明 細 書 金属溶湯の精鍊方法 技術分野
本発明は、 金属溶湯を、 真空、 または低酸素分圧雰囲 気下で減圧精練 した後、 大気圧付近でさ らに精鍊する金 属溶湯の精鍊方法に関する ものである。
背景技術
真空または低酸素分圧雰囲気下での減圧精鍊法 (以下 減圧精練と称する) では、 高 レベルの清浄鋼等を容易に 得る こ とができ る こ とから広 く 用いられてお り、 真空誘 導加熱炉( V I F と も称される) はその一つの手段であ る o
こ の減圧精鍊において、 ある種の不純物は、 それ自身 ま たは酸化物等の化合物とな って、 金属溶湯から蒸発、 飛散または浮上 して分離される こ と によ り、 精辣が進行 する。 そ して、 この場合、 精練が進行 した状態では、 金 厲溶湯中の不純物 (本発明で不純物とは不純元素や非金 属介在物の原因 となる物質を総称する) を非常に低い レ ベルにする こ とができ る。
こ の減圧精鍊において、 精練炉の炉壁フ リ ーボー ド部 分には蒸発、 飛散成分の一部が凝縮 してスカ ム状に付着 する。 また、 精鍊炉中の金属溶湯液面には、 蒸発できな い ドロス状等の不純物成分が浮上 して分離されている。
そのため精鍊炉の傾注によ り 出湯する と、 金属溶湯流に よ り これらの付着物や浮遊物の一部が洗い流されて金属 溶湯中に再度取り込まれ、 金属溶湯中に再混入する。 さ らに、 受湯容器である取鍋ま たはタ ンデイ シュの内張り 耐火物が受湯前に十分加熱されていない場合、 耐火物に 吸着 した活性ガス成分によ り金属溶湯が汚染される場合 がある。
また受湯容器の耐火物は、 減圧精辣によ り活性化 した 金属溶湯と一部反応し、 ま たは金属溶湯に一部侵食され る。 こ の時の反応生成物、 侵食物によ り金属溶湯が汚染 される場合がある。
前記の付着物や浮遊物の混入を防止する方法と して今 曰 まで試みられた方法には、 精鍊炉の炉底出湯を行な う と と もに、 浮遊不純物の混入防止のため金属溶湯を一部 炉内に残留させる方法、 イ ン ダク シ ョ ンスカル炉によ り 金属溶湯を炉壁に接触させずに精練 して出湯する方法が ある。 また、 出湯後においては、 受湯容器である取鍋ま たはタ ンディ ッ シュ內において、 セラ ミ ッ ク フ ィ ノレ夕に よ り微小非金属介在物とな り得る物質を除去する方法な どが提案されている。 これらの方法は、 一部実用化され ている も のの、 種々 の制約があ り、 未だ広 く 採用 される に至っていない。 また、 これ らの方法は全ての再混入物 質や汚染物質等に対 して有効ではないので、 前記の各再 混入物質等に対 して有効な ら しめるためには、 これ らを 組み合わせる こ とが必要である。 しか し、 これらは組み
合わせるほ ど、 費用が嵩む等の問題を生ずる。
一方、 真空精鍊後、 黒鉛電極アー ク加熱方式の取鍋精- 鍊炉、 A S E A — S K F炉な どで再精鍊する こ とで再混 入物質等を除去する こ と も考え られるが、 これらの方法 では電極が黒鉛質であ り、 その電極を溶鋼表面上のスラ グ中に浸潰するので、 金属溶湯中への炭素の ピ ッ ク ア ツ プの問題がある。
ま た特開平 4 - 3 1 8 1 1 8号には、 真空脱ガス処理によ り 金 属溶湯を脱炭した後、 溶存 A 1 ≥ 0. 2w t %を含有させた状 態で、 プラズマ加熱し、 塩基度 8 以上のスラ グの存在下 で金属溶湯を撹拌し、 脱硫する極低炭素、 極低硫鋼の製 造方法が提案されている。
前記特開平 4 - 31 8 1 1 8号に記載の方法では、 プラ ズマ精 鍊前時点でのスラ グをプラズマ精鍊炉に持ち込むので、 プラ ズマ精鍊中での溶存 A 1 を高め、 スラ グの塩基度を
8 以上に高 く しなければな らない問題があ っ た。
すなわち、 前記提案の方法はプラ ズマ精鍊炉に多量の スラ グを持ち込むので、 スラ グの改質のために多量の脱 酸剤 と還元剤を必要と し、 精練効果が劣る欠点があっ た。
と こ ろで、 例えば N i 基超耐熱合金や、 F e — N i 系 合金の電磁気材料な どの製品には、 不純物元素と して窒 素の他、 酸素や炭素が混入する と製品の特性が著 し く 低 下する という理由から、 こ れらの元素を厳 し く 制限する ものが多い。
こ のよ う な不純物を低減化する手段と して、 低窒素化
や低酸素化には、 例えば真空溶解や還流式真空精鍊な ど が、 低炭素化に対 しては、 酸素源を添加ま たは吹き込み によ って金属溶湯中の炭素と、 供給 した酸素源とを反応 させて C 0 2 や C Oガス化して金属溶湯外に排出する方 法な どが挙げられる。
ま た、 炭化物を多 く 含有する高炭素の高合金工具鋼の 中には、 凝固過程で粗大な M C型の炭化物が晶出 しゃす い問題があ り、 溶鋼中の窒素を下げる こ と に よ っ て固液 共存領域を狭めて微細な炭化物に分散させる こ とが知 ら れている。
F e 一 N i 系合金な ど電磁気材料と称される合金製品 の中には、 要求される特性を害する理由から、 炭素と硫 黄が共に厳し く 制限される もの もある。
金属溶湯に対する炭素および硫黄の混入の多 く は、 溶 解時の固体原料から持ち込まれる。 混入 した硫黄を除去 して低硫黄とする には、 C a 0を主体とする造滓剂を添 加 して効率よ く 脱硫精練を行な う必要がある。
一方、 脱炭は酸素な どとの反応で、 燃焼させる手段が 知 られてお り、 さ らに減圧雰囲気や真空雰囲気と組み合 わせる と効率がよい。 しか し、 いずれの場合 も反応生成 物は酸化物であ り、 こ れが精鍊炉の金属溶湯面ゃ炉壁に 付着 して、 金属溶湯の動きによ っては金属溶湯中に再混 入 してせっか く 精練 した金属溶湯を汚染する とい う 危険 性が大きい ものである。
脱硫に関 しては、 前工程の精練の仕方や金属溶湯の移
動時の取扱い方法によ っては、 前の工程で発生 したスラ グが存在する状態で行な う こ とにな り、 こ のスラ グの改 質に負担がかかり、 効率のよい脱硫が行なえない欠点か あつァこ o
しか し、 上記の脱炭処理や脱硫処理を回避 しよ う とす る と、 精鍊炉への装入材料について低炭素や低硫黄の高 級な材料を選択する必要があ り、 溶解するための原料費 が著し く 高価にな り、 経済的な量産に適さない欠点があ 0
本発明の一つの目的は、 再精鍊炉内で持込みスラ グを 改質する必要がな く 、 ま た炭素の ピ ッ ク ア ッ プがない状 態で、 特定の組成を有する新 しい造滓剤で再精鍊を効果 的に行な う こ とができ る金属溶湯の精練方法を提供する こ とである。
本発明の他の目的は、 不純物元素と して、 前記の例の よ う な主に窒素を厳 し く 制限する製品を対象 とする金厲 溶湯の精練方法によ り、 再精鍊炉内で持込みスラ グを改 質する必要がな く 、 新しい造滓剤で再精鍊を効果的に行 な う こ とができ る金属溶湯の精練方法を提供する こ とを 目的とする。
本発明の他の目的は、 上記のよ う な製品の炭素含有量 が厳 し く 制限されるス テ ン レ ス鋼、 N i 基合金あるいは F e — N i 合金、 ま たは製品の硫黄含有量が厳 し く 制限 さ れる上記の鋼や合金の他、 中炭素系の構造用鋼や高炭 素系の合金工具鋼、 さ らに製品の炭素含有量と硫黄含有
量が と も に厳 し く 制限される鋼や合金な どの精練時に、 前述の炭素の ピ ッ ク ア ッ プの問題がな く 、 持込みス ラ グ を改質する必要 もな く 、 高 レ ベルの精練等の場合に も柔 軟に対応でき る金属溶湯の精辣方法を提供する こ とであ る。
さ らに本発明の他の 目 的は、 重量%で少な く と も N i 30 〜 50% を含有する F e — N i 系合金な ど電磁気材料 と称さ れる製品の、 炭素含有量 と硫黄含有量が と も に厳 し く 制限される鋼や合金な どの精鍊時に、 前述の炭素の ピ ッ ク ア ッ プの問題がな く 、 持込みス ラ グを改質する必 要 も な く 、 高 レベルの精鍊等の場合に も柔軟に対応でき る F e — N i 系合金溶湯の精辣方法を提供する こ とであ る o
本発明に よれば、 加熱手段を有する容器に よ り 真空ま たは低酸素分圧雰囲気中で減圧精鍊する こ と に よ り 、 減 圧精鍊か ら再精練への移行の時にス ラ グの持ち込みがな いので高 レベルの精練が達成でき る。
と こ ろで、 前述 した よ う に真空ま たは低酸素分圧下の 減圧精鍊において、 精鍊炉の炉壁フ リ ーボー ド部分に ス カ ム状に付着 している不純物あ る いは精鍊炉中の金属溶 湯液面上に浮上 している ド ロ ス状の不純物の他、 金属溶 湯中には浮上 し き れない状態で存在する不純物があ る。 こ れ らの不純物の中には、 精鍊炉の炉壁の侵食に よ る S i 0 2 がかな り の割合を占めている。
