明細書 重合体及び重合体の製造方法 技術分野
本発明は、 ラジカル重合性ォレフイン単量体の重合体及びその製造方法に関す る。 背景技術
重合体の成長末端同士をカップリングさせることにより、 長鎖の重合体を製造 することは知られている。 ァニオン重合の場合には、 求電子性の官能基を 2つ持 つ化合物を添加することによりカツプリングさせることができる。 カチオン重合 の場合には、 求核性の官能基を 2つ持つ化合物を添加することにより同様に力ッ プリングさせることができる。
一方で、 末端に官能基を有する重合体は、 そのもの単独で、 又は、 適当な硬化 剤と組み合わせることによって架橋し、 耐熱性、 耐久性等の優れた硬化物を与え ることが知られている。 なかでも、 末端に水酸基又は架橋性シリル基を有する重 合体はそれらの代表例である。 末端に水酸基を有する重合体は、 多官能性のイソ シァネート化合物を硬化剤として用いることにより架橋硬化する。 また、 架橋性 シリル基を末端に有する重合体は、 適当な縮合触媒の存在下、 湿分を吸収するこ とにより硬化物を与える。
このような、 水酸基又は架橋性シリル基を末端に有する重合体の主鎖骨格とし ては、 ポリエチレンォキシド、 ポリプロピレンォキシド、 ポリテ卜ラメチレンォ キシド等のポリエーテル系重合体、 ポリブタジエン、 ポリイソプレン、 ポリクロ 口プレン、 ポリイソブチレン又はそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、 ポ リエチレンテレフタレ一卜、 ポリブチレンテレフタレ一卜、 ポリ力プロラク卜ン 等のポリエステル系重合体等が例示される。 これらは、 主鎖骨格と架橋形式に基 づき、 様々な用途に用いられている。
上に例示したようなイオン重合や縮重合で達成されるカツプリング反応に対
して、 ラジカル重合で得られるビニル系重合体の末端同士をカツプリングさせる ことは、 まだほとんど実用化されていない。 イオン重合の場合と異なり、 ラジカ ル重合の場合はその成長末端であるラジカル同士が直接力ップリングすることが 原理的に可能であるが、 ラジカル重合そのものの制御が非常に困難であるために、 そのカツプリングを制御することは容易でない。
ビニル系重合体の中でも、 (メタ) アクリル系重合体は、 上述のポリェ一テ ル系重合体、 炭化水素系重合体又はポリエステル系重合体では得られない特性、 例えば、 高い耐候性、 透明性等を有している。 なかでも、 アルケニル基や架橋性 シリル基を側鎖に有する (メタ) アクリル系重合体は、 高耐候性の塗料等に利用 されている。 その一方で、 アクリル系重合体の重合制御は、 その副反応のために 容易でなく、 成長末端のカツプリングが非常に困難である。
カップリング反応の利点としては、 鎖延長による分子量の増大、 ブロックコポ リマーの合成、 末端官能基化ポリマーの合成等が挙げられる。 カップリングを行 うと、 成長末端が 1つのポリマーの場合、 分子量は 2倍になり、 成長末端が 2つ のポリマーの場合には、 原理的には分子量は無限に増大する。 モノマーの逐次添 加等により合成したジブロックコポリマ一をカツプリングさせると、 A B A型の トリブロックコポリマーが合成される。 官能基を持つ開始剤を用いて重合したポ リマーの場合、 成長末端を力ップリングさせると両末端に官能基を持つポリマー が合成される。
両末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体は、 側鎖に架橋性官能基を有 するものと比較して物性の優れた硬化物を得ることができる。 従って、 これまで 多くの研究者によって、 その簡便な製造方法が検討されてきたが、 それらを工業 的に製造することは容易ではない。 特開平 5— 2 5 5 4 1 5公報には、 連鎖移動 剤としてアルケニル基含有ジスルフィ ドを用いることを特徴とする、 両末端にァ ルケ二ル基を有する (メタ) アクリル系重合体の合成方法が開示されている。 ま た、 特開平 5 _ 2 6 2 8 0 8公報には、 水酸基を有するジスルフイ ドを用いて、 両末端に水酸基を有する (メタ) アクリル系重合体を合成し、 さらに水酸基の反 応性を利用して両末端にアルケニル基を有する (メタ) アクリル系重合体を合成 する方法が開示されている。 しかしながら、 これらの方法では重合体の分子量の
制御は容易ではない。 また、 末端に確実に官能基を導入するためには、 連鎖移動 剤を大量に使用しなければならず、 製造工程上問題がある。 発明の要約
本発明は、 上記現状に鑑み、 ラジカル重合性ォレフイン単量体の重合体同士 がカップリングした重合体、 及び、 その製造方法を提供することを目的とするも のである。
すなわち本発明は、 ラジカル重合性ォレフィン単量体のリビングラジカル重合 において、 重合中又は重合終了後に、 ラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ 以上有する化合物を添加することにより重合体同士を力ップリングさせる方法で ある。
添加するラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化合物は、 好 ましくは、 一般式 (1 ) ;
〔式中、 R 1は、 炭素数 1 2 0の二価以上の飽和炭化水素基、 又は、 一般式 ( 2 ) ;
(式中、 R 4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜2 0の二価以上の有機基を 表す。 R 5は、 水素原子又はメチル基を表し、 4つの R 5のそれぞれは、 同じで も異なっていてもよい。 )
で表される基を表す。 R 2及び R 3は、 同一若しくは異なって、 水素原子又はメ チル基を表す。 〕
で表される化合物であり、 更に好ましくは、 一般式 ( 1 ) において、 R 1が炭素 数 1〜2 0のアルキレン基であり、 特に好ましくは、 一般式 (3 ) ;
H2Cグ Ζ π Η
(式中、 ηは、 1〜2 0の整数を表す。 )
で表される化合物である。
具体的には、 1, 5—へキサジェン、 1, 7—才クタジェン及び 1 , 9—デ カジエンが例示される。
本発明のリビングラジカル重合としては、 原子移動ラジカル重合が好ましい。 原子移動ラジカル重合の触媒としては、 好ましくは、 周期律表第 7族、 8族、 9族、 1 0族又は 1 1族の元素を中心金属とする金属錯体であり、 更に好ましく は、 銅、 ニッケル、 ルテニウム及び鉄からなる群より選択される金属の錯体であ り、 特に好ましくは、 銅錯体である。
本発明のラジカル重合性ォレフイン単量体としては、 好ましくは、 α, β - 不飽和カルボン酸系単量体であり、 更に好ましくは、 (メタ) アクリル酸系単量 体であり、 より好ましくは、 アクリル酸系単量体であり、 特に好ましくは、 ァク リル酸エステル系単量体であり、 特別に好ましくは、 アクリル酸ブチルである。 原子移動ラジカル重合の開始剤としては、 官能基を有する有機ハロゲン化物、 又は、 官能基を有するハロゲン化スルホニル化合物であることが好ましく、 官能 基が、 水酸基または加水分解性シリル基であることが好ましい。
本発明は、 本発明の方法により得ることのできる重合体でもある。
本発明により得ることのできる重合体としては、 限定はされないが、 好ましく は、 一般式 (4 ) ;
〔式中、 R 1は、 炭素数 1〜2 0の二価以上の飽和炭化水素基、 又は、 一般式
( 5 )
(式中、 R 4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜2 0の二価以上の有機基を 表す。 R 5は、 水素原子又はメチル基を表し、 4つの R 5のそれぞれは、 同じで も異なっていてもよい。 )
