技術分野
本発明は、 ステップインデックス型プラスチック光ファイバ (以下 S I型光フ アイパという) に関し、 特に、 可視から近赤外領域にわたる広範囲の光を伝達可 能であり、 かつ開口数の大きな S I型光ファイバに関する。
明
田
w:
従来の光フアイバは石英製が主力であつたが、 加工性の悪さや曲げに対する弱 さを克服するためにプラスチック製の光ファイバが開発され実用化されている。 通常のプラスチック光ファイバはポリメ夕クリル酸メチル、 ポリカーボネート等 の透明な樹脂からなるコァと、 これよりも屈折率が小さくかつ透明な含フッ素ポ リマー等の樹脂からなるクラッドとを基本構成単位としている。
しかし、 これらの樹脂材料ではポリマー中に存在する炭素一水素結合に基づく 伸縮振動の倍音吸収が存在し、 近赤外領域での伝送損失が大きい。 この問題を解 決するため、 水素原子の代わりにフッ素原子を導入し炭素—水素結合を無くすこ とにより、 近赤外領域での伝送損失低減の検討がなされている。 例えば特許第 2 8 2 1 9 3 5号公報には、 ペルフルォロポリマーをコアおよびクラッドの材料に 用いた S I型光ファイバが記載されている。
従来のコアおよびクラッドにペルフルォロポリマーを用いたプラスチック光フ アイバはコアとクラッドの屈折率差が小さいため開口数 (NA) が小さいという 課題があった。 本発明は、 この問題を解決し、 曲げ時の損失が小さく、 かつ広い 範囲の光を受光できる、 工業用や医療用各種センサ等の光通信媒体の用途に適し たプラスチック光ファイバを提供することを目的とする。 発明の開示
本発明は、 コアが実質的に水素原子を有しないかつ側鎖に塩素原子を有する含 フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (A— 1 ) からなり、.クラッドが
実質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 ( B) からなり、 コアとクラッドの屈折率差が 0. 020以上であることを特徴と する、 S I型光ファイバ、 である。
また本発明は、 コアが高屈折率化剤を含み、 かつ実質的に水素原子を有しない 含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (A) からなり、 クラッドが実 質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (B ) からなり、 コアとクラッドの屈折率差が 0. 020以上であることを特徴とす る、 S I型光ファイバ、 である。
また本発明は、 コアが実質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成さ れる非晶質フッ素樹脂 (A) 、 または高屈折率化剤を含む該非晶質フッ素樹脂 ( A) からなり、 クラッドが実質的に水素原子を有しない屈折率 1. 300未満の 含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (B— 2) からなり、 コアとク ラッドの屈折率差が 0. 020以上であることを特徴とする、 S I型光ファイバ 、 である。
また本発明は、 コアが、 下記式 (1) で表され単量体 (a) が環化重合した繰 り返し単位を有する含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (A) また は高屈折率化剤を含む該非晶質フッ素樹脂 (A) からなり、 クラッドが下記式 ( 4) で表される単量体 (b— 1) が重合した繰り返し単位を有する含フッ素重合 体から構成される非晶質フッ素樹脂 (B— 3) または実質的に水素原子を有しな い含フッ素可塑剤を含む該非晶質フッ素樹脂 (B— 3) からなり、 コアとクラッ ドの屈折率差が 0. 020以上であることを特徴とする、 S I型光ファイバ、 で める。
ただし、 mは 0〜5の整数、 R1 R2、 R 3および R4はそれぞれ独立に炭素 数 1~9のペルフルォロアルキル基、 塩素原子またはフッ素原子、 R 13は炭素 数 2 ~ 9のペルフルォロアルキル基、 R 14は炭素数 1〜 9のペルフルォロアル キル基またはフッ素原子を表す。
CF?=CF—0— CR^R2— (CR3R4) m-CF=CF2 (1)
また本発明は、 コアが実質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成さ れる非晶質フッ素樹脂 (A) 、 または高屈折率化剤を含む該非晶質フッ素樹脂 ( A) からなり、 クラッドが実質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成 される非晶質フッ素樹脂 (B ) 、 または実質的に水素原子を有しない含フッ素可 塑剤を含む該非晶質フッ素樹脂 (B ) からなり、 開口数 (NA) が 0 . 4 1 5以 上であることを特徴とする、 S I型光ファイバ、 である。
また本発明は、 ペルフルォロ (2—ペンチルー 1, 3—ジォキソール) 、 これ を単量体として重合した繰り返し単位を有する含フッ素重合体、 および該重合体 を用いたことを特徴とする、 光学部材である。 図面の簡単な説明
図 1は例 4 3の S I型光ファイバの伝送損失 (波長 5 0 0 6 0 0 n m) を示 すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
本発明における非晶質フッ素樹脂は、 1種のみのまたは混合された 2種以上の 、 非晶質となる特定の含フッ素重合体から構成され、 他の構成成分として該含フ ッ素重合体以外に少量の添加剤を含んでいてもよい。 さらに、 非晶質フッ素樹脂 は、 それが全体として非晶質であるかぎり、 少量の結晶性含フッ素重合体 (単独 では結晶質となる含フッ素重合体) を含んでいてもよい。
特定の含フッ素重合体はまた実質的に水素原子を有しない重合体である。 非晶 質となる特定の含フッ素重合体以外の他の重合体が併用される場合はその他の重 合体も実質的に水素原子を有しない重合体である。 すなわち、 本発明における非 晶質フッ素樹脂を構成する重合体は、 実質的に水素原子を有しない重合体から構
成される。 以下特に言及しないかぎり、 非晶質フッ素樹脂を構成する重合体とは 実質的に水素原子を有しないものを意味する。 なお、 以下 「重合体」 とは、 特に
「単独重合体」 、 「共重合体」 と言及しないかぎり、 単独重合体であっても共重 合体であってもよい。
S I型光ファイバは、 コアとそれよりも相対的に低屈折率のクラッドからなる 。 コアとクラッドの屈折率差が大きいほど開口数 (NA) が大きくなる。 非晶質 フッ素樹脂は本来低屈折率の樹脂であり、 これをコアの材料として使用するとそ れに比較してさらに低屈折率でなくてはならないクラッドの材料の選択の巾が小 さく屈折率差を大きくすることは困難であった。 本発明は、 クラッドの材料とし てコアと同じ範疇の非晶質フッ素樹脂を使用し、 かつ従来に比較してコァとクラ ッドの屈折率差を大きくするとともに、 各材料の光学的物性や機械的物性を高め ることを目的とする。
本発明の 1つは、 コアの材料として屈折率を高める効果のある塩素原子を有す る含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂を使用してコアの屈折率を高 め、 クラッドとの屈折率差を大きくするものである。 この塩素原子は重合体の側 鎖に結合した塩素原子でなくてはならず、 塩素原子が主鎖の炭素原子に結合して いると、 単量体の重合性が悪くなり重合体として安定な物性の得られる高分子量 体が得られない、 または結晶性が高くなり散乱損失が増加する等の問題がある。 なお、 本発明において、 非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体の主鎖は 、 炭素原子のみの連鎖からなり、 その主鎖は重合性二重結合を構成する 2個の炭 素原子の連鎖から形成される。 また、 重合性二重結合を 2個有する単量体 (以下 含フッ素ジェン類ともいう) の環化重合で得られる重合体においては 2個の重合 性二重結合を構成する 4個の炭素原子の連鎖から主鎖が形成される。 したがって 、 側鎖に塩素原子を有するとは、 これら重合性二重結合を構成する炭素原子に直 接結合した塩素原子を有さず、 他の炭素原子に結合している塩素原子を有するこ とを意味する。
本発明はまた、 コアの材料として高屈折率化剤を含む非晶質フッ素樹脂を使用 することによりコアの屈折率を高め、 クラッドとの屈折率差を大きくするもので ある。 この高屈折率化剤は配合される非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合
体よりも高屈折率の化合物であり、 それが配合された非晶質フッ素樹脂の屈折率 はそれが配合されていない非晶質フッ素樹脂よりも高い屈折率を有する。 通常非 晶質フッ素樹脂の屈折率は高屈折率化剤の配合量に従って高くなる。 髙屈折率化 剤としては特に実質的に水素原子を有しない含フッ素芳香族化合物が好ましい。 さらに本発明は、 クラッドの非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体とし て従来より屈折率の低い含フッ素重合体を用いてコアとの屈折率差を大きくする ものである。 クラッドの非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体としてペル フルォロ (2 , 2—ジメチルー 1, 3—ジォキソ一ル) (下式 (5 ) 、 以下 P D Dという) の重合体が知られているが、 この発明ではそれよりもさらに屈折率の 低い含フッ素重合体を使用する。
