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JPH0864110A - 炭化物膜被覆電子放射材料およびその製造方法 - Google Patents

炭化物膜被覆電子放射材料およびその製造方法

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Publication number
JPH0864110A
JPH0864110A JP20095894A JP20095894A JPH0864110A JP H0864110 A JPH0864110 A JP H0864110A JP 20095894 A JP20095894 A JP 20095894A JP 20095894 A JP20095894 A JP 20095894A JP H0864110 A JPH0864110 A JP H0864110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emitting material
film
electron emitting
carbide film
tungsten
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20095894A
Other languages
English (en)
Inventor
Konosuke Inagawa
幸之助 稲川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP20095894A priority Critical patent/JPH0864110A/ja
Publication of JPH0864110A publication Critical patent/JPH0864110A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Solid Thermionic Cathode (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小さな仕事関数により電子放射効率が向上し
て低温での動作が可能となって、少ない電力で効率よ
く、かつ寿命が著しく向上した炭化物膜被覆電子放射材
料。 【構成】 タングステンフィラメントの外周面に組成比
1<C/Ta<1.2から成る炭化タンタル膜を被覆した炭
化物膜被覆電子放射材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化物膜被覆電子放射
材料およびその製造方法に関し、更に詳しくは、電子放
射材料ブラウン管、電子顕微鏡、オージェ電子分光等の
分析装置、超LSIの電子ビーム露光装置、金属溶解或
いは蒸着等に用いられる電子銃としての電子発生源等に
用いる炭化物膜被覆電子放射材料およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電子放射材料としてタングステ
ン(W)が知られており、このタングステンは融点が高
いため、高温においても変形が少なく、また、蒸気圧が
低いので熱電子放射材料として古くから用いられてい
た。タングステンは強電界電子放射材料としても用いら
れている。
【0003】トリウム−タングステン線の表面(外周
面)に炭化層を被覆、形成したフィラメントが特開昭52
-147055号公報に開示されている。
【0004】また、本出願人は先に特開昭61-250927号
公報で、金属細線の表面に良電子放射物質(例えばTi
C)を被覆したものを電子放射体として用いることを提
案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来より熱電子放
射材料として用いられているタングステンは10- 6Pa以
上の真空中では二酸化炭素等の残留ガスが吸着して仕事
関数が大きくなり、そのため放射電流が急速に減少す
る。また、タングステンでは吸着した残留ガス分子の表
面移動やイオン衝撃があるため、放射電流が不安定であ
る。
【0006】また、熱電子放射材料として高輝度の電子
電流を得るためには極めて高い温度に加熱する必要があ
り、それによる著しい蒸発のため寿命が短い、という問
題がある。
【0007】また、特開昭52-147055号公報に開示され
ている表面に炭化層を被覆、形成したフィラメントは外
部からの機械的振動、衝撃に対しても炭化層が破損しな
いようにフィラメント構造の固着保持に工夫を加えたも
のである。
