明細書 抗腫瘍性物質 BE- 13793C誘導体
技術分野
本発明は医薬の分野で有用であり、 さらに詳細には腫瘍細胞の増殖を阻害 し、 抗腫瘍効果を発揮する新規な BE- 13793C (12,13-ジヒドロ- 1,11-ジヒ ドロキシ -5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4- c] 力ルバゾ一ル -5,7 (6H) - ジオン) 誘導体、 その製法及びその用途に関する。
背景技術
癌化学療法の分野においては、 すでに多数の化合物が医薬として実用化さ れている。 しかしながら、 様々な種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充 分ではなく、 またこれらの薬剤に対する腫瘍細胞の耐性の問題も臨床上の使 用法を複雑にしている [第 47回日本癌学会総会記事、 12〜; 15頁(1988年)参 照]。
このような状況下、 癌治療の分野においては常に新規制癌物質の開発が求 められている。 特に、 既存の制癌物質に対する耐性を克服し、 既存の制癌物 質が充分に効果を発揮できない種類の癌に対して有効性を示す物質が必要と されている。
このような現状に鑑み、 本発明者らは広く微生物代謝産物をスクリーニン グした結果、抗腫瘍活性を有する新規な化合物 BE- 13793Cひ 2,13-ジヒドロ - 1,11-ジヒドロキシ- 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] 力ルバゾール - 5,7 (6H) -ジオン) を見出し、先の特許出願 (特願平卜 71149号) におい て開示した。
更に、本発明者らは、 BE- 13793Cの誘導体を合成し、後記一般式(I ) で 表される新規な化合物が優れた抗腫瘍作用を示すことを見出し、 本発明を完 成した。
発明の開示
本発明は一般式
中、 R ま 5〜7個の炭素原子を有する単糖基を示し、 この単糖基の水酸基 は水素原子、 低級アルキル基、低級アルキルカルボニルォキシ基及び低級ァ ルコキシ基からなる群から選ばれる同一又は異なる 1〜3個の基で置換されて いても良い] で表される 12,13-ジヒドロ- 6H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3, 4-c] カノレバゾ一ル- 5,7 (6H) -ジオン誘導体及びその医薬上許容される塩、 その製造法並びにその用途に関するものである。
次に本明細書において用いられる用語の定義を記載する。
5〜7個の炭素原子を有する単糖基とは例えばリボース、 ァラビノース、 キ シロース及びリキソース等の炭素数 5個を有する糖、例えばァロース、アルト ロース、 グルコース、 マンノース、 グロース、 ィ ドース、 ガラクト一ス及び タロース等の炭素数 6個を有する糖又は例えば 7-セドヘプッロース等のヘプ トース等の炭素数 7個を有する糖の環状形からァノマー性水酸基原子団を取 去ってできる基を意味する。
「低級」なる語は、 この語が付された基又は化合物の炭素数が 5個以下であ ることを意味する。 従って、 低級アルキル基とは、例えばメチル基、 ェチル 基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ィ ソペンチル基等の炭素数 1〜5個のアルキル基を意味する。
低級アルキルカルボニルォキシ基とはァセチルォキシ基、 プロピオニルォ キシ基、 イソプロピオニルォキシ基、 ブタノィルォキシ基、 イソブタノィル ォキシ基、ペンタノイノレオキシ基、イソペンタノイノレオキン基等の炭素数 1~ 5個のアルキルカルボニゾレオキシ基を意味する。
低級アルコキシ基とは、例えばメ トキシ基、ェトキシ基、プロポキシ基、ィ ソプロボキン基、 ブトキシ基、 イソブトキシ基、 ペンチルォキシ基、 イソべ ンチルォキシ基等の炭素数 1〜5個のアルコキシ基を意味し、脱離基とは、塩 素原子、 臭素原子若しくはヨウ素原子等のハロゲン原子又はメ夕ンスルホニ
ルォキシ基若しくはトルエンスルホニルォキシ基等のアルキルスルホニルォ キシ基若しくはァリ一ルスルホニルォキシ基を意味する。
次に本発明化合物の製造法について説明する。
本発明の化合物は式