本発明では、 プラ ズマ加熱に よ る再精練に前工程のス
ラ グが持ち込まれないために、 スラ グの改質をする必要 がない。 したがって、 再精鍊過程では、 C a 0や
S i 0 2 を多量に添加 して塩基度を 8 以上に調整 しな く てよ く 、 減圧精練時に金属溶湯中に混入 した不純物を効 率的に除去し、 さ らに高 レベルに精鍊でき る利点がある c 発明者は、 減圧精練で発生 し、 不純物の一部と して混 入 した比較的少量の S i 0 2 を利用 して、 次工程のブラ ズマ加熱によ る再精鍊時には、 C a 0を必須とする、 複 合組成からなる新たな造滓剤を添加 して、 基本的には S i 〇 2 を添加 しないで塩基度を調整する こ とで、 不純 物の改質と さ らに高 レベルの精鍊を行な う こ とができ る こ とを見出 した。
さ らに本発明者は、 金属溶湯を加熱手段を有する容器 によ り真空ま たは低酸素、 低窒素分圧雰囲気中で減圧精 鍊を行な って、 所定の レベルまで脱窒 し、 実質的にス ラ グのない状態で次の再精練に移 り、 こ こで新 し く 造滓剤 を添加 してプラ ズマ加熱下で精鍊する と、 極めて低い窒 素レ ベルの鋼が得られる こ とを見出 した。
ま た、 本発明の他の精鍊方法によれば、 ステ ン レ ス鋼、 N i 基合金、 F e — N i 合金な どのう ち、 炭素の混入か 厳 し く 制限される材料の場合には、 減圧精鍊の前に金属 溶湯に酸素源を供給する こ と に よ り 、 脱炭精鍊を行な つ て低炭素 レベル に調整する。 これが本発明で言う一次精 鍊の一形態である。 続いて、 炭素含有量の調整ま たは低 炭素 レ ベル に脱炭精鍊を終えた金属溶湯は、 上記別容器
の場合には取锹を介 して脱酸すべき容器に移 し、 また脱 酸すべき容器で溶解を行な った金属溶湯は同 じ容器内で 炭素含有量の調整ま たは低炭素レベルに脱炭精練を終え た後、 真空または低酸素分圧雰囲気で減圧精鍊を行なつ て脱酸を完了する。
本発明の特徴は、 上記のよ う な一次精練およ び減圧精 鍊で脱炭を行な う こ とによ って、 次工程のプラ ズマ加熱 下の再精鍊を極力清浄な金属溶湯の状態で実施 して脱硫 やその他の再精練が安価で、 かつ効率よ く でき る こ とを 見出 した点にある。
他の本発明は、 重量%で少な く と も N i 30 〜 50% を 含有する F e - N i 系合金の金属溶湯を加熱手段を有す る容器中で真空ま たは低酸素分圧雰囲気で脱酸 · 脱炭精 鍊を行ない、 引 き続き別容器ま たは前記脱酸精鍊を行な う もの と同 じ容器内でガスプラ ズマで再精鍊を行な う組 合せの精鍊方法である。 しか し、 その内容は従来の方法 とは大き く 異なる。
本発明では、 低炭素 レ ベルに脱炭精鍊を終えた金属溶 湯は、 アー ク炉ゃ転炉のよ う に別容器の場合には取鍋を 介 して脱酸すべき容器に移 し、 ま た脱酸すべき容器で溶 解を行な っ た金属溶湯は同 じ容器内で低炭素 レべ儿 に脱 炭精鍊を終えた後、 真空ま たは低酸素分圧雰囲気で減圧 精鍊を行な って脱酸を完了する。
本発明の一部は、 N i 30 〜 50% を含有 して、 低炭素 化が望まれる F e — N i 系の合金を加熱手段を有する容
器によ り真空ま たは低酸素分圧雰囲気中で精鍊する減圧 精練によ り脱炭精鍊を極力進行させ、 実質的にス ラ グの ない状態で再精練に移行して、 減圧精鍊では低減化しき れなかった不純物を新 しいス ラ グを添加 して再精練を行 い極めて低い不純物 レベルとする と こ ろに大きな特徴が め O o
図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明の実施例に用いた装置の一例を示すグ ラ フである。
図 2 は、 アー ク炉で 1 次精練 した金属溶湯を真空誘導 炉で減圧精練 した時の、 精鍊経過時間に対する精鍊の進 行度合を鋼中の酸素濃度で示 したグラ フである。
図 3 は、 上記減圧精鍊 (図 2 ) 後、 本発明の C a 〇お よび C a F 2 よ り な る造滓剤にて、 プラ ズマ再精練を行 つ た時の金属溶湯中の酸素濃度を示すグラ フである。 図 4 は、 上記減圧精鍊 (図 2 ) 後、 本発明の C a 〇お よび A 1 2 0 3 よ り な る造滓剤にて、 プラズマ再精鍊を 行った時の金属溶湯中の酸素濃度を示すグラ フである。
図 5 は、 上記減圧精鍊 (図 2 ) 後、 本発明の C a O と C a F 2 と A 1 2 〇 3 よ り なる造滓剤にて、 プラ ズマ再 精鍊を行った時の金属溶湯中の酸素濃度を示すゲラ フで め る。
図 6 は、 本発明の実施例に用いた装置の一例を示すグ ラ フである。
図 7 は、 真空誘導加熱精鍊炉で固体原料を投入 して溶
解を開始 し、 原料が溶け終っ た時点から、 酸素源の添加 ま たは吹き込みを行なわずに真空引きを継続させた際の 経過時間に対する減圧精練の進行度合を、 金属溶湯中の 酸素、 窒素および炭素濃度と して測定 した結果を示すグ ラ フである。
図 8 は、 上記減圧精鍊 (図 7 ) 後、 金属溶湯を別容器 の再精鍊炉に注湯し、 新たな造滓剤を添加 してプラ ズマ 加熱によ る再精練を開始した時点からの経過時間 と酸素, 窒素およ び炭素濃度の変化を示すグラ フである。
図 9 は、 アー ク炉で 1 次精練 した金属溶湯を真空誘導 炉で減圧精練した時の、 精練経過時間に対する精鍊の進 行度合を鋼中の酸素、 硫黄および炭素濃度と して測定 し た結果を示 したグラ フである。
図 1 0 は、 上記減圧精鍊 (図 9 ) 後、 本発明の C a O、 C a F 2 および A 1 2 0 3 よ り なる造滓剤にて、 プラ ズ マ再精鍊を行った時の時間経過と金属溶湯中の酸素、 硫 黄および炭素濃度の変化を示すグ ラ フである。
図 1 1 は、 従来方法である真空精練後の金属溶湯を A S E A - S K F炉で再精鍊を行な っ た F e 一 42 N i 合 金の経過時間 と酸素、 硫黄およ び炭素濃度の変化を示す 図である。
図 I 2 は、 本発明の実施例に用いた装置の一例を示す。 発明の詳細な説明
本発明の第 1 の特徴によれば、 加熱手段を有する容器 中で金属溶湯が減圧精練され、 実質的にス ラ グのない前
記金属溶湯に、 主 と して C a Oおよ び C a F 2 、 主 と し て C a Oお よ び A l 2 03 、 ま たは主 と して C a 〇, C a F 2 およ び A 1 2 O 3 か らな る いずれかの組合せの 造滓剤が添加さ れ、 不活性ガスプラ ズマに よ る加熱で再 精練さ れる。
本発明の第 2 の特徴に よれば、 加熱手段を有する容器 中で金属溶湯が減圧精練さ れ、 実質的にス ラ グのない該 金属溶湯が前記容器 と は別容器に移され、 主 と して
C a Oお よ び C a F 2 、 C a Oお よ び A l 2 03 、 ま た は C a ◦, C a F 2 お よ び A 1 2 03 力、 らな る いずれか の組合せの造滓剤が添加 さ れ、 不活性ガスプラ ズマに よ る加熱で再精練さ れる。
本発明の第 3 の特徴に よれば、 加熱手段を有する容器 中で、 金属溶湯が真空ま たは低酸素、 低窒素分圧雰囲気 で減圧精練さ れて窒素含有量が 0.01% 以下に調^ さ れ、 実質的にス ラ グのない前記金属溶湯に造滓剤が添加さ れ、 不活性ガスプラ ズマに よ る加熱で再精鍊さ れる。
本発明の第 4 の特徴に よれば、 加熱手段を有する容器 中で、 金属溶湯が真空ま たは低酸素、 低窒素分圧雰囲気 中で減圧精練さ れて窒素含有量が 0.01% 以下に調整さ れ、 実質的にス ラ グのない前記金属溶湯が前記容器 と は別容 器に移 さ れて造滓剤か添加され、 不活性ガスプラ ズマ に よ る加熱で再精練さ れる。
ま た、 ステ ン レ ス鋼、 N i 基合金、 F e — N i 合金な どの う ち、 炭素の混入が厳 し く 制限さ れる材料の場合に
は、 金属溶湯に酸素源を供給する こ と に よ り 、 脱炭精鍊 を行な って低炭素 レ ベル に調整する一次精鍊を行な う と よい。
続いて、 炭素含有量の調整ま たは低炭素 レベルに脱炭 精鍊を終えた金属溶湯は、 上記別容器の場合には取鍋を 介 して脱酸すべき容器に移 し、 ま た脱酸すべき容器で溶 解を行な っ た金属溶湯は同 じ容器内で炭素含有量の調整 ま たは低炭 レ ベル に脱炭精鍊を終えた後、 真空ま たは低 酸素分圧雰囲気で減圧精鍊を行な って脱酸を完了する。
本発明の他の特徴は、 上記の よ う な一次精鍊お よ び減 圧精練を行な う こ と に よ っ て、 次工程のプラ ズマ加熱下 の再精練に極力 き れいな金属溶湯の状態で実施 して脱硫 やその他の再精練が安価で、 かつ効率よ く でき る こ とを 見出 した点にある。
