明 細 書
多孔質膜 技術分野
本発明は芳香族ボリ エーテルケ ト ンからなる多孔質膜及びその製 造方法に閱する。 さ らに詳し く は、 耐熱性、 耐薬品性、 低溶出性を 有する芳香族ボリ エーテルケ ト ンからな り、 透水性及び分画性のバ ラ ンスに優れた、 分離膜と して有用な多孔質膜及びその製造方法に 関する。
背景技術
多孔質膜は、 分離膜と して多 く の工業分野で用いられている。 例 えば、 半導体製造分野での超純水の製造や、 発電所における冷却水 中の微量鉄分等の濾過をはじめ、 医療機器用途、 医薬用途、 食品用 途等での濾過や滅菌等に広く 用いられており、 その用途分野と使用 量は拡大の傾向にある。 その中で、 近年、 耐熱性ゃ耐薬品性の高い 多孔質膜への要求が増大している。 例えば、 半導体製造分野では、 超純水を用いて半導体の微細部分まで効率よ く 洗浄を行うために、 該超純水の温度を高く するこ とが望まれており、 高温での膜素材か らのイオン成分や有機物等の溶出が少な く 、 さ らに、 耐熱性、 耐薬 品性に優れた多孔質膜が求められている。 また、 火力発電所や原子 力発電所においては、 復水中に含まれる ク ラ ッ ド (主に鉄を主成分 とする微粒子) を一旦冷却するこ とな く 、 1 0 o ec以上の高温のま まで、 長時間安定的に除去可能な耐熱性に特に優れた分離膜が求め られている。
現在、 多孔質膜素材と しては、 従来よ りセルロースアセテー ト等 のセルロース誘導体、 ポリ ア ク リ ロニ ト リ ル系樹脂、 ボリ ア ミ ド系
樹脂、 ポ リ メ タ ク リ ル酸メ チル系樹脂、 ポ リ スルホ ン系樹脂、 ポリ フ ッ 化ビニ リ デン系樹脂、 ポ リ エチ レ ン系樹脂、 ポ リ カ 一ボネ一 ト 系樹脂等の高分子が用い られ、 これらの素材の膜は、 限外濾過膜や 精密濾過膜と して広 く 用いられている。 しか しながら、 これらの素 材は耐熱性、 耐薬品性、 耐熱水性に劣 り、 前述のよ う な用途では用 いる こ とができな 。 そのため、 耐熱性、 耐薬品性極めて優れてい る芳香族ポ リ エーテルケ ト ンが、 分離膜素材と して注目 されており 、 その多孔質膜の開発が試みられている。
例えば、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの一つであるボ リ エーテルエ ーテルケ ト ンのスルホ ン化物からなる分離膜及びその製造方法が特 開平 3 - 2 1 3 3 3 号公報 (欧州公開公報 8 8 9 4 号) 、 特公平 6 一 3 4 9 1 2号公報に提案されている。 しかし、 このよ う にスルホ ン化している場合は、 水中で膨潤する こ とが知られてお り (M a c r o m o l e c u l e s 、 8 6、 p . 1 8 ( 1 9 8 5 ) 参照) 、 さ らにアセ ト ン、 アルコール類、 テ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ン、 ジメ チルホル ムア ミ ド等の有機溶媒に可溶も し く は激しい膨潤ゃ変形を起こ し、 その使用範匪に限度がある。 従って、 これら提案されている膜は上 記に示したよ う な分離膜に対する高度な性能が要求されている よ う な分野に用いる こ とはできない。
また、 スルホ ン化していない芳香族ボリ ェ一テルケ ト ンからなる 溶融法又は湿式法による多孔質膜及びその製造方法も提案されてい る o
例えば、 溶融法の場合は、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ン と芳香族ボ リ エーテルケ ト ン と非混和性熱可塑性ポ リ マーや可塑剤を、 高温加 熱状態で混合溶融し、 所望の形状に成形後冷却し、 該非混和性熱可 塑性ポ リ マーや可塑剤を洗浄除去する こ とによ り分離膜と して有用 な多孔質膜を得る方法 (特公平 5 — 3 3 2 6 7号公報 (米国特許 4
, 7 5 5 , 5 4 0 ) 、 特開平 3 — 1 0 6 4 2 4 号公報 (欧州公開公 報 4 1 7 9 0 8号) ) や、 該可塑剤と して混和性の良い可塑剤や潜 溶剤を用いて同様に多孔質膜を得る方法 (特開平 3 — 2 3 7 1 2 号公報 (欧州公開公報 4 0 9 4 9 6号) 及び特開平 4 一 2 9 3 5 3 3号公報 (米国特許 5 , 2 2 7 , 1 0 1 ) ) が提案されている。 し かしながら、 これらの方法で得られる膜は、 表面に開孔はある もの の、 膜断面において異方性構造を有する膜が得られに く い傾向にあ る。 また、 これらの膜のう ち、 異方性構造を有する場合は、 膜の一 方の表面に開孔がないか、 開孔率が 7 %以下の緻密な層が存在し、 透水性と分画性のバラ ンスの優れたものが得られない。 特に、 後者 の方法で得られる膜は透水性が非常に低いという問題がある。 さ ら に、 用いた該非混和性熱可塑性ポリ マーや可塑剤が、 膜内に残留し やす く 、 分離膜と して使用中に溶出して く る という問題がある。
さ らに、 芳香族ポリ エーテルケ ト ンと微粒子を混合溶融し、 所望 の形状に成形後冷却し、 延伸するこ とによ り得られる、 芳香族ボリ エーテルケ ト ン と無機微粒子や有機微粒子からなる膜を製造する方 法 (特開平 7 - 7 7 6 号公報) が提案されている。 しかしながら、 この方法で得られる膜においては、 一般的に膜表面において均一な 孔径が得られない傾向にあり、 また、 特に高温下で使用する場合に は、 濾過精製した熱水中に、 用いた微粒子や、 微粒子のイオン成分 が混入しやすい傾向にある。
また、 湿式法の場合は、 芳香族ボリ エーテルケ ト ンを強酸に均一 に溶解した製膜原液を、 所望の形状に成形後、 該芳香族ボリ エ ーテ ルケ ト ンに対する貧溶媒に浸漬するこ とによ り沈殿凝固させ、 多孔 質膜を得る方法 (特開平 2 — 1 3 6 2 2 9号公報 (米国特許 4 , 9 9 2 , 4 8 5 ) 、 特開平 3 — 5 6 1 2 9 号公報 (欧州公開公報 5 8 2 3 5 6号) 、 特開平 3 - 1 7 4 2 3 1 号公報 (米国特許 5 , 0 8
2 , 5 6 5 ) ) や、 得られる膜を結晶化させる方法 (特開平 3 — 1 7 2 3 4 9 (米国特許 4 , 8 9 7 , 3 0 7 ) ) が提案されてレ、る。 しか し、 これら湿式法膜は、 膜断面において非対称構造を形成させ るのに有効な方法であ り、 得られる膜は、 膜の表面に走査型電子顕 微鏡で観察される よ う な開孔を有 していないか、 膜表面の開孔率が 非常に低い、 緻密なスキ ン層を膜表面に有している。 そのため、 限 外濾過膜と して有用である も のの、 透水性が低く 、 例えば精密濾過 膜と して用いる こ とはできない。 さ らに前者で提案されている膜は 、 熱安定化されていないため耐熱レベルも低い。 発明の開示
本発明は、 耐熱性、 耐薬品性、 耐熱水性、 透水性、 及び透水性と 分画性のバラ ンスに優れる結晶性の芳香族ボ リ エーテルケ ト ン多孔 質膜を得るためになされた。
即ち、 本発明は、 湿式製膜法によ り得られ、 結晶化度 1 0重量% 以上の、 実質的にスルホン化していない芳香族ボ リ エーテルケ ト ン からな り、 平均孔径 0 . 0 2〜 3 0 . 0 0 〃 m、 開孔率 ? 〜 9 0 % の開孔を両膜表面に有し、 かつ異方性構造を有する多孔質膜及びそ の製造方法を提供する。
本発明の多孔質膜を構成する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンは、 下記 の式で示される繰り返 し単位を有する重合体を意味する。
- 0 - A r ( 0 - A r ' 一) „
(式中、 A r 及び A r ' は芳香族残基であ り、 A r は少な く と も 1 つのジァ リ ールケ ト ン結合を有し、 A r 及び A r ' は芳香族炭素 原子を介 してエーテル基に共有結合 している。 また、 n は 0、 1 ま たは 2である。 )
本発明における芳香族ポ リ エーテルケ ト ンは、 A r および A r '
が次式で示される構造である ものが好適に使用でき る。
Ar · 籍
さ らに本発明においては、 次式 ( 1 ) 〜 ( 1 7 ) の繰り返 し単位 からなる芳香族ボ リ エーテルケ ト ンが好ま しい。 ー0 〇 "C 0 〇>~ ( 1 )
~0-g -C 0- g - -g)-C 0- -C 0-^- ( 5 )
- oベ〇 oベ〇 "C o 〇H〇 c 0-^ ( 9 )
0 〇>"〇 0ベ〇 0ベ〇^O普 C
また、 これらの操り返し単位の単独重合体であっても よい し、 こ れら 2つ以上の繰り返し単位を有する共重合体であって もよい。 さ らには、 2種以上の単独重合体または、 共重合体の混合物であって もよい。
また、 上記繰り返し単位を構成する芳香環の一部の水素又はすベ ての水素が、 ハロゲン基、 ニ ト ロ基、 二 ト リ ル基、 ア ミ ノ基、 フ エ ノ キシ基、 フ ヱニル基、 ビフ ヱニル基、 アルキル基及び次式 ( 1 8 ) 〜 ( 2 2 ) で示される構造の官能基等によ り 置換されていて も よい。
<g>"C 0 〇〉 ( 1 8 )
また、 式 ( 1 ) 〜 ( 1 7 ) で示される単独重合体又は共重合体の一 部に該重合体が持つ本来の特性を著 し く 低下させない範四で、 他の 繰り返し単位を含む共重合体であって も よい。 例えばそのよ う な共 重合単位と しては、 次式 ( 2 3 ) 〜 ( 3 6 ) に示される ものが挙げ られる。
-S-^>-0 -^) -S 02 - ( 2 6 )
-0"g)-0 — <g)-S 02 - <g - ( 2 7 )
C N
-^-0-^-0 - ( 3 5 )
( 3 6 )
本発明においては、 特に ( 1 ) 、 ( 2 ) 、 ( 3 ) 、 ( 4 ) 、
( 5 ) 式で示される繰り返 し単位からなる、 それぞれ順に P E K、 P E E K. P E K K、 P E E K K、 P E K E K Kと呼ばれる芳香族 ポ リ エーテルケ ト ンが工業的に生産されてお り、 膜素材と しての入 手が容易である という 点で、 好適に用いられる。
本発明の多孔質膜を構成する芳香族ポ リ エーテルケ ト ンは既知の 重合方法によ って製造でき、 その重合法に特に限定されない。 例え ばフ リ ーデルク ラ フ ト法が挙げられる。 関連する重合法は、 米国特 許第 3 0 8 5 2 0 5号、 第 3 4 4 2 8 5 7号、 第 3 4 4 1 5 3 8号 及び第 3 6 6 8 0 5 7号明細書、 ドイ ツ特許出願公開第 2 2 0 6 8 3 6 号明細書及び J . P o l y . S 0 i . , 7 4 1 ( 1 9 6 1 ) ( 米) に記載されている。 また、 他に重縮合法による ものがある。 例 えば、 芳香族ジハロゲン化合物と ジフ エ ノ —ル類をアル力 リ 塩の存
在下で重合させる方法や、 芳香族ジハロゲン化合物と炭酸塩とを重 合させる等の方法がある。 前者の重合法は、 特公昭 5 7 - 2 2 9 3 8 号公報、 米国特許第 4 1 1 3 6 9 9 号明細書、 特開昭 5 4 - 9 0 2 9 6 号公報に記載されてお り、 後者の重合法は特開昭 6 2 - 8 5 7 0 8 号公報、 特開昭 6 2 - 8 5 7 0 9 号公報に記載されている。 本発明の多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エ -テルケ ト ンの分子量 は、 通常、 還元粘度で 0 . 5 d l Zg以上である。 芳香族ポ リ エー テルケ ト ンの還元粘度が 0 . 5 d l Z g未満の場合は、 多孔質膜の 強度が低 く 、 実用的ではない。 さ らに、 本発明の多孔質膜を形成す る芳香族ポ リ エーテルケ ト ンは濃硫酸に溶解した場合、 不溶部分が ある よ う な架撟構造を有していて も よい。 本発明の多孔質膜を形成 する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンが架橋構造を有する場合は、 さ らに 耐熱性、 耐薬品性、 低溶出性及び機械的特性が向上する傾向にある , さ らに、 架橋構造が、 水溶性有機溶剤によ り架橋 してなる場合には 、 多孔質膜の親水性も向上するため、 例えば蛋白質等による膜の汚 染が少な く 、 多孔質膜の濾過寿命が長 く なる傾向にある。 ただし、 本発明の多孔質膜を得るにあた り、 製膜原液を調整する際の芳香族 ボリ エーテルケ ト ンは、 架橋構造がな く 均一に溶解する こ とが好ま し く 、 その際用いられる芳香族ポ リ ェ―テルケ ト ンの還元粘度は通 常 0 . 5 〜 3 . O d I Z gの範囲である。
本発明で言う還元粘度とは、 濃度 9 8 %の濃硫酸に、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンを 0 . 1 %の濃度 (芳香族ポ リ エーテルケ ト ンの重 量 ( g) Z濃硫酸の容量 ( d 1 ) ) となる よ う に溶解した希薄溶液 を、 ォス ト ワル ド粘度管を用いて、 2 5 。Cにおいて測定した値をい う。 本発明において、 原料に用いる芳香族ポ リ エーテルケ ト ン及び 多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの還元粘度の測定は 、 濃度 9 8 %の範囲にある濃硫酸をホー ルピぺッ 卜で 1 5 m 1 採取
し、 ついで 1 5 0 °Cで 1 0 〜 3 0 時間真空乾燥を行った芳香族ポ リ エーテルケ ト ンを 1 5 . O m g溶解し、 均一に溶解 した溶液に対し て、 2 5 °Cの恒温槽中で測定を行った。 また、 測定には、 濃硫酸だ けの測定時間が約 2 分であるォス ト ワル ド粘度管を用いた。 上記還 元粘度の则定において、 濃硫酸によ り スルホ ン化される構造を有す る芳香族ポ リ エーテルケ ト ンを測定する場合には、 濃硫酸に均一に 溶解後、 速やかに測定を行った。 通常、 芳香族ポ リ エーテルケ ト ン が濃硫酸によ り スルホ ン化される場合、 還元粘度測定用に調整した 濃硫酸溶液を室温中で長時間、 例えば 2 日以上、 特に 5 日以上放置 した場合、 溶解直後と比較 して僅かに異なった還元拈度が得られる 傾向がある。
また、 本発明の多孔質膜を構成する芳香族ポリ エ -テルケ ト ンが 架橋構造を有している場合、 その架橋率は好ま し く は 9 9 . 9 9 % 以下、 さ らに好ま し く は 8 0 %以下である。 架橋率が 9 9 . 9 9 % を越える場合は、 膜強度が低下する傾向にある。 架橋率とは多孔質 膜の重量に対する架橋部分の重量の比の百分率で表され、 以下の方 法で求める。 本発明の多孔質膜約 1 gを 1 2 0 てで 2 0 時間以上真 空乾燥し重量を则定しておき、 濃度 9 8 %の硫酸約 1 0 O g中で、 室温、 通常 2 5 eCで 1 0 時間以上攪拌する こ とによ り溶解させた後 、 ガラス焼結フ ィ ルタ 一にて不溶部分を濾過採取する。 次に得られ た不溶部分を水、 エタ ノ ールで洗浄する こ とによ り硫酸を除去し、 1 2 0 でで 1 2 時間以上乾燥しその重量を測定する こ とによ り、 前 記乾燥後の多孔質膜の重量との比から架橋率が求められる。
また、 本発明の多孔質膜が架橋構造を有する場合は、 架橋剤によ り架橋 している こ とが望ま しい。 特に該架橋剤は溶解度パラ メ 一 夕 値 7 〜 1 7 の範囲にある水溶性有機溶剤である こ とが望ま しい。 こ こ で言う水溶性有機溶剤とは 2 5 て、 1 0 0 gの水に、 0 . 1 g以
上溶解する有機溶剂を意味する。 溶解度パラ メ ー タ値が上記範囲で あ り、 特に架橋剂と して望ま しい水溶性有機溶剤は、 1 , 4 ーブタ ン ジオー ル、 1 , 3 —ブタ ンジオール、 エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ジェ チ レ ン グ リ コ ー ル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ール、 プロ ピ レ ン グ リ コ ール、 ジブロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 卜 リ プ ロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 グ リ セ リ ン、 ボ リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ポ リ プロ ピレ ン グ リ コ ール、 N, N— ジメ チルホルムア ミ ド、 N, N— ジメ チルァセ トア ミ ド、 N — メ チルー 2 — ピロ リ ドン及びこれらの 混合物である。
