明 細 書 熱間圧延における鋼片の接合方法及び連続熱間圧延方法 技 術 分 野
この発明は、 熱間圧延における鋼片の接合方法及び連続熱間 圧延方法に関し、 とく に接合作業の迅速、 簡便化を図ろう とす るものである。
背 景 技 術
従来、 鋼片の熱間圧延に際しては、 加熱炉から抽出した鋼片 を一本づっ圧延していたため、 とく に仕上げ圧延工程において- 以下に述べるような種々の トラブルを生じていた。
a ) 鋼片先端の嚙み込み不良。
b ) 鋼片後端の絞り込み。
c ) 鋼片先端のランナウ トテーブル上での走行トラブル。
d ) 鋼片先後端の寸法不良。
上記の問題の解決策として、 熱間仕上げ圧延機の入側搬送ラ ィ ンにおいて、 先行する鋼片の後端部と後行する鋼片の先端部 とを順次接合してから仕上げ圧延に供する連続圧延方法が提案 され、 これに伴い鋼片の接合方法についても種々の方法が開発 されている。
たとえば特開昭 60 - 244401号公報には、 いわゆるソ レノイ ド 型コイル Sを用いた誘導加熱圧接法 (第 8図参照) 力 また特 開昭 61 - 159285号公報には電極ロールを用いた通電加熱圧接法 が、 それぞれ開示されている。
さらに特開昭 61— 144203号公報には、 先行鋼片の後端部及び 後行鋼片の先端部を突き合わせ、 この突き合わせ部における少 なく とも幅方向両端域を予接合したのち、 20 %以上の圧下率で 圧下することからなる接合方法が開示されている。
しかしながら特開昭 60— 244401号公報及び特開昭 61— 159285 号公報に開示の方法はいずれも、 先行鋼片の後端面及び後行鋼 片の先端面全面を接合面とし、 加熱がかかる接合面全域にわた ることから、 次に述べるような問題があった。
i ) 加熱に大量の電力投入を必要とする。
ϋ ) 所望の接合温度までに要する加熱時間が長い。
iii ) このため加熱設備を停止した状態で加熱する場合は、 長い ループが必要となり、 一方加熱を走間で行う場合には、 長い 走間距離を必要とし、 設備長が長くなる。
また特開昭 61— 144203号公報に開示の方法は、 十分な接合強 度を得るには長時間を要し、 依然として iii ) の問題が残る他、 iv ) 接合作業が煩雑
という問題があつた。
発 明 の 開 示
この発明は、 上記の諸問題を有利に解決するもので、 迅速か つ簡便な接合方法を、 かかる接合方法を利用した連続熱間圧延 方法と共に提案するこ とを目的とする。
さて発明者らは、 上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた 結果、 鋼片の接合に際しては、 必ずしも先行、 後行各鋼片の突 き合わせ面全面を接合する必要はなく、 少なく とも両端域を所 定の割合で接合すれば良いことの知見を得た。
また発明者らは、 上記のようにして先行、 後行両鋼板の両端 域を接合した該接合域を仕上げ圧延する際、 その初期段階にェ 夫を加えることによって、 より一層強固な接合が実現されるこ とを併せて知見した。
この発明は、 上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明の要旨構成は次のとおりである。
1 . 熱間仕上げ圧延機の入側において、 先行する鋼片の後端部 と後行する鋼片の先端部とを接触又は近接状態で突き合わせ、 ついで加熱、 接合するに際し、
上記先行鋼片の後端部及び後行鋼片の先端部をそれぞれ、 両者の突き合わせ接触状態において、 少なく とも各鋼片の幅 方向両端域にて接触する一方、 その間には空隙を有する形状 に、 切断し、
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ついで先行及び後行鋼片それぞれの接合予定部を局所的に 加熱、 押圧するこ とによって、 接合面積を漸次拡大するこ と を特徴とする熱間圧延における鋼片の接合方法 (第 1発明) 。. 第 1 発明において、 加熱、 押圧処理が、 押圧しながら加熱 を行う ものである熱間圧延における鋼片の接合方法 (第 2発 明) 。
. 第 1 又は第 2発明にぉレ.、て、 加熱処理を施すに際し、 加熱 手段を、 突き合わせ接触領域に沿って少なく とも 2式配置し、 各加熱手段を個別に制御して、 各加熱領域における温度差を 1 1 0 °C以内に抑制することからなる熱間圧延における鋼片の 接合方法 (第 3発明) 。
. 第 2又は第 3発明において、 突き合わせ接触領域を、 トラ ンスバース方式の誘導加熱コィルによって加熱するに際し、 各鋼片の加熱、 押圧に伴う接合面積の拡大に合わせて上記誘 導加熱コィルへの投入電力を増大させることからなる熱間圧 延における鋼片の接合方法 (第 4発明) 。
. 第 2又は第 3発明において、 突き合わせ接触領域を、 通電 加熱ロールによって加熱するに際し、 各鋼片の加熱、 押圧に 伴う接合面積の拡大に合わせて上記通電加熱ロールへの投入 電力を増大させることからなる熱間圧延における鋼片の接合 方法 (第 5発明) 。
. 第 2発明において、 先行鐦片及び後行鋼片の接合部を、 ト ランスバース方式の誘導加熱コィルによって加熱しつつ、 各 接合領域の板幅方向にわたる接合長さの変化速度が 1 5〜 1 30 mm/ sの範囲を満足する押圧力を付加することからなる熱間 圧延における鋼片の接合方法 (第 6発明) 。
. 第 6発明において、 接合長さの変化速度が 15〜1 30 mm/ s の範囲内で一定である熱間圧延における鋼片の接合方法 (第 7発明) 。
. 第 1 又は第 2発明において、 突き合わせ接触領域を、 トラ ンスバース方式又はソ レノ ィ ド方式の誘導加熱コイルによつ て加熱するに際し、 かかる誘導加熱コイルに、 下記式によつ て定まる周波数の電流を通電するこ とからなる熱間圧延にお ける鋼片の接合方法 (第 8発明) 。
記
f = k / d 2
f : 周波数 (Hz )
k : 定数 ( 2 x 1 05 〜 2 x 1 0 6 ) d : 鋼片の板厚 (隨)
. 第 1 又は第 2発明において、 熱間粗圧延段階あるいは上記 加熱処理の前段にて、 各鋼片の何れか一方又は両方の突き合 わせ領域に、 板厚を揃える薄肉化処理を施すことからなる熱
間圧延における鋼片の接合方法 (第 9発明) 。
. 第 1 又は第 2発明において、 突き合わせ接触領域を、 トラ ンスバース方式又はソ レノィ ド方式の誘導加熱コィルによつ て目標温度まで加熱するに際し、
鋼片の初期温度と昇温速度から目標温度までの昇温カーブ を予測し、 かつ制御系の遅れによるタイムラグを加味して、 目標温度に到達するまでの時間を算出し、 得られた値に基づ いて加熱処理を施すことからなる熱間圧延における鋼片の接 合方法 (第 10発明) 。
. 粗圧延工程を経た先行の鋼片と、 この鋼片に引き続いて搬 送される後行の鋼片を連続的に仕上げ圧延設備に送給して熱 間圧延するに当たり、 仕上げ圧延設備の入側にて、 先行鐧片 の後端部及び Z又は後行鋼片の先端部に各端部の突き合わせ 状態における接触領域を少なく とも幅方向の両縁部近傍域と する切断加工を施したのち、 各鋼片に加熱、 押圧処理を施し て突き合わせ接合し、 次いで仕上げ圧延を施すこ とを特徴と する鋼片の連続熱間圧延方法 (第 11発明) 。
. 第 11発明において、 少なく とも各鋼片の幅方向両端部を含 む突き合わせ領域の一部につき、 それらの間にギヤ ップを隔 てて予接合するものとし、 その際、 予接合終了時における各 接合領域間の長手方向のギャ ップ Gが、 次式
G≤H x ( l - r ) x { ( l + k) x r - k} こ こで H : 仕上げ圧延機入側板厚
r : 仕上げ圧延前段における累積圧下比
k : 圧延条件に応じて定まる定数 の関係を満足するこ とからなる鐧片の連続熱間圧延方法 (第 12発明) 。
. 第 12発明において、 仕上げ圧延機入側板厚 Hが 20〜50MI、 仕上げ圧延前段における累積圧下比 rが 0.20〜 60及び定数 kが 0.15〜0.35である鋼片の連続熱間圧延方法 (第 13発明) ,. 第 11発明において、 切断加工に先立ち、 幅方向の少なく と も両縁部近傍域に薄肉化処理を施すことからなる鋼片の連続 熱間圧延方法 (第 14発明) 。
. 第 11発明において、 仕上げ圧延の初期段階で鋼片のクラウ ン比率を減少させる圧延を施すことからなる鋼片の連続熱間 圧延方法 (第 15発明) 。
. 第 15発明において、 粗圧延段階で、 鋼片に予め凸状のクラ ゥンを付加しておき、 仕上げ圧延の初期段階は通常の圧延を 施すこ とによって鐦片のクラウン比率を減少させるこ とから なる鋼片の連続熱間圧延方法 (第 16発明) 。
. 第 15発明において、 鋼片のクラウン比率を減少させる圧延 力 仕上げ圧延の初期段階で、 凹状のクラウンを付加するも
のである鋼片の連続熱間圧延方法 (第 17発明) 。
第 1 図に、 この発明の実施に用いて好適な接合装置を組み込 んだ仕上げ圧延機の入側搬送ラインを模式で示す。
図中番号 l -a, 1 -bはそれぞれ先行鋼片及び後行鋼片、 2は コイルボッ クス、 3 -a, 3 -b及び 3 -cはピンチロール、 4 はレ ベラ一、 5 は切断装置、 そして 6が接合装置である。 同図には 接合装置 6 として、 加熱、 接合処理を鋼片 1 の走行と同期させ るいわゆる走間で行う場合について例示したが、 これに対して かかる接合装置 6を停止した状態で加熱、 接合処理を行う場合 には、 破線 7で示したル一パを利用することになる。 また 8 は FSB (デスケーラ)、 9 は仕上げ圧延機の第 1 スタン ドである。
さてこの発明において、 先行、 後行各鐧片の後、 先端部の切 断方法としては、 シヤー、 ガス溶断及びレーザー溶断など従来 公知の方法いずれもが適合するが、 2枚の曲線刃を有する ドラ 厶シャ一を用いた切断がとりわけ有利に適合する。
第 2図 ( a ) 〜 (g ) に、 先行、 後行各鋼片の後、 先端部の 好適切断形状を示す。
第 2図 ( a ) は後、 先端部を同じ曲率で凹状に切断した場合、 同図 ( b ) は後、 先端部とも凹状ではあるがそれらの曲率が異 なる場合、 同図 ( c ) は一方は直線とし、 他方のみ凹状とした 場合、 同図 ( d ) は一方を凸状、 他方を凹状とし、 凹状の曲率
を凸状の曲率より も幾分大き く した場合であり、 さらに同図
( g ) は幅方向両端域に接合代をもうけ中央域を切り欠いた場 合である。 以上の例はいずれも鋼片の幅方向両端域のみを接触 させ、 中央域にギャ ップを設けたものであるが、 この発明にお ける切断形状はこれだけに限るものではなく、 同図 ( e ) 及び ( f ) に示すように両端域及び中央の 3点で接触させ、 その間 にギャ ップを設けても、 また図示は省略したが、 接触部を 4点 ないしはそれ以上とし、 その間にギャ ップを設けたような形状 でも良い。
またこの発明において、 加熱手段はと く に限定されることは なく、 ガスバーナー、 通電加熱及び誘導加熱などいずれもが使 用できるが、 中でも第 3図に示すような交番磁界を鋼片の板厚 方向に貫通させて印加する方式 (以下、 かような磁界印加方式 を トランスバース方式という) になる誘導加熱がとりわけ有利 に適合する。
