明 細 誊
発明の名称
生体膜透過性が良好な生理活性物質
技術分野
本発明 は生体膜透過性、 よ り 具体的 に は血液脳関門
( B B B ) 透過性の高い生理活性物質に関する ものである。 本発明の生理活性物質は B B B透過性が高いので、 脳室内投 与よ り簡便な皮下投与や静脈注射であっ ても十分な脳内生理 活性を得る こ とができ、 脳に作用する医薬品と して有用であ る。
- 背景技術
ケ シ に含ま れるオ ビオイ ド アルカ ロ イ ド であるモルヒ'ネ は、 古く から強力な鎮痛作用を有する こ と が知られ、 末期癌 に代表される激痛を和ら げる 目 的で利用されて き た。 しか. し、 モルヒ ネ は耽溺性や依存性、 呼吸抑制、 便秘作用等の副 作用を合わせ持っため、 使用がかな り制限され、 且つ使い方 が難しいという欠点を有している。 そ こ でモルヒ ネ と同程度 あるいはそれ以上の鎮痛効果を有し、 且つモルヒ ネのよ う な 耽溺性のない鎮痛薬の開発が強く 求め られている。
—方、 1 9 7 5年に は J . H u g h e sら に よ り 内因性のモルヒ ネ様物 質 (内因性オビ才イ ド ) であるエンケフ ア リ ンが発見され、 モルヒ ネ に代わ り 得る物質と して期待されたが、 エン ケ フ ァ リ ン及びその誘導体は、
( 1 ) ペプチ ドである ため、 体内の酵素によ っ て速やかに分解 される、
(2) Β Β Β透過性が悪いので、 脳内に直接投与する必要があ る、
(3) 内因性物質であるにもかかわらず、 耽溺性や依存性等に ついてはモルヒネ と同様の副作用を持つ、
という欠点を有しているこ とがわかった。
前記エンケフ ァ リ ン類の欠点を克服するために現在も様々 な研究がなされているが、 そのほとんどは i η ν i tro試験又は 脳室内投与実験における、 エンケフ ア リ ン類の鎮痛活性の増 強や副作用の軽減、 並びに生体内酵素分解に抵抗性の高い誘 導体の開発に集中している。 *発明者らはこのよ う な状態に 鑑み、 これまで余り検討されていない B B B透過性の改良を 試みた。 またエンケフ ァ リ ン類の B B B透過性を高めるこ と が出来れば、 他の B B B透過性の悪い物質の B B B透過性も 高めて、 応用範囲が広く なるものと期待された。
δ 発明の開示
本発明に係る生体膜透過性が良好な生理活性物質は、 般 式
(但し、 X 1 及び X 2 は同一又は異なってエーテル結合、 ゥ レタ ン結合、 エステル結合、 アミ ド結合であり、 Αは低級ァ ルキ レ ン基であ り 、 m = 0 の と き は n = 0 、 m = l の と き δ n = 0 ま た は 1 で あ る 。 ま た R はペプチ ド 、 ア ミ ノ 酸、
フ ヱノ ール骨格を有する脂肪族ァ ミ ン、 ア ミ ノ 糖、 ヌ ク レオ シ ド或はラクタ ム化合物からなる生理活性物質残基及びこれ らの生理活性誘導体残基である)
で表わされるものである こ と を要旨とする。
上記のよ う に本発明の生理活性物質はァダマ ンチル基が導 入されてお り 、 8 8 8透過性の悪ぃ生理活性物質の 8 8 8透 過性を高める こ とができ るよ う になっ た。 従っ て従来脳室内 に直接投与しなければ鎮痛作用を示さなかっ たエンケフ ァ リ ン類等を皮下注射によ り投与でき る可能性が示された。
本発明 に用い られる生理活性物質と しては例えばエン ケ フ ア リ ン、 チロ ト ロ ビ ン放出ホルモ ン、 副腎皮質刺激ホルモ ン、 コ レシス ト キニ ン、 P —物質、 G R P等のペプチ ド、 メ ト ト レキサー ト ゃロ イ コ ボ リ ン等の ア ミ ノ 酸、 ノ ルェビネ フ リ ン、 ドーパ ミ ン等のフ ヱノ ール骨格を有する脂肪族ア ミ ン、 ダウノ ルビシ ン、 ア ド リ ア マ イ シ ン、 ドキソ ルビシ'ン等 の ァ ミ ノ 糖、 ジ ド ブジ ン等のヌ ク レオ シ ド 、 2 — ピ ロ リ ド ン 等のラクタム化合 等を挙げる こ とができ る。
尚、 本発明においてァダマ ンチル基の任意の位置が生理活 性物質の B B B透過性を高めるよ う な基で 1 つ以上置換され ていてもよい。 具体的な基と してはメ チル基やェチル基等の 低級アルキル基ゃヒ ド ロキシル基、 低級アルコ キシ基、 ア ミ ノ基、 カルボキシル基、 カルボキシ低級アルキル基等が挙げ られる。 しか し、 あ ま り 親水性に傾よ ら ないこ と が望まれ る
太発明によ り B B B透過性の悪い物質に ァダマ ンチル基を
導入する こ と によ っ て B B B透過性を高める こ とが可能と な り 、 従来脳室内に直接投与しなければ鎮痛作用を示さなかつ たエン ケフ ァ リ ン類等を皮下注射によ り投与でき る可能性が 示された。
図面の簡単な説明
第 1 図はエンケフ ア リ ン誘導体 (プロ ト タ イ プ a〜 d ) の 構造式を示す図
第 2図は誘導体 a の in vivo 鎮痛活性の測定結果を示すグ ラ フ
第 3 図は誘導体 b の in vivo 鎮痛活性の測定結果を示すグ ラフ
第 4図は塩酸モルヒ ネ の i n vivo 鎮痛活性の測定結果を示 すグラ フ
第 5 図はコ ン ト ロールの i n vivo 鎮痛活性の測定結果を示 すグラ フ
発明を実施するための形態
本発明者らはエン ケ フ ァ リ ン誘導体の B B B透過性を改善 する 目的で種々検討を行ないその一環と してァダマ ンチル基 を導入し脂镕性を高める こ とを試みた。
