明細書 制動力制御装置 技術分野
本発明は制動力制御装置に係り、 特に車両において緊急ブレーキ 操作が行われた際に、 通常時に比して大きな制動力を発生させる制 動力制御装置に関する。 背景技術
従来より、 例えば特開平 4 — 1 2 1 2 6 0号に開示される如く、 ブレーキペダルが所定速度を超える速度で踏み込まれた場合に、 ブ レーキブースタの倍力比を高める制動力制御装置が知られている。 車両の運転者は、 制動力を速やかに立ち上げたい場合にブレーキ ペダルを高速で操作 (以下、 緊急ブレーキ操作と称す) する。 よつ て、 上記従来の制動力制御装置では、 ブレーキペダルの操作速度が 所定値以上の時、 緊急ブレーキ操作と判断し、 リザーバに蓄えられ た作動油を増圧してホイルシリ ンダに供給することにより、 通常時 よりも高い制動圧を得る構成とされていた。 以下、 この制御をブ レーキアシスト制御 (B A制御と略称する) という。
上記従来の制動力制御装置によれば、 緊急ブレーキ操作が行われ た場合に通常時に比して大きな倍力比を発生することができ、 制動 力を速やかに立ち上げる上で有利な状態を形成することができる。 従って、 運転者によって緊急ブレーキ操作が行われた際、 運転者の 要求に応える制動力を発生させることが可能となる。
運転者が緊急ブレーキ操作を行った際、 通常時よりも高い制動圧 を発生させる構成とするには、 制動力制御装置に作動油を増圧する 手段を設ける必要がある。 この作動油を増圧する手段としては種々 考えられるが、 その一つとしてポンプを用いることが考えられる。
て制動力の立ち上がり傾向を変化させることが適切である。
従来の制動力制御装置は、 上述の如く、 緊急ブレーキ操作が行わ れた場合に、 ブレーキブース夕の倍力比を常に同様に変化させるこ とにより通常時に比して大きな制動力を発生させる。 このため、 上 記従来の制動力制御装置によっては、 緊急ブレーキ操作が実行され た際に、 運転者の意図が反映された制動力を発生させることができ なかった。 発明の概要
本発明は、 運転者によって緊急ブレーキ操作が行われた際に、 運 転者の意図が反映された制動力を発生させることのできる制動力制 御装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、 運転者によつて緊急ブレーキ操作が行われた際に、 通常時に比して大きな増大された制動油圧を発生させる制動力制御 装置において、
ブレーキ操作速度を検出する操作速度検出手段と、
緊急ブレーキ操作の実行を検出する緊急ブレーキ操作検出手段と、 緊急ブレーキ操作が検出された際に、 緊急ブレーキ操作の過程で 生じたブレーキ操作速度に応じたアシスト圧を加えることにより増 大された制動油圧を発生させる制動油圧増大手段と、
を備える制動力制御装置により達成される。
本発明において、 緊急ブレーキ操作の過程でブレーキ操作速度が 比較的低速であった場合は、 運転者が、 比較的緩やかに制動力を立 ち上げることを意図していると判断できる。 一方、 緊急ブレーキ操 作の過程でブレーキ操作速度が比較的高速であった場合は、 運転者 が速やかに制動力を立ち上げることを意図していると判断できる。 制動油圧増大手段は、 緊急ブレーキ操作が実行された際に制動油圧 に加えるアシスト圧を、 緊急ブレーキ操作中に検出されたブレーキ 操作速度に応じて、 ブレーキ操作速度が高速である場合には大きく -
また、 ブレーキ操作速度が低速である場合には小さく決定する。 制 動油圧が上記の如く制御されると、 制動力は、 緊急ブレーキ操作が 実行された後、 速やかに運転者の意図する値に立ち上がる。
本発明による制動力制御装置において、
前記制動油圧増大手段が、 ブレーキ操作の有無に関わらず所定の 変化率で制動油圧を増大させるアシスト圧発生手段と、
緊急ブレーキ操作が検出された際に、 緊急ブレーキ操作の過程で 生じたブレーキ操作速度に応じた増圧時間だけ、 前記アシスト圧発 生手段により制動油圧を増大させるアシスト時間制御手段と、
を備えることとしてもよい。
本発明において、 緊急ブレーキ操作が検出された際に制動油圧に 加えられるアシス ト圧は、 第 1 アシスト圧発生手段によって生成さ れる。 第 1 アシス ト圧発生手段による増圧時間は、 緊急ブレーキ操 作の過程で生じたブレーキ操作速度に基づいて、 そのブレーキ操作 速度が高速である場合には長く、 また、 そのブレーキ操作速度が低 速である場合には短く設定される。 この場合、 制動力が、 緊急ブ レーキ操作が実行された後に速やかに運転者の要求する値に立ち上 がる。
また、 前記第 1 アシス ト圧発生手段が、 アシス ト圧の液圧源とし て所定の液圧を蓄えるアキュムレータを備えると共に、
前記第 1 アシスト圧発生手段によって制動油圧の増圧が開始され る際の制動油圧に基づいて、 前記第 1アシスト圧発生手段による増 圧時間を補正する増圧時間補正手段を備えることとしてもよい。 本発明において、 第 1 アシス ト圧発生手段による増圧時間は、 制 動油圧の増圧が開始される際の制動油圧に基づいて、 その制動油圧 が高圧であるほど長く、 また、 その制動油圧が低圧であるほど短く 補正される。 第 1 アシス ト圧発生手段は、 アキュムレータを液圧源 として制動油圧の増圧を図る。 アキュムレータを液圧源として制動 油圧を昇圧する場合、 アキュムレータに蓄えられている液圧と制動
油圧との差圧が大きいほど、 制動油圧は急な勾配で増圧される。 第
1アシスト圧発生手段による増圧時間が上記の如く補正されると、 増圧が開始される際の制動油圧の高低に関わらず、 常にほぼ一定の アシス ト圧が確保される。 この場合、 制動力が、 緊急ブレーキ操作 が実行された後に、 速やかに運転者の意図する値に立ち上がる。
また、 本発明による」 動力制御装置において、
前記制動油圧増大手段が、 ブレーキ操作の有無に関わらず制動油 圧を増大させる第 2アシスト圧発生手段と、
緊急ブレーキ操作が検出された際に、 緊急ブレーキ操作の過程で 生じたブレーキ操作速度に応じた増圧勾配で、 所定の増圧時間だけ 前記第 2アシスト圧発生手段により制動油圧を増大させるアシスト 勾配制御手段と、
を備えることとしてもよい。
本発明において、 緊急ブレーキ操作が検出された際に制動油圧に 加えられるアシスト圧は、 第 2アシスト圧発生手段によって生成さ れる。 第 2アシス ト圧発生手段による増圧勾配は、 緊急ブレーキ操 作の過程で生じたブレーキ操作速度に基づいて、 そのブレーキ操作 速度が高速である場合には急に、 また、 そのブレーキ操作速度が低 速である場合には緩やかに設定される。 この場合、 制動力が、 緊急 ブレーキ操作が実行された後に速やかに運転者の意図する値に立ち 上がる。
また、 本発明による制動力制御装置において、 制動油圧増大手段 は、
ブレーキ操作と無関係に制動油圧を増圧するアシスト圧増圧状態 と、 ブレーキ操作と無関係に制動油圧を保持するアシス ト圧保持状 態と、 ブレーキ操作と無関係に制動油圧を減圧するアシスト圧減圧 状態と、 を実現する制動油圧制御機構と、
緊急ブレーキ操作が検出された際に、 前記制動油圧制御機構を前 記アシスト圧増圧状態として、 通常時に比して大きな制動油圧を発
生させる開始増圧手段と、
前記開始増圧手段によって制動油圧が増圧された後に、 ブレーキ 操作の状態に応じて前記アシスト圧増圧状態、 前記アシスト圧保持 状態、 および、 前記アシス ト圧減圧状態を切り換えて制動油圧を調 整する制動油圧調整手段と、
を備えることとしてもよい。
本発明において、 運転者によって緊急ブレーキ操作が実行される と、 制動油圧制御機構がアシスト圧増圧状態とされることにより、 通常時に比して高圧の制動油圧が発生する。 制動油圧が通常時に比 して高圧とされた後、 運転者によって更にブレーキ操作が行われる と、 その操作状態に応じて制動油圧制御機構の状態が適宜切り換え られる。 その結果、 制動油圧は、 通常時に比して大きな圧力とされ たまま、 ブレーキ操作に応じて増減される。
また、 本発明による制動力制御装置において、
前記制動油圧制御機構の状態が変化した際に開始時のブレーキ操 作の初期程度を検出する制動開始時操作程度検出手段を備えると共 に、
前記制動油圧調整手段が、 現実のブレーキ操作程度と前記初期程 度との偏差に基づいて前記制動油圧制御機構で実現すべき状態を選 択する第 1の制御状態選択手段を備えることとしてもよい。
本発明において、 制動油圧制御機構の状態は、 開始増圧手段によ る制動油圧の増圧が終了した後、 運転者によるブレーキ操作が制動 油圧に反映されるように適宜切り換えられる。 制動油圧制御機構の 状態が切り換えられると、 その時点のブレーキ操作程度が初期程度 として検出される。 その後、 更にブレーキ操作が行われると、 現実 のブレーキ操作程度と初期程度との間に、 制動油圧制御機構の状態 が切り換えられた後に実行されたブレーキ操作程度に等しい偏差が 生ずる。 第 1の制御状態選択手段は、 かかる偏差に基づいて、 制動 油圧制御機構の状態が切り換えられた後に更に実行されたブレーキ
操作の状態を検出し、 そのブレーキ操作の状態が制動油圧に反映さ れるように、 制動油圧制御機構で実現すべき状態を選択する。
また、 前記制動油圧調整手段が、 ブレーキ操作速度に基づいて前 記制動油圧制御機構で実現すべき状態を選択する第 2の制御状態選 択手段を備えることとしてもよい。
本発明において、 制動油圧制御機構の状態は、 開始増圧手段によ る制動油圧の増圧が終了した後、 運転者によるブレーキ操作が制動 油圧に反映されるように適宜切り換えられる。 運転者が制動油圧の 増加を意図する場合は正のブレーキ操作速度が発生する。 また、 運 転者が制動油圧の減少を意図する場合は負のブレーキ操作速度が発 生する。 更に、 運転者が制動油圧の保持を意図する場合はブレーキ 操作速度が " 0 " 近傍の値となる。 第 2の制御状態選択手段は、 ブ レーキ操作速度に基づいて、 運転者の意図が制動油圧に反映される ように、 制動油圧制御機構で実現すべき状態を選択する。
また、 本発明による制動力制御装置において、
前記制動油圧制御機構の状態が変化した際に開始時のブレーキ操 作の初期程度を検出する制動開始時操作程度検出手段を備えると共 に、
前記制動油圧調整手段が、 現実のブレーキ操作程度と前記初期程 度との偏差およびブレーキ操作速度に基づいて前記制動油圧制御機 構で実現すべき状態を選択する第 3の制御状態選択手段と、 前記偏差の絶対値が所定値以上であり、 かつ、 前記ブレーキ操作 速度の絶対値が所定速度以上である場合に、 その他の場合に比して 制動油圧の増減圧勾配を急峻とする増減圧勾配変更手段と、 を備え ることしてもよい。
本発明において、 制動油圧制御機構の状態は、 開始増圧手段によ る制動油圧の増圧が終了した後、 運転者によるブレーキ操作が制動 油圧に反映されるように適宜切り換えられる。 現実のブレーキ操作 程度と初期動作程度との偏差、 および、 ブレーキ操作速度には、 共
に運転者の意図が反映されている。 第 3の制御状態選択手段は、 上 記の偏差およびブレーキ操作速度に基づいて、 運転者の意図が制動 油圧に反映されるように制動油圧制御機構で実現すべき状態を選択 する。
運転者が急な勾配で制動油圧を増減させることを意図する場合は、 ブレ一キ操作に伴つて、 現実のブレーキ操作程度と初期程度との間 に大きな偏差が発生すると共に、 高速のブレーキ操作速度が発生す る。 増減圧勾配変更手段は、 上記の偏差およびブレーキ操作速度か ら、 運転者が急な勾配で制動油圧を増減させることを意図している と判断できる場合には、 他の場合に比して急な勾配で制動油圧が増 減される状態を実現する。 制動油圧の増減勾配が上記の如く設定さ れると、 運転者の意図が正確に制動油圧に反映される。
尚、 本発明において、 増減圧勾配変更手段が制動油圧の増減勾配 を変更する手法には、 ①制動油圧制御機構でアシスト圧増圧状態ま たはアシス ト圧減圧状態を実現する期間と、 アシスト圧保持状態を 実現する期間とのデューティ比を変更する手法、 および、 ②制動油 圧制御機構でアシスト圧増圧状態およびアシスト圧減圧状態を実現 した場合に得られる制動油圧の増減圧勾配を変化させる手法の双方 が含まれる。
また、 本発明による制動力制御装置において、
前記制動油圧調整手段が、 前記開始増圧手段による制動油圧の増 圧が終了した後に前記制動油圧制御機構で実現すべき状態を、 前記 開始増圧手段による制動油圧の増圧が終了した時点のブレーキ操作 速度に基づいて選択する第 4の制御状態選択手段を備えることとし てもよい。
本発明において、 開始増圧手段による制動油圧が終了された時点 で正のブレーキ操作速度が発生している場合は、 その時点で、 運転 者が更に制動油圧を増加させることを意図していると判断できる。 また、 開始増圧手段による制動油圧が終了された時点で負のブレ一
キ操作速度が発生している場合は、 その時点で、 運転者が制動油圧 を減少させることを意図していると判断できる。 更に、 開始増圧手 段による制動油圧が終了した時点で " 0 " 近傍のブレーキ操作速度 が生じている場合は、 その時点で、 運転者が制動油圧を保持するこ とを意図していると判断できる。 第 4の制御状態選択手段は、 これ らの意図が反映されるように、 開始増圧手段による制動油圧が終了 した時点におけるブレーキ操作速度に基づいて、 制動油圧制御機構 で実現すべき状態を選択する。 図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置の通常ブ レーキ状態を示すシステム構成図である。
図 2は、 図 1 に示す制動力制御装置に用いられるハイ ドロブース 夕の構成図である。
図 3は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置の A B S 作動状態を示す図である。
図 4は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置において B A制御中または B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧増圧 状態を示す図である。
図 5は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置において B A制御中または B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧保持 状態を示す図である。
図 6は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置において B A制御中または B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧減圧 状態を示す図である。
図 7 ( A ) は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置に おいて緊急ブレーキ操作が行われた場合にマスタシリ ンダ圧 P M / C の変化速度 Δ Ρ Μ/C に生ずる変化を表す図である。
図 7 ( B ) は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置に
おいて緊急ブレーキ操作が行われた場合にマスタシリ ンダ圧 P M/ C およびホイルシリ ンダ圧 P W / C に生ずる変化を表す図である。
図 8は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置において 第 1スタンバイ状態の成立性を判断すべく実行される制御ルーチン の一例のフローチャー トである。
図 9は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置において 第 2ス夕ンバイ状態の成立性を判断すべく実行される制御ルーチン の一例のフローチヤ一トである。
図 1 0は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御の開始条件の成立性を判断すると共に開始増圧モードの 増圧時間を演算すベく実行される制御ルーチンの一例のフローチ ヤートである。
図 1 1 は、 図 1 0に示す制御ルーチン中で参照される基準増圧時 間 T S T A。のマップの一例である。
図 1 2は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロー チャー ト (その 1 ) である。
図 1 3は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロ一 チャー ト (その 2 ) である。
図 1 4は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロー チャー ト (その 3 ) である。
図 1 5は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロー チャー ト (その 4 ) である。
図 1 6は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロー チャー ト (その 5 ) である。
図 1 7は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロー チャー ト (その 6 ) である。
図 1 8は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御を実現すベく実行される制御ルーチンの一例のフロ一 チャート (その 7 ) である。
図 1 9は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合に開始増圧モードに次いで実行される 制御モードを示すテーブルである。
図 2 0は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合にアシスト圧増圧モードに次いで実行 される制御モードを示すテーブルである。
図 2 1 は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合にアシスト圧減圧モードに次いで実行 される制御モー ドを示すテーブルである。
図 2 2は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合にアシスト圧保持モードに次いで実行 される制御モードを示すテ一ブルである。
図 2 3は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合にアシスト圧緩増モードに次いで実行 される制御モードを示すテーブルである。
図 2 4は、 本発明の第 1実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御が実行される場合にアシスト圧緩減モードに次いで実行 される制御モードを示すテーブルである。
図 2 5は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置の通常 ブレーキ状態および A B S作動状態を示すシステム構成図である。 図 2 6は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御中に実現されるアシスト圧増圧状態を示す図である。 図 2 7は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置におい
て B A制御中に実現されるアシス ト圧保持状態を示す図である。 図 2 8は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御中または B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧減 圧状態を示す図である。
図 2 9は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置におい て B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧増圧状態を示す図で ある。
図 3 0は、 本発明の第 2実施例に対応する制動力制御装置におい て B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧保持状態を示す図で ある。
図 3 1 は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置の通常 ブレーキ状態および A B S作動状態を示すシステム構成図である。 図 3 2は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御中に実現されるアシスト圧増圧状態を示す図である。 図 3 3は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御中に実現されるアシス ト圧保持状態を示す図である。 図 3 4は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置におい て B A制御中または B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧減 圧状態を示す図である。
図 3 5は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置におい て B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧増圧状態を示す図で ある。
図 3 6は、 本発明の第 3実施例に対応する制動力制御装置におい て B A + A B S制御中に実現されるアシスト圧保持状態を示す図で ある。
発明の実施の最良の形態
図 1 は、 本発明の一実施例に対応するハイ ドロブースタ式制動力 制御装置 (以下、 単に制動力制御装置と称す) のシステム構成図を
示す。 本実施例の制動力制御装置は、 電子制御ュニッ ト 1 0 (以下、 E C U 1 0 と称す) により制御されている。
制動力制御装置は、 ブレーキペダル 1 2を備えている。 ブレーキ ペダル 1 2の近傍には、 ブレーキスィッチ 1 4が配設されている。 ブレーキスィ ッチ 1 4は、 ブレーキペダル 1 2が踏み込まれること によりォン信号を出力する。 ブレーキスィッチ 1 4の出力信号は E C U 1 0に供給されている。 E C U 1 0は、 ブレーキスィッチ 1 4 の出力信号に基づいてブレーキペダル 1 2が踏み込まれているか否 かを判別する。
ブレーキペダル 1 2は、 マスタシリ ンダ 1 6に連結されている。 マス夕シリ ンダ 1 6の上部にはリザ一バタンク 1 8が配設されてい る。 リザ一バタンク 1 8には、 ブレーキフルー ドをリザーバタンク 1 8に還流させるためのリターン通路 2 0が連通している。 リザ一 バタンク 1 8には、 また、 供給通路 2 2が連通している。 供給通路 2 2はポンプ 2 4の吸入側に連通している。 ポンプ 2 4の吐出側に は、 アキュムレータ通路 2 6が連通している。 アキユレ一夕通路 2 6 と供給通路 2 2 との間には、 アキュムレータ通路 2 6に過剰な圧 力が生じた場合に開弁する定圧開放弁 2 7が配設されている。
アキュムレータ通路 2 6には、 ポンプ 2 4から吐出される油圧を 蓄えるためのアキュムレータ 2 8が連通している。 アキュムレータ 通路 2 6には、 また、 上限側圧カスイ ッチ 3 0および下限側圧カス イ ッチ 3 2が接続されている。 上限側圧カスィツチ 3 0は、 アキュ ムレ一夕通路 2 6の圧力 (以下、 アキュムレータ圧 P A C C と称す) が所定の上限値を超える場合にオン出力を発生する。 一方、 下限側 圧力スィッチ 3 2は、 アキュムレータ圧 P A C C が所定の下限値を超 える場合にオン出力を発生する。
ポンプ 2 4は、 下限側圧カスィツチ 3 2からオン出力が発せられ た後、 上限側圧カスィツチ 3 0によってオン出力が発せられるまで、 すなわち、 アキュムレータ圧 P A C C が下限値を下回った後、 上限値
に到達するまでオン状態とされる。 このため、 アキュムレータ圧 P は常に上限値と下限値との間に維持される。
マスタシリ ンダ 1 6には、 レギユレ一夕 3 4がー体に組み込まれ ている。 レギユレ一夕 3 4には、 アキュムレータ通路 2 6が連通し ている。 以下、 マス夕シリ ンダ 1 6 とレギユレ一夕 3 4 とを総称し てハイ ドロブースタ 3 6 と称す。 図 2は、 ハイ ドロブース夕 3 6 の断面図を示す。 ハイ ドロブースタ 3 6は、 ハウジング 3 8を備え ている。 ハウジング 3 8の内部には第 1 ピス トン 4 0が配設されて いる。 第 1 ピス ト ン 4 0は、 大径部 4 2および小径部 4 4を備えて いる。 ハウジング 3 8の内部には、 第 1 ピス トン 4 0のブレーキぺ ダル 1 2側にアシス ト油圧室 4 6が形成されていると共に、 小径部 4 4の周囲に大気圧室 4 8が形成されている。 大気圧室 4 8は、 リ ザ一バタンク 1 8 と常時連通している。
ハウジング 3 8の内部には、 第 2 ピス トン 5 0が配設されている。 第 2 ピス トン 5 0は、 大径部 5 2 とスプール部 5 4 とを備えている。 ハウジング 3 8の内部には、 第 1 ピス トン 4 0 と第 2 ピス トン 5 0 との間に第 1油圧室 5 6が形成されていると共に、 スプール部 5 4 を取り巻く ように第 2油圧室 5 8が形成されている。 第 1油圧室 5 6には、 第 1 ピス ト ン 4 0および第 2 ピス ト ン 5 0を離間方向に付 勢するスプリ ング 6 0が配設されている。 第 2油圧室 5 8は、 液圧 通路 6 2を介してアシス ト油圧室 4 6 と連通している。
