明 細 エレク ト口クロミ ック素子
〔技術分野〕
本発明は、 建物、 自動車、 旅客車両等の乗り物の調光窓として、 あるい は屋内での装飾又は間仕切り等の目的で使用される調光ガラス等の調光素 子として、 さらには表示素子として、 また、 自動車等の乗り物の防眩ミラ —として使用可能なエレク トロクロミ ック素子に関するものである。
〔従来技術〕
従来の調光ガラスなどに使用されるエレク トロクロ ミ ック素子は、 例え ば、 酸化タングステン (w o 3) のような無機酸化物を、 透明導電膜上に 真空蒸着法またはスパッ夕リ ング法により成膜し、 これを発色剤として用 いているものが知られている (特開昭 6 3— 1 8 3 3 6号公報) 。
しかし、 これらの方法による膜形成は真空下で行わなければならないの で、 その実施にコス トがかかり、 大面積のエレク トロクロミ ツク素子を得 るためには大型の真空装置が必要となる。 また、 スパッタリング法では基 板温度が高くなるため、 ガラス製以外の基板、 例えば、 合成樹脂製の基板 などを使用する場合には、 一定の条件を選ばなければならず、 エレク ト口 クロミ ック素子の軽量化が難しい。
また、 酸化タングステンを用いる場合には青色の発色しか得られないと いう問題がある。
本発明の目的は、 安価な発色剤をしょう し、 簡便な工程で製造すること ができ、 しかも、 色調が可変なエレク ト口クロミ ック素子を提供すること にめ 。
〔発明の詳述〕
本発明が提案するエレク ト口クロミ ック素子は、 特定のエレク トロク 口ミ ック物質をイオン伝動性物質層に含有させることよ り、 上記の従来技 術の問題点を解決させている。
すなわち、 本発明のエレク ト口クロミック素子は、 少なく とも一方が透 明である 2枚の導電基板の間に、 下記の一般式 ( 1 ) で表されるエレク ト 口クロミ ック物質を含有するイオン伝導性物質層が設けられている。
R— N+ ~~ K N-R2 (1)
X" Y
(式中、 Χ—、 Υ は同一であっても異なってもよく、 それそれ個別にハロ ゲンァニオン、 C I O4—ヽ BF4—、 P F4—、 C H3C 00", C Η3 ( C6H 4) S 03—から選ばれる対ァニオンを示し、 R R2はそれそれ個別に炭 素数 1〜 2 0の炭化水素基を示し、 それそれ同一でも異なってもよ い。 ) 本発明のエレク トロクロミ ツク素子では、 少なく とも一方が透明である 2枚の導電基板が使用される。 ここで導電基板とは、 電極としての機能を 果たす基板を意味する。 従って、 本発明で言う導電基板には、 基板自体を 導電性材料で構成させたものと、 導電性を持たない基板の少なく とも一方 の表面に電極層を積層させた積層板などが包含される。 導電性を備えてい るか否かに拘らず、 基板自体は常温において平滑な面を有していることが 必要であるが、 その面は平面であっても、 曲面であっても差し支えなく、 応力で変形するものであっても差し支えない。
本発明で使用される導電基板の少なく とも一方は透明導電基板であり、 他方は透明であっても、 不透明であっても、 光を反射できる反射性導電基 板であってもよい。
なお、 2枚の導電基板をいずれも透明導電基板としたものは、 表示素子 や調光ガラスに好適であり、 1枚を透明導電基板、 もう 1枚を不透明導電 基板としたものは表示素子に好適であり、 そして 1枚を透明導電基板、 も う 1枚を反射性導電基板としたものはエレク トロクロミ ツクミラー好適で ある。
透明導電基板は、 通常、 透明基板上に透明電極層を積層させた形態にあ る。 ここで、 透明とは可視光領域において 1 0〜 1 00%の光透過率を有 することを意味する。
また、 不透明導電基板としては、 ( 1) 金属板、 ( 2 ) 導電性を持たな い不透明基板 (透明でない各種のプラスチック、 ガラス、 木材、 石材等が 使用可能) の一方の面に電極層を積層させた積層体などが例示できる。 反射性導電基板としては、 ( 1 ) 導電性を持たない透明又は不透明な基 板上に反射性電極層を積層させた積層体、 (2 ) 導電性を持たない透明基 板の一方の面に透明電極層を、 他方の面に反射層を積層させた積層体、
(3) 導電性を持たない透明基板上に反射層を、 その反射層上に透明電極 層を積層させた積層体、 (4) 反射板を基板とし、 これに透明電極層を積 層させた積層体、 および ( 5) 基板自体が光反射層と電極層の両方の機能 を備えた板状体などが例示できる。
上記透明基板としては、 特に限定されず、 例えば、 無色あるいは有色ガ ラス、 強化ガラス等が用いられる他、 無色あるいは有色の透明性樹脂が用 いられる。 具体的には、 ポリエチレンテレフ夕レート、 ポリエチレンナフ 夕レート、 ポリアミ ド、 ポリサルフォン、 ポリエーテルサルフォン、 ポリ エーテルエ一テルケトン、 ポリフエ二レンサルフアイ ド、 ポリカーボネ一 ト、 ポリイ ミ ド、 ポリメチルメタク リ レート、 ポリスチレン等が挙げられ る。
なお、 本発明における基板は常温において平滑な面を有するものである ( 上記透明電極層としては、 本発明の目的を果たすものである限り特に限 定されないが、 例えば、 金、 銀、 クロム、 銅、 タングステン等の金属薄膜、 金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。 上記金属酸化物としては、 例えば、 I TO ( I Π203- S η02) 、 酸化錫、 酸化銀、 酸化亜鉛、 酸 化バナジウム等が挙げら れる。
電極の膜厚は、 通常 1 00〜5, 000オングス トローム、 好ましくは 500〜3 , 000オングス トロームの範囲が望ましい。 また、 表面抵抗
(抵抗率) は、 通常 0. 5〜 5 0 0 Q/c m2、 好ましくは 1〜 5 0 Ω/ c m2の範囲が望ましい。