本発明において、 上記有機溶剤で架橋 している場合は、 膜強度の 向上と と もに膜の親水性が向上し、 蛋白質等の吸着等によ る、 膜の フ ァ ゥ リ ングが起こ り に く く なる傾向にあるため望ま しい。
本発明の多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エ -テルケ ト ンが架橋構 造を有する場合は、 その架橋点は特に限定されず、 例えば芳香族ボ リ エーテルケ ト ン分子の末端又は分子鎖中の互いのフ ヱニレ ン基等 である。 また、 架橋構造を有する場合は、 架橋している部分は膜表 面や膜内部等特に制限はないが、 膜全体が均一に架橋されているこ とが機械的強度等の性能の向上の点で望ま しい。
本発明の多孔質膜を構成する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホ ン化されていないこ とが必要である。 こ こで言う実質的 にスルホ ン化していないとは、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンのイ オン 交換容量が 0 〜 0 . 5 ミ リ 当量 の範囲である こ とを意味する。 0 . 5 ミ リ 当量 Z gのイオ ン交換容量とは、 例えば式 ( 2 ) で示さ れる芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの場合に、 1 つのフ ヱニ レ ン基がモ ノ スルホ ン化された繰り返 し単位が約 1 9 m o l %存在する こ とに 相当する。 本発明においては、 特に 0 〜 0 . 1 ミ リ 当量/ gの範囲 が好ま しい。 該イオ ン交換容量が 0 . 5 ミ リ 当量 Z gを越える場合
は、 耐熱性、 耐薬品性、 膜強度が低下する傾向にあるため、 好ま し く ない。 また、 該スルホ ン化の度合いは、 ィォゥの元素分祈におい ても求める こ とができ る。
本発明の多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エ -テルケ ト ンは、 結晶 化度が 1 0 重量%以上である。 特に 2 5 重量%以上が好ま しい。 結 晶化度が 1 0 重量%未満の場合は、 耐熱性、 耐薬品性が低いため好 ま し く ない。 かかる結晶化度は、 B 1 u n d e 1 1 および 0 s b o r n によ り報告されている広角 X線回折で測定する こ とができ ( P o l y m e r 、 2 4 、 9 5 3 、 1 9 8 3 参照) 、 多孔質膜の重量に 対する、 結晶化している芳香族ポ リ ェ―テルケ ト ンの重量の割合で 表される。
また、 本発明の多孔質膜は、 芳香族ボ リ エ -テルケ ト ンの実質的 な耐熱性、 耐薬品性等の性能を著し く 損なわない範囲、 又は、 実際 の分離膜と しての使用温度で劣化を起こ さない範囲で吸水性高分子 を含有していてもよい。 吸水性高分子とは、 水溶性、 も し く は 2 5 'Cの水中浸潰での平衡吸水率が 3 %以上の高分子化合物をいう。 具 体的にはボ リ エチ レ ングリ コ ール、 ボ リ プロ ピレ ング リ コ ール、 ボ リ エチ レ ン グ リ コ ールアルキルエーテル、 ボ リ プロ ピ レ ング リ コ ー ルアルキルエーテル、 ボ リ ビニルアルコ ール、 ボリ ビニルアルキル エーテル、 デキス ト リ ン、 ボ リ ア ク リ ル酸及びその誘導体、 ポ リ ス チ レ ンスルホ ン酸及びその誘導体、 セルロ ース及びその誘導体、 ェ チ レ ン一ビニルアルコ ール共重合体、 ポ リ ビニルピロ リ ドン、 脂肪 族ボ リ ア ミ ド系樹脂、 芳香族ポ リ ア ミ ド系樹脂、 スルホ ン化ボ リ ェ 一テルエ—テルケ ト ン、 スルホ ン化ボ リ エー テルスルホ ン又はこれ らの混合物等が挙げられる。 これら吸水性高分子は本発明の多孔質 膜内にブレ ン ドされた状態であって も よい し、 芳香族ポ リ エーテル ケ ト ンに直接または上記架橋剤を介して結合されていて も よい。 こ
れら吸水性高分子が含まれている場合において も、 膜の親水性が向 上し、 膜に対する蛋白質等の吸着性が抑制され、 膜のフ ァ ウ リ ング が少な く 、 膜の濾過寿命が長 く なる傾向にあるため望ま しい。
本発明の芳香族ボ リ エー テルケ ト ンからなる多孔質膜は、 膜の両 表面に平均孔径が 0 . 0 2 〜 3 0 . 0 0 〃 m、 好ま し く は 0 . 0 2 〜 1 0 . 0 0 mの開孔を有している。 膜表面の開孔の平均孔径が 0 . 0 2 m未満の場合は、 透水性が低 く なるため、 精密濾過膜と しては好ま し く ない。 また、 平均孔径が 3 0 . 0 0 z mを越える場 合は、 透水性は増大する傾向にあるが、 微粒子等の除去性が低下す る傾向にある。 また、 本発明では両表面の開孔の平均孔径は同一で あっても異な っていて も よい。 特に、 膜の両表面の開孔の平均孔径 が異なる場合は、 透水性と分画性のバラ ンスが向上する傾向にあ り 、 好ま しい。 一般的に、 透水性と分画性に優れる とは、 同一の分子 量の高分子化合物や同サイ ズの微粒子に対する排除率が同 じ場合に 、 透水性がよ り高いこ とを意味する。
本発明の多孔質膜の膜表面の開孔は走査型電子顕微鏡によ り観察 され、 走査型電子顕微鏡写真から平均孔径が求められる。
本発明における膜表面の開孔の形状や形態は特に限定されない。 例えば形状と しては、 円形状、 楕円状、 多角形状、 ス リ ッ ト状等の 形状が挙げられる。 また開孔の形態と しては、 例えば、 芳香族ボリ エーテルケ ト ンからなる 1 0 〜 3 0 0 n mの径を有する フ ィ ブ リ ル 状物が 3 次元的な網目構造とな り、 フ イ ブ リ ル状間が開孔となって いる形態、 フ ィ ブ リ ル状物が約 1 0 〜 2 0 0 n mの粒径を有する芳 香族ポ リ エーテルケ ト ンからなる粒子状物が連なる こ とによ り形成 されている形態 (例えば図 5 ) 、 芳香族ポ リ エーテルケ ト ンからな る粒径が約 1 0 〜 2 0 0 n mの粒子状物が集合 し、 該粒子状物間に 開孔が形成されている形態 (例えば図 2 、 図 7 ) 、 芳香族ポ リ エ ー
テルケ ト ンからなる平面上に円形状又は楕円状の開孔が存在 してい る よ う な形態 (例えば図 3 ) 等が挙げられる。 特に、 円形状や楕円 状である場合が、 膜の汚染性が少ない傾向にあ り望ま しい。
また、 本発明の膜表面の開孔の平均孔径は、 走査型電子顕微鏡写 真に写っている開孔部を切 り抜き、 得られた開孔部の切 り抜き部の 重量と切り抜いた開孔数からその平均の面積を求め、 真円 と して換 算されて得られる直径と して求めた。 また、 平均孔径を求める場合 、 走査型電子顕微鏡写真を紙等に複写して行って も良い。
本発明において走査型電子顕微鏡で、 膜表面の開孔を観察する場 合は、 通常、 5 0 0 倍以上、 さ らには 5 , 0 0 0 倍以上、 特に開孔 の平均孔径が 0 . 以下の場合は 1 0 , 0 0 0 倍、 さ らに開口 の平均孔径が 0 . l 〃 m以下の場合は 2 0, 0 0 0 〜 1 0 0 , 0 0 0 倍の倍率で観測される。 また、 平均孔径を求める際は、 写真の倍 率、 または複写時の倍率等は、 膜表面の開孔部の切り抜きの径がお よそ 2〜 3 0 m mの範囲になる よ う に、 且つ、 写真中に撮影される 開孔数が 1 0 〜約 2 0 0 程度になるよ う に調整して、 該写真に撮影 されている開孔部すベてを切り抜き、 測定を行った。 また、 膜表面 が三次元網目構造等のよ う に上記の切り抜き測定で平均孔径を求め るのがむずかしい場合は、 写真に対する画像処理によ り平均孔径を 求める。
本発明においては、 走査型電子顕微鏡と して日立製作所社製 S — 9 0 0 を用い、 加速電圧 1 k Vにおいて該開孔を観察 した。 その際 、 観察すべき多孔質膜試料は前処理と して、 該膜表面及び膜内部に 存在する水や他の溶媒を t —ブタ ノ —ルに置換後、 t ーブ夕 ノ ール 凍結乾燥法によ って乾燥を行い、 ついで、 凍結乾燥後の多孔質膜を 試料台に固定し、 マグネ ト ロ ンスパッ 夕法によ って P t — P d を 3 . O n m程度コ ーティ ン グし、 走査型電子顕微鏡測定用試料と して
用いた。
本発明の多孔質膜の両膜表面における開孔率は、 7 〜 9 .0 %、 好 ま し く は 1 0 〜 8 5 %、 特に好ま し く は 1 5 〜 7 0 9 である。 該開 孔率が 7 %未満の場合は、 透水性が低下し、 さ らに透水性と分画性 のバラ ンス も悪化しやすい傾向にある。 また、 開孔率が 9 0 %を越 える場合は、 透水性が増加する傾向にあるが、 微粒子等に対する除 去率が低下する傾向があるなど、 透水性と分画性のバラ ンスが悪化 しゃすい傾向にあり、 さ らに、 膜表面が物理的な刺激によ り損傷し やすい傾向にある。
開孔率は、 膜表面の単位面積当たりの開孔部分の面積の比を百分 率で表したものであり、 膜表面の開孔率を求める際に使用 した走査 型電子顕微鏡写真を用いて、 写真に撮影された膜面積に対する開孔 部分の面積の比と して求めるこ とができる。 膜表面が三次元網目構 造等のよう に上記の切り抜き測定で開孔率を求めるのがむずかしい 場合は、 写真に対する画像処理によ り開孔率を求める。
本発明の多孔質膜は、 異方性構造を有する。 本発明でいう異方性 構造とは、 膜内部の気孔の孔径が膜厚方向に不均一であるこ とを意 味する。 本発明においては、 膜厚方向への気孔の孔径の変化の形態 には特に制限はない。 本発明の多孔質膜の異方性構造は、 走査型電 子顕微鏡で観察され、 例えば、 膜の一方の表面から片方の表面に向 かって気孔の孔径が増大する形態、 膜の一方の表面から膜内部に向 かい孔径が次第に小さ く な り、 膜内部で気孔の孔径が最小となる部 分が存在し、 その部分から他方の膜表面に向かい気孔の孔径が大き く なる形態、 一方の膜表面から膜内部に向かい気孔の孔径が徐々 に 増大し最大となる部分が存在し、 その部分から他方の膜表面に向か つて徐々 に孔径が小さ く なつてい く 形態、 膜の内部に、 円形換算孔 径が 1 0 m以上のボイ ドが存在するよ うな形態等が挙げられる。
一般に、 膜厚方向に、 気孔の孔径が均一な膜構造の場合は、 不均一 な膜構造の膜と比較 して、 透水性と分画性のバラ ンスに劣り、 同一 の分画性に対して透水性が低い傾向にある。
本発明においては、 透水性と分画性のバラ ンスを向上させる 目的 で、 膜内部の気孔の孔径が、 少な く と も一方の膜表面の開孔の平均 孔径よ り も大きいこ とが好ま しい。
本発明の多孔質膜の膜内部の気孔の形状、 構造、 及び膜表面と並 行断面上にある気孔の孔径は膜表面に対 して垂直断面の走査型電子 顕微鏡写真からが求められる。 本発明の多孔質膜内部の気孔の形状 は、 通常、 円形状、 楕円状、 多角形状、 膜表面近傍から膜内部に気 孔の幅が増大する よ う な滴のよ う な、 一般に指状といわれる形状、 ス リ ッ ト状等の形状等がある。 また、 膜内部の気孔を形成する膜の 構造は、 気泡が多孔質な壁に囲まれたよ う なハニカ ム状となった構 造 (例えば図 6 ) 、 芳香族ポ リ エーテルケ ト ンからなる 1 0〜 8 0 0 n mの径を有する フ ィ ブ リ ル状物が三次元的な網目構造とな り、 該フ イ ブ リ ル状間が気孔となっている構造、 該フ イ ブリ ル状物が約 1 0〜 8 0 0 n mの粒径を有する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの粒子 が連なって形成されている構造 (例えば図 8 ) 、 膜内部にボイ ドが 存在し、 且つ該ボイ ド間が上記ハニカ ム状または三次元網目構造と なっている構造、 膜内部に行く に従い孔径が増大する両膜表面に貫 通する円柱状気孔が存在する構造等が挙げられる。 本発明において は、 膜内部に三次元網目構造を有する構造やボイ ドが存在する構造 、 ま たは両者が同時に存在する場合が、 透水性が増大する傾向にあ り、 好ま しい。 本発明で言う ボイ ドとは、 円形換算孔径が、 1 0 m以上である気孔を意味する。 円形換算孔径とは、 膜断面の走査型 電子顕微鏡写真において、 測定すべき気孔の面積を真円に換算した 場合の、 円の直径を意味する。
本発明で膜内部にボイ ドが存在する場合、 その望ま しい孔径は、 膜厚に も左右されるが、 1 0 〜膜厚— 1 0 mの範囲であ り、 通常 、 1 0〜 2 0 0 〃 mの範囲である。
また、 三次元網目構造を有する構造又はボイ ドを有する構造の場 合は透水量の高い膜が得られる傾向にあ り、 三次元網目構造を有す る場合、 膜強度が増加 し、 また、 特に膜厚方向に長 く のびた楕円状 又は指状のボイ ドが存在する場合には、 膜の圧密強度が大きい等の 利点があ り、 高い圧力で濾過使用する場合等において特に好ま しい また、 ボイ ドの壁面は円形状孔ゃフ イ ブ リ ル状物によ る網目構造か らなる孔によ り、 多孔質な構造となっている場合が、 透水性が増大 し、 好ま しい。
本発明の多孔質膜は、 その膜内部が三次元網目構造ゃハニカム状 構造からなる場合には、 それによ つて形成されている気孔の孔径は 、 通常、 0 . 0 0 5 〜 1 0 mである。
膜表面に平行な断面上にある気孔の平均孔径の最大値 ( R ) が、 両膜表面の両平均孔径よ り大きい場合、 Rは両膜表面の両平均孔径 の小さい方の平均孔径 ( r ) に対して、 し 5 r ≤ R ≤ 1 0 0 0 0 r の範囲にあるのが好ま しい。
本発明の多孔質膜の膜内部の気孔の孔径を求める場合、 膜表面に 平行な断面上にある 5 つ以上の気孔の孔径を平均 して求める。 膜内 部の気孔の孔径は、 一般的な凍結割断法によ って得られた膜表面に 対して垂直断面の走査型電子顕微鏡写真から求める。 本発明での膜 断面測定用の試料は、 水等によ る湿潤状態にある多孔質膜を 5 0〜
1 0 0 %のエタ ノ ー ルに順次置換、 脱水後、 該膜をエタ ノ ―ルと と もにゼラチ ンカプセルに封入 し凍結割断を行い、 ついで、 t —ブ夕 ノ ールに置換し、 t ーブ夕 ノ ール凍結乾燥法によ り乾燥、 その後、 カ ー ボンペース ト によ り試料台に固定 し、 導通をと つた上でマ グネ
ト ロ ンス ノ、 'ッ 夕法にて P t 一 P d を約 8 . 0 n m コ ーティ ン グした ものを则定用試料と した。
本発明においては、 例えば膜断面の全体の走査型電子顕微鏡写真 を観察する場合には、 写真に写る膜断面と空間の境界線 (両膜表面 に対応) が該写真の縦方向と平行になるよ う に、 且つ該写真の幅に 対して 5 0 〜 9 8 %の幅を膜断面が占めるよ う に撮影した。 この際 、 走査型電子顕微鏡の倍率は、 多孔質膜の膜厚にも左右されるが、 通常 1 0 0 〜 1 0 0 0 0 倍の範囲にある。 また、 例えば膜断面の気 孔が非常に小さ く 、 上記方法で観察できない場合は、 部分的に拡大 するこ とによ りその形状、 形態及び膜表面に平行な断面上にある気 孔の孔径の観察できる。
本発明において、 膜表面に平行な断面上の気孔の孔径を求めるに 当たり、 膜表面に対して垂直断面の走査型電子顕微鏡写真上に、 写 真に写る膜断面と空間の境界線に平行な直線 (膜形状が中空糸状の 場合は曲線) を描き、 各線上にかかる気孔部の面積を真円と して換 算される直径を孔径と し、 写真上にある通常 5 つ以上の気孔におい て測定しその値を平均した。
本発明の多孔質膜は、 通常 1 0 〜 9 6 % . 好ま しく 3 0 - 9 0 % はの空孔率を有する。 該空孔率が 1 0 未満の場合は、 透水性が低 下する傾向にあり、 また、 9 6 %を越える場合は膜強度が低下する 傾向にあり望ま しく ない。 かかる空孔率は多孔質膜の体積に対する 該膜中の気孔の占める体積の割合を百分率で表したものであり、 比 重法等によ り求められる。
本発明の多孔質膜は上記膜構造を有し、 透水性に優れ、 且つ透水 性と分画性のバラ ンスに非常に優れる。
本発明の多孔質膜は、 透水量が 1 0 0 〜 2 0 0 0 0 ^ /m h r •k g/ c m2 である。 特に、 1 0 0 0 〜 1 0 0 0 0 ^ Zm2.h r .
