明 細 水性塗料用樹脂組成物
技術分野
本発明は特にカチオン電着塗料において有用な水性塗料用樹脂組成物 に関する。
背景技術
従来、 ァミン付加エポキシ樹脂などのポリアミン樹脂とプロックポリ イソシァネート化合物とを主成分とするカチォン電着塗料用樹脂組成物 が、 防食性などがすぐれているため多く用いられている。 しかしながら、 該組成物には次に列挙するような種々の欠点を有しており、 その解決が 強く望まれている。
① 硬化開始温度が 170°C以上で高すぎる。
② 高温加熱するとプロックポリイソシァネート化合物が熱分解して、 ャニゃススが生成し、 しかも上塗り塗膜に黄変、 ブリードおよび硬化阻 害が生じ、 かつ耐候性も著しく低下し、 白化しやすい。
③ 硬化開始温度を低くするために、 触媒として有機錫化合物を添加 すると、 排気燃焼触媒を被毒させることがある。
また、 このような欠点をもつ硬化剤を用いない自己架橋性の電着塗料 用樹脂も知られており、 例えば、 特公昭 49一 23807号公報 (GB 一 A— 1327071) 、 特公昭 49— 31736号公報 (GB— A— 1306101、 GB— A— 1306102) 、 特開昭 47- 1343 2号公報 (US— A— 3975346) 、 特開昭 48— 69896号公 報 (US— A— 3937679) などにおいて提案されている。 これら
し
はいずれも電着塗料の浴安定性と塗膜の硬化性とが両立しないという欠 点を有している。 例えば、 最も一般的なグリシジルエーテルタイプのェ ポキシ化合物、 例えば、 ビスフエノール Aジグリシジルエーテルおよび ノボラックフヱノ一ルポリグリシジルエーテルなどは硬化性はすぐれて いるが、 浴安定性が劣る。
また、 特開平 2— 2 5 5 8 7 4号公報 (E P— A— 3 5 6 9 7 0 ) に は、 脂環式骨格および Zまたは有橋脂環式骨格含有エポキシ樹脂を硬化 剤とする組成物が提案されており、 この組成物によれば、 所期の目的は ほぼ達成されるが、 低温でかつ短時間の焼き付けにおける塗膜性能にお いてはまだ十分とはいえない。
そこで本発明者らは、 ブロックポリイソシァネート化合物や有機錫化 合物など用いることなく、 上記の如き欠点を解消した、 特にカチオン電 着塗料に有用な水性塗料用樹脂組成物を開発することを主たる目的とし てさらに研究を行なった。
その結果、 特定のノボラック置換フエノール型エポキシ樹脂を硬化剤 として用いると、 電着塗料浴中での酸や水酸基との反応が抑制されて貯 蔵安定性が向上し、 しかも脂環式骨格および Zまたは有橋脂環式骨格含 有エポキシ樹脂を硬化剤とするものと比較して、 低温硬化性がすぐれて いることを見い出し、 本発明を完成するに至った。 また、 本発明によれ ば、 ブロックポリイソシァネート化合物や有機錫化合物など用いる必要 がなく、 これらを使用したことによって発生する前記の如き欠点をすベ て解消することができる。
発明の開示
かくして本発明は、
(A) 水酸基およびカチオン性基を有する樹脂と、
(B) 下記一般式 ( I ) レ H.― Cn― Cn 2 2― Ch― Cil2
式中、
R!および R2は水素原子、 炭素数 1〜8個のアルキル基、 芳香族基 およびハロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、 尺3は炭素数1〜10個のァルキル基、 芳香族基、 ァリル基および ハロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、
R 4は水素原子および炭素数 1〜4個のアルキル基から選ばれる同 一または異なる基であり、
R5は水素原子、 炭素数 1〜10個のアルキル基、 芳香族基、 ァリ ル基およびハロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、 nは 0〜38の整数であり、 そして、 式中のベンゼン環の少なくと も一部はナフタレン環に置換されていてもよい、
で示されるノボラック置換フヱノール型エポキシ樹脂
を主成分として含有する水性塗料用樹脂組成物を提供するものである。 さらに本発明は、 上記本発明の水性塗料用樹脂組成物を含有するカチ ォン電着塗料、 および該カチォン電着塗料を用いて塗装された塗装製品 を提供するものである。
本発明の水性塗料用樹脂組成物を含有する力チォン電着塗料を電着塗
装することにより形成される塗膜は、 約 2 5 0 °C以下の温度で硬化させ ることができる。 また、 該組成物に、 有機鉛化合物、 有機ジルコニウム 化合物、 有機コバルト化合物、 有機アルミニウム化合物、 有機鋦化合物、 有機亜鉛化合物、 有機鉄化合物、 有機ビスマス化合物および有機ニッケ ル化合物から選ばれる 1種または 2種以上の有機金属系硬化触媒 (C ) を加えると、 約 7 0〜1 6 0 °Cという低温加熱で硬化させることができ る。 これらの硬化反応は、 エポキシ樹脂 (B ) のエポキシ基が開環して、 樹脂 (A) の水酸基 (好ましくは第 1級水酸基) とエーテル化反応し、 さらにエポキシ樹脂 (B ) のエポキシ基同志が反応してエーテル結合形 成して架橋結合することにより進行するものと思われる。
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、 以下に述べる如き技術的効果を奏 するものである。
① 錫触媒を用いなくても、 1 6 0 °C以下の温度で塗膜が硬化するの で、 錫触媒を用いることによって生じる前記の如き欠陥を除去すること ができる。
② ブロックイソシァネート化合物を使用する必要がないので、 これ らを用いた場合に生じる前記した種々の欠点を除去することができる。
③ 熱分解による体積収縮がなく、 良好な塗面平滑性を示す。
④ 架橋結合中にウレタン結合または芳香族尿素結合が形成されるこ とがないので耐候性を損なうことがない。
⑤ 塗膜の防食性ならびに硬化性がすぐれている。
⑥ 電着浴の安定性がすぐれている。
以下、 本発明の水性塗料用樹脂組成物を構成する各成分についてさら に詳細に説明する。
(A ) 成分: 1分子中に水酸基およびカチオン性基を有する樹脂 該樹脂は、 後述する (B ) 成分中のエポキシ基と反応しうる水酸基と, 安定な水分散物を形成するのに必要なカチオン性基とを有するものであ り、 具体的には次に例示するものが挙げられる。
① ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤とを反応せしめて得られる生成 物。
② ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物 (米国特許第 2 4 5 0 9 4 0号明細書参照) を酸でプロ トン化したもの。
③ ポリオールとモノまたはポリァミンとの重付加物を酸でプロトン ' 化したものに、 さらにポリイソシァネート化合物を加えてなる組成物。
④ 水酸基およびァミノ基含有ァクリル系またはビニル系樹脂を酸で プロトン化したもの (特公昭 4 5 - 1 2 3 9 5号公報、 特公昭 4 5 - 1
2 3 9 6号公報参照) 。
⑤ ポリカルボン酸樹脂とアルキレンィミンとの付加物を酸でプロ ト ン化したもの (米国特許 3 4 0 3 0 8 8号明細書参照) 。
これらの樹脂の詳細および製造法については、 たとえば、 特公昭 4 5— 1 2 3 9 5号公報、 特公昭 4 5— 1 2 3 9 6号公報、 特公昭 4 9一 2 3 0 8 7号公報、 米国特許第 2 4 5 0 9 4 0号明細書、 米国特許第 3 4 0
3 0 8 8号明細書、 米国特許第 3 8 9 1 5 2 9号明細書、 米国特許第 3 9 6 3 6 6 3号明細書などに記載されているので、 ここではこれらの引 用をもって詳細な説明に代える。
本発明において、 好適な (A) 成分は、 下記構造式 ( I I )
で示されるェポキシ基含有官能基を 1分子中に少なくとも 3個有するェ ポキシ樹脂 (A— 1) 、 第 1級水酸基を 1分子中に少くとも 1個有する ァミ ン化合物 (A— 2) およびフエノール性水酸基を 1分子中に少なく とも 1個有するフユノール化合物 (A— 3) を反応させて得られる樹脂 である。
以下、 上記好適な樹脂の製造に使用される (A— 1) 、 (A— 2) お よび (A— 3) 成分についてさらに説明する。
(A— 1) 成分:上記構造式 (I I) で示されるエポキシ基含有官能 基を 1分子中に少なくとも 3個有するエポキシ樹脂