上記電極の形成方法としては特に限定されず、 電極を構成する上記金属 および金属酸化物等の種類により、 適宜公知の方法が選択できる。 通常、 真空蒸着法、 イオンプレーティ ング法、 スパッタ リング法、 あるいはゾル ゲル法等が採用される。 この際、 膜厚は電極面の透明性が損なわれない範 囲で選択されることは勿論である。 また、 上記透明電極には、 酸化還元能 の付与、 導電性の付与、 電気二重層容量の付与の目的で、 部分的に不透明 な電極活性物質を付与することもできる。 この際、 その付与量は電極面全 体の透明性が損なわれない範囲で選択されることは勿論である。 不透明な 電極活性物質としては、 例えば、 銅、 銀、 金、 白金、 鉄、 タングステン、 チタン、 リチウム等の金属、 ポリア二リン、 ポリチォフェン、 ポリピロ一 ル、 フタロシアニンなどの酸化還元能を有する有機物、 活性炭、 グラファ イ トなどの炭素材、 V205、 Mn02、 N i O、 I r2〇3などの金属酸化 物またはこれらの混合物を用いることができる。 また、 これらを電極に 結着させるために、 さらに各種樹脂を用いてもよい。 この不透明な電極活 性物質等を電極に付与するには、 例えば、 I TO透明電極上に、 活性炭素 繊維、 グラフアイ ト、 アクリル樹脂等からなる組成物をス トライプ状また はドッ ト状等の微細パターンに形成したり、 金 ( Au) 薄膜状に、 V2〇5、 アセチレンブラック、 ブチルゴム等からなる組成物をメ ヅシュ状に形成し たりすることができる。
本発明の反射性電極層は、 鏡面を有し、 しかも電極として電気化学的に 安定な機能を発揮する薄膜を意味し、 そのような薄膜としては、 例えば、 金、 白金、 タングステン、 タンタル、 レニウム、 オスミウム、 イ リジウム、 銀、 ニッケル、 パラジウム等の金属膜や、 白金一パラジウム、 白金一口ジ ゥム、 ステンレス等の合金膜が挙げられる。 このような鏡面を備えた薄膜 の形成には、 任意の方法を採用可能であって、 例えば、 真空蒸着法、 ィォ ンプレーティ ング法、 スパッ夕 リング法などを適宜採用することができる,
反射性電極層を設ける基板は透明であるか、 不透明であるかを問わない 従って、 反射性電極層を設ける基板としては、 先に例示した透明基板の他、 透明でない各種のプラスチック、 ガラス、 木材、 石材等が使用可能である 本発明で言う反射板または反射層は、 鏡面を有する基板又は薄膜を意味 し、 例えば、 銀、 クロム、 アルミニウム、 ステンレス等の板状体又はその 薄膜を意味する。
基板自体が反射層と電極機能を兼ね備える板状体としては、 上記反射性 電極層として例示したもののうち、 自己支持性があるものが挙げられる。
2枚の導電基板の間に挿設されるイオン伝導性物質層を次に説明する。 本発明のイオン伝導性物質層は、 後述する特定なエレク トロクロミ ック 物質を含有するイオン伝導性物質で構成される。
本発明において、 イオン伝導性物質とは、 室温でのイオン伝導度が、 1 X 1 0—7 S / c m以上であって、 エレク トロクロミ ヅク物質を着色、 消色、 色変化させる役割を果たす物質を意味する。 本発明では液系イオン伝導性 物質、 ゲル化液系イオン伝導性物質あるいは固体系イオン伝導性物質を用 いることができるが、 特に、 固体系イオン伝導性物質を使用することが望 ましく、 これにより、 本発明のエレク ト口クロミ ック素子を種々の実用性 能に優れた全固体型ェレク トロクロミ ック素子とすることができる。
液系イオン導電性物質
液系イオン導電性物質は、 塩類、 酸類、 アルカリ類等の支持電解質を溶 媒に溶解して調製される。
溶媒としては、 支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されない が、 特に極性溶媒が好ましい。 使用可能な溶媒を例示すると、 水を初めと して、 メタノール、 エタノール、 プロピレンカーボネート、 エチレンカー ボネート、 ジメチルスルホキシ ド、 ジメ トキシェタン、 ァセ トニト リル、 ァープチロラク ト ン、 ァーバレロラク トン、 スルホラン、 ジメチルホルム アミ ド、 ジメ トキシェタン、 テ トラヒ ドロフラン、 ァセ トニ ト リル、 プロ
ピオンニト リル、 グル夕ロニ ト リル、 アジポニ ト リル、 メ トキシァセ トニ ト リル、 ジメチルァセ トアミ ド、 メチルピロリジノン、 ジメチルスルホキ シド、 ジォキソラン、 スルホラン、 ト リメチルホスフェイ ト、 ポリエチレ ングリコール等の有機極性溶媒が挙げられる。 なかでも、 プロピレン力一 ボネート、 エチレンカーボネート、 ジメチルスルホキシ ド、 ジメ トキシェ タン、 ァセ トニト リル、 ァーブチロラク トン、 スルホラン、 ジォキソラン、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメ トキシェ夕ン、 テ トラヒ ドロフラン、 アジポ 二ト リル、 メ トキシァセ トニ ト リル、 ジメチルァセ トアミ ド、 メチルビ口 リジノン、 ジメチルスルホキシ ド、 ジォキソラン、 スルホラン、 ト リメチ ルホスフェイ ト、 ポリエチレングリコールなどの有機極性溶媒が望ましい。 これらは、 単独もしくは混合物として支持電解質の溶媒として使用できる。 支持電解質としての塩類は、 特に限定されず、 各種のアルカ リ金属塩、 アル力リ土類金属塩などの無機イオン塩や 4級アンモニゥム塩ゃ環状 4級 アンモニゥム塩などが使用できる。 具体的には、 L i C 104 、 L i S CN、 L i BF L i As F6 、 L i C F3 S O3 , L i P Fg 、 L i l、 Na l、 Na S CN、 NaC I O NaBF N aAs F KS CN、 KC 1等の L i、 Na、 Kのアルカリ金属塩等や、 (CH3 ) 4 B F ( C2 H5 ) 4 B F4 ( n - C 4 H g ) 4 N B F 4 、 (C2 H5 ) 4 NB rs ( C2 H5 ) 4 C 1 O4 s (n- C4 Hg ) 4 N C 1 O4 等の 4級アンモニゥム塩および環状 4級アンモニゥム塩もし くはこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。
