電気、 電子又は光学装置用機能性素子、 及びその製造方法
技術分野 本発明は、 電気、 電子又は光学装置用機能性素子に関する, 明
更に詳細には、 本発明は、 電気、 電子又は光学装置用機能性 素子であって、 基板と 、 その上側表面に延びる複数の針状金 書
属酸化物と を包含し、 該針状金属酸化物が基板の上側表面か ら上方に向かって延び、 かつその各中心軸が互いに実質的に 平行に配列 してぉ リ 、 該針状金属酸化物が特定の加重平均円 換算径及び特定の加重平均ァスぺク ト比を有し、 そ して該針 状金属酸化物が基板の上側表面に特定の密度で存在する、 こ と を特徴とする機能性素子に関する ものである。 本発明は又 この機能性素子の製造方法に関する。 本発明の電気、 電子又 は光学装置用機能性素子は、 基板上にある金属酸化物の表面 積が非常に大きいにもかかわらず厚みを小さ く するこ とがで きる とい う優れた特徴を有し、 各種電気、 電子又は光学装置 用部品 と して非常に優れた性能を発揮する。 従来技術 金属酸化物は、 金属酸化物の持つ様々 な機能を生かして種 々 の用途に使用されている。 例えば、 強誘電体機能を生かし てセラ ミ ッ ク コ ンデンサー、 抵抗機能を生か してガスセ ンサ
一、 磁性体機能を生かして磁気テープあるいは磁気へッ ド等、 様々な電気 · 電子部品と して使用 されている。 また最近では、 光導波路機能を生かして光スィ ッチ、 光発振機能を生かして 紫外光レーザ一発振素子等と して、 光学部品への応用も検討 されつつある。
これらの用途に使用する場合、 金属酸化物の形状はフラ ッ 卜な面を持つ形状が一般的である。 例えば、 セラ ミ ッ ク コン デンサ一では、 強誘電体機能を持つ金属酸化物 (例えば、 チ タン酸バ リ ゥム) が平面電極の間にサン ドイ ッチされた積層 品の形で使用 されている。 また、 磁気テープでは、 高分子フ イ ルム上に金属酸化物 (例えば、 酸化ク ロ ム) 膜が形成され た形で使用 されている。 しかしなが ら、 これらの用途に使用 する場合、 用途によっては、 金属酸化物の表面積を大き く で きれば、 性能を大幅にア ップでき る場合がある。 例えば、 上 記のコ ンデンサーの場合、 その最も重要な性能は静電容量で ある。 静電容量が高い方が性能は優れるが、 静電容量は、 金 属酸化物の表面積に比例し、 厚みに反比例する。 即ち、 金属 酸化物の表面積が大きければ大きいほど静電容量は高く な リ 、 また、 金属酸化物の厚みが薄ければ薄い程静電容量は高く な る。 この為、 現状のコ ンデンサ一は、 電極と金属酸化物を約 1 0 0層近く 積層させたものが商品と して主流となっている。 即ち、 層を多く する こ と によって金属酸化物の表面積を大き く し、 そ して、 電極と金属酸化物の厚みを可能な限リ薄く す
るこ と によって、 高静電容量のコ ンデンサーと しているので ある。 しかし、 電極と金属酸化物を何層にも積層する こ とに よって多層化する こ と は、 生産性 · 経済性の面で非常に不利 である。
そこで、 例えば、 一層のみからなる金属酸化物でも、 同じ 厚みで現在使用 されている多層からなる コ ンデンサ一と同等 あるいはそれ以上の表面積にする、 即ち、 高静電容量とする こ とができれば、 多層化する ょ リ も生産性 · 経済性が向上す るばか リ でなく 、 よ リ 高静電容量のコ ンデンサーとする こ と も可能となる。 金属酸化物を、 表面積を大き く しても厚みを 小さ く する こ とができ る構造とする こ と によ リ 、 上述のコン デンサ一の例の如く 、 現在使用 されている種々の用途におい て、 改良された電気 · 電子部品や光学部品とするこ とができ、 更に新しい商品展開が可能な部品とする こ と もできる。
金属酸化物の表面積を大き く する方法と しては、 針状金属 酸化物のゥイ スカーを形成する こ とが知られている。 例えば、 日本国特開昭 5 0 - 6 5 9 7号には、 亜鉛及び亜鉛よ リ も沸 点の高い金属からなる亜鉛合金又はその混合物を、 酸素を含 有する雰囲気下において加熱し、 基板上に針状酸化亜鉛のゥ イ スカーを生成せしめる こ と を特徴とする酸化亜鉛ウイ スカ 一の製造方法が開示されている。 しかし、 この酸化亜鉛ウイ スカーを製造する 目的は、 生成したゥイ スカーを基板から切 リ離して、 切 リ離したゥイ スカー自体を樹脂あるいはセラ ミ
ック ス等の強度アップを計るための補強剤や半導体と して使 用する ものであって、 基板とその表面に形成されたゥイ ス力 —からなる構造体を電機 ·電子部品あるいは光学部品と して 使用するこ とは開示されていない。
また、 基板上に形成した Z η θのナノ結晶を紫外光レーザ —発振素子と して用いる とい う報告もある [固体物理、 vol.
33、 No. 1、 ρ·59〜 64 ( 1998 ) ] 。 しかし、 基板上に形成さ れたこ の Ζ η 〇のナノ結晶は、 高さが 5 n mで円換算径が 1 0 0 n m、 即ち、 断面の円換算径に対する長さの比 (長さ 断面の円換算径) が 0 . 0 5 と非常に小さいものでぁ リ 、 小 さい厚みで表面積を大き く するこ と には限界がある。 発明の概要
このよ う な状況下、 本発明者等は、 電気、 電子又は光学部 品と しての用途を指向 し、 基板とその表面に形成された金属 酸化物からな リ 、 該金属酸化物の表面積が大き く 厚みが小さ いとい う有利な構造を有する機能性素子を開発すべく 鋭意検 討を行った。 その結果、 驚く べき こ とに、 基板と 、 その上側 表面に延びる複数の針状金属酸化物と を包含し、 該針状金属 酸化物は基板の上側表面から上方に向かって延び、 かつその 各中心軸が互いに実質的に平行に配列 してお リ 、 該針状金属 酸化物が 0. 0 1 〜 1 0, 0 0 0 ;u mの加重平均円換算径、 及 び 0. 1 以上の加重平均ァスぺク ト比を有し、 且つ該針状金
属酸化物が該基板の上側表面の 1 O m X 1 O iu rnの単位面 積当た リ 0 . 0 1 〜 1 0 , 0 0 0個の密度で存在する、 こ とを 特徴とする機能性素子が、 金属酸化物の厚みが非常に小さい にもかかわらず、 表面積が極めて大きいとい う優れた特徴を 有する こ と を見出 した。 また、 本発明者等は、 このよ う な特 徴を有する機能性素子は、 例えば低電圧で電子を放出でき る 省エネ型の電子放出素子や高容量のコ ンデンサー素子、 高密 度メ モ リ ー素子、 高感度セ ンサー素子等の電気又は電子装置 用素子や、 レーザー発振素子、 特に紫外光等低波長の レーザ 一発振素子、 高集積光スィ ッチ素子等の光学装置用素子等へ 有利に応用する こ と ができ る こ と を見出 した。 この知見に基 づき、 本発明を完成させるに至った。
従って、 本発明の 1 つの 目的は、 基板とその表面に形成さ れた金属酸化物からな リ 、 該金属酸化物の表面積が非常に大 きいにもかかわらず厚みが小さいとい う優れた特徴を有し、 各種電気、 電子又は光学装置用部品と して非常に優れた性能 を発揮する電気、 電子又は光学装置用機能性素子を提供する こ とにある。
本発明の他の 1 つの 目的は、 上記の電気、 電子又は光学装 置用機能性素子を効果的且つ効率的に製造するための製造方 法を提供する こ と にある。
本発明の上記及び他の諸目的、 諸特徴並びに諸利益は、 添 付の図面を参照 しなが ら述べる次の詳細な説明及び請求の範
囲、 カゝら明ら力、になる。 図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の機能性素子を製造するために好ま しく 用 いられる製造設備の一例を示す概略図でぁ リ ;
図 2 ( a ) 及び図 2 ( b ) は、 実施例 1 で得られた機能性 素子を斜め上から観察した走査型電子顕微鏡 (scanning elect ron microscope; S E M) 写真で、 図 2 ( a ) と 図 2 ( b ) は倍率が異な リ ;
図 3 は、 実施例 2 で得られた機能性素子を真上から観察し た S E M写真でぁ リ ;
図 4 は、 実施例 3 で得られた機能性素子を真上から観察し た S E M写真でぁ リ ;
図 5 は、 実施例 4 で得られた機能性素子を斜め上から観察 した S E M写真であ り ;
図 6 は、 実施例 5 で得られた機能性素子を斜め上から観察 した S E M写真でぁ リ ;
図 7 は、 実施例 6 で得られた機能性素子を斜め上から観察 した S EM写真でぁ リ ; そ して
図 8 は、 実施例 6 で得られた機能性素子 (図 7 に示す) を 含む回路装置 (circui t device) の垂直断面図である。
(符号の説明)
1 基板 ( A 1 203 )
2 針状金属酸化物 ( Z n O )
3 スパッタ リ ングによ リ形成したニッケル ( N i ) 電極
4 、 8 銅板
5 絶縁フ イ ノレム
6 シ リ コ ン ( S i ) 板
7 導電ペース ト 発明の詳細な説明
本発明の一つの態様によれば、 電気、 電子又は光学装置用 機能性素子であって、
基板と 、 その上側表面に延びる複数の針状金属酸化物と を 包含し、 該針状金属酸化物は基板の上側表面から上方に向か つて延び、 かつその各中心軸が互いに実質的に平行に配列し てお リ 、 該針状金属酸化物は 0 . 0 :! 〜 1 0, 0 0 0 μ mの加 重平均円換算径を有し、 該加重平均円換算径は該針状金属酸 化物の断面の面積と等 しい面積を有する円の加重平均径と し て定義され、 該断面は該針状金属酸化物の長さの 1 2 に位 置する 中央部分において該針状金属酸化物の中心軸に対して 直角な面に沿つて得た断面でぁ リ 、
該針状金属酸化物は 0 . 1 以上の加重平均ァスぺク ト比を 有し、 加重平均ァスぺク ト比は、 該針状金属酸化物の上記加 重平均円換算径に対する加重平均長さの比と して定義され、 該針状金属酸化物は該基板の上側表面の 1 Ο μ πα Χ 1 0 μ
mを有する単位面積当た リ 0 . 0 1 〜 1 0 , 0 0 0個の密度で 存在する、 こ と を特徴とする機能性素子
が提供される。
本発明の他の一つの態様によれば、 電気、 電子又は光学装 置用機能性素子を製造する方法であって、
( a ) 揮発性又は昇華性を有する少なく と も 1 種の金属化合 物であって、 少なく と も 1 種の酸化物形成物質と反応して該 金属化合物に対応する金属酸化物を形成する こ とが可能な金 属化合物を気化させて、 金属化合物ガスを得、
( b ) 得られた金属化合物ガスを、 該酸化物形成物質を含ん だ反応帯域に置かれ且つ該金属化合物ガスの温度よ リ も高い 温度に加熱された基板、 の表面に吹き付けて、 該酸化物形成 物質の存在下に該基板の表面を該金属化合物ガスに接触させ、 その際に上記接触を該基板の表面に複数の針状金属酸化物を 成長させそ して本発明の機能性素子を形成するのに充分な時 間おこな う 、 こ と を特徴とする方法
が提供される。
次に、 本発明の理解を容易にするために、 まず本発明の基 本的特徴及び好ま しい態様を列挙する。
1 . 電気、 電子又は光学装置用機能性素子であって、
基板と 、 その上側表面に延びる複数の針状金属酸化物と を 包含し、 該針状金属酸化物は基板の上側表面から上方に向か
つて延び、 かつその各中心軸が互いに実質的に平行に配列 し てお リ 、 該針状金属酸化物は 0 . 0 1 〜 1 0 , 0 0 0 mの加 重平均円換算径を有し、 該加重平均円換算径は該針状金属酸 化物の断面の面積と等しい面積を有する円の加重平均径と し て定義され、 該断面は該針状金属酸化物の長さの 1 / 2 に位 置する 中央部分において該針状金属酸化物の中心軸に対して 直角な面に沿つて得た断面であ リ 、
