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JPH08201363A - 分析用試料濃縮装置 - Google Patents

分析用試料濃縮装置

Info

Publication number
JPH08201363A
JPH08201363A JP5351685A JP35168593A JPH08201363A JP H08201363 A JPH08201363 A JP H08201363A JP 5351685 A JP5351685 A JP 5351685A JP 35168593 A JP35168593 A JP 35168593A JP H08201363 A JPH08201363 A JP H08201363A
Authority
JP
Japan
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hollow fiber
gas
sample
temperature
container
Prior art date
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Granted
Application number
JP5351685A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3322325B2 (ja
Inventor
Keiichi Ogasawara
啓一 小笠原
Toshio Masuoka
登志夫 増岡
Kensaku Mizoguchi
健作 溝口
Masami Matsui
正己 松居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Shimadzu Corp filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP35168593A priority Critical patent/JP3322325B2/ja
Publication of JPH08201363A publication Critical patent/JPH08201363A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3322325B2 publication Critical patent/JP3322325B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水や気体に含まれている微量成分を選択的に
濃縮して分析装置に供給すること。 【構成】 高分子材料により形成された中空糸2を、そ
の両端を外部管路と接続可能に容器3に収容するととも
に、中空糸2の温度を制御するヒータ8を備えたガス選
択手段1と、容器3に被濃縮流体を供給するポンプ20
と、中空糸2に接続するコンデンサ12とを備える。中
空糸2の壁面が化学的親和力を有する分子ふるいや、中
空糸2が多孔質である場合には細孔がふるいとして機能
するため、中空糸2の隔壁を透過する際、挟雑物は中空
糸に吸着されて通過することができず、目的成分だけが
透過してコンデンサ12に吸着して濃縮される。そして
このようなふるいの機能は、中空糸2の温度に依存する
ので、中空糸2の温度を制御することにより、対象とな
る成分を選択したり、また再現性良く透過率を制御する
ことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体や液体に含まれて
いる微量な成分を濃縮するための分析用試料濃縮装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】気体や液体に含まれているppbオーダ
の微量なガス成分を分析する場合には、サンプルガスを
液体窒素等により冷却して目的成分を液化させて濃縮す
る方法が、また水に含まれている成分を対象とする場合
には空間領域を確保した密閉容器に試料を収容して一定
条件下で気液平衡状態を維持させ、容器の空間の気体を
試料として採取するヘッドスペース法等が常用されてい
る。
【0003】しかしながら、サンプルに比較的大量に含
まれている目的物以外の妨害成分も同時に濃縮されてし
まい、分析対象とする成分よりも極めて高い濃度の成分
として分析手段に流入して妨害成分となるため、特に環
境測定のように規制対象成分だけを選択的に検出したい
場合等には、目的とする微量な成分の検出が困難になる
という問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題に鑑みてなされたものであって、その目的とするとこ
