JPWO1999067842A1 - 電池及びその製造方法 - Google Patents
電池及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
従来の電池では、安全装置として、電池外部または電池の電極外部にPTC機能を有する素子を設けていたので、電池温度が上昇したとき大きな短絡電流を発生するため、更に温度が上昇し、短絡電流が増大するといった点及び素子を電池に組み込むための電池の構造が複雑になり、体積エネルギー密度が低下する点で問題がある。この発明の電池は、上述の問題を解決するためになされたものであり、正極(1)または負極(2)の少なくとも一方が、活物質(8)と活物質(8)に接触する電子導電性材料(9)とを有する活物質層(6)を備え、上記正極(1)と負極(2)との間に電解質層(3)を狭持して電池体を構成し、上記電池体を外装体(20)で封止した電池であって、上記導電性材料(9)は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温度が上昇するとともに、その抵抗が増加するように構成するとともに、上記電池体を余剰空間ができないように上記外装体(20)で封止したものである。
Description
技術分野
この発明は、電池及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、短絡等に
よる温度上昇を抑制することにより安全性を確保し、かつ体積エネルギー密度等
の電池特性を向上し、さらに構造を単純化した電池及びその製造方法に関するも
のである。 背景技術 近年、電子機器の発達にともない電源として使用されている電池の高容量化お
よび高出力密度化が進みつつある。これらの要求を満たす電池として、リチウム
イオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池はエネルギー密
度が高いという利点の反面、非水電解液を使用することなどから安全性に対する
十分な対応策が必要とされる。 従来、安全に対する対応策として、安全弁により内部圧力の上昇を逃がす、あ
るいは外部短絡による発熱に応じて抵抗が上昇して電流を遮断するPTC素子を
電池に組み込むなどが提案されていた。 たとえば、特開平4−328278号公報に開示されているように、円筒型電
池の正極キャップ部分に安全弁とPTC素子を装着する方法が知られている。し
かし、安全弁が動作すると、大気中の水分が電池内部に侵入し、リチウムが負極
に存在すると発熱反応が起こる恐れがある。 一方、PTC素子は外部短絡回路を遮断し、動作による弊害もない。このPT
C素子は例えば、外部短絡によって電池が90℃以上の温度になると動作するよ
うに設計することによって、電池異常時にまず最初に動作する安全部品とするこ
とができる。 第10図は上述のような構成を有している従来のPTC素子を取り付けたリチ
ウム二次電池の例である。図において、13はリード、14はPTC素子、15
は電極、16は安全弁、17は外装缶である。図のような構成を有しているため
、以下に示すような問題を有している。 図のような従来のリチウム二次電池において、PTC素子14は外装缶17の
上部に固定された蓋の部分(安全弁16を備えた部分)に配置されているが、リ
ード13よりも電極15側の電池内部で短絡を起こし、短絡電流により電池の温
度が上昇したとき、この短絡電流の増加を抑制できないことである。 リチウム二次電池内部における短絡が発生し温度が上昇した時に、正極と負極
の間に配置した、ポリエチレンやポリプロピレン製のセパレータが軟化または溶
融することにより、セパレータの孔部が閉塞され、これによってセパレータに含
有された非水電解液を押し出したり、封じ込めたりしてセパレータ部分のイオン
電導性が低下し、短絡電流が減衰する機能がセパレータに期待されている。 しかし、発熱部分から離れたところのセパレータは必ずしも溶融するとは限ら
ない。また、さらに温度が上昇した場合にはセパレータが溶融、流動することに
より、正極と負極とを電気的に絶縁する機能が失われ、短絡につながることも考
えられる。 また、特にリチウムイオン二次電池の場合、負極は集電体となる銅箔などの基
村上に黒鉛などの負極活物質と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などのバイ
ンダーと、溶剤とを含むスラリーを塗布し、乾燥して薄膜状に形成している。正
極も同様に集電体となるアルミ箔などの基村上にLiCoO2などの正極活物質
とバインダーと導電助剤とを含む薄膜状の正極活物質層を形成して構成される。 導電助剤とは正極活物質の電子伝導性が悪いとき、正極の電子伝導性をより高
くするためのものである。導電助剤には、例えばカーボンブラック(例えばアセ
チレンブラック)、黒鉛(例えば人造黒鉛KS−6:ロンザ社製)などが用いら
れる。 このような電池は、前述のように、内部短絡などで電池温度がセパレータが溶
融、流動するような温度以上に上昇したとき、セパレータが流動した部分では正
極と負極との間に大きな短絡電流を発生するため、発熱により電池の温度が更に
上昇し、短絡電流が更に増大するといった問題がある。 更に電池外部にPTC素子を持つとその空間が素子に占有されてしまうため、
体積エネルギー密度が減少し、電池構造の複雑化といった問題がある。 この発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、発熱により電池
の温度が上昇しても、短絡電流が増大することを抑制できる電池構成とすること
によって、安全性を確保し、かつ体積エネルギー密度の減少を抑制し、さらに電
池構造の複雑化といった問題を解決することを目的とするものである。 発明の開示 この発明に係る第1の電池は、正極または負極の少なくとも一方が、活物質と
この活物質に接触する電子導電性材料とを有する活物質層を備え、上記正極と上
記負極との間に電解質層を狭持して電池体を構成し、上記電池体を外装体で封止
した電池であって、上記電子導電性材料は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温
度が上昇するとともに、その抵抗が増加するように構成するとともに、上記電池
体を余剰空間ができないように上記外装体で封止したことを特徴とするものであ
る。これによれば、上記電子導電性材料は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温
度が上昇するとともに、その抵抗が増加するように構成したので、温度が上昇し
たとき、電極に流れる電流の増大を抑制することができる。また、電極内部に、
温度が上昇するとともにその抵抗が増加する機能を有するものであるので、電極
外部にその機能を有するものに比べて、余剰空間ができないように外装体で封止
できるため、体積エネルギー密度を大きくできると共に、電池の構造を単純にで
きる。 この発明に係る第2の電池は、上記第1の電池において、樹脂が結晶性樹脂を
含むことを特徴とするものである。これによれば、樹脂が結晶性樹脂を含むこと
によって、温度上昇に対する抵抗の増加率(抵抗変化率)を大きくすることがで
き、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を迅速に抑制する電池とする
ことができる。 この発明に係る第3の電池は、上記第1の電池において、樹脂の融点が90℃
〜160℃の範囲内であることを特徴とするものである。これによれば、90℃
〜160℃の範囲内で融点を有する樹脂を用いることによって、電子導電性材料
は90℃〜160℃の範囲内の所定の温度付近での抵抗変化率が大きくなり、電
池特性と安全性確保とを両立させることができる。 この発明に係る第4の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料を活
物質100重量部に対して0.5〜15重量部含有したものである。これによれ
ば、電子導電性材料を活物質100重量部に対して0.5〜15重量部含有した
ものを用いることによって、温度に対する電極の抵抗の変化率が増大する現象が
生じる前の電極の抵抗と、放電容量を望ましいものとすることができる。 この発明に係る第5の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料の導
電性充填材の含有割合が40重量部〜70重量部であることを特徴とするもので
ある。これによれば、電子導電性材料の導電性充填材の割合を40重量部〜70
重量部とすることによって、温度上昇時の電極の抵抗の変化率を大きくし正常時
の抵抗を小さくして、かつ電池の放電容量を大きくすることができる。 この発明に係る第6の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料の粒
径が0.05μm〜100μmであることを特徴とするものである。これによれ
ば、電子導電性材料の粒径を0.05μm〜100μmとすることによって、温
度に対する電極の抵抗の変化率が増大する現象が生じる前の電極の抵抗と、放電
容量を望ましいものとすることができる。 この発明に係る第7の電池は、上記第1の電池において、導電性充填材がカー
ボン材料または導電性非酸化物であることを特徴とするものである。これによれ
ば、導電性充填材がカーボンまたは導電性非酸化物であるので、電極の導電性を
高めることができる。 この発明に係る第8の電池は、上記第1の電池において、活物質層が導電助材
を含むことを特徴とするものである。これによれば、電極は導電助剤を含むので
、電子導電性材料の電子伝導性が低いものを用いても電極の抵抗を適切なものに
調節することができる。 この発明に係る第1の電池の製造方法は、 (a) 導電性充填材と樹脂とを含有する電子導電性材料を粉砕し、上記電子導
電性材料の微粒子を形成する工程、 (b) 上記電子導電性材料の微粒子と活物質とを分散媒に分散させることによ
り活物質ペーストを製造する工程、 (c) 上記活物質ペーストを乾燥させたものを所定の温度(T1)及び所定の
圧力でプレスし、電極を形成する工程、 (d) 上記電極と電解質層とを重ねあわせて貼りあわせ、電池体を構成する工
程、 (e) 上記電池体を余剰空間ができないように外装体で封止する工程を有する
ことを特徴とするものである。これによれば、(a)〜(e)の工程を有するの
で、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を抑制する電池を製造するこ
とができる。また、電極内部に温度が上昇するとともに、その抵抗が増加する機
能を有するものであるので、電池体を余剰空間ができないように外装体で封止で
き、電極外部にその機能を有するものに比べて体積エネルギー密度を大きくでき
ると共に、電池の構造を単純にできる。さらに(c)の工程を有するので、電子
導電性材料と活物質との密着性が高くなり、製造される電極の抵抗を低く抑える
ことができる。 この発明に係る第2の電池の製造方法は、第1の電池の製造方法において、樹
脂が結晶性樹脂を含むことを特徴とするものである。これによれば、樹脂が結晶
性樹脂を含むことによって、温度上昇に対する抵抗の増加率(抵抗変化率)を大
きくすることができ、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を迅速に抑
制できる電池を製造することができる。 この発明に係る第3の電池の製造方法は、第1の電池の製造方法において、所
定の温度(T1)を樹脂の融点または融点付近の温度としたことを特徴とするも
のである。これによれば、所定の温度(T1)を樹脂の融点または融点付近の温
度としたので、電子導電性材料と活物質との密着性が更に良くなり、製造される
電極の抵抗を更に低くすることができる。 発明を実施するための最良の形態 第1図は本発明の電池を説明するための断面図であり、詳しくは電池の縦断面
