明細書 廃棄物の焼却方法およびその装置 技術分野
本発明は、 廃棄物の焼却方法及びその装置に関するものである。 背景技術
都市ごみや産業廃棄物などの廃棄物 (以下、 単に廃棄物と記した場合にはこの 両者又はその何れかを指す) は、 大部分が焼却処理された後、 埋め立て処分され ている。 廃棄物の焼却設備においては、 多くの場合、 火格子式焼却炉が設けられ ているが、 流動床式焼却炉が設けられている場合もある。
火格子式焼却炉を備えた焼却設備における廃棄物の焼却は、 次のように行われ る。 まず、 廃棄物が焼却炉へ装入され、 火格子の下から吹き込まれる燃焼用空気 と炉内の輻射熱によって乾燥されながら昇温して着火する。 次いで、 廃棄物は燃 焼して灰化し、 焼却灰となって炉外へ排出される。
—方、 燃焼排ガスには、 廃棄物の乾燥 '昇温時及び初期の燃焼段階で生成した
H2 、 C O、 C H4 などの可燃性ガスが含まれているので、 2次燃焼室において 、 空気が吹込まれ、 可燃性ガスを燃焼させる処理が行われる。 次いで、 2次燃焼 室から排出された燃焼排ガスは、 ボイラで熱回収されたり、 ガスクーラーなどの ガス冷却装置で冷却されたりして、 排ガス処理工程へ送られる。 そして、 有害ガ ス除去処理及び除塵処理がなされた後、 煙突から放散される。
又、 図 2に示す如く、 流動床式焼却炉を備えた焼却設備における廃棄物の焼却 は、 次のように行われる。 廃棄物が、 一般廃棄物投入機 2により、 流動床式焼却 炉 1へ投入され、流動床 4上の流動層中 9で、乾燥されながら昇温して燃焼する。 し力4し、 流動層内で生成する燃焼排ガス中には H2 、 C O、 C H< などの可燃性 ガスが含まれているので、 焼却炉のフリーボード部へ空気を吹き込み、 可燃性ガ
スを燃焼させる処理がなされる。 その後、燃焼排ガスはガス冷却設備で冷却され、 次いで、排ガス処理設備 5へ送られて有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 6から大気放散される。 特開平 9一 303743号公報に示されている流動 床式焼却炉は、 その一例である。
このような流動床式焼却炉において RDFの焼却を行うことがある。 RDF (R e f u s e De r i v e d Fu e l) とはごみ転換燃料であり、産業廃棄物、 都市ごみ等にカルシウム化合物を加えて成形した燃料を指す。 一般的に低位発熱 量 3000〜6000 k c a 1 /k gで、 水分は 1〜 20重量%程度である。 こ の RD Fを燃焼させる場合、 RD F中には多量の塩素分が含有されており、 この塩素分が芳香族化合物と反応することによりダイォキシンゃフランのような ダイォキシン類が発生しゃすくなるという問題点がある。
ところで、 近年、 廃棄物を焼却処理する設備などから発生する燃焼排ガス中に 、 毒性を有するクロロジベンゾジォキサン、 クロロジベンゾフランなどのダイォ キシン類、 或いはその他の有機塩素化合物が含まれていることが判明し、 環境保 全上の大きな問題となっている。 そのため、 ダイォキシン類の排出量に対する規 制が強化されつつある。
このような状況にあって、 燃焼排ガス中のダイォキシン類を低減させるための 技術開発が種々行われている。 しかし、 それらの技術の多くはダイォキシン類を 飛灰と共に捕捉するものであって、 別途に、 飛灰を無害化する処理をしなければ ならず、 本質的な解決策にはなっていない。 又、 排ガス中のダイォキシン類を分 解する技術は、 大掛かりな処理装置をするものであって、 既存の焼却設備に適用 する場合には、 大幅な設備改造を要し、 その実施には困難が伴う。 例えば、 特開 平 5— 1 61 822号公報に開示されている技術においては、 燃焼排ガスを処理 するためのセラミックフィルタを設置する必要がある。
発明の開示
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、 上記問題点 を発生させることなく比較的簡単な燃焼方法の導入により、 炉内の燃焼状態を一 定に維持し、 これにより有害ガスや未燃ガスの排出を抑えた廃棄物焼却炉におけ る燃焼方法を提供することを目的の一つとする。
本発明は、 更に、 上記の課題を解決するためになされたものであり、 ごく簡単 な装置を設置し、 安価な物質を添加するだけで、 ダイォキシン類の生成量自体を 減少させることができる廃棄物の焼却方法及びその設備を提供することを目的の 一つとする。
上記目的を達成するために、 本発明は、 第 1に、 以下からなる廃棄物の焼却方 法を提供する。
水分 65-90重量%、 乾燥状態における硫黄分 0. 1— 2. 0重量%、 窒素 分 1 一 10重量%である汚泥を準備する工程;
低位発熱量 3, 000— 6, OOOkcal/kg, 水分 1-20重量%のごみ固形燃料 と低位発熱量 1,500— 4,000kcal/kg、 水分 30-70重量%の都市ごみ等一般廃棄物 からなるグループから選択された一つを、 準備する工程;
廃棄物焼却炉内において、 該汚泥と、 該固形燃料または都市ごみ等 一般廃棄物からなるダル一プから選択された一つを、 混焼させる工程 a 本発明は、 第 2に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
汚泥と、 低位発熱量が 4,500kcal/kg以上の廃プラステイクスを準備 する工程;
廃棄物焼却炉内において、 該汚泥と該廃プラステイクスを、 混焼する 工程;
該廃棄物焼却炉の炉出口温度を 900_ 1,200°C、 酸素濃度を 3 - 12% に制御する工程。 本発明は、 第 3に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物焼却炉において、 廃棄物及び汚泥を、 混焼する工程; 該廃棄物焼却炉において、 燃焼排ガス S O X濃度を計測し、 該 SO x 濃度の計測値に基づいて、 該汚泥の供給量と該廃棄物の供給量の内少な くとも一つを、 制御する工程。 本発明は、 第 4に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物焼却炉において、廃棄物及び硫黄成分含有物を、混焼する工程; 該廃棄物焼却炉において、 燃焼排ガスの S〇x濃度を計測し、 該 SO
X濃度の計測値に基づいて、該硫黄成分含有物の供給量と該廃棄物の供給量の内、 少なくとも一つを制御する工程。 本発明は、 第 5に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物焼却炉において、 硫黄成分含有物とごみ固形燃料を混焼するェ 程;
該廃棄物焼却炉において、 燃焼排ガスの SO x濃度を計測し、 該 SO X濃度の計測値に基づいて該硫黄成分含有物の供給量とごみ固形燃料の供給量の 内、 少なくともいずれか一つを制御する工程。 本発明は、 第 6に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
汚泥、 廃棄物の焼却炉への供給ラインのいずれか一つに、 硫黄成分含 有粉末を供給する工程;
廃棄物焼却炉内において、 該汚泥と該廃棄物を混焼する工程;及び 該廃棄物焼却炉において、 燃焼排ガスの SO x濃度を計測し、 該 SO X濃度の計測値に基づいて、 該硫黄成分含有粉末の供給量を制御する工程。 本発明は、 第 7に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
汚泥、 硫黄成分含有物の少なくともいずれか一つを分散して廃棄物焼
却炉のごみホツバに供給する工程; 及び
該廃棄物と、 該汚泥および該硫黄成分含有物のいずれか少なくとも一 つとを、 該廃棄物焼却炉内にて混焼する工程。 本発明は、 第 8に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
汚泥、 硫黄成分含有物の少なくともいずれか一つを分散して、 廃棄物 焼却炉の乾燥段火格子上に供給する工程; 及び
該廃棄物と、 該汚泥および該硫黄成分含有物のいずれか少なくとも一 つとを、 該廃棄物焼却炉内にて混焼する工程 a 本発明は、 第 9に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物に窒素化合物を添加する工程;
該廃棄物を焼却炉へ装入する工程;
該廃棄物を該焼却炉にて焼却する工程。 本発明は、 第 1 0に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物を火格子焼却炉内の乾燥帯に、 送り込む工程;
送り込まれた該廃棄物に、 窒素化合物を添加する工程; 該窒素化合物の添加された該廃棄物を、 焼却する工程。 本発明は、 第 1 1に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物を流動床焼却炉内に装入する工程;
該廃棄物を該焼却炉内において、 燃焼させる工程;
該流動床の上部に位置するフリ一ボ一ド部の 2次燃焼前の区域へ、 該 窒素化合物を吹き込む工程。 本発明は、 第 1 2に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
廃棄物に窒素化合物を添加する工程;
該廃棄物または該廃棄物と汚泥を該焼却炉へ装入する工程; 該廃棄物を燃焼、 または該廃棄物と汚泥を混焼させる工程; 6 5 0 =C以下の燃焼排ガスが流通する排ガス流路の箇所へ該窒素化 合物を吹込む工程。 本発明は、 第 1 3に、 以下からなる廃棄物の焼却方法を提供する。
焼却炉、 減温設備、 電気集塵機を有する廃棄物焼却装置を準備するェ 程;
該廃棄物を、 汚泥と混焼させる工程;
該電気集塵機入口部における排ガス温度が 2 3 (TC以下になるように 減温設備を制御する工程, 本発明は、 第 1 4に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
廃棄物の焼却装置内に位置する焼却炉;
該廃棄物内にて、 廃棄物と汚泥を混焼するための廃棄物供給装置及び 汚泥供給装置;
炉内あるいは炉出口の SO x濃度を計測する SO x濃度計; 該 SO x濃度に基づいて該汚泥及び該廃棄物の供給量の内、 少なくと も一つを制御する制御装置。 本発明は、 第 1 5に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
廃棄物の焼却炉内に位置する焼却炉;
該焼却炉内にて、 硫黄成分含有物と廃棄物を混焼するための硫黄成分 含有物供給装置及び廃棄物供給装置;
該焼却炉の炉内又は炉出口の S〇x濃度を計測する S O x濃度計; 該 SO X濃度に基づいて該硫黄成分含有物及び該廃棄物の供給量の内
少なくとも一つを制御する制御装装置。 本発明は、 第 1 6に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
廃棄物の焼却炉内に位置する焼却炉;
該焼却炉内にて、 硫黄成分含有物とごみ固形燃料を混焼するための該 硫黄成分含有物の供給装置及び該ごみ固形燃料の供給装置;
炉内、 炉出口又は煙突の S O x濃度を計測する S O x濃度計; 該硫黄成分含有物及び該ごみ固形燃料の供給量の内少なくとも一つを 制御する制御装置。 本発明は、 第 1 7に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
汚泥の供給装置及び廃棄物の供給装置;
該汚泥及び該廃棄物の焼却炉への供給ラインに設けられた硫黄成分含 有粉末供給装置。 本発明は、 第 1 8に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する
廃棄物と共に、 汚泥および硫黄成分含有物の少なくとも一つとを、 混 焼するための焼却炉;
該焼却炉に付くごみホッパ;
該汚泥および該硫黄成分含有物の少なくともを一つを、 分散して、 該 ごみホッパに供給するためのランス。 本発明は、 第 1 9に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
廃棄物と共に、 汚泥および硫黄成分含有物の少なくとも一つとを、 混 焼するための焼却炉;
該焼却炉内に位置する乾燥段火格子;及び
該汚泥および該硫黄成分含有物の少なくとも一つを、 分散して、 該乾
燥火格子の上部に供給するためのランス。 本発明は、 第 2 0に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
焼却炉へ装入される廃棄物に窒素化合物を添加する装置; 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む装置。 本発明は、 第 2 1に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
火格子を有する焼却炉;
焼却炉内に設けられた火格子;
該焼却炉内火格子上部の乾燥帯へ、 窒素化合物を供給する窒素化 合物添加装置。 本発明は、 第 2 2に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
焼却炉内に設けられた流動床;
該流動床上部に位置するフリーボード部の 2次燃焼前の区域へ窒素 化合物を吹き込む窒素化合物添加装置。 本発明は、 第 2 3に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
該廃棄物の焼却装置内に位置する焼却炉;
焼却炉へ装入する該廃棄物に添加するための窒素化合物添加装置。 ガス流方向に対して、 該焼却炉の後方に位置する熱回収用ボイラ ; 該ボイラ出口の燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む装置。 本発明は、 第 2 4に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
該廃棄物内に位置する、 焼却炉;
該焼却炉へ装入する該廃棄物に添加するための窒素化合物添加装置; ガス流方向に対して、 該焼却炉の後方に位置するガスクーラー;
該ガスクーラー出口の燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む装置。 本発明は、 第 2 5に、 以下からなる廃棄物の焼却装置を提供する。
焼却炉、 減温設備、 排ガス処理設備、 電気集塵機、 誘引ファン、 及び煙突を、 煙道を介して直列に接続してなる廃棄物焼却装置;
該焼却炉に設けた廃棄物供給ホッパ;該焼却炉に設けた汚泥供給ホッ バ;該減温設備及び該電気集塵機間をつなぐ該電気集塵機入口排ガス温度制御装 置;該集塵機入口温度制御装置内に設けた、 電気集塵機入口温度検出用排ガス温 度検出用温度センサ一。
図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の実施例で使用した流動床焼却炉の概略構造を示す断面 図である。
第 2図は、 従来の流動床焼却炉の概略構造を示す図である。
第 3図は、 本発明の実施例で使用した火格子焼却炉の概略構造を示す断面 図である。
第 4図は、 本発明の実施例で使用した流動床焼却炉の概略構造を示す断面 図である。
第 5図は、 本発明の実施の一形態を示すフロー図である。
第 6図は、 本発明の実施の一形態を示す図で、 炉出口での S O x濃度とダイォ キシン類濃度、 並びに毒性物質 (H 2 S + S〇3) 濃度との関係を示すグラフで ある。
第 7図は、 本発明の流動床焼却炉の一例示す概略図である。
第 8図は、 本発明の実施の一形態を示すフロー図である。
第 9図は、 本発明の実施の一形態を示すフロー図である。
第 1 0図は、 本発明の廃棄物焼却装置の一例を示す概略図である。
第 1 1図は、 本発明の廃棄物焼却装置の他の一例を示す概略図である。
第 1 2図は、 本発明の廃棄物焼却装置の一例の構成を表す概略図である。 第 1 3図は、 本発明の廃棄物焼却装置の他の例の構成を表す概略図である。 第 1 4図は、 本発明の廃棄物焼却装置の一例の構成を表す概略図である。 第 1 5図は、 本発明の一つの態様における実施の形態に係る第 1の例を示す説 明図である。
第 1 6図は、 本発明の一つの態様における実施の形態に係る第 2の例を示す説 明図である。
第 1 7図は、 本発明の一つの態様における実施の形態に係る第 3の例を示す説 明図である。
第 1 8図は、 本発明の一つの態様における実施の形態に係る第 4の例を示す説 明図である。
第 1 9図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 1の例を示 す説明図である。
第 2 0図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 2の例を示 す説明図である。
第 2 1図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 3の例を示 す説明図である。
第 2 2図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 4の例を示 す説明図である。
第 2 3図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 1の例を示 す説明図である。
第 2 4図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 2の例を示 す説明図である。
第 2 5図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 3の例を示 す説明図である。
第 2 6図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 4の例を示
す説明図である。
第 2 7図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 1の例を示 す説明図である。
第 2 8図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 2の例を示 す説明図である。
第 2 9図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 3の例を示 す説明図である。
第 3 0図は、 本発明の他の一つの態様における実施の形態に係る第 4の例を示 す説明図である。
第 3 1図は、 ボイラが設置された廃棄物焼却設備における燃焼排ガスの処理工 程の一例を示す図である。
第 3 2図は、 ガスクーラーが設けられた廃棄物焼却設備における燃焼排ガスの 処理工程の一例を示す図である。
第 3 3図は、本発明の実施形態に係る廃棄物焼却装置のシステム構成図である。 第 3 4図は、 電気集塵機の運転温度とダイォキシンの増加率の関係を示すダラ フである。
第 3 5図は、 従来の廃棄物焼却装置のシステム構成図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明を実施するための態様を、 以下に、 順次、 詳細に説明する。
最良の態様 1
本態様は、 廃棄物焼却炉における廃棄物の焼却方法において、 水分が 6 5〜9 0重量%であり、 乾燥状態における硫黄分が 0 . 1〜2 . 0重量%、 窒素分が 1 〜 1 0重量%である汚泥と、 低位発熱量が 3 0 0 0〜6 0 0 0 k c a l Z k gで 水分が 1〜 2 0重量%の R D Fを混焼率 1 0〜 7 0 %の割合で混焼させることを 特徴とする焼却方法によってかかる目的を達成したものである。
なお、 ここで混焼率 =汚泥供給重量 Z (汚泥供給重量 + RDF供給重量) で定 本態様の方法は R D Fに汚泥を加えて燃焼させることを特徴とするものである 、 汚泥中の S分は燃焼過程において H2 S、 CS2、 COS, so2、 so3とし て炉内に存在する。 これら物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその類似 物質に対する被毒効果を持ち、 炉内高温燃焼場から炉出口以降の排ガスラインで 効果的にダイォキシン類を抑制させることができる。 また、 汚泥中の N分は、 燃 焼過程、 特に一次燃焼領域の還元雰囲気においてアンモニアを生成し、 これが塩 素化合物と反応することにより、 ダイォキシン類生成過程にある C 1のダイォキ シン生成反応を抑制する。 さらにまた、 汚泥中の水分濃度を制御して可燃物の燃 焼反応速度を抑制することにより、 すすの発生を低減させることができる。 すす の発生量を抑制することができれば、 それに起因する芳香族系の有機化合物濃度 は低くなり、 結果として不完全燃焼生成物であるダイォキシン類物質濃度も低減 される。
本態様が適用させる廃棄物焼却炉の種類は問わないが、 RD Fと汚泥の混合性 を高めかつ汚泥の燃焼性を良好にするために、 燃焼物を流動させながら燃焼させ るものが好ましく、 特に、 流動床式焼却炉が好ましい。
RDFは、 前述の如く、 産業廃棄物、 都市ごみ等にカルシウム化合物を加えて 成形した燃料である。 都市ごみは食品の調理屑や食べ残り、 プラスチック容器類 、 紙類、 木くず等であり、 カルシウム化合物は炭酸カルシウム、 消石灰等が用い られる =
こうして得られた RD Fは低位発熱量が 3000〜6000 k c a lZk g程 度、 水分が 1〜20重量%程度のものである。
汚泥は廃水処理設備から排出されるものであり、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性 排水を活性汚泥処理した際に発生する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離したと きに発生する汚泥、 河川しゅんせつ時等に閉鎖性水域で発生する汚泥、 その他下 水処理の過程で発生する汚泥など、 どのような汚泥でも構わない。 本発明の方法
に好ましいものは、 乾燥含量で、 窒素分が 1〜1 0重量%程度、 硫黄分が 0. 1 〜2. 0重量%程度、 汚泥の水分量は 65〜90重量%程度のものが適当である υ なお、 汚泥中の S分、 Ν分がそれぞれ 0. 1%、 1%以下になれば、 排ガス中 に存在する H2 S、 CS2、 COS, so2、 so3、 あるいはその類似成分の絶対 濃度が低くなり効果が薄れてしまう。 逆に汚泥中の S分、 N分がそれぞれ 2. 0 %、 1 0%よりも高い場合、 煙突からの SOx、 NOx濃度が高くなり、 規制値 を達成できなくなる可能性がある。 また、 汚泥中の水分濃度が 65%よりも低い 場合は可燃物の燃焼反応速度を効果的に抑制することが難しく、 逆に汚泥中の水 分濃度が 90%よりも高い場合は炉内温度の維持が困難となる。
汚泥と RD Fの混焼率は 1 0〜 70 %である。 これは、 炉内で最低でも S分が 10数 p pm、 N分が数 1 0 p p m存在しなければ効果は望めないために、 混焼 率は最低でも 1 0%以上にする必要があるからである。 また逆に混焼率が 70% を越えてしまうと、 水分濃度が高くなり、 空気比を絞って運転した場合でも炉出 口温度を 80 (TCに維持することが困難となってしまうからである。
汚泥と RD Fは焼却炉内で混焼させればよく、 焼却炉へは事前に混合して投入 してもよく、 また、 別々に投入してもよい。
燃焼温度 (流動床式ではフリ一ボード部温度) は、 通常 850〜 1 000=C程 度が適当である
本態様の実施例で使用した焼却炉の構成を図 1に示す。
この焼却炉 1は流動床式のものであり、 内部には流動層 9を形成する砂層が分 散板によって下部への移行を阻止されている。 分散板の下は燃焼用空気を吹込む 風箱になっている。 この焼却炉には RDF投入機 2と汚泥投入機 3が別々に付設 されている。 焼却処理の際には、 汚泥と RDFはそれぞれの投入機から炉内に投 入され、 分散板下の風箱から送られた空気によって流動している砂層で乾燥され ると共に昇温されて着火する。 汚泥や R D Fは流動床 4上の流動層とその上のフ リ一ボード部で燃焼し、 炉出口までに燃焼は完全に完結する。 焼却後に排ガスは 炉出口から外部に取り出され、排ガス処理設備を経て煙突から外部に放出される
上記の焼却炉を用いて、 都市ごみから作られた 4000 k c a 1 Zk g、 水分 濃度 8 %の R D Fと水分濃度 80%、 N分 7 %、 S分 0. 6 %の汚泥を混焼した 。 その際、 炉内の温度は 850°Cを維持し、 流動層部温度 500〜850=C、 フ リ一ボード部 850〜 1 000°Cに変化させて焼却した。 RDFのみを焼却する 場合、 ダイォキシン類濃度平均値は 2.1 n gZNm3— t e qだったが、 RDF を 1 tZh、 汚泥を 0. 5 t,h、 混焼率 33. 3%で燃焼させた場合、 平均値 0. 2 n g/Nm3- t e qまで抑制させることが出来た。