k g / c m である こ とが実用上好ま しい。 透水量が 1 0 O ^ Zm 2 · h r · k g c m 2 未満の場合は、 目的とする用途分野、 例えば 発電所の復水等を浄化する用途に濾過膜と してに用いる よ う な場合 は透水性が低いため好ま し く ない。 ま た、 透水性が 2 0 0 0 0 ί / m2-h r -k g/ c m 2 を越える場合は、 分画性が低下 し、 微粒子 に対する除去性能が低 く なる傾向にあるため好ま し く ない。 かかる 透水量とは、 2 5 の蒸留水を 1 k gZ c m 2 の圧力で透過させた 際に得られる水の体積を 1 0 分間測定 し、 上記単位に換算して求め たものである。
本発明の多孔質膜は、 分画性能に も非常に優れてお り、 例えば透 水量が 3 0 0 0 ^ /m 2· h r · k g / c m 2 の膜の場合、 平均孔径 0. l mの S Bラテ ッ ク ス球を 9 5 %以上排除する。
本発明の多孔質膜の膜厚は、 通常、 2 0〜 2 0 0 0 mの範囲に ある。
また、 本発明の多孔質膜の形状は、 通常、 平膜状、 中空糸伏、 毛 細管状等特に制限はないが、 実用上、 少ないスペースで濾過面積を 多 く でき る点、 ク ロスフ ロ ーによる濾過法によ り 目詰ま り を抑制で き、 膜寿命を長 く でき る点等の利点を有するため、 中空糸状である こ とが好ま しい。 中空糸状の場合は、 その外径は通常 1 0 0〜 1 0 0 0 0 At mの範西にある。
本発明の中空糸状の多孔質膜を濾過に用いる場合、 濾過すべき液 体は外表面から内側にかけて通液 して も良い し、 その逆でも良い。 また、 膜表面の開孔の平均孔径は、 通液する方向によ って、 また用 途によ って、 外表面の開孔と内表面の開孔の各平均孔径及び開孔率 を制御されている こ とが望ま しい。
以下、 本発明の多孔質膜の製造方法を説明する。
本発明の多孔質膜は、 湿式法によ り製造する こ とができ る。 湿式
方法は重合体と溶媒を主成分と してなる均一溶液を所望の形状に成 形 し、 ついで該重合体に対する非溶媒に浸漬する こ とによ り多孔質 膜を沈殿凝固させる方法であ り、 一般的に、 多 く の種類の重合体に 適用され、 多 く の文献に紹介されている (例えば、 " S y n t h e t i c P o l m e r M e m b r a n e s、 a S t r u c t u a 1 P e r s p e c t i v e " 第 2版、 R. R K e s t i n g、 J . W i l e y a n d s o n s ) 0
本発明の製造方法は、 基本的に芳香族ポ リ エ -テルケ ト ン と強酸 、 または芳香族ポ リ エーテルケ ト ン、 強酸及び増粘剤を主成分とす る均一溶液を製膜原液と し、 (A) 所望の形状に成形する工程、 ( B ) 成形された製膜原液を凝固液に浸潰させる工程、 ( C ) 凝固液 から膜を取り 出 し、 洗浄する工程、 (D ) 熱安定化工程からなる。 以下、 本発明の製造方法で用いられる製膜原液について説明する , 本発明で用いられる製膜原液は、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ン と強 酸、 または芳香族ボ リ エーテルケ ト ン、 強酸及び増粘剤を主成分と しており、 必要に応じて膜性能をコ ン ト ロ ールする 目的で添加剤等 が加えても よい。
本発明は、 該原液が ミ ク ロ相分離近傍の状態である こ とを必須の 条件とする。
本発明で言う ミ ク ロ相分離の状態とは、 均一溶解状態にある製膜 原液が、 ボ リ マー濃厚相とポリ マ—希薄相との 2相に相分離し、 且 つどち らか一方の相が微粒子と して製膜原液内に分散し、 製膜原液 が懸濁 した状態になる こ とをいう。 ミ ク ロ相分離は、 均一溶解状態 にある製膜原液に、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンに対する水のよ うな 非溶媒または貧溶媒を極微量ずつ加えてい く 場合や製膜原液の温度 を低下させる場合に生ずる。
本発明で言う ミ ク ロ相分離近傍の状態とは、 製膜原液 1 0 0重量
部に対し、 製膜原液と同 じ温度の水を 0 . 0 1 〜 3 重量部、 好ま し く は 0 . 0 5 〜 2 重量部加えた場合又は製膜原液の温度を. 1 5 て以 内、 好ま し く は 1 0 °C以内で低下させた場合に ミ ク ロ相分離の状態 になる製膜原液の状態をいう。 従って、 製膜原液を ミ ク ロ相分離近 傍の状態とするためには、 各成分の組成比や温度を精密に制御する こ とが重要である。
本発明において、 製膜原液を ミ ク ロ相分離近傍の状態にする方法 は特に制限はないが、 用いる強酸に強酸と混和性があ り且つ芳香族 ボ リ エーテルケ ト ン に対する水等の非溶媒または貧溶媒を加え、 強 酸濃度を変化させる方法、 添加剤の種類と添加量を変化させる方法 、 増粘剤の種類と添加量を変化させる方法、 温度を変化させる方法 、 及びこれらの組み合わせによる方法等が挙げられる。
ミ ク ロ相分離近傍の状態にある製膜原液の組成は、 通常、 温度 0 で〜 5 0 てで原液 1 0 0 重量部に対して、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンは 4〜 2 5 重量部、 強酸は 3 0 〜 9 6 重量部、 増粘剂は 0 . 1 〜 5 0 重量部、 添加剤は 0 〜 2 5 重量部の範囲にあるがこの限りでな い。 この場合、 用いられる強酸 1 0 0 重量部中には、 1 5 重量%ま での水を含有でき る。
本発明で製膜原液に用い られる強酸は、 芳香族ポ リ エーテルケ ト ン と実質的に反応せずに 4 重量%以上均一に溶解する こ とが可能で あり、 且つ原液を調整する段階及び工程 ( A ) において芳香族ボリ エー テルケ ト ンを実質的にスルホ ン化 しない も のであればよ い。 例 えば硫酸、 メ タ ンス ノレ ホ ン酸、 フ ロ ロ メ タ ン ス ノレ ホ ン酸、 ジフ ロ ロ メ タ ンスルホ ン酸、 ト リ フ ロ ロ メ タ ン スルホ ン酸、 ジ ク ロ ロ メ タ ン スルホ ン酸、 ジ ク ロ ロ酢酸、 ト リ ク ロ 口酢酸、 ト リ フ ロ ロ酢酸、 液 状フ ッ化水素及びこれらの混合物等が用いられる。 中でも硫酸が取 り扱い上好ま しい。 しか しながら、 P E E K、 P E E K K等の硫酸
に よ り スルホ ン化さ れやすい構造の芳香族ポ リ エー テルケ ト ン は、 硫酸以外の他の強酸またはこれら と硫酸の混合物を用いる方法や、 強酸と して硫酸だけを用いる場合には、 製膜原液を調整する段階及 び工程 ( A ) での該製膜原液の温度を 1 5 °C以下、 好ま し く は 8 °C 以下、 さ ら好ま し く は 5 °C以下に保つ方法でスルホ ン化を防 ぐ こ と ができ る。 後者の方法が、 取り扱いの容易な硫酸を用いるので、 好 ま しい。
本発明で製膜原液に用いる時の芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの形状 は特に制限はな く 、 粉体、 ペレ ツ ト、 小片、 または他に入手可能な 粉砕形態の状態等が挙げられる。 通常、 粉体、 ペレ ツ トが好適に用 い得られる。 特に粉体の場合は溶解速度を速める こ とができ、 望ま しい。 粉体を用いる場合は、 重合時に得られる粉体でも良い し、 溶 融押し出 しによ りペレ タイ ズされたペレ ツ トを、 粉砕する こ とによ り得た粉体でも良い。 また、 用いる芳香族ボ リ エーテルケ ト ンが吸 湿している場合、 製膜原液が ミ ク ロ相分離近傍の状態となる よ う に 原液の組成に調整する こ とがむずかしい傾向にあるので、 溶解の際 、 前も って、 芳香族ボ リ ェ―テルケ ト ンを十分に乾燥 してお く こ と が望ま しい。 乾燥方法は特に制限はないが、 通常、 1 2 0 で〜 2 5 . 0 'C、 望ま し く は 1 5 0 °C〜 2 3 O 'Cの温度で、 2 時間以上行われ る。 さ らに乾燥は減圧下で行われる こ とがよ り望ま しい。
本発明で用いられる増粘剤は、 製膜原液の粘度や膜の性能をコ ン ト ロ ールする 目的で用い られ、 無機や有機の水溶性も し く は非水溶 性の高分子化合物、 オ リ ゴマー等である。 本発明で好ま し く 用いら れる増粘剤は、 無機化合物と しては例えば超微粒子のシ リ カ等のチ ク ソ ト ロ ピー性を付与する もの、 また有機高分子化合物と してはポ リ ビニル ピロ リ ドン、 ポ リ エチ レ ングリ コ ール、 ポリ ビニルアルコ ール及びその誘導体、 ポ リ ア ク リ ル酸及びその誘導体、 ポリ スチ レ
ンスルホ ン酸及びその誘導体、 スルホ ン化ポ リ エー テルエー テルケ ト ン、 ポ リ エー テルスルホ ン、 ポ リ ス ルホ ン、 スルホ ン化ポ リ エー テルスルホ ン、 ポ リ エ ー テルイ ミ ド、 も し く は こ れ らの混合物、 ま たはオ リ ゴマーが用レ、 られる。 中でも、 ポ リ ビニルピ口 リ ド ン、 ボ リ エチ レ ン グ リ コ ー ルが好ま しい。 こ れ らの増粘剤を製膜原液に添 加する際は、 製膜原液の調整を容易にするために、 吸湿量を十分に 把握してお く か、 も し く は十分に乾燥 した状態で用いる こ とが望ま しい。
また、 本発明においては、 得られる膜の性能をコ ン ト ロ ールする 目的で、 製膜原液中に添加剤と して無機化合物や低分子量有機化合 物等が添加されていて もかま わない。 用いられる無機化合物と して は、 例えば各種塩類が使用でき、 低分子量有機化合物と しては、 ジ フ エニルスルホ ン、 4 , 4 ' ー ジ ク ロ ロ ジ フ エ ニルスノレホ ン、 2 , 4 ' ー ジ ク ロ ロ ジフ エニルスルホ ン、 4, 4 ' ー ジフ ロ ロ ジフ エ二 ルスルホ ン、 2 , 4 ' ー ジフ ロ ロ ジフ エニルスルホ ン、 2 , 2 ' — ジフ ロ ロ ジ フ エ ニルスルホ ン、 ベ ン ゾフ エ ノ ン、 4 , 4 ' ー ジ ク ロ 口べ ン ゾフ エ ノ ン、 2 , 4 ' ー ジ ク ロ 口べ ン ゾフ エ ノ ン、 4 , 4 ' ー ジ フ ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン、 2 , 4 ' — ジ フ ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン、 2 , 2 ' - ジ フ ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン、 4, 4 ' ー ジ フ ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 2 , 4 ' — ジ フ ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 4 , 4 ' - ジ ク ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 2 , 4 ' ー ジ ク ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 N, N — ジ メ チルホルムア ミ ド、 N, N— ジ メ チルァセ ト ァ ミ ド、 ジメ チルスルホキサイ ド、 N— メ チル ピロ リ ドン、 キサ ン ト ン、 テ レ フ タル酸、 イ ソ フ タル酸、 サ リ チル酸、 1 , 4 一ブタ ンジ オ ー ル、 1 , 3 — ブタ ン ジォ ー ノレ、 エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ジェチ レ ング リ コ ー ル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 テ ト ラエチ レ ン グ リ コ 一 ル、 プロ ピ レ ン グ リ コ 一 ノレ、 エチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ メ チルエー テ
ル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ メ チノレエ 一 テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ メ チノレエー テノレ、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ノレモ.ノ メ チル エー テル、 エチ レ ン グ リ コ 一 ル ジ メ チルエ ー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルジ メ チルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレ ジ メ チルエー テ ル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ル ジ メ チルエ ー テル、 エチ レ ン グ リ コ 一ノレモ ノ ェチルエ ー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ ェチルエー テ ル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ ェチノレエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ メ エルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ル ジェチルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ル ジ メ チルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレジェチルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ 一 ゾレ ジ メ チルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソプロ ピルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ビルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ノレジイ ソ プロ ピルエー テル、 ジェ チ レ ン グ リ コ ー ルジイ ソ プロ ピルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ルジイ ソ プロ ピルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルジイ ソ プロ ピルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ フ ヱ ニルエ ー テル、 ジェチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ フ エ ニルエ ー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ フ エニルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ フ エニルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ 一 ル ジフ エニルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ 一ルジフ ヱニルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレジ フ ヱニルエー テル、 テ ト ラエチ レ ン グ リ コ ー ル ジフ エ二ノレエー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ルジ フ ヱ二ルェ— テル、 グ リ セ リ ン等が用い られる。