図である。図において、1は正極集電体4表面に正極活物質層6を形成した正極
、2は負極集電体5表面に負極活物質層7を形成した負極、3は正極1と負極2
との間に設けられたセパレータ等の電解質層であり、セパレータは例えばリチウ
ムイオンを含有する電解液を保持する。また、固体電解質型リチウム電池では、
イオン伝導性のある固体高分子を、ゲル電解質型リチウム電池では、イオン伝導
性のあるゲル状固体高分子を使用する。 正極活物質層6は、金属膜(例えばアルミニウムなどの金属膜)からなる正極
集電体4の表面に、正極活物質8と電子導電性材料9とをバインダ10により結
合したものを成形してなる。電子導電性材料9は、導電性充填材と樹脂または結
晶性樹脂とからなり、温度上昇により温度に対する抵抗変化率が大きくなる特性
を有するものである(以後この特性をPTC(Positive Temper
ature Coefficient)と称す)。 正極活物質8は粒子であり、電子導電性材料9は正極活物質8よりも小さな形
状を有する粒子で、0.05μm〜100μmであることが好ましいが、その形
状はファイバー状、鱗片状の小片であっても良い。要は、隣り合う正極活物質8
の間に電子導電性材料9が位置することができるような大きさを有するものであ
ればその形状はどのようなものであっても良い。 樹脂は結晶性樹脂を含むことが、下記のPTC特性を向上させる(抵抗値の変
化率を大きくする)上で好ましい。 電子導電性材料9は例えば温度が90℃〜160℃範囲内で、その抵抗値の変
化率が大きくなる特性を有するものである。 電子導電性材料9は、その中に含まれる樹脂または結晶性樹脂が軟化、溶融し
、体積膨張することによりそれ自身の抵抗値が上昇するため、PTCの機能が発
現する。 導電性充填材には、例えばカーボン材料、導電性非酸化物といったものを使用
することができる。カーボン材料には、例えばアセチレンブラック、ファーネス
ブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、グラファイト、カーボンファ
イバー等が使用可能である。導電性非酸化物には、例えば金属炭化物、金属窒化
物、金属ケイ化物、金属ホウ化物といったものを使用することができ、金属炭化
物には例えば、TiC、ZrC、VC、NbC、TaC、Mo2C、WC、B4
C、Cr 3C2等があり、金属窒化物には、例えばTiN、ZrN、VN、Nb
N、TaN、Cr2N等があり、また、金属ホウ化物には、例えばTiB2、Z
rB2、NbB2、TaB2、CrB、MoB、WB等がある。 また、樹脂及び結晶性樹脂とは、例えば高密度ポリエチレン(融点:130℃
〜1400℃)、低密度ポリエチレン(融点:110℃〜112℃)、ポリウレ
タンエラストマー(融点:140℃〜160℃)、ポリ塩化ビニル(融点:約1
45℃)等の重合体であり、これらはその融点が90℃〜160℃の範囲にある
。 電子導電性材料9において、PTCの機能が発現する温度は電子導電性材料9
に含まれる樹脂または結晶性樹脂の融点に依存するため、これらの樹脂の材質を
変えることにより、PTCの機能が発現する温度を90℃〜160℃の間の温度
に調節することが可能である。 このPTC特性は、一度PTCの機能が発現した後に温度を下げたときに、も
との抵抗値にもどるような可逆性があるものでも良いし、可逆性が無いものでも
良い。 このPTCの機能が発現する温度が90℃以下であることは安全性の確保とい
う観点からは好ましいが、電池が通常使用される温度範囲において電極の抵抗値
が上昇することになるので、負荷率特性などにおいて電池の性能低下が起こる。 また、このPTCの機能が発現する温度が160℃を越す場合には、電池の内
部温度がこの温度まで上昇することになり、安全性を確保する上で好ましくない
。従って、電子導電性材料9において、PTCの機能が発現する温度は90℃か
ら160℃の範囲にあるように設計することが望ましい。 PTCの機能が発現する温度は樹脂または結晶性樹脂の融点に依存するため、
樹脂または結晶性樹脂はその融点が90℃から160℃の範囲にあるものを選択
する。 また、正常時、すなわち、PTCの機能が発現する前における電極の抵抗の大
きさは、正極活物質層6全体に対する電子導電性材料9の割合を変えることによ
り調節することができ、電子導電性材料9を活物質100重量部に対して0.5
〜15重量部含有したものとすることが好ましい。 また、電子導電性材料9中の導電性充填材の含有割合は、温度上昇時の電極の
抵抗の変化率を大きくし正常時の抵抗を小さくして、かつ電池の放電容量を大き
くする上で、40重量部〜70重量部とすることが好ましい。 正極活物質8として、例えば、リチウムと、コバルト、マンガン、ニッケルな
どの遷移金属との複合酸化物、リチウムを含むカルコゲン化合物、あるいはこれ
らの複合化合物、さらに、上記複合酸化物、カルコゲン化合物および複合酸化物
に各種添加元素を有するものなどの他、電池の種類に応じて種々のものが使用可
能である。 負極活物質層7は、金属膜(例えば銅などの金属膜)からなる負極集電体5の
表面に、カーボン粒子などの負極活物質をバインダで結合したものを成形してな
る。負極活物質層7に用いられる負極活物質として、炭素質材料など、リチウム
イオンの出入りが可能な材料の他、電池の種類に応じて種々のものが使用できる
。 正極集電体4および負極集電体5としては、電池内で安定な金属であれば使用
可能であり、正極集電体4としてアルミニウム、負極集電体5として銅が好まし
く用いられる。集電体4、5の形状は、箔、網状、エクスパンドメタル等いずれ
のものでも使用可能であるが、網状、エクスパンドメタル等のように表面積が大
きいものが、活物質層6、7との接合強度を得るためおよび接合後の電解液の含
浸を容易にするために好ましい。 セパレータ3に用いる材料は、絶縁性の多孔膜、網、不織布等で電解液を含浸
しかつ十分な強度が得られるもの、あるいはセパレータの代わりにイオン伝導性
のある高分子固体電解質、ゲル状固体電解質などのような電解質層であれば使用
でき、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる多孔質膜の使用が接着性、安全
性確保の観点から好ましい。フッ素樹脂系を用いる場合は、表面をプラズマ処理
して接着性を確保することが必要な場合がある。 有機電解質型リチウム電池の場合には、電解液には、ジメトキシエタン、ジエ
トキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート等のエステル系溶剤の単独または混
合物に、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(
CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3等の電解質を溶解したものの他、
電池の種類に応じて種々のものが使用できる。 第1図に示した正極1は、正極活物質層6に含まれる電子導電性材料9自身が
PTC特性を有するので、正極1の温度が電子導電性材料9において、PTCの
機能が発現する温度よりも大きくなると、正極活物質層6の抵抗値が増大する。 従って、このような特性を有する電極(ここでは電池の正極に適用)を電池に
適用したとき、電池の外部または内部における短絡により電流が増大し、電池も
しくは電極の温度がある程度以上に上昇した場合において正極活物質層6自体の
抵抗値が高くなるので電池内部に流れる電流が抑制される。 従って、この電極を用いて電池を構成したとき、電池の安全性は飛躍的に向上
し、厳しい条件下での短絡、逆充電あるいは過充電等の異常時においても電池の
安全性が保たれるという効果を奏する。 また、第1図では、正極活物質層6は正極活物質8と電子導電性材料9とバイ
ンダ10とを有するものを例に説明したがこれに限定されるものではなく、例え
ば、正極活物質層6に含まれる正極活物質8の電子伝導性が低いような材質を用
いている場合、正極活物質層6に更に導電助剤を加えることにより、これを補う
ことが可能となる。 また、正極1、特に正極活物質層6に導電性充填剤と樹脂または結晶性樹脂と
を含む電子導電性材料の構成を開示したが、これに限定される必要はなく、負極
2に上述の構成を適用し、これを用いて電池を構成しても同様の効果を奏する。 次に、第1図に示した正極1の製造方法、負極2の製造方法および正極1と負
極2を用いた電池の製造方法を説明する。 (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が十分低く、90℃〜160℃の間の所定の温度よ
りも大きい温度での体積固有抵抗が大きな電子導電性材料、例えば微粒状の導電
性充填材と樹脂または結晶性樹脂とを所定の割合で混練したペレットを細かく粉
砕し、電子導電性材料の微粒子を得る。 電子導電性材料を粉砕する方法として、圧縮した空気または圧縮した窒素また
はアルゴン等の不活性ガスを使用して粉砕することが望ましい。特に粒径を小さ
くする場合には上述した気体により超音速の気流を発生させ、この気流中におい
て、電子導電性材料の粉体を互いに衝突させるか、もしくはこの粉体を壁面(図
示せず)に衝突させることにより、粒径の小さい電子導電性材料の微粒子を得る
ことができる(これにより微粒子を得る方式をジェットミル方式と称す)。 また、電子導電性材料の微粒子の粒径を必要以上に小さくする必要がない場合
であれば、圧縮空気を用いるかわりに、電子導電性材料をボールミルに入れて回
転して粉砕する方法でも良い(これにより微粒子を得る方式をボールミル方式と
称す)。 次に、この電子導電性材料の微粒子、正極活物質(例えばLiCoO2)、バ
インダー(例えば、PVDF)を分散媒(例えばN−メチルピロリドン(以下、
NMPと略す))に分散させることにより調整し、正極活物質ペーストを得る。 次に、上述の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる集電体基材(例えば
所定の厚さを有する金属膜)上に塗布する。 さらに、これを乾燥させた後、所定の温度でかつ所定の面圧でプレスし、所望
する厚さを有する正極活物質層6を形成し、正極1を得る。 ここで示した正極1の製造方法では、所定の温度、所定の面圧でプレスしてい
るため、電子導電性材料9と活物質(ここでは正極活物質8)との密着性が良く
なり、正常時における電極の抵抗を低くすることができる。 つまり、電極をプレスするときの温度、圧力(ここでは面圧)を調節すること
により、製造される電極の抵抗を調節することができる。特に、所定の温度を電
子導電性材料に含まれる樹脂または結晶性樹脂の融点または融点付近の温度にす
ると、電子導電性材料9と活物質8との密着性が更に良くなり、正常時における
電極の抵抗を更に低くすることができる。 ここでは、所定の温度でかつ所定の面圧で正極活物質ペーストをプレスする例
を説明したが、所定の面圧で正極活物質ペーストをプレスした後、所定の温度(
望ましくは融点または融点付近の温度)で正極活物質ペーストを加熱することに
より、正極1を得るようにしてもよい。 次に、負極2の製造方法について説明する。 (負極の製造方法) メソフェーズカーボンマイクロビーズ(以下、MCMBと略す)等の負極活物
質およびPVDFをNMPに分散して作製した負極活物質ペーストを、負極集電
体となる所定の厚さを有する金属膜上に塗布し、負極活物質層7を形成した負極
2を得ることができる。 次に、電池の製造方法について説明する。 (電池の製造方法) 例えば多孔性のポリプロピレンシートを、上述の方法により得られた正極と負
極の間に挟み両極を貼りあわせることにより、正極と負極とを有する電池体とし
た。この電池体の正極および負極に集電端子をそれぞれ取り付け、この電池体を
余剰空間ができないように外装体により封止して電池とした。上述の方法により