該針状金属酸化物は 0 . 1 以上の加重平均ァスぺク ト比を 有し、 加重平均ァスぺク ト比は、 該針状金属酸化物の上記加 重平均円換算径に対する加重平均長さの比と して定義され、 該針状金属酸化物は該基板の上側表面の 1 0 m X 1 0 μ mを有する単位面積当た リ 0. 0 1〜 1 0, 0 0 0個の密度で 存在する、 こ と を特徴とする機能性素子。
2 . 該針状金属酸化物が、 有機物質、 無機物質及び金属から なる群から選ばれる少なく と も 1 種の物質を用いて互いに保 持されている、 前項 1 に記載の機能性素子。
3 . 電気又は電子装置用電子放出素子である、 前項 1 に記載 の機能性素子。
4 . 電気又は電子装置用コ ンデンサー素子である、 前項 1 に 記載の機能性素子。
0
5 . 電気又は電子装置用メ モ リ ー素子である、 前項 1 に記載 の機能性素子。
6 . 電気又は電子装置用センサー素子である、 前項 1 に記載 の機能性素子。
7 . 光学装置用 レーザー発振素子である、 前項 1 に記載の機 能性素子。
8 . 光学装置用光スィ ッチ素子である、 前項 1 に記載の機能 性素子。
9 . 電気、 電子又は光学装置用機能性素子を製造する方法で あって、
( a ) 揮発性又は昇華性を有する少なぐと も 1 種の金属化合 物であって、 少なく と も 1 種の酸化物形成物質と反応して該 金属化合物に対応する金属酸化物を形成する こ とが可能な金 属化合物を気化させて、 金属化合物ガスを得、
( b ) 得られた金属化合物ガスを、 該酸化物形成物質を含ん だ反応帯域に置かれ且つ該金属化合物ガスの温度よ り も高い 温度に加熱された基板、 の表面に吹き付けて、 該酸化物形成 物質の存在下に該基板の表面を該金属化合物ガスに接触させ
その際に上記接触を、 該基板の表面に複数の針状金属酸化物 を成長させそ して前項 1 に記載の機能性素子を形成するのに 充分な時間おこなう 、 こ と を特徴とする方法。
1 0. 工程 ( b ) において、 該金属化合物ガスをキャ リ アー ガス と と もに吹き付ける、 前項 9 に記載の方法。
1 1 . 該反応帯域が大気圧下の空気を含有する、 前項 9 に記 載の方法。
1 2. 該金属化合物の金属分が、 水素、 ホウ素、 炭素、 窒素、 リ ン及び砒素を除いた、 周期律表の 1 〜 1 5族の元素からな る群から選ばれる少なく と も 1種の元素からなる、 前項 9に 記載の方法。
1 3. 該金属化合物の金属分が、 亜鉛、 ケィ素、 アルミ ニゥ ム、 錫、 チタン、 ジルコニウム及び鉛からなる群から選ばれ る少なく と も 1種の元素からなる、 前項 9 に記載の方法。 以下、 本発明を詳細に説明する。
まず、 本発明の電気、 電子又は光学装置用機能性素子につ いて説明する。
本発明の電気、 電子又は光学装置用機能性素子は、 基板と、
その上側表面に延びる複数の針状金属酸化物 (即ち、 金属酸 化物ウ イ スカー) と を包含 し'、 上記針状金属酸化物は基板の 上側表面から上方に向かって延び、 かつその各中心軸が互い に実質的に平行に配列している構造を有する。 但し、 こ の針 状金属酸化物は、 山形の隆起した形状、 棒状あるいは角柱状 等の形状の金属酸化物であってもよい。 針状金属酸化物の太 さは、 断面の加重平均円換算径が 0 . 0 1 〜 : ί Ο , Ο Ο Ο mであるこ とが好ま しい。 更に、 好ま しく は 0 . 0 1 〜 1 0 O i m、 最も好ま しく は 0 . 1 〜 1 0 μ πιである。 こ こでレ、 う加重平均円換算径と は、 例えば画像解析を始めとする従来 公知の方法で断面積を計算 し、 得られた面積を円周率 π で除 したも のの平方根の 2倍の値で表される ものであ リ 、 針状金 属酸化物の断面の面積と等 しい面積を有する円の加重平均径 と して定義される。 なお、 上記断面とは、 針状金属酸化物の 長さの 1 Z 2 に位置する中央部分において、 針状金属酸化物 · の中心軸に対して直面な面に沿って得た断面である。 加重平 均円換算径が 0 . O l y m未満の場合、 成長した針状金属酸 化物を安定して得る こ とが困難でぁ リ 、 1 0, 0 0 0 μ mを 越えた場合、 針状金属酸化物による表面積増加の効果が乏し く 好ま しく ない。
上記の加重平均円換算径に対する加重平均長さの比 (長さ /断面の円換算径) 、 即ち、 加重平均ァスぺク ト比 (以下、 屡々単に "アスペク ト比" と称す) は 0 . 1 以上、 好ま しく
は 0 . 5以上、 更に好ま し く は 1 . 0以上である。 ァスぺク ト比が 0 . 1 よ リ小さいと針状金属酸化物による表面積増加 の効果が現れなレ、。 ア スペク ト比は、 好ま しく は 1 0 0, 0 0 0以下、 更に好ま しく は 1 0 , 0 0 0以下、 特に好ま しく は 1 , 0 0 0以下である。
針状金属酸化物の加重平均長さは、 使用する用途によって 異な リ特に限定はなレヽが、 一般には、 0 . 1〜 1 0, 0 0 0 mが好ま しく 、 又、 1〜 1, 0 0 0 mがよ リ好ま しい。 針状金属酸化物の長さが 0 . 1 m未満の場合、 針状金属酸 化物の表面積増加の効果が乏しく 、 1 Ο , Ο Ο Ο πιを越え た場合、 機能性素子の強度保持が困難となる。 しかしながら、 長さが 1 0 , 0 0 Ο μ πιを超える場合でも、 後述する よ う に、 針状金属酸化物を有機物質や無機物質等で互いに保持するこ とによ り充分な強度保持が可能である。
なお、 本発明において、 針状金属酸化物の加重平均円換算 径、 加重平均長さ、 及び加重平均ァスぺク ト比は、 以下の方 法による SEM観察によって求める。 まず、 機能性素子のサン プルを、 その上側表面の中心部を通 リ 且つ針状金属酸化物の 長手方向と平行に延びる平面に沿って切断して断面を得る。 得られた断面 ( 1 つ) について、 上記の中心部を起点に して、 針状金属酸化物の長手方向に直角な方向に左右それぞれ 1 0 0 inずつの範囲 (合計 2 0 θ ί πχの範囲) を SEMで観察し、 その範囲内で断面側から観察可能な複数の針状金属酸化物の
う ち、 断面側から針状金属酸化物のそれぞれの側面全体の完 全な観察 (他の針状金属酸化物によって視界が遮られない観 察) が可能な針状金属酸化物のみについて、 加重平均円換算 径と加重平均長さを求める。 加重平均ァスぺク ト比は、 加重 平均円換算径に対する加重平均長さの比と して定義される。 針状金属酸化物の形状と しては、 ァスぺク ト比が 0 . 1 以 上である限リ は特に限定されない。 その形状と しては、 例え ば、 棒状の場合、 根元部分から先端部分まで径が変わらない もの、 根元部分から先端部方向にある距離まで径が変わらな いもの、 根元部分の径が小さ く 、 先端部に行く につれ一度径 が大き く なつた後、 再度径が少しずつ減少していく もの、 根 元部分から先端部に行く につれ径が少しずつ減少していく も の、 先端近く のある距離から角錐または角錐台や円錐または 円錐台や半球のよ う な形状を取っている もの等がある。 更に、 角柱状の場合、 具体的な形状は結晶構造にょ リ異なるが、 金 属酸化物が酸化亜鉛の場合は六角柱、 酸化アル ミ ニウムの場 合は四角柱あるいは六角柱、 酸化チタ ンの場合は四角柱とな るこ とが多い。 また、 それ以外の多角形を断面の形状に持つ 角柱もある。
針状金属酸化物の先端の形状は、 特に限定されないが、 先 端の形状が面である場合は、 先端部の形状は、 例えば円錐台 や、 角錐台となる。 先端の形状が線である場合は、 先端部の 形状は、 例えば山の稜線のよ う に、 2 つ以上の平面からな リ 、
隣リ合 う平面が一つの辺でつながった形状をと る。 先端の形 状が点である場合は、 先端部の形状は、 例えば円錐や、 角錐 となる。 先端の形状の好ま しい形状は、 使用する用途によつ て決まる。 例えば、 本発明の機能性素子を電子放出素子と し て使用する場合、 針状金属酸化物の先端が尖っている方が電 子を放出 し易い。 雷が避雷針 (先端が尖っている) に落下す る こ と は一般に良く 知られた現象であるが、 逆に、 物体に電 圧をかけて電子を放出する際にもその先端が尖っている、 即 ち円錐状になっている方がはるかに電子を放出 し易いこ と を 本発明者等は確認した。
本発明の機能性素子においては、 針状金属酸化物の各中心 軸 (結晶の場合は長手方向の結晶軸) が互いに実質的に平行 に配列するこ とが必須でぁ リ 、 また、 長さが揃っている こ と が好ま しい。 例えば、 本発明の機能性素子を電子放出素子と して使用 した電気又は電子装置用部品の場合、 各中心軸が互 いに平行である方が電子放出能が高い。 何故なら、 平行でな いと高さが一定しないからである。 高さが一定しない場合、 高さの低いものは電子を放出せず、 高さの高いもののみその 先端から電子を放出するこ とになる。 よって、 中心軸が互い に平行に配列した針状金属酸化物の方が電子放出に機能する 先端の数が多いこ と にな リ 、 電子放出能力が必然的に高く な る。 更に、 針状金属酸化物の形状が角柱状の場合、 角柱の中 で向かい合った面同志が互いに平行な部分を持つものが好ま
しい。 例えば、 本発明の機能性素子を レーザー発振素子と し て使用 した電気又は電子装置用部品の場合、 角柱の中で向か い合った面同士が互いに平行である方がレーザー発振機能が 高い。
機能性素子に用いられる基板の材質と しては、 例えば、 酸 化アル ミ ニ ウムのよ う な金属酸化物単結晶、 半導体単結晶、 セラ ミ ック、 シリ コン、 F e 、 N i 等の金属、 ガラス、 プラ スチッ ク等を挙げる こ とができ る。 基板の厚みは特に限定は ないが、 好ま しく は Ι Ο μ π!〜 1 0 O mmの範囲である。 こ れらの材質の市販品の材料を購入し、 カ ッ ト し、 所望にょ リ 二次加工を施す等して、 本発明の機能性素子の基板と して用 いるこ とができる。 基板の形状やサイ ズについては、 その表 面が針状金属酸化物を成長させるのに適した実質的な平面部 分を有するに限リ は特に限定はなく 、 板状、 直方体、 角柱、 三角柱等、 様々な形状の基板を用いる こ とができる。 なお、 基板のサイズは機能性素子の用途にょ リ 大き く 異な リ 、 所望 のいかなるサイズも用いる こ とができ る。 (例えば、 サイズ に関わる値が数十メー トルのオーダーの場合もある し、 ミ リ メー トルのオーダーの場合もある。 )
本発明の機能性素子において、 針状金属酸化物が基板上に 存在する密度は、 基板の上側表面の l O iu m X l O mを有 する単位面積当た リ 0 . 0 1 〜 : L 0 , 0 0 0個でぁ リ 、 0 . 1〜 1 0 , 0 0 0個であるこ とが好ま しく 、 更に 1〜 1 0, 0
0 0個である こ とがょ リ好ま しい。 密度が 0 . 0 1個未満で ある場合は、 針状金属酸化物の表面積増加の効果が乏 しく好 ま しく ない。 基板上に存在する針状金属酸化物の表面積を大 き く する為には、 その密度を大き く すればする程好ま しいが、 1 0 μ m X 1 0 μ πιの単位面積当た リ 1 0 , 0 0 0個を超え る と、 結果的に 1 個 1 個の針状金属酸化物の太さを減少せざ るを得ず、 この針状金属酸化物の強度が実用領域を外れ好ま しく ない。