で表される基を表す。 R 2及び R 3は、 同一若しくは異なって、 水素原子又はメ チル基を表す。 Xは、 ハロゲン、 ニトロキシド基、 スルフイド基又はコバルトポ ルフィリン錯体を表す。 〕
で表される基を分子中に有する重合体である。 発明の詳細な開示
本発明は、 ラジカル重合性ォレフィン単量体のリビングラジカル重合におい て、 重合中又は重合終了後に、 ラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有 する化合物を添加することにより重合体同士をカツプリングさせる方法である。
ラジカル重合性の低いアルケニル基としては、 力ルポキシル基やフエニル基 等により活性化されていないアルケニル基のことで、 末端ォレフィンでも内部ォ レフィンでも環状ォレフィンでも構わないが、 末端ォレフィンが好ましい。 添加するラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化合物は、 限 定はされないが、 好ましくは、 一般式 (1 ) ;
〔式中、 R
1は、 炭素数 1 2 0の二価以上の飽和炭化水素基、 又は、 一般式 ( 2 ) ;
(式中、 R4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜20の二価以上の有機基を 表す。 R5は、 一価の基で、 好ましくは水素原子又はメチル基を表し、 4つの R 5のそれぞれは、 同じでも異なっていてもよい。 )
で表される基を表す。 R2及び R3は、 同一若しくは異なって、 水素原子又はメ チル基を表す。 〕
で表される化合物である。
上記 R 1の炭素数 1〜 20の二価以上の飽和炭化水素基としては特に制限され ず、 例えば、 メチレン基、 エチレン基、 プロピレン基、 ブチレン基、 ペンチレン 基等のアルキレン基;メチン基、 ェタントリイル基、 プロパン卜リイル基等の三 価の飽和炭化水素基等が挙げられる。 上記炭素数 1〜 20の二価以上の飽和炭化 水素基としては、 直鎖状のものに限らず、 分岐状又は環状のものも使用すること ができる。
上記 R1が三価以上の飽和炭化水素基である場合、 上記一般式 (1) で表され る化合物は、 一 C (R2) =CH2で表されるアルケニル基が R1から更に分岐す る構造を有するものである。 上記分岐したアルケニル基において、 R2は、 式 (1) の R2及び R3と同一でも異なっていてもよい。
上記一般式 (2) において、 R4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜20 の二価以上の有機基を表す。 この炭素数 1〜20の二価以上の有機基としては特 に限定されず、 例えば、 — CH2— O— CH2—、 一 CH2— NH— CH2—、 - CH2C (O) 〇—、 フエ二レン基等の二価の有機基; フエ二リジン基等の三価 の有機基等が挙げられる。 上記炭素数 1〜20の二価以上の有機基としては、 酸 素原子及び/又は窒素原子を含むものであってもよく、 また、 ァリール及び/又 はへテロァリールを含むものであってもよい。
上記一般式 (2) において R4が窒素原子を有する場合、 上記一般式 (1) で 表される化合物は、 一 C (R2) ==CH2で表されるアルケニル基が R4の窒素原
子から更に分岐する構造を有するものとすることもできる。 上記 R 4が三価以上 の有機基である場合は、 上記一般式 (1) で表される化合物は、 一 C (R2) =
H C CH2で表されるアルケニル基が R 4から更に分岐する構造を有するものである。
0
上記分岐したアルケニル基において、 R2は、 式 (1) の R2及び R 3と同一でも 異なっていてもよい。
上記 R5は、 一価の基 C H、 好ましくは水素原子又はメチル基を表し、 4つの R5 のそれぞれは、 同じでも異な C Hっていてもよい。 上記一般式 (2) で表される基と
2一
して、 好ましくは、 以下に示す基が挙げられる。
H2 Ho
—— C― 0― C一
•^2 H2 H2 H2
(o.m.p)
ラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化合物として、 更に好 ましくは、 一般式 (1) において、 R
1が炭素数 1〜20のアルキレン基であり、 特に好ましくは、 一般式 (3) ;
(式中、 nは、 1〜20の整数を表す。 )
で表される化合物である。
具体的なラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化合物として は、 限定はされないが、 1, 5—へキサジェン、 1, 7—ォクタジェン、 1, 9 ーデカジエン、 1, 7—ォクタジェン _ 3—オール及びその誘導体が例示される。 以下に本発明に用いられるリビングラジカル重合について説明する。
「リビングラジカル重合法」 は、 重合速度が高く、 ラジカル同士のカップリン グなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合で ありながら、 停止反応が起こりにくく、 分子量分布の狭い (MwZMnが 1. 1 〜1. 5程度) 重合体が得られるとともに、 モノマーと開始剤の仕込み比によつ て分子量は自由にコントロールすることができる。
従って 「リビングラジカル重合法」 は、 分子量分布が狭く、 粘度が低い重合体 を得ることができる上に、 特定の官能基を有するモノマ一を重合体のほぼ任意の 位置に導入することができるため、 特定の官能基を有するビニル系重合体の製造 方法としてはより好ましいものである。
なお、 リビング重合とは狭義においては、 末端が常に活性を持ち続けて分子鎖 が生長していく重合のことをいうが、 一般には、 末端が不活性化されたものと活 性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。 本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」 は近年様々なグループで積極的に研究がなされて いる。 その例としては、 たとえばジャーナル ·ォブ ·アメリカン ·ケミカルソサ エティ一 ( J . Am. C h em. S o c . ) , 1994年、 1 16巻、 7943 頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、 マクロモレキュー ルズ (Ma c r omo l e c u l e s) 、 1994年、 27巻、 7228頁に示 されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、 有機ハロ ゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする 「原子移動ラジカル重合」
(A t om T r a n s f e r R a d i c a l P o l yme r i z a t i on : ATRP) などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」 の中でも、 有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化 スルホニル化合物等を開始剤、 遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重 合する 「原子移動ラジカル重合法」 は、 上記の 「リビングラジカル重合法」 の特 徴に加えて、 官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、 開始剤や 触媒の設計の自由度が大きいことから、 特定の官能基を有するビニル系重合体の 製造方法としてはさらに好ましい。 この原子移動ラジカル重合法としては例えば Ma t y j a s z ews k iら、 ジャーナル ·ォブ ·アメリカン ·ケミカルソサ エティ一 ( J . Am. C h em. S o c. ) 1995年、 1 1 7巻、 56 14頁、 マクロモレキュールズ (M a c r omo 1 e c u 1 e s ) 1 995年、 28巻、 790 1頁, サイエンス (S c i e n c e) 1996年、 272巻、 866頁、 WO 96/30421号公報, WO 97 / 18247号公報あるいは S aw am o t oら、 マクロモレキュールズ (Ma c r omo l e c u l e s) 1995年、 28巻、 1721頁などが挙げられる。