これら増粘剤及び添加剤は、 得られる膜の性'能に影響を与えない 範囲で、 製膜原液中で微分散状態であってもかまわないし、 強酸に よ る変性が起こ っ ていて もかま わない。
本発明で用いられる製膜原液は、 通常、 密閉系で減圧下又は不活
性ガス下等で、 空気中の水分を吸収させないよ う に攪拌 しながら、 製膜原液の氷点 + 2 °C〜 8 0 °Cの温度で芳香族ボ リ エーテルケ ト ン 、 必要な ら添加剤及び増粘材を溶解する こ とによ り調整される。 本 発明で用いる製膜原液は、 硫酸等の吸湿性の溶媒を用いるため空気 中の水分を吸収 しやす く 、 さ らに、 ミ ク ロ相分離近傍の状態ゆえ、 開放系で原液の調整を行っ た場合、 空気中の水分の吸収によ り ミ ク 口相分離を起こす場合がある。 また、 調整する温度は、 上記範囲で あれば特に問題はないが、 強酸に硫酸を用い、 且つスルホ ン化され やすい構造の P E E K等の芳香族ボ リ ェ―テルケ ト ンを用いる場合 は、 通常原液の氷点 + 2 eC〜 1 5 て、 好ま し く は氷点 + 2 °C〜 6 'C である。 また、 用いる芳香族ポ リ エーテルケ ト ンが原液調整中にス ルホ ン化されやすい場合は、 上記のよ う に温度を下げる と同時に、 溶解すべき芳香族ポ リ エーテルケ ト ンの粒径を細か く して、 溶解速 度を上げる方法も有効である。
本発明で用いられる製膜原液は、 上記調整の際、 各組成を仕込む 方法に特に制限はない。 例えば、 用いる濃度の強酸に各成分を添加 して所望の組成に して も よいし、 ミ ク ロ相分離近傍からはずれた組 成比であ らかじめ均一溶液を調整しておいて、 その後、 水、 添加剤 、 又は増粘剂を徐々 に添加する こ とによ り ミ ク ロ相分離近傍の状態 と してもかまわない。
また、 本発明で用いられる製膜原液は、 工程 ( A ) に移行する前 に脱泡して溶存気体を除去する こ と及びゲル等の不溶分を除去して お く こ とが望ま しい。 製膜原液に溶存気体が多 く 含まれている場合 には、 得られる多孔質膜表面に ピンホールが発生 しやすい傾向にあ る。 また、 製膜原液中にゲル等の不溶分が含まれている場合には、 ピンホー ルの発生と同時に局所的に膜強度の弱い部分が発生する傾 向にあるため、 良好な分離能や機械的特性を有した膜が得られに く
い。 脱泡させる方法は特に制限はないが、 通常、 減圧法や遠心分離 法が好適に使用でき る。 ま た、 ゲル等の不溶分を除去する方法にお いて も特に制限はな く 、 通常、 フ ィ ルタ ーを用いた濾過法や遠心分 離法等が好適に使用でき る。
以下、 本発明の製造方法の工程 ( A ) 及び ( B ) を説明する。 本発明においては、 製膜原液を所望の形状に成形 し ( A ) 、 つい で成形された原液を凝固液に浸潰する こ と ( B ) によ り膜を沈殿凝 固させる。
本発明で行われる工程 ( A ) は、 平膜状や中空糸状の多孔質膜を 得る場合には公知の方法で行う こ とができ る。 例えば平膜伏の場合 は、 通常、 支持体上に製膜原液を塗布するか、 も し く はス リ ッ ト状 のダイから製膜原液を押し出す方法によ り成形でき る。 また、 中空 糸状を得るには同軸多重管からなる中空糸用紡口を用い、 製膜原液 を紡口の管状部分から押し出 し、 同時に管伏に成形される原液内に 液体も し く は気体等の内部注入剤を同時に吐出させる こ とによ り成 形できる。
上記のよ う に して成形された製膜原液を、 凝固液に浸漬する こ と によ り、 多孔質膜を沈殿凝固させる工程 ( B ) に移行する。
本発明の製造方法は、 工程 ( B ) に大きな特徵を有する。
本発明においては、 工程 ( B ) の前に後に説明する凝固液の蒸気 と接触させる操作を行わない場合は、 次の凝固液を用いる こ とが必 要である。
即ち、 製膜原液が芳香族ポ リ エーテルケ ト ン と強酸を主成分とす る場合は、 水よ り も低い凝固能を有する凝固液を用いる こ とが必要 である。
製膜原液が芳香族ポ リ エーテルケ ト ン、 強酸及び増粘剤を主成分 とする場合は、 貧溶媒と して水よ り も低い凝固能を有する凝固液及
び zまたは増粘剤に対 して溶解性が低い凝固液を用いる こ とを必要 である。 本発明においては、 膜形状が中空糸伏の場合は、 工程 ( A ) で用い られる内部注入剤も この必須と される凝固液に相当する。 本発明でいう水よ り も低い凝固能を有する凝固液とは、 濃度 9 8 %硫酸に濃度が 1 0 重量% となる よ う に芳香族ポ リ エー テルケ ト ン を均一に溶解した黄褐色の溶液を、 ガラス板上に 1 0 の厚さ で平膜状に塗布し、 ついで即時、 通常 1 0 秒以内で 2 5 °Cの凝固液 に浸潰 した場合、 沈殿凝固によ る完全な白色化に至る までの速度が 水よ り も遅い凝固液を意味する。 それら水よ り も低い凝固能を有す る凝固液とは、 例えば、 濃度が 8 5 %以下の硫酸、 硝酸、 リ ン酸等 の無機物、 水溶性有機溶剤がある。 水溶性有機溶剤と しては、 例え ばアセ ト ン、 N— メ チルー 2 — ピロ リ ドン、 ジメ チルホルムア ミ ド 、 ジメ チルァセ トア ミ ド、 ジメ チルスルホキサイ ド、 テ ト ラ ヒ ドロ フラ ン、 エチ レ ングリ コ ール、 ジエチ レ ング リ コ ール、 ト リ エ ト レ ングリ コ ール、 プロ ピレ ングリ コ ール、 ジプロ ピレ ング リ コ ール、 グリ セ リ ンエタ ノ ール、 プロノ、'ノ ール、 ブ夕 ノ ール、 ペン夕 ノ ール 、 へキサノ ール等のアルコール及びこれらの水溶液、 ボリ エチ レ ン グリ コ ール、 ポ リ プロ ピレ ングリ コ ール、 ポ リ ビニルピロ リ ドン等 液状高分子またはそれらの水溶液及びこれらの混合物が挙げられる , また、 ポ リ エチ レ ング リ コ ール、 ボリ プロ ピレ ング リ コ ール、 ボリ ビニルピロ リ ドン等の高分子化合物が凝固液に含まれていて も よい, また、 本発明で用いられる、 増粘剤に対して溶解性が低い凝固液 とは、 凝固液 1 0 0 g に対 して 2 5 eCにおいて用いる増粘剤が 5 0 g以上溶解しない液体を意味する。 例えば、 増粘剤にポ リ ビ二ルピ ロ リ ドンを用いた場合は、 凝固液と してアセ ト ン、 エチ レ ン グ リ コ ールアルキルエーテル、 ジエチ レ ン グ リ コ ールアルキルエーテル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ールアルキルエーテル等のグ リ コールアルキル
エーテル及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の中空糸状の多孔質膜を成形する場合、 用いる同軸多重管 からなる紡口は、 特に制限はな く 、 同軸 2重管、 同軸 3重管、 同軸 4 重管等がある。 本発明で例えば同軸 2重管を用いて、 中空糸状の 多孔質膜を得る場合、 内部注入剤と して凝固液の内、 凝固速度が非 常に遅い凝固液を用いた場合は、 同心円の中空糸膜が得られない場 合がある。 これは、 凝固速度が非常に遅いため、 中空糸膜が紡口の 下部に設けられた凝固液に浸潰された後に、 紡糸方向を変更するよ うなガイ ド等に接触した場合等に、 膜内部の凝固が不完全で十分な 強度が得られていない等の理由で変形しやすいために起こ る ものと 考えられる。 このよ う な条件で中空糸膜を成形する場合は、 例えば 同軸 3重管や同軸 4 重管を用いる こ とが望ま しい。 本発明で同軸 3 重管からなる紡口を用いて中空糸膜を成形する場合には、 最も外側 の管状部から原液を押し出 し、 且つそのすぐ内側の管状部から上記 凝固液を同時に吐出し一旦原液に接触させ、 さ らにそれよ り も凝固 能が高い貧溶媒又は水等の非溶媒を同時に中央部のノ ズルから吐出 させる等の方法が望ま しい。 また、 同軸 3重管紡口を用いて該方法 を行う場合は、 中央のノ ズルが原液を押し出す管状部やその内側の 凝固液を吐出させる管状よ り も下方に伸びた構造を持たせる こ とに より、 管状の原液の内側に上記凝固液が長く 接触できるよう にする こ と も有効である。
本発明において、 中空糸状の多孔質膜を製膜する場合、 原液を浸 潰させる凝固液を入れるための、 一般に凝固浴と呼ばれる容器は、 紡糸中に凝固液濃度が大き く 変化しない範囲であればその形状、 容 積等は特に限定されない。 特に、 内部注入剤等の凝固液に凝固速度 が非常に遅いものを用いた場合は、 凝固が不完全で膜強度が十分で ない段階で、 ガイ ド等に接触した場合は中空糸膜表面に損傷が発生
する可能性があるため、 そのよ う な場合は、 凝固時間を長 く する 目 的で、 例えば十分凝固でき る範囲の距離を有する凝固浴を用いる こ とが望ま しい。 そのよ う な凝固浴とは、 ガイ ド等に接触する までの 距離が例えば 1 m以上ある よ う な深い形状の凝固浴、 または、 管状 の形状からな り、 その中に凝固液を流 しなが ら同時に中空糸を浸漬 していける よ う な凝固浴等である。 後者の場合、 管状の凝固浴は特 に制限はないが、 例えば U字管状または U字管が連結されたよ う な 形状からなる こ とが望ま しい。 該 U管内にはロ ー ラ等のガイ ドが無 く 、 紡口から押し出された中空糸膜が凝固液以外に接触する ものが 無い状態で、 十分に凝固でき る距離を有する こ とができ る。
本発明において、 工程 ( A ) と ( B ) の間で、 凝固液の蒸気と接 触させ、 ついで凝固液に浸潰させる方法も、 膜表面に開孔を有し、 透水性が高 く 、 且つ分画性に優れる多孔質膜を得るために好ま しい 蒸気と して用いる凝固液と蒸気に接触後成形された原液を浸潰す る凝固液は同一でも良い し、 異なっていて も よい。
蒸気と して有効に用いられる凝固液と しては、 製膜原液を相分離 させる能力があればよ く 、 特に制限されない。 例えば水、 アルコ ー ル類、 アセ ト ン等のケ ト ン類、 エーテル類等及びこれらの混合物が 好適に使用でき る。
蒸気に接触後成形された原液を浸漬する凝固液は、 用いた強酸と 混和性があ り、 且つ芳香族ボ リ エーテルケ ト ンに対する水等の非溶 媒又は貧溶媒であれば特に制限はない。 一般に高透水量の膜を得る ときは、 凝固液と して水よ り も凝固能が低い溶媒を用いる こ とが好 ま しい。
本発明においては、 製膜原液に蒸気を接触させる時間は、 所望の 性能が得られる範囲であれば特に制限はないが、 通常、 膜形状が平 膜状の場合は 0 . 1 秒〜 2 時間である。 膜形状が平膜状の場合は蒸
気を膜表面に接触させる方法は、 特に制限はないが、 成形された原 液を制御された蒸気下、 例えば高湿度の空気中等に一定時間放置す る方法や、 蒸気を噴霧する方法等がある。
また、 膜形状が中空糸状の場合は、 紡口から吐出された中空糸状 の製膜原液の外表面を該原液が紡口下部にある凝固液に浸漬する ま で間に前記蒸気に接触させる こ とによ り、 本発明を達成する こ とが でき る。 この場合、 紡口から吐出された中空糸状原液の外表面に、 蒸気をノ ズル等を用いて噴出させる こ とによ り接触させる方法、 凝 固浴の温度を上昇させる こ とによ り凝固浴に用いた凝固液の表面か ら蒸気を発生させ、 中空糸状原液の外表面に蒸気を接触させる方法 等がある。 特に後者の方法においては、 紡口から下部に設けられた 凝固液までの間に、 吐出された原液を覆う よ う、 一般にチムニー と 呼ばれる円筒状の囲いを設置し、 中空糸膜の外表面に均一に凝固液 から発生される蒸気を接触させる方法が好適に使用でき る。
蒸気に接触後成形された原液を浸漬する凝固液の温度は特に制限 はないが、 通常、 用いる原液の氷点以上、 且つ用いる凝固液の氷点
+ 2 て以上であ り、 1 2 0 °C以下の範囲にある。 例えば、 凝固液と して水を用い、 水の蒸気を膜表面に接触させる場合は、 凝固液に用 いる水を 4 0 〜 9 8 °C、 好ま し く は 0 て〜 6 O 'Cと し、 製膜原液が 吐出される ダイ を凝固液面から、 所望の高さ設ける こ とによ り、 本 発明を達成でき る。
本発明では、 工程 ( B ) の後、 膜を凝固液から取り出 し、 膜内に 残留する強酸等を洗浄除去する工程 ( C ) を行う。 以下工程 ( C ) を説明する。
凝固された多孔質膜は、 膜中に残留する強酸、 添加剤、 増粘剤、 凝固液等を、 以降の工程及び実際の濾過使用において問題が起こ ら ない程度まで洗浄除去する。
洗浄は、 一般的には、 浸潰されている多孔質膜を凝固液中から取 り 出 し、 膜表面に凝固液が付着 した状態で、 洗浄を開始する。 一般 的な洗浄方法は、 例えば室温〜水の沸点の範囲内で水性媒体又は水 を主体とする媒体を用い洗浄し、 強酸等を除去する。 洗浄溶剤と し て、 通常、 水も し く はア ルカ リ 水が好ま し く 用いられる。 多孔質膜 の形状が中空糸状の場合は、 膜の中空部に洗浄溶剤を流通させる こ と も有効である。
上記、 洗浄を行っ た後もなお、 膜中に少量の強酸が残留する場合 には、 有機溶剤で洗浄する こ とが望ま しい。 通常、 有機溶剤と して は メ タ ノ ー ル、 エタ ノ ー ル、 プロノ、'ノ ー ル、 アセ ト ン、 メ チルェチ ルケ ト ン、 エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ル、 ト リ ェチ レ ン グ リ コ ー ル、 ジ メ チルホルムア ミ ド、 ジ メ チルァセ ト ア ミ ド等 が用いられる。 洗浄に用いる有機溶剤の温度は特に限定はないが、 通常、 室温〜 1 2 0 ての範囲である。 また、 製膜原液に水性媒体に 不溶な増粘剤や添加剤を用いた場合も上記有機溶剤で洗浄除去する こ とが望ま しい。
また、 濾過使用中に溶出 しない程度であれば、 増粘剤等が残留 し ていても よい。
増粘剤にポ リ ビニルピロ リ ドンを用いて製造した本発明の多孔質 膜を超微量の溶出 も許されない用途に使用する場合は、 洗浄後、 次 亜塩素酸ナ ト リ ゥ ム等の次亜塩素酸塩の水溶液で分解除去洗浄した 方がよい。 この場合、 温度及び時間に特に制限はないが、 通常、 濃 度 1 0 0 〜 5 0 0 0 0 p p m、 5 〜 9 5 °Cの温度範囲、 1 〜 5 0 0 時間の範囲である。 またこ の場合、 あ らか じめエタ ノ ール等の水溶 性を有する有機溶剤に浸潰させ、 多孔質膜を十分に親水化を行って お く こ と も有用である。
以上のよ う に して得られた多孔質膜は、 通常、 結晶化度が 1 0 重
/35 量%未満の芳香族ボ リ エーテルケ ト ンからなる非晶性多孔質膜であ り、 一般に耐熱性が低い。 本発明は、 この非晶性多孔質膜に熱安定 化処理を行い、 結晶化度が 1 0 重量%以上、 好ま し く は 2 5 重量% 以上の高性能な結晶性の芳香族ポ リ エーテルケ ト ンからなる多孔質 膜を得るための熱安定化工程 ( D ) を行う こ とが必須である。
以下、 熱安定化工程 ( D ) を説明する。
本発明の熱安定化工程 ( D ) は、 多孔質膜を形成する芳香族ボリ エーテルケ ト ンの結晶化度を 1 0 重量%以上、 好ま し く は 2 5 重量 %以上の状態に高める こ とができ る方法であれば特に制限はない。 例えば、 用いた芳香族ボ リ エーテルケ ト ンのガラス転移点〜融点 の温度で加熱する方法、 可塑剤又は膨潤剤等の存在下で用いた芳香 族ボ リ エーテルケ ト ンの融点以下の温度で加熱処理する方法、 熱安 定化溶媒の存在下で湿潤状態を保持し、 該ガラス転移点〜融点の温 度で加熱処理する方法等が挙げられる。
本発明においては、 洗浄工程 ( C ) 以降で湿潤状態を保持し、 熱 安定化溶媒の存在下で用いた芳香族ボ リ エーテルケ ト ンのガラス転 移点〜融点の温度で加熱処理する方法が、 結晶化が高いだけでな く 、 高温での濾過使用において も劣化しない高度な熱安定性を有する 膜が得られるので、 好ま しい。
