痛 化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロ力イン等) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコ一ル等) 、 保存剤 (例えば、 ベンジル アルコール、 フヱノール等) 、 酸化防止剤等と配合してもよい。 調製された注射 液は、 通常、 適当なアンプルに充填される。
本発明の D NAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、 通常、 非経 口的に使用される。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 (例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、
ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル等) に対して投与することができる。
本発明のポリペプチドの投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルート等により 差異はあるが、 例えば、 呼吸器疾患の治療目的で本発明のポリペプチドを経口投 与する場合、 一般的に成人 (6 0 k gとして) においては、 一日につき本発明の ポリペプチドを約 1 m g〜 1 0 0 0 m g、 好ましくは約 1 0〜 5 0 0 m g、 より 好ましくは約 1 0〜2 0 O m g投与する。 非経口的に投与する場合は、 本発明の ポリペプチドの 1回投与量は投与対象、 対象疾患等によっても異なるが、 例えば 、 呼吸器疾患の治療目的で本発明のポリペプチドを注射剤の形で成人 (体重 6 0 k gとして) に投与する場合、 一日につき該ポリペプチドを約 1〜1 0 0 O m g 程度、 好ましくは約 1〜2 0 O m g程度、 より好ましくは約 1 0〜1 0 O m g程 度を静脈注射することにより投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 6 0 k g当たりに換算した量を投与することができる。
( 4 ) 疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のポリペプチドは生体内 (特に気管、 胎児肺等) で液性因子として存在 するため、 本発明のポリペプチドの機能を促進する化合物またはその塩は、 例え ば、 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患 、 骨 ·関節疾患等の治療 ·予防剤等の医薬として使用できる。
一方、 本発明のポリペプチドの機能を阻害する化合物またはその塩は、 本発明 のポリペプチドの産生過剰に起因する疾患の治療 ·予防剤等の医薬として使用で きる。
したがって、 本発明のポリペプチドは、 本発明のポリペプチドの機能を促進ま たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有用であ る。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 本発明のポリペプチドまたはその塩を用いることを特徴とする本発明のポ リペプチドまたはその塩の機能を促進する化合物もしくはその塩 (以下、 促進剤 と略記する場合がある) 、 または本発明のポリペプチドまたはその塩の機能を阻 害する化合物 (以下、 阻害剤と略記する場合がある) のスクリーニング方法を提 供する。
本発明のスクリーニング用キットは、 本発明のポリペプチドまたはその塩を含 有するものである。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 化合物またはその塩は、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿等か ら選ばれた化合物であり、 本発明のポリぺプチドの機能を促進または阻害する化 合物である。
該化合物の塩としては、 前記した本発明のポリペプチドの塩と同様のものが用 いられる。 .
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 化合物を上述の治療 ·予防剤として使用する場合、 常套手段に従って実施するこ とができる。 例えば、 前記した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同様にし て、 錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤、 無菌性溶液、 懸濁 液剤等とすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 ( 例えば、 ヒト、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィ ヌ、 サル等) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 その作用、 対象疾患、 投与対象、 投与ルー ト等により差異はあるが、 例えば、 呼吸器疾患の治療の目的で本発明のポリぺプ チドの機能を促進する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 kg として) においては、 一日につき該化合物を約 0. l〜100mg、 好ましくは 約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜20mg投与する。 非経口的に 投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患等によっても異な るが、 例えば、 呼吸器疾患の治療の目的で本発明のポリペプチドの機能を促進す る化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合、 一日につ き該化合物を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. l〜20mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合で ある。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる
一方、 本発明のポリペプチドの機能を阻害する化合物を経口投与する場合、 一 般的に成人 (体重 60 kgとして) においては、 一日につき該化合物を約 0. 1 〜10 Omg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mg投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患等によっても異なるが、 本発明のポリペプチドの機能を阻害する化合物 を注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合、 一日につき該化合 物を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜2 Omg程度、 より好ま しくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他 の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。
(5) 本発明のポリペプチドまたはその塩の定量
本発明の抗体は、 本発明のポリペプチドを特異的に認識することができるので 、 被検液中の本発明のポリペプチドの定量、 特にサンドイッチ免疫測定法による 定量等に使用することができる。
すなわち、 本発明は、
(i) 本発明の抗体と、 被検液および標識化された本発明のポリペプチドとを競 合的に反応させ、 該抗体に結合した標識化された本発明のポリペプチドの割合を 測定することを特徴とする被検液中の本発明のポリぺプチドの定量法、 および (ii) 被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別 の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、 不溶化担体上の標識剤の活性 を測定することを特徴とする被検液中の本発明のポリぺプチドの定量法を提供す る。
また、 本発明のモノクローナル抗体を用いて本発明のポリペプチドの定量を行 なえるほか、 組織染色等による検出を行なうこともできる。 これらの目的には、 抗体分子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F (ab')2、 Fab'、 あ るいは F a b画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のポリペプチドの定量法は、 特に制限されるべき ものではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 本発明のポリペプチド量) に対応 した抗体、 抗原もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理的手段により 検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出す
る測定法であれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフロメトリ一、 競合法、 ィムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、 感度 、 特異性の点で、 後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元 素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質等が用いられる。 放射性同位元素としては、 例え ば、 〔1 2 5 I〕 、 〔1 3 1 I〕 、 〔3 H〕 、 〔1 4 C〕 等が用いられる。 上記酵素と しては、 安定で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 ]3—ガラクトシダ一ゼ 、 ]3—ダルコシダーゼ、 アルカリフォスファターゼ、 パ一ォキシダ一ゼ、 リンゴ 酸脱水素酵素等が用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネート等が用いられる。 発光物質としては、 例えば
、 ルミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフェリン、 ルシゲニン等が用いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にピオチン一アビジン系を用いるこ ともできる。
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常 ポリペプチドあるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用 いる方法でもよい。 担体としては、 ァガロース、 デキストラン、 セルロース等の 不溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合成樹脂、 あ るいはガラス等が挙げられる。
サンドィツチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を 反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反 応させ (2次反応) たのち、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより 被検液中の本発明のポリぺプチド量を定量することができる。 1次反応と 2次反 応は逆の順序に行っても、 また、 同時に行なってもよいし時間をずらして行なつ てもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あるいは標識用抗 体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を向上させる 等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドィツチ法による本発明のポリべプチドの測定法においては、 1 次反応と 2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、 本発明のポリべ
