明細害 発明の名称
光制御方法および光制御装置 技術分野
本発明は、 例えば光通信、 光情報処理などの光エレク トロニクスおよびフォト 二クスの分野において有用な、 光応答性の光学素子を用いる光制御方法および光 制御装置に関するものである。 背景技術
超高速情報伝達 ·処理を目的として、 光の多重性、 高密度性に着目した光エレ ク トロニクスおよびフォ卜二クスの分野において、 光学材料または光学組成物を 加工して作成した光学素子に光を照射することで引き起こされる透過率や屈折率 の変化を利用して、 電子回路技術を用いずに、 光の強度 (振幅) または周波数 (波長) を変調しょうとする光 ·光制御方法の研究開発が盛んに進められている < また、 光の特徴を活かして、 並列光論理演算や画像処理を行おうとする場合、 光 ビーム (光線束) の断面に光強度分布変化など、 何等かの変調を行うための 「空 間光変調器」 が極めて重要であり、 ここへも光 ·光制御方法の適用が期待される c 光 ·光制御方法への応用が期待される現象としては可飽和吸収、 非線形屈折、 フ才卜リフラクティブ効果などの非線形光学効果、 およびフォ トクロミック現象 が広く注目を集めている。
一方、 第一の波長帯域の光で励起された分子が、 分子構造の変化を伴わずに、 第一の波長帯域とは異なる第二の波長帯域において新たに光吸収を起こす現象も 知られており、 これを 「励起状態吸収」 または 「誘導吸収」 、 あるいは 「過渡吸 收」 と呼ぶことができる。
励起状態吸収の応用を試みた例としては、 例えば、 特開昭 5 3 — 1 3 7 8 8 4 号公報にはポルフィリン系化合物と電子受容体を含んだ溶液または固体に対して 波長の異なる少なくとも二種類の光線を照射し、 この照射により一方の波長の光
線が有する情報を他方の光線の 長に移すような光変換方法が開示されている。 また、 特開昭 5 5— 1 0 0 5 0 3号公報および特開昭 5 5— 1 0 8 6 0 3号公報 にはポルフィ リン誘導体などの有機化合物の基底状態と励起状態の間の分光スぺ ク トルの差を利用し、 励起光の時間的な変化に対応して伝搬光を選択するような 機能性の液体コア型光ファイバ一が開示されている。 また、 特開昭 6 3 - 8 9 8 0 5号公報には光によって励起された三重項状態から更に上位の三重項状態への 遷移に対応する吸収を有するポルフィリン誘導体などの有機化合物をコア中に含 有しているプラスチック光ファイバ一が開示されている。 また、 特開昭 6 3 - 2 3 6 0 1 3号公報にはクリプトシァニンなどのシァニン色素の結晶に第一の波長 の光を照射して分子を光励起した後、 第一の波長とは異なる第二の波長の光を前 記分子に照射し、 第一の波長の光による光励起状態によって第二の波長の光の透 過または反射をスイッチングするような光機能素子が開示されている。 また、 特 開昭 6 4— 7 3 3 2 6号公報にはポルフィリン誘導体などの光誘起電子移動物質 をマ卜リックス材料中に分散した光変調媒体に第一および第二の波長の光を照射 して、 分子の励起状態と基底状態の間の吸収スぺクトルの差を利用して光変網す るような光信号変調媒体が開示されている。
これら従来技術で用いられている光学装置の構成としては、 特開昭 5 5— 1 0 0 5 0 3号公報、 特開昭 5 5 - 1 0 8 6 0 3号公報、 および特開昭 6 3 - 8 9 8 0 5号公報には伝搬光の伝播する光ファイバ一を励起光の光源 (例えばフラッシ ュランプ) の周囲に巻きつけるような装置構成が開示されており、 特開昭 5 3— 1 3 7 8 8 4号公報および特開昭 6 4 - 7 3 3 2 6号公報には光応答性光学素子 内部の信号光に相当する光の伝播している部分全体に信号光の光路とは別の方向 から制御光に相当する光を収束させることなくむしろ投射レンズなどの手段によ つて発散させて照射するような装 S構成が開示されている。
しかしながら、 以上のような従来技術においては、 実用に足りる大きさの透過 率変化または屈折率変化 (光応答) を引き起こすためには非常に高密度の光パヮ 一を必要としたり、 光照射に対する応答が遅かったり、 光応答材料の耐久性が低 かったりするため、 実用に至るものは未だ得られていないのが現状である。 本発明は、 上記課題を解決し、 光応答を充分な大きさで再現性良く得るための
光制御方法および光制御装置を提供することを目的とする。 · 明の開示
上記目的を達成するために、 本願の請求項 1記載の発明に係る光制御方法は、 光応答性組成物から成る光学素子に、 前記光応答性組成物が感応する波長の制 御光を照射し、 制御光とは異なる波長帯域にある信号光の透過率および/または 屈折率を可逆的に変化させることにより前記光学素子を透過する前記信号光の強 度変調および/または光束密度変調を行う光制御方法であって、
前記制御光および前記信号光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、 かつ、 前記制御光および前記信号光のそれぞれの焦点近傍の光子密度が最も高い領域が 前記光学素子内の前記光応答性組成物中において互いに重なり合うように、 前記 制御光および前記信号光の光路をそれぞれ配置したことを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1記載の光制御方法において、
前記制御光および前記信号光を前記光学素子中において実質的に同一光路で伝 搬させることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 3記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 または 2記載の光制御方法において、
前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した後、 発散していく信号光光線 束のうち、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光 光線束を分別して取り出すことを特徴とする。
この場合、 通常、 信号光光線束の中心部分が特に変調を受けやすいので、 発散 する信号光光線束を収束するために受光レンズを用いるときには信号光光線束の 中心軸に受光レンズの中心軸を一致させることが好適である。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 4記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 または 2記載の光制御方法において、
前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した後、 発散していく信号光光線 束を、 前記信号光光線束の発散角度よりも小さい角度範囲 (開口角) で取り出す ことによって、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信
号光光線束を分別して取り出すことを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 5記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 から 4のいずれか記載の光制御方法において、
前記制御光および前記信号光のそれぞれの焦点位置と前記光学素子との位置関 係を変化させることにより、
前記制御光の照射によって、 前記光学素子を透過した前記信号光の見かけの強 度が減少する方向の光応答と、 前記信号光の見かけの強度が増大する光応答との、 どちらか一方を選択して取り出すことを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 6記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1から 5のいずれか記載の光制御方法において、
前記光学素子として、 色素を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用い ることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 7記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 から 5のいずれか記載の光制御方法において、
前記光学素子として、 下記の式 [ 1 ] で表される卜リアリールメタン系色素の 少なくとも 1種類を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用いることを特 徴とする。
[ ' 2 3 C] + X" - [ 1 ]
(式 [ 1 ] において、 φヽ 、 および 03 は、 炭素原子で中心炭素原子に結 合している 1価または 2価の芳香族炭化水素残基または芳香族複素璟残基を表し . これらの残基は置換基を有する場合を含む、
X— は、 上記卜リアリールメチルカチオンに対して化学的に不活性なカウンタ ーァニオンを表す。 「化学的に不活性な」 とは、 上記卜リアリールメチルカチォ ンに化学反応せず、 それに対して単なるイオン種として静 II的に相互作用するこ とをいう。 ) χ- の具体例としては、 例えば、 塩素イオン (C 1— ) 、 臭素ィォ ン ( B r— ) 、 ヨウ素イオン ( I— ) 、 パーク口ラートイオン (C 1 CK ― ) 、 テトラフル才ロボラ一 トイオン ( B F4 ― ) 、 へキサフル才ロホスフオラー トイ オン ( P F6 — ) 、 硫酸イオン ( SC 2—) 、 硫酸水素イオン (H SO* ― ) 、 p— トルエンスルホナ一 卜イオン (C H3 C 6 H S03 ― ) 、 ベンゼンスルホ
ナートイオン (C6 H 5 S 03 ― ) 、 メタンスルホナートイオン (C H3 S 03 ― ) 、 卜りフル才ロメタンスルホナ一トイオン (C F3 S Oa - ) 、 酢酸イオン (C H3 COO" ) 、 卜リク口口醉酸イオン (CC 1 3 COO— ) 、 またはトリ フル才口酢酸イオン (C F3 COO— ) などのァニオンを挙げることができる。 また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 8記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 から 5のいずれか記載の光制御方法において、
前記光学素子として、 下記の式 [2] で表される卜リアリールメタン系色素の 少なくとも 1種類を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用いることを特 徴とする。
φ4 5 0 = φ6 =0 - [2]
(式 [2] において、 04 および 05 は、 炭素原子で中心炭素原子に結合して いる 1価の芳香族炭化水素残基または芳香族複素環残基を表し、 これらの残基は 置換基を有する場合を含む、
6 は、 2個の炭素原子で中心炭素原子および酸素原子に各々二重結合で結合 しているキノィ ド型の芳香族炭化水素残基または芳香族複素璟残基を表し、 この 残基は置換基を有する場合を含む。 )
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 9記載の発明に係る光制御方法 は、 請求項 1 から 5のいずれか記載の光制御方法において、
前記光学素子として、 下記の式 [3] で表されるポリメチン色素の少な〈とも 1種類を含有する光応答性組成物から成る光学素子を用いることを特徴とする。
[ 7 - (C RA =C RB ) m -C H = 8 ] + Y- - [3]
(式 [3] において、 φ1 は、 炭素原子でメチン鎖に結合している 1価の複素 璟残基を表し、 この残基は置換基を有する場合を含む、
Φα は、 炭素原子でメチン鎖に結合している 2価の複素環残基を表し、 この残 基は置換基を有する場合を含む、
mは 0、 1、 2、 または 3以上の整数であり、
mが 1以上のとき、 RA および Re は、 それぞれ、 水素原子、 カルボン酸エス テル残基、 ハロゲン原子、 アルキル基、 ァリール基、 ヒドロキシ基、 アルコキシ 基、 またはアミノ基を表し、 この基は置換基を有する場合を含む、
mが 2以上のとき、 RA および RB はそれそれ相異なる場合、 また、 互いに結 合して璟を形成する場合を含む、
Y一 は、 上記ポリメチン色素の力チ才ン部分に対して化学的に不活性なカウン ターァニオンを表す。 「化学的に不活性な」 とは、 上記ポリメチン色素のカチ才 ン部分とは化学反応せず、 それに対して単なるイオン種として静電的に相互作用 することをいう。 ) 、― の具体例としては、 例えば、 塩素イオン (C 1— ) 、 臭 素イオン ( B r— ) 、 ヨウ素イオン ( I— ) 、 パークロラ一卜イオン (C 1 04 " ) 、 テトラフル才ロポラートイオン (B F4 一 ) 、 へキサフル才ロホスフオラ 一トイオン ( P F6 ― ) 、 硫酸イオン ( S 04 2-) 、 硫酸水素イオン ( H SCU ― ) 、 p—トルエンスルホナ一 卜イオン (C H3 C6 H 4 S 03 ― ) 、 ベンゼン スルホナー卜イオン (C6 H 5 S 03 " ) 、 メタンスルホナ一卜イオン (C H3 S O 3 - ) 、 トリフル才ロメタンスルホナートイオン (C F3 S O 3 ― ) 、 酢酸 イオン (C H3 COO" ) 、 トリクロロ齚酸イオン (CC 1 3 COO— ) 、 また はトリフルォ口酢酸イオン (C F3 COO— ) などのァニオンを挙げることがで さる o
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 0記載の発明に係る光制御方 法は、 請求項 1から 5のいずれか記載の光制御方法において、
前記光学素子として、 下記の式 [4] から [ 1 1 ] のいずれかで表されるフタ ロシアニン色素の少なくとも 1種類を含有する光応答性組成物から成る光学素子 を用いることを特徴とする。
C4]
(式 [4] 中において、 M'は水素原子 1個または 1価の金属原子.1個を表し、 M
1に中性の配位子が配位する場合を含む、
R 'ないし R '6は、 各々、 水素原子、 第 I V族元素 (C, S i , G e , S n , P b ) の化合物、 第 V族元素 (N, P, A s, S b, B i ) の化合物、 第 V I族 元素 (0, S, S e, T e, P o ) の化合物、 または、 第 V I I族元素 (F, C 1 , B r , I ) から導かれる 1価の 換基を表し、 これらの置換基は互いに相異 なる場合、 また、 隣接する 2個の置換基が互いに結合して環を形成する場合を含 む。 )
(式 [5] 中において、 は 2価の金属原子 1個を表し、 M2に中性の配位子 が配位する場合を含む、
R'ないし R'6は、 式 [4] の場合と同義である。 )
(式 [6] 中において、 M3は 3価の金属原子 1個を表し、 M3に中性の配位子 が配位する場合を含む、
し 'は第1 族元素 (0, S i , Ge, S n , P b ) の化合物、 第 V族元素 (N, P , A s , S b , B i ) の化合物、 第 V I族元素 (〇, S, S e , T e, P o ) の化合物、 または、 第 V I I族元素 ( F , C 1 , B r , I ) から導かれる 1価の置換基または 1価の陰イオンを表し、
ないし R '6は、 式 [4] の場合と同義である。 )
■ C7]
(式 [7] 中において、 M
4は 4価の金属原子 1個を表し、 - し
2および L
3は、 各々、 式 [6 ] における L 'と同義であり、
L 2およびし3が分子内で互いに結合して環を形成する場合を含む.