すなわち、 本発明の第 5 の特徴に よれば、 予め溶解 し た金属溶湯に酸素源ま たは酸素源 と不活性ガスの混合物 が添加 され、 ま たは吹き込ま れ、 炭素含有量が 0 . 0 1 % 以 下に調整された金属溶湯が、 加熱手段を有する容器に注 湯され、 該容器中で減圧精鍊を受けた後の金属溶湯に造 滓剤が添加 され、 不活性ガスプラ ズマに よ る加熱で再精 鍊を行さ れ、 炭素 0. 0 1 以下にな される。
本発明の第 6 の特徴に よれば、 予め溶解 した金属溶湯 に酸素源ま たは酸素源 と不活性ガスの混合物が添加 さ れ、 ま たは吹き込ま れ、 炭素含有量が 0. 0 1 % 以下に調整さ れ た金属溶湯が、 加熱手段を有す る容器に注湯さ れ、 該容
器中で減圧精辣を受け、 前記金属溶湯が前記容器 とは別 容器に移されて造滓剤が添加され、 不活性ガスプラ ズマ によ る加熱で再精練されて、 炭素量 0.01% 以下にな され 本発明の第 7 の特徴によれば、 加熱手段を有する容器 中の金属溶湯に酸素源または酸素源と不活性ガスの混合 物が添加され、 ま たは吹き込まれ、 炭素含有量が 0.01% 以下に調整され、 減圧精鍊を受けた後の金属溶湯に造滓 剤が添加され、 不活性ガスプラズマによる加熱で再精鍊 され、 炭素 0.01% 以下にな される。
本発明の第 8 の特徴によれば、 加熱手段を有する容器 中の金属溶湯に酸素源ま たは酸素源と不活性ガスの混合 物を添加され、 または吹き込まれ、 炭素含有量が 0.01 % 以下に調整され、 減圧精鍊を受けた後の金属溶湯が前記 容器 とは別容器に移されて造滓剤が添加され、 不活性ガ スプラ ズマによ る加熱で再精練されて、 炭素量 0.01 % 以 下になされる。
本発明の第 9 の特徴によれば、 加熱手段を有する容器 中の減圧精鍊を受けた後の金属溶湯に、 主と して C a 〇 および C a F 2 、 主と して C a 〇および A 1 2 0 3 、 ま たは主と して C a 〇, C a F 2 および A 1 2 0 3 からな るいずれかの組合せの造滓剤が添加され、 不活性ガスプ ラ ズマによ る加熱で再精練されて、 硫黄 0.005% 以下に な される。
本発明の第 1 0 の特徴によれば、 加熱手段を有する容
器中の真空ま たは低酸素分圧雰囲気中で減圧精練を受け た後の金属溶湯が前記容器 と は別容器に移さ れる と と も に、 主 と して C a Oお よ び C a F 2 、 主と して C a 〇 お よ び A l 2 03 、 ま たは主 と して C a O, C a F 2 およ び A 1 2 03 か らな る いずれかの組合せの造滓剤が添加 さ れ、 不活性ガスプラ ズマに よ る加熱で再精練されて、 硫黄量 0.005% 以下にな される。
本発明の第 8 の特徴に よれば、 予め溶解 した金属溶湯 に酸素源ま たは酸素源 と不活性ガスの混合物が添加さ れ、 ま たは吹き込 ま れ、 炭素含有量が 0.01 % 以下に調整さ れ た金属溶湯が減圧精鍊さ れる。
本発明の対象は、 金属溶湯の化学組成に制限 されずに 実施でき る。 その中で も N i を 30〜 50% 含有する F e 一 N i 系合金に適用する と特に効果が著 しい。
すなわち、 本発明の第 1 1 の特徴に よれば、 予め溶解 した、 重量 90で少な く と も N i 30 〜 50% を含有する F e - N i 系合金の金属溶湯が加熱手段を有する容器に 注湯され、 該容器中で、 炭素含有量が 0.01% 以下にな る ま で減圧精鍊を受けた後の金属溶湯に、 主 と して C a O お よ び C a F 2 、 主 と して C a 〇 お よ び A l 2 〇 3 、 ま た は主 と して C a 0 , C a F 2 お よ び A 】 2 〇 3 力、 らな る いずれかの組合せの造滓剤が添加 さ れ、 ガスプラ ズマ に よ る加熱で再精鍊さ れて、 炭素 0.01%以下、 硫黄量 0.005¾ 以下にな される。
本発明の第 1 2 の特徴に よれば、 予め溶解 した重量%
で少な く と も N i 30 〜50% を含有する F e — N i 系合 金の金属溶湯が加熱手段を有する容器に注湯され、 該容 器中で、 炭素含有量が 0.01% 以下になる まで減圧精鍊を 受けた後、 減圧精練時のスラ グを実質的に持ち込まない で前記容器とは別容器に移される と と もに、 主と して C a Oおよび C a F 2 、 主と して C a Oおよび
A 1 2 03 、 または主と して C a 〇, C a F 2 および A 1 2 03 からなるいずれかの組合せの造滓剤が添加さ れ、 ガスプラ ズマによ る加熱で再精鍊されて、 炭素 0.01% 以下、 硫黄量 0.005% 以下にな される。
本発明の第 1 1 の特徴と第 1 2の特徴によれば、 いず れ も減圧精練の前に F e — N i 合金を溶解 し、 できれば 減圧精練の前に一次精鍊を行なってお く 工程を含む。 第 1 1 の特徴と第 1 2 の特徴の違いは、 第 1 1 の特徴によ れば、 減圧精練の行われる炉と プラ ズマ精練の行われる 炉が同一であるのに対 し、 第 1 2の特徴によれば、 減圧 精練が施された金属溶湯が別の炉に移されてプラ ズマ精 鍊が行なわれる点にある。
本発明の第 1 3 の特徴によれば、 重量%で少な く と も N i 30 〜 50% を含有する F e - N i 系の合金が加熱手 段を有する容器中で固体原料から溶解 して炭素含有量が 0.01% 以下になる まで減圧精練され、 こ の処理後の金属 溶湯に、 主と して C a Oおよ び C a F 2 、 主と して C a Oおよび A l 2 03 、 ま たは主と して C a 〇, C a F 2 および A 1 2 〇 3 からなるいずれかの組合せの
造滓剤が添加さ れ、 ガスプラ ズマに よ る加熱で再精鍊さ れて、 炭素量 0.0 以下、 硫黄量 0.005% 以下にな さ れ る。
本発明の第 1 4 の特徴によれば、 重量%で少な く と も N i 30 〜 50% を含有する F e — N i 系の合金が加熱手 段を有する容器中で固体原料か ら溶解 して炭素含有量が 0.01% 以下にな る ま で減圧精練され、 こ の処理後の金属 溶湯が前記容器 と は別容器に移 さ れる と と も に、 主 と し て C a Oおよ び C a F 2 、 主 と して C a 〇 お よ び
A 1 2 03 、 ま たは主 と して C a 〇, C a F 2 お よ び A 1 2 03 か らな る いずれかの組合せの造滓剤か添加 さ れ、 ガスプラ ズマに よ る加熱で再精鍊をさ れて、 炭素量 0.01%以下、 硫黄量 0.005% 以下にな さ れる。
留意すべき は、 本発明の第 1 1 〜第 1 4 の特徴に よれ ば、 N i 30 〜 50% を含有する F e — N i 系合金の金属 溶湯か、 プラ ズマ精練に移行する直前ま でに、 炭素が 0.01% 以下に下げ られ、 プラ ズマ精鍊過程では、 炭素の 変動を極少 と して、 も っ ぱ らスカ ムな ど不純物の除去、 脱硫を中心に した精練が行われる。
そのため、 本発明の特徴は、 特定条件下での F e - N i 系合金の '减圧精鍊を行ない、 引 き続いて新 し く 添加 す る特定の造滓剤を用いてガスプラ ズマに よ る再精鍊を 行な う と こ ろ にあ る。
本発明でい う 真空ま たは低酸素分圧雰囲気 と は、 それ ぞれ大気圧未満の雰囲気、 ま たは大気中の酸素分圧すな
わち 21 3HPa ( 1 01 3HPa x 0. 21 ) 未満の酸素分圧雰囲気を意 味する。 こ の条件を満足させる手段と しては、 真空ボ ン プで排気 し減圧する こ と、 不活性ガス( A r や H e な ど のガス) で酸素の一部を置換 し、 かつ減圧とガス置換を 組み合わせて、 数 l OOTo r r 以下の不活性ガス雰囲気とす る方法がある。
これ らのための実用炉と しては、 真空誘導炉
( V I F ) 、 V O D炉な どがあるが、 再精鰊への移行時 に除滓作業を不要とするためには、 減圧精鍊と して造滓 剤を実質的に使用 しない誘導加熱方法によ る ものが望ま しい。
なお、 プラズマ加熱下で行な う 再精鍊前の減圧精鍊終 了時点の金属溶湯が実質的にスラ グのない ものとは、 例 えば V 0 Dな どで減圧精鍊を行な う場合に造滓剤を添加 した と して も、 減圧精練が終了 して再精練に移行する時 はスラ グを何らかの手段で除去 して移行する こ とを意味 する。
また、 本発明の う ち真空誘導溶解炉で減圧精鍊を行い、 再精練に注湯する前の減圧精練終了直前、 ま たは終了直 後の金属溶湯に、 造滓剤を添加 して再精鍊炉に注湯する こ とがあるが、 こ れは再精鍊の開始を速やかに行う 目的 の ものであるから、 本発明方法に包含される ものである。
