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JPWO2013094723A1 - 新規抗ヒトctgf抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の抗ヒトCTGF抗体と比較して結合活性および/または中和活性において優れた抗ヒトCTGF抗体、並びに、該抗ヒトCTGF抗体を用いた、慢性腎臓病や糖尿病性腎症などの腎疾患を含むヒトCTGFが病態形成に関与する各種疾患の予防または治療手段を提供する。【解決手段】 配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトCTGF抗体。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な抗ヒトCTGF抗体に関する。詳細には、本発明の新規抗ヒトCTGF抗体は、従来の抗ヒトCTGF抗体と比較して結合活性及び/又は中和活性において優れた抗ヒトCTGF抗体である。
CTGF(結合組織成長因子)はCCNファミリーに属する分子量約36〜38kDaのシステイン残基に富んだ分泌タンパク質であり(非特許文献1)、従来、線維化において最も重要な増殖因子であると考えられていたTGF−βにより誘導されることが知られている(非特許文献2)。したがって、TGF−βがCTGFを誘導し、誘導されたCTGFが、臓器や組織の線維化を促進すると推察され、CTGFは、線維化、細胞の増殖、細胞外基質の代謝、血管形成、動脈硬化等に重要な役割を果たしていると考えられている(非特許文献3)。
CTGFには多くのドメインが存在し、他の因子と相互作用することが知られている。その中でも、フォン・ヴィレブランドCドメインを介して、CTGFは、TGF−β又はBMP4と直接結合し、TGF−βシグナリングの促進又はBMPシグナリングの阻害を引き起こすことが示されている(非特許文献4)。
CTGFは、種々の腎疾患(例えば、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、IgA腎症、巣状分節性糸球体硬化症、ANCA関連腎炎、急速進行性糸球体腎炎、慢性移植腎症、ネフローゼ症候群、ループス腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎)において発現亢進し(非特許文献5)、線維化に深く関与していることが報告されている(非特許文献6)。
また、CTGFは、各種線維症(強皮症、間質性肺疾患、特発性肺線維症などの肺線維症、慢性B型またはC型肝炎から生じる線維症、放射線誘導性線維症、創傷治癒から生じる線維症、並びに心臓の肥大及び線維症)や、血管増殖性疾患、糖尿病性網膜症、癌などに関わっていることが報告され、新たな治療ターゲットとなると考えられている(非特許文献7、8)。
従って、CTGFに特異的に結合し、CTGFによる種々の作用を阻害する活性を有するモノクローナル抗体を開発することができれば、CTGFが病態形成に関与する各種疾患の診断、予防又は治療に有用であることが期待される。
現在までに研究が進められてきたヒトCTGFに対して機能阻害作用を示す抗体としては、ヒトモノクローナル抗体であるM84及びM320(特許文献1)、CLN1(特許文献2)や、マウスモノクローナル抗体であるCTGF−m2−1(特許文献3)などが報告されている。その中でも、CLN1が、最も詳細に検討がなされており、間質性肺線維症モデルや片側尿管結紮による腎間質線維化モデルにおいて、その効果が明らかにされている。CLN1は、現在FG−3019として臨床試験(フェーズII)段階にある。
しかし、従来の抗体はCTGFに対する結合活性が十分とはいえず、治療有効性の観点からCTGFに対する中和活性が十分に強いとはいえない。
一般に、抗体医薬の有効投与量を規定する主な要因としては、抗体が有する抗原に対する結合活性や中和活性や、体内に存在する抗原の量が挙げられるが、結合活性や中和活性を向上させることは投与量の低減に繋がり、結果として患者の経済的な負担や医療コストの低減にも繋がる極めて有益な改良であるといえる。
こうしたことから、従来の抗体よりも結合活性や中和活性が強い抗ヒトCTGF抗体を取得することが、CTGFが病態形成に関与する各種疾患の予防または治療に利用するためには必要不可欠である。
特開2000-232884 WO2004/108764 WO2007/066823
D.M. Bradham et al, J. Cell Biol. 114:1285-1294 (1991) A. Igarashi et al, Mol. Biol. Cell 4:637-645 (1993) Blom IE et al, Matrix Biol. 21(6):473-82(2002) Abreu, et al. Nat. Cell. Biol. 4, 599-604(2002) Ito Y et al.: Kidney Int. 53(4) 853-61,(1998) Phanish MK et al, Nephron Exp Nephrol. 114(3) e83-92,(2010) Shi-Wen X et al, Cytokine Growth Factor Rev. 19(2):133-44.(2008) Jun JI et al, Nat Rev Drug Discov. 10(12):945-63(2011)
本発明の課題は、従来の抗ヒトCTGF抗体と比較して結合活性及び/又は中和活性において優れた抗ヒトCTGF抗体を提供することにある。
本発明は、医学上又は産業上有用な物質・方法として以下の発明を含むものである。
[1]配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトCTGF抗体。
[2]前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域である、[1]の抗ヒトCTGF抗体。
[3]前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、[1]の抗ヒトCTGF抗体。
[4]前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域であり、前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、[1]の抗ヒトCTGF抗体。
[5]配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、[1]の抗ヒトCTGF抗体。
[6][1]〜[5]のいずれかの抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
[7][1]〜[5]のいずれかの抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
[8][6]及び/又は[7]のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
[9][8]の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
[10]以下の(a)及び(b)からなる群より選択される、[9]の宿主細胞。
(a)[1]〜[5]のいずれかの抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞;及び
(b)[1]〜[5]のいずれかの抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターとで形質転換された宿主細胞。