支持電解質としての酸類は、 特に限定されず、 無機酸、 有機酸のいずれ もが使用可能であって、 一般的には、 硫酸、 塩酸、 リ ン酸類、 スルホン酸 類、 カルボン酸類などが使用される。
支持電解質としてのアルカリ類も、 特に限定されず、 水酸化ナト リウム、 水酸化力リゥム、 水酸化リチウムなどが使用可能である。
ゲル化液系イオン伝導性物質
ゲル化液系イオン伝導性物質は、 上記した液系イオン伝導性物質を増粘
又はゲル化させた物質を意味し、 このものは液系イオン伝導性物質にさら にポリマ一又はゲル化剤を配合して調製される。
これに使用されるポリマ一は、 特に限定されず、 例えば、 ポリアクリロ 二ト リル、 カルボキシメチルセルロース、 ポリ塩化ビニル、 ポリエチレン オキサイ ド、 ポリウレタン、 ポリアク リレート、 ポリメタク リ レート、 ポ リアミ ド、 ポリアクリルアミ ド、 セルロース、 ポリエステル、 ポリプロビ レンオキサイ ド、 ナフイオンなどが使用できる。
ゲル化剤も特には限定されず、 ォキシエチレンメタク リ レート、 ォキシ エチレンァクリ レート、 ウレタンァク リレート、 アク リルアミ ド、 寒天、 などが使用できる。
固体系イオン伝導性物質
固体系イオン伝導性物質は、 室温で固体であり、 かつイオン導電性を有 する物質を指し、 これには、 ポリエチレンオキサイ ド、 ォキシエチレンメ 夕クリ レートのポリマー、 ナフイオン、 ポリスチレンスルホン酸、 L i g N、 N a - β - A 1 2 O 3 、 S n ( H P O 4 ) 2 - H 2 0等のほか、 ォ キシアルキレンメタク リ レート系化合物、 ォキシアルキレンァクリ レート 系化合物またはウレタンァク リ レート系化合物を重合することによって得 られる高分子化合物に電解質を分散させた高分子固体電解質が使用可能で ある。
本発明が推奨する高分子固体電解質の第 1の例は、 下記の一般式 ( 3 ) で表されるウレ夕ンァク リレートと、 上記した有機極性溶媒及び支持電解 質を含有する組成物 (以下、 組成物 Aという) を、 固化させて得られる高 分子固体電解質である。
なお、 高分子固体電解質に関していう固化とは、 後述する組成物 Bの場 合も含めて、 重合性または架橋性成分が重合 (重縮合) 反応又は架橋反応 によって硬化し、 組成物全体が常温で実質的に流動しない状態になること を指す。 組成物は固化によってネッ トワーク上の基本構造を形成する。
(式中、 R6 および R7 は同一または異なる基であって、 一般式 (3) 〜 (5 ) から選ばれる基を示す。 R8 および R9 は同一または異なる基 であって、 炭素数 1〜20、 好ましくは 2〜 1 2の 2価炭化水素残基を示 す。 Yはポリエーテル単位、 ポリエステル単位、 ポリカーボネート単位ま たはこれらの混合単位を示す。 また nは 1〜 1 00、 好ましくは 1~50. さらに好ましくは 1〜20の範囲の整数を示す。 )
CHフ :
一般式 ( 3) 〜 ( 5) に於いて、 R
10 〜:
12 は同一または異なる基 であって、 水素原子または炭素数 1〜 3のアルキル基を示す。 また Rl3 は炭素数 1 ~2 0の、 好ましくは炭素数 2〜8の 2〜4価有機残基を示 す。
この有機残基の具体例としては、 アルキルト リル基、 アルキルテ トラリ ル基、 下記一般式 (6) で示されるアルキレン基等の炭化水素残基が挙げ られる。
一般式 ( 6 ) に於いて、 R14は炭素数 1〜 3のアルキル基または水素 を示し、 P は 0〜 6の整数を示す。 pが 2以上の場合 R14 は同一でも異 なっても良い。
また、 上記の炭化水素残基は、 水素原子の一部が炭素数 1〜 6、 好まし くは 1〜 3のアルコキシ基、 炭素 2 SSI数 6〜 1 2のァリールォキシ基などの含
3
酸素炭化水素基により置換されている基でもよい。 一般式 ( 3 ) 〜 ( 5 ) に於ける R13 とし ては具体的には、
CH2CH2 -
等を好ましく挙げることができる。
一般式 ( 2 ) の R8及び R9で示される 2価炭化水素残基としては、 鎖 状 2価炭化水素基、 芳香族炭化水素残基、 含脂環炭化水素残基などが挙げ られるが、 鎖状 2価炭化水素としては、 先の一般式 ( 6 ) で示されるアル キレン基等を挙げることができる。
また、 上記芳香族炭化水素基および含脂璟炭化水素基としては、 下記一 般式 ( 7 ) 〜 ( 9 ) で示される炭化水素基等が挙げられる。
一 RHCH2— R16 (7)
一般式 (7) 〜 ( 9 ) に於いて、 R
15および R
16は同一または異なる 基であって、 フエ二レン基、 置換フエ二レン基 (アルキル置換フエ二レン 基等) 、 シクロアルキレン基、 置換シクロアルキレン基 (アルキル置換シ クロアルキレン基等) を示す。 R
17〜R20は同一または異なる基であつ て、 水素原子または炭素数 1〜 3のアルキル基を示す。 また、 qは 1〜5 の整数を示す。
一般式 (2) に於ける R8および R9の具体例は、 下記の一般式 ( 1
0) 〜 ( 1 6) で例示できる。
— CH2CH2CH2CH2CH2CH2- (10)