R 'ないし R '6は、 式 [4] の場合と同義である。 )
(式 [8] 中において、 M4は 4価の金属原子 1個を表し、
nは 1以上の整数を表し、
Zは、 一0—または一 0— R— 0—で表される 2価の基であり、 ここで、 Rは 第 I V族元素 (C, S i , G e , S n, P b ) の化合物から導かれる 2価の基を 表し、
R 'ないし R '8は、 式 [4] における R 1ないし R '6と同義である。 )
(以下余白)
(式 [ 9] 中において、 M3は 3価の金厲原子 1個を表し、 M3に中性の配位 子が配位する場合を含む、
Zは、 式 [8] の場合と同義であり、
R 'ないし R '6、 および R ''ないし R '6'は、 式 [4] における R 'ないし R '6 と同義である。 )
(式 [ 1 0] 中において、 NTは 4価の金属原子 1個を表し、 M4に中性の配 位子が配位する場合を含む、
R 'ないし R '6は、 式 [4] の場合と同義である。 )
(式 [ 1 1 ] 中において、 M 4は 4価の金属原子 1個を表し、 M 4に中性の配 位子が配位する場合を含む、
R 'ないし R '6、 および R ''ないし R '6'は、 式 [4] における R 'ないし R '6 と同義である。 )
前記の式 [4] において、 1価の金属原子 (Μ') の具体例は、 例えば、 リチ ゥム、 ナト リウム、 カリウム、 ルビジウム、 セシウムなどのアルカリ金厲である, 前記の式 [5] において、 2価の金属原子 の具体例は、 例えば、 ベリ. リウム、 マグネシウム、 カルシウム、 ス トロンチウム、 バリウムなどのアルカリ 土類金属、 モリブデン、 タングステン、 マンガン、 鉄、 ルテニウム、 オスミウム コバルト、 ロジウム、 イ リジウム、 ニッケル、 パラジウム、 プラチナ、 銅、 銀な どの遷移金属、 亜鉛、 カ ドミウム、 水銀、 鉛などの典型金属などである。
前記の式 [6] または [9] において、 3価の金属原子 (Μ3) の具体例は、 例えば、 スカンジウム、 イッ トリウム、 クロム、 マンガン、 鉄、 口ジゥム、 金な どの遷移金属、 アルミニウム、 ガリウム、 インジウム、 タリウム、 アンチモンな どの典型金属、 プラセ才ジゥム、 ネオジゥム、 ユウ口ピウム、 ガドリニウム、 テ ルビゥム、 ジスプロシウム、 ホルミウム、 エルビウム、 ツリウム、 イツテルビゥ ムなどのランタノ ィ ド金属などである。
前記の式 [7] 、 [8] 、 [ 1 0] または [ 1 1 ] において、 4価の金厲原子 (M4) の具体例は、 例えば、 チタン、 ジルコニウム、 ハフニウム、 バナジウム、 ニオブ、 タンタルなどの遷移金厲、 ケィ素、 ゲルマニウム、 錫などの典型金属、 ルテチウムなどのランタノィ ド金属、 および、 トリウム、 プロ トアクチニウム、 ウランなどのァクチノィ ド金厲である。
前記の式 [4] ないし [1 1 ] において、 中性の配位子の具体例は、 例えば、 水、 酸素分子、 一酸化炭素、 テトラヒドロフラン、 ァセ卜二卜リル、 ピリジン、 4,4'-ビビリジン、 ピラジン、 ピリミジン、 ピリダジン、 モルホリンなどである。 前記の式 [4] ないし [ 1 1 ] において、 第 I V族元素 (C, S i , G e , S n , P b ) の化合物から導かれる 1価の置換基 (R'ないし R'e、 R '' ないし R '6' 、 L 'ないしし 3) の具体例は、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 シクロプロピル基、 n—ブチル基、 t一ブチル基、 n—ペンチ ル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基、 n—へキシル基、 n—へプチル基、 ネオペンチル基、 n—才クチル基、 イソォクチル基、 n-ノニル基、 n—デシル 基、 n—ゥンデシル基、 n— ドデシル基、 n—才クタデシル基、 ビニル基、 2— プロぺニル基、 ベンジル基、 フエニル基、 ビフエ二ル基、 2, 4—ジメ トキシフ ェニル基、 ナフチル基、 メ 卜キジ基、 ェトキシ基、 n—ブトキシ基、 n—ペン卜 キシ基、 n—へキシルォキシ基、 n—ヘプトキシ基、 n—才クチルォキシ基、 π —ノニル才キシ基、 η—デシル才キシ基、 η—ゥンデシル才キシ基、 π—ドデシ ル才キシ基、 η—才クタデシル才キシ基、 ベンジル才キシ基、 フエノキシ基、 ァ セチル基、 メ トキシカルポニル基、
トリメチルシリル基、 ジメチルフエニルシリル基、 トリメチルシロキシ基、 トリ メチルゲルミル基、 メチルジフエニルゲルミル基、 トリメチル錫基、 トリェチル 鉛基などである。
前記の式 [4] ないし [1 1 ] において、 第 V族元素 (Ν, Ρ, A s , S b , B i ) の化合物から導かれる 1価の置換基 (R,ないし R 'e、 R " ないし R'6, , L 'ないしし 3) の具体例は、 例えば、 ジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基、 メ チルプロピルアミノ基、 ジベンジルァミノ基、 ェチルフエニルァミノ基、 4- (ジ メチルアミノ ) ブチル基、 6 - (ジェチルアミノ) へキシル才キシ基、 N—メチ
ルァセチルァミノ基、 ジフエ二ルフ才スフィニル基、 ジフエ二ルアルシニル基、 - ジフエニルスチビニル基、 ジフエ二ルビスムチニル基などである。
前記の式 [4] ないし [ 1 1 ] において、 第 V I族元素 (0, S, S e , T e, P o ) の化合物から導かれる 1価の置換基 ( R,ないし R 18、 R " ないし R16' 、 L 'ないしし 3) の具体例は、 例えば、 ヒドロキシ基、 メ 卜キシ基、 エトキシ基、 n—ブトキジ基、 n—ペントキシ基、 n—へキシル才キシ基、 π—ヘプ卜キシ基、 η—才クチル才キシ基、 η—ノニルォキシ基、 η—デシルォキシ基、 η—ゥンデ シルォキシ基、 η—ドデシル才キシ基、 η—才クタデシルォキシ基、 ベンジルォ キシ基、 フエノキシ基、 メルカプト基、 メチルチオ基、 ェチルチオ基、 2—フリ ル基、 2—チ才フエニル基、 2—セレノフエニル基、 2—テル口フエニル基など である。
前記の式 [6] 、 [7] または [ 1 1 ] において、 1価の陰イオン (し 1、 L2 またはし 3) の具体例は、 例えば、 酢酸イオン (C H3COO— ) 、 クロロ齚酸ィォ ン (C 1 C H2C00— ) 、 トリフル才ロ酢酸イオン (C F3COO— ) 、 炭酸水素 イオン (HOCOO— ) 、 硫酸水素イオン (H S0 ) 、 p—トルエンスルホン酸 イオン (C H3C6h S03 - ) 、 ベンゼンスルホン酸イオン (Csh SOa— ) 、 メタンスルホン酸イオン (C H3S03— ) 、 トリフルォ口メタンスルホン酸イオン
(C F 3S 03") 、 靑酸イオン (C N—) 、 シアン酸イオン (0C N— ) 、 イソシァ ン酸イオン ( NC 0— ) 、 イソチォシアン酸イオン (NC S— ) 、 過塩素酸イオン
(C 1 04") 、 テトラフル才ロポラー トイオン ( B FD 、 へキサフルォ口ホス フ才ラートイオン ( P F6— ) などである。
前記の式 [8] または [9] において、 第 I V族元素 (C, S i , G e, S n , P b ) の化合物から導かれる 2価の基 ( R) の具体例は、 例えば、 メチレン基、 エチレン基、 1 , 2—プロピレン基、 2 , 3—ブチレン基、 1 , 4一フエ二レン 基、 ジメチルシリ レン基、 メチルフエ二ルシリ レン基、 ジフエ二ルゲルミレン基 などである。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 1記載の発明に係る光制御方 法は、 請求項 1から 1 0のいずれか記載の光制御方法において、
前記光応答性組成物が液体であり、 かつ、 前記液状光応答性組成物を充填した
光学セルを前記光学素子として いることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 2記載の発明に係る光制御方 法は、 請求項 1 1記載の光制御方法において、
前記液状光応答性組成物が揮発性溶剤を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 3記載の発明に係る光制御装 置は、
光応答性組成物から成る光学素子に、 前記光応答性組成物が感応する波長の制 御光を照射し、 制御光とは異なる波長帯域にある信号光の透過率および/または 屈折率を可逆的に増減させることにより前記光学素子を透過する前記信号光の強 度変調および/または光束密度変調を行う光制御方法に用いられる光制御装置で あって、
前記制御光および前記信号光を各々収束させる収束手段を有し、 収束された前 記制御光および前記信号光のそれそれの焦点近傍の光子密度が最も高い領域が互 いに重なり合うように、 前記制御光および前記信号光の光路をそれぞれ配置し、 かつ、 前記光学素子内の前記光応答性組成物は、 収束された前記制御光および前 記信号光のそれぞれの焦点近傍の光子密度が最も高い領域が互いに重なり合う位 置に配置されていることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 4記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3記載の光制御装置において、
前記制御光および前記信号光が前記光学素子中において実質的に同一光路で伝 搬するような光路配置を有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の饞求項 1 5記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3または 1 4記戴の光制御装置において、
前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した後、 発散していく信号光光線 束のうち、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光 光線束を分別して取り出す手段を有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 6記載の発明に係る光制御装 Sは、 請求項 1 5記載の光制御装置において、
前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光光線束を
分別して取り出す手段として、
前記光学素子へ前記信号光を収束させて入射させる際に用いた収束手段の開口 数よりも小さい開口数の収束手段を用いることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 7記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 5記載の光制御装置において、
前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光光線束を 分別して取り出す手段として、
絞りを用いることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 8記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 1 7のいずれか記載の光制御装置において、
前記制御光および前記信号光のそれぞれの焦点位置と前記光学素子との位置関 係を変化させる移動手段を有し、
前記移動手段を用いることによって、 前記制御光および前記信号光のそれそれ の焦点位置と前記光学素子との位置関係を変化させることにより、 前記制御光の 照射によって前記光学素子を透過した前記信号光の見かけの強度が減少する方向 の光応答と、 前記信号光の見かけの強度が増大する光応答との、 どちらか一方を 選択して取り出すことを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 1 9記載の発明に係る光制御装 は、 請求項 1 3から 1 8のいずれか記載の光制御装置において、
前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過してきた信号光と制御光の混合光 を、 信号光と制御光とに分離する手段を有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 0記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 1 9のいずれか記載の光制御装置において、
前記制御光および前記信号光を各々收束させる前記収束手段、 および/または、 前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した後、 発散していく信号光光線束 のうち、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光光 線束を分別して取り出す手段、 および/または、 前記光学素子中の前記光応答性 組成物を透過してきた信号光と制御光の混合光を、 信号光と制御光とに分離する 手段が、 前記光学素子に組み込まれた構造を有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 1記載の発明に係る光制御装 _ 置は、 請求項 1 3から 2 0のいずれか記載の光制御装置において、
前記光応答性組成物が色素を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 2記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 2 0のいずれか記載の光制御装置において、
前記光応答性組成物が前記の式 [ 1 ] で表される卜リアリールメタン系色素の 少なくとも 1種類を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 3記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 2 0のいずれか記載の光制御装置において、
前記光応答性組成物が前記の式 [ 2 ] で表される卜リアリールメタン系色素の 少なくとも 1種類を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 4記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 2 0のいずれか記載の光制御装 Sにおいて、
前記光応答性組成物が前記の式 [ 3 ] で表されるポリメチン色素の少なくとも 1種類を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 5記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 2 0のいずれか記載の光制御装置において、
