JPWO1999053057A1 - 筋細胞の分化に関係するタンパク質および遺伝子 - Google Patents
筋細胞の分化に関係するタンパク質および遺伝子Info
- Publication number
- JPWO1999053057A1 JPWO1999053057A1 JP2000-543605A JP2000543605A JPWO1999053057A1 JP WO1999053057 A1 JPWO1999053057 A1 JP WO1999053057A1 JP 2000543605 A JP2000543605 A JP 2000543605A JP WO1999053057 A1 JPWO1999053057 A1 JP WO1999053057A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- striamin
- cells
- activity
- dna
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
不死化細胞に特異的に存在するタンパク質に対する抗体を用いた抗体スクリーニングを行い、不死化細胞に特異的に発現している遺伝子の単離を試みたところ、偶然にも、所期の目的とは異なる新規な遺伝子を単離するに至った。この単離した遺伝子はデーターベース上に有意な相同性を示す遺伝子が存在しない新規な遺伝子であり、骨格筋および未分化の細胞に強く発現した。さらに該遺伝子がコードするタンパク質は、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有し、また、腫瘍の抑制に関与する転写因子であるp53のトランスアクチベーション機能を抑制した。
Description
【発明の詳細な説明】技術分野
筋細胞の分化に関係する新規なタンパク質および該タンパク質をコードするD
NAに関する。背景技術 筋肉クレアチンキナーゼ,トロポニン,カベオリン3,α−アクチン及びミオ
シンといった遺伝子は、骨格筋内で優位に発現するものとして報告されている。
筋肉に特異的な遺伝子の発現を制御しているmyoD,ミオゲニン,myf−5
及びMRF−4/ヘルクリン/myf−6のような筋肉に特異的な転写要因のフ
ァミリーもすでにクローン化されている。これらは、二量体化とDNAへの結合
に必要とされるヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)モチーフを含むリ
ン酸化された核タンパク質であり、細胞に特異的な分化プログラムを決定してい
るらしい(Olson and Klein,(1994)Genes & D
ev.8,1−8)。これらの因子の一つが非筋原性細胞に導入されると、成熟
筋肉細胞への分化が始まる(Weintraub et al.,(1991)
Science 251:761−766)。転写因子であるmyoDファミリ
ーは、筋形成を指令し、増殖を抑制し、分化を活性化し、そして収縮性の表現型
を誘導することが明らかにされた。myoD及びmyf−5が増殖している筋芽
細胞内で発現しているのに対して、ミオゲニンとMRF−4は、筋芽細胞がマイ
トジェンの消失に応じて細胞周期から離脱するまで発現しない。そのために、m
yoD及びmyf−5が筋芽細胞を増殖させる役割を持つものとして考えられて
いるのに対して、ミオゲニン及びMRF−4は筋肉の遺伝子の発現を活性化し、
維持することが明らかにされた(Emerson,(1993)Curr.Op
in.Genet.Dev.3,265−274)。その他に、RB(Shii
o et al.,(1996)Oncogene 12,1837−1845
、Wang et al,,(1997)Cancer Research 5
7,351−354),p21(Guo et al.,(1995)Mol.
Cell Biol.15,3823−3829),サイクリンD,cdk2,
cdk4(Kiess et al.,(1995)Oncogene 10,
159−166)や腫瘍抑制遺伝子p53(Soddu et al,(199
6)J.Cell Biol.134,193−204)のような細胞周期調節
タンパク質が、筋肉の分化プログラムと関係づけられている。また、最近になっ
て、カベオリン−3(Song et al.,(1996)J.Cell B
iol.271,15160−15165),α−ディストログリカン(Kos
trominova and Tanzer,(1995)J.Cell Bi
ochem.58,527−534)及びDNAメチル基転移酵素(Takag
i et al.,(1995)Eur.J.Biochem.231,282
−291)もまた、筋原性の分化に積極的な役割を果たしていることが判明した
。発明の開示 本発明は、筋細胞の分化に関係する新規なタンパク質および遺伝子、並びにそ
れらの製造および用途を提供することを課題とする。 本発明者等は、不死化細胞に特異的に存在するタンパク質に対する抗体を用い
た抗体スクリーニングを行い、不死化細胞に特異的に発現している遺伝子の単離
を試みたところ、偶然にも、所期の目的とは異なる新規な遺伝子を単離するに至
った。本発明者等は、この単離した遺伝子につき解析を行ったところ、該遺伝子
はデーターベース上に有意な相同性を示す遺伝子が存在しない新規な遺伝子であ
り、骨格筋および未分化の細胞に強く発現することを見いだした。さらに本発明
者等は該遺伝子がコードするタンパク質につき解析を進めたところ、該タンパク
質が筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有することを見いだした。さらに
、該タンパク質が腫瘍の抑制に関与する転写因子であるp53と相互作用し、p
53のトランスアクチベーション機能を抑制することを見いだした。 即ち、本発明は、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有する新規なタン
パク質およびその遺伝子、並びにそれらの製造および用途に関し、より具体的に
は、 (1) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、または該タン
パク質中のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、若し
くは付加したアミノ酸配列を有し、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有
するタンパク質、 (2) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするD
NAがコードするタンパク質であって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性
を有するタンパク質、 (3) (1)に記載のタンパク質をコードするDNA、 (4) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするD
NAであって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有するタンパク質をコ
ードするDNA、 (5) (3)に記載のDNAを含むベクター、 (6) (3)に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換体、 (7) (6)に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、(1)または
(2)に記載のタンパク質の生産方法、 (8) (1)または(2)に記載のタンパク質に結合する抗体、 (9) (1)または(2)に記載のタンパク質に結合する化合物のスクリーニ
ング方法であって、 (a)該タンパク質またはその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、 (b)該タンパク質またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出する
工程、 (c)該タンパク質またはその部分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選
択する工程、を含む方法、 (10)(9)に記載の方法により単離されうる、(1)または(2)に記載の
タンパク質に結合する化合物、 (11)(1)または(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化
合物のスクリーニング方法であって、 (a)被検試料の存在下で、筋芽細胞に(1)または(2)に記載のタンパク質
を接触させる工程、 (b)該細胞の筋管細胞への分化を検出する工程、 (c)被検試料非存在下で検出した場合と比較して、(1)または(2)に記載
のタンパク質による該分化の抑制を増強または減弱する化合物を選択する工程、 を含む方法、 (12)(1)または(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化
合物のスクリーニング方法であって、 (a)該タンパク質を発現するベクター、p53を発現するベクター、およびp
53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクターが導入されたp53欠損細
胞を提供する工程、 (b)該細胞に被検試料を接触させる工程、 (c)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および (d)被検試料を細胞に接触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活
性を低下または増加させる化合物を選択する工程、を含む方法、 (13)(11)または(12)に記載の方法により単離しうる、(1)または
(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物、 (14) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAと特異的にハイブリダ
イズし、少なくとも15塩基の鎖長を有するDNA、に関する。 本発明は、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有する新規なタンパク質
「ストリアミン(striamin)」に関する(本発明者らは、原出願(特願
平10−115975)において、該タンパク質をストリアチン(striat
in)と称していたが、その後、同一名称の他のタンパク質の存在を確認したた
め、ストリアミン(striamin)への名称の変更を行った)。マウス由来
のストリアミンcDNAの塩基配列を配列番号:1に、該cDNAによりコード
されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。配列番号:1に示すよ
うに、マウス由来のストリアミンcDNAは、149アミノ酸からなるタンパク
質をコードするORFを有する。ストリアミンタンパク質のインビトロ翻訳産物
の免疫沈降解析(図2A)および組み換えストリアミンタンパク質のウェスタン
ブロット解析(図2B)において、マウス由来のストリアミンタンパク質は約1
8kDaの分子量を示した。 また、ノーザンブロット解析によりストリアミン遺伝子は、未分化の細胞にお
いて発現し、筋芽細胞が筋管へ分化する間その発現が抑制されていることが示さ
れた(図4C)。さらに、該遺伝子の高発現により、実際に筋芽細胞の筋管への
分化が抑制された(図5)。これら事実からストリアミンタンパク質は、細胞の
未分化状態の維持に関係していると考えられる。 また、ストリアミンタンパク質の発現は、筋分化の間その発現が正の調節を受
けていることが知られている転写因子「p53」のトランスアクチベーション機
能を阻害した(図7、8)。さらに、ストリアミンタンパク質は、p53とIn
vivoおよびIn vitroにおいて、相互作用することが示された(図
9、10)。試験管内筋形成の過程でp53活性が顕著に増加することが報告さ
れているが、ストリアミンによるp53活件の抑制は、筋形成におけるストリア
ミンのダウンレギュレーションとよく符合する。これらの事実はストリアミンが
p53との直接的な相互作用によって筋形成に影響していることを示唆している
。 本発明のストリアミンタンパク質は、遺伝子組み換え技術を利用した組換えタ
ンパク質として、また天然のタンパク質として調製することができる。組換えタ
ンパク質は、例えば、後述するようにストリアミンタンパク質をコードするDN
Aで形質転換した細胞を培養することにより調製することが可能である。一方、
天然のタンパク質は、当業者に周知の方法、例えば、後述のストリアミンタンパ
ク質に結合する抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを行うことによ
り、骨格筋などの組織から単離することが可能である。抗体は、ポリクローナル
抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体であれ
ば、例えば、ストリアミンタンパク質をウサギなどの小動物に免疫し血清を得て
、これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイ
オン交換クロマトグラフィー、ストリアミンタンパク質をカップリングしたアフ
ィニティーカラムなどにより精製することで調製することが可能である。また、
モノクローナル抗体であれば、ストリアミンタンパク質をマウスなどの小動物に
免疫を行い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細胞にし、マウス
ミエローマ細胞とポリエチレングリコールなどの試薬により融合させ、これによ
りできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、これらタンパク質に対する抗体
を産生するクローンを選択する。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔
内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例え
ば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマ
トグラフィー、ストアリアチンタンパク質をカップリングしたアフィニティーカ
ラムなどにより精製することで調製することが可能である。 なお、得られた抗体を人体に投与する目的(抗体治療など)で使用する場合に
は、免疫原性を低下させるため、ヒト型化抗体またはヒト抗体を用いると有効で
ある。抗体をヒト型化する方法としては、モノクロナール抗体生産細胞から抗体
遺伝子をクローニングし、その抗原決定部位を既存のヒト抗体に移植するCDR
グラフト法などが知られている。また、免疫系をヒトのものと入れ換えたマウス
を免疫して、通常のモノクロナール抗体と同様に直接ヒト抗体を作製こともでき
る。 また、当業者であれば、天然型のストリアミンタンパク質のみならず、公知の
方法を用いてタンパク質中のアミノ酸の置換などを適宜行い、天然型のタンパク
質と同等の機能(例えば、筋芽細胞の筋管への分化の抑制、p53との結合活性
、p53のトランスアクチベーション機能の抑制など)を有する改変タンパク質
を調製することが可能である。また、タンパク質のアミノ酸の変異は自然界にお
いても生じることがある。このようにアミノ酸の置換、欠失、付加などにより天
然型のタンパク質に対してアミノ酸配列が異なるタンパク質であって、天然型の
タンパク質と同等の機能を有するタンパク質もまた本発明のタンパク質に含まれ
る。当業者に公知のアミノ酸を改変する方法としては、例えば、PCRによる部
位特異的変異誘発システム(GIBCO−BRL,Gaithersburg,
Maryland)、オリゴヌクレオチドによる部位特異的変異誘発法(Kra
mer,W.and Fritz,HJ(1987)Methods in E
nzymol.,154:350−367)、Kunkel法(Methods
Enzymol.85,2763−2766(1988))などが挙げられる
。アミノ酸の置換は、通常、10アミノ酸以内であり、好ましくは6アミノ酸以
内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。 調製したタンパク質における筋芽細胞の筋管への分化の抑制活性は、例えば、
マウスC2C12筋芽細胞株の培養系(マウスC2C12筋芽細胞株は、無血清
もしくは2%ウマ血清含有DMEM培地で培養すると、多核の筋管細胞へと分化
する)を利用し、被検タンパク質の存在下でC2C12筋芽細胞株を培養した際
の多核の筋管細胞への分化能の測定などの方法で検出することができる(実施例
6参照)。また、調製したタンパク質におけるp53との結合活性は、例えば、
In vitroまたはIn vivoで両タンパク質を接触させ、抗p53抗
体、調製したタンパク質に対する抗体、あるいはこれらタンパク質にタグを付加
した場合にはタグに対する抗体を用いた免疫沈降およびそれに続くウェスタンブ
ロッティングにより検出することができる(実施例10、11参照)。調製した
タンパク質におけるp53のトランスアクチベーション機能の抑制は、例えば、
p53発現ベクターおよびp53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクタ
ーが導入された細胞内に、調製したタンパク質を発現するベクターを導入し、レ
ポーター活性を測定し、該レポーター活性を対照(調製したタンパク質を発現す
るベクターを導入しない場合)と比較することにより検出することができる(実
施例8、9参照)。 また、当業者であれば、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook e
t al.,Molecular Cloning 2nd ed.9.47−
9.58,Cold Spring Harbor Lab.press,19
89)などを用いて、マウス由来のストリアミンタンパク質をコードするDNA
(配列番号:1)またはその一部を基に、これと相同性の高いDNAを単離して
、該DNAからマウス由来のストリアミンタンパク質(配列番号:2)と同等の
機能を有するタンパク質を得ることも通常行いうることである。このようにマウ
ス由来のストリアミンタンパク質をコードするDNAとハイブリダイズするDN
Aがコードするタンパク質であって、同等の機能を有するタンパク質(例えば、
実施例5において検出されたヒト由来の3.1kbの転写産物によりコードされ
るタンパク質)も本発明のタンパク質に含まれる。ハイブリダイズするDNAを
他の生物から単離する場合には、これらに制限されないが、例えば、ヒト、ラッ
ト、ウサギ、ウシなどが用いられ、特に骨格筋などの組織が単離に適している。
これにより単離されるマウス由来のストリアミンタンパク質と同等の機能を有す
るタンパク質をコードするDNAは、通常、マウス由来のストリアミンタンパク
質をコードするDNA(配列番号:1)と高い相同性を有する。高い相同性とは
、アミノ酸レベルにおいて少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、さら
に好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上の配列の同一性を指す。
タンパク質の相同性を決定するには、文献(Wilbur,W.J.and L
ipman,D.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(198
3)80,726−730)に記載のアルゴリズムにしたがえばよい。 このような相同性の高いDNAを単離するためのハイブリダイゼーションの条
件の例を示せば、以下の如くである。即ち、「ExpressHyb Hybr
idization Solution」(CLONTECH社製)を用い、5
5℃で30分以上プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを
添加し、37℃から55℃で1時間以上保温することによりハイブリダイゼーシ
ョンを行う。その後、2xSSC、0.1%SDS中、室温で20分の洗浄を3
回、次いで、1xSSC、0.1%SDS中、37℃で20分の洗浄を1回行う
。より好ましい条件としては、「ExpressHyb Hybridizat
ion Solution」(CLONTECH社製)を用い、60℃で30分
以上プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、60
℃で1時間以上保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後、2
xSSC、0.1%SDS中、室温で20分の洗浄を3回、次いで、1xSSC
、0.1%SDS中、50℃で20分の洗浄を2回行う。さらに好ましい条件と
しては、「ExpressHyb Hybridization Soluti
on」(CLONTECH社製)を用い、68℃で30分以上プレハイブリダイ
ゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、68℃で1時間以上保温す
ることによりハイブリダイゼーションを行う。その後、2xSSC、0.1%S
DS中、室温で20分の洗浄を3回、次いで、0.1xSSC、0.1%SDS
中、50℃で20分の洗浄を2回行う。 また、本発明は、上記本発明のストリアミンタンパク質をコードするDNAに
関する。本発明のDNAは、上記本発明のストリアミンタンパク質をコードしう
る限り、cDNAの他、ゲノムDNAや合成DNAなども含まれる。本発明のD
NAは、例えば、組換えタンパク質の生産に利用しうる。即ち、本発明のDNA
(例えば、配列番号:1)を適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な
細胞に導入して得た形質転換体を培養し、発現させたタンパク質を精製すること
により組換えタンパク質を調製することが可能である。組換えタンパク質の生産
に用いる細胞としては、例えば、COS細胞、CHO細胞、NIH3T3細胞な
どの哺乳類細胞、Sf9細胞などの昆虫細胞、酵母細胞、大腸菌(E.coli
)が挙げられるが、これらに制限されない。また、細胞内で組換えタンパク質を
発現させるためのベクターは、宿主細胞に応じて変動するが、例えば、哺乳類細
胞のベクターとしてはpcDNA3(Invitrogen社製)やpEF−B
OS(Nucleic Acids.Res.1990,18(17),p53
22)などが、昆虫細胞のベクターとしては「BAC−to−BAC bacu
lovirus expression system」(GIBCO BRL
社製)などが、酵母細胞のベクターとしては「Pichia Express
ion Kit」(Invitrogen社製)などが、大腸菌のベクターとし
てはpGEX−5X−1(Pharmacia社製)、「QIAexpress
system」(Qiagen社製)などが挙げられる。宿主細胞へのベクタ
ーの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニ
ックリポソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレ
クロポレーション法、塩化カルシウム法などの方法を用いて行うことができる。
また、形質転換体の培養は、形質転換体の性質に応じて、当業者に公知の方法で
行うことができる。得られた形質転換体からの組換えタンパク質の精製は、例え
ば、文献「The Qiaexpressionist handbook,Q
iagen,Hilden,Germany」記載の方法を用いて行うことが可
能である。 また、本発明のDNAは、その変異に起因する疾患の遺伝子治療に用いること
も考えられる。遺伝子治療に用いる場合には、本発明のDNAをアデノウイルス
ベクター(例えば、pAdexLcw)やレトロウイルスベクター(例えば、p
ZIPneo)などに挿入して、生体内に投与する。投与方法は、ex viv
o法であっても、in vivo法であってもよい。 本発明はまた、本発明のストリアミンタンパク質をコードするDNAまたは該
DNAと相補的なDNAと特異的にハイブリダイズし、少なくとも15塩基の鎖
長を有するDNAに関する。「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイ
ブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件下で、他のタンパク質をコードするDNAとのクロスハイブリダイゼー
ションが有意に生じないことを意味する。このようなDNAには、本発明のタン
パク質をコードするDNA又は該DNAと相補的なDNAと特異的にハイブリダ
イズし得るプローブやプライマー、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体(例え
ばアンチセンスオリゴヌクレオチドやリボザイム等)が含まれる。 本発明は、例えば、配列番号:2に示される塩基配列中のいずれかの箇所にハ
イブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。このアンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、好ましくは配列番号:2に示される塩基配列中の連続する
少なくとも15個以上のヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド
である。さらに好ましくは、前記連続する少なくとも15個以上のヌクレオチド
が翻訳開始コドンを含む、前記のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、それらの誘導体や修飾体を使用す
ることができる。このような修飾体として、例えばメチルホスホネート型又はエ
チルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、ホスホロチオエ
ート修飾体又はホスホロアミデート修飾体等が挙げられる。 ここでいう「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、DNA又はmRNAの
所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドが全て相補的である
もののみならず、DNAまたはmRNAとオリゴヌクレオチドとが配列番号:2
に示される塩基配列に特異的にハイブリダイズできる限り、1又は複数個のヌク
レオチドのミスマッチが存在していてもよい。 このようなDNAとしては、少なくとも15個の連続したヌクレオチド配列領
域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%
、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の相同性を有するものを示す。なお
、相同性を決定するためのアルゴリズムは本明細書に記載したものを使用すれば
よい。このようなDNAは、後述の実施例に記載するように本発明のタンパク質
をコードするDNAを検出若しくは単離するためのプローブとして、又は増幅す
るためのプライマーとして有用である。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明のタンパク質の産
生細胞に作用して、該タンパク質をコードするDNA又はmRNAに結合するこ
とにより、その転写又は翻訳を阻害したり、mRNAの分解を促進したりして、
本発明のタンパク質の発現を抑制することにより、結果的に本発明のタンパク質
の作用を抑制する効果を有する。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、それらに対して不活性な
適当な基剤と混和して塗布剤、パップ剤等の外用剤とすることができる。 また、必要に応じて、賦形剤、等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、無
痛化剤等を加えて錠剤、散財、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注
射剤、液剤、点鼻剤など、さらに凍結乾燥剤とすることができる。これらは常法
にしたがって調製することができる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用する
か、又は血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に適用
する。さらには、持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いること
もできる。例えば、リポソーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール
、リポフェクチン又はこれらの誘導体が挙げられる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、患者の状態に応
じて適宜調整し、好ましい量を用いることができる。例えば、0.1〜100m
g/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの範囲で投与することができる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明のタンパク質の発現を阻害
し、従って本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制することにおいて有用であ
る。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する発現阻害剤は、
本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制することが可能である点で有用である
。 また、本発明は、本発明のタンパク質を利用する、本発明のタンパク質に結合
する化合物のスクリーニング方法に関する。このスクリーニング方法は、(a)
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、(b
)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出す
る工程、(c)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドに結合する化合物を
選択する工程、を含む。 スクリーニングに用いられる本発明のタンパク質は組換えタンパク質であって
も、天然由来のタンパク質であってもよい。また部分ペプチドであってもよい。
被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微
生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、ペ
プチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物などが挙げられる
。 本発明のタンパク質を用いて、これに結合するタンパク質をスクリーニングす
る方法としては、当業者に公知の多くの方法を用いることが可能である。このよ
うなスクリーニングは、例えば、免疫沈降法により行うことができる。具体的に
は、以下のように行うことができる。本発明のタンパク質をコードする遺伝子を
、pSV2neo,pcDNA I,pCD8などの外来遺伝子発現用のプロモ
ーターの下流に挿入することで動物細胞などで当該遺伝子を発現させる。発現に
用いるプロモーターとしてはSV40 early promoter(Rig
by In Williamson(ed.),Genetic Engine
ering,Vol.3.Academic Press,London,P.
