WO2001095865A1 - Oily cosmetics - Google Patents

Description

明細書

油性化粧料 技術分野

本発明は、 油性化粧料に関する。 更に詳細には、 油性リニメ ン ト等の 肌に塗擦する油性化粧料、 或いは頭髪油等の油性整髪料に関する。 背景技術

植物性油、 鉱物性油またはこれ等を混合してなる油性化粧料は知られ ている。 例えば、 ォリーブ油、 ミネラルオイル或いは椿油を主剤と した 油性化粧料が肌や頭髪を乾燥から守り、 潤いを与えるために広く使用さ れている。 特にオリーブ油は欧米諸国においても肌を滑らかに保ち、 或 いは乾燥から保護するために多用されている。 しかし、 肌に塗布した直 後は、 油性表面に空気中の雑菌が通常より付着しやすく、 雑菌の温床に なり兼ねない。

かかる問題を解決するために、 油性化粧料に抗菌性化合物を配合する ことが従前来行われているが、 人工的に合成された化学物質の多く は、 化学品に敏感な使用者にとって湿疹 ' かぶれの原因となることがあり、 使用上の注意が欠かせない。 現に、 殆どのこの種の製品には厳重な注意 書きが付されている。

本発明は、 かかる問題がなく、 化学品に敏感な使用者であっても安心 して使用できる油性化粧料を提供することを目的とするもので、 天然物 である茶葉の成分を含有する油性化粧料及びその製法を提供することを 目的とする。 ここに、 油性化粧料とは、 肌に塗擦する油性製剤、 即ち、 油性リニメント或いは頭髪油等の油性整髪料等を挙げることができる。 茶葉には、 β カ ロチン、 トコフエロール（ビタ ミ ン E)、 ァスコルビン 酸、 ナイァシン等の他、 カフェイン等のプリ ン塩基を有する物質、 ゲラ 二オール等の精油成分が含まれ、 更には、 種々のタンニンが多く含まれ ていることが既に知られている。 中でも縮合型タンニンと呼ばれるグ ループに属するカテキン類が多量に含まれていることも既に知られてい る。 茶葉に含まれるカテキン類の作用に関する近年の研究によれば、 力 テキン類には殺菌 ' 抗菌作用、 消臭作用、 ア トピー性皮膚炎の抑制作用. 血圧上昇抑制作用その他があることが報告されている。

しかし、 力テキン類は水溶性であるため、 その充分量を油性基材に溶 解させるには乳化剤等の特殊な処理を必要とする（特開平 6 - 279758 号 公報）。 また、 茶抽出物及びビタ ミン Eをリ ノール酸に配合させた化粧 オイル（特開平 5— 7823 1 号）、 リ ノ レン酸等の高度不飽和脂肪酸含有脂 質に茶抽出物、 エチレンジァミン四酢酸ニナト リ ゥム等を配合させた化 粧料（特開平 8— 8 1325 号）、 力テキン類を含む茶エキス、 ティート リー 及びタイムエキスを必須成分とする抗菌性化粧料組成物（特開 2000— 63262 号）等、 茶抽出物を配合させた化粧料は種々知られているが、 茶 抽出物のみを利用し、 他の活性成分を配合させない化粧料は知られてい ない。

本発明は、 茶葉に含まれる力テキン類を代表とする諸々の有効成分を 総合的に利用して、 抗菌性その他優れた性質を備えた肌にやさ しい油性 化粧料を、 乳化剤等の化学品を用いることなく、 製造し提供することを 目的とする。 発明の開示

本発明は、 （1 )油性基材及び茶葉成分を含む油性化粧料であって、 油 性基材に茶葉から抽出して得られる成分を溶解させるか、 又は、 油性基 材に粉碎化した茶葉を加え、 茶葉成分を油性基材に移行させることによ り得られる油性化粧料、 （2 )油性基材に予め粉砕化した茶葉を加えた後. 油性基材と共に更に細粉化処理を行う ことによ り得るこ とができる（1 ) 記載の油性化粧料、 （3 )茶葉が粒径 1〜 4 0 ミ クロンになるまで細粉化 処理が行われるこ とを特徴とする（2 )記載の油性化粧料、 （4 )茶葉粒径 が 4〜10 ミク ロンになるまで細粉化処理が行われるこ とを特徴とする ( 2 )記載の油性化粧料、 （5 )油性基材が植物性油、 鉱物性油またはこれ 等の混合物である こ と を特徴とする（ 1 )乃至（4 )記載の油性化粧料、 ( 6 )植物性油がオリーブ油、 ヤシ油、 椿油、 落花生油、 パーム油または 菜種油である こ とを特徴とする（5 )記載の油性化粧料、 （7 )鉱物性油が ミネラルオイルであることを特徴とする請求項 5記載の油性化粧料に関 わる。