ァダマンチル基を導入す.る前のプロ ト タ イ プと して、 ェン ケ フ ア リ ンの N末端か ら 2番目 の Gly を!) -A la に置換した誘 導体
H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-OH
を用いた。 こ の誘導体はァ ミ ノ べプチダーゼに対する抵抗性 が高く 、 且つ鎮痛作用も増強されている こ とが既に報告され
ている誘導体である。
ァダマ ンチル基を上記誘導体に導入した下記の 4種類の誘 導体を合成した (式中 Ada はァダマ ン タ ン残基を示す) 。
(A) H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-0-Ada ··. a
まず、 Z-Tyr (Bzl) - D— Ala - Gly— NHNH2と H - Phe-Leu-0 - Ada と を合成し、 両者をアジ ド法にて縮合して N -末端の保護され たべ ン タペプチ ド を得、 ついで接触還元に よ る脱保護を行 なっ て誘導体 a を得た。
(B) H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-NH-Ada ― b
H-Phe-Leu-0-Ada の代わ り に H - P h e - L e u - N H - A d aを用レヽ、 前 記(A) と同様の処理を行なっ て誘導体 b を得た。
(C) H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-0-CH2-Ada … c
(D) H-Tyr-D-A.la-Gly-Phe-Leu-0- (CH2) 2-Ada - d
H— Phe—し eu— 0— CH2—— Adaま た ίま H-Phe-Leu-0- (CH2) 2-Ada を 用い、 前記(A) と同様の処理を行なっ て誘導体 c 及び d を得 た (第 1 図参照) 。
以下、 各合成ステ ッ プにっ き詳述する が、 本明細窨中に お いて使用される ア ミ ノ 酸残基及び各保護基等の略号は当該分 野での慣用に従い、 下記の略号を使用する。
Tyr : L -チロ シ ン
Gly : グ リ シ ン
Phe : L-フ ヱニルァ ラ ニン
Leu : L-ロ イ シン
GABA : rー ァ ミ ノ 酪酸
D-Ala : D-ァラニン
Z : ベン ジルォキ シカルボニル
Z (OMe) : P-メ ト キ シベン ジルォキシカ ルボニル
Ada : 1 ー ァダマ ン チル
Bzl : ベン ジル
ONp : P -ニ ト ロ フ エニルエステル
OSu : N-ヒ ド ロ キシコ ノ、ク酸イ ミ ド エステル
OMe : メ チルエステル
OAda ー ァダマ ンチルォキシ
NHAda : 1 - ァダマ ンチルァ ミ ノ
NHNH2 ヒ ド ラ ジ ド
DCC ジシク ロへキシルカルボジィ ミ ド
DBU 1 , 8_ジァザビシク 口 [5, 4 , 0] -7-ゥ ンデセ ン
TFA ト リ フ ルォ ロ 酸
THF テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン
DMA : N , N — ジメ チルァセ ト ア ミ ド
DMAP : 4.4 ー ジメ チルア ミ ノ ビ リ ジ ン
DMF : ジメ チルホルム ア ミ ド
また、 薄層ク ロ マ ト グラ フ ィ ー (TLC) はシ リ カ ゲルを用い 溶媒系は次の通り である。
Rf! = CHC13 : MeOH : H20 ( 8:3:1)
Rf 2 = CHCla : MeOH (10: 1)
Rf a = CHCls : MeOH (20: 1)
Rf 4 = CHCI3 : MeOH (50: 1)
実施例 1
H-Tyr-D*Ala - Gly - Phe - Leu-OAdaの製造
① Z-Leu-OAdaの製造
Z-Leu-OH (3. OOg, 11.3πιπιο1)を塩化メ チ レ ン (30 ml) に溶か し、 ァダマ ンタ ン一 1 一オール (1.9s, 12.4mraol) ,DCC (2.60g, 11.4mmol) , 及び DMAP (0.15 g , 1.24mino 1 )を加えて、 4 :で 72 時間攪拌した。 生成した ゥ レ ア誘導体を濾過で除いたのち、 溶媒を留去 した。 残渣を酢酸ェチルに溶解し、 酢酸ェチル層 を 5 %炭酸ナ ト リ ウ ム水溶液、 10%ク ェ ン酸水溶液、 飽和食 塩水及び水で順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ ウムで乾燥後、 酢酸 ェチルを留去した。 更に残渣をク ロ 口ホルム に溶か し、 シ リ 力 ゲルカ ラ ム ク ロ マ 卜 グラ フ ィ 一 にて精製 し た。 ク ロ 口 ホル ム溶出画分から单一スポッ ト を示す油状物を得た。
収量 3.10g (69%)
② Z-Phe - Leu-OAdaの製造
Z-Leu-0Ada (6.20g, 15.5mmol) T H F (30ml) に溶か し、 酢 酸 2滴を加え、 5 %パ ラ ジウム一炭素 (2. Og)を加えて 2時間 水素ガスを通じた。 パ ラ ジ ウ ム一炭素を濾過で除いたのち濾 液を濃縮し、 残渣を DMF (70ml) に溶かした。 こ の溶液に ト リ ェチル ァ ミ ン (2.14ml, 15.5 01) , Z-Phe-0Np (4. B4g, 15.5 mmol) .を加えて 4 8時間攪拌した。 DMF を留去後、 残渣を酢 酸ェチルに溶かし、 10%ク ェ ン酸水溶液、 5 %炭酸ナ ト リ ウ ム水溶液、 飽和食塩水、 水にて順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 酢酸ェチルを留去した。 更に残渣をク ロ 口ホル ム に溶かし、 ク ロ 口ホルムを溶出液とするシ リ 力ゲルカ ラム ク ロ マ ト グラ フ ィ ー に よ り 、 単一スポ ッ ト を示す油状物を得