該 (A— 1) 成分としては、 例えば、 特開昭 60— 170620号公 報、 特開昭 62-135467号公報、 特開昭 60— 166675号公 報、 特開昭 60— 161973号公報などに記載されているそれ自体既 知のものを使用することができる。
さらに、 該 (A— 1) 成分には、 上記構造式 (I I) の末端に重合開 始成分の残基、 つまり活性水素含有有機化合物残基が結合しているもの も包含され、 その前駆体である活性水素含有有機化合物としては、 例え ば、 アルコール類、 フヱノール類、 カルボン酸類、 アミン類、 チオール 類等があげられる。 このうち、 アルコール類としては、 1価アルコール ならびに 2価以上の多価アルコールのいずれであってもよく、 具体的に
はメタノール、 エタノール、 プロパノール、 ブタノール、 ペン夕ノール c へキサノール、 ォクタノール等の脂肪族 1価アルコール;ベンジルアル コールのような芳香族 1価アルコール;エチレングリコール、 ジェチレ ングリコール、 トリエチレングリコール、 ポリエチレングリコール、 プ ロピレングリコール、 ジプロピレングリコール、 1 , 3—ブタンジォー ル、 1, 4一ブタンジオール、 ペンタンジオール、 1 , 6—へキサンジォ ール、 ネオペンチルグリコール、 ォキシビバリン酸ネオペンチルグリコ ールエステル、 シクロへキサンジメタノール、 グリセリン、 ジグリセリ ン、 ポリグリセリン、 トリメチロールプロパン、 トリメチロールェタン、 ペンタエリスリ トール、 ジペンタエリスリ トールなどの多価アルコール 等が例示される。
フエノール類としては、 例えば、 フヱノール、 クレゾール、 力テコー ル、 ビロガロール、 ハイ ドロキノン、 ハイ ドロキノンモノメチルエーテ ル、 ビスフエノール A、 ビスフエノール F、 4 , 4 ' —ジヒ ドロキシべ ンゾフエノン、 ビスフエノール S、 フエノール樹脂、 クレゾールノボラ ック樹脂等が挙げられる。
カルボン酸類としては、 ギ酸、 酢酸、 プロピオン酸、 酪酸、 動植物油 の脂肪酸; フマル酸、 マレイン酸、 アジピン酸、 ドデカン二酸、 トリメ リッ ト酸、 ピロメ リッ ト酸、 ポリアクリル酸、 フタール酸、 イソフタル 酸、 テレフタル酸等を例示することができ、 また、 乳酸、 クェン酸、 ォ キシカプロン酸等の水酸基と力ルボキシル基を共に有する化合物も使用 することができる。
さらにその他、 活性水素を有する化合物として、 ポリビニルアルコー ル、 ポリ酢酸ビニルの部分加水分解物、 デンプン、 セルロース、 セル口
ースアセテート、 セノレロースアセテートブチレ一ト、 ヒ ドロキシェチノレ セルロース、 ァリルポリオール樹脂、 スチレン一ァリルアルコール共重 合体、 スチレン一マレイン酸共重合体、 アルキッ ド樹脂、 ポリエステル ポリオール樹脂、 ポリ力プロラク トンポリオール樹脂等も使用すること ができる。 また、 活性水素を有する化合物は、 活性水素と共にその骨格 中に不飽和二重結合を有していてもよく、 さらに該不飽和二重結合がェ ボキシ化された構造のものであってもさしっかえない。
(A— 1 ) 成分は、 例えば、 上記活性水素含有有機化合物を開始剤と し、 4—ビニルンクロへキセン一 1—オキサイ ドを単独で、 またはこれ と他のエポキシ基含有化合物との併存下において、 それぞれに含まれる エポキシ基による開環 (共) 重合を行なわしめてポリエーテル樹脂を形 成せしめ、 次いで該樹脂中の側鎖に存在する 4ービニルシクロへキセン —1ーォキサイドに基づくビニル基を過酸類やハイドロパーォキサイド 類などの酸化剤でエポキシ化し、 前記構造式 (I I ) で示される官能基 を形成することによって得ることができる。
4ービニルシクロへキセン一 1ーォキサイドは例えば、 ブタジエンの 2量化反応によって得られるビニルシクロへキセンを過齚酸によって部 分エポキシ化することによって得ることができる。
-共重合せしめうる他のエポキシ基含有化合物としては、 エポキシ基を 有する化合物であれば特に制眼はないが、 製造上、 1分子中に 1個のェ ポキシ基を有する化合物が好ましく、 具体的には、 エチレンォキサイ ド, プロピレンォキサイ ド、 ブチレンォキサイド、 どの
C H 3~ C H 2 「C H— C H 2 (式中、 nは 2〜2 5である) で示される
0
ひ一才レフィ ンェポキサイ ド; スチレンォキサイ ド等の不飽和化合物の 酸化物; ァリルダリシジルエーテル、 2—ェチルへキシルグリシジルェ 一テル、 メチルグリシジルエーテル、 ブチルグリシジルエーテル、 フエ 二ルグリシジルエーテル等の水酸基を有する化合物のグリシジルェ一テ ル;脂肪酸のような有機酸のグリシジルエステル;などを挙げることが できる。
さらに、 使用しうる他のエポキシ基含有化合物には、 不飽和結合を有 する脂環式ォキシラン基含有ビニル単量体が包含され、 具体的には以下 に例示するものが挙げられる。
Re 0
R6 0
CH2
R 6は水素原子又はメチル基を表わし、
R 7は炭素数 1〜 6の 2価の脂肪族飽和炭化水素基を表わし、
R 8は炭素数 1〜1 0の 2価の炭化水素基を表わす。
上記において、 R 7によって表わされる炭素数 1〜6の 2価の脂肪族 飽和炭化水素基としては、 直鎖状又は分枝状のアルキレン基、 例えばメ チレン、 エチレン、 プロピレン、 テトラメチレン、 ェチルエチレン、 ぺ ンタメチレン、 へキサメチレン基等を挙げることができる。 また、 R 8 によって表わされる炭素数 1〜1 0の 2価の炭化水素基としては、 例え ばメチレン、 エチレン、 プロピレン、 テトラメチレン、 ェチルエチレン, ペンタメチレン、 へキサメチレン、 ポリメチレン、 フエ二レン、
-CH
2 -(n)-CH
2 - 基等を挙げることができる,
さらに、 下記一般式
R
6 0
CH2 =C-C-0-R7 -C-CH2 (XV)
、ノ
0 式中、 R 6及び R 7は前記と同義である、
で示される化合物、 例えばグリシジルァクリレート、 グリシジルメタク リレートゃビニルシクロへキセンの部分エポキシ化により一部副生する 下記式
で表わされるような脂環式不飽和基を有する化合物なども、 他のェポキ シ基含有化合物として使用することができる。 さらにまた、 4—ビニル シクロヘプテン (ビニルノルボルネン) なども使用できる。
4—ビニルシクロへキセン一 1ーォキサイ ド単独でまたは他のェポキ シ基含有化合物の併存下でのエポキシ基の開環 (共) 重合反応は、 活性 水素含有有機化合物の存在下で、 しかも触媒を用いて行うことが好まし く、 使用しうる触媒としては、 例えば、 メチルアミン、 ェチルアミン、 プロピルァミン、 ピペラジン等のァミン類; ピリジン類、 ィミダゾール 類等の有機塩基類;ギ酸、 詐酸、 プロピオン酸等の有機酸類;硫酸、 塩 酸等の無機酸類;ナトリウムメチラート等のアル力リ金属アルコラート 類; K O H、 N a O H等のアル力リ類; B F 3 Z n C 1 2、 A 1 C 1 3、 S n C 1 4等のルイス酸又はそのコンプレックス類; トリェチルアルミ 二ゥム、 ジェチル亜鉛等の有機金属化合物などを挙げることができる。
これらの触媒は反応物に対して 0.001〜10重量%、 好ましくは 0.1〜5重量%の範囲内で使用することがてきる。 開環 (共) 重合反 応温度は一般に一 70°C〜200°C、 好ましくは— 30°C〜100°Cと することができる。 反応は溶媒を用いて行なうことができ、 溶媒として は活性水素を有していない通常の有機溶媒を使用することが好ましい。 このようにして得られるポリエーテル樹脂 (開環 (共) 重合体) の側 鎖に含まれるビニル基をエポキシ化することによって前記構造式 (I I) で示される官能基を形成せしめることができ、 (A— 1) 成分が得られ る。 エポキシ化は過酸類、 ハイ ドロパーォキサイ ド類等を用いて行なう ことができる。 過酸類としては、 例えば過ギ酸、 過酢酸、 過安息香酸.、 トルフルォロ過酢酸等を、 そしてハイ ドロパーォキサイ ド類としては、 例えば過酸化水素、 t e r t—ブチルバ一ォキサイ ド、 クメンパーォキ サイ ド等を用いることができる。 エポキシ化反応は必要に応じて触媒を 用いて行なうことができる。