これらコアとクラッドの屈折率差を大きくする手段は 2以上を組み合わせるこ ともできる。 例えば、 塩素原子を有する含フッ素重合体と高屈折率化剤を組み合 わせ コアとする、 さらにこのコアとより低屈折率の含フッ素重合体からなるク ラッドを組み合わせる、 高屈折率化剤を含む非晶質フッ素樹脂からなるコアとよ り低屈折率の含フッ素重合体からなるクラッドを組み合わせる、 等である。 さらに本発明ではクラッドを含フッ素可塑剤を含む非晶質フッ素樹脂とするこ とができる。 クラッドの材料である低屈折率の含フッ素重合体は通常剛性が高く 脆いことより可塑剤を配合して柔軟性を高めることが好ましい。 クラッドを柔軟 性の高い材料で構成することにより、 S I型光ファイバを曲げたとき等にクラッ ク等の発生を抑制しうる。 この可塑剤としては含フッ素重合体との親和性を高め るうえでフッ素化合物であることが必要であり、 しかも実質的に水素原子を有し ないことが好ましい。 この含フッ素可塑剤がフッ素含有量の高い化合物である場 合はクラッドの屈折率を低める効果もある。
本発明においてコアとクラッドの屈折率差を大きくすること、 すなわち開口数
(NA) を大きくすることは、 S I型光ファイバを曲げたときに伝送損失の増大 を抑制する、 センサに使用した場合、 広い範囲から集光できるため、 センサ感度 が向上する、 等の効果が得られ好まレぃ。
本発明 S I型光ファイバが充分大きな開口数を達成するためにはコアの非晶質 フッ素榭脂とクラッドの非晶質含フッ素樹脂との屈折率差は 0 . 0 2 0以上であ ること 必要である。 この屈折率差が大きいほど高い大きい開口数が得られる。 この屈折率差としては、 好ましくは 0 . 0 3 0以上であり、 より好ましくは 0 . 0 4 0以上であり、 さらに好ましくは 0 . 0 4 5以上であり、 特に好ましくは 0 . 0 5 0以上であり、 最も好ましくは 0 . 0 6 0以上である。 屈折率差の上限は 特にはないが通常 0 . 2である。
この屈折率差に基づき、 本発明 S I型光ファイバの開口数としては、 0 . 2 8 0以上が好ましい。 より好ましくは 0 . 3 2 5以上であり、 さらに好ましくは 0 . 3 6 4以上であり、 特に好ましくは 0 . 3 8 0以上であり、 最も好ましくは 0 . 4 1 5以上である。 開口数の上限は特にはないが通常 0 . 7 5である。
上記屈折率差を大きくするためには、 従来に比較してより高屈折率のコア材料 を使用する方法、 従来に比較してより低屈折率のクラッド材料を使用する方法、 従来に比較してより高屈折率のコア材料と従来に比較してより低屈折率のクラッ ド材料とを組み合わせる方法があり、 本発明におけるコアの非晶質フッ素樹脂と クラッドの非晶質フッ素榭脂はこれら方法のいずれにも適用できる。
本発明におけるコアの非晶質フッ素樹脂とクラッドの非晶質フッ素樹脂は、 屈 折率が相違する点を除き、 同じ範疇の非晶質フッ素樹脂である。 両者を区別する ために、 以下コアの非晶質フッ素樹脂を非晶質フッ素樹脂 (A) といい、 クラッ ドの非晶質フッ素樹旨を非晶質フッ素樹 jS旨 (B) という。
これら非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体は、 実質的に水素原子を有 しないものであり、 炭素一水素結合を有しない重合体である。 非晶質フッ素樹脂 が実質的に水素原子を有しない含フッ素重合体から構成されることにより、 近赤 外領域での伝送損失が低減され、 可視光から近赤外光までの光を良好に伝達でき る S I型光ファイバが得られる。 またフッ素樹脂が非晶質であることは、 S I型 光ファイバの特に短波長領域における散乱損失を減少させる。
また非晶質フッ素樹脂は含フッ素重合体のみからなっていてもよく、 光伝送性 能や機械的性能等を実質的に阻害しないかぎり添加剤を含んでいてもよい。 添加 剤としては、 可塑剤、 屈折率調整剤、 各種安定剤、 架橋剤等が挙げられる。 これ らは、 光伝送性能を実質的に阻害しないために、 または性能を向上させるために 、 含フッ素重合体と親和性の高いフッ素化合物であることが好ましい。 特にコア の非晶質フッ素樹脂 (A) に屈折率調整剤として高屈折率化剤を含ませることは S I型光ファイバの NAを大きくするうえで好ましい。 またクラッドの非晶質フ ッ素樹脂 (B ) に可塑剤を含ませることは光ファイバに柔軟性を持たせるうえで 好ましい。
本発明における非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体としては、 含フッ 素ジェン類が環化重合した繰り返し単位を有する重合体 (以下環化重合体ともい う) および含フッ素ジォキソ一ル類が重合した繰り返し単位を有する重合体 (以 下ジォキソ一ル系重合体ともいう) が好ましい。 環化重合体は含フッ素ジェン類 の 2種以上の共重合体であつてもよく、 含フッ素ジェン類と他の共重合性単量体 との共重合体であつてもよい。 他の共重合性単量体としては重合性モノェン類が 適当である。 ジォキソール系重合体も含フッ素ジォキソ一ル類 2種以上の共重合 体であってもよく、 含フッ素ジォキソール類と他の共重合性単量体との共重合体 であってもよい。 さらに非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体としては含 フッ素ジェン類と含フッ素ジォキソール類の共重合体であつてもよい。
上記含フッ素重合体の中でジォキソール系重合体は環化重合体に比較して特に 屈折率が低くなる傾向があることより、 クラッドの非晶質フッ素樹脂 (B ) を構 成する含フッ素重合体としてはジォキソール系重合体が好ましく、 コアの非晶質 フッ素樹脂 (A) を構成する含フッ素重合体としては環化重合体が好ましい。 含 フッ素ジェン類と含フッ素ジォキソール類の共重合体の場合、 組み合わされる他 の非晶質フッ素樹脂との屈折率の相違によりコアにもクラッドにも使用しうるが 、 通常はクラッドの材料として適当である。
上記重合体は後記の単量体を用いてバルク重合、 溶液重合、 懸濁重合、 乳化重 合等公知のいずれの方法を使用しても得られる。 重合には通常ラジカル発生剤が 重合開始剤として用いられる。 重合後に重合体末端の不安定性基を除去するため
に得られた重合体をフッ素化する等の後処理を行うこともできる。
上記含フッ素重合体の溶融状態における粘度は、 溶融温度 200〜300°Cに おいて 1 X 102〜1 X 105P a · sが好ましい。 溶融粘度が高すぎると溶融 紡糸が困難になる。 また、 溶融粘度が低すぎても実用上好ましくない。 すなわち 、 電子機器や自動車等での光伝送体として用いられる塲合に高温で軟化し、 S I 型光ファイバとしての伝送性能が劣化する。
また上記含フッ素重合体の数平均分子量 Mnは 1 X 104〜5X 106が好まし く、 5 X 104〜 1 X 106がより好ましい。 分子量が小さすぎると耐熱性が悪 くなることがあり、 大きすぎると溶融粘度が高くなり成形が困難となり好ましく ない。
非晶質フッ素榭脂を構成する含フッ素重合体のうち環化重合体としては下記式 (1) で表される単量体 (以下単量体 (a) という) が環化重合した繰り返し単 位を有する重合体が好ましい。
CF2=CF-0-CR1R2- (CR3R4) m-CF=CF2 (1) ただし、 mは 0〜5の整数、 R R2、 R 3および R4はそれぞれ独立に炭素 数 1〜 9のペルフルォロアルキル基、 塩素原子またはフッ素原子、 を表す。 mが 2以上の場合、 複数の R3 (R4も同じ) は互いに異なっていてもよい。 mとし ては特に 0〜 3の整数が好ましい。
R\ R2、 R 3および R4としては、 多くとも 3個がペルフルォロアルキル基 または塩素原子であり他がフッ素原子であることが好ましい。 特に、 ペルフルォ 口アルキル基または塩素原子を有する単量体 (a) としては、 1^と1 2の少な くとも一方がペルフルォロアルキル基または塩素原子であり、 他は全てフッ素原 子である化合物が好ましい。 また、 ペルフルォロアルキル基としては炭素数 1〜 2のペルフルォロアルキル基が好ましい。
単量体 (a) が環化重合した繰り返し単位は通常下記式 (l a) または (l b ) の構造を有する。
(l a) (l b)
単量体 (a) のうち塩素原子を有しない単量体 (以下単量体 (a— 2) という ) としては、 例えば以下の単量体が挙げられる。 これらの単量体の合成方法は、 特開平 1一 13121 5号公報、 特開平 4 _ 346957号公報等に開示されて いる。
ペルフルォロ (3—ォキサ一 1, 5_へキサジェン) (CF2 = CF— CF2 -0-CF = CF2) 、 ペルフルォロ (3—ォキサ—1, 6—へブタジエン) ( CF2 = CF-CF2-CF2-0-CF = CF2) (以下 BVEという) 、 ペル フルォロ (3—ォキサ—4—メチルー 1, 6一へブタジエン) (CF2 = CF-
CF2-CF (CF3) -0-CF = CF2) (以下 BVE— 4Mという) 、 ペル フルォロ (3 _ォキサ—4, 4一ジメチルー 1, 6 _へブタジエン) (CF2 = CF-CF2-C (CF3) 2-0-CF = CF2) 、 ペルフルォロ (3—ォキサ — 5—メチル一 1, 6一へブタジエン) (CF2 = CF-CF (CF3) — CF2 -0-CF = CF2) 。
単量体 (a) のうち塩素原子を有する単量体 (以下単量体 (a-1) という) としては、 例えば以下の単量体が挙げられる。