本発明の油性化粧料のために使用できる油性基材は、 植物性油、 鉱物 性油またはこれ等の混合物から選ぶことができる。 ここに、 植物性油と しては、 ォリーブ油、 椿油、 落花生油、 菜種油、 ヤシ油、 パーム油等を 挙げるこ とができ、 鉱物性油と しては、 ミネラルオイルを挙げることが できる。 中でも、 ォリーブ油、 ミネラルオイル、 ヤシ油等は通常使用さ れており、 本発明の油性化粧料の基材と して好ましい例である。

本発明で使用する茶葉とは、 植物名 Thea sinensis またはその栽培 変種の葉である。 茶葉には、 緑茶のごとき不発酵茶、 紅茶のごとき発酵 茶、 その他、 半発酵茶や不完全発酵茶等があるが、 何れも本発明の油性 化粧料を製造するための原料と して使用できる。 また、 力テキン類は一 度使用 した、 所謂、 茶殻にも多量に残留しているため、 茶殻も原料と し て使用可能であり、 従って、 本発明でいう茶葉は、 かかる茶殻も含む。 本発明の油性化粧料を製造する方法と しては種々の態様が考えられる が、 一つの例と して油性基材に茶葉から抽出して得られる成分を混合す ることによる油性化粧料の製法を挙げることができ、 また、 微細粉末化 した茶葉その物を油性基材に浸漬させ茶葉成分を溶出させる方法を挙げ ることができる。

茶葉成分の抽出は、 常法によ り行う ことができ、 乾燥させた茶葉を粉 末状または細断し、 加熱水処理、 水蒸気蒸留、 或いはアルコールまたは アルコールと水の混合物に浸漬することにより行われる。 或いは、 常温 の水で 1乃至 1 0 日間抽出し、 次いで、 アルコールで処理することによ りカテコール類に富んだ成分を溶液の状態で得ることができる。 かく し て得られる抽出液を、 必要に応じてろ過し、 ろ液を濃縮し、 更に、 要す れば乾燥工程に付す。 濃縮は、 減圧蒸留が一般的である。 乾燥には、 噴 霧乾燥、 真空乾燥、 凍結乾燥などがあり、 適宜選んで採用することがで きる。

かく して得られる茶葉成分を油性基材に混合溶解させることによ り本 発明の油性化粧料を得ることができる。 混合割合は適宜変動させること ができるが、 通常は、 油性基材 1 リ ッ トル当たりの茶葉成分の量は、 1 0乃至 1 0 O g、 好ましくは、 2 0乃至 5 0 gである。 茶葉成分を油性 基材に溶解させるためには、 超音波処理や、 高速攪拌による物理的手段 が採用される。 かく して得られる茶葉成分含有油性基材に、 必要に応じ 香料等を配合することもできる。

本発明の油性化粧料を製造する他の例と して、 油性基材に直接茶葉を 加え、 茶葉成分を油性基材に移行させることによる油性化粧料の製法を 挙げることができる。 この場合、 乾燥させた茶葉を粉末状に細粉化し、 次いで、 油性基材と混合し、 茶葉成分を油性基材に移行させる。 茶葉の 量は、 種類、 乾燥の程度等の状態のより変わるが、 常温において、 油性 基材 1 リ ッ トル当たり 3 0乃至 800 g、 好ましく は 100乃至 500 g、 よ り好ましく は 250 乃至 400 gである。 抽出時間は、 3乃至 4 8時間、 好ましく は 6乃至 2 4時間、 よ り好ましくは 1 0 乃至 18 時間である。 抽出後、 ろ過して残渣を除去し、 必要に応じ、 香料など他の成分を配合 して、 液状の油性化粧料（リニメント剤）を得ることができる。

上記製法において、 予め粉砕した茶葉を油性基材に加えた後、 更に細 粉化処理を行う ことによ り、 茶葉成分の油性基材への移行が促進され、 茶葉成分を高い濃度で含有する油性化粧料を得ることができる。 この場 合、 茶葉が粒径 1〜 4 0 ミク ロ ン、 好ましくは 4〜 10 ミクロンになる まで細粉化処理を行う ことが好ましい。 細粉化処理工程は 5~20 分間、 好ま しく は 10~ 15 分間かけて行う ことが好ましい。 細粉化処理工程終 了後、 ろ過或いは遠心分離によ り不溶物を除去すれば、 高濃度で茶葉成 分を含有する油性化粧料が得られる。 特に、 連続式遠心分離機を用いて 6000 - 13500rpm, 液体供給量 50~60 リ ッ トル Z時間で、 分離すると . 抽出効果が促進される。 この方法によれば、 茶葉成分を抽出する工程が 不要であり、しかも高濃度にカテキン類その他を油性基材に溶解させる ことができる。' かく して得られる油性溶液に、 必要に応じ、 香料等を配 合してもよい。 発明を実施するための最良の形態