一般式 (2) に於ける Yはポリエーテル単位、 ポリエステル単位および ポリカーボネ一ト単位またはこれらの混合単位を示すが、 このポリェ一テ ル単位、 ポリエステル単位、 ポリカーボネート単位及びこれらの混合単位 としては、 それそれ下記の一般式 (a) 〜 (d) で示される単位を挙げる ことができる。
一般式 (a) 〜 (d) に於いて、 R
21〜R
26は同一または異なる基で あって、 炭素数 1〜20、 好ましくは 2〜 1 2の 2価の炭化水素残基を示 す。 特に R
24は炭素数 2〜6程度が好ましい。 上記 R21〜R26としては、 直鎖または分岐のアルキレン基などが好ましく、 具体的には、 R
23とし てはメチレン基、 エチレン基、 ト リメチレン基、 テ トラメチレン基、 ペン タメチレン基、 へキサメチレン基、 プロピレン基等が好ましい。 また、 R
21〜R
22および R24〜R26 としてはエチレン基、 プロピレン基などが好 ましい。 また、 eは 2〜300、 好ましくは 1 0〜 2 00の整数を示す。
また、 f は 1〜300、 好ましくは 2〜2 00の整数、 gは 1〜200、 好ましくは 2〜: L 00の整数、 hは 1〜2 00、 好ましくは 2〜 1 00の 整数、 iは 1〜 300、 好ましくは 1 0〜 200の整数を示す。
また、 一般式 (a) 〜 (d) に於いて、 各単位は同一でも、 異なる単位 の共重合でも良い。 即ち、 複数の R21〜R26が存在する場合、 R21同志、 R22同志、 R18同志、 : 19同志、 R20同志および R21同志は同一でも 異なっても良い。 上記共重合体の例としてはエチレンォキサイ ドとプロピ レンォキサイ ドの共重合単位などが特に好適な例として挙げられる。
一般式 ( 2 ) で示されるウレタンァクリ レートは、 公知の方法により容 易に製造することができ、 その製法は特に限定されるものではないが、 そ の重量平均分子量は、 2 , 5 00〜 30 , 000、 好ましくは 3 , 000 〜20, 000であることが望ましく、 1分子中の重合官能基数は、 2〜 6、 好ましくは 2〜4であることが望ましい。
組成物 Aは上記のウレ夕ンァクリ レートに有機極性溶媒と支持電解質を 混合して調製されるが、 有機極性溶媒 (有機非水溶媒) の添加量は、 ウレ タンァクリ レート 100重量部に対して通常 1 00〜 1 200重量部、 好 ましくは 200〜 900重量部の範囲で選ばれる。 有機極性溶媒の添加量 が少なすぎると、 最終的に得られる高分子固定電解質のイオン伝導度が不 足し、 多すぎると固定電解質の機械強度が低下してしまう場合がある。 支 持電解質には、 塩、 酸又はアルカリが用いられ、 その添加量は有機極性溶 媒の添加量の 0. 1 ~ 30重量%、 好ましくは 1〜 20重量%の範囲で選 ばれる。
組成物 Aは、 基本的には、 上記ウレタンァク リ レート、 有機極性溶媒、 および支持電解質からなるが、 必要に応じて組成物 Aには架橋剤や重合開 始剤を添加することができる。 本発明が推奨する高分子固体電解質の第 2の例は、 ァク リロイル変性ポ リアルキレンォキシドと、 有機極性溶媒と、 支持電解質を含有する組成物
(以下、 組成物 Bという) を、 硬化させて得られる高分子固体電解質であ る o
組成物 Bの調製に使用可能なァク リ ロイル変性ポリアルキレンォキシ ド の一つは、 一般式 ( 17) で表される単官能ァク リロイル変性ポリアルキ レンォキシ ドである。
(式中、 R27、 R28 R29および R30は、 各々水素または 1〜 5の炭素 原子を有するアルキル基であり、 jは 1以上の整数を表す。 )
一般式 ( 17) に於いて、 R27、 R28、 R29および R30は、 各々水素 または 1〜 5の炭素原子を有するアルキル基であるが、 そのアルキル基と しては、 メチル基、 ェチル基、 i-プロビル基、 n-プロピル基、 n-ブチル基、 t-ブチル基、 n-ペンチル基等が挙げられ、 互いに同一でも異なってもよく、 特に R22は水素、 メチル基、 R23は水素、 メチル基、 R24は水素、 メチ ル基、 R25は水素、 メチル基、 ェチル基であることが好ましい。
また、 一般式 ( 17 ) の j は、 1以上の整数、 通常 1≤ j 100、 好 ましくは 2 ^ j ≤ 5 0、 さらに好ましくは 2≤ j ≤ 3 0の範囲の整数を示 す。
一般式 ( 17) で示される化合物の具体例としては、 ォキシアルキレン ユニッ トを 1〜 100、 好ましくは 2〜50、 さらに好ましくは 1〜20 の範囲で持つメ トキシポリェチレングリコールメ夕ク リ レート、 メ トキシ ポリプロピレングリコールメタク リ レート、 エトキシポリエチレングリコ ールメタク リレート、 ェ トキシポリプロピレングリコールメ夕クリ レート、 メ トキシポリエチレングリコールァク リレート、 メ トキシポリプロピレン グリコ一ルァクリレート、 エトキシポリエチレングリコールァクリ レート. エトキシポリプロピレングリコ一ルァクリ レート、 またはこれらの混合物 等を挙げることができる。
一般式 ( 17) の jが 2以上の場合、 ォキシアルキレンュニッ トが互い に異なるいわゆる共重合ォキシアルキレンュニヅ トを持つものでもよく、 例えば、 ォキシエチレンユニッ トを 1 50、 好ましくは 1 20の範囲 で持ち、 かつォキシプロピレンュニッ トを 1 50、 好ましくは 1 20 の範囲で持つところの、 メ トキシポリ (ェチレン · プロピレン) グリコ一 ルメ夕クリ レート、 エトキシポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールメ 夕クリ レート、 メ トキシポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールァクリ レート、 エ トキシポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールァクリ レート、 またはこれらの混合物などが挙げられる。
