明細書 光学活性なベンジルコハク酸の製造方法およびその製造中間体
[技術分野]
本発明は、 式
(式中の (S) を付した炭素原子は S配置の炭素原子を示す) で表される光学活 性なベンジルコハク酸の製造方法およびその製造中間体に関するものである。 さらに詳しく述べれば、 本発明は、 光学分割剤として (R) —1— (1—ナフ チル) ェチルァミン、 (R) —ひ一メチルベンジルァミン、 (S) _l—フヱニ ル一 2— (p—トリル) ェチルァミンおよびキニンから選択される有機アミンを 用いて、 式
で表される (R) —異性体と (S) —異性体の混合物であるベンジルコハク酸か ら、 優れた血糖低下作用を有し、 糖尿病治療剤として有用な、 式
(式中の (S) を付した炭素原子は前記と同じ意味をもつ) で表される光学活性 なベンジルコハク酸モノアミ ド誘導体およびその薬理学的に許容される塩の製造 原料として有用な前記式 (I) で表される光学活性なベンジルコハク酸を工業的 に高光学純度かつ高化学純度で効率良く製造する光学分割方法および前記式
(I) で表される光学活性なベンジルコハク酸の製造中間体として有用な、 式
HOOC^)COOH
(式中の (S) を付した炭素原子は前記と同じ意味をもつ) で表される光学活性 なベンジルコハク酸と (R) - 1 - ( 1—ナフチル) ェチルァミン、 (R) - a
—メチルベンジルァミン、 (S) — 1—フエ二ルー 2— (p—トリル) ェチルァ ミンおよびキニンから選択される有機アミンとの塩に関するものである。
[背景技術]
糖尿病治療剤として有用な、 前記式 (I I I) で表される光学活性なベンジル コハク酸モノアミ ド誘導体は、 前記式 (I) で表される光学活性なベンジルコハ ク酸またはその反応性官能的誘導体をィミダゾ一ル、 力ルポ二ルジィミダゾール、 ォキザリルジィミダゾ一ル、 チォニルジィミダゾ一ル、 チォカルボ二ルジィミダ ゾ一ル、 N, N' —ジスクシンィミジルカルボネート、 N—ヒ ドロキシスクシン イミ ドまたは N—ヒ ドロキシー 5—ノルボルネンー 2, 3—ジカルボキシイミ ド と反応させることにより、 一般式
(式中の Bはイミダゾリル基、 N—ォキシスクシンイミ ド基または N—ォキシ一 ビシクロ 〔2, 2, 1〕 ヘプタ一 5—ェン一 2, 3—ジカルボキシイミ ド基であ り、 (S) を付した炭素原子は前記と同じ意味をもつ) で表されるベンジルコハ ク酸誘導体を得、 次いで、 式
で表される環状アミンを反応させた後、 加水分解させることにより選択的に簡便 に製造することができる (日本公開特許公報平 6— 340622号, 同平 6— 3 40623号) 。
糖尿病治療剤として有用な前記式 (I I I) で表される光学活性なベンジルコ
n ハク酸モノアミ ド誘導体は結晶化が困難な低融点結晶物質であり、 精製上取扱い 力容易でないため、 医薬品として要求される高光学純度および高化学純度の原体 を提供するには原料物質として極めて高品質の前記式 (I) で表される光学活性 なベンジルコハク酸を製造して使用することが必要とされる。
上記製造方法において出発原料として用いられる前記式 (I) で表される光学 活性なベンジルコハク酸の製造方法としては、 不斉水素化触媒としてルテニウム 等の遷移金属のキラルなジホスフィン錯体を用いて、 式
で表される (E) —ィタコン酸誘導体を接触還元することによる製造方法 (J. C h e m. S o c. P e r k i n T r a n s. I ( 1989) , 1 571〜 1 575ページ; 日本公開特許公報平 5— 170718号) が知られている。 しかしながら、 (E) —ィタコン酸誘導 を不斉触媒を用いて接触還元して前 記式 (I) で表される光学活性なベンジルコハク酸を製造する方法は、 原料物質 のォレフイ ン化合物として (E) —幾何異性体を使用する必要があり、 使用でき る原料物質の幾何異性に制約がある。 加えて、 得られた光学活性体は、 医薬品と しての前記式 (I I I) で表される光学活性なベンジルコハク酸モノアミ ド誘導 体を提供するには、 未だ光学純度において満足できるものではなく、 さらに光学 純度を向上させるためには、 接触還元終了後にさらに別途精製操作を行う必要が ある。 また、 高価な不斉触媒を用いた加圧下又は長時間の処理を要するなど、 ェ 程が煩雑であり、 当該不斉触媒は使用により失活または選択性の低下などを起こ すことがあるため、 工業的に回収、 再利用の点でも問題が残る。
[発明の開示]
本癸明は、 式 a)
薩^ COOH
.