以下に実施例を挙げて、 本発明をより具体的に説明するが、 本発明は. これらの態様に限定されるものではない。

[実施例 1 ] 直接抽出による リニメント剤の製法

水分含量 5 %以下にまで乾燥させた緑茶 140 gを摩擦粉碎機で ：〜 10 メ ッシュに粉末化する。 これを 15〜20°Cに保たれたオリープ油 5 0 0 ミ リ リ ッ トルに攪拌しながら力 Πえ、 12 時間かけて抽出を行う。 この間 . 1 乃至 2時間毎に全体を攪拌する。 抽出操作の終了後、 ろ過して、 残渣 を除去すると、 僅かに緑色を呈したオリーブ油が得られ、 これを容器に 分注し、 油性リニメ ン ト剤とする。 本実施例の製法において、 油性基材 と して、 ォリーブ油に代えて椿油を用いると整髪料が得られ、 ミネラル オイルを用いるとベビーオイルを得ることができる。

上記で得られた僅かに緑色を呈したオリ一ブ油を高速液体ク口マ トグ ラフ法で分析したところ、 カテキン類は検出レベル以下であつたが、 β カ ロチン 2.1m g Z 100 g 、 総ァス コルビン酸 4mg/ 100 g 、 総 ト コ フエ口ール 7.0mg/l00gが含まれていた。

[実施例 2 ] 茶葉抽出成分を添加することによる リ ニメ ン ト剤の製 法

水分含量 5 %以下にまで乾燥させた緑茶 1kg を摩擦粉碎機で 4〜： 18 メ ッシュに粉末化し、 加熱循環式抽出機に充填する。 95〜100°Cの熱水 20 リ ッ トルを 1時間循環させ抽出する。 抽出液を室温にまで冷却後、 ろ過し、 ろ液 16 リ ッ トルを得る。 ろ液を約 100mmHg、 50°C以下で減 圧蒸留に付し、 6 時間かけて 0.8 リ ッ トルの黄褐色のやや粘稠性の液体 を得る。 これを、 吸気温度 160°C、 排気温度 80°Cで嘖霧乾燥に付し、 得られる 130 g の褐色粉末を低温下で更に微紛末にする。 この微粉末 1 O O g は、 カテキン類 3 0〜 5 0 g、 カフェイ ン 2〜4 g、 ビタ ミ ン C 1 5 0〜2 5 0 m g、 β カ ロチン 1 3〜2 9 m g、 及びその他の微量成 分を含有する。 なお、 含有量の変動は茶葉の採取時期によるものである ₍ 上記で得られた抽出物の全量（1 3 0 g )を 4 リ ッ トルのォリーブ油に 加え、 4 0〜 5 0 °Cで超音波攪拌（0.5〜； 1.5 分間）して溶解させる。 不溶 物が見られる場合はろ過して、 残渣を除去すると、 僅かに緑色を呈した ォリーブ油が得られ、 これを容器に分注し、 油性リニメ ン ト剤とする。 本実施例の製法において、 油性基材と して、 ォリーブ油に代えて椿油を 用いると整髪料が得られ、 ミネラルオイルを用いるとベビーオイルを得 ることができる。