第 3図に示したところにおいて、 10が鋼片 1 の板厚方向に貫 通させて交番磁界を発生させる交番磁界発生コイルであり、 か かる交番磁界発生コイル 10は、 鋼片を上下に挟んで設置した一 対のコア 10- aとこれらのコアに連続して巻き回したコイル 10- b と電源 10-cとからなる。
さて第 3図に示したような トランスバース方式によって先行、
CT/JP91/01031
1 0 後行鋼片の突き合わせ部 aの中央域に交番磁界 dを印加した場 合、 突き合わせ部 a には、 第 4図 ( a ) に示すような渦電流 e が誘発され、 同図 (b ) に示すように、 とく に突き合わせ部両 端の接触領域が優先的に加熱されることから、 この発明のよう に少なく とも各鋼片の幅方向両端域の加熱が重要な場合には、 かかる誘導加熱方式がとりわけ有利なわけである。 なお接触領 域が両端域のほかに、 中央部やその他の位置にもある場合には、 所定個数の交番磁界発生コィルを所定の位置に配置するこ とに よって、 各接触領域を優先的に加熱することができる。 また第 3図には、 トランスバース方式の交番磁界印加コイルとして、 鋼片を上下に挟んでコアを個別に配置したいわゆる分割型交番 磁界印加コィルを用いる場合について示したが、 その他第 5図 に示すような、 コアとして C型形状の一体物 10- dを用いたいわ ゆる C型交番磁界印加コイルを用いることもでき、 かかる C型 コイルは、 磁界印加コィルを鋼片の移動に同期させて移動させ つつ接合処理を行う場合に、 操作取扱いが容易である点や、 磁 極のァラィ メ ン トを簡便かつ正確に行い得るという点で利点が ある。
ここに良好に接合が進行する温度は 1250 °C以上であるが、 加 熱温度があまりに高すぎると鋼片端部が溶融するおそれがある ので、 加熱するにしても 1450 °C以下とするのが好ま しい。
以下、 上掲した各発明をそれぞれ具体的に説明する。
第 1 発明
さて第 1 発明ではまず、 切断装置によって先行する鋼片の後 端部と後行する鐦片の先端部とを、 たとえば第 6図 ( a ) に示 したような後、 先端部がそれぞれ凹状となる形状に切断する。 ついで互いに凹状をした接合面を、 接触又は近接状態で突き 合わせたのち、 加熱、 押圧処理を施す。 かかる加熱、 押圧処理 と しては、
i ) 接合予定部の温度が目標温度に達した時点で加熱を停止し、 ついで押圧する方法、
ϋ ) 接合予定部の温度が接合可能温度に達したならば、 加熱は 継続したまま (ただし鋼片の溶融温度は超えない) で、 押圧 を開始する方法、
iii ) 最初から鋼片同士を押圧し、 接触部の加熱も同時に行う方 法、
iv ) 所定の接合代 (好ま しく は鋼片両端域における接合代が鋼 片幅の 1 /10 以上) まで押圧したのち、 加熱する方法
などいずれの方法でも良い。
上記のような加熱、 押圧処理を施すことにより、 高温部であ る両端域から変形が始ま り、 第 6図 ( b ) に示すように、 接合 領域が両端域から中央域へと次第に拡大して、 接合力が効果的
に強化されるのである。
ここに接合代 Wは、 鋼片幅 Bに対し、 少なく とも両端域でそ れぞれ 0. 1倍以上、 併せて 0. 2倍以上とするのが好ま しい。 と いうのは接合代の合計が鋼板幅の 0. 2倍に満たないと、 その後 の仕上げ圧延時に先、 後鋼片の分離破断を生じるおそれがある 力、らである。
第 7図に、 接合代と仕上げ圧延における破断の有無との関係 について調べた結果を示す。
同図より明らかなように、 両端域における接合代 Wがそれぞ れ鋼片幅 Bの 0. 1倍以上であれば、 その後の仕上げ圧延におい て破断分離のおそれは全くない。
なお上記の押圧処理は、 鋼片端部の突き合わせ部を前後に挟 んで設けたピンチロールで容易に実施することができ、 ここに 押圧力は 3〜 5 kg/nrni2程度で充分である。
第 1 発明において、 実際に加熱を加えるのは接合予定部のみ であって、 従来のように鋼片幅方向全域を加熱する必要がない ので、 従来よりも電力投入量を低減できるだけでなく、 接合温 度までの加熱時間も短縮できる。 従って加熱を停止状態で行う 場合には、 ループ長は短くて済み、 また加熱を走間で行う場合 には、 短い走間距離で済む。 さらに所定の接合温度まで加熱後、 たとえばピンチロールで軽く押圧してやるだけで所望の接合強
度が得られるので煩雑な接合作業を必要とするこ ともない。 また加熱手段として、 トランスバース方式の誘導加熱を採用 すれば、 加熱時間を一層短縮するこ とができる。
かく して第 1 発明によれば、 仕上げ圧延機の入側搬送ライ ン において、 先行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部とを接合する に際し、 従来に比べ所要時間を大幅に減縮するこ とができるだ けでなく、 加熱設備の小型化や設備長の短縮化も図り得る。 第 2発明
熱間仕上げ圧延の前段階では、 鋼片はまだ 1 000〜1 1 00で程度 の高温状態にあるので、 単なる押圧だけでも各鋼片の接合は幾 分かは進行する。 しかしながら、 かかる押圧処理を行いつつ、 同時に加熱を施してやればその接合が効果的に促進され、 接合 時間のより一層の短縮及び加熱に要する投入電力量の削減が期 待できる。
第 2発明は、 上記の理由から、 押圧処理を加熱処理と同時に 行う こととしたものである。
第 3発明
上述した加熱処理において、 加熱手段が一つの場合には、 接 合部両端域の温度を独立して制御することが不可能なため、 ィ) 両端域で温度差が生じた場合、 変形抵抗の差によって接合 面が傾く (第 9図 ( a ) 参照) 、
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14 口) さらに、 一方の端域温度が他端に比べて極端に高くなつた 場合、 高温側の端域に融け落ち wが生じて接合部に隙間がで き (第 9図 ( b ) 参照) 、
いずれにしても板幅方向に均一な接合力が得られず、 ひいては 良好な接合面が得られない。
第 3発明は、 上述した接合部両端域の温度差に起因する問題、 さらには投入電力量や接合時間に関する問題を有利に解決でき る新規な接合方法を与えるものである。
第 10図に、 第 3発明の実施に用いて好適な加熱装置の好適例 を模式で示す。
図中番号 10及び 11はそれぞれ、 鋼片 1 の板厚方向に貫通させ て交番磁界を発生させるいわゆる トランスバース方式の交番磁 界発生コイルであり、 この例では接合領域を 2分割し、 各領域 の中央部に 2基配置した場合について示してある。 かかる交番 磁界発生コイル 10, 11はそれぞれ、 鋼片を上下に挟んで設置し たそれぞれ一対のコア 10 - a, 1 1 -aとこれらのコアに連続して巻 き回したコイル 10- b, 1 1 -bと電源 10-c, 1 1 - cとからなり、 それ ぞれ独立して出力が制御できるようになっている。 また 12-a及 び 12- bはいずれも放射温度計からなるを可とする温度計であり、 それぞれ接合部両端域の温度を測定する。
さて第 3発明では、 先行鋼片 1 -aの後端部及び後行鋼片 1 -b
の先端部を、 切断装置 5 によって切断し、 両鋼片を接触状態で 突き合わせたのち、 交番磁界発生コイル 10, 1 1で接合領域に交 番磁界を印加し、 加熱を開始する。 このとき各加熱領域の温度 を放射温度計 12-a, 12-bで測定し、 両者の温度差が 1 10°C以内 になるように投入電流を制御しつつ加熱を継続する。
こ こに第 3発明に従う交番磁界の印加による接合面の加熱要 領は次のとおりである。 すなわち交番磁界の印加によつて鋼板 面には、 第 1 1図 ( a ) に示すような渦電流 e ' が誘発され、 こ の誘発された渦電流 e ' によつていわゆる誘導加熱が生じるこ とになるが、 この発明に従う印加方式では、 渦電流 e ' の流路 に接触電気抵抗として接触部 aが存在することから、 この抵抗 によるジュール発熱も加わるため、 同図 (b ) に示すように、 と く に接触部 aの温度が優先的に上昇することになるのである c なお第 10図 ( a ) には、 トランスバース方式の交番磁界印加コ ィルとして、 鋼片を上下に挟んでコアを個別に配置したいわゆ る分割型交番磁界印加コイル 10, 1 1を用いる場合について示し たが、 その他第 12図に示すような、 コアとして C型形状の一体 物 10- d, 1 1 -dを用いたいわゆる C型.交番磁界印加コイルを用い ることもでき、 かかる C型コイルは、 磁界印加コイルを鋼片の 移動に同期させて移動させつつ接合処理を行う場合に、 操作取 扱いが容易であるこ との他、 磁極のァライメ ン トを簡便かつ正
確に行い得るという利点がある。
ここに加熱昇温時における各加熱領域の温度差を 1 1 0°C以内 に限定したのは、 前掲第 9図 ( a ) に示したような両端域の温 度差と接合面の傾きとの関係を調査した結果による。
第 13図に、 2個の交番磁界発生コィルの投入電力に差をつけ て加熱し、 接合面の融け落ち防止のために、 高温側の接合面温 度が 1450°Cに達した時点で加熱を停止し、 ついで鐧片同士を押 圧したときの、 接合面両端の温度差と接合後の接合面の傾きと の関係を調べた結果を示す。 ここに接合面の傾き Θ 0. 3' を超えると、 後行鋼片の曲がりが大き くなって後行鋼片の後端 部が仕上げ圧延機の外にはみ出してしまい、 圧延が不可能とな 同図より明らかなように、 両端部の温度差が 1 10 °cを超える と接合面の傾き 0が 0. 3° を超え、 圧延の続行が不可能となる c それ故、 第 3発明では、 加熱領域の温度差につき、 1 1 0°C以 内に限定したのである。
かく して第 3発明に従えば、 鋼片の接合に際し、 接合部両端 域の変形抵抗の差によって接合面が傾いたり、 高温側の端域が 融け落ちて接合部に隙間ができたりすることがないので、 板幅 方向に均一な接合力が得られ、 ひいては良好な接合面が得られ るのである。
第 4発明及び第 5発明
この発明に従う接合方法においても、 特殊な条件下、 すなわ ち、 先行鋼片の後端と後続鋼片の先端の一部 (少なく とも幅方 向の両端部を含む) を接合面とし、 卜ラ ンスバース方式の誘導 加熱と同時に押圧処理を施し漸次接合面積の増大を図るような 接合条件下では、 必ずしも接合全領域にわたって均一な温度分 布が得られず、 そのために十分満足のいく接合状態が得られな い場合がある。
すなわち、 このような接合方式においては、 交番磁界によつ て誘起される誘導電流は予め一定の値になるように設定 (誘導 コイルの投入電力を一定) され、 所定の押圧力でもって押し付 けられるけれども、 接合面積の拡大とともに接合面における電 流密度が低下するために昇温速度が低下し加熱に要する時間の 短縮化には限界があつた。 このような問題を回避する対策して は投入電力を予め高い値に設定するこ とも考えられるが、 この 場合には、 加熱時間が比較的長くなる鋼片の幅方向の両端部は 必要接合代を得るまでに溶融してしまうおそれがあり有効な手 段とはいえない。