【0008】また、特開昭61-250927号公報で提案の、
金属細線の表面に良電子放射物質(例えばTiC)を被
覆したものは比較的低温でも十分な電子放射を保証で
き、それにより消耗や損耗率を低減でき、しかも熱応力
や引張応力を補償出来るという効果がある。
【0009】そこで、電子放射材料の小型化、多様化、
高効率化等に伴って耐熱性に優れ、高い放射電流、長寿
命の電子放射材料の出現が求められていた。
【0010】本発明は耐熱性に優れ、悪い真空状態でも
安定に放射電流が得られ、かつ長寿命の炭化物膜被覆電
子放射材料と、その製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達
成すべく鋭意研究した結果、従来電子放射材料として多
用されているタングステン(W)を始め、タンタル(Ta)や
モリブデン(Mo)の表面にチタン(Ti)、タンタル(Ta)等の
遷移金属の炭化物膜を被覆すると仕事関数が小さくな
り、また、二酸化炭素等の残留ガスに対しても吸着が少
なく、かつそれとの反応性に対して安定であるため比較
的高い圧力の真空中でも使用可能となる。
【0012】また、表面に炭化物膜を被覆した電子放射
材料は次のような長所をもつ。遷移金属炭化物はタング
ステン、タンタル、モリブデンに比べて仕事関数が小さ
い(W:4.54eV、Ta:4.01eV、Mo:4.03eV、TiC:3.25eV、Zr
C:3.0eV、NbC:3.50eV、TaC:3.40eV、HfC:3.40eV)。そ
のため動作温度が低くてよいから放射効率がよい。更
に、前記遷移金属炭化物は前記金属よりも融点が高い
(W:3380℃、Ta:2998℃、Mo:2617℃、TiC:3450℃、ZrC:
3830℃、NbC:4170℃、TaC:4160℃、HfC:4180℃)。ま
た、蒸発速度も前記金属とほぼ同じかそれ以下である。
【0013】このように高温特性に優れている上に、か
つ低温動作が可能となるため、寿命時間が著しく延びる
ということを知見した。
【0014】本発明は前記知見に基づいてなされたもの
であり、炭化物膜被覆電子放射材料は、タングステン製
電子放射材料の表面に炭化物膜を被覆した炭化物膜被覆
電子放射材料において、該炭化物膜は組成比1<C/T
a<1.2から成る炭化タンタル膜であることを特徴とす
る。
【0015】また、前記炭化物膜の膜厚を1〜50μmとし
てもよい。また、タングステン製電子放射材料をタング
ステンフィラメントとしてもよい。
【0016】本発明の炭化物膜被覆電子放射材料の製造
方法は、真空中で金属Taを蒸発させ、同時にC22
スを導入して、両者を反応性イオンプレーティング法に
より蒸着中圧力/成膜速度を6.0×10- 2Pa・min/μm以上
で反応させてタングステン製電子放射材料の表面に組成
比1<C/Ta<1.2から成る炭化タンタル膜を被覆する
ことを特徴とする。
【0017】また、タングステン製電子放射材料をタン
グステンフィラメントとしてもよい。
【0018】
【作用】真空中でTaを蒸発させると共に、C22ガス
を導入し、反応性イオンプレーティング法で反応させる
とタングステン製電子放射材料の表面にTaCから成る
炭化物膜が被覆される。
【0019】その際、蒸着中圧力/成膜速度を6.0×10-
2Pa・min/μm以上で反応性イオンプレーティング法によ
りTaとC22を反応させると、組成比1<C/Ta<
1.2の炭化タンタル膜がダングステン製電子放射材料の
表面に被覆される。
【0020】この組成比1<C/Ta<1.2の炭化タンタ
ル膜は低温動作が可能となるため寿命時間が著しく延び
る。
【0021】
【実施例】本発明において、タングステン製電子放射材
料の表面に被覆された炭化タンタル(TaC)膜の組成
比C/Taの範囲を1<C/Ta<1.2としたのは、組成
比C/Taが1以下の場合は作動高温度で劣化が生じる
不安定な膜となり、組成比C/Taが1.2以上の場合は
未結合の自由炭素により真空系の汚染の原因となるから
である。
【0022】また、タングステン製電子放射材料の表面
に被覆された炭化タンタル膜の膜厚範囲を1〜50μmとし
たのは、膜厚が1μmに満たない場合は複雑形状の基材で
は被覆されない部分が生じる可能性があり、膜厚が50μ
mを超えた場合は被膜に亀裂が生じやすく、かつ剥離し
やすくなるからである。
【0023】本発明の製造方法において、真空中で金属
Taを蒸発させ、同時にC22ガスを導入して、反応性
イオンプレーティング法で反応させてタングステン製電
子放射材料の表面に組成比1<C/Ta<1.2から成る炭
化タンタル膜を被覆する際、蒸着中圧力/成膜速度を6.