で表される先の特許出願において開示した新規抗腫瘍性物質 BE- 13793C [12, 13-ジヒドロ- 1,11 -ジヒドロキシ- 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] カノレバゾール- 5,7 (6H) -ジオン、特願平 2- 71543号参照] を出発原料物 質とする。 式 (Π ) で表される化合物又は化合物 (Π ) に適切な保護基を導 入した化合物 B- ( Π ) に
1) —般式
R'- Z (M) [式中、 Zは脱離基を示し、 R1は前記の意味を有する] で表される化合物又は 化合物(m) の R1に適切な保護基を導入した化合物 Β_ (m) を塩基の存在下 に反応させる工程
2) 保護基を除去する工程
以上の工程のうち 1以上を行ない、 更に必要に応じて医薬上許容される塩に 変換することにより製造される。
化合物 (Π ) 又は B- ( Π ) と化合物 (m) 又は B- (ΙΠ) との反応は通常、 反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、適当な塩基を用いて行なわれる。 このよ うな溶媒としては、 例えばメタノール、 エタノール、 プロパノール、 イソプ ロパノ一ノレ等のアルコーノレ類、 例えばァセトン、 メチルイソブチルケトン等 のケトン類、 例えばテトラヒドロフラン、 ジォキサン等のエーテル類、 例え ば Ν,Ν-ジメチルホルムァミ ド、ァセトニトリル、 ジメチルスルホキシド等の 非プロトン性極性溶媒若しくはこれらの混合溶媒又はこれらと水との混合溶 媒を挙げることができ、 また用い得る適当な塩基としては、 炭酸水素ナトリ
ゥム、 炭酸水素力リウム、 炭酸ナトリウム、炭酸力リゥム等のアル力リ金属 炭酸塩、 水酸化ナトリウム、水酸化力リウム等のアル力リ金属水酸化物、水 素ィヒナトリウム、水素ィヒリチウム等のアル力リ金属水素化物等を挙げること ができる。
この縮合反応を行なうに際しては、化合物 (H) 又は化合物 B- (Π) 1モ ルに対して、通常、化合物(m)又は B- (m) ι〜3モルが用いられる。 また、 必要に応じて化合物 ( ) 又は B- (m) を等モル以下用いることもできる。 塩基の使用量は原料化合物に対して等モル又は過剰量であり、通常は 1〜4 モルである。
反応温度は 0°C〜溶媒の沸点の範囲、好ましくは (TC〜: 100でであり、反応 時間は特に制限されるものではないが、 通常、 0.5〜24時間である。
また、必要に応じて、 窒素又はアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下に反応 を行なうことは、 反応を円滑かつ効率良く進行させる上で有利である。
保護基の導入及び除去は、 適当な保護基を選択し、 当該分野で常用される 手法を用いて導入及び除去を行えば良い 〔ティー ·ダブリユー ·グリーン (T. W. Greene著、 プロテクティブ.グループス ·イン'オーガニック ·シ ンセシス、 ジョン 'ウイレイ 'アンド ' ソンズ (Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons) 1981年参照]。
例えば化合物 (Π ) の 1及び 11位の水酸基については、例えばァセチル基 等の了ルカノィル基、 メ トキシメチル基及びべンジル基等が保護基として用 いられ、 特にべンジル基が好適に用いられる。 これらの保護基の導入は、 化 合物 (Π) に対応するハロゲン化物を塩基の存在下に反応させることにより 容易に行なうことができ、また保護基の脱離は、アルカノィル基については、 酸又はアルカリ加水分解やアンモノリシスにより、 メ トキシメチル基につい ては酸触媒による加水分解等により容易に行なうことができ、 ベンジル基に ついては、例えばパラジゥム -炭素を触媒とする水素添加反応により容易に行 なうことができる。 また、 6位のィミノ基の保護については、ベンジルォキシ メチル基等が好適に用いられ、 この保護基の導入は、 化合物 (Π ) の水酸基 を保護した化合物にベンジルォキシメチルハロゲン化物を塩基の存在下に反 応させることにより、容易に行なうことができ、またこの保護基の脱離は、例
えばパラジゥム-炭素を触媒として用いる接触水素添加反応を行なったのち、 生成するヒドロキシメチル体を濃アンモニア水で処理することにより容易に j¾ 行なうことができる。
