明細書
1—置換ーシク口へキサンカルボニルハライド化合物の製造方法 技術分野
本発明は、 1一置換—シクロへキサンカルボニルハライド化合物の新規製造法 に関するものであり、 更に詳しくは、 特許第 2894445号公報及ぴ特願平 1 0-296593号明細書に記載されるコレステロールエステル転送蛋白 (CE TP) 阻害剤として有用な化合物の製造中間体である 1一置換ーシクロへキサン カルボ-ルハライド化合物の製造方法に関する。 また、 本発明は 1—置換一シク 口へキサンカルボニルハラィド化合物を製造するための中間体の製造方法及びそ の製造中間体に関する。 背景技術
1一置換—シクロへキサン力ルポニルハライド化合物は、 前述の通り特許第 2 894445号公報及び特願平 10— 296593号明細書に記載される下記化 合物
[式中、 R' , は 1一置換ーシクロアルキル基等であり、 Xい X2、 X3、 X4は水 素原子、 ハロゲン原子、 低級アルキル基、 ハロゲン化低級アルキル基、 低級アル コキシ基等であり、 , は水素原子、 一 YiR (ここで、 は CO又は CSで
あり、 は置換されていてもよいアルキル基、 複素環基等である) 等である] 、 より具体的には、 例えば下記に示す N— (2—メルカプトフエニル) _ 1 _ ( 2 ーェチノレブチ ^) シクロへキサン力 ボキサミ ド、
2—メチルチオプロピオン酸 S— [ 2— ( 1—イソプチルシクロへキサンカル ボ二/レアミ ノ) フエエル Ί エステノレ
等の化合物を製造するための中間体であり、 その製造方法については該公報及び 明細書で既に具体的に開示されている。 即ち、 同公報の実施例 2として、 下記の ごときスキームで示される合成方法が記載されている。
しかしながら、 これら公知の製造方法は、 経済的又は工業的に十分満足できる
ものではなかった。 特に、 公知の製造方法を用いた場合、 各工程で使用される試 薬及ぴ溶媒、 例えば L D A (リチウムジイソプロピルアミ ド) 、 水素化ナトリウ ム及び T H F (テトラヒ ドロフラン) 等に加え、 出発原料であるシクロへキサン カルボン酸が極めて高価であり、 経済的に考えてあまり実用的ではなかった。 従 つて、 C E T P阻害剤として有用な化合物をより安価で、 より実用的に製造する ためには、 これら高価な原材料及び試薬、 溶媒をできる限り使用せず、 又は使用 量を削減することにより、 その中間体である 1一置換一へキサンカルボ-ルハラ ィド化合物をより安価に製造することが求められていた。 発明の開示
本発明者等は、 上記の如き問題点を解決すべく鋭意検討した結果、 従来の製造 方法と比較し、 工業的に実用的でなお且つ安価な製造方法を見出し、 本発明を完 成するに至った。
即ち、 本発明は、 下記 (1 ) 乃至 (1 1 ) に示す 1一置換ーシクロへキサン力 ルポニルハライド化合物の製造方法、 その中間体の製造方法及びその製造中間体 に関する。
( 1 ) 一般式 〔1〕
〔1〕
(式中、 Rは直鎖又は分枝状の C
w。アルキル基、 C
3— i。シクロアルキル基、 C
3_
10 シクロアルキル C ^アルキル基又はァラルキル基であり、 Xはハロゲン原子であ る) で表される 1一置換ーシク口へキサンカルボニルハライド化合物の製造方法 であって、 安息香酸をアルカリ金属 Z液体アンモニア存在下、 アルコールで処理 した後、 化合物 R— (式中、 はハロゲン原子であり、 Rは前述の通りであ る) と反応させることにより得られる、 一般式 〔2〕
(式中、 Rは前述の通りである) で表される化合物を接触還元によって、 一般式 〔3〕
(式中、 Rは前述の通りである) で表される化合物とし、 この化合物を酸ハライ ド化剤で処理することを特徴とする製造方法。
(2) Rが直鎖又は分枝状の Cw。アルキル基である上記( 1 )記載の製造方法。
(3) Rが 2—ェチルプチル基である上記 (2) 記載の製造方法。
(4) Xが塩素原子である上記 (1) 乃至 (3) 記載の製造方法。
(5) Xが臭素原子である上記 (1) 乃至 (4) 記載の製造方法。
(式中、 Rは上記 (1) の通りである) で表される 1一置換ーシクロへキサン力 ルボン酸化合物の製造方法であって、 安息香酸をアル力リ金属 Z液体アンモニア 存在下、 アルコールで処理した後、 化合物 R— Xi (式中、 R及び X3は上記 (1) の通りである) と反応させることにより得られる、 一般式 〔2〕 ' [2]
