明 細
新規チロシンフォスファターゼ 技術分野
本発明は癌抑制遺伝子と推定される、 ヒト染色体 3p21にコードされている新 規チロシンフォスファタ一ゼに関する。 背景技術
癌抑制遺伝子の不活性化は、 癌の発症に重要な役割を果たしている。 ゲノム 上の遺伝子は対立遺伝子として 2コピ一存在するので、 癌抑制遺伝子の不活性 化は、 多くの場合、 一方の遺伝子に染色体欠失 (loss of heterozygosity:以 下、 L0Hと略す) 、 もう一方の遺伝子に突然変異がおこることによるものとされ ている。 したがって、 癌細胞において高頻度に L0Hの観察される部位には癌抑制 遺伝子が存在している可能性が高いと考えられる。 ヒトの肺癌において、 L0Hが 高頻度でおこる部位が報告されているが、 その中でも第 3染色体短腕 (3p) は、 肺の小細胞癌の 100%近くに、 また非小細胞癌においても 60%に欠失が見られる ことから、肺癌の発症に関与する遺伝子の存在部位と考えられている〔0ncogene, 7, 445 ( 1992)〕 。 L0Hは 3pのいろいろな領域で観察されているが、 その中でも 3pl4、 3p21、 3p25は多くの肺癌で共通して欠失が見られる領域であり、 これら の領域には癌抑制遺伝子が存在すると推定されている〔0ncogene, 7, 445 ( 1992) 〕 。 これらの領域の欠失は肺癌発症過程の初期からみられるが、 悪性化に伴い 欠失範囲が拡大していくという報告 COncogene, 11 , 2591 ( 1995)〕 や、 非小細 胞癌、 特に肺腺癌の不良な予後因子である報告もある。 これまでにこれらの領 域にマッピングされた癌抑制遺伝子として、 3pl4では FHIT (Fragile histidine triad)遺伝子 Cell, 84, 587 ( 1996 )、 Cell , 85, 17 ( 1996 )〕 が、 3p25では VHL (von Hippel-Lindau) 遺伝子 (Science, 260, 1317 ( 1993)、 Proc. Natl . Acad.
Sci . , 88, 2864 ( 1991 )〕 が報告されている。 3p21では、 DNAミスマッチ修復遺 伝子 MLH1 MutL homologue; Nature, 368, 258 ( 1994)〕、 アミノアシラーゼー 1 CGenomics, 8, 149 ( 1990)、 J. Biol. Chemリ 268, 1710 ( 1993)〕 、 3pK 〔 mitogen - activated protein kinase - activated protein kinase; Chromosome Research, 4, 310 ( 1996)〕 、 セマフォリン Oncogene, 12, 1289 ( 1996)〕 、 ァ ルギニンリッチ蛋白質〔0ncogene, 12, 1931 ( 1996)〕、 ュビキチン活性化蛋白 質、 Wnt-5a〔J. Biol. Chem. , 270, 31225 ( 1995)、 Cell Growth & Differentiation, 8, 417 ( 1997)〕 などが候補遺伝子としてマツビングされているが、 肺癌での遺 伝子変異と関連付けられる決定的な癌抑制遺伝子は見出されていない。 また、 ヒト第 3染色体とマウス A9細胞の雑種融合細胞クローンのうち、 SCIDマウスに 移植した場合に腫瘍形成を示すような 2種類の雑種融合細胞クローンにおいて、 共通して欠失しているヒト第 3染色体上の領域を解析した論文 〔Genes, Chromosome & Cancer, 18, 200 (1997)、 Genes, Chromosome & Cancer, 20, 329 ( 1997)〕 では、 欠失部分はヒト第 3染色体上の 3p21.3の領域内であり、 領域の 大きさとして 1.6cM (センチモルガン) まで (染色体マーカー D3S1029と D3S643 の間) 特定されている。 この欠失領域には腫瘍形成に直接関与する癌抑制遺伝 子が存在すると考えられているが、 その遺伝子は特定されるまでには至ってい ない。 ' 発明の開示
ヒトの肺癌において高頻度に欠失が観察される、 ヒト染色体 3p21部位にコ一 ドされている癌抑制遺伝子を明らかにすることが望まれている。
本発明者らは、 高頻度に欠失が観察される、 ヒト染色体 3p21部位にコードさ れている癌抑制遺伝子に関して鋭意検討し、 癌抑制に関与する新規チ口シンフ ォスファターゼ HD - PTP (histidine domain - protein tyrosine phosphatase;以 下、 HD-PTPと略すこともある) をコードする cDNAをヒト細胞株よりクローン化
することに成功し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 以下のひ)〜(20)を提供するものである。
( 1 ) 配列番号 2記載のァミノ酸配列からなる蛋白質。
( 2 ) 配列番号 2記載の蛋白質の有するアミノ酸配列において 1個以上のァ ミノ酸が欠失、 置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつチロシン フォスファタ一ゼ活性を有する蛋白質。
上記 (2) の配列番号 2記載の蛋白質の有するアミノ酸配列において 1個以 上のアミノ酸が欠失、 置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつチ 口シンフォスファタ一ゼ活性を有する蛋白質は、 Molecular Cloning, A
Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989) (以下、 モレキュラー 'クロ一ニング第 2版と略す)、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997) (以下、 カレント 'プ 口トコ一ルズ 'イン 'モレキュラー .バイオロジーと略す) 、 Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、 Gene, 34, 315 (1985)、 Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、 例えば配列番号 2で示されるァミノ酸配列を有するポリぺプチドをコードする DN Aに部位特異的変異を導入することにより、 取得することができる。
欠失、 置換もしくは付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、 上記の 部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、 置換もしくは付加できる程度の 数であり、 1個から数十個、 好ましくは 1〜20個、 より好ましくは 1〜10 個、 さらに好ましくは 1〜5個である。
また、 本発明のポリべプチドがチ口シンフォスファタ一ゼ活性を有するため には、 配列番号 2記載のアミノ酸配列と、 BLAST CJ. Mol. Biol., 215, 403
(1990)〕 や FASTA Methods in Enzymology, 183, 63-98 (1990)〕等を用 いて計算したときに、 少なくとも 60%以上、 通常は 80%以上、 特に 95%
以上の相同性を有していることが好ましい。
具体的には配列番号 2のァミノ酸配列の N末端 1〜 3番目の 3アミノ酸を欠 失したアミノ酸配列を有する蛋白質、 この 3アミノ酸が欠失したアミノ酸配列 の N末に T 7や F 1 a g等の t a gぺプチドの配列を付加したアミノ酸配列を 有する蛋白質などをあげることができる。
( 3 ) 上記 ( 1 ) または (2 ) 記載の蛋白質をコードする DNA。
( 4 ) 配列番号 1、 3、 4 0または 4 1記載の塩基配列を有する DNA。
( 5 ) 上記 (3 ) または (4 ) 記載の DNAとストリンジェン卜な条件下でハイ ブリダィズし、 かつチロシンフォスファターゼ活性を有する蛋白質をコードす る DNA。
上記 (5 ) の 「ストリンジェントな条件下でハイブリダィズし、 かつチロシ ンフォスファタ一ゼ活性を有する蛋白質をコードする DNA」 とは、 配列番号 1、 3、 4 0または 4 1で表される塩基配列を有する DNAをプローブとして、 コロニ — 'ハイプリダイゼーシヨン法、 プラーク 'ハイブリダィゼーシヨン法あるい はサザン ·ブロット ·ハイブリダィゼ一シヨン法等を用いることにより得られ る DNAを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DNAを固定化し たフィル夕一を用いて、 0.7〜: 1.0 mol/Lの NaCl存在下、 65°Cでハイブリダィゼ —シヨンを行った後、 0.1 x〜 2 x SSC (saline-sodium citrate) 溶液 〔l x SSC 溶液 (150 mmol/L NaCl、 15腿 ol/Lクェン酸ナトリウム) ; n xは n倍濃度の 溶液を示す。 〕 を用い、 65°C条件下でフィルタ一を洗浄することにより同定で きる DNAをあげることができる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 モレキュラー 'クローニング第 2版、 カレント 'プロトコ一ルズ 'イン 'モレキュラー 'バイオロジー、 DNA Cloning 1 : Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995) (以下、 DNAクロ一ニング 1と略記する) 等の実験書に記載されている方 法に準じて行うことができる。 ノ、イブリダィズ可能な DNAとして具体的には、 配
列番号 1、 3、 40または 41で表される塩基配列と少なくとも 80%以上の相 同性を有する DNA、 好ましくは 95%以上の相同性を有する DNAをあげることがで きる。
(6) 上記 (3) 〜 (5) のいずれか 1項に記載の DNAとべクタ一 DNAを含有 する組換え体 DNA。
(7) 上記 (6)記載の組換え体 DN Aを宿主細胞に導入して得られる形質 転換体。
(8) 上記 ( 7 )記載の形質転換体を培地に培養し、 培養物中に上記 ( 1 ) または (2)記載の蛋白質を生成蓄積させ、 該培養物から該蛋白質を採取する ことを特徴とする上記 (1) または (2)記載の蛋白質の製造方法。
(9) 上記 (1) または (2) 記載の蛋白質を有効成分として含む、 癌の治 療薬。
(10) 上記 (3) 〜 (5)のいずれか 1項に記載の MAを有効成分とする癌 の治療薬。
(11) 上記(3) 〜 (5) のいずれか 1項に記載の DNAを含有する、 癌の遺 伝子治療用ベクター。
(12) 上記 (3) 〜 (5) のいずれか 1項に記載の DNAの塩基配列のうち、 連続した 10〜60残基の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、 または該ォリゴ ヌクレオチドと相補的な配列を有するォリゴヌクレオチド、 およびこれらオリ ゴヌクレオチドの誘導体であるオリゴヌクレオチド誘導体。
(13) 配列番号 24、 25、 28または 29で表される塩基配列を有する 上記 ( 12 ) 記載のォリゴヌクレオチド。
(14) 上記 ( 12) または (13)記載のオリゴヌクレオチドを用いた、 癌の診断方法。
(15) 上記 (12) または (13)記載のオリゴヌクレオチドを含有する、 癌の診断薬。
(16) 上記 ( 1 ) または ( 2 )記載の蛋白質を認識する抗体。
(17) 上記 (16)記載の抗体を用いて、 上記 (1) または (2)記載の 蛋白質を免疫学的に検出する方法。
(18) 上記 ( 16 )記載の抗体を用いて、 上記 ( 1 ) または ( 2 )記載の 蛋白質を免疫学的に定量する方法。
(19) 上記 ( 16)記載の抗体を用いる、 癌の判定方法。
(20) 上記 ( Γ6)記載の抗体を有効成分とする、 癌の診断薬。
以下、 本発明を詳細に説明する。
[1]本発明の DNAの調製
本発明の HD- PTPをコ一ドする cDNAは、 以下のような形質転換アツセィ法によ つて得られる、 癌関連遺伝子の候補となる遺伝子の断片をプローブとして cDNA ライブラリーをスクリーニングすることにより取得することができる。
以下、 詳細に説明する。
( 1 ) 癌関連遺伝子断片のスクリーニング
ヒト癌細胞は、 無限増殖性の獲得 (不死化) 、 細胞増殖時の接触阻止現象の 喪失、 足場非依存性の増殖、 増殖における血清要求性の低下、 細胞接着能の減 弱、 ヌードマウスに移植した場合の腫瘍形成能など、 正常細胞とは異なる性質 を有しているので、 ヒト癌細胞の染色体 DNA中には、 上述の性質の原因となる変 異があると考えられる。 このような原因遺伝子をスクリ一ニングする方法の一 つとして、 形質転換アツセィ法があげられる。
形質転換アツセィ法は、 正常細胞、 または上述した癌細胞の形質のうち、 無 限増殖以外の癌形質 (造腫瘍性、 軟寒天内増殖能など) を有さない正常細胞と 同様の性質を示す宿主細胞に、 ヒト癌細胞の染色体 DNA由来の DNA断片を導入し て発現させ、 正常な形質からヒト癌細胞の示す形質への変化を指標に細胞クロ ーンを選択し、 該細胞から形質転換の原因となった染色体 DNA断片 (原因遺伝子 ) を単離する方法である。
ヒト癌細胞としては、 染色体 DNAを抽出できるヒト癌細胞であればいかなる細 胞でも用いることができる。 本発明では、 ヒト癌細胞としてヒト B細胞リンパ腫 の細胞株である KAL- 1 [; Cancer Res. , 51, 5392 ( 1991 )〕 を用いている。
ヒト癌細胞から染色体 DNAを単離する方法としては、 プロティナ一ゼ KZフエ ノール一クロ口ホルム抽出法 (モレキュラー ·クロ一ニング第 2版) 等をあげ ることができる。
上記で得られた染色体 DNA由来の DM断片を宿主細胞に導入する際には、 導入 された細胞を選択するためにマーカーとなる薬剤耐性遺伝子を有するプラスミ ドを共導入することが望ましい。 該プラスミドとしては、 マーカ一となる薬剤 耐性を有しているプラスミドであればいかなるプラスミドでも用いることがで きる。具体的には、ハイグロマイシン耐性遺伝子を有する pHyg〔Mol. Cel. Biol. , 5, 410 ( 1985)〕 などをあげることができる。