前記光応答性組成物が前記の式 [ 4 ] から [ 1 1 ] のいずれかで表されるフタ ロシアニン色素の少なくとも 1種類を含有することを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 6記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 1 3から 2 5のいずれか記載の光制御装置において、
前記光応答性組成物が液体であり、 かつ、 前記液状の光応答性組成物を充填し た光学セルを前記光学素子として用いることを特徴とする。
また、 上記目的を達成するため、 本願の請求項 2 7記載の発明に係る光制御装 置は、 請求項 2 6記載の光制御装 Sにおいて、
前記液状光応答性組成物が揮発性溶剤を含有することを特徴とする。
[光応答性組成物、 信号光の波長帯域、 および制御光の波長带域の組み合わせ] 本発明の光制御方法で利用される光応答性組成物、 信号光の波長蒂域、 および 制御光の波長帯域は、 これらの組み合わせとして、 使用目的に応じて適切な組み
合わせを選定し用いることができる。
具体的な設定手順としては、 例えば、 まず、 使用目的に応じて信号光の波長な いし波長帯域を決定し、 これを制御するのに最適な光応答性組成物と制御光の波 長の組み合わせを選定すれば良い。 または、 使用目的に応じて信号光と制御光の 波長の組み合わせを決定してから、 この組み合わせに適した光応答性組成物を選 定すれば良い。
本発明で用いられる光応答性組成物の組成、 および前記光応答性組成物から成 る光学素子中を伝播する信号光および制御光の光路長については、 これらの組み 合わせとして、 光学素子を透過する制御光および信号光の透過率を基準にして設 定することができる。 例えば、 まず、 光応答性組成物の組成の内、 少なくとも制 御光あるいは信号光を吸収する成分の濃度を決定し、 次いで、 光学素子を透過す る制御光および信号光の透過率が特定の値になるよう光学素子中を伝播する信号 光および制御光の光路長を設定することができる。 または、 まず、 例えば装置設 計上の必要に応じて、 光路長を特定の値に設定した後、 光学素子を透過する制御 光および信号光の透過率が特定の値になるよう光応答性組成物の組成を調整する ことができる。
本発明は、 できる限り低い光パワーで充分な大きさおよび速度の光応答を、 光 応答性組成物から成る光学素子から引き出すような光制御方法および光制御装置 を提供することを目的としているが、 この目的を達成するために最適な、 光学素 子を透過する制御光および信号光の透過率の値は、 それぞれ、 次に示す通りであ る
本発明の光制御方法および光制御装置では、 光学素子を伝播する制御光の透過 率が多くとも 9 0 %以下になるよう光応答性組成物中の光吸収成分の濃度および 存在状態の制御、 光路長の設定を行うことが推奨される。
ここで、 制御光の照射によって信号光の透過率が減少する方向の光応答を利用 しょうとする場合、 制御光を照射しない状態において、 光学素子を伝播する信号 光の透過率が少なくとも 1 0 %以上になるよう光応答性組成物中の光吸収成分の 濕度および存在状態の制御、 光路長の設定を行うことが推奨される。
[光応答性組成物]
本発明における制御光を照射したとき、 制御光とは異なる波長帯域にある信号 光の透過率および/または屈折率を可逆的に可変させるような光学素子に用いら れる光応答性組成物としては、 公知の種々のものを使用することができる。
本発明では、 前記光応答性組成物として、 使用温度領域において、 固体、 ガラ ス状態ないしゴム状態のもの、 および、 液体状態のものを使用することができる c なお、 本発明で用いられる光応答性組成物は、 その機能に支陣をきたさない範 囲において、 加工性を向上させたり、 光学素子としての安定性 ·耐久性を向上さ せるため、 副成分として公知の酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 一重項酸素クェンチ ヤー、 分散助剤などを含有しても良い。
[固体、 ガラス状態ないしゴム状態の光応答性組成物]
固体、 ガラス状態ないしゴム状態の光応答性組成物の例を具体的に挙げるなら ば、 例えば、 GaA s、 GaA s P、 G a A 1 A s. I n P、 I n S b、 I n A s、 P b T e、 I nGaA s P、 Z n S eなどの化合物半導体の単結晶、 前記化 合物半導体の微粒子をマ卜リックス材料中へ分散したもの、 異種金属イオンをド —プした金属ハロゲン化物 (例えば臭化カリウム、 塩化ナトリウムなど) の単結 晶、 前記金展ハロゲン化物 (例えば臭化銅、 塩化銅、 塩化コバルトなど) の微粒 子をマ卜リックス材料中へ分散したもの、 銅などの異種金厲イオンをド一プした Cd S、 C d S e、 C d S e S、 C d S e T eなどのカドミウムカルコゲナイ ド の単結晶、 前記カドミウムカルコゲナイ ドの微粒子をマ卜リックス材料中へ分散 したもの、 シリコン、 ゲルマニウム、 セレン、 テルルなどの半導体単結晶薄膜、 多結晶薄膜、 ないし多孔 薄膜、 シリコン、 ゲルマニウム、 セレン、 テルルなど の半導体微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの、 白金、 金、 パラジウムな どの貴金属微粒子をマトリックス材料中へ分散したもの、 ルビー、 ァレキサンド ライ ト、 ガーネッ ト、 Nd : YAG、 サファイア、 T i :サファイア、 Nd : Y L Fなど、 金厲イオンをドープした宝石に相当する単結晶 (いわゆるレーザー結 晶) 、 金展イオン (例えば鉄イオン) をドープしたニオブ酸リチウム ( L i N b 03) 、 L i B a 05 L i T a 03 , K T i O PO K H2PO K N bO B a B 202などの強誘鴛性結晶、 金展イオン (例えばネオジゥムイオン、 エルピウ ムイオンなど) をドープした石英ガラス、 ソーダガラス、 ホウケィ酸ガラスその
他のガラスなどのほか、 固体、 ガラス状態ないしゴム状態のマ卜リヅクス材料中 に色素を溶解または分散したものを好適に使用することができる。
これらの中でも、 固体、 ガラス状態ないしゴム状態のマトリックス材料中に色 素を溶解または分散したものは、 マトリックス材料および色素の選択範囲が広く , かつ光学素子への加工も容易であるため、 本発明で特に好適に用いることができ る。
本発明で用いることのできる固体、 ガラス状態ないしゴム状態のマトリックス 材料は、
( 1 ) 使用温度領域において固体、 ガラス状態ないしゴム状態であること、
( 2 ) 本発明の光制御方式で用いられる光の波長領域で透過率が高いこと、
( 3 ) 本発明で用いられる前記色素等を安定性良く溶解または分散できること、
( 4 ) 光学素子としての形態を安定性良く保つことができること、
という条件を満足するものであれば任意のものを使用することができる。
無機系のマトリックス材料としては、 例えば、 いわゆるゾルゲル法で作成され る低融点ガラス材料などを使用することができる。
また、 有機系のマトリックス材料としては、 種々の有機高分子材料を使用する ことができる。 その具体例としては、 ポリスチレン、 ポリ (α—メチルスチレン) , ポリィンデン、 ポリ ( 4—メチル一 1 —ペンテン) 、 ポリビニルピリジン、 ポリ ビニルホルマール、 ポリビニルァセタール、 ポリビニルプチラール、 ポリ酢酸ビ ニル、 ポリビニルアルコール、 ポリ塩化ビニル、 ポリ塩化ビニリデン、 ポリビニ ルメチルエーテル、 ポリビニルェチルエーテル、 ポリビニルベンジルェ一テル、 ポリビニルメチルケトン、 ポリ ( Ν—ビニルカルバゾール) 、 ポリ (Ν—ビニル ピロリ ドン) 、 ポリアクリル酸メチル、 ポリアクリル酸ェチル、 ポリアクリル酸, ポリアクリロニトリル、 ポリメタクリル酸メチル、 ポリメタクリル酸ェチル、 ポ リメタクリル酸プチル、 ポリメタクリル酸ベンジル、 ポリメタクリル酸シクロへ キシル、 ポリメタクリル酸、 ポリメタクリル酸ァミド、 ポリメタクリ□二トリル, ポリアセ卜アルデヒド、 ポリクロラール、 ポリエチレン才キシド、 ポリプロピレ ンォキシド、 ポリエチレンテレフタレ一卜、 ポリフチレンテレフタレ一卜、 ポリ カーボネィ 卜類 (ビスフエノ一ル類 +炭酸) 、 ポリ (ジエチレングリコール · ビ
スァリルカーポネイ ト) 類、 6—ナイロン、 6 , 6—ナイロン、 1 2—ナイロン、 6, 1 2—ナイロン、 ポリアスパラギン酸ェチル、 ポリグルタミン酸ェチル、 ポ リリジン、 ポリプロリン、 ポリ (ァ一べンジルー L一グルタメート) 、 メチルセ ルロース、 ェチルセルロース、 ベンジルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロー ス、 ヒドロキジプロピルセルロース、 ァセチルセルロース、 セルロース卜リアセ テ一卜、 セルロース卜リブチレ一ト、 アルキド樹脂 (無水フタル酸 +グリセりン) 、 脂肪酸変性アルキド樹脂 (脂肪酸 +無水フタル酸 +グリセリン) 、 不飽和ポリエ ステル樹脂 (無水マレイン酸 +無水フタル酸 +プロピレングリコール) 、 ェポキ シ樹脂 (ビスフエノール類 +ェピクロルヒドリン) 、 ポリウレタン樹脂、 フエノ ール樹脂、 尿素樹脂、 メラミン樹脂、 キシレン樹脂、 トルエン榭脂、 グアナミン 樹脂などの樹脂、 ポリ (フエニルメチルシラン) などの有機ポリシラン、 有機ポ リゲルマンおよびこれらの共重合 ·共重縮合体が挙げられる。 また、 二硫化炭素、 四フヅ化炭素、 ェチルベンゼン、 パーフルォロベンゼン、 パーフル才ロシクロへ キサンまたは卜リメチルクロロシラン等、 通常では重合性のない化合物をプラズ マ重合して得た高分子化合物などを使用することができる。
更に、 これらの有機高分子化合物に色素の残基をモノマー単位の側鎖として、 もしくは架桷基として、 共重合モノマー単位として、 または重合開始末端として 結合させたものをマ卜リックス材料として使用することもできる。
これらの固体、 ガラス状態ないしゴム状態のマトリツクス材料中へ色素を溶解 または分散させるには公知の方法を用いることができる。 例えば、 色素とマトリ 'ソクス材料を共通の溶媒中へ溶解して混合した後、 溶媒を蒸発させて除去する方 法、 ゾルゲル法で製造する無機系マ卜リックス材料の原料溶液へ色素を溶解また は分散させてからマ卜リックス材料を形成する方法、 有機高分子系マ卜リックス 材料のモノマー中へ、 必要に応じて溶媒を用いて、 色素を溶解または分散させて から該モノマ一を重合ないし重縮合させてマ卜リックス材料を形成する方法、 色 素と有機高分子系マトリックス材料を共通の溶媒中に溶解した溶液を、 色素およ び熱可塑性の有機高分子系マ卜リックス材料の両方が不溶の溶剤中へ滴下し、 生 じた沈殿を攄別し乾燥してから加熱 ·溶融加工する方法などを好適に用いること ができる。 色素とマ卜リックス材料の組み合わせおよび加工方法を工夫すること
で、 色素分子を凝集させ、 「H拿合体」 や 「J会合体」 などと呼ばれる特殊な会 合体を形成させることができることが知られているが、 マトリックス材料中の色 素分子をこのような凝集状態もし〈は会合状態を形成する条件で使用しても良い ( また、 これらのマ卜リックス材料中へ前記の種々の微粒子を分散させるには公 知の方法を用いることができる。 例えば、 前記微粒子をマ卜リックス材料の溶液, または、 マトリックス材料の前駆体の溶液に分散した後、 溶媒を除去する方法、 有機高分子系マトリックス材料のモノマー中へ、 必要に応じて溶媒を用いて、 前 記微粒子を分散させてから該モノマーを重合ないし重縮合させてマ卜リックス材 料を形成する方法、 微粒子の前駆体として、 例えば過塩素酸カドミウムや塩化金 などの金属塩を有機高分子系マ卜リックス材料中に溶解または分散した後、 硫化 水素ガスで処理して硫化カドミウムの微粒子を、 または、 熱処理することで金の 微粒子を、 それそれマトリックス材料中に析出させる方法、 化学的気相成長法、 スパッタリング法などを好適に用いることができる。
[液状の光応答性組成物]
液状の光応答性組成物の例を具体的に挙げるならば、 例えば、 G aAs、 G a As P、 G a A 1 As, I n P、 I n S b、 I nA s、 P bT e、 I n G a A s P、 Z n S eなどの化合物半導体の超微粒子を液状のマトリックス材料中へコ口 ィ ド分散したもの、 異種金属イオンをドープした金属ハロゲン化物 (例えば臭化 カリウム、 塩化ナトリウムなど) または前記金属ハロゲン化物 (例えば臭化銅、 塩化銅、 塩化コバル卜など) の超微粒子を液状のマ卜リックス材料中へコロイ ド 分散したもの、 銅などの異種金属イオンをドープした Cd S、 Cd S e、 C d S e S、 C d S e T eなどの力ドミゥムカルコゲナイ ドの超微粒子を液状のマ卜リ ックス材料中へコロイ ド分散したもの、 シリコン、 ゲルマニウム、 セレン、 テル ルなどの半導体の超微粒子を液状のマ卜リックス材料中へコロイ ド分散したもの、 白金、 金、 パラジウムなどの貴金属の超微粒子を液状のマトリックス材料中へコ ロイ ド分散したもの、 金属イオン (例えばネオジゥムイオン、 エルビウムイオン など) の錯体を液状のマトリックス材料中へ溶解ないしコロイ ド分散したもの、 などのほか、 液状のマトリックス材料中に色素を溶解またはコロイ ド分散したも のを好適に使用することができる。
これらの中でも、 液状のマ トリ ックス材料中に色素を溶解またはコロイ ド分散 したものは、 マトリックス材料および色素の選択範囲が広く、 かつ光学素子への 加工も容易であるため、 本発明で特に好適に用いることができる。
本発明で用いることのできる液状のマ 卜リ ックス材料は、
( 1 ) 使用温度および/または圧力領域において液体であること、
( 2 ) 本発明の光制御方式で用いられる光の波長領域で透過率が高いこと、
( 3 ) 本発明で用いられる色素などを安定性良く溶解またはコロイ ド分散できる こと、
( 4 ) 光応答性組成物としての組成を安定性良く保つことができること、 という条件を満足するものであれば任意のものを使用することができる。
無機系の液状マ トリックス材料としては、 例えば、 水、 水ガラス (アルカリケ ィ酸塩の濃厚水溶液) 、 塩酸、 硫酸、 硝酸、 王水、 クロルスルホン酸、 メタンス ルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 などを使用することができる。
また、 有機系の液状マトリックス材料としては、 各種有機溶剤、 および、 液状 の有機高分子材料を使用することができる。