(式中、 Rは上記 (1) の通りである) で表される化合物を接触還元させること
を特徴とする製造方法。
( 7 ) Rが直鎖又は分枝状の 。アルキル基である上記( 6 )記載の製造方法。
(8) Rが 2—ェチルブチル基である上記 (7) 記載の製造方法。
(9) Xが塩素原子である上記 (6) 乃至 (8) 記載の製造方法。
(10) が臭素原子である上記 (6) 乃至 (9) 記載の製造方法。
(1 1) 一般式
で表される製造中間体。
ここで、 本明細書において使用する各置換基の定義は次の通りである。
「直鎖又は分枝状の Cw。アルキル基」 とは、 直鎖であっても分枝状であっても よい炭素原子数 1乃至 10個のアルキル基を意味し、 具体的にはメチル基、 ェチ ル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 s e. c—ブチル 基、 t e r t—プチル基、 ペンチル基、 イソペンチル基、 ネオペンチル基、 t e r t一ペンチル基、 1一ェチルプチル基、 2—ェチルブチル基、 1一プロピルブ チル基、 1, 1ージメチルブチル基、 1—ィソブチルー 3—メチルプチル基、 1 —ェチルペンチル基、 1—プロピルペンチル基、 1—イソブチルペンチル基、 2 —ェチルペンチル基、 2—ィソプロピルペンチル基、 2— t e r t—プチルペン チル基、 3—ェチルペンチル基、 3—^ f ソプロピルペンチル基、 4—メチルペン チル基、 1, 4一ジメチルペンチル基、 2, 4一ジメチルペンチル基、 1ーェチ ルー 4ーメチルペンチル基、 へキシル基、 1一ェチルへキシル基、 1一プロピル へキシル基、 2—ェチルへキシル基、 2—イソプロピルへキシル基、 2— t e r t—プチルへキシル基、 3—ェチルへキシル基、 3—イソプロピルへキシル基、 3 - t e r tーブチノレへキシル基、 4一ェチルへキシル基、 5—メチルへキシル
基、 ヘプチル基、 1—ェチルヘプチル基、 1一イソプロピルへプチル基、 2—ェ チルヘプチル基、 2—イソプロピルへプチル基、 3—プロピルへプチル基、 4一 プロピルへプチル基、 5—ェチルヘプチル基、 6—メチルヘプチル基、 オタチル 基、 1—ェチルォクチル基、 2—ェチルォクチル基、 ノ-ル基、 1—メチルノュ ル基、 2—メチルノニル基、 デシル基等である。 好ましくは、 炭素原子数 1乃至 8個の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、 具体的にはメチル基、 ェチル基、 プ 口ピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 t e r t一プチル基、 ぺ ンチル基、 イソペンチル基、 2, 2—ジメチルプロピル基、 4—メチルペンチル 基、 2—ェチルブチル基等であり、特に好ましくは、 2—ェチルブチル基である。
「CM。シクロアルキル基」 とは、 単環式であっても多環式であってもよい炭素 原子数 3乃至 1 0個のシクロアルキル基を意味し、具体的にはシクロプロピル基、 シクロプチノレ基、 シクロペンチル基、 シクロへキシ /レ基、 シクロへプチ/レ基、 シ クロォクチル基、 ォクタヒ ドロインデニル基、 デカヒ ドロナフチル基、 ビシクロ [ 2 . 2 . 1 ] ヘプチル基、 ァダマンチル基等である。 好ましくは、 炭素原子数 3乃至 7個のシクロアルキル基であり、 具体的にはシクロプロピル基、 シクロべ ンチル基、 シクロへキシル基等である。
「C3— i。シクロアルキル 。アルキル基」 とは、 前述の直鎖又は分枝状の C w。 アルキル基に前述の 。シクロアルキル基が 1個以上置換したものを意味し、具 体的にはシクロプロピルメチル基、 シクロペンチルメチル基、 シクロへキシルメ チル基、 シクロへキシルシクロペンチルメチル基、 ジシクロへキシルメチル基、 1ーシク口ペンチルェチル基、 1ーシクロへキシルェチル基、 2—シクロプロピ ルェチル基、 2—シクロペンチルェチル基、 2—シクロへキシルェチル基、 2 - シクロへプチルェチル基、 1ーシクロへキシルー 1一メチルェチル基、 1—シク 口へキシノレプロピノレ基、 2—シクロペンチ/レプロピゾレ基、 3—シクロプチ/レブ口 ピル基、 3—シクロペンチルプロピル基、 3—シクロへキシルプロピル基、 3 _ シクロヘプチルプ口ピル基、 1ーシクロプロピル一 1ーメチルプ口ピル基、 1一