プチドの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。 すなわち、 1次反 応および 2次反応に用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体が、 本発明のポリペプチドの C端部を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好ましくは C端部以外、 例えば N端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリ一等に用いることができる。 競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた のち、 未反応の標識抗原(F) と、 抗体と結合した標識抗原 (B) とを分離し ( BZF分離) 、 B, Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定量する 。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 BZF分離をポリエチレンダリ コール、 前記抗体に対する第 2抗体等を用いる液相法、 および、 第 1抗体として 固相化抗体を用いるか、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用い第 2抗体とし て固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
ィムノメトリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗 体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する力、、 あるいは、 被検液中の抗 原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗 体を固相に結合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識 量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ た不溶性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量の沈降 物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザ一ネフロメトリ一等 が好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件 、 操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のポリペプチドの測定系を 構築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書等を 参照することができる。
例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 4 9年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 5 4年発行) 、 石川栄洽
ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 5 3年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免 疫測定法」 (第 2版) (医学書院、 昭和 5 7年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫 測定法」 (第 3版) (医学書院、 昭和 6 2年発行) 、 「Methods in ENZYMOLOGYj
Vol. 70 (Inununochemical Techniques (Part A) ) 同書 Vol. 73 (immunoc eniica 1 Techni ues (Part B) )、 同書 Vol. 74 (I匪漏 chemical Techniaues (Part 0 ) 、 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniaues (Part D : Se lected Immunoassays) )、 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniaues (Part E: Monoclonal Ant ibodies and General Immunoassay Methods) ) , 同書 Vol. 121 (Immunocheinical Techni ues (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Ant ibodies) ) (以上、 ァカ デミックプレス社発行)等を参照することができる。
以上のようにして、 本発明の抗体を用いることによって、 本発明のポリべプチ ドを感度良く定量することができる。
さらには、 本発明の抗体を用いて本発明のポリペプチドの濃度を定量すること によって、 (1 ) 本発明のポリペプチドの濃度の増加または減少が検出された場 合、 例えば、 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内 分泌疾患、 骨 ·関節疾患等の疾病である、 または将来罹患する可能性が高いと診 断することができる。
また、 本発明の抗体は、 体液や組織等の被検体中に存在する本発明のポリぺプ チドを検出するために使用することができる。 また、 本発明のポリペプチドを精 製するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明のポリぺプ チドの検出、 被検細胞内における本発明のポリペプチドの挙動の分析等のために 使用することができる。
( 6 ) 遺伝子診断剤
本発明の D NAは、 例えば、 プローブとして使用することにより、 哺乳動物 ( 例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥ マ、 ネコ、 ィヌ、 サル等) における本発明のポリペプチドをコードする D NAま たは mR NAの異常 (遺伝子異常) を検出することができるので、 例えば、 該 D NAまたは mR NAの損傷、 突然変異あるいは発現低下や、 該 D NAまたは mR N Aの増加あるいは発現過多等の遺伝子診断剤として有用である。
本発明の DNAを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 公知のノーザンハイブ リダィゼーシヨンや PC R— S S CP法 (ゲノミックス (Genomics) , 第 5巻, 874〜879頁 (1989年) 、 プロシージングズ.ォブ ·ザ ·ナショナル . アカデミー ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ユーエスエー (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) , 第 86 巻, 2766〜 2770頁 (1989年) ) 等により実施することができる。 例えば、 ノ一ザンハイブリダイゼ一シヨンにより発現低下が検出された場合や PCR—SSCP法により DNAの突然変異が検出された場合は、 例えば、 呼吸 器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関 節疾患の疾病である可能性が高いと診断することができる。
(7) アンチセンス DNAを含有する医薬
本発明の DN Aに相補的に結合し、 該 DN Aの発現を抑制することができるァ ンチセンス D N Aは、 生体内における本発明のポリべプチドまたは本発明の D N Aの機能を抑制することができるので、 例えば、 本発明のポリペプチドの発現過 多に起因する疾患の治療 ·予防剤として使用することができる。
上記アンチセンス DNAを上記の治療 ·予防剤として、 前記した本発明の DN Aを含有する各種疾病の治療 ·予防剤と同様に使用することができる。
例えば、 該アンチセンス DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデ ノウィルスベクター、 アデノウイルスァソシエーテツドウィルスベクタ一等の適 当なベクターに挿入した後、 常套手段に従って投与することができる。 該アンチ センス DNAは、 そのままで、 あるいは摂取促進のために補助剤等の生理学的に 認められる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのような カテーテルによって投与できる。
さらに、 該アンチセンス DN Aは、 組織や細胞における本発明の DN Aの存在 やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用す ることもできる。
(8) 本発明の抗体を含有する医薬
本発明のポリペプチドの活性を中和する作用を有する本発明の抗体は、 例えば 、 本発明のポリペプチドの発現過多に起因する疾患の治療 ·予防剤等の医薬とし
て使用することができる。
本発明の抗体を含有する上記疾患の治療 ·予防剤は、 そのまま液剤として、 ま たは適当な剤型の医薬組成物として、 哺乳動物 (例、 ヒト、 ラット、 ゥサギ、 ヒ ッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サル等) に対して経口的または非経口的に投与 することができる。 投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルー卜等によつ ても異なるが、 例えば、 本発明の抗体を 1回量として、 通常 0. 0 1〜2 0 m g Z k g体重程度、 好ましくは 0. 1〜1 O m g / k g体重程度、 さらに好ましく は 0. l〜5 m g _/ k g体重程度を、 1日 1〜5回程度、 好ましくは 1日 1〜3 回程度、 静脈注射により投与するのが好都合である。 他の非経口投与および経口 投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。 症状が特に重い場合には
、 その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、 それ自体または適当な医薬組成物として投与することができ る。 上記投与に用いられる医薬組成物は、 上記またはその塩と薬理学的に許容さ れ得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。 このような組成物は、 経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、 例えば、 経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形 、 具体的には錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤等が あげられる。 このような組成物は公知の方法によって製造され、 製剤分野におい て通常用いられる担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。 例えば、 錠剤用の担体、 賦形剤としては、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシ ゥム等が用いられる。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤等が用いられ、 注 射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射剤等の剤形 を包含する。 このような注射剤は、 公知の方法に従って、 例えば、 上記抗体また はその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、 懸濁また は乳化することによって調製する。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩 水、 ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレンダリ
コール、 ポリエチレングリコール) 、 非イオン界面活性剤 〔例、 ポリソルベート 80、 HCO— 50 (polyoxyethylene ( 5 Omol) adduct of hydrogenated ca stor oil) 〕 等と併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油等 が用いられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコール等を併用 してもよい。 調製された注射液は、 通常、 適当なアンプルに充填される。 直腸投 与に用いられる坐剤は、 上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合するこ とによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、 活性成分の投与量に適合するよう な投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 このような投薬単位の剤形 としては、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤等が例示され、 それぞれの投薬単位剤形当たり通常 5〜 50 Omg程度、 とりわけ注射剤では 5 〜10 Omg程度、 その他の剤形では 10〜250 m g程度の上記抗体が含有さ れていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、 上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生 じない限り他の活性成分を含有してもよい。
(9) DNA導入動物
本発明は、 外来性の本発明のポリペプチドをコードする DNA (以下、 本発明 の外来性 DN Aと略記する) またはその変異 DN A (本発明の外来性変異 DNA と略記する場合がある) を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1)記載の動物、
(3) ゲッ歯動物がマウスま^はラットである第 (2) 記載の動物、 および
(4) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを含有し、 哺乳動物において 発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒ卜哺乳動物 (以下、 本発明の DNA導入動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始 原細胞を含む胚芽細胞等に対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生における 胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に
8細胞期以前) に、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リポフエクシヨン法、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DEAE—デキス トラン法等により目的とする DN Aを導入することによって作出することができ る。 また、 該 DNA導入方法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織細胞等に目的と する本発明の外来性 DN Aを導入し、 細胞培養、 組織培養等に利用することもで き、 さらに、 これら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融合させる ことにより本発明の DN A導入動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブタ、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ
、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 マウス、 ラット等が用いられる。 なかでも、 病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 ま た、 繁殖が容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として、 C 57B LZ6系統, DBA2系統等、 交雑系として、 BGCS Fi系統, BDFi系統 , B6D2F 系統, BALB/c系統, I CR系統等) またはラット (例えば 、 Wi s t a r, SD等) 等が好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えべクタ一における 「哺乳動物」 としては、 上記の非ヒ卜哺乳動物の他にヒ卜等が挙げられる。
本発明の外来性 DNAとは、 非ヒト哺乳動物が本来有している本発明の DNA ではなく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DNAをいう。 本発明の変異 DN Aとしては、 元の本発明の DN Aの塩基配列に変異 (例えば 、 突然変異等) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基への置 換等が生じた DNA等が用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。
該異常 DN Aとしては、 異常な本発明のポリペプチドを発現させる DN Aを意 味し、 例えば、 正常な本発明のポリペプチドの機能を抑制するポリペプチドを発 現させる DN A等が用いられる。
本発明の外来性 DNAは、 対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳 動物由来のものであってもよい。 本発明の DN Aを対象動物に導入するにあたつ ては、 該 DNAを動物細胞で発現させうるプロモ一夕一の下流に結合した DNA コンストラクトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明のヒト DN Aを導入させる場合、 これと相同性が高い本発明の DNAを有する各種哺乳動物
(例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウス等) 由来の DNAを発現させうる各種プロモ一ターの下流に、 本発明のヒト DNAを 結合した DNAコンストラクト (例、 ベクタ一等) を対象哺乳動物の受精卵、 例 えば、 マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明の DN Aを高発現する D N A導入哺乳動物を作出することができる。
本発明のポリペプチドの発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド、 枯 草菌由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージ等のパクテリオファ —ジ、 モロニ一白血病ウィルス等のレトロウイルス、 ワクシニアウィルスまたは バキュロウィルス等の動物ウィルス等が用いられる。 なかでも、 大腸菌由来のプ ラスミド、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミド等が好ましく用 いられる。
上記の DNA発現調節を行なうプロモータ一としては、 例えば、 ①ウィルス (例 、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J Cゥ ィルス、 乳癌ウィルス、 ポリオウイルス等) に由来する DNAのプロモータ一、 ②各種哺乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット 、 マウス等) 由来のプロモーター、 例えば、 アルブミン、 インシュリン I I、 ゥ ロプラキン I I、 エラス夕ーゼ、 エリスロポエチン、 エンドセリン、 筋クレアチ ンキナーゼ、 グリア線維性酸性タンパク質、 ダル夕チオン S—トランスフェラ一 ゼ、 血小板由来成長因子) 6、 ケラチン K l, 1:1 0ぉょび1:1 4、 コラ一ゲン I 型および I I型、 サイクリック AMP依存タンパク質キナーゼ jS Iサブユニット 、 ジストロフィン、 酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、 心房ナトリウム利 尿性因子、 内皮レセプターチ口シンキナーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナ トリウムカリウムアデノシン 3リン酸化酵素 (Na, K— ATP a s e) 、 ニュ —口フィラメント軽鎖、 メタ口チォネイン Iおよび I I A、 メタ口プロティナ一 ゼ 1組織インヒピ夕一、 MHCクラス I抗原 (H— 2 L) 、 H— r a s、 レニン 、 ドーパミン ;3—水酸化酵素、 甲状腺ペルォキシダーゼ (TP〇) 、 ポリべプチ ド鎖延長因子 1 (EF- 1 α) 、 βァクチン、 ひおよび /3ミオシン重鎖、 ミオ シン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク質、 チログロブリン、 Thy— 1、 免疫グロブリン、 H鎖可変部 (VNP) 、 血清アミロイド Pコンポーネント、 ミ
ォグロビン、 卜ロボニン C、 平滑筋 αァクチン、 プレブ口エンケフアリン Α、 バ ソプレシン等のプロモー夕一等が用いられる。 なかでも、 全身で高発現すること が可能なサイトメガロウィルスプロモーター、 ヒトポリペプチド鎖延長因子 1 α (EF- 1 ) のプロモータ一、 ヒトおよびニヮトリ j8ァクチンプロモーター等 が好適である。
上記べクタ一は、 DN A導入哺乳動物において目的とする mRNAの転写を終 結する配列 (一般に夕一ミネタ一と呼ばれる) を有していることが好ましく、 例 えば、 ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各 D NAの配列を用いることがで き、 好ましくは、 シミアンウィルスの SV40ターミネータ一等が用いられる。 その他、 目的とする外来性 DNAをさらに高発現させる目的で各 DNAのスプ ライシングシグナル、 ェンハンサー領域、 真核 DNAのイントロンの一部等をプ 口モーター領域の 5' 上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の 3 ' 下流に連結することも目的により可能である。
該翻訳領域は D N A導入動物において発現しうる DNAコンス卜ラクトとして 、 前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる 通常の DN A工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの導入は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。 DN A導入後の作出動 物の胚芽細胞において、 本発明の外来性 DN Aが存在することは、 作出動物の後 代がすべて、 その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを保持 することを意味する。 本発明の外来性 DN Aを受け継いだこの種の動物の子孫は その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを有する。
本発明の外来性正常 DNAを導入させた非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 DN Aを安定に保持することを確認して、 該 DNA保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの導入は、 対象哺乳動物の胚芽 細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。 DN A導入後の作 出動物の胚芽細胞において本発明の外来性 DNAが過剰に存在することは、 作出 動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 DN Aを過
剰に有することを意味する。 本発明の外来性 DN Aを受け継いだこの種の動物の 子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 DNAを過剰に有する 導入 DNAを相同染色体の両方に持つホモザィゴー卜動物を取得し、 この雌雄 の動物を交配することによりすべての子孫が該 DN Aを過剰に有するように繁殖 継代することができる。