揮発性の有機溶剤としては、 具体的には、 メタノール、 エタノール、 イソプロ ピルアルコール、 n—ブ夕ノール、 ァミルアルコール、 シクロへキサノール、 ベ ンジルアルコールなどのアルコール類、 エチレングリコール、 ジエチレングリコ ール、 グリセリンなどの多価アルコール類、 酢酸ェチル、 酢酸 π—プチル、 酢酸 ァミル、 酢酸イソプロピルなどのエステル類、 アセ トン、 メチルェチルケトン、 メチルイソプチルケトン、 シクロへキサノ ンなどのケトン類、 ジェチルエーテル、 ジブチルエーテル、 メ トキシエタノール、 エトキジエタノール、 ブトキシェタノ ール、 カルビトールなどのエーテル類、 テ卜ラヒドロフラン、 1 , 4ージ才キサ ン、 1 , 3—ジォキソラン、 などの瑰状エーテル類、 ジク□□メタン、 クロロホ ルム、 四塩化炭素、 1 , 2—ジク口口ェタン、 1 , 1 , 2— 卜 リクロロェタン、 トリクレン、 ブロモホルム、 ジブロモメタン、 ジョードメタン、 などのハロゲン 化炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベンゼン、 o—ジクロ口 ベンゼン、 ニトロベンゼン、 ァニソール、 cr一クロロナフタレンなどの芳香族炭 化水素類、 n—ペンタン、 n—へキサン、 n—ヘプタン、 シクロへキサンなどの
脂肪族炭化水素類、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 N , ジメチルァセ トァ ミド、 へキサメチルホスホリック トリアミドなどのアミ ド類、 N—メチルピロリ ドンなどの璟状アミド類、 テ卜ラメチル尿素、 1 , 3 —ジメチルー 2—イミダゾ リジノンなどの尿素誘導体類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、 炭 酸エチレン、 炭酸プロピレンなどの炭酸エステル類、 ァセトニトリル、 プロピオ 二トリル、 ベンゾニトリルなどの二トリル類、 ピリジン、 キノ リンなどの含窒素 複素璟化合物類、 トリェチルァミン、 卜リエタノ一ルァミン、 ジェチルアミノア ルコール、 ァニリンなどのアミン類、 クロル酢酸、 トリクロル酢酸、 トリフルォ 口酢酸、 酢酸などの有機酸の他、 ニトロメタン、 二硫化炭素、 スルホランなどの 溶剤を用いることができる。
これらの溶剤は、 また、 複数の種類のものを混合して用いても良い。
これらの液状のマ卜リックス材料中へ色素を溶解またはコロイ ド分散させるに は公知の方法を用いることができる。 例えば、 色素を有機溶剤や水ガラスに溶解 する方法、 色素と不揮発性で液状のマ卜リックス材料を共通の揮発性溶媒中へ溶 解して混合した後、 溶媒を蒸発させて除去する方法、 液状の有機高分子系マトリ ックス材料の原料モノマー中へ、 必要に応じて溶媒を用いて、 色素を溶解または 分散させてから該モノマーを重合ないし重縮合させて液状のマトリックス材料を 形成する方法、 などを好適に用いることができる。 色素と液状のマ卜リックス材 料の組み合わせおよび加工方法を工夫することで、 色素分子を凝集させ、 「H会 合体」 や 「J会合体」 などと呼ばれる特殊な会合体を形成させることができるこ とが知られているが、 液状のマトリックス材料中の色素分子をこのような凝集状 態もしくは会合状態を形成する条件で使用しても良い。
また、 液状のマ卜リヅクス材料中へ前記の種々の超微粒子をコロイ ド分散させ るには公知の方法を用いることができる。例えば、 前記超微粒子を液状のマ卜リ ックス材料中で形成させる方法、 化学的気相成長法、 スパッタリング法、 不活性 ガス中蒸発法などの気相法で製造した超微粒子を、 必要に応じて分散剤を用いて、 液状のマ卜リックス材料中へ捕集する方法、 などを好適に用いることができる。
[光学素子]
本発明において、 固体、 ガラス状態ないしゴム状態の光応答性組成物は、 適当
な形態の光学素子に加工され、 使用される。 その際、 光学ガラス、 石英ガラス、 有機ガラスなどの光学材料と組み合わせて使用しても良い。
本発明で用いられる光学素子の形態は、 本発明の光制御装置の構成に応じて、 薄膜、 厚膜、 板状、 ブロック状、 円柱状、 半円柱状、 四角柱状、 三角柱状、 凸レ ンズ状、 凹レンズ状、 マイクロレンズアレイ状、 ファイバー状、 マイクロチャン ネルアレイ状、 および光導波路型などの中から適宜選択することができる。 本発 明で用いられる光学素子の作成方法は、 光学素子の形態および使用する光応答組 成物の種類に応じて任意に選定され、 公知の方法を用いることができる。
例えば、 薄膜状の光学素子を例えば色素と固体、 ガラス状態ないしゴム状態の マトリックス材料から製造する場合、 色素および固体、 ガラス状態ないしゴム状 態のマトリックス材料を溶解した溶液を例えばガラス板上に塗布法、 ブレードコ —ト法、 ロールコート法、 スピンコート法、 ディッビング法、 スプレー法などの 塗工法で塗工するか、 あるいは、 平版、 凸版、 凹版、 孔版、 スクリーン、 転写な どの印刷法で印刷すれば良い。 この場合、 ゾルゲル法による無機系マトリックス 材料作成方法を利用することもできる。
例えば、 用いる有機高分子系マ卜リヅクス材料が熱可塑性の場合、 ホッ 卜プレ ス法 (特開平 4一 9 9 6 0 9号公報) や延伸法を用いても薄膜ないし厚膜状の膜 型光学素子を作成することができる。
板状、 ブロック状、 円柱状、 半円柱状、 四角柱状、 三角柱状、 凸レンズ状、 凹 レンズ状、 マイクロレンズアレイ状の光学素子を作成する場合は、 例えば有機高 分子系マ卜リックス材料の原料モノマーに色素を溶解または分散させたものを用 いてキャスティング法やリアクション · インジェクション ·モールド法で成形す ることができる。 また、 熱可塑性の有機高分子系マトリックス材料を用いる場合, 色素を溶 または分散したペレツ 卜または粉末を加熱溶融させてから射出成形法 で加工し j良い。
ファイバー状の光学素子は、 例えば、 金属イオンをドープした石英ガラスを溶 融延伸してファイバー化する方法、 ガラスキヤビラリー管の中に有機高分子系マ トリックス材料の原料モノマーに色素を溶解または分散させたものを流し込むか. または、 毛管現象で吸い上げたものを重合させる方法、 または、 色素を溶解また
は分散させた熱可塑性の有機窩.分子系マトリックス材料の円柱、 いわゆるプリフ オームをガラス転移温度よりも高い温度まで加熱、 糸状に延伸してから、 冷却す る方法などで作成することができる。
上記のようにして作成したファィバー状の光学素子を多数束ねて接着ないし融 着処理してから薄片状ないし板状にスライスすることによりマイクロチャンネル アレイ型の光学素子を作成することもできる。
導波路型の光学素子は、 例えば、 基板上に作成した溝の中に有機高分子系マ卜 リックス材料の原料モノマーに色素を溶解または分散させたものを流し込んでか ら重合させる方法、 または、 基板上に形成した薄膜状光学素子をエッチングして 「コア」 ノ、'ターンを形成し、 次いで、 色素を含まないマトリックス材料で 「クラ ッド」 を形成する方法によって怍成することができる。
本発明では、 前記制御光および前記信号光を収束させるための収束手段、 およ び/または、 前記光学素子中の前記光応答性組成物を透過した後、 発散していく 信号光光線束のうち、 前記強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領 域の信号光光線束を分別して取り出す手段、 および/または、 前記光学素子中の 前記光応答性組成物を透過してきた信号光と制御光の混合光を信号光と制御光と に分離する手段を、 前記光学素子に組み込んだ一体構造の光学素子を用いること ができる。
[光学セル]
本発明において、 前記光応答性組成物が液体の場合、 前記液状光応答性組成物 を充填した光学セルを前記光学素子として使用する。
本発明で用いられる光学セルは、 液状の光応答性組成物を保持する機能、 およ び液状の光応答性組成物に実効的に形態を付与する機能を有し、 更に、 収束され て照射される信号光および制御光を受光して前記光応答性組成物へ前記信号光お よび前記制御光を伝搬させる機能、 および前記光応答性組成物を透過した後、 発 散していく前記信号光を伝搬させて出射する機能を有するものである。
本発明で用いられる光学セルの形態は外部形態と内部形態に大別される。
光学セルの外部形態は、 本発明の光制御装置の構成に応じて、 板状、 直方体状、 円柱状、 半円柱状、 四角柱状、 三角柱状、 などの形状のものが用いられる。
光学セルの内部形態とは、 す わち、 光応答性組成物を充填するための空洞の 形態であり、 液状の光応答性組成物に、 実効的に形態を付与するものである。 本 発明の光制御装置の構成に応じて、 光学セルの内部形態は具体的には、 例えば、 薄膜、 厚膜、 板状、 直方体状、 円柱状、 半円柱状、 四角柱状、 三角柱状、 凸レン ズ状、 凹レンズ状、 などの中から適宜選択することができる。
光学セルの構成および材質は、 下記の要件を満たすものであれば任意のものを 使用することができる。
( 1 ) 上記のような外部形態および内部形態を使用条件において精密に維持でき ること。
( 2 ) 光応答性組成物に対して不活性であること。
( 3 ) 光応答性組成物を構成する諸成分の放散■透過 ·浸透による組成変化を防 止できること。
( 4 ) 光応答性組成物が、 酸素や水など使用璟境に存在する化合物と反応するこ とによって劣化することを妨げることができること。
なお、 上記要件の内、 光応答性組成物の組成変化や劣化を防止する機能は、 光 学素子としての設計寿命の範囲内に限り発揮できれば良い。
[色素]
本発明では、 色素として、 公知のものを使用することができる。
本発明で用いることのできる色素の具体例としては、 例えば、 ローダミン B、 ローダミン 6 G、 ェォシン、 フロキシン Bなどのキサンテン系色素、 ァクリジン オレンジ、 ァクリジンレッ ドなどのァクリジン系色素、 ェチルレッ ド、 メチルレ ッ ドなどのァゾ色素、 ポルフィ リン系色素、 フタロシアニン系色素、 3, 3 ' — ジェチルチアカルボシァニンョージド、 3 , 3 ' —ジェチル才キサジカルボシァ ニンョージドなどのシァニン色素、 ブリリアントグリーン、 ビク トリアブル一 R などのトリアリールメタン系色素、 などを好適に使用することができる。
本発明では、 これらの色素を単独で、 または、 2種類以上を混合して使用する ことができる。
[卜リアリールメタン系色素]
本発明で用いられる前記の式 [ 1 ] または [ 2 ] で表されるトリァリールメタ
ン系色素としては、 公知のものを使用することができる。
前記卜リアリールメタン系色素の具体的な構造を図 1 から図 5に例示する。 な お、 これらの化学式は例示色素を表示する極限構造式の一つを代表として記載し たものである。 例えば、 下記の式 [ 1 2] で表される色素 (慣用名プリ リアント グリーン) の場合は、 下記の式 [ 1 3] に例示するような複数の極限構造式を記 述することができる。
3]
これらの色素は、 ァニ才ン部分が塩素イオン (c i - ) の場合を例示している 力、'、 塩素イオンを臭素イオン (B r ) 、 ヨウ素イオン ( I ) 、 パーク口ラ一 卜イオン (C 1 CK " ) 、 テトラフル才ロポラー トイオン ( B F4 ― ) 、 へキサ フル才ロホスフオラ一 卜イオン ( P F6 ― ) 、 硫酸イオン ( SO 4 2-) 、 硫酸水 素イオン (H S〇4 - ) 、 p トルエンスルホナ一 トイオン (C H3 C 6 H 4 S 03 — ) 、 ベンゼンスルホナー トイオン (C6 H 5 S 03 - ) 、 メタンスルホナ — トイオン (C H3 S Oa ― ) 、 ト リフルォロメタンスルホナー 卜イオン (C F 3 S 03 " ) , 酢酸イオン (C H3 COO" ) 、 ト リクロロ酢酸イオン (CC 1 3 C 00" ) 、 または、 トリフル才口酢酸イオン (C F3 COO" ) などに置き
換えたものでも良い。
また、 複数種類のァニオンが混在していても良く、 塩化亜鉛 ( Z n C 1 2 、 どの金属塩と複塩を形成していても、 クロムなどの多価金属塩と錯塩を形成して いても良い。
さらにまた、 ァニオン部分がカルボン酸残基ゃスルホン酸残基の形で、 置換基 としてトリアリールメタン系色素に結合して分子内塩を形成していても、 高分子 マ卜リックス材料に結合していても良い。
[ポリメチン色素]
本発明で用いられる前記の式 [3] で表されるポリメチン色素としては、 公知 のものを使用することができる。
前記ポリメチン色素の具体例を化学式として図 6から図 1 5に例示する。 なお、 これらの色素のァニオン部分はヨウ素イオン ( I— ) の場合を例示したが、 ヨウ 素イオンを塩素イオン (C 1— ) 、 臭素イオン (B r ) 、 パーク口ラー卜ィォ ン (C l 〇4 ― ) 、 テ卜ラフル才ロボラ一卜イオン (B F4 - ) 、 へキサフル才 口ホスフエ一トイオン ( P F6 ― ) 、 硫酸イオン ( S CK 2_) 、 硫酸水素イオン ( H S 04 ― ) 、 p—トルエンスルホナ一卜イオン (C H3 C6 H 4 S 03 ― ) 、 ベンゼンスルホナートイオン (C6 H 5 S 03 ― ) 、 メタンスルホナー卜イオン (C H3 S 03 - ) 、 トリフルォロメタンスルホナ一卜イオン (C F3 S Oa ― ) 、 酢酸イオン (C H3 COO— ) 、 トリクロロ醉酸イオン (CC 13 COO— ) 、 またはトリフル才ロ酢酸イオン (C F3 COO" ) などの各種ァニオンに置き換 えたものも使用することができる。
また、 複数種類のァニオンが混在していても良い。
更に、 ァニオン部分がカルボン酸残基ゃスルホン酸残基の形で、 置換基として ポリメチン色素に結合して分子内塩を形成していても、 有機萵分子系マトリック ス材料に結合していても良い。
[フタロシアニン色素]
本発明で用いられる前記の式 [4] ないし [ 1 1 ] で表されるフタロシアニン 系色素としては、 公知のものを使用することができる。
前記フタロシアニン系色素の具体例を化学式として図 1 6から図 30に例示す
る,
HI面の簡単な説明
図 1は、 本発明に用いられる卜リアリールメタン系色素の構造を例示した図で 図 2は、 本発明に用いられる卜リアリールメタン系色素の構造を例示した図で 図 3は、 本発明に用いられる卜リアリールメタン系色素の構造を例示した図で ある。
図 4は、 本発明に用いられるトリァリールメタン系色素の構造を例示した図で あ 。
図 5は、 本発明に用いられる卜リアリールメタン系色素の構造を例示した図で ある。
図 6は、 本発明に用いられるポリメチン色素の構造を例示した図である。
図 7は、 本発明に用いられるポリメチン色素の構造を例示した図である。
図 8は、 本発明に用いられるポリメチン色素の構造を例示した図である。
図 9は、 本発明に用いられるポリメチン色素の構造を例示した図である。