また、 都市ごみから作られた 6 O O O k c a lZk g、 水分濃度 5%の RDF と、 水分濃度 90%、 N分 7%、 S分 0. 6%の汚泥を焼却した。 まず RDFの みを焼却し、 この際炉内温度を炉内水嘖霧のみで制御した。 また RDFを 0. 6 t/h、 汚泥を 1. 4 tZh、 混焼率 70%で混焼させた。 この際、 RDFのみ を焼却したときと炉出口温度が等しくなるように制御した。 結果として、 RDF のみを焼却した場合に比較して汚泥混焼時はダイォキシン類濃度が平均で約半減 した。
以上説明したように本態様は、 硫黄分が 0. 1〜 2. 0 %、 水分濃度が 65〜 90 %、 窒素分が 1〜 1 0 %である汚泥と、 R D Fを混焼率 10〜 70 %の割合 で混焼させることを特徴とする燃焼方法である D 含水率が高く低位発熱量の低い 汚泥と低位発熱量の高い RD Fを混焼させることにより安定燃焼が可能にになり 、 有害ガスや未燃ガスの発生をおさえることができる。 また、 上記の成分濃度で ある汚泥中を混焼させることにより汚泥中の S、 N、 水分が効果的にダイォキシ ン類の発生を抑制させることが出来る。
汚泥の焼却を行う場合、 含水率の高い汚泥は低位発熱量が低く、 炉内の燃焼状 態を一定に維持することは難しく、 燃焼室の温度や燃焼ガスの濃度分布が時間的 、 空間的に不均一となることは避けられない。 これは制御が困難になるだけでな く有害ガスが発生しやすくなるという問題点を持っている。
しかしながら、 本形態の方法ではこの燃焼の困難な汚泥を円滑に燃焼させるこ とも可能にしている。
最良の態様 2
本形態は、 廃棄物焼却炉における廃棄物の焼却方法において、 水分が 65〜9 0重量%であり、 乾燥状態における硫黄分が 0. 1〜2. 0重量%、 窒素分が 1 〜 1 0重量%である汚泥と、 低位発熱量が 1 500〜4000 k c a 1 /k gで 水分が 30〜 70重量%の都巿ごみ等一般廃棄物を混焼率 1 0〜 40 %の割合で 混焼させることを特徴とする焼却方法によってかかる目的を達成したものである。 なお、 ここで混焼率 =汚泥供給重量 Z (汚泥供給重量 +都市ごみ等一般廃棄物 供給重量) で定義するものとする。
本態様の方法は都市ごみ等一般廃棄物に汚泥を加えて燃焼させることを特徴と するものであるが、 汚泥中の S分は燃焼過程において H2 S、 CS2、 COS, S 〇2、 S〇3として炉内に存在する。 これら物質はダイォキシン類生成の触媒とな る銅やその類似物質に対する被毒効果を持ち、 炉内高温燃焼場から炉出口以降の 排ガスラインで効果的にダイォキシン類を抑制させることができる。 また、 汚泥 中の N分は、 燃焼過程、 特に一次燃焼領域の還元雰囲気においてアンモニアを生 成し、 これが塩素化合物と反応することにより、 ダイォキシン類生成過程にある C 1のダイォキシン生成反応を抑制する。 さらにまた、 汚泥中の水分濃度を制御 して可燃物の燃焼反応速度を抑制することにより、 すすの発生を低減させること ができる。 すすの発生量を抑制することができれば、 それに起因する芳香族系の 有機化合物濃度は低くなり、 結果として不完全燃焼生成物であるダイォキシン類 物質濃度も低減される。
本態様が適用させる廃棄物焼却炉の種類は問うところではなく、 火格子式焼却 炉、 流動床式焼却炉などが用いられる。
都市ごみは食品の調理屑や食べ残り、 プラスチック容器類、 紙類、 木くず等の 混合物であり、 低位発熱量が 1 000〜3000 k c a 1 /k g程度、 水分が 3 0〜70重量%程度のものである。
汚泥と都巿ごみ等一般廃棄物の混焼率は 10〜40%である。 これは、 炉内で
最低でも S分が 10数 p pm、 N分が数 10 p p m存在しなければ効果は望めな いために、 混焼率は最低でも 10%以上にする必要があるからである。 また逆に 混焼率が 40%を越えてしまうと、 水分濃度が高くなり、 空気比を絞って運転し た場合でも炉出口温度を 800¾に維持することが困難となってしまうからであ 汚泥と都市ごみ等一般廃棄物は焼却炉内で混焼させればよく、 焼却炉へは事前 に混合して投入してもよく、 また、 別々に投入してもよい。
燃焼温度 (流動床式ではフリ一ボード部温度) は、 通常 850〜 1 000=C程 度が適当である。
本態様の実施例で使用した焼却炉の構成を図 3に示す。
この焼却炉は火格子式のものであり、 主燃焼室の炉床の火格子、 即ち乾燥段 1 1, 燃焼段 1 2, 後燃焼段 1 3は、 3段に下降する傾斜構造となっている。 主燃 焼室の火格子最上部にはごみを投入するごみシユート 10が設けられ、 火格子最 下部の先は主灰シュート 1 5になっている 3 また、 主燃焼室の上は燃焼排ガスを 2次燃焼させる 2次燃焼室 14が設けられている。 汚泥と廃棄物はごみシュート 10から炉内に投入され、 乾燥スト一力に送られ、 下からの空気と炉内の輻射熱 により乾燥されると共に、 昇温されて着火する。 着火して燃焼を開始した廃棄物 と汚泥は燃焼ス ト一力に送られ、 下から送られる燃焼空気により燃焼し、 後燃焼 段で未燃分が完全に燃焼する。 焼却後に残った灰は主灰シユート 15により外部 に取出される。 燃焼は主燃焼室で行われ、 燃焼排ガス (炉内ガス) は、 2次燃焼 室 14で混合され、 2次的な燃焼が行われて未燃分が完全に燃焼し、 排ガス処理 設備へと送られる。
上記の焼却炉を用い、 2300 k c a 1 /k gの都市ごみと、 水分 80重量% 、 N分 7重量%、 S分 0. 6重量%の汚泥を炉内温度は 850 Cを維持し、 乾燥 段温度を 650〜850°C、 燃焼室温度を 900〜1000°Cに変化させて焼却 した。 都市ごみのみを焼却する場合、 ダイォキシン類濃度平均値は 1. 6 n g/ Nm3— t e qだったが、 都市ごみを 2 tZh、 汚泥を l t/h、 混焼率 33.3 %で燃焼させた場合、 平均値 0.25 n g/Nm3- t e qまで抑制させること力;
出来た。
また、 2 8 0 0 k c a l Z k gの都巿ごみと、 水分 9 0重量%、 N分 7重量% 、 S分 0 . 6重量%の汚泥を流動床式焼却炉で焼却した。 都市ごみのみを焼却し た場合と、 都市ごみと汚泥の混焼を行った場合を比較した結果、 汚泥混焼時はダ ィォキシン類濃度が平均で約 6割減となった。 なお、 この時どちらも炉出口温度 を等しく して実験を行った。
以上説明したように、 本態様は、 硫黄分が 0 . 1〜 2 . 0重量%、 水分が 6 5 〜9 0重量%、 窒素分が 1〜 1 0重量%である汚泥と、 都市ごみ等一般廃棄物を 混焼率 1 0〜 4 0 %の割合で混焼させることを特徴とする燃焼方法である。 含水 率が高く低位発熱量の低い汚泥を低位発熱量が比較的高レ、都市ごみと混焼させる ことにより、 炉内の燃焼状態が安定し、 有害ガスや未燃ガスの発生をおさえるこ とができる。 また、 上記成分濃度により、 汚泥中の S、 N水分が効果的にダイォ キシン類の発生を抑制させることができる。
含水率の高い汚泥は低位発熱量が低いため炉内の温度を下げ、 燃焼状態を一定 に維持することは難しい。 それに起因し、 燃焼室の温度や燃焼ガスの濃度分布が 時間的、 空間的に不均一となるため、 制御が困難となり、 また未燃ガスや有害ガ スなどが発生しやすくなるという問題点を持っている。 また、 廃棄物焼却炉とし て広く用いられている火格子式焼却炉の場合、 火格子下に汚泥が侵入してしまう ため、 完全な燃焼が行われなかったり、 火格子下押し込み空気の通路が閉塞して しまうことなどがあり、 一般的に汚泥の焼却は行われていない。
しかしながら、 本態様の方法ではこの燃焼の困難な汚泥を円滑に燃焼させるこ とも可能にしている。 最良の態様 3
流動床式焼却炉において廃プラスチックを焼却する場合、 廃プラスチック中に 含まれている塩素分が芳香族化合物と反応することによりダイォキシンやフラン のようなダイォキシン類が発生しやすくなるという問題がある。 また廃プラスチ
ックは低位発熱量が高いため炉内が高温となり急激に燃焼反応が進んでしまう。 これによりすすや未燃分が発生してしまい、 ダイォキシン類生成過程に寄与する 芳香族系の有機化合物濃度が高くなり、 その結果ダイォキシン類の濃度が高くな つてしまうという問題点がある。
この問題を解決する方法として、 様々な燃焼管理や空気吹き込み方法が先行技 術として提案されている。 しカ しながら、 投入される廃プラスチックの性状によ り排ガス温度及び排ガス流量の変動が大きく、 ダイォキシン類等有害ガスを効果 的に制御するのが困難である。
本態様は、 このような問題点を解決するためになされたものであり、 上記問題 点を発生させることなく比較的簡単な燃焼方法の導入により、 炉内の燃焼状態を 一定に維持し、 これにより有害ガスや未燃ガスの排出を抑えた廃プラスチックの 燃焼方法を提供することを目的とする。
本態様は、 前記課題を解決するべくなされたものであり、 可燃物の低位発熱量 が 4 5 0 0 k c a 1 / k g以上の廃プラスチックを、 焼却炉の炉出口温度を 9 0 0〜 1 2 0 0 °C、 炉出口酸素濃度を 3〜 1 2 %で、 汚泥と混焼することを特徴と する廃プラスチックの焼却方法によってかかる目的を達成したものである。 含水率が高く、 低位発熱量が低い汚泥と、 低位発熱量が高い廃プラスチックと を混焼させることにより、 流動層の温度を低温に抑え、 フリ一ボ一ド部の温度を 高温に維持することができ、 炉内の燃焼状態が安定するため、 有害ガスや未燃ガ スの排出を抑えることができる。
また、 廃プラスチックは単体で燃焼させるよりも汚泥との混焼を行った方がダ ィォキシン類の発生を抑制することが出来る。
汚泥中の S分は燃焼過程において H 2 S、 C S 2、 C O S、 s o 2、 S〇3として 炉内に存在する。 これら物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその類似物 質に対する被毒効果を持ち、 炉内高温燃焼場から炉出口以降の排ガスラインで効 果的にダイォキシン類を抑制させることができる。 また、 汚泥中の N分は、 燃焼 過程、 特に一次燃焼領域の還元雰囲気においてアンモニアを生成し、 これが塩素
化合物と反応することにより、 ダイォキシン類生成過程にある C 1のダイォキシ ン生成反応を抑制する。 さらにまた、 汚泥中の水分含量を制御して可燃物の燃焼 反応速度を抑制することにより、 すすの発生を低減させることができる。 すすの 発生量を抑制することができれば、 それに起因する芳香族系の有機化合物濃度は 低くなり、 結果として不完全燃焼生成物であるダイォキシン類物質濃度も低減さ れる。
さらに、 砂層温度を 380〜 450 と低温にすることにより、 流動層での廃 プラスチックの反応速度は下がる これにより固体である廃プラスチックのガス 化がゆつく りと進み、 廃プラスチックから生成する可燃ガスと空気との混合攪拌 のバランスが保たれる。 その結果、 未燃物であるすすの発生量を抑制することが でき、 広義で見れば不完全燃焼物質であるダイォキシン類の発生を抑制すること ができる。 ガス化された廃プラスチックと汚泥中の可燃分は、 高温に保たれたフ リ一ボードで燃焼してさらに有害ガスが抑制され、 炉出口で 900〜 1 200 ::C となる。 また、 炉出口での酸素濃度を 3〜12%に保って炉内への空気供給を行 うため、 炉出口に至るまでに完全燃焼できる。
本態様が適用させる廃棄物焼却炉の種類は問うところではなく、 火格子式等も 使用できるが、 廃プラスチックと汚泥の混合性を高めかつ汚泥の燃焼性を良好に するために、 燃焼物を流動させながら燃焼させるものが好ましく、 特に、 流動床 式焼却炉が好ましい。
廃プラスチックは可燃物の低位発熱量が 4500 k c a 1 /k g以上、 好まし くは 4500〜1 2000 k c a 1 /k g程度、 より好ましくは 4500〜 80 00 k c a 1 Zk g程度のものである。 塩素の含有率は 20重量%以下、 好まし くは 0. 1〜 1 0重量%のものが適当である。
廃プラスチックと汚泥との混焼率は 10〜70%である。 これは、 炉内で最低 でも S分が 1 0数 p pm、 N分が数 1 0 p p m存在しなければ効果は望めないた めに、 混焼率は最低でも 1 0%以上にする必要があるからである。 また逆に混焼 率が 70%を越えてしまうと、 水分濃度が高くなり、 空気比を絞って運転した場
合でも炉出口温度を 9 0 0 =C以上に維持することが困難となってしまうからであ る。
汚泥と廃プラスチックは焼却炉内で混焼させればよく、 焼却炉へは事前に混合 して投入してもよく、 また、 別々に投入してもよい。
燃焼条件としては、 炉出口温度が 9 0 0〜1 2 0 0 °C程度、 炉出口酸素濃度が 3〜 1 0 %程度、 焼却炉として流動床式炉を用いた場合には砂層の温度を 3 8 0 〜4 5 0 程度になるようにするのがよい。 通常、 都市ごみや廃プラスチックを 単独で焼却する場合、 砂層温度を 4 5 0 °C以下で維持することは困難であるが、 汚泥と混焼することにより汚泥中の固定炭素分が寄与し、 砂層の温度を 3 8 0〜 4 5 0 DCに保つことができる。 廃プラスチックと汚泥は流動層において比較的ゆ つく りとガス化、 燃焼が行われる。 流動層の流動化倍率は 2〜8、 流動層部空気 比は 0 . 1〜 1 . 0、 流動層に送り込む流動化空気温度は 2 0〜5 0 0 Cが望まし い。 その後、 高温に保たれたフリーボード部で燃焼が完全に完結し、 炉出口では 9 0 0〜 1 2 0 0 °Cとなる。 焼却後に排ガスは酸素濃度 3〜1 2 %に保たれた炉 出口から外部に取り出され、 排ガス処理装置を経て煙突から外部に放出される。 本態様の実施例で使用した焼却炉の構成を図 4に示す。
この焼却炉は流動床式のものであり、 内部には流動床を形成する砂層が分散板 によって下部への移行を阻止されている。 分散板の下は燃焼用空気を吹込む風箱 になっている。 この焼却炉には廃プラスチック投入機 2 0と汚泥投入機 3が別々 に付設されている。 焼却処理の際には、 汚泥と廃プラスチックはそれぞれの投入 機から炉内に投入され、 分散板下の風箱から送られた空気によって流動している 砂層で乾燥されると共に昇温されて着火する。 汚泥や R D Fは流動層 4とその上 のフリ一ボ一ド部で燃焼し、 炉出口までに燃焼は完全に完結する。 焼却後に排ガ スは炉出口から外部に取り出され、 排ガス処理設備を経て煙突から外部に放出さ れる。
砂層温度計 2 1、 炉出口温度計 2 2、 炉出口酸素濃度検出器 2 3がそれぞれ設 置されており、 これらの値が所定の範囲に入るように制御すれば良く、 自動制御
を行っている場合は運転パラメータに組み込むだけで良い。 なお、 炉出口酸素濃 度計の代わりに煙突近傍に濃度計を設け、 その値から炉出口の酸素濃度を推定し ても良い。
上記の焼却炉を用いて、 ボリエチレン主体で低位発熱量 8500 k c a \ / g、 塩素含量 1重量%の廃プラスチックと水分 88重量%、 N分 6. 0重量%、 S分 1. 0重量%の下水汚泥をそれぞれ 500 k gZhずつ供給して混焼させた 砂層の温度を 380〜450°C、 流動化空気温度 20〜280°C、 炉出口温度 900〜1 200°C、 炉出口酸素濃度 3〜1 2%に維持した。 その結果、 ダイォ キシン類濃度は廃プラスチックのみを燃焼させた場合と比較して平均値で約半減 した。
また、 ポリエチレン主体で低位発熱量 6000 k c a l Zk g、 塩素含量 4重 量%の廃プラスチックと水分 86重量%、 N分 4重量%、 S分 0. 8重量%のし 尿汚泥をそれぞれ 500 k gZhずつ供給して混焼させた。 砂層の温度を 380 〜450 C、 流動化空気温度 40〜280°C、 炉出口温度 900〜 1 200 C、 炉出口酸素濃度 3〜1 2%に維持した。 その結果、 ダイォキシン類濃度は廃ブラ スチックのみを燃焼させた場合と比較して平均値で約 3割程度まで抑制された 特に砂層温度 440°C、 流動化空気温度 2003C、 フリーボード 950°C、 炉出 口温度 920°C、 炉出口酸素濃度 8 ± 2%で焼却した時、 炉出口においてダイォ キシン類濃度を 0. 06 n gZNm3— t e qまで抑制することができた。
以上説明したように、 本発明は、 可燃物の低位発熱量が 4500 k c a 1/k g以上の廃プラスチックを炉出口温度及び炉出口酸素濃度を特定範囲に保ち、 汚 泥と混焼することを特徴とする焼却方法である。
含水率が高く、 低位発熱量の低い汚泥と、 低位発熱量の高いプラスチックを混 焼させることにより、 安定した燃焼が行われる。 これにより、 有害ガスや未燃分 の排出が抑制される。 更に砂層温度を 380〜450°Cと低温にすることにより 、 一次燃焼の反応速度は下がり、 空気との混合攪拌と反応のバランスが充分に保 たれるため、 すすの発生量を抑制することができ、 ダイォキシン類の発生が抑制
W
22 できる。 ガス化された廃プラスチックと汚泥中の可燃分は、 高温に保たれたフリ 一ボードで燃焼してさらに有害ガスが抑制され、 炉出口で 9 0 0〜 1 2 0 0 2Cと なる。 炉出口は酸素濃度 3〜1 2 %に保たれ、 ここまでに完全燃焼が行われるよ うになる。 自動制御を行っている場合、 各温度計、 酸素濃度系はそのパラメータ に組み込めば良い。 最良の態様 4
本態様から、 発明者らは、 焼却炉にて廃棄物と汚泥を混焼する廃棄物の処理に おけるダイォキシン類の効率的な抑制について鋭意検討を重ねた結果、 以下のよ うな知見を得た。
すなわち、 廃棄物の処理において、 安定した燃焼条件を実現する汚泥と廃棄物 の投入割合並びに汚泥の投入量を制御するために、 炉内の燃焼状況を判断する指 標として炉内あるいは炉出口での S O x濃度を所定の範囲内に維持し、 これによ り効率的にダイォキシン類の生成を抑制することができる。
さらに、 前記汚泥中の硫黄分、 窒素分、 水分濃度の含有率を所定の範囲内とす ることにより、 ダイォキシン類の抑制効果はさらに向上する。
本態様はこのような知見に基づきなされたものであり、 以下のような構成から なることを特徴とする。
すなわち、 本態様は、 焼却炉にて廃棄物と汚泥を混焼する廃棄物の処理方法に おいて、 炉内あるいは炉出口の S O x濃度を計測し、 その計測値に基づいて前記 汚泥及び Z又は廃棄物の供給量を制御することを特徴とする廃棄物の処理方法を 提供する。
なお、 本態様においては、 前記焼却炉は流動床炉であることが好ましく、 かつ、 前記 S O x濃度は 1 0 0〜 2 , O O O ppmとなるように前記汚泥及び Z又は廃棄 物の供給量を制御することが好ましい。
さらに、 本態様においては、 前記汚泥は、乾燥重量で硫黄分を 0 . 1〜2 . 0 % 、 窒素分を 1〜 1 0 %含有し、 水分濃度が 6 5〜 9 0重量%であることが好まし
レ、。
また、 本態様は、 焼却炉にて汚泥と廃棄物を混焼する廃棄物の処理装置におい て、 炉内あるいは炉出口の s o x濃度を計測する s ox濃度計と、 その計測値に 基づいて前記汚泥及び Z又は廃棄物の供給量を制御する制御装置とを備えたこと を特徴とする廃棄物の処理装置を提供する。
なお、 本態様においては、 前記焼却炉が流動床炉であることが好ましく、 かつ、 前記 S O x濃度が 1 0 0〜 2, 0 0 0 ppmとなるように、 前記汚泥及び Z又は廃 棄物の供給量を制御する制御装置を備えていることが好ましレ、。
さらに、 本態様の装置は、 乾燥重量で硫黄分を 0 . 1〜2 . 0 %、 窒素分を 1 〜1 0 %含有し、水分濃度が 6 5〜9 0重量%の汚泥を処理することが好ましい。 本態様に係わる焼却炉にて廃棄物と汚泥を混焼する廃棄物の処理においては、 炉内あるいは炉出口の S〇x濃度を監視することにより、 効率的にダイォキシン 類を低減させることができる。
炉内あるいは炉出口の S O x濃度は、 炉内における燃焼反応等の目安となる。 さらに、 S O x濃度分は汚泥中の硫黄分から発生する分がほとんどのため、 汚泥 の投入量の目安にもなる。 つまり、 廃棄物に対してどの程度の割合で汚泥が投入 され、 炉の中でどの程度燃焼が行われているか、 という目安になる a したがって、 炉内あるいは炉出口の S O x濃度を所定の範囲内に調整することにより、 安定し た燃焼条件を実現する汚泥と廃棄物の投入割合を決定することができ、 効率よく ダイォキシン類を抑制することができる。
これを実現するためには、 炉内又は炉出口に S O x濃度計を設置するだけで良 く、自動運転の焼却炉の場合はその値を運転のパラメータに組み込むだけで良い。 特別な改造は不要で、 比較的安価に実現することができる。
なお、 炉内又は炉出口に S O x濃度計を設置することが困難な場合等は、 煙突 に S O x濃度計を設置し、 煙突内の S O x濃度を所定の範囲内に調整することに よっても本態様の効果を得ることができる。
以下、 図 5を用いてより詳細に説明する。
図 5は本態様の廃棄物の処理装置の一例を示す。 この処理装置は、 流動床式焼 却炉 101と、 廃棄物投入機 1 02と、 汚泥投入機 1 03とを備え、 この焼却炉 101に排ガス処理装置 1 1 0を接続し、 排ガス処理装置 1 10に煙突 1 1 2を 接続している。 そして、 前記焼却炉 1の出口 5には S〇x濃度計 1 06が取り付 けられ、 この濃度計 106からの濃度検出信号が制御装置または計器 107に入 力されるようになっている。
次いで、 図 5の各投入機 1 02, 1 03から流動床式焼却炉 101内に投入さ れた汚泥と廃棄物は、 分散板 1 04下から送られた流動化ガス (例えば空気) に より流動化された砂層と接触し乾燥、 着火する。 着火した汚泥や廃棄物は焼却炉 1 01内で燃焼する。 この時、 ダイォキシン類濃度を増加させる原因となるすす 等の発生を抑制するため、 滞留時間は 3秒以上であることが望ましく、 排ガス温 度は炉出口で 700 以下であることが好ましい。
図 5において、 炉出口 1 05に取り付けられた SO x濃度計 1 06の計測値が 所定範囲内になるように汚泥及び 又は廃棄物の投入量が決定される。すなわち、 30>濃度計1 06に接続された制御装置又は計器 1 07に SOx濃度計 1 06 から濃度検出信号が入力され、 これに基づき炉出口の S Ox濃度が所定の範囲内 になるように汚泥及び/又は廃棄物の投入量が決定される。 そして、 SOx濃度 が低い場合には汚泥の投入量を増やし及び Z又は廃棄物の投入量を減らし、 一方 SOx濃度が高い場合には汚泥の投入量を減らし及び/又は廃棄物の投入量を增 やす。
本態様において、 炉出口の好適な SOx濃度は、 1 00〜2, 00 Oppm であ る。 炉出口での SOx濃度が 1 0 Oppm 未満ではダイォキシン類抑制の効果が充 分ではなく、 2, 00 Oppmを超えると排ガス中の H2 Sや S〇3濃度が高まり、 運転環境面で多大な配慮が必要となる。
なお、 本態様においては、 SOx濃度計 106を焼却炉 1内に取り付け、 炉内 の SOx濃度が所定の範囲内、 好ましくは 1 00〜2, 00 Oppm になるように 汚泥及び/又は廃棄物の投入量を制御することによっても上述と同様の効果を得
W
25 ることができる。 また、 上述したように炉内又は炉出口に S O x濃度計を設置す ることが困難な場合等は、 煙突に s〇x濃度計を設置してもよい。 この場合にお いて、 図 5に示すように、 煙突上流から白煙防止空気が排ガスラインに合流して いる等により、 煙突での S Ox 濃度に影響を及ぼすような場合は、 例えば酸素 1 2 %換算など濃度を換算して考慮すればよい。
また、 本態様における焼却炉は特に限定されるものではないが、 硫黄成分含有 物の燃焼性を良好にするために焼却炉の中でも燃焼物を流動させながら燃焼させ る流動床炉が特に好ましく、 これには流動床式焼却炉、 流動床式熱分解炉などが 含まれる。
さらに、 本態様に係わる廃棄物の処理においては、 焼却炉に供給する汚泥中の 硫黄分、 窒素分、 水分の含有率を調整することにより、 より効率的にダイォキシ ン類を低減させることができる。