また、化合物(Π0の水酸基の保護基については、例えばァセチル基が好適 5 に用いられ、 このァセチル体は対応する糖を例えばピリジン等の塩基の存在 下に無水酢酸等の酸無水物を反応させることにより容易に得られ、 また脱ァ セチル化は、水酸化ナトリゥム又は濃アンモニア水等の塩基との反応により、 容易に行なうことができる。 さらに、 一級水酸基、 例えばダルコビラノシル 基の 6位水酸基については、 トリフヱ二ルメチル基等も好適に用いられる。
10 このトリフヱニルメチル基の導入及び脱離は、 この分野においてよく知られ た通常の方法で行なうことができる [前記 T.W.グリーン著 プロテクティ ブ ·グループス 'イン.オーガ二ック ·ケミストリ一'ジョン'ウイレイ 'ァ ンド ·ソンズ (Protective Groups in Organic Chemistry) 34〜35頁参 照]。
15 本発明化合物の製造原料である化合物 (Π) は前記したように本発明者ら が先に特願平 2-71543号において開示した方法(参考例参照)で製造するこ とができ、 またもう一方の原料化合物である一般式 (Π0 で表される化合物 及び必要に応じて、 その水酸基を保護した化合物 B- (1) は、天然に得られ る糖又はこれらより糖の分野におけるよく知られた化学的手法により、 デヒ
20 ドロキシ体、アルコキシ体、アルカノィル体又はアルキル体に変換したのち、 そのァノマ一水酸基をハロゲン原子等の脱離基に変換することにより製造す ることができる [ジエイ ·ダブリュ一 ·ジラ一ド (J. W. Gillard) ら、 テト ラへドロン' レターズ (Tetrahedron Letters) 22卷、 513- 516頁 (1981 年) 参照]。
25 上記縮合反応の生成物の単離 ·精製は当該分野における公知の方法、例えば 溶媒抽出、 再結晶、 クロマトグラフィーにより行なうことができる。
また、上記工程で得られる化合物を医薬上許容される塩に変換する工程は、 例えば前記の製法により製造される遊離体に当分野で慣用されて 、る技術を 適用することにより製造することができる。
30 それらの医薬上許容できる塩の具体例としては、 例えばナトリゥム塩若し
くは力リゥム塩等のアル力リ金属塩又はカルシウム塩等のアル力リ土類金属 塩等を挙げることができる。
一般式( I )で表される本発明の化合物は、種々の癌細胞に対して優れた増 殖阻害活性を示し、抗腫瘍剤としての用途が期待される有用な化合物である。 このことを立証するために、以下に薬理試験例を挙げて説明する。 なお対 照ィ匕合物として BE - 13793C (12,13-デヒドロ- ジヒドロキシ- 5H-イン ドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c] カルバゾール- 5,7 (6H) -ジオン、特願平 2 - 71543号参照)を用いた。
抗腫瘍作用
(1) 検液の調製
被検化合物 (20mg) をジメチルスルホキシド (lm に溶解し、逐次希釈 して検液とした。
(2) 癌細胞培養用培地
ヒト胃癌細胞 MKN45、 ヒト大腸癌細胞 LS180は牛胎児血清 10 %含有 DMEM培地を用い、 PC13は、牛胎児血清 10 %含有 RPMI- 1640培地を用い た。
(3) 測定方法
3 X 103個の癌細胞を含む細胞培養用培地 100^を 96穴のマイクロプレート に分注し、 37°Cで 24時間、 5 % C02下で培養したのち、上記の検液 11^を 加え、 37°Cで更に 72時間、 5 % C02下で培養したのち、 細胞を 50 %トリク ロロ酢酸で固定し、 0.4 %スルホローダミン Bで染色した。 染色された細胞か ら 10mM トリス液を用いて色素を抽出し、 540nmにおける吸光度を測定し て対照群と比較した。 その結果、 本発明の化合物はヒト癌細胞の増殖を顕著 に阻止した。 瘙細胞の増殖を 50 %阻止する濃度 (IC5。) を測定し、第 1表に まとめた。
第 1表
以上のように本発明の化合物はヒ卜の胃癌細胞、 大腸癌細胞及び肺癌細胞 に対し、 その増殖を顕著に阻止することから臨床的に抗腫瘍剤として使用で きることが期待される。
本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する際の投与形態としては各種の形態 を選択でき、 例えば錠剤、 カプセル剤、 散剤、顆粒剤若しくは液剤等の経口 剤、 又は例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の非経口剤が挙げられ る。