上記で得られた僅かに緑色を呈したオリープ油を高速液体クロマ トグ ラフ法で分析した結果を下記に示す。

ェピカテキン 18mg/l00g

ェピガロカテキン 68mg/l00g

ェピカテキンガレー ト 18mg/l00g

ェピガロカテキンガレ 71mg/l00g

β カロチン 7.44m g /I00g

総ァスコルビン酸 2mg/l00g

総トコフエロール 15.8mg/100g

[実施例 3] 油中細粉化によるリニメ ント剤の製法

水分含量 ' 5 %以下にまで乾燥させた緑茶 6. O kg を、 摩擦粉碎機で 平均粒径約 1 5 ミ ク ロンまで粉末化させた。 これにヤシ油 1 5 k g (16. 7 リ ツ トル）を加え、 更に湿式超微粒摩砕機（埼玉県、 増幸産業株式会社 製、 製品名スーパーマス コ 口イダー MKZA8— 10、 グラインダー直径 150mm)で約 11分間かけて細粉化し、 粒径が 4〜 10 ミクロンの茶葉微 粉末とヤシ油との混合物を得た。 当初、 ヤシ油の温度は 1 6 °Cであった が、 細粉化の過程で 43°Cにまで上昇した。 細粉化操作の終了後、 混合 物を連続式遠心分離機（東京都、 巴工業株式会社製、 製品名 TOMO-E DECANTER PTM006, 6000 r p m、 3200G、 処理温度 80°C、 供給液 量 50 リ ッ トル Z時間）にかけ、 清澄液を固形分から分離した。 僅かに緑 色を呈した油性溶液を得た（RUN— 1 )。 また、 同機種を用い（6000 r p m、 3200G、 処理温度 50°C、 供給駅'量 50 リ ッ トル/時間）で分離し、 同様に僅かに緑色を呈した油性溶液を得た（RUN— 2)。 得られた油性溶 液は、 リニメン ト剤のベースと して用いることができる。 得られた油性溶液を高速液体ク口マ トグラフ法により分析した結果を 下記に示す。

RUN- 1 RUN- 2

ェピカテキン 28mg/100g 34m g /l00g ェピガロカテキン HOmg/lOOg 140m g /l00g ェピカテキンガレート 27mg/l00g 32m g /100g ェピガロカテキンガレート 120mg/l00g 140m g l00g βカロチン 7.40m g /lOOg 7.33m g /lOOg 総ァスコルビン酸 ^mg/lOOg 5m g /l00g 総トコフエ口ール 15.6mg/100g 15.6m g /lOOg 得られた油性溶液の抗菌性を調べたところ、 大腸菌 0— 157、 メシチ リ ン耐性黄色ブドウ状球菌（MRSA)、 真菌にも抗菌性を示すことが認め られた。 産業上の利用可能性

本発明の油性化粧料は、 油性化粧料にありがちな、 所謂、 ベたつき感 が少なく、 さ らつと した使用感が得られると共に、 乳化剤等を用いるこ となく、 茶葉成分を高濃度に含有させることができ、 肌を刺激するおそ れがないため、 化学品に過敏な使用者でも安心して使用することができ る。 また、 茶葉成分を高濃度に含有するため、 充分な抗菌 · 消臭効果を 有し、 病人の皮膚を守り、 清潔に保つのに使用することができ、 蓐瘡の 治療にも効果が認められる。 整髪料の場合、 ふけが減るという効果も得 られている。 ア トピー性皮膚炎を抑制する効果も期待されている。

Claims

請求の範囲

1 . 油性基材及び茶葉成分を含む油性化粧料であって、 油性基材に茶葉 から抽出して得られる成分を溶解させるカヽ 又は、 油性基材に粉碎化し た茶葉を加え、 茶葉成分を油性基材に移行させることによ り得られる油 性化粧料。

2 . 油性基材に予め粉砕化した茶葉を加えた後、 油性基材と共に更に細 粉化処理を行う こ とにより得るこ とができる請求項 1記載の油性化粧料,

3 . 茶葉が粒径 1 〜 4 0 ミクロンになるまで細粉化処理が行われること を特徴とする請求項 2記載の油性化粧料。

4 . 茶葉粒径が 4〜10 ミク ロンになるまで細粉化処理が行われる こ と を特徴とする請求項 2記載の油性化粧料。

5 . 油性基材が植物性油、 鉱物性油またはこれ等の混合物であるこ とを 特徴とする請求項 1乃至 4記載の油性化粧料。

補正書の請求の範囲

[2001年 1 0月 30曰 （30. 1 0. 01 ) 国際事務局受理：出願当初の請求の 範囲 1一 5は補正された請求の範囲 1—6に置き換えられた。 （1頁） ]

1. 予め粉砕化した茶葉を油性基材に加え、 更に細粉化処理を行い、 次 いで茶葉微粉末を除去することを特徴とする茶葉成分を含有する油性化 粧料の製法。

2. 細粉化処理を茶葉が粒径 1〜 4 0 ミクロンになるまで行うことを特 徴とする請求項 1記載の油性化粧料の製法。

3. 茶葉粒径が 4〜 1 0 ミ ク ロ ンであることを特徴とする請求項 2記載 の油性化粧料の製法。

4. 細粉化処理工程を 5〜 2 0分かけて行うことを特徴とする請求項 1 記載の油性化粧料の製法。

5. 細粉化処理工程を 1 0〜 1 5分かけて行う ことを特徴とする請求項 4記載の油性化粧料の製法。

6. 請求項 1乃至 5記載の製法により得られた油性化粧料。