本発明の正常 DNAを有する非ヒ卜哺乳動物は、 本発明の正常 DNAが高発現 させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を促進することにより最終的に本発 明のポリベプチドの機能亢進症を発症することがあり、 その病態モデル動物とし て利用することができる。 例えば、 本発明の正常 DNA導入動物を用いて、 本発 明のポリぺプチドの機能亢進症や、 本発明のポリぺプチドが関連する疾患の病態 機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。 また、 本発明の外来性正常 DNAを導入させた哺乳動物は、 遊離した本発明の ポリぺプチドの増加症状を有することから、 本発明のポリぺプチドに関連する疾 患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、 本発明の外来性異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外来 性 DNAを安定に保持することを確認して該 DNA保有動物として通常の飼育環 境で継代飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 DN Aを前述のプラス ミドに組み込んで原科として用いることができる。 プロモ一夕一との DN Aコン ス卜ラク卜は、 通常の DNA工学的手法によって作製することができる。 受精卵 細胞段階における本発明の異常 DNAの導入は、 対象哺乳動物の胚芽細胞および 体細胞の全てに存在するように確保される。 DN A導入後の作出動物の胚芽細胞 において本発明の異常 DN Aが存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚芽 細胞および体細胞の全てに本発明の異常 DN Aを有することを意味する。 本発明 の外来性 DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、 その胚芽細胞および体細胞 の全てに本発明の異常 DN Aを有する。 導入 DN Aを相同染色体の両方に持つホ モザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫 が該 DN Aを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の異常 DNAが高発現
させられており、 内在性の正常 D N Aの機能を阻害することにより最終的に本発 明のポリぺプチドの機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モデル動物 として利用することができる。 例えば、 本発明の異常 D NA導入動物を用いて、 本発明のポリペプチドの機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を 治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、 本発明の異常 D NA高発現動物は、 本発 明のポリペプチドの機能不活性型不応症における本発明の異常ポリペプチドによ る正常ポリペプチドの機能阻害 (dominant negat ive作用) を解明するモデルと なる。
また、 本発明の外来異常 D NAを導入させた哺乳動物は、 遊離した本発明のポ リぺプチドの増加症状を有することから、 本発明のポリべプチドの機能不活性型 不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、 上記 2種類の本発明の D N A導入動物のその他の利用可能性として、 例 えば、
①組織培養のための細胞源としての使用、
②本発明の D NA導入動物の組織中の D NAもしくは RNAを D NA非導入動物 (対照群) のものと比較分析するか、 またはポリペプチド組成を比較分析するこ とによる、 本発明のポリペプチドにより特異的に発現あるいは活性化あるいは不 活性化する遺伝子やポリぺプチドの解析、
③ D NAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらを使用し て、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
④上記③記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリ —ニング、 および
⑤本発明の変異ポリぺプチドを単離精製およびその抗体作製等が考えられる。 さらに、 本発明の D NA導入動物を用いて、 本発明のポリペプチドの機能不活 性型不応症等を含む、 本発明のポリペプチドに関連する疾患の臨床症状を調べる ことができ、 また、 本発明のポリペプチドに関連する疾患モデルの各臓器におけ るより詳細な病理学的所見が得られ、 新しい治療方法の開発、 さらには、 該疾患 による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、 本発明の DNA導入動物から各臓器を取り出し、 細切後、 卜リブシン等 のポリペプチド (タンパク質) 分解酵素により、 遊離した DNA導入細胞の取得 、 その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本 発明のポリペプチド産生細胞の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関 連性、 またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べるこ と等ができ、 本発明のポリペプチドおよびその作用解明のための有効な研究材料 となる。
さらに、 本発明の DN A導入動物を用いて、 本発明のポリペプチドの機能不活 性型不応症を含む、 本発明のポリペプチドに関連する疾患の治療薬の開発を行な うために、 上述の検査法および定量法等を用いて、 有効で迅速な該疾患治療薬の スクリーニング法を提供することが可能となる。 また、 本発明の DNA導入動物 または本発明の外来性 DN A発現べクタ一を用いて、 本発明のポリペプチドが関 連する疾患の DN A治療法を検討、 開発することが可能である。
(10) ノックァゥ卜動物
本発明は、 本発明の DN Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本 発明の DNA発現不全非ヒ卜哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 本発明の DNAが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞、
(2) 該 DNAがレポ一夕一遺伝子 (例、 大腸菌由来の ]3—ガラクトシダ一ゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化された第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(3) ネオマイシン耐性である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(4) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(5) ゲッ歯動物がマウスである第 (4) 項記載の胚幹細胞、
(6) 本発明の DNAが不活性化された該 DNA発現不全非ヒ卜哺乳動物、 (7) 該 DNAがレポ一夕一遺伝子 (例、 大腸菌由来の jS—ガラクトシダ一ゼ遺 伝子) を導入することにより不活性化され、 該レポ一夕一遺伝子が本発明の DN Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物
(8) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(9) ゲッ歯動物がマウスである第 (8) 項記載の非ヒト哺乳動物、 および
(10) 第 (7) 項記載の動物に、 試験化合物を投与し、 レポーター遺伝子の発 現を検出することを特徴とする本発明の DNAに対するプロモーター活性を促進 または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒ卜哺乳 動物が有する本発明の DN Aに人為的に変異を加えることにより、 DNAの発現 能を抑制するか、 もしくは該 DNAがコ一ドしている本発明のポリべプチドの活 性を実質的に喪失させることにより、 DN Aが実質的に本発明のポリペプチドの 発現能を有さない (以下、 本発明のノックアウト DNAと称することがある) 非 ヒト哺乳動物の胚幹細胞 (以下、 ES細胞と略記する) をいう。
非ヒ卜哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学的 手法により該 DNA配列の一部または全部の削除、 他 DNAを挿入または置換さ せることによって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コドンの 読み取り枠をずらしたり、 プロモーターあるいはェクソンの機能を破壊すること により本発明のノックアウト DN Aを作製すればよい。
本発明の DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の D NA不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の具体 例としては、 例えば、 目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の DNAを単離 し、 そのェクソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子 を代表とする薬剤耐性遺伝子、 あるいは l a c Z (/3—ガラクトシダーゼ遺伝子 ) 、 c a t (クロラムフエニコールァセチルトランスフェラ一ゼ遺伝子) を代表 とするレポ一夕一遺伝子等を挿入することによりェクソンの機能を破壊するか、 あるいはェクソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させる D N A配列 ( 例えば、 ポリ A付加シグナル等) を挿入し、 完全な mRNAを合成できなくする ことによって、 結果的に遺伝子を破壊するように構築した DN A配列を有する D NA鎖 (以下、 ターゲッティングベクターと略記する) を、 例えば相同組換え法 により該動物の染色体に導入し、 得られた ES細胞について本発明の DNA上あ るいはその近傍の D N A配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解
析あるいは夕一ゲッティングベクター上の DNA配列と夕ーゲッティングベクタ —作製に使用した本発明の DN A以外の近傍領域の DN A配列をプライマーとし た P C R法により解析し、 本発明のノックアウト E S細胞を選別することにより 得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の DNAを不活化させる元の ES細胞とし ては、 例えば、 前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、 また公知の Ev ansと Kaufmanの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの E S細胞の場合、 現在、 一般的には 129系の ES細胞が使用されているが、 免疫 学的背景がはっきりしていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景 が明らかな E S細胞を取得する等の目的で例えば、 C 57 BLZ6マウスや C 5 7 BL/6の採卵数の少なさを DBAZ2との交雑により改善した BDFiマウ ス (C 57 BLZ6と DBA/2との F を用いて樹立したもの等も良好に用 いうる。 BDF1マウスは、 採卵数が多く、 かつ、 卵が丈夫であるという利点に 加えて、 C 57 BLZ 6マウスを背景に持つので、 これを用いて得られた E S細 胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C 57 BLZ6マウスと戻し交配 (バッ ククロス) することでその遺伝的背景を C 57 BLZ6マウスに代えることが可 能である点で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3. 5日目の胚盤胞を使用す るが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率 よく多数の初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの ES細胞を用いてもよいが、 通常雄の E S細胞の方が生殖 系列キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減するため にもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の性 決定領域の遺伝子を増幅、 検出する方法が、 その 1例として挙げることができる 。 この方法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 106個の細胞数を要し ていたのに対して、 1コロニー程度の E S細胞数 (約 50個) で済むので、 培養 初期における E S細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能で あり、 早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減
できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンデイング法による染色 体数の確認等により行うことができる。 得られる E S細胞の染色体数は正常数の 100%が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細 胞の遺伝子をノックアウトした後、 正常細胞 (例えば、 マウスでは染色体数が 2 n = 40である細胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体発 生できる能力を失いやすいので、 注意深く継代培養することが必要である。 例え ば、 S TO繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F (1 - 1000 OU/ml) 存在下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 約 5%炭酸ガス、 約 95 %空気または約 5%酸素、 約 5%炭酸ガス、 約 90%空気) で約 37°Cで培養す る等の方法で培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン ZED T A溶液 (通常約 0.001-0. 5%トリプシン/約 0. 1— 5mM EDTA、 好ましくは約 0. 1%トリプシン Z約 ImM EDTA) 処理により単細胞化し、 新たに用意した フィーダ一細胞上に播種する方法等がとられる。 このような継代は、 通常 1一 3 日毎に行なうが、 この際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な細胞が見受けられ た場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または細 胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、 頭頂筋、 内臓筋、 心筋等の種々 のタイプの細胞に分化させることが可能であり 〔M. J. Evansおよび M. H. Kaufin an, ネィチヤ一 (Nature) 第 292巻、 154頁、 1981年; G. R. Martin プロシ一デ ィングス ·ォブ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス ·ュ一エスエー ( Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.) 第 78巻、 7634頁、 1981年; T. C. Doetschman ら、 ジャーナル ·ォブ ·ェンブリオロジー ·アンド ·ェクスペリメンタル ·モル フォロジ一、 第 87巻、 27頁、 1985年〕 、 本発明の E S細胞を分化させて得られる 本発明の DN A発現不全細胞は、 インピトロにおける本発明のポリペプチドの細 胞生物学的検討において有用である。
本発明の DNA発現不全非ヒ卜哺乳動物は、 該動物の mRNA量を公知の方法 を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別す
ることが可能である。
該非ヒ卜哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製し た夕一ゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、 導 入により夕一ゲッティングベクターの本発明の D NAが不活性化された D NA配 列が遺伝子相同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の 本発明の D N Aと入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の D N Aを ノックアウトさせることができる。
本発明の D NAがノックアウトされた細胞は、 本発明の D NA上またはその近 傍の D NA配列をプローブとしたサザンハイブリダィゼーション解析または夕一 ゲッティングベクター上の D NA配列と、 ターゲッティングベクターに使用した マウス由来の本発明の D N A以外の近傍領域の D N A配列とをプライマ一とした P C R法による解析で判定することができる。 非ヒト喃乳動物胚幹細胞を用いた 場合は、 遺伝子相同組換えにより、 本発明の D NAが不活性化された細胞株をク ローニングし、 その細胞を適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒト哺乳動物胚ま たは胚盤胞に注入し、 作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮 に移植する。 作出された動物は正常な本発明の D N A座をもつ細胞と人為的に変 異した本発明の D N A座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。 該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明の D N A座をもつ場合、 この ようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、 全ての 組織が人為的に変異を加えた本発明の D N A座をもつ細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラ一の判定等により選別することにより得られる。 このように して得られた個体は、 通常、 本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体であり 、 本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体同志を交配し、 それらの産仔から 本発明のポリペプチドのホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション法 で D N A溶液を注入することにより夕一ゲッティングベクタ一を染色体内に導入 したトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトランスジ エニック非ヒト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の D NA座に
変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明の D N Aがノックアウトされている個体は、 交配により 得られた動物個体も該 D N Aがノックアウトされていることを確認して通常の飼 育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不活化 D N Aの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 D N Aを 相同染色体の両方に持つホモザィゴー卜動物を取得しうる。 得られたホモザィゴ ート動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1, ホモザィゴ一ト複数になるような 状態で飼育することにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴ一卜動物の 雌雄を交配することにより、 該不活化 D N Aを有するホモザィゴ一トおよびへテ ロザィゴート動物を繁殖継代する。
本発明の D NAが不活性化された非ヒ卜哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D NA 発現不全非ヒ卜哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明のポリペプチドによ り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明のポリペプチドの生物活 性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これらの疾病の原因究 明および治療法の検討に有用である。
( 1 0 a ) 本発明の D NAの欠損や損傷等に起因する疾病に対して治療 ·予防効 果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D N Aの欠損や損傷等に 起因する疾病 (呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患等) に対して治療 ·予防効果を有する化合物のスクリ —ニングに用いることができる。
すなわち、 本発明は、 本発明の D N A発現不全非ヒ卜哺乳動物に試験化合物を 投与し、 該動物の変化を観察 ·測定することを特徴とする、 本発明の D NAの欠 損や損傷等に起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物またはその塩 のスクリ一ニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明の D N A発現不全非ヒ卜哺乳 動物としては、 前記と同様のものが挙げられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿等が 挙げられ、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であつ てもよい。
具体的には、 本発明の D NA発現不全非ヒト哺乳動物を、 試験化合物で処理し 、 無処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状等の変化を指 標として試験化合物の治療 ·予防効果を試験することができる。
また、 該動物に同様の処理を行い、 本発明の D NA (または mR NA) の発現 量を定量し、 対照群のものと比較することによつても、 試験化合物の治療 ·予防 効果を試験できる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注射 等が用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質等にあわせて適宜選択するこ とができる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質等にあ わせて適宜選択することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物 から選ばれた化合物であり、 本発明のポリベプチドの欠損や損傷等によって引き 起こされる疾患 (呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器疾患 、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患等) に対して治療 ·予防効果を有するので、 該疾患 に対する安全で低毒性な治療 ·予防剤等の医薬として使用することができる。 さ らに、 上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用い ることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例アル カリ金属) 等との塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま しい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素 酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマ ル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩等が用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記