染色体 DNA由来の DNA断片とプラスミドの導入方法としては、 宿主細胞へ DNAを 導入する方法であればいずれも用いることができるが、 例えば、 エレクトロボ レ一シヨン法 〔Cytotechnology, 3, 133 ( 1990)〕 、 リン酸カルシウム法 (特閧 平 2-227075)、リポフエクシヨン法!; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 ( 1987) 〕等をあげることができる。
宿主細胞としては、 繰り返し継代しても細胞の形質が変化せずに無限増殖し、 他の形質は癌細胞とは区別可能な非ヒト動物細胞であり、 培養が簡易かつ高効 率で DNAの導入が可能な細胞が好ましい。
癌細胞と区別可能な形質として、 上述したヒト癌細胞に特異的な性質と相対 する性質、 例えば、 足場依存性増殖、 細胞増殖時の接触阻止、 増殖時の血清要 求性等をあげることができる。 また、 後述のように、 宿主細胞由来の DNAと、 外 来のヒト癌細胞由来の DNAを区別して解析する必要があるため、 非ヒト動物細胞 を宿主細胞に用いることが好ましい。 外来のヒトの遺伝子が宿主細胞内で発現 し、 該遺伝子を含んでいた細胞と同様の機能を有する形質転換細胞を獲得する
ためには、 分類上あまりヒトとかけ離れていない動物、 好ましくはヒト以外の 哺乳動物の細胞をあげることができる。 具体的には、 マウスの繊維芽細胞株
NIH3T3 (理化学研究所細胞開発銀行 RCB0150) 、 ラット繊維芽細胞株 Rat-2 〔 Virology, 113, 408 ( 1981 )、 ATCC CRL-1764〕 をあげることができる。
以上の方法により、 形質転換された細胞、 すなわち癌細胞由来の原因遺伝子 が導入された細胞は、 軟寒天培地などの培地中でコロニーを形成することが可 倉 となる。
例えば、 軟寒天培地中では生育できない足場依存性増殖を示す繊維芽細胞に、 ヒト癌細胞株の染色体 DNA由来の DNA断片を導入した後、 軟寒天培地中で培養す ると、 ヒト癌細胞株の有する足場非依存性の形質を獲得した細胞は軟寒天中で コロニーを形成する。 該コロニー形成を指標にすることにより、 形質転換細胞 を容易に単離することが可能となる。
上記で単離されたコロニー形成細胞を用い、 常法に従い DNA分析することによ り、 ヒト癌遺伝子を特定し、 取得することができる。 すなわち、 £ RI等の適当 な制限酵素で該細胞の染色体 DNAを切断後、 サザンブロット解析 (モレキュラー .クローニング第 2版、 DNAクローニング 1) を行うことよりヒト癌遺伝子を特 定し、 取得することができる。
サザンブロヅト解析に用いるプローブとしては、 ヒトの遺伝子で特異的な配 列として普遍的にヒトゲノム遺伝子内に存在する Alu配列を有する、 BLUR8〔Pro Natl . Acad. Sci. USA, 77, 1398 ( 1980)〕 などを用いることができるが、 任意 のヒト細胞から染色体 DNAを単離し、 放射性同位体、 酵素などで標識した DNA断 片を用いることもできる。 Alu配列は、 ヒトゲノムのイントロンに特異的に見 られる配列であり、 かつヒトゲノム DNA中に 30万コピーと他の塩基配列と比較し て圧倒的多数を占めるため、 標識された DNAの大部分は Alu配列であると考えら れる。 従って、 標識した染色体 DNA断片を、 癌遺伝子中のイントロンを特定する ためのプローブとして用いることができる。
サザンブロットによる解析の結果、 同一の長さのバンドが検出されたコロニ
—を選択した後、 該コロニーより染色体 DNAを単離し、 該染色体 DNA由来の DNA断 片を用い、 上述の宿主細胞への導入からサザンブロットまでの操作を繰り返す。 そして、 選択したコロニー由来の染色体 DNA断片が、 形質転換を引き起こすこと 、 サザンブロットによる解析で、 最初と同じ長さのバンドが検出されることを 確認することにより、 該 DNA断片により、 癌形質が誘発されることがわかる。 形質転換された細胞より染色体 DNAを単離したのち、 等の適当な制限酵 素で数 kb〜20kb程度に部分的に切断する。該 DNA断片をクローニングベクターに 組み込み、 宿主細胞に導入することにより DNAライブラリーを作製する。
具体的な DNAライブラリ一作製法としては、 モレキュラー .クローニング第 2 版等に記載された方法等があげられる。
DNAライブラリーを作製するためのクローニングベクタ一としては、 大腸菌 K12株中で自律複製できるものであれば、 ファージベクタ一、 プラスミドぺク夕. —等いずれも使用できる。
具体的には、 ZAP Express 〔Stratagene社製、 Strategies, 5, 58 ( 1992)〕、 pBluescript I I SK (+) CNucleic Acids Research, 17, 9494 ( 1989)〕、 Lambda ZAP I I (Stratagene社製)、人 gtlO、 AgtllCDNA Cloning, A Practical Approach, 1, 49 ( 1985)〕、 ATriplEx (Clonetech社製) 、 え ExCell (Pharmacia社製) 、 え DASH I I (Stratagene社製) 、 該 LDASH I Iファージベクタ一を基に構築した入 PSL、 pT7T318U (Pharmacia社製) 、 pcD2 CMol. Cell . Biol . , 3, 280 ( 1983)〕 等、 9〜23kbの長い MAを挿入可能なベクターをあげることができる。
宿主微生物としては、 大腸菌 Escherichia coliに属する微生物であればいず れも用いることができる。 具体的には、 Escherichia coli XLl-Blue MRF' 〔 Stratagene社製、 Strategies, 5, 81 ( 1992)〕、 Escherichia coli C600〔 Genetics, 39, 440 ( 1954)〕、 Escherichia coli Y1088 (Science, 222, 778 ( 1983)〕 、 Escherichia coli Y1090 CScience, 222, 778 ( 1983)〕、 Escherichia coli NM522
CJ. Mol. Biol. , 166, 1 (1983)〕、 Escherichia coli K802 〔J. Mol. Biol. , 16, 118 (1966)〕、 Escherichia coli JM105 〔Gene, 38, 275 (1985)〕 および Escherichia coli LE392 (モレキュラー ·クロ一ニング第 2版) 等を用いるこ とができる。
上述のように調製した DNAライブラリーに対し、 前述のプローブを用いてコロ 二一 ·ハイブリダィゼ一シヨンあるいはプラーク ·ハイブリダィゼーシヨン ( モレキュラー 'クローニング第 2版) を行うことより、 該 DNAライブラリ一より 目的とする DNAクローンを取得することができる。
該クローンより得られたヒト癌細胞由来の癌遺伝子を含む DNA断片は、 染色体 DNA由来であるため、 イントロンも含まれていると考えられる。 該遺伝子がコ一 ドする蛋白質の構造を明らかにするために、 該遺伝子の cDNAを、 cDNAライブラ リ一をスクリーニングすることによって取得する。
( 2 ) 新規チロシンフォスファタ一ゼ cDNAの取得
cDNAラィブラリ一を作製するために、 適切な細胞または組織より全 RNAあるい は mRNAを調製する。 例えば、 細胞としてヒト胃癌セルライン MKN45 〔Jpn. J. Cancer Res. 77, 849 ( 1986)、 理化学研究所細胞開発銀行 RCB1001〕 などをあ げることができる。
全 RNAを調製する方法として、 ヒト細胞からチォシアン酸グァニジン一トリフ ルォロ酢酸セシウム法 Qlethods in Enzymol. , 154, 3 (1987)〕 、 酸性チォシァ ン酸グァニジン ·フエノール■クロ口ホルム法 (Analytical Biochemistry, 162, 156 (1987)〕 などを用いることができる。
全 RNAからポリ(A)+RNAとして mRNAを調製する方法として、ォリゴ(dT)セル口一 ス法 (モレキュラー 'クローニング第 2版) などを用いることができる。
あるいは、 Fast Track mRNA Isolation Kit ( Invitrogen社) 、 Quick Prep mRNA Purification Kit (Pharmacia社) 等のキットを用いてヒト細胞から直接 mRNAを 調製することもできる。
cDNAを調製し、 該 cDNAを適当なベクタ一に組み込み、 宿主細胞に導入するこ とにより cDNAラィブラリ一を作製する。 具体的な cDNAラィブラリ一作製法とし ては、モレキュラー ·クロ一ニング第 2版等に記載された方法、 Gublerと Hoffman の方法 〔Gene, 25, 263 ( 1983)〕 、 あるいは市販のキット、 例えば Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning (ライフ ·テクノロ ジ一ズ社製) や ZAP-cDNA Synthesis Kit (Staratagene社製)を用いる方法等が あげられるが、 前述 ( 1 ) での DNAライブラリ一の作製方法に準じて行うことが できる。
調製した cDNAライブラリ一に対してコロニー ·ハイブリダィゼーシヨンある いはプラーク ·ハイブリダィゼ一シヨン (モレキュラー ·クロ一ニング第 2版 ) を行うことより新規ヒト癌遺伝子を含有する cDNAクローンを得ることができ o
プローブとしては、 ( 1 ) で得られた癌遺伝子を含む染色体 DNA断片を用いる ことができる。 この場合ハイブリダイゼ一シヨンのバックグラゥンドを減らす ために、 上記の染色体 DNA断片から 200bp〜 2 kb程度の長さでェクソンを含む断 片を以下のようにして単離してプローブに用いるのが望ましい。
すなわち、 上記の染色体 DNA断片を適当な制限酵素で切断して 200bp〜 2 kbの 長さの DNA断片を単離し、 プローブとする。 上述 ( 1 ) で取得したクローンより 、 上述の方法で RNAまたは mRNAを単離する。 単離した該 DM断片および該 RNAを用 いてノーザン ·プロット ·ハイブリダィゼーシヨンを行ない、 はっきりとした バンドが得られた断片をェクソンを含む断片として選択し、 プローブとして使 用 f o
このようにして得られた cDNAクローン中に存在する新規ヒト癌遺伝子の cDNA の塩基配列を、 後述 (3 ) の方法により決定することができる。 決定された塩 基配列より、 全長の cDNAが得られていないと考えられる場合には以下の方法で 全長 cDNAを取得することができる。 すなわち、 前述の方法で得た cDNAの両端に
ァダブ夕一を付加し、 このァダブ夕一の塩基配列と得られた cDNAの塩基配列に 基づいたプライマーで PCRを行う 5,-MCE(rapid amplification of cDNA ends) および 3, -RACE CProc. Natl. Acad. Sci . USA, 85, 8998 ( 1988)〕 により、 プ ライマーに用いた配列よりも 5'末端側および 3'末端側の cDNA断片を得ることが できる。 得られた cDNA断片を cDNAクローンの cDNAと連結させることにより、 本 発明の全長 cDNAを取得することができる。
( 3 ) cDNAの塩基配列の解析
得られた cDNAをそのまま、 あるいは該 cDNA部分を適当な制限酵素で切断後、 PUC118等の適当なクローニングベクタ一にサブクローニングした後、 通常用い られる塩基配列解析方法、 例えば Sangerらのジデォキシ法 〔Proc. Natl . Acad. Sci. USA, 74, 5463 ( 1977)〕 あるいは 373A · DNAシークェンサ一 (Perkin Elmer 社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、 塩基配列を決定す ることができる。
決定された塩基配列より、 該 cDNAがコ一ドする蛋白質のアミノ酸配列を知る ことができる。
該塩基配列の新規性に関しては、 BLAST等の相同性検索プログラムを用いて、 GenBanks EMBLおよび DDBJ等の塩基配列データベースを検索することにより、 確 認することができる。
上記方法により決定される塩基配列として、 HD- PTPをコ一ドする cDNAの有す る配列番号 1に示される塩基配列をあげることができる。
( 4 ) ゲノム DNAの取得
ゲノム DNAは、 ヒトゲノム DNAを錡型にして、 上記 ( 3 ) で得られた cDNAの塩 基配列に基づいて設計 '合成できる D N Aをプライマ一に用いた PCR CPCR, A practical Approach, Oxford University Press ( 1991 )〕 によって取得するこ とができる。 また、 Clonetech社等から購入できるヒトゲノム DNAライブラリー から( 3 )で得られた cDNAをプローブにしてゲノム DNAクローンを得ることもで
ぎる。
( 5 ) HD-PTPをコードする DNAの調製
HD-PTPの cDNAの塩基配列に基づいて設計したプライマー D N Aを合成し、 ヒ ト組織あるいは細胞から( 3 )と同様にして調製した cDNAあるいは cDNAラィブラ リ一を錡型として、 PCRを行うことにより HD- PTPをコ一ドする DNA (以下、 HD- PTP DNAと略す) を増幅し取得することができる。
また決定された DNAの塩基配列に基づいて、 DM合成機で化学合成することに よって HD- PTP DNAを調製することもできる。 DNA合成機としては、 フォスフォア ミダイ ト法を利用した Perkin Elmer社製の DNA合成機 model392等をあげることが できる。
( 6 ) HD-PTPォリゴヌクレオチドの調製
上述の方法で取得した本発明の DNAおよび DM断片を用いて、 常法あるいは上 述の DNA合成機により、 本発明の DNAの一部の配列を有するォリゴヌクレオチド あるいは相補的な塩基配列をもつオリゴヌクレオチド (これらを以下、 HD-PTP オリゴヌクレオチドと称する) を調製することができる。