„ た。
収量 4.25s (51%)
③ Z (OMe) -D-Ala-Gly-0 eO$¾5t
Z (OMe) - D-Ala-OH (5.06 g , 2 Ommo 1 ) を DMF に溶力、し、 卜 リ エ チルァ ミ ン (3.04ml, 22minol) , イ ソ ブチルク ロ 口 ホルメ ー ト (2.88ml ,22mmol) から混酸無水物を調製した。 Η-Gly-OMe·塩 酸塩(2.07g, 16.5mmol) を DMF (20ml) に镕かし、 ト リ ェチル ァ ミ ン (2.30ml , 16.5mmol) で中和した。 両液を混和し、 氷?令 下で 2時間攪拌した。 DMF を留去後、 残渣を酢酸ェチルに溶 かし、 10%クェン酸水溶液、 5 %炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 飽 和食塩水、 水で順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 酢 酸ェチルを留去し、 残渣にエーテルを加えて粉末と した。 粉 末を濾取後、 酢酸ェチル -エーテルか ら再結晶した。
収量 3.10g (58%) 融点 99-101 で
Rf 1 0.75
元素分析 C15 H2oN206
計算値 : C 55.55 ,Η 6.22.Ν 8.64
実測値 : C 55.41 ,Η 6.34 , Ν 8.68
④ Ζ - Tyr (Bzl) - D«Ala - Gly - OMeの製造
Z (0Me) -D-Ala-Gly-0Me (3.00g,9.25mmol) に、 氷 令下 TFA (6.0ml) — ァニソ一ル (1.5ml) を加えて 1 時間攪拌した。 TFA を留去したのち、 残渣を DMF (30ml) に溶かし、 ト リ ェチ ルァ ミ ン (1.28ml , 9.25画 1) で中和 し た。 Z-Tyr (Bzl) -OH (3.81g, 11.lmmol) ^ DMF (40ml) に溶解し、 N — メ チルモルホ リ ン .34 ra 1 , 12.2 m m 01 ) , イ ソ ブ チ ル ク ロ ロ ホ ル メ ー 卜
(1.60ml , 12.2imol) から調製した混酸無水物を加えて氷冷下 2時間攪拌した。 DMF を留去した後、 残渣を酢酸ェチルに溶 か し、 10%ク ェン酸水溶液、 5 %炭酸ナ ト リ ウ ム水溶液、 飽 和食塩水、 水で順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 酢 酸ェチルを留去し、 残渣にィ ソブロ ビルエーテルを加えて粉 末 と し た。 濾取後、 メ タ ノ ール - エーテルか ら再結晶 し た。
収量 3.31g (65%) 融点 157-161 :
f! 0.81
兀 分 ίΠ" C 30 H33 N 3 O 7
計算値 : C 65.80 ,Η 6.07 , Ν 7.67
実測値 : C 65.33 ,Η 6.06 , Ν 7.60
⑤ Ζ - Tyr (Bzl) -!)《Ala - Gly - ΝΗΝΗ2の製造
Z-Tyr (Bzl) -D-Ala-Gly-0Me (3.20s.5.8mmol) ¾· DMF (40ml) に溶か し、 80%抱水 ヒ ド ラ ジ ン (3.60 ml .58mmol) を加え て 2 4時間攪拌した。 DMF を留去後、 残渣にエタノ ールを加え て粉末と した。 濾取後、 DMF-エタ ノ ールか ら再結晶した。
収量 3.15g (98%) 融点 171-174 t
Rf 1 0.61
元素分析 C 29 H 33 N 506 · H 2 D
計算値 : C 61.58 , H 6.24 , K 12.38
実測値 : C 61.73 ,Η 6.06 , Ν 12.86
(DZ-Tyr (Bzl) -D-Ala-Gly-Phe-Leu-OAda の製造
Z-Phe-Leu-0Ada (l .00g, 1.83mmol) ¾- - ト ラ ヒ ド π フ ラ ン (20ml)に溶か し、 5 %パ ラ ジ ウ ム 一炭素 (約 lg) を加え水素
ガスを通じて接触還元を行った。 2時間後、 触媒を濾過で除 いたのち溶媒を留去し、 残渣を DMF (50ml) に溶か した。 Z-Tyr (Bzl) -D -Ala-Gly-NHNH2 (1.30g, 2.38mmol) よ り調製し たァジ ド成分と、 卜 リ エチルァ ミ ン (0 ,70ml , 5. Οιηπιο,Ι)を加え て- 4でで 2 4時間攪拌した。 DMF を留去後、 残渣に水を加え て粉末と した。 粉末を濾取し、 10%クニン酸水溶液、 5 %炭 酸水素ナ ト リ ウ ム水溶液、 飽和食塩水、 水で順次洗浄した。 乾燥後、 メ タノ一ルーエーテルから 2回再結晶した。
収量 1.67s (85%) 融点 136 - 139 X:
Rf 1 0.38
元素分析 C54H65N 509 ' VsHsO
計算値 : C 69.21 ,Η 7.17 , Ν 7.47
実測値 : C 69.29 , Η 7.23 , Ν 7.33