83−141(1982)),EF−1 α Promoter(Kimら G
ene 91,p.217−223(1990)),CAG promoter
(Niwa et al.Gene 108,p.193−200(1991)
),RSV LTR promoter(Cullen Methods in
Enzymology 152,p.684−704(1987),SR α
promoter(Takebe et al.Mol.Cell.Biol
.8,p.466(1988)),CMV immediate early
promoter(Seed and Aruffo Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 84,p.3365−3369(1987)),SV
40 late promoter(Gheysen and Fiers J
.Mol.Appl.Genet.1,p.385−394(1982)),A
denovirus late promoter(Kaufman et a
l.Mol.Cell.Biol.9,p.946(1989)),HSV T
K promoter等の一般的に使用できるプロモーターであれば何を用いて
もよい。動物細胞に遺伝子を導入することで外来遺伝子を発現させるためには、
エレクトロポレーション法(Chu,G.et al.Nucl.Acid R
es.15,1311−1326(1987))、リン酸カルシウム法(Che
n,C and Okayama,H.Mol.Cell.Biol.7,27
45−2752(1987))、DEAEデキストラン法(Lopata,M.
A.et al.Nucl.Acids Res.12,5707−5717(
1984);Sussman,D.J.and Milman,G.Mol.C
ell.Biol.4,1642−1643(1985))、リポフェクチン法
(Derijard,B.Cell 7,1025−1037(1994);L
amb,B.T.et al.Nature Genetics 5,22−3
0(1993);Rabindran,S.K.et al.Science
259,230−234(1993))等の方法があるが、いずれの方法によっ
てもよい。特異性の明らかとなっているモノクローナル抗体の認識部位(エピト
ープ)を本発明のタンパク質のN末またはC末に導入することにより、モノクロ
ーナル抗体の認識部位を有する融合タンパク質として本発明のタンパク質を発現
させることができる。用いるエピトープー抗体系としては市販されているものを
利用することができる(実験医学 13,85−90(1995))。マルチク
ローニングサイトを介して、βーガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク質
、グルタチオンSートランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)などと
の融合タンパク質を発現することができるベクターが市販されている。 融合タンパク質にすることにより本発明のタンパク質の性質をできるだけ変化
させないようにするために数個から十数個のアミノ酸からなる小さなエピトープ
部分のみを導入して、融合タンパク質を調製する方法も報告されている。例えば
、ポリヒスチジン(His−tag)、インフルエンザ凝集素HA、ヒトc−m
yc、FLAG、Vesicular stomatitisウイルス糖タンパ
ク質(VSV−GP)、T7 gene10 タンパク質(T7−tag)、ヒ
ト単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(HSV−tag)、E−tag(モノク
ローナルファージ上のエピトープ)などのエピトープとそれを認識するモノクロ
ーナル抗体を、本発明のタンパク質に結合するタンパク質のスクリーニングのた
めのエピトープ−抗体系として利用できる(実験医学 13,85−90(19
95))。 免疫沈降においては、これらの抗体を、適当な界面活性剤を利用して調製した
細胞溶解液に添加することにより免疫複合体を形成させる。この免疫複合体は本
発明のタンパク質、それと結合能を有するタンパク質、および抗体からなる。上
記エピトープに対する抗体を用いる以外に、本発明のタンパク質に対する抗体を
利用して免疫沈降を行うことも可能である。本発明のタンパク質に対する抗体は
、例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子を適当な大腸菌発現ベクター
に導入して大腸菌内で発現させ、発現させたタンパク質を精製し、これをウサギ
やマウス、ラット、ヤギ、ニワトリなどに免疫することで調製することができる
。また、合成した本発明のタンパク質の部分ペプチドを上記の動物に免疫するこ
とによって調製することもできる。 免疫複合体は、例えば、抗体がマウスIgG抗体であれば、Protein
A SepharoseやProtein G Sepharoseを用いて沈
降させることができる。また、本発明のタンパク質を、例えば、GSTなどのエ
ピトープとの融合タンパク質として調製した場合には、グルタチオン−Seph
arose 4Bなどのこれらエピトープに特異的に結合する物質を利用して、
本発明のタンパク質の抗体を利用した場合と同様に、免疫複合体を形成させるこ
とができる。 免疫沈降の一般的な方法については、例えば、文献(Harlow,E.an
d Lane,D.:Antibodies,pp.511−552,Cold
Spring Harbor Laboratory publicatio
ns,New York(1988))記載の方法に従って、または準じて行え
ばよい。 免疫沈降されたタンパク質の解析にはSDS−PAGEが一般的であり、適当
な濃度のゲルを用いることでタンパク質の分子量により結合していたタンパク質
を解析することができる。また、この際、一般的には本発明のタンパク質に結合
したタンパク質は、クマシー染色や銀染色といったタンパク質の通常の染色法で
は検出することは困難であるので、放射性同位元素である35S−メチオニンや
35S−システインを含んだ培養液で細胞を培養し、該細胞内のタンパク質を標
識して、これを検出することで検出感度を向上させることができる。タンパク質
の分子量が判明すれば直接SDS−ポリアクリルアミドゲルから目的のタンパク
質を精製し、その配列を決定することもできる。 また、本発明のタンパク質を用いて、該タンパク質に結合するタンパク質を単
離する方法としては、例えば、ウエストウエスタンブロッティング法(Skol
nik,E.Y.et al.,Cell(1991)65,83−90)を用
いて行うことができる。すなわち、本発明のタンパク質と結合する結合タンパク
質を発現していることが予想される細胞、組織、臓器(例えば、筋芽細胞、NI
H3T3細胞など)よりファージベクター(λgt11,ZAPなど)を用いた
cDNAライブラリーを作製し、これをLB−アガロース上で発現させフィルタ
ーに発現させたタンパク質を固定し、標識して精製した本発明のタンパク質と上
記フィルターとを反応させ、本発明のタンパク質と結合したタンパク質を発現す
るプラークを標識により検出すればよい。本発明のタンパク質を標識する方法と
しては、ビオチンとアビジンの結合性を利用する方法、本発明のタンパク質又は
本発明のタンパク質に融合したペプチド又はポリペプチド(例えばGSTなど)
に特異的に結合する抗体を利用する方法、ラジオアイソトープを利用する方法又
は蛍光を利用する方法等が挙げられる。 また、本発明のスクリーニング方法の他の態様としては、細胞を用いた2−ハ
イブリッドシステム(Fields,S.,and Sternglanz,R
.,Trends.Genet.(1994)10,286−292)を用いて
行う方法が挙げられる。「twoハイブリッドシステム」(「MATCHMAR
KER Two−Hybrid System」,「Mammalian MA
TCHMAKER Two−Hybrid Assay Kit」,「MATC
HMAKER One−Hybrid System」(いずれもClonte
ch社製)、「HybriZAP Two−Hybrid Vector Sy
stem」(Stratagene社製)、文献「Dalton S,and
Treisman R(1992)Characterization of
SAP−1,a proteinrecruited by serum re
sponse factor to the c−fos serum res
ponse element.Cell 68,597−612」)においては
、本発明のタンパク質をSRF結合領域またはGAL4結合領域と融合させて酵
母細胞の中で発現させ、本発明のタンパク質と結合するタンパク質を発現してい
ることが予想される細胞より、VP16またはGAL4転写活性化領域と融合す
る形で発現するようなcDNAライブラリーを作製する。これを上記酵母細胞に
導入し、検出された陽性クローンからライブラリー由来cDNAを単離する(酵
母細胞内で本発明のタンパク質と結合するタンパク質が発現すると、両者の結合
によりレポーター遺伝子が活性化され、陽性のクローンが確認できる)。さらに
該cDNAを大腸菌に導入してタンパク質を発現させることができる。これによ
り、本発明のタンパク質に結合するタンパク質またはその遺伝子を調製すること
も可能である。レポーター遺伝子としては、HIS3遺伝子の他、Ade2遺伝
子、LacZ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等を用いることがで
きる。 本発明のタンパク質と結合する化合物のスクリーニングは、アフィニティクロ
マトグラフィーを用いて行うこともできる。例えば、本発明のタンパク質をアフ
ィニティーカラムの担体に固定し、ここに本発明のタンパク質と結合するタンパ
ク質を発現していることが予想される被験試料を適用する。この場合の被験試料
としては、例えば細胞抽出物、細胞溶解物等が挙げられる。被験試料を適用した
後、カラムを洗浄し、本発明のタンパク質に結合したタンパク質を調製すること
ができる。 得られたタンパク質は、そのアミノ酸配列を分析し、それを基にオリゴDNA
を合成し、該DNAをプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングす
ることにより、該タンパク質をコードするDNAを得ることができる。 本発明において、結合した化合物を検出又は測定する手段として表面プラズモ
ン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することもできる。表面プラズモン
共鳴現象を利用したバイオセンサーは本発明のタンパク質と被検化合物との間の
相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共
鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である(例えばBIAco
re、Pharmacia製)。したがって、BIAcore等のバイオセンサ
ーを用いることにより本発明のタンパク質と被験化合物との結合を評価すること
が可能である。 また、タンパク質に限らず、本発明のタンパク質に結合する化合物を単離する
方法としては、例えば、固定した本発明のタンパク質に、合成化合物、天然物バ
ンク、もしくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリーを作用させ
、本発明のタンパク質に結合する分子をスクリーニングする方法や、コンビナト
リアルケミストリー技術によるハイスループットを用いたスクリーニング方法(
Wrighton NC;Farrell FX;Chang R;Kashy
ap AK;Barbone FP;Mulcahy LS;Johnson
DL;Barrett RW;Jolliffe LK;Dower WJ.,
Small peptides as potent mimetics of
the protein hormone erythropoietin,
Science(UNITED STATES)Jul 26 1996,27
3 p458−64、Verdine GL.,The combinator
ial chemistry of nature.Nature(ENGLA
ND)Nov 7 1996,384 p11−13、Hogan JC Jr
.,Directed combinatorial chemistry.N
ature(ENGLAND)Nov 7 1996,384 p17−9)が
当業者に公知である。 また、本発明は、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物をス
クリーニングする方法に関する。本発明のタンパク質は、筋芽細胞の筋管細胞へ
の分化を抑制する活性を有することから、この活性を指標に、本発明のタンパク
質の活性を促進または阻害する化合物をスクリーニングすることが可能である。
即ち、該スクリーニングは、(a)被検試料の存在下で、筋芽細胞に本発明のタ
ンパク質を接触させる工程、(b)該細胞の筋管細胞への分化を検出する工程、
(c)被検試料非存在下で検出した場合と比較して、本発明のタンパク質による
該分化の抑制を増強または減弱する化合物を選択する工程、を含む方法により実
施することができる。 スクリーニングに用いられる本発明のタンパク質としては、天然由来のタンパ
ク質であっても、組み換えタンパク質であってもよい。また、精製されたタンパ
ク質であっても、細胞培養上清(タンパク質が細胞から分泌される場合)であっ
てもよい。 被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵
微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、
ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物が挙げられる。
また、上記の本発明のタンパク質に結合する化合物のスクリーニングで得られた
化合物を被検試料として用いることも可能である。 筋管細胞への分化を検出する筋芽細胞としては、例えば、C2C12筋芽細胞
を好適に用いることができるが、これに制限されない。筋管細胞への分化は、例
えば、実施例に記載のマウスC2C12筋芽細胞株の培養系(マウスC2C12
筋芽細胞株は、無血清もしくは2%ウマ血清含有DMEM培地で培養すると、多
核の筋管細胞へと分化する)を利用し、被検試料および本発明のタンパク質の存
在下でC2C12筋芽細胞株を培養した際の多核の筋管細胞への分化能の測定な
どの方法で検出することができる。 本発明において、本発明のタンパク質がp53の転写因子活性を抑制すること
が示された。従って、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物の
スクリーニングは、また、該転写因子活性を指標に行うことができる。即ち、該
スクリーニングは、(a)該タンパク質を発現するベクター、p53を発現する
ベクター、およびp53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクターが導入
されたp53欠損細胞を提供する工程、(b)該細胞に被検試料を接触させる工
程、(c)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および(d)被検試
料を細胞に接触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活性を低下また
は増加させる化合物を選択する工程、を含む方法により実施することが可能であ
る。 具体的には、実施例8または9に記載された、ストリアミンによるp53転写
因子活性の抑制を検出する系に被検試料を添加して、レポーター活性を検出し、
該活性を変化させる化合物を選択すればよい。 被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵
微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、
ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物が挙げられる。
また、上記の本発明のタンパク質に結合する化合物のスクリーニングで得られた
化合物を被検試料として用いることも可能である。 ストリアミン発現ベクターとしては、完全長ストリアミンを発現するベクター
であっても、p53の転写因子活性を抑制しうるストリアミンの部分ペプチド(
例えば、C末端ストリアミン)を発現するベクターであってもよい。 p53発現ベクターとしては、p53の発現を誘導的に調節しうるベクターで
あることが好ましい。このようなベクターとしては、例えば、温度感受性p53
発現ベクターが挙げられる。 p53に応答してレポーターを発現するプラスミドは、p53応答配列の下流
にレポーター遺伝子が連結しているベクターである。p53応答配列としては、
「ATGCTTGCCC」を用いることができる。レポーター遺伝子としては、
検出可能であれば特に制限はなく、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラク
トシダーゼ遺伝子が挙げられる。 ベクターを導入する細胞としては、内因性のp53によりレポーター遺伝子が
発現しないようにするために、p53欠損細胞が好ましい。p53欠損細胞とし
ては、例えば、p53−/−マウス胎児性繊維芽細胞が挙げられる。 本スクリーニングにおけるレポーター活性の検出の結果、被検試料を細胞に接
触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活性を低下させれば、用いた
被検試料は、本発明のタンパク質の活性を促進する化合物である(または該化合
物を含む)と判定され、一方、該レポーター活性を増加させれば、用いた被検試
料は、本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物である(または該化合物を含
む)と判定される。 なお、本発明におけるスクリーニングにおいて「本発明のタンパク質の活性を
促進または阻害する化合物」とは、本発明のタンパク質からのシグナル伝達を促
進または阻害するものであれば制限はなく、本発明のタンパク質に直接作用して
、その活性を促進または阻害する化合物に限られない。本発明のタンパク質から
のシグナル伝達の下流に作用して、該シグナル伝達を促進または阻害する化合物
も含まれる。 本発明のスクリーニングにより得られる化合物は、本発明のタンパク質が関連
する疾患において、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害するための薬剤
や、本発明のタンパク質からのシグナル伝達を促進または阻害する薬剤の候補と
なる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる、本発明のタンパク質に結
合する活性を有する化合物の構造の一部を、付加、欠失及び/又は置換により変
換される物質も、本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物に含まれ
る。 本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物をヒトや他の哺乳動物、
例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、
ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、チンパンジーの医薬として使用する場合には、
単離された化合物自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により
製剤化して投与を行うことも可能である。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に、あるいは
水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注
射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒
体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、
安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤などと適宜組み合わせて、
一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製
剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の
適当な容量が得られるようにするものである。 錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、
コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロ
ースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、
ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、シヨ糖、乳糖又はサッカリンのよう
な甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる
。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液
状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のよう
なベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。 注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含
む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化
ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタ
ノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50
と併用してもよい。 油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジ
ル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝
液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例え
ばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された
注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。 患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射などのほか、鼻
腔内的、経気管支的、筋内的、または経口的に当業者に公知の方法により行いう
る。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であ
れば適当な投与量を適宜選択することが可能である。また、該化合物がDNAに
よりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、
遺伝子治療を行うことも考えられる。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、
症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。 例えば、本発明のタンパク質と結合する化合物や本発明のタンパク質の活性を
促進または阻害する化合物の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から
100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から2
0mgである。 非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投
与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとし
て)においては、1日あたり約0.01から30mg、好ましくは約0.1から
20mg、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与
することができる。発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制
限されるものではない。 [実施例1] 細胞培養 タンパク質及びクローニングの研究の比較に用いた、マウスのCD1−ICR
株由来の正常なマウスの初期繊維芽細胞(CMEF),CMEFから確立された
不死化クローン(RS−4),及びNIH 3T3細胞を、文献(Wadhwa
et al.,(1991)Mutat.Res.13.256,243−2
54)の記載に従って培養した。一過性の形質転換に用いるCOS7細胞を10
%ウシ胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル最小必要培地で培養した。 [実施例2] cDNAのクローニングとシーケエンス 正常なマウス細胞(CMEF)と不死化細胞(NIH 3T3)由来のTri
ton X−100可溶性原形質膜画分の比較により、ほぼ33−kDaのタン
パク質がNIH 3T3には存在するが、CMEFには存在しないことが明らか
となった(Wadhwa et al.,(1991)Mutat.Res.1
3.256,243−254)。このタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲ
ルから分離し、ポリクローナル抗体の作成に用いた。作成した抗p33抗体を、
ラムダZAPIIベクターで構築したRS−4細胞由来のcDNAライブラリー
の免疫スクリーニングによるcDNAクローニングに用いた。この結果、5つの
クローンが得られ、それらをpBluescriptベクターのT3及びT7プ
ライマーを用いた部分的な配列決定により特徴づけた。5つのクローンのうち3
つはすでに知られている遺伝子、すなわちFuschop(Rabbitts
et al.,(1993)Nat.Genet.4,175−180、Kur
oda et al.,(1995)Am.J.Pathol.147,122
1−1227)、G−ウトロピン(Blake et al.,(1995)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 92,3697−3701)及
びディストロピン(Love et al.,(1989)Nature 33
9,55−58)と同一性が示されたのに対して、2つのクローンはDNA配列
データーベース内に一致するものを見いだせなかった。しかしながら、2つの新
規なクローンのインビトロにおける翻訳産物は抗−p33抗体で沈降しなかった
。この事実は、これら2つのクローンが最初にSDSポリアクリルアミドゲル上
で不死化細胞から同定された33−kDaのタンパク質と関連性がないことを示
している。本発明者らは、単離したクローンの1つである#336の特徴づけを
行った。なお、cDNAクローンの配列はジデオキシチェーンターミネーション
法により決定し、反応をABI377自動配列塩基決定機で分析した。 #336と称する2.4kbのcDNAクローンの全配列は3’末端からのエ
キソヌクレアーゼIIIを用いた方法(TAKARAキロシークエンス用デレー
ションキット、宝酒造)及びプライマー歩行によって得た。さらにクローンの5
’末端は、プライマーに特異的な3つのアンチセンス遺伝子、すなわちSP1(
配列番号:3/TGTCACTGCCACGCCTTCTCGGTGCGCAG
)、SP2(配列番号:4/TCCCGGCTGCCCTTTGGCCCATC
TTGTCCC)、SP3(配列番号:5/TGAGAAAGCGTTAGAC
GCTCTCAGAGCCCT)を用いることによって、マウスの骨格筋cDN
A上の5’マラソンRACEポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得た。5
’マラソンRACE PCRは「Marathon−ReadyTM cDNA
kit(mouse skeletal muscle,catalogue
#7456−1)(Clonetech社製)のプロトコルに従って行った。 これにより得られたストリアミンcDNAの全配列を図1および配列番号:1
に示す。得られた全長cDNA配列は、DNA配列データーバンク内に相同性が
見いだせなかった。得られたcDNAは149アミノ酸の長さのタンパク質(p
I−10.2)をコードし、タンパク質データーベース内に有意に一致するもの
が見いだせなかった。BLAST,PROSITE,GCG及びPSORTプロ
グラムによるcDNA配列の解析により、その機能の予測が可能な既知のモチー
フは見いだせなかった。しかしながら、ストリアミンの5’非コード配列には「
C/GAAAA」の繰り返しが存在し、3’非コード領域には「GT」の繰り返
しが存在することが見出された。また、0.5の標準的な疎水性および0.74
の脂肪族指数を有するタンパク質の可溶性の特性を、ProtPram解析プロ
グラムを用いて予測した。二つのプロテインキナーゼCリン酸化部位、即ち、4
5−47アミノ酸残基における「SDR(アミノ酸一文字表記)」および78−
80アミノ酸残基における「SPK(アミノ酸一文字表記)」、一つのカゼイン
キナーゼIIリン酸化部位、即ち、12−15アミノ酸残基における「SGLD
(アミノ酸一文字表記/配列番号:6)」、および二つのミリスチン酸化部位、
即ち、111−116アミノ酸残基における「GNYYCC(アミノ酸一文字表
記/配列番号:7)」および120−125アミノ酸残基における[GTRWA
K(アミノ酸一文字表記/配列番号:8)」をScanPrositeプログラ
ムにより予測した。タンパク質の他の興味深い特徴は高度の正の電荷、多くのセ
リン、ロイシン、プロリン残基、および4つのシスチンの存在であろう。さらに
、ストリアミンは、cDNAやタンパク質の配列の解析に基づいて、公知の遺伝
子ファミリーのいずれのメンバーとしても特徴づけられなかった。 [実施例3] In vitroにおける転写と翻訳 予想されるORFをpBSSK内でクローン化し、与えられた配列内のORF
の存在を確認するためにインビトロトランスレーションを行った。具体的には、
ORFを、RS−4細胞由来の逆転写ポリメラーゼ鎖反応により、センスプライ
マー(配列番号:9/GAARRCATGAAAGGCCTGGCTGGCGA
G)及びアンチセンスプライマー(配列番号:10/GAATTCTCATGT
CACTGCCACGCCTTCTCG)を用いて増幅し、Bluescrip
tプラスミドにクローン化した。pBSSK/ストリアミンを、L−[35S]
メチオニンを添加したウサギの網状赤血球溶解物(Stratagene社製)
を用いてインビトロで1時間、転写し(Trasprobe T kit,Ph
armacia社製)、翻訳した。翻訳産物をSDS−ポリアクリルアミドゲル
で分離し、オートラジオグラフィーで可視化した。インビトロで翻訳した産物は
また、抗−p33抗体を用いて免疫沈降させた。その結果、ほぼ18kDaの大
きさのタンパク質が検出され、これは#336配列内のORF由来のタンパク質
の予想される大きさとよく一致していた(図1)。 [実施例4] 組み換えストリアミンタンパク質の調製 ストリアミンcDNAのオープンリーディングフレームを、BamHI部位を
持つセンス(配列番号:11/GGATCCAAGAAAGGCCTGGCTG
GCGAG)及びHindIII部位を持つアンチセンス(配列番号:12/A
AGCTTTCATGTCACTGCCACGCCTTC)プライマーを用いた
、pBSSK/ストリアミンのPCRによって増幅した。PCRで増幅した0.
5kbフラグメントは、まずpGEM−Tベクター内にクローン化し、その正確
な配列を確認した。そして、BamHI−HindIIIを用いて切除し、最終
的に、His−Taggedタンパク質を産出するpQE30ベクター(Qia
gen社製)内にクローン化した。pQE30/ストリアミン構築物をM15細
菌に導入し、OD580=0.6にまで生育した細胞をイソプロピル−b−チオ
ガラクトピラノシド(IPTG)(0.2mM)を用いて37℃下で5時間誘導
した。この細菌の溶解物(IPTGで誘導してないものと誘導したもの)をSD
S−PAGEで分析し、続いて抗−His抗体(Qiagen社製)および抗p
33抗体を用いたウェスタンブロッティングにより分析した。その結果、約18
kDaのタンパク質が合成された(図2)。組み換えタンパク質の大きさは、c
DNAクローンをインビトロで翻訳した場合と同様に、分子の推定の大きさから
予期されたものと同じであった。 [実施例5] ノーザンブロット解析 レーン当たり2μgのポリA+RNAを含むマウス及びヒトの多様な組織のノ
ーザンブロットは、「Clonetech Laboratories,Pal
o Alto,CA」から購入した。ノーザンブロット解析は、それぞれの細胞
系から調製した全RNAから15μgを用いて行った。#336プラスミドのB
amHIの消化によって得られた1.4kb 3’非翻訳領域(UTR)フラグ
メントをプローブとして用いた。ハイブリダイゼーションはSSC−Denha
rdts−SDSバッファー中において65℃下で行った。メンブレンは、2X
SSC、0.1%SDSを含む2X SSC、1X SSC、0.1%SDS
を含む1X SSC中でそれぞれ10分間、2回づつ洗浄し、オートラジオグラ
フィーで可視化した。ブロット上のRNA量はβ−アクチンあるいは18Sリボ
ソームのプローブを用いたハイブリダイゼーションによって決定した。ノザンブ
ロッティンダによる多数のマウス及びヒトの多くの組織におけるストリアミンの
発現の解析により、マウスとヒトの骨格筋における単一な3.0kb転写産物に
対する強い反応性が示された(図3Aおよび図3B)。マウスの心臓においても
、同じ大きさの転写産物が発現することが判明した(図3A)。次に本発明者ら
は、それが筋繊維型特異性を示すかどうか試験した。4つの繊維の表現型、即ち
、速収縮筋型2A、2B、2X、および遅筋型Iは、ミオシン重鎖イソフォーム
の型の発現に基づき定義されている(Pette and Staron,(1
990)Rev.Physiol.Biochem.Pharmacol.11
6,1−76)。ストリアミン発現は、遅筋(ヒラメ筋)よりも速筋(大腿四頭
筋)で顕著であった(図4A)。大腿四頭筋(95%速収縮筋繊維2B、4%速
収縮筋繊維2X;Hamalainen and Pette(1993)J.
Histochem.Cytochem.41,733−743)、長指伸筋(
60%速収縮筋繊維2B、28%速収縮筋繊維2X、12%速収縮筋繊維2A;
Leferovich et al.,(1995)J.Neuroscien
ce 15,596−603)、腓腹筋表層(100%速収縮筋繊維2B;Za
rdnnn and Parry,(1994)Muscle & Nerve
17,1308−1316)、横隔膜(57%速収縮筋繊維2X、34%速収
縮筋繊維2A、7%遅収縮筋繊維;Zardnnn and Parry,(1
994)Muscle & Nerve 17,1308−1316)、および
ヒラメ筋(45%速収縮筋繊維2A、55%遅収縮筋繊維;Lewis et
al.,(1982)J.Physiol.325,393−401)のような
速繊維および遅繊維の含有量が異なるマウス骨格筋のノーサン解析により、スト
リアミンが速い解糖作用を有する(fast glycolytic)2B繊維
に主として発現しているとが明らかとなった(図4B)。 本発明者らは次にC2C12筋芽細胞のインビトロにおける筋形成の間のスト
リアミンの発現につき解析した。4日間の分化培地での培養後は、非分化培養や
一日の分化培養と比較して、ストリアミンの発現はごく僅かであった(図4C)
。 [実施例6] 発現クローニングと生物学的活性 ストリアミンのORFはHindIII部位を持つセンス(配列番号:13/
GGTAAGCTTATATTGTTTGCAACTACCT)及びBamHI
部位を持つアンチセンス(配列番号:14/GGATCCCATGTGACCT
AATGTTTCATGTCA)プライマーを用いたPCRによって増幅した。
はじめに増幅したフラグメントは最初にpGEM−Tベクターにクローン化し、
その配列を確認した。挿入部分はHindIII−BamHIで切断し、哺乳動
物発現ベクターであるLK444内に挿入した。このベクターは、構成的発現の
ためのβ−アクチンプロモーター及びneoマーカーを持ち、G418を添加し
た哺乳動物細胞の生育培地中で本質的に発現し、選抜される(Gunning
et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.84,4831−4835)。マウスの筋芽細胞系C2C12の形質転換は
リポフェクタミン(GIBCO−BRL社製)を用いて行い、形質転換体をG4
18(700μg/ml)を含む培地中で選抜した。G418耐性クローンのイ
ンビトロでの筋管への分化については、2%のウマの血清を添加した培地中で分
析した。 その結果、ベクターで形質転換した細胞は分化培地中で分化し、筋管の形成が
見られたが、選抜した#336で形質転換した8つのクローン中7つからは同程
度の筋管の形成が見られなかった(図5)。この結果から、#336の過剰発現
によりインビトロにおけるC2C12細胞の分化が阻害されうることが明らかと
なった。 [実施例7] ストリアミンの細胞内局在 ストリアミンのORFは、pEGFPC1ベクター(Clonetech社製
)におけるGFP ORFのC末端のフレーム内に挿入した。GFP−ストリア
ミン融合タンパク質をコードするこのプラスミドをカバーガラス上で生育してい
るCOS7細胞にLipofectamineTM(Gibco BRL社製)
を用いて導入した。カバーグラスを核染色液であるHoechst33258(
Sigma社製)(培養液中5−10μg/mlで、細胞固定前に10分間)、
メタノール/アセトン(1:1)で固定した。PBSで3回洗浄後、カバーグラ
スにFluoromount(Difco社製)をのせた。細胞は、エピフルオ
レッセンス光学系のオリンパスBH−2顕微鏡、またはCellscan Sy
stem(Scanalytics社、米国)装備ツアイヌAxiophot顕
微鏡で観察した。その結果、形質転換細胞では、同じ細胞において核染色液であ
るHoechst33258とオーバーラップした明確な緑色蛍光が観察された
(図6A)。 また、pGFPC1/ストリアミン、pGFPC1/ストリアミンN末端75
アミノ酸、pGFPC1/ストリアミンN末端74アミノ酸の顕微注入は、エッ
ペンドルフ顕微注入器を用いニコン倒立顕微鏡を利用して、カバーガラス上で生
育しているNIH3T3細胞の核に対して直接行った。上記したように、細胞を
固定し、ストリアミンの細胞内局在を解析した。その結果、pEGFPC1−ス
トリアミンにおいてはストリアミンの明確な緑色核蛍光が検出されたが、ストリ
アミンN75およびストリアミンC74の双方は細胞質に留まっていた(図6B
)。ストリアミンが何ら公知の核局在シグナルを含まないというデーターおよび
事実は、そのアミノ酸組成から予想されたように、高い正の電荷を有する完全な
自然の状態のタンパク質のコンフォメーションが核局在の原因であるかもしれな
い。 [実施例8] ストリアミンによるp53活性に与える影響の解析(ルシフェ
ラーゼによる解析) 野生型p53は、細胞分化の間に働いていることが実証されている(Alon
i−Grinstein et al.,(1995)EMBO J.14,1
392−1401)。この裏付けとなる証拠は、I)外因性のp53の過剰発現
または細胞への放射線照射がいくつかの腫瘍細胞の分化を部分的に回復させるこ
とができること(Halevy et al.,(1995)Science
267,1018−1021)、ii)C2分化の間のp53mRNAの正の調
節、iii)内因性野生型p53の阻害が、造血または筋肉の細胞分化を阻害す
ること(Soddu et al.,5(1996)J.Cell Biol.