ハウジング 3 8の内部には、 また、 一端がアキュムレータ通路 2 6に連通し、 かつ、 他端がスプール部 5 4の外周面に開口する高圧 通路 6 4が形成されている。 スプール部 5 4は、 図 1 に於ける左方 向に変位することにより高圧通路 6 4 と第 2油圧室 5 8 とを導通状 態とし、 図 1 に於ける右方向に変位することにより高圧通路 6 4 と 第 2油圧室 5 8 とを遮断状態とする。
ハウジング 3 8の内部には、 弁機構 6 6が配設されている。 弁機 構 6 6は、 弁座 6 8、 弁体 7 0、 および、 スプリ ング 7 2を備えて
いる。 弁座 6 8の周囲には、 リザーバタンク 1 8に連通する大気圧 室 7 4が形成されている。 また、 弁座 6 8の端面には、 第 2油圧室 5 8に連通する調圧通路 7 6が開口している。 弁座 6 8の内部には、 大気圧室 7 4 と調圧通路 7 6 とを連通する油路が形成されている。 弁体 7 0は、 第 2 ピス トン 5 0が図 1 に於ける右側変位端、 すなわ ち、 原位置に位置する場合にその油路を導通状態とし、 かつ、 第 2 ピストン 5 0が原位置から図 1 に於ける左方向へ変位している場合 にその油路を遮断状態とする。
ハウジング 3 8の内部には、 弁機構 6 6の端面から僅かに離間し た位置にリアクションディスク 7 8が配設されている。 リアクショ ンディスク 7 8は、 ハウジング 3 8の内部に、 調圧通路 7 6に連通 する反力室 8 0を隔成している。 リアクションディスク 7 8は弾性 を有する部材で構成されており、 反力室 8 0に高圧の油圧が導かれ ると、 弾性変形することにより弁機構 6 6 と当接する。
ブレーキペダル 1 2にブレーキ踏力 Fが加えられていない場合は、 第 1 ピス トン 4 0および第 2 ピストン 5 0が共に原位置、 すなわち、 図 2に於ける右側変位端に保持される。 この場合、 弁機構 6 6を介 して調圧通路 7 6 とリザ一バタンク 1 8 とが導通状態とされるため、 第 2油圧室 5 8が大気圧に調圧される。 第 2油圧室 5 8が大気圧に 調圧されると、 液圧通路 6 2を介して第 2油圧室に連通するアシス ト油圧室 4 6、 および、 第 1 ピストン 4 0 と第 2 ピストン 5 0 との 間に形成される第 1油圧室 5 6は同様に大気圧に調圧される。
ブレーキペダル 1 2にブレーキ踏力 Fが加えられると、 第 1 ビス トン 4 0および第 2 ピストン 5 0は、 それらの原位置から図 2に於 ける左方向へ変位する。 第 2 ピストン 5 0に左向きの変位が生ずる と、 先ず弁機構 6 6が閉弁状態となり、 調圧通路 7 6 とリザーバタ ンク 1 8 とが遮断状態とされる。 第 2 ピス トン 5 0が更に左向きに 変位すると、 スプール部 5 4を介して高圧通路 6 4 と第 2油圧室 5 8 とが導通状態とされる。
高圧通路 6 4 と第 2油圧室 5 8 とが導通状態となると、 アキュム レー夕圧 P ACC が第 2油圧室 5 8に導かれることにより第 2油圧室 5 8の内圧 (以下、 この圧力をレギユレ一夕圧 P REと称す) が昇圧 する。 レギユレ一夕圧 P REはアシス ト油圧室 4 6に導かれる。 この ため、 レギユレ一夕圧 P REが昇圧すると、 第 1 ピストン 4 0には、 ブレーキ踏力 Fに加えてそのレギュレータ圧 P REに応じたアシスト 力 F aが加えられる。
アシスト油圧室 4 6に導かれたレギュレー夕圧 P REが第 1 ビスト ン 4 0に作用する面積を S 1 とすると、 アシス ト力 F aは次式の如 く表すことができる。
F a = S 1 P RE · ■ ■ ( 1 ) この場合、 第 1油圧室 5 6には、 ブレーキ踏力 Fとレギユレ一夕 圧 P REとに応じた油圧 (以下、 この圧力をマスタシリ ンダ圧 P M/C と称す) が発生する。 第 1 ピストン 4 0の小径部 4 4の断面積を S 2 とすると、 マスタシリ ンダ圧 P M/C は、 ブレーキ踏力 F、 および、 レギュレー夕圧 P REを用いて次式の如く表すことができる。
P M/C = ( F + S! X P RE) /S 2 · · · ( 2 ) この際、 第 1油圧室 5 6内のブレーキフルードが第 2 ピストン 5 8を押圧する力 F M/C は、 第 2 ピス トン 5 0の大径部 5 2の面積を S 2 とすると、 次式の如く表すことができる。
M/C ― M/C X S 2
= F + S i X P RE · · · ( 3 ) また、 第 2油圧室 5 8にレギユレ一夕圧 P REが発生した場合に、 第 2油圧室 5 8内のブレーキフル一ドが第 2 ピス トン 5 8を押圧す る力 F REは、 第 2油圧室 5 8内のレギュレー夕圧 P REが第 2 ビスト ン 5 0に作用する面積を S 3 とすると、 次式の如く表すことができ る。
ト = RE S 3 · , · 、4ノ 第 2油圧室 5 8に発生するレギユレ一夕圧 P REは、 反力室 8 0に
も導かれる。 第 2 ピス ト ン 5 0カ^ 弁機構 6 6 とリ アクショ ンディ スク 7 8 とが当接するまで図 2に於ける右向きに変位すると、 第 2 ピストン 5 0には、 リアクションディスク 7 8を介してレギユレ一 夕圧 PREに応じた反力 F rが伝達される。 反力 F rは、 所定値 Kを 用いて次式の如く表すことができる。
F r = K X P RE ■ · · ( 5 ) ブレーキペダル 1 2にブレーキ踏力 Fが加えられた後、 上記 ( 3 ) 〜 ( 5 ) 式に示す FM/C 、 FRE、 および、 F rに次式の関係が 成立する間は第 2 ピス ト ン 5 0が原位置から図 2に於ける左方向に 変位する。
この場合、 第 2油圧室 5 8が高圧通路 6 4 と導通状態に維持され るため、 レギユレ一夕圧 PREは徐々に上昇する。
ブレーキペダル 1 2にブレーキ踏力 Fが加えられた後、 上記 ( 3 ) 〜 ( 5 ) 式に示す FM/C 、 FRE、 および、 F rに次式の関係が 成立する状態が形成されると、 第 2 ピストン 5 0は原位置に向けて 押し戻される。
第 2 ピス ト ン 5 0が原位置に向けて押し戻されると、 第 2油圧室 5 8が高圧通路 6 4から遮断されるため、 レギユレ一夕圧 PREの昇 圧が停止される。 このため、 ハイ ドロブ一ス夕 3 6によれば、 ブ レーキペダル 1 2にブレーキ踏力が加えられた後、 次式の関係が満 たされるようにレギュレー夕圧 P REが調圧される。
上記 ( 8 ) 式の関係は、 上記 ( 3 ) 〜 ( 5 ) 式の関係を用いて次 式の如く書き換えることができる。
P RE= F/ (S S + K - S! ) · · · ( 9 ) 本実施例において、 ハイ ドロブースタ 3 6は、 上記 ( 9 ) 式中 " 1 / ( S 3 + K - S 1 ) " が所定の倍力比となるように、 かつ、
レギユレ一夕圧 P REとマスタシリ ンダ圧 P M/C とがほぼ等圧となる ように設計されている。 このため、 ハイ ドロブースタ 3 6によれば、 ブレーキペダル 1 2にブレーキ踏力 Fが加えられた場合に、 第 1油 圧室 5 6および第 2油圧室 5 8に、 ブレーキ踏力 Fに対して所定の 倍力比を有する液圧 (マスタシリ ンダ圧 PM/C およびレギュレー夕 圧 P RE) を発生させることができる。
尚、 以下の記載においては、 ハイ ド口ブースタ 3 6によって生成 される液圧、 すなわち、 第 1油圧室 5 6で生成されるマスタシリ ン ダ圧 P M/C 、 および、 第 2油圧室 5 8で生成されるレギユレ一夕圧 P REを総称して、 マスタシリ ンダ圧 P M/C と称す。
図 1 に示す如く、 ハイ ド口ブースタ 3 6の第 1油圧室 5 6、 およ び、 第 2油圧室 5 8には、 それぞれ第 1液圧通路 8 2、 および、 第 2液圧通路 8 4が連通している。 第 1液圧通路 8 2には、 第 1ァシ ス ト ソ レノイ ド 8 6 (以下、 S A— , 8 6 と称す) および第 2アシス トソレノイ ド 8 8 (以下、 S A— 2 8 8 と称す) が連通している。 一 方、 第 2液圧通路 8 4 には、 第 3アシス ト ソ レノイ ド 9 0 (以下、 S A-3 9 0 と称す) が連通している。
S A— ) 8 6および S A— 2 8 8には、 また、 制御圧通路 9 2が連通 している。 制御圧通路 9 2は、 レギュレー夕切り換えソレノイ ド 9 4 (以下、 S T R 9 4 と称す) を介してアキュムレータ通路 2 6に 連通している。 S T R 9 4は、 オフ状態とされることでアキュ厶 レー夕通路 2 6 と制御圧通路 9 2とを遮断状態とし、 かつ、 オン状 態とされることでそれらを導通状態とする 2位置の電磁弁である。
S A-i 8 6には、 右前輪 F Rに対応して設けられた液圧通路 9 6 が連通している。 同様に、 S A— 2 8 8には、 左前輪 F Lに対応して 設けられた液圧通路 9 8が連通している。 S 8 6は、 オフ状態 とされることで液圧通路 9 6を第 1液圧通路 8 2に導通させる第 1 の状態を実現し、 かつ、 オン状態とされることで液圧通路 9 6を制 御圧通路 9 2に導通させる第 2の状態を実現する 2位置の電磁弁で
ある。 また、 S A - 28 8は、 オフ状態とされることで液圧通路 9 8 を第 1液圧通路 8 2に導通させる第 1 の状態を実現し、 かつ、 ォン 状態とされることで液圧通路 9 8を制御圧通路 9 2に導通させる第 2の状態を実現する 2位置の電磁弁である。
S A-39 0には、 左右後輪 R L, RRに対応して設けられた液圧 通路 1 0 0が連通している。 S A- 39 0は、 オフ状態とされること で第 2液圧通路 8 4 と液圧通路 1 0 0 とを導通状態とし、 かつ、 ォ ン状態とされることでそれらを遮断状態とする 2位置の電磁弁であ る。 第 2液圧通路 8 4 と液圧通路 1 0 0 との間には、 第 2液圧通路 8 4側から液圧通路 1 0 0側へ向かうフルードの流れのみを許容す る逆止弁 1 0 2が配設されている。
右前輪 F Rに対応する液圧通路 9 6には、 右前輪保持ソレノイ ド 1 0 4 (以下、 S FRH 1 0 4 と称す) が連通している。 同様に、 左前輪 F Lに対応する液圧通路 9 6には左前輪保持ソ レノイ ド 1 0 6 (以下、 S F L H 1 0 6 と称す) カ^ 左右後輪 R L, R Rに対応 する液圧通路 1 0 0には右後輪保持ソレノィ ド 1 0 8 (以下、 S R RH 1 0 8 と称す) および左後輪保持ソレノイ ド 1 1 0 (以下、 S R LH 1 1 0 と称す) が、 それぞれ連通している。 以下、 これらの ソレノィ ドを総称する場合は 「保持ソレノィ ド S * * H」 と称す。
S FRH 1 0 4には、 右前輪減圧ソ レノイ ド 1 1 2 (以下、 S F RR 1 1 2 と称す) が連通している。 同様に、 S F LH 1 0 6、 S RRH 1 0 8および S R LH 1 1 0には、 それぞれ左前輪減圧ソレ ノイ ド 1 1 4 (以下、 S F LR 1 1 4 と称す) 、 右後輪減圧ソ レノ イ ド 1 1 6 (以下、 S RRR 1 1 6 と称す) および左後輪減圧ソ レ ノイ ド 1 1 8 (以下、 S R L R 1 1 8 と称す) が、 それぞれ連通し ている。 以下、 これらのソレノイ ドを総称する場合には 「減圧ソレ ノィ ド S * * R」 と称す。
S F R H 1 0 4には、 また、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ 1 2 0 が連通している。 同様に、 S F LH 1 0 6には左前輪 F Lのホイル
シリ ンダ 1 2 2力、 S R R H 1 0 8には右後輪 R Rのホイルシリ ン ダ 1 2 4が、 また、 S R L H 1 1 0には左後輪 R Lのホイルシリ ン ダ 1 2 6がそれぞれ連通している。
更に、 液圧通路 9 6 とホイルシリ ンダ 1 2 0 との間には、 S F R H I 0 4をバイパスしてホイルシリ ンダ 1 2 0側から液圧通路 9 6 へ向かうフルー ドの流れを許容する逆止弁 1 2 8が配設されている。 同様に、 液圧通路 9 8 とホイルシリ ンダ 1 2 2との間、 液圧通路 1 0 0 とホイルシリ ンダ 1 2 4 との間、 および、 液圧通路 1 0 0 とホ ィルシリ ンダ 1 2 6 との間には、 それぞれ S F L H 1 0 6、 S R R H 1 0 8および S R L H 1 1 0をバイパスするフル一 ドの流れを許 容する逆止弁 1 3 0, 1 3 2, 1 3 4が配設されている。
S F RH 1 0 4は、 オフ状態とされることにより液圧通路 9 6 と ホイルシリ ンダ 1 2 0 とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とされる ことによりそれらを遮断状態とする 2位置の電磁弁である。 同様に、 S F LH 1 0 6、 S RRH 1 0 8および S R LH 1 1 0は、 それぞ れォン状態とされることにより液圧通路 9 8 とホイルシンダ 1 2 2 とを結ぶ経路、 液圧通路 1 0 0 とホイルシンダ 1 2 4 とを結ぶ経路、 および、 液圧通路 1 0 0 とホイルシンダ 1 2 6 とを結ぶ経路を遮断 状態とする 2位置の電磁弁である。
S F RR 1 1 2、 S F LR 1 1 4、 S RRR 1 1 6および S R L R 1 1 8にはリターン通路 2 0が連通している。 S F RR 1 1 2は、 オフ状態とされることによりホイルシリ ンダ 1 2 0 とリターン通路 2 0 とを遮断状態とし、 かつ、 オン状態とされることによりホイル シリ ンダ 1 2 0 とリターン通路 2 0 とを導通状態とする 2位置の電 磁弁である。 同様に、 S F LR 1 1 4、 S RRR 1 1 6および S R L R 1 1 8は、 それぞれォン状態とされることによりホイルシリ ン ダ 1 2 2とリタ一ン通路 2 0 とを結ぶ経路、 ホィルシリ ンダ 1 2 4 とリタ一ン通路 2 0 とを結ぶ経路、 および、 ホイルシリ ンダ 1 2 6 とリ ターン通路 2 0 とを結ぶ経路を導通させる 2位置の電磁弁であ
る o
右前輪 F Rの近傍には、 車輪速センサ 1 3 6が配設されている。 車輪速センサ 1 3 6は、 右前輪 F Rの回転速度に応じた周期でパル ス信号を出力する。 同様に、 左前輪 F Lの近傍、 右後輪 R Rの近傍、 および、 左後輪 R Lの近傍には、 それぞれ対応する車輪の回転速度 に応じた周期でパルス信号を出力する車輪速センサ 1 3 8 , 1 4 0, 1 4 2が配設されている。 車輪速センサ 1 3 6〜 1 4 2の出力信号 は E C U 1 0に供給されている。 E C U 1 0は、 車輪速センサ 1 3 6〜 1 4 2の出力信号に基づいて各車輪の回転速度 V w を検出する c ハイ ドロブースタ 3 6の第 2油圧室 5 8に連通する第 2液圧通路 8 4には、 液圧センサ 1 4 4が配設されている。 液圧センサ 1 4 4 は、 第 2油圧室 5 8の内部に発生する液圧、 すなわち、 ハイ ドロ ブースタ 3 6によって生成されるマスタシリ ンダ圧 P M / C に応じた 電気信号を出力する。 液圧センサ 1 4 4の出力信号は E C U 1 0に 供給されている。 E C U 1 0は、 液圧センサ 1 4 4の出力信号に基 づいてマス夕シリ ンダ圧 P M / C を検出する。
次に、 本実施例の制動力制御装置の動作を説明する。 本実施例の 制動力制御装置は、 油圧回路内に配設された各種の電磁弁の状態を 切り換えることにより、 ①通常のブレーキ装置としての機能、 ②ァ ンチロックブレーキシステムとしての機能、 および、 ③制動力の速 やかな立ち上がりが要求される場合に通常時に比して大きな制動力 を発生させる機能 (ブレーキアシスト機能) を実現する。
図 1 は、 ①通常のブレーキ装置としての機能 (以下、 通常ブレー キ機能と称す) を実現するための制動力制御装置の状態を示す。 す なわち、 ①通常ブレーキ機能は、 図 1 に示す如く、 制動力制御装置 が備える全ての電磁弁をオフ状態とすることにより実現される。 以 下、 図 1 に示す状態を通常ブレーキ状態と称す。 また、 制動力制御 装置において通常ブレーキ機能を実現させるための制御を通常ブ レーキ制御と称す。
図 1 において、 左右前輪 F L, F Rのホイルシリ ンダ 1 2 0 , 1 2 2は、 第 1液圧通路 8 2を介してハイ ドロブースタ 3 6の第 1油 圧室 5 6に連通している。 また、 左右後輪 R L, R Rのホイルシリ ンダ 1 2 4 , 1 2 6は、 第 2液圧通路 8 4を介してハイ ドロブース 夕 3 6の第 2油圧室 5 8に連通している。 この場合、 ホイルシリ ン ダ 1 2 0〜 1 2 6のホイルシリ ンダ圧 P w/c は、 常にマスタシリ ン ダ圧 PM/C と等圧に制御される。 従って、 図 1示す状態によれば、 通常ブレーキ機能が実現される。
図 3は、 ②アンチロックブレーキシステムとしての機能 (以下、 A B S機能と称す) を実現するための制動力制御装置の状態を示す。 すなわち、 ② A B S機能は、 図 3に示す如く、 S A—! 8 6および S A-28 8をオン状態とし、 かつ、 A B Sの要求に応じて保持ソレノ イ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * * Rを適当に駆動すること により実現される。 以下、 図 3に示す状態を A B S作動状態と称す。 また、 制動力制御装置において A B S機能を実現させるための制御 を A B S制御と称す。
E C U 1 0は、 車両が制動状態にあり、 かつ、 何れかの車輪につ いて過剰なスリ ップ率が検出された場合に A B S制御を開始する。 A B S制御中は、 前輪に対応して設けられた液圧通路 9 6, 9 8力、 後輪に対応して設けられた液圧通路 1 0 0 と同様にハイ ドロブース 夕 3 6の第 2油圧室 5 8に連通する。 従って、 A B S制御中は、 全 ての車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C が第 2油圧室 5 8を液圧源とし て昇圧される。
A B S制御の実行中に、 保持ソレノィ ド S * * Hを開弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノィ ド S * * Rを閉弁状態とすると、 各車輪のホイ ルシリ ンダ圧 Pw/c を増圧することができる。 以下、 この状態を
(i) 増圧モードと称す。 また、 A B S制御中に保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * * Rの双方を閉弁状態とすると、 各 車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C を保持することができる。 以下、 こ
の状態を(ii)保持モードと称す。 更に、 AB S制御中に保持ソレノ ィ ド S * *Hを閉弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノィ ド S * *Rを開 弁状態とすると、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を減圧すること ができる。 以下、 この状態を (iii)減圧モードと称す。
E C U 1 0は、 A B S制御中に、 各車輪のスリ ップ状態に応じて、 各車輪毎に適宜上記の (i)増圧モー ド、 (ii)保持モー ド、 および、 (iii)減圧モードが実現されるように、 保持ソレノィ ド S * *Hお よび減圧ソレノィ ド S * * Rを制御する。 保持ソレノィ ド S * *H および減圧ソレノィ ド S * * Rが上記の如く制御されると、 全ての 車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C は、 対応する車輪に過大なスリ ップ 率を発生させることのない圧力に制御される。 従って、 上記の制御 によれば、 制動力制御装置において A B S機能を実現することがで きる。
A B S制御中は、 各車輪で減圧モードが行われる毎にホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6内のブレーキフル一ドがリタ一ン通路 2 0に排 出される。 そして、 各車輪で増圧モードが行われる毎にハイ ド口 ブースタ 3 6からホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6にブレーキフルー ドが供給される。 このため、 AB S制御中は通常ブレーキ時に比し て多量のブレーキフル一ドがハイ ドロブースタ 3 6から流出する。 ハイロ ドブースタ 3 6の第 1油圧室 5 6には、 アキュムレータ 2 8のような液圧源が連通していない。 このため、 A B S制御の実行 中に第 1油圧室 5 6が液圧源として用いられると、 第 1油圧室 5 6 内部のブレーキフルードが多量に流出して、 その結果、 ブレーキぺ ダル 1 2に過大なストロークが生ずる事態が生ずる。 これに対して、 本実施例のシステムにおいては、 AB S制御中に、 スプール部 5 4 を介してアキュムレータ 2 8に連通する第 2油圧室 5 8が液圧源と して用いられる。 このため、 本実施例のシステムによれば、 AB S 制御の実行中にブレーキペダル 1 2に過大なストロ一クが生ずるこ とはない。
図 4乃至図 6は、 ③ブレーキアシス ト機能 (以下、 BA機能と称 す) を実現するための制動力制御装置の状態を示す。 E C U 1 0は、 運転者によつて制動力の速やかな立ち上がりを要求するブレーキ操 作、 すなわち、 緊急ブレーキ操作が実行された後に図 4乃至図 6に 示す状態を適宜実現することで B A機能を実現する。 以下、 制動力 制御装置において、 B A機能を実現させるための制御を B A制御と 称す。
図 4は、 B A制御の実行中に実現されるアシスト圧増圧状態を示 す。 アシスト圧増圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイルシ リ ンダ圧 Pw/C を増圧させる必要がある場合に実現される。 本実施 例のシステムにおいて、 アシスト圧増圧状態は、 図 4に示す如く、 S A-i 8 6 , S A— 28 8、 S A— 39 0および S T R 9 4をオン状態 とすることで実現される。
アシスト圧増圧状態では、 全てのホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 が S TR 9 4を介してアキュムレータ通路 2 6に連通する。 従って、 アシスト圧増圧状態を実現すると、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C を、 アキュムレータ 2 8を液圧源として昇圧することができ る。 アキュムレータ 2 8には、 高圧のアキュムレータ圧 PACC が蓄 えられている。 このため、 アシス ト圧増圧状態によれば、 全ての車 輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 マスタシリ ンダ圧 PM/c に比して 高圧に昇圧することができる。
ところで、 図 4に示すアシス ト圧増圧状態において、 液圧通路 9 6, 9 8, 1 0 0は、 上記の如くアキュムレータ通路 2 6に連通し ていると共に、 逆止弁 1 0 2を介して第 2液圧通路 8 4に連通して いる。 このため、 第 2液圧通路 8 4に導かれるマス夕シリ ンダ圧 P M/C が各車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C に比して大きい場合は、 ァ シスト圧増圧状態においてもハイ ドロブースタ 3 6を液圧源として ホイルシリ ンダ圧 Pw/C を昇圧することができる。
図 5は、 B A制御の実行中に実現されるアシスト圧保持状態を示
す。 アシスト圧保持状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイルシ リ ンダ圧 P W/C を保持する必要がある場合に実現される。 アシス ト 圧保持状態は、 図 5に示す如く、 S A—! 8 6、 S A— 2 8 8、 S A— 3 9 0および S T R 9 4をオン状態とした状態で、 更に、 全ての保持 ソレノイ ド S * * Hをオン状態 (閉弁状態) とすることで実現され る。