HD-PTPオリゴヌクレオチドとしては、 具体的には、 配列番号 1、 3、 4 0ま たは 4 1で表される塩基配列中の連続した 10〜60塩基と同じ配列を有する DNA または該 MAと相補的な配列を有する DNAをあげることができる。 センスプライ マ一およびアンチセンスプライマーとして用いる場合には、 両者の融解温度お よび塩基数が極端に変わることのない上述のォリゴヌクレオチドが好ましい。 アンチセンスプライマ一としては、 具体的には、 配列番号 2 4、 2 5、 2 8ま たは 2 9で表される塩基配列を有する MAをあげることができる。
さらに、 これらオリゴヌクレオチドの誘導体も本発明のオリゴヌクレオチド としてあげることができる。 該オリゴヌククレオチドの誘導体としては、 オリ ゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスフォロチォェ一ト結合に変換 されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル
結合が N 3, — P 5, ホスフォアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチ ド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合がぺプチ ド核酸結合に変換されたォリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中の ゥラシルが C— 5プロビニルゥラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C一 5チアゾールゥラシルで置換されたォ リゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のシトシンが C一 5プロビニ ルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中の シトシンがフエノキサジン ί 飾シトシン (phenoxazine-modified cytosine)で 置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のリボースが 2 ' 一 0—プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 あるいは オリゴヌクレオチド中のリボースが 2, ーメ トキシェトキシリボースで置換さ れたオリゴヌクレオチド誘導体等をあげることができる 〔細胞工学, , 1463 ( 1997)〕。
[2] 遺伝子組換え技術を用いた、 HD-PTPの調製
HD-PTPは、 モレキュラー .クロ一ニング第 2版やカレント ·プロトコールズ 'イン ·モレキュラー ·バイオロジー等に記載された方法を用い、 例えば以下 の方法により、 上記 [ 1]に記載の方法により取得した HD-PTP DNAを宿主細胞で発 現させて、 調製することができる。
HD-PTP DNAを適当な発現べクタ一のプロモー夕一下流に挿入した組換え体 D N Aを造成する。 該組換え体 D N Aを宿主細胞に導入することにより、 HD-PTP 蛋白質を発現する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、 細菌、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 目的と する遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
発現べクタ一としては、 上記宿主細胞において自律複製可能ないしは染色体 中への組込が可能で、 HD-PTP DNAを転写できる位置にプロモ一夕一を含有して いるものが用いられる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、 該組換え体 D N Aは原核 生物中で自律複製可能であると同時に、 プロモーター、 リボソーム結合配列、 HD-PTP DNA、 転写終結配列、 より構成されていることが好ましい。 プロモー夕 —を制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現べクタ一としては、例えば、 PKK233-2 (Pharmacia社)、 pSE280 ( Invitrogen 社) 、 pGEMEX-1 (Promega社)、 pQE-8(QIAGEN社) 、 pKYPIO (特閧昭 58-110600) 、 p YP200 Agricultural Biological Chemistry, 48, 669 ( 1984)〕、 pLSAl 〔 Agric. Biol. Chem., 53, 277 ( 1989)〕、 pGELl 〔Proc. Natl. Acad. Sci . USA, 82, 4306 ( 1985)〕、 pBluescript I I SK (-) (Stratagene社) 、 pGEX (Pharmacia 社) 、 pET- 3 (Novagen社) 等をあげることができる。
プロモーターとしては、 大腸菌や枯草菌等の宿主細胞中で発現できるもので あればいかなるものでもよい。 例えば、 ^プロモ一夕一 (Ptrp)、 ^プロモ一 夕一、 PLプロモー夕一、 PRプロモー夕一、 T7プロモー夕一等の、 大腸菌やファー ジ等に由来するプロモーターをあげることができる。 また Ptrpを 2つ直列させた プロモー夕一 (Ptrp x 2 ) 、 ^プロモ一夕一、 lacT7プロモー夕一、 letlプロモ 一夕一のように人為的に設計改変されたプロモ一夕一等も用いることができる。
リボソーム結合配列である Shine-Dalgarno配列と閧始コドンとの間を適当な 距離 (例えば 6〜; 18塩基) に調節したプラスミドを用いることが好ましい。 本発明の組換えベクターにおいては、 本発明の DNAの発現には転写終結配列は 必ずしも必要ではないが、 構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが 好ましい。
宿主細胞としては、 ェシエリヒア属、 バチルス属、 コリネバクテリウム属、 ブレビバクテリウム属、 シユードモナス属、 セラチア属、 等に属する微生物、 例えば、 Escherichia coli L1 - Blue、 Escherichia col i—XL2-Blue、 Escherichia coli DHls Escherichia coli MC1000、 Escherichia coli KY3276、 Escherichia coli W1485、 Escherichia coli JM109、 Escherichia coli HB101、 Escherichia
coli No.49、 Escherichia coli W3110s Escherichia col i NY49、 Serratia ficaria 、 Serratia fonticola. Serratia liquefaciens Serratia marcescens、 Bacillus subtil is
s Bacillus amyloliquefaciens>
Brevibacterium immariophilum ATCC14068、 Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、 Corynebacterium glutajnicum ATCC13032、 Corynebacterium glutamicum ATCC14067、 Corynebacterium glutamicum ATCC13869、
Corynebacterium acetoacidophilim ATCC13870、 Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354, Pseudomonas sp. D-0110等をあげることができる。
組換え体 DNAの導入方法としては、 前記宿主細胞へ DNAを導入する方法であれ ばいずれも用いることができ、 例えば、 塩化カルシウム法 〔Proc. Natl. Acad. Sci . USA, 69, 2110 ( 1972)〕 、 プロトプラスト法 (特開昭 63-248394) 、 エレ クトロポレーシヨン法 〔Gene, 17, 107 ( 1982)、 Molecular & General Genetics, 168, 111 ( 1979)〕 等をあげることができる。
酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、 発現べクタ一として、 例えば、 YEpl3 (ATCC37115)、 YEp24 (ATCC37051)、 YCp50 (ATCC37419)、 pHS19、 pHS15 等を用いることができる。
プロモーターとしては、 酵母菌株中で発現できるものであればいずれのもの を用いてもよく、 例えば、 PH05プロモータ一、 PGKプロモー夕一、 GAPプロモー 夕一、 ADHブロモ一夕一、 gal 1プロモーター、 gal 10プロモー夕一、 ヒートシ ョックポリペプチドプロモ一夕一、 MFひ 1 プロモー夕一、 CUP 1プロモ一夕一等 のプロモーターをあげることができる。
宿主細胞としては、 サッカロマイセス属、 シゾサッカロマイセス属、 クルイ ベロミセス属、 トリコスポロン属、 シヮニォミセス属、 ピヒア属等に属する酵 母菌株をあげることができる。 具体的には、 Saccharomyces cerevisiaes Schizosaccharomyces pombeヽ Kluyveromyces lactis、 Trichosporon pullulans 、 Schwanniomyces alluvius、 Pichiapastris等をあげることができる。
組換え体 DNAの導入方法としては、 酵母に DNAを導入する方法であればいずれ も用いることができ、 例えば、 エレクトロボレ一シヨン法 〔Methods in
Enzymol. , 194, 182 (1990)〕、 スフエロプラスト法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 889 (1984)〕、 酢酸リチウム法 Journal of Bacteriology, 153, 163 ( 1983) 〕 等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合の発現ベクターとしては、 宿主動物細胞で 転写を行なうプロモータ一、 HD-PTP DNA、 転写の終止と転写物のポリアデニル 化のシグナルの配列を含有しているものが用いられる。 またべクタ一の作製や 維持を容易にするため、 Escherichia, coli内でも自律複製と遺伝子導入マーカ
—となる薬剤耐性遺伝子を発現できるものが望ましい。
プロモ—夕—としては、 動物細胞中で転写を行なえるものであればいずれも 用いることができるが、 SV40の初期プロモ一夕一、 ヒトサイ トメガロウィルス (CMV) の IE (immediate early) 遺伝子のプロモー夕一、 ラウス肉腫ウィルス (Rous sarcoma virus; RSV) ヽ ヒ卜免疫不全ウィルス (human immunodeficiency virus; HIV) 、 モロニ一マウス白血病ウィルス (Moloney mouse leukemia virus; MMLV)等レトロウイルスのロング ·夕一ミナル ·リピ一ト( long terminal repeat ; LTR) などのウィルス由来の配列を有するプロモ一夕一、 SV40の初期プロモー 夕一にヒト T細胞白血病ウィルス Iの LTRを人為的につなげた SRひプロモ一夕 ―、 またはメタ口チォネイン遺伝子や ?ーァクチン遺伝子、 伸長因子 (
Elongation factor) ― 1遺伝子などの動物細胞由来の遺伝子のプロモータ一等 をあげることができる。 また、 ヒト CMVの IE遺伝子のェンハンサ一をプロモ一夕 —と共に用いてもよい。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現べクタ一として、例えば、 PAGE107 〔特開平 3- 22979、 Cytotechnology, 3, 133, (1990)〕、 pAS3-3 (特開平 2- 227075 )、 pCDM8 CNature, 329, 840, (1987)〕、 pcDNAI/Amp ( Invitrogen社製)、 pREP4 (Invitrogen社製) 、 pAGE103 GJournal of Biochemistry, m, 1307 (1987)
〕 、 pCDL81等が用いられる。 pCDL81は、 ハイグロマイシン耐性遺伝子および EB ウィルス複製起点をもつベクター EBO-pcD Mol . Cell . Biol . , 8, 2837 ( 1988) 〕 に SRひプロモ一夕一を組み込み、 さらにマルチクローニングサイ ト (Xhol- I-Xbal-Kpnl-BajnHI ) および Poly Aシグナルの塩基配列を有する DNAを揷入し て作製したベクタ一である。
宿主細胞としては、 マウス · ミエローマ細胞、 ラット · ミエローマ細胞、 マ ウス ·ハイブリ ドーマ細胞、 マウス繊維芽細胞である NIH3T3細胞、 ラット繊維 芽細胞である Rat-2細胞、 ヒトの細胞であるナマルバ (Najnalwa) 細胞、 ヒト胎 児腎臓細胞、 ヒト白血病細胞、 アフリカミ ドリザル腎臓細胞、 チャイニーズ ' ハムスターの細胞である CH0細胞、 HBT5637 (特開昭 63-299) 等をあげることが できる。
マウス · ミエ口一マ細胞としては、 SP2/0、 NS0等、 ラット ' ミエローマ細胞 としては YB2/0等、 ヒトの細胞であるナマルバ (Namalwa) 細胞としては Namalwa KJM-1細胞、 ヒト胎児腎臓細胞としては HEK293(ATCC :CRL-1573)、 ヒト白血病細 胞としては BALL-1、 アフリカミ ドリザル腎臓細胞としては COS- 1、 C0S-7等をあ げることができる。