得られる電池は、温度の上昇に伴い正極の抵抗が上昇するため、電池の外部また
は内部で短絡事故が発生し、電池の温度が上昇しても、短絡電流の上昇を抑制す
るため電池自身の安全性が向上する。 なお、上記製造方法では、正極1に電子導電性材料を含有させたが負極2に電
子導電性材料を含有させてもよいし、また、正極1および負極2の両方に含有さ
せてもよい。 以下に、さらに具体的な本発明の実施例を示すが、本発明がこれら実施例に限
定されるものではない。 実施例1. (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が0.2Ω・cm、135℃における体積固有抵抗
が20Ω・cmの特性を有する電子導電性材料(微粒子状のカーボンブラックを
60重量部、ポリエチレンを40重量部の割合で混練したもの)のペレットをジ
ェットミル方式により細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得た。 次に、6重量部の微粒子状電子導電性材料と、91重量部の正極活物質(Li
CoO2)と、3重量部のバインダー(PVDF)とを分散媒であるNMPに分
散させることにより調整し、正極活物質ペーストを得た。 次に、上記の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属
膜(ここではアルミ箔)上にドクターブレード法にて塗布した。さらに、80℃
で乾燥した後、室温でかつ2ton/cm2の面圧でプレスし、厚さ約100μ
mの正極活物質層6を形成し、正極1を得た。 (負極の製造方法) NCMB90重量部、PVDF10重量部をNMPに分散して作製した負極活
物質ペーストを、厚さ20μmの銅箔からなる負極集重体上に、ドクターブレー
ド法にて塗布し、負極活物質層7を形成した負極2を作製した。 (電池の製造方法) 多孔性のポリプロピレンシート(ヘキスト社製、商品名:セルガード#240
0)を、上述の方法により得られる正極と負極との間に挟み、両極を貼りあわせ
ることにより、正極と負極とを有する電池体とした。この電池体の正極および負
極に集電端子をそれぞれ取り付け、この電池体を余剰空間ができないようにアル
ミラミネートシート等よりなる外装体により封止して電池とした。 (電極及び電池の評価) 本発明の電極、電池の評価を行うため以下に示すような方法を用いて評価を行
った。 (電極の抵抗測定) 作製した電極の両面にアルミ箔を融着し、一方のアルミ箔の片面にプラス側の
電圧端子と電流端子を、もう一方のアルミ箔にマイナス側の電圧端子と電流端子
を接続した。端子にはヒーターが接しており、5℃/分の昇温速度で電極を昇温
しながら、定電流を流した素子の電圧降下を測定することにより抵抗値(ここで
は体積固有抵抗(Ω・cm))を求めた。 (容量試験) 作製した正極、負極をともに14mm×14mmの大きさに切断し、両極の間
に多孔性のポリプロピレンシート(ヘキスト社製、商品名:セルガード#240
0)を貼りあわせたものを電池体とした。この電池体の正極および負極に集電端
子をそれぞれスポット溶接にて取り付け、この電池体をアルミラミネートシート
より作製した袋に入れ、エチレンカーボネイトとジエチルカーボネートの混合溶
媒(モル比で1:1)に6フッ化リン酸リチウムを1.0mol/dm3の濃度
で溶解した電解液を入れて熱融着で封口して単電池とした。アルミラミネートシ
ートの封口巾は3mmとした。この電池の室温での充放電試験を実施した。 (外部短絡及び内部短絡試験) 作製した電極を14mm×14mmに切断し、多孔性のポリプロピレンシート
(ヘキスト社製、商品名:セルガード#2400)を、正極と負極の間にはさみ
両極を貼りあわせ素電池を作製した。この素電池を複数個用意し、この素電池の
正極集電体と負極集重体のそれぞれの端部に集電端子を接続し、この集電端子を
、正極同士、負極同士スポット溶接することによって、各素電池を電気的に並列
に接続して一つの電池体を形成した。 この電池体をアルミラミネートシートより作製した袋に入れて、エチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(モル比で1:1)に6フッ化リン
酸リチウムを1.0mol/dm3の濃度で溶解した電解液を注液した後、熱融
着で封口して電池とした。この時、集電端子をアルミラミネートシートで熱融着
して電池外部に導出した。 外部短絡試験の場合、この電池を、8.0mAで4.1Vになるまで室温で充
電した。充電終了後、電池の温度を室温から徐々に上昇させ、所定の温度で外部
に導出された正極と負極の集電端子をつなぎ、電池外部で短絡させ、その時の電
流値の測定を行った。 内部短絡試験の場合、この電池を、8.0mAで4.1Vになるまで室温で充
電した。充電終了後、電池の温度を室温から徐々に上昇させ、所定の温度で集電
端子を介さずに正極と負極の集電体を短絡させて、その時の電流値の測定を行っ
た。 比較例1. 比較のために、電子導電性材料として人造黒鉛KS−6(ロンザ社製)を用い
、6重量部の微粒子状の人造黒鉛KS−6と、91重量部の正極活物質(LiC
oO2)と、3重量部のバインダー(PVDF)とを分散媒であるNMPに分散
させることにより調整し、正極活物質ペーストを得、次に、この正極活物質ペー
ストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属膜(ここではアルミ箔)上にド
クターブレード法にて塗布した。さに、80℃で乾燥した後、室温でかつ2to
n/cm2の面圧でプレスし、厚さ約100μmの正極活物質層6を形成して、
正極を得た。この正極と集電端子とを実施例1で用いた電子導電性材料を介して
接続した。この集電端子を接続した正極を用い、負極の製造方法、電池の製造方
法は実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様の電極および電池の評
価を行った。 第2図は実施例1および比較例1の電池に対して外部短絡試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように、外部短絡試験では比較例1と実施例1の両方とも抵抗が大き
く変化しており、電極外にPTCを取り付けた場合と同様にPTC機能が発現し
ていることが解る。 実施例1においては、電極中、特に正極活物質層の電子導電性材料に結晶性樹
脂を含有しているので、電池の内部の温度が所定の温度よりも大きくなるとPT
Cの機能が発現し、電池の温度が160℃を越える前に短絡電流の増加を抑制す
ることができ、電池の安全性および信頼性が向上する。 第3図は実施例1および比較例1の電池に対して内部短絡試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように実施例1の電池は120℃以上で内部短絡試験を行った時PT
Cの機能が働くため、最大短絡電流値はそれ以下の温度の時よりも小さくなって
いるが、比較例1の電池は、PTC素子が短絡経路から外れているため、120
℃以上で短絡させてもPTCの機能が発現せず、短絡電流の減少は見られない。
このように内部短絡に関しては、電極の外部にPTC素子を設けても効果はなく
、電極にPTC機能を持たせなければ安全性の向上は見られない。 また電極にPTC機能を待たせることで、電極外にPTC機能を待たせる必要
はなくなり、電池構造の単純化の効果と、PTC素子の占有する空間がなくなる
ため体積エネルギー密度の向上が期待できる。 表1は実施例1の電池の特性を、比較例1とともに示したものであり、詳しく
は、電極の体積固有抵抗、体積固有抵抗の変化率および電池の放電容量を示して
いる。 表1において、抵抗変化率とは、PTCの機能が発現した後の体積固有抵抗を
PTCの機能が発現する前の体積固有抵抗で除した値としたものである。 実施例1においては、電極中、特に正極の正極活物質層の電子導電性材料に結
晶性樹脂を含有しているので、PTCの機能が発現した後の抵抗が、発現する前
の抵抗の50倍に増加しているのが解る。一方、比較例1においては、抵抗変化
率が小さい。 従って、実施例1の電極を用いて電池を構成した場合には、電池の内部の温度
が所定の温度よりも高くなるとPTCの機能が発現し、短絡電流の増加を抑制す
ることができ、電池の安全性および信頼性が向上している。 実施例1では抵抗変化率が50のものを例に説明したが、これに限定される必
要はなく、抵抗変化率は1.5〜10000程度とすれば上述の効果を得ること
ができる。 第4図は実施例1と比較例1のアルミラミネートシート封口後の状態を示す図
であり、シート上面を取り除いて内部を見た平面図である。また、第5図は実施
例1と比較例1のアルミラミネートシート封口後の状態を示す断面図であり、第
4図のA−A線での断面図である。図において、18は集電端子、19はPTC
素子、20はアルミラミネートシートよりなる外装体、21は余剰空間部分であ
る。実施例1の形状は20mm×20mm、厚み0.5mmとなり、比較例1の
形状は23mm×20mm、厚み0.5mmとなった。比較例1はPTC素子1
9を電極外に取り付けているため余剰空間部分21が生じ、電池の体積が増加し
ている。また、実施例1に比べ、部品点数が増え、構造も複雑化している。表2
は放電容量、電池体積、体積エネルギー密度を実施例1と比較例1とで比較した
ものであり、比較例1は実施例1と放電容量は同じであるが、PTC素子を電極
外に持つため電池体積が大きくなり、結果として体積エネルギー密度が減少して
いることがわかる。 比較例2. 電子導電性材料9として、微粒子状のカーボンブラックを60重量部、ポリプ
ロピレン樹脂(融点:168℃)を40重量部の割合で混練したもののペレット
をジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得、その
他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極を用いて実施例1と同様に電池を
製造し、実施例1と同様の電極および電池の評価を行った。 第6図は実施例1および比較例2の電池に対して短絡電流試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように比較例2では、PTCの機能が発現する温度は160℃を越え
た。これは結晶性樹脂を融点が168℃であるポリプロピレン樹脂としたので、
このポリプロピレン樹脂を含む電極を電池に適用したとき、PTCの機能が発現
する温度が160℃を越えてしまうと考えられる。 これに対し、実施例1では、結晶性樹脂として、融点が160℃よりも低いポ
リエチレンを用いたので、電池の温度が160℃を越える前に短絡電流の増加を
抑制することができ、電池の安全性および信頼性が更に向上する。 上記のように、実施例1の電池は120℃以上ではPTCの機能が働いて、短
絡電流値は減少するが、比較例2の電池はPTCの機能の発現する温度が高く、
160℃以上になってから短絡電流の減少が確認される。これは電子導電性材料
に含まれる結晶性樹脂(ここではポリプロピレン)の融点が高いためである。 従って、電子導電性材料9に含まれる結晶性樹脂は、その融点が90℃〜16
0℃の範囲にあるものを選択すれば、電池の性能の低下を起こさず、かつPTC
の機能が発現する温度を160℃よりも小さくすることができる。 比較例3. 電子導電性材料として、カーボンブラックを38重量部、ポリエチレンを62
重量部の割合で混練したペレットをジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒
子状の電子導電性材料を得、その他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極