アシスト圧保持状態では、 ハイ ドロブースタ 3 6 とホイルシリ ン ダ 1 2 0〜 1 2 6 とが遮断状態とされ、 リターン通路 2 0 とホイル シリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とが遮断状態とされ、 かつ、 アキュ厶レー 夕 2 8力、らホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6へ向かうフル一ドの流れ が阻止される。 このため、 アシスト圧保持状態によれば、 全ての車 輪のホイルシリ ンダ圧 P W/C を一定値に保持することができる。 図 6は、 B A制御の実行中に実現されるアシスト圧減圧状態を示 す。 アシス ト圧減圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイルシ リ ンダ圧 P W/C を減圧する必要がある場合に実現される。 アシス ト 圧減圧状態は、 図 6に示す如く、 S A— , 8 6および S A-2 8 8をォ ン状態とすることで実現される。
アシスト圧減圧状態では、 アキュムレータ 2 8 とホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とが遮断状態とされ、 リターン通路 2 0 とホイルシ リ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とが遮断状態とされ、 かつ、 ハイ ドロブース 夕 3 6 とホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とが導通状態とされる。 こ のため、 アシスト圧減圧状態によれば、 全ての車輪のホイルシリ ン ダ圧 PW/C を、 マスタシリ ンダ圧 P M/C を下限値として減圧するこ とができる。
図 7は、 本実施例の制動力制御装置において、 運転者によって緊 急ブレーキ操作が実行された場合に実現されるタイムチヤ一トのー 例を示す。 図 7 (A) に示す曲線は、 運転者によって緊急ブレーキ 操作が行われた場合に、 単位時間当たりのマスタシリ ンダ圧 PM/C の変化量 Δ Ρ Μ/C (以下、 変化速度 Δ ΡΜ/C と称す) に生ずる変化
の一例を示す。 また、 図 7 ( B) 中に破線で示す曲線および実線で 示す曲線は、 同様の状況下で、 それぞれマスタシリ ンダ圧 PM/C お よびホイルシリ ンダ圧 PW/C に生ずる変化の一例を示す。 本実施例 のシステムにおいて、 マスタシリ ンダ圧 PM/C およびその変化速度 Δ PM/C は、 それぞれブレーキペダル 1 2の操作量、 および、 ブ レーキペダル 1 2の操作速度の特性値である。
運転者によって緊急ブレーキ操作が行われると、 図 7 (B) 中に 破線で示す如く、 マスタシリ ンダ圧 PM/C は、 ブレーキ操作が開始 された後適当な圧力まで速やかに昇圧される。 この際、 マスタシリ ンダ圧 PM/C の変化速度 Δ ΡΜ/C は、 図 7 (A) に示す如く、 ブ レーキ操作が開始された後マスタシリ ンダ圧 PM/C が急増する時期 と同期して最大値厶 PMAX に向かって増加し、 また、 マスタシリ ン ダ圧 ΡΜ/C が適当な圧力に収束する時期と同期して " 0 " 近傍の値 に減少する。
上述の如く、 E C U 1 0は、 運転者による緊急ブレーキ操作が検 出された場合に B A制御を実行する。 E C U 1 0は、 運転者によつ て緊急ブレーキ操作が実行されたか否かを判別するに当たり、 先ず、 所定速度を超えるブレーキペダル 1 2の操作を、 具体的には、 第 1 の所定速度 ΤΗΔ P 1 を超える変化速度 Δ PM/c を検出する。 E C U 1 0は、 A PM/C > ΤΗΔ Ρ 1を満たす変化速度 Δ PM/C を検出 すると、 緊急ブレーキ操作が実行された可能性があると判断して、 第 1スタンバイ状態へ移行する (図 7 ( B) 中期間①) 。
E C U 1 0は、 第 1ス夕ンバイ状態に移行した後、 マスタシリ ン ダ圧 PM/C の変化速度 Δ ΡΜ/C が第 2の所定速度 ΤΗΔ Ρ 2以下と なるまでの時間 t 2 - t! =C S TANBY 1を計数する。 そして- E C U 1 0は、 経過時間 C S T AN B Y 1が所定範囲内にある場合 は、 運転者によって緊急ブレーキ操作が実行されたと判断して第 2 スタンバイ状態に移行する (図 7 ( B) 中期間②) 。 本実施例の 制動力制御装置において、 マスタシリ ンダ圧 PM/C に急激な昇圧が
生—じている間は、 マスタシリ ンダ圧 PM/C とホイルシリ ンダ圧 Pw/ c との間に大きな偏差 Pdiffが発生する。 かかる状況下では、 ハイ ドロブースタ 3 6を液圧源とする方が、 アキュムレータ 2 8を液圧 源とするよりもホイルシリ ンダ圧 Pw/c を速やかに立ち上げること ができる。
従って、 運転者によって緊急ブレーキ操作が行われた後、 偏差 P diffが十分に小さな値となるまでの間は、 通常ブレーキ制御を維持 する方が BA制御を開始するよりも、 速やかにホイルシリ ンダ圧 P w/c を立ち上げることができる。 このため、 E C U 1 0は、 上述し た第 2スタンバイ状態に移行した後、 偏差 Pdiffが十分に小さな値 となった時点で B A制御を開始する。 B A制御がかかるタイ ミ ング で開始されると、 緊急ブレーキ操作が開始された後、 ホイルシリ ン ダ圧 Pw/c を効率良く速やかに昇圧させることができる。
本実施例の制動力制御装置において、 B A制御が開始されると、 先ず (I)開始増圧モードが実行される (図 7 (B) 中期間③) 。 (I) 開始増圧モー ドは、 所定の増圧時間 TSTA の間、 上記図 4に示 すアシスト圧増圧状態を維持することにより実現される。 上述の如 く、 アシスト圧増圧状態によれば、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/ c がアキュムレータ 2 8を液圧源としてマスタシリ ンダ圧 PM/C を 超える圧力に昇圧される。 従って、 BA制御が開始されると、 (I) 開始増圧モードの実行に伴って、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C が速やかにマスタシリ ンダ圧 ΡΜ/C を超える圧力に昇圧される。 以 下、 BA制御の実行中に、 ホイルシリ ンダ圧 Pw/c とマスタシリ ン ダ圧 PM/C との間に生ずる差圧をアシスト圧 P aと称す。
本実施例において、 増圧時間 TSTA は、 緊急ブレーキ操作の過程 でマスタシリ ンダ圧 PM/C に生じた変化速度 Δ PM/c の最大値 Δ Ρ
MAX に基づいて演算される。 具体的には、 増圧時間 TSTA は、 変化 速度 Δ ΡΜ/C の最大値 Δ ΡΜΑΧ が大きいほど長時間に設定され、 ま た、 その最大値 Δ ΡΜΑΧ が小さいほど短時間に設定される。
変化速度 Δ ΡΜ/C の最大値 Δ Ρμαχ は、 運転者が制動力を速やか に立ち上げることを意図するほど大きな値となる。 従って、 最大値
Δ ΡΜΑΧ が大きな値である場合は、 Β Α制御が開始された後、 ホイ ルシリ ンダ圧 Pw/C をマスタシリ ンダ圧 PM/C に比して大きく増圧 させることが適切である。
増圧時間 TSTA 、 最大値厶 PMAX に基づいて上記の如く設定さ れると、 運転者が制動力を速やかに立ち上げること意図するほど、 緊急ブレーキ操作が検出された後、 ホイルシリ ンダ圧 Pw/C をマス 夕シリ ンダ圧 PM/C に比して大きく増圧させること、 すなわち、 大 きなアシス ト圧 P aを発生させることができる。 従って、 本実施例 の制動力制御装置によれば、 (I)開始増圧モードの実行が開始され た後、 運転者の意図が正確に反映されたホイルシリ ンダ圧 Pw/C を 速やかに発生させることができる。
本実施例の制動力制御装置において、 (I)開始増圧モードが終了 すると、 以後、 運転者のブレーキ操作に対応して、 (II)アシス ト圧 増圧モー ド、 (ΙΠ)アシス ト圧減圧モー ド、 (IV)アシス ト圧保持 モー ド、 (V)アシス ト圧緩増モー ド、 および、 (VI)アシス ト圧緩減 モー ドの何れかが実行される。
BA制御の実行中に、 マスタシリ ンダ圧 PM/C が急激に増圧され ている場合は、 運転者が更に大きな制動力を要求していると判断で きる。 本実施例の制動力制御装置では、 この場合、 (II)アシス ト圧 増圧モードが実行される (図 7 (B) 中期間⑦) 。 (Π)アシス ト圧 増圧モードは、 上述した (I)開始増圧モードと同様に、 制動力制御 装置をアシスト圧増圧状態とすることで実現される。 アシス ト圧増 圧状態によれば、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C をアキュムレ一 夕圧 PACC に向けて速やかに昇圧させることができる。 従って、 上 記の処理によれば、 運転者の意図を正確にホイルシリ ンダ圧 Pw/C に反映させることができる。
B A制御の実行中に、 マスタシリ ンダ圧 PM/C が急激に減圧され
ている場合は、 運転者が制動力を速やかに低下させることを意図し ていると判断できる。 本実施例では、 この場合、 (III)アシス ト圧 減圧モー ドが実行される (図 7 (B) 中期間⑨) 。 (III)アシス ト 圧減圧モードは、 上記図 6に示すァシスト圧減圧状態を維持するこ とにより実現される。 アシス ト圧減圧状態によれば、 上述の如く、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C をマスタシリ ンダ圧 PM/C に向け て速やかに減圧させることができる。 従って、 上記の処理によれば、 運転者の意図を正確にホイルシリ ンダ圧 Pw/C に反映させることが できる。
BA制御の実行中にマスタシリ ンダ圧 PM/C がほぼ一定値に維持 されている場合は、 運転者が制動力を保持することを意図している と判断できる。 本実施例では、 この場合、 (IV)アシスト圧保持モー ドが実行される (図 7 (B) 中期間④および⑧) 。 (IV)アシス ト圧 保持モードは、 上記図 5に示すアシスト圧保持状態を維持すること により実現される。 アシス ト圧保持状態によれば、 上述の如く、 各 車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を一定値に維持することができる。 従って、 上記の処理によれば、 運転者の意図を正確にホイルシリ ン ダ圧 Pw/C に反映させることができる。
B A制御の実行中にマスタシリ ンダ圧 PM/C が緩やかに増圧され ている場合は、 運転者が制動力を緩やかに立ち上げることを意図し ていると判断できる。 本実施例では、 この場合、 (V)アシス ト圧緩 増モ一ド (図示せず) が実行される。 (V)アシスト圧緩増モードは、 上記図 4に示すアシスト圧増圧状態と上記図 5に示すアシスト圧保 持状態とを繰り返すことにより実現される。 (V)アシスト圧緩増 モ一 ドによれば、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C をアキュムレ一 夕圧 PACC に向けて段階的に昇圧させることができる。 従って、 上 記の処理によれば、 運転者の意図を正確にホイルシリ ンダ圧 Pw/C に反映させることができる。
B A制御の実行中にマスタシリ ンダ圧 PM/C が緩やかに減圧され
ている場合は、 運転者が制動力を緩やかに低下させることを意図し ていると判断できる。 本実施例では、 この場合(VI)アシスト圧緩減 モードが実行される (図 7 (B) 中期間⑤) 。 (VI)アシスト圧緩減 モードは、 上記図 6に示すアシスト圧減圧状態と上記図 5に示すァ シスト圧保持状態とを繰り返すことにより実現される。 (VI)アシス ト圧緩減モー ドによれば、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c をマス 夕シリ ンダ圧 PM/C に向けて段階的に減圧させることができる。
従って、 上記の処理によれば、 運転者の意図を正確にホイルシリ ン ダ圧 Pw/c に反映させることができる。
上記の処理によれば、 運転者によって緊急ブレーキ操作が実行さ れた後速やかに、 運転者の意図が正確に反映されたアシスト圧 P a を発生させることができる。 このため、 本実施例の制動力制御装置 によれば、 運転者の意図に応じて制動力の立ち上がり傾向を変化さ せることができる。
また、 上記の処理によれば、 (I)開始増圧モードによってアシス ト圧 P aが発生された後、 運転者によってブレーキ操作がなされた 場合に、 そのブレーキ操作に対応してホイルシリ ンダ圧 Pw/c を増 減させることができる。 このため、 上記の処理によれば、 BA制御 の実行中常に、 アシス ト圧 P aをほぼ一定の値に維持しつつ、 ホイ ルシリ ンダ圧 PW/c に適正に運転者の意図を反映させることができ る
制動力制御装置において B A制御が開始されると、 その後、 各車 輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c が速やかに昇圧されることにより、 何 れかの車輪について過剰なスリ ップ率が生ずる場合がある。 E CU 1 0は、 このような場合には、 B A制御に加えて A B S制御を実行 する。 以下、 この制御を B A + AB S制御と称す。
B A + AB S制御は、 上記図 4乃至図 6に示す何れかの状態を実 現しつつ、 過剰なスリ ップ率の生じた車輪 (以下、 AB S対象車輪 と称す) について、 適宜上述した(i) 増圧モー ド、 (ii)保持モー ド.
および、 (iii) 減圧モードが実現されるように、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * *Rを制御することで実現される。 すなわち、 上記図 4に示すアシス ト圧増圧状態、 または、 上記図 5に示すアシスト圧保持状態が実現されている場合は、 保持ソレノ ィ ド S * * Hの全てにアキュムレータ圧 P ACC が供給される。 この ような状況下では、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノイ ド S * * Rを適当に制御することで、 全ての車輪について、 (ii)保持 モード、 (iii)減圧モード、 および、 ホイルシリ ンダ圧 Pw/c をマ ス夕シリ ンダ圧 PM/C を超える圧力に昇圧することを目的とする (i) 増圧モードを実現することができる。 従って、 上記図 4および 図 5に示す何れかの状態が実現されている場合は、 AB S制御の要 求に応じて保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S **R を制御することで、 B A + A B S制御を実現することができる。
また、 上記図 6に示すアシスト圧減圧状態が実現されている場合 は、 保持ソレノィ ド S * * Hの全てにマスタシリ ンダ圧 PM/C が供 給されている。 この場合、 全ての車輪について(ii)保持モードおよ び (iii)減圧モードを実現することができる。 ところで、 上記図 6 に示すアシスト圧減圧状態は、 運転者が制動力の減少を意図してい る場合に、 すなわち、 何れの車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c も増圧 する必要がない場合に実現される。 従って、 上記図 6に示すアシス ト圧減圧状態が実現されている場合に、 A B S対象車輪について(i i)保持モードおよび (iii)減圧モードが実現できれば、 適正に BA + AB S制御の要求を満たすことができる。
このように、 本実施例の制動力制御装置によれば、 BA制御が開 始された後、 上記図 4乃至図 6に示す何れかの状態を実現しつつ、 A B S制御の要求に応じて保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレ ノイ ド S * * Rを制御することにより、 BA + AB S制御を実現す ることができる。 上述した BA + AB S制御によれば、 アキュ厶 レー夕 2 8を液圧源として、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C
を対応する車輪に過大なスリ ップ率を発生させることのない適当な 圧力に制御することができる。
次に、 図 8乃至図 2 4を参照して、 上述した B A制御を実現すベ く E C U 1 0が実行する処理の内容について説明する。
図 8は、 第 1スタ ンバイ状態に移行するための条件判定、 および、 第 1 スタンバイ状態を維持するための条件判定を行うべく E C U 1 0が実行する制御ルーチンの一例のフローチヤ一トを示す。 図 8に 示すルーチンは、 所定時間毎に起動される定時割り込みルーチンで ある。 図 8に示すル一チンが起動されると、 先ずステツプ 2 0 0の 処理が実行される。
ステップ 2 0 0では、 フラグ X STANBY 1がオン状態である か否かが判別される。 X S TANBY 1 は、 第 1スタ ンバイ状態に 移行するための条件が成立することによりォン状態とされるフラグ である。 従って、 第 1スタンバイ状態に移行するための条件が成立 していない場合は、 X STANBY 1 =〇Nが不成立であると判別 される。 この場合、 次にステップ 2 0 2の処理が実行される。
ステップ 2 0 2では、 車両の運転状態に応じて第 1の所定量 TH P 1、 第 1の所定速度 ΤΗΔ P 1、 および、 ノイズカッ ト値 THN Cが設定される。 第 1の所定量 THP 1、 第 1の所定速度 ΤΗΔ Ρ 1、 および、 ノイズカッ ト値 THN Cは、 第 1ス夕ンバイ状態への 移行条件を判別するために用いられるしきい値である。 すなわち、 本実施例において、 第 1スタンバイ状態への移行条件は、 後述の如 く、 マスタシリ ンダ圧 PM/C およびその変化速度 Δ PM/C が、 PM/ c ≥ TH P 1、 および、 ΤΗΔ P 1 く Δ PM/C く THN Cの双方の 条件を満たす場合に成立したと判断される。
上記ステツプ 2 0 2において、 TH P 1、 ΤΗΔ P 1、 および、 THN Cは、 車速 S P Dと、 ブレーキスィッチ 1 4がオン状態とさ れた後の経過時間 TST0Pとに基づいて、 下記表 1 に示す如く設定さ れ 。
1 ]
運転状態 TH P 1 TH P 1 THN C
S P D≥ Vo TH P 1 L ΤΗΔ P 1 H THN C H
S PD≥V0
AND THP 1 L TH厶 P 1 L THNC L
T S T O P To
S P D < Vo THP 1 H ΤΗΔΡ 1 Μ THN C L 第 1の所定量 TH P 1は、 上記表 1に示す如く、 車速 S P Dが所 定速度 V。 以上である場合は所定量 THP 1 Lに設定される。 また、 車速 S PDが所定速度 V。 に満たない場合は所定量 TH P 1 Hに設 定される。 THP 1 Lおよび THP 1 Hは、 THP 1 Lく THP 1 Hの関係が成立するように設定されている。 第 1の所定量 T HP 1 が上記表 1に示す値に設定されると、 第 1スタンバイ状態への移行 条件の 1つである PM/C ≥THP 1は、 高速走行時に成立し易く、 かつ、 低速走行時に成立し難くなる。
車両が低速走行中である場合は、 車両が高速走行中である場合に 比して、 制動力を速やかに立ち上げる必要性に乏しい。 また、 低速 走行中は、 高速走行中に比して制動時に減速加速度を感じ易い。 こ のため車両が低速走行中である場合は、 車両が高速走行中である場 合に比して B A制御が開始され難いことが適切である。 第 1の所定 量 THP 1を上記表 1に示す値に設定することによれば、 かかる要 求を実現することができる。
第 1の所定速度 ΤΗΔΡ 1は、 上記表 1に示す如く、 車速 S PD が所定速度 V。 以上であり、 かつ、 ブレーキスィッチ 1 4がオン状 態とされた後の経過時間 TST0Pが所定時間 T。 に達していない場合 は所定速度 ΤΗΔΡ 1 Ηに設定される。 また、 車速 S PDが所定速 度 V。 に満たない場合は所定速度 ΤΗΔ Ρ 1 Μに設定される。 ΤΗ △P 1 Hおよび ΤΗΔΡ 1 Μは、 ΤΗΔΡ 1 Ηく ΤΗΔΡ 1 Μの関 係が成立するように設定されている。 第 1の所定速度 ΤΗΔΡ 1が
上記の如く設定されると、 第 1スタンバイ状態への移行条件の 1つ である ΤΗΔ P 1 ≤ PM/C は、 高速走行時に成立し易く、 かつ、 低 速走行時に成立し難くなる。
低速時は、 車両に発生する前後加速度 Gの変動が大きいため、 B A制御が実行されることにより、 車両の乗員が大きな減速 Gを感じ 易い。 第 1の所定速度 ΤΗΔ P 1 Mを上記の如く設定して、 低速時 におけるスタンバイ状態への移行条件を成立し難くすると、 B A制 御が実行されることにより、 不必要に乗員が大きな減速 Gを感ずる のを防止することができる。
第 1 の所定速度 ΤΗΔ P 1は、 また、 上記表 1 に示す如く、 車速 S P Dが所定速度 V。 以上であり、 かつ、 ブレーキスィッチ 1 4力 オン状態とされた後の経過時間 T ST0Pが所定時間 T。 以上である場 合、 すなわち、 ブレーキ操作が開始された後、 Τ。 時間が経過して いる場合は、 所定速度 ΤΗΔ Ρ 1 Lに設定される。 ΤΗΔ Ρ 1 Lは、 ΤΗΔ Ρ 1 Μに比して更に小さな値である。 第 1の所定速度 ΤΗΔ Ρ 1が上記の如く設定されると、 第 1ス夕ンバイ状態への移行条件 の 1つである ΤΗΔ Ρ 1 ≤ PM/C は、 TST0P≥ T。 が成立した後に おいて、 その以前に比して成立し易くなる。
車両においては、 ブレーキ操作が開始された後、 ある程度の時間 が経過した時点で緊急ブレーキ操作が開始されることがある。 この 場合は、 緊急ブレーキ操作が開始される時点で既にブレーキペダル 1 2が踏み込まれているため、 緊急ブレーキ操作が開始された後に 生ずる変化速度 Δ ΡΜ/C が高速になり難い。 従って、 このような緊 急ブレーキ操作を正確に検出するためには、 ブレーキ操作の開始時 点からある程度の時間が経過した後は、 緊急ブレーキ操作の有無を 判断するしきい値である第 1の所定速度 ΤΗΔ P 1を、 それ以前の 値に比して小さな値とすることが適切である。 第 1 の所定速度 TH Δ P 1を上記表 1 に示す値に設定することによれば、 かかる要求を 実現することができる。
ノイズカツ ト値 THNCは、 上記表 1 に示す如く、 車速 S P Dが 所定速度 V。 以上であり、 かつ、 ブレーキ操作が開始された後の経 過時間 T ST。Pが所定時間 T。 に達していない場合は所定値 THNC Hに設定される。 また、 車速 S P Dが所定速度 V。 以上であり、 か つ、 経過時間 TST。Pが所定時間 T。 以上である場合、 および、 車速 S P Dが所定速度 V。 に満たない場合は所定値 THNC Lに設定さ れる。 THNC Hおよび THNC Lは、 THNC H > THNC Lの 関係が成立するように設定されている。
S P D≥V。 が成立し、 かつ、 TST。P≥ T。 が成立しない場合は、 上述の如く、 緊急ブレーキ操作に伴って大きな変化速度 Δ PM/C が 発生する。 従って、 この場合は、 比較的大きな変化速度 Δ PM/c を 有効デ一夕として扱うことが適切である。 一方、 S P D≥VQ およ び TST0P≥ T。 の双方が成立する場合、 および、 S P D <V。 が成 立する場合は、 上述の如く、 緊急ブレーキ操作に伴って変化速度△ PM/C が大きな値となり難い。 従って、 この場合は、 比較的大きな 変化速度 Δ ΡΜ/C を異常値として扱うことが適切である。 ノイズ 力ッ ト値 THNCを上記表 1 に示す値に設定することによれば、 か かる要求を実現することができる。
上記の手法により、 第 1の所定量 THP 1、 第 1の所定速度 TH △ P 1、 および、 ノイズカツ ト値 THN Cが設定されると、 次にス テツブ 2 0 4の処理が実行される。
ステップ 2 0 4では、 マスタシリ ンダ圧 PM/C が第 1の所定量 T
H P 1以上であるか否かが判別される。 その結果、 PM/c ≥ THP
1が成立しないと判別される場合は、 第 1スタンバイ状態への移行 条件が成立していないと判断されて今回のルーチンが終了される。 一方、 PM/C ≥ THP 1が成立すると判別される場合は、 次にス テツプ 2 0 6の処理が実行される。
ステップ 2 0 6では、 変化速度△ PM/C 力 第 1の所定速度 TH △ P 1 に比して大きく、 かつ、 ノイズカツ ト値 THNCに比して小
さいか否かが判別される。 その結果、 ΤΗΔ Ρ 1 く Δ ΡΜ/C < TH NCが成立しないと判別される場合は、 第 1ス夕ンバイ状態への移 行条件が成立していないと判断されて今回のルーチンが終了される。 一方、 上記の条件が成立すると判別される場合は、 次にステップ 2 0 8の処理が実行される。