本発明において、 これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、 制 御の容易さなどから原子移動ラジカル重合法が好ましい。
これらのリビングラジカル重合のうちで、 まず、 ニトロキシド化合物などのラ ジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。 この重合では一般に安定なニトロ キシフリーラジカル (=Ν_〇 ·) をラジカルキヤッビング剤として用いる。 こ のような化合物類としては、 限定はされないが、 2, 2, 6, 6—置換— 1—ピ ペリジニルォキシラジカルや 2, 2, 5, 5—置換— 1—ピロリジニルォキシラ ジカル等、 環状ヒドロキシァミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。 置換基としてはメチル基やェチル基等の炭素数 4以下のアルキル基が適当である。 具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、 限定はされないが、 2, 2, 6, 6—テトラメチル— 1—ピペリジニルォキシラジカル (TEMPO) 、 2, 2, 6, 6—テトラェチル _ 1ーピペリジニルォキシラジカル、 2, 2, 6, 6 —テトラメチルー 4—ォキソ一 1—ピペリジニルォキシラジカル、 2, 2, 5, 5—テトラメチル— 1—ピロリジニルォキシラジカル、 1, 1, 3, 3—テトラ
メチル _ 2 _イソインドリニルォキシラジカル、 N, N—ジ _ t _プチルァミン ォキシラジカル等が挙げられる。 ニトロキシフリーラジカルの代わりに、 ガルビ ノキシル (g a 1 V i n o x y 1 ) フリーラジカル等の安定なフリ一ラジカルを 用いても構わない。
上記ラジカルキヤッピング剤はラジカル発生剤と併用される。 ラジカルキヤッ ビング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノ マーの重合が進行すると考えられる。 両者の併用割合は特に限定されるものでは ないが、 ラジカルキヤッビング剤 1モルに対し、 ラジカル開始剤 0 . 1〜1 0モ ルが適当である。
ラジカル発生剤としては、 種々の化合物を使用することができるが、 重合温度 条件下で、 ラジカルを発生しうるパ一ォキシドが好ましい。 このパ一ォキシドと しては、 限定はされないが、 ベンゾィルパ一ォキシド、 ラウロイルバーオキシド 等のジァシルバーォキシド類、 ジクミルバ一ォキシド、 ジ— t 一プチルパ一ォキ シド等のジアルキルパーォキシド類、 ジィソプロピルパ一ォキシジカーボネート、 ビス (4— t —ブチルシクロへキシル) パ一ォキシジカーボネート等のパ一ォキ シカーボネート類、 t 一ブチルパーォキシォクトェ一ト、 tーブチルバ一ォキシ ベンゾェ一ト等のアルキルパーエステル類等がある。 特にべンゾィルパ一ォキシ ドが好ましい。 さらに、 バーオキシドの代わりにァゾビスイソプチロニトリルの ようなラジカル発生性ァゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
M a c r o m o 1 e c u 1 e s 1 9 9 5, 2 8 , 2 9 9 3で報告されている ように、 ラジカルキヤッビング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、 下図の ようなアルコキシァミン化合物を開始剤として用いても構わない。
アルコキシァミン化合物を開始剤として用いる場合、 それが上図で示されてい るような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体 が得られる。 これを本発明の方法に利用すると、 末端に官能基を有する星型重合 体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモ ノマ一、 溶媒、 重合温度等の重合条件は、 限定されないが、 次に説明する原子移 動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
次に、 本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重 合法について説明する。
この原子移動ラジカル重合では、 有機ハロゲン化物、 特に、 反応性の高い炭素 一ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物 (例えば、 α位にハロゲンを有するェ ステル化合物や、 ベンジル位にハロゲンを有する化合物) 、 あるいはハロゲン化 スルホニル化合物が開始剤として用いられる。 触媒としては、 周期律表第 7族、 8族、 9族、 1 0族、 または 1 1族元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。 金属種としては特に 0価及び 1価の銅、 2価のルテニウム、 2価の鉄が好適であ る。 具体的に例示するならば、 塩化第一銅、 臭化第一銅、 ヨウ化第一銅、 シアン 化第一銅、 酸化第一銅、 酢酸第一銅、 過塩素酸第一銅等である。 銅化合物を用い る場合、 触媒活性を高めるために 2, 2 * —ビビリジル、 およびその誘導体、 1 , 1 0—フエナント口リン、 およびその誘導体、 トリプチルァミン等のアルキルァ キサメチルトリエチレンテトラアミン等のポリアミン、 等の配位子が添加される c
また、 二価の塩化ルテニウムのトリストリフエニルホスフィン錯体 (Ru C 12 (P P h3) 3) も触媒として好適である。 この触媒を使用するときは、 その活 性を高めるためにトリアルコキシアルミニウム等のアルミニウム化合物が添加さ れる。 さらに、 二価の塩化鉄のトリストリフエニルホスフィン錯体 (F e C 12 (PPh3) 3) も触媒として好適である。
この重合法においては有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化合物 が開始剤として用いられる。 具体的に例示するならば、
C6H5-CH2X,
C6H5- C (H) (X) CH3、
C6H5- C (X) (CH3) 2、
(ただし、 上の化学式中、 C6H5はフエニル基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ 素)
R6 - C (H) (X) - C02R7、
R6— C (CH3) (X) — C〇2R7、
R6— C (H) (X) — C (〇) R7、
R6 - C (CH3) (X) — C (〇) R7、
(式中、 R6、 R 7は水素原子または炭素数 1〜20のアルキル基、 ァリール基、 またはァラルキル基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
R6 - C6H4 - S02X、