4
(式中の (S) を付した炭素原子は S配置の炭素原子を示す) で表される光学活 性なベンジルコハク酸の製造方法に関するものである。
本発明は、 前記式 (I) の光学活性なベンジルコハク酸の製造中間体として有 用な、 前記式 (I) の光学活性なベンジルコハク酸と (R) — 1— (1—ナフチ ル) ェチルァミン、 (R) — ひ 一メチルベンジルァミン、 (S) — l—フヱニル
—2— (p—トリル) ェチルァミンおょぴキニンから選択される有機ァミンとの 塩に関するものである。
本発明は、 前記式 (I) の光学活性なベンジルコハク酸を製造するための光学 分割剤としての (R) — ひ 一メチルベンジルァミン、 (S) — 1—フエニル一 2 — (p—トリル) ェチルァミンおよびキニンから選択される有機ァミンの使用に 関するものである。
本発明は、 糖尿病治療剤として有用な前記式 (I I I) で表される光学活性な ベンジルコハク酸モノアミ ド誘導体を製造するための原料物質として用いられる 前記式 (I) で表される光学活性なベンジルコハク酸を製造する方法として、 従 来の不斉触媒を用いた接触還元による製造方法とは異なる光学分割による新規な 製造方法を提供するものである。
即ち、 本発明の光学分割方法は、 前記式 (I I) で表される (R) —異性体お よび (S) —異性体の混合物であるベンジルコハク酸を用い、 光学分割剤として (R) — 1— (1—ナフチル) ェチルアミン、 (R) — ひ一メチルベンジルアミ ン、 (S) — 1—フエ二ルー 2— (p—トリル) ェチルァミンまたはキニンから 選択される有機アミンを使用して実施することができ、 前記式 (I I) のべンジ ルコハク酸を所定の溶媒に溶解し、 (R) — 1— (1—ナフチル) ェチルァミン、 (R) - —メチルベンジルアミン、 (S) - 1—フエニル一 2— (p—トリル) ェチルアミンまたはキニンから選択される有機アミンを適量添加した後、 所望に 応じ適宜ジァステレオマー塩を接種して結晶化を行い、 所望に応じ、 得られたジ ァステレオマー塩を所定の溶媒を用いて再結晶し、 以後この操作を繰り返した後、 常法に従い脱ァミン化処理を行うことにより前記式 (I) で表される光学活性な ベンジルコハク酸を製造するものである。
本発明の光学分割方法において原料物質として用いられる前記式 (I I) で表
_ されるベンジルコハク酸は、回収率等を考慮して、 (S)—異性体の含有量は(R) 一異性体の含有量と同等若しくはそれ以上が好ましいが、 (S) —異性体が少な い場合は、 加熱処理等を施すことによりラセミ化させ、 ラセミ混合物として使用 することができる。
本発明の光学分割方法において用いられる光学分割剤の使用量は、 通常前記式 (I I) で表されるベンジルコハク酸と等モル量であるが、 原料物質と光学分割 剤が 1 : 2のジァステレオマ一塩を形成する場合は、 前記式 (I I) で表される ベンジルコハク酸に対して 2倍モル量である。
本発明の光学分割方法において使用する溶媒としては、 一般的に原料物質であ る前記式 (I I) で表されるベンジルコハク酸力 ?溶解するものであればよく、 例 えばェタノ一ル、 イソプロパノ一ル等のアルコール溶媒を挙げることができる。 本発明の光学分割方法における脱ァミン化処理は、 常法に従い、 塩酸、 硫酸等 の鉱酸を用いた酸処理と水酸化ナトリウム、 水酸化力リウム等の無機塩基を用い たアル力リ処理を適宜組み合わせることにより実施することができる。
前記光学分割方法において出発原料として用いられる前記式 (I I) で表され るベンジルコハク酸は、 文献記載の方法またはそれと類似な方法等により製造す ることができる (J . Am. Ch em. So c. , Vo l. 74, p p 5147 〜5151 ( 1952 ) ; J . Or g. Ch em. , Vo l. 8, pp 285〜 289 ( 1943) 等) 。 例えば、 式 (VII)