4ービニルシクロへキセン一 1—オキサイ ド単位中のビニル基がェポ キシ化されることによって、 上記構造式 (I I) で示される官能基が生 成する。 このエポキシ化反応において、 他のエポキシ基含有化合物とし て前記脂環式ォキシラン基含有化合物などが併存すると、 該化合物に含 まれるビニル基もエポキシ化されることもあるが、 これは前記構造式 (I I) とは異なる。 エポキシ化反応の際の溶媒使用の有無や反応温度 は、 用いる装置や原料物性に応じて適宜調整することができる。
かかる (A— 1) 成分としては市販品も使用可能であり、 例えば EH PE3150 (ダイセル化学工業 (株) 製商品名) があげられる。 これ は、 4ービニルシクロへキセン一 1ーォキサイドの開環重合体中のビニ
ル基をエポキシ化したもので、 重合度は平均 4〜15である。
構造式 (I I) で表わされるエポキシ基含有官能基の量は、 (A— 1) 成分の 1分子中 3個以上有しておればよいが、 好ましくはエポキシ当量 で 140〜 1000、 より好ましくは 170〜 300の範囲内である。
(A— 2) 成分:第 1級水酸基を 1分子中に少なくとも 1個有する第
1級もしくは第 2級アミン化合物
この成分は上記 (A— 1) 成分と反応して (A— 1) 成分に第 1級水 酸基と塩基性基とを導入するのに役立つ。
該 (A— 2) 成分のァミノ基と (A— 1) 成分中の構造式 (I I) で 示されるエポキシ基含有官能基中のエポキシ基との反応によって生成す るカチォン性樹脂中の第 1級水酸基および塩基性基は、 従来のビスフェ ノール A型エポキシ樹脂との反応によって生成する前記のものと比べて、 部分中和、 高 p Hにおいても水分散性およびつきまわり性が著しくすぐ れており、 しかも形成される塗膜の硬化性や防食性などが低下すること が全くない。
(A-2) 成分としては、 次に例示する化合物が挙げられる。
① モノエタノールァミン、 モノプロパノールァミン、 モノブタノー ルァミンなどの第 1級アルカノールァミン。
② N—メチルエタノールァミン、 N—ェチルエタノールァミン、 ジ エタノールァミン、 ジー nまたは i s 0—プロパノー ァミン、 ジブタ ノールアミンなどの第 2級アル力ノールアミン。
③ 上記第 1級アル力ノールアミンとな, —不飽和カルボニル化合 物との付加物 (第 2級アルカノールァミン) 。 例えば、 モノエタノール アミンと Ν,Ν—ジメチルアミノプロピルァクリルアミ ドとの付加物、
モノエタノールアミ ンとヒ ドロキシェチル (メタ) ァクリ レー卜との付 加物、 モノエタノールァミンとヒ ドロキシプロピル (メタ) ァクリ レー 卜との付加物、 モノエタノールァミンとヒ ドロキシブチル (メタ) ァク リレートとの付加物など。
④ ヒ ドロキシェチルアミノエチルァミンのような第 1、 2級アル力 ノ一ルジァミ ン。
⑤ ヒ ドロキシァミ ン、 ヒ ドロキシェチルヒ ドラジンおよびヒ ドロキ シェチルヒ ドラジンから選ばれる 1種以上とケトン化合物 (例えば、 ジ メチルケトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソブチルケトン、 ジブチ ルケトン、 ジプロピルケトンなど) との縮合物 (第 2級アルカノールァ ミン) 。
⑥ 下記一般式 (XW) で示される、 1分子中に 1級水酸基、 2級ァ ミノ基およびアミ ド基が併存するァミン化合物。
式中、
nは 1乃至 6の整数であり、
R 9は水酸基および Zまたは重合性不飽和基を含有していてもよい 炭素数 4〜 3 6の炭化水素鎖を表わす。
このアミン化合物は、 例えば、 ほぼ 1モルの N—ヒ ドロキシアルキル アルキレンジアミンとほぼ 1モルの炭素数 5〜 3 7のモノカルボン酸と を脱水縮合反応させることによって製造することができる。 該ジァミン としては、 例えば、 ヒ ドロキシェチルアミノエチルァミン、 N—ヒ ドロ
キシェチルプロピレンジァミン、 N—ヒドロキシェチルブチレンジァミ ン、 N—ヒ ドロキシェチルペンチレンジァミン、 N—ヒ ドロキシェチル へキシレンジァミン、 などが挙げられる。 また、 該モノカルボン酸とし ては、 例えば、 椰子油脂肪酸、 ひまし油脂肪酸、 こめぬか油脂肪酸、 大 豆油脂肪酸、 トール油脂肪酸、 脱水ひまし油脂肪酸、 サフラワー油脂肪 酸、 あまに油脂肪酸、 桐油脂肪酸などの混合脂肪酸、 力プリル酸、 カブ リン酸、 ラウチン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 ォ レイン酸、 リシノール酸、 リノール酸、 リノレイン酸、 エレォステアリ ン酸、 1 2—ヒドロキシステアリン酸、 ベへニン酸などが挙げられる。 —般式 (XVE) で示されるァミン化合物を得るための上記ジァミンと モノカルボン酸との反応は、 例えば、 該両成分をほぼ等モル比で混合し、 トルエンゃメチルイソブチルケトンなどの有機溶媒を用いて規定量の反 応生成水を除去し、 減圧法などで残存有機溶媒を除去することによって 得ることができる。 かく して得られるアミン化合物のアミン価 (第 2級 ァミン) は一般に 8 8〜3 5 0、 特に 1 2 0〜2 3 0の範囲内にあるの が適しており、 水酸基価 (第 1級水酸基) は一般に 4 4〜3 5 0、 特に 6 0〜2 3 0の範囲内にあるのが好ましい。
上記 (A— 2 ) 成分としての①〜⑥の化合物において、 ②、 ③および ⑥の第 2級アルカノールァミンが好ましい。 とくに、 一般式 (XW) で 示されるヒドロキシェチルアミノエチル脂肪酸アミ ドとジエタノールァ ミンとを併用すると塗面の平滑性および耐蝕性が向上するので好ましく、 その際の両成分の比率は、 該両成分の合計重量にもとずいて、 前者は 3 0〜8 0重量%、 後者は 2 0〜7 0重量%の範囲内にあるのが適してい る。
(A— 3) 成分: フエノール性水酸基を 1分子中に少なくとも 1個有 するフヱノール化合物
該フヱノール化合物としては、 例えば、 ビス (4ーヒ ドロキシフエ二 ル) 一2, 2—プロパン、 4, 4' —ジヒ ドロキシベンゾフエソン、 ビス (4—ヒ ドロキシフエニル) 一 1, 1—ェタン、 ビス一 (4ーヒ ドロキ シフエニル) 一 1, 1一イソブタン、 ビス (4ーヒ ドロキシー t e r t 一ブチル一フエニル) 一 2, 2—プロパン、 ビス (2—ヒ ドロキシナフ チル) メタン、 1, 5—ジヒ ドロキシナフタレン、 ビス (2, 4—ジヒ ド ロキシフエニル) メタン、 テトラ (4ーヒ ドロキシフエニル) 一 1, 1, 2, 2—ェタン、 4, 4' ージヒ ドロキシジフヱニルエーテル、 4, 4'
—ジヒ ドロキシジフエニルスルホン、 フエノールノボラック、 クレゾ一 ルノボラック等の多価フ Xノール化合物が挙げられる。 さらに、 フエノ ール、 ノニルフエノール、 一又は yS—ナフ トール、 p— t e r t—ォ クチルフェノール、 0—又は p—フエニルフェノ一ル等のモノフエノー ル化合物も使用することができる。
防食性のよりすぐれた塗膜を形成するためには、 (A— 3) 成分とし て、 特に、 ビスフエノール A [ビス (4—ヒ ドロキシフエニル) 一 2, 2—プロパン] ビスフエノール F [ビス (4ーヒ ドロキシフヱニル) 一 2, 2—メタン] 等のビスフヱノール化合物から誘導されるビスフエノ ール樹脂を用いることが好ましい。 該ビスフヱノール樹脂のうち特に、 数平均分子量が少なくとも 200、 好適には約 800〜約 3, 000の 範囲内にあり、 しかも 1分子あたり平均して 2個以下、 好ましくは 0. 8〜1.2個のフ ノール性水酸基を含有する下記一般式 (XVI) で代表 的に示されるものが適している。
式中、 qは平均して 0〜7の整数であり、
R 1 0は活性水素含有化合物の残基である。
上記式中の R i oの前駆体である活性水素含有化合物としては、 例えば, 第 2級ァミンのようなァミン類; フエ二ルフヱノール、 ノニルフヱノー ルのようなフエノール類;脂肪酸のような有機酸;チオール類;アルキ ルアルコール、 セロソノレブ、 ブチルセ口ソルブ、 カービトールのような アルコール類;無機酸等の化合物があげられ、 このうち、 最も好ましい のは第 1級水酸基を有する第 2級アミンであるジァルカノールアミン; ノニルフエノール、 フエニルフエノール、 フエノール、 ハイドロキノン モノメチルエーテルなどのフエノール類; ステアリン酸、 ォレイン酸、 大豆油脂肪酸などの高級脂肪酸;酢酸、 ギ酸、 ヒドロキシ醉酸などの有 機酸;などである。