本発明でいう湿潤状態とは、 多孔質膜が上記洗浄溶媒や下記に示 す熱安定化溶媒等に濡れている状態を言う。 さ らに詳し く は、 膜表 面の開孔及び膜内部の気孔の表面が上記洗浄溶媒や下記に示す熱安 定化溶媒等によ り覆われている状態、 または膜全体が該溶媒に完全 に浸潰されている状態をいう。 この状態は、 多孔質膜の表面に該溶 媒を塗布、 噴霧、 含浸又は該溶媒に多孔質膜を浸潰させる こ とによ り達成される。 例えば、 本発明においては、 多孔質膜の空孔率ゃ用 いる溶媒の比重に も左右されるが、 膜の重量に対して 0 . 5 倍以上
の重量、 好ま し く は 2 倍以上の重量、 さ らに好ま し く は 1 0 倍以上 の重量の該溶媒によ って均一に塗布、 含浸、 又は浸潰されている状 態が好ま しい。 本発明においては、 多孔質膜が湿潤状態から逸脱す る と、 濾過使用の際に透水性の低下が発生 し、 熱安定性も悪 く なる 従って、 本発明においては工程 ( C ) 及び該工程終了後湿潤状態 を保持し、 工程 ( D ) に移行する こ とが好ま しい。
本発明の熱安定化工程 ( D ) で、 上記の好ま しい加熱処理方法に おいて、 温度が用いる芳香族ボ リ エーテルケ ト ンのガラ ス転移点未 満の場合は、 得られる多孔質膜の高温時での熱安定性が劣り、 また 融点を越える場合は膜の溶融や激しい変形が発生する。 加熱処理温 度は、 好ま し く はガラ ス転移点 + 2 0 て〜融点一 2 0 'C、 特に好ま し く は該ガラス転移点 + 5 0 eC〜融点一 5 0 eCである。 特に好ま し い加熱処理温度範囲は、 用いる芳香族ボ リ エーテルケ ト ンの構造に も左右されるが、 通常 1 8 0 て〜 3 2 O 'Cである。
ガラス転移点及び融点は、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンを示差熱分 析計 ( D S C ) で 1 0 'C Z分の昇温速度で測定される。
本発明の熱安定化工程 ( D ) では加熱処理中常に湿潤状態を保つ こ とが好ま しい。
本発明で用いられる熱安定化溶媒とは、 上記加熱処理中に多孔質 膜の湿潤状態を形成させるために用いられる溶媒であ り、 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンを溶解せず、 加熱処理中に激しい分解等の劣化を 発生 しない安定な溶媒であればよ く 特に限定されない。
中でも、 本発明においては熱安定化溶媒と して、 溶解度パラ メ 一 夕値が 7 〜 1 7 、 好ま し く は 8 〜 1 4 、 特に好ま し く は 8 〜 1 3 の 溶媒が用いられる。 溶解度パラ メ ー タ値が 7 〜 1 7 からはずれた溶 媒を熱安定化溶媒と して用いた場合には、 得られる多孔質膜の透水 性が著し く 低下し、 熱安定性も低下する傾向にある。
本発明で用い られる溶解度パラ メ ー タは、 次式で与え られる。
(溶解度パラ メ ー タ) = (ΔΕ νΖν) 1/2
Δ Ε : モル蒸発エネルギー, 近似的には△ Η— R Τ
蒸気熱 R : 気体定数、 Τ : 絶対温度
V : 溶媒のモ ル体積
溶解度パラ メ ー タは多 く の科学文献、 科学著書に記載されてお り 、 特に高分子デー タハ ン ドブッ ク基礎編 (高分子学会編、 培風館) には各溶媒ごとに整理 した表が記載されてお り、 本発明に適した熱 安定化溶媒を決定する こ とができ る。
溶解度パラ メ ー タを記載した他の文献と しては、 I n d . E n g . C h e, m. P r o d . R e s . D e v . 8 , M a r c h 1 9 6 9第 2〜 1 1 頁、 C h e m i c a l R e v e i w s , 7 5 ( 1 9 7 5 ) 7 3 1 〜 7 5 3頁、 E n c y c l o p e d i a o f C h e m i c a l T e c h n o l o g y , S e c o n d E d i t i o n , S u p p p l e m e n t a l V o l u m e ( 1 9 7 1 ) 8 8 9〜 9 1 0頁等がある。
本発明で用いる熱安定化溶媒と しては、 例えばメ タ ノ —ル、 エタ ノ 一 ノレ、 n —プロノ、'ノ ー ノレ、 n—ブ夕 ノ ー ノレ、 イ ソブ夕 ノ ー ノレ、 s e c —ブチロアノレコ ーノレ、 t —ブチゾレアノレコ ール、 n—ペンタ ノ 一 ル、 n—へキサノ ール、 2 —ェチルブ夕 ノ ール、 n—ォ ク タ ノ ール 、 ェチルへキサノ ール、 1 — ドデカ ノ ール、 3 , 5, 5, ー ト リ メ チルへキサノ ール、 シ ク ロへキサノ ール、 メ チルイ ソブチルカルビ ノ ール、 n—ア ミ ゾレアノレコ ール、 ァ リ ノレアルコ ール、 ラ ウ リ ゾレアル コーノレ、 ペ ン ジ ノレ ア ノレコ ー ノレ、 フ ノレ フ リ ノレ ア ノレコ ー ル、 n—ヘプ夕 ノ ール、 1 , 4 —ブタ ンジオール、 1 , 3 —ブタ ン ジオール、 2 , 3 —ブタ ンジオール、 エチ レ ン グリ コ ール、 ジエチ レ ン グリ コ ール 、 ト リ エチ レ ン グリ コ 一ル、 テ ト ラエチ レ ング リ コ ール、 プロ ピレ
ン グ リ コ ー ノレ、 ジプロ ピ レ ン グ リ コ ー ノレ、 ト リ プロ ピ レ ン グ リ コ 一 ル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ネオ フ エ ニル グ リ コ ー ル、 1 , 5 一ペ ン タ ン ジオ ー ル、 2 , 4 —ペ ン タ ン ジオ ー ル、 2 , 5 —ペ ン 夕 ン ジオ ー ル、 グ リ セ リ ン、 ボ リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ポ リ プロ ピ レ ン グ リ コ ー ル等のア ル コ ー ル類、 ジ メ チルエ ー テル、 ジェチルェ— テル、 ェチル メ チルエ ー テル、 イ ソ プロ ピルエ ー テル、 ジプロ ピル エー テル、 ジイ ソ プロ ピルエ ー テル、 ブチルエー テル、 ジベ ン ジル エー テル、 ジへキ シルエー テル、 ジァ ミ ルエ ー テル、 ェチルイ ソ ブ チルエー テル、 メ チルイ ソ ビチルエー テル、 ジアセ ト ンアル コ ー ル メ チノレエ一 テノレ、 ジ ク ロ ロ ェチノレエー テノレ、 ジ フ エ ニゾレエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ メ チルエ ー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ メ チルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ メ チルエ ー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ メ チルエー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ 一ノレモ ノ メ チルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ノレジ メ チルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ル ジ メ チルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ル ジ メ チルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルジ メ チルエー テル、 ブロ ビ レ ン グ リ コ ー ノレ ジ メ チルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ ェチルエ ー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ ェチルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ ェチルエ ー テル、 テ ト ラエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ メ エルエー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ ェチルエー テル 、 エチ レ ン グ リ コ ー ノレ ジェチルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ 一 ゾレ ジ メ チルエ ー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ 一 ル ジェチルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ノレ ジ メ チルェ一 テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ノレジ ェチルエー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピルエー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ イ ソ プロ ピル
エー テル、 エチ レ ン グ リ コ ー ル ジイ ソ プロ ピルエ ー テル、 ジェチ レ ン グ リ コ ー ルジ イ ソ プロ ピルエ ー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ルジ イ ソ プロ ピルエ ー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ル ジイ ソ プロ ピル エー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ル ジイ ソ プロ ピルエ ー テル、 ェチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ フ エ ニルエ ー テル、 ジエチ レ ン グ リ コ 一 ノレモ ノ フ ェニルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレモ ノ フ エ ニルエー テル、 テ 卜 ラ エチ レ ン グ リ コ ー ルモ ノ フ エニルエー テル、 プロ ピ レ ン グ リ コ 一ノレモ ノ フ エニノレエ一 テノレ、 エチ レ ン グ リ コ ー ルジフ エ ニノレエ 一 テル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ル ジ フ エ ニルエー テル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ノレ ジ フ エ ニルエー テル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ 一 ノレ ジフ エ二 ルエ ー テノレ、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ルジ フ エ 二ルェ 一 テノレ、 メ チルー
2 —ペン 夕 ン ジォ一 ノレ 1 , 3 、 メ チルー 2 —ペン 夕 ン ジォ 一 ゾレー 2 , 4 、 ェチルへキサ ン ジオ ー ル一 1 , 3 等のエー テル類、 1 , 4 一 ジォキサ ン、 フ ラ ン、 フ ルフ ラ ー ル、 テ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ン等のァセ タ ー ル類、 酢酸 メ チル、 酢酸ェチル、 酢酸— n —プロ ピル、 酢酸ィ ソ ブロ ピル、 酢酸一 n —プチル、 酢酸イ ソ プチル、 酢酸— s e c — ブチル、 酢酸一 n - ァ ミ ル、 酢酸イ ソ ァ ミ ル、 酢酸一 s e c —ア ミ ル、 酢酸 ビニル、 酢酸ァ リ ル、 酢酸メ チルァ ミ ル、 ステア リ ン酸ブ チル、 ギ酸 メ チル、 ギ酸ェチル、 ギ酸プロ ピル、 ギ酸— n —ブチル 、 ギ酸イ ソ プチル、 ギ酸— n —ァ ミ ル、 ギ酸イ ソア ミ ル、 酪酸メ チ ル、 酪酸ェチル、 酪酸イ ッ ブチル、 酪酸一 !! — プチル、 酪酸プロ ピ ル、 イ ソ酪酸イ ッ ブ口 ピル、 プロ ピオ ン酸メ チル、 プロ ピオ ン酸ェ チル、 プロ ピオ ン酸ブチル、 プロ ピオ ン酸プロ ピル、 乳酸ェチル、 乳酸メ チル、 乳酸一 n —プチル、 安息香酸メ チル、 安息香酸ェチル 、 ア ク リ ル酸ェチル、 ア ク リ ル酸 メ チル、 メ タ ク リ ル酸メ チル、 メ タ ク リ ル酸ェチル、 メ タ ク リ ル酸プチル、 イ ソプチル酸 メ チル、 ィ ソ ブチル酸ェチル、 フ 夕 ル酸ジ メ チル、 フ タ ル酸ジェチル、 フ タ ル
35503 酸 ジプロ ピル、 フ タ ノレ酸ジブチル、 シ ユ ウ酸ジ メ チル、 シ ユ ウ酸ジ ェチル、 セバチ ン酸ジ メ チル、 セノくチ ン酸 ジェチル、 セバチ ン酸ジ プチル、 セバチ ン酸ジォ ク チル、 ブチ ロ ラ ク ト ン、 力 プロ ラ ク ト ン 、 メ チルカ プロ ラ ク ト ン、 プロ ピオ ラ ク ト ン、 ジォ ク チル フ タ レ ー ト 等のエステル類、 ア セ ト ン、 メ チルェチルケ ト ン、 メ チルプロ ピ ルケ ト ン、 メ チノレー n — ブチルケ ト ン、 メ チルア ミ ルケ ト ン、 ジェ チルケ ト ン、 ジイ ソ プチルケ ト ン、 ジイ ソ プロ ピルケ ト ン、 メ チル イ ソ ア ミ ノレケ ト ン、 ェチルア ミ ノレケ ト ン、 メ チルイ ソ ブチルケ ト ン 、 メ チルイ ソ プロ ピルケ ト ン、 メ チル ノ ニルケ ト ン、 シ ク ロペ ン 夕 ノ ン、 シ ク ロ ブタ ン ジオ ン、 メ チル シ ク ロ へキサ ノ ン、 ァセ 卜 フ エ ノ ン、 ジアセ ト ンア ル コ ー ル、 メ ンチルォキ シ ド、 ァ ク ロ レ イ ン、 ベ ン ゾフ エ ノ ン、 ク ロ 口べ ン ゾフ エ ノ ン、 ジ ク ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン 、 ジフ ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン、 フ ロ ロべ ン ゾフ エ ノ ン、 ヒ ドロ キ ジべ ン ゾフ エ ノ ン、 ジ ヒ ドロ キ シベ ン ゾフ エ ノ ン、 ジ フ ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 ジ ク ロ ロ テ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン、 ジ ヒ ドロ キ シテ レ フ 夕 口 フ エ ノ ン等のケ ト ン類、 ァセ ト ア ルデ ヒ ド、 ベ ンズアルデ ヒ ド、 ブ チルアルデ ヒ ド等のアルデ ヒ ド類、 へキサ ン、 ヘプタ ン、 オ ク タ ン 、 シ ク ロへキサ ン、 デカ ン、 メ チル ン ク ロ へキサ ン、 テ ト ラ ヒ ドロ ナ フ タ レ ン、 ベ ンゼ ン、 ト ノレェ ン、 キ シ レ ン、 スチ レ ン、 ェチルベ ンゼン、 n — プロ ピルベ ンゼ ン、 シ ク ロ ペ ン タ ン等の炭化水素類、 塩化メ チル、 塩化メ チ レ ン、 ト リ ク ロ ロ メ タ ン、 四塩化炭素、 塩化 ェチル、 塩化工チ リ デ ン、 ヨ ウ 化メ チル、 ヨ ウ化工チル、 ヨ ウ 化べ ンゼ ン、 ブロ モベ ンゼ ン、 ク ロ 口 ベ ン ゼ ン、 ジ ク ロ ロベ ンゼ ン、 ト リ ク ロ ロベ ンゼ ン等のハ ロ ゲ ン化炭化水素、 ギ酸、 酢酸、 酪酸、 マ レ イ ン酸、 プロ ピオ ン酸、 無水酢酸、 無水プロ ピオ ン酸、 無水コハ ク酸、 無水マ レ イ ン酸、 ア ク リ ル酸、 メ タ ク リ ル酸、 フ ヱ ノ ー ル、 m — ク レ ゾ— ル、 ビス フ エ ノ — ル A等の脂肪酸及びフ エ ノ — ル類、