HOOcJL
COOH で表される (E) またはノおよび (Z) —ィタコン酸誘導体をパラジウム炭素等 の通常の触媒を用いて工業的に汎用されている通常の水素添加操作に従い、 得ら れたラセミ混合物を原料物質として実施することができる。 また、 一般式
(式中の Rはアルキル基である) で表されるベンジルマロン酸ジアルキルとブ口
O 98/32727 g モ酢酸アルキルとを塩基の存在下に反応させることにより得られる、 一般式
(式中の Rは前記と同じ意味をもつ) で表されるトリカルボン酸エステル誘導体 を加水分解した後、 加熱処理して脱炭酸させることによりラセミ混合物を製造す ることができる。
このように、 本発明の光学分割方法は原料物質のベンジルコハク酸を製造する にあたり、 その製造原科であるィタコン酸誘導体の幾何異性に何ら制約を受ける ことがなく、 工業的に汎用されている通常の水素添加操作により製造することが でき、 また別途製法により容易に製造することができる。 また、 本発明の光学分 割方法は、 前記式 ( I ) で表される光学活性なベンジルコハク酸と (R ) — 1— ( 1 一ナフチル) ェチルァミン、 (R) — ひ 一メチルベンジルァミン、 (S ) —
1 一フエニル一 2— ( p—トリル) ェチルァミンまたはキニンから選択される有 機アミンとの選択的な塩形成効果により達成されるものであり、当該前記式(I ) で表される光学活性なベンジルコハク酸と (R ) - 1 - ( 1 一ナフチル) ェチル ァミン、 (R ) — ひ 一メチルベンジルァミン、 (S ) — 1 —フエ二ルー 2— ( p —トリル) ェチルァミンまたはキニンから選択される有機ァミンとの塩は結晶性 が良好な塩であり、 前記式 (I I ) で表されるベンジルコハク酸の溶液中に前記 有機アミンを添加して結晶化させ、 所望により再結晶を繰り返した後、 脱ァミン 化処理を行うことにより非常に簡便に製造することができる。 本発明の光学分割 方法を行うことにより得られた前記式 (I ) で表される光学活性なベンジルコハ ク酸は高い品質を有している。
さらには、 前記光学分割方法を実施した際得られるろ液は、 適宜脱アミン化処 理を行った後、 得られたベンジルコハク酸を高温下で数時間溶融してラセミ化操 作を施すことにより、 原料物質である前記式 (I I ) で表されるベンジルコハク 酸として再利用に供することができる。 このように、 本発明の光学分割方法にお いては原料物質の前記式 (I I ) のベンジルコハク酸を有効利用することができ、 非常に有用な方法である。
„
[発明を実施するための最良の形態]
本発明の内容を以下の参考例、 実施例および比較例によりさらに詳細に説明す るが、 本発明はこれらに限定されるものではない。 なお、 実施例および比較例中 の化合物の融点はすべて未補正であり、 光学純度は (S) —ベンジルコハク酸の 光学純度を示し、 供試サンプル中の (S) —ベンジルコハク酸を常法によりメチ ルエステル化し、 HPLC (高速液体クロマトグラフィー) を用いて、 (S) _ ベンジルコハク酸ジメチルエステルとして以下の条件にて測定した。
使用カラム キラルセル OD (4. 6 y5 X 25 Omm, ダイセル化学工業) 溶出溶媒 n—へキサン Zイソプロパノール = 98Z2 (vZv)
流速 1. Om l Z分
カラム温度
検出波長 220 nm
卖旆例 1