第 4及び第 5発明は、 上記のような接合方式を採用する場合 ( おいて、 接合領域の温度分布をなるベく均一化するようにし、 短時間のうちに良好な接合状態を得ることができる鋼片の接合
方法を与えるものである。
さて第 14図に、 第 4発明を実施するのに好適な設備の構成を 模式で示す。 なお構成の骨子は、 前掲第 1 図と共通するので同 一の番号を付して示し、 図中番号 13が鋼片の押し込み量検出器、 14が先行鋼片 1 -aと後行鋼片 1 -bの接合の際における接触面積 を演算する演算器、 15が投入電力演算器、 そして 16が投入電力 Ik /£ ¾5 ' ¾>る。
先行鐧片 1 -aの後端部と後行鋼片 1 -bの先端部をそれぞれ第 15図のような平面形状になるように切断加工したのち、 各鋼片 の幅方向両端部を含む領域を接合部にして加熱 (誘導コィルの 投入電力一定) と同時に押圧処理を施して第 16図のように淅次 接合面積の拡大を図るような場合には、 接合面積の拡大ととに 接合面における電流密度が低下するために昇温速度の低下が避 けられず、 その結果として加熱に要する時間の短縮化を図るの が難しかったのである。
しかしながら、 第 4発明においては、 上掲第 14図に示したよ うな構成になる装置を適用して接合面積の拡大に合わせて交番 磁界を発生させる誘導コィル 10への投入電力を増大させて加熱 容量を徐々 に大き くするようにしたので、 接合領域の全域にわ たって温度分布がほぼ均一になるような状態で所定の温度域ま で加熱でき、 従って鋼片の接合に要する時間を一層短縮できる
のである。
接触面積の拡大に応じて投入電力を増大させる具体的な制御 は、 まず、 押し込み量検出器 13にて、 押圧開始後のピンチロー ル 3 - bの回転角度より鋼片の押し込み量を検出する。 次に、 こ の押し込み量に基づき接触面積演算器 14にて接合部における接 触面積を演算する。 そして次に、 算出された接触面積に基づい て投入電力演算器 1 5にて投入電力を演算し、 算出された投入電 力となるように適宜投入電力設定器 1 6を介して電源 10- cを調整 するようにする。
以上、 仕上げ圧延機の入側における鐦片 1 -a, 1 -bの局部的 な突き合わせ接合における加熱手段として、 いわゆる トラ ンス バース方式の 導加熱コィルを用いる場合について主に説明し たが、 かかる トラ ンスバース方式の誘導加熱コイルに代えて、 第 1 7図に示すような電極口一ル 17を用いた通電加熱方式を用い た場合 (第 5発明) にも、 同様にして、 接合時間の短縮を図る こ とができる。
かく して第 4及び第 5発明によれば、 鋼片の接合に当たって 先行鋼片の後端と後続鋼片の先端の一部を接合面とし、 加熱と 同時に押圧処理を施し漸次接合面積を増大するような接合を行 う場合においても接合領域の全面でほぼ一定になるような温度 分布のもとに加熱できるので、 幅端部における融け落ちのおそ
れなしに接合予定部を極めて短時間のうちに接合できる。
第 6発明及び第 7発明
第 2発明のように、 先、 後鋼片の一部 (少なく とも両端部を 含む) を接合面とし、 加熱と同時に押圧処理を施して漸次接合 面積の増大を図る方式になる接合条件下では、 必ずしも接合全 領域にわたって均一な温度分布が得られるわけではなく、 その 結果、 十分満足いく程の接合状態が得られない場合がある。 すなわち、 たとえば第 18図 ( a ) に示すように、 先行鋼片の 後端部と後行鋼片の先端部とをそれぞれ円弧状に切断した鋼片 を突き合わせ、 加熱と同時に押圧する場合において、 最終接触 面積に対応する面圧相当の一定押圧力で押し付けると、 押圧初 期は面圧が大きいことから変形が急速に進み、 同図 (b ) に破 線で示すように、 板幅方向における接合長さ Lは初期に急激に 大き くなる。 他方、 誘起電流は磁束寄りを流れよう とするため に接触直後の箇所に大電流が流れ、 磁束から遠いェッジ部には 電流が流れ難い。 このため接合領域のエッジ部では、 大電流の 流れる時間が短いことから温度が十分には上昇せず、 その結果 均一な温度分布が得られない場合があつた。
第 6及び第 7発明は、 上記した接合方法の改良に係わり、 接 合面における温度分布を均一にして、 より優れた接合状態を実 現できる熱間圧延における鋼片の接合方法を与えるものである
第 6発明に従い、 第 18図 ( b ) に一点鎖線で示したように、 接触長さの変化速度を所定の範囲に制御することによって、 接 触直後の大電流の流れる時間が接合面の幅方向でほぼ均一にな り、 その結果、 接合面の幅方向にわたる温度分布が等しくなる ように昇温されるので、 均一な接合ひいては満足いく接合強度 が得られ、 その結果安定した接合が可能となるわけである。
ここに各接合領域における接合長さの変化速度が 15關 " s に 満たないと、 接合に長時間を要し、 接合時間の短縮というこの 発明の目的を達成できず、 一方変化速度が 130 mm/ sを超える と所定の接合温度 ( 1250〜1450°C ) まで昇温できない場合があ るので、 この発明では、 接合長さの変化速度は 15〜130 mm/ s (好ま しく は SO SOmmZ s ) の範囲に限定した。
なお上記の範囲内であれば、 変化速度を変更させてもかまわ ないけれども、 該範囲内において変化速度一定とする (第 7発 明) ことがとりわけ好ま しい。
第 19図に、 第 6発明の実施に用いて好適な接合長さの変化速 度制御装置を組み込んだ圧延ラインを模式で示す。
構成の骨子は、 第 14図と共通するので同一の番号を付して示 し、 図中番号 18が接触長さ変化速度演算器、 19が押圧力設定器、 20が押圧用モーターである。
さて第 19図に示したところにおいて、 実際の接合長さの変化
速度の制御は次のようにして行う。
まず、 押し込み量検出器 1 3において、 押圧開始後の押圧用ピ ンチロール 3 -bの回転角度からシー トバーの押し込み量を算出 する。 この押し込み量から、 接触長さの変化速度を接触長さ変 化速度演算器 18で演算する。 ついで押圧力設定器 1 9において、 得られた値と予め定めておいた接触長さ変化速度設定値とを比 較し、 接触長さの変化速度が設定値となるような押圧力を設定 する。 そして得られた値に基づき、 押 EE用モ一夕一 20を甩いて ピンチロール 3 -bの押圧力を調整することにより、 接触長さの 変化速度を所定の範囲に制御するのである。
かく して第 6及び第 7発明によれば、 接合面全域にわたって 均一に加熱でき、 従って幅方向で均一な接合強度ひいては良好 な接合状態を得ることができる。
第 8発明
高周波加熱を適用した接合手法において、 鐧片の厚み変化を 考慮しない場合には、 以下に述べるような問題がある。
すなわち、 高周波加熱は、 鋼片の加熱に際してその領域を取 り囲むように配置された誘導加熱コイルに、 周波数の高い電流 を加え、 これによつて該鋼片に対して磁界を印加し、 その際に 鋼片に誘起されるいわゆる誘導電流の抵抗発熱でもつて短時間 で加熱昇温しょう とするものであり、 かかる高周波加熱によつ
て誘起される誘導電流は、 その浸透深さ doが下記式
d0= 1 /2π · (107 p ) i 2 · (J. T f ) -】/2
p : 固有抵抗
PL r : 比透磁率
f : 周波数
でもって表される。 ここで、 誘導加熱コイルにとく に高い周波 数の電流を流すと、 誘導電流は鋼片の表面近傍を通り易くなる ために、 接合予定部全域が目標温度 ( 1250〜1450°C程度) に達 する以前に鋼片の表層のみが溶融してしまい、 逆に誘導加熱コ ィルに周波数の比較的低い電流を流した場合には、 鋼片表面に おける放熱が大きいため、 鋼片表面より も厚み方向の中央部域 が高温になり、 接合予定部の全域が所定の温度に達する前に該 領域が溶融してしまう。 従って接合する鋼片の厚みに考慮を払 わない場合には、 必ずしも所望の接合強度が得られるとは限ら ない。
熱間仕上げ圧延ライ ンに供給される鋼片は、 通常その厚みが 約 15〜70匪の範囲で変化するものであり、 第 8発明は、 接合す る鋼片の厚みの変化に応じて適切な加熱、 接合を実現するもの である。
高周波加熱を適用した鋼片の加熱、 接合において、 鋼片の板 厚と誘導加熱用コイルに加える電流の周波数の関係について調
査した結果を第 20図に示す。
同図における領域 Aは、 鋼片の加熱領域においてその厚み方 向における温度偏差がなく接合予定部を均一に加熱できる領域 であり、 領域 Bは鐧片の局部的な温度上昇によって表層のみの 溶融が避けられない領域、 領域 Cは鋼片の厚み方向の中央部の みの溶融が避けられない領域である。 上記の領域 Aでは、 接合 対象とする鐧片の板厚が比較的薄い場合には鋼片の厚み方向に おける熱の移動が容易に行われるために適用できる周波数の範 囲が広く、 一方鋼片の扳厚が比較的厚い場合には熱の移動に時 間を要するために適用できる周波数の範囲が狭くなる傾向にあ るが、 第 8発明では、 誘導加熱コイルに、 この領域を表す上記 (1)式を満足するような電流を加え、 これによつて発生させた磁 界を鋼片に印加して加熱するこ とにより、 接合予定部を短時間 で所望の温度まで均一に加熱昇温するものである。
第 21図に、 第 8発明の実施に用いて好適な熱間圧延設備の一 例を示す。 この例で誘導加熱コイルとしては、 鋼片の周りを取 り囲むソレノィ ド状のもの 21を示した。
先行鋼片 1 -aの後端部と後行鋼片 1 -bの先端部を接合するに あたっては、 まず各鋼片 1 - a, 1 - bをピンチロール 3 - b, 3 - c にて搬送しその接合予定部を、 誘導加熱コィル 21の領域まで移 動させ、 ここで一たん搬送を停止する。 次いで上記 (1)式に基づ
き誘導加熱コイル 21にて交番磁界を発生させ、 これを鋼片に印 加する。 交番磁界を印加されたシー トバーの接合予定部には、 誘導電流が流れその際の抵抗発熱でもって短時間のうちに急速 に加熱、 昇温され、 この状態で鋼片同士を押圧するか、 又は予 め押圧した状態で上記の要領に従う加熱処理を施すことによつ て相互に密着させる。
かく して第 8発明によれば、 接合対象の鋼片の板厚が変化す るようなこ とがあっても、 各鋼片の接合予定部をその前面にわ たつて均一に加熱してから接合できるので、 圧延中に接合部が 破断分離するようなことはなく、 従って連続熱間圧延によって 生産性を格段に改善できる。
第 9発明
鋼片の加熱手段としてとく に誘導加熱方式を適用した場合に は、 鋼片の板厚変化に応じて磁界の強さを調整する必要がある ため、 最大板厚の鋼片を接合するのに必要な大容量の加熱装置 が必要になる。
また、 先行する鋼片と後行の鋼片の板厚が異なる場合に優先 的に板厚の厚い鋼片に磁界が集中し、 その結果として板厚の厚 ぃ鋼片のみが加熱されるために、 薄い板厚の鋼片に合わせて磁 界を印加する必要があり、 それには大量の電力が必要となる し 各鋼片の端部を均一加熟するのは難しい。