固体の製剤は そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末の形態として製 造することもできるが、 適当な添加物を使用して製造することもできる。 そ のような添加物としては、 例えば乳糖若しくはブドウ糖等の糖類、 例えばト ゥモロコシ、小麦若しくは米等の澱粉類、例えばステアリン酸等の脂肪酸、例 えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウム等の 無機塩、 例えばポリビニルピロリ ドン若しくはポリアルキレンダリコール等 の合成高分子、 例えばステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネ シゥム等の脂肪酸塩、 例えばステアリルアルコール若しくはベンジルアル コーノレ等のアルコーノレ類、 例えばメチルセルロース、 カルボキシメチルセル ロース、 ェチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等 の合成セルロース誘導体、 その他、 水、 ゼラチン、 タルク、 植物油、 ァラビ ァゴム等通常用いられる添加物が挙げられる。
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉末等の固形製剤は一般的には 0.1 〜: 100重量%、 好ましくは 5〜: 100重量%の有効成分を含む。
液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、 ピーナツ油若しくはゴマ 油等の植物由来の油等液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用
し、 懸濁液、 シロップ剤若しくは注射剤等の形態として製造される。
特に、 非経口的に筋肉内注射、静脈内注射又は皮下注射で投与する場合の 適当な溶剤としては、例えば注射用蒸留水、 塩酸リ ドカイン水溶液 (筋肉内 注射用)、生理食塩水、 ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈内注射用液体(例 えばクェン酸及びクェン酸ナトリウム等の水溶液) 若しくは電解質溶液 (点 滴静注及び静脈内注射用) 等、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末のまま或いは適当な添加物 を加えたものを用時溶解する形態もとり得る。 これらの注射液は、通常 0.1〜 10重量%、 好ましくは 1〜5重量%の有効成分を含む。
また、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤等の液剤は、 0.5〜: 10重量%の有効 成分を含む。
本発明の化合物の実際に好ましい投与量は、 使用される化合物の種類、 配 合された組成物の種類、適用頻度及び治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍に よって変ィ匕することに注意すべきである。 例えば、 1日当りの成人 1人当りの 投与量は、経口投与の場合、 10ないし 500mgであり、非経口投与、好ましく は静脈内注射の場合、 1日当り 10ないし lOOmgである。 なお、投与回数は投 与方法及び症状により異なるが、 1回ないし 5回である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、 本発明はこれら 実施例のみに限定されるものではない。
実施例 1
12,13-ジヒ ドロ 1,11—ジヒドロキシ - 13- Q5-D-グルコビラノシノレ) - 5H-ィ ンドロ 「2,3- al ピロ口 Γ3.4- c] カノレバゾーノレ- 5,7 (6H) -ジオン
a) BE- 13793C (12,13-ジヒドロ- 1,11 -ジヒ ドロキシ- 5H-インドロ [2,3 - a] ピロ口 [3,4- c] 力ルバゾール - 5,7 (6H) -ジオン) 180.5mgを Ν,Ν-ジ メチルホルムァミ ド(DMF) 37m£に溶解し、炭酸力リウム 510mgを加え、次 いで氷冷下にベンジルブ口マイド 170^を添加した。 反応液を室温で 2時間 撹拌後、水 200miを加えてから酢酸ェチル 200m で抽出し、抽出液を硫酸ナ トリウムで乾燥したのち減圧下に濃縮することにより、 1,11 -ジベンジルォキ シ- 12, 13-ジヒ ドロ- 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] カルバゾール- 5.7 (6H) -ジオンを得た。 (収率: 93.7 %)