4一クロローペルフルォロ (3—ォキサ _ 1, 5—へキサジェン) (CF2 = CF - CC 1 F— 0 - CF = CF2) 、 4一クロローペルフルォロ (3—ォキサ - 1, 6—へブタジエン) (CF2 CF— CF2— CC 1 F— O— CF = CF2 ) (以下 BVE— 4CLという) 、 4, 4—ジクロローペルフルォロ (3—ォキ サー 1, 6—へブタジエン) (CF2 = CF— CF2— CC 12— O— CF = CF 2) (以下 BVE— 4DCLという) 、 5—クロローペルフルォロ (3—ォキサ
一 1, 6一へブタジエン) (CF2 = CF-CC l F-CF2-0-CF = CF2 環化重合体は単量体 (a) の 2種以上の共重合体であってもよく、 単量体 (a ) と他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。 すなわち、 環化重合体は 、 単量体 (a) が環化重合した繰り返し単位以外に他の共重合性単量体が重合し た繰り返し単位を含んでいてもよい。 他の共重合性単量体としてはモノエン類が 好ましく、 このモノエン類は実質的に水素原子を有せず、 塩素原子を有する場合 は重合性二重結合を構成する炭素原子に直接結合する塩素原子を有しない化合物 である。
具体的には例えば、 後述式 (2) で表される単量体である単量体 (c) 、 後述 式 (4) で表される単量体である単量体 (b) 、 テトラフルォロエチレン (以下 TFEという) 等のペルフルォロォレフィン類、 ペルフルォロ (3—ォキサ一 1 一へキセン) (CF3-CF2-CF2-0-CF = CF2) 等のペルフルォロ ( アルキルビニルエーテル) 類、 ペルフルォロ (2—メチレン— 4一メチル— 1, 3—ジォキソラン) (下式 (6) 、 以下 MMDという) 等のペルフルォロ (メチ レンジォキソラン) 類等がある。
単量体 (b) との共重合体を除き、 環化重合体中の全繰り返し単位に対する単 量体 (a) が環化重合した繰り返し単位の割合は 20〜100モル%が適当であ り、 40〜100モル%が好ましく、 特に 50〜100モル%が好ましい。 この 割合が少なすぎると光学物性や機械的物性の良好な重合体が得られ難い。 単量体 (b) との共重合体の場合は単量体 (a) が環化重合した繰り返し単位の割合は 特に限定されない。
下記式 (2) で表される単量体 (以下単量体 (c) という) は側鎖に塩素原子 を有する環化重合体を製造するために好ましい単量体である。 この単量体は重合
性二重結合から遠い位置に塩素原子を 2個有することより、 この単量体 (c) と 単量体 (a)' とを共重合して得られる環化重合体は屈折率が高くかつ物性の良好 な環化重合体となる。
CF2=CF - O - CR5R6— (CR7R8) n— CFC1 - CF2C1 (2) ただし、 nは 0〜5の整数、 R5、 R6、 R 7および R 8はそれぞれ独立に炭素 数 1〜 9のペルフルォロアルキル基、 塩素原子またはフッ素原子、 を表す。 nが 2以上の場合複数の R7 (R8も同じ) は互いに異なっていてもよい。 nは 0〜 3の整数が好ましく、 R5、 6, R7および R8はすべてフッ素原子であること が好ましい。 また、 ペルフルォロアルキル基を有する場合は R5と R6のいずれ か一方または両方のみがペルフルォロアルキル基で他はすべてフッ素原子である ことが好ましい。 また、 ペルフルォロアルキル基としては炭素数 1〜2のペルフ ルォロアルキル基が好ましい。
単量体 (c) の具体例としては、 例えば、 6, 7—ジクロ口—ペルフルォロ ( 3—ォキサ— 1—ヘプテン) (CC l F2-CC l F-CF2-CF2-0-CF = CF2) (以下 2CLBVEという) 等が挙げられる。 単量体 (c) の合成方 法は特開平 1一 131215号公報等に開示されている。
ジォキソ一ル系重合体は含フッ素ジォキソ一ル類の 1種以上の重合体または含 フッ素ジォキソール類と他の共重合性単量体との共重合体である。 含フッ素ジォ キソ一ル類としては下記式 (3) で表される単量体 (以下単量体 (b) という) が好ましい。
ただし、 R11および R 12はそれぞれ独立に炭素数 1〜 9のペルフルォロアル キル基またはフッ素原子を表す。 R 11および R 12のうち少なくとも一方はペル フルォロアルキル基であることが好ましい。 また、 ペルフルォロアルキル基の炭
素数は 1〜6がより好ましい。
ジォキソール系重合体は単量体 (b) の 1種以上の重合体であってもよいが、 通常は他の共重合性単量体との共重合体が好ましい。 すなわち、 ジォキソ一ル系 重合体は、 単量体 (b) が重合した繰り返し単位以外に他の共重合性単量体が重 合した繰り返し単位を含んでいることが好ましい。 他の共重合性単量体としては モノエン類ゃ環化重合しうるジェン類が好ましく、 これらは実質的に水素原子を 有しない単量体であり、 また塩素原子を有しないことが好ましい。 具体的には例 えば、 前記単量体 (a) 、 TFE等のペルフルォロォレフイン類、 ペルフルォロ
(3—ォキサ— 1一へキセン) (CF3_CF2— CF2— O— CF = CF2) 等 のペルフルォロ (アルキルビニルェ一テル) 類、 MMD等のペルフルォロ (メチ レンジォキソラン) 類等がある。 他の単量体としては特に TFEが好ましい。 単量体 (a) との共重合体を除き、 ジォキソール系重合体中の全繰り返し単位 に対する単量体 (b) が重合した繰り返し単位の割合は 20〜95モル%が適当 であり、 ' 30〜90モル%が好ましく、 特に 35〜85モル%が好ましい。 この 割合が少なすぎても多すぎても光学物性や機械的物性の良好な重合体が得られ難 い。
単量体 (a) と単量体 (b) の共重合体の場合は、 得られる含フッ素重合体を 非晶質フッ素樹脂 (A) の構成成分とするか非晶質フッ素樹脂 (B) の構成成分 とするかによつて (すなわち、 高屈折率の含フッ素重合体と低屈折率含フッ素重 合体のいずれに用いるかによつて) 、 その共重合割合が選択される。 高屈折率含 フッ素重合体の場合は単量体 (a) が環化重合した繰り返し単位の割合の高い重 合体とし、 低屈折率の含フッ素重合体の場合は単量体 (b) が重合した繰り返し 単位の割合が高い重合体とする。 前者の場合、 単量体 (b) が重合した繰り返し 単位の割合は 0モル%超〜 40モル%が好ましく、 特に 1〜30モル%が好まし い。 後者の場合、 単量体 (b) が重合した繰り返し単位の割合は 30モル%〜1 00モル%未満が好ましく、 特に 40〜95モル%が好ましい。
ジォキソール系重合体のうち、 下記式 (4) で表される単量体 (以下単量体 ( b-1) という) が重合した繰り返し単位を有する含フッ素重合体はより低い屈 折率を有する。 すなわち、 PDDが重合した繰り返し単位を有する重合体と PD
Dが重合した繰り返し単位の代わりに単量体 (b— 1) が重合した繰り返し単位 を有する以外は同じ重合体とを比較すると、 後者はより低い屈折率を有する。
ただし、 R13は炭素数 2〜 9のペルフルォロアルキル基、 R 14は炭素数 9以 下のペルフルォロアルキル基またはフッ素原子を表す。 R 13は炭素数 2〜 6の ペルフルォロアルキル基が好ましく、 R 14は炭素数 1〜 6のペルフルォロアル キル基またはフッ素原子が好ましい。
単量体 (b- 1) の具体例としては、 以下のもの等が挙げられる。
ペルフルォロ (2—ェチル _ 1, 3—ジォキソ一ル) (下記式 (7) で kが 1の もの) 、
ペルフルォロ (2—プロピル— 1, 3—ジォキソ一ル) (下記式 (7) で kが 2 のもの) 、
ペルフルォロ (2—ペンチルー 1, 3—ジォキソ一ル) (下記式 (7) で kが 4 のもの) 、
ペルフルォロ (2—ェチル— 2—メチルー 1, 3—ジォキソール) (下記式 (8 ) で jが 1のもの) 、
ペルフルォロ (2—メチルー 2—プロピル一 1 , 3ージォキソール) (下記式 ( 8) で jが 2のもの) 、
ペルフルォロ (2—メチルー 2—ペンチルー 1, 3—ジォキソール) (下記式 ( 8) で jが 4のもの) 。
( 7 ) ( 8 ) 単量体 (b— 1 ) 以外の単量体 (b ) の例としては、 P D D、 ペルフルォロ ( 2—メチルー 1 , 3—ジォキソ一ル) 等が挙げられる。
単量体 (b ) のうち、 P D Dは米国特許第 3 8 6 5 8 4 5号明細書に合成法が 開示されている。 また、 その共重合体は米国特許第 3 9 7 8 0 3 0号明細書に合 成法が開示されている。 他の単量体 (b ) は特開平 2— 1 1 7 6 7 2号公報、 特 開平 5— 1 9 4 6 5 5号公報等に合成法が開示されている。
コアの非晶質フッ素榭脂 (A) は高屈折率化剤を含むことが好ましい。 高屈折 率化剤は非晶質フッ素樹脂 (A) を構成する含フッ素重合体より高屈折率であり 、 かつその含フッ素重合体に対して高い親和性を有する必要がある。 高い親和性 を有するとは含フッ素重合体に充分に溶解して不溶解物がなくかつミクロな相分 離構造が生じるおそれのないことをいう。 そのような不溶解物ゃミク口相分離構 造が存在するとその部分が光散乱の要因となる。 したがって、 高屈折率化剤とし てはコアの含フッ素重合体にその飽和溶解度量以下配合され、 しかもその量でコ ァの非晶質フッ素樹脂 (A) を充分高屈折率化しうる化合物が使用される。