ろは環境測定の対象となる成分を再現性良く、しかも確
実に濃縮することができる新規な分析用試料濃縮装置を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、高分子材料により形成され
た中空糸を、その両端を外部管路と接続可能に容器に収
容するとともに、前記中空糸の温度を制御する手段を備
えたガス選択手段と、前記容器に被濃縮流体を供給する
ポンプ手段と、前記中空糸に接続するコンデンサとを備
えてなる分析用試料濃縮装置を備えるようにした。
【0006】
【作用】中空糸の壁面が化学的親和力を有する分子ふる
いや、中空糸が多孔質である場合には細孔がふるいとし
て機能するため、中空糸の隔壁を透過する際、挟雑物は
中空糸に吸着されて通過することができず、目的成分だ
けが透過してコンデンサに吸着して濃縮される。そして
このようなふるいの機能は、中空糸の温度に依存するの
で、中空糸の温度を制御することにより、対象となる成
分を選択したり、また再現性良く透過率を制御すること
が可能となる。
【0007】
【実施例】そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例
に基づいて説明する。図1は本発明の実施例を示すもの
であって、図中符号1は、ガス選択手段で、高分子材
料、例えばシリコンやポリエステル、弗素樹脂等からな
る細い糸に一端から他端に貫通する直径1乃至100μ
mの通孔を形成してパイプ状の隔壁として機能する中空
糸2を、円筒状容器3の内部空間7に収容し、その両端
2a、2bを外部の管路との接続が可能なように円筒容
器3の両端で封止するともに、中空糸2を常温以上、例
えば40°C乃至150°Cに加熱するヒータ8を設け
て構成されている。円筒状容器3の端部近傍には外部管
路と接続するための接続口4、5が設けられている。
【0008】12は、コンデンサで、室温程度の低温状
態では分析対象となる気体を吸着し、また200°C程
度では吸着している気体を脱離する吸着剤をカラムに収
容して構成されている。コンデンサ12は、その周囲に
フラッシュヒータ13を備え、一端がガス選択手段1の
中空糸2の一端2aに接続され、また他端が切換弁14
を介して分析用カラム15と、キャリアガス源16に選
択的に接続可能になっている。分析用カラム15の他端
にはガスクロマトグラフ用検出器17が接続されてい
る。これら分析用カラム15、及び検出器17は、恒温
槽18に収容されてガスクロマトグラフを構成してい
る。
【0009】14は、切換弁で、キャリアガス源16−
中空糸2−コンデンサ12−排出口23、及びキャリア
ガス源16−分析用カラム15とを連通させる第1の流
路(図中、切換弁の点線で示す流路)と、キャリアガス
源16−中空糸2−コンデンサ12−分析用カラム15
とを接続する第2の流路(図中、切換弁の実線で示す流
路)とを切換えるものである。
【0010】19は、試料計量手段をなすシリンダで、
一端がプランジャポンプ20を介してガス選別手段1の
円筒状容器3の接続口5に、また他端が円筒状容器3の
他方の接続口4に接続され、内部の試料をプランジャポ
ンプ20により中空糸2の外周、つまり円筒状容器3の
空間7を循環させるように接続されている。なお、図中
符号21は、試料計量手段19の試料注入口を、また2
2はガスクロマトグラフの試料注入機構を示す。
【0011】この実施例において、ヒータ8により中空
糸2の温度を、目的成分を選択的に通過させることがで
きる温度、例えば80°Cに設定するとともに、試料注
入口21から試料計量手段19に試料、例えば水を充填
する。
【0012】この状態で、切換弁14を第1の流路(図
中、点線により示す流路)に切換えて、プランジャポン
プ20を作動させると、試料計量手段19内の試料はガ
ス選択手段1の円筒状容器3の接続口5から空間7に流
れ込み、他方の接続口4から再び計量手段19に戻ると
いうルートを循環する。またキャリアガス源16からの
キャリアガスが中空糸2の一端2bから流れ込み、他端
2aからコンデンサ12を経由して排出口23より排出
される。
【0013】この循環の過程で分析対象となる試料に含
まれているガス成分は、中空糸2を構成している材料に
より決まる選択機能、例えばシリコンの場合には材料中
の浸透により、また弗素樹脂の場合には細孔の通過によ
り中空糸2の通孔に侵入し、キャリアガスによりコンデ
ンサ12に運ばれる。
【0014】一方、妨害成分は中空糸2の隔壁を通過す
る過程で中空糸2を構成している材料の親和力により吸
着されたり、また弗素樹脂の場合には細孔によりはばま
れて中空糸2の細孔に侵入することができない。
【0015】中空糸2を透過した成分は、ここに流れ込