を用いて実施例1と同様に電池を製造した。 比較例4. 電子導電性材料として、カーボンブラックを71重量部、ポリエチレンを29
重量部の割合で混練したペレットをジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒
子状の電子導電性材料を得、その他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極
を用いて実施例1と同様に電池を製造した。 表3は、電極の体積固有抵抗、温度上昇時の抵抗変化率、電池の2C(C:時
間率)における放電容量の値、および140℃における最大短絡電流値を示し、
実施例1と比較例3および4とを比較して示すものである。 表3に示すように、比較例3は実施例1に比べ抵抗変化率は大きいが、電極の
抵抗値が高く、放電容量が低くなった。 また、比較例4は実施例1に比べ放電容量は高いが、カーボンブラックの割合
が多すぎてPTCの機能の働きが不十分なため、短絡試験を行うと短絡電流値の
減少はみられなかった。 従って、電子導電性材料に含まれる導電性充填剤の割合を変えることにより、
電極の抵抗変化率、および電池の放電容量を適切な値にすることが可能となる。 特に電極に含まれる導電性充填剤の割合を40重量部〜70重量部とすること
により、正常時(PTCの機能が発現する前)の電極の抵抗を低くし、電極の抵
抗変化率を高いものにできるとともに、この電極を用いて電池を構成したときの
放電容量を高いものにすることができる。 更には電子導電性材料に含まれる導電性充填剤の割合を50重量部〜68重量
部とすることにより、表3に示した電極の特性、電池の特性を更に望ましいもの
にすることができる。 実施例2. 上記実施例1において、正極の製造における電子導電性材料の割合を変化させ
た。第7図は電子導電性材料の割合と電極の体積固有抵抗との関係および電子導
電性材料の割合と放電容量との関係を示す図であり、詳しくは電池の電極(ここ
では正極)の全固形分100重量部に対する電子導電性材料の割合と電極の体積
固有抵抗(図中(a))との関係および電池の電極(ここでは正極)の全固形分
100重量部に対する電子導電性材料の割合と放電容量との関係(図中(b))
を示す図である。 図に示すように、電子導電性材料の割合が0.5重量部以下であると正常時の
電極自体の抵抗値が高すぎて放電容量が低く、電池の性能の面で問題がある。ま
た、15重量部以上になると活物質量が減ることにより放電容量は低くなる。 従って、電極の全固形分100重量部に対する電子導電性材料の割合を0.5
重量部〜15重量部とすることにより、正常時における電極の抵抗を低くし、か
つこの電極を用いた電池の放電容量を高くすることができ、更に好ましくは、0
.7重量部〜12重量部、更に好ましくは、1重量部〜10重量部とすることに
より、より一層望ましいものにできる。 実施例3. 上記実施例1において、正極の製造における電子導電性材料の粒径を変化させ
た。第8図は電子導電性材料の粒径と電極の抵抗との関係(図中(a))及び電
子導電性材料の粒径と放電容量との関係を示す図(図中(b))である。 電子導電性材料の粒径が0.05μm以下になると、電子導電性材料の充填率
が下がり、正極活物質層の単位体積当たりの電子導電性材料の体積が増加するこ
と、つまり正極活物重量が減少することを意味する。このため、電子導電性材料
の粒径が0.05μm以下になると、放電容量が小さくなる。また、電子導電性
材料の粒径が100μm以上の粒径になると、電極自体の抵抗値が高く、放電容
量は低くなる。 従って、電子導電性材料の平均粒径は0.05μm〜100μmとすれば正常
時の電極の抵抗を低く、かつ放電容量を高くすることができ、更に電子導電性材
料の平均粒径を0.1μm〜50μm、更に好ましくは0.5μm〜20μmと
すれば、電子導電性材料の体積分率、電極自体の体積固有抵抗、および放電容量
をより望ましいものにすることができる。 実施例4. 室温における体積固有抵抗が0,2Ω・cm、135℃における体積固有抵抗
が20Ω・cmの特性を有する電子導電性材料(微粒子状のカーボンブラックを
60重量部、ポリエチレンを40重量部の割合で混練したもの)のペレットをボ
ールミルにより細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得た。 この微粒子状の電子導電性材料用いて実施例1と同様に電極(ここでは正極)
を製造し、実施例1と同様の負極の製造方法、電池の製造方法で電池を作製した
。 表4は、電子導電性材料の平均粒径、電極の抵抗、及び電池の放電容量を示す
ものである。 本実施例はボールミル方式により電子導電性材料を粉砕しているため、得られ
る電子導電性材料の粒子の平均粒径が大きくなり、その結果電極の体積固有抵抗
が高く、放電容量が小さくなるが、実用に供し得るものである。 この結果が示すように、正常時の電極の抵抗をより小さく、かつ電池の放電容
量をより高くするためにはジェットミル方式により電子導電性材料を粉砕するの
が望ましいことが分かる。 実施例5. 本実施例は、実施例1において、正極活物質ペーストをアルミ箔上に塗布し、
80℃で乾燥した後、135℃で0.5ton/cm2で30分加圧し、電極(
ここでは正極)を製造したことを特徴とするものである。本実施例において、負
極の製造方法、電池の製造方法は実施例1に同じである。 表5は、本実施例の電極、電池の特性を示すもので、実施例1の電極、電池の
特性とともに示している。 表5に示すように本実施例では正極活物質ペースト乾燥させたものをプレスす
るとき電子導電性材料に含まれる結晶性樹脂の融点付近の温度でプレスするため
、電子導電性材料と活物質の密着性がよくなっており、その結果、正常動作時の
電極の抵抗を低くおさえることができる。 これは、正極活物質ペーストを乾燥させたものをプレスするときの温度または
圧力(ここでは面圧)を調節することにより、得られる電極の抵抗の値を調節で
きることを意味する。 特に正極活物質ペーストを乾燥させたものをプレスするときの温度を電子導電
性材料に含まれる結晶性樹脂の融点または融点付近の温度とすると、圧力をある
程度小さくしたとしても、結晶性樹脂の融点付近の温度でプレスしているので、
得られる電極の正常時での体積固有抵抗の値を小さくすることができる。 実施例6. (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が0.2Ω・cm、動作温度135℃における体積
固有抵抗が500Ω・cmの電子導電性材料(カーボンブラックとポリエチレン
とを所定の割合で混練したもの)のペレットをジェットミルで粉砕して平均粒径
9.0μmの微粒子にした。 電子導電性材料の微粒子を4.5重量部、導電助剤として人造黒鉛KS−6(
ロンザ社製)を1.5重量部、活物質(LiCoO2)を91重量部、バインダ
ー(PVDF)を3重量部含むものを分散媒であるNMPに分散させることによ
り調整した正極活物質ペーストを得た。 次に、上述の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属
膜(ここではアルミ箔)上にドクターブレード法にて塗布した。さらに、80℃
で乾燥した後、室温でかつ所定の面圧(2ton/cm2)でプレスし、厚さ約
100μmの正極活物質層6を形成し、正極1を得た。また、負極の製造方法、
および電池の製造方法は実施例1に述べた方法に同じである。 表6は、本実施例6の電極、電池の特性及び実施例1の電極、電池の特性を示
すものであり、詳しくは各々の電極の体積固有抵抗、抵抗変化率、放電容量を示
している。 実施例1と比較して、本実施例の電極は抵抗、抵抗変化率ともに実施例1とほ
ぼ同様の値を示した。 つまり、体積固有抵抗が高い電子導電性材料を用いたときでも、導電助剤を加
えることにより、正常時の電極の体積固有抵抗を低くするとともに、放電容量を
高いものにすることができる。 ここで、導電助剤を黒鉛を人造黒鉛KS−6(ロンザ社製)としたがこれに限
定する必要はなく、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック
といったようにPTCの機能を有しないでかつ、正極活物質層の導電性を高める
機能を有する物質であれば、導電助剤は何であってもよい。 なお、上述した実施例に示した電極、電池は、有機電解液型、固体電解質型、
ゲル電解質型のリチウムイオン二次電池のみならず、リチウム/二酸化マンガン
電池などの一次電池、その他二次電池において用いることが可能である。 更には、水溶液系一次電池、二次電池についても有効である。更には、電池形
状によらず、積層型、及び巻き型、ボタン型などの一次、二次電池にも用いるこ
とが可能である。 第9図は、円筒型のリチウムイオン二次電池の構造を示す断面模式図である。
図において、11は負極端子を兼ねるステンレス製などの外装缶、12はこの外
装缶11内部に収納された電池体であり、電池体12は正極1、セパレータ3お
よび負極2を渦巻状に巻いた構造になっており、電池体12の正極1は実施例1
〜実施例6のいずれかに記載した電極の構成を有する。 または、負極2の負極活物質層に結晶性樹脂および導電性充填剤を含有する電
子導電性材料を含むような構成にしてもよい。 産業上の利用可能性 この発明による電池およびその製造方法は、有機電解液型、固体電解質型、ゲ
ル電解質型のリチウムイオン二次電池のみならず、リチウム/二酸化マンガン電
池などの一次電池、その他二次電池において用いることが可能である。 更には、水溶液系一次電池、二次電池についても有効である。更には、電池形
状によらず、積層型、及び巻き型、ボタン型などの一次、二次電池にも用いるこ
とが可能である。
よる温度上昇を抑制することにより安全性を確保し、かつ体積エネルギー密度等
の電池特性を向上し、さらに構造を単純化した電池及びその製造方法に関するも
のである。 背景技術 近年、電子機器の発達にともない電源として使用されている電池の高容量化お
よび高出力密度化が進みつつある。これらの要求を満たす電池として、リチウム
イオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池はエネルギー密
度が高いという利点の反面、非水電解液を使用することなどから安全性に対する
十分な対応策が必要とされる。 従来、安全に対する対応策として、安全弁により内部圧力の上昇を逃がす、あ
るいは外部短絡による発熱に応じて抵抗が上昇して電流を遮断するPTC素子を
電池に組み込むなどが提案されていた。 たとえば、特開平4−328278号公報に開示されているように、円筒型電
池の正極キャップ部分に安全弁とPTC素子を装着する方法が知られている。し
かし、安全弁が動作すると、大気中の水分が電池内部に侵入し、リチウムが負極
に存在すると発熱反応が起こる恐れがある。 一方、PTC素子は外部短絡回路を遮断し、動作による弊害もない。このPT
C素子は例えば、外部短絡によって電池が90℃以上の温度になると動作するよ
うに設計することによって、電池異常時にまず最初に動作する安全部品とするこ
とができる。 第10図は上述のような構成を有している従来のPTC素子を取り付けたリチ
ウム二次電池の例である。図において、13はリード、14はPTC素子、15
は電極、16は安全弁、17は外装缶である。図のような構成を有しているため
、以下に示すような問題を有している。 図のような従来のリチウム二次電池において、PTC素子14は外装缶17の
上部に固定された蓋の部分(安全弁16を備えた部分)に配置されているが、リ
ード13よりも電極15側の電池内部で短絡を起こし、短絡電流により電池の温
度が上昇したとき、この短絡電流の増加を抑制できないことである。 リチウム二次電池内部における短絡が発生し温度が上昇した時に、正極と負極
の間に配置した、ポリエチレンやポリプロピレン製のセパレータが軟化または溶