134,193−204)である。C2分化におけるp53の役割は、細胞周期
におけるその活性とは独立であることが示されている(Soddu et al
,,(1996)J.Cell Biol.134,193−204)。この報
告の視点、および核への局在や筋原性の分化の抑制というストリアミンの特徴か
ら、本発明者らはストリアミンがp53活性に影響を与えているのではないかと
考えた。そこで、本発明者らは、ストリアミンがp53の活性を阻害できるかを
検討した。四回の独立した実験において検討した。 温度感受性p53発現プラスミド(pMSVp53Val135)およびp5
3反応性ルシフェラーゼレポーター(PG−13luc)プラスミドと、各種ス
トリアミン発現プラスミド[LK444/完全長ストリアミン−S、N末端側7
5アミノ酸残基(LK444/N−ストリアミン−S)、C末端側74アミノ酸
残基(LK444/C−ストリアミン−S)のいずれかを発現するプラスミド]
、完全長ストリアミンcDNAに対するアンチセンスRNAを発現するプラスミ
ド(LK444/ストリアミン−AS)、または対照プラスミド(LK444ベ
クター(Gunning et al.,(1987)Proc.Natl.A
cad.Sci.U.S.A.84,4831−4835))をp53−/−マ
ウス胎児性繊維芽細胞(MEF)に導入した。 図7に示すように、完全長ストリアミン(センス)は、対照と比較してp53
活性が4.6分の1に減少した。その一方、ストリアミンのアンチセンスは、対
照と比較してp53活性を1.6倍に上昇させた。C−ストリアミンのp53活
件の阻害効果は完全長ストリアミンと同等であった。しかしながら、N−ストリ
アミンでは、p53活性の阻害効果は認められなかった。この結果は、ストリア
ミンがp53の転写因子活性を抑制することができることを示している。 [実施例9] ストリアミンによるp53活性に与える影響の解析(β−ガラ
クトシダーゼによる解析) p53−/−マウス胎児性繊維芽細胞に、それぞれ0.1μg/μlのpMS
Vp53Val135,p53反応性β−galレポーターpRGC fos−
lacZ(Oncogene 1998 vol16 3317−3322)と
、LK444(対照)、LK444/完全長ストリアミン、またはLK444/
ストリアミン−ASとをマイクロインジェクトした。また、DNAが注入された
細胞を同定するために、コントロールIgGも上記プラスミドと共に細胞にマイ
クロインジェクトした。一晩、32.5度で培養した後、細胞を4%ホルムアル
デヒドデ固定し,氷上で0.1%Triton X−100を含んだPBSで5
分間処理する事により高分子物質が細胞内に浸透できるようにした後,三回PB
Sで洗浄した。 その後、DNAが導入された細胞の特定のために、FITC−結合坑−ウサギ
IgGで細胞を染色した(図上)。染色された細胞は、下図において矢印で示し
た。 一方、ストリアミンによるp53活性への影響の検出(β−ガラクトシダーゼ
の発現)は、β−gal染色キットで(Boehringer Mannhei
m)を使用して行った。細胞は、顕微鏡(Proris(AX70)、オリンパ
ス社製)で観察した。全ての青く発色している細胞をb−gal発現陽性とした
。 その結果、対照プラスミド(LK444)とアンチセンスストリアミンプラス
ミド(LK444/ストリアミン−AS)を導入した細胞では、それぞれ86%
及び88%がβ−gal陽性を呈したのに対して、ストリアミンセンスプラスミ
ド(LK444/完全長ストリアミン)を導入した細胞では、5%の陽性細胞し
か検出されなかった(図8)。従って、本実験からもストリアミンによってp5
3の活性が抑制されることが裏付けられた。この事実はストリアミンの発現がC
2C12細胞の分化に伴って低下することと符合する。 [実施例10] 試験管内におけるストリアミンとp53の相互作用 p53の転写活性化機能におけるストリアミンの効果は二つの蛋白の相互作用
の可能性を示唆している。そこで、まず、試験管内においてストリアミンとp5
3が相互作用するか否かを、免疫沈降およびそれに続くウェスタンブロティング
により検討を行った。 (1)ヒスチジンタグが付加された各種ストリアチン(融合タンパク質)の調
製 完全長ストリアミン、N末端側ストリアミン(75アミノ酸残基)、C末端
側ストリアミン(74アミノ酸残基)をコードするDNAを大腸菌における発現
ベクターであるpQE30(キアゲン社製)に挿入し、pQE30/完全長スト
リアミン、pQE30/N−ストリアミンとpQE30/C−ストリアミンを作
製した。これらプラスミドを大腸菌に導入し、発現せしめた後、組み換えタンパ
ク質の精製を行った。具体的には、まず、細胞を遠心し、そのペレットを、バッ
ファーA(10mM Tris−Cl(pH7.5),150mM NaCl,
20mM イミダゾール,6M尿素,および5mM b−メルカプトエタノール
)に浮遊せしめ、氷上で二分間超音波処理した後、室温で30分撹拌した。抽出
物を15,000gで20分間遠心し、0.5mlのニッケル−NTA−アガロ
ースアフィニティーレジン(Qiagen社製)に上清を加え、室温にて2時間
混和した。この混合物をカラムに充填し、20mlのTBS(10mM Tri
s−Cl(pH7.5)および0.5M NaCl(TBS))で洗浄した。ア
フィニティーレジンに吸着したタンパク質はTBSに0.5Mイミダゾールを加
えた溶液で溶出せしめた後、PD−10カラム(Pharmacia社製)によ
ってイミダゾールを除去した。得られた各種ストリアミンは使用するまで−20
度で保存した。精製物の純度はSDS−PAGEと坑His抗体を用いたウェス
タンブロット解析にて確認した。 (2)各種ストリアミンとp53との結合解析 上記(1)で精製された各種タンパク質(2−5μg)をGSTまたはGST
−p53(1μg,Santa Cruz社製)とNP40−溶解バッファー(
500μl)中で混合した。2時間後にグルタチオン−セファロースビーズ(2
0μl)を加え、4℃で1時間、回転させながら混合した。ビーズを遠心によっ
て沈降させ、TBSで三回洗浄後、SDSサンプルバッファーで煮沸した。その
後、各種サンプルにつきSDS−PAGEを行い、坑ヒスチジンタグ抗体を用い
たウェスタンブロッティングにより、ヒスチジンが結合した各種ストリアミンの
検出を行った。なお、併せて、坑p53抗体を用いたウエスタンブロットにより
、p53の検出も行った。 その結果、グルタチオン−セファロースビーズを用いたGST−p53の沈降
において、ヒスチジンが結合した各種ストリアミンも沈降することが示された(
図9、レーン7から9)。即ち、完全長のストリアミン、N−ストリアミン、お
よびC−ストリアミンのいずれもがp53と相互作用を示した。 なお、対照として、各種ストリアミンが発現されていることを確認するために
、GSTを添加せずにそのまま、ウェスタンブロット解析を行った(レーン1か
ら3)。各種ストリアミンは、確かに発現していた。 また、ストリアチンが直接GSTに結合しているのではないことを証明するため
に、GST−p53に代えてGSTを添加して同様に検出を行った(レーン4か
ら6)。ストリアチンは直接GSTに結合していなかった。 [実施例11] 生体内におけるストリアミンとp53の相互作用 高いトランスフェクション効率を持つCOS7細胞(内因性のp53を発現し
ている)に、GFPと各種ストリアミンとの融合タンパク質を発現させるための
プラスミド(pEGFPC1/全長ストリアミンpEGFPC1/N−ストリア
ミンまたはpEGFPC1/C−ストリアミン)または対照(pEGFPC1ベ
クター(社製))をトランスフェクションし、48時間後に細胞抽出液を調製し
た。細胞抽出液の調製においては、NP−40細胞溶解液で溶解したタンパク質
画分と、NP−40細胞溶解液で溶解しなかった画分に0.5%SDSを添加し
て煮沸し、これにより溶解した画分を得た。 これら画分に対し、それぞれ坑p53抗体(CM−1,Novocastra
Laboratories Ltd.)を添加して4℃で一晩孵置した後、プ
ロテインA/G−セファロースを添加して、4℃で30分反応させ、免疫沈降(
遠心;5000rpm,1分)を行った。 得られた免疫複合体に対し、SDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナ
ル抗体(#8362−1,Clontech社製)を用いたウエスタンブロッテ
ィングを行った。また、抗p53モノクローナル抗体(Ab−1,Calbio
chem社製)を用いたウエスタンブロッティングにより、p53の検出を併せ
て行った。 その結果、抗p53ポリクローナル抗体(CH−1、Novacastra
Laboratories,Ltd.)を用いた内因性p53の沈降において、
GFPが結合した各種ストリアミンも共に沈降することが示された(図10右)
。特に、SDS可溶性画分において、各種ストリアミンが検出された(図10右
、レーン6から8)。即ち、ストリアミンがCOS細胞内でp53と相互作用す
ることが示された。なお、内因性p53は、GFP自体とは結合しなかった(図
10右、レーン5)。 なお、坑p53抗体に代えて、対照IgGを用いて免疫沈降を行い、坑GFP
モノクローナル抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った場合には、スト
リアミンは検出されなかった(図10中央)。また、坑p53抗体を用いた免疫
沈降を行わないで、細胞溶解液自体(免疫沈降に用いた蛋白量の10%)に対し
SDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロ
ットを行った結果、GFPおよびGFPに結合したストリアミンのバンドが検出
された(図10左)。 [実施例12] 染色体上の配置 #336に特異的なセンスプライマー(配列番号:15/TGGTATTCT
TATATTGTTTGCAACTAACTA)及びアンチセンスプライマー(
配列番号:16/GGAAGGCCATGTGACCTAATGTTTCATG
TCA)を用いたP1バクテリオファージマウスゲノムライブラリーのPCRス
クリーニングにより、マウスのP1ゲノムクローンを得た。単離したP1クロー
ンを、その遺伝子の3’UTR領域とのハイブリダイゼーションにつき試験し、
続いて、蛍光インシチュハイブリダイゼション(FISH)により染色体におけ
る局在性を調べるために使用した。マウスのP1クローン由来のDNAをニック
トランスレーションによりジゴキシゲニン−dUTPを用いて標識した。標識し
たプローブを、切断したマウスのDNAと結合させ、50%ホルムアミド,10
%デキストラン硫酸,2X SSCを含む溶液中でマウスの初期繊維芽細胞由来
の分裂中期染色体とハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたスライドグラ
スを、蛍光標識した抗ジゴキシゲニン抗体中でインキュベートし、さらに4’6
’ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いたカウンター染色に
よりハイブリダイゼーションに特異的なシグナルを検出した。その結果、最初の
実験では、DAPI染色に基づき染色体12と考えられている中程度のサイズの
染色体が、特異的に標識された。第二の実験では、染色体12の動原体領域に特
異的なプローブはP1クローンとコハイブリダイズした。ストリアミンP1及び
染色体12は同一の染色体上に局在していた(図8)。総数80の分裂中期細胞
が解析され、そのうち71が特異的に標識された。特に染色体12とハイブリダ
イズした10個の測定値から、ストリアミンはヘテロクロマチン−ユーロクロマ
チン境界から染色体12のテロメア、すなわちバンド12C3(ヒト染色体14
q21−22に対応する)と関連した領域方向へ57%の距離の位置にあること
が明らかとなった。産業上の利用の可能性 本発明により、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有するストリアミン
タンパク質およびその遺伝子が提供された。本発明のストリアミンタンパク質お
よびその遺伝子は、培養細胞の未分化状態の維持に関与していると考えられるた
め、例えば、癌の治療への応用が期待される。また、マウスおよびヒト由来の遺
伝子は、組織レベルでは心臓や骨格筋に特に強い発現を示すことから、心臓や筋
肉に関連する疾患の治療への応用も考えられる。さらに、マウスおよびヒト由来
の遺伝子は、筋繊維の速収縮筋繊維に特異的に発現する。遅及び速筋繊細の表現
型の仕組みに関してはこれまでほとんど解明されておらず、本発明の遺伝子を解
析することにより、運動への応用の可能性も期待される。
NAに関する。背景技術 筋肉クレアチンキナーゼ,トロポニン,カベオリン3,α−アクチン及びミオ
シンといった遺伝子は、骨格筋内で優位に発現するものとして報告されている。
筋肉に特異的な遺伝子の発現を制御しているmyoD,ミオゲニン,myf−5
及びMRF−4/ヘルクリン/myf−6のような筋肉に特異的な転写要因のフ
ァミリーもすでにクローン化されている。これらは、二量体化とDNAへの結合
に必要とされるヘリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)モチーフを含むリ
ン酸化された核タンパク質であり、細胞に特異的な分化プログラムを決定してい
るらしい(Olson and Klein,(1994)Genes & D
ev.8,1−8)。これらの因子の一つが非筋原性細胞に導入されると、成熟
筋肉細胞への分化が始まる(Weintraub et al.,(1991)
Science 251:761−766)。転写因子であるmyoDファミリ
ーは、筋形成を指令し、増殖を抑制し、分化を活性化し、そして収縮性の表現型
を誘導することが明らかにされた。myoD及びmyf−5が増殖している筋芽
細胞内で発現しているのに対して、ミオゲニンとMRF−4は、筋芽細胞がマイ
トジェンの消失に応じて細胞周期から離脱するまで発現しない。そのために、m
yoD及びmyf−5が筋芽細胞を増殖させる役割を持つものとして考えられて
いるのに対して、ミオゲニン及びMRF−4は筋肉の遺伝子の発現を活性化し、
維持することが明らかにされた(Emerson,(1993)Curr.Op
in.Genet.Dev.3,265−274)。その他に、RB(Shii
o et al.,(1996)Oncogene 12,1837−1845
、Wang et al,,(1997)Cancer Research 5
7,351−354),p21(Guo et al.,(1995)Mol.
Cell Biol.15,3823−3829),サイクリンD,cdk2,
cdk4(Kiess et al.,(1995)Oncogene 10,
159−166)や腫瘍抑制遺伝子p53(Soddu et al,(199
6)J.Cell Biol.134,193−204)のような細胞周期調節
タンパク質が、筋肉の分化プログラムと関係づけられている。また、最近になっ
て、カベオリン−3(Song et al.,(1996)J.Cell B
iol.271,15160−15165),α−ディストログリカン(Kos
trominova and Tanzer,(1995)J.Cell Bi
ochem.58,527−534)及びDNAメチル基転移酵素(Takag
i et al.,(1995)Eur.J.Biochem.231,282
−291)もまた、筋原性の分化に積極的な役割を果たしていることが判明した
。発明の開示 本発明は、筋細胞の分化に関係する新規なタンパク質および遺伝子、並びにそ
れらの製造および用途を提供することを課題とする。 本発明者等は、不死化細胞に特異的に存在するタンパク質に対する抗体を用い
た抗体スクリーニングを行い、不死化細胞に特異的に発現している遺伝子の単離
を試みたところ、偶然にも、所期の目的とは異なる新規な遺伝子を単離するに至
った。本発明者等は、この単離した遺伝子につき解析を行ったところ、該遺伝子
はデーターベース上に有意な相同性を示す遺伝子が存在しない新規な遺伝子であ
り、骨格筋および未分化の細胞に強く発現することを見いだした。さらに本発明
者等は該遺伝子がコードするタンパク質につき解析を進めたところ、該タンパク
質が筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有することを見いだした。さらに
、該タンパク質が腫瘍の抑制に関与する転写因子であるp53と相互作用し、p
53のトランスアクチベーション機能を抑制することを見いだした。 即ち、本発明は、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有する新規なタン
パク質およびその遺伝子、並びにそれらの製造および用途に関し、より具体的に
は、 (1) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、または該タン
パク質中のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、若し
くは付加したアミノ酸配列を有し、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有
するタンパク質、 (2) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするD
NAがコードするタンパク質であって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性
を有するタンパク質、 (3) (1)に記載のタンパク質をコードするDNA、 (4) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするD
NAであって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有するタンパク質をコ
ードするDNA、 (5) (3)に記載のDNAを含むベクター、 (6) (3)に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換体、 (7) (6)に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、(1)または
(2)に記載のタンパク質の生産方法、 (8) (1)または(2)に記載のタンパク質に結合する抗体、 (9) (1)または(2)に記載のタンパク質に結合する化合物のスクリーニ
ング方法であって、 (a)該タンパク質またはその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、 (b)該タンパク質またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出する
工程、 (c)該タンパク質またはその部分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選
択する工程、を含む方法、 (10)(9)に記載の方法により単離されうる、(1)または(2)に記載の
タンパク質に結合する化合物、 (11)(1)または(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化
合物のスクリーニング方法であって、 (a)被検試料の存在下で、筋芽細胞に(1)または(2)に記載のタンパク質
を接触させる工程、 (b)該細胞の筋管細胞への分化を検出する工程、 (c)被検試料非存在下で検出した場合と比較して、(1)または(2)に記載
のタンパク質による該分化の抑制を増強または減弱する化合物を選択する工程、 を含む方法、 (12)(1)または(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化
合物のスクリーニング方法であって、 (a)該タンパク質を発現するベクター、p53を発現するベクター、およびp
53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクターが導入されたp53欠損細
胞を提供する工程、 (b)該細胞に被検試料を接触させる工程、 (c)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および (d)被検試料を細胞に接触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活
性を低下または増加させる化合物を選択する工程、を含む方法、 (13)(11)または(12)に記載の方法により単離しうる、(1)または
(2)に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物、 (14) 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAと特異的にハイブリダ
イズし、少なくとも15塩基の鎖長を有するDNA、に関する。 本発明は、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有する新規なタンパク質
「ストリアミン(striamin)」に関する(本発明者らは、原出願(特願
平10−115975)において、該タンパク質をストリアチン(striat
in)と称していたが、その後、同一名称の他のタンパク質の存在を確認したた
め、ストリアミン(striamin)への名称の変更を行った)。マウス由来
のストリアミンcDNAの塩基配列を配列番号:1に、該cDNAによりコード
されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。配列番号:1に示すよ
うに、マウス由来のストリアミンcDNAは、149アミノ酸からなるタンパク
質をコードするORFを有する。ストリアミンタンパク質のインビトロ翻訳産物
の免疫沈降解析(図2A)および組み換えストリアミンタンパク質のウェスタン
ブロット解析(図2B)において、マウス由来のストリアミンタンパク質は約1
8kDaの分子量を示した。 また、ノーザンブロット解析によりストリアミン遺伝子は、未分化の細胞にお
いて発現し、筋芽細胞が筋管へ分化する間その発現が抑制されていることが示さ