(A— 3 ) 成分としての上記式 (XVI) では、 その各末端に R 1 ()—及 び一 O Hがそれぞれ結合した形で示されているが、 両末端が R 1 0—又は 一 0 Hのいずれか一方だけであるものが混合して存在してもさしっかえ ない。
(A— 3 ) 成分は、 例えば、 分子量が 2 0 0以上、 好適には 3 8 0〜
2 , 0 0 0の範囲内のビスフエノール Aジグリシジルエーテル型のポリ エポキシド約 1モルと、 分子量が少なくとも 2 0 0、 好適には 2 0 0〜 2 , 0 0 0の範囲内のビスフヱノ一ル A型のポリフヱノール約 1モルと、 活性水素を有する化合物、 例えば第 2級ジァルカノールァミン約 1モル とを必要であれば触媒や溶媒の存在下で 3 0〜3 0 0 °C、 好適には 7 0 〜1 8 0 °Cの温度で反応させることによつても得られる。 これらのモル 比は単なる例示であって、 これらに制限されるものではなく、 任意に選 択することができる。
また、 (A— 3 ) 成分には、 ダイマージオール、 エチレングリコール、 プロピレングリコールおよびブチレングリコールなどのポリオール類; ポリェチレングリコール、 ポリプロピレングリコール、 ポリブチレング リコールなどのポリエーテルポリオール類; ポリカプロラク トンのよう なポリエステルポリオール類; ポリカルボン酸類; ポリイソシァネート 類; モノイソシァネート類;エチレンォキサイ ド、 プロピレンォキサイ ド、 ブチレンォキサイ ド、 スチレンォキサイ ド等の不飽和化合物の酸化 物; ァリルグリシジルエーテル、 ポリプロピレングリコールジグリシジ ルエーテル、 2—ェチルへキシルグリシジルエーテル、 メチルグリシジ ルエーテル、 ブチルグリシジルエーテル、 フエニルグリシジルエーテル 等の水酸基を有する化合物のグリシジルエーテル;脂肪酸のような有機 酸のグリシジルエステル;脂環式ォキシラン含有化合物等を反応させて 導入してもよく、 更に 5— 4—力プロラク トン、 アクリルモノマーなど をグラフ ト重合させたものも含まれる。
(A— 1 ) 成分と (A— 2 ) 成分と (A— 3 ) 成分との反応は、 通常 の任意の方法で行なうことができ、 その反応順序もまた特に制限される
ものではない。 反応は一般に 50°C〜300°C、 好ましくは 70°C〜 200°Cの範囲内の温度で行なうことができ、 例えば (A— 1) 成分と (A-3) 成分とを反応させたのち、 (A— 2) 成分を反応させること もできる。
更に上記フユノール性水酸基を有する化合物 (A— 3) の原料である ポリエポキシド及びポリフエノールを、 (A— 1) 成分と (A— 2) 成 分と共に反応させることにより化合物 (A— 3) の製造工程を省くこと もできる。
また (A— 3) 成分を過剰に配合し、 (A— 1) 成分と (A— 2) 成 分の一部を反応させた後、 (A— 3) 成分の未反応物を他のポリェポキ シドと反応させることも可能である。
これら (A— 1) 、 (A— 2) 、 (A— 3) 各成分の配合比は任意に 決め得る。
(A— 1) 成分は本発明のカチォン電着塗料用樹脂中に微量含まれる だけでもその水分散性やっきまわり性を著しく改良することができる。 従って、 (A— 1) 成分の使用量は (A— 1) 〜(A— 3) 成分の合計 量に基いて 0.5〜95重量%、 好ましくは 3〜75重量%、 特に好ま しくは 5〜50重量%の範囲内とすることができる。
また、 本発明の (A) 成分におけるカチオン性基の含有量は、 上記樹 脂 (A) を水に安定に分散し得る範囲内でかつ少ない量が望ましく、 ァ ミン価が KOH (mgZg固形分) 換算数で一般に 3〜200、 特に 5 〜180の範囲内が好ましい。 しかし、 カチオン性基が 3以下の場合で あっても、 界面活性剤などを使用して水性分散化して使用することも可 能である。 しかしこの場合には、 水分散化物の pHが 4〜9、 好ましく
は 6〜 7の範囲内になるようにカチオン性基を調整するのが望ましい。 さらに、 構造式 (Π ) のエポキシ基含有官能基と (A— 2 ) 成分との 反応によって形成される、 樹脂 (A ) 中の第 1級水酸基の含有量は、 硬 化性官能基との反応性の点から、 該第 1級水酸基による水酸基価で一般 に 1 0〜 1 , 0 0 0、 特に 5 0〜 7 0 0の範囲内にあることが好ましい。
( A— 3 ) 成分はビスフエノール骨格を付与して高防食性が得られる という理由から、 (A— 1 ) 〜 (A— 3 ) 成分の合計量に基づいて 9 5 重量%以下、 好ましくは 2 0〜9 0重量%の範囲内で配合することが好 ましい。
(A— 1 ) 〜 (A— 3 ) 成分の反応において、 該 (A— 2 ) 成分以外 のカチォン化剤を必要に応じて任意に併用してもさしっかえなく、 この ような他のカチオン化剤としては、 例えば、 メチルァミン、 ェチルアミ ン、 n—又は i s 0—プロピルァミンなどの第 1級ァミン、 ジェチルァ ミ ン、 ジプロピルアミン、 ジブチルァミンなどの第 2級ァミ ン; ェチレ ンジァミ ン、 ジエチレントリアミ ン、 ェチルァミ ノェチルァミ ン、 メチ ルァミノプロピルァミン、 ジメチルアミノエチルァミ ン、 ジメチルアミ ノプロピルァミンなどのポリアミンなどがあげられ、 更にアンモニア、 ヒ ドラジン、 N—ヒ ドロキシェチルイミダゾリン化合物などとも併用す ることができる。 これらのカチオン化剤は (A— 1 ) 成分と反応後に、 第 3級アミノ基を形成していることが好ましい。
さらに、 トリェチルァミン、 トリエタノールァミン、 N,N—ジメチ ルエタノールァミン、 N—メチルジェタノールアミン、 Ν, Ν' —ジェ チルエタノールァミン、 Ν—ェチルジェ夕ノールァミンなどの第 3級ァ ミンなども使用でき、 これらは酸で予めプロトン化し、 エポキシ基と反
応させて第 4級塩にすることができる。
また、 ァミノ化合物以外に、 ジェチルスルフィ ド、 ジフヱニルスルフ ィ ド、 テトラメチレンスルフィ ド、 チォジエタノールなどのスルフィ ド 類とホウ酸、 炭酸、 有機モノカルボン酸などとの塩をエポキシ基と反応 させて第 3級スルホ;ゥム塩としたものを他のカチオン化剤として用い てもよい。
更に、 トリェチルホスフィン、 フエニルジメチルホスフィン、 ジフエ ニルメチルホスフイン、 トリフエニルホスフィンなどのホスフィン類と 上記の如き酸との塩をエポキシ基と反応させて、 第 4級ホスホニゥム塩 として併用することもできる。
本発明では、 (A— 2 ) 成分を用いて樹脂 (A) 中にカチオン性基を 導入することは必要であるが、 (A— 2 ) 成分以外の上記他のカチオン 化剤の使用は任意である。
以上に述べた (A) 成分は水分散性に優れており、 それ自身水分散し 得ないもしくは困難な有機物質や無機物質に (A) 成分を混合すると容 易に水分散し得る特性を有する。 このため、 上記組成物を従来のカチォ ン電着塗料の水分散性等の改良のために一部添加使用することも可能で ある。
本発明における上記水酸基含有カチオン性樹脂 (A) を含有するカチ オン電着塗料の電着塗膜は以下に述べる (B ) 成分の存在下で加熱する ことにより硬化させることができる。
( B ) 成分:下記一般式 (I ) で示されるノボラック置換フエノール 型エポキシ樹脂
CH2— CH— CH5
( I ) l 2 R4 β ι R 2 B4 式中、
および R 2は水素原子、 炭素数 1〜8のアルキル基、 芳香族基お よびハロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、
R 3は炭素数 1〜1 0のアルキル基、 芳香族基、 ァリル基およびハ
ロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、
R 4は水素原子および炭素数 1〜 4のアルカリ基から選ばれる同一
または異なる基であり、
R 5は水素原子、 炭素数 1〜1 0のアルキル基、 芳香族基、 ァリル
基およびハロゲン原子から選ばれる同一または異なる基であり、
nは 0〜 3 8の整数であり、 そして
式中のベンゼン環の少なくとも一部はナフタレン環に置換されてい てもよい。
上記一般式 ( I ) において、 R iおよび R 2の具体例を示すと、 例えば 水素原子、 メチル基、 ェチル基、 フ ニル基、 ベンジル基、 塩素原子、 臭素原子、 よう素原子などが挙げられる。 好ましくは、 水素原子、 メチ ル基、 塩素原子、 臭素原子であり、 さらに好ましくは水素原子、 メチル 基、 臭素原子である。