ステップ 2 0 8では、 第 1 スタンバイ状態への移行条件が成立し たことを表すべく、 フラグ XSTANB Y 1がオン状態とされる。 本ステツプ 2 0 8の処理が終了すると、 今回のルーチンが終了され
-3 o
上記ステップ 2 0 8において、 フラグ X S T AN B Y 1がオン状 態とされた後、 本ルーチンが起動されると、 上記ステップ 2 0 0で X S T AN B Y 1 = ONが成立すると判別される。 この場合、 ス テツプ 2 0 0に次いでステツプ 2 1 0の処理が実行される。
ステップ 2 1 0では、 カウンタ C S TANBY 1をインク リ メン トする処理が実行される。 カウン夕 C STANBY 1 は、 第 1スタ ンバイ状態への移行条件が成立した後の経過時間を計数するための カウンタである。 カウンタ C STANBY 1の計数時間は、 車両の 始動時にイニシャル処理により " 0 " にリセッ トされている。 本ス テツプ 2 1 0の処理が終了すると、 次にステップ 2 1 2の処理が実 行される。
ステップ 2 1 2では、 カウンタ C S TANBY 1 に計数される時 間が所定時間ひ以下であるか否かが判別される。 所定時間ひは、 緊 急ブレーキ操作が実行された場合に、 変化速度 Δ ΡΜ/C が大きな値 に維持される時間に比して小さな値である。 上記の判別の結果、 C S TANBY 1 ≤ひが成立すると判別される場合は、 次にステップ 2 1 4の処理が実行される。
ステップ 2 1 4では、 変化速度 Δ ΡΜ/C が所定値 8を下回ってい るか否かが判別される。 その結果、 Δ ΡΜ/C く /3が成立する場合は、 第 1スタンバイ状態への移行条件が成立した後、 極めて短時間の後
に、 変化速度 Δ ΡΜ/C が小さな値となったと判断することができる。 この場合、 運転者のブレーキ操作が緊急ブレ一キ操作ではなかつた と判断され、 次にステップ 2 1 6の処理が実行される。
ステップ 2 1 6では、 第 1ス夕 ンバイ状態を解除すベく フラグ X S TANB Y 1をオフ状態とする処理が実行される。 本ステップ 2 1 6の処理が実行されると、 次にステップ 2 1 8の処理が実行され o
ステップ 2 1 8では、 カウンタ C S TANBY 1の計数時間を " 0 " にリセッ トする処理が実行される。 本ステップ 2 1 8の処理 が終了すると、 今回のルーチンが終了される。
本ル一チンにおいて、 上記ステップ 2 1 2で C S TANBY 1 ≤ ひが成立しないと判別された場合、 および、 上記ステップ 2 1 4で
Δ PM/C く y8が成立しないと判別された場合は、 第 1 スタ ンバイ状 態への移行条件が成立した後、 極めて短時間の間に変化速度 Δ PM/ c が小さな値に低下する現象が生じていないと判断することができ る。 この場合、 次にステップ 2 2 0の処理が実行される。
ステップ 2 2 0では、 カウンタ C S TANBY 1の計数値が第 2 の所定時間 THT 2以上であるか否かが判別される。 第 2の所定時 間 THT 2は、 第 1 スタンバイ状態への移行条件が成立した後、 第 1スタンバイ状態を維持する時間の上限値を定める値である。 従つ て、 本ステップ 2 2 0で、 C STANBY 1 ≥THT 2が成立する と判別される場合は、 第 1スタンバイ状態の継続時間が上限に達し たと判断することができる。 この場合、 次に、 上記ステップ 2 1 6 および 2 1 8の処理が実行された後、 今回のルーチンが終了される。 一方、 本ステップ 2 2 0で、 C STANBY 1 ≥TH 2が成立しな いと判別される場合は、 第 1スタンバイ状態の継続時間が未だ上限 に達していないと判断することができる。 この場合、 次にステップ 2 2 2の処理が実行される。
ステップ 2 2 2では、 フラグ X S T AN B Y 2がォン状態である
か否かが判別される。 フラグ X S TANB Y 2は、 後述する他の ルーチンにおいて、 第 2スタンバイ状態への移行条件が成立すると 判別される場合にォン状態とされるフラグである。 X S T AN B Y 2二 ONが成立すると判別される場合は、 第 1 ス夕ンバイ状態を維 持する必要がないと判断される。 この場合、 次に、 上記ステップ 2 1 6および 2 1 8の処理が実行された後、 今回のルーチンが終了さ れる。 一方、 X S TAN B Y 2 = ONが成立しないと判別される場 合は、 第 1スタンバイ状態を維持する必要があると判断される。 こ の場合、 以後、 何ら処理が進められることなく今回のルーチンが終 了される。
図 9は、 第 2ス夕ンバイ状態に移行するための条件判定を行うベ く E CU 1 0が実行する制御ルーチンの一例のフローチヤ一トを示 す。 図 9に示すルーチンは、 所定時間毎に起動される定時割り込み ルーチンである。 図 9に示すルーチンが起動されると、 先ずステツ プ 2 3 0の処理が実行される。
ステップ 2 3 0では、 カウンタ C S TANBY 1の計数時間が、 すなわち、 第 1 スタンバイ状態への移行条件が成立した後の経過時 間が、 第 1の所定時間 THT 1以上であり、 かつ、 第 2の所定時間 THT 2以下であるか否かが判別される。 第 2の所定時間 THT 2 は、 上述の如く、 第 1スタンバイ状態を維持すべき時間の上限値で ある。 一方、 第 1の所定時間 THT 1 は、 緊急ブレーキ操作が行わ れた場合に、 ブレーキペダル 1 2の高速操作が継続する下限の時間 を定める値である。
従って、 本実施例の制動力制御装置においては、 ブレーキ操作が 開始された後、 THT 1 ≤ C STANB Y 1が成立する以前にブ レーキペダル 1 2の操作速度が十分に小さな値となった場合は、 そ のブレーキ操作が緊急ブレーキ操作ではなかったと判断することが できる。 上記ステップ 2 3 0で、 THT 1 ≤ C S TANBY 1 ≤T HT 2が成立しないと判別された場合は、 以後、 何ら処理が進めら
れることなく今回のルーチンが終了される。 一方、 上記の条件が成 立すると判別された場合は、 次にステップ 2 3 2の処理が実行され る。
ステップ 2 3 2では、 前回の処理サイクル時から今回の処理サイ クル時にかけて、 変化速度 Δ PM/c が第 2の所定速度 ΤΗΔ P 2を 超える速度から、 第 2の所定速度 ΤΗΔ Ρ 2以下の速度に変化した か否かが判別される。 第 2の所定速度 ΤΗΔ P 2は、 マスタシリ ン ダ圧 ΡΜ/C が急激に増加しているか否か、 すなわち、 ブレーキぺダ ル 1 2が高速で操作されているか否かを判別するためのしきい値で ある。
上記ステツプ 2 3 2で、 前回の処理サイクル時から今回の処理サ ィクル時にかけて、 変化速度 Δ ΡΜ/£: が ΤΗΔ Ρ 2を超える速度か ら ΤΗΔ Ρ 2以下の速度に変化していないと判別される場合は、 前 回の処理サイクル時から今回の処理サイクル時にかけてブレーキべ ダル 1 2の高速操作期間が終了していないと判断することができる。 この場合、 以後、 何ら処理が進められることなく今回のルーチンが 終了される。
一方、 上記ステップ 2 3 2で、 前回の処理サイクル時から今回の 処理サイクル時にかけて、 変化速度 Δ ΡΜ/。 が ΤΗΔ Ρ 2を超える 速度から ΤΗΔ Ρ 2以下の速度に変化したと判別される場合は、 前 回の処理サイクル時から今回の処理サイクル時にかけてブレーキべ ダル 1 2の高速操作期間が終了したと判断することができる。 この 場合、 次にステップ 2 3 4の処理が実行される。
ステップ 2 3 4では、 第 1スタンバイ状態への移行条件が成立し た後に検出されたマスタシリ ンダ圧 PM/C の最大値 PM/CMAXと、 上 記ステップ 2 3 2の条件が成立した直後のマスタシリ ンダ圧 PM/C との差 " P Mノ CM A X PM/C " が所定値 7に比して小さいか否かが判 別される。
その結果、 PM/CMAX— PM/C くァが成立すると判別される場合は、
未だブレーキペダル 1 2に対して大きな踏力 Fが加えられていると 判断することができる。 この場合、 次にステツプ 2 3 6の処理が実 行される。 一方、 上記ステップ 2 3 4の条件が成立しないと判別さ れる場合は、 ブレーキペダル 1 2の踏み込みが既に緩められている と判断することができる。 この場合、 以後、 第 2スタンバイ状態へ 移行するための処理が進められることなく今回のルーチンが終了さ れる。
ステップ 2 3 6では、 第 2ス夕ンバイ状態への移行条件が成立し たことを表すべく、 フラグ X STANBY 2がォン状態とされる。 本ステップ 2 3 6の処理が終了すると、 今回のルーチンが終了され な o
図 1 0は、 B A制御を開始するための条件判定、 および、 開始増 圧モードの増圧時間 TSAT の演算を行うべく E CU 1 0が実行する 制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。 図 1 0に示すルーチ ンは、 所定時間毎に起動される定時割り込みル一チンである。 図 1 0に示すルーチンが起動されると、 先ずステツプ 2 4 0の処理が実 行される。
ステップ 2 4 0では、 フラグ X S T AN B Y 2がオン状態である か否かが判別される。 その結果、 X S TANB Y 2 = ONが成立し ないと判別される場合は、 B A制御を開始する必要がないと判断す ることができる。 この場合、 以後、 何ら処理が進められることなく 今回のルーチンが終了される。 一方、 X S T AN B Y 2 = ONが成 立すると判別される場合は、 次にステツプ 2 4 2の処理が実行され る。
ステップ 2 4 2では、 増圧時間 TSTA の基準値である基準増圧時 間 TSTA。が演算される。 基準増圧時間 TSTA。は、 E CU 1 0に記憶 されているマツプを参照して、 緊急ブレーキ操作の過程で生じたブ レーキペダル 1 2の操作速度に基づいて、 具体的には、 第 1スタン バイ状態への移行条件が成立した後に検出された変化速度 Δ PM/C
の最大値 Δ ΡΜΑΧ に基づいて決定される。
図 1 1 は、 上記ステップ 2 4 2で参照されるマップの一例を示す。 本実施例において、 基準増圧時間 TSTA。のマップは、 最大変化速度 Δ ΡΜΑΧ が大きいほど基準増圧時間 TSTA。が長時間となるように設 定されている。 このため、 基準増圧時間 TSTA0は、 緊急ブレーキ操 作の過程でブレーキペダル 1 2に高速の操作速度が生ずるほど長時 間に設定される。 上記の処理が終了すると、 次にステツプ 2 4 4の 処理が実行される。
ステップ 2 4 4では、 B A制御の開始夕イ ミ ングが到来している か否かが判別される。 上述の如く、 本実施例においては、 緊急ブ レーキ操作が実行された後、 ホイルシリ ンダ圧 P w/c の昇圧を図る うえで、 アキュムレータ 2 8を液圧源とする方がハイ ドロブース夕 3 6を液圧源とするより有利な状態が形成された時点で、 すなわち、 マスタシリ ンダ圧 PM/C とホイルシリ ンダ圧 Pw/C との偏差 Pdiff が十分に小さくなつた時点で B A制御を開始する。 本ステップ 2 4 4では、 かかる開始タイ ミ ングが到来しているか否かが判別される。 その結果、 BA制御の開始タイ ミ ングが到来していないと判別され る場合は、 以後、 何ら処理が進められることなく今回のル一チンが 終了される。 一方、 B A制御の開始タイ ミ ングが到来していると判 別される場合は、 次にステップ 2 4 6の処理が実行される。
ステップ 2 4 6では、 マスタシリ ンダ圧 PM/C が所定圧力 P。 に 比して大きいか否かが判別される。 B A制御が開始された後、 ホイ ルシリ ンダ圧 Pw/C は、 アキュムレータ 2 8を液圧源として昇圧さ れる。 アキュムレータ 2 8を液圧源としてホイルシリ ンダ圧 Pw/C を増圧する際に生ずる変化速度 Δ Pw/C は、 ホイルシリ ンダ圧 Pw/ c とアキュムレータ圧 PACC との差圧が小さくなるに連れて低下す る。 従って、 B A制御が開始された後、 開始増圧モードを実行する ことで所定のアシスト圧 P aを発生させるためには、 B A制御の開 始時におけるホイルシリ ンダ圧 P w/c が高圧であるほど、 増圧時間
T sTA を長時間とする必要がある。
上記ステップ 2 4 6で、 PM/C > P。 が成立すると判別される場 合は、 B A制御の開始時に高圧のホイルシリ ンダ圧 PW/C が発生し ていると判断できる。 この場合、 増圧時間 TSTA を長時間とするた め、 次にステップ 2 4 8の処理が実行される。 一方、 PM/C > P o が成立しないと判別される場合は、 B A制御の開始時におけるホイ ルシリ ンダ圧 Pw/C が低圧であると判断できる。 この場合、 増圧時 間 TSTA を短時間とするため、 次にステップ 2 5 0の処理が実行さ れる。
ステップ 2 4 8では、 上記ステップ 2 4 2で演算された基準増圧 時間 TSTA。に補正計数 を乗算することにより増圧時間 Tsta が 演算される。 補正計数 は、 長時間の増圧時間 TSTA を設定すベ く予め設定された補正計数である。
ステップ 2 5 0では、 上記ステップ 2 4 2で演算された基準増圧 時間 TSTA。に補正計数 KS を乗算することにより増圧時間 T s τ A が 演算される。 補正計数 Ks は、 短時間の増圧時間 TSTA を設定すベ く予め設定された補正計数である。 上記ステップ 2 4 8の処理、 ま たは、 上記ステツプ 2 5 0の処理が終了すると、 次にステツプ 2 5 2の処理が実行される。
ステップ 2 5 2では、 フラグ X S TAN B Y 2をオフ状態とする 処理が実行されると共に、 B A制御の開始を許可するための処理が 実行される。 本ステップ 2 5 2の処理が実行されると、 以後、 制動 力制御装置において B A制御の実行が可能となる。 本ステップ 2 5 2の処理が終了すると、 今回のルーチンが終了される。
図 1 2乃至図 1 8は、 制動力制御装置において B A機能を実現さ せるべく E CU 1 0が実行する制御ルーチンの一例のフローチヤ一 トを示す。 本ルーチンは、 上記ステップ 2 5 2で BA制御の実行が 許可された後に繰り返し起動されるルーチンである。 本ルーチンが 起動されると、 先ずステップ 2 6 0の処理が実行される。
ステップ 2 6 0では、 BA制御が開始された後、 既に (I)開始増 圧モードが終了しているか否かが判別される。 その結果、 未だ (I) 開始増圧モ一ドが終了していないと判別される場合は、 次にステツ プ 2 6 2の処理が実行される。
ステップ 2 6 2では、 タイマ TM0DEがリセッ トされる。 タイマ T
MO D Eは、 所定の上限値に向けて常時カウン トアップを続けるタイマ である。 本ルーチンにおいて、 夕イマ TM0DEは、 BA機能を実現す るための各制御モードの継続時間を計数するタイマとして用いられ る。 本ステップ 2 6 2の処理が終了すると、 次にステップ 2 6 4の 処理が実行される。
ステップ 2 6 4では、 制動力制御装置を、 上記図 4に示すァシス ト圧増圧状態とするための処理が実行される。 本ステップ 2 6 4の 処理が実行されると、 以後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C は、 アキュムレータ 2 8を液圧源として所定の変化率で昇圧し始める。 本ステツプ 2 6 4の処理が終了すると、 次にステツプ 2 6 6の処理 が実行される。
ステップ 2 6 6では、 タイマ TM0DEの計数値が、 上記ステップ 2 4 8または 2 5 0で演算された増圧時間 TSTA を超えているか否か が判別される。 その結果、 TM。DE> TSTA が成立しないと判別され る場合は、 再び上記ステップ 2 6 4の処理が実行される。 上記の処 理によれば、 BA制御が開始された後、 増圧時間 TSTA が経過する までの間、 制動力制御装置を継続的にアシスト圧増圧状態に維持す ることができる。 本実施例において、 上記ステツプ 2 6 0〜 2 6 6 の処理は、 (I)開始増圧モードを実現している。
上述の如く、 増圧時間 TSTA は、 緊急ブレーキ操作の過程でブ レーキペダル 1 2が高速で操作されるほど、 すなわち、 緊急ブレー キ操作が速やかな制動力の立ち上がりを要求するものであるほど、 長時間に設定される。 また、 増圧時間 TSTA は、 (I)開始増圧モ一 ドの実行中におけるホイルシリ ンダ圧 Pw/c の増圧勾配を考慮して、
B A制御開始時におけるマスタシリ ンダ圧 PM/C に基づいて補正さ れている。 このため、 本実施例の制動力制御装置によれば、 (I)開 始増圧モ一ドを実行することで、 運転者の意図が正確に反映された アシス ト圧 P aを発生させることができる。
ところで、 本実施例においては、 (I)開始増圧モー ドの増圧時間 TSTA を適宜設定することで、 運転者の意図をアシス ト圧 P aに反 映させることとしているが、 アシス ト圧 P aに運転者の意図を反映 させる手法はこれに限定されるものではなく、 緊急ブレーキ操作の 過程で生じたブレーキ操作速度に基づいて (I)開始増圧モードの実 行に伴うホイルシリ ンダ圧 PW/C の増圧勾配を変化させることによ り、 アシス ト圧 P aに運転者の意図を反映させることとしてもよレ、。 本実施例の制動力制御装置においては、 (I)開始増圧モードが開 始された後、 増圧時間 TSTA が経過すると、 上記ステップ 2 6 6で
TM0DE> TSTA が成立すると判別される。 この場合、 (I)開始増圧 モー ドを終了して他の制御モードを開始すべく、 以後、 ステップ 2 6 8以降の処理が実行される。
図 1 9は、 (I)開始増圧モ一ドに次いで実行される制御モードを、 (I)開始増圧モードの終了時における変化速度 Δ PM/C との関係で 表したテーブル (以下、 開始増圧終了時テーブルと称す) を示す。 本実施例においては、 ステップ 2 6 8以降の処理により、 図 1 9に 示す開始増圧終了時テーブルと対応するように (I)開始増圧モード に次いで実行される制御モードが決定される。
ステップ 2 6 8では、 (I)開始増圧モードの終了時にマスタシリ ンダ圧 ΡΜ/C に生じている変化速度 Δ PM/C が取り込まれる。
ステップ 2 7 0では、 上記の如く取り込んだ変化速度 Δ PM/C が、 正の所定値 Δ を超えているか否かが判別される。 その結果、 Δ PM/C > Δ P 1 (> 0 ) が成立すると判別される場合は、 運転者に よって制動力を増加させることが要求されていると判断できる。 こ の場合、 開始増圧モ一ドに続く制御モードが(II)アシスト圧増圧
モードに決定され、 次にステツプ 2 7 2の処理が実行される。
ステップ 2 7 2では、 (II)アシスト圧増圧モー ドを開始すべく、 制動力制御装置を上記図 4 に示すアシスト圧増圧状態とする処理が 実行される。 本ステップ 2 7 2の処理が実行されると、 以後、 各車 輪のホイルシリ ンダ圧 P w/c は、 アキュムレータ 2 8を液圧源とし て速やかに昇圧される。 本ステップ 2 7 2の処理が終了すると、 次 にステップ 2 7 4の処理が実行される。
ステップ 2 7 4では、 現在実行されている制御モ一ドが(II)ァシ スト圧増圧乇一ドであることを表すべく、 フラグ X P A I N Cをォ ン状態とする処理が実行される。 本ステップ 2 7 4の処理が終了す ると、 今回のルーチンが終了される。
上記ステップ 2 7 0で、 Δ ΡΜ/C > Δ P 1 が成立しないと判別さ れた場合は、 次にステップ 2 7 6の処理が実行される。
ステップ 2 7 6では、 上記ステップ 2 6 8で取り込んだ変化速度 Δ PM/C 、 負の所定値 Δ Ρ 2 を下回っているか否かが判別される。 その結果、 A PM/C < Δ Ρ 2 (く 0 ) が成立すると判別される場合 は、 運転者によって制動力を減少させることが要求されていると判 断できる。 この場合、 (I)開始増圧モー ドに続く制御モードが (II I)アシスト圧減圧モードに決定され、 次にステップ 2 7 8の処理が 実行される。
ステップ 2 7 8では、 (III)アシスト圧減圧モードを開始すべく、 制動力制御装置を上記図 6に示すアシスト圧減圧状態とする処理が 実行される。 本ステップ 2 7 8の処理が実行されると、 以後、 各車 輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C は、 マスタシリ ンダ圧 PM/C を下限と して減圧される。 本ステップ 2 7 8の処理が終了すると、 次にス テツプ 2 8 0の処理が実行される。
ステップ 2 8 0では、 現在実行されている制御モードが (III)ァ シスト圧減圧モードであることを表すべく フラグ X P AR E Dをォ ン状態とする処理が実行される。 本ステップ 2 8 0の処理が終了す
ると、 今回のルーチンが終了される。
上記ステップ 2 7 6で、 A PM/C < Δ P 2 が成立しないと判別さ れた場合、 すなわち、 開始増圧モードが終了した時点で変化速度△ PM/C が " 0 " 近傍に維持されていると判断される場合は、 運転者 によって制動力を保持することが要求されていると判断できる。 こ の場合、 次にステップ 2 8 2の処理が実行される。
ステップ 2 8 2では、 (IV)アシスト圧保持モードを開始すべく、 制動力制御装置を上記図 5に示すアシスト圧保持状態とする処理が 実行される。 本ステップ 2 8 2の処理が実行されると、 以後、 各車 輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C は、 増減されることなく一定値に保持 される。 本ステップ 2 8 2の処理が終了すると、 次にステップ 2 8 4の処理が実行される。
ステップ 2 8 4では、 現在実行されている制御モ一ドが(IV)ァシ スト圧保持モードであることを表すべく フラグ X P AH O L Dをォ ン状態とする処理が実行される。 本ステップ 2 8 4の処理が終了す ると、 今回のルーチンが終了される。
上記ステップ 2 6 0〜2 8 4の処理が実行された後、 再び本ルー チンが起動された際には、 上記ステップ 2 6 0で、 既に (I)開始増 圧モードが終了していると判別される。 この場合、 ステップ 2 6 0 に次いで、 ステップ 2 8 6の処理が実行される。
ステップ 2 8 6では、 その時点で発生しているマスタシリ ンダ圧 PM/C 、 および、 その変化速度 Δ ΡΜ/C を取り込む処理が実行され る。 本ステツプ 2 8 6の処理が終了すると、 次にステツプ 2 8 8の 処理が実行される。
ステップ 2 8 8では、 制動力制御装置において現在実行されてい る制御モードが判別される。 本ステップ 2 8 8では、 フラグ X P A I N Cがオン状態である場合は、 現在実行中の制御モードが(II)ァ シスト圧増圧モードであると判別される。 この場合、 本ステップ 2 8 8に次いで、 図 1 3に示すステツプ 2 9 0の処理が実行される。
図 2 0は、 現在実行中の制御モードがアシス ト圧増圧モー ドであ る場合に、 次に実行される制御モードを、 マス夕シリ ンダ圧 P M/C の変化速度 Δ Ρ Μ/C との関係で表したテーブル (以下、 増圧時テー ブルと称す) を示す。 本実施例では、 ステップ 2 9 0以降の処理に より、 図 2 0に示す増圧時テーブルと対応するように(I I)アシス ト 圧増圧モ一ドに次いで実行される制御モードが決定される。
ステップ 2 9 0では、 マスタシリ ンダ圧 P M/C に正の所定値△ P
3 を超える変化速度 Δ PM/C が生じているか否かが判別される。 そ の結果、 A P M/C > Δ Ρ 3 ( > 0 ) が成立すると判別される場合は、 運転者によって制動力を増加させることが要求されていると判断で きる。 この場合、 本ステツプ 2 9 0に次いでステツプ 2 9 2の処理 が実行される。 一方、 上記の条件を満たす変化速度 Δ P M/C が生じ ていないと判別される場合は、 運転者によって制動力を保持するこ とが要求されていると判断できる。 この場合、 本ステップ 2 9 0に 次いでステップ 2 9 4の処理が実行される。
ステップ 2 9 2では、 制動力の更なる増加を可能とすべく、 引続 き(Π)アシス ト圧増圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (I I)アシスト圧増圧モードを要求モー ドとする処理が実行される。 ステップ 2 9 4では、 制動力の保持を可能とすべく、 (IV)アシス ト圧保持モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (IV)アシス ト圧 保持モードを要求モードとする処理が実行される。 上記ステップ 2 9 2の処理、 または、 本ステツプ 2 9 4の処理が終了すると、 以後 図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。