(S) — 1一フヱニルー 2— (p—トリル) ェチルァミンによる光学分割 ベンジルコハク酸 2.08 gおよび (S) — 1—フエ二ルー 2— (p—トリル) ェ チルァミン 2.11 gをイソプロパノール 50mlに加熱溶解し、 この溶液に別途調製 した目的とするジァステレオマー塩を接種した後放置した。 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 1.91 gを得た (光学純度 67.3% e e) 。 このジァステレオマ —塩 1.91 gをイソプロパノール 40mlに加熱溶解し、 別途調製した目的とするジ ァステレオマ一塩を接種した後放置した。 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー 塩 1.49 gを得た (光学純度 90.2% e e) 。 以下同様に、 溶媒としてエタノール 20ml を用いて再結晶を 1度行い、 ジァステレオマー塩 0.66 gを得た (回収率 31.6%, 光学純度 99.2% e e) 。
融点: 1 52〜 1 54 °C
1 H-NMR (DMS 0- d 6) S ppm:
2.1-2.25 (m, 2H) , 2.22 (s, 3H) , 2.4-2.7 (m, 2H) , 2.9-3.1 (m, 3H) , 4.3-4.4 (m, 1H) , 6.9-7.05 (m, 4H) , 7.15-7.4 (m, 10H)
比旋光度: 〔ひ〕 D 24'5=+46. 3° (c = l . 01, メタノール)
得られたジァステレオマー塩 500mgに 1規定水酸化ナトリウム水溶液 5 ml、塩 化メチレン 5 mlを力 tlえ、 30分間撹拌した。水層を分取し、 塩化メチレン 5 mlで 洗浄した後、 濃塩酸で酸性とし析出結晶をろ取、 水洗し、 (S) —べンジルコハ ク酸 235mgを得た (収率 94.9%, 光学純度 100% e e) 。
δ 実施例 2
(R) 一 1一 (1—ナフチル) ェチルァミンによる光学分割
ベンジルコハク酸 2.08 gおよび (R) — 1— (1—ナフチル) ェチルァミ ン 1.71 gをエタノール 120mlに加熱溶解し、この溶液に別途調製した目的とするジ ァステレオマー塩を接種した後放置した。 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー0 塩 1.17 gを得た (光学純度 86.5% e e) 。 このジァステレオマー塩 1.17 gをェ 夕ノール 80mlに加熱溶解し、別途調製した目的とするジァステレオマー塩を接種 した後放置した。析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 0.79 gを得た (回収率 41.4%, 光学純度 99.2% e e) 。
融点: 163〜: I 64で
5 1 H-NMR (DMS 0- d 6) d ppm:
1.55 (d, J=6.7Hz, 3H) , 2.1-2.25 (m, 2Η) , 2.3-2.7 (m, 2Η) ,
3.00 (dd, J=13.1, 4.8Hz, 1H) , 5.1-5.25 (m, 1H) , フ.1-7.2
(m, 3H) , 7.2-7.3 (m, 2H) , 7.55-7.65 (m, 2H) , フ.フ 0 (d,
J=6.8Hz, 1H) , 7.92 (d, J=8.lHz, 1H) , 7.99 (d, J=9.2Hz, 1H) ,0 8.19 (d, J=8.8Hz, 1H)
比旋光度: 〔 ひ 〕 D 24=— 8. 5° (c = l. 05, メタノール)
以下、実施例 1と同様にして (S) —ベンジルコハク酸を得た(光学純度 100% e e ) o
実施例 3
δ (R) — ひ 一メチルベンジルァミ ンによる光学分割