組換え体 DNAの導入方法としては、 動物細胞に DNAを導入する方法であればい ずれも用いることができ、例えば、エレクトロボレ一シヨン法〔Cytotechnology, 3, 133 ( 1990)〕 、 リン酸カルシウム法 (特開平 2-227075) 、 リポフエクシヨン 法 〔Proc. Natl . Acad. Sci . USA, 84, 7413 ( 1987)〕 等をあげることができる 宿主染色体 DNAに HD-PTP DNAが組み込まれた恒常的な HD-PTP発現細胞は、 G418 、 ハイグロマイシン等の薬剤に対する耐性遺伝子を発現できる配列を含む HD- PTP発現べク夕一を宿主細胞に導入し、 薬剤の存在下で培養することにより選択 することができる。 また、 宿主細胞中での HD-PTPの生産量を上昇させるために、 ジヒドロ葉酸レダク夕一ゼ (dihydrofolate reductase; dhfr) 遺伝子を発現で
きるような配列を含む HD-PTP恒常的発現ベクターを宿主細胞に導入し、 dhfr阻 害剤であるメ トトレキセ一ト (methotrexate) の濃度を段階的に上げながら培 養することにより、 dhfr遺伝子とともに HD-PTP DNAのコピー数を増幅させるこ ともできる。 この dhfr遺伝子を用 ヽた遺伝子増幅を行なう場合の宿主細胞とし ては、 dhfr遺伝子が機能していない細胞、 例えば CHO/dhfr- (ATCC:CRL-9096) などを用いる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、 例えば Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992) (以下、 パキュロウィルス ·イクスプレッシヨン ·ベクタ一ズ ·ァ ·ラボラト リ一 ·マニュアルと略す) 、 Bio/Technology, 6, 47 (1988)、 カレント 'プロ トコールズ ·ィン 'モレキュラー ·バイオロジー等に記載された方法によって、 ポリぺプチドを発現することができる。
すなわち、 組換え遺伝子導入べクタ一およびバキュロウィルスを昆虫細胞に 共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えゥィルスを得た後、 さらに組換えゥィ ルスを昆虫細胞に感染させることにより、 蛋白質を発現させることができる。 該方法において用いられる遺伝子導入べクタ一としては、 例えば、 pVL1392、 pVL1393、 pBlueBacIII (ともに Invitrogen社製) 等をあげることができる。 バキュロウィルスとしては、 例えば、 夜盗蛾科昆虫に感染するウィルスであ るァゥトグラファ ·カリフォルニ力 ·ヌクレア一 ·ポリへドロシス ·ウィルス (Autographa californica nuclear polyhedrosis virus) などを用いることが できる。
昆虫細胞としては、 Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞である Sf9、 Sf21 (バ キュロウィルス ·イクスプレッシヨン ·ベクターズ ·ァ ·ラボラトリ一 'マ二 ュアル) 、 Trichoplusia niの卵巣細胞である High 5 ( Invitrogen社製) 等を用 いることができる。
,組換えウィルスを調製するための、 昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入べク
夕一と上記バキュロウィルスの共導入方法としては、 例えば、 リン酸カルシゥ ム法 (特開平 2-227075) 、 リポフエクシヨン法 〔Proc. Natl . Acad. Sci . USA, 84, 7413 ( 1987)〕等をあげることができる。
遺伝子の発現方法としては、 直接発現以外に、 モレキュラー 'クロ一ニング 第 2版に記載されている方法等に準じて、 分泌生産、 融合蛋白質発現等を行う ことができる。
酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞または植物体で発現させた場合には、 糖あるいは糖鎖が付加された蛋白質を得ることができる。
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、 培養物中に本発明の 蛋白質を生成蓄積させ、 該培養物から採取することにより、 本発明の蛋白質を 製造することができる。
また、 患者の生体内から採取した細胞に、 適切な本発明の蛋白質を発現させ るための発現ベクターを導入した後、 細胞を生体内に戻すことにより、 本発明 の蛋白質を患者の生体内に発現させることもできる。
本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、 宿主の培養に用 t、られる通常 の方法に従って行うことができる。
大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転 換体を培養する培地としては、 該生物が資化し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類 等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、 合成 培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、 該生物が資化し得るものであればよく、 グルコース、 フラ クトース、 スクロース、 これらを含有する糖蜜、 デンプンあるいはデンプン加 水分解物等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 エタノール、 プロパ ノールなどのアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥム、 酢酸 アンモニゥム、 リン酸アンモニゥム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニゥム
塩、 その他の含窒素化合物、 並びに、 ペプトン、 肉エキス、 酵母エキス、 コー ンスチープリカー、 カゼイン加水分解物、 大豆粕および大豆粕加水分解物、 各 種発酵菌体、 およびその消化物等を用いることができる。
無機物としては、 リン酸第一カリウム、 リン酸第二カリウム、 リン酸マグネ シゥム、 硫酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マンガン、 硫 酸銅、 炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、 通常振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。 培養温度は 15〜40°Cがよく、 培養時間は、 通常 16〜96時間である。 培養中 pHは 3.0〜9.0に保持する。 pHの調整は、 無機または有機の酸、 アルカリ溶液、 尿素、 炭酸カルシウム、 アンモニアなどを用いて行う。
また、 培養中必要に応じて、 アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質 を培地に添加してもよい。
プロモー夕一として誘導性のプロモータ一を用いた発現ベクターで形質転換 した微生物を培養するときには、 必要に応じてィンデュ一サ一を培地に添加し てもよい。 例えば、 1^プロモー夕一を用いた発現ベクターで形質転換した微生 物を培養するときにはイソプロビル一 一 D—チォガラクトビラノシド等を、 ^プロモ一夕一を用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するとき にはィンドールァクリル酸等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に 使用されている RPMI1640培地!; The Journal of the American Medical Association, 199, 519 ( 1967)〕、 Eagleの MEM培地 〔Science, 122, 501 ( 1952)〕 、 DMEM培地 CVirology, 8, 396 ( 1959)〕 、 199培地 Proceeding of the Society for the Biological Medicine, 73, 1 ( 1950)〕 またはこれら培地に牛胎児血清等を添加 した培地等を用いることができる。
培養は、 通常 5 %C02存在下等の条件下で行う。 培養温度は 35〜37°Cがよく、 培養時間は、 通常 3〜7日間である。
また、 培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ペニシリン等の抗生物質を培地 に添加してもよい。
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に 使用されている TNM- FH培地 (Pharmingefi社製) 、 Sf-900 II SFM培地 (
LifeTechnologies社製) 、 ExCell400、 ExCe 11405 (いずれも JRH Biosciences社 製) 等を用いることができる。
培養温度は 25〜30°Cがよく、 培養時間は、 通常 1〜4日間である。
また、 培養中必要に応じて、 ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加して もよい。
上記形質転換体の培養液から、 上記方法により発現させた蛋白質を単離精製 するためには、 通常の蛋白質の単離、 精製法を用いればよい。
例えば、 本発明の蛋白質が、 細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終 了後、 細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液にけん濁後、 超音波破碎機、 フ レンチプレス、 マントンガウリンホモゲナイザ一、 ダイノミル等により細胞を 破砕し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離することにより得ら れた上清から、 通常の蛋白質の単離精製法、 即ち、 溶媒抽出法、 硫安等による 塩析法、 脱塩法、 有機溶媒による沈殿法、 ジェチルアミノエチル (DEAE) —セ ファロ一ス、 DIAI0N HPA-75 (三菱化学社製) 等のレジンを用いた陰イオン交換 クロマトグラフィー法、 S-Sepharose FF (Pharmacia社製) 等のレジンを用いた 陽イオン交換クロマトグラフィー法、 ブチルセファロース、 フエ二ルセファロ —ス等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、 分子篩を用いたゲルろ 過法、 ァフィ二ティークロマトグラフィー法、 クロマトフォーカシング法、 等 電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、 精製 標品を得ることができる。
また、 該蛋白質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、 同様に細胞を 回収後破砕し、 遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分として該蛋白質の
不溶体を回収後、 該蛋白質の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。 該可溶化液 を、 蛋白質変性剤を含まないあるいは蛋白質変性剤の濃度が蛋白質が変性しな い程度に希薄な溶液に希釈、 あるいは透析し、 該蛋白質を正常な立体構造に復 元させた後、 上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。 本発明の蛋白質あるいはその糖修飾体等の誘導体が細胞外に分泌された場合 には、 培養上清に該蛋白質あるいはその糖鎖付加体等の誘導体を回収すること ができる。 即ち、 該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理するこ とにより培養上清を取得し、 該培養上清から、 上記と同様の単離精製法を用い ることにより、 精製標品を得ることができる。
また、 本発明の蛋白質は、 Fmoc法 (フルォレニルメチルォキシカルボニル法 )、 tBoc法 (t一ブチルォキシカルボニル法) 等の化学合成法によっても製造 することができる。 また、 Advanced ChemTech社、 Perkin Elmer社、 Pharmacia 社、 Protein Technology Instrument社、 Synthecelト Vega社、 PerSeptive社、 島津製作所等のぺプチド合成機を利用し化学合成することもできる。
精製した本発明の蛋白質の構造解析は、 蛋白質化学で通常用いられる方法、 例えば遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析 (平野久著、 東京化学 同人発行、 1 9 9 3年) に記載の方法により実施可能である。
[3] HD-PTP蛋白質を認識する抗体の調製
•抗体産生株の作製
上記 [2]に記載の方法により取得した HD-PTP蛋白質の全長または部分断片の 精製標品、 あるいは HD-PTP蛋白質の部分ペプチド (ペプチド合成機を利用し化 学合成できる) を抗原として免疫する。 免疫する方法としては、 動物の皮下、 静脈内または腹腔内に抗原をそのまま投与してもよいが、 抗原性の高いキヤリ ァタンパク質を結合させて投与したり、 あるいは適当なアジュバントとともに 抗原を投与することが好ましい。
キャリアタンパク質としては、 スカシガイへモシァニン、 キーホールリンべ
ットへモシァニン、 牛血清アルブミン、 牛チログロブリン等があげられ、 アジ ュバンドとしては、 フロインドの完全アジュバント(Complete Freund' s Adjuvant )、 水酸化アルミニゥムゲルと百日咳菌ワクチン等があげられる。
免疫動物としては、 ゥサギ、 ャギ、 3〜 2 0週令のマウス、 ラット、 ハムス 夕一などの非ヒト哺乳動物があげられる。
抗原の投与は、 1回目の投与の後、 1〜2週間毎に 3〜1 0回行う。 抗原の 投与量は動物 1匹当たり 5 0〜1 0 0 gが好ましい。 各投与後、 3 〜7 日目 に免疫動物の眼底静脈叢あるいは尾静脈より採血し、 該血清の抗原との反応性 について、 酵素免疫測定法〔酵素免疫測定法 (ELISA法) :医学書院刊 ( 1 9 7 6年) 〕 などで確認する。