さらに、 鐧片の板厚が異なる場合において、 各鋼片を栢互に 接合することができたとしても、 接合が十分でないために引き 続く仕上げ圧延過程で鋼片の接合部分が破断分離することがあ り、 たとえ破断分離するようなことがなくても自動板厚制御 (AGO が追従できないためにオフゲージ部が発生し、 製品歩留 りを低下させるおそれがある。
第 9発明は、 鐧片の接合に際してむだなエネルギーを消費す ることなく迅速に、 しかも圧延中に鋼片の接合部分が破断分離 することがないよう確実に接合できる接合方法を与えるもので ある o
さて第 22図に、 第 9発明の実施に用いて好適な圧延設備の一 例を示す。 構'成の骨ネは、 第 21図と共通するので同一の番号を 付して示す。
先行鋼片 1 -aの後端部と、 後行鐧片 1 -bの先端部の突き合わ せによる近接又は接触状態で、 誘導加熱コイル 21によって交番 磁界を印加すると、 鋼片 1 - a, 1 -bの各端部には、 幅方向に沿 つて渦電流が流れるようになり、 その領域の温度はその際のジ ユール発熱によつて極短時間のうちに優先的に上昇し、 ここに 目標とする接合温度に達した時点で各鋼片同士を押圧するか、 あるいは予め押圧した状態で上記の加熱処理を行うこ とによつ て、 比較的短時間のうちに相互に密着、 接合されるこ ととなる。
ところで、 このような誘導加熱方式においては、 前述したよ うに、 鋼片の板厚変化に応じて印加する磁界の強さを調整する 必要があるため、 最大板厚の鋼片 (鋼片の板厚は用途に応じて
30〜50舰の範囲で変化) を接合するのに必要な容量をもつた加 熱装置が必要であり、 また、 先行する鋼片と後続の鐧片の板厚 が異なる場合においては優先的に板厚の厚い鋼片に磁界が集中 し、 その結果として板厚の厚い鋼片のみが加熱されるために、 薄い板厚の鋼片に合わせて磁界を印加する必要があって、 その ためには大量の電力が必要となるし各鐦片の端部を均一加熱す るのが難しく、 さらに、 鋼片の板厚が異なる場合において、 各 鋼片を相互に接合することができても、 引き続く仕上げ圧延過 程で、 鋼片の接合部分が破断分離ことがあり、 たとえこのよう な破断分離が生じるようなことがなく とも板厚差の大きい鋼片 を接合して圧延する場合には AGC 制御が追従できずオフゲージ 部が発生するために製品歩留りの低下が避けられなかったので ある。
第 9発明においては、 熱間粗圧延段階、 また上記の誘導加熱 処理の前段で、 各鐧片 1 - a, 1 - bの何れか一方又は両方の突き 合わせ領域 (先行鋼片 1 -aではその後端部域、 後行鋼片 1 - bで はその先端部域) に、 圧延又は鍛圧加工によって薄肉化処理を 施すようにしたか'ら、 たとえ接合する鋼片の厚みが異なるこ と
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28 があってもその領域のみは同等の板厚とするとこができるので 上記の如き問題は有利に回避されることとなる。
ここに、 薄肉化処理としては、 具体的に鋼片の端部へ向かつ て漸次板厚が薄くなるようなテーパー状の加工を施すのが好適 であり、 これによつて、 加熱時間の短縮化や、 圧延の際の衝撃 を回避することができ、 さらに AGC の追従性が向上する。 薄肉 化処理の形態とては、 先行鋼片 1 -aと後行鋼片 1 -bの厚みが同 等になるものを接合、 連続圧延するような場合においては、 先 行鋼片 l -a、 後行鋼片 1 -bともに同様の加工を行えばよ く、 一 方の鐧片の板厚が厚く、 他方の鋼片の板厚が比較的薄い場合に は薄いほうの厚みに合わせるように板厚の厚い鋼片に対して薄 肉化処理を施すか、 あるいは何れの鋼片も同等の厚みになるま で薄肉化処理を施せばよい。 端部における板厚は、 圧延時の破 断分離を防止する目的で最小厚みにして経験的に 15〜30腿程度 とするのが好ま しい。
第 23図に、 板厚の異なる鋼片を接合して連続熱間圧延を行う 場合の状況を示す。
加熱処理の前段での薄肉化処理に当たり、 例えば鍛圧加工を 行う場合、 それに甩いて好適なアンビルとしては、 第 24図に示 すように、 後行鋼片 1 -bの先端部を加工する入側傾斜 22 a及び 先行鋼片 1 -aの後端部を加工する出側傾斜 22 bを備えたァンビ
ル 22を鋼片を厚み方向に挟むよう上下に配置して、 このアンビ ル 22の相互接近 · 離隔の往復動作によって上記入側傾斜 22 aあ るいは出側傾斜 22 b と同等の傾斜をもたせて薄肉化を図るのが 好適である。
第 25図に、 板厚の異なる鋼片を接合する場合においてその板 厚差による接合面の温度差状況を示したが、 板厚差が大き く な るほど接合面の温度差が大き くなることがわかる。
なお誘導加熱コィルとしては、 ソ レノィ ド方式のものを用い る場合についてのみ説明したが、 トランスバース方式の誘導加 熱コイルを適用することができるのはいうまでもない。
かく して第 9発明によれば、 先行して搬送される鋼片の後端 部と後続の鋼片の先端部を、 鋼片の板厚変更にかかわらず同等 の厚みにして迅速かつ確実に接合できるので、 生産性の高い連 続熱間圧延が実現できる。 また、 この発明によれば、 加熱装置 の容量が小さ くできる し、 鋼片を接合する際の押圧力が比較的 小さ くてよい利点がある他、 接合部近傍のオフゲージを極力回 避できる。
第 1 0発明
鋼片の接合に際しては、 接合部を、 1250 °Cから融点直下の接 合可能温度範囲まで加熱する必要があるが、 接合温度は上限近 傍の高温域に設定することが有利である。 というのは高温にな
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30 るほど鋼片は軟化するので、 押圧による接合が容易になるから である。 とはいえ加熱温度が融点以上になると、 第 9図 ( b ) に示すように、 接合部の一部に融け落ち wが生じて接合部に隙 間ができ、 板幅方向に均一な接合力、 ひいては良好な接合面が 得られないので、 加熱温度は鋼片の融点を超えないようにする ことが肝要である。
しかしながら上記した誘導加熱方式により、 目標温度を融点 直下に設定して加熱を行う場合、 温度計による測定値が目標温 度になった時点で加熱を停止したのでは、 制御系の遅れにより 加熱温度が融点を超えることがある。 すなわち誘導加熱方式は、 急速加熱であるがゆえに、 制御系のわずかなタイムラグによつ ても、 オーバーヒー トを生じるおそれが大きかったのである。 第 10発明は、 上記の問題を有利に解決するもので、 誘導加熱 方式による急速加熱に際しても、 目標温度まで的確に昇温でき る加熱方法を与えるものである。
第 10発明において、 誘導加熱方式としては前掲第 8図に示し たようなソレノィ ド方式だけでなく、 前掲第 3図に示したよう な トランスバース方式であっても良い。
さて第 10発明ではまず、 切断装置によって先行する鋼片の後 端部と後行する鋼片の先端部とを切断する。
ついで両端部を突き合わせたのち、 加熱、 押圧処理を施すわ
けであるが、 かかる処理に際し、 誘導加熱方式を採用した場合 には急速加熱であるがゆえに、 制御系のわずかなタイムラグに よっても、 オーバーヒー トという不都合が生じていたのである, そこで第 10発明では、 鋼片の初期温度と昇温速度とから目標 温度までの昇温カーブを予測し、 この予測カーブから目標温度 到達までの時間を算出し、 この算出結果に基づいて加熱を施す のである。 ここに昇温カーブの予測は、 たとえば次のようにして行う。 第 26図に示すように、 目標温度を S F(°C)、 初期温度を °C)とし、 加熱開始から t s )後の板温を 02(°C)、 さ らに t 2 ( s )後の板温を 3(°C)とすると、 加熱開始から ( t , + t 2) 経過後、 目標温度までの到達時間 t は次式、
B— Θ F
t = A In (1)
Β- θ 3 で表されるこ とになる。
ただし、 A, Βは次式により表わされる。 t
A (2)
B 一 θ
In
Β - 0
2 2
( θ 2 - θ , + θ 3 - θ 2)
Β (3)
2(θ θ ,)
1031
32
しかしながら上記の t秒後に加熱を停止すると、 やはり制御 系のタイムラグにより、 オーバーヒー トするおそれがある。 そこでこの発明では、 かかるタイムラグを加味し、 タイムラ グが t しであるとすれば ( t — t J 後に加熱を停止するのであ り、 かく して目標温度まで的確に昇温できるのである。 以上、 加熱後の測温データから昇温カーブを推定した場合に ついて説明したが、 次に述べるプリセッ ト方式によれば、 とく に上記のような測温を行わなぐても、 目標温度到達時間を検出 することができる。 すなわち 印加電力 : W (W) 鋼片の比熱 : C (J/K g) 鋼片の密度 : p (g/cm3 )
鋼片の厚み : D (mm) とし、 また 鋼片の初期温度 Θ , ( 00 加熱後の目標温度 : Θ P (°C ) とすれば、 第 27図に示すような目標温度までの到達時間 t は、 次式 a 2W ― Θ F
t = a ! C p D In (4)
a 2W 一 θ I
こ こで a , , a 2 は定数
で表されるのである。
なおこのプリセッ ト方式においても、 タイムラグを加味する 必要があるのはいうまでもない。
このプリセッ ト方式によれば、 温度測定は初期温度だけでよ く、 加熱開始後にと く に測温する必要がないという利点がある かく して第 1 0発明によれば、 鋼片の加熱方法として、 急速加 熱である誘導加熟方式を利用した場合であっても、 目標温度ま で的確に昇温するこ とができ、 オーバーヒー 卜が発生するおそ れはない。
第 1 1発明
以上、 接合方法について説明したが、 第 1 1発明は、 上記の各 接合方法を利用した連続圧延方法であり、 これにより、 一層円 滑に連続熱間圧延を実施することができる。
第 12発明及び第 13発明
この発明に従う接合方法では、 予接合部間に未接合域が存在 するこ とから、 その後の仕上げ圧延においてこの未接合域を接 合するこ とが好ま しく、 と く に仕上げ圧延において板幅制御を 目的とした張力制御圧延を実施する場合には、 できる限り前段 パス好ま しく は第 1 パスでの接合の完了が望まれる。 しかしな がらギャ ップの大きさによっては前段パスでは接合が完了せず、
十分な接合強度が得難い場合があつた。
第 12発明は、 上記の要請に有利に応えるもので、 仕上げ圧延 の前段パスにおいて板幅方向全域にわたる接合が可能な鋼片の 接合方法を与えるものである。
第 13発明は、 前掲式において、 仕上げ圧延機の入側板厚 Hを 20〜50匪、 また仕上げ圧延前段における累積圧下比 rを 0.20〜 0.60、 さらに定数 kを 0.15〜0.35とすることにより、 一層良好 な接合状態を得るものである。
以下、 第 12発明における圧延接合のメ力二ズムを図面に基づ いて説明する。
1 ) ギャ ップ Gは、 ロールバイ トの中で板厚の減少に伴い、 G X (H/h) (ここで Hは入側板厚、 hは出側板厚) に拡大 する (ギャ ップを拡げる作用。 第 28図参照) 。