本発明の精鍊方法における望ま しい態様である撹拌の 方法は、 炉底に設けたポー ラ スプラ グからの不活性ガス によ る ものが、 撹拌効果の点から望ま しい。 不活性ガス
を吹き込む時に本発明で使用する種類の造滓剤を粉末の 形で吹き込むこ と も、 造滓剤によ る介在物の捕捉の点か ら有効である。 ま た、 電磁撹拌装置を単独またはガス吹 き込みと併用 して用いて も よい。
本発明の精練方法において減圧精鍊は、 加熱手段を有 する容器中で行なわれるから、 多岐に亘る材質や要求精 鍊 レベルに対 して も、 比較的少量の金属溶湯に対 して も . 要すれば加熱手段を用いる こ とによ り、 金属溶湯の温度 低下が防止され、 これによ り柔軟に対応して所定の精練 レベルの金属溶湯を得る こ とができ る。 減圧精鍊に先立 つ溶解 · 精鍊炉と してアー ク炉を用いれば溶解と精練が 効率よ く 行なえるが、 も ちろん、 固体原料の溶解か ら減 圧精鍊炉で実施する こ と も可能である。
本発明の方法において、 再精鍊炉での精鍊効果を上げ るために、 および減圧精練での耐火物との反応生成物を 減らすために、 耐火物の選択が重要である。 すなわち減 圧精鍊は基本的に減圧下で行な う ため、 S i 0 2 含有量 の多い耐火物は不向きであ り、 高アル ミ ナ質、 ま たはマ グネ シァ系の塩基性 レ ン ガを使用するか、 超高温で焼成 したマグク ロ系ダイ レ ク 卜 ボィ ド レ ン ガの使用が有効で ある。 また、 減圧精練開始前の耐火物の保熱も重要であ り、 こ れ らの配慮を して初めてスカ ムの量が減少 し、 再 精鍊での C a 0を必須とする造滓剤の役割が生かせるの である。
ま た、 第 2 発明の精練方法において、 再精鍊は、 減圧
精練とは別の新鮮な容器中で行なわれるから、 造滓剤の 添加によ るス ラ グの汚染は寡少で、 高 レ ベル に精練され た金属溶湯が容易に、 かつ効率的に得られる。
本発明における再精鍊は、 実質的に前工程からのスラ グの持ち込みがな く 、 蒸発できない不純物ゃスカム状の 不純物に対 して、 新たに添加する造滓剤を不活性ガスプ ラズマ加熱によ り活性化させて効果的に吸収させる こ と によ り行なわれる。 すなわち、 本発明において、 造滓剤 は不活性ガスプラ ズマ加熱によ り十分加熱されて低粘性 かつ活性化される こ とによ り、 前記付着物、 浮遊物等の 不純物の再混入物質および非金属介在物な らびに耐火物 に起因する汚染物質を効果的に捕集する こ とができ、 望 ま し く は後述の不活性ガス吹込み等によ る十分な撹拌に よ り、 金属溶湯と十分に相互に交換 しつつ接触 し、 高い 精鍊効果を生ずる。
再精練で使用する造滓剤と しては、 脱酸と脱硫効果の 高い C a 〇を必須と し、 流動性を高めて精練効果を向上 させる 目的で低融点の C a F 2 と、 脱酸効果および脱硫 性改善の目的で A 1 2 0 3 を適宜組み合わせた ものが主 と して使用 される。
こ の際、 塩基度を調整するための S i 0 2 は、 添加せ ずと も、 減圧精練時に不純物と して混入する S i 0 2 と 新たに添加する上記の C a 〇によ って塩基度 2 以上に調 整する。 望ま しい塩基度は 3 〜7 である。
造滓剤はま とめて金属溶湯に入れるが、 例えば上記の
A r を利用 して炉底か ら吹き込んで添加する こ とができ る o
例えば本発明の造滓剤の一つであ る 37% C a 0 - 63¾ C a F 2 を合成造滓剤と して上部か ら添加 し、 A r で撹 拌 した実験に よ る と、 吹き込みの撹拌効果で脱酸速度は 大き く 向上 し、 ステ ン レ ス鋼 ( S U S 3 0 4 ) の例では 酸素濃度が 1 0〜 1 2p pm に低下 し、 脱硫 も S = 0. 020 か ら S = 0. 0 1 % 以下ま で可能であ る こ と を確認 している。 減圧精鍊炉での精鍊用のス ラ グは再精練に実質的に持 ち込ま ない と こ ろに本発明の別の特徴かあ る。 新たに添 加する造滓剤が 「主 と して」 とは、 本発明の新たな添加 造滓剤が 95% 以上のほ とん どを占める こ と を意味する力^ 塩基度調整のための極少量の S i 0 2 な どの添加は許容 さ れる。 しか し、 本発明の方法に よれば通常は S i 0 2 も減圧精鍊炉の不純物 と して持ち込ま れるので添加する 必要はない。
本発明の最終工程の精鍊であ る プラ ズマ加熱に よ る再 精鍊方法におけ る望ま しい態様と して撹拌を加え る と よ い。 撹拌の方法は、 炉底に設けたボー ラ スプラ グか らの 不活性ガスに よ る ものか、 撹拌効果の点か ら望 ま しい。 ま た、 電磁撹拌装置を単独ま たは併用 して用いて も よ い。 不活性ガスプラ ズマ加熱装置は、 前述のよ う に ノ '一 ナ の ごと く 、 C 0 2 、 H 2 0、 遊離〇 2 等の酸化性ガスを 発生せず、 かつ高温加熱に適するか ら、 本発明において 再精練に用いる こ とは も ち ろん、 容器を更新する場合は
減圧精鍊継続中に、 他方でこ の加熱装置を用いて再精鍊 容器を高清浄かつ高温に予熱するのに用いる こ とができ る
また再精練容器からの出湯は、 容器底に設けたス ラ イ ディ ン グノ ズル方式によ る ものが、 傾注法ゃス ト ツパ形 式の ものによ る ものよ り スラ グの混入やプラ ズマ加熱に よ るス ト ツバの損傷等の不都合がな く 適当である。
本発明の第 3 、 第 4 の特徴によれば、 低窒素または炭 素を含有する鋼や合金の う ち、 窒素含有量が特に少な く 、 また低炭素の N i 基超耐熱合金、 F e - N i 系合金の電 磁気材料、 あるいは高炭素の高合金工具鋼な どの精練に 適 し、 金属溶湯中に残存する酸素や窒素を真空または低 酸素、 低窒素分圧雰囲気中に放出させて減圧精練を行な う。 その際、 低炭素の場合は予め、 金属溶湯中の炭素を、 酸素源の一例である酸素ガスを主体とする ガスを金属溶 湯中に吹き込んで十分酸素と炭素を反応させて C 〇ガス と して容器外に排出させた う えで、 ま た高炭素の場合に は、 減圧精練が終了 した時点で炭素含有量を調整するの がよい。 その結果、 スラ グの発生が比較的少な く 、 金属 溶湯中の炭素が低い状態ま たは所定の炭素を含有し、 さ らに残存する酸素と窒素の レベルが低い金属溶湯を、 次 の重要な工程である プラ ズマ加熱での再精鍊時に新たに 添加する造滓剤の種類や量を少な く して効果的に再精練 を行な う こ とができ る。
減圧精練とそれに続 く 再精鍊の メ リ ッ 卜 から言えば本
発明では、 溶解時に混入する酸素や窒素をスラ グが発生 する こ とな く 、 減圧精練で除去する こ とで、 実質的にス ラ グのない比較的きれいな状態で次のプラズマ再精鍊に 移行する こ とができ る。
これは本発明の重要な工程であるプラズマ加熱での再 精鍊を減圧精鍊時のスカ ムや ドロスな どの不純物除去に 特化する こ とができ、 プラズマ加熱下で使用する造滓剤 の種類や量も少な く て済むという利点がある。 こ の利点 を応用すれば、 炭素を含有する鋼や合金の場合で窒素も 低 く したい場合に も、 予め酸素源を供給 して脱炭を促進 させて脱窒効果を も高めた う えで、 次の真空または低酸 素、 低窒素分圧雰囲気の減圧精練を終了させた時点で炭 素源を添加 して炭素含有量を調整する こ とができ る。
なお、 上記の減圧精練の前ま たは減圧精練の期間中に 必要に応 じて実施する酸素ガスを主体とする ガスの吹き 込みは脱炭手段と して望ま しい方法であるか、 他の方法 と して、 酸素ガス吹き込みと、 金属溶湯成分の う ち主成 分ま たは副主成分からなる酸化物を添加 して (例えば F e 一 N i 合金の場合には、 酸化ニ ッ ケルを酸化物と し て使える) 、 金属溶湯中の炭素を酸化させる方法とを併 用 して、 よ り一層金属溶湯中の炭素を除去させて も よい。 この場合、 予め酸素主体のガス吹き込みによ り一次の脱 炭反応が終了 しているため、 前記酸化物の添加は少量で 済むので、 望ま しい方法である。 こ の方法によ る と、 酸 化物添加によ るスラ グの発生は少な く 、 また続いて行な
う減圧精鍊によ ってこ のス ラ グの一部は、 分解されてガ ス状とな って容器外に放出される。
さ らに本発明の滅圧精練時の酸素ガスを主体とするガ ス吹き込みによ る脱炭精鍊を行な う こ とで、 平衡反応で 同時に脱窒も促進させる利点 もある。