融することにより、セパレータの孔部が閉塞され、これによってセパレータに含
有された非水電解液を押し出したり、封じ込めたりしてセパレータ部分のイオン
電導性が低下し、短絡電流が減衰する機能がセパレータに期待されている。 しかし、発熱部分から離れたところのセパレータは必ずしも溶融するとは限ら
ない。また、さらに温度が上昇した場合にはセパレータが溶融、流動することに
より、正極と負極とを電気的に絶縁する機能が失われ、短絡につながることも考
えられる。 また、特にリチウムイオン二次電池の場合、負極は集電体となる銅箔などの基
村上に黒鉛などの負極活物質と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などのバイ
ンダーと、溶剤とを含むスラリーを塗布し、乾燥して薄膜状に形成している。正
極も同様に集電体となるアルミ箔などの基村上にLiCoO2などの正極活物質
とバインダーと導電助剤とを含む薄膜状の正極活物質層を形成して構成される。 導電助剤とは正極活物質の電子伝導性が悪いとき、正極の電子伝導性をより高
くするためのものである。導電助剤には、例えばカーボンブラック(例えばアセ
チレンブラック)、黒鉛(例えば人造黒鉛KS−6:ロンザ社製)などが用いら
れる。 このような電池は、前述のように、内部短絡などで電池温度がセパレータが溶
融、流動するような温度以上に上昇したとき、セパレータが流動した部分では正
極と負極との間に大きな短絡電流を発生するため、発熱により電池の温度が更に
上昇し、短絡電流が更に増大するといった問題がある。 更に電池外部にPTC素子を持つとその空間が素子に占有されてしまうため、
体積エネルギー密度が減少し、電池構造の複雑化といった問題がある。 この発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、発熱により電池
の温度が上昇しても、短絡電流が増大することを抑制できる電池構成とすること
によって、安全性を確保し、かつ体積エネルギー密度の減少を抑制し、さらに電
池構造の複雑化といった問題を解決することを目的とするものである。 発明の開示 この発明に係る第1の電池は、正極または負極の少なくとも一方が、活物質と
この活物質に接触する電子導電性材料とを有する活物質層を備え、上記正極と上
記負極との間に電解質層を狭持して電池体を構成し、上記電池体を外装体で封止
した電池であって、上記電子導電性材料は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温
度が上昇するとともに、その抵抗が増加するように構成するとともに、上記電池
体を余剰空間ができないように上記外装体で封止したことを特徴とするものであ
る。これによれば、上記電子導電性材料は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温
度が上昇するとともに、その抵抗が増加するように構成したので、温度が上昇し
たとき、電極に流れる電流の増大を抑制することができる。また、電極内部に、
温度が上昇するとともにその抵抗が増加する機能を有するものであるので、電極
外部にその機能を有するものに比べて、余剰空間ができないように外装体で封止
できるため、体積エネルギー密度を大きくできると共に、電池の構造を単純にで
きる。 この発明に係る第2の電池は、上記第1の電池において、樹脂が結晶性樹脂を
含むことを特徴とするものである。これによれば、樹脂が結晶性樹脂を含むこと
によって、温度上昇に対する抵抗の増加率(抵抗変化率)を大きくすることがで
き、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を迅速に抑制する電池とする
ことができる。 この発明に係る第3の電池は、上記第1の電池において、樹脂の融点が90℃
〜160℃の範囲内であることを特徴とするものである。これによれば、90℃
〜160℃の範囲内で融点を有する樹脂を用いることによって、電子導電性材料
は90℃〜160℃の範囲内の所定の温度付近での抵抗変化率が大きくなり、電
池特性と安全性確保とを両立させることができる。 この発明に係る第4の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料を活
物質100重量部に対して0.5〜15重量部含有したものである。これによれ
ば、電子導電性材料を活物質100重量部に対して0.5〜15重量部含有した
ものを用いることによって、温度に対する電極の抵抗の変化率が増大する現象が
生じる前の電極の抵抗と、放電容量を望ましいものとすることができる。 この発明に係る第5の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料の導
電性充填材の含有割合が40重量部〜70重量部であることを特徴とするもので
ある。これによれば、電子導電性材料の導電性充填材の割合を40重量部〜70
重量部とすることによって、温度上昇時の電極の抵抗の変化率を大きくし正常時
の抵抗を小さくして、かつ電池の放電容量を大きくすることができる。 この発明に係る第6の電池は、上記第1の電池において、電子導電性材料の粒
径が0.05μm〜100μmであることを特徴とするものである。これによれ
ば、電子導電性材料の粒径を0.05μm〜100μmとすることによって、温
度に対する電極の抵抗の変化率が増大する現象が生じる前の電極の抵抗と、放電
容量を望ましいものとすることができる。 この発明に係る第7の電池は、上記第1の電池において、導電性充填材がカー
ボン材料または導電性非酸化物であることを特徴とするものである。これによれ
ば、導電性充填材がカーボンまたは導電性非酸化物であるので、電極の導電性を
高めることができる。 この発明に係る第8の電池は、上記第1の電池において、活物質層が導電助材
を含むことを特徴とするものである。これによれば、電極は導電助剤を含むので
、電子導電性材料の電子伝導性が低いものを用いても電極の抵抗を適切なものに
調節することができる。 この発明に係る第1の電池の製造方法は、 (a) 導電性充填材と樹脂とを含有する電子導電性材料を粉砕し、上記電子導
電性材料の微粒子を形成する工程、 (b) 上記電子導電性材料の微粒子と活物質とを分散媒に分散させることによ
り活物質ペーストを製造する工程、 (c) 上記活物質ペーストを乾燥させたものを所定の温度(T1)及び所定の
圧力でプレスし、電極を形成する工程、 (d) 上記電極と電解質層とを重ねあわせて貼りあわせ、電池体を構成する工
程、 (e) 上記電池体を余剰空間ができないように外装体で封止する工程を有する
ことを特徴とするものである。これによれば、(a)〜(e)の工程を有するの
で、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を抑制する電池を製造するこ
とができる。また、電極内部に温度が上昇するとともに、その抵抗が増加する機
能を有するものであるので、電池体を余剰空間ができないように外装体で封止で
き、電極外部にその機能を有するものに比べて体積エネルギー密度を大きくでき
ると共に、電池の構造を単純にできる。さらに(c)の工程を有するので、電子
導電性材料と活物質との密着性が高くなり、製造される電極の抵抗を低く抑える
ことができる。 この発明に係る第2の電池の製造方法は、第1の電池の製造方法において、樹
脂が結晶性樹脂を含むことを特徴とするものである。これによれば、樹脂が結晶
性樹脂を含むことによって、温度上昇に対する抵抗の増加率(抵抗変化率)を大
きくすることができ、温度が上昇したとき、電極に流れる電流の増大を迅速に抑
制できる電池を製造することができる。 この発明に係る第3の電池の製造方法は、第1の電池の製造方法において、所
定の温度(T1)を樹脂の融点または融点付近の温度としたことを特徴とするも
のである。これによれば、所定の温度(T1)を樹脂の融点または融点付近の温
度としたので、電子導電性材料と活物質との密着性が更に良くなり、製造される
電極の抵抗を更に低くすることができる。 発明を実施するための最良の形態 第1図は本発明の電池を説明するための断面図であり、詳しくは電池の縦断面
図である。図において、1は正極集電体4表面に正極活物質層6を形成した正極
、2は負極集電体5表面に負極活物質層7を形成した負極、3は正極1と負極2
との間に設けられたセパレータ等の電解質層であり、セパレータは例えばリチウ
ムイオンを含有する電解液を保持する。また、固体電解質型リチウム電池では、
イオン伝導性のある固体高分子を、ゲル電解質型リチウム電池では、イオン伝導
性のあるゲル状固体高分子を使用する。 正極活物質層6は、金属膜(例えばアルミニウムなどの金属膜)からなる正極
集電体4の表面に、正極活物質8と電子導電性材料9とをバインダ10により結
合したものを成形してなる。電子導電性材料9は、導電性充填材と樹脂または結
晶性樹脂とからなり、温度上昇により温度に対する抵抗変化率が大きくなる特性
を有するものである(以後この特性をPTC(Positive Temper
ature Coefficient)と称す)。 正極活物質8は粒子であり、電子導電性材料9は正極活物質8よりも小さな形
状を有する粒子で、0.05μm〜100μmであることが好ましいが、その形
状はファイバー状、鱗片状の小片であっても良い。要は、隣り合う正極活物質8
の間に電子導電性材料9が位置することができるような大きさを有するものであ
ればその形状はどのようなものであっても良い。 樹脂は結晶性樹脂を含むことが、下記のPTC特性を向上させる(抵抗値の変
化率を大きくする)上で好ましい。 電子導電性材料9は例えば温度が90℃〜160℃範囲内で、その抵抗値の変
化率が大きくなる特性を有するものである。 電子導電性材料9は、その中に含まれる樹脂または結晶性樹脂が軟化、溶融し
、体積膨張することによりそれ自身の抵抗値が上昇するため、PTCの機能が発
現する。 導電性充填材には、例えばカーボン材料、導電性非酸化物といったものを使用
することができる。カーボン材料には、例えばアセチレンブラック、ファーネス
ブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、グラファイト、カーボンファ
イバー等が使用可能である。導電性非酸化物には、例えば金属炭化物、金属窒化
物、金属ケイ化物、金属ホウ化物といったものを使用することができ、金属炭化
物には例えば、TiC、ZrC、VC、NbC、TaC、Mo2C、WC、B4
C、Cr 3C2等があり、金属窒化物には、例えばTiN、ZrN、VN、Nb
N、TaN、Cr2N等があり、また、金属ホウ化物には、例えばTiB2、Z
rB2、NbB2、TaB2、CrB、MoB、WB等がある。 また、樹脂及び結晶性樹脂とは、例えば高密度ポリエチレン(融点:130℃
〜1400℃)、低密度ポリエチレン(融点:110℃〜112℃)、ポリウレ
タンエラストマー(融点:140℃〜160℃)、ポリ塩化ビニル(融点:約1
45℃)等の重合体であり、これらはその融点が90℃〜160℃の範囲にある
。 電子導電性材料9において、PTCの機能が発現する温度は電子導電性材料9
に含まれる樹脂または結晶性樹脂の融点に依存するため、これらの樹脂の材質を
変えることにより、PTCの機能が発現する温度を90℃〜160℃の間の温度
に調節することが可能である。 このPTC特性は、一度PTCの機能が発現した後に温度を下げたときに、も
との抵抗値にもどるような可逆性があるものでも良いし、可逆性が無いものでも
良い。 このPTCの機能が発現する温度が90℃以下であることは安全性の確保とい
う観点からは好ましいが、電池が通常使用される温度範囲において電極の抵抗値
が上昇することになるので、負荷率特性などにおいて電池の性能低下が起こる。 また、このPTCの機能が発現する温度が160℃を越す場合には、電池の内