⑦ Η - Tyr - D 'Ala-Gly - Phe - Leu - OAdaの製造
Z-Tyr (Bzl) -D-Ala-Gly-Phe-Leu-0Ada (250mg, 0.27mmol) を T H F (30ml)に溶かし、 5 %パラジウム一炭素( 1 g)を加えて 5時間接触還元を行った。 触媒を據去後、 溶媒を留去し、 残 渣をク ロ口ホルム一メ タ ノ ール(10 : 1)少量に溶かした。 同瑢 媒を溶出液とするシ リ カゲルカ ラムク ロマ ト グラ フ ィ ーによ り、 单一画分を得、 溶媒を留去後、 残渣にエーテルを加え、 粉末を得た。
収量 85mg (85%) 融点 110-115 °C
Mi 0.53 , [ α ] D = + 159.6° (C-0.2 , D F , 25 で) 元素分析 C39H53N 507 * 2H20
計算値 : C 63.31 ,Η 7.77 , Ν 9.47
実測値 : C 63.56 ,Η 7.66 , Ν 9.05
FAB-MS : 704.0 [M+H] +
6 N塩酸加水分解後のア ミ ノ酸分析値 :
Gly 1.13 , Ala 1.03 ,
Leu 1.00 , Tyr 0.88 ,Phe 1.05
実施例 2
H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-NHAda の製造
Φ Z-Leu-NHAda の製造
Z-Leu-OH (1.75g, 6.6mmol) ¾· DMF (30ml) に溶か し、 卜 リ エ チルア ミ ン (0.94ml , 6.8mmol) , ィ ソ ブチルク ロ 口 ホルメ ー ト (0.90ml, 6.8 mnol)を加えて混酸無水物を調製した。 こ の溶液 に 1 一ァ ミ ノ ァ ダマ ン タ ン塩酸塩 (1.88g, 10mmol)を DMF (20 ml) に溶かし、 .ト リ ェチルァ ミ ン (1.38ml , lOmmol) で中和し た溶液を加え、 氷冷下 2時間攪拌した。 溶媒を留去後、 残渣 を酢酸ェチルに溶かし、 10%クェン酸水溶液、 5 %炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 飽和食塩水、 水で順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ クムで乾燥後、 酢酸ェチルを留去し、 残渣に石油エーテルを 加えて粉末と した。 濾取後、 酢酸ェチルー石油エーテルから 再結晶した。
収量 2.20g (84¾) 融点 103 - 105 で
Rf 5 0.44
元素分析 C24H34N2Q3
計算値 : C 72.33 , H 8.60 , N 7.03
実測値 : C 72.02 , H 8.78 , N 6.82
© Z-Phe-Leu-NHAda の製造
Z-Leu-NHAda (2.20g.5.5mmol)をメ タ ノ ー レ (30 ml) に溶力 し、 酢酸 2滴を加えて、 5 %パラ ジウム一炭酸 (約 ) を加 え 2時間接触還元を行なった。 触媒を濾過で除いたのち、 璩 液を濃縮 し、 残渣を DMF (20ml) に溶か し た。 Z-Phe-OH (1.98g, 6.63mmol) , ト リ ェチルァ ミ ン ( 1.00 g , 7 · 29 mmol) , イ ソブチルク ロ口ホルメー ト (0 · 96ml .7.29mmol) から調製し た混酸無水物の DMF 溶液(20ml)に前記接触還元後の溶液を加 え、 氷^下 2時間攪拌した。 DMF を留去した後、 残渣に水を 加えて粉末と し濾取した。 10%クニン酸水溶液、 5 %炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 飽和食塩水、 水で順次洗浄した。 乾燥後、 酢酸ェチルー石油エーテルから再結晶した。
収 £ 2.20g (68%) 融点 125 - 127 t:
Rf 4 0.58
元素分析 C33H43N3Q4 ♦ V2H20
計算値 : C 71.45 , H 8.00 , N 7.58
実測値 : C 71.57 ,Η 8.08.N 7.61
③ Z - Tyr (Bzl) -D*Ala - Gly - Phe-Leu-NHAdaの製法
Z-Phe-Leu-NHAda (1.00g, 1.83mmol) を T H F (20ml) に溶か し、 酢酸 2滴、 5 %パラジウム一炭素(lg)を加えて 4時間接 触逢元を行った。 触媒を濾過で除いたのち、 溶媒を留去し、 残渣を DMF (50ml) に溶か し た。 Z - T y r (B z 1 ) - D · A 1 a - G 1 y - NHNH2 (1.30g,2.38mmol) よ り調製したアジ ド成分と、 卜 リ エ チルア ミ ン (0.70ml ,2.38mniol) を加えて 4でで 2 4時間攪拌 した。 DMF を留去後、 残渣に水を加えて粉末と した。 粉末を 濾取し、 10%クェン酸水溶液、 5 %炭酸水素ナ ト リ ウム水溶
液、 飽和食塩水、 水で順次洗浄した。 乾燥後、 メ タノ ール - ィ ソブロ ビルエーテルから再結晶した。
収量 1.39g (81%) 融点 145 - 149 t
Rf! 0.75
兀 5¾分析 054Η$6ΝεΟβ · / 2 Η20
計算値 : C 69.28 ,Η 7.28 , Ν 8.98
実測値 : C 69.25 ,Η 7.14 , Ν 8.85
@H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-NHAda の製法