(上式において、 R 6は水素原子または炭素数 1〜20のアルキル基、 ァリール 基、 またはァラルキル基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
等が挙げられる。
また、 官能基を持つ有機ハロゲン化物又は八ロゲン化スルホニル化合物を開始 剤として用いると、 末端に官能基が導入された重合体が容易に得られるので好ま しい。 このような官能基としては、 アルケニル基、 水酸基、 エポキシ基、 ァミノ 基、 アミド基、 又は、 シリル基等が挙げられる。 なかでも、 水酸基を持つ開始剤 が好ましい。 ただし、 アルケニル基を有する開始剤の場合には、 本発明における カツプリング反応と同様の反応が、 成長末端と開始剤のアルケニル基の間で発生 してしまう可能性がある。 この場合、 カップリング剤添加時の成長末端の数は開
始剤の数よりも減少しているため、 カツプリング剤の添加量はそれを考慮しなけ ればならない。 アルケニル基を持つ開始剤を利用する場合の主要な目的は、 末端 にアルケニル基を有する重合体を合成することであるが、 この目的の達成のため には、 本発明のカツプリング剤と同様の化合物を成長末端に対して過剰量添加す る方法がより適当である。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、 例えば、 一般式 (6) に示す構造を有するものが例示される。
RHR12C (X) -R13-R14-C (R8) =CH2 (6)
(式中、 R8は水素、 またはメチル基、 R11 R12は水素、 または、 炭素数 1〜 20の 1価のアルキル基、 ァリール基、 またはァラルキル、 または他端において 相互に連結したもの、 R13は、 一 C (0) 〇— (エステル基) 、 _C (O) - (ケト基) 、 または o—, m—, p—フエ二レン基、 R14は直接結合、 または 炭素数 1〜 20の 2価の有機基で 1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
これらの化合物は、 ハロゲンが結合している炭素が力ルポニル基あるいはフエ ニル基等と結合しており、 炭素一ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。 置換基 R11, R12の具体例としては、 水素、 メチル基、 ェチル基、 n—プロ ピル基、 イソプロピル基、 n_ブチル基、 ペンチル基、 へキシル基等が挙げられ る。 R11と R12は他端において連結して環状骨格を形成していてもよく、 その ような場合、 一 R11— R12—は例えば、 — CH2CH2—、 一 CH2CH2CH2 一、 一 CH2CH2CH2CH2_、 — CH2CH2CH2CH2CH2—、 等が例示 される。
一般式 (6) で示される、 アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例と しては、
XCH2C (〇) O (CH2) nCH=CH2,
H3C C (H) (X) C (〇) O (CH2) nCH=CH2、
(H3C) 2C (X) C (O) O (CH2) nCH=CH2、
CH
3CH
2C (H) (X) C (O) 〇 (CH
2)
nCH=CH
2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) XCH2C (〇) O (CH2) nO (CH2) mCH=CH2,
H3CC (H) (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) mCH=CH2、
(H3C) 2C (X) C (〇) O (CH2) nO (CH2) mCH=CH2、
CH3CH2C (H) (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) mCH=CH2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0〜20の整数)
o, m, p -XCH2-C6H4- (CH2) n - CH=CH2、
o, m, p -CH3C (H) (X) - C6H4― (CH2) n— CH=CH2, o, m, p - CH3CH2C (H) (X) _C6H4_ (CH2) n - CH=CH2, (上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) o, m, p -XCH,-C6H4- (CH2) n— O— (CH¾) m— CH=CH2、 o, m, p— CH3C (H) (X) C 6H4 (CHJ O— (CHJ CH=CH2,
o, m, p - CH3CH2C (H) (X) C 6H4 (CHJ 〇一 (CH 2) mCH=CH2,
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0〜20の整数)
o, m, p -XCH2-C6H4-0- (CH2) n— CH=CH2、
o, m, p— CH3C (H) (X) — C6H4—〇— (CH2) n— CH=CH?, o, m, P-CH3CH C (H) (X) _C6H4—〇_ (CH2) CH=C
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) o, m, p _XCH2 - C6H4— O - (CH2) n_0— (CH2) m— CH=C H2、
o, m, p -CH3C (H) (X) — C6H4— O— (CH2) n—〇— (CH2) m-CH=CH2,
o, m, p -CH3CH2C (H) (X) —C6H4—〇— (CH2) n— O— (C H2) m-CH = CH2,
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式 (7) で示され る化合物が挙げられる。
H2C = C (R8) -R14-C (R11) (X) — R15 - R12 (7)
(式中、 R8、 R11, R12、 R14、 Xは上記に同じ、 R15は、 直接結合、 — C (O) O— (エステル基) 、 一 C (0) — (ケト基) 、 または、 o—, m— , p 一フエ二レン基を表す)
R 14は直接結合、 または炭素数 1〜20の 2価の有機基 (1個以上のェ一テ ル結合を含んでいても良い) であるが、 直接結合である場合は、 ハロゲンの結合 している炭素にビニル基が結合しており、 ハロゲン化ァリル化物である。 この場 合は、 隣接ビニル基によって炭素一ハロゲン結合が活性化されているので、 R1 5として C (O) O基やフエ二レン基等を有する必要は必ずしもなく、 直接結合 であってもよい。 R 14が直接結合でない場合は、 炭素一ハロゲン結合を活性化 するために、 R15としては C (〇) 0基、 C (O) 基、 フエ二レン基が好まし い。
一般式 (7) の化合物を具体的に例示するならば、
CH2 = CHCH2X、 CH2 = C (CH3) CH2X、
CH2 = CHC (H) (X) CH3、 CH2 = C (CH3) C (H) (X) CH3、 CH2 = CHC (X) (CH3) 2、 CH2 = CHC (H) (X) C2H5、
CH2 = CHC (H) (X) CH (CH3) 2、
CH2 = CHC (H) (X) C6H5、 CH2 = CHC (H) (X) CH2C6H5、 CH2 = CHCH2C (H) (X) C02R、
CH2 = CH (CH2) 2C (H) (X) — C02R、
CH2 = CH (CH2) 3C (H) (X) _C02R、