部温度がこの温度まで上昇することになり、安全性を確保する上で好ましくない
。従って、電子導電性材料9において、PTCの機能が発現する温度は90℃か
ら160℃の範囲にあるように設計することが望ましい。 PTCの機能が発現する温度は樹脂または結晶性樹脂の融点に依存するため、
樹脂または結晶性樹脂はその融点が90℃から160℃の範囲にあるものを選択
する。 また、正常時、すなわち、PTCの機能が発現する前における電極の抵抗の大
きさは、正極活物質層6全体に対する電子導電性材料9の割合を変えることによ
り調節することができ、電子導電性材料9を活物質100重量部に対して0.5
〜15重量部含有したものとすることが好ましい。 また、電子導電性材料9中の導電性充填材の含有割合は、温度上昇時の電極の
抵抗の変化率を大きくし正常時の抵抗を小さくして、かつ電池の放電容量を大き
くする上で、40重量部〜70重量部とすることが好ましい。 正極活物質8として、例えば、リチウムと、コバルト、マンガン、ニッケルな
どの遷移金属との複合酸化物、リチウムを含むカルコゲン化合物、あるいはこれ
らの複合化合物、さらに、上記複合酸化物、カルコゲン化合物および複合酸化物
に各種添加元素を有するものなどの他、電池の種類に応じて種々のものが使用可
能である。 負極活物質層7は、金属膜(例えば銅などの金属膜)からなる負極集電体5の
表面に、カーボン粒子などの負極活物質をバインダで結合したものを成形してな
る。負極活物質層7に用いられる負極活物質として、炭素質材料など、リチウム
イオンの出入りが可能な材料の他、電池の種類に応じて種々のものが使用できる
。 正極集電体4および負極集電体5としては、電池内で安定な金属であれば使用
可能であり、正極集電体4としてアルミニウム、負極集電体5として銅が好まし
く用いられる。集電体4、5の形状は、箔、網状、エクスパンドメタル等いずれ
のものでも使用可能であるが、網状、エクスパンドメタル等のように表面積が大
きいものが、活物質層6、7との接合強度を得るためおよび接合後の電解液の含
浸を容易にするために好ましい。 セパレータ3に用いる材料は、絶縁性の多孔膜、網、不織布等で電解液を含浸
しかつ十分な強度が得られるもの、あるいはセパレータの代わりにイオン伝導性
のある高分子固体電解質、ゲル状固体電解質などのような電解質層であれば使用
でき、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる多孔質膜の使用が接着性、安全
性確保の観点から好ましい。フッ素樹脂系を用いる場合は、表面をプラズマ処理
して接着性を確保することが必要な場合がある。 有機電解質型リチウム電池の場合には、電解液には、ジメトキシエタン、ジエ
トキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート等のエステル系溶剤の単独または混
合物に、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(
CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3等の電解質を溶解したものの他、
電池の種類に応じて種々のものが使用できる。 第1図に示した正極1は、正極活物質層6に含まれる電子導電性材料9自身が
PTC特性を有するので、正極1の温度が電子導電性材料9において、PTCの
機能が発現する温度よりも大きくなると、正極活物質層6の抵抗値が増大する。 従って、このような特性を有する電極(ここでは電池の正極に適用)を電池に
適用したとき、電池の外部または内部における短絡により電流が増大し、電池も
しくは電極の温度がある程度以上に上昇した場合において正極活物質層6自体の
抵抗値が高くなるので電池内部に流れる電流が抑制される。 従って、この電極を用いて電池を構成したとき、電池の安全性は飛躍的に向上
し、厳しい条件下での短絡、逆充電あるいは過充電等の異常時においても電池の
安全性が保たれるという効果を奏する。 また、第1図では、正極活物質層6は正極活物質8と電子導電性材料9とバイ
ンダ10とを有するものを例に説明したがこれに限定されるものではなく、例え
ば、正極活物質層6に含まれる正極活物質8の電子伝導性が低いような材質を用
いている場合、正極活物質層6に更に導電助剤を加えることにより、これを補う
ことが可能となる。 また、正極1、特に正極活物質層6に導電性充填剤と樹脂または結晶性樹脂と
を含む電子導電性材料の構成を開示したが、これに限定される必要はなく、負極
2に上述の構成を適用し、これを用いて電池を構成しても同様の効果を奏する。 次に、第1図に示した正極1の製造方法、負極2の製造方法および正極1と負
極2を用いた電池の製造方法を説明する。 (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が十分低く、90℃〜160℃の間の所定の温度よ
りも大きい温度での体積固有抵抗が大きな電子導電性材料、例えば微粒状の導電
性充填材と樹脂または結晶性樹脂とを所定の割合で混練したペレットを細かく粉
砕し、電子導電性材料の微粒子を得る。 電子導電性材料を粉砕する方法として、圧縮した空気または圧縮した窒素また
はアルゴン等の不活性ガスを使用して粉砕することが望ましい。特に粒径を小さ
くする場合には上述した気体により超音速の気流を発生させ、この気流中におい
て、電子導電性材料の粉体を互いに衝突させるか、もしくはこの粉体を壁面(図
示せず)に衝突させることにより、粒径の小さい電子導電性材料の微粒子を得る
ことができる(これにより微粒子を得る方式をジェットミル方式と称す)。 また、電子導電性材料の微粒子の粒径を必要以上に小さくする必要がない場合
であれば、圧縮空気を用いるかわりに、電子導電性材料をボールミルに入れて回
転して粉砕する方法でも良い(これにより微粒子を得る方式をボールミル方式と
称す)。 次に、この電子導電性材料の微粒子、正極活物質(例えばLiCoO2)、バ
インダー(例えば、PVDF)を分散媒(例えばN−メチルピロリドン(以下、
NMPと略す))に分散させることにより調整し、正極活物質ペーストを得る。 次に、上述の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる集電体基材(例えば
所定の厚さを有する金属膜)上に塗布する。 さらに、これを乾燥させた後、所定の温度でかつ所定の面圧でプレスし、所望
する厚さを有する正極活物質層6を形成し、正極1を得る。 ここで示した正極1の製造方法では、所定の温度、所定の面圧でプレスしてい
るため、電子導電性材料9と活物質(ここでは正極活物質8)との密着性が良く
なり、正常時における電極の抵抗を低くすることができる。 つまり、電極をプレスするときの温度、圧力(ここでは面圧)を調節すること
により、製造される電極の抵抗を調節することができる。特に、所定の温度を電
子導電性材料に含まれる樹脂または結晶性樹脂の融点または融点付近の温度にす
ると、電子導電性材料9と活物質8との密着性が更に良くなり、正常時における
電極の抵抗を更に低くすることができる。 ここでは、所定の温度でかつ所定の面圧で正極活物質ペーストをプレスする例
を説明したが、所定の面圧で正極活物質ペーストをプレスした後、所定の温度(
望ましくは融点または融点付近の温度)で正極活物質ペーストを加熱することに
より、正極1を得るようにしてもよい。 次に、負極2の製造方法について説明する。 (負極の製造方法) メソフェーズカーボンマイクロビーズ(以下、MCMBと略す)等の負極活物
質およびPVDFをNMPに分散して作製した負極活物質ペーストを、負極集電
体となる所定の厚さを有する金属膜上に塗布し、負極活物質層7を形成した負極
2を得ることができる。 次に、電池の製造方法について説明する。 (電池の製造方法) 例えば多孔性のポリプロピレンシートを、上述の方法により得られた正極と負
極の間に挟み両極を貼りあわせることにより、正極と負極とを有する電池体とし
た。この電池体の正極および負極に集電端子をそれぞれ取り付け、この電池体を
余剰空間ができないように外装体により封止して電池とした。上述の方法により
得られる電池は、温度の上昇に伴い正極の抵抗が上昇するため、電池の外部また
は内部で短絡事故が発生し、電池の温度が上昇しても、短絡電流の上昇を抑制す
るため電池自身の安全性が向上する。 なお、上記製造方法では、正極1に電子導電性材料を含有させたが負極2に電
子導電性材料を含有させてもよいし、また、正極1および負極2の両方に含有さ
せてもよい。 以下に、さらに具体的な本発明の実施例を示すが、本発明がこれら実施例に限
定されるものではない。 実施例1. (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が0.2Ω・cm、135℃における体積固有抵抗
が20Ω・cmの特性を有する電子導電性材料(微粒子状のカーボンブラックを
60重量部、ポリエチレンを40重量部の割合で混練したもの)のペレットをジ
ェットミル方式により細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得た。 次に、6重量部の微粒子状電子導電性材料と、91重量部の正極活物質(Li
CoO2)と、3重量部のバインダー(PVDF)とを分散媒であるNMPに分
散させることにより調整し、正極活物質ペーストを得た。 次に、上記の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属
膜(ここではアルミ箔)上にドクターブレード法にて塗布した。さらに、80℃
で乾燥した後、室温でかつ2ton/cm2の面圧でプレスし、厚さ約100μ
mの正極活物質層6を形成し、正極1を得た。 (負極の製造方法) NCMB90重量部、PVDF10重量部をNMPに分散して作製した負極活
物質ペーストを、厚さ20μmの銅箔からなる負極集重体上に、ドクターブレー
ド法にて塗布し、負極活物質層7を形成した負極2を作製した。 (電池の製造方法) 多孔性のポリプロピレンシート(ヘキスト社製、商品名:セルガード#240
0)を、上述の方法により得られる正極と負極との間に挟み、両極を貼りあわせ
ることにより、正極と負極とを有する電池体とした。この電池体の正極および負
極に集電端子をそれぞれ取り付け、この電池体を余剰空間ができないようにアル
ミラミネートシート等よりなる外装体により封止して電池とした。 (電極及び電池の評価) 本発明の電極、電池の評価を行うため以下に示すような方法を用いて評価を行
った。 (電極の抵抗測定) 作製した電極の両面にアルミ箔を融着し、一方のアルミ箔の片面にプラス側の
電圧端子と電流端子を、もう一方のアルミ箔にマイナス側の電圧端子と電流端子
を接続した。端子にはヒーターが接しており、5℃/分の昇温速度で電極を昇温
しながら、定電流を流した素子の電圧降下を測定することにより抵抗値(ここで
は体積固有抵抗(Ω・cm))を求めた。 (容量試験) 作製した正極、負極をともに14mm×14mmの大きさに切断し、両極の間
に多孔性のポリプロピレンシート(ヘキスト社製、商品名:セルガード#240
0)を貼りあわせたものを電池体とした。この電池体の正極および負極に集電端
子をそれぞれスポット溶接にて取り付け、この電池体をアルミラミネートシート
より作製した袋に入れ、エチレンカーボネイトとジエチルカーボネートの混合溶
媒(モル比で1:1)に6フッ化リン酸リチウムを1.0mol/dm3の濃度
で溶解した電解液を入れて熱融着で封口して単電池とした。アルミラミネートシ
ートの封口巾は3mmとした。この電池の室温での充放電試験を実施した。 (外部短絡及び内部短絡試験) 作製した電極を14mm×14mmに切断し、多孔性のポリプロピレンシート
(ヘキスト社製、商品名:セルガード#2400)を、正極と負極の間にはさみ
両極を貼りあわせ素電池を作製した。この素電池を複数個用意し、この素電池の