[11][9]又は[10]の宿主細胞を培養し、抗ヒトCTGF抗体を発現させる工程を包含する、[1]〜[5]のいずれかの抗ヒトCTGF抗体を生産する方法。
[12][1]〜[5]のいずれかの抗体を含む、ヒトCTGFが病態形成に関連する疾患の治療薬。
[13]前記疾患が腎疾患である、[12]の治療薬。
[14]前記腎疾患が慢性腎臓病又は糖尿病性腎症である、[13]の治療薬。
[15][1]〜[5]のいずれかの抗体を投与する工程を包含する、ヒトCTGFが病態形成に関連する疾患を予防又は処置するための方法。
[16]前記疾患が腎疾患である、[15]の方法。
[17]前記腎疾患が慢性腎臓病又は糖尿病性腎症である、[16]の方法。
[18]ヒトCTGFが病態形成に関連する疾患の予防又は処置に使用するための、[1]〜[5]のいずれかの抗体。
[19]前記疾患が腎疾患である、[18]の抗体。
[20]前記腎疾患が慢性腎臓病又は糖尿病性腎症である、[19]の抗体。
本発明によって、従来の抗ヒトCTGF抗体と比較して結合活性及び/又は中和活性において優れた抗ヒトCTGF抗体が提供される。本発明の抗ヒトCTGF抗体は、ヒトCTGFの機能阻害により、強力な抗線維化作用を有するものであり、ヒトCTGFが病態形成に関与する各種疾患の予防または治療に有用である。そして、このような本発明の抗ヒトCTGF抗体は、投与量の低減、投与間隔の拡大、投与方法の改善(例えば、皮下注射剤)等の臨床適用における優れた改善をもたらし、治療有効性及び患者コンプライアンスの改善に大きく寄与するものである。
以下に、本発明について詳述する。
本発明者らは、抗ヒトCTGF抗体の作製において相当の創意検討を重ねた結果、従来の抗ヒトCTGF抗体と比較して結合活性が改善し、中和活性において優れた抗ヒトCTGF抗体を作製することに成功した。
抗体分子の基本構造は、各クラス共通で、分子量5万〜7万の重鎖と2〜3万の軽鎖から構成される。重鎖は、通常約440個のアミノ酸を含むポリペプチド鎖からなり、クラスごとに特徴的な構造をもち、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEに対応してγ、μ、α、δ、ε鎖とよばれる。さらにIgGには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が存在し、それぞれγ1、γ2、γ3、γ4とよばれている。軽鎖は、通常約220個のアミノ酸を含むポリペプチド鎖からなり、L型とK型の2種が知られており、それぞれλ、κ鎖とよばれる。抗体分子の基本構造のペプチド構成は、それぞれ相同な2本の重鎖および2本の軽鎖が、ジスルフィド結合(S−S結合)および非共有結合によって結合され、分子量15万〜19万である。2種の軽鎖は、どの重鎖とも対をなすことができる。個々の抗体分子は、常に同一の軽鎖2本と同一の重鎖2本からできている。
鎖内S−S結合は、重鎖に四つ(μ、ε鎖には五つ)、軽鎖には二つあって、アミノ酸100〜110残基ごとに一つのループを成し、この立体構造は各ループ間で類似していて、構造単位あるいはドメインとよばれる。重鎖、軽鎖ともにN末端に位置するドメインは、同種動物の同一クラス(サブクラス)からの標品であっても、そのアミノ酸配列が一定せず、可変領域とよばれており、各ドメインは、それぞれ、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)とよばれている。これよりC末端側のアミノ酸配列は、各クラスあるいはサブクラスごとにほぼ一定で定常領域とよばれている(各ドメインは、それぞれ、CH1、CH2、CH3あるいはCLと表される)。
抗体の抗原決定部位はVHおよびVLによって構成され、結合の特異性はこの部位のアミノ酸配列によっている。一方、補体や各種細胞との結合といった生物学的活性は各クラスIgの定常領域の構造の差を反映している。軽鎖と重鎖の可変領域の可変性は、どちらの鎖にも存在する3つの小さな超可変領域にほぼ限られることがわかっており、これらの領域を相補性決定領域(CDR;それぞれN末端側からCDR1、CDR2、CDR3)と呼んでいる。可変領域の残りの部分はフレームワーク領域(FR)とよばれ、比較的一定である。
本発明者らが作製に成功した本発明の抗ヒトCTGF抗体は、以下の特徴を有する抗ヒトCTGF抗体である。
配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトCTGF抗体。
具体的には、本発明者らは、ヒトモノクローナル抗体開発技術「ベロシミューン」(VelocImmune antibody technology;Regeneron社(米国特許6596541号))マウスを用いて抗体を作製し、各種生物学的活性試験及び物性試験を用いた抗体のスクリーニングによって、本発明の抗ヒトCTGF抗体を同定することに成功した。ベロシミューン技術では、内因性の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の可変領域が対応するヒト可変領域で置換されたトランスジェニックマウスを目的の抗原(例えば、ヒトCTGF)で免疫した後、抗体を発現するマウスのリンパ系細胞を取得し、マウスミエローマ細胞と細胞融合することによってハイブリドーマを作製する。次いで、このハイブリドーマ細胞を、目的の抗原に特異的に結合する抗体を産生するか否かについてスクリーニングする。ここで産生される抗体は、ヒト抗体の可変領域とマウス抗体の定常領域を有する抗体(キメラ抗体とも称する)である。次いで、目的の抗原に特異的に結合する抗体が同定された場合、そのハイブリドーマ細胞から抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、そのDNAを所望のクラスのヒト抗体重鎖及び軽鎖の定常領域をコードするDNAに連結する。このようにして得られた重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を細胞内(例えば、CHO細胞)で発現させて、抗体分子を産生する。当該方法により作製された抗体の重鎖及び軽鎖は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に由来する「完全ヒト型」抗体の重鎖及び軽鎖である。
本発明の抗ヒトCTGF抗体は、本願明細書に開示される、その重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列情報に基づいて、当該分野で公知の方法を使用して、当業者によって容易に作製され得る。好ましくは、本発明の抗ヒトCTGF抗体は、その重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をヒト抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域にそれぞれ連結して、完全ヒト型抗体として作製することができる。具体的には、本発明の抗体の重鎖可変領域アミノ酸(配列番号10)をコードする塩基配列を有する重鎖可変領域遺伝子断片、及び本発明の抗体の軽鎖可変領域アミノ酸(配列番号4)をコードする塩基配列を有する軽鎖可変領域遺伝子断片を作製する。そして、この可変領域遺伝子をヒト抗体の適当なクラスの定常領域遺伝子と連結させて完全ヒト型抗体遺伝子を作製する。次いで、この抗体遺伝子を適当な発現ベクターに連結し、培養細胞中に導入する。最後にこの培養細胞を培養して培養上清からモノクローナル抗体を得ることができる。