本発明の機能性素子における針状金属酸化物は、 水素 ( 1 族) 、 ホウ素 ( 1 3族) 、 炭素 ( 1 4族) 、 窒素 ( 1 5族) 、 リ ン ( 1 5族) 及び砒素 ( 1 5族) を除いた、 周期律表の 1 〜 1 5族の元素からなる群から選ばれる少なく と も 1 種の元 素の酸化物が好ま しい。 具体的な金属種と しては、 例えば、 L i 、 N a 、 K、 R b 、 C s 、 B e 、 M g、 C a 、 S r 、 B a 、 A l 、 G a 、 I n 、 T l 、 S i 、 G e 、 S n、 P b 、 S b 、 B i 、 S c 、 Y、 L a 、 T h 、 C e 、 P r 、 N d 、 P m、 S m、 E u、 G d 、 T b 、 D y 、 H o 、 E r 、 T m、 Y b 、 L u、 T i 、 Z r 、 H f 、 V、 N b 、 T a 、 C r 、 M o 、 W、 M n、 T c 、 R e 、 F e 、 R u 、 O s 、 C o 、 R h、 I r 、 N i 、 P d、 P t 、 C u、 A g 、 A u 、 Z n、 C d、 H g等 を少な く と も一成分とする ものでぁ リ 、 これらのなかでも、 好ま し く は L i 、 N a 、 K、 R b 、 C s 、 B e 、 M g 、 C a 、 S r 、 B a 、 A l 、 G a 、 I n 、 T l 、 S i 、 G e 、 S n、
P b 、 S b 、 B i 、 S c 、 Y、 L a 、 C e 、 T h、 T i 、 Z r 、 V、 N b 、 T a 、 C r 、 M o 、 W、 M n 、 R e 、 F e 、 R u、 O s 、 C o 、 R h、 I r 、 N i 、 P d 、 P t 、 C u、 A g 、 A u、 Z n 、 C d 、 H g を少なく と も一成分とする も のであ り 、 さ らに好ま しく は、 L i 、 K、 M g 、 C a 、 S r 、 B a 、 A l 、 I n 、 S i 、 S n、 P b 、 T h、 Y、 C e 、 T i 、 Z r 、 V、 N b 、 T a 、 C r 、 M o 、 W、 M n、 F e 、 C o 、 N i 、 P d 、 P t 、 C u、 A g 、 Z n 、 C d を少なく と も一成分とする ものである。 中でも、 S i 、 A l 、 S n、 T i 、 Z r 、 P b 、 Z n を少なく と も一成分と した場合、 特 に本発明の機能性素子が電気、 電子又は光学部品装置用機能 性素子に適するので好ま しい。 これらの金属は単独でも使用 できる し、 二種以上を組み合わせて使用する こ と もでき る。 例えば、 M g 〇、 A 1 2 O 3 , I η 2 Ο 3 , S i 02、 S n〇 2、 T i 02、 Ζ η Ο、 チタ ン酸バ リ ウム、 S r T i 03、 P Z T、 Y B C O、 Y S Z 、 Y A G、 I T O ( I n zO a/ S n O z)
(即ち、 indium t in oxide) 等が挙げられる。 また、 アル力 リ金属と他の金属を組み合わせて使用する こ と もでき る。 例 えば、 T a 、 N b と アルカ リ金属等を組み合わせた L i N i 03、 K T a O 3、 N b L i 03のよ う な複合酸化物を形成さ せて使用する こ と もできる。
本発明の機能性素子における針状金属酸化物は、 基本的に は結晶質、 非晶質を問わないが、 結晶質である こ とがよ リ好 ま しい。 結晶質は一種以上の単結晶であっても、 多結晶であ つても、 非晶部と結晶部を同時に有する一種以上の半結晶性 物質であっても、 また、 これらの混合物であってもよい。 特 に好ま しく は、 単結晶である。
また、 二種類以上の金属酸化物を用いる場合、 金属酸化物 は混合されて一層になっていても、 組成の異なる金属酸化物 の層が積層されていてもよい。
本発明の機能性素子は、 基本的には基板と、 その上側表面 から上方に延びる複数の針状金属酸化物とからなるが、 製造 方法によっては、 こ の基板と針状金属酸化物との間に平面状 の金属酸化物膜が形成される。 即ち、 基板の表面上にまず金 属酸化物の膜が形成され、 その上に成長した針状金属酸化物 が形成される構造と なる こ と もある。 本発明の機能性素子は このよ う な構造を有する も のであってもよい。
次に、 本発明の電気、 電子又は光学装置用機能性素子を製 造するための好ま しい製造方法について説明する。
本発明の機能性素子は、 針状金属酸化物の原料である金属 化合物を気化し、 得られた金属化合物ガスを酸化物形成物質 の存在下に基板と接触させる こ と によ リ製造するこ とができ る。 即ち、 本発明の機能性素子は、 揮発性又は昇華性を有し、 且つ、 酸化物形成物質と反応して金属酸化物を形成する こ と
が可能な金属化合物を気化させ、 得られた金属化合物ガスを ノ ズル等によ リ 基板の表面に吹き付けて、 上記酸化物形成物 質の存在下に基板の表面を金属化合物ガスに接触させる こ と によ リ 、 基板の表面に複数の金属酸化物を成長させる こ とに よって製造する こ とができ る。 尚、 本発明において酸化物形 成物質とは、 針状金属酸化物の原料となる金属化合物と反応 して最終的に酸化物を形成する こ とができ る物質であって、 金属化合物と最初に反応する物質を意味する。 例えば、 金属 化合物と して亜鉛ァセチルァセ トネー ト [ Z n ( C 5 H 7 O 2) 2] を用いた場合、 Z n ( C 5H 702 ) 2は水 (H 2〇) と反応 して下記式のよ う な 2段階の反応による と推定される経路を 経て、 最終的に酸化物 ( Z n O) を形成するこ とができる。 よって、 本発明において、 水は酸化物形成物質の 1例である。
Z n (C5H7O2) 2 + H20 → Z n (OH) 2 + 2 C5H8O Z n (OH) 2 → Z n O + H20
複数の金属酸化物を基板の表面から成長させる為には、 金 属化合物ガスを基板表面に吹き付ける際に、 基板が、 酸化物 形成物質を含んだ反応帯域に置かれ且つ金属化合物ガスの温 度よ リ も高い温度に加熱されているこ とが必要である。 この
際、 上記反応帯域は、 大気圧下の空気を含有するこ とが好ま しく 、 また、 窒素ガス等の不活性ガスよ リ なるキャ リ アーガ ス と と もに金属化合物ガスを基板の表面に吹き付ける こ とが 好ま しい。 また、 基板の表面と金属化合物ガス との接触は、 該基板の表面に複数の針状金属酸化物を成長させ、 そ して本 発明の機能性素子、 即ち、 基板と 、 その上側表面に延びる複 数の針状金属酸化物と を包含し、 該針状金属酸化物は基板の 上側表面から上方に向かって延び、 かつその各中心軸が互い に実質的に平行に配列してお リ 、 該針状金属酸化物が 0. 0 1〜 1 0, 0 0 0 μ πιの加重平均円換算径、 及び 0. 1 以上の 加重平均ァスぺク ト比を有し、 該針状金属酸化物が該基板の 上側表面の 1 Ο μ ιη Χ 1 O ju mの単位面積当た リ 0. 0 1 〜 1 0 , 0 0 0個の密度で存在する機能性素子を形成するのに 充分な時間おこな う こ とが必要である。
本発明の機能性素子の製造方法を工業的に実施する場合は、 基板の置かれた反応帯域が空気を含み、 気化した金属化合物 が反応帯域の空気中に含まれる酸化物形成物質、 例えば酸素、 水、 ア ンモニア等と反応し、 基板から針状金属酸化物を成長 させる こ とが経済性も高く 、 且つ技術的にも容易でぁ リ好ま しい。 更に、 反応帯域が常圧、 即ち大気圧雰囲気であるこ と が、 大きな設備投資が必要ないのでよ リ好ま しい。 本発明者 等はこ の大気圧の空気雰囲気で行う製造方法を 「大気圧開放 型 C V D」 と称している。 一般に C V D法 (chemical vapor
d e p o s i t i o n )によ リ 基板表面に金属酸化物の結晶を形成させ る方法は知られている。 しかしなが ら、 従来の C V Dは真空 下で実施するこ とが一般的である。 この真空下で実施する方 法においては、 基板上に金属化合物ガスを吹き付けても、 基 板の表面に存在する金属化合物ガスの濃度が真空下である こ とにょ リ極端に低い為、 例えば、 金属酸化物を成長させる場 合、 結晶や非結晶が成長して針状の構造となるには非常に長 時間を要し、 また、 従来そのよ う な試みはなされていない。 本発明者等は、 「大気圧開放型 C V D」 による と、 大気圧で あるが故に基板上に高濃度で金属化合物を吹き付ける こ とが できる為、 金属酸化物の成長速度が早く 、 針状金属酸化物が 得られるこ とを見出 した。 さ らに本発明者等は、 基板の上側 表面から上方に向かって延び、 かつ各中心軸が互いに実質的 に平行して配列した針状金属酸化物を基板上に高密度に形成 するための好ま しい条件を検討した結果、 金属化合物ガスの 温度、 基板上に吹き付ける金属化合物ガスの濃度、 吹き付け るス ピー ド、 基板の温度等の条件を適宜調節するこ と によつ て、 本発明の機能性素子が容易に得られる こ と を見出 した。 上述したよ う に、 日本国特開昭 5 0 - 6 5 9 7号には、 亜 鉛及び亜鉛よ リ も沸点の高い金属からなる亜鉛合金又はその 混合物を、 酸素を含有する雰囲気下において加熱し、 基板上 に針状酸化亜鉛のウイ スカーを生成せしめる こ と を特徴とす る酸化亜鉛ウイ スカーの製造方法が開示されている。 この製
造方法は明確には記載されていないが、 大気圧下で金属酸化 物を基板 (装置壁面) に形成させている。 しかし、 この公報 の技術は、 得られる ウイ スカ一を基板 (装置壁面) から切 リ 取って、 樹脂あるいはセラ ミ ッ ク スの補強剤と して使用する ために提供する ものに過ぎず、 基板とその表面に形成された 針状金属酸化物からなる構造体を電気、 電子又は光学装置用 機能性素子と して使用する よ う な技術思想は全く ない。
上記のよ う に、 本発明の機能性素子を製造する際に針状酸 化物を形成するための原料と して用いる金属化合物は、 揮発 性又は昇華性を有し、 上記の酸化物形成物質、 例えば、 大気 中に含まれる酸素、 水等と反応して上記金属化合物に対応す る金属酸化物を形成するこ とが可能な金属化合物である。 ま た、 本発明において、 この金属化合物には金属単体も含まれ る。 更に、 基板が置かれた、 上記酸化物形成物質を含んだ反 応帯域に、 例えば、 オゾン等の通常大気中に存在しない物質 を供給 · 存在させ、 これら と反応して酸化物を形成する金属 化合物を用いても良い。
このよ う な金属化合物と して、 例えば、 金属または金属類 似元素の原子に、 アルコールの水酸基の水素が金属で置換さ れたアルコキシ ド類、 金属または金属類似元素の原子にァセ チルアセ ト ン、 エチ レンジァ ミ ン、 ビピペ リ ジン、 ビピラ ジ ン、 シク ロへキサンジァ ミ ン、 テ ト ラァザシク ロテ ト ラデカ ン、 エチレンジア ミ ンテ ト ラ酢酸、 エチ レンビス (グアニ ド)
、 エチ レンビス (サリ チルァ ミ ン) 、 テ トラエチレングリ コ ール、 ア ミ ノエタノール、 グリ シン、 ト リ グリ シン、 ナフチ リ ジン、 フ エナン ト 口 リ ン、 ペンタ ンジァ ミ ン、 ピ リ ジン、 サリ チルアルデヒ ド、 サリ チリ デンァ ミ ン、 ポノレフィ リ ン、 チォ尿素などから選ばれる配位子を 1 種あるいは 2種以上有 する各種の錯体、 配位子と してカルボ二ル基を有する F e 、 C r 、 M n 、 C o 、 N i 、 M o 、 V 、 W、 R uなどの各種金 属カルボニル、 更に、 カルボニル基、 アルキル基、 アルケニ ノレ基、 フ エ 二ノレあるレヽはァノレキノレフ ェ ニノレ基、 ォ レフ ィ ン基、 ァ リ 一ル基、 シク ロブタジエン基をはじめとする共役ジェン 基、 シク ロペンタジェ二ル基をはじめとするジェニル基、 ト リエン基、 ァレーン基、 シク ロヘプタ ト リ エ二ル基をはじめ とする ト リ エニル基などから選ばれる配位子を 1 種あるいは 2種以上有する各種の金属化合物、 ハロゲン化金属化合物を 使用するこ とができ る。 また、 金属錯体も使用するこ とがで きる。 この中でも、 金属ァセチルァセ トナー ト化合物、 金属 アルコキシ ド化合物等がよ リ好ま しく 用いるこ とができる。 本発明の製造方法において金属化合物と して用いる こ との できる錯体の例と しては、 金属に J3 —ジケ ト ン類、 ケ トエス テル類、 ヒ ドロキシカルボン酸類またはその塩類、 各種のシ ッフ塩基類、 ケ トアルコール類、 多価ア ミ ン類、 アルカノー ルァミ ン類、 ェノール性活性水素化合物類、 ジカルボン酸類、 ダリ コール類、 フ ヱ ロ セ ン類などの配位子が 1 種あるいは 2