ここで、 汚泥は配水設備から排出されるものであり、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有 機性排水を活性汚泥処理した際に発生する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離し たときに発生する汚泥、 河川しゅんせつ時等に閉鎖性水域で発生する汚泥、 その 他下水処理の過程で発生する汚泥など特に制限されるものではなレ \>
以下、 流動床式焼却炉における廃棄物の処理に関し、 本態様の実施例を説明す る。 ただし、 本態様はこれらに限定されるものではない。
流動床式焼却炉において、 乾燥重量で 0 . 7 %の硫黄分と、 6 %の窒素分と、 7 5重量%の水分を含有する汚泥と、 低位発熱量 2, 3 0 0 kcal/kg の都市ごみ を、 炉内温度 6 5 0〜 7 0 0 に調整して焼却した。 図 6は、 炉出口での S O x 濃度とダイォキシン類濃度、 並びに毒性物質 (H 2 S + S〇3 ) 濃度との関係を グラフに表したものである。 この結果から、 炉出口での S O x濃度を 1 0 0〜2, 0 0 O ppmとなるように汚泥供給量を制御することにより、 効率的にダイォキシ ン類を除去することができ、 かつ毒性物質あるいは腐食性物質濃度を抑制するこ とができる。
なお、 図 7は、 S O x濃度による汚泥供給量の制御はないが、 廃棄物と汚泥を
混焼する一例である。 この図 7においては、 廃棄物投入機 2 2, 汚泥投入機 2 3, 流動床式焼却炉 2 1, 流動床 2 4 , 炉出口 2 5, 排ガス処理装置 3 0, 煙突 3 2 が図示されている。
以上、 図 5により説明したように、 本態様は、 炉内の燃焼状況を判断する指標 として炉内あるいは炉出口での S〇x濃度値を測定するものであり、 この測定値 に基づき安定した燃焼条件を実現する汚泥と廃棄物の投入割合を決定でき、 効率 的にダイォキシン類の生成を抑制することが可能となった。 また、 安定した燃焼 と相俟って有害ガスの排出を抑制することが可能となり、 さらに、 多大な改造を 要することなく比較的安価に実現することができる。 最良の態様 5
本態様において、 本発明者らは、 焼却炉における廃棄物の処理におけるダイォ キシン類の効率的な抑制について鋭意検討を重ねた結果、 以下のような知見を得 た。
すなわち、 焼却炉において廃棄物を硫黄成分含有物と混焼させることにより、 ダイォキシン類を低減させることができ、 さらに、 炉内の燃焼状況を判断する指 標として炉内又は炉出口での S〇x濃度を所定の範囲内に維持することにより、 効率的にダイォキシン類の生成を抑制することができる。
本態様はこのような知見に基づきなされたものであり、 以下のような構成から なることを特徴とする。
すなわち、 本態様は、 焼却炉にて硫黄成分含有物と廃棄物を混焼する廃棄物の 処理方法において、 炉内又は炉出口の S O x濃度を計測し、 その計測値に基づい て前記硫黄成分含有物及び Z又は廃棄物の供給量を制御することを特徴とする廃 棄物の処理方法を提供する。
なお、 本態様においては、 前記焼却炉が流動床炉であることが好ましく、 かつ 、 前記 S O x濃度が 1 0 0〜 2 , O O O ppm となるように前記硫黄成分含有物及 び/又は廃棄物を制御することが好ましい。
また、 本態様は、 焼却炉における廃棄物の処理装置において、 硫黄成分含有物 の供給装置及び廃棄物の供給装置と、 炉内又は炉出口の sox濃度を計測する S ox濃度計と、 その計測値に基づいて前記硫黄成分含有物及び Z又は廃棄物の供 給量を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする廃棄物の処理装置を提供す る。
なお、本態様の装置においては、 前記焼却炉が流動床炉であることが好ましく、 かつ、 前記 S O x濃度が 100〜 2, 000 ppmとなるように、 前記硫黄成分含 有物及び/又は廃棄物の供給量を制御する制御装置を備えていることが好ましい。 本態様に係わる廃棄物の処理技術においては、 焼却炉にて廃棄物と硫黄成分含 有物とを混焼させ、 さらに、 この時の炉内又は炉出口の S〇x濃度を監視するこ とにより効果的にダイォキシン類を低減させることができる。
硫黄分は、 燃焼過程において、 H2S、 CS2、 COS, so2、 so3とし て炉内に存在する。 これら物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその類似 物質に対する被毒効果を持ち、 炉内高温燃焼場から炉出口以降の排ガスラインで 効果的にダイォキシン類を抑制させることができる。
また、 炉内又は炉出口の SOx濃度は、 炉内における燃焼反応等の目安となる 。 さらに、 SOx濃度分は硫黄成分含有物中から発生する分がほとんどのため、 硫黄成分含有物の投入量の目安にもなる。 つまり、 廃棄物に対してどの程度の割 合で硫黄成分含有物が投入され、 炉の中でどの程度燃焼が行われているか、 とい う目安になる。 従って、 炉内又は炉出口における SOx濃度を所定の範囲に調整 して燃焼を行わせることにより、 安定した燃焼条件を実現する硫黄成分含有物の 量を決定することができ、 これによりさらに効率よくダイォキシン類を抑制する ことができる。
これを実現するためには、 炉内又は炉出口に SOx濃度計を設置するだけで良 く、 自動運転の焼却炉の場合はその値を運転のパラメータに組み込むだけで良い 。 特別な改造は不要で、 比較的安価に実現することができる。
なお、 炉内又は炉出口に s〇x濃度計を設置することが困難な場合等は、 煙突
に s ox濃度計を設置し、 煙突内の s ox濃度を所定の範囲内に調整することに よっても本発明の効果を得ることができる。
以下、 図を用いてより詳細に説明する。
図 8は本態様の廃棄物の処理装置の一例を示す。 この処理装置は、 流動床式焼 却炉 1 0 1と、 硫黄成分含有物供給装置 1 0 3と、 廃棄物供給装置 1 0 2とを備 え、 この焼却炉 1 0 1に排ガス処理装置 1 1 0を接続し、 排ガス処理装置 1 1 0 に煙突 1 1 2を接続している。 そして、 前記焼却炉 1 0 1の出口 1 0 5には S O x濃度計 1 0 6が取り付けられ、 この濃度計 1 0 6からの濃度検出信号が制御装 置または計器 1 0 7に入力されるようになっている。
次いで、 図 8の各供給装置 1 0 2、 1 0 3から焼却炉 1 0 1内に投入された硫 黄成分含有物と廃棄物は、 分散板 1 0 4下から送られた流動ガス (例えば空気) により流動化された砂層と接触し乾燥、 着火する。 着火した硫黄成分含有物や廃 棄物は焼却炉内で燃焼する。 この時、 ダイォキシン類濃度を増加させる原因とな るすす等の発生を抑制するため、 滞留時間は 3秒以上であることが望ましく、 排 ガス温度は炉出口で 7 0 0 ¾以下であることが好ましい。 その後、 排ガスは炉出 口 1 0 5から排出され、 排ガス処理装置 1 1 0を経て煙突 1 1 2から外部に放出 される。
図 8において、 炉出口 1 0 5に取り付けられた S O x濃度計 1 0 6の計測値が 所定範囲内になるように硫黄成分含有物及び Z又は廃棄物の投入量が決定される。 すなわち、 S O x濃度計 1 0 6に接続された制御装置又は計器 1 0 7に 3 0 )(濃 度計 1 0 6から濃度検出信号が入力され、 これに基づき炉出口 1 0 5の S O x濃 度が所定の範囲内になるように硫黄成分含有物及び Z又は廃棄物の投入量が決定 される。 そして、 S O x濃度が低い場合には硫黄成分含有物の投入量を増やし及 び/又は廃棄物の投入量を減らし、 逆に S O x濃度が高い場合には硫黄成分含有 物の投入量を減らし及び Z又は廃棄物の投入量を増やす。
本態様において、 炉出口の好適な S〇x濃度は、 1 0 0〜2 , 0 0 O ppm であ る。 炉出口での S O x濃度が 1 0 O ppm 未満ではダイォキシン類抑制の効果が充
分でなく、 2, 00 Oppm を超えると排ガス中の毒性物質である H2S濃度が高 まり、 安全衛生面で多大な配慮が必要となる。
なお、 本態様においては、 SOx濃度計を炉内に設置し、 炉内の SOx濃度が 所定の範囲内、 好ましくは 1 00〜 2, 00 Oppm になるように硫黄成分含有 物及び/又は廃棄物の投入量を制御することも可能である。 また、 上述したよう に、 炉内又は炉出口に SOx濃度計を設置することが困難な場合等は、 煙突 1 1 2に SOx濃度計 1 06を設置してもよい.。 この場合、 図 8に示すように、 煙突 上流から白煙防止空気が排ガスラインに合流している等により煙突での SOx濃 度に影響を及ぼすような場合には、 例えば酸素 1 2%換算など濃度を換算して考 慮すればょレ、 ΰ
また、 本態様における焼却炉は特に限定されるものではないが、 硫黄成分含有 物の燃焼性を良好にするために焼却炉の中でも燃焼物を流動させながら燃焼させ る流動床炉が特に好ましく、 これには流動床式焼却炉、 流動床式熱分解炉などが 含まれる。
以上説明したように、 炉内又は炉出口において計測した S Οχ濃度値に基づき 安定した燃焼条件を実現する硫黄成分含有物と廃棄物の投入割合を決定すること ができ、 効率的にダイォキシン類の生成を抑制することが可能となった。 また、 この効果を多大な改造を要することなく比較的安価に実現することができる。 最良の態様 6
本態様は、 焼却炉における RDFの処理において、 比較的簡単な装置の導入に より、 炉内の燃焼状態を一定に維持し、 これにより有害ガスや未燃ガスの排出を 抑え、 効率よくダイォキシン類を低減させる焼却炉における RDFの処理方法及 びその装置を提供する。
本態様により、 本発明者らは、 焼却炉における RDFの処理におけるダイォキ シン類の効率的な抑制について鋭意検討を行った結果、以下のような知見を得た。 すなわち、 焼却炉において RD Fを硫黄成分含有物と混焼させることにより、
ダイォキシン類を抑制することができ、 さらに、 炉内の燃焼状況を判断する指標 として炉内、 炉出口又は煙突での sox濃度を所定の範囲内に維持することによ り、 効率的にダイォキシン類の生成を抑制することができる。
本態様はこのような知見に基づきなされたものであり、 以下のような構成から なることを特徴とする。
すなわち、 本態様は、 焼却炉にて硫黄成分含有物と RDFを混焼する RDFの 処理方法であって、 炉内、 炉出口又は煙突における S〇x濃度を計測し、 その計 測値に基づいて前記硫黄成分含有物及び/又は RD Fの供給量を制御することを 特徴とする R D Fの処理方法を提供する。
なお、 本態様においては、 前記焼却炉が流動床炉であることが好ましく、 かつ 、 煙突の前記 S O x濃度が 50〜 400 ppm となるように前記硫黄成分含有物及 び/又は廃棄物の供給量を制御することが好ましい。
また、 本態様は、 焼却炉にて硫黄成分含有物と RD Fを混焼する RD Fの処理 装置であって、 硫黄成分含有物の供給装置と、 RDFの供給装置と、 炉内、 炉出 口又は煙突の SOx濃度を計測する SOx濃度計と、 その計測値に基づいて前記 硫黄成分含有物及び Z又は RD Fの供給量を制御する制御装置とを備えたことを 特徴とする R D Fの処理装置を提供する。
なお、本態様の装置においては、 前記焼却炉が流動床炉であることが好ましく、 かつ、 煙突の前記 S O X濃度が 50〜 400 ppm となるように、 前記硫黄成分含 有物及び 又は廃棄物の供給量を制御する制御装置を備えていることが好ましい 本態様に係わる RD Fの処理技術においては、 焼却炉にて RD Fと硫黄成分含 有物とを混焼し、 さらに、 この時の炉内、 炉出口又は煙突の SOx濃度を監視す ることにより効果的にダイォキシン類を低減させることができる。
硫黄分は、 燃焼過程において H2S、 CS2、 COS, so2、 so3として 炉内に存在する。 これら物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその類似物 質に対する被毒効果を持ち、 炉内高温燃焼場から炉出口以降の排ガスラインで効
果的にダイォキシン類を抑制させることができる。 また、 一部の物質はダイォキ シン類生成過程にある C 1のダイォキシン類生成反応を抑制する。 その結果、 燃 焼過程及びその後流でダイォキシン類の生成が抑制される。
また、 炉内、 炉出口又は煙突の s ox濃度は、 炉内における燃焼反応等の目安 となる。 さらに、 s o x濃度は硫黄成分含有物中から発生する分がほとんどのた め、 硫黄成分含有物の投入量の目安にもなる。 つまり、 R D Fに対してどの程度 の割合で硫黄成分含有物が投入され、 炉の中でどの程度燃焼が行われているか、 という目安になる。 すなわち、 これは、 前述のダイォキシン類低減に寄与する反 応を効率よく行うための目安となる。
これを実現するためには、 炉内、 炉出口又は煙突に S Ox濃度計を設置するだ けでよく、 自動運転の焼却炉の場合はその値を運転のパラメータに組み込むだけ でよい。 多大な改造が不要で、 比較的安価に実現することができる。
以下、 図 9を用いてより詳細に説明する。
図 9は本態様の廃棄物の処理装置の一例を示す。 この処理装置は、 流動床式焼 却炉 1 0 1と、 R D F供給装置 1 3 0と、 硫黄成分含有物供給装置 1 3 2とを備 え、 この焼却炉 1 0 1に排ガス処理装置 1 1 0を接続し、 排ガス処理装置 1 1 0 に煙突 1 1 2を接続している。 そして、 前記煙突 1 1 2には S O x濃度計 1 2 7 が取り付けられ、 この濃度計 1 2 7からの濃度検出信号が制御装置または計器 1 2 8に入力されるようになっている。
次いで、 図 9の各供給装置 1 3 0、 1 3 2から焼却炉 1 0 1内に投入された R D Fと硫黄成分含有物は、分散板 1 0 4下から送られた流動化ガス (例えば空気) により流動化された砂層と接触し、 乾燥されるとともに昇温されて着火する。 着 火した硫黄成分含有物や R D Fは炉 1 0 1内で燃焼する。 排ガスは炉出口 1 0 6 から排ガス処理設備 1 1 0を経て煙突 1 1 2から外に出される。
図 9において、 煙突 1 1 2に取り付けられた S O x濃度計 1 2 7の計測値が所 定範囲内になるように R D F及び/又は廃棄物の投入量が決定される。すなわち、 煙突 1 1 2に取り付けられた S O x濃度計 1 2 7に接続された制御装置又は計器
128に SOx濃度計 1 2 7から濃度検出信号が入力され、 この計測値に基づい て煙突内の S O x濃度が所定の範囲内になるように R D F及び Z又は硫黄成分含 有物の投入量が決定される。 そして、 SOx濃度が低い場合には硫黄成分含有物 の投入量を増やし及び/又は RDFの投入量を減らし、 一方、 S〇x濃度が高い 場合には硫黄成分含有物の投入量を減らし及び Z又は R D Fの投入量を増やす。 なお、 図 9に示すように、 煙突上流から白煙防止空気が排ガスに合流している 等により、 煙突での SOx濃度に影響を及ぼすような場合においては、 例えば酸 素 12%換算によりその濃度を考慮すればよい。 また、 自動制御を行っている場 合は、 この SOx濃度の値を運転パラメータに加えればよい。
本態様において、 煙突における好適な SOx濃度は、 50〜40 Oppmである。 煙突における SOx濃度が 5 Oppm未満では上記の硫黄分による反応を効率的に 行うことができず、 40 Oppm を超えると排ガス中の硫黄酸化物に起因する後 流の腐食の可能性が大きくなる。
なお、 本態様においては、 SOx濃度計を炉内又は炉出口に設置し、 炉内又は 炉出口の SOx濃度が所定の範囲内、 好ましくはいずれの場合も 60〜600 ppmになるように RD F及び Z又は硫黄成分含有物の供給量を制御することも 可能であり、 この場合も上記と同様の効果を得ることができる。
また、 本態様における焼却炉は特に限定されるものではないが、 硫黄成分含有 物の燃焼性を良好にするために、 燃焼物を流動させながら燃焼させる流動床式焼 却炉が望ましい。
以上説明したように、 本態様により、 焼却炉におけるごみ固形燃料の処理にお いて、 安定した燃焼条件を実現する硫黄成分含有物と RDFの投入割合を決定す ることができ、 効率的にダイォキシン類の生成を抑制することが可能となった。 また、 そのために多大な改造を要することがなく、 比較的安価に実現することが できる。 最良の態様 7
本態様は、 焼却炉にて、 汚泥と廃棄物を混焼させる廃棄物の処理において炉内 の燃焼状態を一定に維持し、 これにより効率よくダイォキシン類を低減させる廃 棄物の処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
本態様により、 本発明者らは、 焼却炉における廃棄物の処理におけるダイォキ シン類の効率的な抑制について鋭意検討を重ねた結果、以下のような知見を得た。 すなわち、 焼却炉にて汚泥と廃棄物を混焼する廃棄物の処理技術において、 硫 黄成分含有粉末を汚泥又は廃棄物の焼却炉への供給ラインに供給することにより、 ダイォキシン類濃度の低減に効果を発揮する硫黄分を安定した状態で効率的に供 給することができる。
さらに、 安定した燃焼条件を実現する硫黄成分含有粉末の投入量を制御するた めに、 炉内の燃焼状況を判断する指標として炉内、 炉出口又は煙突における S O x濃度を所定の範囲内に維持することにより、 ダイォキシン類抑制効果はさらに 向上する。
本態様は、 このような知見に基づきなされたものであり、 以下のような構成か らなることを特徴とする。
すなわち、 本態様は、 焼却炉にて汚泥と廃棄物を混焼する廃棄物の処理方法に おいて、 汚泥又は廃棄物の焼却炉への供給ラインに硫黄成分含有粉末を供給する ことを特徴とする廃棄物の処理方法を提供する。
本態様においては、 炉内、 炉出口又は煙突における s ox濃度を計測し、 その 計測値に基づいて前記硫黄分含有粉末の供給量を制御する。 ここで、 煙突におけ る前記 S O x濃度が 5 0〜 4 0 0 ppm となるように前記硫黄成分含有粉末の供給 量を制御することが好ましい。 また、 前記焼却炉は流動床炉であることが好ま しい。
さらに、 本態様は、 焼却炉にて汚泥と廃棄物を混焼する廃棄物の処理装置にお いて、 汚泥又は廃棄物の焼却炉への供給ラインに硫黄成分含有粉末を供給する供 給装置を備えたことを特徴とする廃棄物の処理装置を提供する。
更に、 廃棄物の処理装置において、 炉内、 炉出口又は煙突の S O x濃度を計測
する S O x濃度計と、 その計測値に基づいて前記硫黄成分含有粉末の供給量を制 御する制御装置とを備えたことを特徴とする廃棄物の処理装置を提供する 3 ここ で、 煙突における前記 S O x濃度が 5 0〜4 0 O ppm となるように、 前記硫黄成 分含有粉末を制御することが好ましい。 前記焼却炉が流動床炉であることが好ま しい。
ここで、 前記の 「硫黄成分含有粉末を供給する供給装置」 とは、 硫黄粉末貯留 槽と汚泥供給ライン、 または硫黄粉末貯留槽と廃棄物供給ラインとに連通された 硫黄粉末供給ラインをいう。
本態様に係わる廃棄物の処理技術においては、 硫黄成分含有粉末を汚泥又は廃 棄物の焼却炉への供給ラインに供給することにより、 ダイォキシン類濃度の低減 を効果的に行うために不足している硫黄分を安定した状態で効率的に供給するこ とができる。
硫黄成分含有粉末を供給するための硫黄成分供給ラインを焼却炉への汚泥供給 ライン又は廃棄物供給ラインに連通し、 汚泥又は廃棄物と共に硫黄成分含有粉末 を混合しながら炉内へ供給することにより、 硫黄粉末と汚泥又は廃棄物からなる 混合物を均一な性状で炉内に供給することができる。 また、 硫黄成分含有粉末の みを直接炉内へ供給することにより発生する、 炉内での不均一性や、 粉塵爆発等 の危険性を回避することができる。 操作時も汚泥又は廃棄物の供給の開始、 終了 と共に硫黄分の供給操作も開始、 終了できるため、 操作の簡便性と安全性が確立 される。 また、 炉内に硫黄分、 窒素分、 水分が充分に供給されるために、 上記の 理由によりダイォキシン類が効率よく低減される。
この際、 炉内、 炉出口又は煙突における排ガス中の S O x濃度は、 炉内温度等の 燃焼状況や、 汚泥供給ライン又は廃棄物供給ラインに供給される硫黄成分含有粉 末の量などによって決定されるため、 ダイォキシン類生成の目安とすることがで きる。 つまり、 S O x濃度値を監視して炉内、 炉出口又は煙突の S O x濃度を所 定の範囲内に調整して燃焼を行うことにより、 安定した燃焼条件を実現する硫黄 成分含有粉末量を決定することができ、 効率よくダイォキシン類等の有害ガスの
発生を抑制することができる。
これを実現するためには、 炉内、 炉出口又は煙突に S O x濃度計を設置するだ けでよく、 特別な改造等が不要であり、 安価に実現することができる。
以下、 図を用いてより詳細に説明する。 ただし、 本態様はこれらに限定される ものではない。
図 1 0は、 本発明の廃棄物の処理装置の一例を示す。 この処理装置は、 廃棄物 貯留槽 2 0 1と、 汚泥貯留槽 2 0 2と、 硫黄粉末貯留槽 2 0 3と、 焼却炉 2 0 4 とを備え、 さらに廃棄物貯留槽 2 0 1と焼却炉 2 0 4との間に、 廃棄物貯留槽 2 0 1内の廃棄物を焼却炉 2 0 4に供給するための廃棄物供給ライン 2 0 5を連通 し、 汚泥貯留槽 2 0 2と焼却炉 2 0 4との間に、 汚泥貯留槽 2 0 2内の汚泥を焼 却炉 2 0 4に供給するための汚泥供給ライン 2 0 6を連通し、 硫黄粉末貯留槽 2 0 3と汚泥供給ライン 2 0 6との間に、 硫黄粉末貯留槽 2 0 3内の硫黄粉末を焼 却炉 2 0 4に供給するための硫黄粉末供給ライン 2 0 7を連通している。
この例では、 汚泥貯留槽 2 0 2内の汚泥は、 汚泥貯留槽 2 0 2からポンプ (図 示せず) により汚泥供給ライン 2 0 6を通り焼却炉 2 0 4へ圧送される。 この際、 硫黄粉末貯留槽 2 0 3から圧送されてきた硫黄粉末が汚泥供給ライン 2 0 6内に 供給され、 その下流で搬送されながら汚泥と硫黄粉末とが混ざり合い、 均一な性 状となって焼却炉 2 0 4に供給される。
このような配置とすることにより、 硫黄粉末のみを直接炉内へ供給することに より発生する、 炉内での不均一性や、 粉塵爆発等の危険性を回避し、 炉内の硫黄 分、 窒素分、 水分のバランスを維持しながらダイォキシン類を効率よく低減する ことができる。 また、 操作時も汚泥の供給の開始、 終了とともに硫黄の供給操作 も開始、 終了することができ、 操作の簡便性と安全性が確立される。
ただし、 本態様において汚泥供給ラインに供給される硫黄分は粉末状に限定さ れるものではなく、 硫黄成分含有物であれば例えばスラリ一状のものも好適に使 用することができる。
また、 この図では汚泥供給ラインに硫黄粉末供給ラインを連通する例を示した
力;、 廃棄物供給ラインに硫黄粉末供給ラインを連通することも可能であり、 この 場合も廃棄物と硫黄粉末が混じり合い、 均一な性状となつて焼却炉に供給され、 上述の場合と同様の効果を生ずる。 また、 この例に示した方法よりもさらに簡易 的な方法として、 炉温制御用の水供給ライン、 ごみ汚水供給ライン等への硫黄粉 末の供給によってもこの場合と同様の効果を発揮する。
図 1 1は、 本発明の廃棄物の処理装置の他の例である。 この処理装置は、 廃棄 物貯留槽 2 1 1と、 汚泥貯留槽 2 1 2と、 硫黄粉末貯留槽 2 1 3と、 流動床式焼 却炉 2 1 4とを備え、 この焼却炉 2 1 4に排ガス処理装置 2 2 2が接続され、 排 ガス処理装置 2 2 2に煙突 2 2 4が接続されている。 さらに、 廃棄物貯留槽 2 1 1と焼却炉 2 1 4との間に、 廃棄物貯留槽 2 1 1内の廃棄物を焼却炉 2 1 4に供 給するための廃棄物供給ライン 2 1 5を連通し、 汚泥貯留槽 2 1 2と焼却炉 2 1 4との間に、 汚泥貯留槽 2 1 2内の汚泥を焼却炉 2 1 4に供給するための汚泥供 給ライン 2 1 6を連通し、 硫黄粉末貯留槽 2 1 3と汚泥供給ライン 2 1 6との間 に、 硫黄粉末貯留槽 2 1 3内の硫黄粉末を焼却炉 2 1 4に供給するための硫黄粉 末供給ライン 2 1 7を連通している。 そして、 前記煙突 2 2 4には S O x濃度計 2 2 0が取り付けられ、 この S〇x濃度計 2 2 0からの濃度検出信号が制御装置 又は計器 2 2 1に入力される。