Z-Tyr (Bzl) -D-Ala-Gly-Phe-Leu-NHAda (500mg( 0. o4mniol) を T H F (30ml)に溶か し、 酢酸 2滴、 5 %パラ ジウム一炭素
(lg)を加えて 4時間接触還元を行っ た。 触媒を镍去後、 溶媒 を留去し、 残渣をク ロ 口ホルム少量に溶かした。 ク ロ 口ホル ムーメ タノ ール (10 : 1)を溶出液とする シリ カゲルカ ラムク ロ マ ト グラ フ ィ 一によ り 、 单一スポ ッ ト を示す画分を得た。 溶 媒を留去後、 残渣にエーテルを加えて粉末を得た。
収量 155mg (41%) 融点 141-145
Rf! 0.51 [ α ] D = + 32.5。 (C-0.2 , DMF , 25 で) 元素分析 C39H54N 609 · 2H20
計算値 : C 63.39 ,Η 7.91 , Ν 11.37
実測値 : C 63.76 , Η 7.85 , Ν 11 · 21
FAB-MS : 703.0 [Μ+Η] +
6Ν塩酸加水分解後のア ミ ノ酸分析値 :
Gly 1.0 , Ala 1.03 , Leu 1.00,
Tyr 1.00 , Phe 1.07
実施例 3
H - Tyr - D · Al a - Giy - Phe - Leu - 0 - CH2 - Ada及び H-Tyr-D-Ala -Gly-Phe-Leu-O- (CH2) 2-Ada の製造
φ Z-Leu-0-CH2-Ada の製法
Z-Leu-OH ( 2.10g, 7.9mmol)を塩ィ匕メ チ レ ン ( 30ml) に溶か し 1 - ァ ダマ ン タ ン メ タ ノ ール (1.31g, 7.9mmol) , D C C
(1.83, 8.711111101)及び 0 U A P (97 mg , 0.79 mmo 1 ) を加えて 4で で 4 8時間攪拌した。 生成したゥ レア誘導体を濾過で除いた 後、 溶媒を留去した。 残渣を酢酸ェチルに溶解し、 酢酸ェチ ル層を 5 %炭酸ナ 卜 リ ゥ ム水溶液、 1 0 %ク ェ ン酸水溶液、 飽和食塩水及び水で順次洗浄した。 硫酸ナ ト リ ウ ムで乾燥後 酢酸ェチルを留去した。 更に残渣をク ロ 口ホルム に溶かし、 シ リ カ ゲルカ ラ ム ク ロ マ ト グラ フ ィ 一で精製し单一スポ ッ ト を示す油状物を得た。
収量 2.43g (74%)
Rf 3 0.86
FAB-MS: 414.2 [M+H] +
①, Z-Leu-0 - CH2-CH2 - Ada の製造
1 ー ァダマ ンタ ン メ タ ノ ールの代わ り に 1 ー ァダマ ン タ ン エタノ ール (1.70g, 9.4mmol) を使用 した以外は①と同様に処 理した。
収量 1.85s (46¾)
Rf 5 0.63
FAB-MS :428.0 [M+H] + - (2) Z-Phe-Leu-0-CH2-Ada の製造
Z -し eu - 0 - CH2 - Ada (2.18g,5.27画 1) を T H F ( 2 O ml) に
溶かし 5 %パ ラ ジ ウ ム一炭素 (約 2 g ) , 酢酸 ( 2 ml) を加 えて 1 0時間接触違元を行っ た。 パ ラ ジ ウ ム一炭素を濾過で 除去した後、 濾液を濃縮し、 残渣を D M F ( 2 0 ml) に溶か した。 こ の溶液に 卜 リ ェチルァ ミ ン (0.74ml .5.27mniol ) 、 Z-Phe-ONP (2.21g.5.27πιπιο1) , Ν - ヒ ド ロ キシベ ンゾ 卜 リ ア ゾール (0.36g.2.64mmol)を加えて 2 4時間攪拌した。 D M F を留去後、 残渣を酢酸ェチルに溶かし、 5 %炭酸ナ ト リ ウ ム 水溶液、 1 0 %ク ェン酸水溶液、 飽和食塩水及び水で順次洗 浄した。 硫酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 酢酸ヱチルを留去した。 更に残渣をク ロ 口 ホルム に溶か し、 ク ロ 口 ホルム一メ タ ノ ー ル ( 20: 1 )を榕 出液 と す る シ リ 力 ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ 一で精製し单一スポ ッ 卜 を示す油状物を得た。
収量 2.19g (99%)
Rf 4 0.46
FAB-MS:561.3 [M+H] +
②, Z - Phe - Leu_0 -(CH2) 2 - Adaの製造
Z-Leu-0-CH2-Ada の代わり に Z - L e u -0 - C H 2 - C H 2 - A d a (1.85 g , 4.33mmol) を用いた以外は②と同様に処理した。
収量 2.49g (100¾)
Rf 5 0.15
FAB-MS :575.0 [M+H] +
③ Z-Tyr (Bzl) - D - Ala - Gly-Phe - Leu-0 - CH2 - Adaの製造
Z-P e-Leu-0-CH2-Ada (2.0g,3.57mmol) ¾- '7- 卜 ラ ヒ ド 口 フ ラ ン ( 1 5 ml) に溶かし、 5 %パ ラ ジ ウ ム一炭素 (約 2 g ) と 酢酸 ( 1 ml) を加え 5時間接触還元を行なっ た。 触媒を濾過