また、 R 3の具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 n—ブチル基、
t e r t一ブチル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ノニル基、 フヱニル基、
ベンジル基、 プロぺニル基、 塩素原子、 臭素原子、 よう素原子などが挙 げられ、 このうちメチル基、 t e r t—ブチル基、 ノニル基、 フヱニル 基、 プロぺニル基、 塩素原子、 臭素原子などが好ましく、 なかでもメチ ル基、 t e r t—ブチル基、 フヱニル基、 臭素原子などが特に好ましい c R4の具体例には、 水素原子、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基など が挙げられ、 このうち水素原子が好ましい。
R5は、 具体的には、 メチル基、 ェチル基、 n—ブチル基、 t e r t —ブチル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ノニル基、 フエニル基、 ベンジ ル基、 プロぺニル基、 塩素原子、 臭素原子、 よう素原子などが挙げられ、 このうちメチル基、 t e r t—ブチル基、 ノニル基、 フエニル基、 プロ ぺニル基、 塩素原子、 臭素原子などが好ましく、 なかでもメチル基、 t e r t—ブチル基、 フエニル基、 臭素原子などが特に好ましい。
そして、 繰返し単位 nは 0〜38、 特に 3〜25が好ましい。 nが 3 8を越えると粘度が高くなり、 塗面の平滑性が低下する傾向があるので 好ましくない。
(B) 成分は、 一般に、 蒸気圧浸透法で測定した数平均分子量が約 400〜約 8000、 特に 1000〜3000の範囲内にあり、 またェ ポキシ当量は 180〜 2000、 特に 180〜 500の範囲内にあるこ とが特に好ましい。
(B) 成分は (A) 成分の硬化剤として有用であり、 例えば、 下記一 般式 (XK)
式中、 R
2および R
3は前記一般式(I)におけると同義である、 で示される 2官能性フエノール化合物と一般式 R
4CHO で示される アルデヒド化合物または一般式 R
4COR
4で示されるケトン化合物 [式 中、 R
4は前記一般式 (I) におけると同義である] とを縮重合するこ とにより得られるノボラック置換フヱノール樹脂に、 ェピハロヒドリン を反応させてグリシジルエーテル基を導入することによって得られる。 また、 上記反応において、 下記一般式 (XX)
式中、 R
2、 R
3および R
5は前記一般式 (I) におけると同義 である、
で示される 1官能性フュノール化合物を末端処理剤として併用すること もできる。
—般式 (XIX) で示される 2官能性フエノール化合物は、 前記一般式 R4CHO で示されるアルデヒド化合物または一般式 R4COR4 で示 されるケトン化合物と重縮合反応しうる活性水素 (水酸基は該当しない) を 1個のベンゼン核に 2個有する化合物であり、 具体的には、 例えば、 P—プロぺニルフエノール、 0—べンジルフエノール、 6— n—ァミル
一 n—クレゾール、 O—クレゾ一ル、 P—クレゾ一ノレ、 0—ェチノレフエ ノール、 0—フエニルフエノール、 P—フエニルフエノール、 P— t— ペンチルフヱノール、 P— t —ブチルフエノール、 0—クロルフエノー ル、 4ークロルフヱノール、 3, 5—キシレノール、 0—ァリルフエノ ール、 ノニルフエノール、 0—ブロムフエノール、 P—クミルフヱノー ル、 一ナフトール、 S—ナフ トールなどが挙げられる。
また、 一般式 (XX) で示される 1官能性フエノール化合物は、 上記一 般式 (XIX) で示される 2官能性フエノール化合物で説明したと同様の 活性水素を 1個のベンゼン核に 1個有する化合物であり、 例えば 2— t e r t—ブチル一 4一メチルフエノール、 2, 4一キシレノール、 2 , 6 一キシレノール、 2, 4—ジクロルフエノール、 2 , 4—ジブロムフヱノ ール、 ジクロルキシレノール、 ジブロムキシレノール、 2 , 4 , 5—トリ クロルフェノール、 6—フエニル一 2—クロルフエノールなどが挙げら れる。
一般式 R 4 C H O で示されるアルデヒド化合物としては、 例えばホ ルムアルデヒドおよびァセトアルデヒドなどが挙げられ、 また、 一般式 R 4 C O R 4 で示されるケトン化合物としては例えば、 アセトン、 メチ ルェチルケトン、 メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
( B ) 成分におけるノボラック置換フエノール樹脂は、 上記の 2官能 性フエノール化合物およびアルデヒド化合物またはケトン化合物、 さら に必要に応じて 1官能性フェノール化合物を縮重合することにより得る ことができる。 また、 1官能性フヱノール化合物とアルデヒド化合物ま たはケトン化合物とを縮重合することによりジフエノール化合物を得る ことができる。 それらの製造法としては、 通常のノボラック置換フヱノ
—ル樹脂の製造法を適用することができ、 例えば、 回分式、 または例え ば特開昭 5 1 - 1 3 0 4 9 8号公報などに記載されている如き連続法を 採用することができる。 例えば、 該各成分の配合比率を前記一般式 ( I ) における nが 0〜3 8の範囲内でかつ目的とする値になるように調整し、 塩酸、 燐酸、 硫酸などの無機酸、 パラ トルエンスルホン酸、 シユウ酸な どの有機酸および酢酸亜鉛などの金属塩などを触媒として用いて縮重合 せしめることができる。
( B ) 成分は、 上記ノボラック置換フユノール樹脂をェピハロヒ ドリ ンなどでグリシジルエーテル化することによって得ることができる。 こ のグリシジルエーテル化は、 たとえば、 該ノボラック置換フヱノ一ル樹 脂をェピハロヒ ドリンに溶解し、 この溶液にアル力リ金属水酸化物水溶 液を連続的に添加し、 その反応系の水および未反応のェピハロヒドリン を蒸留除去することによって行うことができる。 この蒸留除去した液か らェピハロヒ ドリンを分離し再使用することができる。 この反応は、 例 えば、 ジォキサン、 ジエトキシェタンなどのエーテル系溶媒の存在下で 行うことが好ましい。
本発明で用いる (B ) 成分中のグリシジル (エポキシ) 基の一部は、 活性水素含有化合物で変性してもよい。 このような活性水素含有化合物 としては、 塩基性基をもたないもの、 例えば、 ビスフヱノール A、 ビス フヱノール F、 フヱニルフヱノール、 ノニルフヱノール、 フヱノールな どのフヱノール類: ダイマー酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸、 トール油 脂肪酸、 大豆油脂肪酸などの脂肪酸:酢酸、 ぎ酸、 ヒ ドロキシ醉酸など の有機酸; アルキルアルコール、 セロソルブ、 カービトールなどのアル コール類が挙げられ、 特にフヱノール類、 脂肪酸類、 アルコール類が好
ましい。 この変性をすみやかに行なうために、 硼ふつ化亜鉛、 テトラメ チルアンモニゥムクロリ ドなどを触媒として用いることが好ましい。 変 性の程度は数平均分子量からもとめた分子 1モルに対し、 活性水素含有 基 1〜3モル程度が好ましい。 変性後の (B) 成分のエポキシ当量は 200〜2000、 特に 200〜500の範囲内が好ましい。
また、 前記一般式 (I) において、 ベンゼン核の一部がナフタレン環 に置換されている (B) 成分の例としては、 例えば下記一般式 (XX) を 有する樹脂があげられる。
(XX)
式中、 Ri、 R2、 R4および nは一般式 (I) におけると同義であ る。
このような (B) 成分の中には、 すでに市販されているものもあり、 例えば E
P I CRON N-695 (大日本インチ (株) 製造) 、 EC ON— 1020、 ECON-104S (日本化薬 (株) 製造) 、 ES CN— 195XHH (住友化学工業 (株) 製造) などの商品名で知られている クレゾールノボラックフヱノールのポリグリシジルエーテル; B R E N — S (日本化薬 (株) 製造) などの商品名で知られているブロム変性ノ ポラックフエノ一ルのポリグリシジルエーテル: E S N— 195 (新日 鉄化学 (株) 製造) などの商品名で知られているナフタレン型エポキシ