本ルーチンにおいて、 上記ステップ 2 8 8で、 フラグ X P A R E Dがオン状態であると判別される場合は、 現在実行中の制御モード が (I I I)アシスト圧減圧モー ドであると判断される。 この場合、 上 記ステツプ 2 8 8に次いで、 図 1 4に示すステツプ 2 9 6の処理が 実行される。
図 2 1 は、 現在実行中の制御モードが (III)アシスト圧減圧モー
ドである場合に、 次に実行される制御モードを、 マスタシリ ンダ圧
PM/C の変化速度 Δ ΡΜ/C との関係で表したテーブル (以下、 減圧 時テーブルと称す) を示す。 本実施例では、 ステップ 2 9 6以降の 処理により、 図 2 1 に示す減圧時テーブルと対応するように (III) アシスト圧減圧モードに次いで実行される制御モ一ドが決定される。 ステップ 2 9 6では、 マス夕シリ ンダ圧 PM/C に負の所定値 Δ Ρ 4 を下回る変化速度△ PM/C が生じているか否かが判別される。 そ の結果、 Δ ΡΜ/C < Δ Ρ4 (く 0 ) が成立すると判別される場合は、 運転者によって制動力を減少させることが要求されていると判断で きる。 この場合、 本ステツプ 2 9 6に次いでステツプ 2 9 8の処理 が実行される。 一方、 上記の条件を満たす変化速度 Δ PM/C が生じ ていないと判別される場合は、 運転者によって制動力を保持するこ とが要求されていると判断できる。 この場合、 本ステップ 2 9 6に 次いでステップ 3 0 0の処理が実行される。
ステップ 2 9 8では、 制動力の更なる減少を可能とすべく、 引続 き (III)アシスト圧減圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (III)アシスト圧減圧モードを要求モードとする処理が実行される。 ステップ 3 0 0では、 制動力の保持を可能とすべく、 (IV)アシス ト圧保持モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (IV)アシス ト圧 保持モードを要求モードとする処理が実行される。 上記ステップ 2 9 8の処理、 または、 本ステツプ 3 0 0の処理が終了すると、 以後 図 1 8に示すステップ 3 4 2の処理が実行される。
本ルーチンにおいて、 上記ステップ 2 8 8でフラグ X PAHO L Dがオン状態であると判別される場合は、 現在実行中の制御モード が(IV)アシスト圧保持モードであると判断される。 この場合、 上記 ステツプ 2 8 8に次いで、 図 1 5に示すステツプ 3 0 2の処理が実 行される。
図 2 2は、 現在実行中の制御モードがアシスト圧保持モ一 ドであ る場合に、 次に実行される制御モー ドを、 ①マスタシリ ンダ圧 PM/
c の変化速度 Δ ΡΜ/C と、 ②マスタシリ ンダ圧 PM/C の変化量 " P
M/C - P STA " との関係で表したテーブル (以下、 保持時テーブル と称す) を示す。 本実施例では、 ステップ 3 0 2以降の処理により、 図 2 2に示す保持時テーブルと対応するように(IV)アシスト圧保持 モー ドに次いで実行される制御モードが決定される。 尚、 図 2 2に 示す変化量 "PM/C - P STA " は、 現在のマスタシリ ンダ圧 PM/C と、 現在の制御モードが開始される時点で検出されたマスタシリ ン ダ圧 PM/C (以下、 開始時マスタシリ ンダ圧 P STA と称す) との差、 すなわち、 現在の制御モ一ドが開始された後にマスタシリ ンダ圧 P M/C に生じた変化量に相当する値である。
ステップ 3 0 2では、 マスタシリ ンダ圧 PM/C に正の所定値 Δ Ρ
5 を超える変化速度 Δ PM/C が生じており、 かつ、 正の所定値 を超える変化量 PM/C — P STA が生じているか否かが判別される。 その結果、 Δ ΡΜ/C > Δ P 5 ( > 0 ) が成立し、 かつ、 PM/C - P STA > P 1 0 0 ) が成立する場合は、 制動力の保持を意図してい た運転者が、 制動力を速やかに増加させることを意図し始めたと判 断することができる。 この場合、 本ステップ 3 0 2に次いで、 ス テツプ 3 0 4の処理が実行される。
ステップ 3 0 4では、 制動力の速やかな立ち上がりを可能とすべ く、 (II)アシスト圧増圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、
(II)アシスト圧増圧モードを要求モードとする処理が実行される。 本ステツプ 3 0 4の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ
3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 0 2の条件が成立しない場合は、 運転者が 制動力を速やかに立ち上げることを意図していないと判断できる。 この場合、 次にステップ 3 0 6の処理が実行される。
ステップ 3 0 6では、 マス夕シリ ンダ圧 PM/C に負の所定値 Δ Ρ 6 を下回る変化速度△ PM/C が生じており、 かつ、 負の所定値 P 4 を下回る変化量 PM/C - P STA が生じているか否かが判別される。
その結果、 Δ ΡΜ/C < Δ P e ( < 0 ) が成立し、 かつ、 PM/C — P
STA く P 4 (< 0 ) が成立する場合は、 制動力の保持を意図してい た運転者が、 制動力を速やかに減少させることを意図し始めたと判 断することができる。 この場合、 本ステツプ 3 0 6に次いで、 ス テツプ 3 0 8の処理が実行される。
ステップ 3 0 8では、 制動力を速やかに減少させるベく、 (III) アシス ト圧減圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (III)ァ シスト圧減圧モードを要求モ一 ドとする処理が実行される。 本ス テツプ 3 0 8の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 0 6の条件が成立しない場合は、 運転者が 制動力を速やかに減少させることを意図していないと判断できる。 この場合、 次にステップ 3 1 0の処理が実行される。
ステップ 3 1 0では、 タイマ TM。DEの計数値が所定時間 TM。DE1 に達しているか否かが判別される。 所定時間 TM0DE1 は、 運転者が 制動力を速やかに変化させることを意図してブレーキペダル 1 2を 操作した場合に、 変化量 PM/C - PSTA が所定値 以上、 或いは、 所定値 P 4 以下となるのに要する時間の上限値とほぼ等しい値であ る。 従って、 TM0DE≥TM0DE1 が成立していない場合は、 上記ス テツプ 3 0 2の条件および上記ステップ 3 0 6の条件が、 何れも成 立しない場合であっても、 制動力を速やかに変化させることを意図 するブレーキ操作の可能性を否定することができない。 この場合、 次にステップ 3 1 2の処理が実行される。
ステップ 3 1 2では、 引続き(IV)アシスト圧保持モードの実行を 要求する処理、 すなわち、 (IV)アシスト圧保持モードを要求モード とする処理が実行される。 本ステップ 3 1 2の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。
上記ステツプ 3 0 2の条件および上記 3 0 6の条件が何れも成立 しない状況下で、 上記ステップ 3 1 0において TM0DE≥ TM0DE1 が
成立すると判別された場合は、 運転者によって制動力を速やかに変 化させることを意図するブレーキ操作が行われていないと判断する ことができる。 この場合、 上記ステップ 3 1 0に次いでステップ 3 1 4の処理が実行される。
ステップ 3 1 4では、 マス夕シリ ンダ圧 P M/C に、 正の所定値 P
2 を超える変化量 P M/C - P STA が生じているか否かが判別される c その結果、 P M/C _ P STA > P 2 ( > 0 ) が成立する場合は、 制動 力の保持を意図していた運転者が、 制動力を緩やかに増加させるこ とを意図し始めたと判断することができる。 この場合、 本ステップ 3 1 4に次いで、 ステップ 3 1 6の処理が実行される。
ステップ 3 1 6では、 制動力を緩やかに増加させるベく、 (V)ァ シスト圧緩増モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (V)アシス ト圧緩増モ一ドを要求モードとする処理が実行される。 本ステップ 3 1 6の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処 理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 1 4の条件が成立しない場合は、 運転者が (V)アシスト圧緩増モー ドの実行を要求していないと判断すること ができる。 この場合、 上記ステップ 3 1 4に次いで、 ステップ 3 1 8の処理が実行される。
ステップ 3 1 8では、 マスタシリ ンダ圧 PM/C に、 負の所定値 P を下回る変化量 P - P が生じているか否かが判別される c その結果、 P M/C - P く P 2 ( < 0 ) が成立する場合は、 制動 力の保持を意図していた運転者が、 制動力を緩やかに減少させるこ とを意図し始めたと判断することができる。 この場合、 本ステップ 3 1 8に次いで、 ステップ 3 2 0の処理が実行される。
ステップ 3 2 0では、 制動力を緩やかに減少させるベく、 (VI)ァ シスト圧緩減モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (VI)アシス ト圧緩減モ一ドを要求モードとする処理が実行される。 本ステップ 3 2 0の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処
理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 1 8の条件が成立しない場合は、 運転者が 制動力を保持することを意図している、 すなわち、 運転者が引続き (IV)アシスト圧保持モードの実行を要求していると判断できる。 こ の場合、 上記ステップ 3 1 8に次いで、 上述したステップ 3 1 2の 処理が実行される。
本ルーチンにおいて、 上記ステツプ 2 8 8で、 フラグ X P A S L
1 N Cがオン状態であると判別される場合は、 現在実行中の制御 モードが (V)アシス ト圧緩増モードであると判断される。 この場合、 上記ステツプ 2 8 8に次いで、 図 1 6に示すステツプ 3 2 2の処理 が実行される。 尚、 フラグ X P A S L I N Cは、 後述の如く、 制御 モ一ドとして (V)アシスト圧緩増モ一ドが選択された際にオンとさ れるフラグである。
図 2 3は、 現在実行中の制御モードがアシスト圧緩増モ一ドであ る場合に、 次に実行される制御モー ドを、 ①マスタシリ ンダ圧 PM/ c の変化速度 Δ ΡΜ/C と、 ②マスタシリ ンダ圧 PM/C の変化量 PM/
C - P STA との関係で表したテーブル (以下、 緩増時テーブルと称 す) を示す。 本実施例では、 ステップ 3 2 2以降の処理により、 図
2 3に示す緩増時テーブルと対応するように (V)アシスト圧緩増 モードに次いで実行される制御モードが決定される。
ステップ 3 2 2では、 マス夕シリ ンダ圧 PM/C に正の所定値 Δ Ρ
7 を超える変化速度△ PM/C が生じており、 かつ、 正の所定値 P 5 を超える変化量 PM/C - P STA が生じているか否かが判別される。 その結果、 A PM/C > Δ P 7 (> 0 ) が成立し、 かつ、 PM/C - P STA > P 5 ( > 0 ) が成立する場合は、 制動力を緩やかに増加させ ることを意図していた運転者が、 制動力を速やかに増加させること を意図し始めたと判断することができる。 この場合、 本ステップ 3 2 2に次いで、 ステップ 3 2 4の処理が実行される。
ステップ 3 2 4では、 制動力の速やかな立ち上がりを可能とすべ
く、 (II)アシス ト圧増圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (II)アシスト圧増圧モードを要求モー ドとする処理が実行される。 本ステツプ 3 2 4の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 2 2の条件が成立しない場合は、 運転者が 制動力を速やかに増加させることを意図していないと判断できる。 この場合、 次にステップ 3 2 6の処理が実行される。
ステップ 3 2 6では、 タイマ TM。DEの計数値が所定時間 TM。DE2 に達しているか否かが判別される。 本実施例の制動力制御装置にお いて、 (V)アシスト圧緩増モードは、 上記図 4に示すアシス ト圧増 圧状態と上記図 5に示すアシスト圧保持状態とが繰り返されること で実現される。 所定時間 TM。DE2 は、 (V)アシス ト圧緩増モー ドの 実行が要求された場合に、 制動力制御装置をアシスト圧増圧状態に 維持すべき時間として定められている時間である。
従って、 上記ステップ 3 2 6で TM0DE≥ TM0DE2 が成立すると判 別される場合は、 制動力制御装置をアシスト圧増圧状態に維持すベ き期間が終了している、 すなわち、 制動力制御装置をアシス ト圧保 持状態とすべき時期が到来していると判断することができる。 この 場合、 上記ステップ 3 2 6に次いで、 ステップ 3 2 8の処理が実行 される。
ステップ 3 2 8では、 (IV)アシスト圧保持モードの実行を要求す る処理、 すなわち、 (IV)アシスト圧保持モードを要求モードとする 処理が実行される。 本ステップ 3 2 8の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステップ 3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 2 6で TM0DE≥ TM0DE2 が成立しないと判 別される場合は、 制動力制御装置をアシスト圧増圧状態に維持すベ き期間が終了していないと判断することができる。 この場合、 上記 ステップ 3 2 6に次いで、 ステップ 3 3 0の処理が実行される。 ステップ 3 3 0では、 (V)アシスト圧緩増モー ドの実行を要求す
る処理、 すなわち、 (V)アシスト圧緩増モードを要求モードとする 処理が実行される。 本ステップ 3 3 0の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。 上記の処理によれ ば、 (V)アシス ト圧緩増モー ドの実行が要求され始めた後、 (II)ァ シスト圧増圧モ一ドを要求する条件 (上記ステップ 3 2 2の条件) が成立しない場合には、 所定期間 TM。DE2 に渡ってその要求を維持 した後に、 要求モードを(IV)アシスト圧保持モ一 ドに変更すること ができる。 本ルーチンにおいて、 上記ステップ 2 8 8で、 フラグ X P A S L R E Dがオン状態であると判別される場合は、 現在実行 中の制御モードが(VI)アシスト圧緩減モードであると判断される。 この場合、 上記ステツプ 2 8 8に次いで、 図 1 7に示すステツプ 3 3 2の処理が実行される。 尚、 フラグ X P A S L R E Dは、 後述の 如く、 制御モードとして(VI)アシスト圧緩減モ一ドが選択された際 にオンとされるフラグである。
図 2 4は、 現在実行中の制御モードが(VI)アシスト圧緩減モード である場合に、 次に実行される制御モー ドを、 ①マスタシリ ンダ圧
PM/C の変化速度 Δ ΡΜ/C と、 ②マスタシリ ンダ圧 PM/C の変化量 PM/C - P STA との関係で表したテーブル (以下、 緩減時テーブル と称す) を示す。 本実施例では、 ステップ 3 3 2以降の処理により、 図 2 4に示す緩減時テーブルと対応するように(VI)アシスト圧緩減 モー ドに次いで実行される制御モードが決定される。
ステップ 3 3 2では、 マスタシリ ンダ圧 PM/C に負の所定値 Δ Ρ
8 を下回る変化速度 Δ PM/C が生じており、 かつ、 負の所定値 P 6 を下回る変化量 PM/C - P STA が生じているか否かが判別される。 その結果、 Δ ΡΜ/C < Δ P 8 (く 0 ) が成立し、 かつ、 PM/C - P
STA < P 6 (< 0 ) が成立する場合は、 制動力を緩やかに減少させ ることを意図していた運転者が、 制動力を速やかに減少させること を意図し始めたと判断することができる。 この場合、 本ステップ 3 3 2に次いで、 ステップ 3 3 4の処理が実行される。
ステップ 3 3 4では、 制動力を速やかに減少させるベく、 (III) アシス ト圧減圧モー ドの実行を要求する処理、 すなわち、 (III)ァ シスト圧減圧モードを要求モー ドとする処理が実行される。 本ス テツプ 3 3 4の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 3 2の条件が成立しない場合は、 運転者が 制動力を速やかに減少させることを意図していないと判断できる。 この場合、 次にステップ 3 3 6の処理が実行される。
ステップ 3 3 6では、 タイマ TM。DEの計数値が所定時間 TM。DE3 に達しているか否かが判別される。 本実施例の制動力制御装置にお いて、 (VI) アシス ト圧緩減モードは、 上述の如く、 アシス ト圧減 圧状態とアシスト圧保持状態とが繰り返されることで実現される。 所定時間 TM。DE3 は、 (VI) アシス ト圧緩減モー ドの実行が要求さ れた場合に、 制動力制御装置をアシスト圧減圧状態に維持すべき時 間として定められている時間である。
従って、 上記ステップ 3 3 6で TM0DE≥ TM0DE3 が成立すると判 別される場合は、 制動力制御装置をアシスト圧減圧状態に維持すベ き期間が終了している、 すなわち、 制動力制御装置をアシス ト圧保 持状態とすべき時期が到来していると判断することができる。 この 場合、 上記ステップ 3 3 6に次いで、 ステップ 3 3 8の処理が実行 される。
ステップ 3 3 8では、 (IV)アシスト圧保持モードの実行を要求す る処理、 すなわち、 (IV)アシス ト圧保持モードを要求モードとする 処理が実行される。 本ステップ 3 3 8の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステップ 3 4 2の処理が実行される。
一方、 上記ステップ 3 3 6で TM0DE≥ TM0DE3 が成立しないと判 別される場合は、 制動力制御装置をアシスト圧減圧状態に維持すベ き期間が終了していないと判断することができる。 この場合、 上記 ステップ 3 3 6に次いで、 ステップ 3 4 0の処理が実行される。
—ステップ 3 4 0では、 引続き(VI)アシスト圧緩減モー ドの実行を 要求する処理、 すなわち、 (VI)アシス ト圧緩減モー ドを要求モード とする処理が実行される。 本ステップ 3 4 0の処理が終了すると、 次に図 1 8に示すステツプ 3 4 2の処理が実行される。 上記の処理 によれば、 (V I)アシスト圧緩減モードの実行が要求され始めた後、 ( I I I)アシスト圧減圧モードを要求する条件 (上記ステップ 3 3 2 の条件) が成立しない場合には、 所定期間 T M。D E 3 に渡ってその要 求を維持した後、 要求モードを(IV)アシスト圧保持モー ドに変更す ることができる。
上述の如く、 本ルーチンによれば、 上記ステップ 2 8 6〜 3 4 0 の処理を実行することで、 現在実行されている制御モードと運転者 のブレーキ操作とに基づいて、 次に実行すべき制御モードを決定し、 かつ、 その制御モードを要求モードとして定めることができる。 ステップ 3 4 2では、 (Π)アシスト圧増圧モ一ドの実行が要求さ れているか否かが判別される。 その結果、 (I I)アシスト圧増圧モー ドが要求されていると判別される場合は、 次にステップ 3 4 4の処 理が実行される。
ステップ 3 4 4では、 フラグ X P A I N Cをオンとし、 かつ、 他 の制御モードに対応するフラグをオフとする処理が実行される。 本 ステップ 3 4 4の処理が実行されると、 次回の処理サイクル時に、 実行中の制御モードが(I I)アシスト圧増圧モードであると判断され る。 本ステツプ 3 4 4の処理が終了すると、 次にステツプ 3 4 6の 処理が実行される。
ステップ 3 4 6では、 制動力制御装置を上記図 4に示すァシスト 圧増圧状態とする処理が実行される。 本ステップ 3 4 6の処理が実 行されると、 以後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 P w/C がアキュム レー夕 2 8を液圧源として速やかに昇圧される。 本ステップ 3 4 6 の処理が終了すると、 今回のルーチンが終了される。
上記ステツプ 3 4 2で、 (I I)アシスト圧増圧モー ドの実行が要求
されていないと判別された場合は、 次にステップ 3 4 8の処理が実 行される。
ステップ 3 4 8では、 (I I I )アシス ト圧減圧モ一 ドの実行が要求 されているか否かが判別される。 その結果、 (I I I )アシスト圧減圧 モー ドが要求されていると判別される場合は、 次にステップ 3 5 0 の処理が実行される。
ステップ 3 5 0では、 フラグ X P A R E Dをオンとし、 かつ、 他 の制御モー ドに対応するフラグをオフとする処理が実行される。 本 ステップ 3 5 0の処理が実行されると、 次回の処理サイクル時に、 実行中の制御モー ドが (I I I)アシス ト圧減圧モー ドであると判断さ れる。 本ステップ 3 5 0の処理が終了すると、 次にステップ 3 5 2 の処理が実行される。
ステップ 3 5 2では、 制動力制御装置を上記図 6に示すアシス ト 圧減圧状態とする処理が実行される。 本ステップ 3 5 2の処理が実 行されると、 以後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 P w/ C カ^ マスタシ リ ンダ圧 P M/c を下限値として速やかに減圧される。 本ステップ 3 5 2の処理が終了すると、 今回のルーチンが終了される。
上記ステツプ 3 4 8で、 (I I I )アシス ト圧減圧モー ドの実行が要 求されていないと判別された場合は、 次にステップ 3 5 4の処理が 実行される。
ステップ 3 5 4では、 (V)アシス ト圧緩増モー ドの実行が要求さ れているか否かが判別される。 その結果、 (V)アシス ト圧緩増モー ドが要求されていると判別される場合は、 次にステップ 3 5 6の処 理が実行される。
ステップ 3 5 6では、 前回の処理サイクル時から今回の処理サイ クル時にかけて要求モー ドが変化したか否かが判別される。 その結 果、 要求モー ドが変化したと判別される場合は、 (V)アシス ト圧緩 増モー ドが今回の処理サイクル時以降実行されると判断できる。 こ の場合、 次にステップ 3 5 8の処理が実行される。 一方、 前回の処
理サイクル時から今回の処理サイクル時にかけて要求モードが変化 していないと判別される場合は、 (V)アシスト圧緩増モ一ドが前回 の処理サイクル以前から実行されている判断できる。 この場合、 ス テツプ 3 5 8の処理がジャンプされ、 次にステップ 3 6 0の処理が 実行される。
ステップ 3 5 8では、 現在のマスタシリ ンダ圧 P M/C を開始時マ ス夕シリ ンダ圧 P sTA として記憶すると共に、 タイマ TM0DEの計数 値を " 0 " にクリァする処理が実行される。 本ステツプ 3 5 8の処 理が終了すると、 次にステップ 3 6 0の処理が実行される。 上記の 処理によれば、 (V)アシス ト圧緩増モー ドの実行が新たに開始され る毎に、 開始時マス夕シリ ンダ圧 P STA および夕イマ TM0DEを初期 値にクリァすることができる。
ステップ 3 6 0では、 フラグ X P A S L I N Cをオンとし、 かつ、 他の制御モードに対応するフラグをオフとする処理が実行される。 本ステップ 3 6 0の処理が実行されると、 次回の処理サイクル時に、 実行中の制御モードが (V)アシスト圧緩増モードであると判断され る。 本ステップ 3 6 0の処理が終了すると、 次にステップ 3 6 2の 処理が実行される。
ステップ 3 6 2では、 制動力制御装置を上記図 4に示すアシスト 圧増圧状態とする処理が実行される。 本ステップ 3 6 2の処理が終 了すると、 今回のルーチンが終了される。 上述の如く、 本実施例に おいては、 (V)アシス ト圧緩増モードが要求モードとされた後、 所 定期間 TM0DE 2 が経過した時点で要求モ一ドが(IV)アシスト圧保持 モードに変更される。 このため、 上記の処理によれば、 (V)アシス ト圧緩増モー ドの実行が要求される毎に、 所定期間 TM0DE 2 を一単 位として、 ホイルシリ ンダ圧 P W/C を段階的に緩やかに昇圧させる ことができる。
上記ステップ 3 5 4で、 (V)アシスト圧緩増モードの実行が要求 されていないと判別された場合は、 次にステップ 3 6 4の処理が実