して除いたのち、 濾液を濃縮した。 残渣を D M F ( 1 0 ml) に溶か し、 Z-Tyr (Bzl) -D-Ala-Gly-NHNH2 (1.60g, 2.92mol) か ら調製し た ア ジ ド成分 と ト リ エチルァ ミ ン ( 0 · 27 m 1.1.95 mmol) を加えて 4で で 4 8時間攪拌した。 D M F留去後、 残 渣.を酢酸ェチルに溶かし、 5 %炭酸ナ ト リ ウム水溶液、 1 0 %クェン酸水溶液、 飽和食塩水、 水で順次洗挣、 硫酸ナ ト リ ゥ ムで乾燥後、 酢酸ェチルを減圧留去し、 残渣にエーテルを 加えて粉末と した。 更にク ロ 口ホルム に溶かし、 ク ロ口ホル ムーメ タ ノ ール (20:1)を溶出液とするシ リ カゲルカ ラムク ロ マ ト グラ フ ィ 一で精製し、 单一スポッ ト を示す生成物を得、 メ タノ一ルーエーテルから再結晶を行なつ た。
収量 0.70g (38%) 融点 158-162で
Rf 3 0.34 [ α ] D = - 17.2° (C-0.5 , D F)
元素分析 C55H67N509 · 1/2H20
計算値 : C 69.45 ,Η 7.21, Κ 7.36
実測値 : C 69.61 ,Η 7.29 , Ν 7.79
③ ' Z-Tyr (Bzl) - D-Ala-Gly-Phe-Leu-O- (CH2) 2-Ada の製造
Z-Phe-Leu-0-(CH2) 2-Ada (1.15g, 2 mmol) をテ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ン ( 1 5 ml) に溶か し、 5 %パ ラ ジ ウ ム 一炭素 (約 2 § ) と酢酸 5 mlを加えて 5時間接触逢元を行なっ た。 触媒 を濾過 し て除い た の ち 、 濾液を濃縮 し た。 残渣を D M F ( 1 O ml) に溶か し、 Z-Tyr (Bzl) - D-Ala-Gly-NHNH2 (l.2g, 2.19mol)か ら調製したアジ ド成分と ト リ エチルァ ミ ン (0.28 ml , 2 mmol) を加えて 4 t:で 4 8時間攪拌した。 D M F留去 後、 残渣を酢酸ェチルに溶か し、 5 %炭酸ナ ト リ ウ ム水溶
液、 1 0 %ク ェン酸水溶液、 飽和食塩水、 水で順次洗浄、 硫 酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 酢酸ェチルを減圧留去し、 残渣に エーテルを加えて粉末と した。 更にク ロ口ホルム に溶かし、 ク ロ 口 ホルム一メ タ ノ ール (30:1)を溶出液 と す る シ リ カ ゲル カ ラムク ロマ ト グラ フ ィ ーで精製し、 单一スボッ ト を示す生 成物を得、 メ タ ノ ール一エーテルか ら再結晶を した。
収量 0.84s (51%) 融点 148-151で
Rf 3 0.31 , [ a ] D = - 13.3' (C-0.6 , DMF)
元素分析 C56H69N5G9 · 1.5H20
計算値 : C 68.41 ,Η 7.38.Ν 7.12
実測値 : C 68.44.Η 7.09 , Ν 7.46
@H-Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-0-CH2-Ada の製造
Z - T y r (Bzl) -D -Al a-Gly-Phe-Leu-0-CH2-Ada ( 283 m , 0.3mmol)を酢酸 ( 1 0 ml) に溶かし、 5 %パ ラ ジ ウ ム —炭素 ( 1 g ) を加えて 5時間接触還元を行なっ た。 触媒を濾過で 除いた後、 濾液を水で希釈 し凍結乾燥した。 凍結乾燥品を 5 %酢酸に溶か し、 ダイ ア イ オ ン HP-20 のカ ラ ム に乗せ、 5 %酢酸 ( 2 0 O ml) で洗浄した後、 5 %酢酸 ( 2 0 O ml) と ァセ ト ニ ト リ ル ( 2 0 0 ml) によるグラ ジェン 卜溶出によ り溶出しメ イ ン画分を濃縮、 凍結乾燥後、 白色羽毛状の結晶 を得た。
収量 135mg (56%)
Rf! 0.30 [ α ] D = + 6.3 ° (C=0.2,DMF)
FAB-MS: 718.0 [M + H] +
元素分析 C41H54N 507 ♦ 1 ·5Η20
計算値 : C 65.14 ,Η 7.60.Ν 9.27
実測値 : C 65.15 ,Η 7.61 , Ν 9.39
④' Η - Tyr - D*Ala - Gly - Phe - Leu - 0 -(CH2) 2 - Adaの製造
Z-Tyr (Bzl) -D · Al a-Gly-P e-Leu-O- (CH2) 2-Ada (287 mg, 0.3 mmol) を酢酸 1 0 mlに溶かし、 5 %パラジウム一炭素 1 g を 加えて 5時間接触還元した。 触媒を濾過で除いた後、 濾液を 水で希釈し凍結乾燥した。 凍結乾燥品を 5 %酢酸に溶かし、 'ダイ アイォン HP-20 のカ ラムに乗せ、 5 %酢酸 ( 2 0 0 ml) で洗浄 し た後、 5 %酢酸 ( 2 0 0 m 1 ) と ァセ ト ニ ト リ ル ( 2 0 O ml) からなるグラ ジェン ト溶出に よ り溶出しメ イ ン 画分を濃縮、 凍結乾燥後、 白色羽毛状の結晶を得た。
収量 llQmg (50¾)
Rf ! 0.28 [ α ] D = + 3 S。 (C-0.2.DMF)
FAB-MS: 732.0 [ + H] +
元素分析 C42H56N 507 * 2 H20
計算値 : C 64.76 ,Η 7.76 , Ν 8.99
分析値 : C 64.61 ,Η 7.72 , Ν 8.91
実施例 4
実施例 1 及び 2 よ り得られたァダマ ンチル化エンケフ ァ リ ン誘導体 a 及び b に っ き 、 その in vivo での鎮痛効果と in vitroでのモルモ ッ ト摘出腸管の電気剌激によ る収縮に対 する抑制効果を調べた。