種以上結合した化合物を挙げるこ とができ る。
本発明の製造方法において金属化合物と して用いる こ との でき る錯体の配位子となる化合物の具体例と しては、 例えば、 ァセチルアセ ト ン、 エチ レンジァ ミ ン、 ト リ エチ レンジア ミ ン、 エチ レンテ ト ラ ミ ン、 ビピペ リ ジン、 シク ロへキサンジ ァ ミ ン、 テ ト ラァザシク ロ テ ト ラデカ ン、 エチ レンジァ ミ ン テ ト ラ酢酸、 エチ レンビス (グアニ ド) 、 エチ レンビス (サ リ チルァ ミ ン) 、 テ ト ラエチ レング リ コーノレ、 ジエタ ノ ール ァ ミ ン、 ト リ エタ ノ ールァ ミ ン、 酒石酸、 グ リ シン、 ト リ グ リ シン、 ナフチ リ ジン、 フ エナン ト 口 リ ン、 ペンタ ンジア ミ ン、 サ リ チルアルデヒ ド、 カテ コール、 ポルフ ィ リ ン、 チォ 尿素、 8 — ヒ ドロ キシキノ リ ン、 8 — ヒ ドロ キシキナルジン、 一ア ミ ノ エチルメ ルカプタ ン、 ビスァセチルァセ ト ンェチ レンジィ ミ ン、 エ リ オク ロ ムブラ ッ ク T 、 ォキシン、 キナル ジン酸サ リ チルアル ドキシム、 ピコ リ ン酸、 グ リ シン、 ジメ チルダ リ オキシマ ト 、 ジメ チルグ リ オキシム、 α —べンゾィ ンォキシム、 Ν, Ν ' — ビス ( 1 —メ チル一 3 —ォキ ソブチ リ デン) エチ レンジァ ミ ン、 3 — { ( 2 —ア ミ ノ エチル) ァ ミ ノ ) 一 1 —プロ ノくノ ール、 3 — (ア ミ ノ エチルイ ミ ノ ) 一 2 —ブタ ンォキシム、 ァラニン、 Ν, Ν ' — ビス ( 2 —ア ミ ノベンジリ デン) エチ レンジァ ミ ン、 α —ア ミ ノ ー α —メ チ ルマ ロ ン酸、 2 — { ( 3 —ァ ミ ノ プロ ピル) ア ミ ノ } ェタ ノ —ル、 ァスノヽ0ラギン酸、 1 —フ エ ニル一 1 , 3 , 5 —へキサ ン ト リ オン、 5 , 5 ' 一 ( 1 , 2 —エ タ ンジィルジニ ト リ 口)
ビス ( 1 —フエニル一 1 , 3 —へキサンジオン) 、 1 , 3 — ビス { ビス [ 2 — ( 1 —ェチルベンズイ ミ ダゾ リ ノレ) メ チル] ア ミ ノ } — 2 —プロ ノ ノ —ノレ 、 1 , 2 — ビス ( ピ リ ジン一 α 一アルジミ ノ ) ェタ ン、 1 , 3 — ビス { ビス ( 2 — ピ リ ジル ェチノレ) ア ミ ノ メ チノレ } ベンゼン、 1 , 3 — ビス { ビス ( 2 一 ピ リ ジルェチル) ア ミ ノ メ チノレ } フ エ ノ ール、 2 , 2 ' - ビピペ リ ジン、 2, 6 — ビス ( ビス ( 2 — ピ リ ジルメ チル) ア ミ ノ メ チノレ } — 4 — メ チルフ エ ノ ール、 2 , 2 ' — ビビ リ ジン、 2, 2 ' — ビピラ ジン、 ヒ ドロ ト リ ス ( 1 — ビラ ゾ リ ノレ〉 ホ ウ酸イ オン、 カテ コール、 1 , 2 — シク ロへキサンジ ァ ミ ン、 1 , 4 , 8 , 1 1 —テ ト ラ ァザシク ロ ドデカ ン、 3, 4 : 9 , 1 0 —ジベンゾ一 1 , 5 , 8 , 1 2 —テ ト ラ ァザシ ク ロテ ト ラデカ ン一 1 , 1 1 —ジェン、 2, 6 —ジァセチル ピ リ ジンジォキシム、 ジベンジルスルフ ィ ド、 Ν— { 2 — (ジェチルァ ミ ノ ) ェチル } — 3 — ァ ミ ノ 一 1 ープロ ノ ノ ー ル、 ο —フエ二 レン ビス (ジメ チルホス フ ィ ン) 、 2 — { 2 - (ジメ チルァ ミ ノ ) ェチノレチォ } エタ ノ ール、 4, 4 ' - ジメ チル一 2 , 2 ' — ビビ リ ジン、 Ν, Ν ' —ジメ チル一 1 , 2 —シク ロへキサンジァ ミ ン、 ジメ チルダ リ オキシム、 1 , 2 — ビス (ジメ チルホス フ イ ノ ) ェタ ン、 1 , 3 — ビス (ジ ァセチルモノ ォキシムィ ミ ノ ) プロ ノ ン、 3 , 3 ' — ト リ メ チレンジニ ト ロ ビス ( 2 —ブタ ンォキシム) 1 , 5 — ジア ミ ノ 一 3 —ペンタ ノ —ルジピ ノくロ イ ルメ タ ン、 1 , 2 — ビス
(ジフ エニルホス フ イ ノ ) ェタ ン、 ジェチルジチォカルバ ミ ン酸イ オン、 N, N ' — ビス { 2— (N, N ' —ジェチルァ ミ ノ ェチル) ア ミ ノ エチル } ォキサ ミ ド、 エチ レンジァ ミ ン テ ト ラ酢酸、 7— ヒ ドロ キシ一 4 — メ チル一 5 —ァザへブ ト — 4一ェン一 2—オン、 2—ア ミ ノ エタ ノ ール、 N, N, ― エチレンビス ( 3—カルボキシサ リ チ リ デンァ ミ ン) 、 1,
3— ビス ( 3—ホル ミ ノレ 一 5—メ チルサ リ チ リ デンァ ミ ノ ) プロパン、 3 — グ リ シノレ ア ミ ノ 一 1 —プロノ、0ノ ール、 グ リ シ ルグ リ シン、 N ' ― ( 2— ヒ ドロ キシェチル) エチレンジァ ミ ン ト リ酢酸、 へキサフルォロ アセチルアセ ト ン、 ヒ スチジ ン、 5, 2 6 : 1 3, 1 8 —ジィ ミ ノ 一 7, 1 1 : 2 0, 2
4—ジニ ト ロジベンゾ [ c, n ] - 1 , 6, 1 2, 1 7—テ ト ラァザシク ロ ドコ シン、 2, 6 — ビス { N— ( 2— ヒ ドロ キシフ エニル) イ ミ ノ メ チル } — 4 一メ チルフ エ ノ ール、 5 ,
5 , 7 , 1 2, 1 2, 1 4 —へキサメ チル一 1 , 4, 8, 1 1 —テ ト ラァザシク ロテ ト ラデカ ン一 N, N " — ジ酢酸、 1, 2—ジメ チルイ ミ ダゾール、 3, 3 ' —エチ レンビス (イ ミ ノ メ チ リ デン) 一ジ一 2, 4—ペンタ ンジオン、 N, N ' - ビス ( 5—ァ ミ ノ 一 3 — ヒ ドロ キシペンチル) マロ ンア ミ ド、 メ チォニン、 2— ヒ ドロ キシ一 6 — メ チルピ リ ジン、 メ チル イ ミ ノ ジ酢酸、 1, 1 —ジシァ ノ エチ レン一 2, 2— ジチォ ール、 1, 8—ナフチ リ ジン、 3 — ( 2 — ヒ ドロ キシェチノレ ィ ミ ノ ) 一 2—ブタ ノ ンォキシム、 2 , 3, 7, 8, 1 2,
1 3 , 1 7, 1 8 —ォク タェチルポルフ ィ リ ン、 2 , 3 , 7 , 8 , 1 2, 1 3 , 1 7, 1 8 —ォク タ メ チルポルフ ィ リ ン、 シユ ウ酸、 ォキサ ミ ド、 2 — ピ リ ジルアル ドキシム、 3 — { 2 - ( 2 — ピ リ ジノレ) ェチルア ミ ノ } — 1 —プロノヽ。ノ ーノレ 、 3 — ( 2 — ピ リ ジルェチルイ ミ ノ ) 一 2 —ブタ ノ ンォキシム、 2— ピコ リ ノレ ア ミ ン、 3 — ( 2 — ピ リ ジノレメ チルイ ミ ノ ) 一 2 —ブタ ノ ンォキシム、 二亜 リ ン酸二水素イ オン、 3 — n — プロ ピルイ ミ ノ 一 2 —ブタ ノ ンォキシム、 プロ リ ン、 2, 4 —ペンタ ンジァ ミ ン、 ピ リ ジン、 N, N ' ー ジピ リ ドキシ リ デンエチ レンジァ ミ ン、 N— ピ リ ドキシ リ デング リ シン、 ピ リ ジン一 2 —チオール、 1 , 5 — ビス (サ リ チ リ デンァ ミ ノ ) — 3 —ペンタ ノ ール、 サ リ チルアルデヒ ド、 N—サ リ チ リ デ ンメ チルァ ミ ン、 サ リ チル酸、 N— (サ リ チ リ デン) 一 N ' - ( 1 一メ チル一 3 —ォキ ソブチ リ デン) エチ レンジァ ミ ン、 サ リ チ リ デンァ ミ ン、 N, N ' 一 ジサ リ チ リ デンー 2 , 2 ' ー ビフ エニ リ レンジァ ミ ン、 N , N ' — ジサ リ チ リ デン一 2 —メ チルー 2 — ( 2 —ベンジノレチォェチル) エチ レンジア ミ ン、 N, N ' — ジサ リ チ リ デン一 4 —ァザ一 1 , 7 —ヘプタ ンジァ ミ ン、 N, N ' —ジサ リ チ リ デンエチ レンジァ ミ ン、 N—サ リ チ リ デング リ シン、 サ リ チルアル ドキシム、 N, N ' 一ジサ リ チ リ デン一 o —フ エ二 レンジァ ミ ン、 N, N ' — ジ サ リ チ リ デン ト リ メ チ レンジァ ミ ン、 3 —サ リ チ リ デンア ミ ノ 一 1 ーブロ ノ ノ ーノレ 、 テ ト ラべンゾ [ b , f , j , η ] -
1, 5, 9, 1 3 —テ ト ラ ァザシク ロへキサデシン、 1 , 4, 7— ト リ ァザシク ロ ノ ナン、 5, 1 4 — ジ ヒ ドロ ジべンゾ
[ b , i ] - 1 , 4, 8, 1 1 ーテ ト ラ ァザシク ロテ ト ラデ シン、 ト リ ス ( 2 _ベンズイ ミ ダゾ リ ノレメ チル) ァ ミ ン、 6, 7, 8, 9, 1 6 , 1 7, 1 8, 1 9 —ォク タ ヒ ドロ ジシク 口へプタ [ b, j ] - 1 , 4 , 8 , 1 1 —テ ト ラァザシク ロ テ ト ラデセン、 4 , 6, 6 — ト リ メ チルー 3, 7—ジァザノ ン一 3 —ェ ン一 1 , 9 — ジオール、 ト リ ス ( 3 , 5— ジメ チ ル一 1 — ビラ ゾ リ ノレメ チル) ァ ミ ン、 2 , 2 ' : 6 ' , 2 " —テル ピ リ ジン、 5, 7 , 7, 1 2, 1 4, 1 4 —へキサメ チル一 1 , 4 , 8 , 1 1 —テ ト ラァザシク ロテ ト ラデカ ン、 テ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ン、 ト リ ス ( 2— ピ リ ジルメ チル) ァ ミ ン、 Ν , Ν , Ν ' , Ν ' —テ ト ラ メ チル尿素、 Ν, Ν, 一 ビス
( 3 —ァ ミ ノ プロ ピル) ォキサ ミ ド、 Ν, Ν, Ν ' , Ν ' ― テ ト ラ キス ( 2 — ピ リ ジルメ チル) エチ レンジァ ミ ン、 a 1 1 — c i s — 5, 1 0, 1 5 , 2 0—テ ト ラ キス { 2 — ( 2, 2 ' — ジメ チルプロ ピオンア ミ ド) フエ二ル } ポルフ ィ リ ン、 5, 1 0, 1 5 , 2 0 —テ ト ラ フ エ二ルポルフ ィ リ ン、 1, 4 , 7 — ト リ ス ( 2 — ピ リ ジノレメ チル) 一 1, 4, 7— ト リ ァザシク ロ ノ ナン、 ヒ ドロ ト リ ス ( 1 — ビラ ゾ リ ノレ) ボ レイ ト 、 3, 3 , 4 — ト リ メ チノレジピロ メ テン、 ト リ メ チ レンジ ア ミ ンテ ト ラ酢酸、 3 , 3 ' 5, 5 ' —テ ト ラ メ チルジピロ メ テン、 5, 1 0 , 1 5, 2 0 —テ ト ラ キス ( p — ト リ ノレポ
ノレフ ィ リ ン) などを挙げる こ と ができ る。