れた(図4C)。さらに、該遺伝子の高発現により、実際に筋芽細胞の筋管への
分化が抑制された(図5)。これら事実からストリアミンタンパク質は、細胞の
未分化状態の維持に関係していると考えられる。 また、ストリアミンタンパク質の発現は、筋分化の間その発現が正の調節を受
けていることが知られている転写因子「p53」のトランスアクチベーション機
能を阻害した(図7、8)。さらに、ストリアミンタンパク質は、p53とIn
vivoおよびIn vitroにおいて、相互作用することが示された(図
9、10)。試験管内筋形成の過程でp53活性が顕著に増加することが報告さ
れているが、ストリアミンによるp53活件の抑制は、筋形成におけるストリア
ミンのダウンレギュレーションとよく符合する。これらの事実はストリアミンが
p53との直接的な相互作用によって筋形成に影響していることを示唆している
。 本発明のストリアミンタンパク質は、遺伝子組み換え技術を利用した組換えタ
ンパク質として、また天然のタンパク質として調製することができる。組換えタ
ンパク質は、例えば、後述するようにストリアミンタンパク質をコードするDN
Aで形質転換した細胞を培養することにより調製することが可能である。一方、
天然のタンパク質は、当業者に周知の方法、例えば、後述のストリアミンタンパ
ク質に結合する抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを行うことによ
り、骨格筋などの組織から単離することが可能である。抗体は、ポリクローナル
抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体であれ
ば、例えば、ストリアミンタンパク質をウサギなどの小動物に免疫し血清を得て
、これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイ
オン交換クロマトグラフィー、ストリアミンタンパク質をカップリングしたアフ
ィニティーカラムなどにより精製することで調製することが可能である。また、
モノクローナル抗体であれば、ストリアミンタンパク質をマウスなどの小動物に
免疫を行い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細胞にし、マウス
ミエローマ細胞とポリエチレングリコールなどの試薬により融合させ、これによ
りできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、これらタンパク質に対する抗体
を産生するクローンを選択する。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔
内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例え
ば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマ
トグラフィー、ストアリアチンタンパク質をカップリングしたアフィニティーカ
ラムなどにより精製することで調製することが可能である。 なお、得られた抗体を人体に投与する目的(抗体治療など)で使用する場合に
は、免疫原性を低下させるため、ヒト型化抗体またはヒト抗体を用いると有効で
ある。抗体をヒト型化する方法としては、モノクロナール抗体生産細胞から抗体
遺伝子をクローニングし、その抗原決定部位を既存のヒト抗体に移植するCDR
グラフト法などが知られている。また、免疫系をヒトのものと入れ換えたマウス
を免疫して、通常のモノクロナール抗体と同様に直接ヒト抗体を作製こともでき
る。 また、当業者であれば、天然型のストリアミンタンパク質のみならず、公知の
方法を用いてタンパク質中のアミノ酸の置換などを適宜行い、天然型のタンパク
質と同等の機能(例えば、筋芽細胞の筋管への分化の抑制、p53との結合活性
、p53のトランスアクチベーション機能の抑制など)を有する改変タンパク質
を調製することが可能である。また、タンパク質のアミノ酸の変異は自然界にお
いても生じることがある。このようにアミノ酸の置換、欠失、付加などにより天
然型のタンパク質に対してアミノ酸配列が異なるタンパク質であって、天然型の
タンパク質と同等の機能を有するタンパク質もまた本発明のタンパク質に含まれ
る。当業者に公知のアミノ酸を改変する方法としては、例えば、PCRによる部
位特異的変異誘発システム(GIBCO−BRL,Gaithersburg,
Maryland)、オリゴヌクレオチドによる部位特異的変異誘発法(Kra
mer,W.and Fritz,HJ(1987)Methods in E
nzymol.,154:350−367)、Kunkel法(Methods
Enzymol.85,2763−2766(1988))などが挙げられる
。アミノ酸の置換は、通常、10アミノ酸以内であり、好ましくは6アミノ酸以
内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。 調製したタンパク質における筋芽細胞の筋管への分化の抑制活性は、例えば、
マウスC2C12筋芽細胞株の培養系(マウスC2C12筋芽細胞株は、無血清
もしくは2%ウマ血清含有DMEM培地で培養すると、多核の筋管細胞へと分化
する)を利用し、被検タンパク質の存在下でC2C12筋芽細胞株を培養した際
の多核の筋管細胞への分化能の測定などの方法で検出することができる(実施例
6参照)。また、調製したタンパク質におけるp53との結合活性は、例えば、
In vitroまたはIn vivoで両タンパク質を接触させ、抗p53抗
体、調製したタンパク質に対する抗体、あるいはこれらタンパク質にタグを付加
した場合にはタグに対する抗体を用いた免疫沈降およびそれに続くウェスタンブ
ロッティングにより検出することができる(実施例10、11参照)。調製した
タンパク質におけるp53のトランスアクチベーション機能の抑制は、例えば、
p53発現ベクターおよびp53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクタ
ーが導入された細胞内に、調製したタンパク質を発現するベクターを導入し、レ
ポーター活性を測定し、該レポーター活性を対照(調製したタンパク質を発現す
るベクターを導入しない場合)と比較することにより検出することができる(実
施例8、9参照)。 また、当業者であれば、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook e
t al.,Molecular Cloning 2nd ed.9.47−
9.58,Cold Spring Harbor Lab.press,19
89)などを用いて、マウス由来のストリアミンタンパク質をコードするDNA
(配列番号:1)またはその一部を基に、これと相同性の高いDNAを単離して
、該DNAからマウス由来のストリアミンタンパク質(配列番号:2)と同等の
機能を有するタンパク質を得ることも通常行いうることである。このようにマウ
ス由来のストリアミンタンパク質をコードするDNAとハイブリダイズするDN
Aがコードするタンパク質であって、同等の機能を有するタンパク質(例えば、
実施例5において検出されたヒト由来の3.1kbの転写産物によりコードされ
るタンパク質)も本発明のタンパク質に含まれる。ハイブリダイズするDNAを
他の生物から単離する場合には、これらに制限されないが、例えば、ヒト、ラッ
ト、ウサギ、ウシなどが用いられ、特に骨格筋などの組織が単離に適している。
これにより単離されるマウス由来のストリアミンタンパク質と同等の機能を有す
るタンパク質をコードするDNAは、通常、マウス由来のストリアミンタンパク
質をコードするDNA(配列番号:1)と高い相同性を有する。高い相同性とは
、アミノ酸レベルにおいて少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、さら
に好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上の配列の同一性を指す。
タンパク質の相同性を決定するには、文献(Wilbur,W.J.and L
ipman,D.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(198
3)80,726−730)に記載のアルゴリズムにしたがえばよい。 このような相同性の高いDNAを単離するためのハイブリダイゼーションの条
件の例を示せば、以下の如くである。即ち、「ExpressHyb Hybr
idization Solution」(CLONTECH社製)を用い、5
5℃で30分以上プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを
添加し、37℃から55℃で1時間以上保温することによりハイブリダイゼーシ
ョンを行う。その後、2xSSC、0.1%SDS中、室温で20分の洗浄を3
回、次いで、1xSSC、0.1%SDS中、37℃で20分の洗浄を1回行う
。より好ましい条件としては、「ExpressHyb Hybridizat
ion Solution」(CLONTECH社製)を用い、60℃で30分
以上プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、60
℃で1時間以上保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後、2
xSSC、0.1%SDS中、室温で20分の洗浄を3回、次いで、1xSSC
、0.1%SDS中、50℃で20分の洗浄を2回行う。さらに好ましい条件と
しては、「ExpressHyb Hybridization Soluti
on」(CLONTECH社製)を用い、68℃で30分以上プレハイブリダイ
ゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、68℃で1時間以上保温す
ることによりハイブリダイゼーションを行う。その後、2xSSC、0.1%S
DS中、室温で20分の洗浄を3回、次いで、0.1xSSC、0.1%SDS
中、50℃で20分の洗浄を2回行う。 また、本発明は、上記本発明のストリアミンタンパク質をコードするDNAに
関する。本発明のDNAは、上記本発明のストリアミンタンパク質をコードしう
る限り、cDNAの他、ゲノムDNAや合成DNAなども含まれる。本発明のD
NAは、例えば、組換えタンパク質の生産に利用しうる。即ち、本発明のDNA
(例えば、配列番号:1)を適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な
細胞に導入して得た形質転換体を培養し、発現させたタンパク質を精製すること
により組換えタンパク質を調製することが可能である。組換えタンパク質の生産
に用いる細胞としては、例えば、COS細胞、CHO細胞、NIH3T3細胞な
どの哺乳類細胞、Sf9細胞などの昆虫細胞、酵母細胞、大腸菌(E.coli
)が挙げられるが、これらに制限されない。また、細胞内で組換えタンパク質を
発現させるためのベクターは、宿主細胞に応じて変動するが、例えば、哺乳類細
胞のベクターとしてはpcDNA3(Invitrogen社製)やpEF−B
OS(Nucleic Acids.Res.1990,18(17),p53
22)などが、昆虫細胞のベクターとしては「BAC−to−BAC bacu
lovirus expression system」(GIBCO BRL
社製)などが、酵母細胞のベクターとしては「Pichia Express
ion Kit」(Invitrogen社製)などが、大腸菌のベクターとし
てはpGEX−5X−1(Pharmacia社製)、「QIAexpress
system」(Qiagen社製)などが挙げられる。宿主細胞へのベクタ
ーの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニ
ックリポソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレ
クロポレーション法、塩化カルシウム法などの方法を用いて行うことができる。
また、形質転換体の培養は、形質転換体の性質に応じて、当業者に公知の方法で
行うことができる。得られた形質転換体からの組換えタンパク質の精製は、例え
ば、文献「The Qiaexpressionist handbook,Q
iagen,Hilden,Germany」記載の方法を用いて行うことが可
能である。 また、本発明のDNAは、その変異に起因する疾患の遺伝子治療に用いること
も考えられる。遺伝子治療に用いる場合には、本発明のDNAをアデノウイルス
ベクター(例えば、pAdexLcw)やレトロウイルスベクター(例えば、p
ZIPneo)などに挿入して、生体内に投与する。投与方法は、ex viv
o法であっても、in vivo法であってもよい。 本発明はまた、本発明のストリアミンタンパク質をコードするDNAまたは該
DNAと相補的なDNAと特異的にハイブリダイズし、少なくとも15塩基の鎖
長を有するDNAに関する。「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイ
ブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件下で、他のタンパク質をコードするDNAとのクロスハイブリダイゼー
ションが有意に生じないことを意味する。このようなDNAには、本発明のタン
パク質をコードするDNA又は該DNAと相補的なDNAと特異的にハイブリダ
イズし得るプローブやプライマー、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体(例え
ばアンチセンスオリゴヌクレオチドやリボザイム等)が含まれる。 本発明は、例えば、配列番号:2に示される塩基配列中のいずれかの箇所にハ
イブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。このアンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、好ましくは配列番号:2に示される塩基配列中の連続する
少なくとも15個以上のヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド
である。さらに好ましくは、前記連続する少なくとも15個以上のヌクレオチド
が翻訳開始コドンを含む、前記のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、それらの誘導体や修飾体を使用す
ることができる。このような修飾体として、例えばメチルホスホネート型又はエ
チルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、ホスホロチオエ
ート修飾体又はホスホロアミデート修飾体等が挙げられる。 ここでいう「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、DNA又はmRNAの
所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドが全て相補的である
もののみならず、DNAまたはmRNAとオリゴヌクレオチドとが配列番号:2
に示される塩基配列に特異的にハイブリダイズできる限り、1又は複数個のヌク
レオチドのミスマッチが存在していてもよい。 このようなDNAとしては、少なくとも15個の連続したヌクレオチド配列領
域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%
、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の相同性を有するものを示す。なお
、相同性を決定するためのアルゴリズムは本明細書に記載したものを使用すれば
よい。このようなDNAは、後述の実施例に記載するように本発明のタンパク質
をコードするDNAを検出若しくは単離するためのプローブとして、又は増幅す
るためのプライマーとして有用である。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明のタンパク質の産
生細胞に作用して、該タンパク質をコードするDNA又はmRNAに結合するこ
とにより、その転写又は翻訳を阻害したり、mRNAの分解を促進したりして、
本発明のタンパク質の発現を抑制することにより、結果的に本発明のタンパク質
の作用を抑制する効果を有する。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、それらに対して不活性な
適当な基剤と混和して塗布剤、パップ剤等の外用剤とすることができる。 また、必要に応じて、賦形剤、等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、無
痛化剤等を加えて錠剤、散財、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注
射剤、液剤、点鼻剤など、さらに凍結乾燥剤とすることができる。これらは常法
にしたがって調製することができる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用する
か、又は血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に適用
する。さらには、持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いること
もできる。例えば、リポソーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール
、リポフェクチン又はこれらの誘導体が挙げられる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、患者の状態に応
じて適宜調整し、好ましい量を用いることができる。例えば、0.1〜100m
g/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの範囲で投与することができる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明のタンパク質の発現を阻害
し、従って本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制することにおいて有用であ
る。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する発現阻害剤は、
本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制することが可能である点で有用である
。 また、本発明は、本発明のタンパク質を利用する、本発明のタンパク質に結合
する化合物のスクリーニング方法に関する。このスクリーニング方法は、(a)
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、(b
)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出す
る工程、(c)本発明のタンパク質またはその部分ペプチドに結合する化合物を
選択する工程、を含む。 スクリーニングに用いられる本発明のタンパク質は組換えタンパク質であって
も、天然由来のタンパク質であってもよい。また部分ペプチドであってもよい。
被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微
生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、ペ
プチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物などが挙げられる
。 本発明のタンパク質を用いて、これに結合するタンパク質をスクリーニングす
る方法としては、当業者に公知の多くの方法を用いることが可能である。このよ
うなスクリーニングは、例えば、免疫沈降法により行うことができる。具体的に
は、以下のように行うことができる。本発明のタンパク質をコードする遺伝子を
、pSV2neo,pcDNA I,pCD8などの外来遺伝子発現用のプロモ
ーターの下流に挿入することで動物細胞などで当該遺伝子を発現させる。発現に
用いるプロモーターとしてはSV40 early promoter(Rig
by In Williamson(ed.),Genetic Engine
ering,Vol.3.Academic Press,London,P.
83−141(1982)),EF−1 α Promoter(Kimら G
ene 91,p.217−223(1990)),CAG promoter
(Niwa et al.Gene 108,p.193−200(1991)
),RSV LTR promoter(Cullen Methods in
Enzymology 152,p.684−704(1987),SR α
promoter(Takebe et al.Mol.Cell.Biol
.8,p.466(1988)),CMV immediate early
promoter(Seed and Aruffo Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 84,p.3365−3369(1987)),SV
40 late promoter(Gheysen and Fiers J
.Mol.Appl.Genet.1,p.385−394(1982)),A
denovirus late promoter(Kaufman et a
l.Mol.Cell.Biol.9,p.946(1989)),HSV T
K promoter等の一般的に使用できるプロモーターであれば何を用いて
もよい。動物細胞に遺伝子を導入することで外来遺伝子を発現させるためには、
エレクトロポレーション法(Chu,G.et al.Nucl.Acid R
es.15,1311−1326(1987))、リン酸カルシウム法(Che
n,C and Okayama,H.Mol.Cell.Biol.7,27
45−2752(1987))、DEAEデキストラン法(Lopata,M.