2 ) 一方、 先行鐧片の先端部及び後行鋼片の先端部ではそれぞ れ、 口一ルバイ ト中での板厚の減少に伴い、 長手方向の後方 及び前方に長さ ΔΗΖ2 (ここで ΔΗは圧下量 =H— h) に 相当するメタルフローを生じる (ギャ ップを狭める作用。 第 29図参照) 。
3 ) 仕上げ圧延の第 1パスでは、 ロールバイ ト内の変形は接触 弧長の全域にわたって生じると考えられるから、 1 ) 及び 2 ) の差によってロールバイ ト出側におけるギヤ ップ形状が決ま
る (第 30図参照) 。
すなわち
ィ) G X (HZh ) - ( Δ HZ 2 ) X 2 > 0 … ( 1 ) であれば、 ギャ ップが残り、 接合しない (第 30図 ( a ) ) 口) G x (H/h ) - (Δ H/ 2 ) X 2 ≤ 0 … ( 2 ) であれば、 ギャ ップが埋ま り、 接合する (第 30図 ( b ) ) , 4 ) 良好な接合強度を得るためには、 単にギャ ップが埋まるだ けでは不十分で、 長手方向に剪断変形される必要がある。
ここで剪断変形量 Yとすると、
Y = (Δ Η/ 2 ) X 2 - G X (H/h ) … ( 3 ) が成り立つ。
ところで発明者らの研究によれば、 必要な接合強度 (母材強 度の 1 ノ 3以上あれば良い) を得るためには、
Y≥ k h … ( 4 ) ここで kは圧延条件に応じて決まる定数
であるこ とが判明した。
第 31図に、 剪断変形量 Yと接合強度との関係について調べた 結果を、 剪断変形量比 k と接合強度比との関係で示す。
同図から明らかなように、 母材強度の 1 Z 3以上の接合強度 を得るためには、 剪断変形量比 kが最小限 0.15 、 平均で 0.25 程度にすれば良いこ とが判る。
ここに剪断変形量比 kがあまりに小さいと十分な接合強度 得られず、 一方大きすぎると接合強度の点では問題ないもの 許容ギヤ ップ量の面で不利となるので、 kは 0.15〜0.35程度 するのが好ま しい。
なお定数 kを一般的値である 0.25に設定した場合、 G = 0 ときは、
Υ=ΔΗ≥0.25x h
となり、 これは圧下比≥0.20の場合と等価である。
5 ) ( 3 ) 式及び ( 4 ) 式を整理すると
(ΔΗ/2 ) X 2 - GX (H/h) ≥ k x h - ( 5 ) .·. G≤Hx ( 1 - r ) x { ( 1 + k ) x r - k } … ( 6 ) ここで rは圧下比 ( = ΔΗΖΗ)
従って上掲 ( 6 ) 式が成立するようなギヤ ップ形状にしてお けば、 仕上げ圧延の前段パスで良好な接合強度を得るこ とがで きるわけである。
なお仕上げ圧延の第 1パスで接合を完了したい場合には、 第 1バスの JE延条件が上掲 ( 6 ) 式の関係を満足するように、 諸 条件を設定すれば良い。
ここに入側板厚 Ηについては、 クロップシヤーによる鋼片端 部の切断能力及び仕上げ圧延機の圧延能力から 20〜50隨程度と するのが好ま しい。 また圧下比 rについては 0.20未満ではギヤ
ップ量が 0でも接合せず、 他方 0. 60を超えるとギヤ ップを拡げ る作用が勝り、 効率的でないので、 0. 20〜0. 60程度とするのが 好ま しい。 さ らに剪断変形量比 kについては、 kがあま りに小 さいと十分な接合強度が得られず、 一方大きすぎると接合強度 の点では問題ないものの許容ギヤ ップ量の面で不利となるので. 0. 15〜0. 35程度とするのが好ま しい。
第 32図に、 剪断変形量比 kが 0. 25で、 板厚がそれぞれ 20, 30, 40及び 50mmの場合における好適ギヤ ッブ量と圧下率との関係を 示す。
図中、 斜線で囲われた領域が良好な接合状態が得られる範囲 である。
かく して第 12及び第 13発明によれば、 接合領域にギヤ ップを 有する部分接合の場合であっても、 該ギャ ップ部をその後の仕 上げ圧延の前段パスによつて完全に接合するこ とができるので、 熱間仕上げ圧延を安定して継続することができる。
第 14発明
鋼片相互間に設けたギヤ ップが圧延過程で完全に消滅しない 場合において、 と く に幅寸法の調整のために張力を付与しなが ら圧延を行う場合に、 接合部の破断分離が全く ないとはいい難 い。
第 14発明は、 上記の問題を有利に解決するもので、 圧延設備
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38 の入側において、 鋼片同士を簡便かつ迅速に接合すると共に、 仕上げ圧延の進行に伴って鋼片相互間の接合をより一層強固な ものとすることができる圧延方法を与えるものである。
さて第 33図に、 第 14発明の実施に用いて好適な設備の構成を 示し、 図中番号 23が仕上げ圧延機の入側に配置され、 先行鋼片 1 - aの後端部 (端面を含む) 及び/又は後行鋼片 1 - bの先端部 (端面を含む) でかつ、 その幅方向の少なく とも両縁部近傍域 に薄肉化処理を施す圧下装置 (配置位置の変更可能な圧下ロー ルを備えたものなど) である。
第 14発明に従って鋼片の熟間圧延を行うに当たっては、 まず 第 34図に示すように、 圧下装置 23にて、 先行鋼片 1 - aの後端部 及び後行鋼片 1 -bの先端部あるいはそのどちから一方のみに、 その幅方向の少なく とも両縁部近傍域に薄肉化処理を施し、 つ いで、 曲線刃等を備えた切断装置 5 により、 第 35図に示すよう に、 先行鋼片 1 -aの後端と後行鋼片 1 -bの先端の突き合わせ状 態における接触領域を上記の薄肉化処理を施した領域となるよ うな切断加工を施す。 そして加熱装置 6による加熱と鋼片 1 - a, 1 -bの搬送速度の調整による押圧操作の組み合わせにて、 第 36 図に示すように先行鋼片 1 -a及び後行鋼片 1 -bの両縁部近傍域 に圧縮応力を発生させて相互に密着させ、 この状態を保持した 状態で仕上げ圧延機に送給して鋼片の熱間仕上げ圧延を行う。
熱間仕上げ圧延機の入側での、 先行鋼片 1 -aと後行鋼片 1 - b の突き合わせ接合においては、 上掲第 36図に示す如く各鋼片の 幅方向の両縁部近傍域のみの局部的な接合であり、 こ こで両者 はギャ ップ gを有する状態で極めて短時間のうちに接合される。 この状態で仕上げ圧延機にて、 第 37図に示すような圧延が施さ れると、 鋼片 1 - a, 1 -bの先端部、 後端部ではその幅方向中央 域におけるメタルフロー( 鋼片の長手方向及び幅方向) の促進 により各鋼片の端面が第 38図に示すように、 幅方向の全面にわ たって強固に接合されるこ とになり、 従って仕上げ圧延におい て幅寸法の調整のために圧延材に張力を付与するような場合に おいても両者が簡単に破断分離するようなことはない。
鋼片の両縁部近傍域に薄肉化処理を施すに当たつては、 処理 前の板厚 T、 処理後の板厚 t とした場合において、 t Z Tを 0. 4 〜0. 95の範囲とするのが好適である。 その理由は 0. 4 未満では、 仕上圧延機の第 1 パスで薄肉部が圧延されず、 0. 95を超えると 十分な接合強度が得られないからである。 また、 薄肉化領域の 面積としては、 幅が予接合代 (片側 0. 1 X W ) 、 長さはロール バイ 卜の接触子爪長相当 (ロール半径 X圧下量) 1 / 2 - 50 〜80mm) とするのが好ま しい。
また薄肉化処理を施すための手法と しては、 上掲第 33図に示 したような圧下ロールを備えた装置の他、 鍛圧加工用のァンビ
ルなどを適用することもできる。
鋼片端部の切断形状については、 先行鋼片 1 -aと後行鋼片 1 -bの端部を同じ曲率で凹状に切断した上掲第 34図に示したもの のほか、 各鋼片 l -a, 1 - bの先、 後端部ともに凹状ではあるカ 、 それらの曲率が異なる第 39図に示すようなもの、 あるいは一方 の平面形状をフラ ッ トな状態とし、 他方のみ凹状とした第 40図 に示すようなもの、 一方を凸状とし、 他方を凹状として凹状の 曲率を凸状の曲率より も幾分大き く した第 41図に示すようなも のなど、 種々の形状になるものが適用できるカ 、 鋼片の幅方向 の中央における鋼片相互間のギヤ ップは、 仕上げ圧延段階で該 ギヤ ップを消去するために加熱、 押圧処理後の接合状態におい て何れの場合も 10mm以下程度とするのが好ま しい。 上記のよう な形状を得るための切断手法としては、 シヤ ー、 ガス切断ある いはレーザー溶断などが適用できるが、 とく に特定の曲率で凹 状に切断する場合には形状加工に手間がかからない 2枚の曲線 刃を有する ドラム シヤーが有利に適合する。
仕上げ圧延機の入側における鋼片 1 - a, 1 -bの局部的な突き 合わせ接合における加熱手段としては、 バーナーによる加熱や ソ レノィ ド式のコィルによる高周波加熱の他、 トランスバース 方式による加熱が適用できる。
各鋼片 1 -a, 1 -bの局部的な接合を終えた後の熱間仕上げ圧
延では、 鐧片の幅方向中央部のメタルフローを促進させるため 前記の好適ギヤ ップのもとで先行鋼片 1 -aと後続鋼片 1 - bの接 合部を 20 %以上の圧下率で圧延するのが好ま しい。
かく して第 1 4発明によれば、 先行鋼片と後行鋼片を仕上げ圧 延機の入側でまず予接合しておき、 仕上げ圧延段階で鋼片端部 を幅方向の全面にわたって接触させ接合部をより一層強固なも のとするようにしたから、 圧延中に接合部が破断分離するよう なうれいは全く、 生産性の高い連続熱間圧延が実現できる。 第 15発明、 第 1 6発明及び第 17発明
第 15、 第 1 6及び第 17発明も、 第 14発明と同様、 圧延設備の入 側において、 鋼片同士を簡便かつ迅速に接合するとともに、 仕 上げ圧延の進行に伴って鋼片相互間の接合をより一層強固なも のとするこ とができる圧延方法を与えるものである。
さて第 42図に、 かかる発明の実施に用いて好適な設備の構成 を示し、 図中番号 24が粗圧延機の出側にて鋼片のプロフィ ルを 測定するプロフィ ル測定装置である。
第 1 5発明に従って鋼片の熱間圧延を行うに当たっては、 まず 曲線刃等を備えた切断装置 5 により、 第 43図に示すように、 先 行鋼片 1 -aの後端と後行鋼片 1 - bの先端の突き合わせ状態にお ける接触領域を幅方向の少なく とも両緣部域となるような切断 加工を施し、 ついで加熱装置 6 による加熱と鐧片 1 -a, 1 - bの
搬送速度の調整による押圧操作の組み合わせにて、 第 44図に示 すように先行鐧片 1 -a及び後行鐧片 1 -bの両縁部近傍域に圧縮 応力を発生させることによつて相互に密着させ、 この状態で仕 上げ圧延機に送給する。 第 45図に示すように粗圧延段階で予め 鋼片 1 -a, 1 -bに対して凸状のクラウンを付与したものにおい て、 通常の圧下によつて充分なメタルフローを得ることができ る場合には仕上げ圧延機におけるワークロールのベンディ ング 制御は必要としない (ただし、 圧延前の鋼片中央の板厚 H o 、 圧延前の鐧片幅端部の板厚 h。 、 圧延後の鋼片中央の板厚 H 圧延後の鐧片幅端部の板厚 h , とした場合に (H。 — h。 ) / H o > ( H i - h i ) / H , なる圧延を行う。 第 46図, 第 47図 参照) 。 さらに、 粗圧延段階で上記のような凸クラウンを付与 あるいは扳幅方向の厚みが均一となるような圧延を行った場合 においても、 仕上げ圧延の初期段階でワークロールのベンディ ング制御等により鋼片に対し凹状のクラウンを付与し、 幅方向 中央部のメタルフローを促進することによって鋼片の接合部に 形成されたギャ ップを消去するような圧延を施す。