んでくるキャリアガスによりコンデンサ12に運ばれて
コンデンサ12の吸着剤に吸着されて順次濃縮されてい
く。
【0016】ところで、ガス成分が、中空糸2等の高分
子膜を透過する際のガス透過係数Pは、ガスの溶解度を
K、拡散係数をDとすると、一般的に P=K×D なる関係で表すことができる。一方、ガスの溶解度は、
中空糸2の温度に依存しているから、ガス選択手段1の
ヒータ8の温度を制御して中空糸2の温度を変えると、
ガスの溶解度Kが変化するため、中空糸2を透過する対
象ガスの透過率を調整することが可能となる。すなわ
ち、ヒータ8の温度により透過させたいガスの種類を選
択することが可能となるばかりでなく、透過率が一定と
なるように制御することが可能となる。
【0017】このようにして所定時間が経過した時点で
切換弁14を第2の流路(図中、切換弁14の実線によ
り示す流路)に切換えると、キャリアガス源16−中空
糸2−コンデンサ12−分析用カラム15−検出手段1
7という流路が形成される。この段階でフラッシュヒ−
タ13に電流を供給すると、コンデンサ12に吸着され
ている成分が吸着剤から脱離し、ここに流れ込んで来る
キャリアガスにより極めて短時間で分析用カラム15に
追い出される。分析用カラム15に流れ込んだ試料は、
分析カラム15で成分毎に分離され、カラム充填剤によ
り決まる溶出時間の経過後に検出器17に流れ込み、そ
の濃度が検出される。
【0018】このように中空糸2は、表1に示したよう
にエタノール、アセトニトリル等の有機溶媒や酢酸を選
択的に排除するばかりでなく、試料を構成している水の
透過も阻止するから、特に水に溶解している気体成分を
濃縮した場合には、ガス成分だけを選択的に取り出すこ
とができ、操作が比較的簡単なガス分析装置により分析
することができる。
【表1】
【0019】(比較例)純水にメタノール200pp
b、クロロホルム50ppb、ベンゼン100ppbを
溶解したサンプルを用いて、上述の分析装置により分析
したところ、図2(イ)に示したように挟雑物となる
水、及びメタノールを完全に排除してクロロホルム(P
1)とベンゼン(P2)だけのピークを得ることができ
た。
【0020】一方、比較のために従来のパージ・トラッ
プ法により試料を濃縮して同一の分析手段で分析したと
ころ、図2(ロ)に示したように通常、環境測定におい
ては挟雑物として扱われているメタノールの大きなピー
ク(P3)を伴ってクロロホルム(P1)、ベンゼン
(P2)とが検出された。このように分析対象となる成
分よりも極めて高い濃度の試料が流入すると、ピークの
テールエンドが長くなり、目的成分のピークがこのテー
ルエンド領域に位置すると分析誤差を含むことになる。
【0021】このことから本発明は、環境中に比較的高
い濃度で存在する有機溶媒等を排除して、分析対象とな
るガスを選択的に濃縮するため、高濃度挟雑物に起因す
るピークやテールエンドと目的成分のピークとの重なり
を防止することができて、微量成分を高い濃度で分析で
きることが判明した。
【0022】もとより、上述したように中空糸2は、そ
の温度により成分の透過率が変化するので、中空糸の温
度を制御することによりサンプル中から目的成分を選択
的に濃縮して取り出すことができる。
【0023】なお、この実施例においては、ガス選択手
段に独立のヒータ8を設けているが、円筒状容器、及び
中空糸からなるモジュールとして構成して、分析用カラ
ム15や検出器17を収容している恒温槽18に収容す
ることもできる。
【0024】また、上述の実施例においては、円筒状容
器に中空糸を1本だけ収容した場合について説明した
が、複数本の中空糸を同一の容器に収容しても同様の作
用を奏することは明らかである。
【0025】さらに上述の実施例においてはガスの成分
をガスクロマトグラフにより分析するようにしている
が、分離手段を必要としないスペクトル分析装置や、質
量分析装置等を用いて検出するようにしても同様の作用
を奏することは明らかである。
【0026】
【発明の効果】以上、説明したように本発明において
は、高分子材料により形成された中空糸を、その両端を
外部管路と接続可能に容器に収容するとともに、中空糸
の温度を制御する手段を備えたガス選択手段と、容器に
被濃縮流体を供給するポンプ手段と、中空糸に接続する
コンデンサとを備えるようにしたので、試料が水の場合
にはこれ排除しながら、中空糸の温度を制御することに
より妨害成分を排除して分析対象となる微量な成分だけ
を選択的に濃縮することができるばかりでなく、液体試
料の分析に比較して操作の簡単なガス分析手段により分
析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試料濃縮装置を使用したガスクロマト