Rf値 0.6 (クロ口ホルム-酢酸ェチル (19 : 1))
b) a) の操作によって得られた 1, 11 -ジベンジルォキシ - 12, 13-ジヒ ドロ- 5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c] カノレバゾーノレ- 5,7 (6H) -ジオン 143.8 を DMF 50m^に溶解したのち、 60 %油性水素化ナトリウム(NaH) 128.8 を添加し氷冷下にべンジルォキシメチルクロライド 36.5/^を 10分間かけ てゆつくりと加え、 さらに 0°Cで 1時間反応させた。 反応液を水で希釈し、酢 酸ェチルで抽出した。 酢酸ェチル層を硫酸ナトリゥ厶で乾燥したのち減圧濃 縮し、残渣をシリ力ゲル力ラムクロマトグラフィー (キーゼルゲル 60; ク口 口ホルム溶出) により精製することにより目的の 6-ベンジルォキシメチル- 1,1 ジペンジノレオキシ - 12,13-ジヒドロ- 5H -インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4- c] カノレバゾ一ノレ- 5,7 (6H) -ジオンを得た。 (収率: 61.7 %)
Rf値 0.3 (クロロホノレム)
c) b) の操作によって得られた 6-ベンジルォキシメチノレ- 1,11 -ジベンジル ォキシ - 12,13 -ジヒドロ- 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] カルバゾ一 ノレ- 5,7 (6H) -ジオン 5.4mgにベンゼン 5w 、 1 -ブロモテ卜ラァセチルグル コース 51.6 g及び酸化銀 42.2 gを加えてから 2時間加熱還流した。 反応後 不溶物を濾去し、 目的物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (キーゼ ルゲル 60 ; クロ口ホルム溶出) により精製し、 6-ベンジルォキシメチル- 1,1卜ジベンジルォキシ- 12, 13-ジヒドロ- 13- (テトラァセチル -yS- D-ダルコ ビラノシノレ) -5H-ィンドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c]カルバゾ一ル -5,7 (6H) - ジォンを得た。 (収率: 34.8 %)
Rf値 0.25 (クロ口ホルム)
d) c) の操作によって得られた 6-ベンジルォキシメチノレ- 1,11 -ジベンジル ォキシ - 12,13-ジヒドロ- 13- (テトラァセチル - D-グルコピラノシル) - 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] 力ルバゾール - 5,7 (6H) -ジオン 4.5 mgに酢酸ェチル 1.5/ ^及びエタノ一ル 9m を加えて溶解し、 パラジゥム -炭 素触媒(薬さじ 2杯)の存在下に水素添加反応を 3時間行なった。 反応後パラ ジゥム -炭素を瀘去し、 パラジウム-炭素はメタノール及びテトラヒ ドロフラ ンで洗浄した。 濾液及び洗液を減圧濃縮し、 その残渣を薄層クロマトグラフ ィ一 (キーゼルゲル 60 ; クロ口ホルム-メタノール = 19: 1展開) を行って
目的物をかきとりメタノールで抽出することにより、 12,13-ジヒドロ- 1,11- ジヒドロキシ -6-ヒドロキシメチノレ- 13- (テトラァセチゾレ -;S- D-グルコビラ ノシノレ) -5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4-c] 力ルバゾール -5,7 (6H) - ジオンを得た。 (収率: 57.7%)
Rf値 0.3 (クロ口ホルム -メタノール (19: 1))