CH2 = CH (CH2) 8C (H) (X) _C02R、
CH2 = CHCH2C (H) (X) — C6H5、
CH2 = CH (CH2) 2C (H) (X) 一 C6H5、
CH2 = CH (CH2) 3C (H) (X) — C6H5、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは炭素数 1〜20の アルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、 o—, m— , p-CH2 = CH- (CH2) n_C6H4— S〇2X、
o_, m_, p-CH2 = CH- (CH2) n - O - C 6 H 4— S O 2 X、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) 等である。
アルケニル基を持つ開始剤の場合、 その開始剤のォレフィンも重合末端と反応 する可能性があるため、 重合条件および添加するォレフイン化合物との反応条件 には注意が必要である。 具体的な例としては、 重合の早い段階でォレフィン化合 物を添加することがあげられる。
架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に制限はないが、 例えば 一般式 (8) に示す構造を有するものが例示される。
R R12C (X) — R13— R14— C (H) (R8) CH2— [S i (R16) 2_b (Y) bO] m-S i (R17) 3 -a (Y) a (8)
(式中、 R8、 Rl R12、 R13、 R14、 R16、 R17、 a、 b、 m、 X、 Y は上記に同じ)
一般式 (8) の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C (0) 〇 (CH2) nS i (〇CH3) 3、
CH3C (H) (X) C (〇) 〇 (CH2) n S i (〇CH3) 3、
(CH3) 2C (X) C (〇) O (CH2) nS i (OCH3) 3、
XCH2C (O) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
CH3C (H) (X) C (O) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
(CH3) 2C (X) C (〇) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 ヨウ素、 nは 0〜20の整数、 ) XCH2C (O) 0 (CH2) n〇 (CH2) mS i (〇CH3) 3、
H3CC (H) (X) C (〇) 〇 (CH2) nO (CH2) mS i (OCH3) 3、
(H3C) 2C (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) mS i (〇CH3) 3、 CH3CH2C (H) (X) C (O) O (CH2) n〇 (CH2) mS i (OCH 3) 3、
XCH2C (〇) O (CH2) nO (CH2) mS i (CH3) (OCH3) 2、
H3CC (H) (X) C (O) 〇 (CH2) nO (CH2) m- S i (CH3) (〇 CH3) 2、
(H3C) 2C (X) C (O) 〇 (CH2) nO (CH2) m— S i (CH3) (〇 CH3) 2、
CH3CH2C (H) (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) m— S i (CH
3) (OCH3) 2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 ヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0 〜20の整数)
o, m, p -XCH2-C6H4- (CH2) 2S i (OCH3) 3、
o, m, p -CH3C (H) (X) — C6H4— (CH2) 2S i (OCH3) 3、 0, m, p -CH3CH2C (H) (X) — C6H4 - (CH2) 2S i (OCH
3 ' 3、
o, m, p— XCH2— C6H4 (CH2) 3S i (OCH3) 3、
0, m, p -CH3C (H) (X) — C6H4_ (CH2) 3 S i (〇CH3) 3、 o, m, p - CH3 CH2 C (H) (X) — C6H4_ (CH2) 3 S i (OCH
3) 3、
〇, m, p -XCH2-C6H4- (CH2) 2ー〇一 (CH2) 3S i (OCH3)
o, m, p - CH3C (H) (X) _C6H4_ (CH2) 2— O— (CH2) 3 S i (OCH3) 3、
o, m, p - CH3CH2C (H) (X) _C6H4— (CH2) 2_〇_ (CH 2) 3S i (OCH3) 3、
o, m, p - XCH2— C6H4— 0 - (CH2) 3S i (OCH3) 3、
o, m, p -CH3C (H) (X) _C6H4— 0— (CH2) 3S i (OCH3) 3、
0, m, p -CH3CH2C (H) (X) 一 C6H4_0_ (CH2) 3— S i (O CH3) 3、
0, m, p— XCH2— C6H4—〇一 (CH2) 2— O— (CH2) 3_S i (〇
C H 3) 3、
0, m, p-CH3C (H) (X) -C6H4-0- (CH2) 2 - O— (CH2) 3 S i (OCH3) 3、
0, m, p -CH3CH2C (H) (X) _C6H4_〇— (CH2) 2_0— (C H2) 3 S i (OCH3) 3、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
等が挙げられる。
架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、 一般式 (9) で 示される構造を有するものが例示される。
(R17) 3 - a (Y) aS i — [OS i (R 16) 2— b (Y) J m_ CH2— C (H) (R8) —R14 - C (R11) (X) — R15— R12 (9)
(式中、 R8、 R11, R12、 R14、 R15、 R16、 R17、 a、 b、 m、 X、 Yは 上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH30) 3 S i CH2CH2C (H) (X) C6H5、
(CH3O) 2 (CH3) S i CH2CH2C (H) (X) C6H5、
(CH3O) 3 S i (CH2) 2C (H) (X) - C02R、
(CH3O) 2 (CH3) S i (CH2) 2C (H) (X) 一 C02R、
(CH3O) 3 S i (CH2) 3C (H) (X) _C02R、
(CH30) 2 (CH3) S i (CH2) 3C (H) (X) — C〇2R、
(CH3O) 3 S i (CH2) 4C (H) (X) — C〇2R、
(CH3O) 2 (CH3) S i (CH2) 4C (H) (X) _C02R、
(CH3O) 3 S i (CH2) 9C (H) (X) _C02R、
(CH3O) 2 (CH3) S i (CH2) 9C (H) (X) C〇9R、
(CH3O) 3 S i (CH2) 3C (H) (X) 一 C6H5,
(CH3O) 2 (CH3) S i (CH2) 3C (H) (X) CfiH 5
(CH3O) 3S i (CH2) 4C (H) (X) 一 C6H5.