行される。
ステップ 3 6 4では、 (VI)アシス ト圧緩減モ一 ドの実行が要求さ れているか否かが判別される。 その結果、 (VI)アシス ト圧緩減モー ドの実行が要求されていると判別される場合は、 次にステップ 3 6 6の処理が実行される。
ステツプ 3 6 6では、 前回の処理サイクル時から今回の処理サイ クル時にかけて要求モー ドが変化したか否かが判別される。 その結 果、 要求モー ドが変化したと判別される場合は、 (VI)アシス ト圧緩 減モー ドが今回の処理サイクル時以降実行されると判断できる。 こ の場合、 次にステップ 3 6 8の処理が実行される。 一方、 前回の処 理サイクル時から今回の処理サイクル時にかけて要求モー ドが変化 していないと判別される場合は、 (VI)アシス ト圧緩減モー ドが前回 の処理サイクル時以前から実行されていると判断できる。 この場合、 ステップ 3 6 8の処理がジヤ ンプされ、 次にステップ 3 7 0の処理 が実行される。
ステップ 3 6 8では、 上記ステップ 3 5 8 と同様に、 開始時マス 夕シリ ンダ圧 PSTA およびタイマ TM0DEを初期値にク リアする処理 が実行される。 本ステップ 3 6 8の処理が終了すると、 次にステツ プ 3 7 0の処理が実行される。 上記の処理によれば、 (VI)アシス ト 圧緩増モー ドが新たに開始される毎に、 開始時マスタシリ ンダ圧 P
S T A およびタイマ TM0DEを初期値にク リアすることができる。
ステップ 3 7 0では、 フラグ XPAS L R EDをオンとし、 かつ、 他の制御モー ドに対応するフラグをオフとする処理が実行される。 本ステツプ 3 7 0の処理が実行されると、 次回の処理サイクル時に、 実行中の制御モー ドが(VI)アシスト圧緩減乇一 ドであると判断され る。 本ステツプ 3 7 0の処理が終了すると、 次にステツプ 3 7 2の 処理が実行される。
ステップ 3 7 2では、 制動力制御装置を上記図 6に示すアシス ト 圧減圧状態とする処理が実行される。 本ステップ 3 7 2の処理が終
了すると、 今回のルーチンが終了される。 上述の如く、 本実施例に おいては、 (VI)アシス ト圧緩減モードが要求モードとされた後、 所 定期間 T M。D E 3 が経過した時点で要求モードが(IV)アシスト圧保持 モー ドに変更される。 このため、 上記の処理によれば、 (VI)アシス ト圧緩減モー ドの実行が要求される毎に、 所定期間 TM0DE2 を一単 位として、 ホイルシリ ンダ圧 Pw/c を段階的に緩やかに減圧させる ことができる。
上記ステツプ 3 6 4で、 (VI)アシスト圧緩減モードの実行が要求 されていないと判別された場合は、 (IV)アシスト圧保持モードの実 行が要求されていると判断できる。 この場合、 上記ステップ 3 6 4 に次いで、 ステップ 3 7 4の処理が実行される。
ステップ 3 7 4では、 前回の処理サイクル時から今回の処理サイ クル時にかけて要求モードが変化したか否かが判別される。 その結 果、 要求モードが変化したと判別される場合は、 (IV)アシス ト圧保 持モードが今回の処理サイクル時以降実行されると判断できる。 こ の場合、 次にステップ 3 7 6の処理が実行される。 一方、 前回の処 理サイクル時から今回の処理サイクル時にかけて要求モードが変化 していないと判別される場合は、 (IV)アシスト圧保持モードが前回 の処理サイクル以前から実行されていると判断できる。 この場合、 ステップ 3 7 6の処理がジャンプされ、 次にステップ 3 7 8の処理 が実行される。
ステップ 3 7 6では、 上記ステツプ 3 5 8, 3 6 8 と同様に、 開 始時マスタシリ ンダ圧 PSTA およびタイマ TM0DEを初期値にクリァ する処理が実行される。 本ステップ 3 7 6の処理が終了すると、 次 にステップ 3 7 8の処理が実行される。 上記の処理によれば、 (IV) アシスト圧保持モードが新たに開始される毎に、 開始時マスタシリ ンダ圧 PSTA およびタイマ TM0DEを初期値にクリアすることができ 0
ステップ 3 7 8では、 フラグ X PAHO LDをオンとし、 かつ、
他の制御モードに対応するフラグをオフとする処理が実行される。 本ステツプ 3 7 8の処理が実行されると、 次回の処理サイクルにお いて、 実行中の制御モ一ドが(I V)アシスト圧保持モードであると判 断される。 本ステップ 3 7 8の処理が終了すると、 次にステップ 3 8 0の処理が実行される。
ステップ 3 8 0では、 制動力制御装置を上記図 5に示すアシスト 圧保持状態とする処理が実行される。 本ステップ 3 8 0の処理が実 行されると、 以後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 P w / C を一定値に保 持することができる。 本ステップ 3 8 0の処理が終了すると、 今回 のルーチンが終了される。
上述の如く、 上記図 1 2乃至図 1 8に示すルーチンによれば、 B A制御の実行が開始された後に、 緊急ブレーキ操作の過程で生じた ブレーキ操作速度に応じたアシスト圧 P aを発生させることができ ると共に、 その後、 B A制御の実行に伴って、 マスタシリ ンダ圧 P の増減に対応して、 すなわち、 運転者のブレーキ操作に対応し て、 ホイルシリ ンダ圧 P w/ C を適当に増減させることができる。 従って、 本実施例の制動力制御装置によれば、 運転者によって緊急 ブレーキ操作が行われた際に、 ①速やかに運転者の意図する制動力 を発生させること、 および、 ② B A制御の実行中常に制動力に運転 者の意図を反映させることができる。
尚、 上記の実施例においては、 E C U 1 0が液圧センサ 1 4 4の 出力信号に基づいてマスタシリ ンダ圧 P の変化速度 Δ Ρ を 演算することにより 「操作速度検出手段」 が、 E C U 1 0が上記図 8および図 9に示すルーチンを実行することにより 「緊急ブレーキ 操作検出手段」 カ^ E C U 1 0が上記ステップ 2 4 0, 2 4 2, 2 5 2および 2 6 0〜 2 6 6の処理を実行することにより 「制動油圧 増大手段」 が、 それぞれ実現されている。
また、 上記の実施例においては、 アキュムレータ 2 8力 「第 1ァ シスト圧発生手段」 に相当していると共に、 E C U 1 0が上記ス
テツプ 2 4 0, 2 4 2 , 2 5 2および 2 6 0〜 2 6 6の処理を実行 することにより 「アシス ト時間制御手段」 カ、 E C U 1 0が上記ス テツプ 2 4 6, 2 4 8および 2 5 0の処理を実行することにより 「増圧時間補正手段」 がそれぞれ実現されている。
更に、 上記の実施例においては、 アキュムレータ 2 8、 S T R 9 4および S A-3 9 0力 「第 2アシスト圧発生手段」 に相当している と共に、 第 2スタンバイ状態への以降条件が成立した後に、 E C U 1 0が、 変化速度 Δ Ρ Μ/C の最大値 Δ Ρ μαχ に応じた増圧勾配が実 現されるように、 所定の増圧時間だけ、 所定の周期でアシス ト圧増 圧状態 (上記図 4に示す状態) とアシス ト圧保持状態 (上記図 5に 示す状態) とを繰り返し実現することで 「アシス ト勾配制御手段」 が実現される。
また、 上記の実施例においては、 制動力制御装置の油圧回路が 「制動油圧制御機構」 に相当していると共に、 E C U 1 0が上記ス テツプ 2 6 8〜3 8 0の処理を実行することにより前記請求項 1記 載の 「制動油圧調整手段」 カ^ それぞれ実現されている。
また、 上記の実施例においては、 E C U 1 0が上記ステップ 3 5 6 , 3 5 8 , 3 6 6 , 3 6 8 , 3 7 4および 3 7 6の処理を実行す ることにより 「制動開始時操作程度検出手段」 、 E C U 1 0が上 記ステップ 3 0 2 , 3 0 4, 3 0 6, 3 0 8 , 3 2 2および 3 2 4 の処理を実行することにより 「第 1 の制御状態選択手段」 、 「第 3 の制御状態選択手段」 および 「増圧勾配変更手段」 力 それぞれ実 現されている。
更に、 上記の実施例においては、 E C U 1 0が上記ステップ 2 9 0〜3 0 8, 3 1 2〜 3 2 0 , 3 2 2および 3 2 4の処理を実行す ることにより 「第 2の制御状態選択手段」 が、 E C U 1 0が上記ス テツプ 2 6 8〜2 7 2 , 2 7 6 , 2 7 8および 2 8 2の処理を実行 することにより 「第 4の制御状態選択手段」 が、 それぞれ実現され ている。
—ところで、 上記の実施例においては、 上記図 4に示すアシスト圧 増圧状態と上記図 5に示すアシスト圧保持状態とを繰り返すことで (V)アシスト圧緩増モー ドを実現し、 また、 上記図 6に示すアシス ト圧減圧状態と上記図 5に示すアシスト圧保持状態とを繰り返すこ とで(V I)アシスト圧緩減モードを実現することにより、 (Π )アシス ト圧増圧モードによる増圧勾配と (V)アシスト圧緩増モードによる 増圧勾配、 および、 (Ι Π )アシス ト圧減圧モー ドによる減圧勾配と (V I )アシスト圧緩減モ一ドによる減圧勾配とを異ならせることとし ているが、 本発明はこれに限定されるものではなく、 (Π )アシスト 圧増圧モー ドによって実現される増圧勾配自体、 および、 (I I I )ァ シスト圧減圧モードによって実現される減圧勾配自体を変更するこ とにより同様の機能を実現させることとしてもよい。
次に、 図 2 5乃至図 3 0を参照して、 本発明の第 2実施例につい て説明する。 図 2 5は、 本発明の第 2実施例に対応するポンプアツ プ式制動力制御装置 (以下、 単に制動力制御装置と称す) のシステ ム構成図を示す。 尚、 図 2 5において、 上記図 1 に示す構成部分と 同一の部分については、 同一の符号を付してその説明を省略または 簡略する。
本実施例の制動力制御装置は、 フロン トエンジン · リア ドライブ 式車両 (F R車両) 用の制動力制御装置として好適な装置である。 本実施例の制動力制御装置は、 E C U 1 0により制御されている。
E C U 1 0は、 上述した第 1実施例の場合と同様に、 上記図 8乃至 図 1 0および図 1 2乃至図 1 8に示す制御ルーチンを実行すること で制動力制御装置の動作を制御する。
制動力制御装置は、 ブレーキペダル 1 2を備えている。 ブレーキ ペダル 1 2の近傍には、 ブレーキスィッチ 1 4が配設されている。
E C U 1 0は、 ブレーキスィッチ 1 4の出力信号に基づいてブレー キペダル 1 2が踏み込まれているか否かを判別する。
ブレーキペダル 1 2は、 バキュームブースタ 4 0 0に連結されて
いる。 バキュームブースタ 4 0 0は、 ブレーキペダル 1 2が踏み込 まれた場合に、 ブレーキ踏力 Fに対して所定の倍力比を有するァシ ス ト力 F aを発生する。 バキュームブースタ 4 0 0には、 マスタシ リ ンダ 4 0 2が固定されている。 マス夕シリ ンダ 4 0 2は、 タンデ 厶センタ一バルブタイプのマス夕シリ ンダであり、 その内部に第 1 油圧室 4 0 4および第 2油圧室 4 0 6を備えている。 第 1油圧室 4 0 4および第 2油圧室 4 0 6には、 ブレーキ踏力 Fとアシス ト力 F a との合力に応じたマスタシリ ンダ圧 PM/C が発生する。
マスタシリ ンダ 4 0 2の上部にはリザ一バタンク 4 0 8が配設さ れている。 リザーバタンク 4 0 8には、 フロン ト リザ一バ通路 4 1 0、 および、 リァリザ一バ通路 4 1 2が連通している。 フロ ン ト リ ザ一バ通路 4 1 0には、 フロン ト リザ一バカッ トソレノイ ド 4 1 4 (以下、 S R C F 4 1 4 と称す) が連通している。 同様に、 リァリ ザーバ通路 4 1 2には、 リァリザ一バカッ トソレノイ ド 4 1 6 (以 下、 S R C R 4 1 6 と称す) が連通している。
S R C F 4 1 4には、 更に、 フロ ン トポンプ通路 4 1 8が連通し ている。 同様に、 S R C R 4 1 6には、 リアポンプ通路 4 2 0が連 通している。 S R C F 4 1 4は、 オフ状態とされることでフロ ン ト リザーバ通路 4 1 0 とフロン トポンプ通路 4 1 8 とを遮断し、 かつ、 オン状態とされることでそれらを導通させる 2位置の電磁弁である。 また、 S R C R 4 1 6は、 オフ状態とされることでリアリザーバ通 路 4 1 2 とリアポンプ通路 4 2 0 とを遮断し、 かつ、 オン状態とさ れることでそれらを導通させる 2位置の電磁弁である。
マスタシリ ンダ 4 0 2の第 1油圧室 4 0 4、 および、 第 2油圧室 4 0 6には、 それぞれ第 1液圧通路 4 2 2、 および、 第 2液圧通路 4 2 4が連通している。 第 1液圧通路 4 2 2には、 右前マスタ力ッ トソレノイ ド 4 2 6 (以下、 SMF R 4 2 6 と称す) 、 および、 左 前マスタカッ トソレノイ ド 4 2 8 (以下、 SMF L 4 2 8 と称す) が連通している。 一方、 第 2液圧通路 4 2 4には、 リアマスタカツ
トソレノィ ド 4 3 0 (以下、 SMR 4 3 0 と称す) が連通している。
SMF R 4 2 6には、 右前輪 F Rに対応して設けられた液圧通路 4 3 2が連通している。 同様に、 SMF L 4 2 8には、 左前輪 F L に対応して設けられた液圧通路 4 3 4が連通している。 更に、 SM R 4 3 0には、 左右後輪 R L, RRに対応して設けられた液圧通路 4 3 6が連通している。
SMF R 4 2 6、 SMF L 4 2 8および SMR 4 3 0の内部には、 それぞれ定圧開放弁 4 3 8 , 4 4 0 , 4 4 2が設けられている。 S MF R 4 2 6は、 オフ状態とされた場合に第 1液圧通路 4 2 2と液 圧通路 4 3 2とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とされた場合に定 圧開放弁 4 3 8を介して第 1液圧通路 4 2 2と液圧通路 4 3 2 とを 連通させる 2位置の電磁弁である。 また、 SMF L 4 2 8は、 オフ 状態とされた場合に第 1液圧通路 4 2 2 と液圧通路 4 3 4 とを導通 状態とし、 かつ、 オン状態とされた場合に定圧開放弁 4 4 0を介し て第 1液圧通路 4 2 2 と液圧通路 4 3 4 とを連通させる 2位置の電 磁弁である。 同様に、 S MR 4 3 0は、 オフ状態とされた場合に第 2液圧通路 4 2 4 と液圧通路 4 3 6 とを導通状態とし、 かつ、 オン 状態とされた場合に定圧開放弁 4 4 2を介して第 2液圧通路 4 2 4 と液圧通路 4 3 6 とを連通させる 2位置の電磁弁である。
第 1液圧通路 4 2 2と液圧通路 4 3 2との間には、 また、 第 1液 圧通路 4 2 2側から液圧通路 4 3 2側へ向かうフルードの流れのみ を許容する逆止弁 4 4 4が配設されている。 同様に、 第 1液圧通路 4 2 2 と液圧通路 4 3 4 との間、 および、 第 2液圧通路 4 2 4 と液 圧通路 4 3 6 との間には、 それぞれ第 1液圧通路 4 2 2側から液圧 通路 4 3 4側へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁 4 4 6、 お よび、 第 2液圧通路 4 2 4側から液圧通路 4 3 6側へ向かう流体の 流れのみを許容する逆止弁 4 4 8が配設されている。
左右前輪に対応して設けられた液圧通路 4 3 2, 4 3 4および左 右後輪に対応して設けられた液圧通路 4 3 6には、 上記第 1実施例
の場合と同様に、 保持ソレノイ ド S * * H、 減圧ソレノイ ド S * * R、 ホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6およぴ逆止弁 1 2 8〜 1 3 4力 連通している。 また、 左右前輪の保持ソレノイ ド S F RR 1 1 2お よび S F L R 1 1 4には、 フロン ト減圧通路 4 5 0が連通している。 更に、 左右後輪の保持ソレノイ ド S RRR 1 1 6および S R L R 1 1 8にはリァ減圧通路 4 5 2が連通している。
フロ ン ト減圧通路 4 5 0およびリァ減圧通路 4 5 2には、 それぞ れフロン ト リザーバ 4 5 4およびリアリザーバ 4 5 5が連通してい る。 フロ ン ト リザーバ 4 5 4およびリアリザ一バ 4 5 5は、 それぞ れ逆止弁 4 5 6, 4 5 8を介してフロン トポンプ 4 6 0の吸入側、 および、 リアポンプ 4 6 2の吸入側に連通している。 フロン トボン プ 4 6 0の吐出側、 および、 リアポンプ 4 6 2の吐出側は、 吐出圧 の脈動を吸収するためのダンバ 4 6 4 , 4 6 6に連通している。 ダ ンパ 4 6 4は、 右前輪 F Rに対応して設けられた右前ポンプ通路 4 6 8および左前輪 F Lに対応して設けられた左前ポンプ通路 4 7 0 に連通している。 一方、 ダンバ 4 6 6は、 液圧通路 4 3 6に連通し ている。
右前ポンプ通路 4 6 8は、 右前ポンプソレノイ ド 4 7 2 (以下、 S P F L 4 7 2 と称す) を介して液圧通路 4 3 2に連通している。 また、 左前ポンプ通路 4 7 0は、 左前ポンプソレノイ ド 4 7 4 (以 下、 S P F R 4 7 4 と称す) を介して液圧通路 4 3 4に連通してい る。 S P F L 4 7 2は、 オフ状態とされることにより右前ポンプ通 路 4 6 8 と液圧通路 4 3 2 とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とさ れることによりそれらを遮断状態とする 2位置の電磁弁である。 同 様に、 S P F R 4 7 4は、 オフ状態とされることにより左前ポンプ 通路 4 7 0 と液圧通路 4 3 4 とを導通状態とし、 かつ、 オン状態と されることによりそれらを遮断状態とする 2位置の電磁弁である。 液圧通路 4 3 2 と右前ポンプ通路 4 6 8 との間には、 液圧通路 4 3 2側から右前ポンプ通路 4 6 8側へ向かう流体の流れのみを許容
する定圧開放弁 4 7 6が配設されている。 同様に、 液圧通路 4 3 4 と左前ポンプ通路 4 7 0 との間には、 液圧通路 4 3 4側から左前ポ ンプ通路 4 7 0側へ向かう流体の流れのみを許容する定圧開放弁 4 7 8が配設されている。
各車輪の近傍には、 車輪速センサ 1 3 6, 1 3 8 , 1 4 0 , 1 4 2が配設されている。 E C U 1 0は、 車輪速センサ 1 3 6〜 1 4 2 の出力信号に基づいて各車輪の回転速度 Vw を検出する。 また、 マ ス夕シリ ンダ 4 0 2に連通する第 2液圧通路 4 2 4には、 液圧セン サ 1 4 4が配設されている。 E C U 1 0は、 液圧センサ 1 4 4の出 力信号に基づいてマスタシリ ンダ圧 PM/C を検出する。 次に、 本 実施例の制動力制御装置の動作を説明する。 本実施例の制動力制御 装置は、 油圧回路内に配設された各種の電磁弁の状態を切り換える ことにより、 ①通常ブレーキ機能、 ② A B S機能、 および、 ⑧ B A 機能を実現する。
①通常ブレーキ機能は、 図 2 5に示す如く、 制動力制御装置が備 える全ての電磁弁をオフ状態とすることにより実現される。 以下、 図 2 5に示す状態を通常ブレーキ状態と称す。 また、 制動力制御装 置において通常ブレーキ機能を実現するための制御を通常ブレーキ 制御と称す。
図 2 5に示す通常ブレーキ状態において、 左右前輪 F L, F Rの ホイルシリ ンダ 1 2 0 , 1 2 2は、 共に第 1液圧通路 4 2 2を介し てマスタシリ ンダ 4 0 2の第 1油圧室 4 0 4に連通している。 また、 左右後輪 R L, RRのホイルシリ ンダ 1 2 4 , 1 2 6は、 第 2液圧 通路 4 2 4を介してマスタシリ ンダ 4 0 2の第 2油圧室 4 0 6に連 通している。 この場合、 ホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6のホイルシ リ ンダ圧 Pw/c は、 常にマスタシリ ンダ圧 PM/C と等圧に制御され る。 従って、 図 2 5示す状態によれば、 通常ブレーキ機能が実現さ れる。
② A B S機能は、 図 2 5に示す状態において、 フロン トポンプ 4
6— 0およびリアポンプ 4 6 2をオン状態とし、 かつ、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * *Rを ABSの要求に応じて 適当に駆動することにより実現される。 以下、 制動力制御装置にお いて A B S機能を実現するための制御を A B S制御と称す。
ECU 1 0は、 車両が制動状態にあり、 かつ、 何れかの車輪につ いて過剰なスリ ップ率が検出された場合に A B S制御を開始する。 ABS制御は、 ブレーキペダル 1 2が踏み込まれている状況下、 す なわち、 マスタシリ ンダ 4 0 2が高圧のマス夕シリ ンダ圧 PM/c を 発生している状況下で開始される。
A B S制御の実行中は、 マスタシリ ンダ圧 PM/C 力、 第 1液圧通 路 4 2 2および第 2液圧通路 4 2 4を介して、 それぞれ左右前輪に 対応して設けられた液圧通路 4 3 2, 4 3 4、 および、 左右後輪に 対応して設けられた液圧通路 4 3 6に導かれる。 従って、 かかる状 況下で保持ソレノィ ド S * *Hを開弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノ ィ ド S * * Rを閉弁状態とすると、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/ c を増圧することができる。 以下、 この状態を(i) 増圧モードと称 す。
また、 A B S制御の実行中に、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減 圧ソレノィ ド S * * Rの双方を閉弁状態とすると、 各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/C を保持することができる。 以下、 この状態を(ii) 保持モードと称す。 更に、 ABS制御の実行中に、 保持ソレノィ ド S * *Hを閉弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノィ ド S * *Rを開弁状 態とすると、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を減圧することがで きる。 以下、 この状態を(iii) 減圧モードと称す。
ECU 1 0は、 ABS制御中に、 各車輪毎に適宜上記の(i) 増圧 モード、 (ii)保持モード、 および、 (iii) 減圧モードが実現される ように、 各車輪のスリ ップ状態に応じて保持ソレノィ ド S * *Hお よび減圧ソレノィ ド S * * Rを制御する。 保持ソレノィ ド S * *H および減圧ソレノィ ド S * * Rが上記の如く制御されると、 全ての
車輪のホイルシリ ンダ圧 p w/ c が対応する車輪に過大なスリ ップ率 を発生させることのない適当な圧力に制御される。 このように、 上 記の制御によれば、 制動力制御装置において A B S機能を実現する ことができる。
A B S制御の実行中に、 各車輪で減圧モードが行われる際にはホ ィルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6内のブレーキフルードが、 フロン ト減 圧通路 4 5 0およびリァ減圧通路 4 5 2を通ってフロ ントリザーバ
4 5 4およびリア リザ一バ 4 5 5 に流入する。 フロ ン ト リザ一バ 4
5 4およびリァリザ一バ 4 5 5に流入したブレーキフル一ドは、 フ ロントポンプ 4 6 0およびリアポンプ 4 6 2に汲み上げられて液圧 通路 4 3 2 , 4 3 4 , 4 3 6へ供給される。
液圧通路 4 3 2, 4 3 4, 4 3 6に供給されたブレーキフルー ド の一部は、 各車輪で増圧モードが行われる際にホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6に流入する。 また、 そのブレーキフルードの残部は、 ブ レーキフル一ドの流出分を補うべくマス夕シリ ンダ 4 0 2に流入す る。 このため、 本実施例のシステムによれば、 A B S制御の実行中 にブレーキペダル 1 2に過大なストロークが生ずることはない。 図 2 6乃至図 2 8は、 ③ B A機能を実現するための制動力制御装 置の状態を示す。 E C U 1 0は、 運転者によって制動力の速やかな 立ち上がりを要求するブレーキ操作、 すなわち、 緊急ブレーキ操作 が実行された後に図 2 6乃至図 2 8に示す状態を適宜実現すること で B A機能を実現する。 以下、 制動力制御装置において、 B A機能 を実現させるための制御を B A制御と称す。