A.et al.Nucl.Acids Res.12,5707−5717(
1984);Sussman,D.J.and Milman,G.Mol.C
ell.Biol.4,1642−1643(1985))、リポフェクチン法
(Derijard,B.Cell 7,1025−1037(1994);L
amb,B.T.et al.Nature Genetics 5,22−3
0(1993);Rabindran,S.K.et al.Science
259,230−234(1993))等の方法があるが、いずれの方法によっ
てもよい。特異性の明らかとなっているモノクローナル抗体の認識部位(エピト
ープ)を本発明のタンパク質のN末またはC末に導入することにより、モノクロ
ーナル抗体の認識部位を有する融合タンパク質として本発明のタンパク質を発現
させることができる。用いるエピトープー抗体系としては市販されているものを
利用することができる(実験医学 13,85−90(1995))。マルチク
ローニングサイトを介して、βーガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク質
、グルタチオンSートランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)などと
の融合タンパク質を発現することができるベクターが市販されている。 融合タンパク質にすることにより本発明のタンパク質の性質をできるだけ変化
させないようにするために数個から十数個のアミノ酸からなる小さなエピトープ
部分のみを導入して、融合タンパク質を調製する方法も報告されている。例えば
、ポリヒスチジン(His−tag)、インフルエンザ凝集素HA、ヒトc−m
yc、FLAG、Vesicular stomatitisウイルス糖タンパ
ク質(VSV−GP)、T7 gene10 タンパク質(T7−tag)、ヒ
ト単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(HSV−tag)、E−tag(モノク
ローナルファージ上のエピトープ)などのエピトープとそれを認識するモノクロ
ーナル抗体を、本発明のタンパク質に結合するタンパク質のスクリーニングのた
めのエピトープ−抗体系として利用できる(実験医学 13,85−90(19
95))。 免疫沈降においては、これらの抗体を、適当な界面活性剤を利用して調製した
細胞溶解液に添加することにより免疫複合体を形成させる。この免疫複合体は本
発明のタンパク質、それと結合能を有するタンパク質、および抗体からなる。上
記エピトープに対する抗体を用いる以外に、本発明のタンパク質に対する抗体を
利用して免疫沈降を行うことも可能である。本発明のタンパク質に対する抗体は
、例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子を適当な大腸菌発現ベクター
に導入して大腸菌内で発現させ、発現させたタンパク質を精製し、これをウサギ
やマウス、ラット、ヤギ、ニワトリなどに免疫することで調製することができる
。また、合成した本発明のタンパク質の部分ペプチドを上記の動物に免疫するこ
とによって調製することもできる。 免疫複合体は、例えば、抗体がマウスIgG抗体であれば、Protein
A SepharoseやProtein G Sepharoseを用いて沈
降させることができる。また、本発明のタンパク質を、例えば、GSTなどのエ
ピトープとの融合タンパク質として調製した場合には、グルタチオン−Seph
arose 4Bなどのこれらエピトープに特異的に結合する物質を利用して、
本発明のタンパク質の抗体を利用した場合と同様に、免疫複合体を形成させるこ
とができる。 免疫沈降の一般的な方法については、例えば、文献(Harlow,E.an
d Lane,D.:Antibodies,pp.511−552,Cold
Spring Harbor Laboratory publicatio
ns,New York(1988))記載の方法に従って、または準じて行え
ばよい。 免疫沈降されたタンパク質の解析にはSDS−PAGEが一般的であり、適当
な濃度のゲルを用いることでタンパク質の分子量により結合していたタンパク質
を解析することができる。また、この際、一般的には本発明のタンパク質に結合
したタンパク質は、クマシー染色や銀染色といったタンパク質の通常の染色法で
は検出することは困難であるので、放射性同位元素である35S−メチオニンや
35S−システインを含んだ培養液で細胞を培養し、該細胞内のタンパク質を標
識して、これを検出することで検出感度を向上させることができる。タンパク質
の分子量が判明すれば直接SDS−ポリアクリルアミドゲルから目的のタンパク
質を精製し、その配列を決定することもできる。 また、本発明のタンパク質を用いて、該タンパク質に結合するタンパク質を単
離する方法としては、例えば、ウエストウエスタンブロッティング法(Skol
nik,E.Y.et al.,Cell(1991)65,83−90)を用
いて行うことができる。すなわち、本発明のタンパク質と結合する結合タンパク
質を発現していることが予想される細胞、組織、臓器(例えば、筋芽細胞、NI
H3T3細胞など)よりファージベクター(λgt11,ZAPなど)を用いた
cDNAライブラリーを作製し、これをLB−アガロース上で発現させフィルタ
ーに発現させたタンパク質を固定し、標識して精製した本発明のタンパク質と上
記フィルターとを反応させ、本発明のタンパク質と結合したタンパク質を発現す
るプラークを標識により検出すればよい。本発明のタンパク質を標識する方法と
しては、ビオチンとアビジンの結合性を利用する方法、本発明のタンパク質又は
本発明のタンパク質に融合したペプチド又はポリペプチド(例えばGSTなど)
に特異的に結合する抗体を利用する方法、ラジオアイソトープを利用する方法又
は蛍光を利用する方法等が挙げられる。 また、本発明のスクリーニング方法の他の態様としては、細胞を用いた2−ハ
イブリッドシステム(Fields,S.,and Sternglanz,R
.,Trends.Genet.(1994)10,286−292)を用いて
行う方法が挙げられる。「twoハイブリッドシステム」(「MATCHMAR
KER Two−Hybrid System」,「Mammalian MA
TCHMAKER Two−Hybrid Assay Kit」,「MATC
HMAKER One−Hybrid System」(いずれもClonte
ch社製)、「HybriZAP Two−Hybrid Vector Sy
stem」(Stratagene社製)、文献「Dalton S,and
Treisman R(1992)Characterization of
SAP−1,a proteinrecruited by serum re
sponse factor to the c−fos serum res
ponse element.Cell 68,597−612」)においては
、本発明のタンパク質をSRF結合領域またはGAL4結合領域と融合させて酵
母細胞の中で発現させ、本発明のタンパク質と結合するタンパク質を発現してい
ることが予想される細胞より、VP16またはGAL4転写活性化領域と融合す
る形で発現するようなcDNAライブラリーを作製する。これを上記酵母細胞に
導入し、検出された陽性クローンからライブラリー由来cDNAを単離する(酵
母細胞内で本発明のタンパク質と結合するタンパク質が発現すると、両者の結合
によりレポーター遺伝子が活性化され、陽性のクローンが確認できる)。さらに
該cDNAを大腸菌に導入してタンパク質を発現させることができる。これによ
り、本発明のタンパク質に結合するタンパク質またはその遺伝子を調製すること
も可能である。レポーター遺伝子としては、HIS3遺伝子の他、Ade2遺伝
子、LacZ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等を用いることがで
きる。 本発明のタンパク質と結合する化合物のスクリーニングは、アフィニティクロ
マトグラフィーを用いて行うこともできる。例えば、本発明のタンパク質をアフ
ィニティーカラムの担体に固定し、ここに本発明のタンパク質と結合するタンパ
ク質を発現していることが予想される被験試料を適用する。この場合の被験試料
としては、例えば細胞抽出物、細胞溶解物等が挙げられる。被験試料を適用した
後、カラムを洗浄し、本発明のタンパク質に結合したタンパク質を調製すること
ができる。 得られたタンパク質は、そのアミノ酸配列を分析し、それを基にオリゴDNA
を合成し、該DNAをプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングす
ることにより、該タンパク質をコードするDNAを得ることができる。 本発明において、結合した化合物を検出又は測定する手段として表面プラズモ
ン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することもできる。表面プラズモン
共鳴現象を利用したバイオセンサーは本発明のタンパク質と被検化合物との間の
相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共
鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である(例えばBIAco
re、Pharmacia製)。したがって、BIAcore等のバイオセンサ
ーを用いることにより本発明のタンパク質と被験化合物との結合を評価すること
が可能である。 また、タンパク質に限らず、本発明のタンパク質に結合する化合物を単離する
方法としては、例えば、固定した本発明のタンパク質に、合成化合物、天然物バ
ンク、もしくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリーを作用させ
、本発明のタンパク質に結合する分子をスクリーニングする方法や、コンビナト
リアルケミストリー技術によるハイスループットを用いたスクリーニング方法(
Wrighton NC;Farrell FX;Chang R;Kashy
ap AK;Barbone FP;Mulcahy LS;Johnson
DL;Barrett RW;Jolliffe LK;Dower WJ.,
Small peptides as potent mimetics of
the protein hormone erythropoietin,
Science(UNITED STATES)Jul 26 1996,27
3 p458−64、Verdine GL.,The combinator
ial chemistry of nature.Nature(ENGLA
ND)Nov 7 1996,384 p11−13、Hogan JC Jr
.,Directed combinatorial chemistry.N
ature(ENGLAND)Nov 7 1996,384 p17−9)が
当業者に公知である。 また、本発明は、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物をス
クリーニングする方法に関する。本発明のタンパク質は、筋芽細胞の筋管細胞へ
の分化を抑制する活性を有することから、この活性を指標に、本発明のタンパク
質の活性を促進または阻害する化合物をスクリーニングすることが可能である。
即ち、該スクリーニングは、(a)被検試料の存在下で、筋芽細胞に本発明のタ
ンパク質を接触させる工程、(b)該細胞の筋管細胞への分化を検出する工程、
(c)被検試料非存在下で検出した場合と比較して、本発明のタンパク質による
該分化の抑制を増強または減弱する化合物を選択する工程、を含む方法により実
施することができる。 スクリーニングに用いられる本発明のタンパク質としては、天然由来のタンパ
ク質であっても、組み換えタンパク質であってもよい。また、精製されたタンパ
ク質であっても、細胞培養上清(タンパク質が細胞から分泌される場合)であっ
てもよい。 被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵
微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、
ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物が挙げられる。
また、上記の本発明のタンパク質に結合する化合物のスクリーニングで得られた
化合物を被検試料として用いることも可能である。 筋管細胞への分化を検出する筋芽細胞としては、例えば、C2C12筋芽細胞
を好適に用いることができるが、これに制限されない。筋管細胞への分化は、例
えば、実施例に記載のマウスC2C12筋芽細胞株の培養系(マウスC2C12
筋芽細胞株は、無血清もしくは2%ウマ血清含有DMEM培地で培養すると、多
核の筋管細胞へと分化する)を利用し、被検試料および本発明のタンパク質の存
在下でC2C12筋芽細胞株を培養した際の多核の筋管細胞への分化能の測定な
どの方法で検出することができる。 本発明において、本発明のタンパク質がp53の転写因子活性を抑制すること
が示された。従って、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物の
スクリーニングは、また、該転写因子活性を指標に行うことができる。即ち、該
スクリーニングは、(a)該タンパク質を発現するベクター、p53を発現する
ベクター、およびp53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクターが導入
されたp53欠損細胞を提供する工程、(b)該細胞に被検試料を接触させる工
程、(c)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および(d)被検試
料を細胞に接触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活性を低下また
は増加させる化合物を選択する工程、を含む方法により実施することが可能であ
る。 具体的には、実施例8または9に記載された、ストリアミンによるp53転写
因子活性の抑制を検出する系に被検試料を添加して、レポーター活性を検出し、
該活性を変化させる化合物を選択すればよい。 被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵
微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製タンパク質、
ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物が挙げられる。
また、上記の本発明のタンパク質に結合する化合物のスクリーニングで得られた
化合物を被検試料として用いることも可能である。 ストリアミン発現ベクターとしては、完全長ストリアミンを発現するベクター
であっても、p53の転写因子活性を抑制しうるストリアミンの部分ペプチド(
例えば、C末端ストリアミン)を発現するベクターであってもよい。 p53発現ベクターとしては、p53の発現を誘導的に調節しうるベクターで
あることが好ましい。このようなベクターとしては、例えば、温度感受性p53
発現ベクターが挙げられる。 p53に応答してレポーターを発現するプラスミドは、p53応答配列の下流
にレポーター遺伝子が連結しているベクターである。p53応答配列としては、
「ATGCTTGCCC」を用いることができる。レポーター遺伝子としては、
検出可能であれば特に制限はなく、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラク
トシダーゼ遺伝子が挙げられる。 ベクターを導入する細胞としては、内因性のp53によりレポーター遺伝子が
発現しないようにするために、p53欠損細胞が好ましい。p53欠損細胞とし
ては、例えば、p53−/−マウス胎児性繊維芽細胞が挙げられる。 本スクリーニングにおけるレポーター活性の検出の結果、被検試料を細胞に接
触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活性を低下させれば、用いた
被検試料は、本発明のタンパク質の活性を促進する化合物である(または該化合
物を含む)と判定され、一方、該レポーター活性を増加させれば、用いた被検試
料は、本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物である(または該化合物を含
む)と判定される。 なお、本発明におけるスクリーニングにおいて「本発明のタンパク質の活性を
促進または阻害する化合物」とは、本発明のタンパク質からのシグナル伝達を促
進または阻害するものであれば制限はなく、本発明のタンパク質に直接作用して
、その活性を促進または阻害する化合物に限られない。本発明のタンパク質から
のシグナル伝達の下流に作用して、該シグナル伝達を促進または阻害する化合物
も含まれる。 本発明のスクリーニングにより得られる化合物は、本発明のタンパク質が関連
する疾患において、本発明のタンパク質の活性を促進または阻害するための薬剤
や、本発明のタンパク質からのシグナル伝達を促進または阻害する薬剤の候補と
なる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる、本発明のタンパク質に結
合する活性を有する化合物の構造の一部を、付加、欠失及び/又は置換により変
換される物質も、本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物に含まれ
る。 本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物をヒトや他の哺乳動物、
例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、
ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、チンパンジーの医薬として使用する場合には、
単離された化合物自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により
製剤化して投与を行うことも可能である。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に、あるいは
水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注
射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒
体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、
安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤などと適宜組み合わせて、
一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製
剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の
適当な容量が得られるようにするものである。 錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、
コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロ
ースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、
ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、シヨ糖、乳糖又はサッカリンのよう
な甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる
。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液
状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のよう
なベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。 注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含
む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化
ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタ
ノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50
と併用してもよい。 油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジ
ル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝
液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例え
ばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された
注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。 患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射などのほか、鼻
腔内的、経気管支的、筋内的、または経口的に当業者に公知の方法により行いう
る。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であ
れば適当な投与量を適宜選択することが可能である。また、該化合物がDNAに
よりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、
遺伝子治療を行うことも考えられる。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、
症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。 例えば、本発明のタンパク質と結合する化合物や本発明のタンパク質の活性を
促進または阻害する化合物の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から
100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から2
0mgである。 非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投
与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとし
て)においては、1日あたり約0.01から30mg、好ましくは約0.1から
20mg、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与
することができる。発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制
限されるものではない。 [実施例1] 細胞培養 タンパク質及びクローニングの研究の比較に用いた、マウスのCD1−ICR
株由来の正常なマウスの初期繊維芽細胞(CMEF),CMEFから確立された
不死化クローン(RS−4),及びNIH 3T3細胞を、文献(Wadhwa
et al.,(1991)Mutat.Res.13.256,243−2
54)の記載に従って培養した。一過性の形質転換に用いるCOS7細胞を10
%ウシ胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル最小必要培地で培養した。 [実施例2] cDNAのクローニングとシーケエンス 正常なマウス細胞(CMEF)と不死化細胞(NIH 3T3)由来のTri
ton X−100可溶性原形質膜画分の比較により、ほぼ33−kDaのタン
パク質がNIH 3T3には存在するが、CMEFには存在しないことが明らか
となった(Wadhwa et al.,(1991)Mutat.Res.1
3.256,243−254)。このタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲ
ルから分離し、ポリクローナル抗体の作成に用いた。作成した抗p33抗体を、
ラムダZAPIIベクターで構築したRS−4細胞由来のcDNAライブラリー
の免疫スクリーニングによるcDNAクローニングに用いた。この結果、5つの
クローンが得られ、それらをpBluescriptベクターのT3及びT7プ
ライマーを用いた部分的な配列決定により特徴づけた。5つのクローンのうち3
つはすでに知られている遺伝子、すなわちFuschop(Rabbitts
et al.,(1993)Nat.Genet.4,175−180、Kur
oda et al.,(1995)Am.J.Pathol.147,122
1−1227)、G−ウトロピン(Blake et al.,(1995)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 92,3697−3701)及
びディストロピン(Love et al.,(1989)Nature 33
9,55−58)と同一性が示されたのに対して、2つのクローンはDNA配列
データーベース内に一致するものを見いだせなかった。しかしながら、2つの新
規なクローンのインビトロにおける翻訳産物は抗−p33抗体で沈降しなかった
。この事実は、これら2つのクローンが最初にSDSポリアクリルアミドゲル上
で不死化細胞から同定された33−kDaのタンパク質と関連性がないことを示
している。本発明者らは、単離したクローンの1つである#336の特徴づけを
行った。なお、cDNAクローンの配列はジデオキシチェーンターミネーション
法により決定し、反応をABI377自動配列塩基決定機で分析した。 #336と称する2.4kbのcDNAクローンの全配列は3’末端からのエ
キソヌクレアーゼIIIを用いた方法(TAKARAキロシークエンス用デレー
ションキット、宝酒造)及びプライマー歩行によって得た。さらにクローンの5
’末端は、プライマーに特異的な3つのアンチセンス遺伝子、すなわちSP1(
配列番号:3/TGTCACTGCCACGCCTTCTCGGTGCGCAG
)、SP2(配列番号:4/TCCCGGCTGCCCTTTGGCCCATC
TTGTCCC)、SP3(配列番号:5/TGAGAAAGCGTTAGAC
GCTCTCAGAGCCCT)を用いることによって、マウスの骨格筋cDN
A上の5’マラソンRACEポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得た。5
’マラソンRACE PCRは「Marathon−ReadyTM cDNA
kit(mouse skeletal muscle,catalogue
#7456−1)(Clonetech社製)のプロトコルに従って行った。 これにより得られたストリアミンcDNAの全配列を図1および配列番号:1
に示す。得られた全長cDNA配列は、DNA配列データーバンク内に相同性が
見いだせなかった。得られたcDNAは149アミノ酸の長さのタンパク質(p
I−10.2)をコードし、タンパク質データーベース内に有意に一致するもの
が見いだせなかった。BLAST,PROSITE,GCG及びPSORTプロ
グラムによるcDNA配列の解析により、その機能の予測が可能な既知のモチー
フは見いだせなかった。しかしながら、ストリアミンの5’非コード配列には「
C/GAAAA」の繰り返しが存在し、3’非コード領域には「GT」の繰り返
しが存在することが見出された。また、0.5の標準的な疎水性および0.74
の脂肪族指数を有するタンパク質の可溶性の特性を、ProtPram解析プロ
グラムを用いて予測した。二つのプロテインキナーゼCリン酸化部位、即ち、4
5−47アミノ酸残基における「SDR(アミノ酸一文字表記)」および78−
80アミノ酸残基における「SPK(アミノ酸一文字表記)」、一つのカゼイン
キナーゼIIリン酸化部位、即ち、12−15アミノ酸残基における「SGLD
(アミノ酸一文字表記/配列番号:6)」、および二つのミリスチン酸化部位、
即ち、111−116アミノ酸残基における「GNYYCC(アミノ酸一文字表
記/配列番号:7)」および120−125アミノ酸残基における[GTRWA
K(アミノ酸一文字表記/配列番号:8)」をScanPrositeプログラ
ムにより予測した。タンパク質の他の興味深い特徴は高度の正の電荷、多くのセ
リン、ロイシン、プロリン残基、および4つのシスチンの存在であろう。さらに
、ストリアミンは、cDNAやタンパク質の配列の解析に基づいて、公知の遺伝
子ファミリーのいずれのメンバーとしても特徴づけられなかった。 [実施例3] In vitroにおける転写と翻訳 予想されるORFをpBSSK内でクローン化し、与えられた配列内のORF
の存在を確認するためにインビトロトランスレーションを行った。具体的には、
ORFを、RS−4細胞由来の逆転写ポリメラーゼ鎖反応により、センスプライ
マー(配列番号:9/GAARRCATGAAAGGCCTGGCTGGCGA
G)及びアンチセンスプライマー(配列番号:10/GAATTCTCATGT
CACTGCCACGCCTTCTCG)を用いて増幅し、Bluescrip
tプラスミドにクローン化した。pBSSK/ストリアミンを、L−[35S]
メチオニンを添加したウサギの網状赤血球溶解物(Stratagene社製)
を用いてインビトロで1時間、転写し(Trasprobe T kit,Ph
armacia社製)、翻訳した。翻訳産物をSDS−ポリアクリルアミドゲル
で分離し、オートラジオグラフィーで可視化した。インビトロで翻訳した産物は
また、抗−p33抗体を用いて免疫沈降させた。その結果、ほぼ18kDaの大
きさのタンパク質が検出され、これは#336配列内のORF由来のタンパク質
の予想される大きさとよく一致していた(図1)。 [実施例4] 組み換えストリアミンタンパク質の調製 ストリアミンcDNAのオープンリーディングフレームを、BamHI部位を
持つセンス(配列番号:11/GGATCCAAGAAAGGCCTGGCTG
GCGAG)及びHindIII部位を持つアンチセンス(配列番号:12/A
AGCTTTCATGTCACTGCCACGCCTTC)プライマーを用いた
、pBSSK/ストリアミンのPCRによって増幅した。PCRで増幅した0.
5kbフラグメントは、まずpGEM−Tベクター内にクローン化し、その正確
な配列を確認した。そして、BamHI−HindIIIを用いて切除し、最終
的に、His−Taggedタンパク質を産出するpQE30ベクター(Qia
gen社製)内にクローン化した。pQE30/ストリアミン構築物をM15細
菌に導入し、OD580=0.6にまで生育した細胞をイソプロピル−b−チオ
ガラクトピラノシド(IPTG)(0.2mM)を用いて37℃下で5時間誘導
した。この細菌の溶解物(IPTGで誘導してないものと誘導したもの)をSD
S−PAGEで分析し、続いて抗−His抗体(Qiagen社製)および抗p
33抗体を用いたウェスタンブロッティングにより分析した。その結果、約18
kDaのタンパク質が合成された(図2)。組み換えタンパク質の大きさは、c
DNAクローンをインビトロで翻訳した場合と同様に、分子の推定の大きさから
予期されたものと同じであった。 [実施例5] ノーザンブロット解析 レーン当たり2μgのポリA+RNAを含むマウス及びヒトの多様な組織のノ
ーザンブロットは、「Clonetech Laboratories,Pal
o Alto,CA」から購入した。ノーザンブロット解析は、それぞれの細胞
系から調製した全RNAから15μgを用いて行った。#336プラスミドのB
amHIの消化によって得られた1.4kb 3’非翻訳領域(UTR)フラグ
メントをプローブとして用いた。ハイブリダイゼーションはSSC−Denha
rdts−SDSバッファー中において65℃下で行った。メンブレンは、2X
SSC、0.1%SDSを含む2X SSC、1X SSC、0.1%SDS
を含む1X SSC中でそれぞれ10分間、2回づつ洗浄し、オートラジオグラ
フィーで可視化した。ブロット上のRNA量はβ−アクチンあるいは18Sリボ
ソームのプローブを用いたハイブリダイゼーションによって決定した。ノザンブ
ロッティンダによる多数のマウス及びヒトの多くの組織におけるストリアミンの
発現の解析により、マウスとヒトの骨格筋における単一な3.0kb転写産物に
対する強い反応性が示された(図3Aおよび図3B)。マウスの心臓においても
、同じ大きさの転写産物が発現することが判明した(図3A)。次に本発明者ら
は、それが筋繊維型特異性を示すかどうか試験した。4つの繊維の表現型、即ち
、速収縮筋型2A、2B、2X、および遅筋型Iは、ミオシン重鎖イソフォーム
の型の発現に基づき定義されている(Pette and Staron,(1
990)Rev.Physiol.Biochem.Pharmacol.11
6,1−76)。ストリアミン発現は、遅筋(ヒラメ筋)よりも速筋(大腿四頭
筋)で顕著であった(図4A)。大腿四頭筋(95%速収縮筋繊維2B、4%速
収縮筋繊維2X;Hamalainen and Pette(1993)J.