した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同様にして製造することができる。 このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 (例えば、 ヒト、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル等) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルート等により 差異はあるが、 例えば、 呼吸器疾患の治療目的で該化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 kgとして) においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜: L 00mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜2 ひ mg投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象 、 対象疾患等によっても異なるが、 例えば、 呼吸器疾患の治療目的で該化合物を 注射剤の形で通常成人 (60 kgとして) に投与する場合、 一日につき該化合物 を約 0. 01〜30mg程度、 好ましくは約 0. l〜20mg程度、 より好まし くは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の 動物の場合も、 6 O kg当たりに換算した量を投与することができる。
(10 b) 本発明の DNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化 合物をスクリーニング方法
本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポ一夕一遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の DN Aに対するプ ロモ—夕一の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方 法を提供する。
上記スクリーニング方法において、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物と しては、 前記した本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、 本発明の D NAがレポ一夕一遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポ一夕一遺伝 子が本発明の D N Aに対するプロモ一夕一の制御下で発現しうるものが用いられ る。
試験化合物としては、 前記と同様のものが挙げられる。
レポ一ター遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 /3—ガラクトシダ ーゼ遺伝子 (1 a c Z) 、 可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフ ェラ一ゼ遺伝子等が好適である。
本発明の D NAをレポーター遺伝子で置換された本発明の D NA発現不全非ヒ ト哺乳動物では、 レポーター遺伝子が本発明の D N Aに対するプロモーターの支 配下に存在するので、 レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースする ことにより、 プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、 本発明のポリペプチドをコードする D NA領域の一部を大腸菌由来の ;6—ガラクトシダーゼ遺伝子 (1 a c Z ) で置換している場合、 本来、 本発明の ポリべプチドの発現する組織で、 本発明のポリべプチドの代わりに /3 _ガラク卜 シダーゼが発現する。 従って、 例えば、 5—ブロモ—4—クロ口— 3—^ Γンドリ ルー ^一 D—ガラクトピラノシド (X—g a l ) のような ;8—ガラクトシダ一ゼ の基質となる試薬を用いて染色することにより、 簡便に本発明のポリペプチドの 動物生体内における発現状態を観察することができる。 具体的には、 本発明のポ リペプチド欠損マウスまたはその組織切片をダルタルアルデヒド等で固定し、 リ ン酸緩衝生理食塩液 (P B S ) で洗浄後、 X— g a 1を含む染色液で、 室温また は 3 7 °C付近で、 約 3 0分ないし 1時間反応させた後、 組織標本を 1 mM E D T A/ P B S溶液で洗浄することによって、 /3—ガラクトシダ一ゼ反応を停止さ せ、 呈色を観察すればよい。 また、 常法に従い、 1 a c Zをコードする mR NA を検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した試 験化合物から選ばれた化合物であり、 本発明の D N Aに対するプロモーター活性 を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物 の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸) や塩基 (例、 有機酸) 等 との塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様 な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) と の塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイ ン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホ ン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩等が用いられる。
本発明の D N Aに対するプロモ一夕一活性を促進する化合物またはその塩は、 本発明のポリべプチドの発現を促進し、 該ポリぺプチドの機能を促進することが
できるので、 例えば、 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器 疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患等の疾病に対する安全で低毒性な治療 ·予防剤 等の医薬として有用である。
さらに、 上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に 用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記 した本発明のポリペプチドまたはその塩を含有する医薬と同様にして製造するこ とができる。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 哺乳動物 (例えば、 ラット、 ヒト、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル等) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルート等により 差異はあるが、 例えば、 呼吸器疾患の治療目的で本発明の DNAに対するプロモ 一夕一活性を促進する化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 kg として) においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜: L 00mg、 好ましくは 約 1. 0〜50mg、 より好ましくは約 1. 0〜2 Omg投与する。 非経口的に 投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患等によっても異な るが、 例えば、 呼吸器疾患の治療目的で本発明の DN Aに対するプロモーター活 性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O kgとして) に投与する場合 、 一日につき該化合物を約 0. 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するの が好都合である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投与するこ とができる。
一方、 例えば、 本発明の DNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を 経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 6 O kgとして) の呼吸器疾患患者にお いては、 一日につき該化合物を約 0. l〜100mg、 好ましくは約 1. 0〜5 Omg, より好ましくは約 1. 0〜2 Omg投与する。 非経口的に投与する場合 は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患等によっても異なるが、 本発明 の DNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人 (
60kgとして) の呼吸器疾患患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0 . 01〜3 Omg程度、 好ましくは約 0. 1〜2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1〜1 Omg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 他の動物の 場合も、 6 Okg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の DNAに対 するプロモー夕一の活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリー二 ングする上で極めて有用であり、 本発明の D N A発現不全に起因する各種疾患の 原因究明または予防 ·治療薬の開発に大きく貢献することができる。
さらに、 本発明のポリペプチドをコードする遺伝子は、 ヒトにおいて、 特に気管 、 胎児肺などで特異的に発現していることから、 該遺伝子のプロモータ一配列は 、 目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物等) を非ヒト温血動物のこれらの組織 で特異的に発現させるためのプロモーターとして好都合である。 非ヒ卜温血動物 としては、 例えば上述の温血動物として例示したものと同様のもの等があげられ る。
すなわち、 本発明は、 配列番号: 2または配列番号: 18で表されるアミノ酸 配列を含有することを特徴とするポリペプチドをコードする遺伝子のプロモータ 一領域の下流 (3' 末端側) に目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物等) を連 結し、 非ヒ卜動物に導入することによる目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物 等) を非ヒト温血動物の気管、 肺などで優位に発現させる方法を提供する。
該目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物等) としては、 例えば、 サイトカイ ン (例、 インタ一ロイキン、 インタ一フエロン、 ケモカイン、 造血因子) 、 増殖 因子 (例、 EGF (epidermal growth factor) またはそれと実質的に同一の活 性を有する物質 (例えば、 EGF、 ハレダリン (HER 2リガンド) 等) 、 イン シュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質 (例えば、 インシュリン 、 I GF (insulin-like growth factor) 一 1、 I GF— 2等) 、 FGF (fibr oblast growth factor) またはそれと実質的に同一の活性を有するもの (例えば 、 aFGF、 b FGF, KGF (Keratindcyte Growth Factor) 、 HGF (Hepa tocyte Growth Factor) 、 FGF— 10等) 、 その他の細胞増殖因子 (例えば、 CSF (colony stimulating factor) 、 EPO (erythropoietin) 、 I L - 2