in vivo 鎮痛活性の測定
ァダマンチル化エンケフ ァ リ ン誘導体 a及び b を、 マ ウス に皮下投与し、 中枢に お ける鎮痛効果をラ ンダルセ リ ッ ト
(Randal 1 Selitto) 法によ り測定した。 即ち誘導体 a 及び b を、 DMA : 生理食塩水 (4 :6) の混液に溶か し、 その約 100 μ 1 を マ ウ ス (dd-Y 茶 ; 約 20 g)の皮下に投与 し (l〜 50mg /kg) , 投与後一定時間每にその鎮痛効果をラ ンダルセ リ ッ ト 法に よ り測定した。 比較薬物と して塩酸モルヒ ネ を、 ま た コ ン ト ロールと して [D-Ala2]ロ イ シ ンエン ケ フ ア リ ン , 1 ー ァ ダマ ン タ ノ ール , 生理食塩水, 生理食塩水 + DMA 混合溶媒 (6:4) を夫々 用いた。 こ れ らの試験結果を第 2図 (誘導体 a ) , 第 3 図 (誘導体 b ) , 第 4図 (塩酸モル ヒ ネ ) 及び第 5 図 ( コ ン ト ロール) に示 した。
ァダマ ンチル基を C末端側に導入した誘導体 a及び b は塩 酸モルヒ ネ よ り劣るがコ ン ト ロールよ り も優れた鎮痛活性を 示した。
in vit.ro鎮痛活性の測定
ァ ダマ ン チ ル化エ ン ケ フ ァ リ ン誘導体 a 及び b の、 モ ル モ ッ ト摘出腸管の収縮に対する抑制効果は Kosterlitzらの方 法 [H. W. Kosterlitz, A. A... Watterfield, Ann. Rev. harmacol .. 15 , 29 , ( 1975 )] に従っ て測定した。 ま た比較薬剤と して塩酸 モルヒ ネ を、 コ ン ト ロール と して [D-Ala2]ロ イ シ ンエンケ フ ア リ ン'を用いた。 これらの試験結果を表 1 に示す。
( 以 下 余 白 )
表 1 化合物 E D 50 (mol) (mean± s . e .m.) Relative Potency 塩酸モルヒネ 3.2 ±0.43x It)-8 (n»17) 1.00
[D-Ala2]ロイシン 3.6 ±1.17x 10_β (n=7) 0.89 エンケファ リ ン
誘導体 a 9.4 ±4.82xl(Ta (n = 7) 0.34 誘導体 1.5 ±0.7lx 10_e (n=5) 2.13
誘導体 a 及び b は収縮抑制を示し、 いずれもナ ロ キ ソ ン に よ っ て拮抗された。 すなわち、 こ れ ら の誘導体は ァダマ ンチ ル基が導入されて も モ ル ヒ ネ様の活性を有している こ と が わっ た。
以上の試験結果よ り 、 ァダマ ンチル化エ ンケ フ ア リ ン類は 皮下投与に よ り モ ル ヒ ネ様鎮痛作用を示す こ と が確認でき た。 これは B B B透過性の向上を示し、 安全性が確認されれ ば皮下注射剤と して臨床応用が期待される。
以上の結果によ り ァダマ ンチル基の導入によ り 生理活性を 維持したま ま B B B透過性が高め られる こ と が示され、 類似 誘導体にも同様の効果が期待されるが、 生理活性物質の性質 上ァダマ ンチル基の導入位置によ って活性が消失して しま う こ と も考え られるので、 導入にあたっ ては十分な配慮が必要 である。
更に、 抗ウィ ルス化学療法剤である ジ ド ブジン ( ア ジ ドチ ミ ジン、 以下 A Z T と略す) に下記の反応に よ り ァダマ ンチ ル基の導入を試みた。
尚 R と して
① - C O - A d a 誘導体 e
② - C O - C H 2 - A d a 誘導体 f
③ -Gly-CG-Ada ··♦誘導体 g
④ー /8 ·Αΐ 8-(;0-Αά3 …篛導体 h
©-GABA -CO-Ada ·♦♦誘導体 i
を用いた。
以下具体的に説明する。
実施例 5
AZT-CO-Ada (誘導体 e ) の製造
Ada-COOH (135mg , 0.8mmo 1) を D M F ( 1 O ml) に溶かし、 氷冷下 に A Z T (lOOmg, 0.37mmol) , D C C (162mg , 0.79 mmol) , 4 ,4-ジメ チルアミ ノ ビ リ ジ ン ( 69mg , 0.56mniol)をカロ えて 4 "Cで 4 8時間攪拌した。 生成した ウ レ ァ誘導体を濾過 後、 D M F を減圧留去し、 残渣に酢酸ェチルを加えて溶か し、 5 %炭酸水素ナ ト リ ウ ム、 飽和食塩水、 水で順次 3·回ず つ洗浄した。 酢酸ェチル層を硫酸ナ ト リ ウ ム で乾燥後、 減圧 下溶媒を留去し、 残渣を n -へキサ ン 一酢酸ェチ ル (7 : 3) ( 1 ml) に溶かし、 同一溶媒系を溶出液とするシ リ カゲル力 ラ ム ク ロ マ ト グラ フ ィ ーで精製した。 目的物を含む画分を集 め、 溶媒を減圧留去後、 残渣をエーテルで粉末と し、 濾取後 乾燥した。
収量 66mg (41¾) 融点 120 - 123
FT - IR:2121cm -1 (-N3)
FAB-MS: 430.2 [M + H] + , 452.2 [M + Na] +
元素分析 G21H27N505
計算値 : C 58.73 ,Η 6.34 , Ν 16.31
分析値 : C 59.12 ,Η 6.63 , Κ 16.04
実施例 6
AZT-CO-CH2-Ada (誘導体 ) の製造
A da-COO Hの代わ り に Ada-CH2C00H を用いた以外は実施例 6 と同様に処理した。
収量 79.4mg (48¾) 融点 95 - 99 で