図 2 6は、 B A制御の実行中に実現されるアシスト圧増圧状態を 示す。 アシスト圧増圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 P w/ C を増圧させる必要がある場合に、 すなわち、 B A 制御中に (I )開始増圧モー ド、 (I I )アシス ト圧増圧モー ド、 および、 (V)アシスト圧緩増モードの実行が要求された場合に実現される。 本実施例のシステムにおいて、 B A制御中におけるアシスト圧増
圧状態は、 図 2 6に示す如く、 リザ一バカッ トソレノイ ド S R C F 4 1 4, S R C R 4 1 6、 および、 マスタカッ トソレノイ ド S MF R 4 2 6 , S M F L 4 2 8 , S MR 4 3 0をオン状態とし、 かつ、 フロン トポンプ 4 6 0およびリアポンプ 4 6 2をオン状態とするこ とで実現される。
図 2 6 に示すアシスト圧増圧状態が実現されると、 リザ一バタン ク 4 0 8に貯留されているブレーキフル一 ドがフロン トポンプ 4 6 0およびリアポンプ 4 6 2に汲み上げられて液圧通路 4 3 2 , 4 3 4, 4 3 6に供給される。 アシス ト圧増圧状態では、 液圧通路 4 3 2, 4 3 4 , 4 3 6の内圧が、 定圧開放弁 4 3 8 , 4 4 0 , 4 4 2 の開弁圧を超えてマス夕シリ ンダ圧 P M/C に比して高圧となるまで は、 液圧通路 4 3 2, 4 3 4, 4 3 6からマスタシリ ンダ 4 0 2へ 向かうブレーキフル一 ドの流れが S M F R 3 2 6, S M F L 3 2 8 , S MR 3 3 0によって阻止される。
このため、 図 2 6に示すアシス ト圧増圧状態が実現されると、 そ の後、 液圧通路 4 3 2 , 4 3 4 , 4 3 6には、 マスタシリ ンダ圧 P
M/C に比して高圧の液圧が発生する。 アシス ト圧増圧状態では、 ホ ィルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 と、 それらに対応する液圧通路 3 3 2 , 3 3 4 , 3 3 6 とが導通状態に維持されている。 従って、 アシス ト 圧増圧状態が実現されると、 その後、 全ての車輪のホイルシリ ンダ 圧 P w/c は、 フロン トポンプ 4 6 0 またはリアポンプ 4 6 2を液圧 源として、 速やかにマスタシリ ンダ圧 PM/C を超える圧力に昇圧さ れる。
ところで、 図 2 6に示すアシス ト圧増圧状態において、 液圧通路 4 3 4, 4 3 2, 4 3 6は、 それぞれ逆止弁 4 4 4, 4 4 6 , 4 4 8を介してマスタシリ ンダ 4 0 2に連通している。 このため、 マス 夕シリ ンダ圧 PM/C が各車輪のホイルシリ ンダ圧 P W/C に比して大 きい場合は、 アシス ト圧増圧状態においても、 マスタシリ ンダ 4 0 2を液圧源としてホイルシリ ンダ圧 P W/C を昇圧することができる。
—図 2 7は、 B A制御の実行中に実現されるアシス ト圧保持状態を 示す。 アシス ト圧保持状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/C を保持する必要がある場合、 すなわち、 BA制御 中に(IV)アシス ト圧保持モ一 ドが要求される場合に実現される。 ァ シス ト圧保持状態は、 図 2 7に示す如く、 マス夕カッ トソ レノイ ド SMF R 4 2 6 , SMF L 4 2 8 , S MR 4 3 0をオン状態とする ことで実現される。
図 2 7に示すァシス ト圧保持状態では、 フロン トポンプ 4 6 0 と リザ—バタンク 4 0 8、 および、 リアポンプ 4 6 2 とリザ一バタン ク 4 0 8カ^ それぞれ S R C F 4 1 4および 4 1 6によって遮断状 態とされる。 このため、 アシス ト圧保持状態では、 フロ ン トポンプ 4 6 0およびリアポンプ 4 6 2から液圧通路 4 3 2, 4 3 4 , 4 3 6にフルー ドが吐出されることはない。 また、 図 2 7に示すアシス ト圧保持状態では、 液圧通路 4 3 2, 4 3 4, 4 3 6が、 SMF R 4 2 6 , SMF L 4 2 4 , SMR 4 3 0によってマスタシリ ンダ 4 0 2から実質的に切り離されている。 このため、 図 2 7に示すァシ ス ト圧保持状態によれば、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 Pvv/c を 一定値に保持することができる。
図 2 8は、 B A制御の実行中に実現されるアシス ト圧減圧状態を 示す。 アシス ト圧減圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/C を減圧する必要がある場合、 すなわち、 B A制御 中に (III)アシス ト圧減圧モー ド、 および、 (VI)アシス ト圧緩減 モー ドの実行が要求された場合に実現される。 アシスト圧減圧状態 は、 図 2 8に示す如く、 全てのソレノィ ドをオフ状態とすることで 実現される。
図 2 8に示すァシスト圧減圧状態では、 フロ ン トポンプ 4 6 0お よびリアポンプ 4 6 2がリザ一バタンク 4 0 8から切り離される。 このため、 フロン トポンプ 4 6 2およびリアポンプ 4 6 2から液圧 通路 4 3 2, 4 3 4 , 4 3 6にフルー ドが吐出されることはない。
また、 アシス ト圧減圧状態では、 各車輪のホィルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とマスタシリ ンダ 4 0 2とが導通状態となる。 このため、 ァ シスト圧減圧状態を実現すると、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 P を、 マスタシリ ンダ圧 PM/C を下限値として減圧することがで きる。
本実施例において、 E CU 1 0は、 運転者によって緊急ブレーキ 操作が実行された場合に、 上述した第 1実施例の場合と同様に、 上 記図 2 6乃至図 2 8に示すアシスト圧増圧状態、 アシスト圧保持状 態およびァシスト圧減圧状態を組み合わせて B A機能を実現する。 このため、 本実施例の制動力制御装置によれば、 上述した第 1実施 例の場合と同様に、 運転者によって緊急ブレーキ操作が行われた際 に、 ①速やかに運転者の意図する制動力を発生させること、 および、 ② B A制御の実行中常に制動力に運転者の意図を反映させることが できる。
本実施例の制動力制御装置において、 上述した B A制御が開始さ れると、 その後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c が速やかに昇圧 されることにより、 何れかの車輪について過剰なスリ ップ率が生ず る場合がある。 E CU 1 0は、 このような場合には、 B A + AB S 制御を開始する。 以下、 上記図 2 8 と共に図 2 9および図 3 0を参 照して、 B A + AB S制御に伴う制動力制御装置の動作を説明する。 本実施例の制動力制御装置は、 B A + AB S制御が開始された後、 運転者によって制動力の増加を意図するブレーキ操作が行われると、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c の増大 を図る。
図 2 9は、 左前輪 F Lを AB S対象車輪とする BA + AB S制御 の実行中に、 上記の機能を果たすべく実現される状態 (以下、 ァシ スト圧増圧 (A B S) 状態と称す) を示す。 アシスト圧増圧 (AB S) 状態は、 リァリザーバ力ッ トソレノイ ド S R C R 4 1 6、 およ
、 マスタカッ トソレノイ ド SMFR 4 2 6, SMF L 4 2 8 , S MR 4 3 0をォン状態とし、 フロン トポンプ 4 6 0およびリアボン プ 4 6 2をオン状態とし、 かつ、 左前輪 F Lの保持ソレノィ ド S F L H 1 0 6および減圧ソレノイ ド S F L R 1 1 4を、 A B S制御の 要求に応じて適宜制御することで実現される。
アシス ト圧増圧 (AB S) 状態において、 左右後輪 R L, RRの ホイルシリ ンダ 1 2 4 , 1 2 6には、 上記図 2 6に示すアシス ト圧 増圧状態の場合と同様に、 リアポンプ 4 6 2から吐出されるブレー キフル一 ドが供給される。 このため、 アシス ト圧増圧 (A B S) 状 態が実現されると、 左右後輪 R L, RRのホイルシリ ンダ圧 Pw/C は、 B A制御中にアシス ト圧増圧状態が実現された場合と同様に昇 圧される。
左前輪 F Lを AB S対象車輪とする BA + AB S制御は、 左前輪 F Lについて(ii)減圧乇一 ドが実行されることにより開始される。 従って、 フロン ト リザーバ 4 5 4には、 BA + AB S制御が開始さ れると同時にブレーキフルー ドが流入する。 図 2 9に示すァシスト 圧増圧 (A B S) 状態において、 フロン トポンプ 4 6 0は、 このよ うにしてフロン ト リザーバ 4 5 4に流入したブレーキフル一 ドを吸 入して圧送する。
フロン トポンプ 4 6 0によつて圧送されるブレーキフルー ドは、 主に右前輪 FRのホイルシリ ンダ 1 2 0へ供給されると共に、 左前 輪 F Lについて(i) 増圧モ一 ドが実行される際にホイルシリ ンダ 1 2 2へ供給される。 上記の制御によれば、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 B A制御中にアシス ト圧増圧状態が実現された場 合と同様に昇圧し、 また、 左前輪 F Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 左前輪 F Lに過大なスリ ップ率を発生させない適当な値に制御する ことができる。
このように、 図 2 9に示すアシス ト圧増圧 (A B S) 状態によれ ば、 AB S対象車輪である左前輪 F Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を
AB S制御の要求に応じた圧力に制御しつつ、 AB S制御の非対象 車輪である右前輪 F Rおよび左右後輪 R L, RRのホイルシリ ンダ 圧 Pw/c を、 B A制御中にアシス ト圧増圧状態が実現された場合と 同様に速やかに昇圧させることができる。
本実施例の制動力制御装置は、 B A + A B S制御が開始された後、 運転者によって制動力の保持を意図するブレーキ操作が行われると、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c の保持 を図る。
図 3 0は、 左前輪 F Lを AB S対象車輪とする B A十 AB S制御 の実行中に、 上記の機能を果たすべく実現される状態 (以下、 ァシ スト圧保持 (AB S) 状態と称す) を示す。 アシスト圧保持 (AB S ) 状態は、 マスタカッ トソレノイ ド SMF R 4 2 6 , SMF L 4 2 8 , SMR 4 3 0をォン状態とし、 フ□ントポンプ 4 6 0および リアポンプ 4 6 2をオン状態とし、 右前輪 FRの保持ソレノィ ド S F RH 1 0 4をオン状態とし、 かつ、 左前輪 F Lの保持ソレノイ ド S F L H 1 0 6および減圧ソレノイ ド S F L R 1 1 4を A B S制御 の要求に応じて適宜制御することで実現される。
アシスト圧保持 (AB S) 状態において、 リアポンプ 4 6 2は、 上記図 2 7に示すアシスト圧保持状態が実現された場合と同様にリ ザーバタンク 4 0 8から遮断される。 また、 液圧通路 4 3 0は、 上 記図 2 7に示すアシス ト圧保持状態が実現された場合と同様に実質 的にマスタシリ ンダ 4 0 2から遮断される。 このため、 アシスト圧 保持 (AB S) 状態が実現されると、 左右後輪 R L, RRのホイル シリ ンダ圧 Pw/C は、 B A制御中にアシスト圧保持状態が実現され る場合と同様に一定値に保持される。
フロン ト リザーバ 4 5 4には、 アシスト圧保持 (A B S) 状態が 実現されると同時に、 または、 アシスト圧保持 (AB S) 状態が実 現されるに先立つて、 ホイルシリ ンダ 1 2 2から流出したブレーキ
フルー ドが蓄えられる。 フロン トポンプ 4 6 0は、 アシス ト圧保持 (ABS) 状態が実現されている間、 フロン ト リザーバ 4 5 4に蓄 えられているブレーキフル一 ドを吸入して圧送する。
アシス ト圧保持状態において、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ 1 2 0は、 S FRH 1 0 4によってフロン トポンプ 4 6 0から切り離さ れている。 このため、 フロン トポンプ 4 6 0によって圧送されるブ レーキフルー ドは、 左前輪 F Lのホイルシリ ンダ 1 2 2にのみ供給 される。 また、 フロン トポンプ 4 6 0からホイルシリ ンダ 1 2 2へ のブレーキフルー ドの流入は、 左前輪 FLについて (i)増圧モー ド が行われる場合にのみ許容される。 上記の処理によれば、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ圧 Pw/C が一定値に保持されると共に、 左前輪 F Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C が、 左前輪 F Lに過大なスリ ップ率 を発生させることのない適当な圧力に制御される。
このように、 図 3 0に示すアシス ト圧増圧 (AB S) 状態によれ ば、 AB S対象車輪である左前輪 F Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応じた適当な圧力に制御しつつ、 AB S制御の 非対象車輪である右前輪 F Rおよび左右後輪 R L, R Rのホイルシ リ ンダ圧 Pw/c を、 B A制御中にアシス ト圧保持状態が実現された 場合と同様に一定値に保持することができる。
本実施例の制動力制御装置は、 B A + AB S制御が開始された後、 運転者によって制動力の減圧を意図するブレーキ操作が行われると、 A BS対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を ABS制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c の減圧 を図る。
上述した機能は、 上記図 2 8に示すアシスト圧減圧状態を実現し つつ、 ABS対象車輪について、 ABS制御の要求に応じて (i)増 圧モー ド、 (ii)保持モー ドおよび (iii)減圧モー ドが実現されるよ うに、 適宜保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * *R を制御することで実現される。 以下、 かかる制御が実行されている
状態をアシスト圧減圧 (AB S) 状態と称す。
すなわち、 アシスト圧減圧 (ABS) 状態が実現されている場合、 全ての保持ソレノィ ド S * * Hはマスタシリ ンダ 4 0 2に連通して いる。 このため、 アシス ト圧減圧 (ABS) 制御を実現すると、 A B S制御の非制御対象車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C をマスタシリ ンダ圧 PM/C を下限値として減圧することができる。 また、 ABS 制御の対象車輪については、 (ii)保持モードおよび (iii)減圧モー ドを実現することで、 そのホイルシリ ンダ圧 Pw/c を保持または減 圧することができる。
ところで、 アシスト圧減圧 (AB S) 状態は、 運転者が制動力の 減少を意図している場合に、 すなわち、 何れの車輪のホイルシリ ン ダ圧 Pw/C も増圧する必要がない場合に実現される。 従って、 AB S対象車輪について、 上記の如く(ii)保持モードと (iii)減圧モ一 ドとが実現できれば、 ABS対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を、 適正に B A + AB S制御によって要求される圧力に制御することが できる。
このように、 上述したアシスト圧減圧 (ABS) 状態によれば、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C を A B S制御の要求に応 じた適当な圧力に制御しつつ、 AB S制御の非対象車輪である右前 輪 F Rおよび左右後輪 R L, RRのホイルシリ ンダ圧 Pw/。 を、 B A制御中にアシスト圧減圧状態が実現された場合と同様にマス夕シ リ ンダ圧 PM/C を下限値として減圧することができる。 上述の如 く、 本実施例の制動力制御装置によれば、 B A制御が開始された後、 何れかの車輪に過大なスリ ップ率が発生した場合に、 ① ABS対象 車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御によって要求される適 当な圧力に抑制する AB S機能と、 ② AB S制御の非制御対象車輪 のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 マス夕シリ ンダ圧 PM/C に比して高 圧の領域で、 運転者のブレーキ操作に応じて増減させる B A機能と を、 同時に実現することができる。
次に、 図 3 1乃至図 3 6を参照して、 本実施例の第 3実施例につ いて説明する。 図 3 1 は、 本発明の第 3実施例に対応するポンプ アップ式制動力制御装置 (以下、 単に制動力制御装置と称す) のシ ステム構成図を示す。 尚、 図 3 1 において、 上記図 2 5に示す構成 部分と同一の部分については、 同一の符号を付してその説明を省略 または簡略する。
本実施例の制動力制御装置は、 フロン トエンジン · フロ ン ト ドラ イブ式車両 (F F車両) 用の制動力制御装置として好適な装置であ る。 本実施例の制動力制御装置は、 E C U 1 0により制御されてい る。 E C U 1 0は、 上述した第 1実施例および第 2実施例の場合と 同様に、 上記図 8乃至図 1 0、 および、 上記図 1 2乃至図 1 8に示 す制御ルーチンを実行することで制動力制御装置の動作を制御する。 制動力制御装置は、 ブレーキペダル 1 2を備えている。 ブレーキ ペダル 1 2の近傍には、 ブレーキスィッチ 1 4が配設されている。 E C U 1 0は、 ブレーキスィツチ 1 4の出力信号に基づいてブレー キペダル 1 2が踏み込まれているか否かを判別する。
ブレーキペダル 1 2は、 バキュームブースタ 4 0 0に連結されて いる。 また、 バキュームブースタ 4 0 0は、 マスタシリ ンダ 4 0 2 に固定されている。 マスタシリ ンダ 4 0 2の内部には第 1油圧室 4 0 4および第 2油圧室 4 0 6が形成されている。 第 1油圧室 4 0 4 および第 2油圧室 4 0 6の内部には、 ブレーキ踏力 Fと、 バキュー ムブースタ 4 0 0が発生するアシストカ F aとの合力に応じたマス 夕シリ ンダ圧 P M / C が発生する。
マスタシリ ンダ 4 0 2の上部にはリザ一バタンク 4 0 8が配設さ れている。 リザ一バタンク 4 0 8には、 第 1 リザ一バ通路 5 0 0、 および、 第 2 リザ一バ通路 5 0 2が連通している。 第 1 リザーバ通 路 5 0 0には、 第 1 リザーバカッ トソレノイ ド 5 0 4 (以下、 S R C - , 5 0 4 と称す) が連通している。 同様に、 第 2 リザ一バ通路 5 0 2には、 第 2 リザ一バカッ トソレノイ ド 5 0 6 (以下、 S R C - 2
5 0 6 と称す) が連通している。
S R C 5 0 4には、 更に、 第 1 ポンプ通路 5 0 8が連通してい る。 同様に、 S R C— 25 0 6には、 第 2ポンプ通路 5 1 0が連通し ている。 S R C—, 5 0 4は、 オフ状態とされることで第 1 リザーバ 通路 5 0 0 と第 1 ポンプ通路 5 0 8 とを遮断し、 かつ、 ォン状態と されることでそれらを導通させる 2位置の電磁弁である。 また、 S R C - 25 0 6は、 オフ状態とされることで第 2 リザ一バ通路 5 0 2 と第 2ポンプ通路 5 1 0 とを遮断し、 かつ、 オン状態とされること でそれらを導通させる 2位置の電磁弁である。
マスタシリ ンダ 4 0 2の第 1油圧室 4 0 4、 および、 第 2油圧室 4 0 6には、 それぞれ第 1液圧通路 4 2 2、 および、 第 2液圧通路
4 2 4が連通している。 第 1液圧通路 4 2 2には、 第 1 マスタカツ トソレノイ ド 5 1 2 (以下、 SMC— 5 1 2 と称す) が連通してい る。 一方、 第 2液圧通路 4 2 4には、 第 2マスタカッ トソレノイ ド 5 1 4 (以下、 S MC— 25 1 4 と称す) が連通している。
S MC -! 5 1 2には、 第 1 ポンプ圧通路 5 1 6 と左後輪 R Lに対 応して設けられた液圧通路 5 1 8 とが連通している。 第 1 ポンプ圧 通路 5 1 6には、 第 1 ポンプソレノイ ド 5 2 0 (以下、 S MV— , 5 2 0 と称す) が連通している。 SMV— , 5 2 0には、 更に、 右前輪 F Rに対応して設けられた液圧通路 5 2 2が連通している。 S MV - 1 5 2 0の内部には定圧開放弁 5 2 4が設けられている。
5 2 0は、 オフ状態とされた場合に第 1 ポンプ圧通路 5 1 6 と液圧 通路 5 2 2 とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とされた場合に定圧 開放弁 5 2 4を介してそれらを連通させる 2位置の電磁弁である。 第 1 ポンプ圧通路 5 1 6 と液圧通路 5 2 2 との間には、 また、 第 1 ポンプ圧通路 5 1 6側から液圧通路 5 2 2側へ向かうフルー ドの流 れのみを許容する逆止弁 5 2 6が配設されている。
SMC - 25 1 4には、 第 2ポンプ圧通路 5 2 8 と右後輪 R Rに対 応して設けられた液圧通路 5 3 0 とが連通している。 第 2ポンプ圧
通路 5 2 8には、 第 2ポンプソレノイ ド 5 3 2 (以下、 SMV— 25
3 2 と称す) が連通している。 SMV-25 3 2には、 更に、 左前輪 F Lに対応して設けられた液圧通路 5 3 4が連通している。 SMV - 25 3 2の内部には定圧開放弁 5 3 6が設けられている。 SMV-2 5 3 2は、 オフ状態とされた場合に第 2ポンプ圧通路 5 2 8 と液圧 通路 5 3 4 とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とされた場合に定圧 開放弁 5 3 6を介してそれらを連通させる 2位置の電磁弁である。 第 2ポンプ通路 5 2 8 と液圧通路 5 3 4 との間には、 また、 第 2ポ ンプ圧通路 5 2 8側から液圧通路 5 3 4側へ向かうフルードの流れ のみを許容する逆止弁 5 3 8が配設されている。
SMC- i 5 1 2および SMC-25 1 4の内部には、 それぞれ定圧 開放弁 5 4 0, 5 4 2が設けられている。 SMC-! 5 1 2は、 オフ 状態とされた場合に第 1液圧通路 4 2 2 と液圧通路 5 1 8 (および 第 1 ポンプ圧通路 5 1 6 ) とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とさ れた場合に定圧開放弁 5 4 0を介してそれらを連通させる 2位置の 電磁弁である。 また、 SMC—25 1 4は、 オフ状態とされた場合に 第 2液圧通路 4 2 4 と液圧通路 5 3 0 (および第 2ポンプ圧通路 5 2 8 ) とを導通状態とし、 かつ、 オン状態とされた場合に定圧開放 弁 5 4 2を介してそれらを連通させる 2位置の電磁弁である。
第 1液圧通路 4 2 2 と液圧通路 5 1 8 との間には、 第 1液圧通路
4 2 2側から液圧通路 5 1 8側へ向かうフルードの流れのみを許容 する逆止弁 5 4 4が配設されている。 同様に、 第 2液圧通路 4 2 4 と液圧通路 5 3 0 との間には、 第 2液圧通路 4 2 4側から液圧通路
5 3 0側へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁 5 4 6が配設さ れている。
左右前輪および左右後輪に対応して設けられた 4本の液圧通路 5 1 6 , 5 2 2, 5 2 8 , 5 3 4には、 第 1実施例および第 2実施例 の場合と同様に保持ソレノィ ド S * * H、 減圧ソレノィ ド S * * R、 ホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6および逆止弁 1 2 8〜 1 3 4が連通