組成物 Bの調製に使用可能なァク リロイル変性ポリアルキレンォキシ ド の他の例には、 一般式 ( 1 8 ) で示される 2官能ァク リロイル変性ポリア ルキレンォキシ ドと、 一般式 ( 1 9 ) で表される多官能ァク リロイル変性 ポリアルキレンォキシ ドがある。
(式中、 R31 R32 R33および R34は、 各々水素または、 1 5の炭 素原子を有するアルキル基であり、 kは 1以上の整数を示す。 )
(式中、 R35 R36、 および R37は、 各々水素または 1 5の炭素原子 を有するアルキル基であり、 1は 1以上の整数を示し、 mは 2 4の整数 であり、 Lは m価の連結基を示す。 )
上記一般式 ( 1 8) において、 R31 R32s R33および R34は、 各々 水素または 1 5の炭素原子を有するアルキル基であるが、 このアルキル 基としては、 メチル基、 ェチル基、 i-プロピル基、 n-プロピル基、 n -プチ ル基、 t-プチル基、 n-ペンチル基等が挙げられる。 特に R31は水素、 メ
チル基、 R32は水素、 メチル基、 R33は水素、 メチル基、 R34は水素、 メチル基であることが好ましい。
また、 一般式 ( 1 8) 中の kは、 1以上の整数、 通常 1≤ k≤ 1 00、 好ましくは 2≤k≤ 50、 さらに好ましくは 2≤k≤ 30の範囲の整数を 示すが、 そうした化合物の具体例は、 ォキシアルキレンユニッ トを 1〜 1 00、 好ましくは 2〜 50、 さらに好ましくは 1〜 20の範囲で持つポリ エチレングリコールジメタク リ レート、 ポリプロピレングリコールジメ夕 クリ レート、 ポリエチレングリコールジァクリ レート、 ポリプロピレング リコールジメ夕クリレート、 またはこれらの混合物等を挙げることができ る
また、 kが 2以上の場合、 ォキシアルキレンユニッ トが互いに異なるい わゆる共重合ォキシアルキレンユニッ トを持つものでもよく、 例えば、 ォ キシエチレンユニッ トを 1〜50、 好ましくは 1〜2 0の範囲で持ち、 か つォキシプロピレンュニッ トを 1〜 50、 好ましくは 1〜 2 0の範囲で持 つところの、 ポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールジメ夕クリ レート、 ポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールジァク リ レート、 またはこれら の混合物などが挙げられる。
一般式 ( 19) に於ける R35、 R36および R37は、 各々水素または 1 〜 5の炭素原子を有するアルキル基であるが、 このアルキル基としては、 メチル基、 ェチル基、 i-プロビル基、 n-プロピル基、 n-ブチル基、 t-ブチ ル基、 n-ペンチル基等が挙げられる。 特に R30、 R31および R32は水素、 メチル基が好ましい。 また、 一般式 ( 20 ) 中の 1は、 1以上の整数、 通 常 1≤ 1≤ 100、 好ましくは 2≤ 1≤ 50さらに好ましくは 2≤ 1≤ 3 0の範囲の整数を示すものである。
mは連結基 Lの連結数であり、 2≤m≤ 4の整数を示す。
連結基 Lは、 通常、 炭素数 1〜30、 好ましくは 1〜 20の 2価、 3価 または 4価の炭化水素基である。 2価炭化水素基としては、 アルキレン基、 ァリ一レン基、 ァリールアルキレン基、 アルキルァリ一レン基、 またはこ
れらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、 具体的には、
などが挙げられる。 また、 3価の炭化水素基としては、 アルキルト リル基、 ァリールト リル基、 ァリールアルキルト リル基、 アルキルァリールト リル 基、 またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、 具 体的には
― C
などが挙げられる。 また、 4価の炭化水素基としては、 アルキルテ トラ リ ル基、 ァリールテ トラリル基、 ァリールアルキルテ トラリル基、 アルキル ァリールテ トラリル基、 またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基 などが挙げられ、 具体的には
— H2
― CH2— CH2— ,
CH2CHつ—— 等が挙げられる。
こう した化合物の具体例としては、 ォキシアルキレンュニッ トを 1〜 1 0 0、 好ましくは 2〜 5 0、 さらに好ましくは 1 〜 2 0の範囲で持つト リ メチロールプロパン ト リ (ポリエチレングリコ一ルァク リ レート) 、 ト リ メチロールプロパン ト リ (ポリェチレングリコールメ夕ク リ レート) 、 ト リメチロールプロパン ト リ (ポリプロピレングリコールァク リ レート) 、 ト リメチロールプロパン ト リ (ポリプロピレングリコールメ夕クリ レ一 ト) 、 テ トラメチロールメタンテ トラ (ポリエチレングリコ一ルァクリ レ —ト) 、 テ トラメチロールメタンテ トラ (ポリエチレングリコールメ夕ク
リレート) 、 テ トラメチロールメタンテ トラ (ポリプロピレングリコール ァク リ レート) 、 テトラメチロールメタンテトラ (ポリプロピレングリコ
—ルメ夕ク リレート) 、 2 , 2—ビス [4一 (ァクリロキシポリエ トキ シ) フエニル] プロパン、 2, 2—ビス [ 4— (メタク リロキシポリエト キシ) フエニル] プロパン、 2, 2—ビス [4一 (ァク リロキシポリイソ プロボキシ) フエニル] プロパン、 2 , 2—ビス [4一 (メタクリロキシ ポリイソプロボキシ) フエニル] プロパン、 またはこれらの混合物等を挙 げることができる。