0×10- 2Pa・min/μm以上としたのは、蒸着中圧力/成膜
速度が6.0×10- 2Pa・min/μmに満たない場合は単相のT
aC膜は得られず、Ta2Cを含む2相(TaC+Ta2
C)の膜となるからである。尚、蒸着中圧力/成膜速度
の上限値は組成比はこの値に比例しないことを考慮すれ
ば2×10- 1Pa・min/μm程度とすればよい。
【0024】また、本発明において蒸着中圧力とはC2
2圧力と反応によって生じたH2圧力の和の全圧を示
す。
【0025】先ず、本発明の基本的な考え方について述
べる。
【0026】1.緒言 遷移金属(Ti、Zr、Hf、Ta、Nb等)炭化物は
高融点、高硬度並びに化学的安定性から、高温構造材料
や耐摩耗材料としての利用のみならず、電子放射材料と
しての利用も期待されている。熱陰極材料の評価の目安
としての良さの指数「Figure of Merit(φ/Te、た
だしφは仕事関数、Teは蒸気圧10- 5Torrとなる温
度)」はWは1.6×10- 3、ZrCは1.5×10- 3、TiC
は1.4×10- 3、TaCは1.2×10- 3であり、この値が小
さい程良好であるといえる。
【0027】本発明では、炭化物膜の電子材料分野での
応用として、良さの指数の値が最も小さいTaC膜を取
り上げて、その生成条件を明らかにし、更にWフィラメ
ントにコートして熱電子放射特性について検討した。
【0028】2.実験方法 TaC膜の生成には活性化反応性蒸着を用いた。バルク
のTaを電子ビームにより溶融して蒸発させ、反応ガス
としてC22或いはC24ガスを導入した。基板にはSU
S304を使用した。生成膜の評価としては結晶構造、格子
定数、X線回折線の半値幅、結晶粒径、化学組成、硬
さ、色調を調べた。
【0029】3.実験結果および考察 3-1 C22ガスの場合 実験条件を表1に、また、生成膜の特性を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】蒸着中の圧力と成膜速度から求めた入射頻
度比γ(C22)/γ(Ta)が2.6以上では全てTa
C相のみである。格子定数は4.453〜4.463で報告されて
いる値(4.455Å)と同程度であり、入射頻度比による
大きな変化はない。シェラー(Scherrer)の式から求め
た結晶粒径は入射頻度比の増加と共に減少する。
【0033】オージェ電子分光分析のスペクトルのピー
クから求めた試料番号8-K-109の組成比C/Taは1.17
であった。また、同被膜(厚さ4μm)の微小ビッカース
硬さは2000kg/mm2であり、淡い金色を呈した。
【0034】3-2 C24ガスの場合 生成膜の特性を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】入射頻度比γ(C24)/γ(Ta)が4.
1以下ではTaC相のみであるが、4.9は非常にブロード
な(101)が観測されるTa2Cが主で、ほかに弱いTaC
がある。入射頻度比が6.9〜9.7ではTaCが主で、ほか
にTa2Cが混じっている。
【0037】TaCの格子定数は入射頻度比に対してあ
まり変化せず、バルクの報告値に近い。結晶粒径は2相
状態を反映して複雑な変化をする。
【0038】C22の場合には容易に単相のTaC膜が
得られるが、C24の場合は反応性が低いためTa2
を含む2相状態となる。
【0039】3-3 熱電子放射特性 WフィラメントにTaC膜をコートして熱電子放射特性
を調べ、コートしないものと比較した。TaCをコート
することにより熱電子放射電流は増大し、更に寿命が伸
びることが分かった。
【0040】尚、本発明の製造方法において、金属タン
タル(Ta)とアセチレン(C22)ガスを反応性イオ
ンプレーティング法で反応させて、タングステン製電子
放射材料の表面にTaC膜を被覆する際、タングステン
製電子放射材料の温度は200〜800℃程度、成膜速度は0.
05〜5μm/min程度とするのが好ましい。
【0041】次に添付図面に従って本発明の具体的実施
例を比較例と共に説明する。
【0042】実施例1 本実施例では電子放射材料として図1に示す太さ0.1mm
φ、コイル径1mmφ、コイルの巻数10、コイル部の長さ5
mm、電極部各4mmのタングステン(W)コイルフィラメ
ント1を用いた。コイルフィラメント1の表面に被覆す
る炭化物膜の蒸発物質として純度99%のタンタル(T
a)を用い、また、反応ガスとして純度99%のアセチ
レン(C22)ガスを用いた。
【0043】コイルフィラメントの外周面への炭化物膜
の被覆を反応性イオンプレーティング法により行った。
反応性イオンプレーティングの条件は、真空室内圧力を
1.3×10- 4Pa、コイルフィラメントの温度を500℃、T
aを加熱蒸発させる蒸発源の電子ビーム出力を4kW、蒸
着中圧力を4×10- 2Pa、プローブ電圧を50V、プローブ
電流を0.5A、成膜速度を0.3μm/minとした。この蒸着中