本発明における再精鍊は、 減圧精練段階で一旦分離さ れた不純物および非金属介在物を、 不活性ガスプラ ズマ 加熱下で新たに添加する活性化させた造滓剤によ り、 効 果的に吸収させる こ とによ り行なわれる。 すなわち、 本 発明において、 新たに添加 した造滓剤は減圧精練から持 ち込まれるスラ グが実質的にないため、 減圧精練からの 持込みスラ グを改質する ための余分な造滓剤を必要と し ないので、 スラ グの塩基度を必要以上に高めな く て も よ く 、 ま た添加 も少量でよい。 本発明の第 3 、 第 4 の特徴 による場合において も、 造滓剤は C a 〇を中心とする複 合 フ ラ ッ ク スを用いてスラ グの塩基度を 2 以上とする。 望ま し く は 3 〜7 に調整する と最適である。 その結果、 不活性ガスプラ ズマ加熱によ り十分加熱されて低粘性か つ活性化される こ と に よ り 、 前記付着物、 浮遊物等の再 混入物質および非金属介在物な らびに耐火物に起因する 汚染物質を効果的に捕集する こ とができ、 望ま し く は後 述の不活性ガス吹込み等による十分な撹拌によ り、 金属 溶湯と十分に相互に交換 しつつ接触 し、 高い精鍊効果を 生ずる。
再精練での加熱は本発明では不活性ガスプラ ズマ加熱
法であ るのが特徴であ る。
こ のよ う に再精鍊を行な う 不活性ガスプラ ズマ加熱法 は、 上述のよ う に C a Oお よ び C a F 2 、 C a Oおよ び A 1 2 03 、 ま たは C a O, C a F 2 お よ び A l 2 O 3 か らな る いずれかの合成造滓剤を効果的に加熱する一方, 金属溶湯や造滓剤の表面を被覆 して金属溶湯の酸化や造 滓剤が酸化性 とな る こ とを防ぎつつ、 金属溶湯を昇温 し、 ま たは温度低下を補償 し、 かつ、 黒鉛電極アー ク加熱法 の ごと く 、 炭素の ピ ッ ク ア ッ プ等の再汚染の危険がない。 こ の効果は極めて炭素の制御が要求さ れる ステ ン レ ス鋼 や F e 一 N i 合金の溶製な どに適 している。
本発明の第 1 1 〜第 1 4 の特徴によれば、 その実施に あた っては、 減圧精鍊過程で本発明で規定する F e - N i 系合金の金属溶湯の炭素含有量を 0.01% 以下に調整 してお く こ とが重要であ る。 こ の手段と しては、 ま ず原 料であ る鉄源の炭素含有量を極力少ない ものを選ぶ こ と が必要で、 例えば C 0.01 以下を狙う 時は、 鉄源の C % は 0.03¾ 程度が望ま しい。
さ らに、 低い値、 例えば C 0.005% 程度を狙 う 場合は、 鉄源の C % は 0.015 〜 0.02% 程度が望ま しい。 しか し、 C %が低い鉄源は コ ス ト 高にな るので、 その場合は鉄鉱 石や N i 0な どの酸化物に よ る脱炭反応と組み合わせる こ とができ る。 さ ら に、 第 3 の手段と しては、 撹拌と組 み合わせる こ とができ る。 撹拌の方法と しては、 電磁撹 拌ゃ A r ガスに よ る撹拌が採用でき る。 こ れ らの手段を
兼ね備えた炉と して真空誘導炉 ( V I F ) が望ま しいが 本発明の減圧精練は、 V O D炉な どの実用炉でも実現で き る。
本発明の第 1 1 〜第 1 4 の特徴によれば、 極めて低い 炭素、 硫黄および非金属介在物が要求される N i 30 〜 50% を含有する F e 一 N i 系合金の新 しい精練方法が提 案される もので、 その構成はプラ ズマ精練の負荷を大幅 に低減する特定条件の減圧精練とプラ ズマ精練の組合せ を必須と している。 さ らに本発明では、 減圧精練での負 荷を軽減する 目的を主とする一次精練との組合せをも含 むものである。
本発明では、 減圧精鍊過程で炭素を 0. 01 % 以下、 F e - N i 合金のエ ッ チ ン グ性向上な どの厳 しい要求の場合 には、 望ま し く は 0. 005%以下に下げてお く 。 こ の条件を 満足させる こ とで次工程のプラ ズマによ る再精鍊過程で %を0. 0 1 ¾; 、 望ま し く は 0. 005%以下のま ま推移させ、 最終製品の炭素含有量を少な く と も 0. 01 % 以下にする こ とができ るのである。 こ のこ とは、 再精練過程で脱炭を する工程をほ とん どな く すか、 極めて少量の脱炭を行な えばよい程度とな り、 全体の精練時間を短縮化する と と もに、 プラ ズマ再精練では脱炭以外の精練を主に行ない、 極めて低い不純物と低炭素の F e - N i 合金が得られる ものである。
本発明の精練方法において減圧精練は、 加熱手段を有 する容器中で行なわれるから、 多岐に亘る材質や要求精
鍊 レベルに対 して も、 比較的少量の金属溶湯に対 して も 要すれば加熱手段を用いる こ とによ り、 金属溶湯の温度 低下が防止され、 これによ り柔軟に対応 して所定の精練 レベルの金属溶湯を得る こ とができ る。 本発明の第 1 1 第 1 2 の特徴によれば、 減圧精練に先立つ溶解 · 精鍊炉 と してアー ク炉を用いれば溶解と精練が効率よ く 行な う こ とができ、 特に炭素含有量の高い鉄源を用いた F e — N i 合金の精練の場合には、 アー ク炉での酸素吹鍊 も併 用でき るな どの利点がある。
こ のため、 減圧精鍊炉の負担が軽減される効果がある c 減圧精練に先立つ溶解 · 精鍊炉は本発明の第 1 〜第 1 0 の特徴において も採用でき る。 本発明の第 1 1 、 第 1 2 の特徴によれば、 減圧精鍊炉で固体原料の溶解から実施 する場合には、 当然一次精鍊炉を省略でき る し、 真空ま たは減圧下での速やかな脱炭ができ る。
更新容器は減圧精練でのスプラ ッ シ ュゃ ヒ ユ ーム等に よ る汚染を受けないよ う に準備する と よい。
これに適する減圧精鍊炉と再精鍊炉の組合せ装置を図 1 2 に示す。 図 1 2 では、 更新容器は大気遮断室 a に仕 切りバルブ 4 を介 して連結する第 2 の大気遮断室 b に予 めセ ッ 卜 される。
すなわち、 減圧精練は真空ま たは低酸素分圧雰囲気下 にある大気遮断室 a で行な う ので、 再精鍊容器 2 7 は予 熱 した後、 仕切りバルブ 4 を介 して連結 している真空ま たは減圧室からなる第 2 の大気遮断室で準備 してお く 。
大気遮断室 a での精練が完了する と、 仕切バルブ 4 を 開放し、 その開口を経て再精練容器 2 7 を軌条および台 車 2 4 によ り大気遮断室 a の位置 2 7 ' へ移動する。
この時に大気遮断室 a と再精鍊容器をセ ッ ト していた 部屋 b (第 2 の大気遮断室) は連通するが、 どち ら も真 空または減圧されているので同気圧になるだけで、 やは り真空ま たは低酸素分圧雰囲気が保たれる こ とになる。 こ のよ う にすれば、 更新容器は減圧精鍊中は大気遮断室 a 外にあるのでスブラ ッ シュゃ ヒ ュ ーム等の汚染を受け ない。
実施例
実施例 1 :
図 1 2 に示す設備において、 以下に示す手順で操業を 行な った。
アー ク炉で溶解 した金属溶湯を誘導加熱精鍊炉 5 に注 湯 し、 大気遮断室 a 内を真空に して脱酸を行な っ た。
並行的に大気遮断室 a の外部には、 予め予熱された再 精練容器 2 7 をセ ッ トする。 こ の時、 減圧精練は真空ま たは低酸素分圧雰囲気下にある大気遮断室 a で行な う の で、 再精鍊容器 2 7 は仕切 りバルブ 4 を介 して連結 して いる真空ま たは減圧室 b (第 2 の大気遮断室) で準備 し てお く 。
大気遮断室 a での精練が完了する と、 仕切バルブ 4 を 開放 し、 その開口を経て再精鍊容器 2 7 を軌条および台 車 2 4 によ り大気遮断室 a の位置 2 7 ' へ移動する。
この時に大気遮断室 a と再精練容器をセ ッ 卜 していた 減圧室 b は連通するが、 どち ら も真空ま たは減圧されて いるので同気圧になるだけで、 やは り真空ま たは低酸素 分圧雰囲気が保たれる こ とになる。
誘導加熱精鍊炉 5 を傾動 して、 金属溶湯を再精鍊容器 2 7 へ出湯する。 出湯は蓋体 3 を開放 して精鍊炉 5 ごと 再精練位置 2 7 に移動 し、 再精練に移る こ と もでき る。
出湯後、 副原料投入系 9 によ り C a ◦および C a F 2 . C a Oおよび A l 2 0 3 、 または C a O , C a F 2 およ び A 1 2 0 3 を主体とする造滓剤を添加 した。 必要によ つてはさ らに合金原料を添加する。 副原料投入系 9 は本 実施例では再精鍊位置に設置 したが、 大気遮断室 a 内で 投入 して も よい。 その後、 軌条およ び台車 2 4 によ り、 金属溶湯を保持 した再精鍊容器を速やかに再精練位置 ( 2 7 ) へ移動 し、 不活性ガスプラ ズマ加熱装置によ り 加熱 して造滓剤の溶融、 加熱を行ない、 かつ不活性ガス 導入系 7 b を経てポー ラ スプラ グ 2 8 からガスを吹込み 撹拌する こ とによ り、 傾動等によ る出湯によ り再精鍊容 器 2 7 内に金属溶湯と共に流れ込んだ ドロス状、 スカ ム 状浮遊物や付着物、 ま たはさ らに自身の耐火物に起因す る汚染物が金属溶湯内に溶融拡散する以前に新鮮で活性 なスラ グで吸収する。 こ のこ とか最大の再精鍊効果を生 むこ と と る。