図 1 0は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 1は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 2は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 3は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 4は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 5は、 本発明に用し られるポリメチン色素の構造を例示した図である。 図 1 6は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である 図 1 7は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である 図 1 8は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である 図 1 9は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である 図 2 0は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である 図 2 1は、 本発明に用し られるフタロシアニン色素の構造を例示した図である,
図 2 2は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 2 3は、 本発明に用いられるフタロシアニン色衆の構造を例示した図である c 図 2 4は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である £ 図 2 5は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 2 6は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 2 7は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 2 8は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 2 9は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 3 0は、 本発明に用いられるフタロシアニン色素の構造を例示した図である c 図 3 1は、 本発明を実施する際に用いられる装置構成を例示した実施形態 1の 構成図である。
図 3 2は、 実施形態 1の膜型光学素子の透過率スぺク トルである。
図 3 3は、 制御光および信号光の光強度時間変化を例示した図である。
図 3 4は、 制御光および信号光の光強度時間変化を例示した図である。
図 3 5は、 光強度分布測定に用いたスリッ 卜と光ビームとの閱係を示す図であ る。
図 3 6は、 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。
図 3 7は、 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。
図 3 8は、 信号光のビーム断面の光強度分布を表した図である。
図 3 9は、 集光レンズなどで収束されたガウスビームの焦点近傍における様子 を表した模式図である。
図 4 0は、 制御光および信号光の光路 (および光軸) の関係を例示した図であ る。
図 4 1は、 光学ガラスまたは石英ガラス製光学セルを例示した棋式図である。 図 4 2は、 組立式光学セルの構成部品を例示した棋式図である。
図 4 3は、 実施形態 3の液状光応答性組成物を充填した膜型光学セルの透過率 スぺクトルである。
図 4 4は、 従来技術で用いられている装置構成を例示した構成図である。
図 4 5は、 本発明を実施する際に用いられる装置構成を例示した実施形態 4の
構成図である。 ―
図 46は、 本発明を実施する際に用いられる装置構成を例示した実施形態 5の 構成図である。
図 47は、 実施形態 6の膜型光学素子の透過率スぺク トルである。
図 48は、 実施形態 7の液状光応答性組成物を充填した膜型光学セルの透過率 スぺク 卜ルである。
図 49は、 実施形態 8の膜型光学素子の透過率スぺク トルである。
図 50は、 実施形態 9の膜型光学素子の透過率スぺク トルである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
〔実施形態 1〕
図 3 1 には本実施形態の光制御装置の概略構成が示されている。 このような光 学装置構成および配 Sは、 図 3 1 に例示するように膜型光学素子 8を用いる場合 の他、 ファイバー型光学素子 (図示せず) を用いる場合、 光導波路型 (図示せず) 、 マイクロチャンネルアレイ型 (図示せず) などの光学素子を用いる場合、 および、 液状の光応答性組成物を充填した光学セルを用いる場合 (実施形態 3参照) にも 好適に用いることができる。
ここで、 膜型光学素子 8は例えば以下の手順で作成することができる。 すなわ ち、 フタロシアニン色素として、 下記の式 [ 1 4] で表されるテトラ ( tーフチ ル) ォキシバナジウムフタロシアニンの 4種類の置換位置異性体 ( 2, 6 , 1 0, 1 4一および 2, 6, 1 0, 1 5—および 2 , 6, 1 1, 1 5—および 2 , 7 , 1 0, 1 5 _置換体) の混合物
: 6. 8 1 m gおよびポリメタクリル酸べンジル : 1 993. 2mgをテトラヒ ドロフラン : 200m lに溶解し、 水: 1 000m l中へかき混ぜながら加えて 析出した沈殿 (フタロシアニン色素およびポリマーの混合物) を ¾別し、 水で洗 浄してから減圧下乾燥し、 粉砕した。 得られたフタロシアニン色素およびポリマ —の混合粉末を 1 0-5P a未満の超高真空下、 4 CTCで 2日間加熱を続け、 残留 溶媒等の揮発成分を完全に除去して、 光応答性組成物の粉末を得た。 この粉末 2 Omgをスライ ドガラス ( 2 5mmx 76 mmx厚さ 1 . 1 50mm) および力 バーガラス ( 1 8 mmx 1 8 mm x厚さ 0. 1 50mm) の間に挟み、 真空下 1 50°Cに加熱し、 2枚のガラス板を圧着する方法 (真空ホッ トプレス法) を用い てスライ ドガラス/カバ一ガラス間にフタロシアニン色素/ポリマ一の膜 (膜厚 50 xm) を作成した。 なお、 フタロシアニン色素/ポリマ一膜中のフタロシア ニン色素滠度は、 フタロシアニン色素/ポリマ一混合物の密度を 1 . 1 8として 計算すると、 5. 0 X 1 0—3mo Ί / 1である。
以上のようにして作成した膜型光学素子の透過率スぺク卜ルを図 32に示す。 この膜の透過率は制御光の波長 ( 633 n m) で 8. 8%、 ί言号光の波長 ( 83
0 n m ) で 8 4 %であった。
図 3 1 に概要を例示する本発明の光制御装置は、 制御光の光源 1 、 信号光の光 源 2、 N Dフィルタ— 3、 シャッター 4、 半透過鏡 5、 光混合器 6、 集光レンズ 7、 膜型光学素子 8、 受光レンズ 9、 波長選択透過フィルター 2 0、 絞り 1 9、 光検出器 1 1 および 2 2、 およびオシロスコープ 1 0 0から構成される。 これら の光学素子ないし光学部品のうち、 制御光の光源 1 、 信号光の光源 2、 光混合器 6、 集光レンズ 7、 膜型光学素子 8、 受光レンズ 9、 および、 波長選択透過フィ ルター 2 0は、 図 3 1の装置構成で本発明の光制御方法を実施するために必須の 装置構成要素である。 なお、 N Dフィルター 3、 シャッター 4、 半透過鏡 5、 お よび絞り 1 9は必要に応じて設けるものであり、 また、 光検出器 1 1および 2 2、 およびオシロスコープ 1 0 0は、 本発明の光制御方法を実施するためには必要な いが光制御の動作を確認するための鬣子装置として、 必要に応じて用いられる。 次に、 個々の構成要素の特徴ならびに動怍について説明する。
制御光の光源 1 にはレーザ—装 Sが好適に用いられる。 その発振波長および出 力は、 本発明の光制御方法が対象とする信号光の波長および使用する光応答性組 成物の応答特性に応じて適宜選択される。 レーザー発振の方式については特に制 限はなく、 発振波長帯域、 出力、 および絰済性などに応じて任意の形式のものを 用いることができる。 また、 レーザー光源の光を非線形光学素子によって波長変 換してから使用しても良い。 具体的には例えば、 アルゴンイオンレーザ一 (発振 波長 4 5 7 . 9ないし 5 1 4 . 5 n m〉 、 ヘリウム . ネオンレーザ一 ( 6 3 3 η m ) などの気体レーザー、 ルビーレーザ一や N d : Y A Gレ一ザ一などの固体レ 一ザ一、色素レーザー、 半導体レーザーなどを好適に使用することができる。 信 号光の光源 2にはレーザー光源からのコヒーレン卜光だけではなく非コヒーレン 卜光を使用することもできる。 また、 レーザー装置、 発光ダイ才ード、 ネオン放 電管など、 単色光を与える光源の他、 タングステン電球、 メタルハラィ ドランプ、 キセノン放電管などからの連続スぺクトル光を光フィルタ一やモノクロメ一ター で波長選択して用いても良い。
本発明の光制御方法で利用される光応答性組成物、 信号光の波長帯域、 および 制御光の波長帯域は、 これらの組み合わせとして、 使用目的に応じて適切な組み
合わせが選定され、 用いられるな 以下、 信号光の光源 2として半導体レーザー (発振波長 8 3 0 n m、 連続発振出力 5 m W、 ビーム整形後の直径約 8 m mのガ ウスビーム) 、 制御光の光源 1 としてへリゥム · ネオンレーザー (発振波長 6 3 3 n m、 ビーム直径 2 m mのガウスビーム) 、 および前記の光応答性組成物から なる膜型光学素子 8の組み合わせを用いた場合について実施形態を説明する。
N Dフィルター 3は必ずしも必要ではないが、 装置を構成する光学部品や光学 素子へ必要以上に《いパワーのレーザー光が入射することを避けるため、 また、 本発明で用いられる光学素子の光応答性能を試験するにあたり、 制御光の光強度 を増減するために有用である。 この実施形態では後者の目的で数種類の N Dフィ ルターを交換して使用した。
シャッター 4は、 制御光として連続発振レーザーを用いた場合に、 これをパル ス状に明滅させるために用いられるものであり、 本発明の光制御方法を実施する 上で必須の装 S構成要素ではない。 すなわち、 制御光の光源 1 がパルス発振する レーザーであり、 そのパルス幅および発振間隔を制御できる形式の光源である場 合や、 適当な手段で予めパルス変調されたレーザー光を光源 1 として用いる場合 は、 シャッター 4を設けなくても良い。
シャッター 4を使用する場合、 その形式としては任意のものを使用することが でき、 例えば、 オプティカルチヨツバ、 メカニカルシャッター、 液晶シャッター, 光力一効果シャッター、 ポヅケルセル、 音譬光学 (A O ) 変調器などを、 シャツ ター自体の作動速度を勘案して適時選択して使用することができる。
半透過銃 5は、 この実施形態において、 本発明の光制御方法の作用を試験する にあたり、 制御光の光強度を常時見積もるために用いるものであり、 光分割比は 任意に設定可能である。
光検出器 1 1および 2 2は、 本発明の光 ·光制御による光強度の変化の様子を 電気的に検出して検証するため、 また、 本発明の光学素子の機能を試験するため に用いられる。 光検出器 1 1 および 2 2の形式は任意であり、 検出器自体の応答 速度を勘案して適時選択して使用することができ、 例えば、 光電子增倍管ゃフォ 卜ダイオード、 フォ ト トランジスターなどを使用することができる。
前記光検出器 1 1および 2 2の受光信号はオシロスコープ 1 0 0などの他、 A
D変換器とコンピューターの組み合わせ (図示せず) によってモニタ一すること ができる。
光混合器 6は、 前記光学素子中を伝播して行く制御光および信号光の光路を調 節するために用いるものであり、 本発明の光制御方法および光制御装置を実施す るに当たり重要な装置構成要素の一つである。 偏光ビームスプリツター、 非偏光 ビームスプリヅター、 またはダイクロイツクミラーのいずれも使用することがで き、 光分割比についても任意に設定可能である。
集光レンズ 7は、 信号光および制御光に共通の収束手段として、 光路が同一に なるように調節された信号光および制御光を収束させて前記光学素子へ照射する ためのものであり、 本発明の光制御方法および光制御装置の実施に必須な装 S構 成要素の一つである。 集光レンズの焦点距離、 開口数、 F値、 レンズ構成、 レン ズ表面コートなどの仕様については任意のものを適宜使用することができる。 この実施形態では集光レンズ 7として、 倍率 4 0倍、 焦点距離 5 m m、 開口数 0 . 6 5の顕微鏡用対物レンズを用いた。
受光レンズ 9は、 収束されて光学素子 8へ照射され、 透過してきた信号光およ び制御光を平行および/または収束ビームに戻すための手段であるが、 本実施形 態に示すように、 前記集光レンズ 7の開口数より小さい開口数のレンズを用いる ことによって、 充分な大きさで強度変調および/または光束密度変調された信号 光を再現性良く分別して取り出すことができる。 本実施形態では受光レンズ 9と して、 例えば、 倍率 2 0倍、 開口数 0 . 4の顕微鏡レンズを用いた。 すなわち、 集光レンズ 7の開口数より受光レンズ 9の開口数を小さくすることにより、 信号 光の光束のうち、 強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の光束 を分別して取り出すことが可能となり、 充分な大きさで変調を受けた信号光を再 現性良く検出できるようになる。 もちろん、 レンズ開口数が大きくても、 絞り 1 9を入れたり、 光検出器 2 2に光束の中心部分のみ入射させて実質的に開口数を 小さく しても良いことは言うまでもない。 また、 後で述べるように、 集光レンズ 7および受光レンズ 9の代りに凹面鏡を用いることも可能である (実施形態 4参 照) 。
波長選択透過フィルター 2 0は、 図 3 1の装置構成で本発明の光制御方法を実
施するために必須の装置構成要素の一つであり、 前記光学素子中の同一の光路を 伝播してきた信号光と制御光の混合光から信号光のみを取り出すための手段の一 つとして用いられる。
波長の異なる信号光と制御光とを分離するための手段としては他に、 プリズム, 回折格子、 ダイクロイツクミラーなどを使用することができる。
図 3 1の装置構成で用いられる波長選択透過フィルター 2 0としては、 制御光 の波長蒂域の光を完全に遮断し、 一方、 信号光の波長帯域の光を効率良く透過す ることのできるような波長選択透過フィルターであれば、 公知の任意のものを使 用することができる。 例えば、 色素で着色したプラスチックやガラス、 表面に誘 電体多層蒸着膜を設けたガラスなどを用いることができる。
以上のような構成要素から成る図 3 1の光学装 Sにおいて、 光源 1から出射さ れた制御光の光ビームは、 透過率を加減することによって透過光強度を調節する ための N Dフィルタ一 3を通過し、 次いで制御光をパルス状に明滅するためのシ ャッター 4を通過して、 半透過鏡 5によって分割される。