e) d) の操作を行なうことによって得られた 12,13-ジヒドロ- 1,11-ジヒド ロキシ -6-ヒドロキシメチル- 13- (テトラァセチル T8-D-グルコビラノシ ル) -5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c] カノレバゾール—5,7 (6H)-ジォ ン 4mgをメタノール 5miに溶解し、濃アンモニア水 4? ^を加えて室温で 4時 間撹拌後溶媒を減圧下に留去した。 目的の表題化合物、 12,13-ジヒドロ- 1,1トジヒドロキシ -13- OS- D-グノレコピラノシル) -5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4- c] カルバゾ一ル -5,7 (6H) -ジオンを定量的に得た。
Rf値 0.32 (クロ口ホルム -メタノール =2: 1)
0.15 (クロ口ホルム-メタノール-テトラヒドロフラン =4: 1: 1) FAB-MS (m/z : 520 [M + H] +
Ή - NMR ( 300MHz,DMSO -<^),5( ppm) : 3.48 (lH,m), 3.64 (2H,m), 3.74 (lH,m), 4.02 (2H,m), 4.88 (lH.br d,J = 5.3Hz), 5.19 (lH.br d, J = 5.3Hz), 5.35 (lH,br t,J = 5.0Hz), 5.41 (lH.br d,J = 5.6Hz), 6.99 (lH,d,J = 8.0Hz), 7.03 (lH,d,J = 8.0Hz), 7.05 (lH,d,J = 9.4Hz), 7.17 (2H,t,J = 8.0Hz), 8.52 (lH.d'J = 8.0Hz), 8.70 (lH.dJ = 8.0Hz), 9.91
(lH,br s), 10.31 (IH'br s), 10.91 (IH.br s), 11.04 (lH.br s) 実施例 2
12,13 -ジヒドロ- 1,11-ジヒドロキン- 13- Q8-D-ガラクトビラノシル) -5H -インドロ 「2,3-a] ピロ口 [3,4— c] 力ルバゾール -5,7 (6H) -ジオン a) 実施例 1、 b)の操作によって得られた 6-ベンジルォキシメチル- 1 , 11 -ジ ベンジルォキシ- 12,13-ジヒドロ- 5H-インドロ [2,3- a] ピロ口 [3,4- c] 力 ルバゾール -5,7 (6H) -ジオン lOOmgに、ベンゼン 50m、 卜ブロモテトラァ セチルガラク トース 940mg及び酸化銀 1.41gを加えて、 4時間加熱還流した。 反応後不溶物を濾去し、 目的物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (キーゼルゲル 60: rz-へキサン-酢酸ェチル =3: 1及びトルエン-酢酸ェチ
ル = 10 : 1 溶出) により精製し、 6-ベンジルォキシメチノレ- 1,11-ジベンジ ルォキシ - 12,13-ジヒドロ- 13- (テトラァセチノレ- /S-D-ガラクトピラノシル) -5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c] カノレバゾ一ノレ- 5,7 (6H) -ジオンを 黄色固体として、 51.3 gr得た。 (収率: 34.2 %)
Rf値: 0.24 ( "一へキサン-酢酸ェチル (2: 1))
b) a) の操作によって得られた 6-ベンジルォキシメチノレ- 1,1卜ジベンジル ォキシ - 12,13-ジヒドロ- 13- (テトラァセチル - D-ガラク トビラノシル) - 5H -インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4- c] カルバゾーノレ- 5,7 (6H) -ジオン 49.8 に酢酸ェチル 2m、 エタノール 12 触媒量のパラジウム黒を加え、 水
10 素添加反応を 2時間行った。 反応後パラジウム黒を濾去し、 濾液を減圧濃縮 した。 残渣にメタノール 3m 濃ァンモニァ水 2.4 ^を加えて室温で 2時間撹 拌後、 溶媒を留去した。 残渣にテトラヒドロフランを少量加え、 テトラヒド 口フラン可溶部をセフアデックス LH- 20のカラムクロマトグラフィー(テト ラヒドロフラン溶出) に付した。 目的物含有画分を集め、 溶媒を留去し、 得
15 られる赤黄色固体を、 ジェチルエーテルで洗浄することにより、 目的の表題 化合物、 12,13-ジヒドロ- 1,11-ジヒドロキシ- 13- 0S-D-ガラク トビラノシ ノレ) -5H-インドロ [2,3-a] ピロ口 [3,4-c] 力ルバゾール -5,7 (6H) -ジォ ン 17.2wgを赤黄色固体として得た (収率: 65.7 %)。