高い親和性を有するために高屈折率化剤は比較的低分子量のフッ素化合物が好 ましい。 また、 高屈折率であるために、 塩素原子、 芳香核、 金属成分等を有する ことが好ましい。 特に塩素原子および/または芳香核を有する化合物が好ましい 。 さらに、 高屈折率化剤は含フッ素重合体と同様に実質的に水素原子を有しない 化合物が好ましい。 これにより高屈折率化剤を含む非晶質フッ素樹脂の近赤外領 域での伝送損失低減が維持される。 これらの理由により、 高屈折率化剤としては 、 実質的に水素原子を有しない、 かつ、 塩素原子および Zまたは芳香核を有する 比較的低分子量のフッ素化合物であることが好ましい。
高屈折率化剤の分子量は 2 0 0 0以下が好ましく、 オリゴマー等の重合体では その平均分子量が 2 0 0 0以下が好ましい。 例えば、 塩素原子を有するフッ素化 合物、 含フッ素芳香族化合物、 含フッ素縮合多環式化合物、 金属キレート化合物 等が挙げられる。 好ましい高屈折率化剤は、 実質的に水素原子を有せず、 塩素原 子を有するフッ素化合物、 および、 実質的に水素原子を有しない含フッ素芳香族 化合物である。 さらに好ましくは実質的に水素原子を有しない含フッ素芳香族化 合物であり、 そのうちでも 1分子中のベンゼン核の数が 3〜 5のペルフルォロ芳 香族化合物が特に好ましい。 またこれら高屈折率化剤は単独でもまたは 2種以上 を混合しても使用できる。
含フッ素縮合多環式化合物としては、 ペルフルォロアントラセン、 ペルフルォ 口フルオレン、 ペルフルオロフェナレン、 ペルフルオロフェナントレン等が挙げ あれる。
金属キレ一卜化合物としては、 ペルフルォロ (テトラフエニルスズ) 等が挙げ られる。
塩素原子を有するフッ素化合物の例としては、 クロ口ペンタフルォロベンゼン 、 クロ口—ペルフルォロナフタレン、 平均分子量 2 0 0 0以下のクロ口トリフル ォロエチレンオリゴマーが挙げられる。 クロ口トリフルォロエチレンオリゴマー は市販されている平均分子量が 2 0 0 0以下のものを使用しうるし、 蒸留によつ て平均分子量 2 0 0 0以下の留分を集めることでも得られる。
含フッ素芳香族化合物としては、 ペルフルォロ (トリフエニルホスフィン) 、 ペルフルォロベンゾフエノン、 ペルフルォロビフエニル、 ペルフルォロテルフエ ニル、 ペルフルォロ (ジフエニルスルフイド) 、 ペルフルォロ (2 , 4, 6—ト リフエ二ルー 1 , 3, 5—トリァジン) 、 ペルフルォロ (1, 3, 5—トリフエ ニルベンゼン) (以下 T P Bという) 等が挙げられる。 なかでもペルフルォロ ( 2, 4 , 6—トリフエ二ルー 1 , 3, 5—トリアジン) または T P Bが好ましく 、 含フッ素重合体との親和性が高いことより T P Bが特に好ましい。
高屈折率化剤を含む非晶質フッ素樹脂 (A) において、 非晶質含フッ素樹脂 ( A) 中の高屈折率化剤の割合は、 非晶質含フッ素樹脂 (Α) ·が所望の屈折率に達 する量以上でかつ高屈折率化剤の含フッ素重合体に対する溶解度量以下であるか
ぎり、 特に限定されない。 通常は非晶質含フッ素樹脂 (A) 中に 3 0質量%以下 含みうる。 好ましい含有量は 1〜2 0質量%であり、 特に 5〜 2 0質量%の高屈 折率化剤を含むことが好ましい。
クラッドの非晶質フッ素樹脂 (B) は実質的に水素原子を有しない含フッ素可 塑剤を含むことが好ましい。 含フッ素可塑剤はクラッドの非晶質フッ素樹脂を柔 軟化して S I型光ファイバの加工性を改良し、 また太径のファイバにおいてはさ らにクラックが発生し難くなる等の特徴を付与する。 加えて、 フッ素含有量の高 い含フッ素可塑剤の配合は、 クラッドの非晶質フッ素樹脂の屈折率をさらに低下 させる効果もある。
含フッ素可塑剤としてはペルフルォロポリエーテル類等が好ましい。 ペルフル ォロポリエーテル類としては、 例えばペルフルォロ (ポリオキシアルキレンアル キルエーテル) がある。 ペルフルォロポリエーテル類の具体例としては、 クライ トツクス (商品名、 デュポン社製) 、 デムナム (商品名、 ダイキン工業社製) 、 フォンブリン (商品名、 ァウジモント社製) 等が挙げられる。 成形時や使用時に 揮発し難い等の観点から、 その平均分子量は 1 0 0 0以上のもの力好ましい。 ま た分子量の上限は特に制限されないが、 クラッドの含フッ素重合体との相溶性の 観点から、 2 0 0 0 0以下が好ましい。
含フッ素可塑剤を含む非晶質フッ素樹脂 (B) において、 非晶質含フッ素樹脂 (B) 中の含フッ素可塑剤の割合は、 非晶質含フッ素樹脂 (B) が所望の可塑化 効果を達成する量でかつ含フッ素可塑剤の含フッ素重合体に対する溶解度量以下 であるかぎり、 特に限定されない。 通常は非晶質含フッ素樹脂 (B) 中に 5 0質 量%以下含みうる。 好ましい含有量は 1〜4 0質量%、 特に 5〜4 0質量%の含 フッ素可塑剤を含むことが好ましい。
非晶質フッ素樹脂 (A) は前記のように環化重合体から構成されることが好ま しい。 この非晶質フッ素樹脂 (A) を構成する環化重合体自身の屈折率は 1 . 3 3 0以上、 特に 1 . 3 3 5以上であることが好ましい。 環化重合体自身の屈折率 の上限は特にはないが、 通常は 1 . 4 5である。
環化重合体自身の屈折率が充分高い場合には高屈折率化剤を含ませることなく 環化重合体のみで非晶質フッ素樹脂 (A) を構成しうる。 環化重合体自身の屈折
率が充分高くない場合や非晶質フッ素樹脂 (B) の屈折率が比較的高く環化重合 体との間の屈折率差が大きくない場合は高屈折率化剤を含む非晶質フッ素樹脂 ( A) を用いることが好ましい。 高屈折率化剤を含んでもよい非晶質フッ素樹脂 ( A) の屈折率は 1. 340以上が好ましく、 1. 345以上がより好ましく、 1 . 350以上がさらに好ましく、 1. 355以上が最も好ましい。 非晶質フッ素 樹脂 (A) の屈折率の上限は特にはないが、 通常は 1. 5である。
本発明において、 実質的に水素原子を有しないかつ側鎖に塩素原子を有する含 フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (A— 1) は、 前記非晶質フッ素 樹脂 (A) のうち側鎖に塩素原子を有する含フッ素重合体から構成される。 非晶 質フッ素樹脂 (A) は環化重合体が好ましいことより、 非晶質フッ素樹脂 (A— 1) もまた環化重合体が好ましい。 この側鎖に塩素原子を有する含フッ素重合体 自身の屈折率は 1. 345以上、 特に 1. 350以上であることが好ましい。 ま た、 非晶質フッ素樹脂 (A— 1) の屈折率は同様に 1. 345以上、 特に 1. 3 50以上であることが好ましい。
非晶質フッ素樹脂 (A— 1) を構成する、 側鎖に塩素原子を有する含フッ素重 合体としては、 単量体 (a— 1) の環化重合した繰り返し単位を含む重合体 (下 記単量体 (a— 2) が環化重合した繰り返し単位を有していてもよい) 、 および 、 重合性二重結合を構成する炭素原子に直接結合する塩素原子を有せずかつ他の 炭素原子に塩素原子を有する共重合性単量体 (特にそのような塩素原子を含有す るモノエン類) が重合した繰り返し単位と単量体 (a) が環化重合した繰り返し 単位とを含む重合体、 が好ましい。 塩素原子含有の共重合性単量体としては、 特 に単量体 (c) が好ましい。 なお、 単量体 (a) のうち塩素原子を有しない単量 体を以下単量体 (a— 2) という。
特に好ましい側鎖に塩素原子を有する含フッ素重合体は、 単量体 (a— 1) が 環化重合した繰り返し単位を有する重合体 (ただし、 単量体 (a-2) が環化重 合した繰り返し単位を有しない重合体) 、 単量体 (a— 1) が環化重合した繰り 返し単位と単量体 (a-2) が環化重合した繰り返し単位とを有する重合体、 お よび、 単量体 (a) が環化重合した繰り返し単位と単量体 (c) が重合した繰り 返し単位とを有する重合体、 である。
非晶質フッ素樹脂 (A— 1 ) は、 塩素原子を有する含フッ素重合体から構成さ れることより、 高屈折率化剤を含まなくても充分高い屈折率を有する。 しかし場 合によっては、 高屈折率化剤を含んでいてもよい。 非晶質フッ素樹脂 (A) は、 非晶質フッ素樹脂 (A— 1 ) をその範疇として含むが、 特に塩素原子を有しない 含フッ素重合体から構成される場合には高屈折率化剤を含むことが好ましい。 非 晶質フッ素樹脂 (A) が塩素原子を有しない含フッ素重合体から構成される場合 であっても、 クラッドとして組み合わされる非晶質フッ素樹脂 (B ) との間の屈 折率差が大きい場合には高屈折率化剤を含む必要はない。
非晶質フッ素樹脂 (B ) は前記のようにジォキソ一ル系重合体から構成される ことが好ましい。 非晶質フッ素樹脂 (B) を構成するジォキソール系重合体と非 晶質フッ素樹脂 (A) との間の屈折率差が大きいかぎりジォキソ一ル系重合体の 屈折率は特に限定されないが、 非晶質フッ素樹脂 (B) を構成するジォキソール 系重合体自身の屈折率は 1 . 3 3 0未満、 特に 1 . 3 1 0未満であることが好ま しい。 非晶質フッ素樹脂 (A) との間でより高い屈折率差を達成するためにはジ ォキソール系重合体自身の屈折率は 1 . 3 0 0未満、 特に 1 . 2 9 6未満である ことがさらに好ましい。 ジォキソ一ル系重合体自身の屈折率の下限は特にはない が通常は 1 . 2 9 0である。 ジォキソール系重合体に限定されないが、 屈折率 1 . 3 0 0未満の含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂を以下非晶質フ ッ素樹脂 (B— 2 ) という。