熱間仕上げ圧延機の入側での、 先行鋼片 1 -aと後続鋼片 1 -b の突き合わせ接合においては、 上掲第 44図に示す如く各鋼片の 幅方向の両縁部近傍域のみの局部的な接合であり、 ここで両者 はギヤップ gを有する状態で極めて短時間のうちに接合される。
この状態で仕上げ圧延機にて、 たとえば第 48図に示すような圧 延を施すと、 鋼片 l -a, 1 -bの先端部、 後端部では、 その幅方 向中央域におけるメタルフローの促進によつてギヤ ップが消去 され、 各鋼片の接合部における端面が第 49図に示すように、 幅 方向の全域にわたって強固に接合されるこ とになり、 したがつ て仕上げ圧延において幅寸法の調整のために圧延材に張力を付 与するような場合においても両者が簡単に破断分離するような こ とはない。
鋼片のクラウン比率の変更に当たっては、 クラウン比率の変 更量を次式
A C τ / = (H。 一 h。 ) ZH。 ― (H , - h! ) /H i x 100 {%)
とすると、 A C r /Hは 1.0 〜3.0 %の範囲とするのが好適で あ
その理由は、 1.0 9 未満では十分な接合強度が得られず、 一 方 3.0 %を超えるとクラウン比率の変更が大きすぎて形状が乱 れてしまうからである。
鋼片端部の切断形状については、 先行鋼片 1 -aと後続鋼片 1 - bの端部を同じ曲率で凹状に切断した上掲第 43図に示したもの のほか、 各鋼片 1 - a, 1 - bの先、 後端部ともに凹状ではある力 それらの曲率が異なる第 50図に示すようなもの、 あるいは一方
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44 の平面形状をフラ ッ トな状態とし、 他方のみ凹状とした第 51図 に示すようなもの、 一方を凸状とし、 他方を凹状として凹状の 曲率を凸状の曲率より も幾分大きく した第 52図に示すようなも のなど、 種々の形状になるものが適用できるが、 鋼片の幅方向 の中央域における鐧片相互間のギヤ ップは、 仕上げ圧延段階で 該ギヤ ップを完全に消去するために加熱、 押圧後の接合状態に おいて何れの場合も 10mm以下程度とするのが好ましい。
仕上げ圧延機の入側における鋼片 1 - a, 1 -bの局部的な突き 合わせ接合を行う場合の加熱手段としては、 バーナーによる加 熱やソ レノィ ド式のコィルによる高周波加熱の他、 トランスバ —ス方式による加熱などが適用できる。
第 1 6発明でほ、 予め粗圧延段階で第 46図に示したように鋼片 に凸状のクラウンを付与し、 各鋼片 1 - a, 1 - bの局部的な接合 を終えた後の熱間仕上げ圧延おいて第 47図のように圧延する場 合とか、 あるいは粗圧延段階で凸状のクラウンあるいは板幅方 向の厚みが均一となる圧延をした場合に仕上げ圧延機 F 1 又は これを含む数段の圧延機にて凹状のクラゥンを付与する場合 (第 発明) など種々の態様が考えられるが、 鋼片の幅方向中 央部のメタルフローを有効に促進させギヤ ップを消去するため には先行鋼片 1 -aと後続鋼片 1 - bの少なく とも未接合部を 20 % 以上の圧下率で圧下するのが好ましい。
クラウン比率を変更するための手段としては、 ヮ一クロール ベンダーの他、 一対のロールをクロスさせて圧下するペアクロ ス方式のものや、 テーパピス トンをスライ ドさせる方式のもの あるいはロール自体のクラウンを機械的に変更するバリアブル クラウン方式のものなど、 種々のものが適用できる。
かく して第 15、 第 16及び第 17発明によれば、 先行鋼片と後行 鋼片を仕上げ圧延機の入側でまず予接合しておき、 仕上げ圧延 段階で鋼片端部を幅方向の全面にわたって接触させ接合部をよ り一層強固なものとするようにしたから、 圧延中に接合部が破 断分離するようなうれいはなく、 生産性の高い連続熱間圧延が 実現できる。
図面の簡単な説明
第 1 図は、 この発明の実施に用いて好適な接合装置を組み込 んだ仕上げ圧延機の入側搬送ライ ンの模式図、
第 2図 ( a ) 〜 ( g ) はそれぞれ、 この発明に従う先行、 後 行各鋼片の後、 先端部の好適切断形状を示す平面図、
第 3図は、 この発明に従う トランスバース方式の誘導加熱装 置 (分割型) の模式図、
第 4図 ( a ) は、 トラ ンスバース方式によって誘発された渦 電流の流れを示した図、 同図 ( b ) は同方式によって加熱した 場合における突き合わせ領域の温度分布を示した図、
第 5図は、 他の トランスバース方式誘導加熱装置 ( C型) の 模式図、
第 6図 ( a ) , ( b ) はそれぞれ、 第 1発明に従う押圧前後 における鋼片端部形状の変化を示した図、
第 7図は、 接合代と仕上げ圧延における破断の有無との関係 を示す図、
第 8図は、 従来のソ レノィ ド型コィルの模式図、
第 9図 ( a ) , ( b ) はそれぞれ、 両端域の変形抵抗の差に よって接合面が傾いた状態及び高温側の端域が融け落ちて接合 部に隙間ができた状態を示す模式図、
第 10図は、 第 3発明に従う ト ラ ンスバース方式の誘導加熱装 置 (分割型) の模式図、
第 11図 ( a ) は、 ト ラ ンスバース方式によって誘発された渦 電流の流れを示した図、 同図 ( b ) は同方式によって加熱した 場合における突き合わせ領域の温度分布を示した図、
第 12図は、 他の トランスバース方式誘導加熱装置 ( C型) の 模式図、
第 13図は、 接合面両端の温度差と接合後の接合面の傾き 0 と の関係を示したグラフ、
第 14図は、 第 4発明を実施するのに好適な設備の構成説明図、 第 15図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、
第 1 6図は、 鋼片の接合部要領の説明図、
第 1 7図は、 通電加熱方式を適用する場合に用いて好適な装置 の構成を示した図、
第 18図 ( a ) は、 交番磁界による加熟を利用した接合要領の 説明図、 また同図 ( b ) は、 押圧処理の違いによる接合領域の 板幅方向にわたる接合長さの変化速度の違いを比較して示した 図、
第 1 9図は、 第 6発明の実施に用いて好適な接合長さの変化速 度制御装置を組み込んだ圧延ライ ンの模式図、
第 20図は、 鋼片の板厚と誘導加熱コィルに加える電流の周波 数の関係を示すグラフ、
第 21図は、 第 8発明を実施するのに用いて好適な熱間圧延設 備の構成説明図、
第 22図は、 第 9発明の実施をするのに用いて好適な圧延設備 の構成説明図、
第 23図は、 第 9発明に従い数種類の鐧片を接合する場合の要 領説明図、
第 24図は、 アンビルの設置状況を示した図、
第 25図は、 鋼片の板厚差と温度差の関係を示したグラフ、 第 26図は、 測温データによる昇温カーブ予測要領の説明図、 第 27図は、 プリセッ ト方式による昇温カーブ予測要領の説明
図、
第 28図は、 圧延に伴うギヤ ップの拡がり作用を示す模式図、 第 29図は、 圧延に伴うギヤ ップの狭ま り作用を示す模式図、 第 30図は、 圧延に伴うギャ ップ部の接合、 未接合条件を示す 模式図、
第 31図は、 接合強度に及ぼす剪断変形量 Yの影響を、 剪断変 形量比 kと接合強度比との関係で示したグラフ、
第 32図は、 良好な接合状態が得られる圧下率とギヤ ップ量と の関係を、 板厚をパラメ一夕一として示したグラフ、
第 33図は、 第 14発明を実施するのに好適な設備の構成説明図、 第 34図は、 鋼片の接合部における形状を示した図、
第 35図は、 鐧片の接合部における形状を示した図、
第 36図は、 鋼片の接合要領の説明図、
第 37図は、 鋼片の圧延状況を示した図、
第 38図は、 先行鋼片と後続鋼片の接合状況を示した図、 第 39図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、 第 40図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、 第 41図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、 第 42図は、 第 15、 第 1 6及び第 17発明を実施するのに好適な設 備の構成説明図、
第 43図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、
第 44図は、 鋼片の接合後における平面形状を示した図、 第 45図は、 鋼片の接合要領の説明図、
第 46図は、 鐧片の断面を示した図、
第 47図は、 圧延後の鋼片の断面を示した図、
第 48図は、 鋼片の圧延状況を示した図、
第 49図は、 先行鋼片と後続鋼片の接合状況を示した図、 第 50図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、 第 51図は、 鋼片の接合部における平面形状を示した図、 第 52図は、 鐧片の接合部における平面形状を示した図、 第 53図 ( a ) , ( b ) はそれぞれ、 第 1 発明に従う鋼片の切 断、 加熱及び押圧要領の説明図、
第 54図は、 接合面積割合の変化状況を示した図、
第 55図は、 接合時間と投入電力の関係を示したグラフ、 第 56図は、 シー トバーの幅端部からの距離と温度の関係を示 したグラフ、
第 57図 ( a ) は、 この発明及び従来法に従って押圧処理を行 つたときの、 押圧時間と接触長さとの関係を比較して示したグ ラフ、 同図 ( b ) は、 この発明及び従来法に従って押圧処理を 行ったときの、 押圧時間と押圧力との関係を比較して示したグ ラフ、
第 58図は、 この発明及び従来法に従って押圧処理を行ったと
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50 きの、 接合面の温度分布を比較して示したグラフ、
第 59図は、 実施例における鋼片の接合状況を示した図、 第 60図 ( a ) , ( b ) はそれぞれ、 製品の長手方向における 板厚の変化状況を示した図である。
発明を実施するための最良の形態
実施例 1
前掲第 1 図に示した仕上げ圧延機入側の搬送ラインにおいて、 次の要領で鋼片の接合を行った。
実験に用いた鋼片は、 先行鋼片 1 -a及び後行鋼片 1 - bとも、 厚み : 30mm, 幅: 1000匪の低炭素鋼シー トバーを、 また切断装 置 5 としては 2枚の曲線刃を有する ドラムシヤ ーを用いた。