また、 1が 2以上の場合、 ォキシアルキレンユニッ トが互いに異なるい わゆる共重合ォキシアルキレンユニッ トを持つものでもよく、 例えば、 ォ キシエチレンユニッ トを 1〜 5 0、 好ましくは 1〜 2 0の範囲で持ち、 か つォキシプロピレンュニッ トを 1〜 5 0、 好ましくは 1〜 2 0の範囲で持 つところの、 ト リメチロールプロパン ト リ (ポリ (エチレン ' プロピレ ン) グリコールァク リ レート) 、 ト リメチロールプロパン ト リ (ポリ (ェ チレン ' プロピレン) グリコールメタクリ レート) 、 テ トラメチロールメ 夕ンテ トラ (ポリ (エチレン ' プロピレン) グリコールァク リ レート) 、 テトラメチロールメタンテ トラ (ポリ (エチレン ' プロピレン) グリコ一 ルメ夕クリ レート) 、 またはこれらの混合物などが挙げられる。
一般式 ( 1 8 ) で示される 2官能ァクリロイル変性ポリアルキレンォキ シドと、 一般式 ( 1 8 ) で表される多官能ァク リロイル変性ポリアルキレ ンォキシ ドとは併用することができる。 併用する場合、 前者対後者の重量 比は通常 0. 0 1/9 9. 9〜 9 9. 9/0. 0 1、 好ましくは 1 /9 9 〜 9 9/ 1、 さらに好ましくは 2 0/8 0〜 8 0/2 0の範囲で選ばれる < 組成物 Bは一般式 ( 1 7 ) 〜 ( 1 9 ) で示されるァク リロイル変性ポリ アルキレンォキシ ドに有機極性溶媒と支持電解質を混合して調製されるが、 有機極性溶媒の配合量は、 ァク リロイル変性ポリアルキレンォキシ ドの全 量の 5 0〜 8 0 0重量%、 好ましくは 1 0 0〜 5 0 0重量%の範囲で選ば れる。 また、 支持電解質の配合量は、 ァク リロイル変性ポリアルキレンォ
キシ ドと極性有機溶媒の合計量の 1〜 3 0重量%、 好ましくは 3〜 2 0重 量%の範囲で選ばれる。
組成物 Bには、 組成物 Aと同様、 必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添 加することができ、 その添加量は、 一般式 ( 1 ) で示される化合物および ァク リロイル変性ポリアルキレンォキシ ドの合計量に対して 0. 0 0 5〜 5重量%、 好ましくは 0. 0 1〜 3重量%の範囲にある。 イオン伝導性物質に液系、 ゲル化液系又は固体系のいずれを使用する場 合であっても、 本発明ではこれらイオン伝導性物質に、 特定なエレク ト口 クロミ ック物質を分散させ、 この分散液を使用してエレク 卜ロクロミ ック 素子のイオン伝導性物質層を形成させる。
本発明において、 イオン伝導性物質、 典型的には、 上記した組成物 A又 は Bに分散させる必須のエレク トロクロミ ヅク物質は、 一般式 ( 1 ) で表 される。
(式中、 Χ—、 Υ は同一であっても異なってもよく、 それそれ個別にハロ ゲンァニオン、 C 104—、 BF4—、 P F4—、 CH3C O O-ヽ C H3 ( C6H 4) S O3—から選ばれる対ァニオンを示し、 R2はそれそれ個別に炭 素数 1〜 2 0の炭化水素基を示し、 それそれ同一でも異なってもよい。 ) 一般式 ( 1 ) におけるハロゲンァニオンとしては、 F―、 C 1—、 B r -、 I一等が挙げられる。
RK R2は炭素数 1から 2 0、 好ましくは 1 ~ 1 2の炭化水素基を表 し、 それそれ同一であっても異なってもよい。 この種の炭化水素基には、 アルキル基、 ァラルキル基、 ァリール基等がある。 R R2は、 好まし くは、 アルキル基またはァラルキル基である。
アルキル基としては、 メチル基、 ェチル基、 i-プロピル基、 n-プロピル 基、 n-プチル基、 t-ブチル基、 n-ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル基、 ノニル基、 デシル基、 ラウリル基、 シクロへキシル基、 シク 口へキシルメチル基等が挙げられる。
ァラルキル基としては、 ベンジル基、 フエネチル基、 フエニルプロピル 基、 ト リルメチル基、 ェチルフエニルメチル基等が挙げられる。
一般式 ( 1 ) で示される化合物の具体例を列挙すれば、 N , N, —ジへ プチルビピリジニゥムジブロマイ ド、 N , N ' —ジへプチルビビリジニゥ ムジクロライ ド、 N, N ' —ジへプチルビピリジニゥムジパークロレ一ト、 N , N ' —ジへプチルビピリジニゥムジテ トラフ口ロボレ一ト、 N, N, —ジへプチルビピリジニゥムジへキサフロロホスフェート、 N , N ' ージ へキシルビピリジニゥムジブ口マイ ド、 N , N ' ージへキシルビピリジ二 ゥムジクロライ ド、 N, N, 一ジへキシルビビリジニゥムジパ一クロレ一 ト、 N , N, 一ジへキシルビビリジニゥムジテ トラフ口ロボレ一ト、 N, N ' —ジへキシルビピリジニゥムジへキサフロロホスフェート、 N , N 5 —ジプロビルビビリジニゥムジブ口マイ ド、 N, N ' —ジプロピルビビリ ジニゥムジクロライ ド、 N , N ' —ジプロビルビビリジニゥムジパ一クロ レート、 N, N, 一ジプロビルビビリジニゥムジテ トラフ口ロボレート、 N , N ' —ジプロビルビビリジニゥムジへキサフロロホスフェート、 N , N ' ージベンジルビピリジニゥムジブロマイ ド、 N, N, 一ジベンジルビ ピリジニゥムジパ一クロレート、 N , N ' —ジベンジルビピリジニゥムジ テトラフ口ロボレート、 N , N 5 —ジベンジルビピリジニゥムジへキサフ ロロホスフェート、 N —へプチルー N, 一べンジルビピリジニゥムジパ一 クロレート、 N —へプチルー N, 一べンジルビピリジニゥムジテ トラフ口 ロボレ一ト、 N —ヘプチル一 N, 一べンジルビピリジニゥムジブ口マイ ド、 N—へプチルー N, 一ベンジルビピリジニゥムイジクロライ ド、 N —ヘプ チルー N, 一メチルビリジニゥムジブロマイ ド、 N—ヘプチル一 N ' —メ チルビリジニゥムジクロライ ドなどが挙げられる。