前記のように単量体 (b— 1 ) が重合した繰り返し単位を有する含フッ素重合 体は単量体 (b— 1 ) 以外の単量体 (b ) が重合した繰り返し単位を有する含フ ッ素重合体よりも低屈折率である。 この単量体 (b— 1 ) が重合した繰り返し単 位を有する含フッ素重合体から構成される非晶質フッ素樹脂 (B) を以下非晶質 フッ素樹脂 (B— 3 ) という。 また、 単量体 (b— 1 ) が重合した繰り返し単位 を有する含フッ素重合体のうちでさらに好ましい重合体は屈折率が 1 . 3 0 0未 満、 特に 1 . 2 9 6未満の含フッ素重合体である。
したがって、 非晶質フッ素樹脂 (B— 2 ) および非晶質フッ素樹脂 (B— 3 ) を構成する含フッ素重合体としては、 単量体 (b— 1 ) が重合した繰り返し単位 を有しかつ屈折率が 1 . 3 0 0未満の含フッ素重合体が好ましい。 特に好ましい
この含フッ素重合体は、 単'量体 (b— 1 ) と T F Eとの共重合モル比が 9 9〜2
0 / 1〜8 0の範囲の共重合体である。
含フッ素可塑剤を含んでいてもよい非晶質フッ素樹脂 (B ) の屈折率は 1 . 3
3 0未満が好ましく、 特に 1 . 3 1 0未満が好ましい。 特に好ましい非晶質フッ 素樹脂 (B ) の屈折率は 1 . 3 0 0未満であり、 最も好ましくは 1 . 2 9 6未満 である。 非晶質フッ素樹脂 (B ) の屈折率の下限は特にはないが通常は 1 . 2 8
5である。
本発明の S I型光ファイバは公知の S I型光ファイバを製造する方法で製造で きる。 例えば前記特許第 2 8 2 1 9 3 5号公報記載の方法で製造できる。 また、 特開平 8— 5 8 4 8号公報ゃ特開平 1 1一 1 6 7 0 3 0号公報等に記載されてい る屈折率分布型プラスチック光ファイバの製造法を応用して本発明の S I型光フ アイバを製造することもできる。 例えば S I型光ファイバ製造用プリフォーム ( 以下単にプリフォームという) を製造し、 プリフォームから紡糸して S I型光フ アイバとする方法、 または押出機で多色紡糸する方法に準じて S I型光ファイバ を製造する方法等が挙げられる。
本発明の S I型光ファイバはフッ素原子の撥水撥油効果により水の吸収による 伝送損失の増加がなく、 耐溶剤性も高い。 また可視領域から近赤外領域までの広 い波長範囲にわたつて伝送損失が少ない光ファイバとなる。
また本発明の S I型光ファイバはコアとクラッドの屈折率差を充分大きくでき ることよりその開口数 (NA) を 0 . 4 1 5以上にもすることができる。 大きな 開口数を備えた S I型光ファイバは、 広い角度から光を入射できる、 すなわちセ ンサとして広い角度からの信号が検出できる、 光源一ファイバ間の結合効率が高 くできる、 すなわち高効率で光源のエネルギーを入力 '伝送できる、 伝送時の曲 げ損失が小さく抑えられる、 等の特徴がある。
本発明の S I型光ファイバは、 さらに被覆をして光ファイバコードゃ光フアイ バケーブル、 または束ねてバンドル光ファイバケーブル等の形で使用できる。 本発明の S I型光ファイバは、 波長 6 0 0〜1 6 0 0 nmで、 1 0 0 mの伝送 損失が 5 d b以下 (すなわち 5 0 d B/ km以下) とすることができる。 波長 6 0 0〜1 6 0 0 n mという広い波長領域において、 このような低レベルの伝送損
失であることはきわめて有利である。 すなわち、 石英光ファイバと同じ波長を使 えることにより、 石英光ファイバとの接続が容易であり、 また波長 600〜16 00 nmよりも短波長を使わざるをえない従来のプラスチック光ファイバに比べ 、 安価な光源ですむ利点がある。
一方、 プラスチック光ファイバはファイバ径が太く光源 ·受光素子との接続ま たはフアイバ同士の接続が容易なことから安価な短距離通信システムの構築への 期待が高まっている。 本発明の S I型光ファイバは耐熱性が飛躍的に向上してい るので、 熱的な安定性が高く、 室温以上の高温に長期間さらされた場合において も、 伝送損失の低下を防止できる。
(実施例)
次に、 本発明を実施例によって具体的に説明するが、 本発明はこれらに限定さ れない。 部は質量部を表す。 例 1〜3は含フッ素ジォキソ一ル類を合成した単量 体合成例である。 例 4〜27は非晶質フッ素樹脂を構成する含フッ素重合体を製 造するための重合体製造例である。 例 28〜41は S I型光ファイバを製造する ための非晶質フッ素樹脂製造例である。 例 42〜58は S I型光ファイバの作成 例である。
[単量体合成例]
(例 1) ペルフルォロ (2—メチル— 2—プロピル一 1, 3—ジォキソール)
(以下 PMPRODという) の合成。
2 Lガラス製 4口フラスコに、 60%発煙硫酸 1. 5 kgを入れ、 滴下ロート を用いて CF3 (CF2) 5 Iを 446 g滴下した。 65°Cに保って 24時間撹拌 を続けた。 反応終了後、 冷却すると 2相に分離したので、 上層だけを集めて蒸留 を行い、 無色透明な CF 3 (CF2) 4C〇Fを 190 g (収率 60%) 得た。 次に、 2 Lポリプロピレン製ビーカーに 1 Lのエタノールと数滴のフエノール フタレインを入れ、 マグネチックスターラで撹拌しながら CF3 (CF2) 4CO
Fを 190 g滴下した。 その溶液に、 10 %水酸化ナトリウムのエタノール溶液 を液が中性になるまで滴下した。 得られた反応溶液からエバポレー夕を用いてェ タノールを除去し、 得られた固体を真空乾燥機に移し、 100でで 18時間真空
乾燥を行った。 次に、 真空乾燥後の固体を 5 Lガラス製フラスコに移し、 そのフ ラスコをドライアイストラップを通して真空ポンプを用いた減圧下で、 油浴中で 250〜270°Cを保ちながら 24時間加熱を続けた。 ドライアイストラップに 捕集された液体を蒸留することにより、 CF3CF2CF2CF = CF2を1 1 3 g (収率 75%) 得た。
次に、 2 Lガラス製 4口フラスコに 15%次亜塩素酸ナトリウム水溶液 100 0 gとトリオクチルメチルアンモニゥムクロリド 8 gを入れ、 よく撹拌しながら 内温が 10〜15 になるまで冷却した。 そこへ CF3CF2CF2CF = CF2 を 1 13 g、 内温を 20〜30°Cに保つように滴下した。 その後、 ガスクロマト ダラフで反応を追跡しながら、 原料である C F3CF2CF2CF = C F 2がほぼ 消費されるまで反応させた。 2相分離により下層の生成物を抜き出し、 残存次亜 塩素酸ナトリゥムを除くためイオン交換水で 3回洗浄を行った。 さらに粗生成物 を蒸留することにより純粋な含フッ素エポキシド (ペルフルォロ (1, 2—ェポ キシペンタン) ) を 83 g (収率 70%) 得た。
次に、 20 OmLガラス製 4口フラスコに塩化アルミニウム 3 gを入れ、 トリ クロ口フルォロメタン 10 gを加えて活性化を行った。 そこへ上記で合成した含 フッ素エポキシド 83 gをよく撹拌しながら内温を 20〜30°Cに保つように滴 下した。 その後、 ガスクロマトグラフで反応を追跡しながら反応温度 20〜40 °Cで原料がほぼ消費されるまで反応させた。 続いてろ過により粗生成物を単離し 、 蒸留することにより純粋な CF3CF2CF2COCF3を 76 g (収率 92% ) 得た。
次に、 30 OmLガラス製 4口フラスコ中に 2—クロ口エタノールを 25 g入 れ、 撹拌しながら 76 gの CF3CF2CF2COCF3を室温にて滴下した。 得 られた反応粗液を、 別の 1 Lガラス製フラスコ中に入れた 500 gの 20%水酸 化ナトリゥム水溶液中に激しく撹拌させながら滴下した。 この反応液を 3回水洗 し、 蒸留することにより、 目的のジォキソラン化合物 (4, 4, 5, 5—テトラ ヒドロ—ペルフルォロ (2—メチルー 2—プロピル— 1, 3ージォキソラン) ) を 77 g (収率 87%) 得た。
次に、 撹拌機、 ドライアイス還流コンデンサ、 塩素ガス吹き込み管、 熱電対温
度計を備えた 50 OmLガラス製 4口フラスコに上記ジォキソラン化合物 77 g を入れ、 5 °Cにて塩素ガス導入を始めた。 反応初期は反応が激しいため塩素の導 入はゆっくりと行った。 徐々に昇温させ最後は 78 °Cで反応を続け、 塩素の消費 が行われなくなった時点で反応終了とした。 得られたテトラクロ口ジォキソラン 化合物 (4, 4, 5, 5—テトラクロ口—ペルフルォロ (2—メチルー 2—プロ ピル— 1, 3—ジォキソラン) ) 100 g (収率 89%) を、 精製せずにそのま ま次の反応に用いた。
次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 熱電対温度計を備えた 50 OmLガラス製 3 口フラスコに、 三フッ化アンチモン 50 g、 五塩ィ匕アンチモン 5 g、 溶媒として ペルフルォロ ( 2一プチルテトラヒドロフラン) (以下 PBTHFという) を 5 OmL入れ、 室温にて上記テトラクロロジォキソラン化合物 100 gを加え、 2 4時間還流を続けた。 この条件下では目的とするビシナル位の 2個の塩素がフッ 素置換された化合物のみが選択的に得られた。 室温まで冷却させた後、 上澄み液 のみをデカンテーシヨンで集め、 減圧蒸留を行うことで、 目的とするジクロロジ ォキソラン化合物 (4, 5—ジクロ口—ペルフルォロ (2—メチルー 2—プロピ ルー 1, 3—ジォキソラン) ) を 78g (収率 85%) 得た。
次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 滴下ロート、 熱電対温度計を備えた 1Lガラ ス製 4口フラスコに、 マグネシウム粉末 15 g、 ヨウ素 l g、 塩化第二水銀 0.