ニ ト ロ メ タ ン、 ニ ト ロ ェ タ ン、 ニ ト ロ プロノ、0 ン、 ニ ト ロ オ ク タ ン、 ニ ト ロベ ンゼン、 メ チノレア ミ ン、 ェチルァ ミ ン、 ジェチルァ ミ ン、 卜 リ エチルァ ミ ン、 ブチルァ ミ ン、 ジブチルァ ミ ン、 ト リ ブチルァ ミ ン、 ア ミ ルァ ミ ン、 エチ レ ン ジァ ミ ン、 N, N — ジ メ チルニ ト ロ ァ ミ ン、 ト リ エチ レ ンテ ト ラ ミ ン、 ホルムア ミ ド、 N — メ チルホル ムア ミ ド、 N — ェチルホルムア ミ ド、 メ チルァセチア ミ ド、 N —ェ チルァセ ト ア ミ ド、 N , N — ジ メ チルホルムア ミ ド、 N , N — ジ メ チルァセ ト ア ミ ド、 N, N — ジェチルァセ ト ア ミ ド、 テ ト ラ メ チル ォキ シア ミ ド、 へキサ メ チルホスホルア ミ ド、 ァニ リ ン、 ジ メ チル ァニ リ ン、 ァセ ト ニ ト リ ノレ、 ク ロ ロ アセ ト ニ ト リ ノレ、 n — ブチ ロニ ト リ ノレ、 ベ ン ゾニ ト リ ノレ、 力 プロニ ト リ ル、 プロ ピオ二 ト リ ノレ、 ァ ク リ ロニ ト リ ノレ、 マ ロ ノ 二 ト リ ノレ、 n —バ レ ロ二 ト リ ル、 キ ノ リ ン 、 モルホ リ ン、 N — ェチルモルホ リ ン、 N — ァセチルモルホ リ ン、 N — ホル ミ ルモルホ リ ン、 α — ピロ リ ド ン、 Ν — メ チルー 2 — ピロ リ ド ン、 ピ リ ジ ン、 ピぺ リ ジ ン、 Ν — ァセチル ビペ リ ジ ン、 Ν — ホ ル ミ ノレ ピぺ リ ジ ン、 Ν — ァセチル ビペ リ ジ ン、 Ν , Ν — ジァセチル ピぺラ ジ ン、 ヒ ドラ ジ ン、 フ エニル ヒ ドラ ジ ン、 ε — 力 プロ ラ ク タ 厶等の窒素化合物、 ジ メ チルカ ー ボネ — ト 、 ジェチルカ ー ボネ ― ト 、 メ チルェチルカ ー ボネ ー ト、 ジフ エ二ルカ 一 ボネ ー ト、 メ チルフ ェニルカ ー ボネ ー ト、 ェチルフ エ二ルカ — ボネ ー ト 等の炭酸エステ ル類、 メ チルェチルスルホ ン、 テ ト ラ メ チ レ ンスルホ ン、 硫化ジ メ チル、 二硫化炭素、 メ チルテ ト ラ メ チ レ ンスルホ ン、 メ チルプロ ピ ルスルホ ン、 ジ メ チルスルホ ン、 ジ メ チルスルホキ シ ド、 ジ メ チル テ ト ラ メ チ レ ン スルホ ン、 ジェチルスルホ ン、 スルホラ ン、 チオ フ ェ ン、 ジブロ ピルスノレホ ン、 ジ フ エニルスノレホ ン、 ジ フ ロ ロ ジ フ ェ ニルスルホ ン、 ジ ク ロ ロ ジ フ エ ニルスルホ ン、 ジ ヒ ドロ キ シ ジ フ X ニルスルホ等の硫黄化合物、 リ ン酸ジブチルフ エニル、 リ ン酸 ト リ
ク レ ジル、 亜 リ ン酸 ト リ フ エ ニル、 へキサ メ チル リ ン酸 ト リ ア ミ ド 等の リ ン化合物、 及び こ れ らの混合物が挙げ られる。
前記熱安定化溶媒中で も、 1 , 4 一 ブタ ン ジオ ー ル、 1 , 3 — ブ タ ン ジオ ー ル、 エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ジエチ レ ン グ リ コ ー ル、 ト リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 テ ト ラ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 プロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 ジプロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 ト リ プロ ピ レ ン グ リ コ ー ノレ、 グ リ セ リ ン、 ポ リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ボ リ プロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 N , N — ジ メ チルホルムア ミ ド、 N, N — ジ メ チルァセ ト ア ミ ド、 N— メ チルー 2 — ピロ リ ドン及びこれらの混合物が特に好ま し く 用 いられる。 本発明において熱安定化溶媒にボ リ エチ レ ン グ リ コ ール 、 ボ リ プロ ピレ ン グリ コ ールを用いる場合にはその分子量に特に制 限はないが、 重量平均分子量で 1 0 0〜 2 0 0 0 である こ とが望ま しい。
また、 上記熱安定化溶媒中、 加熱処理温度で固体状の化合物は、 該温度で液伏の他の 1 種類以上の熱安定化溶媒との溶液と して用い られる。
本発明における加熱処理時間は特に制限はないが、 一般的に 5秒 間〜 1 0 0 時間、 好ま し く は 1 0 分間〜 5 0 時間、 さ らに好ま し く は 1 時間〜 1 0 時間である。
本発明の熱安定化工程 ( D ) での加熱処理方法は、 開放系または オー ト ク レ —ブ等の密閉系で行う こ とができ る。 ただし膜を熱安定 化溶媒に浸潰させる方法においては、 開放系の場合は、 加熱処理中 に熱安定化溶媒の激しい気化等によ り多孔質膜の変形及び膜の表面 における損傷等が起こ る場合があ り、 また、 膜に溶媒を塗布な どす る方法において、 オーブン等を用いて加熱処理する場合は熱安定化 溶媒の気化によ り多孔質膜が湿潤状態から逸脱する こ とのないよ う に注意を払わなければな らない。
加熱処理を行う際、 熱安定化溶媒の雰西気は空気中でも窒素、 ァ ルゴン、 ヘ リ ウム等の不活性ガス下でも よい。 熱安定化溶媒が加熱 処理中に雰囲気中の酸素等によ り熱劣化を起こ し、 多孔質膜の透水 性、 分画性等の性能を低下させる よ う な影響を与える場合には、 不 活性ガス下における加熱処理が好ま しい。
また、 本発明の熱安定化工程 ( D ) において、 熱安定化溶媒を用 いた加熱処理を行う場合、 必要に応じた加熱前処理と して、 多孔質 膜中に存在する低沸点溶媒を実質的に除去する工程を含むこ とが好ま しい。 低沸点溶媒とは、 多孔質膜中に残存する、 工程 ( A ) 〜 ( C ) に用いた溶媒を意味する。 これらの低沸点溶媒は、 通常、 沸点が 1 4 0 °C以下の溶媒であ り、 有機溶媒系では、 メ タ ノ ー ル、 ェ夕 ノ ール、 プロ ノくノ ール、 アセ ト ン、 メ チルェチルケ ト ン等、 無機溶媒 系は水、 希硫酸、 水酸化ナ ト リ ウム水溶液、 次亜塩素酸ナ ト リ ウム 水溶液等である。 上記加熱処理の段階で、 膜中に低沸点溶媒が残留 している場合、 加熱処理中に沸騰を起こ し、 膜の変形や膜表面に ピ ンホール等が発生する原因とな りやす く 、 分離性能が安定しない傾 向にある。
こ こで低沸点溶媒を実質的に除去する とは、 加熱処理中に膜表面 から低沸点溶媒に由来する気泡が現れない状態にする こ とを意味す
低沸点溶媒を実質的に除去する方法と しては、 多孔質膜が湿潤状 態から逸脱しなければ特に制限はないが、 加熱処理温度で沸騰 しな い高沸点溶媒で置換する方法が好ま しい。 なかでも、 加熱処理を行 う際に用いる熱安定化溶媒で置換する こ とによ り、 実質的に膜中か ら低沸点溶媒を除去する こ とが好ま しい。 この方法は特に制限はな いが、 塗布による含浸法または熱安定化溶媒中に、 低沸点溶媒が沸 騰しない条件で浸賡する こ とによ り置換する こ とが好ま しい。 塗布
又は浸漬する温度条件は、 通常 2 0 〜 1 4 0 °Cである。 また、 塗布 も し く は浸潰時間は実質的に低沸点溶媒を除去できる範囲であれば 特に制限はない。 通常、 1 分〜 1 0 0 時間、 好ま し く は 3 0 分〜 5 0 時間である。 また、 浸漬法においては、 膜中に存在する低沸点溶 媒が沸騰しない温度及び圧力の条件下では、 例えばオー ト ク レ ーブ 等の密閉系で加圧下又は減圧下で行ってもよい。
さ らに、 本発明においては、 上記のよ う に低沸点溶媒を含有する 多孔質膜を浸漬法等によ り熱安定化溶媒に置換した後、 膜に含浸し た熱安定化溶媒が蒸発し、 湿潤状態を逸脱しない範囲で、 例えば乾 燥機やオーブン等で膜内になお残存する低沸点溶媒を乾燥除去して もよい。
また、 本発明の熱安定化工程 ( D ) では、 加熱処理を行う場合、 必要に応じた加熱前処理と して、 多孔質膜中に高分子化合物を含有 させるこ とが好ま しい。 多孔質膜中に高分子化合物を含有させる と 、 加熱処理前後の該膜の透水性の変化が小さ く なる傾向にある。
高分子化合物を多孔質膜中に含有させる とは、 膜内部、 特に膜表 面に存在する開孔及びその壁面に高分子化合物が存在しているこ と を意味する。
高分子化合物は、 芳香族ボリエーテルケ ト ンのガラス転移点以上 の温度、 特に加熱処理温度で分解等を起こ さず、 化学的に芳香族ボ リ エーテルケ ト ンに影響を与えず、 さ らに加熱処理後、 溶剤等で多 孔質膜から除去が可能なものであれば特に制限はない。 例えば、 ボ リ エチ レ ン グ リ コ ール、 ボ リ プロ ピレ ン グ リ コ ール、 ポ リ ビ二ルピ ロ リ ドン、 ボ リ ビニルアルコ ール、 セルロ ー ス及びその誘導体、 ボ リ エチ レ ン、 ボ リ プロ ピレ ン、 ボ リ エステル、 ボ リ ァ ク リ ロ二 ト リ ル、 ポ リ メ チルメ タ ク リ レ ー ト、 ポ リ スチ レ ン、 ポリ カ ーボネ ー ト 、 エチ レ ン - ビニルアルコ ール共重合体、 ポリ ア ミ ド、 ポリ ア リ レ
ー ト、 ポ リ スルホ ン、 ポ リ エー テルスルホ ン、 ボ リ エ ー テルイ ミ ド 、 スルホ ン化ポ リ エ ー テルエー テルケ ト ン、 スルホ ン化ボ.リ エ ー テ ルスルホ ン等及びこれらの誘導体が用いられる。 中でもポ リ エチ レ ン グ リ コ ー ル、 ポ リ プロ ピ レ ン グ リ コ ー ル、 ポ リ ビニル ピロ リ ド ン 、 ポ リ ビニルアルコ ー ル等が好適に使用でき る。
高分子化合物の分子量は特に制限はない。 通常、 重量平均分子量 で 2 0 0 〜 し 0 0 0 , 0 0 0 であ り、 特に 2 0 0 〜 1 0 0 , 0 0 0 の範囲の ものが好適に用いられる。
高分子化合物の量は特に制限はない。 膜の開孔率、 表面開孔の孔 径、 さ らには用いる高分子化合物の比重等に も左右されるが、 通常 、 膜 1 0 0 重量部に対して高分子化合物は 0 . 1 〜 3 0 0 重量部で ある。
高分子化合物を含有させる方法は、 特に制限はない。 例えば、 高 分子化合物を溶解した溶液に膜を浸潰させる方法、 液状高分子化合 物に膜を浸潰させる方法、 膜に高分子化合物が溶解した溶液又は液 状高分子化合物を直接塗布も し く は噴霧させる方法、 または、 高分 子化合物のモ ノ マ ー又はオ リ ゴマーを膜に含浸させ、 重合操作によ りモ ノ マ ー又はオ リ ゴマーを高分子量化させる方法等が好適に用い られる。 中でも、 高分子化合物を溶解 した溶液も し く は液状の高分 子化合物中に該膜を浸漬させる こ とによ り、 膜中に高分子化合物を 含有させる方法が好ま し く 、 特に、 高分子化合物を溶解した溶液に 膜を浸漬させる方法が、 高分子化合物を粘性の低い状態で素速 く 膜 内に均一に含有させる こ とができ るため、 最も好ま しい。
また、 上記方法において高分子化合物を含有させる場合、 温度は 、 用いる高分子化合物が膜内に含浸する こ とができ、 用いる高分子 化合物を溶解した溶媒が沸騰する こ とな く 、 且つ芳香族ボリ エーテ ルケ ト ンのガラス転移点よ り も低い温度であれば特に制限はない。
通常、 室温〜 1 4 0 °Cで行われる。 こ の際、 膜中に上記の低沸点溶 媒が残存したために、 膜表面から溶媒の気化等の沸騰が起.こ らない よう に注意を払わなければならない。 高分子化合物を溶解した溶媒 が沸騰したり、 膜表面から低沸点溶媒に由来する激しい気化が発生 した場合は、 膜の変形や膜表面にピンホール等が発生する可能性が あり、 分離性能の安定した多孔質膜が得られない傾向にある。
高分子化合物を膜中に含有させる雰囲気は、 空気中であっても良 いし、 窒素等の不活性気体下であっても良い。 また、 洗浄工程 ( C ) 後に膜内に気泡等が含まれている場合には、 高分子化合物が膜内 に浸入しに く い傾向にあるため、 気泡の除去の目的で上記操作を減 圧下又は加圧下で行う こ と も可能である。
高分子化合物を膜中に含有させる時間は、 例えば高分子化合物を 溶解した溶液に該膜を浸漬させる時間は、 特に制限はない。 通常 1 0秒〜 5 0 時間である。
高分子化合物を膜中に含有させる方法において、 高分子化合物を 溶解させる溶媒は熱安定化溶媒であるこ とが望ま しい。 溶媒と して 熱安定化溶媒以外の溶媒を用いた場合は、 加熱処理の際、 膜内の溶 媒を熱安定化溶媒に置換する工程が追加されるため、 生産性の点で 望ま し く ない。 また、 高分子化合物を溶媒に溶解して用いる場合、 その溶液の濃度は特に制限はない。 通常、 溶媒 1 0 0重量部に対し て、 高分子化合物 1 〜 1 0 0 0 重量部である。
高分子化合物を膜中に含有させる操作を行った結果、 膜中に低沸 点溶媒が実質的に除去された場合は、 低沸点溶媒を除する工程は省 く こ とができる。
高分子化合物を膜中に含有させる操作中は、 湿潤状態を保持して おく こ とが好ま しい。 湿潤状態を逸脱した場合は、 透水性が低下す る傾向にある。
以上のよ う に して得られた、 本発明の多孔質膜は、 加熱処理終了 後、 必要応じた後処理と して、 例えば、 膜中に存在する熱安定化溶 媒、 高分子化合物等を除去するための洗浄処理や、 実際に濾過使用 に至る まで湿潤状態を保っための保存処理等がある。
例えば洗浄処理と しては、 熱安定化溶媒や膜内に含有させた高分 子化合物を除去する 目的で両者に対して溶解能を有する溶媒を用い て行われる こ とが望ま しい。 この溶媒と して水またはアルコ ール類 、 ケ ト ン類、 エーテル類、 ア ミ ド類等の有機溶媒が好適に使用でき る。 洗浄処理の温度は特に制限はないが、 通常、 室温〜 1 8 0 °Cで 行われる。 しか し、 還流下等の洗浄のよ う に用いる溶媒が沸騰する 条件下では、 膜の変形、 膜表面の損傷が起こ りやす く 好ま し く ない, 保存処理と しては、 熱安定化溶媒、 ホルマ リ ン、 水又はこれらの 混合物等に浸潰 した り、 これらの液を膜中に含浸又は塗布した状態 に してお く 方法が挙げられる。
熱安定化溶媒と して、 分離膜と しての使用に問題のない溶媒を用 いた場合は、 上記洗浄処理や保存処理を省 く こ とができ る。 例えば これらの熱安定化溶媒は、 分離膜と しての最終使用の分野に も左右 されるが、 グリ セ リ ン、 エチ レ ングリ コ ール、 ジエチ レ ングリ コ ー ル、 ト リ エチ レ ングリ コ ーノレ、 テ ト ラエチ レ ングリ コ ール、 プロ ピ レ ン グリ コ ール、 ジプロ ピレ ングリ コ ール、 ト リ プロ ピレ ン グリ コ ール、 ボリ エチ レ ング リ コ ール、 ポリ プロ ピレ ングリ コ ール等及び これらの混合物等が挙げられる。
以上説明 したよ う に、 工程 ( C ) 以降、 多孔質膜を湿潤状態に保 持し、 且つ熱安定化溶媒を用いた加熱処理を行う熱安定化工程を行 う こ とによ り、 高度に熱安定化した結晶性の多孔質膜を得る こ とが でき る。
本発明においては、 工程 ( B ) 以降の任意の段階で延伸等の処理
がなされていても良い。
以上のよ う に して得られた本発明の多孔質膜は、 高度に熱安定化 しているため、 例えば 1 8 0 °Cを越える熱水を濾過処理するよ うな 過酷な条件下での使用に好適に用いる こ とができる。 また、 透水性 及び透水性と分画性のバラ ン ス に優れるため、 溶融法等で従来得ら れている分離膜と比較し、 膜面積を少な く するこ と も可能であり、 また、 同等の透水性で比較した場合においても、 よ り微細な粒子等 を効率よ く 除去する こ とが可能である。