そして、 該血清が十分な抗体価を示した非ヒト哺乳動物を、 血清または抗体 産生細胞の供給源とする。
ポリクロ一ナル抗体は、 該血清を分離、 精製することにより調製することが できる。
モノクローナル抗体は、 該抗体産生細胞と非ヒト哺乳動物由来の骨髄腫細胞 とを融合させてハイプリ ドーマを作製し、 該ハイプリドーマを培養するか、 動 物に投与して該細胞を腹水癌化させ、 該培養液または腹水を分離、 精製するこ とにより調製することができる。
抗体産生細胞は、 抗原投与された非ヒト哺乳動物脾細胞、 リンパ節、 末梢血 などから採取する。
骨髄腫細胞としては、 マウスから得られた株化細胞である、 8-ァザグァニン 耐性マウス (BALB/c由来) 骨髄腫細胞株 P3-X63Ag8- U1(P3-U1 ) 〔Europ. J. Immunol. , 6, 511 ( 1976)〕、 SP2/0-Agl4(SP-2) CNature, 276, 269 ( 1978)〕、 P3-X63-Ag8653(653) 〔J. Immunol . , 123, 1548 ( 1979)〕、 P3-X63-Ag8(X63) 〔 Nature, 256, 495 ( 1975)〕 など、 イン 'ビトロ (in vitro) で増殖可能な骨髄 腫細胞であればいかなるものでもよい。 これらの細胞株の培養および継代につ
いてはアンチボディ一ズ ·ァ ·ラボラトリー ·マニュアル 〔Antibodies -A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988) 、 以下、 アン チボディーズ ·ァ ·ラボラトリ一 'マニュアルと略す〕 に従い、 細胞融合時ま でに 2 X 107個以上の細胞数を確保する。
上記で得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを洗浄したのち、 ポリエチレン グライコ一ルー 1000(PEG-1000)などの細胞凝集性媒体を加え、 細胞を融合させ、 培地中に懸濁させる。 細胞の洗浄には ME M培地または P B S (リン酸ニナト リゥム 1.83g、 リン酸一力リゥム 0.21g、食塩 7.65g、蒸留水 1 リットル、 pH7.2 ) などを用いる。 また、 融合細胞を懸濁させる培地としては、 目的の融合細胞 のみを選択的に得られるように、 HAT培地 [正常培地 〔RPMI-1640培地に 1.5 腿 ol/Lグルタミン、 5 x l(T¾ol/L 2-メルカプトエタノール、 10〃g/mlジェン夕 マイシンおよび、 10%牛胎児血清 (FCS) (CSL社製) を加えた培地〕 に l(T4mol/L ヒポキサンチン、 1.5 X 10-5mol/L チミジンおよび 4 10 ¾ol/L アミノブテリ ンを加えた培地] を用いる。
培養後、 培養上清の一部をとり、 酵素免疫測定法により、 抗原蛋白質に反応 し、 非抗原蛋白質に反応しないサンプルを選択する。 ついで、 限界希釈法によ りクロ一ニングを行い、 酵素免疫測定法により安定して高い抗体価の認められ たものをモノクローナル抗体産生ハイプリドーマ株として選択する。
•酵素免疫測定法
抗原蛋白質あるいは抗原蛋白質を発現した細胞などを 9 6ゥヱルプレートに コートし、 ハイプリドーマ培養上清もしくは上述の方法で得られる精製抗体を 第一抗体として反応させる。
第一抗体反応後、 プレートを洗浄して第二抗体を添加する。
第二抗体とは、 第一抗体のィムノグロブリンを認識できる抗体を、 ピオチン、 酵素、 化学発光物質あるいは放射線化合物等で標識した抗体である。 具体的に はハイプリドーマ作製の際にマウスを用いたのであれば、 第二抗体としては、
プ'ロブリンを認識できる抗体を用いる。
反応後、 第二抗体を標識した物質に応じた反応を行ない、 抗原に特異的に反 応するモノクローナル抗体を生産するハイプリ ドーマとして選択する。
モノクローナル抗体は、 ハイプリ ドーマ細胞を培養して得られる培養液、 ま たはプリスタン処理〔2,6,10,14-テトラメチルペン夕デカン(Pristane)0.5mlを 腹腔内投与し、 2週間飼育する〕 した 8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、 モノクロ一ナル抗体産生ハイプリ ドーマ細胞を腹腔内投与して腹水癌化させた 腹水から、 分離、 精製することにより調製できる。
モノクローナル抗体を分離、 精製する方法としては、 遠心分離、 40〜50%飽 和硫酸アンモニゥムによる塩析、 力プリル酸沈殿法、 DEAE-セファロ一スカラム 、 陰イオン交換カラム、 プロテイン Aまたは G- カラムあるいはゲル濾過カラ ム等を用いるクロマトグラフィー等を、 単独または組み合わせて行う方法があ げられる。 この方法により、 IgG あるいは IgM画分を回収し、 精製モノクロ一 ナル抗体を取得することができる。
精製モノクローナル抗体のサブクラスの決定は、 モノクローナル抗体タイビ ングキットなどを用いて行うことができる。 蛋白質量は、 ローリ一法あるいは 280nmでの吸光度より算出することができる。
なお、 抗体のサブクラスとは、 クラス内のアイソタイプのことで、 マウスで は、 IgGl、 IgG2a 、 IgG2b 、 IgG3、 ヒトでは、 IgGK IgG2, IgG3、 IgG4があげ られる。
[4] HD-PTP、 HD-PTP DNA、 HD-PTPを認識する抗体の利用
( 1 ) [1] に記載した HD-PTP DNAをプローブに用いたノーザンブロット ·ハイ ブリダイゼ一ション法、 HD-PTP DNAの一部の塩基配列を基にしたオリゴヌクレ ォチドをプライマーに用いた RT-PCR法等を行うことにより HD-PTPの mRNAを検出 または定量することができる。該 mRMを検出または定量することにより、 HD-PTP 遺伝子の発現している組織や細胞を検出すること、 HD-PTP遺伝子発現の誘導ま
たは抑制等の情報の取得ができる。 したがって、 これらの DNAは HD-PTPの発現を 測定し、 癌の診断薬、 HD-PTPの研究用試薬として用いることができる。
(2) [1]記載の HD- PTP MAあるいは HD-PTPォリゴヌクレオチドを用いて HD-PTP 遺伝子の欠失、 コピー数の変化、 染色体転座等の異常および該遺伝子の塩基配 列の置換、 欠失、 付加等の変異を検出することができる。
HD-PTP遺伝子の欠失、 コピー数の変化、 染色体転座等の異常の検出方法とし ては、 サザン ·ハイブリダィゼーシヨン法があげられる。 すなわち、 HD-PTP MA をプローブにして、 適当な制限酵素で切断した染色体 DNAをサザン 'ハイブリダ ィゼーシヨンすることにより、 HD-PTP遺伝子の欠失、 コピー数の変化、 染色体 転座等の異常を確認することができる。
HD-PTP遺伝子の塩基配列の置換、 欠失、 付加等の変異の検出方法としては、 サザン ·ハイプリダイゼ一ション法、 PCR法、 SSCP (single-strand conformation polymoprphism) 法〔Pro Natl. Acad. Sci. USA, 86, 2766 ( 1989)〕 などを 用いた方法があげられる。
癌細胞で共通して見出される変異が存在する場合は、 この変異部位とハイブ リダィズするオリゴヌクレオチドプローブにより染色体 DNAをサザン ·ハイプリ ダイゼ一ション解析することにより、 癌の診断を行なうことができる。
(3) [1]記載の HD-PTPの DNAを用いて、ラジェーシヨン'ハイプリッド法!: Science, 250, 245 ( 1990)〕や in situハイプリダイゼ一シヨン法〔Annals of Human Genetics, 45, 135 ( 1981 )、 Cell, 52, 51 ( 1988)〕 により、 HD-PTP遺伝子の染色体上の位 置を決定することができる。
ラジェ一シヨン .ハイプリッド法とは、 Gene-Bridge 4などのヒト染色体断片 をもつ多数のパネル (どの部分の染色体断片が含まれているか染色体マーカ一 により解析されているもの) DNAに対し、 HD-PTP遺伝子を特異的に増幅させるポ リメラ一ゼ ·チェイン ' リアクション (Polymerase Chain React ion、 以下、 PCR と略す) を行い、 増幅結果を解析することにより詳細な染色体の位置を特定す
る方法である。
in situハイプリダイゼーション法では、 まず、 ヒト染色体の標本に対し、 HD-PTPの DNAをプローブとしてハイプリダイズしたシグナルを検出し、 標本上の シグナルの位置を特定する。 これにより、 HD-PTP遺伝子の存在する染色体の番 号だけでなく、 その染色体上での物理的な位置を特定することができる。 プロ ーブは、 放射性同位体3 Hやピオチンにより標識し、 ¾標識ではオートラジオグラ フにより、 ピオチン標識では蛍光色素 FITC (フルォロセインイソチオシァネー ト) で標識したアビジンを用いてシグナルを検出することができる。
(4) [1]記載の HD-PTP DNAを用いて、 [2]に記載した方法により、 HD-PTPを生産 し取得することができる。
(5) HD-PTP遺伝子の異常は発癌に関与しており、 該異常遺伝子のコードする蛋 白質が発癌に起因していると考えられているため、 正常な HD-PTPを投与するこ とにより、 癌の治療薬として利用することができる。
本発明の HD-PTPを含有する医薬は、 治療薬として単独で投与することも可能 ではあるが、 通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒 に混合し、 製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した 医薬製剤として提供するのが望ましい。
投与経路は、 治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、 経口 投与、 または口腔内、 気道内、 直腸内、 皮下、 筋肉内および静脈内等の非経口 投与をあげることができ、 抗体製剤の場合、 望ましくは静脈内投与をあげるこ とができる。
投与形態としては、 噴霧剤、 カプセル剤、 錠剤、 顆粒剤、 シロップ剤、 乳剤、 座剤、 注射剤、 軟膏、 テープ剤等があげられる。
経口投与に適当な製剤としては、 乳剤、 シロップ剤、 カプセル剤、 錠剤、 散 剤、 顆粒剤等があげられる。
乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、 水、 ショ糖、 ソルビトール、
果糖等の糖類、 ポリエチレングリコール、 プロピレングリコール等のグリコー ル類、 ごま油、 ォリーブ油、 大豆油等の油類、 P—ヒドロキシ安息香酸エステ ル類等の防腐剤、 ストロベリーフレーバー、 ペパーミント等のフレーバー類等 を添加剤として用いて製造できる。
カプセル剤、 錠剤、 散剤、 顆粒剤等は、 乳糖、 ブドウ糖、 ショ糖、 マンニト ール等の賦形剤、 デンプン、 アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、 ステアリン酸 マグネシウム、 タルク等の滑沢剤、 ポリビニルアルコール、 ヒドロキシプロビ ルセルロース、 ゼラチン等の結合剤、 脂肪酸エステル等の界面活性剤、 グリセ リン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、 注射剤、 座剤、 噴霧剤等があげられる。 注射剤は、 塩溶液、 ブドウ糖溶液、 あるいは両者の混合物からなる担体等を 用いて調製される。
座剤はカカオ脂、 水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。 また、 噴霧剤は該化合物そのもの、 ないしは受容者の口腔および気道粘膜を 刺激せず、 かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体 等を用いて調製される。
担体として具体的には乳糖、 グリセリン等が例示される。 該化合物および用 いる担体の性質により、 エアロゾル、 ドライパウダー等の製剤が可能である。 また、 これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加 することもできる。
投与量または投与回数は、 目的とする治療効果、 投与方法、 治療期間、 年齢、 体重等により異なるが、 通常成人 1日当たり 1 O z g/k g S m g/k gで ある。
(6) (5)において HD- PTPを外から投与するかわりに、 [1]記載の HD-PTP DNAを組 み込んだ遺伝子治療用のベクタ一を患者に投与し、 夕一ゲットとなる細胞内で HD-PTP DNAを発現させることにより、 癌の治療を行うことができる。
(7) [2]記載の HD-PTPを抗原として用い、 [3]記載の方法により HD-PTPを認識す る抗体を製造することができる。
(8) [3]記載の抗体を用いて HD-PTPを検出することができる。 具体的にはマイ クロ夕イタ一プレートを用いる ELISA法 ·蛍光抗体法、 ウエスタンプロヅト法、 免疫組織染色等を用いた検出法をあげることができる。
(9) [3]記載の抗体を用いて HD-PTPを定量することができる。 具体的には、 液 相中で HD-PTPと反応する抗体のうち、 ェビト一プが異なる 2種類のモノクロ一 ナル抗体を用いたサンドィツチ ELISA法、1251等の放射性同位体で標識した HD-PTP と HD- PTPを認識する抗体を用いるラジオィムノアツセィ法等をあげることがで きる。 図面の簡単な説明
第 1図 細胞株 KALIの染色体 DMクローンえ SA2-26の挿入 DM断片の制限酵素地 図を示す図である。 A : Aval, B : BamH E : EcoRK Rv : EcoRV, S : SalK X : の各制限酵素サイトの位置を示す。 図の内部の数字は、 各^ RI断片の長さ を kbで表わしたものであり、 灰色の断片は Alulプローブとハイプリダイズした 断片を示す。 図の下部の線は、 KALIの mRNAのノーザン · ブロヅト 'ハイブリダ ィゼ一シヨンのプローブに用いた、 10種類の断片の位置を示す。 *をつけた断 片は、 KALIの mRNAとハイブリダィズし約 6kbのバンドを検出した、 ェクソンを含 むと考えられる断片である。
