WO1999033574A1 - Powder coating device and method - Google Patents

Description

明 細 粉体塗装装置及び方法

[技術分野]

この発明は、 粉体塗装装置及び方法に係り、 特に静電流動浸漬法を用いて粉体 塗装を行う装置及び方法に関する。

[背景技術]

環境保全の見地から、 溶剤を使用しない、 環境に優しい無公害型の粉体塗装が 注目されており、 この粉体塗装の一つの工法として静電流動浸漬法がある。 静電 流動浸漬法は、 ほぼ密閉されたブースの下部に粉体塗料の収納タンクを形成し、 この収納タンク内に空気を吹き込んでブース内に帯電した粉体塗料を舞上げ、 そ の雰囲気中で収納タンクの上方に接地された被塗物を導入して静電気力により被 塗物の表面に粉体塗料を付着させる方法である。

この方法によれば、 ブース内で塗装が行われるために、 ブース外部の周辺装置 等への粉体塗料の飛散並びに付着を防止しつつ被塗物の表面に粉体塗装を施すこ とができる。

しかしながら、 粉体塗料には塗料粒子の粒径にばらつきがあり、 微細な塗料粒 子ほど舞上がり易く、 粒径の大きな塗料粒子は舞上がりにく くなる。 このように 塗料粒子の分級が生じるため、 ブース下部の収納夕ンクから被塗物にまで舞上が ることができないような粒径の大きな塗料粒子は被塗物表面への塗膜の形成に寄 与しないこととなる。 従って、 塗料の使用効率が低下するという問題点があった。

[発明の開示]

この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、 粉体塗料の使 用効率を向上させることができる粉体塗装装置及び方法を提供することを目的と する。

この発明に係る粉体塗装装置は、 ブースと、 ブースの底部に形成されると共に 上方が開放された粉体塗料の流動層と、 流動層から粉体塗料を引き出してブース の上部からブース内に吹き出す塗料吹出手段と、 ブース内に被塗物を保持する保 持手段と、 保持手段により保持された被塗物に対向するようにブース内に配設さ れた電極と、 電極と被塗物との間に高電圧を印加する電源と、 ブース内に粉体塗 料の循環流を形成する循環流形成手段とを備えたものである。

流動層をブースから脱着自在としてもよい。 また、 循環流形成手段は、 ブース の下部から上方へ向けて空気を吹き出すェジェクタを有するように構成すること ができる。 さらに、 粉体塗料の流れを整流する整流器を流動層の直上に配設して もよい。

ブースがその長さ方向両端に開口部を有し、 保持手段が被塗物を保持しつっこ れをブースの長さ方向に移動して両端の開口部を通しブース内を通過させると共 に被塗物を接地レベルとするように構成してもよい。 この場合、 ブースの長さ方 向両端の開口部から空気を吸引する吸引手段と、 吸引手段で吸引された空気に含 まれる粉体塗料を捕捉するバグフィル夕とをさらに備えることができる。

この発明に係る粉体塗装方法は、 ブースの底部で粉体塗料を流動化し、 流動化 された粉体塗料を引き出してブースの上部からブース内に吹き出し、 ブース内に 被塗物を導入し、 被塗物の周辺に粉体塗料を誘導するための電界を形成し、 ブー ス内に粉体塗料の循環流を形成する方法である。

被塗物をブースの長さ方向に移動してブース内を通過させてもよい。 この場合、 ブースの長さ方向両端の被塗物出入口から空気を吸引し、 吸引された空気に含ま れる粉体塗料を捕捉するようにすることができる。

[図面の簡単な説明]

図 1〜 3は、 それぞれこの発明の実施の形態に係る粉体塗装装置を示す正面図、 側面図及び平面図、

図 4及び 5は、 それそれ図 1〜3に示した粉体塗装装置の内部構造を示す正面 断面図及び側面断面図、

図 6は、 他の実施の形態に係る粉体塗装装置の内部構造を示す側面断面図であ る。

[発明を実施するための最良の形態] 以下、 この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。

図 1〜3にこの発明の実施の形態に係る粉体塗装装置を示す。 ブース 1の下部 は下方に向かって角錐形状に縮径され、 その底部に粉体塗料を流動化する流動層 装置 2が脱着自在に取り付けられている。 流動層装置 2の内部は、 上方が開放さ れてブース 1内に連通すると共に、 多孔板 3によって上部室と下部室とに 2分さ れている。 下部室には空気流入口 4を介して加圧空気が供給され、 上部室の側壁 には 4つのィンジェクタ取付口 5が形成されている。