5 g、 テトラヒドロフラン 35 OmLを入れ、 マントルヒーターを用いて加熱し た。 還流が始まったら加熱を止め、 上記ジクロロジォキソラン化合物を 78 gゆ つくり滴下した。 激しく発熱するため必要に応じて反応装置を冷却した。 滴下終 了後、 反応容器を減圧にして液体窒素トラップにてテ卜ラヒドロフランおよび生 成物を捕集した。 捕集物を冷水に注ぎ込み、 下層のフルォロカ一ボン相を分液し
、 減圧蒸留によって純度 99. 5%の目的とする PMPROD (前記式 (8) で jが 2のもの) を 25 g (収率 40%) 得た。 これを以下の重合に用いた。
(例 2) ペルフルォロ (2—メチルー 2—ペンチルー 1, 3ージォキソ一ル)
(以下 PMPENDという) の合成。
2 Lガラス製 4口フラスコに、 60%発煙硫酸 1· 5 kgを入れ、 滴下ロート
を用いて CF3 (CF2) 7 Iを 546 g滴下した。 65 °Cに保って 20時間撹拌 を続けた。 反応終了後、 冷却すると 2相に分離したので、 上層だけを集めて蒸留 を行い、 無色透明な CF 3 (CF2) 6COFを 270 g (収率 65%) 得た。 次に、 2 Lポリプロピレン製ビーカ一に 1 Lのエタノールとフエノールフタレ インを数滴入れ、 マグネチックス夕一ラで撹拌しながら CF3 (CF2) 6COF を 270 g滴下した。 その溶液に、 10%水酸化ナトリウムのエタノール溶液を 液が中性になるまで滴下した。 得られた反応溶液からエバポレータを用いてエタ ノールを除去し、 得られた固体を真空乾燥機に移し、 100°Cで 15時間真空乾 燥を行った。 次に、 真空乾燥後の固体を 5 Lガラス製フラスコに移し、 そのフラ スコをドライアイストラップを通して真空ポンプを用いた減圧下で、 油浴中で 2 60〜 280 °Cを保ちながら 24時間加熱を続けた。 ドライアイストラップに捕 集された液体を蒸留することにより、 CF3 (CF2) 4CF = CF2を 180 g (収率 79%) 得た。
次に、 2 Lガラス製 4口フラスコに 15%次亜塩素酸ナトリウム水溶液 100 0 gとトリオクチルメチルアンモニゥムクロリド 10 gを入れ、 よく撹拌しなが ら内温が 10〜15°Cになるまで冷却した。 そこへ CF3 (CF2) 4CF = CF 2を 180 g、 内温を 20〜 30 に保つように滴下した。 その後、 ガスクロマ トグラフで反応を追跡しながら原料である CF3 (CF2) 4じ =じ 2がほぼ 消費されるまで反応させた。 2相分離により下層の生成物を抜き出し、 残存次亜 塩素酸ナトリウムを除くためィオン交換水で 3回洗浄を行つた。 さらに粗生成物 を蒸留することにより純粋な含フッ素エポキシド (ペルフルォロ (1, 2—ェポ キシヘプ夕ン) ) を 122 g (収率 65%) 得た。
次に、 20 OmLガラス製 4口フラスコに塩化アルミニウム 3 gを入れ、 トリ クロ口フルォロメタン 10 gを加えて活性化を行った。 そこへ上記で合成した含 フッ素エポキシド 120 gをよく撹拌しながら内温を 20〜30^に保つように 滴下した。 その後、 ガスクロマトグラフで反応を追跡しながら反応温度 20~4 0°Cで原料がほぼ消費されるまで反応させた。 続いてろ過により粗生成物を単離 し、 蒸留することにより純粋な CF3 (CF2) 4COCF3を 108 g (収率 9 0%) 得た。
次に、 30 OmLガラス製 4口フラスコ中に 23 gの 2—クロ口エタノールを 入れ、 撹拌しながら 108 gの CF3 (CF2) 4COCF3を室温にて滴下した 。 得られた反応粗液を、 別の 1 Lガラス製フラスコ中に入れた 500 gの 20% 水酸化ナトリゥム水溶液中に激しく撹拌させながら滴下した。 この反応液を分液 ロートを用いて 3回水洗し、 蒸留することにより、 目的のジォキソラン化合物 ( 4, 4, 5, 5—テトラヒドローペルフルォロ (2—メチル _2—ペンチルー 1 , 3—ジォキソラン) ) を 103 g (収率 85%) 得た。 - 次に、 撹拌機、 ドライアイス還流コンデンサ、 塩素ガス吹き込み管、 熱電対温 度計を備えた 50 OmLガラス製 4口フラスコに上記ジォキソラン化合物 103 gを入れ、 5 °Cにて塩素ガス導入を始めた。 反応初期は反応が激しいため塩素の 導入はゆっくりと行った。 徐々に昇温させ最後は 80°Cで反応を続け、 塩素の消 費が行われなくなった時点で反応終了とした。 得られたテトラクロ口ジォキソラ ン化合物 (4, 4, 5, 5—テトラクロローペルフルォロ (2—メチルー 2—ぺ ンチル— 1, 3—ジォキソラン) ) 121 g (収率 88%) を、 精製せずにその まま次の反応に用いた。
次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 熱電対温度計を備えた 50 OmLガラス製 3 口フラスコに、 三フッ化アンチモン 50 g、 五塩ィ匕アンチモン 5 g、 溶媒として PBTHF 5 OmLを入れ、 室温にて上記テトラクロ口ジォキソラン化合物 12 l gを加え、 32時間還流を続けた。 この条件下では目的とするビシナル位の 2 個の塩素がフッ素置換された化合物のみが選択的に得られた。 室温まで冷却させ た後、 上澄み液のみをデカンテーシヨンで集め、 減圧蒸留を行うことで、 目的と するジクロロジォキソラン化合物 (4, 5—ジクロ口—ペルフルォロ (2—メチ ルー 2—ペンチル— 1, 3—ジォキソラン) ) 99 g (収率 87%) を得た。 次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 滴下ロート、 熱電対温度計を備えた 1 Lガラ ス製 4口フラスコに、 マグネシウム粉末 13 g、 ヨウ素 2 g、 塩化第二水銀 0. 5 g、 テトラヒドロフラン 35 OmLを入れ、 マントルヒーターを用いて加熱し た。 還流が始まったら加熱を止め、 上記ジクロロジォキソラン化合物 99 gをゆ つくり滴下した。 激しく発熱するため必要に応じて反応装置を冷却した。 滴下終
了後、 反応容器を減圧にして液体窒素トラップにてテトラヒドロフランおよび生 成物を捕集した。 捕集物を冷水に注ぎ込み、 下層のフルォロカーボン相を分液し
、 減圧蒸留によって純度 99. 2%の目的とする PMPEND (前記式 (8) で jが 4のもの) の 34g (収率 41%) を得た。 これを以下の重合に用いた。
(例 3) ペルフルォロ (2—ペンチルー 1, 3—ジォキソール) (以下 PPD という) の合成。
2 Lガラス製 4口フラスコに、 60%発煙硫酸 1. 5 kgを入れ、 滴下ロート を用いて CF3 (CF2) 5 Iの 446 gを滴下していった。 65°Cに保って 18 時間撹拌を続けた。 反応終了後、 冷却すると 2相に分離したので、 上層だけを集 めて蒸留を行い、 無色透明な CF 3 (CF2) 4C〇Fを 200 g (収率 63%) 得た。
次に、 1 Lポリプロピレン製ビ一力一に 51 gの 2—クロ口エタノールを入れ 、 CF3 (CF2) 4COFの 200 gを滴下して、 さらにピリジン 50 gを加え た後、 水洗し、 蒸留することにより、 CF3 (CF2) 4COOCH2CH2C 1を 190 g (収率 80 %) 得た。
次に 1Lガラス製 4口フラスコにジメチルスルホキシド 50 OmLと水素化ナ トリウム (60%鉱油中分散) 7. 3 gを入れたところに、 撹拌しながら、 上記 で合成した 190 gの CF3 (CF2) 4CO〇CH2CH2C 1を 20°C以下を保 つように加えた。 そのまま 30°C以下を保ってー晚撹拌を続けた。 減圧蒸留する ことにより、 目的とするジォキソラン化合物 (2, 4, 4, 5, 5—ペン夕ヒド 口—ペルフルォロ (2—ペンチルー 1, 3—ジォキゾラン) ) 86 g (収率 50 %) を得た。
次に、 撹拌機、 ドライアイス還流コンデンサ、 塩素ガス吹き込み管、 熱電対温 度計を備えた 50 OmLガラス製 4口フラスコに上記ジォキゾラン化合物 86 g を入れ、 2 にて塩素ガス導入を始めた。 反応初期は反応が激しいため塩素の導 入はゆっくりと行った。 徐々に昇温させ最後は 82 °Cで反応を続け、 塩素の消費 が行われなくなつた時点で反応終了とした。 得られたペンタクロロジォキソラン 化合物 (2, 4, 4, 5, 5—ペンタクロロ一ペルフルォロ (2—ペンチルー 1 , 3—ジォキソラン) ) 95 g (収率 74%) を、 精製せずにそのまま次の反応
に用いた。
次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 熱電対温度計を備えた 50 OmLガラス製 3 口フラスコに、 三フッ化アンチモン 50 g、 五塩化アンチモン 5 g、 溶媒として PBTHF 5 OmLを入れ、 室温にて上記ペンタクロロジォキソラン化合物 95 gを加え、 24時間還流を続けた。 この条件下では 2位の塩素、 および、 ビシナ ル位の 2個の塩素がフッ素置換された化合物のみが選択的に得られた。 室温まで 冷却させた後、 上澄み液のみをデカンテ一シヨンで集め、 減圧蒸留を行うことで 、 目的とするジクロロジォキゾラン化合物 (4, 5—ジクロ口一ペルフルォロ ( 2—ペンチル— 1, 3—ジォキソラン) ) 73 g (収率 85%) を得た。
次に、 撹拌機、 還流コンデンサ、 滴下口一ト、 熱電対温度計を備えた 1Lガラ ス製 4口フラスコに、 マグネシウム粉末 15 g、 ヨウ素 l g、 塩化第二水銀 0. 5 g、 テトラヒドロフラン 35 OmLを入れ、 マントルヒータ一を用いて加熱し た。 還流が始まったら加熱を止め、 上記ジクロロジォキソラン化合物 73 gをゆ つくり滴下した。 激しく発熱するため必要に応じて反応装置を冷却した。 滴下終 了後、 反応容器を減圧にして液体窒素トラップにてテトラヒドロフランおよび生 成物を捕集した。 捕集物を冷水に注ぎ込み、 下層のフルォロカーボン相を分液し 、 減圧蒸留によって純度 99. 7%の目的とする PPD (下記式 (9) ) を 22 g (収率 35%) 得た。 これを以下の重合に用いた。
19F— NMR (CDC 13, CFC 13基準) S ppm;— 70. 1 (1 F) ,
— 80. 9 (3 F) , -121. 8〜一 126. 0 (9F) , - 157. 9 (1
F) 。
[重合体製造例]
以下の例 4~28において、 含フッ素重合体または非晶質フッ素樹脂のガラス 転移温度 Tgは示差走査熱分析 (J I S_K7121に準拠) を用いて測定した
。 屈折率はアッベ屈折率計を用いて測定した。 分子量はジクロ口ペン夕フルォロ プロパン溶媒 (以下 R225という) を使用したゲルパーミエ一シヨンクロマト グラフ法 (GPC) による、 ポリメチルメタクリレート換算の数平均分子量 Mn として測定した。 固有粘度 [ 77] (単位 d lZg) は PBTHF (ただし例 7で 得た重合体 P— 4については R 225) に溶解して 30°Cにて測定した。
以下の重合体製造例において重合体のフッ素化処理は、 原則として重合体をフ ッ素 Z窒素混合ガス (フッ素ガス濃度 20体積%) 雰囲気中にて 250°Cで 5時 間処理することにより行った (条件を変えた場合は明記) 。
(例 4) 重合体 P - 1 (BVE重合体)