本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸をコードする遺伝子断片は、例えば、該重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列に基づいてデザインされた塩基配列に基づき、当該分野で公知の遺伝子合成方法を利用して合成することが可能である。このような遺伝子合成方法としては、WO90/07861に記載の抗体遺伝子の合成方法等の当業者に公知の種々の方法が使用され得る。
次いで、上記の可変領域遺伝子断片とヒト抗体の定常領域遺伝子とを連結させて完全ヒト型抗体遺伝子を作製する。使用されるヒト抗体の定常領域は、どのようなサブクラスの定常領域(例えば、重鎖としてγ1、γ2、γ3またはγ4、軽鎖としてλまたはκ鎖の定常領域)も選択可能であり得るが、好ましくは重鎖定常領域としてはヒトIgγ1が、また、軽鎖定常領域としてはヒトIgκを用いることができる。
この完全ヒト型抗体遺伝子の作製につづく、抗体遺伝子の発現ベクターへの導入、発現ベクターの培養細胞への導入、培養細胞の培養、抗体の精製等については、当該分野で公知の種々の方法を使用して行うことができる。
上記のようにして得られた抗体遺伝子と連結される発現ベクターとしては、例えば、GSベクターpEE6.4やpEE12.4(Lonza Biologics社)が挙げられるが、抗体遺伝子を発現することができるものであれば特に制限されない。また、AG−γ1やAG−κ(例えば、WO94/20632を参照)等の予めヒトIg定常領域遺伝子を有するものを利用することもできる。
上記の発現ベクターは、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等により、培養細胞中に導入される。
発現ベクターを導入する培養細胞としては、例えば、CHO−K1SV細胞、CHO−DG44細胞、293細胞等の培養細胞が使用でき、これを常法により培養すればよい。
上記培養後、培養上清中に蓄積された抗体は、各種カラムクロマトグラフィー、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムを用いた各種クロマトグラフィーにより精製することができる。
本発明の抗ヒトCTGF抗体は、ヒトCTGFに結合する抗体である。得られた抗ヒトCTGF抗体のヒトCTGFに対する結合活性を測定する方法としては、ELISAや表面プラズモン共鳴(SPR)解析等の方法がある。例えば、ELISAを用いる場合、ヒトCTGF(配列番号14)をELISAプレートに固定化し、これに対して抗ヒトCTGF抗体を添加して反応させた後、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素で標識した抗IgG抗体等の二次抗体を反応させ、洗浄した後、発色基質(例えば、HRP標識の場合、TMB発色試薬)を加えて吸光度を測定する。また、SPR解析を用いて、ヒトCTGFに対する結合活性をより詳細に測定することができる。SPR解析を行う場合、例えば、Biacoreシステムを用いることによって、抗ヒトCTGF抗体とヒトCTGFとの結合速度定数(ka)と解離速度定数(kd)を測定し、2つの定数の比から解離定数(KD)を算出することができる。本発明の抗ヒトCTGF抗体には、他の動物由来のCTGF(例えば、マウスCTGF)にも結合する抗体も含まれ、これらのタンパク質に対する結合活性を測定してもよい。
また、本発明の抗ヒトCTGF抗体は、ヒトCTGFに対する中和活性を有している。本明細書中で使用される場合、抗体の「中和活性」とは、CTGFへの結合によりCTGFを介してもたらされる任意の生物活性を阻害する活性を意味し、CTGFの1つ又は複数の生物活性を指標に評価することができる。このような中和活性としては、例えば、腎由来線維芽細胞におけるコラーゲン合成阻害(線維化抑制)作用が挙げられ、後記実施例に記載されるような方法を用いることによって評価することができる。
本発明の抗ヒトCTGF抗体の効果をより詳細に評価するために、抗体のin vivoでの薬効試験を用いることもできる。例えば、後記実施例に記載されるような、マウス慢性腎臓病モデルやラット腎炎モデルを用いる腎機能評価によって、抗体のin vivoでの薬効を評価することができる。
その他、本発明の抗ヒトCTGF抗体の各種安定性(例えば、熱安定性、長期保存安定性、高濃度安定性)を評価する方法としては、例えば、示差走査熱量測定や、保存中の凝集体形成の測定を利用する方法が挙げられる。
好ましくは、本発明の抗ヒトCTGF抗体は、当該分野で公知の方法を用いて、配列番号10に示される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNA、及び配列番号4に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAを合成し、これらを適当なクラスのヒト抗体定常領域遺伝子、好ましくは重鎖についてはヒトIgγ1定常領域遺伝子、軽鎖についてはヒトIgκ定常領域遺伝子と連結して完全ヒト型抗体遺伝子を構築し、当該分野で公知の種々の方法を用いて、該完全ヒト型抗体遺伝子を発現ベクターへ導入し、該発現ベクターを培養細胞に導入して該培養細胞を培養し、得られる培養物から抗体を精製することによって、容易に取得することができる。好ましくは、配列番号10に示される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号9に示される塩基配列を含む。好ましくは、配列番号4に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号3に示される塩基配列を含む。
配列番号10に示される重鎖可変領域とヒトIgγ1定常領域とを含む、本発明の好ましい抗ヒトCTGF抗体重鎖は、配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる重鎖である。配列番号4に示される軽鎖可変領域とヒトIgκ定常領域とを含む、本発明の好ましい抗ヒトCTGF抗体軽鎖は、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖である。好ましくは、配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトCTGF抗体重鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号11に示される塩基配列を含む。好ましくは、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる抗ヒトCTGF抗体軽鎖をコードする塩基配列を含むDNAは、配列番号7に示される塩基配列を含む。配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、本発明の抗ヒトCTGF抗体としては、後記実施例に記載される完全ヒト型37−45−MH1が挙げられる。
本発明は、配列番号10の31〜35番目のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号10の50〜66番目のアミノ酸配列からなるCDR2、配列番号10の99〜108番目のアミノ酸配列からなるCDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号4の24〜35番目のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号4の51〜57番目のアミノ酸配列からなるCDR2、配列番号4の90〜98番目のアミノ酸配列からなるCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、抗ヒトCTGF抗体をも包含する。このような抗ヒトCTGF抗体もまた、前述のような手順に従って当業者に容易に作製され得る。