上記したよ う に、 本発明の機能性素子の針状金属酸化物は、 基板の上側表面から上方に向って延びまたその各中心軸が互 いに実質的に平行に配列している こ とが必要である。 こ の針 状金属酸化物の各中心軸の平行性は、 X線口 ッキング曲線法 によって測定するこ とが出来るが、 この測定法で測定して針 状金属酸化物が延びている方向のゆらぎ (基板の表面に対し て直角な方向を基準に したかたむき) の角度が 1 0度以内、 更に好ま しく は 5度以内である こ とが好ま しい。 このゆらぎ は、 本発明の機能性素子に用いられる基板によって決定され る場合が多い。 基板と してシ リ コ ンを含む金属、 金属酸化物、 及び Z n T e 、 G a P、 G a A s 、 I n P等の半導体単結晶 を用いる と 、 中心軸の平行性のゆらぎが小さ く よ リ好ま しい。 単結晶種を選ぶ一つの要因と して、 形成される針状金属酸化 物が結晶と なる場合の金属酸化物結晶種の格子定数と基板と して用いられる単結晶種の格子定数が近いこ とが好ま しい。 格子定数は広角 X線回折法等従来公知の方法で測定でき る。 この値は形成される金属酸化物結晶種が基板に接する面の格 子定数 Z基板と して用いられる単結晶種が形成される金属酸 化物結晶種と接する面の格子定数で表される比が 0 . 8 〜 1 . 2であるこ とが好ま しく 、 0 . 9 〜 1 . 1 である こ とがさ ら に好ま しく 、 0 . 9 5〜 1 . 0 5 であるこ とが特に好ま しい。 特に好ま しく 用いられるのは、 具体的にはシ リ コ ン、 酸化ァ
ノレミ ニゥム、 酸化マグネシウム、 S r T i O 3等の金属酸化 物単結晶である。 この場合の結晶は一種以上の単結晶であつ ても、 多結晶であっても、 非晶部と結晶部を同時に有する一 種以上の半結晶性物質であっても、 また、 これらの混合物で あってもよい。 最も好ま し く は単結晶である。 この場合、 基 板表面は単結晶の特定の面になっている こ とが好ま しい。 具 体的には、 例えば酸化チタ ンを形成する金属酸化物と して選 んだ場合には、 酸化マグネシウム基板では ( 1 0 0 ) 面、 酸 化亜鉛を形成する金属酸化物と して選んだ場合には、 シリ コ ン基板では ( 1 1 1 ) 面、 酸化アルミ ニウム基板では ( 0 0 0 1 ) 面、 S r T i O 3基板では ( 0 0 1 ) 面である こ とが よ リ好ま しい。 この様な単結晶を基板と して使用する場合の 結晶軸のゆらぎは、 一般に 5度以下に押さえるこ とができ る。 基板と してセラ ミ ッ ク 、 シリ コ ン、 F e 、 N i 等の金属、 ガラス、 プラスチック等の単結晶でない材料を選ぶ場合、 一 般に結晶軸のゆらぎは大き く なる傾向にある。 本発明におい てこれらの材料を基板と して使用 した場合、 その結晶軸のゆ らぎは、 2 0度以下にある こ とが好ま しい。 又、 1 5度以下 である こ とがょ リ好ま しい。 更に、 1 0度以下である こ とが 特に好ま しい。 なお、 これらの材料からなる基板の場合、 そ の表面を配向処理する こ と によってその結晶軸のゆらぎを小 さ く するこ とができ る。
本発明の機能性素子が、 例えば、 電気又は電子装置用電子 放出素子や光学装置用 レーザ一発振素子等である場合、 基板 上に針状金属酸化物が、 一定の間隔に配列された形で存在す るこ とが好ま しい場合がある。 一定の間隔に配列された針状 金属酸化物を製造する方法と しては、 基板を、 公知の微細加 ェ方法、 例えば炭酸ガス レーザー、 Y A G レーザー、 電子線 あるいは X線リ ゾク ラ フィ等でエッチングして基板に一定間 隔の凸部分を作る こ と等によって可能と なる。 この理由は以 下のと ぉ リ である。 上述の如く 、 本発明の機能性素子を 「大 気圧開放型 C V D」 で製造する際、 金属化合物を基板の表面 に吹き付けて基板の表面に針状の金属酸化物を成長させるが、 基板の凹部の部分よ リ も凸部からの成長が優先する。 従って、 予め基板上に一定間隔の配列された凸部分を作っておけば一 定の間隔に配列された針状金属酸化物を製造するこ とができ る。 本発明の機能性素子が、 例えば、 電子放出素子、 レーザ —発振素子等である場合は、 このよ う に して得られた一定間 隔に配列された針状金属酸化物を有する こ とが好ま しい。 こ の際、 一本の針状金属酸化物とそれを中心にした周辺の針状 金属酸化物の距離のバラツキが土 1 μ πι以内であるこ とが好 ま しい。 又、 ± 0 . 5 m以内である こ とがょ リ好ま しい。 ± 0 . 2 5 m以内である こ とが更に好ま しい。
本発明の機能性素子の好ま しい製造方法を以下に説明する。
図 1 は、 本発明の機能性素子を製造するための好ま しい製 造装置の一例の概略図である。
N 2は液体窒素などを用いた ト ラ ップによ リ冷却 · 脱水し、 流量 1 . 2 d m 3 / m i nで矢印の方向に流す。 槽内温度を 1 1 5 °Cに設定 した金属化合物加熱槽で、 金属化合物である Z n ( C 5 H 7 0 2 ) 2を ヒーターによ リ加熱して気化させ、 得 られた金属化合物ガスを N 2と と もに流して、 ノ ズル、 そ し てス リ ッ トを経由 して基板上に吹き付ける。 加熱槽以降のラ イ ンは リ ボンヒーター (図示せず) で加熱する。 基板と して、 ( 0 0 0 1 ) 面がス リ ッ 卜 に向いた A 1 2 O 3単結晶板を用い、 ヒーターによ リ 5 5 0 °Cに加熱しておく 。 基板上で気体状の Z n ( C 5 H 7 O 2 ) 2を基板上に吹き付ける と、 基板上に針状 金属酸化物が成長する。
図 1 に示す設備を使用 して、 揮発性又は昇華性を有する金 属化合物を気体にする際、 本発明の様な特定の形状を有する 針状金属酸化物を得るためには、 気体状金属化合物と基板の 温度条件を制御する こ とが重要である。 気体状金属化合物の 温度は用いる金属化合物によ リ異なるが、 金属化合物が揮発 又は昇華する温度、 あるいはそれ以上に温度に加熱するのが 好ま しい。 更に好ま しく は 3 0 〜 6 0 0 °Cであ リ 、 特に好ま しく は 5 0 〜 3 0 0 °Cである。
このよ う に して気体に した金属化合物をそのまま基板に吹 き付けても良い し、 又、 他の気体を媒体 (キャ リ ア一ガス)
と して用いて吹き付けて針状金属酸化物を形成してもよい。 特に、 他の気体を媒体と して吹き付けて針状金属酸化物を形 成する方法が好ま しい。 この場合、 媒体となる気体 (キヤ リ ァーガス) の流速の好ま しい値は、 金属化合物を気化させる 温度や針状金属酸化物を形成する反応帯域の雰囲気と も関連 するが、 特に、 反応帯域が室温で常圧雰囲気下では、 1 分間 あた リ の、 流量を金属化合物加熱槽の体積で除した値で示さ れる空間体積値が 2 0 Z分以下が好ま しく 、 更に好ま しく は 5 Z分以下である。
本発明の製造方法においては、 基板上の金属化合物ガスの 濃度によって針状金属酸化物の成長速度が決定されるので、 この濃度の設定も本発明のよ う な特殊な形状を有する針状金 属酸化物をよ リ容易に得るために重要な因子となる。 基板上 の金属化合物ガスの濃度は、 基本的には、 気化された金属化 合物の基板上の過飽和度によって規定される。 過飽和度は [ { (実際の蒸気圧) 一 (平衡蒸気圧) } 平衡蒸気圧] X 1 0 0 で規定される。 本発明における針状金属酸化物を製造 する際の過飽和度は 1 %以上である こ とが好ま しい。 また、 1 0 %以上であるこ とがよ リ好ま しく 、 更に 2 0 %以上であ るこ とが特に好ま しい。
気化した金属化合物を吹き付ける際に好ま しく 用いられる 媒体と しての気体 (キャ リ アーガス) は、 使用する金属化合 物と反応する ものでなければ、 特に限定はない。 具体例と し
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て、 窒素ガスやヘリ ゥム、 ネオン、 アルゴン等の不活性ガス、 炭酸ガス、 有機弗素ガス、 あるいはヘプタ ン、 へキサン等の 有機物質等が挙げられる。 これらの う ちで、 安全性、 経済性 の上から不活性ガスが好ま しい。 特に窒素ガスが経済性の面 で最も好ま しい。
気化した金属化合物を基板上に吹き付けて針状金属酸化物 を基板上で形成する際には、 金属化合物の吹き出し口 と基板 表面の距離は、 どれだけの大き さの金属酸化物を形成するか によって異なる。 この距離の好ま しい値は、 吹き出 し口の形 状によって異なるが、 吹き出 し口 と金属酸化物表面の距離 開口部の長軸の長さの比で規定する と 、 0 . 0 1 〜 1 が好ま しい。 又、 0 . 0 5〜 0 . 7 がよ リ好ま しく 、 更に 0 . 1 〜 0 . 5 が特に好ま しい。 一般に、 この比が 1 を越える と 、 金 属化合物ガスが針状金属酸化物に変換される効率が悪く なる 傾向がある。
針状金属酸化物を形成するために金属化合物ガスを吹き付 ける際の基板自身の温度は、 金属化合物ガスの温度よ リ 高い 温度で、 かつ基板近傍及び表面で金属酸化物が形成され得る 温度であれば特に限定はないが、 この温度は形成された針状 金属酸化物の形状に影響を与える場合がある。 よって、 この 温度は 0〜 8 0 0 °Cが好ま しく 、 2 0〜 8 0 0 °Cがよ リ好ま しく 、 更に 1 0 0〜 7 0 0 °Cが特に好ま しい。
本発明の機能性素子を製造する際、 金属化合物を揮発また
は昇華させて金属化合物ガスを得るための場所から、 得られ た金属化合物ガスを反応帯域に吹き出すためのノ ズルに至る までの装置の系内に、 金属化合物と反応する酸素、 水等が存 在する と、 反応帯域中に放出する前に装置内で金属酸化物の 形成が起こ り 、 詰ま り 等が発生し、 望みの形態を持った針状 金属酸化物を得るこ とができないので好ま しく ない。 但し、 金属化合物が酸素、 水等と反応速度が極めて遅い場合は、 予 め系内に酸素、 水等を共存させてもよい。
気化させた金属化合物と基板が接触する反応帯域の雰囲気 は、 減圧下であっても よい し、 常圧下あるいは加圧下であつ てもよい。 しかしなが ら、 高度な減圧下、 例えば超真空下で 実施する と、 例えば数日間の長期にわたって針状金属酸化物 を成長させなければならない。 これでは、 工業的に実施する 場合は、 針状金属酸化物の成長速度が遅く 、 生産性に劣るの で好ま しく ない。 加圧下で実施する場合、 金属酸化物の成長 速度には問題ないが、 加圧するための設備が必要とな リ好ま しく なレ、。 一般には、 0 . 0 0 1 〜 2 0 a t mで実施するこ とが好ま しく 、 0 . 1 〜 : L 0 a t mで実施する こ とがょ リ好 ま しく 、 更に常圧で実施する こ とが特に好ま しい。
針状金属酸化物を形成するのに必要な反応時間については、 特に限定はないが、 本願に定めるァスぺク ト比を有する針状 金属酸化物を得るためには充分な時間をかけるのが好ま しい。 また、 反応時間は反応条件や原料の種類によっても異な リ 、
例えば金属化合物原料と して亜鉛ァセチルァセ トネー ト を用 いた場合は、 大気圧雰囲気下では 5分程度から針状金属酸化 物の成長が見られ、 3 0 0分で 1 0 0 の長さまで成長す る。 しかし、 金属化合物原料と して亜鉛ァセチルァセ トネー トを用いた場合、 反応時間は 1 0分を越える こ とが好ま しく 、 更に 1 5分以上がょ リ好ま しい。 その理由は、 反応時間が長 ければ長いほど、 ァスぺク ト比 (断面の円換算径に対する長 さの比) が大き く な リ 、 表面積が大き く なる.ためである。 ま た、 金属酸化物原料と してテ ト ライ ソプロポキシチタネー ト を用いた場合は、 3分程度で 4 μ mの針状金属酸化物 (実質 的には棒状) が得られる。