グラフの一実施例を示す構成図である。
【図2】図(イ)(ロ)は、それぞれ本発明の装置によ
る分析結果を示すクロマトグラム、及び従来の試料濃縮
法により得たサンプルのクロマトグラムである。
【符号の説明】
1 ガス選択手段 2 高分子中空糸 3 容器 7 空間 12 コンデンサ 13 フラッシュヒータ 14 切換弁 15 分析用カラム 16 キャリアガス源 19 試料計量手段 20 ポンプ
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 分析用試料濃縮装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体や液体に含まれて
いる微量な成分を濃縮するための分析用試料濃縮装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】気体や液体に含まれているppbオーダ
の微量なガス成分を分析する場合には、サンプルガスを
液体窒素等により冷却して目的成分を液化させて濃縮す
る方法が、また水に含まれている成分を対象とする場合
には空間領域を確保した密閉容器に試料を収容して一定
条件下で気液平衡状態を維持させ、容器の空間の気体を
試料として採取するヘッドスペース法等が常用されてい
る。
【0003】しかしながら、サンプルに比較的大量に含
まれている目的物以外の妨害成分も同時に濃縮されてし
まい、分析対象とする成分よりも極めて高い濃度の成分
として分析手段に流入して妨害成分となるため、特に環
境測定のように規制対象成分だけを選択的に検出したい
場合等には、目的とする微量な成分の検出が困難になる
という問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題に鑑みてなされたものであって、その目的とするとこ
ろは環境測定の対象となる成分を再現性良く、しかも確
実に濃縮することができる新規な分析用試料濃縮装置を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、高分子材料により形成され
た中空糸を、その両端を外部管路と接続可能に容器に収
容するとともに、前記中空糸の温度を制御する手段を備
えたガス選択手段と、前記容器に被濃縮流体を供給する
ポンプ手段と、前記中空糸に接続するコンデンサとを備
えてなる分析用試料濃縮装置を備えるようにした。
【0006】
【作用】中空糸の壁面が化学的親和力を有する分子ふる
いや、中空糸が多孔質である場合には細孔がふるいとし
て機能するため、中空糸の隔壁を透過する際、挟雑物は
中空糸に吸着されて通過することができず、目的成分だ
けが透過してコンデンサに吸着して濃縮される。そして
このようなふるいの機能は、中空糸の温度に依存するの
で、中空糸の温度を制御することにより、対象となる成
分を選択したり、また再現性良く透過率を制御すること
が可能となる。
【0007】
【実施例】そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例
に基づいて説明する。図1は本発明の実施例を示すもの
であって、図中符号1は、ガス選択手段で、高分子材
料、例えばシリコンやポリエステル、弗素樹脂等からな
る細い糸に一端から他端に貫通する直径1乃至100μ
mの通孔を形成してパイプ状の隔壁として機能する中空
糸2を、円筒状容器3の内部空間7に収容し、その両端
2a、2bを外部の管路との接続が可能なように円筒容
器3の両端で封止するともに、中空糸2を常温以上、例
えば40°C乃至150°Cに加熱するヒータ8を設け
て構成されている。円筒状容器3の端部近傍には外部管
路と接続するための接続口4、5が設けられている。
【0008】12は、コンデンサで、室温程度の低温状
態では分析対象となる気体を吸着し、また200°C程
度では吸着している気体を脱離する吸着剤をカラムに収
容して構成されている。コンデンサ12は、その周囲に
フラッシュヒータ13を備え、一端がガス選択手段1の
中空糸2の一端2aに接続され、また他端が切換弁14
を介して分析用カラム15と、キャリアガス源16に選
択的に接続可能になっている。分析用カラム15の他端
にはガスクロマトグラフ用検出器17が接続されてい
る。これら分析用カラム15、及び検出器17は、恒温
槽18に収容されてガスクロマトグラフを構成してい
る。
【0009】14は、切換弁で、キャリアガス源16−
中空糸2−コンデンサ12−排出口23、及びキャリア
ガス源16−分析用カラム15とを連通させる第1の流
路(図中、切換弁の点線で示す流路)と、キャリアガス