一般式 ( 1 ) で示されるエレク ト口クロミ ック物質のイオン伝導性物質 層における濃度は、 任意に選ぶことができるが、 通常は 0 . 0 0 0 0 1〜 5 0重量%、 好ましくは、 0 . 0 0 0 1〜 3 0重量%、 さらに好ましくは 0 . 0 0 1 ~ 1 0重量%程度の範囲にある。
また、 必要に応じて、 一般式 ( 1 ) のエレク トロクロミ ック物質に、 発 色を助長する化合物を ド一プさせるたり、 あるいは一般式 ( 1 ) のエレク トロクロミ ック物質と共に電子供与性化合物を, イオン伝導性物質層に共 存させることができる。 本発明によれば、 エレク ト口クロミ ック素子のイオン伝導性物質層は、 一般式 ( 1 ) で表されるエレク トロクロミ ック物質が分散されているィォ ン伝導性物質で形成される。
イオン伝導性物質層の形成には任意の方法が採用可能である。 例えば、 使用するイオン伝導性物質が液系又はゲル化液系の場合、 2枚の導電基板 (これを対向導電基板と呼ぶ) を適当な間隔で対向させて周縁部をシール した対向導電基板の間に、 エレク ト口クロミ ック物質が分散されているィ オン伝導性物質を、 真空注入法、 大気注入法、 メニスカス法等によって注 入する方法が採用できる。 また、 イオン伝導性物資の種類によっては、 ス パッ夕リング法、 蒸着法、 ゾルゲル法等によって一方の導電基板上に、 ェ レク トロクロミ ック物質含有イオン伝導性物質層を形成させた後、 他方の 導電基板を合わせる方法や、 あるいはエレク トロクロミ ック物質含有ィォ ン伝導性物質を予めフィルム状に成形し、 合わせ板ガラスを製造する要領 で本発明のエレク トロクロミ ック素子を得ることもできる。
また、 使用するイオン伝導性物質が固定系である場合、 とりわけ、 先に 説明した組成物 A又は Bを使用する場合にあっては、 エレク トロクロミ ッ ク物質を含有する未固化状態の組成物 A又は Bを、 周縁部をシールした対 向導電基板の隙間に、 真空注入法、 大気注入法、 メニスカス法等によって 注入した後、 適宜な方法で組成物を固化させる方法が採用できる。
〔図面の簡単な説明〕
第 1図は本発明のエレク ト口クロミ ック素子の断面図である。
第 2図は本発明に係るエレク トロクロミ ック素子の一つであるエレク ト 口クロミ ヅクミラーの断面図である。
以下、 本発明に係るエレク ト口クロミ ツク素子の構成を第 1図に沿って 説明する。
第 1図に示されるエレク ト口クロミ ック素子は、 透明基板(1 )の一方の 面に透明電極層(2 )が形成された 2枚の透明導電性基板を、 透明電極層(2 ) が内側を向く よう対向させ、 その間隙にエレク ト口クロミ ック物質含有ィ オン伝導性物質層(3 )を挟持させている。
このエレク トロクロミ ヅク素子は次の方法で作成することができる。 2 枚の透明基板(1 )の片面に、 それそれ適宜の方法で透明電極層(2 )を形成し て透明導電基板を得る。 このようにして得られた 2枚の透明導電基板を、 それそれの透明電極層(2 )が内側に位置する関係で、 かつ 1〜 1 0 0 0 m程度の間隔で対向させ、 注入口となる一部分を除いて全周をシール材 ( 6 )でシールし、 注入口付きの空セルを作成する。 次に、 エレク ト口クロ ミック物質が分散されているイオン伝導性物質を、 注入口から注入してこ こを封止することで本発明のエレク トロクロミ ック素子を得ることができ ο
なお、 エレク ト口クロミ ック物質を分散させた組成物 A又は Bを使用し てイオン伝導性物質層(3 )を形成する場合には、 当該組成物を導電基板の 間隙に注入した後、 硬化させる方法が通常採用される。 硬化方法としては. 特に限定されないが、 光による方法、 熱による方法、 経時的に硬化する反 応液を注入直前に組成物 A又は Bに混合した後、 直ちにセル内に注入して 硬化させる方法等が採用できる。 注入口は適宜に封止される。
2枚の導電基板を対向させる際、 両者の間隔を一定に確保するためにス ぺ一サーを用いることができる。 スぺーサ一としては、 特に限定されない
が、 ガラス、 ポリマ一等で作成されたビーズまたはシートを用いることが できる。 スぺーサ一は、 対向する導電基板の間隙に挿入したり、 導電基板 の電極上に樹脂等の絶縁物で構成される突起状物を形成する方法等より設 けることができる。
本発明のエレク トロクロミ ック素子の代表的な構成例は、 第 1図に示す とおりであるが、 本発明のエレク ト口クロミ ック素子には、 必要に応じて、 紫外線反射層や紫外線吸収層などの紫外線力ッ ト層、 素子全体もしくは各 膜層の表面保護を目的とするォ一バーコ一ト層、 素子を防眩ミラーとして 使用するための反射板などを付設することができる。 紫外線カツ ト層は、 透明基板(1 )の外界側もしくは透明電極層(2 )とイオン伝導性物質層(3 )と の層間に、 オーバーコート層は、 透明基板(1 )の外界側に、 反射板は一方 の透明基板(1 )外界側に設けるのが一般的である。 反射板が導電性を備え ていれば、 透明電極層(2 )を導電性反射板に置き換えることも可能である。 ちなみに、 第 2図に示すようなエレク ト口クロミ ックミラ一は、 第 1図 に示すエレク トロクロミ ック素子において、 透明電極層(2 )を形成した 2 枚の透明導電性基板の一方を、 基板(5 )に反射性パラジウム電極層(4 )を設 けた導電基板に置き換えた構成にある。 本発明のエレク トロクロミ ツク素子は、 特定のエレク トロクロミ ック化 合物がイオン伝導性物質層に加えられているため、 応答速度が速く、 着色 濃度、 色調の調節が容易であり、 しかも十分な耐久性を備えている。 本発 明のエレク トロクロミ ック素子は、 比較的容易にかつ安価に製造すること ができる。 また、 イオン伝導性物質層の形成に固体電解質を用いることが 容易であり、 したがって、 電解質溶液が飛び散ることがなく、 大型で安全 性が高いエレク トロクロミ ック素子を作ることができる。