再精練が終了 し、 所定の鎮静を行な った後、 スライ デ イ ン グノ ズル 2 9 を経てイ ンゴッ ト ケース 3 0 に铸造 し
た。
次に本願の方法発明の効果を各種のテス ト例で説明す る。 いずれも、 実験に用いた金属溶湯は、 F e - 42 N i 合金である。
図 2 は、 アー ク炉で固体原料を溶解 した後、 真空誘導 加熱精鍊炉 5 に注湯し、 真空度を高めて減 E精鍊を した 時の経過時間に対する精鍊の進行度合を、 鋼中の酸素濃 度で測定 した結果を示 した図である。
図 2 から、 真空精練によ り経過時間 と と も に、 精辣が 急速に進行している こ とがわかる。
図 3 は、 前記減圧精練と同一条件で精練 した金属溶湯 を予め不活性ガスプラズマ加熱装置で内張り耐火物を加 熱した再精練容器へ上述と同一条件の傾注によ り受湯し、 次いで、 C a 0 と C a F 2 力 1 対 1 の比率の造滓剤を溶 鋼 ト ン当 り合計 2 O k g添加する と共に、 炉底のポー ラ スプラ グによ るアルゴンガス撹拌と金属溶湯上面からの 不活性ガスプラ ズマ加熱を行ないつつ、 本発明における 再精鍊を行な っ た時のガス濃度の変化を示 した ものであ る。 なお、 再精鍊後のスラ グ 'を採取 して測定した結果、 塩基度 5 であ っ た。 図 3 から、 本発明に係る再精練で再 混入物の再溶解は防止され、 時間の経過と と もに、 ガス 濃度は徐々 に低下 してお り、 本スラ グを使っ たプラ ズマ 加熱下での再精練で減圧精練の レ ベル以上に精練が進行 している こ とがわかる。
ま た図 4 は、 造滓剤と して C a 〇 と A 1 2 0 3 を 1 対
1 の比率で、 金属溶湯 T当 り合計 2 0 k g添加 した場合 さ らに図 5 は造滓剤と して、 C a O と C a F 2 と
A 1 2 0 3 を 2 対 1 対 1 の比率で、 金厲溶湯 ト ン当 り合 計 2 0 k g添加 した場合の精鍊経過時間に対するガス濃 度の変化を示 した ものである。 なお、 再精練後のスラ グ の塩基度は図 4 および図 5 の場合と も 4 であった。
なお、 造滓剤の組合せによ る精鍊効果が最も高い もの は、 C a O , C a F 2 および A l 2 0 3 の 3 種を添加 し た場合が脱酸効率が良 く 、 介在物の浮上分離も十分促進 されてレ、る こ とがわかる。
実施例 2 :
図 6 に示す設備を用いて、 以下に示す手順で操業を行
'よ つ o
実施例 1 と同 じ F e - 42 N i 合金をアー ク炉で溶解 し た金属溶湯を容器 5 0 内に注湯 した。 続いて、 容器真空 蓋 5 3 を施 し、 真空排気系 5 4 によ り 容器 5 0 内を減圧 し、 誘導加熱コイ ル 5 2 によ り溶解を開始した。 次いで 溶解 した金属溶湯に図示 しないラ ン スを こ の金属溶湯 5 1 に挿入 し、 前記ラ ンスを介 して外部から酸素ガス と A r ガスを混合 したガスを吹き込んで脱炭精練を行な つ た。 上記の混合ガスの吹き込みを終了 した後に、 引 き続 いて酸化ニ ッ ケル と酸化鉄 ( F e 2 0 3 ) を合計で金属 溶湯 ト ン当 り 3 k g を投入装置 5 5 から添加 した。 次に 真空排気系 5 4 の容量を高めて脱酸を開始 した。 脱酸精 練が終了 した時点で真空排気系 5 4 を止め、 アルゴ ン底
吹き撹拌装置 5 8 からアルゴンガスを流人 して置換 した 次いで投入装置 5 5 から C a O と C a F 2 と A l 2 0 3 を 2 対 1 対 1 の比率で、 金属溶湯 ト ン当 り合計で 2 0 k g の造滓剤を添加 した。
次いで、 容器真空蓋 5 3 の外部にセ ッ ト してあるブラ ズマ加熱 ト ーチ 5 6 を容器 5 0 内に挿入 してプラ ズマ加 熱を開始し (図 6 は加熱 ト ーチ挿入の前の図である) 、 同時に前記ア ルゴ ン底吹き撹拌装置 5 8 からアルゴ ンガ スを吹き込みなが ら、 金属溶湯を撹拃させて再精鍊を行 な っ た。 再精練が終了する と容器 5 0 を吊 り上げて铸造 場に移動 してから、 スラ イ ディ ン グノ ズル 5 7 を開口 し - 前記ス ラ イ ディ ン グノ ズルの下に用意されたイ ン ゴ ッ ト ケースに铸造した。
こ のよ う に して得られた铸塊から採取 した試料をガス 分析 した結果、 実施例 1 の混合ガス と酸化ニ ッ ケルを加 えて脱炭、 脱酸 し、 さ らにプラ ズマ加熱炉で再精練 した F e - 42N i 合金の酸素濃度が 21 ppm 、 炭素濃度が 29 ppm であっ たのに対 して、 上記方法によ る合金は、 酸素 濃度が 24ppm 、 炭素濃度は 30ppm であ った。
なお、 以上の実施例において、 減圧精練の例と して真 空精鍊法を用いた例で述べたが、 本発明はこ れに限定さ れない。 すなわち、 精鍊対象である金属溶湯が含有する 合金成分元素によ っては、 その成分の蒸発等によ る損失 を防止抑制するため、 通常、 絶対圧力で 200Torr 程度以 下の不活性ガス雰囲気が適宜選定されてお り 、 高真空で
ない場合 も本発明に含む。
また、 上記実施例において、 真空精鍊用金属溶湯は、 他の溶解炉で溶解および一次精練 した ものを用いたが、 本発明はこれに も限定されず、 固体原料から出発 して、 溶解と減圧精鍊をする ものであって も よい。
こ のよ う に本発明の金属溶湯の精鍊方法は、 実質的に スラ グのない比較的きれいな伏態でプラ ズマによ る再精 鍊に移行でき る利点がある。 その結果、 再精鍊時に添加 する造滓剤は、 持込みスラ グを改質する必要がないため 少量ですみ、 不活性ガスプラズマ加熱によ り十分加熱さ れて低粘性かつ活性化される こ とによ り、 効果的、 かつ 効率良 く 再精鍊を実施する こ とができ る。
本発明に係る再精練で再混入物の再溶解は防止され、 本スラ グを使っ たプラズマ加熱下での再精練で減圧精練 の レ ベル以上に精練が進行する。
特に、 C a 〇, C a F 2 および A l 2 〇 3 の 3 種を添 加 した場合が脱酸効率が良 く 、 介在物の浮上分離も十分 促進される。
ま た、 再精鍊時に炭素の ピ ッ ク ア ッ プがないので、 特 に炭素の混入を厳 し く 制限される合金に適用する と有効 である。
これによ り、 材質や要求精鍊 レベル、 さ らには炉容量 の限定を受けず、 柔軟に対応 して高度に精練された金属 溶湯が得られ、 健全なイ ン ゴ ッ 卜、 铸造品を得る こ とを 可能とする ものである。
実施例 3 :
図 1 に示す設備を用いて、 以下に示す手順で操業を行 つ 7こ o
誘導加熱精鍊炉 5 に、 固体原料を投入 した後、 蓋体 3 を施し、 真空排気系 6 a によ り大気遮断室 a 内を減圧 し 誘導加熱炉によ り溶解を開始 した。 次いで溶解した金属 溶湯に、 図示 しないラ ン スを金属溶湯中に挿入 し、 前記 ラ ンスを介 して大気遮断室 a の外部から酸素ガス と A r ガスを混合 したガスを吹き込んだ。 前記混合ガスの吹き 込みを終了 した後、 ラ ン スを金属溶湯から引き上げてガ スの供給を中止 し、 続いて大気遮断室を Ι Τ Ο Γ Γ 以上に真 空度を上げて真空精練を行な っ た。
並行的に大気遮断室 a の内部には、 予め予熱された再 精鍊容器が容器蓋体 2 7 a を付けてセ ッ 卜 されている。 これは減圧精鍊中のスプラ ッ シ ュ な どを防止するためで ある。 大気遮断室 a での精練が完了する と、 誘導加熱精 鍊炉 5 を傾動する こ とによ り、 金属溶湯を再精練容器 2 7 ' へ出湯する。 次に仕切バルブ 4 を開放 し、 その開口 を経て再精鍊容器 2 7 ' を軌条および台車 2 4 によ り再 精鍊位置 2 7 へ移動する。
続いて副原料投入系 9 によ り造滓剤を添加 し、 不活性 ガスプラ ズマ加熱装置によ り加熱して造滓剤の溶融、 加 熱を行ない、 かつ不活性ガス導入系 7 b を経てボー ラ ス プラ グ 2 8 から A r ガス吹込み撹拌する こ とによ り、 再 精鍊を行な った。 再精練が終了 し、 所定の鎮静を行な
つ た後、 スラ イ ディ ン グノ ズル 2 9 を経てイ ンゴッ ト ケ ース 3 0 に铸造した。 本実施例では、 再精鍊容器 2 7 ' は予め大気遮断室 a 内にセ ッ ト したが、 図 1 2 のよ う な 設備で実施して も よい。 この場合は、 再精練容器の予熱 が十分行なえる こ と、 スブラ ッ シュな どの汚染が防止で き る効果がある。