半透過鏡 5によって分割された制御光の一部は光検出器 1 1によって受光され る。 ここで、 光源 2を消灯、 光源 1を点灯し、 シャッター 4を開放した状態にお いて光学素子 8への光ビーム照射位置における光強度と光検出器 1 1の儅号強度 との関係をあらかじめ測定して検量線を作成しておけば、 光検出器 1 1の信号強 度から、 光学素子 8に入射する制御光の光強度を常時見積もることが可能になる c この実施形態では、 N Dフィルター 3によって、 胰型光学素子 8へ入射する制御 光のパワーを 0 . 5 m Wないし 2 5 m Wの範囲で調節した。
半透過鏡 5で分割 ·反射された制御光は、 光混合器 6および集光レンズ 7を通 つて、 光学素子 8に収束されて照射される。 膜型光学素子 8を通過した制御光の 光ビームは、 受光レンズ 9を通過した後、 波長選択透過フィルター 2 0によって 遮断される。
光源 2から出射された信号光の光ビームは、 前記光混合器 6によって、 制御光 と同一光路を伝播するよう混合され、 集光レンズ 7を経由して、 膜型光学素子 8 に収束■照射され、 素子を通過した光は受光レンズ 9および波長選択透過フィル ター 2 0を透過した後、 必要に応じて設けられる絞り 1 9を通過した後、 光検出
器 2 2にて受光される。
図 3 1の光学装置を用いて光制御の実験を行い、 図 3 3および図 3 4に示すよ うな光強度変化を観測した。 図 3 3および図 3 4において、 1 1 1は光検出器 1 1の受光信号、 2 2 2および 2 2 3は光検出器 2 2の受光信号である。 光検出器 2 2の受光信号 2 2 2の得られる場合と 2 2 3の得られる場合の違いは、 以下の 通りである。
図 3 〗の装董配置においては膜型光学素子 8に制御光と信号光とを收束して入 射させているが、 収束ビーム径が最小となる位置 (焦点 F c ) を膜型光学素子 8 の集光レンズ 7に近い所 (光の入射側) に設定すると、 前記光学素子 8を透過し た前記信号光の見かけの強度が減少する方向の光応答 2 2 2が観察される。 一方, 収束ビーム佳が最小となる位置 (焦点 F c ) を膜型光学素子 8の受光レンズ 9に 近い所 (光の出射側) に設定すると、 前記光学素子 8を透過した前記信号光の見 かけの強度が増大する方向の光応答 2 2 3が観察される。
このような光応答が生じる機構の詳細については未解明であり、 現在、 鋭意検 討中であるが、 制御光の照射により光応答性組成物の透過率や屈折率等が変化す ることに起因するものと推測される。
ここで、 同一の光路で収束された制御光と信号光の焦点位 gと光学素子の位置 関係を変化させる方法としては、 例えば精密ねじによる微動機構を設けた架台、 圧鼋素子ァクチユエ一夕を設けた架台、 または超音波ァクチユエ一夕を設けた架 台などの上に膜型光学素子 8を取り付けて上記のように移動させる他、 集光レン ズ 7の材質に非線形屈折率効果の大きいものを用いて制御光パルスのパワー密度 を変えて焦点位置を変化させる方法、 集光レンズ 7の材質に熱膨張係数の大きい ものを用いて加熱装置で温度を変えて焦点位置を変化させる方法などを用いるこ とができる。
図 3 1の光学装置を用いて光制御の実験を行い、 図 3 3および図 3 4に示すよ うな光強度変化を観測したが、 その詳細は以下に述べる通りである。
まず、 制御光の光ビームと信号光の光ビームとが、 膜型光学素子 8内部または 近傍の同一領域で焦点 F c を結ぶように、 それぞれの光源からの光路、 光混合器 6、 および集光レンズ 7を調節した。 なお、 前記膜型光学素子 8のカバ—ガラス
側から信号光および制御光が入 し、 スライ ドガラス基板側から出射するような 向きに光学素子を配置した。 次いで、 波長選択透過フィルター 2 0の機能を点検 した。 すなわち、 光源 2を消灯した状態で、 光源 1 を点灯し、 シャッター 4を開 閉じた場合には光検出器 2 2に応答が全く生じないことを確認した。
なお、 収束ビーム侄最小位 (焦点 F c ) の膜型光学素子 8上での移動は、 膜 型光学素子 8を移動させて行った。 すなわち、 集光レンズ 7および受光レンズ 9 の間隔 (d 7 e + d 8 9 ) を固定したまま、 膜型光学素子 8と集光レンズ 7の距離を 変化させ、 同一の光路で収束された制御光および信号光の焦点位置と膜型光学素 子 8との位置閱係を変化させて行った。
まず前記焦点 F c を膜型光学素子 8の集光レンズ 7側に設置した場合について 述べる。 この場合の、 制御光の波形 1 1 1 に対する信号光の応答波形 2 2 2を図 3 3に示す。
シャッター 4を閉じた状態で制御光の光源 1 を点灯し、 次いで、 時刻 t , にお いて光源 2を点灯し光学素子 8へ信号光を照射すると、 光検出器 2 2の信号強度 はレベル Cからレベル Aへ增加した。
時刻 t 2 においてシャッター 4を開放し、 光学素子 8内部の ί言号光が伝播して いるのと同一の光路へ制御光を収束 ·照射すると光検出器 2 2の信号強度はレべ ル Αからレベル Βへ減少した。 すなわち、 信号光の見かけの強度が減少する方向 の光応答が観察された。 この変化の応答時間は 2マイクロ秒未満であった。
時刻 t 3 においてシャッター 4を閉じ、 光学素子 8への制御光照射を止めると 光挨出器 2 2の信号強度はレベル Bからレベル Aへ復帰した。 この変化の応答時 間は 3マイク口秒未満であった。
時亥リ t 4 においてシャッター 4を開放し、 ついで、 B寺亥 ij t s において閉じると. 光検出器 2 2の信号強度はレベル Aからレベル Bへ減少し、 次いでレベル Aへ復 帰した。
時刻 t s において光源 2を消灯すると光検出器 2 2の出力は低下し、 レベル C へ戻った。
ついで、 前記焦点 F c を膜型光学素子 8の受光レンズ 9側に設置した場合につ いて述べる。 この場合の、 制御光の波形 1 1 1 に対する信号光の応答波形 2 2 3
を図 34に示す。
シャッター 4を閉じた状態で制御光の光源 1 を点灯し、 次いで、 時刻 t , にお いて光源 2を点灯し光学素子 8へ信号光を照射すると、 光検出器 22の信号強度 はレベル Cからレベル Aへ增加した。
時刻 t2 においてシャッター 4を開放し、 光学素子 8内部の信号光が伝播して いるのと同一の光路へ制御光を收束 ·照射すると光検出器 22の ί言号強度はレべ ル Αからレベル Dへ増加した。 すなわち、 信号光の見かけの強度が増大する方向 の光応答が観察された。 この変化の応答時間は 2マイク口秒未満であった。
時刻 t3 においてシャッター 4を閉じ、 光学素子 8への制御光照射を止めると 光検出器 22の信号強度はレベル Dからレベル Aへ復帰した。 この変化の応答時 間は 3マイクロ秒未満であった。
時亥 ijt* においてシャッター 4を開放し、 ついで、 時刻 t5 において閉じると, 光検出器 22の信号強度はレベル Aからレベル Dへ増加し、 次いでレベル Aへ復 帰した。
時刻 t6 において光源 2を消灯すると光検出器 22の出力は低下し、 レベル C へ戻った。
以上まとめると、 膜型光学素子 8へ、 制御光を図 33または図 34の 1 1 1に 示すような波形で表される光強度の時間変化を与えて照射したところ、 信号光の 光強度をモニターして示す光検出器 22の出力波形は図 33の 222または図 3 4の 223に示すように、 制御光の光強度の時間変化に対応して可逆的に変化し た。 すなわち、 制御光の光強度の増減または断続により信号光の透過を制御する こと、 すなわち光で光を制御すること (光 ·光制御) 、 または、 光で光を変調す ること (光 ·光変調) ができることが確認された。
なお、 制御の光の断続に対応する信号光の光強度の変化の程度は、 前記の光検 出器 22の出力レベル A、 Bおよび Cを用いて次に定義される値厶 T [単位%] または、 A、 Cおよび Dを用いて次に定義される値 Δ T, [単位%]
ΔΤ = 1 00 [ (A-B) / (A-C) ]
ΔΤ' = 1 00 [ (D-A) / (A-C) ]
によって定量的に比較することができる。 ここで、 Aは制御光を遮断した状態で
信号光の光源 2を点灯した場合の光検出器 2 2の出力レベル、. Bおよび Dは信号 光と制御光を同時に照射した場合の光検出器 2 2の出力レベル、 Cは信号光の光 源 2を消灯した状態の光検出器 2 2の出力レベルである。
上の例において、 制御光の入射パワーを 2 O m Wとし、 膜型光学素子 8を移觔 して信号光の光応答の向きと大きさを調べたところ、 信号光強度が減少する向き の応答の大きさ Δ Τの最大値は 8 2 %、 見かけの信号光強度が増加する向きの応 答の大きさ Δ Τ ' の最大値は 5 4 %であった。
上記のように収束ビーム怪が最小となる位置 (焦点 F c ) と腹型光学素子 8の 位置関係を変えることによって、 信号光の光応答の向きを逆転させ、 信号光の見 かけの強度が減少する方向、 または、 増加する方向の応答を得ることができる。 このような光応答変化の生じる機構を調べるため、 光制御を行った場合に起こ る信号光ビーム断面における光強度分布の変化の測定を行った。 すなわち、 図 3 1の装置において、 受光レンズ 9を集光レンズ 7の開口数 (本実施形態の場合は 0 . 6 5 ) よりも大きな開口数 (例えば 0 . 7 5 ) のものに変更し、 絞り 1 9を 取り外し、 光検出器 2 2の代わりに光強度分布測定器を設置し、 膜型光学素子 8 を透過した光線束の全てを受光レンズ 9で受光 ·収束させて前記光強度分布測定 器の受光部 3 1 (有効直 ί圣 4 m m ) へ入射させ、 信号光光線束断面の光強度分布 を測定した。 測定結果を図 3 6、 3 7、 3 8に示す。 ここで、 光強度分布測定器 は、 図 3 5に示すように、 受光部 3 1 (有効直径 4 m m ) に対して幅 1 m mの第 一のスリッ ト 3 2を設け、 第一のスリッ 卜の長さ方向、 すなわち図 3 5において 点 Xから点 Yの向きに、 幅 2 5 mの第二のスリッ ト 3 3を一定速度で移動させ て、 2枚のスリヅ 卜が作る 1 m m X 2 5 mの長方形の窓を通過した光の強度を, 前記窓の移動位置に対応させて測定する装置である。 前記窓の移動位置に対応さ せて光強度を測定するには、 例えば、 第二のスリッ ト 3 3の移動速度に同期させ たストレージオシロスコープ上に、 前記窓を通過した光を受光した検出器の出力 を記録すれば良い。 図 3 6〜3 8は、 以上のようにして、 ストレ一ジ才シロスコ ープ上に記録された信号光の光ビーム断面についての光強度分布を示すものであ り、 横軸 (光ビーム断面内の位置) は図 3 5の点 Xから点 Yの方向の位置に対応 し、 縱軸は光強度を表す。
図 3 6は、 膜型光学素子 8に制御光が入射せず、 信号光のみが入射した場合の 前記信号光ビーム断面の光強度分布である。 この場合の光強度分布は、 中心部分 の強度が強く、 周辺に行くに従い強度が弱まる分布 (おおむね 「ガウス分布」 ) である。
図 3 7は、 収束ビーム佳が最小となる位置 (焦点 F c ) を膜型光学素子 8の集 光レンズ 7に近い所 (光の入射側) に設定し、 制御光を照射したとき見かけの信 号光強度が減少する向きの光応答 2 2 2が観察される条件において、 制御光を照 射したときの信号光ビーム断面の光強度分布である。 この場合の光強度分布は、 中心部分の光強度が弱く、 周辺で光強度が増大する分布になっている。 信号光ビ ーム断面の中心部の光強度は、 制御光強度および膜型光学素子 8と焦点の位置関 係に依存して減少し、 制御光強度が増すに従い、 ゼロに近づいていく。 したがつ て、 この場合、 信号光ビームの中心部分だけを取り出して、 見かけの儅号光強度 を測定すると、 制御光の断続に対応して、 信号光の強度が減少する向きの光応答 2 2 2を、 充分な大きさで取り出すことができる。
図 3 8は、 収束ビーム滏が最小となる位 g (焦点 F c ) を膜型光学素子 8の受 光レンズ 9に近い所 (光の出射側) に設定し、 制御光を照射したとき見かけの信 号光強度が増大する向きの光応答 2 2 3が観察される条件において、 制御光を照 射したときの信号光ビーム断面の光強度分布である。 この場合は、 中心部分の光 強度が、 制御光を照射しない場合の中心部分の光強度 (図 3 6 ) より強くなつて いる。 この場合、 信号光ビーム断面の中心部の光強度は、 制御光強度および膜型 光学素子 8を焦点位置の閱係に依存するが、 制御光非照射時の数倍にも達する。 したがって、 この場合、 信号光ビームの中心部分だけを取り出して、 見かけの信 号光強度を測定すると、 制御光の断続に対応して、 信号光の強度が増大する向き の光応答 2 2 3を充分な大きさで取り出すことができる。
以上の実験から、 制御光の断続による信号光の光強度変調 (光応答) は、 信号 光ビーム (光束) 断面の中心部で、 特に大きく起きていることが判る。 したがつ て、 本発明の主旨とは逆に、 受光レンズ 9の開口数を集光レンズ 7の開口数より も大きく して、 光学素子 8を透過した信号光を全て補足し、 光検出器で受光した 場合、 検出される光応答は、 本発明の場合に比べて著しく小さくなつてしまう。
また、 光検出器に、 制御光による光変調を受けた部分以外のノイズ成分が取り込 まれてしまい、 S/N比が著しく悪くなつてしまう。
〔比較例 1 〕
色素を用いずにポリメタクリル酸べンジルのみを用いた他は実施形態 1 と同様 にしてマ卜リックス材料単独の薄腹 (膜厚 5 O Ltm) を作成し、 この薄胰につい て実施形態 1 と同様にして光応答の評価試験を行ったが、 制御光 (波長 633 n m) の光を断続しても信号光 (波長 83 O nm) の光強度は全く変化しなかった £ すなわち、 マトリックス材料単独では光応答は全く観測されないことが確認され た。 したがって、 実施形態 1で観察された光応答は、 前記光学素子中に存在する 色素に起因することは明らかである。
〔実施形態 2〕
本発明の光制御方法および光制御装置において光応答を大きくするためには前 記制御光および前記信号光を各々収束させて前記光学素子へ照射し、 かつ、 前記 制御光および前記信号光のそれぞれの焦点の近傍の光子密度が最も高い領域が前 記光学素子中において互いに重なり合うように前記制御光および前記信号光の光 路をそれぞれ配置すれば良いが、 そのためには信号光および制御光を実質的に同 一光路で伝播させることが好ましい。 なお、 前記制御光および前記信号光の電場 の振幅分布がガウス分布となっているガウスビームの場合、 集光レンズ 7などで、 開き角 20で収束させたときの焦点 Fc 近傍における光線束および波面 30の様 子を図 39に示す。 ここで、 波長 λのガウスビームの直径 2 ω。 が最小になる位 置、 すなわちビームウェストの半怪0。 は次の式で表される。
ω。 = λ/ ( η - θ )
例えば、 実施形態 1で用いた集光レンズ (焦点距離 5 mm、 開口数 0. 65 ) で波長 633 nm、 ビーム直径 2 mmの制御光を収束したときのビームウェス卜 の半径 ω。 は 1 . 02 Atm、 同様にして波長 830 n m、 ビーム直径 8 mmの信 号光を収束したときのビームウェストの半佳 ω。 は 0. 392yum (ほぼ回折限 界) と計算される。
図 40に示すように、 信号光および制御光が 「実質的に同一光路」 とみなすこ とができるのは次のような場合である :