以上のことから、 本発明のエレク ト口クロミ ック素子は、 建物や自動車 等の乗り物用に代表される調光窓や、 装飾用、 間仕切り用などの他、 自動 車用防眩ミラー等に好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げ、 本発明を具体的に説明するが、 本発明は実施例 に制限されるものではない。 実施例 1
( 1 ) エレク ト口クロミ ック物質 (ピオロゲン化合物) の合成
ビビリジル 3. 1 2 g ( 2 0 mm o 1 ) をフラスコ中で 1 00mlのァ セ トニト リルに溶解させ、 ここに n-へプチルブロマイ ド 7. 1 6 g ( 4 0 mm o 1 ) を加えた。
ァセ トニト リルの還流温度で 1 2時間反応させ、 析出した固体を濾別、 乾燥して N, N, ージへプチルビピリジニゥムジブロマイ ド 8. 74 g ( 1 7 mm o 1 ) を得た。
( 2 ) エレク ト口クロミ ック素子の作製
透明電極として I T 0薄膜が片面に付いた基板の I T 0薄膜側周辺部に、 一部分を残してエポキシ系接着剤を線状に塗布した。 この基板の上に、 I T 0被覆された透明ガラス基板を、 I T 0面同士が向かい合うように重ね 合わせ、 加圧しながら接着剤を硬化させて注入口付き空セルを作製した。 一方、 メ トキシポリエチレングリコールモノメタク リ レート (新中村化 学工業株式会社製 ME04) [ォキシエチレンユニッ ト数 4 ] 1. 0 g、 ポリエチレングリコールジメタクリレート (新中村化学工業株式会社 製 9 G) [ォキシエチレンユニッ ト数 9 ] 0. 02 g、 ァ一プチロラク トン 4. 0 gの混合溶液に、 過塩素酸リチウム 0. 4 gを添加し、 均一 溶液とした。 暗室内で、 上記均一溶液に光重合開始剤である 1— (4—ィ ソプロピルフエニル) 一 2—ヒ ドロキシ一 2—メチルプロパン一 1一オン
(メルク社製、 商品名 「ダイキュア一 1 1 1 6」 ) 0. 02 gを添加し、 均一溶液を得た。 ここに上記 ( 1 ) で合成した N, N, —ジへプチルビピ リジニゥムジブロマイ ド 1. 00 g ( 1. 84 mm o 1 ) を加えて均一 化させ、 脱気後、 上述のようにして作成したセルの注入口より電解質前駆
体として注入した。
注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、 透明基板側から蛍光灯の光を 当てて電解質前駆体を硬化させ、 全固体型エレク トロクロミ ック素子を得 た。
この素子は組み立てた時点では着色しておらず、 透過率は約 90%であ つた。 また、 電圧を印加すると応答性に優れ、 良好なエレク トロクロミ ツ ク特性を示した。 すなわち、 1. 5 Vの電圧を印加すると緑色に着色し、 波長 633 nmの光の透過率は約 20%となった。 実施例 2
( 1 ) エレク ト口クロミ ック物質 (ピオロゲン化合物) の合成
ビビリジル 3. 1 2 g ( 20 mm o 1 ) をフラスコ中で 1 00mlのメ 夕ノールに溶解させ、 ここにべンジルブロマイ ド g (40 mm o 1 ) を加 えた。
メタノール還流温度で 12時間反応させ、 析出した固体を濾別、 乾燥し て N , N ' —ジペンジルビピリジニゥムジブロマイ ド 8. 00 g ( 1 6m m o 1 ) を得た。
( 2 ) エレク ト口クロミ ツクミラーの作製
高反射性電極としてパラジウム薄膜が片面に付いた基板のパラジウム薄 膜側周辺部に、 一部分を残してエポキシ系接着剤を線状に塗布した。 この 基板の上に S n〇2被覆された透明ガラス基板を、 S n02 面とパラジゥ ム層とが向かい合うように重ね合わせ、 加圧しながら接着剤を硬化させ、 注入口付き空セルを作製した。
メ トキシポリエチレングリコールモノメタク リ レート (新中村化学工業 株式会社製 ME 04) [ォキシエチレンユニッ ト数 4] 1. 0 g、 ポ リエチレングリコールジメ夕ク リレート (新中村化学工業株式会社製 9 G) [ォキシエチレンユニッ ト数 9] 0. 02 g、 ァ一プチロラク トン 4. 0 gの混合溶液に、 過塩素酸リチウム 0. 4 gを添加して均一溶液と
した。 暗室内で、 上記均一溶液に光重合開始剤である 1 — ( 4 一イソプロ ピルフエニル) 一 2—ヒ ドロキシ一 2—メチルプロパン一 1 一オン (メル ク社製、 商品名 「ダイキュア— 1 1 1 6」 ) 0 . 0 2 gを添加し、 さらに、 ( 1 ) で得られた N , N ' ージベンジルビピリジニゥムジブロマイ ド 2 g を加え得られた均一溶液を脱気後、 上述のようにして作成したセルの注入 口より電解質前駆体として注入した。
注入口をェポキシ系接着剤で封止した後、 透明基板側から蛍光灯の光を 当てて電解質前駆体を硬化させ、 エレク ト口クロミ ック性高分子固体電解 質を得た。 このようにして第 2図に示す構成の全固体型エレク トロクロミ ックミラ一を得た。
この素子 (ミラー) は組み立てた時点では着色しておらず、 反射率は約 8 5 %であった。 また、 電圧を印可すると応答性に優れ、 良好なエレク ト 口クロミ ック特性を示した。 すなわち、 1 . 5 Vの電圧を印可すると緑色 に着色し、 反射率は約 1 5 %となった