ブース 1の上には、 被塗物を保持しつつブース 1内を搬送するためのコンペャ 6がブース 1の長さ方向に沿って配設されている。 コンペャ 6を挟むようにブ一 ス 1の上部には各インジェク夕取付口 5に対応して 4つのフランジ 7が配設され ている。 ブース 1の長さ方向両端部にはそれそれ被塗物の出入口となる開口部 8 が形成され、 各開口部 8の幅は上部レール 9及び下部レール 1 0に沿って水平方 向に移動自在に設けられた一対の吸引フード 1 1により調節可能となっている。 各吸引フード 1 1は開口部 8近傍の空気を吸引するためのものである。

ブース 1内にはその下部にブース 1の長さ方向に沿って一対の管形状のェジェ クタ 1 2が配設されており、 各ェジェクタ 1 2に上方を向いた複数の空気吹き出 しノズル 1 3が設けられている。 また、 ブース 1内の上部にはブース 1の長さ方 向に向けられた矩形の一対の電極板 1 4が互いに対向して吊設され、 ブース 1の 側壁には点検口 1 5が開閉自在に備えられている。

図 4及び図 5に示されるように、 ブース 1の上部に配設された 4つのフランジ 7はそれそれブース 1内の天井面に下方を向けて取り付けられた塗料吹き出しノ ズル 1 6に連通している。 各塗料吹き出しノズル 1 6は、 粉体塗料をブース 1内 に分散させる機能を有していればよいが、 摩擦帯電や内部コロナ帯電により粉体 塗料を帯電する機能を有していてもよい。 また、 流動層装置 2の 4つのインジヱ クタ取付口 5にそれそれインジェク夕 1 7が取り付けられ、 塗料ホース 1 8を介 してブース 1上部の対応するフランジ 7に接続されている。 ブース 1の長さ方向 両端部の吸引フード 1 1にはバグフィル夕 1 9を介して吸引ファン 2 0が接続さ れている。 また、 各電極板 1 4にはブース 1の上部に配置された高電圧電源 2 1 が電気的に接続されている。 被塗物 Aはコンペャ 6により搬送可能なハンガ 2 2 に吊り下げられてブース 1内に保持されるが、 ハンガ 2 2及びコンペャ 6を介し て電気的に接地レベルとなっている。 また、 ブース 1内には流動層装置 2の直上 に板材を断面菱形に成形した整流器 2 3が設けられている。 流動層装置 2は、 取 付金具 2 4によりブース 1の底部に脱着自在に取り付けられている。

ィンジェクタ 1 7、 塗料ホース 1 8及び塗料吹き出しノズル 1 6によりこの発 明の塗料吹出手段が、 コンペャ 6及びハンガ 2 2により保持手段が、 吸引フード 1 1、 バグフィルタ 1 9及び吸引ファン 2 0により吸引手段がそれそれ構成され ている。

次に、 この実施の形態に係る粉体塗装装置の動作について説明する。 まず、 多 孔板 3の上に形成された上部室内に粉体塗料が収容された流動層装置 2を取付金 具 2 4によりブース 1の底部に取り付け、 図示しない加圧空気供給装置から空気 流入口 4を介して流動層装置 2の下部室内に加圧空気を供給する。 下部室内に供 給された加圧空気は、 多孔板 3を通って粉体塗料が収容された上部室内に噴出し、 これにより粉体塗料が流動化される。 ここで、 図示しない加圧空気供給装置から 各インジェク夕 1 7に加圧空気を供給すると、 流動層装置 2の上部室内で流動化 されている粉体塗料が塗料ホース 1 8に引き出され、 4つの塗料吹き出しノズル 1 6からブース 1内に吹き出される。 また、 図示しない加圧空気供給装置から一 対のェジェクタ 1 2に加圧空気を供給して複数の空気吹き出しノズル 1 3から上 方へ噴出することにより、 ブース 1内に粉体塗料の循環流を形成する。

これにより、 塗料吹き出しノズル 1 6からブース 1内に吹き出された粉体塗料 は、 循環流に乗ってブース 1内を循環することとなる。 このとき、 循環流に乗れ なかった粉体塗料はその自重によって落下し、 流動層装置 2の上部室内に戻され る。 なお、 空気流入口 4から流動層装置 2内に供給された加圧空気は、 粉体塗料 を流動化した後、 ブース 1内に吹き込まれるが、 整流器 2 3によって一対のェジ ェク夕 1 2の方向へ整流されるため、 循環流の形成を助長することとなる。

コンペャ 6を駆動してこのような雰囲気のブース 1内にハンガ 2 2に吊された 被塗物 Aを導入すると共に高電圧電源 2 1により電極板 1 4に— 2 0〜一 5 O k Vの電位を与えて電極板 1 4と接地レベルにある被塗物 Aの表面との間に所定の 電界を形成する。 ブース 1内に浮遊し且つ循環流に乗って循環している粉体塗料 は、 この電界から静電気力を受けて被塗物 Aの表面に付着する。