(interleukin-2) 、 NGF (nerve growth factor) 、 PDGF (platelet— der ived growth factor) 、 TGF β (transforming growth factor/3) ) 等) 、 ホ ルモン (例、 黄体形成ホルモン放出ホルモン (LH— RH) 、 成長ホルモン、 成 長ホルモン放出ホルモン(GH— RH) 、 プロラクチン、 メラノサイト刺激ホル モン、 甲状腺ホルモン放出ホルモン、 甲状腺刺激ホルモン、 黄体形成ホルモン、 黄体ホルモン、 卵胞刺激ホルモン、 ガストリン、 モチリン、 ソマトス夕チン、 セ クレチン、 グルカゴン、 PACAP、 V I P等、 消化酵素 (例、 アミラーゼ、 ぺ プシノ一ゲン、 リパーゼ等) 、 病原体に対する抗体 (例、 病原性サルモネラ菌等 の病原性細菌に対する抗体、 ィンフルェンザ等の病原性ウィルスに対する抗体、 ェキノコックス等の寄生虫に対する抗体等) 、 抗菌ポリペプチド (例、 セクロピ ン、 ヒス夕チン、 インドリシジン、 プロテグリン、 ディフェンシン、 リゾチーム 等) 等の有用遺伝子産物等があげられる。
上記の目的タンパク質のうち、
① サイト力インを気管や肺に特異的に発現させることによって、 例えば、 非ヒ ト温血動物の免疫活性の増強、 調節等が達成でき、
② 抗菌ポリペプチドを気管や肺に特異的に発現させることによって、 例えば、 非ヒト温血動物の感染症に対する抵抗性の増強が達成できる。
以下に、 配列番号: 2または配列番号: 18で表されるアミノ酸配列を含有す ることを特徴とするポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーター領域の下流 (3' 末端側) に目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物等) をコードする DN Aを連結し、 非ヒ卜動物に導入することによる目的タンパク質 (任意の有用遺伝 子産物等) を非ヒト温血動物の気管、 肺などで特異的に発現させる方法について より具体的に記載する。
まず、 配列番号: 2または配列番号: 18で表されるアミノ酸配列を含有する ことを特徵とするポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーターは、 コロニー ハイブリダィゼーション、 プラークハイブリダィゼーシヨンや PC R等の公知の 方法 (例えば、 モレキュラー 'クロ一ニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sa mbrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法等) によ つて得ることができる。 また、 プロモ一夕一活性を有する領域の同定は、 レポ一
夕一アツセィ等の公知の方法 (例えば、 アナリティカルバイオケミストリ一 (A nalyt ical Biochemistry) , 1 8 8巻, 2 4 5頁 (1990年) に記載の方法等) に よって得ることができる。
次に上記の方法によって得られるプロモーターの下流 (3 ' 末端側) に目的夕 ンパク質 (任意の有用遺伝子産物等) を連結するためには、 T 4 D NAリガ一 ゼを用いてプラスミドを構築するための公知の方法 (例えば、 モレキュラー *ク ローニンク (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al. , Cold Spring Har bor Lab. Press, 1989)に記載の方法等) によって目的を達成する事が出来る。 プロモーターの下流 (3 ' 末端側) に目的タンパク質 (任意の有用遺伝子産物 等) をコードする D NAを連結したものを非ヒト温血動物に導入するためには、 エレクトロボ一レイシヨンを用いる方法、 遺伝子銃を用いる方法、 レトロウィル スベクタ一を用いる方法 (例えば、 ブラッド セルズ (Blood Cel ls) , 1 7巻, 4 0 7頁 (1991年) に記載の方法等) 、 アデノウイルスベクタ一を用いる方法 ( 例えば、 パソロジー (Pathology) , 3 0巻, 3 3 5頁 (1998年) に記載の方法 等) 等がある。 本明細書および図面において、 塩基やアミノ酸等を略号で表示する場合、 IUPA C-IUB Commiss ion on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当言 分野 における慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関し 光学異性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
D NA デォキシリポ核酸
c D NA 相補的デォキシリポ核酸
A アデニン
T チミン
G グァニン
C
RNA リポ核酸
mR NA リポ核酸
dATP '三リン酸 dTTP デォキシチミジン三リン酸 dGTP デォキシグァノシン三リン酸 dCTP デォキシシチジン三リン酸 ATP アデノシン三リン酸
EDTA エチレンジァミン四酢酸 SD S ドデシル硫酸ナトリウム G 1 y グリシン
A 1 a ァラニン
Va 1 バリン
Le u ロイシン
I 1 e
S e r セリン
Th r スレオニン
C y s
Me t メチォニン
G 1 u グルタミン酸
As ァスパラギン酸
L y s リジン
Ar g アルギニン
H i s ヒスチジン
P h e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
T r p トリブトファン
P r o プロリン
A s n
G 1 n グルタミン
p G 1 u ピログルタミン酸
また、 本明細 :中で繁用される置換基、 保護基および試薬を下記の記号で表記 する。
Me メチル基
E t ェチル基
B u ブチル基
Ph フエニル基
TC チアゾリジン— 4 (R) —力ルポキサミド基
T o s p—トルエンスルフォニル
CHO ホルミル
B z 1
C 12— B z 1 2, 6—ジクロ口べンジル
Bom ベンジルォキシメチル
Z ベンジルォキシカルポニル
C 1一 z 2—クロ口べンジルォキシカルボニル
B r - Z 2一ブロモベンジルォキシカルボニル
B o c tーブ卜キシカルボニル
DNP ジニトロフエニル
T r t 卜リチル
Bum t一ブトキシメチル
Fmo c N— 9—フルォレニルメトキシカルポニル
HOB t
HOOB t 3, 4—ジヒドロー 3—ヒドロキシ一 4—ォキソ一
1, 2, 3—べンゾ卜リアジン
HONB 1 -ヒドロキシ- 5 -ノルポルネン- 2, 3-ジカルポキシィミド DCC N, N' —ジシクロへキシルカルポジイミド 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
[配列番号: 1 ]
実施例 1で得られたヒト新規 c DN A断片の塩基配列を示す。
[配列番号: 2 ]
ヒト型前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 3 ]
ヒト型前駆体ポリペプチドをコードする D N Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 4]
ヒト型本発明のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 5 ]
ヒト型本発明のポリペプチドをコードする D N Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 6 ]
ヒト型成熟べプチド 1のァミノ酸配列を示す。
[配列番号: 7]
ヒト型成熟ペプチド 1をコードする DN Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 8 ]
ヒ卜型成熟べプチド 2のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 9]
ヒト型成熟べプチド 2をコードする DN Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 10]
実施例 1で用いたプライマー (センス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 1 1]
実施例 1で用いたプライマ一 (アンチセンス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 12]
実施例 2で用いたプライマー (センス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 13]
実施例 2で用いたプライマー (アンチセンス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 14]
実施例 3で用いたプライマー (センス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 1 5]
実施例 3で用いたプライマー (アンチセンス鎖) の塩基配列を示す。
[配列番号: 16]
実施例 3で構築した発現べクターがコードするポリペプチドのァミノ酸配列を示 す。
[配列番号: 17]
実施例 3で構築した発現べクタ一がコードするポリぺプチドの塩基配列を示す。
[配列番号: 18]
マウス型前駆体ポリペプチドのァミノ酸配列を示す。
[配列番号: 19]
マウス型前駆体ポリペプチドをコードする D N Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 20]
マウス型本発明のポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 21]
マウス型本発明のポリペプチドをコードする D N Aの塩基配列を示す。
[配列番号: 22]
マウス型成熟べプチド 1のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 23]
マウス型成熟ペプチド 1をコードする DNAの塩基配列を示す。
[配列番号: 24]
マウス型成熟べプチド 2のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 25]
マウス型成熟ペプチド 2をコードする DN Aの塩基配列を示す。 後述の実施例 1で得られた形質転換体ェシエリヒア ·コリ (Escherichia coli ) XL10_GoldZpDRL138hは、 平成 12年 12月 6日から大阪府大阪市淀川区十三 本町 2丁目 17番 85号 (郵便番号 532 - 8686) の財団法人 ·発酵研究所 (I FO) に寄託番号 I FO 16511として寄託されており、 平成 12年 1 2月 19日から茨城県つくば市東 1丁目 1番地 1 中央第 6 (郵便番号 305— 8566) の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター (旧 通 商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 (NI BH) ) に寄託番号 FERM
B P— 7399として寄託されている。
実施例
以下に、 実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明はそれらに限定 されるものではない。 なお、 大腸菌を用いての遺伝子操作は、 モレキュラー -ク ローニング (Molecular cloning) に記載されている方法に従った。 実施例 1 ヒト DRL 138をコードする cDNAのクローニング
ヒト遺伝子情報データベースを探索し、 同一のオープンリーディングフレーム (
ORF) の中に、 分泌のためのシグナル配列、 及び塩基性アミノ酸対 (Ar g— A r g、 L y s— A r gなど) の両方が存在する配列を検索した結果、 ヒト遺伝 子配列の中から、 10番染色体由来の新規な配列が見出された。 本遺伝子配列を 含む mRNAが実際に転写されているかどうか、 また、 予想される OR Fが正し いかどうかを確認するため、 以下の方法で cDN A断片を取得した。