Rf値: 0.18 (酢酸ェチル-メタノール (5: 1))
20 FAB-MS (m/z) : 519 [M] +
Ή- NMR (300MHz,CD3OD) ,<5 (ppm) : 3.78 (lH,dd,J = 3.0Hz,9.3Hz), 4.08 (2H,m), 4.17 (lH,m), 4.24 (lH,d,J = 3.0Hz), 4.29 (lH,t,J = 9.3 Hz), 6.95 (lH,dd,J = 1.2Hz,7.8Hz), 6.98 (lH.dd.J = 1.2Hz,7.8Hz), 7.11 (lH,t,J = 7.8Hz), 7.14 (lH.t.J = 7.8Hz), 7.24 (lH,d,J = 9.3Hz), 8.65
-ヽ 25 (lH,dd,J = 1.2Hz,7.8Hz), 8.83 (lH.dd'J = 1.2Hz,7.8Hz) 本発明化合物の原料化合物となる式(Π)で表される BE- 13793Cを製造す るために使用される微生物又はその変異株は抗腫瘍性物質 BE- 13793Cを産 生するものならば! ^、ずれでも良いが、例えば特願平 2- 71543号に記載の BA -
30 13793株 [通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(微ェ研)、受託番号:
微ェ研菌寄第 10489号(FERM P- 10489)、本菌株は国際寄託に付され、そ の受託番号は微ェ研条寄第 2785号(FERM BP-2785)] を挙げることがで きる。 この菌株を使用した BE- 13793Cの製造法は例えば以下の通りである。 斜面寒天培地に培養した BA- 13793株をグルコース 0.1 %、 デキストリン 2.0 %、 コーングルテンミール 1.0 %、魚粉 0.5 %、酵母エキス 0.1 %、塩化ナ トリウム 0.1 %、硫酸マグネシウム 0.05 %、塩化カルシウム 0.05 %、硫酸第 —鉄 0.0002 %、塩化第二銅 0.00004 %、塩ィヒマンガン 0.00004 %、塩化コバ ルト 0.00004 %、硫酸亜鉛 0.00008 %、 ホウ酸ナトリウム 0.00008 %、 モリ ブデン酸アンモニゥム 0.00024 %及び 3- (N-モルホリノ)プロパンスルホン 酸 0.5 %からなる培地 (pH6.7) 100? ^を含む 500m 容培養用三角フラスコ 4 本に接種し、 28°Cで 72時間、回転振盪機(毎分 180回転)上で培養した。 こ の培養液を lmずつ、上記の培地を lOOw 含む 500?n 容の培養用三角フラス コ 50本に接種し、 28°Cで 120時間、回転振盪機(毎分 180回転)上で培養し た。 培養液(約 5 を濾過法によって濾過し、得られた菌体を脱イオン水 500 ^で洗浄した後、菌体にメタノール 2.5 を加え室温で 1時間撹拌した。 濾過 法によってメタノール抽出液を得た。 メタノ一ノレ抽出をもう一度行ない、 合 わせたメタノール抽出液約 5 を約 800^まで減圧下に濃縮した。 得られた濃 縮液を酢酸ェチル 3 を用いて抽出し、 酔酸ェチル抽出液を減圧下に濃縮し、 得られた残渣にクロ口ホルム 500m を加えて洗净すると、 BE- 13793Cを含 む粗物質 720mgが得られた。 この粗物質をメタノール 2^こ溶解して減圧下に 濃縮していくと橙色の沈殺が生じるので、これを濾取し、 BE- 13793Cを含む 物質 546mgを得た。 この物質をメタノ一ル-テトラヒドロフラン = 1: 1 (v/ v) の混合溶媒に溶解し、 セフアデックス LH- 20 (フアルマシア社製) の力 ラムクロマトグラフィー (1.5 X 120cm) にかけ、 メタノール-テトラヒドロ フラン = 1 : 1 (v/v) で展開し、 BE- 13793C画分を得て減圧下に濃縮する ことにより、 BE- 13793C 99mgを黄橙色結晶状物質として得た。 産業上の利用分野
本発明は医薬の分野で有用であり、 さらに詳細には腫瘍細胞の増殖を阻害 し、 抗腫瘍効果を発揮する新規な BE- 13793C (12,13-ジヒドロ- 1,11 -ジヒ
し、 抗腫瘍効果を発揮する新規な BE- 13793C (12,13-ジヒドロ- 1,11 -ジヒ ドロキシ -5H-インドロ [2,3-a〕 ピロ口 [3,4-c] カルバゾ一ル- 5,7 (6H) - ジオン) 誘導体、 その製法及びその用途に関する。