正極集電体と負極集重体のそれぞれの端部に集電端子を接続し、この集電端子を
、正極同士、負極同士スポット溶接することによって、各素電池を電気的に並列
に接続して一つの電池体を形成した。 この電池体をアルミラミネートシートより作製した袋に入れて、エチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(モル比で1:1)に6フッ化リン
酸リチウムを1.0mol/dm3の濃度で溶解した電解液を注液した後、熱融
着で封口して電池とした。この時、集電端子をアルミラミネートシートで熱融着
して電池外部に導出した。 外部短絡試験の場合、この電池を、8.0mAで4.1Vになるまで室温で充
電した。充電終了後、電池の温度を室温から徐々に上昇させ、所定の温度で外部
に導出された正極と負極の集電端子をつなぎ、電池外部で短絡させ、その時の電
流値の測定を行った。 内部短絡試験の場合、この電池を、8.0mAで4.1Vになるまで室温で充
電した。充電終了後、電池の温度を室温から徐々に上昇させ、所定の温度で集電
端子を介さずに正極と負極の集電体を短絡させて、その時の電流値の測定を行っ
た。 比較例1. 比較のために、電子導電性材料として人造黒鉛KS−6(ロンザ社製)を用い
、6重量部の微粒子状の人造黒鉛KS−6と、91重量部の正極活物質(LiC
oO2)と、3重量部のバインダー(PVDF)とを分散媒であるNMPに分散
させることにより調整し、正極活物質ペーストを得、次に、この正極活物質ペー
ストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属膜(ここではアルミ箔)上にド
クターブレード法にて塗布した。さに、80℃で乾燥した後、室温でかつ2to
n/cm2の面圧でプレスし、厚さ約100μmの正極活物質層6を形成して、
正極を得た。この正極と集電端子とを実施例1で用いた電子導電性材料を介して
接続した。この集電端子を接続した正極を用い、負極の製造方法、電池の製造方
法は実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様の電極および電池の評
価を行った。 第2図は実施例1および比較例1の電池に対して外部短絡試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように、外部短絡試験では比較例1と実施例1の両方とも抵抗が大き
く変化しており、電極外にPTCを取り付けた場合と同様にPTC機能が発現し
ていることが解る。 実施例1においては、電極中、特に正極活物質層の電子導電性材料に結晶性樹
脂を含有しているので、電池の内部の温度が所定の温度よりも大きくなるとPT
Cの機能が発現し、電池の温度が160℃を越える前に短絡電流の増加を抑制す
ることができ、電池の安全性および信頼性が向上する。 第3図は実施例1および比較例1の電池に対して内部短絡試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように実施例1の電池は120℃以上で内部短絡試験を行った時PT
Cの機能が働くため、最大短絡電流値はそれ以下の温度の時よりも小さくなって
いるが、比較例1の電池は、PTC素子が短絡経路から外れているため、120
℃以上で短絡させてもPTCの機能が発現せず、短絡電流の減少は見られない。
このように内部短絡に関しては、電極の外部にPTC素子を設けても効果はなく
、電極にPTC機能を持たせなければ安全性の向上は見られない。 また電極にPTC機能を待たせることで、電極外にPTC機能を待たせる必要
はなくなり、電池構造の単純化の効果と、PTC素子の占有する空間がなくなる
ため体積エネルギー密度の向上が期待できる。 表1は実施例1の電池の特性を、比較例1とともに示したものであり、詳しく
は、電極の体積固有抵抗、体積固有抵抗の変化率および電池の放電容量を示して
いる。 表1において、抵抗変化率とは、PTCの機能が発現した後の体積固有抵抗を
PTCの機能が発現する前の体積固有抵抗で除した値としたものである。 実施例1においては、電極中、特に正極の正極活物質層の電子導電性材料に結
晶性樹脂を含有しているので、PTCの機能が発現した後の抵抗が、発現する前
の抵抗の50倍に増加しているのが解る。一方、比較例1においては、抵抗変化
率が小さい。 従って、実施例1の電極を用いて電池を構成した場合には、電池の内部の温度
が所定の温度よりも高くなるとPTCの機能が発現し、短絡電流の増加を抑制す
ることができ、電池の安全性および信頼性が向上している。 実施例1では抵抗変化率が50のものを例に説明したが、これに限定される必
要はなく、抵抗変化率は1.5〜10000程度とすれば上述の効果を得ること
ができる。 第4図は実施例1と比較例1のアルミラミネートシート封口後の状態を示す図
であり、シート上面を取り除いて内部を見た平面図である。また、第5図は実施
例1と比較例1のアルミラミネートシート封口後の状態を示す断面図であり、第
4図のA−A線での断面図である。図において、18は集電端子、19はPTC
素子、20はアルミラミネートシートよりなる外装体、21は余剰空間部分であ
る。実施例1の形状は20mm×20mm、厚み0.5mmとなり、比較例1の
形状は23mm×20mm、厚み0.5mmとなった。比較例1はPTC素子1
9を電極外に取り付けているため余剰空間部分21が生じ、電池の体積が増加し
ている。また、実施例1に比べ、部品点数が増え、構造も複雑化している。表2
は放電容量、電池体積、体積エネルギー密度を実施例1と比較例1とで比較した
ものであり、比較例1は実施例1と放電容量は同じであるが、PTC素子を電極
外に持つため電池体積が大きくなり、結果として体積エネルギー密度が減少して
いることがわかる。 比較例2. 電子導電性材料9として、微粒子状のカーボンブラックを60重量部、ポリプ
ロピレン樹脂(融点:168℃)を40重量部の割合で混練したもののペレット
をジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得、その
他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極を用いて実施例1と同様に電池を
製造し、実施例1と同様の電極および電池の評価を行った。 第6図は実施例1および比較例2の電池に対して短絡電流試験を行ったときの
温度と最大電流値との関係を示す図である。 図に示すように比較例2では、PTCの機能が発現する温度は160℃を越え
た。これは結晶性樹脂を融点が168℃であるポリプロピレン樹脂としたので、
このポリプロピレン樹脂を含む電極を電池に適用したとき、PTCの機能が発現
する温度が160℃を越えてしまうと考えられる。 これに対し、実施例1では、結晶性樹脂として、融点が160℃よりも低いポ
リエチレンを用いたので、電池の温度が160℃を越える前に短絡電流の増加を
抑制することができ、電池の安全性および信頼性が更に向上する。 上記のように、実施例1の電池は120℃以上ではPTCの機能が働いて、短
絡電流値は減少するが、比較例2の電池はPTCの機能の発現する温度が高く、
160℃以上になってから短絡電流の減少が確認される。これは電子導電性材料
に含まれる結晶性樹脂(ここではポリプロピレン)の融点が高いためである。 従って、電子導電性材料9に含まれる結晶性樹脂は、その融点が90℃〜16
0℃の範囲にあるものを選択すれば、電池の性能の低下を起こさず、かつPTC
の機能が発現する温度を160℃よりも小さくすることができる。 比較例3. 電子導電性材料として、カーボンブラックを38重量部、ポリエチレンを62
重量部の割合で混練したペレットをジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒
子状の電子導電性材料を得、その他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極
を用いて実施例1と同様に電池を製造した。 比較例4. 電子導電性材料として、カーボンブラックを71重量部、ポリエチレンを29
重量部の割合で混練したペレットをジェットミル方式により細かく粉砕し、微粒
子状の電子導電性材料を得、その他は実施例1と同様に正極を形成し、この正極
を用いて実施例1と同様に電池を製造した。 表3は、電極の体積固有抵抗、温度上昇時の抵抗変化率、電池の2C(C:時
間率)における放電容量の値、および140℃における最大短絡電流値を示し、
実施例1と比較例3および4とを比較して示すものである。 表3に示すように、比較例3は実施例1に比べ抵抗変化率は大きいが、電極の
抵抗値が高く、放電容量が低くなった。 また、比較例4は実施例1に比べ放電容量は高いが、カーボンブラックの割合
が多すぎてPTCの機能の働きが不十分なため、短絡試験を行うと短絡電流値の
減少はみられなかった。 従って、電子導電性材料に含まれる導電性充填剤の割合を変えることにより、
電極の抵抗変化率、および電池の放電容量を適切な値にすることが可能となる。 特に電極に含まれる導電性充填剤の割合を40重量部〜70重量部とすること
により、正常時(PTCの機能が発現する前)の電極の抵抗を低くし、電極の抵
抗変化率を高いものにできるとともに、この電極を用いて電池を構成したときの
放電容量を高いものにすることができる。 更には電子導電性材料に含まれる導電性充填剤の割合を50重量部〜68重量
部とすることにより、表3に示した電極の特性、電池の特性を更に望ましいもの
にすることができる。 実施例2. 上記実施例1において、正極の製造における電子導電性材料の割合を変化させ
た。第7図は電子導電性材料の割合と電極の体積固有抵抗との関係および電子導
電性材料の割合と放電容量との関係を示す図であり、詳しくは電池の電極(ここ
では正極)の全固形分100重量部に対する電子導電性材料の割合と電極の体積
固有抵抗(図中(a))との関係および電池の電極(ここでは正極)の全固形分
100重量部に対する電子導電性材料の割合と放電容量との関係(図中(b))
を示す図である。 図に示すように、電子導電性材料の割合が0.5重量部以下であると正常時の
電極自体の抵抗値が高すぎて放電容量が低く、電池の性能の面で問題がある。ま
た、15重量部以上になると活物質量が減ることにより放電容量は低くなる。 従って、電極の全固形分100重量部に対する電子導電性材料の割合を0.5
重量部〜15重量部とすることにより、正常時における電極の抵抗を低くし、か
つこの電極を用いた電池の放電容量を高くすることができ、更に好ましくは、0
.7重量部〜12重量部、更に好ましくは、1重量部〜10重量部とすることに
より、より一層望ましいものにできる。 実施例3. 上記実施例1において、正極の製造における電子導電性材料の粒径を変化させ
た。第8図は電子導電性材料の粒径と電極の抵抗との関係(図中(a))及び電
子導電性材料の粒径と放電容量との関係を示す図(図中(b))である。 電子導電性材料の粒径が0.05μm以下になると、電子導電性材料の充填率
が下がり、正極活物質層の単位体積当たりの電子導電性材料の体積が増加するこ
と、つまり正極活物重量が減少することを意味する。このため、電子導電性材料
の粒径が0.05μm以下になると、放電容量が小さくなる。また、電子導電性
材料の粒径が100μm以上の粒径になると、電極自体の抵抗値が高く、放電容
量は低くなる。 従って、電子導電性材料の平均粒径は0.05μm〜100μmとすれば正常
時の電極の抵抗を低く、かつ放電容量を高くすることができ、更に電子導電性材
料の平均粒径を0.1μm〜50μm、更に好ましくは0.5μm〜20μmと
すれば、電子導電性材料の体積分率、電極自体の体積固有抵抗、および放電容量
をより望ましいものにすることができる。 実施例4. 室温における体積固有抵抗が0,2Ω・cm、135℃における体積固有抵抗