源16−中空糸2−コンデンサ12−分析用カラム15
とを接続する第2の流路(図中、切換弁の実線で示す流
路)とを切換えるものである。
【0010】19は、試料計量手段をなすシリンダで、
一端がプランジャポンプ20を介してガス選別手段1の
円筒状容器3の接続口5に、また他端が円筒状容器3の
他方の接続口4に接続され、内部の試料をプランジャポ
ンプ20により中空糸2の外周、つまり円筒状容器3の
空間7を循環させるように接続されている。なお、図中
符号21は、試料計量手段19の試料注入口を、また2
2はガスクロマトグラフの試料注入機構を示す。
【0011】この実施例において、ヒータ8により中空
糸2の温度を、目的成分を選択的に通過させることがで
きる温度、例えば80°Cに設定するとともに、試料注
入口21から試料計量手段19に試料、例えば水を充填
する。
【0012】この状態で、切換弁14を第1の流路(図
中、点線により示す流路)に切換えて、プランジャポン
プ20を作動させると、試料計量手段19内の試料はガ
ス選択手段1の円筒状容器3の接続口5から空間7に流
れ込み、他方の接続口4から再び計量手段19に戻ると
いうルートを循環する。またキャリアガス源16からの
キャリアガスが中空糸2の一端2bから流れ込み、他端
2aからコンデンサ12を経由して排出口23より排出
される。
【0013】この循環の過程で分析対象となる試料に含
まれているガス成分は、中空糸2を構成している材料に
より決まる選択機能、例えばシリコンの場合には材料中
の浸透により、また弗素樹脂の場合には細孔の通過によ
り中空糸2の通孔に侵入し、キャリアガスによりコンデ
ンサ12に運ばれる。
【0014】一方、妨害成分は中空糸2の隔壁を通過す
る過程で中空糸2を構成している材料の親和力により吸
着されたり、また弗素樹脂の場合には細孔によりはばま
れて中空糸2の細孔に侵入することができない。
【0015】中空糸2を透過した成分は、ここに流れ込
んでくるキャリアガスによりコンデンサ12に運ばれて
コンデンサ12の吸着剤に吸着されて順次濃縮されてい
く。
【0016】ところで、ガス成分が、中空糸2等の高分
子膜を透過する際のガス透過係数Pは、ガスの溶解度を
K、拡散係数をDとすると、一般的に P=K×D なる関係で表すことができる。一方、ガスの溶解度は、
中空糸2の温度に依存しているから、ガス選択手段1の
ヒータ8の温度を制御して中空糸2の温度を変えると、
ガスの溶解度Kが変化するため、中空糸2を透過する対
象ガスの透過率を調整することが可能となる。すなわ
ち、ヒータ8の温度により透過させたいガスの種類を選
択することが可能となるばかりでなく、透過率が一定と
なるように制御することが可能となる。
【0017】このようにして所定時間が経過した時点で
切換弁14を第2の流路(図中、切換弁14の実線によ
り示す流路)に切換えると、キャリアガス源16−中空
糸2−コンデンサ12−分析用カラム15−検出手段1
7という流路が形成される。この段階でフラッシュヒ−
タ13に電流を供給すると、コンデンサ12に吸着され
ている成分が吸着剤から脱離し、ここに流れ込んで来る
キャリアガスにより極めて短時間で分析用カラム15に
追い出される。分析用カラム15に流れ込んだ試料は、
分析カラム15で成分毎に分離され、カラム充填剤によ
り決まる溶出時間の経過後に検出器17に流れ込み、そ
の濃度が検出される。
【0018】このように中空糸2は、表1に示したよう
にエタノール、アセトニトリル等の有機溶媒や酢酸を選
択的に排除するばかりでなく、試料を構成している水の
透過も阻止するから、特に水に溶解している気体成分を
濃縮した場合には、ガス成分だけを選択的に取り出すこ
とができ、操作が比較的簡単なガス分析装置により分析
することができる。
【表1】
【0019】(比較例)純水にメタノール200pp
b、クロロホルム50ppb、ベンゼン100ppbを
溶解したサンプルを用いて、上述の分析装置により分析
したところ、図2(イ)に示したように挟雑物となる
水、及びメタノールを完全に排除してクロロホルム(P
1)とベンゼン(P2)だけのピークを得ることができ
た。
【0020】一方、比較のために従来のパージ・トラッ
プ法により試料を濃縮して同一の分析手段で分析したと
ころ、図2(ロ)に示したように通常、環境測定におい
ては挟雑物として扱われているメタノールの大きなピー
ク(P3)を伴ってクロロホルム(P1)、ベンゼン
(P2)とが検出された。このように分析対象となる成
分よりも極めて高い濃度の試料が流入すると、ピークの
テールエンドが長くなり、目的成分のピークがこのテー
ルエンド領域に位置すると分析誤差を含むことになる。
【0021】このことから本発明は、環境中に比較的高