5 Lガラス製フラスコに BVEを 750 g、 イオン交換水 (以下水ともいう) を 4kg、 メタノールを 260 g、 およびジイソプロピルペルォキシジ力一ボネ —トを 3. 7 g入れた。 系内を窒素で置換した後、 40 °Cで 22時間懸濁重合を 行い、 Mnが約 5 X 104の重合体を 690 g得た。 この重合体をフッ素化処理 することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 1とい う) を得た。 重合体 P— 1の [ ] は 0. 25、 Tgは 108°C、 屈折率は 1. 342であり、 室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。
(例 5) 重合体 P— 2 (8¥£— 41^[重合体)
ガラスアンプル中に BVE— 4Mを 2 gとジイソプロピルペルォキシジ力一ポ ネートを 6. 2mg入れ、 液体窒素中で凍結、 真空脱気後封管した。 40°Cで 2 0時間オーブン中で加熱後、 固化した内容物を取り出して、 200 で1時間乾 燥した。 得られた重合体の収率は 99%であった。 この重合体をフッ素化処理す ることにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 2という ) を得た。 重合体 P— 2の [??] は 0. 44、 Mnは 131500、 屈折率は 1 . 33、 Tgは 124°Cであった。 重合体 P— 2の引張特性は、 引張弾性率 14 3 OMP a 降伏応力 36MPa、 破断伸度 4. 2%であり、 回転式溶融粘弹性 測定装置による 230°Cにおけるゼロシェア粘度は 89000 P a · sであった
(例 6) 重合体 P— 3 (BVEZBVE— 4M共重合体)
20 OmLのォ一トクレーブに水を 80 g、 :6 £ー4^[を15 、 BVEを
15 g、 ペルフルォロベンゾィルペルォキシドを 75mg、 メタノールを 2. 4 g入れた。 そのオートクレープを窒素置換した後、 ォ一トクレーブの内温が 70 °Cになるまで加熱し 20時間重合を行った。 得られた重合体を水、 メタノールで 洗净した後、 200°Cで 1時間乾燥した。 得られた重合体の収率は 85%であつ た。 この重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な 重合体 (以下重合体 P— 3という) を得た。 重合体 P— 3の [??] は 0. 35、 屈折率は 1. 336、 Tgは 116°Cであった。
(例 7) 重合体 P— 4 (8¥£—4じ 重合体)
ガラスアンプル中に B V E— 4 C Lを 5 gとジイソプロピルペルォキシジカ― ポネートを 12. 5mg入れ、 液体窒素中で凍結、 真空脱気後封管した。 40°C で 20時間オーブン中で加熱後、 固化した内容物を取り出して、 200〇で1時 間乾燥した。 得られた重合体の収率は 80%であった。 この重合体をフッ素化処 理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 4と いう) を得た。 重合体 P— 4の [77] は 0. 20、 Mnは 121500、 屈折率 は 1. 372、 Tgは 126°Cであった。 重合体 P— 4の引張特性は、 引張弾性 率 170 OMP a、 降伏応力 5 OMP a、 降伏伸度 3. 8%であった。
(例 8) 重合体 P— 5 (BVEZBVE— 4 CL共重合体)
20 OmLのォ一トクレーブに水を 80 g、 BVE— 4CLを 20 g、 BVE を 15 g、 ペルフルォロベンゾィルペルォキシドを 8 Omg、 メタノールを 2. O g入れた。 そのォ一トクレーブを窒素置換した後、 オートクレープの内温が 7 0°Cになるまで加熱し 24時間重合を行った。 得られた重合体を水、 メタノ一ル で洗浄した後、 200°Cで 1時間乾燥した。 得られた重合体の収率は 80%であ つた。 この重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好 な重合体 (以下重合体 P— 5という) を得た。 重合体 P— 5の [ ] は 0. 30 、 屈折率は 1. 36、 Tgは 120 であった。
(例 9) 重合体 P— 6 (BVE— 4DCL重合体)
10 OmLのステンレス鋼製ォ一トクレーブにトリクロ口トリフルォロェタン を 50 g、 BVE— 4DCLを 30 gおよびジイソプロピルペルォキシジカーボ ネートを 0. 1 gを入れた。 そのォートクレーブを 50 °Cで 3日間加熱、 撹拌し
た後、 オートクレープを開放し、 メタノールで洗浄した。 得られたポリマーを取 り出し、 溶媒および残存モノマーを減圧下留去することによつて無色透明の重合 体 29 gが得られた。 得られた重合体の収率は 96%であった。 この重合体をフ ッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 6という) を得た。 重合体 P— 6の]\^は 123000、 屈折率は 1. 1 、 Tgは 168°Cであった。 重合体 P— 6の引張特性は、 引張弾性率 1690M P a、 降伏応力 50 MP a、 降伏伸度 3·· 6%であった。
(例 10) 重合体 P— 7 (8¥£//8¥£— 40〇 共重合体)
20 OmLのォ一トクレーブに水を 80 g、 B V E— 4 D C Lを 22 g、 BV Eを 15 g、 ペルフルォロベンゾィルペルォキシドを 75mg、 メタノールを 2 . O g入れた。 そのォ一トクレーブを窒素置換した後、 オートクレープの内温が 70°Cになるまで加熱し 28時間重合を行った。 得られた重合体を水、 メタノー ルで洗浄した後、 200 °Cで 2時間乾燥した。 得られた重合体の収率は 80 %で あった。 この重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良 好な重合体 (以下重合体 P— 7という) を得た。 重合体 P— 7の [τί] は 0. 2 8、 屈折率は 1. 38、 Tgは 145でであった。
(例 11) 重合体 P_8 (BVE/2 CLBVE共重合体)
20 OmLのォ一トクレーブに水を 80 g、 2 CLBVEを 12 g、 BVEを 15 g、 ペルフルォロベンゾィルペルォキシドを 75mg、 メタノールを 1. 0 g入れた。 そのオートクレープを窒素置換した後、 オートクレープの内温が 75 °Cになるまで加熱し 40時間重合を行った。 得られた重合体を水、 メタノールで 洗浄した後、 200でで 2時間乾燥した。 得られた重合体の収率は 70%であつ た。 この重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な 重合体 (以下重合体 P— 8という) を得た。 重合体 P_8の [??] は 0. 25、 屈折率は 1. 35、 Tgは 98°Cであった。
(例 12) 重合体 P— 9 (PDDZTFE共重合体)
PDDと TFEを質量比 80 : 20で、 P B THFを溶媒として用いてラジカ ル重合し、 Tgが 160°Cで Mnが約 1. 7X 105の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重
合体 P— 9という) を得た。 重合体 P— 9は無色透明であり、 屈折率は 1. S O 5であった。
(例 13) 重合体 P— 10 (PMPROD/TFE共重合体)
PMPRODと TFEを質量比 85 : 15で、 P B TH Fを溶媒として用いて ラジカル重合し、 Tgが 200°Cで Mnが約 1. 5 X 105の重合体を得た。 この 重合体をフッ素化処理 (ただし、 処理時間は 7時間) することにより光透過性お よび熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 10という) を得た。 重合体 P— 10は無色透明であり、 屈折率は 1. 298であった。
(例 14) 重合体 P— 11 (PMPENDZTFE共重合体)
PMPENDと TFEを質量比 85 : 15で、 P BTHFを溶媒として用いて ラジカル重合し、 Tgが 190°CでMnが約l. 3X 105の重合体を得た。 この 重合体をフッ素化処理 (ただし、 処理時間は 6時間) することにより光透過性お よび熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 11という) を得た。 重合体 P— 11は無色透明であり、 屈折率は 1. 295であった。
(例 15) 重合体 P— 12 (PDDZBVE— 4M共重合体)
PDDと BVE— 4Mを質量比 50 : 50で、 P B TH Fを溶媒として用いて ラジカル重合し、 Tgが 170°Cで [77] が 0. 34の重合体を得た。 この重合 体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下 重合体 P— 12という) を得た。 重合体 P— 12は無色透明であり、 屈折率は 1 . 320であった。
(例 16) 重合体 P— 13 (PMPRODZBVE— 4M共重合体)
PMPRODと BVE— 4Mを質量比 45 : 55で P B TH Fを溶媒として用 いてラジカル重合し、 Tgが 160°Cで [ ] が 0. 32の重合体を得た。 この 重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 ( 以下重合体 P— 13という) を得た。 重合体 P— 13は無色透明であり、 屈折率 は 1. 318であった。
(例 17) 重合体 P— 14 (PMPENDノ BVE— 4M共重合体)
PMPENDと BVE— 4Mを質量比 50 : 50で P B TH Fを溶媒として用 いてラジカル重合し、 Tgが 162°Cで [ 7] が 0. 37の重合体を得た。 この
重合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 ( 以下重合体 P_l 4という) を得た。 重合体 P— 14は無色透明であり、 屈折率 は 1. 319であった。
(例 18) 重合体 P— 15 (PPD/BVE— 4M共重合体)
P PDと BVE— 4Mを質量比 55 : 45で P B THFを溶媒として用いてラ ジカル重合し、 1 が160 で [7?] が 0. 33の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重 合体 P— 15という) を得た。 重合体 P_ 15は無色透明であり、 屈折率は 1. 310であった。
(例 19) 重合体 P - 16 (PDDZPHVE共重合体)
PDDとペルフルォロ (3, 6—ジォキサ一 4—メチルー 1—ノネン) (CF
2 = CF-0-CF (CF3) -CF2-0-CF2-CF2-CF3) (以下 PH VEという) を質量比 85 : 15で PBTHFを溶媒として用いてラジカル重合 し、 Tgが 182 で [ 〕 が 0. 38の重合体を得た。 この重合体をフッ素化 処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P— 1 6という) を得た。 重合体 P— 16は無色透明であり、 屈折率は 1. 300であ つた。
(例 20) 重合体 P— 17 (PMPRODZBVE共重合体)
PMPRODと BVEを質量比 50 : 50で P B THFを溶媒として用いてラ ジカル重合し、 T gが 145 °Cで [ ?7 ] が 0. 30の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重 合体 P— 17という) を得た。 重合体 P— 17は無色透明であり、 屈折率は 1.