Histochem.Cytochem.41,733−743)、長指伸筋(
60%速収縮筋繊維2B、28%速収縮筋繊維2X、12%速収縮筋繊維2A;
Leferovich et al.,(1995)J.Neuroscien
ce 15,596−603)、腓腹筋表層(100%速収縮筋繊維2B;Za
rdnnn and Parry,(1994)Muscle & Nerve
17,1308−1316)、横隔膜(57%速収縮筋繊維2X、34%速収
縮筋繊維2A、7%遅収縮筋繊維;Zardnnn and Parry,(1
994)Muscle & Nerve 17,1308−1316)、および
ヒラメ筋(45%速収縮筋繊維2A、55%遅収縮筋繊維;Lewis et
al.,(1982)J.Physiol.325,393−401)のような
速繊維および遅繊維の含有量が異なるマウス骨格筋のノーサン解析により、スト
リアミンが速い解糖作用を有する(fast glycolytic)2B繊維
に主として発現しているとが明らかとなった(図4B)。 本発明者らは次にC2C12筋芽細胞のインビトロにおける筋形成の間のスト
リアミンの発現につき解析した。4日間の分化培地での培養後は、非分化培養や
一日の分化培養と比較して、ストリアミンの発現はごく僅かであった(図4C)
。 [実施例6] 発現クローニングと生物学的活性 ストリアミンのORFはHindIII部位を持つセンス(配列番号:13/
GGTAAGCTTATATTGTTTGCAACTACCT)及びBamHI
部位を持つアンチセンス(配列番号:14/GGATCCCATGTGACCT
AATGTTTCATGTCA)プライマーを用いたPCRによって増幅した。
はじめに増幅したフラグメントは最初にpGEM−Tベクターにクローン化し、
その配列を確認した。挿入部分はHindIII−BamHIで切断し、哺乳動
物発現ベクターであるLK444内に挿入した。このベクターは、構成的発現の
ためのβ−アクチンプロモーター及びneoマーカーを持ち、G418を添加し
た哺乳動物細胞の生育培地中で本質的に発現し、選抜される(Gunning
et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.84,4831−4835)。マウスの筋芽細胞系C2C12の形質転換は
リポフェクタミン(GIBCO−BRL社製)を用いて行い、形質転換体をG4
18(700μg/ml)を含む培地中で選抜した。G418耐性クローンのイ
ンビトロでの筋管への分化については、2%のウマの血清を添加した培地中で分
析した。 その結果、ベクターで形質転換した細胞は分化培地中で分化し、筋管の形成が
見られたが、選抜した#336で形質転換した8つのクローン中7つからは同程
度の筋管の形成が見られなかった(図5)。この結果から、#336の過剰発現
によりインビトロにおけるC2C12細胞の分化が阻害されうることが明らかと
なった。 [実施例7] ストリアミンの細胞内局在 ストリアミンのORFは、pEGFPC1ベクター(Clonetech社製
)におけるGFP ORFのC末端のフレーム内に挿入した。GFP−ストリア
ミン融合タンパク質をコードするこのプラスミドをカバーガラス上で生育してい
るCOS7細胞にLipofectamineTM(Gibco BRL社製)
を用いて導入した。カバーグラスを核染色液であるHoechst33258(
Sigma社製)(培養液中5−10μg/mlで、細胞固定前に10分間)、
メタノール/アセトン(1:1)で固定した。PBSで3回洗浄後、カバーグラ
スにFluoromount(Difco社製)をのせた。細胞は、エピフルオ
レッセンス光学系のオリンパスBH−2顕微鏡、またはCellscan Sy
stem(Scanalytics社、米国)装備ツアイヌAxiophot顕
微鏡で観察した。その結果、形質転換細胞では、同じ細胞において核染色液であ
るHoechst33258とオーバーラップした明確な緑色蛍光が観察された
(図6A)。 また、pGFPC1/ストリアミン、pGFPC1/ストリアミンN末端75
アミノ酸、pGFPC1/ストリアミンN末端74アミノ酸の顕微注入は、エッ
ペンドルフ顕微注入器を用いニコン倒立顕微鏡を利用して、カバーガラス上で生
育しているNIH3T3細胞の核に対して直接行った。上記したように、細胞を
固定し、ストリアミンの細胞内局在を解析した。その結果、pEGFPC1−ス
トリアミンにおいてはストリアミンの明確な緑色核蛍光が検出されたが、ストリ
アミンN75およびストリアミンC74の双方は細胞質に留まっていた(図6B
)。ストリアミンが何ら公知の核局在シグナルを含まないというデーターおよび
事実は、そのアミノ酸組成から予想されたように、高い正の電荷を有する完全な
自然の状態のタンパク質のコンフォメーションが核局在の原因であるかもしれな
い。 [実施例8] ストリアミンによるp53活性に与える影響の解析(ルシフェ
ラーゼによる解析) 野生型p53は、細胞分化の間に働いていることが実証されている(Alon
i−Grinstein et al.,(1995)EMBO J.14,1
392−1401)。この裏付けとなる証拠は、I)外因性のp53の過剰発現
または細胞への放射線照射がいくつかの腫瘍細胞の分化を部分的に回復させるこ
とができること(Halevy et al.,(1995)Science
267,1018−1021)、ii)C2分化の間のp53mRNAの正の調
節、iii)内因性野生型p53の阻害が、造血または筋肉の細胞分化を阻害す
ること(Soddu et al.,5(1996)J.Cell Biol.
134,193−204)である。C2分化におけるp53の役割は、細胞周期
におけるその活性とは独立であることが示されている(Soddu et al
,,(1996)J.Cell Biol.134,193−204)。この報
告の視点、および核への局在や筋原性の分化の抑制というストリアミンの特徴か
ら、本発明者らはストリアミンがp53活性に影響を与えているのではないかと
考えた。そこで、本発明者らは、ストリアミンがp53の活性を阻害できるかを
検討した。四回の独立した実験において検討した。 温度感受性p53発現プラスミド(pMSVp53Val135)およびp5
3反応性ルシフェラーゼレポーター(PG−13luc)プラスミドと、各種ス
トリアミン発現プラスミド[LK444/完全長ストリアミン−S、N末端側7
5アミノ酸残基(LK444/N−ストリアミン−S)、C末端側74アミノ酸
残基(LK444/C−ストリアミン−S)のいずれかを発現するプラスミド]
、完全長ストリアミンcDNAに対するアンチセンスRNAを発現するプラスミ
ド(LK444/ストリアミン−AS)、または対照プラスミド(LK444ベ
クター(Gunning et al.,(1987)Proc.Natl.A
cad.Sci.U.S.A.84,4831−4835))をp53−/−マ
ウス胎児性繊維芽細胞(MEF)に導入した。 図7に示すように、完全長ストリアミン(センス)は、対照と比較してp53
活性が4.6分の1に減少した。その一方、ストリアミンのアンチセンスは、対
照と比較してp53活性を1.6倍に上昇させた。C−ストリアミンのp53活
件の阻害効果は完全長ストリアミンと同等であった。しかしながら、N−ストリ
アミンでは、p53活性の阻害効果は認められなかった。この結果は、ストリア
ミンがp53の転写因子活性を抑制することができることを示している。 [実施例9] ストリアミンによるp53活性に与える影響の解析(β−ガラ
クトシダーゼによる解析) p53−/−マウス胎児性繊維芽細胞に、それぞれ0.1μg/μlのpMS
Vp53Val135,p53反応性β−galレポーターpRGC fos−
lacZ(Oncogene 1998 vol16 3317−3322)と
、LK444(対照)、LK444/完全長ストリアミン、またはLK444/
ストリアミン−ASとをマイクロインジェクトした。また、DNAが注入された
細胞を同定するために、コントロールIgGも上記プラスミドと共に細胞にマイ
クロインジェクトした。一晩、32.5度で培養した後、細胞を4%ホルムアル
デヒドデ固定し,氷上で0.1%Triton X−100を含んだPBSで5
分間処理する事により高分子物質が細胞内に浸透できるようにした後,三回PB
Sで洗浄した。 その後、DNAが導入された細胞の特定のために、FITC−結合坑−ウサギ
IgGで細胞を染色した(図上)。染色された細胞は、下図において矢印で示し
た。 一方、ストリアミンによるp53活性への影響の検出(β−ガラクトシダーゼ
の発現)は、β−gal染色キットで(Boehringer Mannhei
m)を使用して行った。細胞は、顕微鏡(Proris(AX70)、オリンパ
ス社製)で観察した。全ての青く発色している細胞をb−gal発現陽性とした
。 その結果、対照プラスミド(LK444)とアンチセンスストリアミンプラス
ミド(LK444/ストリアミン−AS)を導入した細胞では、それぞれ86%
及び88%がβ−gal陽性を呈したのに対して、ストリアミンセンスプラスミ
ド(LK444/完全長ストリアミン)を導入した細胞では、5%の陽性細胞し
か検出されなかった(図8)。従って、本実験からもストリアミンによってp5
3の活性が抑制されることが裏付けられた。この事実はストリアミンの発現がC
2C12細胞の分化に伴って低下することと符合する。 [実施例10] 試験管内におけるストリアミンとp53の相互作用 p53の転写活性化機能におけるストリアミンの効果は二つの蛋白の相互作用
の可能性を示唆している。そこで、まず、試験管内においてストリアミンとp5
3が相互作用するか否かを、免疫沈降およびそれに続くウェスタンブロティング
により検討を行った。 (1)ヒスチジンタグが付加された各種ストリアチン(融合タンパク質)の調
製 完全長ストリアミン、N末端側ストリアミン(75アミノ酸残基)、C末端
側ストリアミン(74アミノ酸残基)をコードするDNAを大腸菌における発現
ベクターであるpQE30(キアゲン社製)に挿入し、pQE30/完全長スト
リアミン、pQE30/N−ストリアミンとpQE30/C−ストリアミンを作
製した。これらプラスミドを大腸菌に導入し、発現せしめた後、組み換えタンパ
ク質の精製を行った。具体的には、まず、細胞を遠心し、そのペレットを、バッ
ファーA(10mM Tris−Cl(pH7.5),150mM NaCl,
20mM イミダゾール,6M尿素,および5mM b−メルカプトエタノール
)に浮遊せしめ、氷上で二分間超音波処理した後、室温で30分撹拌した。抽出
物を15,000gで20分間遠心し、0.5mlのニッケル−NTA−アガロ
ースアフィニティーレジン(Qiagen社製)に上清を加え、室温にて2時間
混和した。この混合物をカラムに充填し、20mlのTBS(10mM Tri
s−Cl(pH7.5)および0.5M NaCl(TBS))で洗浄した。ア
フィニティーレジンに吸着したタンパク質はTBSに0.5Mイミダゾールを加
えた溶液で溶出せしめた後、PD−10カラム(Pharmacia社製)によ
ってイミダゾールを除去した。得られた各種ストリアミンは使用するまで−20
度で保存した。精製物の純度はSDS−PAGEと坑His抗体を用いたウェス
タンブロット解析にて確認した。 (2)各種ストリアミンとp53との結合解析 上記(1)で精製された各種タンパク質(2−5μg)をGSTまたはGST
−p53(1μg,Santa Cruz社製)とNP40−溶解バッファー(
500μl)中で混合した。2時間後にグルタチオン−セファロースビーズ(2
0μl)を加え、4℃で1時間、回転させながら混合した。ビーズを遠心によっ
て沈降させ、TBSで三回洗浄後、SDSサンプルバッファーで煮沸した。その
後、各種サンプルにつきSDS−PAGEを行い、坑ヒスチジンタグ抗体を用い
たウェスタンブロッティングにより、ヒスチジンが結合した各種ストリアミンの
検出を行った。なお、併せて、坑p53抗体を用いたウエスタンブロットにより
、p53の検出も行った。 その結果、グルタチオン−セファロースビーズを用いたGST−p53の沈降
において、ヒスチジンが結合した各種ストリアミンも沈降することが示された(
図9、レーン7から9)。即ち、完全長のストリアミン、N−ストリアミン、お
よびC−ストリアミンのいずれもがp53と相互作用を示した。 なお、対照として、各種ストリアミンが発現されていることを確認するために
、GSTを添加せずにそのまま、ウェスタンブロット解析を行った(レーン1か
ら3)。各種ストリアミンは、確かに発現していた。 また、ストリアチンが直接GSTに結合しているのではないことを証明するため
に、GST−p53に代えてGSTを添加して同様に検出を行った(レーン4か
ら6)。ストリアチンは直接GSTに結合していなかった。 [実施例11] 生体内におけるストリアミンとp53の相互作用 高いトランスフェクション効率を持つCOS7細胞(内因性のp53を発現し
ている)に、GFPと各種ストリアミンとの融合タンパク質を発現させるための
プラスミド(pEGFPC1/全長ストリアミンpEGFPC1/N−ストリア
ミンまたはpEGFPC1/C−ストリアミン)または対照(pEGFPC1ベ
クター(社製))をトランスフェクションし、48時間後に細胞抽出液を調製し
た。細胞抽出液の調製においては、NP−40細胞溶解液で溶解したタンパク質
画分と、NP−40細胞溶解液で溶解しなかった画分に0.5%SDSを添加し
て煮沸し、これにより溶解した画分を得た。 これら画分に対し、それぞれ坑p53抗体(CM−1,Novocastra
Laboratories Ltd.)を添加して4℃で一晩孵置した後、プ
ロテインA/G−セファロースを添加して、4℃で30分反応させ、免疫沈降(
遠心;5000rpm,1分)を行った。 得られた免疫複合体に対し、SDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナ
ル抗体(#8362−1,Clontech社製)を用いたウエスタンブロッテ
ィングを行った。また、抗p53モノクローナル抗体(Ab−1,Calbio
chem社製)を用いたウエスタンブロッティングにより、p53の検出を併せ
て行った。 その結果、抗p53ポリクローナル抗体(CH−1、Novacastra
Laboratories,Ltd.)を用いた内因性p53の沈降において、
GFPが結合した各種ストリアミンも共に沈降することが示された(図10右)
。特に、SDS可溶性画分において、各種ストリアミンが検出された(図10右
、レーン6から8)。即ち、ストリアミンがCOS細胞内でp53と相互作用す
ることが示された。なお、内因性p53は、GFP自体とは結合しなかった(図
10右、レーン5)。 なお、坑p53抗体に代えて、対照IgGを用いて免疫沈降を行い、坑GFP
モノクローナル抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った場合には、スト
リアミンは検出されなかった(図10中央)。また、坑p53抗体を用いた免疫
沈降を行わないで、細胞溶解液自体(免疫沈降に用いた蛋白量の10%)に対し
SDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロ
ットを行った結果、GFPおよびGFPに結合したストリアミンのバンドが検出
された(図10左)。 [実施例12] 染色体上の配置 #336に特異的なセンスプライマー(配列番号:15/TGGTATTCT
TATATTGTTTGCAACTAACTA)及びアンチセンスプライマー(
配列番号:16/GGAAGGCCATGTGACCTAATGTTTCATG
TCA)を用いたP1バクテリオファージマウスゲノムライブラリーのPCRス
クリーニングにより、マウスのP1ゲノムクローンを得た。単離したP1クロー
ンを、その遺伝子の3’UTR領域とのハイブリダイゼーションにつき試験し、
続いて、蛍光インシチュハイブリダイゼション(FISH)により染色体におけ
る局在性を調べるために使用した。マウスのP1クローン由来のDNAをニック
トランスレーションによりジゴキシゲニン−dUTPを用いて標識した。標識し
たプローブを、切断したマウスのDNAと結合させ、50%ホルムアミド,10
%デキストラン硫酸,2X SSCを含む溶液中でマウスの初期繊維芽細胞由来
の分裂中期染色体とハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたスライドグラ
スを、蛍光標識した抗ジゴキシゲニン抗体中でインキュベートし、さらに4’6
’ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いたカウンター染色に
よりハイブリダイゼーションに特異的なシグナルを検出した。その結果、最初の
実験では、DAPI染色に基づき染色体12と考えられている中程度のサイズの
染色体が、特異的に標識された。第二の実験では、染色体12の動原体領域に特
異的なプローブはP1クローンとコハイブリダイズした。ストリアミンP1及び
染色体12は同一の染色体上に局在していた(図8)。総数80の分裂中期細胞
が解析され、そのうち71が特異的に標識された。特に染色体12とハイブリダ
イズした10個の測定値から、ストリアミンはヘテロクロマチン−ユーロクロマ
チン境界から染色体12のテロメア、すなわちバンド12C3(ヒト染色体14
q21−22に対応する)と関連した領域方向へ57%の距離の位置にあること
が明らかとなった。産業上の利用の可能性 本発明により、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有するストリアミン
タンパク質およびその遺伝子が提供された。本発明のストリアミンタンパク質お
よびその遺伝子は、培養細胞の未分化状態の維持に関与していると考えられるた
め、例えば、癌の治療への応用が期待される。また、マウスおよびヒト由来の遺
伝子は、組織レベルでは心臓や骨格筋に特に強い発現を示すことから、心臓や筋
肉に関連する疾患の治療への応用も考えられる。さらに、マウスおよびヒト由来
の遺伝子は、筋繊維の速収縮筋繊維に特異的に発現する。遅及び速筋繊細の表現
型の仕組みに関してはこれまでほとんど解明されておらず、本発明の遺伝子を解
析することにより、運動への応用の可能性も期待される。
【配列表】
図1は、ストリアミンのヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列を示す。マウス
の骨格筋cDNA上の5’RACE PCRにより得られた配列のフレームコド
ン内の5’上流までアンダーラインで示した。 図2は、A.T3プロモーター下流にストリアミンORFを配置したプラスミ
ドpBS/ストリアミンのin vitro翻訳系での産物を示す。SDS−P
AGEで18kDのタンパク質(矢印)として検出される。B.IPTG誘導し
たpQE30/ストリアミンで形質転換した大腸菌による組換えストリアミンタ
ンパク質の抗His抗体を用いたウェスタン・ブロッティングを示す。約18k
Dの位置にシグナルが検出される(矢印)。 図3は、ノーザン解析によって分析したマウス(A)およびヒト(B)におけ
るストリアミンの発現の組織特異性を示す。 図4は、A.各種筋肉でのストリアミン発現のノーザン分析による検出を示す
。発現は、速収縮型繊維(四頭筋、レーン1)には検出されるが、遅収縮型繊維
(ヒラメ筋、レーン2)には検出されない。 B.いろいろな割合で速収縮/遅収縮繊維を含む筋繊維からのRNAでのノー
ザン分析を示す。レーン1;四頭筋(95%速収縮繊維2B、4%速収縮繊維2
X)、レーン2;長指伸筋(60%速収縮繊維2B、28%速収縮繊維2X、1
2%速収縮繊維2A)、レーン3;腓腹筋表層(100%速収縮繊維2B)、レ
ーン4;横隔膜(57%速収縮繊維2X、34%速収縮繊維2A、7%遅収縮繊
維)、レーン5;ヒラメ筋(45%速収縮繊維2A、55%遅収縮繊維)。スト
リアミンは解糖機能を有する速収縮繊維2Bによく発現する。対照として18S
リボゾームRNAを用いた。 C.in vitroで分化するC2C12細胞でのストリアミンの発現を示
す。レーン1;低細胞密度での分裂中の筋芽細胞のRNA、レーン2;中程度細