この例では、 前述したように汚泥供給ライン 2 1 6に供給される硫黄成分含有 粉末は汚泥供給ライン 2 1 6内で汚泥と充分に混ざり合い、 均一な性状となって 焼却炉 2 1 4に供給される。 かかる汚泥と、 廃棄物貯留槽 2 1 1から廃棄物供給 ライン 2 1 5を通って供給された廃棄物は、 分散板 2 1 8下の風箱 2 2 5から送 られた空気によって流動している砂層で乾燥されるとともに昇温されて着火する。 着火された廃棄物はフリーボード部で燃焼し、 燃焼が完全に完結する。 排ガスは 排ガス処理装置 2 2 2を経て煙突 2 2 4から外部に放出される。 前記煙突 2 2 4 に設置された S O x濃度計 2 2 0からの濃度検出信号に基づき、 煙突における S O x濃度が所定の範囲内になるように制御装置又は計器 2 2 1により硫黄成分含 有粉末の供給量が決定される。 具体的には、 S O y濃度が低すぎるようであれば
硫黄成分含有粉末の供給量を増やし、 逆に SOx濃度が高すぎるようであれば硫 黄成分含有粉末の供給量を減らす。
本態様において、 煙突の好適な SO X濃度は、 50〜40 Oppm である。 煙 突における SOx濃度が 5 Oppm 未満ではダイォキシン類抑制の効果が充分でな く、 40 Oppmを超えると SOx濃度が規制値を達成できなくなる ΰ
なお、 図 1 1に示すように煙突上流から白煙防止空気が排ガスラインに合流し ている等により、 煙突での SOx濃度に影響を及ぼすような場合は、 例えば酸素 1 2%換算等を実施して濃度を考慮すればよい。 また、 自動制御を行っている場 合は、 この S〇x濃度の値を運転パラメ一タに加えればよい。
また、 この例では S〇x濃度計を煙突に設置したが、 30;濃度計を炉2 1 4 内又は炉出口 2 1 9に設置し、 炉内又は炉出口の SOx濃度が所定の範囲内、 好 ましくはいずれの場合も 60〜60 Oppm になるように硫黄成分含有粉末の供 給量を制御することも可能である。 また、 この図では焼却炉として流動床式焼却 炉を用いた例を示したが、 これに限定されるものではなく、 火格子式焼却炉等に 適用することも可能である。
以上説明したように、 本態様により、 焼却炉にて廃棄物と汚泥を混焼する廃棄 物の処理において、 ダイォキシン類低減に効果を発揮する硫黄分濃度を補うため の硫黄粉末を安定して効率的に供給することができる。
また、 炉内、 炉出口又は煙突における SOx濃度に基づき炉内の燃焼状況を判 断することができるので、 ダイォキシン類低減をより効率的に行うための安定し た燃焼条件を実現する硫黄成分含有粉末の供給量を決定することができる。 最良の態様 8
本態様は、 廃棄物と汚泥および/または硫黄成分含有物とを廃棄物焼却炉で混 焼する廃棄物の処理方法において、 前記汚泥および または硫黄成分含有物を分 散して、 ごみホツバに供給することを特徴とする処理方法を提供する。
また本態様は、 廃棄物と汚泥および/または硫黄成分含有物とを廃棄物焼却炉
で混焼する廃棄物の処理装置において、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を分 散してごみホツバに供給する分散供給手段を具備することを特徴とする処理装置 を提供する。
以下、 本態様を詳細に説明する。
本態様において、 汚泥および/硫黄成分含有物は、 これらを均一に分散して供 給する機能を有する分散供給装置によりごみシユー卜に分散供給される。 分散供 給装置としては、 ごみシュ一トに均一に汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を均 一に分散させる機能を備えたものであれば、 特に限定されず任意のものを用いる ことができる。 例えば、 スクリユーコンベア、 モーノポンプ、 摺動コンベアある いはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
なお、 ごみホッパ内には、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を分散供給する に先だって廃棄物が供給されていることが望まれる。
汚泥が分散供給された場合には、 自重によりごみホツバ内の廃棄物に浸透し、 可燃物、 水分などが平均的に分散され、 廃棄物と均一に混じり合う。 硫黄成分含 有物の場合も、 廃棄物の上に平均的に分散されて廃棄物と均一に混じり合う。 ま た、 廃棄物の炉内への供給に合わせて混じり合った汚泥および Zまたは硫黄成分 含有物も供給されるため、 極端に発熱量の低い部分や、 極端に含水率の高い部分 などが炉内にできず、 広い範囲で安定して燃焼が行われ、 すすの発生も防止する ことができる。
汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を分散供給するための分散供給装置として は、 これらとガスとを混合してごみホツバに分散供給するランスを用いることが 好ましい。 搬送ガスとして空気、 c o2 などを用いるランスを使用し、 汚泥およ び/または硫黄成分含有物を搬送ガスと共に、 より均一かつ効果的にごみホッパ に分散させることができる。
こうした分散供給装置からのごみホッパへの汚泥および/または硫黄成分含有 物の分散供給は、 ごみクレーンによるごみホツバへの廃棄物投入タイミングにあ わせて行われることが好ましレ、。 通常、 ごみピットに貯留された廃棄物は、 適宜
決定される所定の間隔でごみクレーンによりごみホッパに供給される。 ごみホッ パに廃棄物が少ない場合に汚泥および/または硫黄成分含有物を供給し続けると 、 焼却炉内には、 これらのみが供給されることになつてしまう。 また、 ごみクレ ーンがごみホッパに廃棄物を投入しているときに汚泥および zまたは硫黄成分含 有物を同時に供給し続けると、 ごみホツバの周囲に硫黄成分含有物や廃棄物が散 乱することが考えられる。 そこで、 ごみホツバへの廃棄物の投入タイミングに合 わせて分散供給装置を駆動させれば、 効率よく汚泥および Zまたは硫黄成分含有 物を適量供給することができる。
例えば、 次のような方法で分散供給装置を駆動することができる。
( 1 ) ごみクレーンによりごみホツバに廃棄物が供給された後、 一定量の汚泥お よび zまたは硫黄成分含有物を分散供給する。
( 2 ) ごみホッパ内の廃棄物の量をセンサ一で感知し、 汚泥および/または硫黄 成分含有物が均一に混ざるように、 そのときにおけるごみホッパ内の廃棄物量に 最適な量の汚泥等を分散供給する。
( 3 ) ごみクレーンがごみホツバに廃棄物を投入するときには、 汚泥および/ま たは硫黄成分含有物の供給をやめる。
( 4 ) ごみクレーンがごみホッパに投入する廃棄物の重量を重量センサ一にて感 知し、 その重量に対して適量の汚泥および/または硫黄成分含有物を、 廃棄物投 入後に分散供給する。
これらの方法は組み合わせて行うこともできる。 また、 上述した 4つの方法に 限定されず、 他の方法を用いてごみホッパの廃棄物投入タイミングにあわせて廃 棄物を分散供給することも可能である。
上述した方法による汚泥および/または硫黄成分含有物の分散供給は、 焼却炉 の運転停止の少なくとも 1時間前に停止することが好ましい。 焼却炉では、 通常 、 運転停止の数時間前から運転調整に入り、 廃棄物の投入量を減らし始める。 こ の間に汚泥および/または硫黄成分含有物を供給し続けると、 次のような不都合 が生じる。 汚泥を供給し続けた場合には、 全体の発熱量が低下して燃焼状態が不
安定になることが予想される。 また、 硫黄成分含有物を投入し続けた場合には、 焼却炉内では硫黄成分含有物の燃焼割合が増え、 排ガス中の S Ox濃度が増加す る。
焼却炉の運転停止の少なくとも 1時間前までに汚泥および/または硫黄成分含 有物の分散供給装置による供給を停止することによって、 上述したような不都合 を避けて、 運転停止に至るまでの間、 焼却炉の燃焼状態が不安定になるのを防止 することができる。
以下、 図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図 1 2は、 本発明の廃棄物処理装置の一例を表す概略図であり、 廃棄物焼却炉 のごみホツバの部分を示している。 廃棄物は、 ごみクレーン 3 0 1からごみホッ パ 3 0 2に投入され、 一方、 汚泥および/または硫黄成分含有物は、 汚泥および /または硫黄成分含有物導入口 3 0 5からコンベア 3 0 4を経て、 ごみホッパ内 の廃棄物の上に分散される。
汚泥は、 その後自重によりごみホッパ 3 0 2内の廃棄物に浸透して、 可燃分や 水分などが平均的に混ざり合う。 硫黄成分含有物もまた、 ごみホッパ内の廃棄物 の上に平均的に分散されて均一に混じり合い、 場合によっては、 その後、 廃棄物 の炉内への供給に合わせて混じり合った硫黄成分含有物も供給される。こうして、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物は、 廃棄物とともにごみシユート 3 0 3から 炉内 (図示せず) へ供給されていく。
図 1 3は、 本発明の廃棄物処理装置の他の例を表す概略図であり、 廃棄物焼却 炉のごみホツバの部分を示している。 図 1 2に示した処理装置と同様に、 廃棄物 は、 ごみクレーン 3 0 1からごみホッパ 3 0 2に投入される。 一方、 汚泥および /または硫黄成分含有物は、 汚泥および/または硫黄成分含有物導入口 5から導 入され、 搬送ガス供給口 3 0 7から供給された搬送ガスとともにランス 3 0 6力 ら搬送されて、 ごみホッパ 3 0 2に分散供給される。 こうして、 汚泥および/ま たは硫黄成分含有物は、 ごみホッパ 3 0 2内の廃棄物の上に効率よく広い範囲に 分散する。 このとき、 搬送ガスとしては、 空気、 c o2 、 窒素などの他、 排ガス
再循環ガスなどを用いることができ、 その流量も、 汚泥および zまたは硫黄成分 含有物を分散できる範囲であれば特に限定されない。
汚泥は、 その後、 自重によりごみホッパ 3 0 2内の廃棄物に浸透して、 可燃分 や水分などが平均的に混ざり合い、 硫黄成分含有物もまた、 ごみホツバ内の廃棄 物の上に平均的に分散されて均一に混じり合う。 こうして、 汚泥および Zまたは 硫黄成分含有物は、 廃棄物とともにごみシュート 3 0 3から炉内 (図示せず) へ 供給されていく。
本態様において廃棄物と混焼される汚泥としては、 下水処理に伴って発生する 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活性汚泥処理した際に発生する汚泥、 有機物 を含む排水を固液分離した際に発生する汚泥、 河川しゅんせつ時等に閉鎖性水域 で発生する汚泥、 その他下水処理の過程で発生する汚泥等、 任意の種類の汚泥を 用いることができる。 汚泥の含水率も特に限定されず、 1 0〜9 0 %といった通 常の範囲で水分を含有する.汚泥を使用することができる。
また、 硫黄成分含有物としては、 硫黄粉末、 産業廃棄物廃水 (硫黄分を含むた め)、 廃タイヤ等のゴム系廃棄物等任意の硫黄成分含有物を用いることができる 。 ただし、 廃タイヤ等のゴム系廃棄物を用いる場合には、 発熱量を考慮して運転 する必要がある。
さらに、 上述したような汚泥と硫黄成分含有物とを組み合わせて用いることも できる。
本態様においては、 焼却炉の方式は何等限定されず、 流動床式焼却炉、 火格子 式焼却炉、 キルン式焼却炉等、 任意の焼却炉に適用して廃棄物と汚泥および/ま たは硫黄成分含有物とを混焼することができ、 また燃焼室温度も通常の範囲とす ることができる。
以下、 具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例 1 )
廃棄物焼却炉として火格子式焼却炉を用い、 廃棄物としての都市ごみと汚泥と を本発明の方法により混焼して処理した。
まず、 汚泥と空気とを混合し、 汚泥を分散させる機能を有するランスを用いて 予め廃棄物が投入されているごみホツバに汚泥を供給した。 この際、 汚泥を搬送 する搬送ガスとしては C〇2 を用いた。 都巿ごみは 2 3 0 0 k c a l Z k g、 汚 泥の含有率は 8 0 %である。 乾燥段温度を 7 0 0〜 8 5 0 °C、 燃焼室温度を 8 5 0〜 1 0 0 0 に変化させて都市ごみと汚泥とを混焼した。
その結果、 都市ごみと汚泥とを別々のシュートから炉内へ投入した場合と比較 して、 平均 C O濃度は半分以下になり、 ダイォキシン類濃度も 3割減となった υ 焼却の間、 安定した条件で炉を運転することができ、 排ガス濃度や灰の状態に異 常はみられなかった。
(実施例 2 )
廃棄物焼却炉として火格子式焼却炉を用い、 廃棄物としての都市ごみと硫黄成 分含有物とを本発明の方法により混焼して処理した。
まず、 硫黄成分含有物として硫黄粉末を使用し、 硫黄成分含有物を分散させる 機能を有するランスを用いて、 予め廃棄物が投入されているごみホツバに硫黄成 分含有物を供給した。 この際、 硫黄成分含有物を搬送する搬送ガスとしては C O 2 を用いた。 都巿ごみは 2 3 0 0 k c a l / k g、 硫黄成分含有物の含有率は 8 0 %である 乾燥段温度を 7 0 0〜 8 5 0 、 燃焼室温度を 8 5 0〜 1 0 0 0 ::C に変化させて都市ごみと硫黄粉末とを混焼した。
その結果、 都市ごみと硫黄粉末とを別々のシユートから炉内へ投入した場合に 比較して、 平均 C O濃度は半分以下になり、 ダイォキシン類濃度も 2割減となつ た, 焼却の間、 安定した条件で炉を運転させることができ、 排ガス濃度や灰の状 態に異常はみられなかった。
以上説明したように本態様によれば、 焼却炉內の燃焼状態を一定に維持して汚 泥および/または硫黄成分含有物と都市ごみ等の廃棄物とを効率よく混焼し、 排 ガス中のダイォキシン類濃度を低減させ得る廃棄物の処理方法および処理装置が 供給される。
本態様を用いることにより、 汚泥および/または硫黄成分含有物と廃棄物とを
均一にごみホッパに供給することができるので、 炉内においてもこれらは均一に 供給される。 したがって、 焼却炉内では極端に発熱量の低い領域を発生させるこ となく安定して燃焼が進行し、 その結果、 排ガス中のダイォキシン類の発生を効 率よく低減させることが可能となった。
本態様により、 従来の流動床式焼却炉のみならず、 火格子式焼却炉等任意の方 式の焼却炉に汚泥および/または硫黄成分含有物の混焼を適用させることが可能 となり、 その工業的価値は大きい。 最良の態様 9
本態様は、 廃棄物と汚泥および Zまたは硫黄成分含有物とを火格子を用いた廃 棄物焼却炉で混焼する廃棄物の処理方法において、 前記汚泥および Zまたは硫黄 成分含有物を分散して、 乾燥段火格子上に供給することを特徴とする廃棄物処理 方法を提供する。
また、 本態様は、 廃棄物と汚泥および Zまたは硫黄成分含有物とを火格子を用 レ、た廃棄物焼却炉で混焼する廃棄物の処理装置において、 前記汚泥および/また は硫黄成分含有物を分散して乾燥段火格子上に供給する分散供給手段を具備する ことを特徴とする廃棄物処理装置を提供する。
以下、 本態様を詳細に説明する。
本態様において、 汚泥および Z硫黄成分含有物は、 これらを均一に分散して供 給する機能を有する分散供給装置によって、 火格子式焼却炉の乾燥段火格子上に 分散供給される。 分散供給装置としては、 乾燥段火格子上に均一に汚泥および/ または硫黄成分含有物を均一に分散させる機能を備えたものであれば、 特に限定 されず任意のものを用いることができる。
汚泥が分散供給された場合には、 自重により乾燥段火格子上で乾燥されつつあ る廃棄物に混じり合うとともに汚泥自体も乾燥され、 やがて着火する。 硫黄成分 含有物の場合も、 乾燥段火格子上で乾燥されつつある廃棄物の上に均一に分散さ れ、 廃棄物とともに乾燥されて燃焼を開始する。 そのため、 部分的に温度の低い
領域を形成することなく安定した燃焼が行われる。 汚泥は廃棄物と均一に混じり 合うので、 火格子の押し込み空気孔などのすきまから焼却される前の汚泥が火格 子下の灰シュ一卜に落下してしまうこともない。
汚泥および/または硫黄成分含有物を分散供給するための分散供給装置として は、 これらとガスとを混合して乾燥段火格子上に分散供給するランスを用いるこ とが好ましい。 ランスを使用し、 搬送ガスとして空気、 C〇2 などを用いること により、 乾燥段火格子上に汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を均一かつ効果的 に分散させることができる。 なお、 本発明においては、 乾燥段火格子上に汚泥お よび/または硫黄成分含有物を分散供給されるが、 炉内高温場によりランスの表 面温度が高くなる場合は、 冷却構造をランス外側に設けることが望まれる。 乾燥段火格子上への汚泥および/または硫黄成分含有物の分散供給は、 焼却炉 の運転停止の少なくとも 1時間前に停止することが好ましい。 焼却炉では、 通常
、 運転停止の数時間前から運転調整に入り、 廃棄物の投入量を減らし始める。 こ の間に汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を供給し続けると、 次のような不都合 が生じる。 汚泥を供給し続けた場合には、 全体の発熱量が低下して燃焼状態が不 安定になることが予想される。 また、 硫黄成分含有物を投入し続けた場合には、 焼却炉内では硫黄成分含有物の燃焼割合が増え、 排ガス中の S Ox 濃度が増加す る。
焼却炉の運転停止の少なくとも 1時間前までに汚泥および Zまたは硫黄成分含 有物の分散供給装置による供給を停止することによって、 上述したような不都合 を避けて、 運転停止に至るまでの間、 焼却炉の燃焼状態が不安定になるのを防止 することができる。
以下、 図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図 1 4は、 本発明の火格子式廃棄物焼却炉の一例を表す概略図である。 ごみホ ッパ 4 0 1に投入された廃棄物は、 ごみシュ一ト 4 0 2を通して乾燥段火格子 4 0 3に送られる。
一方、 汚泥および/または硫黄成分含有物は、 汚泥および Zまたは硫黄成分含
有物導入口 4 0 8から導入され、 搬送ガス供給口 4 0 9から供給された搬送ガス とともにランス 4 0 7から搬送されて、乾燥段火格子 4 0 3上に分散供給される. こうして、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物は、 乾燥段火格子 4 0 3上の廃棄 物の上に効率よく広い範囲に分散する。 このとき、 搬送ガスとしては、 空気、 C 〇2 、 窒素などの他、 排ガス再循環ガスなどを用いることができ、 その流量は、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を分散させるのに十分な量であり、 かつ炉内 の燃焼に影響を及ぼさない量であることが望ましい。
なお、 図示する焼却炉においては、 汚泥および Zまたは硫黄成分含有物を乾燥 段火格子 4 0 3上に分散供給するランス 4 0 7は、 廃棄物の移動する方向に設け られている力 これに限定されるものではない。 この方向に直交する方向にラン スを設けて、 同様にして汚泥および/または硫黄成分含有物を乾燥段火格子 4 ϋ 3上に分散供給することもできる。
汚泥は、 その後、 自重により乾燥段火格子 4 0 3上の廃棄物に浸透して、 可燃 分や水分などが平均的に混ざり合い、 硫黄成分含有物もまた、 乾燥段火格子上の 廃棄物の上に平均的に分散されて均一に混じり合う。 こうして、 汚泥および/ま たは硫黄成分含有物は、 下から送り込まれる空気 4 0 6と炉内の輻射熱とにより 廃棄物とともに乾燥されて昇温 ·着火する。 燃焼を開始すると、 汚泥および/ま たは硫黄成分含有物は、 廃棄物とともに燃焼段火格子 4に輸送されて、 下から送 り込まれる燃焼空気 3 0 6により燃焼する。 未燃分は、 後燃焼段火格子 4 0 5上 に送られて完全に燃焼し、 焼却後に残った灰は、 主灰シュート 4 1 0から外部に 取り出される。
燃焼は主燃焼室 4 1 1で行われ、 燃焼排ガス (炉內ガス) は、 二次燃焼室 4 1 2で二次的な燃焼が行われて未燃分が完全に燃焼する。 その後、 燃焼排ガスは炉 外へと排出されて排ガス処理設備 (図示せず) 等の後段に送られる。
本態様において廃棄物と混焼される汚泥としては、 下水処理に伴って発生する 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活性汚泥処理した際に発生する汚泥、 有機物 を含む排水を固液分離した際に発生する汚泥、 河川しゅんせつ時等に閉鎖性水域
で発生する汚泥、 その他下水処理の過程で発生する汚泥等、 任意の種類の汚泥を 用いることができる。 汚泥の含水率も特に限定されず、 1 0〜9 0 %といった通 常の範囲で水分を含有する汚泥を使用することができる。
また、 硫黄成分含有物としては、 粉末状、 液状、 固体状等任意の硫黄成分含有 物を用いることができるが、 搬送しやすく、 また爆発等の危険性のないものが好 ましい。
さらに、 上述したような汚泥と硫黄成分含有物とを組み合わせて用いることも できる。
本態様においては、 乾燥段温度や燃焼室温度は特に限定されない。 通常の範囲 の乾燥段温度や燃焼室温度で、 効率よく汚泥および Zまたは硫黄成分含有物と廃 棄物とを混焼することができる。
以下、 具体例を示して本態様をさらに詳細に説明する。
(実施例 1 )
図 1 4に示したような火格子式焼却炉を用レ、、 廃棄物としての都市ごみと汚泥 とを本態様の方法により混焼して処理した。
まず、 汚泥と窒素とを混合し、 汚泥を分散させる機能を有するランスを用いて 乾燥段火格子上に汚泥を供給した。 この際、 汚泥を搬送する搬送ガスとしては C 02 を用いた。 都巿ごみは 2 0 0 0 k c a l Z k g、 汚泥の含有率は 8 0 %であ る υ 乾燥段温度を 7 0 0〜 8 5 0 °C、 燃焼室温度を 8 5 0〜 1 0 0 0 ¾に変化さ せて都市ごみと汚泥とを混焼した。
その結果、 都市ごみと汚泥との混焼を行わなかった場合と比較して、 平均 C O 濃度は半分以下になり、 ダイォキシン類濃度平均値も 7割減となった。 焼却の間 、 安定した条件で炉を運転することができ、 排ガス濃度や灰の状態に異常はみら れなかった。
(実施例 2 )
図 1 4に示したような火格子式焼却炉を用い、 廃棄物としての都市ごみと硫黄 成分含有物とを本発明の方法により混焼して処理した。
まず、 硫黄成分含有物として硫黄粉末を用い、 硫黄成分含有物を分散させる機 能を有するランスを用いて、 乾燥段火格子上に硫黄成分含有物を供給した。 この 際、 硫黄成分含有物を搬送する搬送ガスとしては c o2 を用いた。 都市ごみは一 般的な組成をもつものである。 通常の試験条件において、 都市ごみと硫黄粉末と を混焼した。
その結果、 都市ごみと硫黄成分含有物との混焼を行わなかった場合に比較して 、 平均 C O濃度は半分以下になり、 ダイォキシン類濃度平均値も 5割減となった a 焼却の間、 安定した条件で炉を運転させることができ、 排ガス濃度や灰の状態 に異常はみられなかった。
以上説明したように本発明によれば、 火格子式焼却炉内の燃焼状態を一定に維 持して汚泥および/または硫黄成分含有物と都市ごみ等の廃棄物とを効率よく混 焼し、 排ガス中のダイォキシン類濃度を低減させ得る廃棄物の処理方法および処 理装置が供給される。
本態様を用いることにより、 汚泥および/または硫黄成分含有物と廃棄物とを 均一に乾燥段火格子上に供給することができるので、 焼却炉内においても極端に 発熱量の低い領域を発生させることなく安定して燃焼が進行し、 その結果、 排ガ ス中のダイォキシン類の発生を効率よく低減させることが可能となった。
本態様により、 火格子式焼却炉に汚泥およびノまたは硫黄成分含有物の混焼を 適用させることが可能となり、 その工業的価値は大きい。 最良の態様 1 0
本態様において、 本発明者らは、 廃棄物を焼却処理する各種の試験を実施した 過程において、 廃棄物と下水汚泥などの汚泥類を混焼した際に、 燃焼排ガス中の ダイォキシン類の含有量が低くなることを見出した。 このため、 本発明者らは、 汚泥の混焼によるダイォキシン類の低減効果が如何にしてもたらされるものかに ついて、 種々の検討を行なった。
廃棄物の焼却によってダイォキシン類が発生する主たる原因の一つとして、 酸