ベンジルコハク酸 2.08 gおよび (R) — ひ 一メチルベンジルァミ ン 2.42 gを エタノール 80mlに加熱溶解し、この溶液に別途調製した目的とするジァステレオ マ一塩を接種した後放置した。析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 2.30 gを 得た (光学純度 41.2% e e)。 このジァステレオマー塩 2.30 gをエタノール 60ml
g
に加熱溶解し、 別途調製した目的とするジァステレオマー塩を接種した後放置し た。'析出結晶をろ取し、ジァステレオマー塩 1.17 gを得た(光学純度 67.0% e e)( 以下同様に、 溶媒としてエタノール 50mlおよび 40mlを用いて再結晶を 2度行い、 ジァステレオマー塩 0.89 gを得た (回収率 39.6%, 光学純度 100% e e, 当該ジ ァステレオマー塩は (S) —ベンジルコハク酸: (R) — ひ 一メチルベンジルァ ミン = 1 : 2の塩である) 。
融点: 129〜 131 °C
1 H-NMR (DMSO - d 6) δ ppm:
1.35 (d, J=6.7Hz, 6H) , 2.05-2.25 (m, 2H) , 2.4-2.6 (m, 2H) , 3.03 (dd, J=12.5, 3.7Hz, 1H) , 4.15-4.25 (m, 2H) , 7.1-7.45 (m, 15H)
比旋光度: 〔 ひ 〕 D 24 =— 2. 5° (c = l. 05, メタノール)
以下、実施例 1と同様にして (S)—ベンジルコハク酸を得た (光学純度 100% e e ) o
m 4
キニンによる光学分割
ベンジルコハク酸 2.08 gおよぴキ二ン 3.24 gをエタノール 40mlに加熱溶解し、 この溶液に別途調製した目的とするジァステレオマ一塩を接種した後放置した。 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 2.48 gを得た (光学純度 59.8%e e) 。 このジァステレオマー塩 2.48 gをエタノール 30mlに加熱溶解し、 別途調製した 目的とするジァステレオマー塩を接種した後放置した。 析出結晶をろ取し、 ジァ ステレオマー塩 1.82 gを得た (光学純度 80.6% e e ) 。 以下同様に、溶媒として エタノール 30ml、 20mlおよび 30mlを用いて再結晶を 3度行い、 ジァステレオマ —塩 0.66 gを得た (回収率 24.8%, 光学純度 99.4% e e) 。
融点: 177〜: I 79 °C
1 H-NMR (DMSO - d 6) δ ppm:
1.45-1.9 (m, 5H) , 2.22 (dd, J=16.4, 4.1Hz, 1H) , 2.25-2.4 (m, 2H) , 2.55-2.8 (m, 3H) , 2.95 (dd, J=13.3, 5.8Hz, 1H) , 3.05-3.15 (m, 1H) , 3.2-3.5 (m, 3H) , 3.92 (s, 3H) , 4.96 (d,
J=10.4Hz, 1H) , 5.03 (d, J=17.0Hz, 1H) , 5.42 (bs, 1H) , 5.8-5.95 (m, 2H) , 7.15-7.2 (m, 3H) , 7.25-7.3 (m, 2H) , 7.41 (dd, J=9.1, 2.7Hz, 1H) , 7.55 (d, J=2.7Hz , 1H) , 7.55 (d, J=4.4Hz, 1H) , 7.95 (d, J=9.1Hz, 1H) , 8.71 (d, J= .7Hz , 1H) 比旋光度: 〔ひ〕 D 24 =— 1 27. 1° (c= 1. 03, メタノール)
以下、実施例 1と同様にして (S) —ベンジルコハク酸を得た(光学純度 100% e e) o