樹脂; ESMB— 260 (住友化学工業 (株) 製造) などの商品名で知 られている長鎖アルキル変性ノボラックフヱノ一ルのポリグリシジルェ —テルなどが挙げられる。 クレゾ一ルノボラックフヱノールのポリグリ シジルエーテルのような 2官能性フエノール単独系を原料物質としたノ ポラック置換フヱノールポリグリシジルエーテルは、 エポキシ基濃度を 調整するために、 フヱノール類、 脂肪酸類、 アルコール類などで変性し てもよい。
水性塗料用樹脂組成物
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、 上記 (A) 成分中の塩基性基の一 部もしくは全部を酸成分で中和し、 (B) 成分と混合し、 水中に溶解も しくは分散することによって得られる。 この中和は、 該両成分の混合前 または混合後のいずれの段階で行なってもよい。 中和に用いる酸成分と しては、 例えばぎ酸、 酢酸、 乳酸、 酪酸、 プロピオン酸などがあげられ る。 該水性塗料用樹脂組成物において、 (A) 成分と (B) 成分との混 合比率は、 目的に応じて任意に選択することがでぎるが、 該両成分の固 形分重量にもとずいて、 (A) 成分ノ (B) 成分の比が一般に 30ノ 70〜90Z10、 特に 50 50〜 80Z20の範囲内にあることが 好ましい。
本発明の水性塗料用樹脂組成物において、 上記 (A) 成分と (B) 成 分との架橋硬化反応を低温でかつすみやかに行わしめるためには、 鉛、 ジルコニウム、 コバルト、 アルミニウム、 マンガン、 銅、 亜鉛、 鉄、 ビ スマス及びニッケルから選ばれる金属を含有する有機金属化合物の 1種 または 2種以上からなる有機金属系硬化触媒 [ (C) 成分] を配合する ことが好ましい。
( C ) 成分において使用する有機金属化合物としては、 例えば、 上 記金属を含有する有機キレート化合物や有機エステル化合物等があげら れる。
上記の有機キレート化合物としては、 例えば、 ジルコニウムァセチル ァセトナート、 コバルトァセチルァセトナート、 アルミニウムァセチル ァセトナート、 マンガンァセチルァセトナート、 鉄ァセチルァセトナー トなどのァセチルァセトン系キレー卜化合物 ーヒドロキシアミノ構 造を有する化合物と酸化鉛 (Π ) とのキレート化反応生成物などがあげ られる。 また、 上記の有機エステル化物としては、 例えば、 2—ェチル へキサン鉛、 セカノイツク鉛、 ナフチックス鉛、 ォクチックス鉛、 安息 香酸鉛、 酢酸鉛、 乳酸鉛、 ぎ酸鉛、 グリコール酸鉛などの有機鉛化合 物;ォクチックスジルコニウム、 酢酸ジルコニウム、 ぎ酸ジルコニウム などの有機ジルコニウム化合物;ォクチックスコバルト、 酔酸コバルト、 ぎ酸コバルトなどの有機コバルト化合物:醉酸マンガン、 ぎ酸マンガン などの有機マンガン化合物;ォクチックス銅、 齚酸銅、 ぎ酸銅などの有 機銅化合物;ォクチックス亜鉛、 齚酸亜鉛、 ぎ酸亜鉛などの有機亜鉛化 合物;ォクチックスビスマスなどの有機ビスマス化合物;酢酸ニッケル、 ぎ酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物などがあげられる。
これらの (C ) 成分は、 上記 (A) 成分にあらかじめ混合分散させて おくか、 (A) 成分と (B ) 成分との混合と同時に配合することもでき る。 また、 後記の顔料分散時に共分散してもよい。 (C ) 成分の添加量 は、 目的に応じて任意に選択することができるが、一股には、 (A) 成 分と (B ) 成分との合計固形分重量にもとづいて 1 0重量%以下、 特に, 0. 2〜5 . 0重量%の範囲内が好ましい。
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、 水を溶媒もしくは分散媒とする水 性塗料の塗膜形成主要成分もしくは補助成分として使用することが可能 であるが、 特に好ましくは、 カチオン電着塗料の塗膜形成主要成分もし くは補助成分として使用することができる。 それによつて前記した技術 的効果を得ることができる。
本発明の水性塗料用樹脂組成物からのカチオン電着塗料の調製はそれ 自体既知の方法で行なうことができる。 例えば該榭脂組成物を前記の如 く酸成分で中和し、 水で希釈し所望の濃度に調整することにより行なう ことができる。
本発明の水性塗料用樹脂組成物およびカチオン電着塗料には、 必要に 応じて各種顔料を配合することができ、 具体的には、 カーボンブラック、 チタン白、 鉛白、 酸化鉛、 ベンガラのような着色無機顔料; クレー、 タ ルクのような体質顔料; クロム酸ストロンチウム、 クロム酸鉛、 塩基性 クロム酸鉛、 鉛丹、 ゲイ酸鉛、 塩基性ゲイ酸鉛、 リン酸鉛、 塩基性リン 酸鉛、 トリポリ リン酸鉛、 ゲイクロム酸鉛、 黄鉛、 シァナミ ド鉛、 鉛酸 カルシウム、 亜酸化鉛、 硫酸鉛、 塩基性硫酸鉛などの防食無機顔料など が挙げられる。 さらに、 分散剤、 はじき防止剤なども添加することがで さる。
本発明の水性塗料用樹脂組成物を含有するカチオン電着塗料を用いる 電着塗装法は特に制限されるものではなく、 通常の条件下で行うことが できる。 例えば、 浴濃度 (固形分濃度) を 5〜4 0重量%、 好ましくは 1 0〜2 5重量%、 p Hを 5〜8、 好ましくは 5. 5〜 7の範囲内に調 整し、 そして、 浴温度 2 0〜3 5 °C、 好ましくは 2 5〜3 0 °Cで、 電流 密度 0. 0 0 5〜2 AZ c m2、 好ましくは 0. 0 1〜: L A/ c m2、 電圧
10〜500V、 好ましくは 100〜 300 V、 通電時間 0.5〜: L 0 分間、 好ましくは 2〜4分間で行うことが好ましい。 電着塗装膜厚は厳 密に制限されるものではないが、 一般には、 硬化塗膜にもとずいて 3〜 200 の範囲内が適している。 塗装後、 電着浴から被塗物を引上げ、 水洗してから、 必要に応じて風乾し、 70〜250°C、 好ましくは 12 0〜160°Cの範囲の内の温度で加熱硬化させることが好ましい。
実施例
次に、 本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。 数値に付した%および部は、 特にことわらない限り 「重量」 にもとずく c I. 製造例
(1-1) (A) 成分の調製に使用する (A— 2) 成分の製造
(A-2-1) :
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび還流冷却器を備え付けたフラスコ に、 トール油脂肪酸 288部、 ヒ ドロキシェチルアミノエチルァミ ン 104部およびトルエン 80部を加え、 混合撹拌しながら徐々に加熱昇 温し、 縮合水 18部を分離除去した後、 残存するトルエンも減圧除去し て、 第 1級水酸基を有するアミン化合物 (A— 2— 1) を得た。 ァミン 価は 149、 凝固点 50 °C、 水酸基価 149であつた。
(A-2-2) :
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび還流冷却器を備え付けたフラスコ に、 モノエタノールァミン 39部を仕込み、 60°Cに保ちながら、 N, N—ジメチルァミノプロピルアクリルアミ ド 100部を滴下し、 60°C で 5時間反応させることによりアミン化合物 (A— 2— 2) を得た。
(1 -2) (Α') 成分の製造
(A - i) :
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび還流冷却器を備え付けたフラスコ に、 EHPE— 3150 〔エポキシ当量 180、 ダイセル化学工業 (株) 製、 商品名、 4—ビニルシクロへキセン— 1一オキサイ ドの開環重合体 中のビニル基をエポキシ化したもので、 重合度は平均 5〜25である : (A— 1) 成分〕 900部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 200部、 ジエタノールアミン [ (A— 2) 成分] 315部およびアミ ン化合物 (A— 2— 1) 370部を仕込み、 混合撹拌しながら、 徐々に 加熱溶解し、 140°Cで反応させ、 エポキシ当量が 1585になったこ とを確認後、 ビスフユノール A [ (A— 3) 成分] 2052部を配合し、 150°Cで 5時間反応させ、 エポキシ基残量が 0であることを確認した。 その後、 ジエタノールァミ ン [ (A— 2) 成分] 420部、 エポキシ 当量 190のビスフエノール Aジグリシジルエーテル [ (A— 3) 成分] 4370部、 アミ ン化合物 (A— 2— 1) 740部およびエチレングリ コールモノブチルエーテル 2092部を加え、 150°Cで 5時間反応さ せ、 エポキシ基残量が 0であることを確認し、 固形分含有率 80%、 ァ ミ ン価 61および第 1級水酸基当量 540の樹脂 (A— i ) を得た。