(CH3O) 2 (CH3) S i (CH2) 4C (H) (X) CfiH
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは炭素数 1〜20の アルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基)
等が挙げられる。
ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化合物と しては特に制限はないが、 下記のようなものが例示される。
HO- (CH2) n-OC (O) C (H) (R) (X)
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または炭 素数 1〜20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜20の整数) アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化合物としては 特に制限はないが、 下記のようなものが例示される。
H2N- (CH2) n-OC (〇) C (H) (R) (X)
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または炭 素数 1〜20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜20の整数) エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化合物として は特に制限はないが、 下記のようなものが例示される。
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または炭
.〜2 0のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜2 0の整数) 本発明のォレフィン末端構造を 1分子内に 2つ以上有する重合体を得るために は、 2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化 合物が開始剤として用いられる。 具体的に例示するならば、
oA - X— CH2— OeH— vrfHg— X 丫 H3 CHj CH3 γ
,m,p- X ~ CH2-C6H4-CH2— X ΟΛΡ- X— CH2- C6H4-CH2-X
CH3 CH3
(式中、 C6H4はフエ二レン基, Xは ifi素、 奥 «、またはヨウ素)
(式中、 Rは炭素数 1〜2 0のアルキル基、 ァリール基、 またはァラルキル
基, nは 0〜2 0の整数、 Xは塩素、 臭素, またはヨウ素)
(式中、 3 [は ¾、臭素, またはヨウ素、 nはひ〜 2 0の整数)
O
X— CH2-C-0— (CH2)n O-C-CH2-X
CH3 O O CH3
X- -CH-C— 0— (CHg O— C— CH— X
CH3 O O CH3
X ~ C— C一 O—《CHa)nO— C— C—— X
CH3 CH3
0=
(式中, nは 0 ~ 2 0の整数、 Xは埴素、 臭素、 またはヨウ素)
c-
H
3
O O
II II
ο,πνο" X— CH2-C-0-CeH4— O— C— CH2— X
CH3 0
X― CH— C— 0-C
6H
4— 0— C— CH一 X
o/nfi- ― S02— CeH4-S02— X (式中、 Xは S索、 具素、 またはヨウ素) 等があげられる。
この重合において用いられる重合性ォレフイン単量体としては特に制約はなく. 各種のものを用いることができる。 また、 ここに示されている重合系はリビング 重合であるため、 重合性単量体の逐次添加によりプロック共重合体を製造するこ とも可能である。 例示するならば、 (メタ) アクリル酸、 (メタ) アクリル酸メ チル、 (メタ) アクリル酸ェチル、 (メタ) アクリル酸— n—プロピル、 (メ 夕) アクリル酸イソプロピル、 (メタ) アクリル酸一 n—プチル、 (メタ) ァク
リル酸イソプチル、 (メタ) アクリル酸一 t e r t—プチル、 (メタ) アクリル 酸— n—ペンチル、 (メタ) アクリル酸一 n—へキシル、 (メタ) アクリル酸シ クロへキシル、 (メタ) アクリル酸 _ n—ヘプチル、 (メタ) アクリル酸一 n— ォクチル、 (メタ) アクリル酸一 2—ェチルへキシル、 (メタ) アクリル酸ノニ ル、 (メタ) アクリル酸デシル、 (メタ) アクリル酸ドデシル、 (メタ) ァクリ ル酸フエニル、 (メタ) アクリル酸トルィル、 (メタ) アクリル酸ベンジル、
(メタ) アクリル酸一 2—メトキシェチル、 (メタ) アクリル酸一 3—メトキシ プチル、 (メタ) アクリル酸— 2—ヒドロキシェチル、 (メタ) アクリル酸一 2 —ヒドロキシプロピル、 (メタ) アクリル酸ステアリル、 (メタ) アクリル酸グ リシジル、 (メタ) アクリル酸 2—アミノエチル、 ァー (メタクリロイルォキシ プロピル) トリメトキシシラン、 (メタ) アクリル酸のエチレンオキサイド付加 物、 (メタ) アクリル酸トリフルォロメチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2—ト リフルォロメチルェチル、 (メタ) アクリル酸 2 _パーフルォロェチルェチル、 (メタ) ァクリル酸 2 _パーフルォロェチル— 2—パーフルォロブチルェチル、 (メタ) アクリル酸 2 _パ一フルォロェチル、 (メタ) アクリル酸パーフルォロ メチル、 (メタ) アクリル酸ジパーフルォロメチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2—パ一フルォロメチル— 2—パーフルォロェチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2 _パーフルォ口へキシルェチル、 (メタ) アクリル酸 2—パ一フルォロデシル ェチル、 (メタ) アクリル酸 