素不足の雰囲気で廃棄物を燃焼させることが知られており、 この状態における燃 焼条件は、 焼却炉へ装入された廃棄物が加熱されて昇温する初期の燃焼段階の条 件に相当する。 このことからすれば、 初期の燃焼段階で、 汚泥が熱分解した生成 物質がダイォキシン類の生成を抑制する作用をなしているものと考えられる。 そこで、 一般的な汚泥には、 窒素分が 2〜1 0 w t % (乾量基準) も含まれて いることから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は汚泥中の窒素含有成分が 熱分解したものであると考え、 実験を行った。 実験では、 廃棄物に窒素化合物を 添加して焼却したところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類が減少することが認め られた。 このことから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は、 汚泥中の窒素 含有成分が熱分解した際に生成するアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化 合物であるものと想定される。
窒素含有成分の熱分解生成物がダイォキシン類の生成を抑制するメカニズムは 定かではないが、 これらの物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその他の 物質に対する被毒作用を有することが考えられる。 この被毒作用が、 ダイォキシ ン類の生成を抑制する効果をもたらす一因であると思われる。
このように、 汚泥の熱分解生成物である上記のような窒素化合物が廃棄物焼却 時におけるダイォキシン類の生成を抑制する作用をなすため、 廃棄物に窒素化合 物を添加して焼却すれば、 ダイォキシン類の生成が抑制されることが判明した。 さらに、 本態様において、 焼却炉出口以降の排ガス流路においてダイォキシン 類が生成する問題についても検討し、 以下に述べるように、 その生成を抑制する 方法を見いだした。 排ガス流路においては、 飛灰の中のある種の成分が触媒とな つて、 未燃焼の芳香族化合物と塩素との反応が進行し、 ダイォキシン類が生成す るものとされている。 そこで、 この場合についても、 焼却炉出口以降の排ガス流 路へ窒素化合物を吹き込む試験を行ったところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類 が減少することが認められた。 これは、 焼却炉へ窒素化合物を装入した場合と同 様に、 排ガス流路へ吹き込まれた窒素化合物がダイォキシン類の生成を抑制する ものと思われる。
このように、 焼却炉へ窒素化合物を装入し、 さらに排ガス流路にも窒素化合物 を装入すれば、 2箇所で生成するダイォキシン類の量がそれぞれ減少し、 燃焼排 ガス中のダイォキシン類を一層低減させることができる。 本態様は、 上記のよう な試験と検討の結果に基づく知見によってなされたものである。
本態様の内、 第 1は、 廃棄物に窒素化合物を添加して焼却炉へ装入し、 焼却炉 出口以降の燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込むことを特徴とする廃棄物の焼 却方法である。
この態様においては、 焼却炉へ装入する廃棄物と燃焼排ガス流路の排ガス中に 窒素化合物を装入することにより、 前述のように、 焼却炉内及び燃焼排ガス流路 の 2箇所におけるダイォキシン類の生成が抑制される。 従って、 燃焼排ガス中の ダイォキシン類を大幅に減少させることができる。
なお、 本態様において、 焼却炉の出口とは 2次燃焼室の出口を指すものとする 又、 汚泥とは、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活性汚泥処理した際に発生 する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離したときに発生する汚泥、 閉鎖性水域の 河 J 11を浚渫した時に発生する汚泥などを指す。
又、 窒素化合物とは、 窒素を含有する有機化合物又は無機化合物を指す。 好ま しい窒素化合物の具体例としては、 アンモニアや尿素などの安価な化合物が挙げ られる。 窒素化合物は気体、 液体、 固体、 又は水溶液などの形態で使用できるが 、 添加する箇所によって、 適切な形態のものが選定される。
本態様の内、 第 2は、 廃棄物と共に汚泥を焼却炉へ装入し、 焼却炉出口以降の 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込むことを特徴とする廃棄物の焼却方法であ る a
この発明においては、 廃棄物と一緒に汚泥の焼却を行う。 汚泥の焼却によって ダイォキシン類の生成を抑制する効果が得られる。 そして、 燃焼排ガスの流路に 窒素化合物を吹込むことによって、 焼却炉内及び燃焼排ガスの流路におけるダイ ォキシン類の生成が抑制される。 また、 廃棄物と汚泥の焼却は、 一般に、 それぞ
れ専用の焼却設備で別個に行われるが、 廃棄物と汚泥を一緒に焼却処理すること により、 さらに設備費、 運転費が節減されると言うメリットを享受することがで さる。
本態様の内、 第 3は、 廃棄物と汚泥を焼却炉へ装入する際に、 廃棄物及び/又 は汚泥に窒素化合物を添加することを特徴とする廃棄物の焼却方法である この態様においては、 焼却炉へ装入する前の廃棄物又は汚泥、 或いはその双方 に窒素化合物を添加する。 焼却処理される下水汚泥などの汚泥類は脱水処理され たものであっても、 極めて多量の水分 (6 5〜9 0 w t %) を含有する粘土状物 であるので、 この脱水汚泥を多量に装入すると、 焼却炉内の燃焼状態が不良にな る。 このため、 所要量の窒素分を供給するための汚泥を装入できないことがある このような場合に、 発明では、 別途に、 窒素化合物を添加して不足する窒素分 を補充することによって、 燃焼状態を正常な状態に維持しながら、 焼却炉内で生 成するダイォキシン類を大幅に減少させることができる。
また、 廃棄物焼却設備において、 廃棄物と汚泥を混焼すると、 前述のようなコ スト節減のメリッ卜が生ずる。
本態様の内、 第 4は、 焼却炉へ装入する廃棄物に窒素化合物を添加する手段が 設けられ、 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む手段が設けられたことを特徴 とする廃棄物焼却設備である。
この態様によれば、 廃棄物に窒素化合物を添加することができるので、 焼却炉 内におけるダイォキシン類の生成量を減少させることができる。 又、 燃焼排ガス の流路に窒素化合物を吹込むことができるので、 排ガス流路におけるダイォキシ ン類の生成量を減少させることができる。
本態様の内、 第 5は、 焼却炉へ汚泥を装入する手段が設けられ、 この汚泥装入 手段に窒素化合物を添加する手段が付加され、 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を 吹込む手段が設けられたことを特徴とする廃棄物焼却設備である。
この態様によれば、 焼却炉へ汚泥を装入することができるので、 焼却炉内にお けるダイォキシン類の生成が抑制されるという効果がもたらされる。 又、 汚泥に
添加して窒素化合物を装入することができるので、 装入する汚泥中の窒素分だけ ではダイォキシン類の生成抑制効果が不十分である場合に、 焼却炉へ装入する窒 素分を補充することができる。 さらに、 廃棄物と汚泥の混焼によるコスト節減の メリットが得られる。
本態様の内、 上記の各態様において、 燃焼排ガスの流路における窒素化合物の 吹込み箇所は、 焼却炉の出口から煙突までの範囲であればよいが、 特に、 触媒成 分を含有する飛灰を捕集する前、 すなわち、 集塵機より上流の箇所であることが 好ましい。
図 1 5は本態様の実施の形態に係る第 1の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は火格子式焼却炉を備えたものであり、 図中、 5 1 0は火格子式焼却 炉、 5 1 1は都市ごみなどの廃棄物を炉内へ装入するための廃棄物ホッパー、 5 1 5は排ガス処理工程である。 排ガス処理工程 5 1 5は、 ボイラ、 ガスクーラ一 などによるガス冷却、 酸性ガス除去、 及び集塵などを行なう。
そして、 焼却炉 5 1 0の付帯設備として、 焼却炉 5 1 0へ装入される廃棄物に 窒素化合物を添加する手段 5 5 0が設けられている。 この窒素化合物添加手段 5 5 0は窒素化合物の一種である尿素の水溶液の貯槽 5 5 1、 尿素供給ポンプ 5 5 2、 尿素嘖霧ノズル 5 5 3を有する構成になっている。 又、 排ガス処理工程 5 1 5の付帯設備として、 燃焼排ガスの流路へ窒素化合物を吹込む手段 5 7 0が設け られている。 この窒素化合物吹き込み手段 5 7 0は、 アンモニアガスのホルダ一 5 7 1、 流量調節計 5 7 2、 及び図示されない噴霧ノズルを有する構成になって いる。
焼却炉の燃焼室 5 1 2には、それぞれ搬送機能を有する乾燥段火格子 5 1 3 a , 燃焼段火格子 5 1 3 b , 後燃焼段火格子 5 1 3 cが階段式に設けられている。 こ のようにして、燃焼室 5 1 2内は、主として装入された廃棄物を乾燥する区域(乾 燥帯)、 乾燥された廃棄物を燃焼させる区域 (燃焼帯)、 燃焼状態で送られてきた ものを灰化させる後燃焼を行なう区域 (後燃焼帯) に区分されるようになってい る。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 5 1 1へ廃棄物が投 入され、 その廃棄物上に、 尿素噴霧ノズル 5 5 3から尿素水溶液が噴霧される。 尿素が添加された廃棄物は、 廃棄物ホッパー 5 1 1から燃焼室 5 1 2内へ送り込 まれる。 焼却炉 5 1 2内においては、 装入された廃棄物が上記各火格子上を搬送 されながら、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この際、 上流側の火格子では燃焼用空気の供給量が抑えられた運転が行われるので、 乾燥 段火格子 5 1 3 a (乾燥帯) 及び燃焼段火格子 5 1 3 b (燃焼帯) の一部におい ては、 酸素不足の状態で燃焼が行われる。 このように不完全燃焼が行われると、 従来技術では、 芳香族化合物と塩素との反応が起つてダイォキシン類が生成し易 くなるが、 この実施の形態においては、 廃棄物に添加された尿素が熱分解してァ ンモニァ (NH3 ) 或いは NH2 基を有する化合物などが生成するので、 上記ダ ィォキシン類の生成反応が抑制される。
燃焼室 5 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 乾燥段火格子 5 1 3 a及び燃焼段火 格子 5 1 3 bの一部で生成した可燃性ガスを含んでいるので、 2 次燃焼室 5 1 4 において、 空気を吹き込むことにより、 可燃性ガスを燃焼させる 2次燃焼処理が なされる。
次いで、 2次燃焼室 5 1 4から排出された燃焼排ガスは、 排ガス処理工程 5 1 5へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 5 1 6 から放散される。 この際、 上記のような種々の排ガス処理が行われる装置、 又は 各装置を接続している煙道内へ、 ガスホルダー 5 7 1から供給されるアンモニア ガスが吹込まれる。 このアンモニアガスの吹込みによって、 燃焼排ガスの流路で 生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉と排ガス流路に窒素化合物を装入することにより、 焼却 炉と排ガス流路の 5 0 2箇所で生成するダイォキシン類の量を減少させることが できる ΰ
図 1 6は本態様の実施の形態に係る第 2の例を示す説明図である a 図 1 6にお いて、 図 1 5と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を省略する。
この実施の形態においては、 焼却炉の付帯設備として、 新たに汚泥供給手段が設 けられており、 廃棄物ホッパー 5 1 1内へ廃棄物と共に汚泥を投入できるように なっている。 図中、 5 4 0は汚泥供給機である。 又、 排ガス処理工程の付帯設備 として、 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む窒素化合物吹き込み手段 5 7 0 が設けられている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 5 1 1へ投入された 廃棄物と汚泥が燃焼室 5 1 2内へ送り込まれる。 焼却炉 5 1 2内においては、 廃 棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この 際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の初期において、 廃棄物と共に装入 された汚泥中の窒素含有成分が熱分解してアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有 する化合物などが生成し、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される。 このた め、燃焼室 5 1 2で発生した燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が減少する。 燃焼室 5 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 1 5の設備の場合と同様に、 2次 燃焼室 5 1 4を経て排ガス処理工程 1 5へ送られ、 ここで、 ガスホルダ一 5 7 1 から供給されるアンモニアガスが吹込まれる。 このアンモニアガスの吹込みによ つて、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉へ廃棄物とともに汚泥を装入し、 排ガス流路へ窒素化合 物を吹込むことによって、 焼却炉と排ガス流路の 2箇所におけるダイォキシン類 の生成が抑制される。
図 1 7は本態様の実施の形態に係る第 3の例を示す説明図である。 図 1 7にお いて、 図 1 5又は図 1 6と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を 省略する。 この実施の形態においては、 図 1 6の構成に加えて、 汚泥供給機 5 4 0に窒素化合物を添加する窒素化合物添加手段 5 6 0が付設されている。 窒素化 合物添加手段 5 6 0は、 尿素粉末を貯留するホッパー 5 6 1、 尿素供給機 5 6 2 を有する構成になっている。 又、 排ガス処理工程の付帯設備として、 燃焼排ガス の流路に窒素化合物を吹込む窒素化合物吹き込み手段 5 7 0が設けられている。 上記の構成によるごみ焼却設備においては、 廃棄物ホッパー 5 1 1へ廃棄物が
投入され、 又、 汚泥供給機 5 4 0から汚泥が供給される。 汚泥の供給に際しては、 尿素供給機 5 5 2から汚泥供給機 5 4 0へ尿素粉末が供給され、 この尿素が混合 された汚泥が廃棄物ホッパー 5 1 1へ投入される。 次いで、 尿素が添加された汚 泥と廃棄物は、 燃焼室 5 1 2内へ送り込まれる。
焼却炉 5 1 2内においては、 廃棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を 経て灰化され、 排出される。 この際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の 初期において、 廃棄物と共に装入された汚泥中の窒素含有成分と別途に添加され た尿素が熱分解してアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化合物などが生成 し、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される。 このため、 燃焼室 5 1 2で発 生する燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に減少する。
燃焼室 5 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 1の設備の場合と同様に、 2次燃 焼室 5 1 4を経て排ガス処理工程 5 1 5へ送られ、 ここで、 ガスホルダー 5 7 1 から供給されるアンモニアガスが吹込まれる。 このアンモニアガスの吹込みによ つて、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉へ汚泥を装入する際に、 尿素を添加し、 焼却炉 5 1 0へ 装入する窒素分を増加させることにより、 焼却炉内で生成するダイォキシン類を 一層減少させることができる。
図 1 8は本態様の実施の形態に係る第 4の例を示す説明図である a この図に示 す焼却設備は流動床式焼却炉を備えたものであり、 図中、 5 2 0は流動床式焼却 炉、 5 3 0は廃棄物供給機、 5 4 0は汚泥供給機である。 又、 5 2 6はボイラ、 ガスク一ラーなどによるガス冷却、 酸性ガス除去、 及び集塵などを行なう排ガス 処理工程である。
流動床式焼却炉 5 2 0内は、 操業時に風箱 5 2 1から吹き込まれる空気によつ て流動層が形成される流動層部 5 2 3とその上のフリ一ボ一ド部 5 2 4に区分さ れるようになっている。 フリーボード部 5 2 4には 2次燃焼用の空気を吹き込む ノズノレ 5 2 5が設けられている。
そして、 排ガス処理工程 5 2 6の付帯設備として、 燃焼排ガスの流路に窒素化
合物を吹込む手段 5 7 0が設けられている。 窒素化合物吹込み手段 5 7 0はアン モニァガスのホルダー 5 7 1、 流量調節計 5 7 2、 及び図示されない嘖霧ノズル を有する構成になっている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物供給機 5 3 0から焼却炉 5 2 0へ廃棄物が装入され、 汚泥供給機 5 4 0から汚泥が装入される。 装入された廃 棄物と汚泥は流動層中で乾燥されながら昇温して燃焼する。 流動層内は、 空気の 吹込み量が抑えられているので、 本来、 従来技術では、 ダイォキシン類が生成し 易い燃焼状態になっている。 しかし、 この実施の形態においては、 廃棄物と共に 装入された汚泥中の窒素含有成分が熱分解して、 アンモニア (NE ) や NH2 基 を有する化合物などが生成するので、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制され る。
流動層部 5 2 3で発生した燃焼排ガス中には H 2 、 C O、 C I などの可燃性 ガスが含まれているので、 フリーボード部 5 2 4で、 ノズノレ 5 2 5から空気を吹 き込み、 可燃性ガスを燃焼させる 2次燃焼処理が行われる。 焼却炉 2 0から排出 された燃焼排ガスは、 排ガス処理工程 5 2 6へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去 処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 5 2 7から放散される。 この際、 上記のよう な種々の排ガス処理が行われる装置、 又は各装置を接続している煙道内へ、 ガス ホルダ一 5 7 1から供給されるアンモニアガスが吹込まれる 3 このアンモニアガ スの吹込みによって、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。 上記のように、 焼却炉へ廃棄物と共に汚泥を装入し、 フリーボード部の 2次燃 焼が行われる前の区域へ窒素化合物を吹き込むことにより、 燃焼排ガス中のダイ ォキシン類が大幅に減少する。
なお、 図 1 5〜図 1 8においては、 火格子式焼却炉又は流動床式焼却炉を備え た廃棄物の焼却設備が示されているが、 本態様が適用できる焼却炉は上記 2つの 型式に限定されるものではなく、 例えば、 キルン式のものであってもよい。 又、 図 1 5〜図 1 7においては、 火格子式焼却炉として、 火格子が階段式に配 置された構造のものが示されているが、 本態様は、 その構造が階段式のものだけ
に適用される訳ではなく、 炉内に乾燥帯の機能を有する部分が設けられているも のであれば適用可能である。
又、 図 1 5の設備においては、 焼却炉へ装入する前の被焼却物に添加する尿素 が水溶液の状態で廃棄物に添加され、 図 1 7の設備においては、 尿素が粉末の状 態で汚泥に添加されているが、 本発明においては、 添加する際の窒素化合物の状 態が限定されるものではない。 窒素化合物を廃棄物に添加する場合には、 嵩が大 きい多量の廃棄物に少量の窒素化合物ができるだけ偏りなく分布するようにする ために、 水溶液にして添加し、 廃棄物に付着させるのがよい。 又、 窒素化合物を 汚泥に添加する場合には、 装入物の水分含有量を少なくするするために、 粉末の 状態で添加することが望ましい。
又、 図 1 5〜図 1 8の設備においては、 排ガス流路へ吹込む窒素化合物がアン モニァガスであるが、 排ガス流路へ吹込む窒素化合物が気体の状態のものに限定 されるものではなく、 例えば、 アンモニア或いは尿素などの水溶液であってもよ レ、
(実施例 1 )
火格子式の試験装置を使用して廃棄物を焼却した結果について説明する 廃棄 物の試料としては都市ごみを使用し、 汚泥の試料としては下水汚泥 (水分二 7 7 o/o、 N - 6 % (乾量基準)) を使用した。 又、 排ガス流路へ装入する窒素化合物 としてはアンモニアガスを使用した。 そして、 都市ごみ 2 0 0 0 k g ト I、 下水 汚 2 0 0 k g /Hの割合で焼却炉へ装入して焼却し、 発生した燃焼排ガスを冷却 した後、 排ガスダク ト内へアンモニアガスを 0 . 3 5 N m3 ZHの流量で吹き込 みを行った。 この際の排ガスダク ト内の温度は約 3 0 0 °Cであった。
上記条件による廃棄物の焼却中に、 放散された燃焼排ガス中のダイォキシン類 の濃度を測定したところ、 ダイォキシン類の 2, 3, 7, 8— T C D D毒性等価 換算濃度の平均値は都市ごみだけを焼却し、 通常の排ガス処理だけを行った場合 の値に対し、 約 2 5 %に相当する低い値であった。 このように、 廃棄物の焼却に 際して、 廃棄物と共に汚泥を装入し、 排ガス流路にアンモニアガスを吹き込むこ
とにより、 燃焼排ガス中のダイォキシンの含有量が大幅に低減されることが確認 された。
本態様によれば、 廃棄物と共に汚泥や窒素化合物を焼却炉へ装入して焼却し、 窒素含有成分を熱分解させてダイォキシン類の生成を抑制する作用をなす窒素化 合物を発生させ、 さらに、 焼却炉の出口以降の燃焼排ガス流路に窒素化合物を吹 き込んで、 燃焼排ガス流路におけるダイォキシン類の生成を抑制するので、 焼却 炉内及び燃焼排ガス流路の 2箇所におけるダイォキシン類の生成量を大幅に減少 させることができる。 又、 焼却炉と排ガス処理工程の 2箇所に窒素化合物を供給 する装置を設置した廃棄物焼却設備により、 焼却炉と排ガス処理工程の 2箇所に 窒素化合物を供給することが可能となり、 上記の効果が得られる。 最良の態様 1 1
本態様においては、廃棄物を焼却処理する各種の試験を実施した過程において、 廃棄物と下水汚泥などの汚泥類を混焼した際に、 燃焼排ガス中のダイォキシン類 の含有量が低くなることを見出された。 このため、 本発明者らは、 汚泥の混焼に よるダイォキシン類の低減効果が如何にしてもたらされるものかについて、 種々 の検討を行なった。
廃棄物の焼却によってダイォキシン類が発生する場合の主たる原因の一つとし て、 酸素不足の雰囲気で廃棄物を燃焼させることが知られており、 この状態にお ける燃焼条件は、 焼却炉へ装入された廃棄物が加熱されて昇温する段階の条件に 相当する。 このことからすれば、 初期の燃焼段階で、 汚泥が熱分解した生成物質 が、 ダイォキシン類の生成を抑制する作用をなしているものと考えられる。
そこで、 一般的な汚泥には、 窒素分が 2〜 1 0 w t % (乾量基準) も含まれて いることから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は汚泥中の窒素含有成分が 熱分解したものであると考え、 実験を行った。 実験では、 廃棄物に窒素化合物を 添加して焼却したところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類が減少することが認め られた。 このことから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は、 汚泥中の窒素