圧力4×10- 2Pa、成膜速度0.3μm/minは蒸着中圧力/成
膜速度=1.3×10- 1Pa・min/μmである。
【0044】尚、プローブとは電子ビーム蒸発源の近傍
に設置したリング状の電極である。
【0045】そして、図2に示すようなタングステンコ
イルフィラメント1の外周面に膜厚3μmの炭化タンタル
(TaC)膜2を被覆した炭化物膜被覆電子放射材料3
を作製した。
【0046】タングステンコイルフィラメント1の外周
面に被覆したTaC膜2の組成比C/Taをオージェ電
子分光分析のスペクトルのピーク比により調べたとこ
ろ、組成比C/Ta=1.17であった。
【0047】前記方法でタングステンコイルフィラメン
トの外周面にTaC膜が被覆された炭化物膜被覆電子放
射材料の熱電子放射特性を二極タイプの装置を用い、圧
力1×10- 4Paの真空室内で調べた。
【0048】熱電子放射特性として炭化物膜被覆電子材
料の温度(℃)、投入電力(W)、放射電流(μA)、
炭化物膜被覆電子材料のフィラメントが蒸発して切断す
るまでの寿命時間(時間)について調べた。尚、フィラ
メントの温度(℃)は光高温計で測定し、特性測定装置
の陽極電圧は10Vとした。調べたフィラメント温度
(℃)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)の結果を
表4に示す。
【0049】また、投入電力(W)と放射電流(μA)
との関係を図3に曲線Aとして示し、また、フィラメン
ト温度(℃)と放射電流(μA)との関係を図4に曲線
Bとして示した。
【0050】実施例2 電子ビーム出力を4.5kW、蒸着中圧力を2×10- 2Pa、成
膜速度を0.4μm/minとした以外は前記実施例1と同様の
方法でタングステンコイルフィラメントの外周面に膜厚
3μmのTaC膜を被覆した炭化物膜被覆電子放射材料を
作製した。この蒸着中圧力2×10- 2Pa、成膜速度0.4μm
/minは蒸着中圧力/成膜速度=5×10- 2Pa・min/μmであ
る。
【0051】また、タングステンコイルフィラメントの
外周面に被覆したTaC膜の組成比C/Taをオージェ
電子分光分析のスペクトルのピーク比により調べたとこ
ろ、組成比C/Ta=1.01であった。
【0052】そして、前記実施例1と同様の方法で炭化
物膜被覆電子放射材料のフィラメントの温度(℃)、投
入電力(W)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)に
ついて調べた。調べたフィラメント温度(℃)、放射電
流(μA)、寿命時間(時間)の結果を表4に示す。
【0053】また、投入電力(W)と放射電流(μA)
との関係を図3に曲線Cとして示し、また、フィラメン
ト温度(℃)と放射電流(μA)との関係を図4に曲線
Dとして示した。
【0054】実施例3 蒸着中圧力を3×10- 2Paとした以外は前記実施例1と同
様の方法でタングステンコイルフィラメントの外周面に
膜厚3μmのTaC膜を被覆した炭化物膜被覆電子放 射
材料を作製した。この蒸着中圧力3×10- 2Pa、成膜速度
0.3μm/minは蒸着中圧力/成膜速度=1×10- 1Pa・min/
μmである。
【0055】また、タングステンコイルフィラメントの
外周面に被覆したTaC膜の組成比C/Taをオージェ
電子分光分析のスペクトルのピーク比により調べたとこ
ろ、組成比C/Ta=1.10であった。
【0056】そして、前記実施例1と同様の方法で炭化
物膜被覆電子放射材料のフィラメントの温度(℃)、投
入電力(W)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)に
ついて調べた。調べたタングステンコイルフィラメント
温度(℃)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)の結
果を表4に示す。
【0057】また、投入電力(W)と放射電流(μA)
との関係を図3に曲線Eとして示し、また、フィラメン
ト温度(℃)と放射電流(μA)との関係を図4に曲線
Fとして示した。
【0058】比較例1 電子放射材料としてTaC膜を何ら被覆していない太さ
0.1mmφ、コイル径1mmφ、コイルの巻数10、コイル部の
長さ5mm、電極部各4mmのタングステンコイルフィラメン
トを用いた。
【0059】そして、前記実施例1と同様の方法でタン
グステンコイルフィラメントの温度(℃)、投入電力
(W)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)について
調べた。調べたフィラメント温度(℃)、放射電流(μ
A)、寿命時間(時間)の結果を表4に示す。
【0060】また、投入電力(W)と放射電流(μA)
との関係を図3に曲線Gとして示し、また、フィラメン
ト温度(℃)と放射電流(μA)との関係を図4に曲線
Hとして示した。