321であった。
(例 21) 重合体 P_ 18 (PMPENDZBVE共重合体)
PMPENDと BVEを質量比 50 : 50で P B TH Fを溶媒として用いてラ ジカル重合し、 1 が150°〇で [77] が 0. 32の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重 合体 P— 18という) を得た。 重合体 P— 18は無色透明であり、 屈折率は 1. 320であった。
(例 22) 重合体 P— 19 (PPD/BVE共重合体)
PPDと BVEを質量比 50 : 50で P B TH Fを溶媒として用いてラジカル 重合し、 Tgが 148°Cで [??] が 0. 35の重合体を得た。 この重合体をフッ 素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P 一 19という) を得た。 重合体 P— 19は無色透明であり、 屈折率は 1. 322 であった。
(例 23) 重合体 P— 20 (PDD/MMD共重合体)
PDDと MMDを質量比 65 : 35で P B TH Fを溶媒として用いてラジカル 重合し、 Τεが 170°Cで [77] が 0. 30の重合体を得た。 この重合体をフッ 素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P _20という) を得た。 重合体 P— 20は無色透明であり、 屈折率は 1. 325 であった。
(例 24) 重合体 P— 21 (PMPROD/MMD共重合体)
PMPRODと MMDを質量比 65 : 35で P B THFを溶媒として用いてラ ジカル重合し、 Tgが 168°Cで [?7] が 0. 31の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重 合体 P— 21という) を得た。 重合体 P— 21は無色透明であり、 屈折率は 1. 324であった。
(例 25) 重合体 P— 22 (PMPENDZMMD共重合体)
PMPENDと MMDを質量比 60 : 40で P BTHFを溶媒として用いてラ ジカル重合し、 Tgが 142 で [7?] が 0. 38の重合体を得た。 この重合体 をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重 合体 P— 22という) を得た。 重合体 P— 22は無色透明であり、 屈折率は 1. 327であった。
(例 26) 重合体 P— 23 (PPDZMMD共重合体)
PPDと MMDを質量比 65 : 35で P B THFを溶媒として用いてラジカル 重合し、 Tgが 162 で [77] が 0· 29の重合体を得た。 この重合体をフッ 素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P —23という) を得た。 重合体 P— 23は無色透明であり、 屈折率は 1. 325
であった。
(例 27) 重合体 P— 24 (PPDZTFE共重合体)
PPDと TFEを質量比 85 : 15で P BTHFを溶媒として用いてラジカル 重合し、 Tgが 162°Cで [7?] が 0. 35の重合体を得た。 この重合体をフッ 素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以下重合体 P —24という) を得た。 重合体 P— 24は無色透明であり、 屈折率は 1. 307 であった。
(例 28) 重合体 P— 25 (PPD重合体)
ガラスアンプル中に PPDを 5 g、 塩化スルフリルを 6. 0mg、 ジイソプロ ピルペルォキシジカーボネー卜を 5. Omg入れ、 液体窒素中で凍結、 真空脱気 後封管した。 40でで 3時間オーブン中で加熱後、 固化した内容物を取り出して 、 200°Cで 1時間乾燥した。 得られた重合体の収率は 97 %であった。 この重 合体をフッ素化処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体 (以 下重合体 P— 25という) を得た。 重合体 P— 4の [77] は 0. 87、 Mnは 1 05000、 屈折率は 1. 320、 Tgは 105°Cであった。 重合体 P— 4の引 張特性は、 引張弾性率 500 M P a、 破断伸度 63 %であった。
[非晶質フッ素樹脂製造例]
(例 29〜 42 ) 樹脂 R— 1〜樹脂 R— 14
重合体 P— 1および TP Bを混合し (両者の合計に対し後者を 7. 4質量%含 む) 、 250 で溶融混合して均一な混合物を製造した。 以下、 この混合物を樹 脂 R— 1という。 樹脂 R— 1の屈折率は 1. 357、 Tgは 90°Cであった。 上記と同様に重合体と添加剤を溶融混合して均一な混合物を製造した。 得られ た混合物を樹脂 R— 2〜樹脂 R -15と名付け、 樹脂 R _ 1を含め表 1にその組 成、 屈折率、 Tg (°C) を示す。 表 1中 「添加剤量」 は混合物中の添加剤の割合 (質量%) を表す。 使用した添加剤は以下のとおり。
CFE:平均分子量 2000のクロ口トリフルォロエチレンオリゴマー。
PPE:平均分子量 4000のペルフルォロポリエーテル (商品名 「フォンブ リン Z 03」 ァウジモント社製) 。
(表 1 )
[ファイバ作成例]
以下の S I型光ファイバを作成した例において、 得られた S I型光ファイバの 開口数 (N A) の測定は、 ファーフィ一ルドパターン法 (J 1 3— 6 8 6 2に 準拠) により測定した。 また、 伝送損失は波長 5 0 0〜1 6 0 0 n mにおける伝 送損失をカツトバック法で測定した。 ファイバの作成は以下の 2方法で行った。 プリフォーム法:クラッドとなる重合体 (または樹脂) を 2 5 0 °Cで溶融成形 して円筒管を製造し、 またコアとなる重合体 (または樹脂) を 2 5 0 1:で溶融成 形して円筒管の内径よりもわずかに小さい外径を有する円柱体を製造する。 円筒 管の中空部に円筒体を挿入して 2 3 0 °Cに加熱して両者を合体させることにより プリフォームを製造し、 このプリフォームを 2 5 0 °Cで溶融紡糸することにより S I型光ファイバを得る。
2層押出紡糸法:押出機を用いて、 コアとなる重合体 (または樹脂) を中心部
に、 および、 クラッドとなる重合体 (または樹脂) を外周部に配置し、 250T: で同心円状に押出紡糸することにより S I型光ファイバを得る。
(例 44)
プリフォーム法によりコァが重合体 P— 1、 クラッドが重合体 P— 10であり 、 外径が 100 Ο ΙΏ、 コア径が 98 O ^mの S I型光ファイバを得た。 得られ た S I型光ファイバの伝送損失を測定した結果を図 1に示す。 図 1に示されるよ うに、 この S I型光ファイバの伝送損失は 650 nmで 62 dB/km、 850 nmで 20 dBZkm、 1300 nmで 22 d BZkmであり、 可視光から近赤 外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであった。 また、 NAは 0. 34で あった。 この S I型光ファイバを 70でのオーブン中に 5000時間保存した後 、 伝送損失を再測定する耐熱試験を実施したところ変化は見られず、 耐熱性は良 好であった。
(例 45〜 54 )
例 44と同様にプリフォーム法で S I型光ファイバを作成した。 得られた S I 型光ファイバのコアとクラッドの材料の種類、 外径とコア径、 伝送損失、 NAを 表 2に示す。 また、 例 44と同一の条件で耐熱試験を行ったところいずれの S I 型光ファイバも伝送損失は変化せず、 耐熱性は良好であった。
(表 2)
(例 57 )
2層押出紡糸法によりクラッドが樹脂 R— 1 2、 コァが重合体 P— 1であり、 外径が 1000 ^m、 コア径が 900 imの S I型光ファイバを得た。 この S I 型光ファイバの光伝送損失は、 650 nmで 146 dBZkm、 850 nmで 8 5 dBZkm、 1300 nmで 71 d B/kmであり、 可視光から近赤外光まで の光を良好に伝達できる光ファイバであった。 また、 NAは 0. 35であった。 この光ファイバを 80°Cのオーブン中に 3000時間保存した後、 伝送損失を再 測定する耐熱試験を実施したところ変化は見られず、 耐熱性は良好であつた。
(例 58〜 70 )
例 44と同様にプリフォーム法で S I型光ファイバを作成した。 得られた S I 型光ファイバのコアとクラッドの材料の種類、 外径とコア径、 伝送損失、 NAを 表 3に示す。 また、 例 44と同一の条件で耐熱試験を行ったところいずれの S I 型光ファイバも伝送損失は変化せず、 耐熱性は良好であった。
(表 3 )
(例 7 1〜 8 0 )
例 4 4と同様にプリフォーム法で S I型光ファイバを作成した。 得られた S I 型光ファイバのコアとクラッドの材料の種類、 外径とコア径、 伝送損失、 NAを 表 4に示す。 また、 例 4 4と同一の条件で耐熱試験を行ったところいずれの S I 型光ファイバも伝送損失は変化せず、 耐熱性は良好であった。
(表 4)
(例 81 )
2層押出紡糸法によりコァが樹脂 R— 8、 クラッドが樹脂 R _ 12であり、 外 径が 1000 Aim、 コア径が 950 /zmの S I型光ファイバを得た。 この S I型 光ファイバの光伝送損失は、 650 nmで 146 dB/km、 85011111で85 dBZkm、 1300 nmで 71 dBZkmであり、 可視光から近赤外光までの 光を良好に伝達できる光ファイバであった。 また、 NAは 0. 58であった。 ま た、 例 57と同一の条件で耐熱試験を行ったところ伝送損失は変化せず、 耐熱性 は良好であった。 産業上の利用の可能性
本発明の S I型光ファイバは、 光透過性能を落とすことなくコアとクラッドの 屈折率差を大きくして開口数を大きくできる。 これにより、 曲げ時の伝送損失を 増大させず、 さらにセンサ等に使用した場合には広い範囲から集光できるためセ ンサ感度が向上する。 また、 波長 600〜1600 nmという広い波長領域にわ たって、 低レベルの伝送損失を与えうる。 すなわち、 石英光ファイバと同じ波長 を使えることにより、 石英光ファイバとの接続が容易であり、 また波長 600〜
1 6 0 0 n mよりも短波長を使わざるを,
比べ、 安価な光源ですむ利点がある。
一方、 本発明の S I型光ファイバは通常のプラスチック光ファイバと同様にフ アイバ径が太く光源 ·受光素子との接続またはファイバ同士の接続が容易なこと から安価な短距離通信システムを構築しうる。 さらに、 本発明の S I型光フアイ バは通常のプラスチック光ファイバに比較して耐熱性が飛躍的に向上しているの で、 熱的な安定性が高く、 室温以上の高温に長期間さらされた場合においても、 伝送損失の低下を防止できる。 また、 クラッドに柔軟性を持たせうることより、 クラックを起こし難いファィバが得られる。