本発明は、本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域とを含み、活性を保持した、一本鎖可変領域フラグメント(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2等の抗ヒトCTGF抗体フラグメントをも包含する。また当業者であれば、本発明に基づいて、当該抗ヒトCTGF抗体または抗体フラグメントと他のペプチドやタンパク質との融合抗体を作製することや、修飾剤を結合させた修飾抗体を作製することも可能である。融合に用いられる他のペプチドやタンパク質は、抗体の結合活性を低下させないものである限り特に限定されず、例えば、ヒト血清アルブミン、各種tagペプチド、人工ヘリックスモチーフペプチド、マルトース結合タンパク質、グルタチオンSトランスフェラーゼ、各種毒素、その他多量体化を促進しうるペプチドまたはタンパク質等が挙げられる。修飾に用いられる修飾剤は、抗体の結合活性を低下させないものである限り特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、糖鎖、リン脂質、リポソーム、低分子化合物等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の抗ヒトCTGF抗体は、必要によりさらに精製された後、常法に従って製剤化され、慢性腎臓病、糖尿病性腎症等の腎疾患、血管増殖性疾患、心筋症、肝臓の線維増殖疾患、肺線維症、皮膚線維化疾患、糖尿病性網膜症、癌等のCTGFが病態形成に関連する疾患の予防、治療に用いることができる。
本発明の抗ヒトCTGF抗体は、好ましくは、腎疾患治療剤、より好ましくは、慢性腎臓病又は糖尿病性腎症の治療剤として用いることができる。これら治療剤等の剤型の例としては、注射剤、点滴用剤等の非経口剤とすることができ、静脈内投与、皮下投与等により投与することが好ましい。また、製剤化にあたっては、薬学的に許容される範囲で、これら剤型に応じた担体や添加剤を使用することができる。
上記製剤化に当たっての本発明の抗ヒトCTGF抗体の添加量は、患者の症状の程度や年齢、使用する製剤の剤型、あるいは抗体の結合力価等により異なるが、例えば、0.001mg/kgないし100mg/kg程度を用いればよい。
本発明はまた、本発明の抗ヒトCTGF抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチド及びそれを含む発現ベクターを提供する。本発明はまた、本発明の抗ヒトCTGF抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチド、及び本発明の抗CTGF抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチド、並びにそれらのいずれか又は両方を含む発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主細胞中で本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする遺伝子を発現し、これらポリペプチドを産生できるものであれば特に制限されない。例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)等を挙げることができる。好ましくは、本発明の発現ベクターは、前述の本発明の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含むか、あるいは本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドの両方を含む。
本発明の発現ベクターは、本発明の抗ヒトCTGF抗体あるいはその重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする遺伝子に機能可能に連結されたプロモーターを含み得る。細菌中で本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーターとしては、宿主がエシェリキア属菌の場合、例えば、Trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、tacプロモーターなどが挙げられる。酵母中での発現用プロモーターとしては、例えば、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターが挙げられ、バチルス属菌での発現用プロモーターとしては、SL01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーターなどが挙げられる。また、宿主が哺乳動物細胞等の真核細胞である場合、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒートショックプロモーターなどが挙げられる。
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を用いる場合、本発明の発現ベクターは、開始コドン、終止コドン、ターミネーター領域および複製可能単位をさらに含み得る。一方、宿主として酵母、動物細胞または昆虫細胞を用いる場合、本発明の発現ベクターは、開始コドン、終止コドンを含み得る。また、この場合、エンハンサー配列、本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードする遺伝子の5’側および3’側の非翻訳領域、分泌シグナル配列、スプライシング接合部、ポリアデニレーション部位、または複製可能単位などを含んでいてもよい。また、目的に応じて通常用いられる選択マーカー(例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子)を含んでいてもよい。
本発明はまた、本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする遺伝子が導入された形質転換体を提供する。このような形質転換体は、例えば、本発明の発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより作製できる。形質転換体の作製に用いられる宿主細胞としては、前記の発現ベクターに適合し、形質転換されうるものであれば特に限定されず、本発明の技術分野において通常使用される天然細胞あるいは人工的に樹立された細胞など種々の細胞(例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属など)、動物細胞または昆虫細胞(例えば、Sf9)など)が例示される。形質転換は自体公知の方法により行われ得る。
好ましくは、本発明の形質転換体は、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞であるか、又は、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞である。より好ましくは、本発明の形質転換体は、前述の本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞であるか、又は、前述の本発明の抗体の重鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと本発明の抗体の軽鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞である。