シクロへキシルー 2—メチルプロピル基、 1ーシクロペンチルブチル基、 1ーシ ク口へキシゾレブチル基、 3—シク口へキシルブチル基、 4ーシクロプロピ/レブチ ル基、 4ーシクロブチルプチル基、 4—シクロペンチルブチル基、 1—シクロへ キシルー 1一メチルブチル基、 1ーシク口ペンチルー 2—ェチルブチノレ基、 1 - シク口へキシノレ一 3—メチルブチル基、 1ーシクロペンチルペンチル基、 1ーシ ク口へキシノレペンチノレ基、 1—シク口へキシノレメチルペンチル基、 2—シクロへ キシルペンチル基、 2一 (シク口へキシルメチル) ペンチル基、 3—シク口ペン チノレペンチノレ基、 1—シクロへキシノレ一 4ーメチノレペンチノレ基、 5ーシク口ペン チ /レペンチ/レ基、 1ーシク口ペンチ/レへキシノレ基、 1—シク口へキシノレへキシノレ 基、 1一 (シク口ペンチルメチル)へキシル基、 2—シクロペンチルへキシル基、 2 - (シクロプロピルェチル) へキシル基、 3—シクロペンチルへキシル基、 1 ーシク口へキシルヘプチル基、 1ーシク口ペンチルー 1一メチルヘプチル基、 1 ーシクロへキシルー 1, 6—ジメチルヘプチル基、 1ーシク口へプチルォクチノレ 基、 2—シクロペンチルォクチル基、 3—シクロへキシルォクチル基、 2— (シ クロペンチノレメチル) ォクチル基、 1—シク口ペンチルノニル基、 1—シク口へ キシルノニル基、 3—シクロプロピルノニル基、 1ーシクロペンチルデシル基等 である。 好ましくは、 C3— 7シクロアルキル アルキル基であり、 具体的にはシ クロプロピ /レメチル基、 2—シクロプロピ /レエチル基、 2—シクロペンチ/レエチ ル基、 シクロへキシルメチル基、 2—シクロへキシルェチル基等である。
「ァラルキル基」 とは、 CMアルキル基にフエニル、 ナフチル基、 ビフヱニル 基等のァリール基が 1個以上置換したものを意味し、 具体的にはべンジル基、 ベ ンズヒ ドリル基、 トリチル基、 フエネチル基、 3 _フエエルプ口ピル基、 2—フ ェニルプロピル基、 4一フエニルプチル基、 ナフチルメチル基、 2—ナフチルェ チル基、 4ービフヱニルメチル基、 3 _ ( 4—ビフエ-ル)プロピル基等である。 好ましくはフエニル アルキル基であり、 具体的にはべンジル基、 フエネチル 基等である。
「ハロゲン原子」 とは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子等であり、 好ましく は塩素原子、 臭素原子である。 特に Xにおいて、 好ましいのは塩素原子であり、 また において、 好ましいのは臭素原子である。
「アルカリ金属」 とは、 リチウム、 ナトリウム、 カリウム等であり、 特に好ま しくはナトリゥムである。
「アルコーノレ」 とは、 メタノ一ノレ、 エタノ一ノレ、 t e r tーブチルァノレコーノレ 等であり、 特に好ましくは t e r t一プチルアルコールである。
「酸ハライ ド化剤」 とは、 塩化ォキサリル、 塩化チォニル、 三塩化リン、 五塩 化リン、 三臭化リン等である。 好ましくは、 塩化ォキサリル、 塩化チォニルであ り、 特に好ましくは塩化チォ -ルである。
「接触還元」 とは、触媒の存在下に水素を用いて化合物を還元する反応である。 その触媒としては、 白金、 パラジウム、 ニッケル、 コバルト、 鉄、 銅等の金属が 用いられるが、 一般的にはその活性を高めるように工夫されている。 本発明にお いて用いられる触媒としては、 好ましくはパラジウム炭素、 ラネーニッケル、 パ ラジウム黒、水酸化パラジウム等であり、特に好ましくはパラジゥム炭素である。 次に、 一般式 〔1〕 で表される 1一置換一シクロへキサンカルボニルハライド 化合物の製造方法について具体的に述べる。
〔2〕 〔3〕 〔1〕
なお、 上記式中の R、 X及ぴ は前述の通りである。
(工程 1 )
化合物 〔2〕 は、 メタノール、 エタノール又は t e r t—ブチルアルコール等 のアルコール及ぴ安息香酸のテトラヒ ドロフラン溶液を、リチウム、ナトリゥム、