が20Ω・cmの特性を有する電子導電性材料(微粒子状のカーボンブラックを
60重量部、ポリエチレンを40重量部の割合で混練したもの)のペレットをボ
ールミルにより細かく粉砕し、微粒子状の電子導電性材料を得た。 この微粒子状の電子導電性材料用いて実施例1と同様に電極(ここでは正極)
を製造し、実施例1と同様の負極の製造方法、電池の製造方法で電池を作製した
。 表4は、電子導電性材料の平均粒径、電極の抵抗、及び電池の放電容量を示す
ものである。 本実施例はボールミル方式により電子導電性材料を粉砕しているため、得られ
る電子導電性材料の粒子の平均粒径が大きくなり、その結果電極の体積固有抵抗
が高く、放電容量が小さくなるが、実用に供し得るものである。 この結果が示すように、正常時の電極の抵抗をより小さく、かつ電池の放電容
量をより高くするためにはジェットミル方式により電子導電性材料を粉砕するの
が望ましいことが分かる。 実施例5. 本実施例は、実施例1において、正極活物質ペーストをアルミ箔上に塗布し、
80℃で乾燥した後、135℃で0.5ton/cm2で30分加圧し、電極(
ここでは正極)を製造したことを特徴とするものである。本実施例において、負
極の製造方法、電池の製造方法は実施例1に同じである。 表5は、本実施例の電極、電池の特性を示すもので、実施例1の電極、電池の
特性とともに示している。 表5に示すように本実施例では正極活物質ペースト乾燥させたものをプレスす
るとき電子導電性材料に含まれる結晶性樹脂の融点付近の温度でプレスするため
、電子導電性材料と活物質の密着性がよくなっており、その結果、正常動作時の
電極の抵抗を低くおさえることができる。 これは、正極活物質ペーストを乾燥させたものをプレスするときの温度または
圧力(ここでは面圧)を調節することにより、得られる電極の抵抗の値を調節で
きることを意味する。 特に正極活物質ペーストを乾燥させたものをプレスするときの温度を電子導電
性材料に含まれる結晶性樹脂の融点または融点付近の温度とすると、圧力をある
程度小さくしたとしても、結晶性樹脂の融点付近の温度でプレスしているので、
得られる電極の正常時での体積固有抵抗の値を小さくすることができる。 実施例6. (正極の製造方法) 室温における体積固有抵抗が0.2Ω・cm、動作温度135℃における体積
固有抵抗が500Ω・cmの電子導電性材料(カーボンブラックとポリエチレン
とを所定の割合で混練したもの)のペレットをジェットミルで粉砕して平均粒径
9.0μmの微粒子にした。 電子導電性材料の微粒子を4.5重量部、導電助剤として人造黒鉛KS−6(
ロンザ社製)を1.5重量部、活物質(LiCoO2)を91重量部、バインダ
ー(PVDF)を3重量部含むものを分散媒であるNMPに分散させることによ
り調整した正極活物質ペーストを得た。 次に、上述の正極活物質ペーストを、正極集電体4となる厚さ20μmの金属
膜(ここではアルミ箔)上にドクターブレード法にて塗布した。さらに、80℃
で乾燥した後、室温でかつ所定の面圧(2ton/cm2)でプレスし、厚さ約
100μmの正極活物質層6を形成し、正極1を得た。また、負極の製造方法、
および電池の製造方法は実施例1に述べた方法に同じである。 表6は、本実施例6の電極、電池の特性及び実施例1の電極、電池の特性を示
すものであり、詳しくは各々の電極の体積固有抵抗、抵抗変化率、放電容量を示
している。 実施例1と比較して、本実施例の電極は抵抗、抵抗変化率ともに実施例1とほ
ぼ同様の値を示した。 つまり、体積固有抵抗が高い電子導電性材料を用いたときでも、導電助剤を加
えることにより、正常時の電極の体積固有抵抗を低くするとともに、放電容量を
高いものにすることができる。 ここで、導電助剤を黒鉛を人造黒鉛KS−6(ロンザ社製)としたがこれに限
定する必要はなく、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック
といったようにPTCの機能を有しないでかつ、正極活物質層の導電性を高める
機能を有する物質であれば、導電助剤は何であってもよい。 なお、上述した実施例に示した電極、電池は、有機電解液型、固体電解質型、
ゲル電解質型のリチウムイオン二次電池のみならず、リチウム/二酸化マンガン
電池などの一次電池、その他二次電池において用いることが可能である。 更には、水溶液系一次電池、二次電池についても有効である。更には、電池形
状によらず、積層型、及び巻き型、ボタン型などの一次、二次電池にも用いるこ
とが可能である。 第9図は、円筒型のリチウムイオン二次電池の構造を示す断面模式図である。
図において、11は負極端子を兼ねるステンレス製などの外装缶、12はこの外
装缶11内部に収納された電池体であり、電池体12は正極1、セパレータ3お
よび負極2を渦巻状に巻いた構造になっており、電池体12の正極1は実施例1
〜実施例6のいずれかに記載した電極の構成を有する。 または、負極2の負極活物質層に結晶性樹脂および導電性充填剤を含有する電
子導電性材料を含むような構成にしてもよい。 産業上の利用可能性 この発明による電池およびその製造方法は、有機電解液型、固体電解質型、ゲ
ル電解質型のリチウムイオン二次電池のみならず、リチウム/二酸化マンガン電
池などの一次電池、その他二次電池において用いることが可能である。 更には、水溶液系一次電池、二次電池についても有効である。更には、電池形
状によらず、積層型、及び巻き型、ボタン型などの一次、二次電池にも用いるこ
とが可能である。
第1図は本発明の電池の構成を説明するための断面模式図、第2図は実施例1
において、各温度で外部短絡電流試験を行ったときの温度と最大電流値との関係
を示す図、第3図は実施例1において、各温度で内部短絡電流試験を行ったとき
の温度と最大電流値との関係を示す図、第4図は実施例1と比較例1のアルミラ
ミネートシート封口後の状態を示す平面図、第5図は実施例1と比較例1のアル
ミラミネートシート封口後の状態を示す断面図、第6図は実施例1において内部
短絡電流試験を行ったときの温度と最大電流値との関係を示す図、第7図は実施
例2において、電子導電性材料の割合と電極の抵抗値との関係および電子導電性
材料の割合と放電容量との関係示す図、第8図は実施例3において、電子導電性
材料の粒径と電極の体積固有抵抗との関係及び電子導電性材料の粒径と放電容量
との関係を示す図、第9図は円筒型の電池の一例を示す図、第10図はPTC素
子を用いた従来の電池を示す図である。
において、各温度で外部短絡電流試験を行ったときの温度と最大電流値との関係
を示す図、第3図は実施例1において、各温度で内部短絡電流試験を行ったとき
の温度と最大電流値との関係を示す図、第4図は実施例1と比較例1のアルミラ
ミネートシート封口後の状態を示す平面図、第5図は実施例1と比較例1のアル
ミラミネートシート封口後の状態を示す断面図、第6図は実施例1において内部
短絡電流試験を行ったときの温度と最大電流値との関係を示す図、第7図は実施
例2において、電子導電性材料の割合と電極の抵抗値との関係および電子導電性
材料の割合と放電容量との関係示す図、第8図は実施例3において、電子導電性
材料の粒径と電極の体積固有抵抗との関係及び電子導電性材料の粒径と放電容量
との関係を示す図、第9図は円筒型の電池の一例を示す図、第10図はPTC素
子を用いた従来の電池を示す図である。
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フロントページの続き
(72)発明者 相原 茂
東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三
菱電機株式会社内
(72)発明者 塩田 久
東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三
菱電機株式会社内
(72)発明者 荒金 淳
東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三
菱電機株式会社内
(72)発明者 吉岡 省二
東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三
菱電機株式会社内
(72)発明者 西村 隆
東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三
菱電機株式会社内
(注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作
成したものである。
なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の
効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に
より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。
Claims (11)
- 【請求項1】正極または負極の少なくとも一方が、活物質とこの活物質に接触す
る電子導電性材料とを有する活物質層を備え、上記正極と上記負極との間に電解
質層を狭持して電池体を構成し、上記電池体を外装体で封止した電池であって、
上記電子導電性材料は、導電性充填材と樹脂とを含有し、温度が上昇するととも
に、その抵抗が増加するように構成するとともに、上記電池体を余剰空間ができ
ないように上記外装体で封止したことを特徴とする電池。 - 【請求項2】樹脂が結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の
電池。 - 【請求項3】樹脂の融点は90℃〜160℃の範囲内であることを特徴とする請
求の範囲第1項記載の電池。 - 【請求項4】電子導電性材料を活物質100重量部に対して0.5〜15重量部
含有したことを特徴とする請求の範囲第1項記載の電池。 - 【請求項5】電子導電性材料に含まれる導電性充填材の含有割合を40重量部〜
70重量部としたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の電池。 - 【請求項6】電子導電性材料の粒径が0.05μm〜100μmであることを特
徴とする請求の範囲第1項記載の電池。 - 【請求項7】導電性充填材はカーボン材料または導電性非酸化物としたことを特
徴とする請求の範囲第1項記載の電池。 - 【請求項8】活物質層が導電助材を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載
の電池。 - 【請求項9】(a) 導電性充填材と樹脂とを含有する電子導電性材料を粉砕し
、上記電子導電性材料の微粒子を形成する工程、 (b) 上記電子導電性材料の微粒子と活物質とを分散媒に分散させること
により活物質ペーストを製造する工程、 (c) 上記活物質ペーストを乾燥させたものを所定の温度(T1)及び所
定の圧力でプレスし、電極を形成する工程、 (d) 上記電極と電解質層とを重ねあわせて貼りあわせ、電池体を構成す
る工程、 (e) 上記電池体を余剰空間ができないように外装体で封止する工程を有
することを特徴とする電池の製造方法。 - 【請求項10】樹脂が結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求の範囲第9項記載
の電池の製造方法。 - 【請求項11】所定の温度T1を樹脂の融点または融点付近の温度としたことを
特徴とする請求の範囲第9項記載の電池の製造方法。
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPWO1999067842A1 true JPWO1999067842A1 (ja) | 2002-12-03 |
Family
ID=
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