次に本願の方法発明の効果を各種のテス ト例で説明す る。 いずれ も、 実験に用いた金属溶湯は、 F e — 42 N i 合金である。
図 7 は、 真空誘導加熱精鍊炉で固体原料を投入 して溶 解を開始 し、 原料が溶け終っ た時点から、 酸素源の添加 または吹き込みを行なわずに真空引き を継続させた際の 経過時間に対する減圧精鍊の進行度合を、 金属溶湯中の 酸素濃度、 窒素濃度、 炭素濃度で測定した結果を示 した 図である。
図 7 から、 真空精練によ り、 金厲溶湯中の酸素濃度と 窒素濃度が急速に低下し、 その際に酸素と炭素が結び付 いて C 〇ガス とな って大気遮断室 a の外部に排出さ れる 結果、 炭素濃度も同時に減少 している こ とがわかる。
図 8 は、 前記減圧精練と同一条件で精練 した金属溶湯 を予め不活性ガスプラ ズマ加熱装置で内張り耐火物を加 熱した再精鍊容器へ上述と同一条件の傾注によ り受湯 し、 造滓剤を添加する と共に、 炉底のポーラ スプラ グによ る ア ルゴ ンガス撹拌と金属溶湯上面からの不活性ガスプラ ズマ加熱を行ないつつ、 本発明における再精練を行な つ
た時の酸素濃度、 窒素濃度、 炭素濃度の変化を示す もの である。 こ の図から、 本発明に係る再精練で再混入物の 再溶解は防止され、 時間の経過と と もに、 酸素濃度はむ しろ徐々 に低下いるが、 窒素濃度はほ とんど変化 してい ないこ とがわかる。
また炭素濃度は、 減圧精鍊後の レベルとほぼ同様で、 再精鍊によ ってさ らに脱炭させる こ とができなかっ た。 こ のよ う に、 本発明の種目的である窒素含有量が 0.01% 以下の金属溶湯にするためには、 減圧精練時に調整する こ とが重要で、 こ の段階までに低窒素に しておけば、 次 の重要な工程であるプラ ズマ加熱での再精練時に新たに 添加する造滓剤の種類や量を少な く して効果的に再精鍊 を行な う こ とができ る。
次に上記と同様に誘導加熱炉 5 で固体原料を溶解 し、 原料か溶け終っ た時点で金属溶湯中にラ ン スを挿入 して、 こ の ラ ン スか ら、 酸素ガス と A r ガスの混合ガスの吹き 込みを開始する と と もに、 酸化ニ ッ ケルを金属溶湯 ト ン 当 り 3kg 添加 し、 続いて真空度を高めて減圧精鍊 した。 減圧精練を終了 した時点で、 金属溶湯を採取 して分析 し た結果、 酸素濃度が 67ppm 、 窒素濃度が 30ppm 、 炭素濃 度か 11 ppm であ った。 プラ ズマ精鍊炉に移 して造滓剤を 添加 して、 再精練を行な っ た後に铸造 した。 得られた铸 塊を分析 した結果、 酸素濃度が 22ppm 、 窒素濃度が 29 ppm 、 炭素濃度が 12ppm であった。 こ のよ う にプラ ズマ 加熱によ る再精鍊は、 窒素濃度と炭素濃度の上昇のほ と
んどない状態で脱酸を十分に行な う こ とができ、 不純物 や非金属介在物の除去が行なえる こ とがわかる。
上述 したよ う に、 窒素含有量が低 く 、 特に低炭素が要 求される合金を精鍊するためには、 減圧精鍊炉で十分脱 炭反応を行な って、 さ らに真空精鍊によ って脱酸させた きれいな金属溶湯を、 次のプラズマ加熱によ る再精鍊を する と極めて清浄度の高い合金が得られる こ とがわかる( なお、 以上の実施例において、 減圧精練の例と して真 空精練法を用いた例で述べたか、 本発明はこれに限定さ れない。 すなわち、 精練対象である金属溶湯が含有する 合金成分元素によ っては、 その成分の蒸発等によ る損失 を防止抑制するため、 通常、 絶対圧力で 200T o r r 程度以 下の不活性ガス雰囲気が適宜選定されてお り、 高真空で ない場合 も本発明に含む。
ま た、 上記実施例において、 減圧精鍊炉で直接固体原 料から溶解を行な った ものについて説明 したか、 真空精 鍊する前の工程、 つま り溶解および酸素源の吹き込みま たは添加を別の容器で行な って も よいこ とは言う までも ない。
実施例 4 :
図 6 に示す設備を用いて、 以下に示す手順で操業を行 な った。
アー ク炉で高炭素、 高 V系の高速度工具鐧である
J I S規格の S K H 5 7 を溶解した金属溶湯を容器 5 0 内に注湯 した後、 容器真空蓋 5 3 を施 し、 真空排気系 5
4 によ り容器 5 0 内を真空に し、 誘導加熱コイ ル 5 2 に よ り減圧精練を行な った。 脱酸精練が終了 した時点で真 空排気系 5 4 を止め、 分析 し量を分析 した結果、 酸素濃 度が 59ppm 、 窒素濃度が 39ppm であ った。 なお、 脱酸過 程で脱炭 した不足分の炭素は、 減圧精練が終了 した後、 炭素源を添加 して、 目標値の 1.25% に調整した。 続いて - アルゴン底吹き撹拌装置 5 8 からアルゴンガスを流入 し て置換 した上で投入装置 5 5 から造滓剤を添加 した。 次 いで容器真空蓋 5 3 の外部にセ ッ 卜 してあるプラ ズマ加 熟 ト ーチ 5 6 を容器 5 0 内に挿入 してプラ ズマ加熱を開 始 し、 同時に前記アルゴン底吹き撹拌装置 5 8 からアル ゴ ンガスを吹き込みながら金属溶湯を撹拌させて再精鍊 を行な っ た。 再精練が終了する とスラ イ ディ ン グノ ズル 5 7 を開口 し、 前記スラ イ ディ ン グノ ズルの下に用意さ れたイ ン ゴ ッ ト ケースに受湯 した。
こ の よ う に して得られた铸塊から採取 した試料を分析 した結果、 酸素濃度が 35ppm 、 窒素濃度が 37ppm 、 C含 有量が 1.26% であ っ た。
本発明の金属溶湯の精鍊方法は、 不純物元素と して窒 素の含有量が特に厳 し く 制限される鐧ゃ合金に も適 した 金属溶湯の精鍊方法であ り、 低炭素が要求される N i 基 超耐熱合金、 F e - N i 系合金な どの電磁気材料、 ある いは高炭素の高合金工具鋼な どに も適用する こ とができ る利点がある。
本発明の方法によれば、 減圧精練で低窒素に した金属
溶湯を実質的にスラ グのない比較的きれいな金属溶湯の 状態で、 次のプラズマ加熱精練に移行でき るため、 精鍊 効率の高い極めて清浄度の高い合金を得る こ とができ る 本発明の方法では、 減圧精練でのスラ グの発生が比較 的少な く 、 金属溶湯中の窒素が低 く 、 さ らに残存する酸 素 レベルが低い金属溶湯が得られる。 その結果、 プラ ズ マ加熱での再精鍊時に新たに添加する造滓剤の種類や量 を少な く して効果的に再精鍊を行な う こ とができ る。
さ らに本発明の減圧精鍊時の酸素ガスを主体とする ガ ス吹き込みによ る脱炭精練を行な う こ とで、 平衡反応で 同時に脱窒も促進させる利点 もある。
ま た、 本発明は、 脱酸、 脱窒を行な う減圧精鍊を終了 した金属溶湯を別の容器に更新する こ とで、 さ らに きれ いな金属溶湯の状態で次のプラズマ加熱によ る再精鍊を 効率的に行な う こ とができ る。
実施例 5 :
図 1 に示す設備において、 以下に示す手順で操業を行 つ こ 0
誘導加熱精鍊炉 5 で F e — N i 合金のス ク ラ ッ プ、 鉄 源、 N i 源からなる固体原料を溶解 した。
目標とする組成は、 F e _ 42N i 合金で、 C %力 0.008 以下、 S %が 0.005 以下である。 鉄源の C %は 0.03 であ り、 合金原料と脱炭を兼ねた固体原料と して N i 0 (酸化ニ ッ ケル) と鉄鉱石を ト ン当 り 12kg/ tonで 使用 した。 真空排気系 6 a によ り、 大気遮断室 a 内を真
空に して一部 N i 0の添加で合金組成を調整 しながら脱 炭と脱酸を繰返 し減圧精練を行な っ た。
本実施例では固体原料から減圧精鍊炉で開始 している が、 こ の固体原料の溶解を別の炉で行ない、 図 1 に示す 減圧精鍊炉 5 に取鍋を介 して蓋体 3 を開放 して金属溶湯 を移すこ とでも実施でき る。
並行的に大気遮断室 a の内部には、 予め予熱された再 精鍊容器が容器蓋体 2 7 a を付けてセ ッ ト されている。 これは減圧精練中のスプラ ッ シュ な どを防止する ためで ある。 本実施例では、 再精辣容器 2 7 ' を大気遮断室 a の内部に予めセ ッ 卜 したが、 図 1 2 のよ う に a とは別の 大気遮断室 b を仕切 りバルブ 4 を介 して連通 して設けれ ば、 外段取り で再精練容器 2 7 ' を準備する こ とができ る。 こ の場合には、 プラ ズマ加熱によ る再精鍊位置 2 7 でプラ ズマの予熱を利用 して再精鍊容器を十分予熱して お く こ とができ る。 その後、 減圧精練が終了する直前か ら a 室と連通する大気遮断室 b を a 室と同程度以上の減 圧状態に して、 仕切り バルブ 4 を開放 して再精鍊容器 2 7 ' を 2 7 の位置から 2 7 ' の位置に移動する。 その後 は、 本実施例と同様に減圧精練の終了 した金属溶湯を受 湯 して再び再精鍊位置 2 7 に移動する。