本発明はまた、本発明の抗体あるいはその重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする遺伝子を宿主細胞に発現させること、即ち、このような形質転換体を用いることを含む、本発明の抗ヒトCTGF抗体の生産方法を提供する。好ましくは、該方法で使用される宿主細胞は、前述の本発明の発現ベクターで形質転換された宿主細胞であり、該発現ベクターは、本発明の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと本発明の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを、別々にか又は同時に含んでもよい。
本発明の抗ヒトCTGF抗体の生産において、形質転換体は、栄養培地中で培養され得る。栄養培地は、形質転換体の生育に必要な炭素源、無機窒素源もしくは有機窒素源を含んでいることが好ましい。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストラン、可溶性デンプン、ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。また所望により他の栄養素(例えば、無機塩(例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム)、ビタミン類、抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)など)を含んでいてもよい。
形質転換体の培養は自体公知の方法により行われる。培養条件、例えば、温度、培地のpHおよび培養時間は、適宜選択される。例えば、宿主が動物細胞の場合、培地としては、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地(Science,Vol.122,p.501,1952)、DMEM培地(Virology,Vol.8,p.396,1959)、RPMI1640培地(J.Am.Med.Assoc.,Vol.199,p.519,1967)、199培地(proc.Soc.Exp.Biol.Med.,Vol.73,p.1,1950)等を用いることができる。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。宿主が昆虫細胞の場合、例えば、胎児牛血清を含むGrace’s培地(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.82,p.8404,1985)等が挙げられ、そのpHは約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。宿主が細菌、放線菌、酵母、糸状菌である場合、例えば、上記栄養源を含有する液体培地が適当である。好ましくは、pHが5〜8である培地である。宿主がE.coliの場合、好ましい培地としてLB培地、M9培地(Millerら、Exp.Mol.Genet,Cold Spring Harbor Laboratory,p.431,1972)等が例示される。かかる場合、培養は、必要により通気、撹拌しながら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことができる。宿主がBacillus属菌の場合、必要により通気、撹拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96時間行うことができる。宿主が酵母である場合、培地として、例えば、Burkholder最小培地(Bostian,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.77,p.4505,1980)が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
本発明の抗ヒトCTGF抗体は、上述のような形質転換体を培養し、該形質転換体から回収、好ましくは単離、精製することができる。単離、精製方法としては、例えば、塩析、溶媒沈澱法等の溶解度を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動など分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーやヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーなどの荷電を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動などの等電点の差を利用する方法などが挙げられる。
本発明について全般的に記載したが、さらに理解を得るために参照する特定の実施例をここに提供するが、これらは例示目的とするものであって、本発明を限定するものではない。
市販のキット又は試薬等を用いた部分については、特に断りのない限り添付のプロトコールに従って実験を行った。
(実施例1:各種由来CTGFタンパク質の取得)
本発明者らは、抗CTGF抗体を作製するための抗原としてヒトCTGFタンパク質を取得した。ヒトCTGFの全長遺伝子(配列番号13)を発現ベクター(pcDNA3.1;Invitrogen社)に組み込み、作製したベクターを、遺伝子導入試薬であるFreeStyle MAX Reagent(Invitrogen社)を用いてFreeStyle 293細胞(Invitrogen社)へ遺伝子導入した。この細胞をFreeStyle 293 Expression Medium(Invitrogen社)を用いた無血清培養系で培養後、ヒトCTGFタンパク質を含む培養上清を取得した。取得した培養上清からHiTrapヘパリンカラム及びCMカラム(GEヘルスケアジャパン社)を用いてタンパク質を精製し、以下の実験に使用した。マウス、ラット及びサルCTGFタンパク質に関しても同様の方法を用いて取得した。
(実施例2:ベロシミューンマウスへの免疫)
ヒトCTGFに対する抗体を、ベロシミューンマウスに免疫することによって取得した。本発明者らは、得られる抗体の多様性を高めるために、複数の免疫方法、投与経路、アジュバント、免疫期間等を検討した。免疫原としては、精製したヒトCTGFを使用し、アジュバントと混和した後に免疫を行った。投与経路としては、足蹠投与と腹腔内投与を検討した。アジュバントとしては、TiterMax Gold(CytRx Corporation)、完全フロイントアジュバント(Sigma社)、及び不完全フロイントアジュバント(Sigma社)を検討した。さらに添加する免疫賦活剤としては、CpGオリゴヌクレオチドとAluminum Phosphate Gel(BRENNTAG社)を検討した。免疫期間としては,3週間〜14週間まで検討した。数回免疫した後、マウス尾静脈より採血を行い、力価をモニターすることで、ヒトCTGFに結合する抗体を産生するベロシミューンマウスの選択を行った。
力価測定は以下の標準的なELISA方法を用いて測定した。Maxisorp384プレート(Nunc社)にヒトCTGFのリン酸バッファー生理食塩水(PBS)溶液(1μg/mL)を20μL添加し、4℃にて一晩インキュベートして固相化した。翌日、プレートを洗浄液(TBST:0.05% Tween−20含有トリスバッファー)100μLで1回洗浄後、ブロッキング剤(1% BSA含有PBS)100μLを添加し室温にて1時間静置した。TBST洗浄液100μLで1回洗浄後、採血した血漿の希釈系列を作製して添加した。室温にて1時間インキュベート後、TBST洗浄液100μLにて3回洗浄し、0.1% BSA含有TBST洗浄液で5000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体(HRP−goat anti−mouse IgG antibody;Zymed社)を20μL添加した。室温にて1時間インキュベートした後、TBST洗浄液100μLで3回洗浄した。TMB発色試薬(住友ベークライト社)を40μL加えて室温で10分静置した後、停止液(2mol/L 硫酸)40μLを加えて反応を停止させ、450nmの吸光度を測定した。