2種以上の金属を含む針状複合金属酸化物を形成する際に は、 金属化合物を混合して気化する こ と もでき る し、 気化さ せた気体状の金属化合物を混合してもよレ、。 また、 こ の両方 の方法を併用する こ と もでき る。
本発明の機能性素子においては、 針状の金属酸化物が高密 度で存在し、 この各々の針状金属酸化物の間に空隙がある。 特殊な構造を有する針状金属酸化物を含む本発明の機能性素 子を電気、 電子又は光学装置に使用する際、 使用する形態等 によっては使用時に変形が起こ る可能性がある。 すなわち、 針状金属酸化物に物理的応力がかかる こ とによ リ 、 多く の棒 状体 (針状体) がなぎ倒されたよ う な状況になる可能性があ る。 これを防ぐために、 例えば熱可塑性樹脂、 熱硬化性樹脂、
エラ ス トマ一、 シァ ノ ア ク リ レー ト の よ う な瞬間接着剤等の 有機物質、 ガラス、 セラ ミ ック等の無機物質、 金属等を用い て針状金属酸化物を互いに保持する こ と もでき る。
針状金属酸化物を互いに保持する為に用いられる熱可塑性 樹脂の例と しては、 低、 中又は高密度ポ リ エチ レン、 ポリ プ ロ ピ レ ン、 ポ リ メ チルペンテン、 ポ リ塩化ビエル、 ポ リ スチ レン、 ア タ リ ロ ニ ト リ ノレー ス チ レ ン共重合体 (以下 " S A N 樹脂" と略記する) 、 ア ク リ ロ ニ ト リ ル一ブタジエン一 スチ レ ン共重合体 (以下 " A B S樹脂" と略記する) 、 ポ リ ア ミ ド、 ポ リ アセタール、 ポ リ カーボネー ト 、 ポ リ エチ レンテ レ フタ レー ト 、 ポ リ ブチ レンテ レフ タ レー ト 、 ポ リ フエ二 レン エーテル、 ポ リ メ チルメ タ ア タ リ レー ト 、 ポ リ エ一テルイ ミ ド、 ポ リ スルホン、 ポ リ エーテルイ ミ ド、 ポ リ ア リ レー ト 、 ポ リ フ エ二 レ ンサルフ アイ ト 、 ス チ レ ン一ブタ ジエン共重合 体及びその水素添加組成物等、 及びこれらを 2種類以上組み 合わせたポリ マーブ レ ン ド及び共重合体、 例えば、 ポ リ カー ボネ一 ト と ァク リ ロ ニ ト リ ノレ 一ブタ ジエ ン一 スチ レン共重合 体、 ポ リ フ エ二 レンエーテル と ポ リ ス チ レ ン等を挙げる こ と ができ る。
針状金属酸化物を互いに保持する為に用いられる熱硬化性 樹脂の例と してはエポキシ樹脂、 キシ レン樹脂、 グアナ ミ ン 樹脂、 ジァ リ ルフ タ レー ト樹脂、 ビニルエステル樹脂、 フ エ ノ 一ル榭脂、 不飽和ポ リ エステル樹脂、 フ ラ ン樹脂、 ポ リ イ
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ミ ド、 ポリ ( P — ヒ ドロキ シ安息香酸) 、 ポリ ウ レ タ ン、 マ レイ ン酸樹脂、 メ ラ ミ ン樹脂、 ユ リ ア樹脂などを挙げる こ と ができ る。
針状金属酸化物を互いに保持する為に用いられるエラス ト マーの例と して天然ゴムやブタ ジエンゴム、 シリ コーンゴム、 ポ リ イ ソプ レ ン ゴム 、 ク ロ ロ プ レ ン ゴム、 エチ レンプロ ピ レ ンゴム 、 ブチノレゴム 、 イ ソプチレ ン ゴム 、 スチ レン . ブタジ ェンゴム、 スチ レン · ィ ソ プ レ ン · スチ レンブロ ック共重合 体ゴム 、 ア ク リ ルゴム 、 ァ ク リ ロ二 ト リ ノレ . ブタジエンゴム、 塩酸ゴム、 ク ロ ロ スノレホ ン化ポ リ エチ レン ゴム 、 多硫化ゴム 等の合成のゴム、 等が挙げられる。 その他ポリ テ トラフルォ 口エチ レン、 石油樹脂、 アルキ ド樹脂等も用いるこ とができ る。 また、 更に一般に瞬間接着剤と して使用されているシァ ノ ア ク リ レー ト等も用いる こ とができ る。
上述の製造方法によ リ得られる、 特殊な構造の針状金属酸 化物を有する本発明の機能性素子は、 針状金属酸化物の表面 積が極めて高く 、 使用する金属種によっては先端が尖った形 状とするこ とが出来、 又、 使用する金属種によっては、 角柱 の形状とするこ と も出来る等の特徴を有し、 また金属酸化物 のもつ様々な機能を生かして様々 な電気、 電子又は光学装置 に使用する こ とが出来る。
次に、 本発明の機能性素子を用いる こ と のできる電気、 電 子又は光学装置について例を挙げて述べる。
電気又は電子装置と しては、 種々 の金属酸化物の機能、 即 ち電子放出機能、 磁性体機能、 電磁波シール ド機能、 圧電体 機能、 強誘電体機能、 導電体機能、 抵抗あるいは絶縁機能、 熱変換機能等を生かした装置に使用する こ とができ る。 又、 光学装置と しては、 透明機能、 光透過 · 吸収 · 反射機能、 熱 透過 · 吸収 · 反射機能、 光発振機能、 光導波路機能、 光触媒 機能等を生かした装置に使用する こ とができる。
本発明の機能性素子の具体例や、 それを用いた装置の具体 例を以下に説明する。
( 1 ) 電子放出機能を生かした電子放出素子
本発明の機能性素子における針状金属酸化物と して酸化亜 鉛を選んだ場合、 針状金属酸化物は先端が尖った形状を有す る。 一般的に、 先端が尖った避雷針には、 雷が集中的に落ち るこ とが知られているが、 それとは逆の理論と して、 導電物 質で覆われた針状金属酸化物を含む機能性素子、 あるいは導 電性を持つ針状金属酸化物からなる機能性素子に電圧をかけ る と、 針状金属酸化物の尖った先端から電子を放出し易く な るこ と を本発明者らは知見した。 すなわち、 本発明者等は、 針状金属酸化物が、 針状でない金属酸化物、 即ち、 平板状の 金属酸化物と比べて同一電圧で 1 0倍以上の電子放出能力が あるこ と を確認している。 本発明の機能性素子が電子放出素 子である場合、 例えば、 先端の尖った Z n Oを有する機能性 素子の一部又は全体を導電物質で覆う あるいは針状金属酸化
物自体に導電性を持たせる (例えば、 A 1 を ドープした Z n Oからなる針状金属酸化物とする) こ と によって、 電子放出 素子装置と して使用するこ とができ る。 この際に使用する、 導電性物質は、 固有抵抗率が 1 0 Ω Z m以下であるこ とが好 ま しく 、 Ι Ω Ζπι以下である こ とがょ リ 好ま しい。 こ の導電 性物質と しては、 例えば、 金属及び または金属ペース ト、 Ι Τ Ο ( I η 203/ S η 02) 等の導電性金属酸化物、 導電 性樹脂等が挙げられる。 金属の種類に特に限定はないが、 具 体例と しては、 銅、 ニッケル、 ク ロ ム、 鉄、 金、 銀、 ノ、。ラジ ゥム、 アルミ ニウム、 亜鉛、 錫、 シリ コ ン、 チタン及びこれ らの合金が挙げられる。
更に、 機能性素子の針状金属酸化物の一部又は全体を導電 物質で覆った上で、 又は針状金属酸化物自体に導電性を持た せた上で、 更に、 針状金属酸化物の先端を一種以上の易導電 性物質で覆う こ とによ り 、 更に電子放出能力の高い電子放出 素子装置を作成する こ とが可能である。 易導電性物質と して は、 水素 ( 1族) 、 ホウ素 ( 1 3族) 、 窒素 ( 1 5族) 、 リ ン ( 1 5族) 及び砒素 ( 1 5族) を除く 周期律表の 1 〜 1 5 族の元素、 その元素が金属である場合はその酸化物、 及び炭 素質材料等から選ぶこ とができる。 特に、 炭素質材料が好ま しい。 炭素質材料と しては、 具体的には黒鉛、 グラフアイ ト、 ダイヤモン ド、 ダイヤモン ドライ ク カーボン (D L C ) 、 窒 化炭素等を挙げる こ とができ る。 これらの中でも、 特にダイ
ャモン ド、 ダイヤモ ン ドライ ク カーボンは電子放出能力が高 く 、 よ り好ま しい。 これら の導電性物質あるいは易導電性物 質を形成させる方法と しては、 蒸着、 スパ ッ タ リ ング、 ディ ビング、 C V D 、 P V D (phys i ca l va or depos i t ion) 等 種々の方法が利用でき る。
本発明の機能性素子を電子放出素子と して使用する電気 · 電子装置と して、 例えば、 液晶ディ スプレーの冷陰極管、 フ ィル ドエミ ッショ ンディ スプレーあるいはプラズマディ スプ レー等の電子放出装置、 テ レ ビジョ ンの電子銃等が挙げられ る。 また、 大面積で電子を放出でき る とい う特性を生かして、 平面蛍光灯にも利用できる。 平面蛍光灯は、 円管状である通 常の蛍光灯と異な リ 、 面で発光するタイプの蛍光灯である。 現在バ ッ ク ライ ト と して利用 されている液晶ディ スプ レーが、 表示装置のサイ ドの冷陰極管及び導光板と組み合わせてはじ めてバック ライ ト と して使用でき るのに対し、 平面蛍光灯は それ自体のみでバ ッ ク ライ ト と して利用できる。
本発明の機能性素子からなる電子放出素子は、 上記の如く 、 同一電圧でも平板よ リ も電子を放出しやすい。 従って、 本発 明の機能性素子を電気 · 電子装置と して利用 した場合、 従来 の電気 . 電子装置と 同一の輝度を低電圧で得るこ とが可能で ある。 従って、 本発明の機能性素子を用いれば従来と 同 じ電 圧で高輝度を実現する省エネタイプの電気 · 電子機器を製造 するこ とができ る。
( 2 ) 強誘電体機能を生かしたコ ンデンサー素子
本発明の機能性素子の表面積は大きい。 現在使用されてい るコ ンデンサ一は、 一般に積層セラ ミ ック コンデンサーと言 われる ものである。 上述したよ う に、 コ ンデンサーの性能は 静電容量で決定される。 静電容量は、 表面積に比例し、 チタ ン酸バ リ ゥム等の強誘電体の厚みに反比例する。 従来の積層 セラ ミ ック コ ンデンサ一は、 薄い強誘電体を電極を介して約 1 0 0層レベルの多層にして高静電容量と している。 しかし ながら、 薄い強誘電体を多層と した材料を工業的に製造する には、 高いコ ス ト となる。 本発明の機能性素子、 例えば、 チ タン酸バリ ゥム等の強誘電性の酸化物を針状金属酸化物と し た機能性素子は、 高容量コ ンデンサー素子と して利用でき る。 又、 酸化亜鉛等の絶縁性の酸化物を針状金属酸化物と し、 そ の上にまず導電性物質の薄膜を形成し、 更にチタ ン酸バ リ ゥ ム等の強誘電性の酸化物の薄膜層を形成させる こ とによって も高容量のコ ンデンサーを得る こ とが出来る。 現状の積層セ ラ ミ ッ ク コンデンサーにおけるチタ ン酸バリ ゥム等の強誘電 体の層厚みは、 技術的に 6 μ πι以下とするこ とが出来ないが、 大気圧開放型 C V D等では更に薄い針状金属酸化物を得るこ とが可能である こ と と 、 本発明の機能性素子の表面積が大き いこ と を考慮する と 、 本発明の機能性素子を用いたコ ンデン サ一の静電容量は、 理論上、 現状の積層セラ ミ ック コ ンデン サ一の 3 0倍になる。 この場合、 更に導電性物質の薄膜を形
成させ、 更にチタン酸バ リ ウム等の強誘電性の酸化物の薄膜 層を形成させる、 即ち 2層にするこ と によ リ 、 更に静電容量 をアップするこ とができる。 3層以上とする と更にア ップす るこ とができ る。 こ の様に本発明の機能性素子をコンデンサ 一と して使用する際に用いる こ とのでき る強誘電性の金属酸 化物と しては、 例えば、 チタン酸バ リ ウム、 チタン酸ス ト 口 ンチュ ウム等が挙げられる。 これらは、 本発明の針状金属酸 化物を製造するための 「大気圧開放型 C V D」 等に有効に利 用する こ とができ るが、 針状金属酸化物の形成方法に特に限 定はない。 また、 導電性物質と しては、 例えば、 金属、 I T O ( I n 2〇 3 / S n 〇 2 ) 等の導電性金属酸化物等を使用す るこ とができる。 金属の種類は特に限定はないが、 具体例と しては、 銅、 ニッケノレ 、 ク ロム、 鉄、 金、 銀、 ノ《ラジウム、 アルミ ニウム、 亜鉛、 錫、 シ リ コ ン、 チタン及びこれらの合 金が挙げられる。 導電性膜を形成させる方法と しては、 蒸着、 スパッ タ リ ング、 ディ ビング、 C V D 、 P V D等種々 の方法 が利用でき る。