胞密度での分裂中の筋芽細胞のRNA、レーン3;C2C12細胞を分化用培地
で1日培養した細胞からのRNA、レーン4;C2C12細胞を分化用培地で4
日間培養した細胞で多くの筋管が形成された細胞からのRNA。対照として18
SリボゾームRNAを用いた。 図5は、in vitroにおけるC2C12細胞分化に与えるストリアミン
の影響を示す。ストリアミンで形質転換した細胞は、分化用培地で72時間培養
しても筋管の形成は認められない(B)が、対照(A)では認められた。 図6は、ストリアミンの細胞内局在を示す。pEGFPC1−ストリアミンを
トランスフェクトしたCOS7細胞ではGFP−ストリアミン融合タンパク質に
よる緑色蛍光を核内に確認できる(A)。ヘキスト染色(B)によるAの細胞核
は矢印で示した。 pEGFPC1−ストリアミン(a)、pEGFPC1−ストリアミンN75
(b)、pEGFPC1−ストリアミンC74(c)をNIH3T3細胞にマイ
クロインジェクションすると、それぞれ核内、核周辺、細胞質に局在することが
示された。 図7は、ストリアミンとp53の相互作用をルシフェラーゼをレポーターとし
て検出した結果を示す。p53発現プラスミド、p53応答性ルシフェラーゼ発
現プラスミド、および各種ストリアミン発現プラスミドをp53−/−マウス胎
児性繊維芽細胞(MEF)に導入し、ルシフェラーゼ活性を検出した。図中の「
1」および「2」の数値はそれぞれのプラスミド(0.5μg/μl)の使用量
を示している。エラーバーは標準偏差(n=3)を示す。 図8は、ストリアミンとp53の相互作用をβ−ガラクトシダーゼをレポータ
ーとして検出した結果を示す。p53発現プラスミド、p53応答性β−ガラク
トシダーゼ発現プラスミド、および各種ストリアミン発現プラスミドをp53−
/−マウス胎児性繊維芽細胞(MEF)に導入し、β−ガラクトシダーゼ活性を
検出した(d,e,f)。また、DNAが注入された細胞を同定するために、コ
ントロールIgGも上記プラスミドと共に細胞にマイクロインジェクトし、FI
TC結合抗ウサギIgGで検出した(a,b,c;矢印)。 対照;(a,d)センスベクター;(b,e)、アンチセンスベクター;(c
,f) 図9は、試験管内におけるストリアミンとp53の相互作用を検出した結果を
示す。 ヒスチジンが結合した各種ストリアミンとGSTが結合したp53をインビトロ
で反応させ、グルタチオンセファローズビーズで免疫沈降を行い、抗ヒスチジン
タグ抗体および抗p53抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った(図中の
「GST−p53pull」)。 図中の「In put」は、GSTを添加せず、そのままウェスタンブロット
解析を行った結果であり、「GST−Pull」は、GST−p53に代えてG
STを添加して、免疫沈降を行い、ウェスタンブロット解析した結果である。「
GST−p53 Pull」は、GST−p53を添加して、免疫沈降を行い、
ウェスタンブロット解析した結果である。 図10は、生体内におけるストリアミンとp53の相互作用を検出した結果を
示す。 GFPが結合した各種ストリアミンを発現するベクターをCOS7細胞に遺伝
子導入し、組み換えタンパク質を細胞内で発現させて、内因性p53と反応させ
た。該細胞の細胞抽出液をNP−40細胞溶解性画分とSDS溶解性画分に分け
、坑p53抗体とインキュベート後、プロテインA/G−セファロースを添加し
て免疫沈降を行った。得られた免疫複合体に対し、SDS−PAGEを行い、坑
GFP モノクローナル抗体および抗p53モノクローナル抗体を用いたウェス
タンブロッティングを行った(図中「p53IC」)。 また、坑p53抗体に代えて、対照IgGを用いて免疫沈降を行って検出を行
った(図中「Control IgG IC」)。また、坑p53抗体を用いた
免疫沈降を行わないで、細胞溶解液自体(免疫沈降に用いた蛋白量の10%)に
対しSDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナル抗体を用いて検出を行っ
た(図中「In put」)。 図11は、マウス中期染色体におけるストリアミンの染色体上の配置を示す。
ストリアミンと染色体12に特異的なプローブは矢印のところに緑の蛍光として
見られた。ストリアミンは12C3領域上に局在していた。
の骨格筋cDNA上の5’RACE PCRにより得られた配列のフレームコド
ン内の5’上流までアンダーラインで示した。 図2は、A.T3プロモーター下流にストリアミンORFを配置したプラスミ
ドpBS/ストリアミンのin vitro翻訳系での産物を示す。SDS−P
AGEで18kDのタンパク質(矢印)として検出される。B.IPTG誘導し
たpQE30/ストリアミンで形質転換した大腸菌による組換えストリアミンタ
ンパク質の抗His抗体を用いたウェスタン・ブロッティングを示す。約18k
Dの位置にシグナルが検出される(矢印)。 図3は、ノーザン解析によって分析したマウス(A)およびヒト(B)におけ
るストリアミンの発現の組織特異性を示す。 図4は、A.各種筋肉でのストリアミン発現のノーザン分析による検出を示す
。発現は、速収縮型繊維(四頭筋、レーン1)には検出されるが、遅収縮型繊維
(ヒラメ筋、レーン2)には検出されない。 B.いろいろな割合で速収縮/遅収縮繊維を含む筋繊維からのRNAでのノー
ザン分析を示す。レーン1;四頭筋(95%速収縮繊維2B、4%速収縮繊維2
X)、レーン2;長指伸筋(60%速収縮繊維2B、28%速収縮繊維2X、1
2%速収縮繊維2A)、レーン3;腓腹筋表層(100%速収縮繊維2B)、レ
ーン4;横隔膜(57%速収縮繊維2X、34%速収縮繊維2A、7%遅収縮繊
維)、レーン5;ヒラメ筋(45%速収縮繊維2A、55%遅収縮繊維)。スト
リアミンは解糖機能を有する速収縮繊維2Bによく発現する。対照として18S
リボゾームRNAを用いた。 C.in vitroで分化するC2C12細胞でのストリアミンの発現を示
す。レーン1;低細胞密度での分裂中の筋芽細胞のRNA、レーン2;中程度細
胞密度での分裂中の筋芽細胞のRNA、レーン3;C2C12細胞を分化用培地
で1日培養した細胞からのRNA、レーン4;C2C12細胞を分化用培地で4
日間培養した細胞で多くの筋管が形成された細胞からのRNA。対照として18
SリボゾームRNAを用いた。 図5は、in vitroにおけるC2C12細胞分化に与えるストリアミン
の影響を示す。ストリアミンで形質転換した細胞は、分化用培地で72時間培養
しても筋管の形成は認められない(B)が、対照(A)では認められた。 図6は、ストリアミンの細胞内局在を示す。pEGFPC1−ストリアミンを
トランスフェクトしたCOS7細胞ではGFP−ストリアミン融合タンパク質に
よる緑色蛍光を核内に確認できる(A)。ヘキスト染色(B)によるAの細胞核
は矢印で示した。 pEGFPC1−ストリアミン(a)、pEGFPC1−ストリアミンN75
(b)、pEGFPC1−ストリアミンC74(c)をNIH3T3細胞にマイ
クロインジェクションすると、それぞれ核内、核周辺、細胞質に局在することが
示された。 図7は、ストリアミンとp53の相互作用をルシフェラーゼをレポーターとし
て検出した結果を示す。p53発現プラスミド、p53応答性ルシフェラーゼ発
現プラスミド、および各種ストリアミン発現プラスミドをp53−/−マウス胎
児性繊維芽細胞(MEF)に導入し、ルシフェラーゼ活性を検出した。図中の「
1」および「2」の数値はそれぞれのプラスミド(0.5μg/μl)の使用量
を示している。エラーバーは標準偏差(n=3)を示す。 図8は、ストリアミンとp53の相互作用をβ−ガラクトシダーゼをレポータ
ーとして検出した結果を示す。p53発現プラスミド、p53応答性β−ガラク
トシダーゼ発現プラスミド、および各種ストリアミン発現プラスミドをp53−
/−マウス胎児性繊維芽細胞(MEF)に導入し、β−ガラクトシダーゼ活性を
検出した(d,e,f)。また、DNAが注入された細胞を同定するために、コ
ントロールIgGも上記プラスミドと共に細胞にマイクロインジェクトし、FI
TC結合抗ウサギIgGで検出した(a,b,c;矢印)。 対照;(a,d)センスベクター;(b,e)、アンチセンスベクター;(c
,f) 図9は、試験管内におけるストリアミンとp53の相互作用を検出した結果を
示す。 ヒスチジンが結合した各種ストリアミンとGSTが結合したp53をインビトロ
で反応させ、グルタチオンセファローズビーズで免疫沈降を行い、抗ヒスチジン
タグ抗体および抗p53抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った(図中の
「GST−p53pull」)。 図中の「In put」は、GSTを添加せず、そのままウェスタンブロット
解析を行った結果であり、「GST−Pull」は、GST−p53に代えてG
STを添加して、免疫沈降を行い、ウェスタンブロット解析した結果である。「
GST−p53 Pull」は、GST−p53を添加して、免疫沈降を行い、
ウェスタンブロット解析した結果である。 図10は、生体内におけるストリアミンとp53の相互作用を検出した結果を
示す。 GFPが結合した各種ストリアミンを発現するベクターをCOS7細胞に遺伝
子導入し、組み換えタンパク質を細胞内で発現させて、内因性p53と反応させ
た。該細胞の細胞抽出液をNP−40細胞溶解性画分とSDS溶解性画分に分け
、坑p53抗体とインキュベート後、プロテインA/G−セファロースを添加し
て免疫沈降を行った。得られた免疫複合体に対し、SDS−PAGEを行い、坑
GFP モノクローナル抗体および抗p53モノクローナル抗体を用いたウェス
タンブロッティングを行った(図中「p53IC」)。 また、坑p53抗体に代えて、対照IgGを用いて免疫沈降を行って検出を行
った(図中「Control IgG IC」)。また、坑p53抗体を用いた
免疫沈降を行わないで、細胞溶解液自体(免疫沈降に用いた蛋白量の10%)に
対しSDS−PAGEを行い、坑GFPモノクローナル抗体を用いて検出を行っ
た(図中「In put」)。 図11は、マウス中期染色体におけるストリアミンの染色体上の配置を示す。
ストリアミンと染色体12に特異的なプローブは矢印のところに緑の蛍光として
見られた。ストリアミンは12C3領域上に局在していた。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML,
MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K
E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),U
A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ
,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,
CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G
E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS
,JP,KE,KG,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,Z
W
(72)発明者 カウル スニール シー
茨城県つくば市東1丁目1番3 通商産業
省工業技術院生命工学工業技術研究所内
(72)発明者 リデル ロジャー アール
オーストラリア国 エヌエスダブリュ2145
ウエストミード ホークスバリー ロー
ド 214 チルドレンズ メディカル リ
サーチ インスティチュート内
(注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作
成したものである。
なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の
効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に
より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。
Claims (14)
- 【請求項1】 配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、または
該タンパク質中のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失
、若しくは付加したアミノ酸配列を有し、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活
性を有するタンパク質。 - 【請求項2】 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズ
するDNAがコードするタンパク質であって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制す
る活性を有するタンパク質。 - 【請求項3】 請求項1に記載のタンパク質をコードするDNA。
- 【請求項4】 配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズ
するDNAであって、筋芽細胞の筋管への分化を抑制する活性を有するタンパク
質をコードするDNA。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載のDNAを含むベクター。
- 【請求項6】 請求項3または4に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換
体。 - 【請求項7】 請求項6に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、請求
項1または2に記載のタンパク質の生産方法。 - 【請求項8】 請求項1または2に記載のタンパク質に結合する抗体。
- 【請求項9】 請求項1または2に記載のタンパク質に結合する化合物のスクリ
ーニング方法であって、 (a)該タンパク質またはその部分ペプチドに被検試料を接触させる工程、 (b)該タンパク質またはその部分ペプチドと被検試料との結合活性を検出する
工程、 (c)該タンパク質またはその部分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選
択する工程、を含む方法。 - 【請求項10】請求項9に記載の方法により単離されうる、請求項1または2に
記載のタンパク質に結合する化合物。 - 【請求項11】請求項1または2に記載のタンパク質の活性を促進または阻害す
る化合物のスクリーニング方法であって、 (a)被検試料の存在下で、筋芽細胞に該タンパク質を接触させる工程、 (b)該細胞の筋管細胞への分化を検出する工程、 (c)被検試料非存在下で検出した場合と比較して、該タンパク質による該分化
の抑制を増強または減弱する化合物を選択する工程、を含む方法。 - 【請求項12】請求項1または2に記載のタンパク質の活性を促進または阻害す
る化合物のスクリーニング方法であって、 (a)該タンパク質を発現するベクター、p53を発現するベクター、およびp
53に応答してレポーター遺伝子を発現するベクターが導入されたp53欠損細
胞を提供する工程、 (b)該細胞に被検試料を接触させる工程、 (c)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および (d)被検試料を細胞に接触させない場合(対照)と比較して、該レポーター活
性を低下または増加させる化合物を選択する工程、を含む方法。 - 【請求項13】請求項11または12に記載の方法により単離しうる、請求項1
または2に記載のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物。 - 【請求項14】配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAと特異的にハイブ
リダイズし、少なくとも15塩基の鎖長を有するDNA。
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10-115975 | 1998-04-10 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPWO1999053057A1 true JPWO1999053057A1 (ja) | 2002-10-29 |
Family
ID=
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US6368826B1 (en) | IGF-1 receptor interacting proteins | |
| JPH09507744A (ja) | 新規の核分裂リンタンパク質:ミトシン | |
| KR100629185B1 (ko) | 인간 리조포스파티드산 수용체 물질 및 그 용도 | |
| WO2000017345A1 (en) | Ly6h gene | |
| US6670450B1 (en) | Protein and gene involved in myocyte differentiation | |
| US6797501B2 (en) | Protein tyrosine phosphatase PTP20 and related products and methods | |
| CA2571350A1 (en) | Peptides for inhibiting the interaction of protein kinase a and protein kinase a anchor proteins | |
| JP2003516122A (ja) | Dapキナーゼのショートセグメント | |
| US6436669B1 (en) | Semaphorin genes (I) | |
| JP2009183291A (ja) | 転写調節因子 | |
| JPWO1999053057A1 (ja) | 筋細胞の分化に関係するタンパク質および遺伝子 | |
| US7256279B2 (en) | Protein having ribonucleotide reductase activity and DNA thereof | |
| US7214782B2 (en) | Nucleic acid of novel human kinesin-related gene protein encoded by the nucleic acid peptide fragment thereof and anticancer agents comprising the nucleic acid and the like | |
| JP2002503466A (ja) | 網膜芽細胞腫タンパク質複合体および網膜芽細胞腫相互作用タンパク質 | |
| WO1998001463A1 (en) | Nucleic acid encoding vertebrate cdc37 | |
| US20040203062A1 (en) | IGF-1 receptor interacting proteins | |
| EP1090987A1 (en) | Cell cycle regulatory factor | |
| JPWO1999057143A1 (ja) | 転写調節因子 | |
| JPWO1999067369A1 (ja) | 細胞周期調節因子 | |
| JP2003219889A (ja) | 新規mapキナーゼ活性抑制因子 | |
| JP2000217578A (ja) | Masl1遺伝子 | |
| JPWO1998015628A1 (ja) | 新規セマフォリン遺伝子:セマフォリンw | |
| JPH1080282A (ja) | C型ナトリウム利尿ペプチド遺伝子の新規転写調節因子 | |
| JPH1087697A (ja) | 蛋白質およびその遺伝子 | |
| JP2003116557A (ja) | H−RasおよびM−Ras結合蛋白質DA−Raf |