また、 本発明の多孔質膜は、 低溶出性及び耐放射線性も優れてお り、 膜素材から濾過液への有機または無機物等の溶出が問題となる 分野や、 放射性物質等を含む液を濾過処理する分野においても、 好 適に使用できる。 図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の実施例 1 で得られた平膜状多孔質膜の断面及び 膜表面の走査型電子顕微鏡写真 (倍率 7 9 0 倍) を示す。
図 2 は、 本発明の実施例 5 で得られた平膜状多孔質膜の、 凝固液 に浸潰する際に凝固液に接していた膜表面の走査型電子顕微鏡写真 ( 1 0 0 , 0 0 0倍) を示す。
図 3 は、 本発明の実施例 5 で得られた平膜状多孔質膜の、 凝固液 に浸漬する際にガラス面に接触していた膜表面の走査型電子顕微鏡 写真 ( 5 , 0 0 0 倍) を示す。
図 4 は、 本発明の実施例 9 で得られた平膜状多孔質膜の断面の走 査型電子顕微鏡 ( 6 0 0 倍) による写真を示す。
図 5 は、 本発明の実施例 1 1 で得られた中空糸状多孔質膜の外表 面の走査型電子顕微鏡写真 ( 5 0 , 0 0 0倍) を示す。
図 6 は、 本発明の実施例 1 1 で得られた中空糸状多孔質膜の断面
における外表面近傍の走査型電子顕微鏡写真 ( 3 0 , 0 0 0 倍) を 示す。
図 7 は、 本発明の実施例 1 2で得られた中空糸状多孔質膜の外表 面の走査型電子顕微鏡写真 ( 5 0, 0 0 0倍) を示す。
図 8 は、 本発明の実施例 1 2で得られた中空糸状多孔質膜の断面 における外表面近傍の走査型電子顕微鏡写真 ( 5 0 , 0 0 0 倍) を 示す。
図 9 は、 本発明の比較例 3で得られた平膜状多孔質膜の、 凝固液 に浸漬する際に凝固液に接していた膜表面の走査型電子顕微鏡写真 ( 5 0 , 0 0 0 倍) を示す。
図 1 0 は、 本発明の比較例 4 で得られた平膜状多孔質膜の、 凝固 液に浸漬する際に凝固液に接していた膜表面の走査型電子顕微鏡写 真 ( 5 0 , 0 0 0倍) を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施例を示す。
実施例
実施例及び比較例における測定方法及び評価方法は次の通りであ る。
①透水量
膜形状が平膜状の場合、 ブラスチ ッ クホルダ— (ア ドバンテッ ク 東洋 (株) 製、 Ρ Ρ — 2 5 ) 内に平膜を設置し、 凝固液に接してい た方の膜面に 2 5 °Cの蒸留水を 1 k g Z c m 2 の圧力で加えたとき に、 膜を透過してく る蒸留水の体積を 2 0 分間測定し、 その値を £ Zm 2 · h r - k g / c m 2 に換算して求めた。 また、 膜形状が中 空糸状の場合は、 片端を閉 じた 3 0 c mの中空糸単糸の膜内部に 2 5 °Cの蒸留水を 1 k g / c m 2 の圧力で加えたときに、 膜外部に膜
壁を透過 して く る蒸留水の体積を 2 0分間測定し、 その値を m h r ' k g Z c m 2に換算して求めた。
②分画性
分画性の評価のため粒径 0. 1 mの S Bラテ ッ ク スに対する阻 止率の測定方法を述べる。
蒸留水中に、 各粒径の S Bラテ ッ ク スを 0. 2重量%の濃度にな る よ う に調製 した溶液を元液と し、 平膜の場合は透水量測定と同様 の方法で元液を通液 し、 得られる膜を透過 して く る濾液を 1 0分間 採取 した。 また、 膜形状が中空糸状の場合は膜内部に、 2 5 °C、 線 速 l mZ s e c、 平均濾過圧 1 k gZ c m 2 の圧力で加えた ときに 、 膜外部に膜壁を透過して く る濾液を 1 0分間採取 した。 そ して、 次式から各多孔質膜の S Bラテ ツ クスに対する阻止率を求めた。
阻止率 (% ) = ( 1 一 CZC。) X I 0 0
C: 採取した濾液濃度、 C o:元液濃度を表す。
③結晶化度
結晶化度を求めるための広角 X線回折の測定方法を述べる。
広角 X線回折はマ ツ クサイエンス社製の X線回折装置 MX P— 1 8を用い、 加速電圧 5 0 k v、 加速電流 2 0 0 mA、 C u夕 —ゲッ ドによ り発生した X線を N i モノ ク ロ メ 一 夕によ り単色化して使用 した。 試料は膜の形状が中空糸膜状及び平膜状の場合は繊維試料台 を用いて設置し、 透過方式によ り測定を行った。 試料よ り発生され る散乱 X線を 1 2〜 3 2。 まで走査し、 Γ あたり 5 0 ポイ ン トを 採り、 且つ 1 ポイ ン ト あた り 1 . 2秒計量した。 得られた回折像に 対して B l u n d e l 1 及び O s b o r nによ り報告されてレ、る方 法 ( P o l y m e r , 2 4、 P . 9 5 3 ( 1 9 8 3 ) ) によ り結晶 化度を求めた。
④空孔率
乾燥させた多孔質膜を 2 5 °Cのエチ レ ン グ リ コ ールに 3 0 時間浸 漬後、 膜表面のエチ レ ング リ コ ールを十分に拭き取った後、. 浸漬前 後の膜重量から下式によ り求めた。
空孔率 (% ) = { (浸漬後の膜重量ー浸漬前の膜重量) / (見か けの膜体積 Xエチ レ ン グ リ コ ー ルの密度) } 1 0 0
実施例 1 は、 製膜原液が芳香族ポ リ エーテルケ ト ン と強酸からな る ミ ク ロ相分離近傍の状態にあ り、 且つ凝固液と して水よ り も凝固 能が低い溶媒を用いた例を示す。
実施例 1 .
内容積 1 ·^ の丸底フ ラスコに、 濃度 8 7 . 6 %硫酸 9 2 0 g、 還 元粘度が 0 . 9 6 d l Z gであ り、 式 ( 1 ) の繰り返し単位からな る、 十分に乾燥された粒径約 3 m m以下の芳香族ボ リ エーテルケ ト ン (ガラス転移点 1 5 1 て、 融点 3 7 3 °C ) 8 0 gを加え、 減圧法 によ り脱泡しながら攪拌する こ とによ り、 1 0 時間溶解操作を行い 、 黄褐色で透明な均一溶液と した ものを製膜原液と した。 原液 1 0 . O gに対し、 2 5 'Cで蒸留水 0 . 0 6 g加えて攪拌したと こ ろ、 透明な製膜原液は濁り、 ミ ク ロ相分離状態とな り、 上記調整した製 膜原液は ミ ク ロ相分離近傍の状態であった。
アプリ ケ一 夕を用いて、 ガラス板状に 1 0 0 z mの厚さで製膜原 液を塗布し、 該ガラス板を即時濃度 7 3 %、 温度 2 6 での硫酸に浸 潰し、 多孔質膜を沈殿凝固させた。 多孔質膜は浸漬後、 5 分以内に ガラス板からゆつ く り と 自然に剝離した。
浸潰 5 分後に多孔質膜を取り 出 し、 2 6 °Cの水中に 1 時間、 流水 中に 3 時間、 エタ ノ ー ル中に 3 時間浸漬する こ とによ り膜内の硫酸 を洗浄除去した。 このよ う に して得られた膜を形成する芳香族ポリ エーテルケ ト ンは、 結晶化度が 1 0 重量%未満であった。
かかる後に、 6 0 eCの ト リ エチ レ ン グリ コ ールに 2 時間浸漬 し、
さ らに 2 0 0 °Cの ト リ エチ レ ングリ コ ールに 2時間浸漬する こ とに よ り加熱処理を行った。 さ らにかかる後に、 エタ ノ ールに.浸漬する 操作を 5 回繰り返し、 膜表面及び内部の ト リ エチ レ ングリ コ ールを 洗浄処理し、 新たなエタノ ール中で保存した。
このよ う にして得られた膜を形成する芳香族ポリ エーテルケ ト ン は、 実質的にスルホ ン化しておらず、 結晶化度が 2 6 重量%であつ た。 また、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均孔径 1 . 1 // m、 開孔率 5 0 %の開孔を、 また、 ガラス板に接 触していた膜表面に平均孔径 1 . 、 開孔率 5 0 %の開孔を有 していた。 膜の膜内部の構造は、 気孔の孔径は膜厚方向に不均一な ハニカム構造を有していた。
また、 膜は空孔率は 7 2 % 透水量は 1 8 0 0 /m 2 · h r · k gZc m2 であった。
得られた膜をォ一 ト ク レーブを用いて、 1 5 0 °Cの熱水中に 1 0 時間浸漬した。 得られた膜の透水量は 1 7 8 0 ^ Z m 2 · h r · k g / c m 2 であり、 優れた熱安定性を示していた。
比較例 1 .
凝固液に温度 2 5 eCの水を用いた以外は実施例 1 と同様の方法で 多孔質膜を作成した。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボリ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホ ン化しておらず、 結晶化度が 2 5 重量 であった。 凝固 液に接していた膜表面には、 孔径が 0 . 0 2 m以上の開孔は観察 されなかった。 また、 膜内部の気孔の孔径は膜厚方向に不均一で、 指状のボイ ドを有しており、 凝固液に接していた膜表面近傍に緻密 なスキン層を有していた。 膜の空孔率は 6 8 %、 透水量は 1 0 Z m 2- h r - k g / c m 2 未満であり、 透水性が低かった。
比較例 2 .
実施例 1 において、 膜を 6 0 °Cの ト リ エチ レ ン グリ コ ールに 2 時 間浸漬後、 2 0 0 °Cの ト リ エチ レ ング リ コ ールの代わり に、 用いた 芳香族ボ リ エーテルケ ト ンのガラス転移点未満の温度である 1 1 0 の ト リ エチ レ ン グリ コールに 2 時間浸潰 した以外は、 実施例 1 と 同様の方法を行った。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ポ リ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホ ン化してお らず、 結晶化度が 1 0 重量%未満であった。 また、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均 孔径 1 . 0 m、 開孔率 5 0 %の開孔を、 また、 ガラス板に接触し ていた膜表面に平均孔径 1 . 2 m、 開孔率 5 5 %開孔を有してい た。 膜の膜内部の構造は、 気孔の孔径は膜厚方向に不均一なハニカ ム構造を有していた。
また、 膜は、 空孔率は 7 3 %、 透水量は 2 8 0 0 ^ ΙΏ 2· h r - k g / c m 2 であった。
得られた膜をオー ト ク レープを用いて、 1 4 0 での熱水中に 1 0 時間浸潰 した。 得られた膜の透水量は 1 7 0 £ /m 2* h r - k g / c m 2 であり、 大き く 透水量が低下してお り、 熱安定性が低かつ た。
比較例 3 .
製膜原液に濃度 9 8 . 7 %の硫酸を用いて、 且つ凝固液に 2 6 "C の水を用いた以外は、 実施例 1 と同様の操作を行い、 多孔質膜を作 成した。
製膜原液 1 0 . 0 g に対 し、 2 5 で蒸留水 0 . 8 g をゆっ く り と加えて充分に攪拌したと こ ろ、 製膜原液は透明な状態を維持して おり、 ミ ク ロ相分離近傍からはずれた伏態であった。
また、 得られた多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンは 、 結晶化度が 2 6 重量%であ り、 また、 凝固液に接していた膜表面
には開孔は 0 . 0 2 m以上の開孔は観察されなかった。
比較例 4 .
比較例 3 で調整された製膜原液を用い、 且つ凝固液に 2 5 °Cの氷 酢酸を用い、 さ らに製膜原液の凝固液中での浸漬時間を 1 時間にし た以外は実施例 1 と同様の操作を行った。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ポリ エー テルケ ト ンは、 結晶 化度が 2 4 %であり、 また、 凝固液に接していた膜表面には開孔は 0 . 0 2 m以上の開孔は観察されなかった。 また、 本比較例では 、 凝固した際に用いた凝固液が若干白濁し、 得られた膜表面にはそ の白濁の原因となったと思われる物質が多 く 付着していた。 また、 該膜の透水量は 1 0 £ Zm 2' h r ' k g Z c m 2 未満であった。 実施例 2 .
凝固液に 2 3 °Cの、 濃度 8 0 %の硫酸を用いた以外は、 実施例 1 と同様の方法で多孔質膜を得た。
得られた膜を形成する芳香族ボリ エーテルケ ト ンは、 実質的にス ルホ ン化しておらず、 結晶化度が 2 8 重量%であり、 凝固液に浸漬 する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均孔径 1 . 5 z m、 開 孔率 4 8 %の開孔を、 また、 ガラス板に接触していた膜表面に平均 孔径 1 . 7 m、 開孔率 5 5 %の開孔を有していた。 また、 膜内部 の断面の構造は、 凝固液に接触していた膜表面から、 ガラス面に接 触していた膜表面にかけて孔径が増大する、 異方性構造であった。 また、 膜内部の気孔の形態は、 壁面が多孔質なハニカム構造であつ ナ
また、 膜は空孔率は 7 0 % . 透水量は 2 9 0 0 £ /m 2- h r · k g / c m であった。 また、 1 5 0 eC. 及び 1 8 0 eCでの熱安定性 は問題なかった。
実施例 3 .
凝固液と して 2 3 °Cの、 濃度 7 5 %の硫酸に、 重量平均分子量が 9 0 0 , 0 0 0 のボリ ビニルピロ リ ドンを 5 重量%溶解させた溶液 を用いた以外はを用いた以外は、 実施例 1 と同様の方法で多孔質膜 を得た。
得られた膜を形成する芳香族ポリ エーテルケ ト ンは、 実質的にス ルホン化しておらず、 結晶化度が 2 7重量 であり、 凝固液に浸漬 する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均孔径 0 . 8 // m、 開 孔率 4 0 %の開孔をまた、 ガラス板に接触していた膜表面に平均孔 径 1 . 5 〃 m、 開孔率 5 0 %の開孔を有していた。 また、 膜内部の 断面の構造は、 凝固液に接触していた膜表面から、 ガラス面に接触 していた膜表面にかけて孔径が増大する、 異方性構造であった。 ま た、 膜内部の気孔の形態は、 円換算孔径が 2 0 mのボイ ドを有し 、 壁面が多孔質なハニカ ム構造であった。
また、 膜は空孔率は 7 2 %、 透水量は 1 9 0 0 £ / m - h r · k g Z c m 2 であった。 また、 1 5 0 での熱水での熱安定性は問題な かった。
実施例 4 .
凝固液と して 2 4 ての、 濃度 7 5 %の硫酸に、 重量平均分子量が 1 , 0 0 0 のボリ エチ レ ングリ コールを 1 0 重量%溶解させた溶液 を用いた以外はを用いた以外は、 実施例 1 と同様の方法で多孔質膜 を得た。
得られた膜を形成する芳香族ポリ エーテルケ ト ンは、 実質的にス ルホン化しておらず、 結晶化度が 2 7重量 であり、 凝固液に浸漬 する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均孔径 0 . 0 7 m、 開孔率 2 8 %の開孔を、 また、 ガラス板に接触していた膜表面に平 均孔径 1 . 2 m、 開孔率 4 3 %の開孔を有していた。 また、 膜内 部の断面の構造は、 凝固液に接触していた膜表面から、 ガラス面に
O 9 接触していた膜表面にかけて孔径が増大する、 異方性構造であった また、 膜内部の気孔の形態は、 壁面が多孔質なハニカム構造であつ た。 また、 該膜は空孔率は 6 5 %、 透水量は 2 1 0 0 β m 2 ' r ' k g Z c m 2 であ った。
以下、 実施例 5 〜 7 は、 製膜原液中に増粘剤を含有 し、 凝固液と して該増粘剤に対して溶解性が低い液体を用いた場合の例を示す。 実施例 5 .