第 2図 MKN45の cDNAライブラリーの作製に用いたえファージベクタ一 APSLlの 構造および cDNAの挿入位置を示す図である。 H : ^dII I、 N: の制限酵素サ ィト、 A-Jは λファージの遺伝子 Aから Jに位置する遺伝子群を示す。 KH54と nin5 は入ファージベクタ一に用いられる遺伝子マーカ一である。 下にえ PSL1の作製 に用いたプラスミドベクタ一 pCDL81の構造を示した。 SRひ : SRひプロモー夕一、 PolyA : polyAシグナル、 hph:ハイグロマイシン耐性遺伝子、 Ap:アンピシリン
耐性遺伝子を示す。
第 3図 HD-PTPと他の蛋白質チロシンフォスファターゼ(PTP) のチロシンフォス ファタ一ゼドメインのアミノ酸配列の比較を示す図である。
HD-PTPのチロシンフォスファターゼドメイン (配列番号 2の 1212〜1331番め に相当) のアミノ酸配列と同じアミノ酸を *で示した。 +は、 各 PTPで保存され ている活性中心付近のアミノ酸配列の位置を示す。比較した 13種類の PTP中 12以 上の PTPで保存されているにもかかわらず、 HD-PTPでは保存されていないァミノ 酸を #で示した。 比較した PTPの蛋白質データベース SWISS-PR0Tのアクセス番号
(ただし PTP-Hのみは蛋白質データベース PIRのアクセス番号である) を以下に 示す。 かっこ内は、 各アミノ酸配列中のチロシンフォスファタ一ゼドメインの 位置である。 PTP-1B :P18031(35〜279)、 PTP - HI: P26045 (665〜903)、 MEG1: P29074
(674〜913)、 PTP-ひ: P18433 (260〜503)、 PTP- ? :P23467 ( 1722〜; 1965 )、 PTP- δ: Ρ23468 (1375〜1614) 、 PTP- e :Ρ23469 (154〜396) 、 LAR:P10586 ( 1360〜 1599)、PTP-ァ: P23470 (869〜1121)、PTP- S :P23471 (1744〜1993)、PTP-2C :Q06124
(268〜523) 、 PTP-H:A49724 (841〜: 1083) 、 CD45 :P08575 (670〜912) 。
第 4図 HD-PTPとラット PTP-TD14のアミノ酸配列の比較を示す図である。
上段が HD- PTPのアミノ酸配列であり、 下段がラット PTP-TD14のァミノ酸配列で 一致しているアミノ酸は *で示し、 一致していないアミノ酸は表記した。 —は 対応するァミノ酸配列がないことを示す。 数字は各蛋白質の N末端からの位置 を示す。
第 5図 HD-PTP蛋白質の構造を示す模式図である。
Aは HD-PTP蛋白質の一次構造上の特徴を示した図で、 Nが N末端側、 Cが C末 端側である。 下の数字はアミノ酸配列の番号を示す。 Yはチロシンキナーゼに よりリン酸化を受ける可能性のあるチロシン残基の位置、 Sはセリンスレオニ ンキナーゼである MAPキナーゼによりリン酸化を受ける可能性のあるアミノ酸 残基の位置、 SHBは SH3と結合する可能性のあるモチーフを示す。 ヒスチジンド
メイン内の線は、 Zn-leaf様構造を取るための繰り返し構造を示す。
Bは HD-PTP蛋白質の Zn-leaf様構造を含む模式図であり、 Hおよび Cはヒスチジ ンドメイン中で金属イオンが配位し Zn- leaf様構造をとるための、 ヒスチジンお よびシスティン残基を表わす。 Yはチロシンキナーゼによりリン酸化を受ける 可能性のあるチロシン残基、 SHBは SH3と結合する可能性のあるモチーフを示す。 第 6図 HD- PTPと BR01のアミノ酸配列の比較を示す図である。 上段が HD-PTPのァ ミノ酸配列で下段が BR01のアミノ酸配列を示し、 一致しているアミノ酸は Iで、 類似のアミノ酸は ·で示した。 数字は各蛋白質の N末端からの位置を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例を示す。
実施例 1 HD-PTPの cDNAのクロ—ン化
( 1 ) プローブとなる DNA断片のクローン化
ヒト B細胞リンパ腫セルライン KAL- 1 Cancer Res. , 51, 5392 ( 1991 )〕 から 、 プロティナ一ゼ KZフエノール一クロ口ホルム抽出法 (モレキュラー 'クロ —ニング第 2版) によりヒト染色体 DNAを単離し、 該 DNAをエタノール沈殿 (モ レキユラ一 'クロ一ニング第 2版) により精製した。
ラット繊維芽細胞系セルライン Rat- 2 CVirology, 113, 408 ( 1981 )、 ATCC CRL-1764〕 を 5 %の仔ゥシ血清を含むダルべッコ改変 MEM培地で、 10cmディッシ ュ 3枚に培養した。
培養後、 ディッシュ 1枚あたり、 取得された KAL-1のヒト染色体 DNA 30 gお よび DNA導入マーカ一となるハイグロマイシン耐性遺伝子をもつプラスミ ド pHyg CMol . Cel . Biol . , 5, 410 ( 1985 )〕 の DNA 500ngとを、 リン酸カルシウム 法により 10cmディッシュ内の細胞に共導入させた。
導入後、 32時間培養し、 得られたディッシュ 1枚当りの培養細胞を 8枚の培 養ディッシュにまきかえた (計 24枚) 。 該細胞を 16時間培養した後、 培地に終
濃度 250 g/mlのハイグロマイシンを添加して培養を続けた。 DNAが導入された 細胞はハイグロマイシン耐性となり、 ハイグロマイシン含有培地で増殖し、 コ ロニーを形成する。 該培養の結果、 約 400個のコロニーが形成された。
上記 24枚の培養ディヅシュで、 コロニーを形成した細胞を各ディヅシュごと にまとめて回収した。 これら回収した細胞を 0.5%軟寒天培地 (0.5%の寒天お よび 10%のゥシ胎児血清を含む DMEM培地) の上にさらに寒天濃度 0.33%の軟寒 天培地を上層した培地の上に載せて 3週間培養した。 コロニーを形成した細胞 について顕微鏡観察を行い、 50細胞以上の細胞数のコロニーを形成した細胞を 単離した。
単離した細胞について、 上述の方法を用いて染色体 DNAを抽出した。 該 DNA 10 gを^ RIで切断後、 ァガロースゲル電気泳動を行った。 泳動後、 ゲル中の DNA をフィル夕一に転写し、 KAL-1の染色体 DNAをランダムブライマ一法により32 Pで 標識したものをヒト Alu配列に対応するプローブ (以下、 Alu配列プローブとい う) を用いてサザン 'ハイブリダィゼ一シヨンを行い、 コロニーに含まれるヒ ト DNAの分析を行った。
その結果、 独立した 4個のコロニー由来の DNAが、 該プローブとハイブリダィ ズする 7kbの DNA断片を有することがわかった。 得られた 4つのコロニーから 2 つを選び、 該コロニー由来の染色体 DNAを単離 '精製した。
再度、 上記と同様の操作を繰り返した。 すなわち、 該 DNAをプラスミド pHygと Rat-2細胞に共導入し、 ハイグロマイシン耐性コロニーを選択した。取得された コロニーから同様にして染色体 DNAを抽出し、 抽出した DNA を^ RIで切断 後、 ァガロースゲル電気泳動を行い、 ゲル中の DNAをフィル夕一に転写後、 ヒト Alu配列プローブを用いてサザン ·ハイブリダィゼ一シヨンを行い、 最初に得ら れた 4個のコロニー由来の DNAと同様にハイブリダイスする、 7 kbの^ RI断片 を有する 6個の独立したコロニーを選択した。
該コロニー由来の染色体 DNAを ^RIで部分的に切断し、 該 DNA断片と、 人ファ
—ジベクターであるえ DASH I I (stratagene社) の^ RI切断アームとライゲー シヨンし、 インビトロパッケージングを行った後、 大腸菌株 LE392 〔モレキユラ 一-クロ一ニング第 2版〕 に導入し、 DNAライブラリ一を作製した。
6 x lO5プラークについて、上記と同じヒト Alu配列プローブを用いてプラーク •ハイブリダィゼーシヨンによりスクリ一二ングし、 約 20kbの挿入 DNAを持つポ ジティブクローン 2個を単離した。
これら 2つのポジティブクローンの挿入 DNAを、 ^ RIで切断後、 ァガロース ゲル電気泳動を行い、 ゲル中の DNAをフィル夕一に転写後、 ヒト Alu配列プロ一 ブを用いてサザン ·ハイブリダィゼ一シヨンを行った。
2つのポジティブクローンとも、 挿入 DMは、 ^RIで 7.2kb、 7.0kb、 3.1kb、 1.5kb、 l. Ok 0.2kbの 6断片に切断され、 3断片 (7.2kb、 7 .0kb、 0.2kb) が Alu配列プローブとハイブリダィズし、 残りの 3断片 (3.1kb、 1.0kb、 1.5kb) は Alu配列プローブとハイブリダィズしなかった。
さらに、 これらポジティブクローンの 1つ (人 SA2-26) について、 第 1図に 示す制限酵素地図を作成した。 各制限酵素で切断した DNA断片について、 Alu配 列プローブでサザン ·ブロット ·ハイブリダィゼ一シヨンを行った。 その結果、 下記 10種類の断片は Alu配列プローブとハイプリダイズせず、 Alu配列を含んで いないと判断された。
#6: l. Okb ^RI- £ RI断片
#7: 断片
#8: 11-^1断片
#9: I- ^RV断片
#10: I- I断片
#11: I-^RI断片
#12: 1.5kb ^RI-^RI断片
#13: ^RI- I断片
#15: 1- 1断片
#16: ^HI-^RI断片
上記 10種類の DNA断片をそれぞれプローブにして、 KAL- 1の mRNAに対してノー ザン ·ブロット ·ハイブリダイゼ一シヨンを行い、 KAL-1の mRNAとハイプリダイ ズする DNA断片をスクリーニングした。 その結果 6種類の断片 (#6、 #8、 #11、 #13、 #15、 #16) が 6kbの mRNAとハイブリダィズし、 ェクソンを含む断片である と推定された。 これらの DM断片のうち、 #13 (0.5kb) と #15 (l . Okb) を選択し 、 下記に述べる cDNAクロ一ニングのプローブとして用いた。
(2) HD-PTP cDNAのクローン化
ヒト胃癌セルライン MKN45 CJpn. J. Cancer Res. 77, 849 ( 1986)、 理化学研 究所細胞開発銀行 RCB1001〕 の cDNAライブラリ一を Gublerと Hoffmanの方法 〔 Gene, 25, 263 ( 1983)〕 に基づいて作製した。
ベクターとして、 え PSL1を用いた。 え PSL1は以下の方法で構築した。
実施例 7に後述した PCDL81を制限酵素^ dl l Iで切断した。 得られた約 7.9kb の DNA断片 2コピーを連結し、 該 MAをえ DASH I I (Stratagene社製) の ^dl l l サイト間に挿入し、 ベクターえ PSL1を構築した。
入 PSL1の構造を第 2図に示した。さらに、第 2図にあるように、 え PSL1を l で切断し、 pCDL81を 1コビ一相当分除いた l切断 DNA断片に cDNAを揷入し、 該 プラスミドを宿主大腸菌株 LE392に挿入して cDNAライブラリ一を作製した。 この 方法は、 ベクターに 0.5〜13kbの DNAが挿入されない場合には、 ほとんどファー ジの生育がみられないため、 短い cDNAのクローンを除くことができる。
( 1 )で得られた DNA断片 #13および #15をプローブにして、 上述の cDNAライブラ リーについて常法 (モレキュラー ·クローニング第 2版) に従ってプラーク · ハイブリダィゼ一シヨンを行った。 その結果、 2つのポジティブクローン 〔 cKALll ( 4 kb) および cKAL16 (5.4kb) 〕 が得られた。
これら 2つのクローンの cDNAの制限酵素地図を作成し、 構造が異なることが
推定されたため、 両者の塩基配列を dye terminator cycle sequencing法により 決定し、 比較した。
CKAL16の塩基配列を配列番号 4に示した。 該塩基配列の塩基番号 1〜3759番 目に、 1253アミノ酸をコードするオープン ' リーディング 'フレーム (0RF) が 存在していた。
cKALllの塩基配列を配列番号 5に示した。 cKALllは、 cKAL16の塩基配列にィ ントロンが挿入された構造を有していた。 すなわち、 配列番号 5の塩基番号 141 〜529番目、 676〜960番目、 1273〜1347番目、 1655〜: 1740番目、 3680〜3773番目 、 3959〜4084番目、 4190〜4273番目、 413〜4504番目、 4619〜4696番目にイン トロンが挿入されていた。
したがって cKALllは CKAL16と同じ遺伝子由来だが、 ィントロンが残ったまま の不完全なスプライシングの mRNAから合成された cDNAクローンであると考えら れる。
該 CKAL16の cDNAの塩基配列の新規性を、 塩基配列データベース GenBankに対し 解析プログラム BLAST 〔J. Mol . Biol . , 215, 403 ( 1990)〕 を用いて検索した結 果、 新規な塩基配列であることが判明した。 また、 ラットで最近報告された蛋 白質チロシンフォスファタ一ゼ (protein tyrosine phosphatase;以下、 PTPと 略す) である PTP-TD14 CJ. Biol . Chem. , 273, 21077 ( 1998)〕 の cDNAと全体に わたって高い相同性を示し、 新規なヒトの PTPをコードする cDNAであることが推 測された。 CKAL16の cDNA中の 0RFのアミノ酸配列の C末端側 829〜1071番目の領 域には、 図 3に示すように他の PTPのフォスファタ一ゼ領域と相同性をもつ領域 が存在し、 新規 PTPをコードしている cDNAと考えられた。 しかし、 CKAL16の 0RF は cDNAの 5'末端から開始しており 5'非翻訳領域がないこと、 そのアミノ酸配列 が PTP-TD14のアミノ酸配列の途中 240番目以降と高い相同性を示すことから、 CKAL16は完全長の cDNAクローンではなく、 完全長の cDNAはさらに 5'末端側に延 長しているものと考えられた。