カリウム等のアルカリ金属存在下、 液体アンモニア中、 一 33乃至ー78°〇、 好 ましくは一 50乃至一 60 °Cで、 10乃至 120分間、 好ましくは 30分間反応 させ、次いで得られた反応物と R— を一 33乃至一 78°C、好ましくは一 50 乃至 _60°Cで、 10乃至 120分間、 好ましくは 30分間反応させることによ り合成することができる。
なお、 本発明によれば、 安価な安息香酸を原材料とすることが可能となり、 ま たテトラヒドロフランの使用量を従来法に比べ、約 84%低減することができた。
(工程 2)
化合物 〔3〕 は、 化合物 〔2〕 をエタノール、 ジメチルホルムアミド、 ジォキ サン、 テトラヒドロフラン、 酢酸、 酢酸ェチル等の有機溶媒中又はこれらの混合 溶媒中、 好ましくは酢酸ェチル中、 パラジウム炭素、 ラネーニッケル、 パラジゥ ム黒、 水酸化パラジウム等の金属触媒、 好ましくはパラジウム炭素存在下、 1乃 至 5 k g/cm2の圧力で、水素ガスにて接触還元することにより合成することが できる。
(工程 3)
化合物 〔1〕 は、化合物 〔3〕 を塩化ォキサリル、塩化チォニル、三塩化リン、 五塩化リン、 三臭化リン等の酸ハライド化剤、 好ましくは塩化チォニル存在下、 ジメチルホルムアミド、 トルエン等の有機溶媒中又はこれらの混合溶媒中、 好ま しくはトルエン中、 40乃至70°〇、 好ましくは 50°Cで反応させることにより 合成することができる。
発明を実施するための最良の形態
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明はこれに何ら限定さ れるものではない。
実施例 1
1 - (2—ェチルブチル) ーシクロへキサンカルボン酸の製造方法 (化合物 〔3〕 : R=2—ェチルプチル)
工程 1) 1 - (2—ェチルブチル) ーシク口へキサー 2, 5 _ジェンカルボン 酸 (化合物 〔2〕 )
窒素雰囲気下、 液体アンモニア (300ml) に、 一 50°C〜_ 60°Cで安息 香酸 (20. 0 g) 及び t e r t—ブチルアルコール (15. l g) のテトラヒ ドロフラン (66ml) 溶液を滴下した。 滴下した後、 一 50°C〜一 60°Cで金 属ナトリウム (16. 4 g) を分割滴下し、 同温で 30分以上攪拌した。 次いで この反応液に、 一 50°C 60°Cで 1ーブロモー 2—ェチ /レブタン (50. 5 g) を滴下し、 同温で 30分以上攪拌した。 反応終了後、 室温まで徐々に昇温さ せ、 アンモニアを留去した。 次いで酢酸ェチル (100m l) 、 水 (25ml) 及ぴ 35%塩酸 (25ml) を加え、 水層の p Hを 2以下にした。 静置分層後、 水層を除き、 得られた有機層を水 (50ml) で洗浄することにより表題化合物 の酢酸ェチル溶液を得た。
工程 2) 1—(2—ェチ /レブチル) ーシクロへキサンカルボン酸(化合物〔3〕) 上記工程 1) で得られた溶液を十分に窒素置換し、 5%パラジウム一炭素触媒 (50%湿潤品、 1. O g) を加えた後、 水素ガス雰囲気下、 室温中、 3 k g/ cm2の圧力を維持した。 反応終了後、 触媒を濾過し、 濾物を酢酸ェチル (20m 1) で洗浄した。 得られた酢酸ェチル濾液を減圧濃縮して、 トルエンに溶媒置換 することにより表題化合物のトルエン溶液を得た。
実施例 2
1— (2—ェチルブチル) 一シクロへキサンカルボユルク口ライドの製造方法 (化合物 〔1〕 : R= 2—ェチル: チル、 X=塩素原子)
工程 3) 1 - (ェチルブチル) ーシクロへキサンカルボニルクロライド (化合 物 〔1〕 )
上記実施例 1で得られた溶液を 50 °Cに加熱し、 塩化チォニル (23. 3 g )
を同温で滴下した。 滴下終了後、 反応液を 5 0°Cで 1時間以上攪拌した。 減圧濃 縮により過剰の塩化チォニル等の低沸点化合物を留去した後、 減圧蒸留すること により淡黄色油状物の表題化合物 (2 9. 7 g、 収率 6 3. 2%) を得た。
b.p. : 1 0 3 °C/ 0. 3 3 k P a
-匪 R (300fflz, CDC13, TMS) :
δ 0.83 (6H, t)、 1· 2〜1· 5 (10H, m)、 1.5〜; 1.7 (5H, m)、 2· 1〜2.2 (2H, m) 産業上の利用の可能性
上記から明らかな通り、 本発明によれば、 従来の製造方法に比べて、 工業生産 的に実用的でなお且つ極めて安価に 1—置換ーシク口へキサンカルボニルハライ ド化合物を製造することが可能である。