ヒト卵巣由来の cDNA (Multiple Tissue cDNA Panel, CLONTECH K1421-1 ) 溶液各 3 1に、 オリゴ DNA CCTGGACGGAGCCCCTACCT (配列番号: 10) 1 O mol , オリゴ DNA GATTGCTGGAACACGGGGATGC (配列番号: 11) 1 Opmol , 蒸留水 10 U, Premix Ta (Ex Ta Version, Takara) 20 1を加え全量 を 40 1とし、 サーマルサイクラ一 (GeneAmp PCR System Model 9700, パ一キ ンエルマ一社) を用いて 96°C 1分の後、 35回のサイクル反応 (94 30 秒、 68 °C 2 分) を行った結果、 約 0.5kbの PCR断片が増幅された。 次に、 本 DNA断 片をァガロースゲル電気泳動で精製し、 塩基配列を決定する為に pCR2.1-T0P0 ( インビトロジェン社) を用いてクローニングし、 該プラスミドを大腸菌 XL10- Gol dコンビテントセル (STRATAGENE社) に導入した。 アンピシリン含有 LB寒天培地 上で出現するアンピシリン耐性形質転換体のコロニーの中から 0.5kbの DNA断 片が揷入されたプラスミドを保持したクローンを選択し、 該プラスミド DNA ( pDRL 138 h) を調製した。 挿入 D N Aの塩基配列を決定するため、 pDR L 138 hを铸型 DNA、 2種のプライマ一 DNA (PRM- 007、 PRM-008 東洋紡 績) をシーケンスプライマ一とし、 ABI PRISM (登録商標) BigDye Terminator Cy cle Seauencing FS Ready Reaction Kit (パーキンエルマ一社) を用いてシ一ケ
ンス反応を行い、 D N Aシーケンサー ABI PRISM (登録商標) 377 (パーキンェ ルマ一社) で解読した。
その結果、 D R L 1 3 8 hには、 公知の塩基配列とは全く相同性のない配列 番号: 1で示される 5 1 3個の塩基配列からなる新規 c D NA断片が揷入されて いることが判明した。 本 c D NAには、 配列番号: 2で表される 1 3 8アミノ酸 残基からなる新規タンパク質 (以下、 「D R L 1 3 8ポリペプチド」 又は 「D R L 1 3 8」 と称する場合がある) をコードする配列番号: 3で表されるオープン リ一ディングフレーム(Open reading frame)の塩基配列が含まれていた。 以上の 結果より、 本遺伝子が転写され翻訳されていることが確認された。 また、 公知の ァミノ酸配列とは全く相同性のないポリペプチドをコードする O R Fが確認され たことから、 シグナル配列を含む新規なポリぺプチドの c D N Aであることが明 確となった。 実施例 2 ヒトにおける発現部位の解析
ヒト各組織の poly (A) +RNA をあらかじめブロッテイングしてあるメンブレンフ ィルター (Human 12- Lane MTN Blot (ク口ンテック社カタ口グ番号 7780- 1)、 Hu man 12- Lane MTN Blot II (クロンテック社カタログ番号 7784 - 1)、 Northern Li ghts Human Multiple raRNA Blot IV (ギブコネ土 カタログ番号 11396-017)、 Hu Fetal mR A Blot I (インビトロジェン社カタログ番号 D2801- 08)、 Hu Fetal mR NA Blot II (ィンビトロジェン社 カタ口グ番号 D2808 - 08) ) およぴヒト各組識 の poly (A) +RNAまたは DNAをあらかじめドットブロッティングしてあるメンブレン フイノレター (Human Multiple Tissue Expression (MTE) Array,クロンテック社 カタログ番号 7775-1) をハイブリダィゼーシヨン用緩衝液 ClmM EDTA, 7% SDSを 含む 0. 5M リン酸ナトリウム緩衝液 (pH7. 2)〕 中、 60°Cでプレハイブリダィゼー シヨンを行なった。 一方、 プローブとして、 ヒト卵巣由来の c D NA (Multi pie Tissue cDNA Panel, CL0NTECH K1421- 1) を錶型として配列番号: 1 2 (5 ' -AGGCAGAAGCTTCGGGTTGATGA-3 ' ) で示されるオリゴ D N Aをセンス鎖プライ マーとして、 配列番号: 1 3 (5' - AGGGGAAGCCACTGTAGGTTTG-3 ' ) で示されるォ リゴ D NAをアンチセンス鎖プライマーとして P C Rにより増幅して得られた 0·
4 kb DNA断片を、 〔οί-32Ρ〕 dCTP (デュポン社カタログ番号 NEG- 513Z) とラン ダムプライマ一ラベリングキット (アマシャム社カタログ番号 RPN1601Y) を用 いて標識した。 ハイブリダィゼ一シヨン用緩衝液 〔lniM EDTA, 7% SDSを含む 0.5M リン酸ナトリウム緩衝液 (pH7.2)〕 中、 60°Cで 30分間プレハイブリダィゼーシ ョンを行なった後、 ハイプリダイゼーションは標識プローブを含むハイプリダイ ゼーシヨン用緩衝液 〔lfflM EDTA, 7% SDSを含む 0.5M リン酸ナトリウム緩衝液 (p H7.2) 3 中、 60°Cで 18時間ハイブリダィゼ一シヨンを行なった。 フィル夕一は最 終的に 0.1XSSC 〔20XSSC=3M塩化ナトリウム, 0.3Mクェン酸ナトリウム〕 、 0.1 % SDS中 50でもしくは 60°Cで洗浄後、 オートラジオグラムをとつてプローブとハ イブリダィゼ一シヨンするバンドまたはスポットを検出した。 検出は BAS- 2000 ( 富士フィルム) を用いて行った。 その結果、 本ポリペプチドをコードする mRN Aの大きさは約 0.9kbであり、 気管および胎児肺由来の poly (Α)¾ΝΑとハイブリダ ィズすることが判明した。 実施例 3 ヒト DRL 138の発現ベクターの構築
ヒト DRL 1 38をコードする DNA断片は以下のような PCR法により取得 した。 すなわち、 配列番号: 14 (5' - CTACGAATTCCACCATGACTTGGAGACAGGCCGTC CTGCT-3' ) で示されるオリゴ DNAをセンス鎖プライマーとして、 配列番号: 1 5 (5' - TTCAGGTCGACGGTGTGGTGGCGGTTGTAGAGATAG -3' ) で示されるオリゴ DNAをアンチセンス鎖プライマ一として各々 20 pmoL 10 x Advantage (登録 商標) 2 PCR Buffer (CLONTECH) 5 1、 50 x dNTP mix (CLONTECH) 1 U 5 0 x Advantage 2 Polymerase Mix (CLONTECH) In 1 , 鍀型 DNAとして実施例 1に記載のプラスミド pDRL138Mngを含む混合液 50 1を調製し、 サーマルサイ クラ一 (GeneAmp (登録商標) PCR system model 9700 (Applied Biosystems) ) を用いて 96°C、 1分、 続いて 96° (:、 5秒— 68°C、 30秒を 1 5サイク ル繰り返し、 さらに 68°C、 2分のプログラムで PCR反応を行った。 反応終了 液を制限酵素 Mと lで二重消化した後、 キアクイックゲル P C Rピユリフ ィケイシヨンキット (キアゲン) を用いて未反応プライマ一及び制限酵素消化に より生じた短い DNA断片を除いた。 得られた断片を PCA 618.FLAGベクターにサ
ブクロ一ニングし、 該プラスミドを大腸菌 E. coli XL10- Gold株 (ストラタジ一 ン) のコンビテントセルに導入した。 アンピシリン含有 LB寒天培地上で出現す るアンピシリン耐性形質転換体のコロニーの中から、 外来 D N A断片が挿入され ていたプラスミドを保持していたクローンを選択し、 該プラスミド pDRL 13 8 h— FLAGを調製した。
pDRL 13811- FLAGは、 配列番号: 16に示したように DRL 138 hポリべプチ ドの C末端に V a 1残基、 続いて FLAG配列である Asp-Tyr- Lys- Asp- Asp- Asp - Asp- Lysが続くヒト DRL 138 h— F LAG融合タンパク質をコードする配列 番号: 17で示される 441塩基対の DNA断片を含んでいる。 FLAG配列は 、 遺伝子産物を検出するためのェピトープ (抗原認識部位) としての役割を持つ ている。 実施例 4 COS-7細胞での発現
ヒト DRL 138タンパク質が分泌タンパク質であることを確認するために、 COS— 7細胞を用いて DRL 138 h— F L AG融合タンパク質を発現させ、 培地中に分泌されるかどうかを検証した。 発現べク夕一をトランスフエクシヨン する前日に COS— 7細胞を 6穴プレートに 3 X 105 cells/welUこなるように播 き、 10% FBS (日本競争馬協会)を含む DMEM培地(ギブコ社)で 24時間 C02インキュ ベ一夕中 37°Cで培養した。 実施例 3で構築した発現プラスミド pDRL138h- FLAG1 g/well と Efiectene (キアゲン社)を用いてトランスフエクシヨンを行った後、 24時間後に 1mlの 0. lmM pABSF (和光純薬工業) と 0.05% CHAPS (同仁化学) を含 む、 血清を含まない DMEM培地に培地交換を行い、 さらに 48時間培養を続けた。 培 養上清はエツペンドルフサンプルチユーブに移して遠心し、 細胞などを除去した 上清を、 Cent icon YM- 3限外濾過膜 (ミリポア社) を用いておよそ 1/20にまで濃 縮した。 得られた濃縮培養上清に等容の Tris- Tricine SDS- PAGEサンプルバッフ ァ一(テフコ社)を加えた。 また、 細胞は、 lnilの PBS (ギブコ社)で 2回洗浄した後 、 500^1の Tris - Tricine SDS - PAGEサンプルバッファーを加えた。 これらのサン プルは 95° 5分間熱処理をおこなった後、 16% Peptide- PAGE mini (テフコ 社) で電気泳動し、 さらにそのゲルから Hybond P膜 (アマシャム社) 上に転写し
た。 次に該 Hybond P膜を 0.1% Tween-20 と 50%ブロックエース (雪印乳業) を含 む PBSでブロッキングした後、 Western blottingによる DRU38h- FLAG融合タンパ ク質の検出を行った。 一次抗体に抗 FLAG M2 mouse IgG monoclonal抗体 (1 I 20 00希釈、 シグマ社) 、 二次抗体に HRP標識抗 mouse IgG sheep抗体 (1 I 2000希 釈、 アマシャム社) を用いて反応した。 発光には ECL Western blotting kit (ァ マシャム社)を用い、 Hyperfilm ECL (アマシャム社) にて化学発光を検出した。 その結果、 ヒト DRL138h- FUG融合夕ンパク質は細胞培養上清に分泌されており、 その分子量は約 llkDaであることが判明した。 細胞画分には検出されなかった。 DRL 138 h— FLAG融合タンパク質は 147アミノ酸残基からなり、 その 分子量の計算値は 17, 656ある。 一方 DRL 138 h— FLAG融合タンパ ク質の配列中の 61番目から 64番目の位置に、 タンパク質プロセシング酵素フ リン (f ur i n) により基質として認識され得る配列 (Arg- Gly- Lys- Arg) が 存在する。 65番目の S e rから C末端までの分子量の計算値は 10, 531で あり、 ウェスタンブロッテイングで認められたバンドの大きさとほぼ一致する。 以上のことから、 ヒト DRL 138タンパク質は、 タンパク質プロセシング酵素 であるフリンの切断配列 (Arg- Gly- Lys_Arg ) で限定分解され、 細胞外に分泌 されるものと考えられる 〔図 1〕 。 実施例 5 マウス DRL 138の配列
マウス遺伝子情報データべ一スを探索することにより、 マウス DRL 138の 配列が次の通り推定された。 すなわち、 配列番号: 1と配列番号: 2に示したヒ ト DRL 138の塩基配列とアミノ酸配列をそれぞれクエリ一配列として、 マウ ス遺伝子情報デ一夕ベースに対して相同性検索 (BLAST検索) を行った結果 、 マウス DRL 138ポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号: 18に示すもの であると推定された。 また、 マウス DRL 138のアミノ酸配列をコードする塩 基配列は配列番号: 19に示すものであると考えられる。 ヒト DRL138とマ ウス DRL 138の各アミノ酸配列を N末端から順番に並べたところ、 138ァ ミノ酸残基のうち 109アミノ酸が一致し、 極めて良く保存されていることが判 明した 〔図 2〕 。
産業上の利用可能性
本発明のポリペプチドおよびそれをコードする D NAならびにそのアンチセン ス D NAは、 例えば、 呼吸器疾患、 癌、 免疫疾患、 感染症、 消化管疾患、 循環器 疾患、 内分泌疾患、 骨 ·関節疾患の診断、 治療、 または予防剤として使用するこ とができる。 また、 本発明のポリペプチドは、 本発明のポリペプチドの活性を促 進もしくは阻害する化合物またはその塩のスクリ一ニングのための試薬として有 用である。 さらに、 本発明のポリペプチドに対する抗体は、 本発明のポリべプチ ドを特異的に認識することができるので、 被検液中の本発明のポリぺプチドの検 出、 定量、 中和等に使用することができる。