(A-ii) : ―
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび還流冷却器を備え付けたフラスコ に、 £11?£ー3150 〔エポキシ当量 180、 ダイセル化学工業 (株) 製、 商品名 : (A— 1) 成分〕 900部、 エチレングリコールモノプチ ルエーテル 200部、 ジエタノールァミン [ (A— 2)成分] 420部 およびビスフエノール A [ (A— 3) 成分] 2052部を仕込み、 混合 撹拌しながら徐々に加熱し、 140°Cで反応させ、 エポキシ基残量が 0
であることを確認した。
その後、 ジエタノールァミン [ (A— 2) 成分] 630部、 エポキシ 当量 190のビスフエノール Aジグリシジルエーテル [ (A—3) 成分] 3990部、 エポキシ当量 380のポリプロピレングリコールジグリシ ジルエーテル [ (A— 3) 成分] 760部およびエチレングリコールモ ノブチルエーテル 1988部を加え、 150°Cで 5時間反応させェポキ シ残基量が 0であることを確認し、 固形分 80%、 アミン価 64、 第 1 級水酸基当量 438の樹脂 (A— ii) を得た。
(A - ift) :
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび還流冷却器を備え付けたフラスコ に、 ジエタノールァミン 21部、 エポキシ当量 190のビスフヱノール Aジグリシジルエーテル 950部、 エポキシ当量 340のポリプロピレ ングリコールジグリシジルエーテル 340部およびビスフエノール A 4 56部を仕込み、 混合撹拌しながら徐々に加熱し、 120°Cで反応させ、 エポキシ当量が 980であることを確認したのち、 エチレングリコール モノブチルエーテル 492部を加え、 100°Cに保ちながらジエタノー ルァミン 158部およびアミン化合物 (A— 2— 2) 43部を配合し、 粘度上昇が止まるまで反応させ、 固形分含有率 80%、 アミン価 57、 第 1級水酸基当量 532の樹脂 (A— Si) を得た。
(I一 3) (B) 成分の製造
(B— 1) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 EP I CL ON N-695 (大日本ィンキ (株) 製、 エポキシ当量 213、 n = 7) 1917部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 590部、 ノ
ニルフエノール (活性水素含有化合物) 440部およびテトラメチルァ ンモニゥムクロリ ド 0.2部を仕込み、 エポキシ当量が 350になるま で 150°Cで反応させ樹脂 (B— 1) を得た。
(B-2) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 EP I CL
ON N-695 (大日本ィンキ (株) 製、 エポキシ当量 213、 n = 7) 1917部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 620部、 ト ール油脂肪酸 (活性水素含有化合物) 560部およびテトラメチルアン モニゥムクロリ ド 0.2部を仕込み、 エポキシ当量が 370になるまで 150°Cで反応させ樹脂 (B— 2) を得た。
(B-3) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 EP I CL ON N- 695 (大日本インキ (株) 製、 エポキシ当量 213、 n = 7) 100部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B— 3) を得た。
(B-iv) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 BREN— S (日本化薬 (株) 製、 エポキシ当量 280、 n = 2) 100部、 ェチ レングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B— 4) を得た。
(B-5) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 ESMB— 260 (住友化学 (株) 製、 エポキシ当量 260) 100部、 エチレン グリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B—
v) を得た。
(B-6) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 ESN— 195 (新日鉄化学 (株) 製、 エポキシ当量 290) 100部、 ェチレ ングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B -6) を得た。
(B-7) :
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 2, 6—キ シレノール (1官能性フヱノール化合物) 122部、 0—クレゾール (2官能性フエノール化合物) 54部、 7.6%フオルムアルデヒド水 溶液 28部および P—卜ノレエンスルホン酸 4部を 100°Cに昇温し還流 下で 4時間反応させた後トルエン 300部および 10%NaOH水溶液 8.4部を添加し撹拌後分液したトルエン層を減圧濃縮し 2, 6—キシレ ノール、 0—クレゾール共縮合ノボラック 164部を得た。
ついでェピクロルヒドリン 750部を添加し、 100°Cに昇温後 50
%NaOH水溶液 120部を 5時間で滴下し、 系中の水はェピクロルヒ ドリンと共沸させて除去した。 反応終了後過剰のェピクロルヒドリンを 減圧除去し生成物をトルエン 300部に溶解し副生成物の塩を分離除去 後、 トルエンを減圧除去し 2, 6—キシレノール、 0—クレゾ一ル共縮 合ノボラックグリシジルエーテル樹脂 200部を得た。 このもののェポ キシ当量は 210であった。
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取付けたフラスコに、 合成した 2, 6—キシレノール、 O—クレゾ一ル共縮合ノボラックエポキシ 10 0部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶
解し樹脂 (B— 7) を得た。
(B-8) : (比較用)
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取り付けたフラスコに、 EHPE -3150 (ダイセル化学 (株) 製、 エポキシ当量 180、 数'平均分子 量約 900) 100部、 エチレングリコールモノブチルエーテル 25部 を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B— 8) を得た。
(B-9) : (比較用)
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取り付けたフラスコに、 DEN— 438 (ダウケミカル (株) 製、 エポキシ当量 180、 n = 2、 一般式 (I) における R3および R5が共に水素原子である) 100部、 ェチレ ングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B -9) を得た。
(B-10) : (比較用)
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取り付けたフラスコに、 ェピコ一 ト 828 (シェルエポキシ (株) 、 エポキシ当量 190、 n = 0、 一般 式 (I) における R 3および R 5が共に水素原子である) 100部、 ェチ レングリコールモノブチルエーテル 25部を仕込み、 加熱溶解し樹脂 (B— 10) を得た。