1 ) 制御光と信号光の光軸が互いに平行であって、 制御光の光路、 例えば断面し 02 (半径 r 2 ) の中に信号光の光路、 例えば断面し +,、 し。,、 またはし—, (半径 r 1 ; r , ≤ r 2 ) が重なって伝搬する場合、
2 ) 制御光と信号光の光軸が互いに平行であって、 信号光の光路、 例えば断面し
02 (半径 Γ 2 ) の中に制御光の光路、 例えば断面 L+,、 し。,、 またはし- 1 (半径 r , ; r , ≤ r 2 ) が重なって伝搬する場合、
3) 制御光と信号光の光軸が互いに平行 (光軸間の距離 1 +1、 1 -,、 または 1 +, + 1 -,) であって、 制御光の光路が断面し +、、 し。,、 またはし のいずれか、 信 号光の光路も断面 L+,、 し。,、 またはし-,のいずれかである場合。
表 1のデータは、 一例として、 実施形態 1の装置において、 集光レンズ 7とし て、 開口数 0. 6 5の顕微鏡用対物レンズを用い、 受光レンズ 9として、 開口数 0. 4の顕微鏡用レンズを用い、 収束ビーム径が最小となる位置 (焦点) を膜型 光学素子 8の集光レンズ 7に近い所 (光の入射側) に設定し、 前記光学素子を透 過した前記信号光が減少する方向の光応答 222が観察される条件下、 信号光の 光路を断面し 02 (直径 8mm) に固定し、 断面し +,、 L 01 , または (直径 2 mm) の制御光の光路 (光軸) を光軸間の距離 1 または 1 -,として士 1 . 2m m平行移動した場合の、 信号光 ·光応答の大きさ Δ Tの変化を示したものである c 信号光および制御光の光軸が完全に一致している場合の光応答が最大であるが、 光軸間の距離 1 +、または 1 -,が ± 0. 6 mm程度ずれても、 光応答の大きさ Δ T は 7ボイン卜ほど変化するにすぎない。
すなわち、 収束された信号光および制御光のそれそれの焦点の近傍の光子密度 が最も高い領域 (ビームウェスト) が前記光学素子中において互いに重なり合う ように前記制御光および前記信号光の光路がそれぞれ配置され、 これらの領域の 重なり合いが最大になったとき、 すなわち、 前記制御光および前記信号光の光軸 が完全に一致したとき前記光応答は最大になること、 前記制御光および前記信号 光の光路が実質的に同一のとき、 充分大きな光応答が得られることが判った。 (以下余白)
表 1
〔実施形態 3〕
図 3 1 に概略構成を示すような実施形態 1の光制御装置において、 実施形態 1 :おける膜 の光学素子 8の代わりに、 内部形態が薄膜型の光学セル 8 0 0また
は 8 1 0に液状の光応答性組成 を充填して用いる場合について以下に説明する。 なお、 図 3 1のような光学装置構成および配置は、 内部形態が薄膜型の光学セル を用いる場合の他、 外部および内部形態が板状、 直方体状、 円柱状、 半円柱状、 四角柱状などの光学セルを用いる場合にも好適に用いることができる。
ここで、 内部形態が薄膜型の光学セルは例えば以下のような構成のものである。
( 1 ) 光学ガラスまたは石英ガラス製セル 8 0 0 (図 4 1 )
( 2 ) 2枚の板ガラスをスぺーサ一およびゴムパッキンを挟んで重ね合わせ、 固 定用の金属枠で保持した構成の組立式光学セル 8 1 0 (図 4 2 )。
図 4 1に示すような光学ガラスまたは石英ガラス製セル 8 0 0は入射■出射面 ガラス 8 0 1および 8 0 2、 側面ガラス 8 0 3および 8 0 4、 および、 底面ガラ ス 8 0 5によって、 液状光応答性組成物充填部 8 0 8を形成したものである。 ガ ラス材質としては石英ガラスのほか、 ソーダガラス、 ホウケィ酸ガラスなどの光 学ガラスを使用することができ、 公知のガラス加工技術によって製造することが できる。 光学セルとしての精度を獲得するためには、 ガラス加工時に、 入射 '出 射面ガラス 8 0 1 および 8 0 2の平面性および平行度を高度に維持する必要があ る。 液状の光応答性組成物は導入口 8 0 7から導入管 8 0 6を通じて充填される。 導入口 8 0 7に例えばポリ四フッ化工チレン製栓 (図示せず) を挿入すること、 あるいは、 導入口 8 0 7をガラス加工で封じることによって、 充填した液状光応 答性組成物を光学セル中に封印し、 前記の光学セルの機能要件を満たすことがで きる。 光学ガラスまたは石英ガラス製セル 8 0 0は、 ガラスを腐食する溶液、 例 えば強アルカリ性の液体、 フッ化水素酸、 またはホウフッ化水素酸などを用いる 場合を除き、 大多数の有機および無機マ卜リックス材料を用いた液状光応答性組 成物を充填する際に、 広く使用することができる。 特に、 マ卜リックス材料とし て、 塩酸、 硫酸、 硝酸、 王水、 クロルスルホン酸、 メタンスルホン酸、 トリフル 才ロメタンスルホン酸、 クロル齚酸、 トリクロル醉酸、 トリフル才口酢酸、 酢酸 などの酸を用いる場合に有用である。
図 4 1に示すガラス製光学セル 8 0 0と同じような形態を、 ポリメタクリル酸 メチル、 ポリスチレン、 ポリ力一ポネィ トなどの透明プラスチック (有機ガラス) で製造し、 光学セルとして使用することもできる。 ただし、 この場合は、 マトリ
ックス材料が該プラスチックを 解したり侵したりしないよう、 材料選択 ·組み 合わせに留意する必要がある。
図 4 2に示すような組立式光学セル 8 1 0は、 液状光応答性組成物充填部 8 1 8を設けたスぺーサ— 8 1 4を 2枚の板状の入射 ·出射面ガラス 8 1 3および 8 1 5で挟み、 これをゴムパッキン 8 1 2および 8 1 6を介して固定枠 8 1 1 およ び 8 1 7で挟み、 固定ネジ穴 8 2 4および 8 2 5にネジ (図示せず) を用いて固 定するものである。 固定枠 8 1 7に取り付けた導入管 8 2 2および 8 2 3は、 固 定枠 8 1 7に設けた導入孔 8 2 1 、 ゴムパッキン 8 1 6に設けた導入孔 8 2 0、 次いで入射 ·出射面ガラス 8 1 5に設けた導入孔 8 1 9に通じており、 これらの 導入経路を通して液状の光応答性組成物を充填部 8 1 8へ導入することができる ( 充填部 8 1 8の厚さ、 すなわち、 信号光および/または制御光が垂直に入射した とき光応答性組成物中を伝播する光路長は、 組立時のスぺーサ— 8 1 8の厚さに よって決定される。 スぺーサー 8 1 4、 入射 ·出射面ガラス 8 1 3および 8 1 5、 ゴムパッキン 8 1 2および 8 1 5、 および、 固定枠 8 1 1および 8 1 7は、 すべ て液状の光応答性組成物に接触するので、 液状のマ卜リックス材料の溶解性、 浸 透性、 透過性、 および/または腐食性に耐える材質である必要がある。 具体的に は、 スぺ一サー 8 1 4の材質は光学ガラス、 石英ガラス、 ポリ四フヅ化工チレン、 ブチルゴム、 シリコンゴム、 エチレン · プロピレンゴムなどが好ましい。 特に、 前記光路長の精度維持と液のシール性維持を両立させるためには、 ポリ四フッ化 エチレンなどのフッ素系高分子材料が好適に用いられる。 入射 ·出射面ガラス 8 1 3および 8 1 5としては、 石英ガラスのほか、 合成サフアイャ、 ソーダガラス、 ホウゲイ酸ガラスなどの光学ガラスを使用することができる。 また、 前記マトリ ヅクス材料が無機ガラスを腐食する液体の場合、 ポリメタクリル酸メチル、 ポリ スチレン、 ポリカーボネィ などの有機ガラスを用いることもできる。 ゴムパッ キン 8 1 2および 8 1 6の ¾としては、 ブチルゴム、 シリコンゴム、 エチレン •プロピレンゴム、 放射線照射架撟したフッ素樹脂系ゴムなどを用いることがで きる。 固定枠 8 1 1および 8 1 7はステンレス、 金メツキした真鍮などの金属製 のものを好適に用いることができる。
以下、 光学素子 8として、 液状光応答性組成物の膜厚 (垂直入射した場合の光
路長) が 5 O tmになるように^製された石英ガラス製セル 800に前記テトラ ( tーブチル) ォキシバナジウムフタロシアニン ( 4種類の置換位置異性体混合 物) のクロ口ホルム溶液 (溏度 5 X 1 0— 3mo 1 /1 ) を液状の光応答性組成物 として充填したものを用いた場合について説明する。 この場合の光学素子 8の透 過率スぺク トルを図 43に示す。 この光学素子 8の透過率は制御光の波長 (63 3 nm) で 3. 4%、 信号光の波長 (830 nm) で 89%であった。
この光学素子 8 (薄膜型光学セル) を実施形態 1の場合と同様な光制御装置 (図 3 1 ) に取り付け、 制御光および信号光の収束ビーム径が最小となる位置 (焦点 Fc ) と膜型光学素子 8の位置関係を変えながら、 制御光の断続に対応し た信号光の光応答の向きおよび大きさを実施形態 1の場合と同様にして調べた。 すなわち、 信号光の光源 2として半導体レーザー (発振波長 830 nm、 連続発 振出力 6 mW、 ビーム整形後の直径約 8 mmのガウスビーム) を、 制御光の光源 1 としてヘリゥム · ネオンレーザー (発振波長 633 n m、 ビーム直径 2 mmの ガウスビーム) を、 集光レンズ 7として倍率 20倍、 開口数 0. 4の顕微鏡用レ ンズを、 受光レンズ 9として倍率 1 0倍、 開口数 0. 3の顕微鏡用対物レンズを 用い、 集光レンズ 7および受光レンズ 9の間隔 (d78+d89) を固定したまま、 光学素子 8としての光学セル 800と集光レンズ 7の距離を変化させ、 同一の光 路で収束された制御光および信号光の焦点位置と薄膜型光学セル 800との位置 関係を変化させて行った。
制御光の入射パワー 5 mWのとき、 信号光強度が減少する向きの応答の大きさ △ Tの最大値は 87%、 見かけの信号光強度が増加する向きの応答の大きさ ΔΤ ' の最大値は 53%であった。 なお、 制御光の焦点位置を光学セル内の光応答性 組成物の入射側近傍に置き、 制御光を 1 ミリ秒よりも長いパルス幅で照射した場 合、 制御光のパワーを 1 OmWよりも大きくすると、 制御光の焦点位置において, 溶剤のクロ口ホルムが沸騰を始めた。 溶剤の沸騰は極めて局部的に起こるため、 光学セル内部の圧力上昇は極めて軽微であった。 また、 制御光を遮断すると、 直 ちに沸騰は停止した。
〔比較例 2〕
従来の技術に基づく比較実験を行うため、 特開昭 53 - 1 37884号公報、
特開昭 63— 23 1 424号公報、 および特開昭 64— 73326号公報の記述 に従い、 図 44に概要を示すような構成の装置を用い、 光制御を試みた。 すなわ ち、 光路長 1 cmの石英製溶液セル 27に絞り 1 9を通した信号光の光源 2から の半導体レーザー光 (波長 830 nm) を照射し、 透過した光を波長選択透過フ ィルター 20を経由して光検出器 22で受光し、 一方、 溶液セル 27を透過する 信号光の光路全体に、 信号光に直交する方向から制御光を、 投射レンズ 26を用 いて拡散させて照射した。 図 44の装置構成において、 信号光の光源 1 (波長 6 33 n m) 、 N Dフィルター 3、 シャッター 4、 半透過鏡 5、 および、 光検出器 1 1の役割および仕様は実施形態 1 または 3の場合と同様である。 なお、 波長選 択透過フィルター 20は溶液セル 27から散乱してくる制御光が光検出器 22に 入射するのを防ぐものであり、 実施形態 1 または 3で用いたのと同様のものを用 いることができる。
色素としては実施形態 3と同様にテトラ ( t一プチル) ォキシバナジウムフタ ロシアニンを用い、 クロ口ホルム溶液を溶液セル 27に充填して試験した。 色素 谩度については、 光路長の相違、 すなわち実施形態 3の場合の光路長 50 mに 対して 200倍の光路長 1 cmであることを勘案し、 実施形態 3の場合の 200 分の 1の溏度 ( 2. 5 X 1 0-5mo 1 /1 ) に設定し、 実効的な透過率が実施形 態 3の場合と同等になるよう調節した。 実施形態 3の場合と同様に、 N Dフィル ター 3によって、 光学素子 (溶液セル 27 ) へ入射する制御光のパワーを 0. 5 mWないし 25 mWの範囲で調節し、 制御光をシャッター 4を用いて明滅させた c しかしながら、 制御光のパワーを愚大にしても光検出器 22へ入射する信号光の 強度は全く変化しないという結果が得られた。 すなわち、 制御光のパワーを 0. 5mWないし 25mWの範囲で調節した限りでは、 図 44の装置構成■装置配置 において光 ·光制御は実現できなかった。
〔実施形態 4〕
図 45には本実施形態の光制御装置の概略橼成が示されている。 このような光 学装置構成および配置は、 図 45に例示するような膜型光学素子 8の他に、 ファ ィバー型、 光導波路型、 マイクロチャンネルアレイ型などの光学素子を用いる場 合、 および、 液状の光応答性組成物を充填した光学セルを用いる場合にも好適に
用いることができる。
光源 1 および 2、 N Dフィルター 3、 シャッター 4、 光検出器 1 1 および 2 2 , 膜型光学素子 8、 波長選択透過フィルタ— 2 0、 およびオシロスコープ 1 0 0に ついては実施形態 1 (図 3 1 ) と同様のものを同様にして用いた。
図 4 5に示すような配置でダイクロイツクミラー 2 1 を用いることで、 制御光 を分割して、 その光強度を光検出器 1 1でモニタ一すると同時に、 制御光と信号 光の光路を重ね合わせることができ、 図 3 1の配置で必要な光混合器 6を省略す ることができる。 ただし、 図 4 5の配置においては、 ダイクロイツクミラー 2 1 の波長選択透過および反射を補完するために、 信号光を完全に遮断し制御光だけ を透過させるような波長選択透過フィルター 1 0を光検出器 1 1の前に設けるこ とが好ましい。 また、 信号光および/または制御光が光源 1 および 2へ戻り、 光 源装置に悪影!!を与えるのを避けるため、 必要に応じて、 光アイソレーター 1 3 および 1 4を、 それぞれ光源 1および 2の前に設けても良い。
光路を一致させた信号光および制御光を一锗に收束させて膜型光学素子 8へ照 射する際の光収束手段として、 集光レンズ 7および受光レンズ 9の代りに、 図 4 5のような配 Sにおいて凹面鏡 1 5および 1 6を用いることができる。 信号光と 制御光に共通の收束手段としてレンズを用いる場合、 厳密には波長によって焦点 距離が異なるという問題が生じるが、 凹面鏡ではその心配がない。
図 4 5に例示するような、 本発明の光制御装置において前記光学素子を透過ま たは反射した後、 発散していく信号光光線束のうち、 前記強度変調および/また は光束密度変調を強く受けた領域の信号光光線束を分別して取り出すには、 次の ような方法を採用することができる。
( 1 ) 光検出器 2 2の手前に絞り 1 9を設ける方法。
( 2 ) 照射側の凹面鏡 1 5の開口角よりも受光側の凹面鏡 1 6の開口角を小さく する方法。
( 3 ) 照射側の凹面鏡 1 5の開口角よりも受光側の凹面鏡 1 6の開口角を小さく し、 更に、 光検出器 2 2の手前に絞り 1 9を設ける方法。