さて先行シー トバー 1 -aの後端部及び後行シー トバー 1 - bの 先端部を、 ドラムシヤ ー 5 によって、 第 53図 ( a ) に示すよう な円弧状に切断した。 ここに各シー トバ一切断面の曲率半径は いずれも 20mとした。 ついで先行シー トノく一 1 -aの後端部と後 行シ— トバー 1 -bの先端部それぞれの両端域を接触状態で突き 合わせたのち、 両端域のみをソ レノィ ド型誘導コイル (投入電 力 : 4000kW、 周波数 : 500Hz )で加熱した。 加熱温度が 1 400°Cに 達した時点で加熱を停止し、 同図 (b ) に示すようにピンチ口 ール 3 - b及び 3 - cによつて両者を 3 kg/nrni 2の力で押圧した。 こ の押圧力により、 接合代は w = 200mm まで拡大した。
ここに接合予定部の加熱時間は 1 0 sであり、 この点幅方向全 域を加熱する従来法のそれが 1 5 sであったのと比較すると、 所 要時間は大幅に短縮された。
またその後の仕上げ圧延において、 接合面が分離するような こ とはなく、 良好な連続圧延を継続できた。
実施例 2
実施例 1 と同様にして、 先行シー トバー 1 -aの後端部と後行 シー トバー 1 -bの先端部それぞれの両端域を接触状態で突き合 わせたのち、 次の要領で接合処理を施した。
a.交番磁界 ( C型磁極) 投入電力 : 2000KW
周波数 : 500 Hz
b.加熱温度 : 1 400°C
c.押圧力 : 面圧にして 3 kg f /mm 2
d.加熱、 押圧後の接合代 W = 200mm (片側 I OOIM)
e.接合形態 : 加熱して 1 400°Cに達した時点で加熱を停止して押 圧
ここに接合予定部の加熱終了までの所要時間は 4 sであり、 この点幅方向全域を加熱する従来法のそれが 15 sであったのと 比較すると、 所要時間は大幅に短縮された。 また消費電力も半 減できた。
さ らにその後の仕上げ圧延において、 接合面が分離するよう
なことはなく、 良好な連続圧延を継続できた。
実施例 3
実施例 1 と同様にして、 先行シ一 トバー 1 -aの後端部と後行 シー トバー 1 -bの先端部それぞれの両端域を接触状態で突き合 わせたのち、 次の要領で接合処理を施した。
a.交番磁界 ( C型磁極) 投入電力 : 2000KW
周波数 : 500 Hz
b.加熱温度 : 1400°C
c.押圧力 : 面圧にして 3 kg f /mm 2
d.加熱、 押圧後の接合代 W = 200mm (片側 100mm)
e.接合形態 : 予め押圧して加熱
この場合、 接合に要した加熱時間は 2. 4 sであり、 従来法に 比べ加熱所要時間をより一層短縮できた。
以上、 実施例では、 加熱手段として誘導加熱方式を用いた場 合について主に説明したが、 ガスバーナーなど他の手段を利用 した場合でも、 同様の効果が得られることが確かめられている。 実施例 4
前掲第 1 図に示した仕上げ圧延機入側の搬送ラインにおいて、 前掲第 10図に示した加熱装置を用い、 次の要領で鋼片の接合を 行った。
実験に用いた鋼板は、 先行鋼片及び後行鋼片とも、 厚み : 30
mm, 幅 : 1000匪の粗圧延後の低炭素鋼シー トバ—である。
さて先行シ一 トバー 1 -aの後端部及び後行シ一 トバー 1 - bの 先端部をそれぞれ、 シヤ ー 5によって実施例 1 と同様の形状に 切断し、 ついで両端部を接触状態で突き合わせたのち、 両端部 の温度を放射温度計 12-a, 12- bで測定しつつ、 両者の温度差が 1 10 て以内になるように交番磁界発生コイル 10, 1 1 (各コイル の容量 : 1000kW) への投入電力を制御しながら、 140CTCまで加 熱した。 ちなみに加熱時間は 4秒間であった。 ついでピンチ口 ール 3 -b及び 3 -c (rよつて両者を面圧 : 3 kg/mm2の力で 5秒間 押圧した。
かく して得られた接合面は鋼片の長手方向に垂直で、 斜めに 傾く ようなこ とはなく、 また接合端域における融け落ちもなか つた。
なおその後、 7スタン ドタンデムミ ルで板厚 : 3匪まで圧延 したが、 その途中で接合面が分離するようなこ とはなく、 良好 な連続圧延を継続できた。
実施例 5
上記の実施例 4 において、 加熱、 押.圧処理として、 押圧しつ つ加熱する処理を採用したところ、 加熱に要した時間は、 2. 4 秒間に短縮された。
実施例 6
上記した実施例 4 と同じく、 前掲第 1 図に示した搬送ライ ン において実験を行ったが、 切断装置としては 2枚の曲線刃を有 する ドラムシヤ ーを用いた。
さて先行シー トバー 1 -aの後端部及び後行シ一 トバー 1 -bの 先端部をそれぞれ、 ドラムシヤ ー 5によって、 前掲第 2図 ( a ) に示すような円弧状に切断した。 ここに各鋼片切断面の曲率半 径はいずれも 20mとした。 ついで雨端部を接触状態で突き合わ せたのち、 両端部の温度を放射温度計 12-a, 12- bで測定しつつ、 両者の温度差が 1 10°C以内になるように交番磁界発生コィル 1 0, 1 1 (各コィル容量 : 1000 kW ) への投入電力を制御しながら、 1300°Cまで加熱した。 ちなみに加熱時間は 4秒間であった。 つ いでピンチロール 3 - b及び 3 - cによつて両者を面圧 : 4 kg/ram 2 の力で 5秒間押圧した。 この押圧力により、 接合代は 0. 2 Bに 拡大した。
かく して得られた接合面も鋼片の長手方向に垂直で、 斜めに 傾く ようなことはなく、 また接合端域における融け落ちもなか つた。
なおその後、 7スタン ドタンデムミルで板厚 : 3 隱まで圧延 したが、 やはりその途中で接合面が分離するようなことはなく、 良好な連続圧延を継続できた。
実施例 7
上記の実施例 6 において、 加熱、 押圧処理として、 押圧しつ つ加熱する処理を採用したところ、 加熱時間は、 2.4 秒間に短 縮された。
実施例 8
上記した実施例 4 と同じく、 前掲第 1 図に示した仕上げ圧延 機入側の搬送ライ ンにおいて、 鋼片を接合したが、 加熱装置と しては 2本の LPGの酸素富化バ一ナを用いた。
さて先行シ一 トバー 1 -aの後端部及び後行シー トバ一 1 - bの 先端部をそれぞれ、 シヤ ー 5 によって実施例 1 と同様の形状に 切断し、 ついで両端部を接触状態で突き合わせたのち、 両端部 の温度を放射温度計 12- a, 12-bで測定しつつ、 両者の温度差が 110 て以内になるように し PGバーナヘの LPG量をコン 卜ロール バルブによって制御しながら、 1400°Cまで加熱した。 ちなみに 加熱時間は 20秒間であつた。 ついでピンチロール 3 -b及び 3 - c によって両者を面圧 : 3 kg/nrni2の力で 5秒間押圧した。
かく して得られた接合面は鋼片の長手方向に垂直で、 斜めに 傾く ようなこ とはなく、 また接合端域における融け落ちもなか つた。
実施例 9
7スタン ドのタンデム圧延機を備えた前掲第 14図に示したよ うな圧延設備を適用して、 幅 1000ram、 厚み 30隱になるシー トバ
- (鋼種 : 低炭素鋼) の連続熱間圧延に当たり、 まず熱間圧延 機の入側にて、 該シ一 トバーの後端部及び先端部をそれぞれ、 ドラムシヤーによつて曲率半径が 20mの円弧状に切断した。 そ して先行のシー トバーの後端部と後続のシー トバーの先端部の それぞれの両端域を接触状態で突き合わせたのち、 下記の条件 にて接合処理を施した。
a . 交番磁界 (C型磁極) 投入電力 : 0〜3500iiwの範囲で制 御 (第 55図参照)
周波数 : 500 Hz
b . 目標加熱温度 : 1400°C ( シー トバーの初期温度 1000°C ) c . 押圧力 : 3 kgi/mm2 (面圧)
d . 接合代 (接触長さ) ·· 片側 100 mm
e . 接合形態 : 押圧と同時に加熱開始し、 第 54図に示すように
1秒間で片側当たりの接合代が 100 mmとなるよ うな制御を行った。
この発明に従う接合処理を施した場合の制御パターンと、 同 一の平面形状になるシー トバーを、 一定の電力を投入して接合 処理した場合の制御パターンを比較して第 55図に、 また各パ夕 ーンにおける接合面の温度分布を比較して第 56図に示す。
同図より明らかなように、 投入電力を一定にして加熱押圧処 理を行った条件 1 (比較例) では、 シー トバーの端部における
加熱時間がながく なるために初期設定の投入電力が 2000kw (条 件 2の最大投入電力の 60 %程度) でも、 シー トバーの端部領域 は 1450°C程度の温度に達しているのに対し、 この発明に従う条 件 2においてはパターン A及び Bともに、 その傾向が効果的に 改善されているこ とが確かめられた。 また接合処理に要した時 間は、 条件 1 では 2. 4 秒であったのに対し、 条件 2ではほぼ 2. 0 秒程度であり、 接合に要する時間を 1 7 %程度短縮できた。
実施例 1 0
前掲第 1 9図に示した仕上げ圧延機 ( 7タンデム ミ ル) 入側の 搬送ライ ンにおいて、 次の要領でシー トバーの接合を行った。 実験に用いた鋼片は、 先行シ一 トバー 1 -a及び後行シー トバ 一 1 -bとも、 厚み : 30mm, 幅 : 1 000隨の低炭素鋼であり、 また 切断装置 (図示省略) としては 2枚の曲線刃を有する ドラム シ ヤ ーを用いた。
さて先行シー トバー 1 -aの後端部及び後行シ一 トバ一 1 - bの 先端部をそれぞれ、 ドラムシヤーによって、 曲率半径が 20mの 円弧状に切断した。 ついで先行シー トバー 1 -aの後端部と後行 シー 卜バー 1 - bの先端部それぞれの両端域を接触状態で突き合 わせたのち、 次の条件で接合処理を施した。
a . 交番磁界 ( C型磁極) 投入電力 : 2000
周波数 : 500 Hz
b . 加熱温度 : 1400°C (初期温度 : 1000°C )
c . 接合長さ : 片側 100mm
d . 接合形態 : 押圧と同時に加熱開始
e . 接合所要時間 : 2. 5 秒 (押王終了後、 短時間の継続加熱有 )
なお押圧については、 第 57図 ( a ) , ( b ) に実線で示すよ うに、 この発明に従い接触長さの変化速度を 50mm// sの一定と し 2秒間で片側当たり 100匪を接合した場合 (押圧 I ) と、 同 図中破線で示すように、 従来法に従い最終押 E力に相当する 3 kgf /mm2 の一定押圧力で接合した場合 (押圧 IT . 所要時間 : 約 1秒) の両者について実施した。
上記した各場合における接合面の温度分布を比較して第 58図 に示す。
同図より明らかなように、 従来法に従った場合は接合初期に は大電流が流れないため、 端面〜 30mmの範囲については温度が 低く、 一方接合終期の端面から 80〜100 nunの範囲では大電流が 流れる時間が長いことから高温となり、 接合領域にわたり 1250 〜 1450°Cの適正接合温度範囲は満足しているものの、 温度分布 は不均一であつた。
これに対し、 この発明に従い接触長さの変化速度を 50mm// s の一定とした場合は、 接合面全域にわたって均一な温度分布が
得られ、 より好適な接合状態が得られた。
実施例 1 1
前掲第 21図に示した設備を適用して、 幅 l OOOmrn厚みがそれぞ れ、 20mm、 40匪、 60匪になる低炭素鋼鋼片を、