2—パーフルォ口へキサデシルェチル等の (メタ) アクリル酸系モノマー;スチレン、 ビニルトルエン、 α—メチルスチレン、 クロ ルスチレン、 スチレンスルホン酸及び塩等のスチレン系モノマー;パーフルォロ エチレン、 パーフルォロプロピレン、 フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモ ノマー; ビニルトリメトキシシラン、 ビニルトリエトキシシラン等のケィ素含有 ビニル系モノマー;無水マレイン酸、 マレイン酸、 マレイン酸のモノアルキルェ ステル及びジアルキルエステル; フマル酸、 フマル酸のモノアルキルエステル及 びジアルキルエステル;マレイミド、 メチルマレイミド、 ェチルマレイミド、 プ 口ピルマレイミド、 ブチルマレイミド、 へキシルマレイミド、 ォクチルマレイミ ド、 ドデシルマレイミド、 ステアリルマレイミド、 フエニルマレイミド、 シクロ へキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー; ァクリロニトリル、 メタクリロ
二トリル等の二トリル基含有ビニル系モノマ一; アクリルアミド、 メ夕クリルァ ミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、 プロピオン酸ビニル、 ピ バリン酸ビニル、 安息香酸ビニル、 桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;ェチ レン、 プロピレンなどのアルケン類; ブタジエン、 イソプレンなどの共役ジェン 類;塩化ビニル、 塩化ビニリデン、 塩化ァリル、 ァリルアルコールなどが挙げら れ、 これらは単独で用いても良いし、 複数を共重合させても構わない。 これらの 内では、 官能基導入反応の反応性の高さやガラス転移点の低さなどから、 好まし くは、 α, /3—不飽和カルボン酸系単量体であり、 更に好ましくは、 (メタ) ァ クリル酸系単量体であり、 より好ましくは、 アクリル酸系単量体であり、 特に好 ましくは、 アクリル酸エステル系単量体であり、 特別に好ましくは、 アクリル酸 ブチルである。
本発明のカツプリング反応は、 上述のようにアクリル酸系単量体を重合する 場合が好ましいので、 他の単量体の重合中にもアクリル酸系単量体を共重合した り、 より好ましくは、 カップリング反応を起こす際にアクリル酸系単量体を添加 したりしても構わない。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。 これらは特に限定さ れないが、 例示するならば、 ベンゼン、 トルエン等の炭化水素系溶媒; ジェチル エーテル、 テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホル ム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソ プチルケトン等のケトン系溶媒; メタノール、 エタノール、 プロパノール、 イソ プロパノール、 η—ブチルアルコール、 t e r t—ブチルアルコール等のアルコ —ル系溶媒; ァセトニトリル、 プロピオ二トリル、 ベンゾニトリル等の二トリル 系溶媒;酢酸ェチル、 酢酸ブチル等のエステル系溶媒、 エチレンカーボネート、 プロピレンカーボネート等の力一ポネート系溶媒等が挙げられ、 単独又は 2種以 上を混合して用いることができる。
また、 限定はされないが、 重合は 0〜2 0 0 °Cの範囲で行うことができ、 好 ましくは 5 0〜: L 5 0 °Cである。
本発明においては、 このようなリビングラジカル重合の最中又は終了時におい て、 添加するラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化合物を添加
する。 これにより、 その 2つのアルケニル基のうちの片方が 1つの重合成長末端 と反応して、 重合末端に未反応のアルケニル基が導入される。 この未反応のアル ケニル基が他の重合成長末端と更に反応することにより、 重合体末端同士の力ッ プリングが達成される。 重合の終了時とは、 単量体の好ましくは 8 0 %以上が反 応した時点、 より好ましくは 9 0 %以上が反応した時点である。
本発明において、 添加するラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有す る化合物の添加量は、 限定はされないが、 重合成長末端量に対するラジカル重合 性の低いアルケニル基量が等量以下になるような量である。 この添加量が等量以 上である場合、 添加するラジカル重合性の低いアルケニル基を 2つ以上有する化 合物のアルケニル基のうち、 一部しか重合成長末端と反応せず、 重合体末端同士 のカップリング反応が充分に進行しないことがある。 末端にアルケニル基を有す る重合体を得ることを目的とする場合には、 等量以上の添加は適当であるが、 そ うでない場合には、 等量以上の添加は避ける方が好ましい。 上記添加量が少量の 場合には、 カップリングできない成長末端が出てくることになるが、 一部だけを カップリングさせる目的なら問題はない。 よって、 添加するラジカル重合性の低 いアルケニル基を 2つ以上有する化合物の添加量は、 重合成長末端量に対するァ ルケニル基量で、 0 . 5〜1 . 0倍が好ましく、 0 . 8〜1 . 0倍がより好まし く、 0 . 9〜1 . 0倍が更に好ましい。
本発明は、 本発明の方法により得ることのできる重合体でもある。
本発明の方法により得ることのできる重合体としては、 限定はされないが、 一般式 (4 ) ;
〔式中、 R
1は、 炭素数 1〜2 0の二価以上の飽和炭化水素基、 又は、 一般式 ( 5 ) ;
(式中、 R4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜20の二価以上の有機基を 表す。 R5は、 一価の基、 好ましくは、 水素原子又はメチル基を表し、 4つの R 5のそれぞれは、 同じでも異なっていてもよい。 )