そこで、 cKAL16の塩基配列をもとにして、 5, -RACE法〔Proc. Natl . Acad. Sci . USA, 85, 8998 ( 1988)〕 により、 さらに 5'末端側に延長した cDNA断片を増幅し、 クローン化した。 cDNA断片の塩基配列を決定し、 CKAL16の塩基配列とつなげた ものを完全長の cDNAの塩基配列とし、 配列番号 1に示した。 なお、 この配列番 号 1の塩基配列と cKALllの塩基配列を比較することにより、 cKALllの塩基配列 の 1〜74番目もイントロン配列であることがわかった。 配列番号 1の塩基配列 の 64〜4971番目には、 1636アミノ酸からなる 0RFが存在しており、 この領域をヒ ト新規 PTPをコードする領域とし、 そのアミノ酸配列を配列番号 2に示した。 こ のヒト新規 PTPのアミノ酸配列を前述したラット PTP-TD14と比較すると、 ラヅト PTP-TD14に比べて N末端が 180アミノ酸長いが、 図 4に示すようにアミノ酸配列 の 181番目以降は部分的に揷入ゃ欠失があるものの相同性を有していた。 181番 目以降部分のアミノ酸配列の相同性は 83 %であった。
該ヒト新規 PTPのアミノ酸配列の C末端側 1212〜1454番目には、 他の PTPと相 同性をもつフォスファタ一ゼ領域が存在した。 ただし、 第 3図に示すように他 の PTPの活性中心領域では保存されているアミノ酸配列〔Val His Cys Ser Ala Gly (Val/Ile) Gly Arg (Thr/Ser) Glyヽ J. Biol. Chem. , 267, 140 ( 1992)〕 内の ァラニンがセリンに変換していた。 また他の PTPでは保存されているが、 該新規 PTPでは保存されていないアミノ酸が 14ケ所存在した。 また、 770〜; 1128番目に は、 ヒスチジンあるいはシスティンを先頭に、 プロリンに富んだ 20〜50アミノ 酸からなる構造が 15回繰り返す領域が存在した。 該領域のヒスチジンおよびシ スティンに亜鉛などの金属イオンが酉己位するため、 第 5図に示すようなュニ一 クな構造 (Zn- leaf様構造) をとると考えられる。 本発明では、 該繰り返し領域 をヒスチジンドメイン (His Domain; HD )と名付け、 新規 PTPを HD-PTPとした。 また、 N末端の 778アミノ酸は、 第 6図に示すように、 酵母の MAPキナーゼ情 報伝達経路に関与する蛋白質である BR01 CMol. Cell. Biol . , 16, 2585 ( 1996) 〕 とも相同性を有する。 さらに、 BR01、 BR01と相同性を有するラット PTP-TD14、
および線虫 elegansの第 3染色体の塩基配列解析から R10E12. 1遺伝子 (
GenBankアクセス番号; Z29561) にコードされていると推定される 98kDa蛋白質 (; Nature, 368, 32 ( 1994)〕 で共に保存されているアミノ酸配列モチーフ Lys Asp Asn Asp Phe l ie Tyr His Glu Xaa Val ( Ser/Pro)が 314〜325番目に存在した。 また、 配列番号 2の 719〜730番目、 745〜750番目、 898〜905番目、 950〜957 番目、 1051〜1058番目、 1093〜: 1102番目、 Π39〜: 1145番目の HD付近には、 SH3結 合ドメインと考えられる配列が存在する。
また、 配列番号 2の 414、 665、 679、 922、 924、 998、 990、 1243番目のチロシ ン残基は、 チ口シンキナーゼによりリン酸化を受ける可能性のあるチロシン残 基が存在する。
また、 膜結合部位と考えられるような疎水性の高い領域がないため、 細胞質 に存在するタイプのフォスファタ一ゼと考えられた。
以上の特徴を考え合わせると、 HD-PTPは他の蛋白質と相互作用を行い、 細胞 内の情報伝達に関与している PTPの可能性を有する。
また、 C末端側には代謝回転の速い蛋白質に特異的に見出される配列である、 プロリン、 グルタミン酸、 セリン、 スレオニンからなるクラスターである PEST 配列 Science, 234, 364 ( 1986)〕 が存在する。
実施例 2 HD-PTP遺伝子の染色体位置の決定
配列番号 3記載の HD-PTP遺伝子の 584〜604番目および 2167〜2186番目に相当 する配列番号 6および 7に示す DNAをプライマ一として、 ヒトゲノム DNAを铸型 にして PCRを行ない、 1.6kbの DNA断片が増幅することを確認した。 PCRの温度条 件は、 94°Cで 4分間加熱後、 1サイクルが 94°Cで 1分間 _64°Cで 4分間からな る反応を 35サイクル繰り返し、 最後に 72°Cで 7分間加熱した。
Research Genetics社製のラディエーション 'ハイブリッド 'パネル (radiation hybrid panel) Gene-Bridge 4を購入し、 93個のラデイエ一シヨン ·ハイブリヅ ドクローンの DNA各 25ngを鍊型にして、 上記の PCRを行い、 その結果を Whitehead
Institute/MIT Center for Genome Researchのインターネット Webサイ ト (URL : http://www-genome.wi .mit. edu/cgi-bin/contig/rhmapper.pl) 禾1|用して解 析することにより、 詳細な染色体マツビングを行った。
その結果、 HD-PTP遺伝子は Whitehead研究所の染色体上の位置を示すマーカ — WI-11814と WI- 16174の間にあることが判明した。 この位置は、 第 3染色体短 腕 (3p) の 3p21.3に存在するマ一カー D3S3888 (テロメァ側) と D3S3334 (セン トロメァ側) の間であった。 3p21.3という染色体位置は、 肺癌をはじめ、 類部 癌や大腸癌で高頻度に L0Hがみられる位置と一致していた。 またこの位置は、 SCIDマウスで腫瘍性を示すような、 ヒト第 3染色体およびマウス A9細胞の雑種 融合細胞で共通して欠失している、 ヒト第 3染色体上の 1.6cM (センチモルガン ) の領域〔Genes, Chromosome & Cancer, 20, 329 ( 1997)〕 内にあり、 まだ見 出されていない 3p21.3に存在する癌抑制遺伝子と考えられた。
実施例 3 HD-PTP遺伝子のゲノム DNAの塩基配列
実施例 1で得られた cKALllは、 ィントロンが残存している cDNAクローンであ るので、 大部分はゲノム DNAの塩基配列と一致すると考えられたが、 一部のイン トロンがスプライスされている可能性もある。 そこで、 ヒトゲノム DNAを錶型に して、 cKALllの各ェクソンと考えられた領域を含む断片を PCRによって増幅し、 その塩基配列を cKALl 1の塩基配列と比較することにより、 そのェクソン内にィ ントロンが存在しないかどうかを確認した。ただし、配列番号 5の塩基配列 1741 〜3679番目に相当するェクソンは長いので、 6分割して増幅することにした。 配列番号 8〜37に記載した塩基配列を有する 15組のプライマ一セット (配列 番号 8と 9、 配列番号 10と 11、 配列番号 12と 13、 配列番号 14と 15、 配列番号 16 と 17、 配列番号 18と 19、 配列番号 20と 21、 配列番号 22と 23、 配列番号 24と 25、 配列番号 26と 27、 配列番号 28と 29、 配列番号 30と 31、 配列番号 32と 33、 配列番 号 34と 35、 配列番号 36と 37) を用いて PCRを行った結果、 配列番号 4の塩基配列 1348〜1654番目に相当するェクソン中に9 からなる 1ィントロン、 塩基配列
1741〜3679番目に相当するェクソン中に 93bpからなる 1イントロンがさらに存 在することがわかった。 また、 上述の方法により得られた HD-PTPゲノム DNAより もさらに 5,側の HD- PTPゲノム DNAの塩基配列を、 実施例 1で得られた HD-PTPの cDNAの塩基配列を利用したプライマ一 'ウォーキングにより解析した。 その結 果、 配列番号 1の塩基配列を有する cDNAは 25ェクソンからなり、 ェクソン間に 24ィントロンが挿入されていることが明らかとなった。 第 1ェクソンと第 2ェ クソンの間の第 1イントロンは約 5.5kb、 また第 2ェクソンと第 3ェクソンの間 の第 2イントロンは約 8kbと長大なものであり、 第 1ェクソンから第 25ェクソン まで約 22kbに渡っていた。 この 2つの長いイントロンについては、 ェクソンと 隣接する領域の塩基配列のみ決定した。 HD-PTP遺伝子のゲノム DNAのうち、 配列 番号 40に第 1ェクソンおよび隣接する第 1イントロンの 5'端の領域、 配列番号 41に第 2ェクソンおよび隣接する第 1イントロンの 3,端と第 2イントロンの 5' 端の領域、 配列番号 3に第 2イントロンの 3'端とそれに隣接する第 3ェクソン から第 25ェクソンまでの領域の塩基配列をそれぞれ示した。 配列番号 40の 1〜 131 (ェクソン 1) 、 配列番号 41の 404〜478 (ェクソン 2) 、 配列番号 42の 529〜 656 (ェクソン 3) 、 881〜957 (ェクソン 4) 、 1625〜1674 (ェクソン 5) 、 1791 〜; 1922 (ェクソン 6) 、 2201〜2281 (ェクソン 7) 、 2357-2488 (ェクソン 8) 、 2579〜2626 (ェクソン 9) 、 3006〜3062 (ェクソン 10) 、 3185〜3243 (ェクソン 11) 、 3381〜3460 (ェクソン 12) 、 3573〜3687 (ェクソン 13) 、 3766〜3831 ( ェクソン 14) 、 4221〜4366 (ェクソン 15) 、 4652〜4963 (ェクソン 16) 、 5039 〜5193 (ェクソン 17) 、 5293〜5444 (ェクソン 18) 、 5531〜5710 (ェクソン 19 ) 、 5804-7562 (ェクソン 20) 、 7657〜7841 (ェクソン 21) 、 7968〜8072 (ェ クソン 22)、 8157〜8295 (ェクソン 23)、 8388〜8501 (ェクソン 24) および 8580 〜9307番目 (ェクソン 25) がェクソンに当たる領域である。
実施例 4 肺癌細胞での HD-PTP遺伝子の変異の検出
( 1 ) 肺癌患者における染色体 3p21.3の L0H
文献〔Cancer Res. , 57, 1344 ( 1997)〕 の方法に基づいて、 PCRによりヒト染 色体の 3p21.3に存在するマイクロサテライトマ一力一である D3S3564、 D3S3559, D3S3582、 D3S1568についてマイクロサテライト多型を解析することにより、 3ρ21 · 3付近の L0Hの有無について、 肺癌患者の癌組織と正常組織 30組を調べた。 その結果、 調べた癌組織の約 40%において 1つ以上のマーカ一の欠失がみら れた。
( 2 ) 肺小細胞癌セルラインにおける HD-PTP遺伝子の変異の検出
SSCP (single strand conformational polymorphism) 法 〔Proc . Natl . Acaa. Sci . , 86, 2766 ( 1989)〕 により、 肺小細胞癌のゲノム DNA中の HD-PTP遺伝子の 塩基配列の変異の検出を試みた。
実施例 3で用いたェクソン増幅用の PCRブラィマーを用いて、 肺小細胞癌系セ ルライン 〔Lu-130 (理化学研究所細胞銀行 RCB0465) 、 Lu-135 (理化学研究所 細胞銀行 RCB0468) 、 NCI-H69 (ATCC HTB-119) 、 NCI-H82 (ATCC HTB-175) 、 NCI-N417 (ATCC CRL-5809) 、 RERF-LC-MA (JCRB/HSRRB細胞バンク JCRB0812) 、 SBC-5 (JCRB/HSRRB細胞バンク JCRB0819)、 NCI-H526 (ATCC CRL-5811)、 NCI-H209 (ATCC HTB-172) 、 NCI-H841 (ATCC CRL-5845) 、 NCI-H774 (ATCC CRL-5842) 、 MS-18〕 のゲノム DNAを錶型として用い、 PCRを行った。 PCR後、 得られた反応サ ンプルを用い、 非変性条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。 泳 動後、 ゲルを銀染色した。
正常な HD-PTP遺伝子を用いた場合と比較し、 移動度の変化した PCR増幅 DNA断 片をゲルから抽出した。 該 DNAを錶型として用い、 再度、 上記操作を繰り返し、 増幅 DM断片を精製した。
該 DNA断片を铸型として用い、 PCRプライマーを利用した塩基配列の決定を行 つた。
その結果、 RERF- LC- MAにおいては、 配列番号 3の塩基番号 6969番目、 配列番 号 1の塩基番号 3358番目に相当する塩基が Cから Tに変異していた。 この変異に
より、 コードするアミノ酸残基がプロリンからセリンに置換される。 該プロリ ン残基は、 SH3結合モチーフ部位中に存在するため、 セリンへの変異により、 HD-PTPが正常に機能しない可能性がある。
また、 癌細胞系セルラインあるいは患者癌組織のサンプル (合計総数 325) に ついて、 さらに同様の解析を行なったところ、 6個のサンプル (全体の 1.8%に 相当) において、 配列番号 3の塩基番号 7724番目、 配列番号 1の塩基番号 4019 番目に相当する塩基が Cから Tに変異していた。 この変異により、 コードするァ ミノ酸残基がァラニンからパリンに置換される。
実施例 5 癌細胞における HD-PTP遺伝子の発現量の変動
9種類のヒト癌細胞系セルライン 〔胃癌; MKN1 (RCB1003)、 MN28 (RCB1000 )、 MKN45, MKN74 (RCB1002)、 KATO I I I (ATCC HTB-103), 腎癌; KPK1 〔Journal of Urology, 128, 1117 ( 1982)〕、 PK13 Journal of Urology, 128, 1117 ( 1982) 〕 、 口腔癌; KB (ATCC CCL-17) 、 リンパ種; KAL-1〕 および正常繊維芽細胞セ ルライン WI- 38 (ATCC CCL-75) から全 RMあるいは poly A RNAを常法により抽出 した。全 RNAを 2 0〃gまたは 0 11 を2 ^用ぃて、実施例 1で得られた cKAL16 をプローブにしてノーザンブロットを行なった。 2種類の胃癌細胞系セルライ ン MKN74および KAT0 I I Iでは、 全くバンドがみられず、 HD-PTP遺伝子が発現して ないと考えられた。