い濃度で存在する有機溶媒等を排除して、分析対象とな
るガスを選択的に濃縮するため、高濃度挟雑物に起因す
るピークやテールエンドと目的成分のピークとの重なり
を防止することができて、微量成分を高い濃度で分析で
きることが判明した。
【0022】もとより、上述したように中空糸2は、そ
の温度により成分の透過率が変化するので、中空糸の温
度を制御することによりサンプル中から目的成分を選択
的に濃縮して取り出すことができる。
【0023】なお、この実施例においては、ガス選択手
段に独立のヒータ8を設けているが、円筒状容器、及び
中空糸からなるモジュールとして構成して、分析用カラ
ム15や検出器17を収容している恒温槽18に収容す
ることもできる。
【0024】また、上述の実施例においては、円筒状容
器に中空糸を1本だけ収容した場合について説明した
が、複数本の中空糸を同一の容器に収容しても同様の作
用を奏することは明らかである。
【0025】さらに上述の実施例においてはガスの成分
をガスクロマトグラフにより分析するようにしている
が、分離手段を必要としないスペクトル分析装置や、質
量分析装置等を用いて検出するようにしても同様の作用
を奏することは明らかである。
【0026】
【発明の効果】以上、説明したように本発明において
は、高分子材料により形成された中空糸を、その両端を
外部管路と接続可能に容器に収容するとともに、中空糸
の温度を制御する手段を備えたガス選択手段と、容器に
被濃縮流体を供給するポンプ手段と、中空糸に接続する
コンデンサとを備えるようにしたので、試料が水の場合
にはこれ排除しながら、中空糸の温度を制御することに
より妨害成分を排除して分析対象となる微量な成分だけ
を選択的に濃縮することができるばかりでなく、液体試
料の分析に比較して操作の簡単なガス分析手段により分
析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試料濃縮装置を使用したガスクロマト
グラフの一実施例を示す構成図である。
【図2】図(イ)(ロ)は、それぞれ本発明の装置によ
る分析結果を示すクロマトグラム、及び従来の試料濃縮
法により得たサンプルのクロマトグラムである。
【符号の説明】 1 ガス選択手段 2 高分子中空糸 3 容器 7 空間 12 コンデンサ 13 フラッシュヒータ 14 切換弁 15 分析用カラム 16 キャリアガス源 19 試料計量手段 20 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増岡 登志夫 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 溝口 健作 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 松居 正己 茨城県つくば市吾妻3丁目17−1 株式会 社島津製作所つくば分析センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料により形成された中空糸を、
    その両端を外部管路と接続可能に容器に収容するととも
    に、前記中空糸の温度を制御する手段を備えたガス選択
    手段と、前記容器に被濃縮流体を供給するポンプ手段
    と、前記中空糸に接続するコンデンサとを備えてなる分
    析用試料濃縮装置。
  2. 【請求項2】 前記中空糸は高分子材料で構成されてい
    る請求項1の分析用試料濃縮装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007518997A (ja) * 2004-01-23 2007-07-12 エンバイロニクス、オケサ、ユキチュア ガスクロマトグラフ
JP2008002916A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Okayama Univ サンプル液中の特定成分をインラインで除去する成分除去システム
JP2011007758A (ja) * 2009-06-29 2011-01-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ガス分離装置及びガス分離方法、並びにガス測定装置
CN102175507A (zh) * 2010-12-31 2011-09-07 国家海洋环境监测中心 适用于大流量富集仪的在线浓缩系统
CN114053984A (zh) * 2020-07-30 2022-02-18 深圳市帝迈生物技术有限公司 反应装置、样本分析装置和加液方法

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