で表される基を表す。 R2及び R3は、 同一若しくは異なって、 水素原子又はメ チル基を表す。 Xは、 ハロゲン、 ニトロキシド基、 スルフイ ド基又はコバルトポ ルフィリン錯体を表す。 〕
で表される基を分子中に有することを特徴とする重合体が挙げられる。
上記一般式 (4) 及び (5) における R1 R2、 R3、 R4及び R5は、 上記 一般式 (1) において上述したものと同等のものである。
上記 R
1の炭素数 1〜 20の二価以上の飽和炭化水素基としては特に制限され ず、 例えば、 メチレン基、 エチレン基、 プロピレン基、 ブチレン基、 ペンチレン 基等のアルキレン基;メチン基、 ェタントリイル基、 プロパントリィル基等の三 価の飽和炭化水素基等が挙げられる。 好ましくは、 以下に示すアルキレン基であ る:
(式中、 ηは、 1〜20の整数を表す。 ) 。 なかでも、 原料入手の容易さから、 ηは、 2、 4又は 6のものがより好ましい。
上記一般式 (5) において、 R4は、 酸素原子、 窒素原子又は炭素数 1〜20 の二価以上の有機基を表す。 上記炭素数 1〜20の二価以上の有機基としては特 に限定されず、 例えば、 — CH2—〇— CH2_、 — CH2— NH— CH2—、 - CH2C (O) O—、 フエ二レン基等の二価の有機基; フエ二リジン基等の三価 の有機基等が挙げられる。 R5は、 一価の基、 好ましくは、 水素原子又はメチル 基を表し、 4つの R5のそれぞれは、 同じでも異なっていてもよい。 上記一般式
(5) で表される基として、 好ましくは、 以下に示す基が挙げられる。
c H H c H2
C
o H c
HN
c H
H2 H2 H2 H2
C― C― 0一 c一 c H c
2一
(o.m.p)
上記一般式 (4 ) において、 R 2及び R 3は、 同一若しくは異なって、 水素原 子又はメチル基を表すが、 水素原子が好ましい。 Xは、 ハロゲン、 ニトロキシド 基、 スルフイ ド基又はコバルトボルフイリン錯体を表すが、 製造の容易さからハ ロゲンであることが好ましい。
上記一般式 (4 ) で R 1が三価以上の基である場合、 これと同数の重合体鎖が、 式 (4 ) で表される基から分枝する。 この分枝する重合体鎖の数は特に制限はな いが、 3以上の場合には、 ポリマー成長末端が 2以上であるとき、 網目構造を形 成して、 ゲル化する可能性がある。
上記一般式 (4 ) で表される基が、 本発明の重合体 1分子中に含まれる数は、 特に限定されない。
本発明において製造された重合体は、 ブラスティック成形材料、 プラステイツ
ク耐衝撃改良剤、 潤滑油物性改良剤、 熱可塑性エラストマ一等に利用できる。 ま た、 末端に官能基を有する重合体の場合、 その官能基をそのまま利用したり、 縮 合性のシリル基等の他の官能基に変換したりして架橋反応を起こすことにより、 硬化物にすることができる。 この具体的な用途を挙げるならば、 シ一リング材、 接着剤、 粘着材、 弾性接着剤、 塗料、 粉体塗料、 発泡体、 電気電子用ポッティン グ材、 フィルム、 ガスケット、 各種成形材料、 人工大理石等である。 発明を実施するための最良の形態
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は以下の実施例に のみ限定されるものではない。 実施例 1
3 OmLのガラス反応容器に、 アクリル酸ブチル (10. OmL、 8. 94 g、 69. 75mmo 1 ) 、 臭化第一銅 (25 Omg、 1. 74mmo 1 ) 、 ペン夕 メチルジェチレントリアミン ( 0. 364mL、 302 mg、 1. 74 mm o 1 ) 、 及び、 トルエン (lmL) を仕込み、 冷却後減圧脱気したのち窒素ガスで 置換した。 よく撹拌した後、 2—ブロモプロピオン酸 2—ヒドロキシェチル (3 44mg、 1. 74mmo 1 ) を添加し、 70°Cで加熱撹拌した。 75分後に 1, 9—デカジエン (0. 14mL、 109mg、 0. 78mmo l ) を添加し、 7 0 °Cで加熱撹拌を 7時間継続した。 混合物を活性アルミナで処理した。 生成した 重合体の GPC測定 (ポリスチレン換算) 結果は、 1, 9ーデカジエンの添加直 前で、 数平均分子量 Mn 5600、 分子量分布 MwZMnは 1. 24で、 最終生 成物は、 数平均分子量 Mn 7700、 分子量分布 MwZMnは 1. 37であった。 実施例 2
10 OmLのガラス反応容器中で窒素下、 アクリル酸ブチル (50. 0mL、 44. 7 g、 348. 9 mmo 1 ) を、 2, 5—ジブロモアジピン酸ジェチル (1. 570 g、 4. 36 mmo 1 ) を開始剤として、 臭化第一銅及びペンタメ ミンを触媒として、 70°Cで加熱撹拌し重合を行った。 1
00分後に 1, 7—ォクタジェン (0. 64mL、 480mg、 4. 36mmo 1 ) を添加し、 70°Cで加熱撹拌を 300分間継続した。 混合物を活性アルミナ で処理した。 生成した重合体の GPC測定 (ポリスチレン換算) 結果は、 1, 7 一ォク夕ジェンの添加直前で、 数平均分子量 Mn= l 0400、 重量平均分子量 Mw= 13 100であったのが、 最終的に、 数平均分子量 Mn= 13600、 重 量平均分子量 Mw= 19 100となりカツプリング反応が起こったことが確認で きた。 産業上の利用可能性
本発明の方法によれば、 本発明で示されたアルケニル基を分子内に 2つ以上有 する化合物を、 重合成長末端量に対するアルケニル基量が等量以下になるように リビングラジカル重合系に添加することにより、 様々なラジカル重合性ォレフィ ン単量体から、 カップリングした重合体を容易に製造することができる。 本発明 の方法により得ることのできるラジカル重合性ォレフィン単量体の重合体は、 重 合体同士が好ましくは炭素一炭素結合でカツプリングしているため安定であり、 末端基も開始剤により容易に制御されているため、 硬化性組成物等への利用に有 用である。