【0061】比較例2 電子ビーム出力を4.6kW、蒸着中圧力を2×10- 2Pa、成
膜速度を0.42μm/minとした以外は前記実施例1と同様
の方法でタングステンコイルフィラメントの外周面に膜
厚3μmのTaC膜を被覆した炭化物膜被覆電子放射材料
を作製した。この蒸着中圧力2×10- 2Pa、成膜速度0.42
μm/minは蒸着中圧力/成膜速度=4.8×10- 2Pa・min/μ
mである。
【0062】また、タングステンコイルフィラメントの
外周面に被覆したTaC膜の組成比C/Taをオージェ
電子分光分析のスペクトルのピーク比により調べたとこ
ろ、組成比C/Ta=0.93であった。
【0063】そして、前記実施例1と同様の方法で、炭
化物膜被覆電子放射材料のフィラメントの温度(℃)、
投入電力(W)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)
について調べた。調べたフィラメント温度(℃)、放射
電流(μA)、寿命時間(時間)の結果を表4に示す。
【0064】比較例3 蒸着中圧力を1×10- 1Paとした以外は前記実施例1と同
様の方法でコイルフィラメントの外周面に膜厚3μmのT
aC膜を被覆した炭化物膜被覆電子放射材料を作製し
た。この蒸着中圧力1×10- 1Pa、成膜速度0.3μm/minは
蒸着中圧力/成膜速度=3.3×10- 1Pa・min/μmである。
【0065】また、タングステンコイルフィラメントの
外周面に被覆したTaC膜の組成比C/Taをオージェ
電子分光分析のスペクトルのピーク比により調べたとこ
ろ、組成比C/Ta=1.25であった。
【0066】そして、前記実施例1と同様の方法で炭化
物膜被覆電子放射材料のフィラメントの温度(℃)、投
入電力(W)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)に
ついて調べた。調べたフィラメント温度(℃)、放射電
流(μA)、寿命時間(時間)の結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】表4から明らかなように、同一投入電力に
対して本発明の実施例1、実施例2並びに実施例3はT
aC膜を何ら被覆していないWフィラメントのみの比較
例1に比してフィラメントの温度が低く、2倍以上の放
射電流が得ら、寿命は200倍以上に増加していることが
分かる。従って、本発明の実施例は電子放射特性が著し
く改善されたことが確認された。
【0069】また、各実施例は被覆されたTaC膜の組
成比C/Taが本発明の範囲以外の比較例2、比較例3
に比してフィラメントの温度が同一の場合、放射電流は
大きく、寿命は長いことが分かる。
【0070】図3から明らかなように、同一投入電力に
対して実施例1、実施例2、実施例3では比較例1(W
フィラメントのみ)に比して2倍以上の放射電流が得ら
れる。従って、例えば20μAの放射電流を得るのに比較
例1では投入電力が20W必要であるが、実施例1、実施
例2、実施例3では投入電力は4Wでよく、効率が極めて
よいことが確認された。
【0071】図4から明らかなように、同一フィラメン
ト温度に対して実施例1、実施例2、実施例3では比較
例1(Wフィラメントのみ)に比して2倍以上の放射電
流が得られる。従って、例えば20μAの放射電流を得る
のに比較例1(Wフィラメントのみ)ではフィラメント
温度を2800℃とする必要があるが、実施例1、実施例
2、実施例3ではフィラメント温度を1800℃でよく、比
較例1(Wフィラメントのみ)の温度よりも1000℃低く
することが出来、それによって寿命を大幅に延ばし、電
子放射材料の長寿命化を図れることが確認された。
【0072】実施例4 本実施例ではタングステンコイルフィラメントの外周面
に被覆する炭化タンタル膜の膜厚を変えた場合における
電子放射特性を調べることとした。
【0073】炭化タンタル膜の膜厚を1μm、10μ
m、15μm、30μm、50μmとした以外は、前記
実施例1と同様の方法で炭化タンタル(組成比C/Ta
=1.17)膜の膜厚が異なる各炭化物膜被覆電子放射材料
を作製した。
【0074】そして、炭化タンタル膜の膜厚が異なる各
炭化物膜被覆電子放射材料の夫々について前記実施例1
と同様の方法で炭化物膜被覆電子放射材料のフィラメン
トの温度(℃)、投入電力(W)、放射電流(μA)、
寿命時間(時間)について調べた。調べたフィラメント
温度(℃)、放射電流(μA)、寿命時間(時間)の結
果を表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】表5から明らかなように、タングステンコ
イルフィラメントの表面に被覆する炭化物(TaC)膜
の膜厚は1μm〜50μmの範囲において放射電流は膜
厚に対して大きな差はないが、寿命時間は膜厚と共に長
くなることが確認された。
【0077】バルクの遷移金属炭化物は高い硬度と脆さ