機能性素子をコ ンデンサー素子とする電気 · 電子装置は、 高静電容量となる為、 携帯電話等の小型の電気 · 電子機器に 利用できる。
( 3 ) 強誘導体機能を生かしたメ モ リ ー素子
本発明の機能性素子は強誘電体機能を有するため、 こ の機
能を生かしたメ モ リ 一素子、 即ち強誘電体メ モ リ ー素子と し ての開発が進められている。 強誘電体メ モ リ ーは、 不揮発性 を有し、 ア クセス時間が速く 、 長寿命で、 消費電力が低いと 言う特徴を有している。 こ の為近年では、 強誘電体メ モ リー を利用 した非接触 I Cカー ド等と して開発が進められている。 強誘電体と しては、 一般に P Z T、 即ち P b 、 Z r 、 T i の 3元素を成分とする金属酸化物が使用されているが、 現在使 用されている強誘電体は、 基板上に平面状に形成された強誘 電性を示す金属酸化物からなる。 その為、 メモ リ ー性は低く 、 使用用途に限定がある。
しかしながら、 本発明の機能性素子を使用する場合、 その 針状金属酸化物の一本一本にメ モ リ ー機能を持たせる こ とが できるため、 高記憶容量のメ モ リ ー素子とする こ とができる。 具体的には、 例えば、 針状金属酸化物の一本一本の間の隙間 を絶縁性材料で埋め、 針状金属酸化物の一本一本毎又は複数 本毎に埋め込まれた絶縁性材料を ト ラ ンジス タ側の電極と接 続させるこ とによ リ 、 強誘電体コ ンデンサの多数の絶縁層部 分の集合体と同様の構成を有するメ モ リ 一を作成する こ とが 可能と なる。 強誘電性を示す金属酸化物の例と しては、 例え ば、 上記 P Z Tの他、 B a 、 N a 、 N b の 3元素を成分とす る金属酸化物、 S r 、 N b の 2元素を成分とする金属酸化物 等を挙げるこ とができ る。
本発明の機能性素子からなるメ モ リ ーを使用 した電気 · 電
子装置は、 高記憶容量を有するので、 例えば、 近年一般化し つつある D V D (digi tal versat i le disc) 等のディスク材 料あるいはコ ン ピューターの記憶素子等に利用できるなど、 本発明の機能素子は非常に有用である。
( 4 ) 抵抗機能を生かしたセンサー素子
本発明の機能性素子の表面積は大きレ、。 この表面積が大き い特徴を生かしてセンサー素子に利用する こ とができ る。 一 般的にセンサーは、 物理量を抵抗値に変換して検出する装置 である。 温度センサー、 ガスセンサー、 湿度センサー等があ リ 、 例えば、 温度センサーと しては、 酸化ニッケル、 酸化コ バル ト 、 チタン酸バ リ ゥム等の金属酸化物が使用されている。 又、 ガスセンサーと しては、 酸化錫、 酸化鉄、 酸化亜鉛等が 使用 されている。 湿度センサーと しては、 酸化アルミ ニウム、 酸化亜鉛、 酸化ジリ コニゥム等が使用されている。 通常、 金 属酸化物をセンサーと して使用する場合、 蒸着あるいはスパ ッタ リ ングによ リ金属酸化物の薄膜を形成させる方法やバイ ンダーを使用 して金属酸化物をぺ一ス ト化し、 基板上に塗布 する等の方法が用いられる。 しかしながら、 センサーの感度 アップあるいは応答性の向上等が求められている。 本発明の 機能性素子は表面積が大きいが故に、 高感度 · 高応答性のセ ンサ一とするこ とが可能である。 例えば、 針状金属酸化物の 先端と基板面に電極を設ける こ と によ リセンサーとなる。 電
極は、 導電性の材料であれば特に限定はない。
こ の様な機能性素子からなるセンサーを使用 した電気 · 電 子装置は、 高感度 · 高応答性となる為、 小型化した リ 、 微妙 な環境変化を感知可能である。 従って、 本発明の機能性素子 は非常に有用である。
( 5 ) 光発振機能を生かしたレーザー発振素子
近年、 情報記憶媒体と して C D (compact disc) が普及し ており 、 C Dからの情報の読み取 リ は赤色レーザー発振素子 が使用 されている。 情報の読み取リ によ リ低波長のレーザー、 例えば紫外光のレーザ一を使用する と 、 ょ リ 多く の情報を C Dに載せるこ と、 即ち、 C Dのよ リ 高密度な記録が可能とな る。 こ の為、 現在 G a N (赤色レーザーの波長が 6 5 0 n m に対して 4 1 0 n m) の レーザー発振素子への利用が検討さ れつつある。 G a Nを レーザー発振素子と して使用するため に、 レーザー発光部、 レーザーを反射する ミ ラー部及び電流 注入電極の 3構造を一体化した光学装置が考えられているが、 この装置は形状が複雑である と 同時に、 各部位における組成 が異なる為、 長期間の使用によ る発熱で原子の熱相互拡散が 起こ リ結果的に性能が低下して く る とい う 問題点がある。 し かし、 本発明の機能性素子、 例えば Z n 〇からなる針状金属 酸化物を発振素子と して使用する と 、 G a Nの レーザーよ リ も低波長 ( 3 8 0 n m) の レーザーを発振する こ とが可能な
為、 G a Nを読み取リ に使用 した場合よ リ も更に高密度記録 が可能となる、 それと同時に高速伝送も可能と なる。 又、 本 発明の機能性素子を レーザー発振素子と した光学装置は G a Nをレーザー発振素子と して使用する よ リ も簡単な構造から な リ 、 且つ原子の熱相互拡散によ る性能低下もない。 針状金 属酸化物と して、 Z n O以外に C o 〇、 アナタ一ゼ型 T i O 2、 ノレチル型 T i 〇 2、 M n 〇、 B a T i 03、 C d O等の金 属酸化物を使用 した時に各々が発振する波長は、 C 0 Oでは 3 1 0 n m、 アナターゼ型 T i 〇 2では 3 8 8 n m、 ルチル 型 T i O 2では 3 5 4 n m、 M n Oでは 4 5 9 n m、 B a T i 〇 3では 4 5 9 n m、 C d Oでは 5 3 9 n mであ リ 、 レ、ず れも低波長のレーザー発振素子と して使用する こ とができる。 本発明の機能性素子からなる レーザー発振素子を光学装置に 用いる際には、 機能性素子と励起源を組み合わせて使用する。 励起源は、 基板に電磁波、 熱、 電流等のエネルギーを与える こ とで機能性素子を構成する原子を励起させ、 原子が脱励起 して基底状態に戻る際に一定の波長を持った電磁波を放出さ せるものでぁ リ 、 この励起源の例と しては、 ラ ンプや電流が 挙げられる。
上述したよ う に、 固体物理、 vol. 33、 No. 1、 p.59〜 64 ( 1998 ) には、 基板上に形成した Z n 0ナノ結晶を紫外光レ 一ザ一発振素子と して用いるこ と が報告されている。 しかし、 基板上に形成された Z n Oナノ結晶は、 高さが 5 n mで円換
算径が 1 0 0 n m、 即ち、 アスペク ト比 (長さ Z断面の円換 算径) が 0 . 0 5 で、 本発明の針状金属酸化物が 0 . 1 以上で あるのに対して非常に小さい。 本発明のよ う にァスぺク ト比 が 0 . 1 以上の針状金属酸化物を含む機能性素子を レーザー 発振素子と して用いた場合、 レ一ザ一の発振が高出力 となる。 その理由は、 以下のよ う に考えられる。 レーザー発振は、 金 属酸化物層の厚み方向 (針状金属酸化物の長さ方向) に対し て垂直に起こる。 その為、 金属酸化物層の厚さが厚いほど出 力が大き く なる こ と になる。 よって、 中心軸の揃った針状金 属酸化物が長ければ長いほど、 即ち、 断面の円換算径に対す る長さの比 (長さ Z断面の円換算径) が大きいほど、 結果と して層が厚いものと な リ 、 高出力にする こ とができる。
また、 本発明の機能性素子においては、 基板上に一定の大 き さの針状金属酸化物が数多く 存在するが故に高出力の レ一 ザ一発振素子となる。
本発明の機能性素子からなる レーザー発振素子を使用 した 光学装置は、 従来よ リ低波長のレーザーを発振させる こ とが 可能と なる。 よって、 高感度情報の高密度化あるいは高速伝 送が可能となるので、 本発明の機能性素子は非常に有用であ る。
( 6 ) 光導波路機能を生かした光スィ ッ チ素子
高度情報化社会の進展に伴い、 情報通信方式の高度化ゃ大
容量化に対する要求は極めて高い。 現在、 一般家庭と電話局 を結ぶ回線は殆ど電子通信 (金属ワイヤ一アナロ グ伝送方式) であ リ 、 大容量の情報通信は困難である。 従って、 こ の一般 家庭と電話局を結ぶ回線は、 将来は光ファイバ一通信に置き 換わってゆく と予想される。 しかしなが らこれを達成するに は、 電子通信で電子の移動をオン · オフする機能と同 じ機能 が光ファイバ一通信にも必要と なる。 即ち、 光スィ ッチの開 発が必要である。 しかし、 ただ単に光スィ ッチ機能を達成し ただけでは実用領域には至らない。 光スィ ツチ機能と同時に 数多く の各家庭からの情報をオン · オフする為の高集積化技 術が必要となるが、 これに対応でき る光スィ ッチは、 現時点 では開発されていない。 本発明の機能性素子は光スィ ツチ機 能を持ち、 高集積化も可能な光ス ィ ッチ素子と なる。 本発明 の機能性素子を光スィ ツチ素子と して用いた光学装置は、 例 えば、 高密度に存在する針状金属酸化物の一本一本に光スィ ツチ機能を持たせる こ と によって高集積化を計るものである。 光スィ ツチ機能は、 本発明の機能素子における一本一本の針 状金属酸化物に 2つの電極をセッ 卜 し、 その電極間に電圧を 印可し位相をずらすこ と によ リ達成するこ とができる。 この よ う な高集積化光スィ ッチは、 基板上に数多く の針状金属酸 化物が存在する とい う本発明の機能性素子の特徴を生かすこ とによ って容易に達成でき る。 こ の際に本発明の機能性素子 に用いられる金属酸化物の種類には特に限定はない。
本発明の機能性素子からなる光スィ ツチを用いる光学装置 は、 光通信分野において高集積化された光スィ ッチと して使 用でき るので、 今後の高度情報化社会の進展に伴う情報通信 方式の高度化及び大容量化に対応する こ とが可能となる。
本発明の機能性素子を用いる こ とのでき る電気 · 電子装置 及び光学装置の代表例を上記したが、 この他の用途と して、 絶縁体、 導電体、 固体電解質、 蛍光表示管、 E L素子、 ァク チュエーター、 圧電体、 サ一ミ ス ター、 バ リ ス タ 、 超伝導体、 熱電放出素子、 電磁波シール ド材等の電気 · 電子装置あるい は光誘電体、 光センサー、 太陽電池、 光波長変換素子、 光吸 収フィルタ一等の光学装置等も挙げるこ とができる。 本発明 の機能性素子は、 その特徴である、 例えば、 先端が尖ってい る針状金属酸化物が基板の上側表面から上方に向かって延び、 かつその各中心軸が互いに実質的に平行に配列し、 そ して、 その表面積が大きいとい う特徴を生かして、 上記装置以外の いろいろな装置にも用いる こ とができ る。 例えば、 針状金属 酸化物の太さ (円換算径) を 0 . 1 μ πι、 好ま しく は 0 . 0
5 μ πΐ以下と した機能性素子を熱電放出素子とすれば冷凍庫 等に使用でき る。 又、 近年、 湿式型の太陽電池と して酸化チ タ ン (光増感剤と併用) の利用が検討されているが、 酸化チ タ ンの針状金属酸化物を含む本発明の機能性素子は表面積が 大きいので、 光の照射面積が大き く な リ 、 光を電気に変換す る効率を高める こ と が可能である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明す るが、 本発明はこれらの実施例及び比較例に何ら限定される ものではない。