含有成分が熱分解した際に生成するアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化 合物であるものと想定される。
熱分解によつて生成した窒素化合物がダイォキシン類の生成を抑制するメカ二 ズムは定かではないが、 これらの物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やそ の他の物質に対する被毒作用を有することが考えられる。 この被毒作用が、 ダイ ォキシン類の生成を抑制する効果をもたらす一因であると思われる。
上述のように、 廃棄物を焼却する際に、 廃棄物と共に窒素化合物を装入しても 、 ダイォキシン類の生成が抑制される。 本発明は、 上記のような試験と検討の結 果に基づく知見によってなされたものである。 従って、 前記の課題は次の発明に より解決される。
本態様の内、 第 1の実施形態は、 廃棄物に窒素化合物を添加し、 焼却炉へ装入 することを特徴とする廃棄物の焼却方法である。
この実施形態においては、 廃棄物と共に窒素化合物を装入することにより、 前 述のように、 ダイォキシン類の生成が抑制されるので、 ごく簡単な装置を設ける だけで、 燃焼排ガス中のダイォキシン類を減少させることができる。
第 2の実施形態は、 廃棄物と共に汚泥を焼却炉へ装入して焼却する方法であつ て、 前記廃棄物及びノ又は前記汚泥には焼却炉へ装入する前に、 窒素化合物を添 加することを特徴とする廃棄物の焼却方法である。
廃棄物と汚泥の焼却は、 一般に、 それぞれ専用の焼却設備で行われるが、 廃棄 物と汚泥を一緒に焼却処理すれば、 設備費、 運転費が節減されると言うメリット が生じ、 その上、 汚泥の焼却によってダイォキシン類の生成抑制効果が得られる 。 しカゝし、 焼却処理される下水汚泥などの汚泥類は脱水処理されたものであって も、 極めて多量の水分 (6 5〜9 0 w t %) を含有する粘土状物である。 この脱 水汚泥を多量に装入すると、 焼却炉内の燃焼状態が不良になってしまうので、 所 要量の窒素分を供給するための汚泥を装入できないことがある。 この発明におい ては、 上記のような状況に対処し、 廃棄物及び Z又は汚泥に窒素化合物を添加し て焼却炉へ装入し、 不足する窒素分を補充する a
第 3の実施形態は、 廃棄物と共に汚泥を焼却炉へ装入して焼却する方法であつ て、 焼却炉の廃棄物ホッパー内に投入されている廃棄物と汚泥に窒素化合物を添 加することを特徴とする廃棄物の焼却方法である。
この実施形態においては、 焼却炉へ装入する廃棄物と汚泥の双方に窒素化合物 を添加するので、 焼却炉内の装入物に窒素化合物が一様に分布し、 ダイォキシン 類の生成が偏りなく抑制される。
第 4の実施形態は、 廃棄物と共に汚泥を焼却する廃棄物焼却設備であって、 焼 却炉へ装入する廃棄物に窒素化合物を添加する窒素化合物添加手段が設けられた ことを特徴とする廃棄物焼却設備である。
この実施形態においては、 廃棄物に窒素化合物を添加するので、 嵩張っている 多量の廃棄物に少量の窒素化合物を一様に添加することができ、 焼却炉内におけ るダイォキシン類の生成を偏りなく抑制することができる。
第 5の実施形態は、 廃棄物と共に汚泥を焼却する廃棄物焼却設備であって、 焼 却炉に汚泥を装入する汚泥供給機に窒素化合物を添加する手段が付加され、 汚泥 と窒素化合物が混合されて焼却炉へ装入されるように構成されたことを特徴とす る廃棄物焼却設備である。
この実施形態は、 特に粉末の窒素化合物を添加する場合に有用である。 窒素化 合物を粉末の状態で添加し、 焼却炉へ装入する装入物の水分を少なくすれば、 燃 焼効率を高めることができる。
上記の各実施形態において、 汚泥とは、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活 性汚泥処理した際に発生する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離したときに発生 する汚泥、 閉鎖性水域の河川を浚渫した時に発生する汚泥などを指す。
又、 窒素化合物とは、 窒素を含有する有機化合物又は無機化合物を指す。 好ま しい窒素化合物の具体例としては、 アンモニアや尿素などの安価な化合物が挙げ られる 窒素化合物は気体、 液体、 固体、 又は水溶液などの形態で使用できるが 、 添加する箇所によって、 適切な形態のものが選定される。
図 1 9は本態様の実施の形態に係る第 1の例を示す説明図である。 この図に示
す焼却設備は火格子式焼却炉を備えたものであり、 6 1 0は火格子式焼却炉、 6 1 1は都巿ごみなどの廃棄物を炉内へ装入するための廃棄物ホッパー、 6 1 5は 排ガス処理工程である。 排ガス処理工程 6 1 5は、 ボイラ、 ガスクーラ一などに よるガス冷却、 酸性ガス除去処理、 集塵処理などを行なう。 そして、 焼却炉 6 1 0の付帯設備として、 焼却炉 6 1 0へ装入される廃棄物に窒素化合物を添加する 手段 6 5 0が設けられている。 図中、 6 5 1は窒素化合物の一種である尿素の水 溶液の貯槽、 6 5 2は尿素供給ポンプ、 6 5 3は尿素噴霧ノズノレである。 又、 6 7 0は都市ごみなどの廃棄物を示す。
焼却炉の燃焼室 6 1 2内には、 それぞれ搬送機能を有する乾燥段火格子 6 1 3 a、燃焼段火格子 6 1 3 b、 後燃焼段火格子 6 1 3 cが階段式に設けられている このようにして、 燃焼室内は、 主として装入された廃棄物 6 7 0を乾燥する区域 (乾燥帯)、 乾燥された廃棄物を燃焼させる区域 (燃焼帯)、 燃焼状態で送られて きたものを灰化させる後燃焼を行なう区域 (後燃焼帯) に区分されるようになつ ている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 6 1 1 へ廃棄物が投 入され、 その廃棄物上に、 尿素噴霧ノズル 6 5 3から尿素水溶液が噴霧される。 この尿素が添加された廃棄物は廃棄物ホッパー 6 1 1から燃焼室 6 1 2内へ送り 込まれる。
燃焼室 6 1 2内においては、 装入された廃棄物が上記各火格子上を搬送されな がら、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この際、 上流 側の火格子では燃焼用空気の供給量が抑えられた運転が行われるので、 乾燥段火 格子 6 1 3 a (乾燥帯) 及び燃焼段火格子 6 1 3 b (燃焼帯) の一部においては、 酸素不足の状態で燃焼が行われる。 このように不完全燃焼が行われると、 芳香族 化合物と塩素との反応が起ってダイォキシン類が生成し易くなるが、 この実施の 形態においては、 廃棄物に添加された尿素が熱分解してアンモニア (NH3 ) 或 いは NH2 基を有する化合物などが生成し、 上記ダイォキシン類の生成反応の進 行が抑制される。
燃焼室 6 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 乾燥段火格子 6 1 3 a及び燃焼段火 格子 6 1 3 bの一部で生成した可燃性ガスを含んでいるので、 2次燃焼室 6 1 4 において、 空気を吹き込むことにより、 可燃性ガスを燃焼させる処理がなされる。 次いで、 2次燃焼室 6 1 4から排出された燃焼排ガスは、 排ガス処理工程 6 1 5 へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 6 1 6か ら放散される。
上記のようにして、 廃棄物に尿素を添加して焼却すれば、 焼却炉内におけるダ ィォキシン類の生成量が減少し、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅 に低減される。
図 2 0は本態様の実施の形態に係る第 2の例を示す説明図である。 図 2 0にお いて、 図 1 9と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を省略する。 この実施の形態においては、 図 1 9と同じ構成に加えて、 汚泥供給手段が設けら れており、 廃棄物ホッパー 6 1 1内へ廃棄物と共に汚泥を投入できるようになつ ている。 6 4 0は汚泥供給機である。 又、 汚泥供給機 6 4 0には窒素化合物の添 加手段 6 6 0が付設されており、 汚泥に窒素化合物を混合して投入するようにな つている。 6 6 1は尿素粉末の貯槽、 6 6 2は尿素粉末の供給機である。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 6 1 1 へ投入された 廃棄物と汚泥は燃焼室 6 1 2内へ送り込まれる。 焼却炉 6 1 2内においては、 廃 棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この 際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の初期において、 廃棄物と共に装入 された汚泥中の窒素化合物と汚泥に添加された尿素が熱分解して、 アンモニア
(NH3 ) や NH2 基を有する化合物などが生成し、 上記ダイォキシン類の生成 反応が抑制される。 このため、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に 減少する。
燃焼室 6 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 1 5の設備の場合と同様に、 2次 燃焼処理、 ガス冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 6 1 6から放散される。
図 2 1は本態様の実施の形態に係る第 3の例を示す説明図である a 図 2 1にお いて、 図 1 9及び図 2 0と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を 省略する。
この実施の形態においては、 廃棄物ホッパー 6 1 1内へ投入された廃棄物及び 汚泥に窒素化合物を添加する手段 6 5 0が設けられている。 6 5 1は尿素水溶液 の貯槽、 6 5 2は尿素供給ポンプ、 6 5 3は尿素噴霧ノズルである。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 6 1 1 へ投入された 廃棄物と汚泥に、 嘖霧ノズノレ 6 5 2から尿素水溶液が噴霧される。 この尿素が添 加された廃棄物と汚泥は廃棄物ホッパー 6 1 1から燃焼室 6 1 2内へ送り込まれ る。 焼却炉 6 1 2内においては、 廃棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程 を経て灰化され、 排出される。 この際、 図 2 0の設備の場合と同様に、 廃棄物と 共に装入された汚泥中の窒素化合物と、 別途に添加された尿素が熱分解してアン モニァ (NH3 ) 或いは NH2 基を有する化合物などが生成し、 上記ダイォキシ ン類の生成反応が抑制され、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に減 少する。
燃焼室 6 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 1 9の設備の場合と同様に処理さ れた後、 煙突 6 1 6から放散される
図 2 2は本態様の実施の形態に係る第 4の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は流動床式焼却炉を備えたものであり、 6 3 0は廃棄物供給機、 6 4 0は汚泥供給機、 6 2 0は流動床式焼却炉である。 又、 6 2 6はボイラ、 ガスク 一ラーなどによるガス冷却、 酸性ガス除去処理、 除塵処理などを行なう排ガス処 理工程である。
流動床式焼却炉 6 2 0内は、 操業時に風箱 6 2 1へ供給される空気によって流 動層が形成される流動層部 6 2 3とその上のフリーボ一ド 6 2 4とに区分される ようになつており、 フリーボ一ド 6 2 4には空気吹込みノズル 6 2 5が設けられ ている。 6 2 2は風箱 6 2 1から流動層へ吹き込む空気を整流する分散板である。 そして、 汚泥供給機 6 4 0には窒素化合物の添加手段 6 0が付設されており、 汚
W
63 泥に窒素化合物を混合して装入するようになっている。 6 6 1は尿素粉末の貯槽、 6 6 2は尿素粉末の供給機である。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 焼却炉 6 2 0へ、 廃棄物供給機 6 3 0から廃棄物が装入され、 汚泥供給機 6 4 0から汚泥が装入される。 この際、 汚 泥供給機 6 4 0へ尿素供給機 6 6 2から尿素粉末が供給され、 尿素が混合された 汚泥が装入される。 装入された廃棄物と汚泥は流動層中で乾燥さながら昇温して 燃焼する。
流動層内は、 空気の吹込み量が抑えられているので、 本来、 ダイォキシン類が 生成し易い燃焼状態になっている。 この発明では、 廃棄物と共に装入された汚泥 中の窒素化合物と汚泥に添加された尿素が熱分解してアンモニア (NH3 )や NH 2 基を有する化合物などが生成し、上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される 廃棄物中の不燃物は焼却炉の底部から抜き出される。
流動層で発生した燃焼排ガス中には H 2 、 C O、 C H4 などの可燃性ガスが含 まれているので、 フリ一ボード部 6 2 4において、 ノズノレ 6 2 5から空気が吹き 込まれ、 可燃性ガスを燃焼させる 2次燃焼処理が行われる。 次いで、 2次燃焼室 6 1 4から排出された燃焼排ガスは排ガス処理工程 6 2 6へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 6 2 7から放散される。
上記のようにして、 廃棄物と共に汚泥を装入し、 さらにその汚泥に窒素化合物 の一種である尿素を添加して焼却すれば、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有 量を大幅に低減させることができる。
なお、 図 1 9〜図 2 2においては、 火格子式焼却炉又は流動床式焼却炉を備え た廃棄物の焼却設備が示されているが、 本態様が適用できる焼却炉は上記 2つの 型式に限定されるもので
又、 図 1 9〜図 2 1においては、 火格子式焼却炉として、 火格子が階段式に配 置された構造のものが示されているが、 本態様は、 その構造が階段式のものだけ に適用される訳ではなく、 火格子が水平に配置されたものであってもよい。
又、 図 1 9〜図 2 2の設備において、 窒素化合物である尿素を添加する際の状
態が粉末である場合と水溶液である場合の 2方法が記載されているが、 本発明に おいては、 添加する際の窒素化合物の状態が限定されるものではない。 窒素化合 物を嵩が大きレヽ廃棄物に添加する場合には、 できるだけ偏りなく添加されるよう にするために、 水溶液にして添加し、 廃棄物に付着させるのがよい 又、 窒素化 合物を汚泥に添加する場合には、 装入物の水分含有量が高くならないように、 粉 末の状態で添加し、 汚泥供給機内で汚泥と混合させるのがよい。
(実施例 1 )
次に、 図 2◦に示す火格子式の焼却設備と同様の構成による試験設備により廃 棄物を焼却した際の結果について説明する。 廃棄物の試料としては都市ごみを使 用し、 汚泥の試料としては下水汚泥 (水分 7 7 w t %、 N分 6 w t % (乾量基準 ) ) を使用した。 汚泥には尿素粉末を添カ卩した。 そして、 都市ごみ 2 0 0 0 k g /H、 下水汚泥 2 0 0 k g /H、 尿素 1 k g /Hの割合で装入して焼却を行なつ た。
上記条件による焼却中に、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の濃度を測定したと ころ、 ダイォキシン類の 2, 3, 7 , 8— T C D D毒性等価換算濃度の平均値は 都市ごみだけを焼却し通常の排ガス処理だけを行った場合の値に対し、 約 2 0 % に相当する低い値であつた。
このように、 廃棄物の焼却に際し、 汚泥を装入し、 或いは、 さらに窒素化合物 を添加すれば、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に低減されること が確認された。
本態様によれば、 廃棄物を焼却炉へ装入するに際して、 窒素化合物を添加し、 或いは汚泥及び窒素化合物を添加し、 汚泥及び添加した窒素化合物を熱分解させ てダイォキシン類の生成を抑制させるので、 焼却炉内におけるダイォキシン類の 生成量が減少し、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に低減される。 又、 窒素化合物を添加する装置を設置した廃棄物焼却設備により、 焼却炉へ装入 する被焼却物に窒素化合物を添加することが可能になり、上記の効果が得られる。
最良の態様 1 2
本態様は、 ごく簡単な装置を設置し、 安価な物質を添加するだけで、 ダイォキ シン類の生成量自体を減少させることができる廃棄物の焼却方法及びその設備を 提供することを目的とする。
本態様において、 廃棄物を焼却処理する各種の試験を実施した過程において、 廃棄物と下水汚泥などの汚泥類を混焼した際に、 燃焼排ガス中のダイォキシン類 の含有量が低くなることを見出された。 このため、 本発明者らは、 汚泥の混焼に よるダイォキシン類の低減効果が如何にしてもたらされるものかについて、 種々 の検討を行なった。
廃棄物の焼却によってダイォキシン類が発生する主たる原因の一つとして、 酸 素不足の雰囲気で廃棄物を燃焼させることが知られており、 この状態における燃 焼条件は、 焼却炉へ装入された廃棄物が加熱されて昇温する初期の燃焼段階の条 件に相当する。 このことからすれば、 初期の燃焼段階で、 汚泥が熱分解した生成 物質が、 ダイォキシン類の生成を抑制する作用をなしているものと考えられる。 一般的な汚泥には、 窒素分が 2〜1 0 w t % (乾量基準) も含まれていること から、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は汚泥中の窒素含有成分が熱分解し たものであると考え、 実験を行った。 実験では、 廃棄物に窒素化合物を添加して 焼却したところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類が減少することが認められた ΰ このことから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は、 汚泥中の窒素含有成分 が熱分解した際に生成するアンモニア (ΝΗ3 ) や ΝΗ2 基を有する化合物であ るものと想定される。
窒素含有成分の熱分解生成物がダイォキシン類の生成を抑制するメカニズムは 定かではないが、 これらの物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその他の 物質に対する被毒作用を有することが考えられる。 この被毒作用が、 ダイォキシ ン類の生成を抑制する効果をもたらす一因であると思われる。
上述のように、 廃棄物を焼却する際に、 廃棄物と共に窒素化合物を装入しも、 ダイォキシン類の生成が抑制される。 本態様は、 上記のような試験と検討の結果
に基づく知見によってなされたものである。 従って、 前記の課題は次の発明によ り解決される。
本態様における第 1の実施形態は、 火格子式焼却炉を備えた焼却設備による廃 棄物の焼却方法において、 焼却炉へ装入されて乾燥帯へ送り込まれた廃棄物に窒 素化合物を添加し、 焼却することを特徴とする廃棄物の焼却方法である。
前述のように、 初期の燃焼段階においては、 ダイォキシン類が生成しやすい条 件で燃焼が行われる。 このため、 焼却炉内へ装入されて加熱'乾燥され、 或いは 熱分解が開始された乾燥帯上の廃棄物にへ窒素化合物を添加すれば、 この乾燥帯 における熱分解時、 及び次の燃焼帯における燃焼時に生成するダイォキシン類の 量を減少させることができる。
第 2の実施形態は、 火格子式焼却炉を備えた焼却設備による廃棄物の焼却方法 において、 廃棄物と共に汚泥を焼却炉へ装入し、 焼却炉内の乾燥帯へ送り込まれ た廃棄物及び汚泥に窒素化合物を添加し、 焼却することを特徴とする廃棄物の焼 却方法である。
廃棄物と汚泥の焼却は、 一般に、 それぞれ専用の焼却設備で行われるが、 廃棄 物と汚泥を一緒に焼却処理すれば、 設備費、 運転費が節減されると言うメリット が生じ、 その上、 汚泥の焼却によってダイォキシン類の生成を抑制する効果が得 られる。 しかし、 焼却処理される下水汚泥などの汚泥類は脱水処理されたもので あっても、 極めて多量の水分 (6 5〜9 0 w t %) を含有する粘土状物である。 この脱水汚泥を多量に装入すると、 焼却炉内の燃焼状態が不良になってしまうの で、 所要量の窒素分を供給するための汚泥を装入できないことがある。 この発明 においては、 上記のような状況に対処し、 焼却炉内の乾燥帯上の廃棄物及び汚泥 に窒素化合物を添加することによって、 不足する窒素分を補充する。
第 3の実施形態は、 流動床式焼却炉を備えた焼却設備による廃棄物の焼却方法 において、 焼却炉内へ廃棄物を装入して燃焼させ、 フリーボード部の 2次燃焼前 の区域へ窒素化合物を吹き込むことを特徴とする廃棄物の焼却方法である 3なお、 この実施形態において、 フリーボード部の 2次燃焼前の区域とは、 流動層の上端
部から 2次燃焼用空気が吹き込まれる位置までの間の区域を指す。
流動床式焼却炉へ装入された廃棄物は流動層中で燃焼するが、 特に、 装入され た廃棄物が乾燥し、 次いで燃焼する初期の燃焼段階においては、 ダイォキシン類 が生成しやすい状態になっている。 このため、 流動層で発生した燃焼ガスが上昇 していく、 フリーボード部の 2次燃焼用空気の吹き込みが行われる前の区域にお いても、 ダイォキシン類が生成しやすい状態になっている。 このため、 この区域 へ窒素化合物を添加すれば、ダイォキシン類の生成量を減少させることができる。 第 4の実施形態は、 焼却炉へ廃棄物と共に汚泥を装入することを特徴とする第 3の実施形態に記載の廃棄物の焼却方法である。
この形態においては、 焼却炉へ汚泥を装入し、 さらにフリーボード部の 2次燃 焼前の区域へ窒素化合物を吹き込むので、 流動層部とフリ一ボード部以降におけ るダイォキシン類の生成量を減少させることができる。
第 5の実施形態は、 火格子式焼却炉を備えた廃棄物焼却設備において、 焼却炉 内の乾燥帯へ窒素化合物を供給する窒素化合物添加手段が設けられたことを特徴 とする廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 ダイォキシン類の生成が開始される乾燥帯へ窒素化合物を 供給することができるので、 乾燥帯び燃焼帯におけるダイォキシン類の生成量を 減少させることができる。
第 6の実施形態は、 火格子式焼却炉を備えた廃棄物焼却設備において、 焼却炉 へ汚泥を供給する手段と、 焼却炉内の乾燥帯へ窒素化合物を供給する窒素化合物 添加手段が設けられたことを特徴とする廃棄物焼却設備である。
この形態においては、 廃棄物と共に汚泥を装入し、 廃棄物と汚泥を一緒に焼却 処理することができるので、 設備費、 運転費が節減されると共に、 タ'ィォキシン 類の生成を抑制する効果が得られる。 さらに、 焼却炉内の乾燥帯へ窒素化合物を 供給することができるので、 汚泥に含まれる窒素分の不足量を補充することがで さる。
第 7の実施形態は、 流動床式焼却炉を備えた廃棄物焼却設備において、 焼却炉
におけるフリーボ一ド部の 2次燃焼前の区域へ窒素化合物を吹き込む窒素化合物 添加手段が設けられたことを特徴とする廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 フリ一ボード部の 2次燃焼前の区域へ窒素化合物を供給す ることができるので、 フリーボ一ド部以降におけるダイォキシン類の生成量を減 少させることができる。