のため、所望形状に加工することは極めて困難である
が、電子放射材料の金属材を予めコイル状、ヘアピン
状、チップ状、円筒形状、平板状等に加工し、その加工
物の表面への炭化物膜を被覆することは容易であるか
ら、種々の形状を有する電子放射源の用途としての多様
性がある。
【0078】また、タングステンフィラメントの表面に
炭化タンタルの薄膜を被覆することにより、仕事関数が
小さくなり、残留ガスの吸着もすくなく、かつ安定な電
子放射特性を示すこととなる。
【0079】前記実施例の炭化物膜被覆電子放射材料3
は図2に示すようにタングステンコイルフィラメント1
の外周面全面に亘ってTaC膜2を被覆したが、TaC
膜をタングステンコイルフィラメントの一部に被覆して
もよい。
【0080】また、前記実施例ではタングステンコイル
フィラメントを用いたが、タングステンを素材とし、ヘ
アピン状、チップ状、円筒形状、平板状等、用途に合わ
せた各種形状とし、その表面にTaC膜を被覆するよう
にしてもよい。
【0081】前記実施例では放射電流として数十μA程
度の微小電流について行ったが、金属融解や蒸着に用い
る電子ビーム源として数百A以上の大電流の電子発生源
としても使用可能である。
【0082】前記実施例では熱電子放射への適用を行っ
たが、強電界電子放射としても使用可能である。
【0083】
【発明の効果】本発明の炭化物膜被覆電子放射材料によ
るときは、タングステン製電子放射材料の表面に組成比
1<C/Ta<1.2の炭化タンタル膜が被覆されているの
で、仕事関数を小さくすることが出来、また、残留ガス
の吸着を少なくすることが出来るため、比較的高い真空
中での電子放出が可能である。
【0084】また、小さな仕事関数により電子放射効率
が向上するため、低温での動作が可能となって、少ない
電力で効率よく、かつ長寿命化が可能となる等の効果が
ある。
【0085】また、炭化物膜被覆電子放射材料の製造方
法によるときは、真空中で金属Taを蒸発させると同時
に、C22ガスを導入し、反応性イオンプレーティング
法により蒸着中圧力/成膜速度を6.0×10- 2Pa・min/μ
mとし、両者を反応させてタングステン製電子放射材料
の表面に組成比1<C/Ta<1.2の炭化タンタル膜を被
覆するようにしたので、仕事関数が小さく、残留ガスの
吸着が少なく、低温動作が可能で、寿命が著しく延びた
タングステン製の炭化物膜被覆電子放射材料を容易に製
造することが出来る効果がある。
【0086】本発明の製造方法を用いることによりタン
グステンを種々の形状に加工した後に炭化物膜を被覆す
ることが出来るので、種々の形状を有する電子放射源の
用途としての多様性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例に用いたタングステンコイ
ルフィラメントの該略図、
【図2】 本発明方法で製造された炭化物膜被覆放射材
料の截断面図、
【図3】 本発明方法により製造された炭化物膜被覆放
射材料と、比較例の投入電力と放射電流との関係を示す
特性線図、
【図4】 本発明方法により製造された炭化物膜被覆放
射材料と、比較例のフィラメント温度と放射電流との関
係を示す特性線図。
【符号の説明】
1 タングステンコイルフィラメント、 2 炭
化物膜、3 炭化物膜被覆電子放射材料。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン製電子放射材料の表面に炭
    化物膜を被覆した炭化物膜被覆電子放射材料において、
    該炭化物膜は組成比1<C/Ta<1.2から成る炭化タン
    タル膜であることを特徴とする炭化物膜被覆電子放射材
    料。
  2. 【請求項2】 前記炭化タンタル膜の膜厚は1〜50μmで
    あることを特徴とする請求項第1項に記載の炭化物膜被
    覆電子放射材料。
  3. 【請求項3】 前記タングステン製電子放射材料はタン
    グステンフィラメントであることを特徴とする請求項第
    1項または第2項に記載の炭化物膜被覆電子放射材料。
  4. 【請求項4】 真空中で金属Taを蒸発させ、同時にC
    22ガスを導入して、両者を反応性イオンプレーティン
    グ法により蒸着中圧力/成膜速度を6.0×10- 2Pa・min/μ
    m以上で反応させてタングステン製電子放射材料の表面
    に組成比1<C/Ta<1.2から成る炭化タンタル膜を被
    覆することを特徴とする炭化物膜被覆電子放射材料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記タングステン製電子放射材料はタン
    グステンフィラメントであることを特徴とする請求項第
    4項に記載の炭化物膜被覆電子放射材料の製造方法。
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