(実施例3:抗ヒトCTGF抗体産生ハイブリドーマの作製)
抗体価の上昇を確認して選択したマウスに最終免疫(抗原の静脈内投与または腹腔内投与)を行った。定法に従い、免疫したマウスの脾臓やリンパ節等を摘出しリンパ球を収集し、これをマウスミエローマ細胞SP2/0と細胞融合することでハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマを限界希釈し、単一クローンにしたうえで、上清からプロテインA又はプロテインGカラム(GEヘルスケアジャパン社)を用いて抗体を精製した。
(実施例4:ELISAアッセイ)
本発明者らは、ELISA方法を用いて、抗体のCTGFへの結合特異性を評価した。Maxisorp384プレート(Nunc社)にヒトCTGFのPBS溶液(1μg/mL)を20μL添加し、4℃にて一晩インキュベートして固相化した。翌日、プレートを洗浄液(TPBS:0.05% Tween−20含有PBS)100μLで1回洗浄後、ブロッキング剤(1% BSA含有PBS)100μLを添加し室温にて1時間静置した。TBST洗浄液100μLで1回洗浄後、精製抗体サンプルを、適宜希釈系列を作製して添加した。室温にて1時間インキュベートした後、TBST洗浄液100μLにて3回洗浄し、0.1% BSA含有TBST洗浄液で5000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体(HRP−goat anti−mouse IgG antibody;Zymed社)を20μL添加した。室温にて1時間インキュベートした後、TBST洗浄液100μLで3回洗浄した。TMB発色試薬(住友ベークライト社)を40μL加えて室温で10分静置した後、停止液(2mol/L 硫酸)40μLを加えて反応を停止させ、450nmの吸光度を測定した。各抗体についてデュプリケートで試験を行い、EC50を曲線当てはめにより分析した。
この結果、37−45と命名した抗体が、高い結合活性(EC50:1.6ng/ml)を有することが確認された。
(実施例5:抗体の配列決定)
同定された抗体37−45について、本発明者らはハイブリドーマから抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子をクローニングした。ハイブリドーマからRNAを抽出し、cDNA増幅キット(SMARTer RACE cDNA Amplification kit;Clontech社)を用いて、cDNAを作製した。次いで、PCRを用いて、重鎖及び軽鎖の可変領域を伸長及び増幅した。PCR産物をpCR3.1−TOPO(Invitrogen社)等のPCR産物サブクローニング用ベクターへ組み換えた後、シークエンサー(ABI PRISM 3100;Applied Biosystems社)を用いて、遺伝子配列を決定した。
決定された37−45の重鎖可変領域の塩基配列を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に、37−45の軽鎖可変領域の塩基配列を配列番号3に、アミノ酸配列を配列番号4それぞれ示す。
(実施例6:完全ヒト型抗体の作製)
前述の抗体は、可変領域がヒト由来であり、定常領域がマウス由来の抗体である。そこで、本発明者らは、マウス由来の定常領域をヒト由来の定常領域に置換して、完全ヒト型抗体(完全ヒト型37−45)を作製した。具体的には、抗体の重鎖可変領域遺伝子の5’側にシグナル配列を、そして3’側にヒトIgγ1の定常領域遺伝子(Man Sung Coら,(1992) J Immunol.Vol.148(4):1149−1154)をそれぞれ繋げ、この重鎖遺伝子をGSベクター(Lonza Biologics社)pEE6.4に挿入した。挿入時に、遺伝子中の制限酵素BbvCI認識サイトを、抗体のアミノ酸配列に影響を及ぼさないDNA配列に変換した。また、抗体の軽鎖可変領域遺伝子の5’側にシグナル配列を、そして3’側にヒトκ鎖の定常領域遺伝子(Man Sung Coら,前出)をそれぞれ繋げ、この軽鎖遺伝子をGSベクターpEE12.4に挿入した。
作製した完全ヒト型37−45の重鎖の塩基配列を配列番号5に、アミノ酸配列を配列番号6に、該抗体の軽鎖の塩基配列を配列番号7に、アミノ酸配列を配列番号8にそれぞれ示す。
(実施例7:可変領域の糖鎖修飾部位の変異体作製)
前述の完全ヒト型37−45の重鎖可変領域アミノ酸には、N−X−(T/S)のN型糖鎖修飾モチーフ配列が含まれている。具体的には、配列番号2で示す重鎖可変領域における、Kabat番号付けに基づく58番目のAsnが糖鎖修飾部位に該当する。糖鎖修飾部位が存在すると細胞培養の間に抗体への糖鎖の付加が起こるが、糖鎖の付加は培養条件や発現させる宿主に依存することが知られている。すなわち、樹立した同一の抗体産生細胞であっても、培養条件(培地、細胞密度など)によって糖鎖付加の程度が変わる可能性があり、均一な品質の抗体医薬品を取得することが困難となる可能性がある。そこで、本発明者らは、完全ヒト型37−45の重鎖可変領域において変異を導入した完全ヒト型抗体(完全ヒト型37−45−MH1)を作製した。
作製した完全ヒト型37−45−MH1の重鎖可変領域の塩基配列を配列番号9に、アミノ酸配列を配列番号10にそれぞれ示す。作製した完全ヒト型37−45−MH1の重鎖の塩基配列を配列番号11に、アミノ酸配列を配列番号12にそれぞれ示す。完全ヒト型37−45−MH1の軽鎖は、完全ヒト型37−45の軽鎖と同じである。
完全ヒト型37−45−MH1抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、Kabat番号付けに基づく重鎖可変領域の31〜35番目、50〜65番目、及び95〜102番目の領域であり、それぞれ、配列番号10の31〜35番目、50〜66番目、及び99〜108番目のアミノ酸配列からなる。完全ヒト型37−45−MH1抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、Kabat番号付けに基づく軽鎖可変領域の24〜34番目、50〜56番目、及び89〜97番目の領域であり、それぞれ、配列番号4の24〜35番目、51〜57番目、及び90〜98番目のアミノ酸配列からなる。
(実施例8:完全ヒト型抗体の発現及び精製)
前述の各抗体(完全ヒト型37−45及び完全ヒト型37−45−MH1)の重鎖と軽鎖の遺伝子がそれぞれ挿入された前述のGSベクターをNotIとPvuIで制限酵素切断し、Ligation−Convenience Kit(NIPPONGENE社)またはLigation−high(TOYOBO社)を用いてライゲーションを行い、重鎖と軽鎖の両遺伝子が挿入されたGSベクターを構築した。このベクターは、完全長の重鎖および軽鎖とグルタミン合成酵素(Glutamine synthetase)をコードしており、CHO−K1SV細胞にトランスフェクションすることにより抗体を発現させた。培養上清をプロテインA又はプロテインGカラム(GEヘルスケアジャパン社)で精製し、各完全ヒト型抗体の精製抗体を得た。
(実施例9:完全ヒト型抗体のELISAアッセイ)