内容積 1 リ ッ トルの丸底セパラブルフ ラスコに濃度 9 8 . 5 %硫 酸 9 2 0 g、 繰り返 し単位が式 ( 5 ) で示される、 還元粘度が 1 . 1 d l Z gの芳香族ボ リ エーテルケ ト ン 8 0 g、 さ らに、 充分に乾 燥させた重量平均分子量が 1 0 , 0 0 0 のボ リ ビニルピロ リ ドン 9 2 . 8 g を加え、 2 5 'Cで減圧法によ り脱泡しながら攪拌する こ と によ り、 1 2 時間溶解操作を行い、 黄褐色で透明な均一溶液と した ものを製膜原液と した。 原液 1 0 . 0 g に対し、 2 5 'Cで蒸留水 0 . 1 0 g加えて攪拌したと こ ろ、 透明な該製膜原液は濁った ミ ク ロ 相分離状態とな り、 上記調整した製膜原液は ミ ク ロ相分離近傍の状 態であった。
アブリ ケ一 夕を用いて、 ガラス板状に 1 0 0 X mの厚さで上記製 膜原液を塗布し、 該ガラス板を即時 2 6 てのジエチ レ ン グリ コ ール ジメ チルエーテルに 3 0 秒間浸漬する こ とによ り凝固操作を行い、 かかる後に 2 6 °Cの水中に 5 分、 流水中に 2 時間、 ェ夕 ノ —ル中に 3 時間浸潰 した。
かかる後に、 多孔質膜を濃度 5 0 0 O p p mの次亜塩素酸ナ ト リ ゥム水溶液に、 2 5 °Cで 2 0 時間、 5 0 の温水中に 1 0 時間浸漬 し、 ついで 2 5 でのエタ ノ ール中に保存した。
上記のよ う に して得られた多孔質膜を、 7 0 eCのジエチ レ ン グリ コ ールに 2 時間浸潰 し、 さ らに 2 2 0 °Cのジエチ レ ン グ リ コ ー ルに
2 時間浸漬する こ とによ り加熱処理を行い、 2 5 てのェタ ノ ールに 浸漬する操作を 5 回繰り返し、 膜表面及び内部のジエチ レ ン グ リ コ —ルを洗浄処理し、 エタ ノ ール中で保存した。
このよ う に して得られた膜を形成する芳香族ポ リ エー テルケ ト ン は、 実質的にスルホ ン化してお らず、 結晶化度が 3 2 重量%であ り 、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触していた膜表面に、 平均孔径 0 . 0 3 5 / m、 開孔率 1 5 %の円形状の開孔を、 また、 ガラス板 に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 7 5 0 m、 開孔率 1 3 %の 円形状の開孔を有していた。 また、 膜内部の構造は、 膜内部に行く に従い気孔の孔径が増大する不均一な構造を有してお り、 且つ膜内 部にボイ ドを有していた。
膜の空孔率は約 7 8 % . 透水量は 4 5 0 0 £ Zm 2* h r * k g Z c m 2 であった。 また、 粒径 0 . l / mの S B ラテッ ク スに対する 排除率は 9 5 %以上であった。 また、 1 5 0 eCでの熱水安定性は問 題なかった。
比較例 5 .
凝固液に蒸留水を用いた以外は実施例 5 と同様の操作で多孔質膜 を作成した。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エ -テルケ ト ンは、 結晶 化度が 3 1 重量 であ り、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触して いた膜表面に 0 . 0 2 tz m以上の開孔は見受けられなかった。
膜の透水量は 1 3 0 リ ツ トル Zm 2 ' h r · k g / c m 2であ り、 粒径 0 . 1 mの S B ラ テ ッ ク スに対する排除率は、 測定開始 1 分 間に得られた濾液の値は 9 5 %以上であつたが、 測定開始後 1 分後 直ぐに目詰ま り によ り、 通液できな く なった。
実施例 6 .
凝固液と して 2 6 °Cの ト リ エチ レ ン グリ コールジメ チルェ一テル
を用いた以外は、 実施例 5 と同様の操作で多孔質膜を作成した。
2 5 °Cで、 製膜原液に用いたボリ ビニルピロ リ ド ン 1 gを ト リ エ チレ ングリ コールジメ チルエーテル 1 0 0 gに加えたと こ ろ、 ほと んど溶解しなかった。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボリ エー テルケ ト ンは、 実質 的にスルホン化しておらず、 結晶化度が 3 3 重量%であった。 また 、 凝固液に浸潰する際に凝固液に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 0 6 〃 m、 開孔率 1 6 %の開孔を、 また、 ガラス面に接触してい た膜表面に、 平均孔径 0 . 8 /z m、 開孔率 1 4 %の開孔を有してい た。
膜の透水量は 4 8 0 0 £ /m 2 · h r · k g Z c m 2であり、 粒径 0 . の S B ラテッ クスに対する排除率は、 9 5 %以上であつ た。 また、 1 5 0 °Cでの熟水安定性は問題なかった。
実施例 7 .
凝固液と して 2 2てのアセ ト ンを用いた以外は、 実施例 5 と同様 の操作で多孔質膜を作成した。 2 5てで、 アセ ト ン 1 0 0 gに、 製 膜原液に用いたボリ ビニルピロ リ ドンを 1 g加えたとこ ろ、 均一に 溶解しなかった。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボリ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホン化しておらず、 結晶化度が 3 3重量%であった。 また 、 凝固液に浸漬する際に該凝固液に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 0 4 m、 開孔率 1 5 %の開孔を、 また、 ガラス面に接触して いた膜表面に、 平均孔径 1 . 3 m、 開孔率 1 5 の円形状の開孔を 有していた。
膜の透水量は 3 2 0 0 £ / 2 · h r · k g Z c m 2であり、 粒径 0 . l 〃 mの S Bラテッ クスに対する排除率は、 9 5 %以上であつ た。 また、 1 5 0 ての熱水安定性は問題なかった。
以下、 実施例 8 〜 1 0 は、 製膜原液中に増粘剤を含有し、 凝固液 と して凝固能が低い液体を用いた場合の例を示す。
実施例 8 .
凝固液と して 2 3 °Cの濃度 7 5 %硫酸を用いた以外は、 実施例 5 と同様の操作で多孔質膜を作成した。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホ ン化してお らず、 結晶化度が 3 2 重量%であった。 また 、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 4 m、 開孔率 1 5 %の開孔を、 また、 ガラス面に接触していた 膜表面に、 平均孔径 1 . 5 m、 開孔率 2 0 %の円形状の開孔を有 していた。 また、 膜断面の構造は、 凝固液に接していた膜表面から 、 ガラス面に接していた膜表面にかけて気孔の孔径が増大する異方 性構造であった。
膜の透水量は 3 2 0 0 £ /m 2 · h r · k g Z c m 2であ り、 粒径 0 . l mの S B ラテ ッ ク スに対する排除率は、 9 5 %以上であつ た。 また、 1 5 0 °Cの熱水安定性は問題なかった。
実施例 9 .
凝固液と して 2 3 °Cの濃度 9 0 %のイ ソプロ ピルアルコール水溶 液を用い、 2 2 0 。Cの ト リ エチ レ ング リ コールの代わり に、 2 6 0 'Cのテ ト ラエチ レ ングリ コールで 1 時間加熱処理を行った以外は実 施例 5 と同様の方法で多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ポ リ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホ ン化してお らず、 結晶化度が 3 7 重量%であった。 また 、 凝固液に浸潰する際に凝固液に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 0 9 z m、 開孔率 2 0 %の開孔を、 また、 ガラス面に接触してい た膜表面に、 平均孔径 2 . 0 / m、 開孔率 2 0 %の円形状の開孔を 有していた。 また、 膜断面の構造は、 凝固液に接していた膜表面か
ら、 ガラス面に接していた膜表面にかけて気孔の孔怪が増大する異 方性構造であった。
該膜の透水量は 7 , 5 0 0 £ /m 2 ■ h r · k g / c m 2であり、 粒径 0 . 1 mの S B ラテッ クスに対する排除率は、 9 5 %以上で あった。 また、 1 5 0 °Cの熱水安定性は問題なかった。
実施例 1 0 .
凝固液と して濃度 9 5 %のィ ソプロ ピルアルコール水溶液を用い た以外は、 実施例 9 と同様の方法で多孔質膜を得た。
得られた多孔質膜を形成する芳香族ボリ エーテルケ ト ンは、 実質 的にスルホン化しておらず、 結晶化度が 3 6 重量 であった。 また 、 凝固液に浸漬する際に凝固液に接触していた膜表面に平均孔径 0 . 1 1 〃 m、 開孔率 1 8 %の開孔を、 また、 ガラス面に接触してい た膜表面に、 平均孔径 2 . 6 / m、 開孔率 2 0 %の円形状の開孔を 有していた。 また、 膜断面の構造は、 凝固液に接していた膜表面か ら、 ガラス面に接していた膜表面かけて気孔の孔径が増大する異方 性構造であつた。
該膜の透水量は 1 4 , 0 0 0 /m 2 · h r · k g Z c m 2であり 、 粒径 0 . の S B ラテッ クスに対する排除率は、 9 5 %以上 であった。 また、 1 5 0ての熱水安定性は問题なかった。
以下、 本発明の膜形状が中空糸状である場合の実施例を示す。 実施例 1 1 .
本実施例は、 成形された製膜原液を凝固液の蒸気に接触させ、 つ いで凝固液に浸潰させた場合の、 中空糸状膜の例を示す。 本実施例 においては、 製膜原液は実施例 5 で調整されたものを用いた。
同軸 2重管からなる中空糸製造用紡口をから、 内部注入剤と して 2 4 °Cの濃度 9 5 %のジエチ レ ングリ コ ールジメチルエーテルを吐 出させながら、 該紡口の管状部分から 2 5 eCの製膜原液を同時に吐
出させた。 吐出された製膜原液は、 紡口 よ り 1 5 c m下方に設けら れた 6 5 °Cの水からなる凝固浴中に浸漬 し、 凝固させ、 8 , 6 m / 分の速度で巻き取られた。 凝固浴と紡口の間は、 直径 9 c mのボ リ プロ ピ レ ン製の円筒を設け、 凝固浴から発生される水蒸気が均一に 、 紡口から吐出される中空糸状製膜原液の外表面に接触でき る よ う に した。
得られた中空糸は、 約 4 0 c mに切断され、 5 0 °Cの蒸留水中に 1 2 時間、 2 4 °Cのエタ ノ ール中に 1 0 時間、 濃度 8 0 0 0 p p m の次亜塩素酸ナ ト リ ウ ム水溶液に 1 5 時間、 6 0 °C水に 1 0 時間、 エタ ノ ール中に 1 5 時間浸漬する こ とによ り洗浄を行った。
中空糸は、 エタ ノ ールから取り 出 した後、 湿潤状態を保持させた ま ま、 6 5 °Cの ト リ エチ レ ングリ コ ー ルに 2 時間浸漬後、 2 5 °Cの ト リ エチ レ ングリ コ ー ルに浸潰 し、 開放系で約 1 時間かけて 2 0 0 'Cに昇温、 2 時間 2 0 0 'Cを保持して加熱処理を行い、 約 1 時間か けて 2 8 °Cまで冷却 した。
その後、 中空糸を、 乾燥させないよ う に、 6 0 °Cの蒸留水に 5 時 間、 さ らに 5 0 'Cのエタ ノ ール中に 1 時間毎にエタ ノ ールを置換し ながら 5 時間浸潰 して洗净 した後、 室温の蒸留水中に保存した。 得られた中空糸状多孔質膜は、 内径約 0 . 6 4 m m、 外径 1 . 0 2 m mであった。 中空糸状多孔質膜を形成する芳香族ポ リ エーテル ケ ト ンは、 実質的にスルホ ン化しておらず、 結晶化度 2 7 重量%で あった。 また、 中空糸状多孔質膜の内表面は平均孔径約 0 . 0 3 m、 開孔率 1 3 %の円形状の開孔が、 外表面には平均孔径約 0 . 4 m、 開孔率 6 8 %の 3 次元網目構造の開孔が存在していた。 膜の 断面における外表面近傍の構造は、 多孔質な壁面からなるハニカム 構造であった。
また、 中空糸膜の空孔率は 7 2 %であった。 さ らに、 透水量は 9
5 O /m '- h r - k g / c m 2 であり、 粒径が 0 . 1 mの S B ラテ ッ クスに対する排除率は 9 5 %以上であった。
実施例 1 2
ボリ ビニルピロ リ ドンの代わりに重量平均分子量が 4 0 0 のポリ エチ レ ングリ コ ールを製膜原液に用い、 内部注入剤と して 7 0 %ポ リ エチレ ングリ コールを用いた以外は実施例 1 1 と同様の方法で中 空糸を紡糸 し、 巻き取った後、 5 0 °Cの水中に 1 0 時間、 2 6 °Cの エタ ノ ール中に 1 5 時間浸漬する こ とによ り洗浄を行った。
中空糸は、 エタノ ールから取り出 した後、 湿潤状態を保持させた まま、 6 5 'Cの ト リ エチレ ングリ コールに 2 時間浸漬後、 2 5 。Cの ト リ エチレ ングリ コールに浸漬糸、 、 開放系で約 1 時間かけて 2 0 0てに昇温、 2 時間 2 0 0 °Cを保持して加熱処理を行い、 約 1 時間 かけて 2 8 てまで冷却した。
その後、 中空糸を、 乾燥させないよう に、 6 0 °Cの蒸留水に 5時 間、 さ らに 5 0 'Cのエタ ノ ール中に 1 時間毎にエタノ ールを置換し ながら 5 時間浸潰して洗浄した後、 室温の蒸留水中に保存した。 得られた中空糸状多孔質膜は、 内径約 0 . 6 2 m m、 外径 1 . 0 1 m mであった。 中空糸状多孔質膜を形成する芳香族ポリ エーテル ケ ト ンは、 実質的にスルホン化しておらず、 結晶化度 2 7重量%で あった。 また、 中空糸状多孔質膜の内表面は平均孔径約 0 . 0 2 z m、 開孔率 1 3 %の開孔が、 外表面には平均孔径が約 0 . 3 m、 開孔率 1 5 %の 3次元網目構造の開孔が存在していた。 膜の断面に おける外表面近傍の構造は、 粒子状物が連なるフ ィ ブリ ル状物が 3 次元網目構造を形成している構造であった。
また、 中空糸膜の空孔率は 7 1 %であった。 さ らに、 透水量は 1 1 5 0 £ /m 2- h r - k g / c m 2 であり、 粒径が 0 . 1 mの S Bラテッ クスに対する排除率は 9 5 %以上であった。
比較例 6
凝固浴の温度を 1 5 てと し、 紡口 と凝固浴の距離を 5 c .m と した 以外は、 実施例 3 と同様の方法で中空糸状多孔質膜を作成した。
得られた中空糸伏多孔質膜は、 内径約 0 . 6 4 m m、 外径 1 . 0 8 m mであった。 中空糸状多孔質膜を形成する芳香族ボ リ エーテル ケ ト ンは、 実質的にスルホ ン化してお らず、 結晶化度 2 7 重量%で あった。 また、 中空糸状多孔質膜の内表面は平均孔径が約 0 . 0 2 m円形状の開孔が存在したが、 外表面には平均孔径が約 0 . 0 1 0 m以上の開孔が存在してお らず、 緻密なスキ ン層を最外表面に 有していた。
また、 中空糸膜の空孔率は 6 9 %であ り、 透水量は 9 8 £ /m z - h r ' k g Z c m 2 であった。 産業上の利用分野
本発明によれば、 耐熱性、 酎薬品性、 酎熱水性、 透水性、 及び 透水性と分画性のバラ ンスに優れる結晶性の芳香族ボリ エーテルケ ト ン多孔質膜が提供される。