加熱条件 : 接合予定部が 3秒間で 1400°Cとなるよう投入電力を ただし、 厚みが 20mmになる鋼片についは誘導加熱コ ィルに加える電流の周波数をそれぞれ 2500Hz、 6000 Hz、 250 Hzに変更、 また、 厚みが 40mmになるものに ついては、 それぞれ 600 Hz、 1600Hz . 50Hzに変更、 厚みが 60誦になるものについては、 300 Hz、 700 Hz、 50Hzに変更。
押圧条件 : 面圧にして 3 kg /mm 2で加熱しつつ 3秒間押圧、 の条件のもとに接合しつつ仕上げ圧延して厚み 3誦になる熱延 板に仕上げ、 圧延中の破断分離状況について調査した。
その結果、 この発明にしたがって加熱、 接合した場合には圧 延中接合部が分離破断するようなことはなく、 圧延後にその部 位の接合強度を測定したところ母材と同等の強度であるこ とが 確かめられた。 これに対し、 加熱コイルに加える電流の周波数 が適切でない場合には、 圧延中接合部が破断分離して圧延を継 続するこ とができなかった。
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60 実施例 12
7スタ ン ドの夕ンデ厶圧延機を備えた前掲第 22図に示したよ うな設備を適用して、 幅 1 000mm , 板厚 40mmの後行シー トバーと 板厚 35mmの先行シー トバ一を第 59図に示した如き平面形状にな るように端部加工した。 そしてこの端部加工した低炭素鋼のシ 一 トバ一 : 3000mm , t : 28 mm 、 粗圧延におけるロールの 間隔を調整して薄肉化処理) を、 下記の条件に従って接合しつ つ連続的に圧延機に供給して板厚 3難の熱延板に仕上げた。 a . 交番磁界 : 投入電力 : 2000kw、
加熱時間 : 14秒、
周波数 : 500 Hz、
b . 加熱温度 : 1420で、 (接合端面)
c . 押圧力 : 面圧にして 2 kg i/mm 2 、
加圧時間 : 5秒、
d . 接合形態 : 予め押圧しつつ加熱
その結果、 圧延中にシー トバーの接合部が破断するようなこ とはなく安定して圧延することができた。 また従来の高周波加 熱方式における同一条件、 同一形状のシー トバー (ただし、 先 端, 後端部の薄肉化処理はしない) の接合に比較し、 消費電力 にして 40 %程度低減できることが、 また接合時間にして 5秒程 度短縮できることが確かめられた。
また、 前掲第 23図に示したように、 板厚の異なる数種類のシ 一トバーを接合した場合の接合状況についても調査したが、 こ のような接合においても圧延によって接合部が破断するような こ とはなく、 シー トバーの先端部、 後端部に薄肉化処理を施さ ない場合に生じていた接合部の破断分離等は全くみられず、 ォ フゲージ率も薄肉化処理を施さない場合に比較して 90 %程度低 減することができた。
さ らに、 この発明に従って接合、 圧延した場合と従来法に従 い接合、 圧延した場合の製品 (厚み 3, 0 讓、 幅 1000匪) の長手 方向における板厚の変化状況を比較して第 60図 ( a ) , ( b ) に示す。 この発明に従う場合には、 AGC の追従が改善されるた めに薄肉化処理を施した部分の板厚偏差も 300 m から 35 /z m に改善され、 通常部分とほとんど差がないことが確められた。 実施例 13
前掲第 1 図に示した接合装置を用い、 次の要領で鋼片の接合 を行った。
実験に用いた鋼片は、 先行鐧片 1 -a及び後行鋼片 1 - bとも、 厚み : 30mm, 幅 : 1000mmの低炭素鋼シ一 卜バーである。
さて先行シ一 卜バ一 1 -aの後端部及び後行シ一 トバー 1 - の 先端部を、 ドラムシヤー 5 によって切断し、 両端部を突き合わ せたのち、 第 8図に示したソ レノィ ド型誘導コィルによって加
熱を開始した。 このときの加熱条件は次のとおりであり、 加熱 時間の推定は前掲第 26図に示した方式に従って行った。
• 投入電力 : 2000 kW
• 目標温度 Θ F : 1300°C
• 1 回目の測温時間 : t , : 0. 5 s
- 2回目の測温時間 t 2 : 1 s
この時
• 初期温度 0 1 : 1000°C
• t ,経過後の板温 Θ 2 : 1040°C
• t 2経過後の板温 0 3 : 1 120°C
であった。
従って、 前述の (2) (3)式から、 A , Bはそれぞれ
A = 26. 2
B = - 1020
となり、 従って (1)式より
t = 2. 2
となる。
なお制御系に特有のタイムラグ t し : 0. 5 s
( t - t L ) = 1. 7 s
従って 2回目の測温時点から 1. 7 s後に通電をカツ 卜 した。 その結果、 t秒後に板温は 1290°Cとなり、 ほぼ目標どおりの
温度に加熱できた。
実施例 1 4
前掲第 1 図に示した仕上げ圧延機 ( 7タンデム ミル) 入側の 搬送ライ ンにおいて、 次の要領で鋼片の接合を行った。
実験に用いた鋼片は、 先行シー トバー及び後行シー トバーと も、 厚み : 30mm, 幅 : 1 000mmの低炭素鋼であり、 また切断装置 としては 2枚の曲線刃を有する ドラムシヤ ーを用いた。
さて先行シー トバーの後端部及び後行シー トバーの先端部を それぞれ、 ドラムシヤーによって、 曲率半径が 20mの円弧状に 切断した。 ついで先行シー トバーの後端部と後行シー トバーの 先端部それぞれの両端域を接触状態で突き合わせたのち、 次の 条件で予接合処理を施した。
a . 交番磁界 ( C型磁極) 投入電力 : 2000 kW
周波数 : 500 Hz
b . 加熱温度 : 1 400 °C (初期温度 : 1 000 °C )
c . 予接合長さ : 片側 100mm
d . 予接合形態 : 押圧と同時に加熱開始
e . 予接合終了後の中央部ギャ ップ量 : 4 , 12 mm
f . ( 6 ) 式における定数 k = 0· 25
上記の条件で両端部を予接合したのち、 仕上げ圧延の第 1 パ スで圧下率 : 40 %の圧延を施したところ、 ギャ ップ量が 4■の
場合は完全に接合できたのに対し、 ギヤ ップ量が 12mmの場合に は完全な接合はできず、 未接合部が残った。
なお圧下率が 40 %の場合における前掲 ( 6 ) 式の関係は次の とおりである。
G≤ 30 X ( 1 - 0. 40) X ( 1. 25 X 0. 40— 0. 25) = 4. 5 実施例 15
7スタ ン ドのタンデ厶圧延機を備えた前掲第 33図に示したよ うな圧延設備を適用して、 幅 1000ram、 厚み 30mmになるシー トバ 一 (鋼種 : 低炭素鋼) の連続熱間圧延に当たり、 まず切断装置 5の入側にて、 該シー トバーの後端部及び先端部の幅方向縁部 近傍域に t Z T = 0. 6 と 0. 95の条件になる薄肉化処理を施すと 共に、 各端部に切断加工を施して第 39図に示すような平面形状 にしたのち、 下記の条件に従う加熱、 押圧及び仕上げ圧延を施 して厚さ 3 mmの熱延板に仕上げた。
a ) 加熱方式 : 交番磁界の印加による トランスバース式による 加熱
b ) 加熱温度 : 1囊。 C
c ) 加熱時間 : 2. 4 秒
d ) 押圧力 : 面圧にして 3 kg/ mm 2
e ) 投入電力 : 2000kw
ί ) 接合形態 : 押圧しながら加熱 ギャ ップ g : 1 0 mm
g ) 接合代 : 片側 100 mm x 2
その結果、 両条件とも圧延中にシー トバーの接合部が破断分 離するようなことはなく、 安定して圧延することが確かめられ た。
これに対し、 シー トバーの先端部、 後端部に薄肉化処理を施 さずその他の条件を同一にして接合を行って仕上げ圧延をした 場合には、 完全な接合ができず、 未接合が残るこ とがあり、 圧 延中に破断するこ とがあった。 またシー トバーの先端部、 後端 部の幅方向両縁部に薄肉化処理を施さず、 その領域が接合域と なるような切断加工も施さず、 その他の条件を同一にした場合 については仕上げ圧延前の接合が不充分であり、 その領域にお いてシー トバー相互を確実に接合するには接合時間が 20秒以上 かかるため加熱装置の容量を大き く したり、 この領域のライ ン を延長するなどの手立てが必要であって、 鐦片の連続熱間圧延 を行うのに極めて不利であった。
実施例 16
7スタ ン ドのタンデム圧延機を備えた前掲第 42図に示したよ うな圧延設備を適用して、 幅 l OOOmnu 厚み 30匪になるシー トバ 一 (鋼種 : 低炭素鋼) の連続熱間圧延に当たり、 まず熱間圧延 機の入側にて、 該シー トバーの後端部及び先端部に切断加工を 施して第 43図に示すような平面形状にしたのち、 下記の条件に
従う加熱、 押圧及び仕上げ圧延を施して厚さ 3画の熱延板に仕 上げた。
a ) 加熱方式 : 交番磁界の印加による トランスバース方式るよ る加熱
b ) 加熱温度 : 1400°C
c ) 加熱時間 : 2. 4 秒
d ) 押圧力 : 3 kg/mm2
e ) 投入電力 : 2000 kw
f ) 接合形態 : 予め押圧しながら加熱 ギヤ ップ g : 1 0mm g ) 接合代 : 片側 100画 X 2
h ) 圧延機 による圧延 : 入側クラウン比率 30mm— 29. 2隨 Z 30随 = + 0. 027 (,凸状クラウン) 、 出側クラウン比率 18ΙΜ - 18. 0mm ' 18mm= 0 となるようにクラウン比率を減少させる。 その結果、 圧延中にシー トバーの接合部が破断分離するよう なことはなく、 安定して圧延することが確かめられた。
これに対し、 シー トバーの先端部、 後端部に幅方向両縁部が 接合域となるような切断加工を施さないフラ ッ 卜のままとし、 またクラウン比率を変更するような圧延を行わず、 その他の条 件を同一にした場合については、 仕上げ圧延の初期段階での接 合が不充分なことがあり、 圧延中に接合部で破断することがあ つた。
次に、 同じく 7 スタ ン ドの夕ンデム圧延機を備えた圧延設備 を適用して、 幅 l OOOmnu 厚み 30IM1になるシー トバー (鋼種 : 低 炭素鋼) の連続熱間圧延に当たり、 まず、 熱間圧延機の入側に て、 該シー トバーの後端部及び先端部に切断加工を施してやは り第 43図に示すような平面形状にした後、 下記の条件に従う加 熱、 押圧及び仕上げ圧延を施して厚さ 3 mmの熱延板に仕上げた。 a ) 加熱方式 : 交番磁界の印加による トラ ンスバース方式るよ る加熱
b ) 加熱温度 : 1400°C
c ) 加熱時間 : 3秒
d ) 押圧力 : 3 kg/mm2
e ) 加圧時間 : 3秒
f ) 接合形態 : 押圧しながら加熱 ギャ ップ g : 10mm g ) 接合代 : 片側 100關 X 2
h ) 圧延機 F , による圧延 : 入側クラゥン比率 30mm - 30画 Z 30 mm= 0、 出側クラウン比率 17. 8mm - 18. 0mmZ l 7. 8mm = - 0. O i l となるようにクラウン比率を減少させる。
その結果、 このような圧延を行う場合においても圧延中にシ 一トバーの接合部が破断分離するようなことはなく、 安定して 圧延するこ とが確かめられた。