第 8の実施形態は、 流動床式焼却炉を備えた廃棄物焼却設備において、 焼却炉 へ汚泥を供給する手段と、 焼却炉におけるフリーボード部の 2次燃焼前の区域へ 窒素化合物を吹き込む窒素化合物添加手段が設けられたことを特徴とする廃棄物 焼却設備である。
この実施形態によれば、 焼却炉へ汚泥を装入することができ、 さらにフリーボ ―ド部の 2次燃焼前の区域へ窒素化合物を吹き込むこともできるので、 流動層部 とフリーボード部以降におけるダイォキシン類の生成量を減少させることができ る。
上記の各形態において、 汚泥とは、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活性汚 泥処理した際に発生する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離したときに発生する 汚泥、 閉鎖性水域の河川を浚渫した時に発生する汚泥などを指す。
又、 窒素化合物とは、 窒素を含有する有機化合物又は無機化合物を指す 好ま しい窒素化合物の具体例としては、 アンモニアや尿素などの安価な化合物が挙げ られる。 窒素化合物は気体、 液体、 固体、 又は水溶液などの形態で使用できるが 、 添加する箇所によって、 適切な形態のものが選定される。
図 2 3は本態様の実施の形態に係る第 1の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は火格子式焼却炉を備えたものであり、 7 1 0は火格子式焼却炉、 7 1 1は都市ごみなどの廃棄物を炉内へ装入するための廃棄物ホッパー、 7 1 5は 排ガス処理工程である。 排ガス処理工程 7 1 5は、 ボイラ、 ガスクーラ一などに よるガス冷却、 酸性ガス除去処理、 集塵処理などを行なう。 図中、 7 6 0は都市 ごみなどの廃棄物を示す。
焼却炉の燃焼室 7 1 2内には、 それぞれ搬送機能を有する乾燥段火格子 7 1 3
a、燃焼段火格子 7 1 3 b、後燃焼段火格子 7 1 3 cが階段式に設けられている。 このようにして、燃焼室内は、主として装入された廃棄物 6 0を乾燥する区域(乾 燥帯)、 乾燥された廃棄物を燃焼させる区域 (燃焼帯)、 燃焼状態で送られてきた ものを灰化させる後燃焼を行なう区域 (後燃焼帯) に区分されるようになってい る。
そして、 焼却炉 7 1 0の付帯設備として、 燃焼室 7 1 2内の廃棄物に窒素化合 物を添加する手段 7 5 0が設けられている。 窒素化合物添加手段 7 5 0は、 窒素 化合物の一種である尿素の水溶液の貯槽 7 5 1、 尿素供給ポンプ 7 5 2、 尿素嘖 霧ノス、ノレ 7 5 3
を有する構成になっている。 尿素噴霧ノズル 7 5 3は焼却炉 7 1 0の炉壁を貫通 して乾燥段火格子 7 1 3 aの上方に設けられている。 又、 尿素噴霧ノズル 7 5 3 は必要に応じて複数本が配置され、 乾燥段火格子 7 1 3 aの幅方向全体に尿素水 溶液が散布されるようになっている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 7 1 1へ投入された 廃棄物は、燃焼室内の乾燥段火格子 7 1 3 aの上へ送り込まれ、その廃棄物上に、 尿素噴霧ノズル 7 5 3から尿素水溶液が嘖霧される。
燃焼室 7 1 2内においては、 装入された廃棄物が上記各火格子上を搬送されな がら、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この際、 上流 側の火格子では燃焼用空気の供給量が抑えられた運転が行われるので、 乾燥段火 格子 7 1 3 a (乾燥帯) 及び燃焼段火格子 7 1 3 b (燃焼帯) の一部においては、 酸素不足の状態で燃焼が行われる。 このように不完全燃焼が行われると、 芳香族 化合物と塩素との反応が起つてダイォキシン類が生成し易くなるが、 この実施の 形態においては、 乾燥段火格子 7 1 3 a (乾燥帯) で廃棄物に添加された尿素が 熱分解してアンモニア (NH3 ) 或いは NH2 基を有する化合物などが生成し、 ダイォキシン類の生成反応の進行が抑制される。
燃焼室 7 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 乾燥段火格子 7 1 3 a及び燃焼段火 格子 7 1 3 bの一部で生成した可燃性ガスを含んでいるので、 2次燃焼室 7 1 4
において、 空気が吹き込まれ、 可燃性ガスを燃焼させる処理がなされる。 次いで、 2次燃焼室 7 1 4から排出された燃焼排ガスは、排ガス処理工程 7 1 5へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 7 1 6から放散され る。
上記のようにして、 廃棄物に尿素を添加して焼却すれば、 焼却炉内におけるダ ィォキシン類の生成量が減少し、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅 に低減される。
図 2 4は本発明の実施の形態に係る第 2の例を示す説明図である。 図 2 4にお いて、 図 2 3と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を省略する 3 この実施の形態においては、 図 2 3と同じ構成に加えて、 汚泥供給手段が設けら れており、 廃棄物ホッパー 7 1 1内へ廃棄物と共に汚泥を投入できるようになつ ている。 図中、 7 4 0は汚泥供給機である。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 7 1 1へ投入された 廃棄物と汚泥は、燃焼室内の乾燥段火格子 7 1 3 aの上へ送り込まれ、その上に、 尿素噴霧ノズノレ 7 5 3から尿素水溶液が噴霧される。焼却炉 7 1 2内においては、 廃棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 こ の際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の初期において、 廃棄物と共に装 入された汚泥中の窒素化合物と炉内で添加された尿素が熱分解して、 アンモニア
(NH3 ) や NH2 基を有する化合物などが生成し、 上記ダイォキシン類の生成 反応が抑制される。 このため、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に 減少する。
燃焼室 7 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 2 3の設備の場合と同様に、 2次 燃焼処理、 ガス冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされた後、 煙突 7 1 6から放散される。
図 2 5は本発明の実施の形態に係る第 3の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は流動床式焼却炉を備えたものであり、 7 2 0は流動床式焼却炉、 7 3 0は廃棄物供給機である。 又、 7 2 6はボイラ、 ガスクーラ一などによるガス
冷却、 酸性ガス除去処理、 除塵処理などを行なう排ガス処理工程である。
流動床式焼却炉 7 2 0内は、 操業時に風箱 7 2 1へ供給される空気によって流 動層が形成される流動層部 7 2 3とその上のフリーボード部 7 2 4とに区分され るようになっており、 フリ一ボ一ド部 7 2 4には 2次燃焼用空気の吹込みノズル 7 2 5が設けられている。
そして、 流動床式焼却炉 7 2 0の付帯設備として、 焼却炉のフリ一ボード部 7 2 4へ窒素化合物を吹き込む窒素化合物添加手段 7 5 0が設けられている。 窒素 化合物添加手段 7 5 0は、 尿素水溶液の貯槽 7 5 1、 尿素供給ポンプ 7 5 2、 尿 素嘖霧ノズル 7 5 3を有する構成になっている。 尿素噴霧ノズノレ 7 5 3は空気吹 込みノズノレ 7 2 5が設けられている位置より下のレベルに取り付けられており、 不完全燃焼状態の燃焼排ガスに尿素水溶液が吹き込まれるようになつている。 上記の構成によるごみ焼却設備の操業において、 焼却炉 7 2 0へ、 廃棄物供給 機 7 3 0から廃棄物が装入され、 装入された廃棄物は流動層 7 2 3の中で乾燥さ れながら昇温して燃焼する。 流動層 7 2 3への空気の吹込み量は抑えられている ので、 従来技術では、 流動層 7 2 3で発生した燃焼排ガスが上昇するフリーボー ド部 7 2 4においても、 ダイォキシン類が生成し易い燃焼状態になっている。 し かし、 この実施の形態では、 吹き込まれた尿素が熱分解してアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化合物などが生成し、 ダイォキシン類の生成が抑制される。 流動層 7 2 3で発生した燃焼排ガス中には H2 、 C O、 C H4 などの可燃性ガ スが含まれているので、 ノズノレ 7 2 5から空気が吹き込まれ、 可燃性ガスを燃焼 させる 2次燃焼処理が行われる。 焼却炉 7 2 0から排出された燃焼排ガスは、 排 ガス処理工程 7 2 6へ送られ、 冷却処理、 有害ガス除去処理、 除塵処理がなされ た後、 煙突 7 2 7から放散される。
上記のように、 フリ一ボ一ド部の 2次燃焼が行われる前の区域へ窒素化合物を 吹き込むことにより、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量を低減させること ができる。
図 2 6は本態様の実施の形態に係る第 4の例を示す説明図である u この図に示 す焼却設備は流動床式焼却炉を備えたものである。 図 2 6において、 図 2 5と同 じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を省略する。 この実施の形態に おいては、 図 2 5と同じ構成に加えて、 汚泥供給手段が設けられており、 焼却炉 7 2 0内へ廃棄物と共に汚泥を投入できるようになつている。 図中、 7 4 0は汚 泥供給機である。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 焼却炉 7 2 0へ、 廃棄物供給機 7 3 0から廃棄物が装入され、 汚泥供給機 7 4 0から汚泥が装入される。 装入された 廃棄物と汚泥は流動層 7 2 3の中で乾燥されながら昇温して燃焼する。 この際、 流動層 7 2 3では空気の吹込み量が抑えられているので、 従来技術では、 ダイォ キシン類が生成しやすくなつている。 しかし、 この実施の形態においては、 汚泥 が装入されているので、 汚泥の熱分解によって生成した窒素化合物により、 流動 層 7 2 3におけるダイォキシン類の生成が抑制される。
さらに、 フリーボード部 7 2 4においては、 流動層 7 2 3から上昇してきた燃 焼排ガスに尿素嘖霧ノズノレ 7 5 3から尿素水溶液が噴霧される。 このこの吹き込 まれた尿素の熱分解によって生成した窒素化合物により、 フリーボード部 7 2 4 以降におけるダイォキシン類の生成が抑制される。
上記のように、 焼却炉へ汚泥を装入し、 フリーボード部の 2次燃焼が行われる 前の区域へ窒素化合物を吹き込むことにより、 流動層とフリーボ一ド部の 2箇所 におけるダイォキシン類の生成を抑制することができる。 従って、 燃焼排ガス中 のダイォキシン類の含有量を大幅に低減させることができる。
なお、 図 2 3及び図 2 4においては、 火格子式焼却炉のうち、 階段式構造のも のが示されているが、 本態様はその構造が階段式のものだけに適用される訳では なく、 炉内に乾燥帯の機能を有する部分が設けられているものであれば適用可能 である。
又、 図 2 5に示す廃棄物焼却設備においては、 焼却炉のフリーボード部の 2次 燃焼が行われる前の区域へ窒素化合物を吹き込むことによって、 フリーボード部
以降で生成するダイォキシン類の低減が図られているが、 さらに、 廃棄物と共に 汚泥を装入する構成が付加されれば、 ダイォキシン類の一層の低減がもたらされ る。 すなわち、 流動層 7 2 3内において、 汚泥中の窒素含有成分が熱分解して前 記のような窒素化合物が生成するので、 流動層 7 2 3内におけるダイォキシン類 の生成も抑制される。 このため、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量を大幅 に低減させることができる。
又、 図 2 3〜図 2 5の設備において窒素化合物である尿素を添加する際の状態 が水溶液である場合が記載されているが、 本態様においては添加する際の窒素化 合物の状態が水溶液に限定されるものではない。 火格子式焼却炉において、 乾燥 帯上の廃棄物に添加する場合には、 尿素などの粉末であってもよいし、 流動床式 焼却炉のフリーボ一ド部へ吹き込む場合には、 アンモニアガスであってもよい。
(実施例 1 )
火格子式の試験装置を使用して廃棄物を焼却した結果について説明する。 廃棄 物の試料としては都市ごみを使用し、 汚泥の試料としては下水汚泥 (水分 = 7 7 w t %、 N = 6 w t % (乾量基準)) を使用した。 炉内へ吹き込む窒素化合物と しては、 尿素を使用し、 水溶液にして供給した。 そして、 都市ごみ 2 0 0 0 k g /H、 下水汚泥 2 0 0 k g /Hの割合で装入して焼却し、 焼却炉内の乾燥段火格 子上の装入物に尿素水溶液を噴霧した。 尿素水溶液の吹き込みに際しては、 尿素 が 1 k g /Hの割合で供給される流量に設定した。
上記条件による焼却中に、 燃焼排ガス中のダイォキシン類の濃度を測定したと ころ、 ダイォキシン類の 2 , 3 , 7, 8— T C D D毒性等価換算濃度の平均値は 都市ごみだけを焼却し通常の排ガス処理だけを行った場合の値に対し、 約 2 0 % に相当する低い値であった。
このように、 廃棄物の焼却に際し、 窒素分を含む汚泥或いは窒素化合物を装入 し、 さらに焼却炉内へ窒素化合物を添加すれば、 燃焼排ガス中のダイォキシンの 含有量が大幅に低減されることが確認された。
本態様によれば、 焼却炉内の乾燥帯へ送り込まれた廃棄物又は廃棄物と汚泥に
窒素化合物を添加し、 汚泥及び添加した窒素化合物を熱分解させてダイォキシン 類の生成を抑制させる物質を発生させるので、 焼却炉内におけるダイォキシン類 の生成量を大幅に減少させることができる。 又、 窒素化合物を供給する装置を設 置した廃棄物焼却設備により、 廃棄物に添加する窒素化合物を供給することが可 能になり、 上記の効果が得られる。 最良の態様 1 3
本態様においては、 廃棄物を焼却処理する各種の試験を実施した過程において 廃棄物と下水汚泥などの汚泥類を混焼した際に、 燃焼排ガス中のダイォキシン類 の含有量が低くなることを見出された。 そこで、 本発明者らは、 汚泥の混焼によ るダイォキシン類の低減効果が如何にしてもたらされるものかについて、 種々の 検討を行なった。
廃棄物の焼却によってダイォキシン類が発生する主たる原因の一つとして、 燃 焼雰囲気が酸素不足の状態であることが知られている。 この状態における燃焼条 件は、 焼却炉へ装入された廃棄物が、 加熱されて昇温する初期の燃焼段階の条件 に相当する。 このことからすれば、 初期の燃焼段階で、 汚泥が熱分解した生成物 質が、 ダイォキシン類の生成を抑制する作用をなしているものと考えられる。 そこで、 一般的な汚泥には、 窒素分が 2〜1 0 w t % (乾量基準) も含まれて いることから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は汚泥中の窒素含有成分が 熱分解したものであると考え、 実験を行った。 実験では、 廃棄物に窒素化合物を 添加して焼却したところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類が減少することが認め られた。 このことから、 ダイォキシン類の生成を抑制する物質は、 汚泥中の窒素 含有成分が熱分解した際に生成するアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化 合物であるものと想定される。
窒素含有成分の熱分解生成物がダイォキシン類の生成を抑制するメカニズムは 定かではないが、 これらの物質はダイォキシン類生成の触媒となる銅やその他の 物質に対する被毒作用を有することが考えられる。 この被毒作用が、 ダイォキシ
ン類の生成を抑制する効果をもたらす一因であると思われる。
このように、 汚泥の熱分解生成物である上記のような窒素化合物が、 廃棄物焼却 時におけるダイォキシン類の生成を抑制する作用をなすため、 廃棄物に窒素化合 物を添加して焼却すれば、 ダイォキシン類の生成が抑制されることが判明した さらに、 本態様において、 焼却炉から排出された燃焼排ガス中におけるダイォ キシン類の生成についても検討を行い、 以下に述べるように、 その生成を抑制す る方法を見いだした。 燃焼排ガスの流路においては、 飛灰の中の或る種の成分が 触媒となって、 未燃焼の芳香族化合物と塩素との反応が進行し、 ダイォキシン類 が生成するものとされている。
そこで、 この場合についても、 焼却炉から排出された燃焼排ガス中に窒素化合 物を吹き込む試験を行ったところ、 燃焼排ガス中のダイォキシン類が減少するこ とが認められた。 これは、 焼却炉へ窒素化合物を装入した場合と同様に、 排ガス 流路へ吹き込まれた窒素化合物がダイォキシン類の生成を抑制するものと思われ る。
ところで、 ダイォキシン類が生成し易い温度領域は 2 0 0〜8 0 0 °Cであると 言われている。 又、 7 0 0 °C以上の燃焼排ガス中に窒素化合物を吹き込むと、 吹 き込んだ窒素化合物が N O X の還元反応に消費され、 ダイォキシン類の生成抑 制
が効率的に行われない。
従って、 燃焼排ガス中に窒素化合物を吹き込む場合、 燃焼排ガスの温度が 7 0 0 °C以下、 好ましくは 6 5 0 °C程度以下にする必要がある。 このため、 本発明に おける窒素化合物の吹き込み箇所は燃焼排ガスが 6 5 0 °C以下まで冷却された排 ガス流路の箇所に限定される。
焼却炉の二次燃焼室から排出された燃焼排ガスは、 一般に、 8 5 0〜9 5 0 =C の高温になっているので、 6 5 0 °C以下に冷却されてから、 窒素化合物を吹き込 む。 例えば、 ボイラを備えた設備にあっては、 6 5 0 °C以下に冷却されたボイラ の適当な箇所、 又はボイラ出口の排ガス流路へ窒素化合物を吹き込めば、 ダイォ
W
76 キシン類の生成を効率よく抑制することができる ΰ 又、 ガスクーラ一を備えた設 備にあっては、 ガスクーラ一内又はその出口の排ガス流路へ窒素化合物を吹き込 めば、 ダイォキシン類の生成を効率よく抑制することができる。
本態様は、 上記のような試験と検討の結果に基づく知見によってなされたもの である。
第 1の形態は、 廃棄物に窒素化合物を添加して焼却炉へ装入し、 6 5 0 =C以下 の燃焼排ガスが流通する排ガス流路の箇所へ窒素化合物を吹込むことを特徴とす る廃棄物の焼却方法である。
この形態においては、 焼却炉へ装入する廃棄物と燃焼排ガスの流路に窒素化合 物を装入することにより、 前述のように、 焼却炉内及び燃焼排ガス流路の 2箇所 におけるダイォキシン類の生成が抑制される。 従って、 燃焼排ガス中のダイォキ シン類を大幅に減少させることができる。 さらに、 燃焼排ガスの流路への窒素化 合物の吹き込みが、 窒素化合物が効率よく作用する 6 5 0 ¾以下の箇所を選定し て行われるので、 ダイォキシン類の生成を効率よく抑制することができる。 第 2の形態は、 廃棄物と共に汚泥を焼却炉へ装入し、 6 5 0 °C以下の燃焼排ガ スが流通する排ガス流路の箇所へ窒素化合物を吹込むことを特徴とする廃棄物の 焼却方法である。
この形態においては、 廃棄物と一緒に汚泥の焼却を行う。 汚泥の焼却によって 、 前述のように、 汚泥から生成する窒素化合物により、 ダイォキシン類の生成を 抑制する効果が得られる。 さらに、 燃焼排ガス流路に窒素化合物を吹込むことに よって、 焼却炉内及び燃焼排ガスの流路におけるダイォキシン類の生成が抑制さ れる。 又、 廃棄物と汚泥の焼却は、 一般に、 それぞれ専用の焼却設備で別個に行 われるが、 廃棄物と汚泥を一緒に焼却処理することにより、 さらに設備費、 運転 費が節減されると言うメリットを享受することができる。
第 3の形態は、 廃棄物と汚泥を焼却炉へ装入する際に、 廃棄物及び/又は汚泥 に窒素化合物を添加することを特徴とする請求項 2に記載の廃棄物の焼却方法で ある。
この形態においては、 焼却炉へ装入する前の廃棄物又は汚泥、 或いはその双方 に窒素化合物を添加する。 焼却処理される下水汚泥などの汚泥類は脱水処理され たものであっても、 極めて多量の水分 (6 5〜9 0 w t %) を含有する粘土状物 であるので、 この脱水汚泥を多量に装入すると、 焼却炉内の燃焼状態が不良にな る。 このため、 このままでは、 所要量の窒素分を供給するための汚泥を装入でき ないことがある。
このような場合に、 この形態では、 別途に、 窒素化合物を添加して不足する窒 素分を補充することによって、 燃焼状態を正常な状態に維持しながら、 焼却炉内 で生成するダイォキシン類を大幅に減少させることができる。 又、 廃棄物焼却設 備において、 廃棄物と汚泥を混焼すると、 前述のようなコスト節減のメリッ卜が 生ずる。
第 4の形態は、 二次燃焼後の排ガスの熱回収を行うボイラを備えた廃棄物焼却 設備において、 焼却炉へ装入する廃棄物に窒素化合物を添加する手段が設けられ 、 ボイラ出口の燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む手段が設けられたことを 特徴とする廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 廃棄物に窒素化合物を添加することができるので、 焼却炉 内におけるダイォキシン類の生成量を減少させることができる y 又、 燃焼排ガス 中へ窒素化合物を吹込む手段がボイラ出口の燃焼排ガスの流路に設けられている ので、 ダイォキシン類の抑制が効率よく行われる 6 5 0 °C以下の箇所に窒素化合 物を吹き込むことができる。 その結果、 燃焼排ガス流路におけるダイォキシン類 の生成量を効率よく減少させることができる。
第 5の形態は、 二次燃焼後の排ガスを冷却するガスクーラ一を備えた廃棄物焼 却設備において、 焼却炉へ装入する廃棄物に窒素化合物を添加する手段が設けら れ、 ガスクーラ一出口の燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む手段が設けられ たことを特徵とする廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 廃棄物に窒素化合物を添加することができ、 又、 ダイォキ '類の生成抑制が効率よく行われる 6 5 0 °C以下の箇所であるガスクーラー出
口に窒素化合物を吹き込むことができる。 このため、 焼却炉内及び燃焼排ガス流 路におけるダイォキシン類の生成量を効率よく減少させることができる。
第 6の形態は、 第 4の形態又は第 5の形態に係る廃棄物焼却設備において、 焼 却炉へ装入する廃棄物に窒素化合物を添加する手段に代えて、 焼却炉へ汚泥を装 入する手段が設けられたことを特徴とする廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 窒素化合物に代えて汚泥が焼却炉へ装入されるので、 汚泥 の焼却によって焼却炉内におけるダイォキシン類の生成が抑制され、 第 4の形態 又は第 5の形態と同様の効果が得られる。
第 7の形態は、 汚泥装入手段に窒素化合物を添加する手段が付加されことを特 徴とする第 6の形態に係る廃棄物焼却設備である。
この形態によれば、 汚泥を装入する際、 窒素化合物を添加して装入することが できるので、 装入する汚泥中の窒素分だけではダイォキシン類の生成抑制効果が 不十分である場合に、 焼却炉へ装入する窒素分を補充することができる。
なお、 上記の各形態において、 燃焼排ガスの流路とは、 二次燃焼処理された後 の燃焼排ガスが流れる、 熱回収装置、 ガス冷却装置、 排ガス処理装置などの装置 、 及びこれらの装置を接続する煙道を指すものとする。
又、 汚泥とは、 下水汚泥、 し尿汚泥、 有機性排水を活性汚泥処理した際に発生 する汚泥、 有機物を含む排水を固液分離したときに発生する汚泥、 閉鎖性水域の 河川を浚渫した時に発生する汚泥などを指す。 窒素化合物とは、 窒素を含有する 有機化合物又は無機化合物を指す。 好ましい窒素化合物の具体例としては、 アン モニァや尿素などの安価な化合物が挙げられる。 窒素化合物は気体、 液体、 固体