実施例 6 各組織での HD-PTP遺伝子の発現
ォス成体ラッ卜の脳、 肺、 心臓、 耳下腺、 胃、 小腸、 大腸、 肝臓、 滕臓、 腎 臓、 膀胱、 精巣、 精巣上体、 精嚢、 脾臓、 胸腺、 リンパ球、 甲状腺および副腎 からそれぞれ全 RNAを常法により抽出し、 実施例 5に記載の方法に準じて、 実施 例 1で得られた CKAL16をプローブとして用い、 ノーザン ·ブロット 'ハイプリ ダイゼ一ションを行なつた。
ハイブリダイゼ一ションの結果、 RNAの分解が激しかった滕臓と脾臓を除く全 ての臓器で、 ラット HD-PTP mRNAと考えられるバンドが検出されたため、 HD- PTP
遺伝子は全ての臓器で普遍的に発現していると考えられた。
HD-PTPは細胞内フォスファタ一ゼであり、 全ての臓器に普遍的に存在すると 考えられるため、 HD-PTPは細胞内での情報伝達に重要な役割を果たしている分 子である可能性が高い。
実施例 7 遺伝子組換え法による動物細胞での HD-PTPの発現
ハイグロマイシン耐性遺伝子および EBウィルス複製起点を有するベクター EBO-pcD CMol . Cell. Biol . , 8, 2837 ( 1988)〕 に、 ヒト T細胞白血病ウィルス Iの LTR由来のプロモーターである SRひプロモーター〔Mol. Cell. Biol. , 8, 466 ( 1988)〕 を組み込んだプラスミド pCD-EB (九州大学 早川浩博士より供与) の SRひプロモーターの直後の XholZBamHIサイト間にマルチクロ一ニングサイト
を挿入し、 動物細胞発現用べクタ一 pCDL81を作 製した。 マルチクローニングサイトは、 配列番号 38および 39に示した塩基配列 を DNA合成機で合成し、 作製した。 PCDL81に実施例 1でクローン化した CKAL16の HD-PTP cDNAを挿入し、 HD-PTP発現プラスミド pDKL4fを作製した。 なお、 HD-PTP 発現プラスミド pDKL4fを含有する形質転換体 Escherichia coli DH5ひ/ pDKL4fは 、 平成 10年 9月 1 1日付けで工業技術院生命工学工業技術研究所 (日本国茨城 県つくば巿東 1丁目 1番 3号 郵便番号 3 0 5— 8 5 5 6 ) に FERM BP-6499と して寄託されている。
リン酸カルシウム法を用いて、 マウス細胞株 NIH3T3あるいはラット細胞株 Rat-2に発現プラスミド DNAを導入し、 ハイグロマイシン耐性により形質転換細 胞を選択した。 選択された形質転換細胞から常法により DNAを抽出し、 ァガロー スゲル電気泳動を行い、 ゲルをフィルターに転写後、 cKAL16 cDNAをプローブと してサザン ·ブロット ·ハイブリダィゼ一シヨンを行い、 形質転換細胞に導入 したヒト HD-PTP cDNAが保持されていることを確認した。 また形質転換細胞から 常法により RNAを抽出し、 実施例 4と同様にしてノーザン 'プロット 'ハイプリ ダイゼ一シヨンを行い、 導入したヒト HD- PTP遺伝子の発現を検出した。
ヒト HD-PTP遺伝子の発現の認められた形質転換細胞は、 実施例 1でみられた ような軟寒天中でのコロニ一形成を示すようになった。 このコロニ一形成能は ノーザンプロットによって HD-PTP遺伝子の発現量が高いものほど強い傾向にあ つた。 この形質転換細胞 2 X 107個を、 放射線照射した胸腺欠損ヌードマウスの 皮下に注入し、 腫瘍形成するかどうか 60日間観察したが、 注入後腫瘍を形成し たマウスはいなかった。 したがつてこのコロニー形成能は腫瘍形成能とは無関 係の性質であると考えられた。
これらの形質転換細胞の細胞抽出液を用いて、 文献 〔J. Biol . Chem. , 269, 13614 ( 1994)〕 の方法に基づいた、 ρ—ニトロフエノールリン酸を基質として フォスファタ一ゼ活性の測定を行つた。 形質転換して ゝない細胞の細胞抽出液 と比較して HD-PTP遺伝子で形質転換した細胞のフォスファタ一ゼ活性は約 2倍 に上昇していた。
実施例 8 HD-PTPの細胞内の局在
GFP (Green fluorescent protein) との融合蛋白発現用ベクター pEGFP-Nl ( Clonetech社) の^ Iサイトに HD-PTP cDNAを揷入し、 HD-PTPの C末端側に GFPを 融合させた蛋白質 (HD-PTP/GFP融合蛋白質) を発現させるプラスミドを作製し た。該プラスミドをヒト細胞株 293tsA1609neo〔Mol. Cell . Biol. , 7, 379 ( 1987) 〕 に導入し、 HD-PTP/GFP融合蛋白質を発現させた。 形質転換細胞を蛍光顕微鏡 で観察し、 GFPの蛍光を検出することにより、 HD-PTP/GFP融合蛋白質の細胞内の 局在を調べた。
該検出の結果、 HD-PTP/GFP融合蛋白質は、 細胞膜、 特に核近傍の細胞質に複 数の塊状になって存在しており、 細胞膜や核には存在しないことがわかった。 このことは特定の細胞内器官に局在する可能性を示唆した。
HD-PTPのアミノ酸配列から推定した分子量は約 150kDaであり、 SDS-PAGEによ る分子量測定でも、 HD-PTP/GFP融合蛋白質は、 予想される分子量に近い 150kDa の位置に検出された。 該融合蛋白質は、 非変性条件の PAGEでは 70kDaの位置に検
出されたことより、 HD-PTPは天然の非変性状態では非常にコンパクトな球状の 構造を有すると推察された。 産業上の利用可能性
本発明の新規チ口シンフォスファタ一ゼおよびその遺伝子を用いることによ り、 癌の診断および治療が可能となる。
「配列表フリ一テキスト」
配列番号 6—人工配列の説明: HD- PTP遺伝子増幅のためのセンスブラィマー 配列番号 Ί一人工配列の説明: HD-PTP遺伝子増幅のためのアンチセンスプライ マ一
配列番号 8—人工配列の説明:ェクソン 14を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 3692-3939位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 9一人工配列の説明:ェクソン 14を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 3692-3939位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 10—人工配列の説明:ェクソン 15を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 4159-4421位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 11一人工配列の説明:ェクソン 15を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 4159-4421位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 12—人工配列の説明:ェクソン 16を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 4625-5002位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 13—人工配列の説明:ェクソン 16を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 4625- 5002位増幅のためのアンチセンスプライマー
配列番号 14—人工配列の説明:ェクソン 17および 18を含む HD-PTP遺伝子の配列 番号 3における 5014-5473位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 15—人工配列の説明:ェクソン 17および 18を含む HD-PTP遺伝子の配列 番号 3における 5014-5473位位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 16—人工配列の説明:ェクソン 19および 20の一部を含む HD-PTP遺伝子 の配列番号 3における 5499-5984位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 17—人工配列の説明:ェクソン 19および 20の一部を含む HD-PTP遺伝子 の配列番号 3における 5499- 5984位増幅のためのァンチセンスプライマ一 配列番号 18—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 5943-6281位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 19一人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 5943-6281位増幅のためのアンチセンスプライマー
配列番号 20—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6191-6579位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 21—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6191-6579位増幅のためのアンチセンスプライマー
配列番号 22—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6478-6908位増幅のためのセンスブラィマ一
配列番号 23—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6478- 6908位増幅のためのアンチセンスプライマー
配列番号 24—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6866-7290位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 25—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 6866-7290位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 26—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 7244-7639位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 27—人工配列の説明:ェクソン 20の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 7244-7639位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 28—人工配列の説明:ェクソン 21を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 7628-7888位増幅のためのセンスプライマー
配列番号 29—人工配列の説明:ェクソン 21を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 7628-7888位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 30—人工配列の説明:ェクソン 22を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 7897-8131位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 31—人工配列の説明:ェクソン 22を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 7897- 8131位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 32—人工配列の説明:ェクソン 23を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 8091- 8379位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 33—人工配列の説明:ェクソン 23を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 8091- 8379位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 34—人工配列の説明:ェクソン 24を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 8317-8562位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 35_人工配列の説明:ェクソン 24を含む HD-PTP遺伝子の配列番号 3にお ける 8317-8562位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 36—人工配列の説明:ェクソン 25の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 8492-8905位増幅のためのセンスプライマ一
配列番号 37—人工配列の説明:ェクソン 25の一部を含む HD-PTP遺伝子の配列番 号 3における 8492-8905位増幅のためのアンチセンスプライマ一
配列番号 38—人工配列の説明:マルチクローニングサイ ト (^I Not1 Xbal pnl
BamHI) リンカ一のための合成 DNA
配列番号 39—人工配列の説明:マルチクローニングサイ ト (Xhol Notl Xbal Kpnl BamHI) リンカ一のための合成 DNA