また、 吸引ファン 2 0の駆動によりブース 1の長さ方向両端部の開口部 8近傍 の空気が吸引フード 1 1からバグフィル夕 1 9に吸引される。 このため、 ブース 1内に浮遊する粉体塗料は開口部 8を通ってブース 1外部へ飛散することなく吸 引フード 1 1から吸引されてバグフィル夕 1 9に捕捉される。 従って、 ブース 1 外部の周辺機器等を粉体塗料で汚すことが防止される。

流動層装置 2は、 取付金具 2 4によりブース 1の底部に脱着自在に取り付けら れているので、 塗装の色替え時には、 ブース 1から流動層装置 2を取り外し、 ブ —ス 1内をエアブロー等で清掃した後、 新たに塗装しょうとする色の粉体塗料が 収容された別の流動層装置 2をブース 1の底部に取り付けて次の塗装を行うこと ができる。

なお、 ブース 1の壁面材としては、 塩化ビニル、 ポリエチレン、 アクリル、 ポ リカーボネィ ト等のプラスチック材が適している。

上述した実施の形態においては、 図 5に示されるように、 一対の電極板 1 4の 外側下方にそれそれ上方を向いた空気吹き出しノズル 1 3が配置されると共にこ れら電極板 1 4の内側上方に下方を向いた塗料吹き出しノズル 1 6が配置され、 被塗物 Aの表面を下降し且つ一対の電極板 1 4の外側で上昇する塗料の循環流が 形成されたが、 これに限るものではない。 例えば、 図 6に示されるように、 一対 の電極板 1 4の間に位置する被塗物 Aの直下に上方を向いた空気吹き出しノズル 1 3を配置すると共にこれら電極板 1 4の外側上方にそれそれ下方を向いた塗料 吹き出しノズル 1 6を配置して、 被塗物 Aの表面を上昇し且つ一対の電極板 1 4 の外側で下降する循環流を形成するように構成してもよい。

以上説明したように、 この発明によれば、 流動化した粉体塗料をブースの上部 からブース内に吹き出すと共にブース内に粉体塗料の循環流を形成するので、 粉 体塗料の分級が生じず、 粒径の大きな粉体塗料も塗膜の形成に寄与することとな り、 粉体塗料の使用効率が向上する。

Claims

請求の範囲

1 . ブースと、

前記ブースの底部に形成されると共に上方が開放された粉体塗料の流動層と、 前記流動層から粉体塗料を引き出して前記ブースの上部から前記ブース内に吹 き出す塗料吹出手段と、

前記ブ一ス内に被塗物を保持する保持手段と、

前記保持手段により保持された被塗物に対向するように前記ブース内に配設さ れた電極と、

前記電極と被塗物との間に高電圧を印加する電源と、

前記ブース内に粉体塗料の循環流を形成する循環流形成手段と

を備えたことを特徴とする粉体塗装装置。

2 . 前記流動層は、 前記ブースから脱着自在となっている請求項 1に記載の粉 体塗装装置。

3 . 前記循環流形成手段は、 前記ブースの下部から上方へ向けて空気を吹き出 すェジェクタを有する請求項 1または 2に記載の粉体塗装装置。

4 . 粉体塗料の流れを整流する整流器が前記流動層の直上に配設された請求項 1〜 3のいずれか一項に記載の粉体塗装装置。

5 . 前記ブースはその長さ方向両端に ロ部を有し、 前記保持手段は被塗物を 保持しつっこれを前記ブースの長さ方向に移動して両端の開口部を通し前記ブー ス内を通過させると共に被塗物を接地レベルとする請求項 1〜 4のいずれか一項 に記載の粉体塗装装置。

6 . 前記ブースの長さ方向両端の開口部から空気を吸引する吸引手段と、 前記吸引手段で吸引された空気に含まれる粉体塗料を捕捉するバグフィル夕と を備えた請求項 5に記載の粉体塗装装置。

7 . ブースの底部で粉体塗料を流動化し、

流動化された粉体塗料を引き出してブースの上部からブース内に吹き出し、 ブース内に被塗物を導入し、 被塗物の周辺に粉体塗料を誘導するための電界を形成し、

ブース内に粉体塗料の循環流を形成する

ことを特徴とする粉体塗装方法。

8 . 被塗物をブースの長さ方向に移動してブース内を通過させる請求項 7に記 載の粉体塗装方法。

9 . ブースの長さ方向両端の被塗物出入口から空気を吸引し、 吸引された空気 に含まれる粉体塗料を捕捉する請求項 8に記載の粉体塗装方法。