比較例 1
(R) 一フヱニルァラニノ一ルによる光学分割
ベンジルコハク酸 2.08 gおよび (R) —フエ二ルァラ二ノール 1.51 gをエタ ノール 20mlに加熱溶解し、この溶液に別途調製した目的とするジァステレオマー 塩を接種した後放置した。析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 1.08 gを得た (光学純度 53.6% e e ) 。 このジァステレオマ一塩 1.08 gをエタノール 10mlに 加熱溶解し、 別途調製した目的とするジァステレオマー塩を接種した後放置した 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 0.64 gを得た (光学純度 73.7% e e) 。 以下同様に、 溶媒としてエタノール 6 ml、 4 mlおよび 4 mlを用いて再結晶を 3 度行い、ジァステレオマ—塩 0.13 gを得た(回収率 7.1%,光学純度 99.5% e e) c 融点: 1 50〜 1 5 1 °C
1 H-NMR (DMSO- d 6) δ ppm:
2.1-2.2 (m, 2H) , 2.4-2.65 (m, 2H) , 2.78 (d, J=7.lHz, 2H) ,
3.01 (dd, J=13.0, 4.7Hz, 1H) , 3.2-3.35 (m, 2H) , 3.46 (dd,
J=11.2, 3.6Hz, 1H) , 7.15 -フ.4 (m, 10H)
比旋光度: 〔ひ〕 D 24 = - 1 0. 1° (c = l . 02, メタノール)
以下、 実施例 1と同様にして (S) —ベンジルコハク酸を得た。
比較例 2
(R) 一フエニルグリシノールによる光学分割
ベンジルコハク酸 2.08 gおよび (R) —フエニルグリシノール 1.37 gをエタ ノール 30mlに加熱溶解し、この溶液に別途調製した目的とするジァステレオマー 塩を接種した後放置した。析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 1.57 gを得た
(光学純度 36.396 e e) 。 このジァステレオマー塩 1.57 gをエタノール 20mlに 加熱溶解し、 別途調製した目的とするジァステレオマー塩を接種した後放置した ( 析出結晶をろ取し、 ジァステレオマー塩 0.98 gを得た (光学純度 75.6% e e) 。 以下同様に、 溶媒としてエタノール 15ml、 10mlおよび 8 mlを用いて再結晶を 3 度行い、ジァステレオマ一塩 0.18 gを得た(回収率 10.2%,光学純度 99.2% e e)c 融点: 1 48〜 1 50 °C
1 H-NMR (DMSO - d 6) δ ppm:
2.1-2.2 (m, 2H) , 2.3-2.7 (m, 2Η) , 2.99 (dd, J=13.2, 5.0Hz,
1H) , 3.5-3.7 (m, 2H) , 4.1-4.2 (m, 1H) , 7.15-7.5 (m, 10H) 比旋光度: 〔ひ〕 D 24 =— 28. 5 ° (c = l . 09, メタノール)
以下、 実施例 1と同様にして (S) —ベンジルコハク酸を得た。
参考例
ベンジルコハク酸の回収方法
実施例 1〜 4のろ液を減圧下に留去し、 得られたジァステレオマー混合物 3.2 に 1規定水酸化ナトリウム水溶液 20ml、 塩化メチレン 20mlを加え、撹拌した。 水層を分取し、 濃塩酸で中和し、 析出したベンジルコハク酸 1.50 gを 180°Cで 1 時間溶融し、放冷後、 5規定水酸化ナトリゥム水溶液 4 mlを加え、 2時間加熱還 流した。 放冷後、 濃塩酸で酸性とし、 析出した結晶をろ取、 水洗して、 ラセミ混 合物 1.36 gを得た。