、 又は水溶液などの形態で使用できるが、 添加する箇所によって、 適切な形態の ものが選定される。
図 2 7は本態様の実施の形態に係る第 1の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は火格子式焼却炉を備えたものである。 又、 この図に示す焼却設備に おいては、 ボイラが設けられている。 図中、 8 1 0は火格子式焼却炉、 8 1 1は 都市ごみなどの廃棄物 8 8 0を炉内へ装入するための廃棄物ホツバ一、 8 1 5は
ボイラ、 8 1 6はバグフィルタなどの集塵機である。
そして、 焼却炉 8 1 0の付帯設備として、 焼却炉 8 1 0へ装入される廃棄物に 窒素化合物を添加する窒素化合物添加手段 8 5 0が設けられている。 この窒素化 合物添加手段 8 5 0は窒素化合物の一種である尿素の水溶液の貯槽 8 5 1、 尿素 供給ポンプ 8 5 2、 尿素嘖霧ノズル 8 5 3を有する構成になっている。
又、 排ガス処理工程の付帯設備として、 燃焼排ガス流路へ窒素化合物を吹込む 窒素化合物吹き込み手段 8 7 0が設けられている。 この窒素化合物吹き込み手段 8 7 0は、 アンモニアガスのホルダー 8 7 1、 流量調節計 8 7 2、 及び図示され なレ、噴霧ノズルを有する構成になっている。 アンモニアガスの嘖霧ノズルはボィ ラ 8 1 5の出口部の燃焼排ガス流路へ揷入されている。
焼却炉の燃焼室 8 1 2には、それぞれ搬送機能を有する乾燥段火格子 8 1 3 a , 燃焼段火格子 8 1 3 b、 後燃焼段火格子 8 1 3 cが階段式に設けられている。 こ のようにして、 燃焼室 8 1 2内は、 主として装入された廃棄物 8 8 0を乾燥する 区域 (乾燥帯)、 乾燥された廃棄物を燃焼させる区域 (燃焼帯)、 燃焼状態で送ら れてきたものを灰化させる後燃焼を行なう区域 (後燃焼帯) に区分されるように なってい
る。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 8 1 1へ廃棄物が投 入され、 その廃棄物上に、 尿素噴霧ノズル 8 5 3から尿素水溶液が噴霧される。 尿素が添カ卩された廃棄物は、 廃棄物ホッパー 8 1 1から燃焼室 8 1 2内へ送り込 まれる。
焼却炉 8 1 2内においては、 装入された廃棄物が上記各火格子上を搬送されな がら、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この際、 上流 側の火格子では燃焼用空気の供給量が抑えられた運転が行われるので、 乾燥段火 格子 8 1 3 a (乾燥帯) 及び燃焼段火格子 8 1 3 b (燃焼帯) の一部においては、 酸素不足の状態で燃焼が行われる。
このような不完全燃焼が行われると、 従来技術では、 芳香族化合物と塩素との
反応が起ってダイォキシン類が生成し易くなるが、 この実施の形態においては、 廃棄物に添加された尿素が熱分解してアンモニア (NH3 ) 或いは NH2 基を有 する化合物などが生成するので、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される。 燃焼室 8 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 乾燥段火格子 8 1 3 a及び燃焼段火 格子 8 1 3 bの一部で生成した可燃性ガスを含んでいるので、 二次燃焼室 8 1 4 において、 空気を吹き込むことにより、 可燃性ガスを燃焼させる二次燃焼処理が なされる。
二次燃焼室 8 1 4から排出された燃焼排ガスは、 ボイラ 8 1 5で熱回収されて 2 0 0〜3 0 02C程度に冷却され後、 集塵機へ送られて除塵処理され、 大気放散 される。 この際、 窒素化合物吹き込み手段 8 7 0からボイラ 8 1 5の出口部の燃 焼排ガス流路ヘアンモニァガスの吹き込みが行われる。 このアンモニアガスの吹 込みによって、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉へ排ガス流路に窒素化合物を装入することにより、 焼却 炉と排ガス流路の 2箇所で生成するダイォキシン類の量を減少させることができ る。
図 2 8は本態様の実施の形態に係る第 2の例を示す説明図である。 図 2 8にお いて、 図 2 7と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を省略する。 この実施の形態においては、 焼却炉の付帯設備として、 汚泥供給手段が設けられ ており、 廃棄物ホッパー 8 1 1内へ廃棄物と共に汚泥を投入できるようになって いる。 図中、 8 4 0は汚泥供給機である。 又、 排ガス処理工程の付帯設備として、 燃焼排ガスの流路に窒素化合物を吹込む窒素化合物吹き込み手段 8 7 0が設けら れている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物ホッパー 8 1 1へ投入された 廃棄物と汚泥が燃焼室 8 1 2内へ送り込まれる。 焼却炉 8 1 2内においては、 廃 棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を経て灰化され、 排出される。 この 際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の初期において、 廃棄物と共に装入 された汚泥中の窒素含有成分が熱分解してアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有
する化合物などが生成し、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される。 このた め、燃焼室 8 1 2で発生した燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が減少する。 燃焼室 8 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 2 7の設備の場合と同様に、 二次 燃焼室 8 1 4力 ら排出し、 ボイラ 8 1 5、 集塵機 8 1 6を経て大気放散される。 この際、 窒素化合物吹き込み手段 8 7 0からボイラ 8 1 5の出口部の燃焼排ガス 流路へアンモニアガスの吹き込みが行われる。 このアンモニアガスの吹込みによ つて、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉へ廃棄物とともに汚泥を装入し、 排ガス流路へ窒素化合 物を吹込むことによって、 焼却炉と排ガス流路の 2箇所におけるダイォキシン類 の生成が抑制される。
図 2 9は本態様の実施の形態に係る第 3の例を示す説明図である。 図 2 9にお いて、 図 2 7又は図 2 8と同じ構成の部分については、 同一の符号を付し説明を 省略する。
この実施の形態においては図 2 8の構成に加えて、 汚泥供給機 8 4 0に窒素化 合物を添加する窒素化合物添加手段 8 6 0が付設されている。 窒素化合物添加手 段 8 6 0は、 尿素粉末を貯留するホッパー 8 6 1、 尿素供給機 8 6 2を有する構 成になっている。 又、 排ガス処理工程の付帯設備として、 燃焼排ガスの流路に窒 素化合物を吹込む窒素化合物吹き込み手段 8 7 0が設けられている。
上記の構成によるごみ焼却設備においては、 廃棄物ホッパー 8 1 1へ廃棄物が 投入され、 又、 汚泥供給機 8 4 0から汚泥が供給される。 汚泥の供給に際しては、 尿素供給機 8 6 2から汚泥供給機 8 4 0へ尿素粉末が供給され、 この尿素が混合 された汚泥が廃棄物ホッパー 8 1 1へ投入される。 次いで、 尿素が添加された汚 泥と廃棄物は、 燃焼室 8 1 2内へ送り込まれる。
焼却炉 8 1 2内においては、 廃棄物と汚泥が、 乾燥、 燃焼、 後燃焼の各過程を 経て灰化され、 排出される。 この際、 前述のように、 乾燥過程或いは燃焼過程の 初期において、 廃棄物と共に装入された汚泥中の窒素含有成分と別途に添加され た尿素が熱分解してアンモニア (NH3 ) や NH2 基を有する化合物などが生成
し、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制される。 このため、 燃焼室 1 2で発生 する燃焼排ガス中のダイォキシン類の含有量が大幅に減少する。
燃焼室 8 1 2内で発生した燃焼排ガスは、 図 2 7の設備の場合と同様に、 二次 燃焼室 8 1 4から排出し、 ボイラ 8 1 5、 集塵機 8 1 6を経て大気放散される。 この際、 窒素化合物吹き込み手段 8 7 0からボイラ 8 1 5の出口部の燃焼排ガス 流路ヘアンモニァガスの吹き込みが行われる。 このアンモニアガスの吹込みによ つて、 燃焼排ガスの流路で生成するダイォキシン類が減少する。
上記のように、 焼却炉へ汚泥を装入する際に、 尿素を添加し、 焼却炉 8 1 0へ 装入する窒素分を増加させることにより、 焼却炉内で生成するダイォキシン類を 一層減少させることができる。
図 3 0は本態様の実施の形態に係る第 4の例を示す説明図である。 この図に示 す焼却設備は流動床式焼却炉を備えたものであり、 図中、 8 2 0は流動床式焼却 炉、 8 3 0は廃棄物供給機、 8 4 0は汚泥供給機である。 又、 8 2 5は燃焼排ガ スに水を噴霧して直接冷却するガスクーラー、 8 2 6は集塵機である。
流動床式焼却炉 8 2 0内は、 操業時に風箱 8 2 1から吹き込まれる空気によつ て流動層が形成される流動層部 8 2 3とその上のフリーボード部 8 2 4に区分さ れるようになっている。 フリーボ一ド部 8 2 4には二次燃焼用の空気を吹き込む ノズルが設けられている。
そして、 排ガス処理工程の付帯設備として、 燃焼排ガス流路へ窒素化合物を吹 込む手段 8 7 0が設けられている。 この窒素化合物吹き込み手段 8 7 0は、 アン モニァガスのホルダ一 8 7 1、 流量調節計 8 7 2、 及び図示されない噴霧ノズル を有する構成になっている。 アンモニアガスの噴霧ノズルはガスクーラ一 8 2 5 の出口部の燃焼排ガス流路へ揷入されている。
上記の構成によるごみ焼却設備において、 廃棄物供給機 8 3 0から焼却炉 8 2 0へ廃棄物が装入され、 汚泥供給機 8 4 0から汚泥が装入される。 装入された廃 棄物と汚泥は流動層中で乾燥されながら昇温して燃焼する。 流動層内は、 空気の 吹込み量が抑えられているので、 本来、 従来技術では、 ダイォキシン類が生成し
易い燃焼状態になっている。 しかし、 この実施の形態においては、 廃棄物と共に 装入された汚泥中の窒素含有成分が熱分解して、 アンモニア (NH3 ) や NH2 基 を有する化合物などが生成するので、 上記ダイォキシン類の生成反応が抑制され る。
流動層部 8 2 3で発生した燃焼排ガス中には H 2 、 C O、 C H 4 などの可燃性 ガスが含まれているので、 フリーボード部 8 2 4で、 空気を吹き吹き込むことに よって、 可燃性ガスを燃焼させる二次燃焼処理が行われる。
焼却炉 8 2 0から排出された燃焼排ガスは、 ガスクーラ一 2 5で 2 0 0〜 4 0 0 °C程度まで冷却され、 集塵機 8 2 6へ送られて除塵処理された後、 大気放散さ れる。 この際、 窒素化合物吹き込み手段 8 7 0からボイラガスクーラ一 8 2 5の 出口部の燃焼排ガス流路へアンモニアガスの吹き込みが行われる。 このアンモニ ァガスの吹込みによって、 燃焼排ガスの流路におけるダイォキシン類の生成量が 減少する。
なお、 図 2 7〜図 3 0においては、 火格子式焼却炉又は流動床式焼却炉を備え た廃棄物の焼却設備が示されているが、 本態様が適用できる焼却炉は上記 2つの 型式に限定されるものではなく、 例えば、 キルン式のものであってもよい。 又、 図 2 7〜図 3 0においては、 火格子式焼却炉として火格子が階段式に配置 された構造のものが示されているが、 本態様はその構造が階段式のものだけに適 用される訳ではなく、 炉内に乾燥帯の機能を有する部分が設けられているもので あれば適用が可能である。
又図 2 7〜図 3 0においては排ガス処理工程に設けた窒素化合物吹き込み手段 8 7 0の噴霧ノズノレがボイラ 8 1 5の出口部へ挿入され、 窒素化合物がボイラ 8 1 5の出口部へ吹き込まれるようになっているが、 これはボイラが設置された場 合の一例を示したものであり、 窒素化合物の吹き込み箇所は必ずしもボイラ出口 には限定されない。 ガスクーラ一を設けた設備においても、 窒素化合物の吹き込 み箇所は必ずしもガスクーラーの出口には限定されない。 このように、 窒素化合 物の吹き込み箇所は必ずしもボイラ又はガスクーラ一の出口に限定されるもので
はなく、 6 5 0 °C以下に冷却されたボイラの適当な箇所、 或いはガスクーラ一の 中へ吹き込んでもよい。
又図 2 7の設備においては、 焼却炉へ装入する前の被焼却物に添加する尿素が 水溶液の状態で廃棄物に添加され、 図 2 9の設備においては尿素が粉末の状態で 汚泥に添加されているが、 本発明においては、 添加する際の窒素化合物の状態が 限定されるものではない。 窒素化合物を廃棄物に添加する場合には、 嵩が大きい 多量の廃棄物に少量の窒素化合物ができるだけ偏りなく分布するようにするため に、 水溶液にして添加し、 廃棄物に付着させるのがよい。 又、 窒素化合物を汚泥 に添加する場合には、 装入物の水分含有量を少なくするするために、 粉末の状態 で添加することが望ましい。
又図 2 7〜図 3 0の設備においては排ガス流路へ吹込む窒素化合物がアンモニ ァガスであるが、 排ガス流路へ吹込む窒素化合物が気体の状態のものに限定され るものではなく、 例えば、 アンモニア或いは尿素などの水溶液であってもよい υ (実施例 1 )
火格子式の試験装置を使用して廃棄物を焼却した結果について説明する。 廃棄 物の試料としては都市ごみを使用し、 汚泥の試料としては下水汚泥 (水分 = 7 7 w t %、 N = 6 w t % (乾量基準)) を使用した。 又、 排ガス流路へ装入する窒 素化合物としてはアンモニアガスを使用した。 そして、 都市ごみ 2 0 0 O k g / H、 下水汚 2 0 0 k g ZHの割合で焼却炉へ装入して焼却した。 この際、 装入す る汚泥に尿素を 1 k g /Hの割合で添カ卩した。 発生した燃焼排ガスをガスクーラ —で冷却した後、 排ガスダク ト内へアンモニアガスを 0 . 3 5 N m3 ZHの流量 で吹き込みを行った。 この際の排ガスダク ト内の温度は約 3 0 0 であった ϋ 上記条件による廃棄物の焼却中に、 放散された燃焼排ガス中のダイォキシン類 の濃度を測定したところ、 ダイォキシン類の 2, 3 , 7, 8— T C D D等価換算 濃度の平均値は都市ごみだけを焼却し、 通常の排ガス処理だけを行った場合の値 に対し、 約 1 0 %に相当する極めて低い値であった。 このように、 廃棄物の焼却 に際して、 廃棄物と共に尿素が添加された汚泥を装入し、 排ガス流路にアンモニ
ァガスを吹き込むことにより、 燃焼排ガス中のダイォキシンの含有量が大幅に低 減されることが確認された。
本態様によれば、 廃棄物と共に汚泥や窒素化合物を焼却炉へ装入して焼却し、 窒素含有成分を熱分解させてダイォキシン類の生成を抑制する作用をなす窒素化 合物を発生させると共に、 燃焼排ガス流路に窒素化合物を吹き込むので、 焼却炉 内及び燃焼排ガス流路の 2箇所におけるダイォキシン類の生成量を大幅に減少さ せることができる。 さらに、 燃焼排ガス流路への窒素化合物の吹き込みは燃焼排 ガスの温度が 6 5 0 ¾以下の箇所で行われるので、 脱硝反応が起こりにくく、 ダ ィォキシン類の生成抑制が効率的に行われる。
又、 焼却炉へ汚泥や窒素化合物を装入する装置が設けられ、 ボイラ又はガスク 一ラーの出口部に窒素化合物吹き込み装置が設けられた廃棄物焼却設備を使用す ることによって、 ダイォキシン類の生成を抑制する汚泥や窒素化合物を焼却炉へ 装入することが可能になり、 又、 燃焼排ガス流路におけるダイォキシン類の生成 が効率的に抑制される箇所に窒素化合物を吹き込むことが可能になり、 上記の効 果が得られる。 最良の態様 1 4
本態様は、 ごみを焼却炉にて焼却し、 発生する排ガスを処理してから、 大気へ 放出する廃棄物焼却システムにおいて、 ダイォキシン類を効率よく低減させ得る 廃棄物焼却方法及び装置に関する。
図 3 5に廃棄物焼却システムのシステム構成を示す。 この図において、 9 0 1 は廃棄物供給ホッパ 9 O l aを有する焼却炉、 9 0 2は、 例えば減温塔、 ボイラ、 熱交換器等からなる減温設備、 9 0 3は減温設備 9 0 2において減温された排ガ スから HC 1や SO X等の酸性ガスを除去する排ガス処理設備、 9 0 4は電気集 塵機、 9 0 5は誘引ファン、 9 0 6は煙突であり、 これらは、 煙道を介して直列 に接続されている
このようなものにおいて、 ごみピットからクレーンにて焼却炉に投入された廃
棄物は、 焼却炉 9 0 1で乾燥されて燃焼し、 未燃分が完全に燃焼する。 燃焼後、 燃焼排ガスは、 炉外へと排出され、 減温設備 9 0 2, 排ガス処理設備 9 0 3, 電 気集塵機を 9 0 4を経て、 煙突 9 0 6から、 外へ排出される。
ところで、 電気集塵機 9 0 4は、 周知のようにガスやダストの性状による影響 に左右されず、 微細な粒子の捕集が可能であるという特徴を持つ。 しかし、 この ような廃棄物焼却システムの場合、 焼却炉 9 0 1の炉出口から排出された排ガス は、減温設備 9 0 2ゃ排ガス処理設備 9 0 3を経由して、およそ 3 0 0 C程度で、 電気集塵機 9 0 4に導入され、 集塵が行われていることが多い。 この 3 0 0 前 後の温度は、 ダイォキシンが生成されやすい温度であり、 燃焼排ガスをこの 3 0 0 °C前後にて電気集塵機を通過させてしまうと、 ダイォキシン濃度が高くなり、 煙突 9 0 6から排出されてしまうという問題がある。
本態様の技術的課題は、 比較的簡単な装置の導入により、 焼却炉內の燃焼状態 を一定に維持して、 焼却炉におけるダイォキシン類濃度を低減させ、 かつ電気集 塵機部においても、 ダイォキシンの生成を抑えることを可能ならしめることであ る。
本態様における廃棄物焼却方法は、 焼却炉、 減温設備、 排ガス処理設備、 電気 集塵機、 誘因ファン、 及び、 煙突を介して直列に接続してなる廃棄物焼却システ ムにおいて、 焼却炉に、 廃棄物供給ホッパと汚泥供給ホッパを設けると共に、 廃 棄物を焼却する際、 汚泥を混焼させると共に、 電気集塵機を 230°C以下にて運転 されるように、 制御する集塵機入口温度制御装置を設けたものである。
また本態様に係る廃棄物焼却方法は、 排ガスの電気集塵機入口部の温度が、 2 3 0 =C以下となるように減温設備を制御することを、 特徴としている。
更に、 電気集塵機入口部に排ガス温度を検出する温度センサーを設置し、 集塵 機入口温度の温度が、 2 3 0 °C以下となるように、 減温設備を制御する構成とし たものである。
以下、 本態様の実施形態に係る廃棄物焼却方法及びこの方法に用いられる装置 を、 図 3 3に基づき説明する。 図 3 3は、 本実施形態に係る廃棄物焼却装置のシ
ステム構成図であり、 図中、 前述の従来例 (図 3 5 ) と同一部分には、 同符号を 付してある。
本実施形態の廃棄物焼却装置は、 焼却炉 9 0 1に、 廃棄物供給ホッパ 9 0 1 a だけでなく、 汚泥供給ホッパ 9 0 1 bを新たに設けると共に、 電気集塵機 9 0 4 の入口部に排ガス温度を検出する温度センサ 7を設置し、 更に、 温度センサ 9 0 7の検出置が 2 3 0 °Cを超えた時、 或いは温度センサ 9 0 7の検出値が 2 3 0 ;:C を超えない段階でも上昇が急激であれば、 減温装置 9 0 2を制御して高温排ガス の减温度合いを大きくさせることで、 電気集塵機 9 0 4が 2 3 0 ¾以下で運転さ れるように制御する集塵機入口温度制御装置 9 0 8を設けている。
減温設備 9 0 2は、ここでは高温排ガスを水噴霧雰囲気中を通過させることで、 そのガス温度を下げる方式の減温塔からなり、 集塵機入口温度制御装置 9 0 8か ら、 水噴霧増加指令があると、 その水噴霧量を多くするよう構成されている。 次に、 これを更に記述しながら本実施形態を用いて廃棄物を焼却する方法につ いて、 説明する。 まず、 ごみピットからクレーンにて廃棄物を搬送して供給ホッ パ 9 0 l aより、 焼却炉 9 0 1内に投入すると共に、 汚泥供給ホッパ 9 0 1 bよ り例えば、 下水処理工程等で発生した有機性汚泥を投入する。 焼却炉 9 0 1内に 投入された汚泥と廃棄物は、 炉内にて乾燥され、 着火して混焼し、 排ガスは、 炉 出口から下流に送られる。 これにより、廃棄物のみを焼却させる場合と比較して、 ダイォキシン濃度が低くなる。
ダイォキシン類を抑制する理由については、 他の態様にて前述してあるので、 省略する。
本態様により、 廃棄物と汚泥を混焼させる際、 電気集塵機 9 0 4を使用し、 そ の運転温度を下げれば、 ダイォキシン類濃度が低下することを発見した。 これは、 ダイォキシン類が生成し易い 3 0 0 近辺の領域をさけて低温で運転することに より、 ダイォキシンの生成が抑えられるためと、 考えられる。 本発明者らの実験 研究により得られたこの知見を示したのが、 図 3 4のグラフである。 これは、 電 気集塵機 9 0 4の入口と出口間におけるダイォキシンの増加率の関係を示したグ
ラフであり、 縦軸にダイォキシン増加率、 横軸に電気集塵機入口温度をとつてい る。
この結果から、 電気集塵機温度を 2 3 0 ¾以下、 好ましくは、 2 1 0 DC 以下 にすれば、 電気集塵機 9 0 4内で、 ダイォキシン類濃度が増加せず、 効率良くダ ィォキシン類濃度を低減できることがわかる。
従って、 電気集塵機入口に設置した温度センサ 7と、 集塵機入口温度制御装置 8により、 排ガス温度を監視し、 温度センサ 7の検出値が 2 3 0。Cを超えた時、 或いは、 温度センサ 9 0 7の検出値が 2 3 0 3Cを超えない段階でも上昇が急激で あれば、 集塵機入口温度制御装置 9 0 8より減温設備 9 0 2に対して、 水嘖霧增 加指令を出力させ、 減温設備 9 0 2の水噴霧量を多くさせて、 高温排ガスの減温 度合いを大きくさせ、 これによつて電気集塵機 4 の運転時の温度を 2 3 0 °C以 下となるように管理することで、 ダイォキシン類を低減でき、 この効果と汚泥の 供給によるダイォキシン類物質低減効果との相乗効果により、 一層効率的に、 ダ ィォキシン類濃度を低減させることができる。
なお、 システム全体を自動制御している場合、 温度センサ 9 0 7の検出値を運 転パラメータの一つとして、 組み込めばよい。
電気集塵機 9 0 4より、 微細な粒子が捕集除去されて、 クリーンとなった空気 は、 煙突 9 0 6から、 大気へ放出される。
本態様の効果を検証するために、 都市ごみと汚泥を火格子焼却炉で焼却し、 減 温塔にて排ガスを 2 1 0 °Cまで減温してから、 電気集塵機にて集塵を行った場合 におけるダイォキシン類濃度と、 都市ごみのみを焼却して電気集塵機を 2 7 0 2C で運転した場合におけるダイォキシン類濃度と、 を比較してみたところ、 本態様 による前者のものが、 後者のものよりも、 ダイォキシン類濃度が約 9割低減され ていることが確認された。
以上述べたように、 本態様によれば、 焼却炉、 減温設備、 排ガス処理設備、 電 気集塵機、 誘引ファン、 及び、 煙突を、 煙道を介して直列に接続してなる廃棄物 焼却システムにおいて、 廃棄物を焼却する際に、 汚泥を混焼させると共に、 電気
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89 集塵機が 2 3 0 3C以下にて運転されるようにしたので、 効率よくダイォキシン類 の発生を低減させることができた。
産業上の利用可能性
以上のように、 本発明に係る廃棄物の焼却方法およびその装置は、 火格子式焼 却炉、 流動床式焼却炉内において、 廃棄物、 汚泥、 プラステイクス、 ごみ固形燃 料、 硫黄含有物等を混焼させ、 SO x濃度にもとずき燃焼制御を行うこと、 更に、 窒素化合物を生成すること、によりダイォキシン類の生成を抑制する効果があり、 その産業上の効果は、 極めて大きいものである。