本発明者らは、ELISA方法を用いて、前記実施例で作製した完全ヒト型37−45と完全ヒト型37−45−MH1のヒト、マウス、ラット、およびサルCTGFへの結合特異性を評価した。ここでは、実施例4に記載の方法と同様の方法を用いたが、二次抗体として0.1% BSA含有TBST洗浄液で5000倍に希釈したホースラディッシュぺルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgG抗体(HRP−rabbit anti−human IgG antibody;DAKO社)を用いた。各抗体についてデュプリケートで試験を行い、EC50を曲線当てはめにより分析した。
その結果、いずれの完全ヒト型抗体も、ヒト、マウス、ラット、およびサルCTGFに対して同程度の結合能を有することが分かった。
表1:完全ヒト型抗体の各種CTGFに対する結合活性
Figure 2013094723
(実施例10:SPR解析による結合活性評価)
本発明者らは、完全ヒト型37−45−MH1の抗原特異的結合活性をさらに詳細に測定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)解析を行った。本実施例では、比較抗体として、抗ヒトCTGF抗体CLN1(特許文献2)を用いた。
SPR解析においては、Biacore2000(GEヘルスケアジャパン社)を用いて解析を行った。Sensor Chip CM5の表面にHuman Antibody Capture KitとAmine Coupling Kit(GEヘルスケアジャパン社)を用いて、抗CTGF抗体を固相化した。実施例1で取得したヒトCTGFをHBS−EP溶液(GEヘルスケアジャパン社)で段階希釈し、流速50μl/分にて100μlを流路に添加した。この測定系により、ヒトCTGFタンパク質と抗CTGF抗体との結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)、及び解離定数(KD)を、データ解析ソフトウェア(BIA Evaluation)を用いて計算した。
表2:SPR解析による完全ヒト型37−45−MH1のヒトCTGFに対する結合活性
Figure 2013094723
この結果、完全ヒト型37−45−MH1は、抗体CLN1の活性と比較して、約12倍高いヒトCTGFに対する結合活性を有することが確認された。
(実施例11:ラット腎由来細胞におけるコラーゲン合成の阻害作用)
本発明者らは、完全ヒト型37−45−MH1の抗原特異的中和活性を測定するために、ラット線維芽細胞NRK−49FにおけるTGFβ誘導性のコラーゲン合成に対する阻害効果を検討した。本実施例では、比較抗体としてCLN1を使用した。
NRK−49F細胞(ATCCより入手)は、TGFβ添加によりCTGFを産生する。NRK−49F細胞を、10%FCSを含有するDMEM培地で24ウェルプレートに(5x104細胞)蒔き、24時間後、0.01%FCSを含有するDMEM(500μL)に置換した。さらに、24時間後、培地にTGFβ(R&D Systems社;1ng/ml)を加えた。TGFβ添加1時間前に、抗ヒトCTGF抗体(完全ヒト型37−45−MH1又はCLN1)(1μg/ml、3μg/ml、10μg/mlの3群)を添加した。72時間後に、上清を回収し、SDS−PAGEを行い、Anti−Collagen I antibody(Abcam社)を用いて、常法に従いウエスタンブロット解析を行った。その結果、完全ヒト型37−45−MH1が、濃度依存的に、CLN1と比較して強いコラーゲン合成抑制能を有することが確認された。
(実施例12:マウス残存腎臓モデルによる腎機能評価試験)
糸球体硬化や尿細管変性は、慢性腎臓病を引き起こす様々な腎障害に共通に現れる所見である。この慢性腎臓病は、進行性腎障害を呈するマウス残存腎臓モデルで検討することができる。このモデルでは2/3片側腎摘出と反対側腎全摘出(5/6腎摘)により残存腎に負荷が掛かり、顕著なタンパク尿や腎機能低下が誘導され、病理組織学的には糸球体硬化や尿細管変性を示し軽度な間質線維化を示す(例えば、Kidney International、64、350−355、2003年、参照)。
5/6腎摘出はZhangらの方法(Kidney International、56、549−558、1999年)を参考に行なった。9週齢の雄性マウスICR(日本エスエルシー、静岡県浜松市)にペントバルビタール(50mg/kg)を腹腔内投与して麻酔し、左腎の頭側1/3と尾側1/3を切除した。最初の手術から1週間後、ペントバルビタール(50mg/kg)を腹腔内投与して麻酔し、右側の腎臓を完全に摘出し5/6腎摘を完成させた。
5/6腎摘出から1週間後に採尿と採血を行ない、尿中タンパク排泄率と腎機能パラメーター(血中クレアチニン濃度およびクレアチニンクリアランス)を測定した。タンパク濃度測定はBradford法で行なった(Bio−Rad Laboratories)。クレアチニン濃度はCRE−ENカイノス(カイノス社)を用いて測定した。尿中タンパク排泄率は、尿中タンパク濃度(mg/ml)を尿中クレアチニン濃度(mg/dL)で補正して算出した。これら尿中タンパク排泄率、血中クレアチニン濃度、及びクレアチニンクリアランスを指標にし、溶媒処置群(pH7.4リン酸緩衝液を投与)または抗体投与群に群分けした(1群15例)。抗体投与の用量は0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kgの3群を設定して試験を開始した。リン酸緩衝液又は完全ヒト型37−45−MH1は週1回で背部に皮下注射した(合計で6回投与)。試験開始時、試験開始から4週目及び6週目に、尿試料及び血液試料を採取し、尿中タンパク排泄率、血中クレアチニン濃度、及びクレアチニンクリアランスを測定した。
尿中タンパク排泄率について、試験開始の時点で、溶媒処置群では、正常群と比較して尿中タンパク排泄率は増加した(正常群5.1±0.4;溶媒処置群9.7±0.7(P<0.01))。試験開始から4週目、6週目においても、溶媒処置群では正常群と比較して尿中タンパク排泄率は増加した。これに対し、抗体投与群(1mg/kg群及び2mg/kg群)では、統計学的有意差はなかったが、溶媒処置群と比較して、投与量依存的に尿中タンパク排泄率が減少した。
血中クレアチニン濃度について、試験開始の時点で、溶媒処置群では、正常群と比較して血中クレアチニン濃度が上昇した(正常群0.36±0.013mg/dL;溶媒処置群0.53±0.016mg/dL(P<0.01))。その後、4週目、6週目においても、溶媒処置群では、正常群と比較して、血中クレアチニン濃度が上昇した(4週間目:正常群0.42±0.025mg/dL;溶媒処置群0.66±0.037mg/dL(P<0.01)、6週間目:正常群0.31±0.016mg/dL;溶媒処置群0.81±0.126mg/dL(P<0.05))。抗体処置群については、0.5mg/kg群では、有意差はないが、溶媒処置群と比較して、4週間目及び6週間目で血中クレアチニン濃度が低下した。また、1mg/kg群及び2mg/kg群では、溶媒処置群と比較して、血中クレアチニン濃度の上昇が有意に抑制された(4週間目:1mg/kg群0.51±0.022mg/dL(P<0.05);2mg/kg群0.51±0.015mg/dL(P<0.05)、6週間目:1mg/kg群0.55±0.043mg/dL(P<0.05);2mg/kg群0.49±0.024mg/dL(P<0.01))。