(B— 11) : (比較用)
撹拌機、 温度計および還流冷却器を取り付けたフラスコに、 ジフエ二 ルメタンジイソシァネート 250部を仕込み、 80°Cに加熱し、 2—ェ チルへキシルアルコール 130部とジエチレングリコールモノェチルェ 一テル 134部との混合物を 60分間を要して滴下した後、 120°Cに 昇温し、 I Rによって遊離の N CO基の吸収がなくなつたことを確認し
てから、 エチレングリコールモノブチルエーテル 128.5部を加えて 樹脂 (B— 11) を得た。
( 1—4) 顔料ペースト (P— 1) の製造
上記各 (A) 成分 1 0部にチタン白 (石原産業 (株) 製タイペック CR93) 20部、 カーボン (三菱化成 (株) 製、 MA— 7) 2部、 ト リボリリン酸アルミ (帝国化工 (株) 製、 Kホワイ ト 84) 4部、 クレ 一 (ジ一クライ ト化学 (株) 製、 ジークライ ト) 24部、 酢酸 0.4部、 脱イオン水 39.6部を加えて練り合わせた後ガラスビーズ 200部を 加えてペイントシエ一力一で分散し、 粒ゲージでの粗粒子が 10 以下 の固形分 58%の顔料分散ペーストを得た。
I I . 実施例および比較例
上記製造例で得られた (A) 成分、 (B) 成分および中和剤を下記表 1に示すごとく配合し、 混合分散したのち、 脱イオン水を加えて固形含 有率 30%に調整した。 ついで、 このェマルジヨン 333部に、 あらか じめ各顔料ペースト 75部と触媒とを混合したものを配合し、 脱イオン 水を加えて固形含有率 20 %に調整してカチォン電着塗料を得た。
なお、 比較例 5には、 触媒としてさらにジブチルスズジラウレート (スズ含有率 18%) 5. 6部を顔料ペーストに加えた。
これらのカチオン電着塗料を、 リン酸亜鉛処理鋼板および無処理鋼板 に、 電着塗料浴温 25 °Cおよび電圧 100〜250Vで 3分間通電し、 水洗後、 170°Cで 30分間および 160°Cで 10分間焼き付けて塗膜 を硬化せしめた。
(A) 成分 (Β)成分 中和剤 触媒
名称 配合量 名称 配合量 名称 -α 孙 実施例 1 (A-i) 87.5 (β-1) 37.5 酢酸 1.6 ォクチック鉛 2.65
2 (A-ii) 87.5 (Β-2) 37.5 酢酸 1.6 ォクチック鉛 2.65
3 (A-i) 87.5 (Β-3) 37.5 酢酸 1.6 ォクチック鉛 2.65
4 (A-ii) 87.5 (Β- 4) 37.5 酢酸 1.6 ォクチック鉛 2.65
5 (A-i) 87.5 (Β-5) 37.5 ぎ酸 1.2 ォクチック亜鉛 2.65
6 (A-ii) 87.5 (Β-6) 37.5 ぎ酸 1.2 ォ ,4 ノクチノ ッノ ノ々 W iCftS 9 βς
7 (A-ii) 87.5 (Β-7) 37.5 ぎ酸 1.2 ォクチック鉛 2.65
8 (A-i) 87.5 (Β-5) 37.5 ぎ酸 1.2 ぎ酸銅 1.8
9 (A-i) 87.5 (Β-5) 37.5 ぎ酸 1.2 ぎ酸亜鉛 1.5
10 (A-i) 87.5 (Β-5) 37.5 ぎ酸 1.2 ぎ酸ニッケル 1.6
11 A—、 or.0 (Β-5) 37.5 1 o
さ 丄, L ぎ酸コバルト 1.6 比較例 1 (A- 1) 87.5 (Β-8) 37.5 ぎ酸 1.2 ォクチック鉛 2.65
2 C fti-9)
L) ol. ο (Β-9) 37.5 敗 1丄, L ォクチック鉛 2.65
3 00/. ϋ C (Β-10) 37.5 さ 丄, L ォクチック鉛 2.65
4 (A-l) 87.5 (Β-11) 37.5 ぎ酸 1.2 ォクチック鉛 2.65
5 (A - 1) 87.5 (Β-11) 37.5 ぎ酸 L2 ォクチック鉛 2.65
+
ジブチルスズ
5.6 ジラウレート ォクチック鉛 (ォクテン酸鉛) 鉛含有率 38%
ォクチック亜鉛 (ォクテン酸鉛) 亜鉛含有率 18%
ΙΠ. 性能試験結果
得られた塗料およびそれを焼付硬化させた塗膜 (硬化塗膜厚 20 について性能試験を行いその結果を表 2に示す。
表 2
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Q 09 34,0 30.9 0.13 0.14 99 OQ I— I Π なし
10 90 33.8 31.0 0.14 0.13 3.1 92 合 格 なし
11 91 34.2 32.2 0.12 0.12 3.2 92 合 格 なし 比較例 1 78 27.5 27.7 0.10 0, 12 4.1 92 不合格 なし
2 90 26.4 & 5 0.15 0.15 3.2 97 合 格 なし
3 94 27.2 5.4 0.30 0.35 3.3 90 合 格 なし
4 77 27· 3 26.4 0.15 0.15 12.3 不合格 なし
5 94 27.5 27.7 0.15 0.15 15.2 45 合 格 なし
[試験法]
① 低温硬化性:
りん酸亜鉛処理鋼板に各カチォン電着塗料を前記した条件で塗装し、 160°Cで 10分間加熱して塗膜を硬化させた後 (膜厚 20 z) 、 これ を 30°Cに保持したアセトンに 48時間浸漬してから、 浸漬前後の塗膜 重量減少率を下記式により求めたゲル分率 (%) である。
ゲル分率 = [ (浸漬後の塗装鋼板重量一未塗装鋼板重量) Z (浸漬前 の塗装鋼
ゲル分率 = [ (浸漬後の塗装鋼板重量一未塗装鋼板重量) Z (浸漬前 の塗装鋼板重量一未塗装鋼板重量) ] X 100
② MEQ (ミ リ当量) :
上記表 1の配合にもとずいて得られた固形分含有率 30 %のェマルジ ョン (顔料ペーストを含まず) の、 製造してから 12時間経過後のもの (初期) と、 30°Cで 20日間密閉貯蔵後のものとをそれぞれ約 10 g ずつ精秤し、 1 1 ON— KOHアルコール性溶液を用いて電位差滴定 装置による滴定を行い、 含有酸量を定量し、 下記式にしたがって MEQ をもとめた。 初期値に対して貯蔵後の変動のすくないものが良好である。
MEQ= [KOHアルコール性溶液滴定量(m 1 )x 10] / [サンプ ル量(g)x 0.3]
③ 粒径:
上記②と同様にして得たェマルジヨン (初期、 貯蔵後) 粒子の直径を、 コールタール社製、 ナノサイザ一 N— 4を用いて測定した。
④ 加熱減量:
りん酸亜鉛処理鋼板の重量を Woとし、 この処理板に前記した条件で
硬化塗膜にもとずく膜厚が 20 になるように上記電着塗料を電着塗装 し、 その塗膜を真空乾燥器で 80°Cで 1時間減圧下で乾燥させた。 この ものの重さを とする。 ついで、 乾燥器で 180°Cで 30分加熱して 焼き付け.た後の重量を W2とする。 これらを下記式に代入して加熱減量 (%) をもとめた。
加熱減量 = [ (W!-W2) / (Wi-Wo) ] x 100
⑤光沢保持率:
りん酸亜鉛処理鋼板に前記した条件で硬化塗膜にもとずく膜厚が 20 /になるように上記電着塗料を電着塗装し、 170°Cで 20分加熱して 塗膜を硬化せしめた。 この塗板をサンシャインゥヱザォメーター (光量 は 1100KJ 0 u 1 e/m2 · h r) で 200時間促進暴露し、 暴露 前 (初期) との光沢 (60度鏡面反射率) 変化率 (%) を調べた。 光沢 測定には、 デジタル光沢計 GM— 26 D型 (発売元 村上色彩技術研究 所) を用いた。 光沢保持率 (%) は次式によりもとめた。
光沢保持率 =(200時間暴露後の光沢測定値 Z暴露前の光沢測定値)
100
⑥ 耐ソルトスプレイ性:
りん酸亜鉛処理鋼板に前記した条件で硬化塗膜にもとずく膜厚が 20 //になるように上記電着塗料を電着塗装し、 160°Cで 10分加熱して 塗膜を硬化せしめた。 この塗板を、 J I S Z 2871に従って耐ソル トスプレイ性試験し (時間 1000時間) 、 塗膜のカツ ト (素地に達す る線状切りきず) からのクリーク幅 (片側) 2.0 Omm以内、 および カッ ト部以外の塗膜のフクレが 8 F (ASTM) 以下のときを合格とし た。
産業上の利用可能性
本発明の水性塗料用樹脂組成物は、 電着浴中での安定性や低温硬化性 に優れており、 硬化剤としてプロックポリィソシァネート化合物や有機 錫化合物を使用する必要がなく、 特にカチオン電着塗料において有用で める。