図 4 5に例示するような、 本発明の光制御装置において必須の装置構成要素は 光源 1 および 2、 ダイクロイツクミラー 2 1 、 波長選択透過フィルター 2 0、 凹
面鏡 1 5、 1 6、 および膜型光 素子 8である。 なお、 図 4 5におけるダイク口 ィヅクミラー 2 1の代りに偏光または非偏光のビ一ムスプリッタ一を用いること もできる。
本発明の光制御方法を図 4 5に示すような装 Sで行う場合の手順として、 まず、 制御光 (光源 1 ) と信号光 (光源 2 ) の光路が一致し、 共通の焦点 F c (ビーム ウェス卜) 位 £に光学素子 8が配置されるよう調節を行い、 次いで、 ダイクロイ ックミラー 2 1ならびに波長選択透過フィルター 1 0および 2 0の機能を点検す るため、 光源 1 と 2を交互に点灯し、 光源 1のみ点灯 (シャッター 4開放〉 した とき光検出器 2 2に応答がないこと、 および光源 2のみを点灯したとき光検出器 1 1 に応答がないことを確認した。
以下、 実施形態 1の場合と同様にして、 前記膜型光学素子 8を用いた光 ·光制 御方法を実施し、 実施形態 1の場合と同等の実験結果を得た。
〔実施形態 5〕
図 4 6には本実施形態の光制御装置の概略概要が示されている。 図 3 1および 図 4 5に例示した装置構成では、 信号光と制御光を同じ方向から光応答性光学素 子へ照射させているのに比較して、 図 4 6では信号光と制御光を反対方向から、 光軸を一致させて同一の焦点で収束するように照射している点に特徴がある。 このような光学装置構成および配置は、 図 4 6に例示するような膜型光学素子 8の他に、 ファイバー型、 光導波路型、 マイクロチャンネルアレイ型などの光学 素子を用いる場合、 および、 液状の光応答性組成物を充填した光学セルを用いる 場合にも好適に用いることができる。
図 4 6に例示する装置構成において光源 1 および 2、 N Dフィルター 3、 シャ ッター 4、 集光レンズ 7、 膜型光学素子 8、 波長選択透過フィルタ— 1 0および 2 0、 光検出器 1 1および 2 2、 光アイソレーター 1 3および 1 4、 およびオシ ロスコープ 1 0 0については実施形態 1 (図 3 1 ) および/または実施形態 4 (図 4 5 ) の場合と同様のものを同様にして用いることができる。
図 4 6に示すような配置で 2枚のダイクロイツクミラー ( 2 3および 2 4 ) を 用いることで、 信号光と制御光を反対方向から、 光軸を一致させて同一の焦点で 収束するように照射することができる。 なお、 2つの集光レンズ 7は、 光学素子
を透過してきた制御光および信,光をそれそれ平行ビームへ戻すための受光レン ズ 9としての役割を兼ねている。
図 46に例示するような、 本発明の光制御装置において必須の装置構成要素は 光源 1および 2、 2枚のダイクロイツクミラー ( 23および 24) 、 波長選択透 過フィルター 1 0および 20、 2つの集光レンズ 7、 および膜型光学素子 8であ る。
なお、 図 46におけるダイクロイツクミラー ( 23および 24) の代りに偏光 または非偏光ビームスプリッタ一を用いることもできる。
本発明の光制御方法を図 46に示すような装置で行う場合の手順として、 まず、 制御光 (光源 1 ) と信号光 (光源 2) の光路が一致し、 共通の焦点位置に光学素 子 8が配置されるよう調節を行い、 次いで、 波長選択透過フィルタ— 1 0および 20の機能を点検するため、 光源 1 と 2を交互に点灯し、 光源 1のみ点灯 (シャ ッター 4開放) したとき光検出器 22に応答がないこと、 および光源 2のみを点 灯したとき光検出器 1 1 に応答がないことを確認した。
以下、 実施形態 1の場合と同様にして、 前記膜型光学素子 8を用いた光 '光制 御方法を実施し、 実施形態 1の場合と同等の実験結果を得た。
〔実施形態 6〕
実施形態 1 におけるテトラ ( tーブチル) ォキシバナジウムフタロシアニンの 代わりに、 フタロシアニン色素として、 下記の式 [1 5] で表されるテトラ ( t 一プチル) 銅フタロシアニンの 4種類の置換位置異性体 ( 2 , 6, 1 0, 1 4— および 2 , 6 , 1 0, 1 5—および 2 , 6, 1 1 , 1 5—および 2 , 7, 1 0, 1 5—置換体) の混合物
(以下余白)
(CHabC
C15]
(CHjbC
: 6. 78m gを用いた他は実施形態 1 に記載の方法と同様の手順によって、 膜 型光学素子 8を作成した。 この膜型光学素子の膜厚は 35 zmであり、 透過率ス ぺク トルは図 47に示す通りであった。 この膜の透過率は制御光の波長 ( 633 n m) で 1 2%、 信号光の波長 ( 780 nm) で 85%であった。
この膜型光学素子を実施形態 1の場合と同様な光制御装置 (図 3 1 ) に取り付 け、 制御光および信号光の収束ビーム径が最小となる位 (焦点 Fc ) と膜型光 学素子 8の位 S関係を変えながら、 制御光の断続に対応した信号光の光応答の向 きおよび大きさを実施形態 1の場合と同様にして調べた。 ただし、 信号光の光源 2として半導体レーザー (発振波長 780 nm、 連続発振出力 6 mW、 ビーム蹩 形後の直径約 8 mmのガウスビーム) を、 制御光の光源 1 としてヘリゥム · ネオ ンレーザ一 (発振波長 633 nm、 ビーム直 g2 mmのガウスビーム) を、 集光 レンズ 7として倍率 20倍、 開口数 0. 4の顕微鏡用レンズを、 受光レンズ 9と して倍率 1 0倍、 開口数 0. 3の顕微统用対物レンズを用い、 集光レンズ 7およ び受光レンズ 9の間隔 (d78+de9) を固定したまま、 膜型光字素子 8と集光レ ンズ 7の距離を変化させ、 同一の光路で収束された制御光および信号光の焦点位
置と膜型光学素子 8との位置関 ί吊を変化させて行った。
制御光の入射パワー 1 3mWのとき、 信号光強度が減少する向きの応答の大き さ厶 Tの最大値は 97%、 見かけの信号光強度が増加する向きの応答の大きさ Δ T ' の最大値は 49%であった。
〔実施形態 7〕
実施形態 3における前記テトラ ( t一プチル) ォキシバナジウムフタロシア二 ン ( 4種類の g換位置異性体混合物) の代わりに、 フタロシアニン色素として前 記の式 [ 1 5] で表されるテトラ ( t一プチル) 銅フタロシアニン (4種類の置 換位置異性体混合物) を用い、 その他は実施形態 3と同様にして、 液状光応答性 組成物として前記フタロシアニン色素のクロ口ホルム溶液 (濃度 5 X 1 0— 3mo 1 / 1 ) を光学セル 800 (光路長 50 m) に充填して光学素子 8を作成した ( この場合の光学素子 8の透過率スぺク トルを図 48に示す。 この光学素子 8の透 過率は制御光の波長 ( 633 nm) で 0. 5%、 信号光の波長 ( 830 n m) で 9 1 %であった。
上記光学セル 800を用いて、 制御光および信号光の収束ビーム径が最小とな る位置 (焦点 Fc ) と膜型光学素子 8の位置関係を変えながら、 制御光の断続に 対応した信号光の光応答の向きおよび大きさを実施形態 3の場合と同様にして調 ベた。 すなわち、 信号光の光源 2として半導体レーザー (発振波長 830 nm、 連続発振出力 6 m W、 ビーム整形後の直径約 8 mmのガウスビーム) を、 制御光 の光源 1 としてへリゥム · ネオンレーザー (発振波長 633 n m、 ビーム直径 2 mmのガウスビーム) を、 集光レンズ 7として倍率 20倍、 開口数 0. 4の顕微 鏡用レンズを、 受光レンズ 9として倍率 1 0倍、 開口数 0. 3の顕微銃用対物レ ンズを用い、 集光レンズ 7および受光レンズ 9の間隔 (d78+d89) を固定した まま、 光学素子 8としての光学セル 800と集光レンズ 7の距離を変化させ、 同 一の光路で収束された制御光および信号光の焦点位置と薄膜型光学セル 800と の位置関係を変化させて行った。
制御光の入射パワー 5 mWのとき、 信号光強度が減少する向きの応答の大きさ 厶 Tの最大値は 89%、 見かけの信号光強度が増加する向きの応答の大きさ Δ T ' の最大値は 5 1 %であった。
〔実施形態 8〕
下記の式 [ 1 6] で表される化学構造のポリメチン色素
^- CH=CH CH=* 丄 I - C161 CH2CH3 CH2CH3 すなわち、 3 , 3 ' —ジェチル才キサジカルボシァニンョージド (慣用名 DO D
C I ) : 23. Omgおよびポリメタクリル酸 2—ヒドロキシプロピル: 1 9
77. Omgをアセ トン : 200m lに溶解し、 n—へキサン : 300m l中へ かき混ぜながら加えて析出した沈殿 (色素およびポリマーの混合物) を濾別し、 n一へキサンで洗浄してから減圧下乾燥し、 粉砕した。
得られた色素およびポリマーの混合粉末を 1 0—5 P a未満の超高真空下、 1 0 0 で 2日間加熱を続け、 残留溶媒等の揮発成分を完全に除去して、 光応答性組 成物の粉末を得た。 この粉末 20mgをスライ ドガラス ( 25mmx 76mmx 厚さ 1 . 1 50 mm) およびカバーガラス ( 1 8 mm X 1 8 mmx厚さ 0. 1 5 Omm) の間に挟み、 真空下 1 50°Cに加熱し、 2枚のガラス板を圧着する方法 (真空ホッ 卜プレス法) を用いてスライ ドガラス/カバーガラス間に色素/ポリ マーの膜 (膜厚 50 Aim) を作成した。 なお、 色素/ポリマー膜中の色素漯度は. 色素/ポリマー混合物の密度を 1 . 06として計算すると、 2. 5 x 1 0— 2mo 1 / 1である。
以上のようにして作成した膜型光学素子の透過率スぺク トルを図 49に示す。 この膜の透過率は制御光の波長 (633 nm) で 28. 3%、 信号光の波長 ( 694 n m) で 90. 2%であった。
以上のような膜型光学素子 8を用い、 信号光の光源 2として半導体レーザー (発振波長 694 nm、 連続発振出力 3mW、 ビーム整形後の直径約 8 m mのガ ウスビーム) を用い、 その他は実施形態 4と同様にして、 制御光および信号光の 収束ビーム Sが最小となる位置 (焦点 Fc ) と膜 ¾光学素子 8の位置関係を変え ながら、 制御光の断続に対応した信号光の光応答の向きおよび大きさを調べた。 制御光の入射パワー 24 mWのとき、 信号光強度が減少する向きの応答の大き
さ厶 Tの最大値は 83%、 見かけの信号光強度が増加する向きの応答の大きさ Δ Τ ' の最大値は 44%であった。
〔実施形態 9〕
前記の式 [ 1 2] で表されるトリアリールメタン系色素 (憤用名プリリアン卜 - グリーン) : 3. 97 mgおよびポリメタクリル酸 2—ヒドロキシプロピル: 1 996. 03mgをアセ トン : 200m lに溶解し、 π—へキサン : 800m 1中へかき混ぜながら加えて析出した沈殿 (色素およびポリマーの混合物) を濂 別し、 n—へキサンで洗浄してから減圧下乾燥し、 粉碎した。
得られた色素およびポリマーの混合粉末を 1 0—5P a未満の超高真空下、 1 0 (TCで 2日間加熱を続け、 残留溶媒等の揮発成分を完全に除去して、 光応答性組 成物の粉末を得た。 この粉末 20mgをスライ ドガラス ( 25 mmx 76mmx 厚さ 1 . 1 5 Omm) およびカバーガラス ( 1 8mmx 1 8mmx厚さ 0. 1 5 Omm) の間に挟み、 真空下 1 5 CTCに加熱し、 2枚のガラス板を圧着する方法 (真空ホッ トプレス法) を用いてスライ ドガラス/カバ—ガラス間に色素/ポリ マーの膜 (膜厚 1 2 O m) を作成した。 なお、 色素/ポリマー膜中の色素谩度 は、 色素/ポリマー混合物の密度を 1 . 06として計算すると、 5. 0 x 1 0— 3 m ο 1 / 1である。
以上のようにして作成した膜型光学素子の透過率スぺク トルを図 50に示す。 この膜の透過率は制御光の波長 (633 nm) で 0. 1 2%、 信号光の波長 (694 nm) で 77. 9%であった。
以上のような膜型光学素子 8を用い、 信号光の光源 2として半導体レーザ— (発振波長 694 nm、 連続発振出力 3 m W、 ビーム整形後の直径約 8 m mのガ ウスビーム) を用い、 その他は実施形態 1 と同様にして、 制御光および信号光の 収束ビーム ί圣が最小となる位置 (焦点 Fc ) と膜型光学素子 8の位置関係を変え ながら、 制御光の断続に対応した信号光の光応答の向きおよび大きさを調べた。 制御光の入射パワー 25 mWのとき、 信号光強度が減少する向きの応答の大き さ厶 Tの最大値は 83%、 見かけの信号光強度が増加する向きの応答の大きさ△ T' の最大値は 39%であった。
達茱上の利用可能性
以上、 詳細に説明したように、 本発明の光制御方法および光制御装 によれば, 例えば、 可視領域にあるレーザー光を制御光として、 近赤外線領域にある信号光 を効率良く変調することが、 極めて単純な光学装 によって、 電子回路などを一 切用いることなく、 実用上充分な応答速度において実現可能になる。
また、 本発明の光制御方法および光制御装置を用いた可視光線レーザーによる 近赤外線レーザーの直接変調は、 例えば、 ポリメチルメタクリレート系プラスチ ック光ファイバ一中を伝搬させるのに適した可視光線レーザーによって、 空気中 を伝搬させるのに適した近赤外線レーザーを直接変調するような用途において極 めて有用である。 また、 例えば光コンピューティングの分野において新しい光演 算方式を開発する上で役立つと期待される。
更に、 本発明の光制御方法および光制御装 Sによれば、 光学素子として色素を マ卜リックス材料中に溶解または分散させた光応答性組成物から成る光学素子を 用いることができ、 前記光学素子に用いられる材料の選択範囲を広げ、 かつ光学 素子への加工を容易にし、 産業界への利用の道を広く拓くことができる。
更に、 液状の光応答性組成物を光学素子に充填して使用することにより、 光学 散乱を小さくすることができ、 できる限り小さいパワーで大きな光応答を示す光 学装 Sを提供することができる。 また、 光学素子中の光応答性組成物の交換を、 簡便に実施することができる。 また、 光応答性組成物中に照射された制御光の焦 点近傍の色素が劣化しても、 拡散による物質移動によって、 光応答性組成物が液 状でない場合に比べて長期間、 機能を発揮させることができる。
更に、 揮発性の溶剤を用いて液状光応答性組成物を作成することによって、 過 大パワーの制御光が入射した場合は、 前記溶剤が沸騰して泡を発生し、 その結果 制御光を遮断し、 光学素子が損傷を受けることを防ぐようにすることができる。 光学素子に制御光および信号光を各々収束させる前記収束手段、 および/また は、 光学素子中の光応答性組成物を透過した後、 発散していく信号光光線束のう ち、 強度変調および/または光束密度変調を強く受けた領域の信号光光線束を分 別して取り出す手段、 および/または、 光学素子中の前記光応答性組成物を透過 してきた信号光と制御光の混合光を、 信号光と制御光とに分離する手段を組み込
むことによって、 極めてシンプルかつコンパク 卜な光制御装置を提供することが できる。