クレアチニンクリアランス(尿中クレアチニン濃度×24時間の尿量/血中クレアチニン濃度)について、試験開始の時点で、溶媒処置群では、正常群と比較してクレアチニンクリアランスの減少が認められた(正常群1.8±0.18;溶媒処置群1.3±0.08(P<0.01))。その後、4週間目、6週間目においても、溶媒処置群では、正常群に比較してクレアチニンクリアランスが低下した(4週間目:正常群2.1±0.16;溶媒処置群1.6±0.16、6週間目:正常群2.8±0.29;溶媒処置群1.4±0.17(P<0.001))。抗体処置群については、0.5mg/kg群では、溶媒処置群と比較して、クレアチニンクリアランスの低下抑制は認められなかった。これに対して、1mg/kg群では、4週間目及び6週間目で溶媒処置群と比較してクレアチニンクリアランスの低下が有意に抑制された(4週間目:溶媒処置群1.6±0.16;1mg/kg群2.1±0.11(P<0.05)、6週間目:溶媒処置群1.4±0.17;1mg/kg群2.0±0.18(P<0.05))。また、2mg/kg群では、6週間目で溶媒処置群と比較してクレアチニンクリアランスの低下が有意に抑制された(6週間目:溶媒処置群1.4±0.17;2mg/kg群1.9±0.14(P<0.05))。
これらの結果から、完全ヒト型37−45−MH1は、慢性腎臓病モデルにおいて腎機能低下を抑制することが確認された。
(実施例13:ラット腎炎モデルによる薬理評価試験)
ラット抗Thy1.1モデルは、腎糸球体のメサンギウム細胞の表面にあるThy抗原に対する抗体を注入することにより発症させる、確立されたメサンギウム増殖性糸球体腎炎モデルである(例えば、Yamamoto及びWilson、1987 Kidney Int.32:514−25、Moritaら,1998 Am J Kidney Dis 31:559−73参照)。本モデルでは、メサンギウム細胞の融解の後、メサンギウム細胞の増殖と細胞外マトリックスが増加し、尿タンパク質が上昇する(例えば、Floegeら,1991 Kidney Int.40:477−88、Itoら,2001 J Am Soc Nephrol.12:472−84参照)。抗Thy1.1モデルはヒトにおけるIgA腎症やヘノッホ−シェーンライン紫斑病と類似しており、本モデルを用いてタンパク尿を指標として病態の進展を予測することができる(例えば、Kasugaら,2001 Kidney Int.60:1745−55、Liuら,2007 Nephron Exp Nephrol.105:e65−74参照)。
抗Thy1.1抗体(Anti−Rat CD90(Thy 1.1)monoclonal antibody−ascites;CEDARLANE社)を生理的食塩水で0.1g/mLに調製し、ラットに静脈内投与(体重100gあたり200オL)することにより腎炎を発症させた。抗Thy1.1抗体投与4時間後に完全ヒト型37−45−MH1(0.5mg/kg、1mg/kg又は2mg/kg)又は溶媒(PBS)を静脈内投与した。病態誘発より3から4日後に24時間の採尿を行ない尿中タンパク質の24時間での排泄量(UP)および尿中タンパク排泄率(UP/uCr:尿中タンパク濃度(mg/ml)を尿中クレアチニン濃度(mg/dL)で補正)を測定した。その結果を表3(UP)及び表4(UP/uCr)に示す。
Figure 2013094723
Figure 2013094723
その結果、完全ヒト型37−45−MH1は用量依存的にタンパク尿を抑制し、2mg/kg群での溶媒投与群に対する阻害率は、UPを指標にした場合は27.2%、UP/uCrでは46.0%であった。
次に、CLN1との作用強度の違いを確認する目的で、同モデル評価を行なった。評価手順は上記と同じである。評価は上記で有効であった用量を参考に、完全ヒト型37−45−MH1の2mg/kgを陽性対照として、CLN1の2mg/kgと10倍用量の20mg/kgを使用した。また、異種抗体処置による非特異的な免疫反応の関与を調べる目的で、ヒト型IgG1抗体(抗KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)抗体:KLHをベロシミューンマウスに免疫し、抗体を取得。その後、完全ヒト型37−45−MH1と同様に完全ヒト型IgG1として作製)の2mg/kgおよび20mg/kgをコントロールとしておいた。その結果を表5(UP)及び表6(UP/uCr)に示す。
Figure 2013094723
Figure 2013094723
その結果、病態は前回とほぼ同様の発症度であった。そして完全ヒト型37−45−MH1の2mg/kgは前回評価とほぼ同じ抑制率を示し、溶媒投与群を対照にした場合の阻害率は、UPを指標にした場合2mg/kgで29.1%、UP/uCrでは39.2%であった。
一方でCLN1は完全ヒト型37−45−MH1と比べてタンパク尿抑制作用は弱いものであった(2mg/kgで、UP及びUP/uCrを指標にした場合の溶媒投与群に対する阻害率は、それぞれ12.6%及び21.5%;20mg/kgで、UP及びUP/uCrを指標にした場合の溶媒投与群に対する阻害率は、それぞれ3.5%及び9.5%)。また、ヒト型IgG1抗体はタンパク尿に対してほとんど影響しなかった。
このことから、完全ヒト型37−45−MH1は、CLN1と比較して、強いタンパク尿抑制作用を有することが確認された。
本発明の抗ヒトCTGF抗体は、慢性腎臓病や糖尿病性腎症などの腎臓疾患をはじめ、ヒトCTGFが病態形成に関与する各種疾患の予防または治療に有用である。

Claims (11)

  1. 配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗ヒトCTGF抗体。
  2. 前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域である、請求項1に記載の抗ヒトCTGF抗体。
  3. 前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、請求項1に記載の抗ヒトCTGF抗体。
  4. 前記抗体の重鎖定常領域がヒトIgγ1定常領域であり、前記抗体の軽鎖定常領域がヒトIgκ定常領域である、請求項1に記載の抗ヒトCTGF抗体。
  5. 配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、請求項1に記載の抗ヒトCTGF抗体。
  6. 請求項1に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
  7. 請求項1に記載の抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
  8. 請求項6及び/又は7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  9. 請求項8に記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  10. 以下の(a)及び(b)からなる群より選択される、請求項9に記載の宿主細胞。
    (a)請求項1に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドとを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞;及び
    (b)請求項1に記載の抗体の重鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターと該抗体の軽鎖可変領域をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクターとで形質転換された宿主細胞。
  11. 請求項9又は10に記載の宿主細胞を培養し、抗ヒトCTGF抗体を発現させる工程を包含する、請求項1に記載の抗ヒトCTGF抗体を生産する方法。
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