している。 また、 右前輪 F Rおよび左後輪 R Lの減圧ソレノィ ド S F R R 1 1 2および S R L R 1 1 8には、 第 1減圧通路 5 4 8が連 通している。 更に、 左前輪 F Lおよび右後輪 R Rの減圧ソレノイ ド S F L R 1 1 4および S R R R 1 1 6には、 第 2減圧通路 5 5 0力 連通している。
第 1減圧通路 5 4 8および第 2減圧通路 5 5 0には、 それぞれ第 1 リザ一バ 5 5 2および第 2 リザ一バ 5 5 4が連通している。 また、 第 1 リザーバ 5 5 2および第 2 リザーバ 5 5 4は、 それぞれ逆止弁 5 5 6 , 5 5 8を介して第 1 ポンプ 5 6 0の吸入側、 および、 第 2 ポンプ 5 6 2の吸入側に連通している。 第 1 ポンプ 5 6 0の吐出側、 および、 第 2ポンプ 5 6 2の吐出側は、 吐出圧の脈動を吸収するた めのダンバ 5 6 4 , 5 6 6に連通している。 ダンバ 5 6 4, 5 6 6 は、 それぞれ液圧通路 5 2 2 , 5 3 4に連通している。
各車輪の近傍には、 車輪速センサ 1 3 6, 1 3 8 , 1 4 0 , 1 4 2が配設されている。 E C U 1 0は、 車輪速センサ 1 3 6〜 1 4 2 の出力信号に基づいて各車輪の回転速度 V W を検出する。 また、 マ ス夕シリ ンダ 4 0 2に連通する第 2液圧通路 4 2 4には、 液圧セン サ 1 4 4が配設されている。 E C U 1 0は、 液圧センサ 1 4 4の出 力信号に基づいてマスタシリ ンダ圧 P M / C を検出する。 次に、 本 実施例の制動力制御装置の動作を説明する。 本実施例の制動力制御 装置は、 油圧回路内に配設された各種の電磁弁の状態を切り換える ことにより、 ①通常ブレーキ機能、 ② A B S機能、 および、 ③ B A 機能を実現する。
①通常ブレーキ機能は、 図 3 1 に示す如く、 制動力制御装置が備 える全ての電磁弁をオフ状態とすることにより実現される。 以下、 図 3 1 に示す状態を通常ブレーキ状態と称す。 また、 制動力制御装 置において通常ブレーキ機能を実現するための制御を通常ブレーキ 制御と称す。
図 3 1 に示す通常ブレーキ状態において、 右前輪 F Rのホイルシ
リ ンダ 1 2 0および左後輪 R Lのホイルシリ ンダ 1 2 6は、 共に第 1液圧通路 4 2 2を介してマス夕シリ ンダ 4 0 2の第 1油圧室 4 0 4に連通している。 また、 左前輪 F Lのホイルシリ ンダ 1 2 2およ び右後輪 R Rのホイルシリ ンダ 1 2 4は、 共に第 2液圧通路 4 2 4 を介してマスタシリ ンダ 4 0 2の第 2油圧室 4 0 6に連通している。 この場合、 ホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6のホイルシリ ンダ圧 P w/
C は、 常にマスタシリ ンダ圧 PM/C と等圧に制御される。 従って、 図 3 1示す状態によれば、 通常ブレーキ機能が実現される。
② A B S機能は、 図 3 1 に示す状態において、 第 1 ポンプ 5 6 0 および第 2ポンプ 5 6 2をォン状態とし、 かつ、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * * Rを A B Sの要求に応じて適当 に駆動することにより実現される。 以下、 制動力制御装置において A B S機能を実現するための制御を A B S制御と称す。
A B S制御の実行中は、 左右前輪および左右後輪に対応して設け られた 4本の液圧通路 5 1 8 , 5 2 2, 5 2 8 , 5 3 4の全てに高 圧のマスタシリ ンダ圧 PM/C が導かれている。 従って、 かかる状況 下で保持ソレノィ ド S * * Hを開弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノィ ド S * * Rを閉弁状態とすると、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を増圧することができる。 以下、 この状態を(i) 増圧モー ドと称す。
また、 A B S制御の実行中に、 保持ソレノィ ド S * * Hおよび減 圧ソレノィ ド S * * Rの双方を閉弁状態とすると、 各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/c を保持することができる。 以下、 この状態を(ii) 保持モー ドと称す。 更に、 AB S制御の実行中に、 保持ソレノイ ド S * * Hを閉弁状態とし、 かつ、 減圧ソレノィ ド S * * Rを開弁状 態とすると、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を減圧することがで きる。 以下、 この状態を(iii) 減圧モー ドと称す。
E C U 1 0は、 A B S制御の実行中に、 各車輪毎に適宜上記の( i)増圧モー ド、 (ii)保持モー ド、 および、 (iii) 減圧モー ドが実現 されるように、 各車輪のスリ ップ状態に応じて保持ソレノィ ド S *
* Hおよび減圧ソ レノィ ド S * * Rを制御する。 保持ソ レノィ ド S
* * Hおよび減圧ソレノィ ド S * * Rが上記の如く制御されると、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 P w/ C が対応する車輪に過大なス リ ップ率を発生させることのない適当な圧力に制御される。 このよ うに、 上記の制御によれば、 制動力制御装置において A B S機能を 実現することができる。
A B S制御の実行中に、 各車輪で減圧モードが行われる際にはホ ィルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6内のブレーキフルードが、 第 1減圧通 路 5 4 8および第 2減圧通路 5 5 0を通って第 1 リザ一バ 5 5 2お よび第 2 リザ一バ 5 5 4に流入する。 第 1 リザーバ 5 5 2および第
2 リザーバ 5 5 4に流入したブレーキフル一ドは、 第 1 ポンプ 5 6
0および第 2ポンプ 5 6 2に汲み上げられて液圧通路 5 2 2, 5 3
4へ供給される。
液圧通路 5 2 2 , 5 3 4に供給されたブレーキフル一ドの一部は、 各車輪で (i )増圧モ一ドが行われる際にホイルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6に流入する。 また、 そのブレーキフルードの残部は、 ブレーキ フルードの流出分を補うべくマスタシリ ンダ 4 0 2に流入する。 こ のため、 本実施例のシステムによれば、 A B S制御の実行中にブ レーキペダル 1 2に過大なストロークが生ずることはない。
図 3 2乃至図 3 4は、 ③ B A機能を実現するための制動力制御装 置の状態を示す。 E C U 1 0は、 運転者によって制動力の速やかな 立ち上がりを要求するブレーキ操作、 すなわち、 緊急ブレーキ操作 が実行された後に図 3 2乃至図 3 4に示す状態を適宜実現すること で B A機能を実現する。 以下、 制動力制御装置において、 B A機能 を実現させるための制御を B A制御と称す。
図 3 2は、 B A制御の実行中に実現されるアシスト圧増圧状態を 示す。 アシス ト圧増圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 P w/ C を増圧させる必要がある場合に、 すなわち、 B A 制御中に (I)開始増圧モー ド、 (I I )アシス ト圧増圧モー ド、 および、
(V)アシス ト圧緩増モー ドの実行が要求された場合に実現される。 本実施例のシステムにおいて、 B A制御中におけるアシス ト圧増 圧状態は、 図 3 2に示す如く、 リザーバカッ トソレノイ ド S R C
5 0 4, S R C— 25 0 6、 および、 マスタカッ トソレノイ ド S MC - 1 5 1 2 , S MC— 25 1 4をオン状態とし、 かつ、 第 1 ポンプ 5 6
0および第 2ポンプ 5 6 2をォン状態とすることで実現される。
B A制御の実行中にアシスト圧増圧状態が実現されると、 リザー ノくタンク 4 0 8に貯留されているブレーキフル一 ドが第 1 ポンプ 5
6 0および第 2ポンプ 5 6 2に汲み上げられて液圧通路 5 2 2 , 5 3 4に供給される。 アシス ト圧増圧状態では、 液圧通路 5 2 2 と右 前輪 F Rのホイルシリ ンダ 1 2 0およぴ左後輪 R Lのホイルシリ ン ダ 1 2 6が導通状態に維持される。 また、 アシス ト圧増圧状態では、 液圧通路 5 2 2側の圧力が定圧開放弁 5 4 0の開弁圧を超えてマス 夕シリ ンダ圧 PM/C に比して高圧となるまでは、 液圧通路 5 2 2側 からマスタシリ ンダ 4 0 2側へ向かうフルー ドの流れが S MC—! 5 1 2によって阻止される。
同様に、 アシス ト圧増圧状態では、 液圧通路 5 3 4 と左前輪 F L のホイルシリ ンダ 1 2 2および右後輪 R Rのホイルシリ ンダ 1 2 4 とが導通状態に維持されると共に、 液圧通路 5 3 4側の内圧が定圧 開放弁 5 4 2の開弁圧を超えてマスタシリ ンダ圧 PM/C に比して高 圧となるまでは、 液圧通路 5 3 4側からマスタシリ ンダ 4 0 2側へ 向かうフルー ドの流れが SMC - 25 1 4によって阻止される。
このため、 図 3 2に示すアシスト圧増圧状態が実現されると、 そ の後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c は、 第 1 ポンプ 5 6 0 また は第 2ポンプ 5 6 2を液圧源として、 速やかにマスタシリ ンダ圧 P M/C を超える圧力に昇圧される。 このように、 図 3 2に示すアシス ト圧増圧状態によれば、 制動力を速やかに立ち上げることができる。 ところで、 図 3 2に示すアシス ト圧増圧状態において、 液圧通路 5 1 8 , 5 2 2, 5 2 8 , 5 3 0は、 逆止弁 5 4 4, 5 4 6を介し
てマスタシリ ンダ 4 0 2に連通している。 このため、 マスタシリ ン ダ圧 PM/C が各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C に比して大きい場合 は、 B A作動状態においてもマスタシリ ンダ 4 0 2を液圧源として ホイルシリ ンダ圧 Pw/C を昇圧することができる。
図 3 3は、 B A制御の実行中に実現されるアシス ト圧保持状態を 示す。 アシス ト圧保持状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/C を保持する必要がある場合、 すなわち、 B A制御 中に(IV)アシス ト圧保持モー ドが要求される場合に実現される。 ァ シス ト圧保持状態は、 図 3 3に示す如く、 マスタカツ トソレノィ ド SMC- i 5 1 2 , SMC—25 1 4をオン状態とすることで実現され な o
図 3 3に示すァシス ト圧保持状態では、 第 1 ポンプ 5 6 0 とリ ザ一バタンク 4 0 8、 および、 第 2ポンプ 5 6 2 とリザ一バタンク 4 0 8力、 それぞれ S R C -15 0 4および S R C-25 0 6によって 遮断状態とされる。 このため、 アシス ト圧保持状態では、 第 1 ボン プ 5 6 0および第 2ポンプ 5 6 2から液圧通路 5 2 2, 5 3 4にフ ルー ドが吐出されない。 また、 図 3 3に示すアシス ト圧保持状態で は、 液圧通路 5 1 8 , 5 2 2および 5 3 0, 5 3 4力、 それぞれ S MC -15 1 2および SMC- 25 1 4によってマスタシリ ンダ 4 0 2 から実質的に切り離されている。 このため、 図 3 3に示すアシス ト 圧保持状態によれば、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c を一定 値に保持することができる。
図 3 4は、 B A制御の実行中に実現されるアシス ト圧減圧状態を 示す。 アシス ト圧減圧状態は、 B A制御の実行中に各車輪のホイル シリ ンダ圧 Pw/C を減圧する必要がある場合、 すなわち、 B A制御 中に (III)アシス ト圧減圧モー ド、 および、 (VI)アシス ト圧緩減 モー ドの実行が要求された場合に実現される。 アシスト圧減圧状態 は、 図 3 4に示す如く、 全てのソレノィ ドをオフ状態とすることで 実現される。
図 3 4に示すアシスト圧減圧状態では、 第 1 ポンプ 5 6 0および 第 2ポンプ 5 6 2がリザ一バタンク 4 0 8から切り離される。 この ため、 第 1 ポンプ 5 6 2および第 2ポンプ 5 6 2から液圧通路 5 2 2, 5 3 4にフルードが吐出されない。 また、 アシス ト圧減圧状態 では、 各車輪のホィルシリ ンダ 1 2 0〜 1 2 6 とマスタシリ ンダ 4 0 2 とが導通状態となる。 このため、 アシスト圧減圧状態を実現す ると、 全ての車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 マスタシリ ンダ圧
P M/C を下限値として減圧することができる。
本実施例において、 E C U 1 0は、 運転者によって緊急ブレーキ 操作が実行された場合に、 上述した第 1実施例の場合と同様に、 上 記図 3 2乃至図 3 4に示すアシスト圧増圧状態、 アシスト圧保持状 態およびアシスト圧減圧状態を組み合わせて B A機能を実現する。 このため、 本実施例の制動力制御装置によれば、 上述した第 1実施 例および第 2実施例の場合と同様に、 運転者によって緊急ブレーキ 操作が行われた際に、 ①速やかに運転者の意図する制動力を発生さ せること、 および、 ② B A制御の実行中常に制動力に運転者の意図 を反映させることができる。
本実施例の制動力制御装置において、 上述した B A制御が開始さ れると、 その後、 各車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c が速やかに昇圧 されることにより、 何れかの車輪について過剰なスリ ップ率が生ず る場合がある。 E C U 1 0は、 このような場合には、 B A + A B S 制御を開始する。 以下、 上記図 3 4 と共に図 3 5および図 3 6を参 照して、 B A + A B S制御に伴う制動力制御装置の動作を説明する。 本実施例の制動力制御装置は、 B A + A B S制御が開始された後、 運転者によって制動力の増加を意図するブレーキ操作が行われると、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c の増大 を図る。
図 3 5は、 右後輪 R Lを A B S対象車輪とする B A + A B S制御
の実行中に、 上記の機能を果たすべく実現される状態 (以下、 ァシ スト圧増圧 (AB S) 状態と称す) を示す。 アシスト圧増圧 (AB S) 状態は、 第 2 リザ一バカッ トソレノイ ド S R C—25 0 6、 およ び、 マスタカッ トソレノイ ド SMC—! 5 1 2, S MC -25 1 4をォ ン状態とし、 第 1 ポンプ 5 6 0および第 2ポンプ 5 6 2をォン状態 とし、 かつ、 右後輪 R Lの保持ソレノイ ド S R LH 1 1 0および減 圧ソレノイ ド S R L R 1 1 8を AB S制御の要求に応じて適宜制御 することで実現される。
アシス ト圧増圧 (AB S) 状態において、 左前輪 F Lのホイルシ リ ンダ 1 2 2および右後輪 R Rのホイルシリ ンダ 1 2 4には、 上記 図 3 2に示すアシスト圧増圧状態の場合と同様に、 第 2ポンプ 5 6 2から吐出されるブレーキフルードが供給される。 このため、 ァシ スト圧増圧 (AB S) 状態が実現されると、 これらの車輪 F L, R Rのホイルシリ ンダ圧 Pw/C は、 B A制御中にアシス ト圧増圧状態 が実現された場合と同様に昇圧される。
左後輪 R Lを AB S対象車輪とする B A + AB S制御は、 左後輪 R Lについて(ii)減圧モ一ドが実行されることにより開始される。 従って、 第 1 リザ一バ 5 5 2には、 B A + A B S制御が開始される と同時にブレーキフル一ドが流入する。 図 3 5に示すアシスト圧増 圧 (AB S) 状態において、 第 1 ポンプ 5 6 0は、 このようにして 第 1 リザーバ 5 5 2に流入したブレーキフルードを吸入して圧送す o
第 1 ポンプ 5 6 0によって圧送されるブレーキフル一ドは、 主に 右前輪 FRのホイルシリ ンダ 1 2 0へ供給されると共に、 左後輪 R Lについて(0 増圧モ一ドが実行される際にホイルシリ ンダ 1 2 6 へ供給される。 上記の制御によれば、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ 圧 PW/C を B A制御中にアシスト圧増圧状態が実現された場合と同 様に昇圧し、 また、 左後輪 R Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 左後 輪 R Lに過大なスリ ップ率を発生させない適当な値に制御すること
ができる。
このように、 図 3 5に示すアシスト圧増圧 (A B S) 状態によれ ば、 A B S対象車輪である左後輪 R Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/c を
A B S制御の要求に応じた圧力に制御しつつ、 A B S制御の非対象 車輪である左右前輪 F L, F Rおよび右後輪 RRのホイルシリ ンダ 圧 Pw/c を、 B A制御中にアシス ト圧増圧状態が実現された場合と 同様に速やかに昇圧させることができる。
本実施例の制動力制御装置は、 B A + A B S制御が開始された後、 運転者によって制動力の保持を意図するブレーキ操作が行われると、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C の保持 を図る。
図 3 6は、 右後輪 R Lを A B S対象車輪とする B A + A B S制御 の実行中に、 上記の機能を果たすべく実現される状態 (以下、 ァシ スト圧保持 (A B S) 状態と称す) を示す。 アシスト圧保持 (A B S) 状態は、 マス夕カッ トソレノイ ド SMC—^ 1 2 , SMC- 25 1 4をォン状態とし、 第 1 ポンプ 5 6 0および第 2ポンプ 5 6 2を オン状態とし、 右前輪 F Rの保持ソレノィ ド S F RH 1 0 4をオン 状態とし、 かつ、 左後輪 R Lの保持ソレノィ ド S R L H 1 1 0およ び減圧ソレノイ ド S R L R 1 1 8を A B S制御の要求に応じて適宜 制御することで実現される。
アシスト圧保持 (A B S) 状態において、 第 2ポンプ 5 6 2は、 上記図 3 3に示すアシスト圧保持状態が実現された場合と同様にリ ザ一バタンク 4 0 8から遮断される。 また、 液圧通路 5 3 0, 5 3 4は、 上記図 3 3に示すアシスト圧保持状態が実現された場合と同 様に実質的にマスタシリ ンダ 4 0 2から遮断される。 このため、 ァ シスト圧保持 (A B S) 状態が実現されると、 左前輪 F Lおよび右 後輪 RRのホイルシリ ンダ圧 Pw/C は、 BA制御中にアシスト圧保 持状態が実現される場合と同様に一定値に保持される。
第 1 リザーバ 5 5 2には、 アシスト圧保持 (A B S) 状態が実現 されると同時に、 または、 アシスト圧保持 (AB S) 状態が実現さ れるに先立って、 ホイルシリ ンダ 1 2 6から流出したブレーキフ ルードが蓄えられる。 第 1 ポンプ 5 6 0は、 アシスト圧保持 (AB S) 状態が実現されている間、 第 1 リザ一バ 5 5 2に蓄えられてい るブレーキフルードを吸入して圧送する。
アシスト圧保持状態において、 右前輪 F Rのホイルシリ ンダ 1 2 0は、 S F RH 1 0 4によって第 1 ポンプ 5 6 0から切り離されて いる。 このため、 第 1 ポンプ 5 6 0によって圧送されるブレーキフ ルードは、 左後輪 R Lのホイルシリ ンダ 1 2 6にのみ供給される。 また、 第 1 ポンプ 5 6 0からホイルシリ ンダ 1 2 6へのブレーキフ ルー ドの流入は、 左後輪 R Lについて (i)増圧モードが行われる場 合にのみ許容される。 上記の処理によれば、 右前輪 F Rのホイルシ リ ンダ圧 Pw/C が一定値に保持されると共に、 左後輪 R Lのホイル シリ ンダ圧 Pw/C が、 左後輪 RLに過大なスリ ップ率を発生させる ことのない適当な圧力に制御される。
このように、 図 3 6に示すアシスト圧増圧 (AB S) 状態によれ ば、 AB S対象車輪である左後輪 R Lのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応じた適当な圧力に制御しつつ、 A B S制御の 非対象車輪である左右前輪 F L, F Rおよび右後輪 RRのホイルシ リ ンダ圧 Pw/C を、 B A制御中にアシス ト圧保持状態が実現された 場合と同様に一定値に保持することができる。
本実施例の制動力制御装置は、 B A + AB S制御が開始された後、 運転者によって制動力の減圧を意図するブレーキ操作が行われると、 A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を A B S制御の要求に応 じた圧力に制御しつつ、 他の車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/c の減圧 を図る。
上述した機能は、 上記図 3 4に示すアシスト圧減圧状態を実現し '、 AB S対象車輪について、 AB S制御の要求に応じて (i)増
圧モー ド、 (ii)保持モードおよび (iii)減圧モードが実現されるよ うに、 適宜保持ソレノィ ド S * * Hおよび減圧ソレノィ ド S * *R を制御することで実現される。 以下、 かかる制御が実行されている 状態をアシスト圧減圧 (AB S) 状態と称す。
すなわち、 アシス ト圧減圧 (ABS) 状態が実現されている場合、 全ての保持ソレノィ ド S * *Hはマスタシリ ンダ 4 0 2に連通して いる。 このため、 アシス ト圧減圧 (AB S) 制御を実現すると、 A B S制御の非制御対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C をマスタシリ ンダ圧 PM/C を下限値として減圧することができる。 また、 ABS 制御の対象車輪については、 (ii)保持モードおよび (iii)減圧モー ドを実現することで、 そのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を保持または減 圧することができる。
ところで、 アシスト圧減圧 (ABS) 状態は、 運転者が制動力の 減少を意図している場合に、 すなわち、 何れの車輪のホイルシリ ン ダ圧 PW/C も増圧する必要がない場合に実現される。 従って、 AB S対象車輪について、 上記の如く(ii)保持モードと (iii)減圧モー ドとが実現できれば、 AB S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 PW/C を、 適正に B A + AB S制御によって要求される圧力に制御することが できる。
このように、 上述したアシス ト圧減圧 (ABS) 状態によれば、 A BS対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を ABS制御の要求に応 じた適当な圧力に制御しつつ、 AB S制御の非対象車輪である左右 前輪 FL, FR及び右後輪 RRのホイルシリ ンダ圧 Pw/C を、 BA 制御中にアシスト圧減圧状態が実現された場合と同様にマスタシリ ンダ圧 PM/C を下限値として減圧することができる。
上述の如く、 本実施例の制動力制御装置によれば、 B A制御が開 始された後、 何れかの車輪に過大なスリ ップ率が発生した場合に、 ① A B S対象車輪のホイルシリ ンダ圧 Pw/C を ABS制御によって 要求される適当な圧力に抑制する A B S機能と、 ② A B S制御の非
制御対象車輪のホイルシリ ンダ圧 p w/。 を、 マスタシリ ンダ圧 P M / c に比して高圧の領域で、 運転者のブレーキ操作に応じて増減させ る B A機能とを、 同時に実現することができる。
ところで、 上述した実施例においては、 制動力制御装置の形式を、 ハイ ドロブース夕タイプおよびポンプアップタイプに限定している が、 本発明はこれに限定されるものではなく、 ブレーキ踏力に対す る倍力比を可変とするバキュームブースタを用いる場合には、 ノく キュー厶ブースタタイプの制動力制御装置に適用することも可能で あ o
本発明は具体的開示された実施例に限定されず、 本発明の範囲を 逸脱することなく様々な変形例及び改良例がなされるであろう。