FT - IR:2106cm_ 1 (-N3)
FAB-MS: 444.2 [ + H] + , 466.2 [ + Na] +
元素分析 C22H29N505
計算値 : C 59.60 ,Η 6.59 , Ν 15.79
分析値 : C 59.74 , Η 6.95 , Ν 15.31
実施例 1
① Ada - CO - ΝΗ - CH2 - C00Hの製造
グリ シン (0.98 g , 13 mmo 1 )を 4 N水酸化ナ ト リ ゥム ( 5 ml, 20mmol) を含む水 1 5 O mlに溶かし、 1 ー ァダマ ンタ ンカル ボニルク ロ ラ イ ド (1.35g, 6.5mmol) の T H F溶液 1 O mlを 3 0分間かけて加え、 反応液を氷冷下に激し く 3 時間攪拌し た。 反応後 1 N塩酸で p H を 7 に合わせ、 T H F を留去後酢 酸ェチルに溶解し、 有機層を 1 N塩酸で 3 回飽和食塩水で 3 回、 次いで水で 3 回順次洗浄した。 酢酸ェチル層を硫酸ナ ト リ ウムで乾燥後溶媒を留去し、 残渣にエーテルを加えて粉末 と した。
収率 73% 融点 200 -203 *C
元素分析 C13H19N03 1/4H20
計算値 : C 64.59 ,Η 8.13 , Ν 5.80
分析値 : C 64.64 ,Η δ .15 , Ν 5.74
② AZT-GO-CH2-NH-CO-Ada (誘導体 g ) の製造
Ada-COOHの代わ り に Ada-CO-Gly-OH を用い、 最終精製と し てクロ 口ホルム—ク ロ口ホルムメ タ ノ ール (30 :1)を溶出液と す る シ リ 力ゲルカ ラ ム ク ロ マ ト グラ フ ィ ーを行なっ た後、 n 一へキサ ン で粉末化し た以外は実施例 6 と同様に処理し た。
収量 139. lmg (76%) 融点 95-98 t
FT - IR:2109cm_ 1 (-N3)
FAB-MS: 487.2 [M + H] + , 509.2 [ + Na] +
元素分析 C23H3 DN 606 * 1/4H20
計算値 : C 56.26 ,Η 6.26 , N 17.12
実測値 : C 56.71 ,Η 6.29 , Ν 16.62
実施例 8
① Ada-C0- β · Al a-OH の製造
グ リ シ ンの代わ り に β ー ァ ラニン を用いた以外は実施例 7 ①と同様に処理した。
収率 85¾ 融点 187 - 192 で
元素分析 C14H21N03
計算値 : C 66.90 ,Η 8.42 , Ν 5.57
実測値 : C 66.82 ,Η 8.63 , Κ 5.32
(2) AZT-C0- (CH2) 2-NH-C0-Ada (誘導体 h ) の製造
Ada-COOHの代わ り に Ada-C0- β -Ala-OH を用い、 ま たク ロ マ ト グラ フ ィ ー後エーテルで粉末化した以夕 {■は実施例 Ί ②と 同様に処理した。
収量 143.9mg (77%) 融点 92 - 95 t
FAB-MS:510.3 [M + H] + , 523.3 [M + Na] +
元素分析 C24H32N 606 ' 1/4H20
計算値 : C 57.07 , H 6.49 , Ν 16.64
実測値 : C 57.39 , Η 6 · 75 , Ν 16.12
実施例 9
① Ada - CO - GABA - OHの製造
ダリ シンの代わ り に G A B Aを用いた以外は実施例 7 ①と 同様に処理した。
収率 84% 融点 163 - 166 t
元素分析 C15H23N03 · 1/4Η20
計算値 : C 66.76 , Η 8.78 , Ν 5.19
分析値 : C 67.29 ,Η 9.03 , Ν 5.16
② AZT-C0- (CH2) 2-NH-C0-Ada (誘導体 i ) の製造
Ada-COOHの代わ り に A d a - C 0- G A B A -0 Hを用いた以外は実施例
7 ②と同様に処理した。
収量 159.4mg (83%) 融点 95 - 97 "C
FT-IR 2107cm-1 (-N3)
元素分析 C25H34N 606 ' 1/4H20
.計算値 : C 57.84 , H 6.70 , N 16.19
分析値 : C 58.59 , H 6.99 , N 15.43
更に抗痴呆薬と して期待されている 2 — ピロ リ ド ン にァダ マ ンチル基の導入を試みた。
実施例 1 0
2 —ピロ リ ド ン ( 8 5 0 ing) と D B U ( 1.53 g ) を塩化メ
チレン ( 2 0 ml) に溶かして氷泠下ァダマンチルー 1 一カル ボニルクロ ライ ド ( 1.98 g ) を塩化メ チレ ン ( 5 ml) に溶か した液を滴下し室温で 1 昼夜放置した。 有機溶媒を 0.05 N塩 酸 ( 4 0 ml) で 2回. 水 ( 4 0 ml) で 2回順次洗浄した後硫 酸ナ ト リ ウムで乾燥した。 溶媒を減圧乾固し、 下記の条件で カラム分画を行ないメイ ン区画を分取した後、 塩化メチレン に溶解しへキサンで再結晶して白色針状の結晶を得た。
収量 400mg (16%) 融点 86-86.5 で
Rf 5 0.29
力 ラム分画条件
カ ラム : 9¾ 3 cnix 3 5 cffi
充塡斉 [I : kieselgel 60 ( 230 -400 mesh ASTM)
榕出液 : 塩化メ チレン
以上の様に して合成された化合物 (実施例 5〜 1 0 ) はァ ダマンチル基が導入されており、 良好な B B B透過性が付与 され十分な脳内活性を得るこ とができるものと予想される。