こ の方法は、 再楕鍊容器にスプラ ッ シ ュ な どが付着す る こ とが防止でき る こ と、 十分な予熱ができ、 速やかに プラズマ精鍊の効果が発揮でき る特徴がある。 大気遮断 室 a での精練が完了する と、 誘導加熱精鍊炉 5 を傾動す
る こ とによ り、 金属溶湯を再精練容器 2 7 ' へ出湯する 次に仕切バルブ 4 を開放 し、 その開口を経て再精練容器 2 7 ' を軌条および台車 2 4 によ り再精練位置 2 7 へ移 動 した。
続いて副原料投入系 9 によ り造滓剤を添加 し、 ガスプ ラズマ加熱装置によ り加熱して造滓剤の溶融、 加熱を行 ない、 かつ不活性ガス導入系 7 b を経てポー ラスプラ グ 2 8 から A r ガス吹込み撹拌する こ とによ り、 再精練を 打な つ 。
再精練が終了 し、 所定の鎮静を行な っ た後、 ス ラ イ デ イ ン グノ ズル 2 9 を経てイ ン ゴ ッ 卜 ケー ス 3 0 に铸造 し た。
次に本願の方法発明の効果を各種のテス ト例で説明す る。 いずれも、 実験に用いた金属溶湯は、 F e — 42 N i 合金である。
図 9 は、 アー ク炉で溶解 し、 特に脱炭処理を しない状 態で真空誘導加熱精鍊炉に受湯して、 引き続き前記精練 炉を真空に して減圧精練を した時の経過時間に対する精 練の進行度合を、 鋼中の酸素濃度, 炭素濃度および硫黄 濃度と して測定した結果を示 した図である。
図 9 から、 真空精練によ り経過時間 と と もに、 金属溶 湯中の酸素が気化する際に炭素と反応 して C 〇ガス とな つて精鍊炉外に排出される結果、 脱酸と と もに脱炭も急 速に進行する反面、 脱硫は進行 しないこ とがわかる。
図 1 0 は、 アー ク炉で溶解し、 真空誘導炉 ( V I F )
で減圧精練 した F e _ N i 合金の金属溶湯を、 別の容器 に注湯 し、 予めガスプラ ズマ加熱装置で内張り耐火物を 加熱した再精鍊容器へ上述と同一条件の傾注によ り受湯 し、 造滓剤を添加する と共に、 炉底のボー ラ スプラ グに よ るアルゴンガス撹拌と金属溶湯上面からのガスプラズ マ加熱を行ないつつ、 本発明における再精練を行な っ た 時の酸素濃度、 硫黄濃度、 炭素濃度の変化を示すもので ある。 なお、 再精鍊時に添加 した造滓剤は、 C a 0 と C a F 2 と A l 2 03 を 2対 1 対 1 の比率で金属溶湯 ト ン当 り 合計で 2 0 k gであ っ た。 図 1 0 から、 本発明に 係る再精練で再混入物の再溶解は防止され、 時間の経過 と と もに脱硫が進行し、 ま た酸素濃度 も徐々 に低下 して いる こ とがわかる。
なお、 こ の精辣で得られた合金を J I S法で非金属介 在物の評価を行な っ たが、 下記に示す A S E A - S K F 炉での再精練の場合は、 d 60x 400 = 0.025%であ っ た も のが、 d 60 X 400 = 0.004%と減少し、 非金属介在物低減 の効果 も大きいこ とを確認した。
一方、 図 1 1 は前記の実施例と同様なアー ク炉と真空 誘導炉 ( V I F ) を用いた減圧精練を行な った金属溶湯 を従来実施された精練の う ちの一つである A S E A - S K F炉に注湯 して再精練を行な っ た時の経過時間に対 する酸素濃度、 硫黄濃度、 炭素濃度の変化を示 した もの である。
図 1 1 から、 従来の A S E A— S K F炉によ る精練は、
脱酸、 脱硫に対 して有効であるが、 加熱電極が黒鉛製の ため炭素の ピ ッ ク ア ッ プによ り急激に炭素濃度が増加 し てお り、 炭素の混入が厳し く 制限される本発明が対象と する F e 一 42N i 合金には不適当である こ とがわかる。
実施例 6 :
図 6 に示す設備を用いて、 以下に示す手順で操業を行 な っ た。
実施例 1 と同 じ F e — 42N i 合金の固体原料を容器 5 0 内に投入 した後、 容器真空蓋 5 3 を施し、 真空排気系 5 4 によ り容器 5 0 内を減圧 し、 誘導加熱コ イ ル 5 2 に よ り溶解を開始した。 次いで溶解した金属溶湯に図示し ないラ ンスをこ の金属溶湯 5 1 に挿入 し、 前記ラ ン スを 介 して外部から酸素ガス と A r ガスを混合 したガスを吹 き込んで脱炭精鍊を行なっ た。 上記の混合ガスの吹き込 みを終了 した後に、 引き続いて酸化ニ ッ ケル と酸化鉄 ( F e 2 03 ) を合計で金属溶湯 ト ン当 り 3 k g投入装 置 5 5 から添加 した。 次に真空排気系 5 4 の容量を高め て脱酸を開始した。 脱酸精練が終了 した時点で金属溶湯 サ ン プルを採取 した結果、 酸素濃度が 66ΡΡΠ) 、 炭素濃度 が 27ppm 、 硫黄濃度が 83ppm であ っ た。 続いて真空排気 系 5 4 を止め、 ア ルゴ ン底吹き撹拌装置 5 8 からアルゴ ンガスを流入 して置換 した。
次いで、 投入装置 5 5 から C a 〇 と C a F 2 を 1 対 1 の比率で、 金属溶湯 ト ン当 り合計で 2 0 k gの造滓剤を 添加 した。 次いで、 容器真空蓋 5 3 の外部にセ ッ ト して
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43 あるプラ ズマ加熱 ト ーチ 5 6 を容器 5 0 内に挿入 してプ ラズマ加熱を開始 し、 同時に前記アルゴン底吹き撹拌装 置 5 8 からアルゴンガスを吹き込みながら、 金属溶湯を 撹拌させて再精鍊を行な っ た。 再精練が終了する と、 ス ラ イ ディ ン グノ ズル 5 7 を開口 し、 前記スラ イ ディ ン グ ノ ズルの下に用意されたィ ンゴッ ト ケースに受湯 した。
このよ う に して得られた铸塊から採取 した試料を分析 した結果、 実施例 1 の真空精鍊によ って脱炭、 脱酸 し、 さ らにプラズマ加熱炉で再精練 した合金の酸素量が 36 ppm 、 炭素量が 54ppm 、 硫黄量が 65ppm であ っ たのに対 して、 上記方法によ る合金は、 酸素濃度が 31ppm 、 炭素 濃度は 27ppm 、 硫黄濃度が 32ppm であ った。
なお、 以上の実施例において、 減圧精練の例と して真 空精練法を用いた例で述べた力 本発明はこ れに限定さ れない。 すなわち、 精練対象である金属溶湯が含有する 合金成分元素によ っては、 その成分の蒸発等によ る損失 を防止抑制するため、 通常、 絶対圧力で 200Torr 程度以 下の不活性ガス雰囲気が適宜選定されてお り、 高真空で ない場合 も本発明に含む。
次に、 図 6 に示す設備を用いて上記の実施例 6 と同 じ 要領で F e 一 42N i 合金を溶解、 脱炭および真空処理に よ る減圧精鍊を行な った後、 C a 0 と A 1 2 0 3 を 1 対 2 の比率で、 金属溶湯 ト ン当 り 5kg の造滓剤を添加 して プラズマ加熱によ る再精練を行な った。 得られた铸塊か ら試料を採取 して分析 した結果、 酸素濃度が 49ppm 、 炭
素濃度が 31ppm 、 硫黄濃度が 51ppm であ っ た。
本発明の N i 30 〜50% を含有する F e — N i 系合金 の精鍊方法は、 減圧精鍊炉で予め炭素濃度を 0.01% 以下 と して、 実質的にスラ グのない比較的きれいな状態で低 炭素濃度のま まで再精鍊を行ない、 減圧精辣よ り も さ ら に低い不純物とする こ とができ る利点がある。 再精鍊時 に添加する造滓剤は、 持込みスラ グを改質する必要がな いため少量ですみ、 ガスプラ ズマ加熱によ り十分加熱さ れて低粘性かつ活性化される こ とによ り、 効果的、 かつ 効率良 く 脱硫ゃスカムな どの不純物を除去する再精練を 実施する こ とができ るのである。
本発明の精鍊方法によれば、 製品の炭素含有量と硫黄 含有量、 および非金属介在物がと もに厳 し く 制限される、 重量%で少な く と も N i 30 〜50% を含有する F e — N i 系合金の精鍊時に、 前述の炭素の ピ ッ ク ア ッ プの問 題がな く 、 持込みスラ グを改質する必要もな く 、 高 レ べ ルの精鍊等の場合に も柔軟に対応でき る金属溶湯の精鍊 が可能である。
ま た、 減圧精練の前段階に一次精練とを組み合わせれ ば、 さ らに効率のよい精練ができ る。
産業上の利用分野
本発明は、 炭素、 酸素および (または) 硫黄の含有量 が厳し く 制限される、 ス テ ン レ ス鋼、 Ni基合金、 Fe- Ni 合金、 電磁気材料用鋼、 および窒素、 酸素、 硫黄の含有 量の低い中炭素系構造用鋼、 高炭素系合金工具鋼な どの
精練に適する。 また、 本発明精練方法によれば、 不純物 含有量の十分少ない前記合金材料を得る こ とができ る。