尚、 以下の実施例において求めた針状金属酸化物の結晶軸 (中心軸) のゆらぎは、 基板の表面に対して直角な方向に对 するかたむきの角度で示している。 実施例 1
図 1 に略図を示した装置を用いて機能性素子を製造した。 金属化合物加熱槽に亜鉛ァセチルァセ トネ一 ト [ Z n ( C 5 H 702 ) 2] を仕込んだ。 金属化合物加熱槽を加熱し、 内温 1 1 5 °Cの条件で亜鉛ァセチルァセ トネー ト を気化した。 一 方、 吹き出 しス リ ツ ト の真下に位置する ヒーターの上に基板 となる A l 2〇 3単結晶板 ( 1 0 nini X 5 mm) を ( 0 0 0 1 ) 面がス リ ッ ト に向く よ う にセッ ト し、 5 5 0 °Cに加熱した。 金属化合物加熱槽に 1 . 2 d m3Z分の流量で乾燥窒素ガス を導入し、 加熱槽内の気化した亜鉛ァセチルァセ トネー ト を 窒素ガス に同伴させて、 大気圧雰囲気で A 1 2 O 3単結晶板の 表面に吹き付けた。 吹き付け開始から 3 0 0分後、 基板とそ の上に成長 した針状金属酸化物 ( Z n O ) からなる機能性素 子を装置から取リ外した。
得られた機能性素子に、 スパ ッ タ リ ングによ リ金 (導電性
物質) を厚さ 0 . l mに蒸着し、 その後、 走査型電子顕微 鏡 (以下、 S E Mと略記する) によ る観察を行った。
機能性素子の立体的な形状を明 らかにするために、 S E M 観察を構造体の斜め上の角度から行った。 得られた S E M画 像を図 2 ( a ) 及び図 2 ( b ) に示す。 こ の針状 Z n Oの断 面の円換算径の加重平均値は 1 . 2 μ ιη、 長さの加重平均値 は 1 0 0 ;u m、 密度は 1 Ο μ πι Χ 1 O ft mを有する単位面積 当た リ 5 0 0個、 結晶軸のゆらぎは 0 . 9度であった。 実施例 2
A 1 2 O 3単結晶板の温度を 6 0 0 °Cと し、 乾燥窒素ガスの 流量を 2 d m 3/ 分に した以外は実施例 1 と 同様に機能性素 子を製造した。
得られた機能性素子に、 スパッ タ リ ングによ リ金 (導電性 物質) を厚さ 0 . Ι μ πιに蒸着し、 その後、 S E Mによ る観 察を行った。
得られた S E M画像を図 3 に示す。 S E M観察の結果、 こ の針状 Z n Oの断面の円換算径の加重平均値は 3 . 6 μ m , 長さの加重平均値は 8 0 μ πι、 密度は Ι Ο μ πι Χ Ι Ο μ πιを 有する単位面積当た リ 3 0 0個、 結晶軸のゆらぎは 0 . 8度 であった。 実施例 3
実施例 1 と 同 じ装置を用いて機能性素子を製造した。 金属 化合物加熱槽にテ ト ライ ソプロキシチタネー ト [ T i ( 0 C 3 H 7 — i ) 4] を仕込んだ。 金属化合物加熱槽を加熱し、 内 温 1 3 0 °Cの条件でテ ト ライ ソプロキシチタネー トを気化し た。 一方、 吹き出 しス リ ッ ト の真下に位置する ヒーターの上 に基板となる M g O単結晶板 ( 1 0 mm X 5 mm) を ( 1 0 0 ) 面がス リ ッ ト に向く よ う にセッ ト し、 4 5 0 °Cに加熱し た。 金属化合物加熱槽に 1 . 5 d m3Z分の流量で乾燥窒素 ガスを導入し、 加熱槽内の気化したテ ト ライ ソプロキシチタ ネー ト を窒素ガスに同伴させて、 大気圧雰囲気で M g O単結 晶板の表面に吹き付けた。 吹き付け開始から 3 0秒後、 基板 とその上に成長した針状金属酸化物 ( T i 〇 2) からなる機 能性素子を装置から取リ外した。
得られた機能性素子に、 スパッタ リ ングによ リ金 (導電性 物質) を厚さ 0 . Ι μ πιに蒸着し、 その後、 S E Mによ る観 察を行った。
得られた S E M画像を図 4 に示す。 S E M観察の結果、 針 状 T i 02の断面の平均円換算径の加重平均値は 0 . 8 μ m 長さの加重平均値は 5 μ πι、 密度は Ι Ο μ πι Χ ΐ Ο ιηを有 する単位面積当た リ 2 5 0 0個、 結晶軸のゆらぎは 2 . 1 度 であった。 実施例 4
M g O単結晶板の温度を 5 5 0 °Cと した以外は実施例 3 と 同様に機能性素子を製造した。
得られた機能性素子に、 スパッ タ リ ングによ リ金 (導電性 物質) を厚さ 0 . Ι μ πιに蒸着し、 S E Mによ る観察を行つ た。
機能性素子の立体的な形状を明 らかにするために、 S Ε Μ 観察を構造体の斜め上の角度から行った。 得られた S Ε Μ画 像を図 5 に示す。 S E M観察の結果、 この針状 T i 02の断 面の円換算径の加重平均値は 0 . 8 μ πι、 長さの加重平均値 は 3 μ , 密度は 1 0 πι Χ 1 0 μ παを有する単位面積当た リ 3 2 0 0個、 結晶軸のゆらぎは 1 . 0度であった。 実施例 5
実施例 1 と 同 じ装置を用いて機能性素子を製造した。 金属 化合物加熱槽に亜鉛ァセチルァセ トネー ト [ Z n ( C 5 Η 7 Ο 2 ) 2 ] を仕込んだ。 金属化合物加熱槽を加熱し、 内温 1 1 5 °Cの条件で亜鉛ァセチルァセ トネー ト を気化した。 一方、 吹 き出しス リ ッ ト の真下に位置する ヒーターの上に基板となる シ リ コ ン板 ( 1 0 mm X 5 mm) を ( 1 1 1 ) 面がス リ ッ ト に向く よ う にセッ ト し、 5 5 0 °Cに加熱した。 金属化合物加 熱槽に 1 . 2 d m3 /分の流量で乾燥窒素ガスを導入し、 加 熱槽内の気化した亜鉛ァセチルァセ トネー ト を窒素ガスに同 伴させて、 大気圧雰囲気でシリ コ ン板の表面に吹き付けた。
吹き付け開始から 3 0 0分後、 基板とその上に成長した針状 金属酸化物 ( Ζ η Ο ) からなる機能性素子を装置から取リ外 した。
得られた機能性素子に、 スパ ッ タ リ ングによ リ金 (導電性 物質) を厚さ 0 . Ι μ πιに蒸着し、 その後、 S E Mによる観 察を行った。
機能性素子の立体的な形状を明 らかにするために、 S Ε Μ 観察を構造体の斜め上の角度から行った。 得られた S Ε Μ画 像を図 6 に示す。 S E M観察の結果、 こ の針状 Ζ η Οの断面 の円換算径の加重平均値は 2 . 8 μ m , 長さの加重平均値は 7 0 μ 密度は 1 0 m X l O ju mを有する単位面積当た リ 4 7 0個、 結晶軸のゆらぎは 3 . 9度であった。 実施例 6
実施例 1 と同じ装置を用いて機能性素子を製造した。 金属 化合物加熱槽に亜鉛ァセチルァセ トネー ト [ Z n ( C 5 Η 7 Ο 2 ) 2] を仕込んだ。 金属化合物加熱槽を加熱し、 内温 1 1 5 °Cの条件で亜鉛ァセチルァセ トネー トを気化した。 一方、 吹 き出しス リ ッ ト の真下に位置する ヒーターの上に基板となる A 1 20 3単結晶板 ( 1 0 m m X 5 m m ) を ( 0 0 0 1 ) 面力 S ス リ ッ トに向く よ う にセ ッ ト し、 5 5 0 °Cに加熱した。 金属 化合物加熱槽に 1 . 2 d m 3/ 分の流量で乾燥窒素ガスを導 入し、 加熱槽内の気化した亜鉛ァセチルァセ トネー ト を窒素
ガスに同伴させて、 大気圧雰囲気で A 1 2〇 3単結晶板の表面 に吹き付けた。 吹き付け開始から 1 5分後、 基板とその上に 成長した針状金属酸化物 ( Z n O ) からなる機能性素子を装 置から取リ外した。
得られた機能性素子に、 スパッ タ リ ングにょ リ金 (導電性 物質) を厚さ 0 . l niに蒸着し、 その後、 S EMによ る観 察を行った。
機能性素子の立体的な形状を明 らかにするために、 S E M 観察を構造体の斜め上の角度から行った。 得られた S E M画 像を図 7 に示す。 S EM観察の結果、 この針状 Z n Oの断面 の円換算径の加重平均値は 0 . 2 5 μ πι、 長さの加重平均値 は 0 . 5 / m、 密度は 1 0 ;u m x 1 O mを有する単位面積 当た リ 2 0 0 0個であった。 実施例 7及び比較例
実施例 6 と 同様に機能性素子を製造し、 得られた機能性素 子を電子放出素子と して用いた回路 (図 8 ) を作成した。
A 1 203基板 ( 1 ) と針状 Z n O ( 2 ) からなる機能性素 子 ( 1 0 mm X 5 m m) を 1 5 mm角のシ リ コ ン( S i )板 ( 6 ) の上に固定し、 これを 日本国、 日電ァネルバ (株) 製 S P F - 3 3 2スパッタ リ ング装置に入れて、 A r 雰囲気、 気圧 0 . 1 t 0 r r の条件で 1 時間ニッケルスパッ タ リ ング を行った。 ニッケルス ノ、°ッ タ リ ングにょ リ 、 8 mのニッケ
ル層 ( 3 ) を機能性素子と シ リ コ ン板 ( 6 ) の表面に形成し た。 得られたニッケル層を形成した機能性素子を電子放出素 子と して用いた。
機能性素子に形成したニ ッケル層 ( 3 ) と銅板 ( 8 ) が導 電ペース ト ( 7 ) を介して繋るよ う に、 電子放出素子、 シリ コン板 ( 6 ) 、 導電ペース ト ( 7 ) と銅板 ( 8 ) を組みたて た。 銅板 ( 8 ) に外部電極を取リ付け、 この外部電極をァー スに繋いだ。 一方、 2 m m角の正方形の部分を残した以外は 絶縁フィルム ( 5 ) で被覆した銅板 ( 4 ) を用意し、 この銅 板に外部電極を取リ つけ、 更に外部電極を陽極につないだ。 絶縁フ ィルム ( 5 ) で被覆した銅板 ( 4 ) とニッケル層 ( 3 ) を形成した機能性素子と を、 絶縁フィルム ( 5 ) で被覆され てない銅板 ( 4 ) の部分とニッケル層 ( 3 ) との間の距離が 0 . 5 m mと なるよ う に別のシ リ コ ン( S i )板 ( 6 ) を介し て固定し、 その断面が図 8 と なる回路装置を作成した。
比較例と しては、 ニッケル層を形成した機能性素子のかわ リ に 1 O mm X 5 m m X 0 . 5 mmのニッケル平板を用い、 上記と 同様に して回路装置を作成した。
作成した回路を真空チャ ンバ一に入れ、 チャ ンパ一內の雰 囲気を 6 X I 0— 6 t 0 r r 〖こした。 陽極に電流電圧計を、 ァ ースに高圧電源をそれぞれ取リ付け、 放出電流を測定した。 本発明の機能性素子を電子放出素子と して用いた場合、 回 路装置の陽極—アース間の電位差が 5 k Vの時の放出電流は
5 μ Αだった。 一方、 比較例と して機能性素子を使用せず、 ニッケル平板を用いた回路装置の陽極—アース間の電位差が
5 k Vの時の放出電流は、 0 . 4 μ Aだった。
産業上の利用可能性
本発明の電気、 電子又は光学装置用機能性素子は、 基板上 にある金属酸化物の表面積が非常に大きいにもかかわらず厚 みを小さ く する こ とができ る とレ、 う優れた特徴を有する。 ま た、 このよ う な特徴を有する機能性素子は、 例えば低電圧で 電子を放出でき る省エネ型の電子放出素子や高容量のコ ンデ ンサ一素子、 高密度メ モ リ ー素子、 高感度センサー素子等の 電気又は電子装置用素子や、 レーザー発振素子、 特に紫外光 等低波長のレーザー発振素子、 高集積光ス ィ ッ チ素子等の光 学装置用素子等へ有利に応用する こ とができ る。 また、 本発 明の方法によ る と、 大きな設備投資を要する こ となく 、 本発 明の電気、 電子又は光学装置を効果的且つ効率的に製造する こ とができ る。 本発明の方法においては、 例えば、 反応帯域 を大気圧下の空気雰囲気に して実施する こ とができ る。