JP7729031B2 - 細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法 - Google Patents
細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法Info
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Description
このような状況において、ガス透過性部材からなる袋状の培養容器を用いて閉鎖系で細胞を自動的に大量培養することが提案されている。
(1)培養容器内の培地の一部を採取(サンプリング)して、計数盤等を用いて細胞数を計測する。
(2)培養容器内の細胞を顕微鏡とカメラにより撮影して得られた写真を画像処理することで細胞数を計測する。
(3)培養容器内における溶存酸素の減少量にもとづき細胞数を計測する。
しかし、ガス透過性部材からなる培養容器を用いて細胞培養を行う場合は、培地中の細胞が消費する溶存酸素のみの濃度変化を検出することはできず、また培養容器内を撹拌して計測することが必要となるため、静置培養を行うことができないという問題があった。
また、特許文献2には、培養容器内の培地に溶存する酸素量を測定する酸素量測定手段によって測定された酸素量により、培養容器内の細胞数に関連する酸素量の時間変動量を演算する細胞培養装置が開示されている。しかし、この細胞培養装置は、外部から培養容器内にガスが流入しない密閉容器を使用すると共に、通常の培養状態から計測可能な状態にするために、培養容器内の培地上の空間を窒素で置換して、培地への酸素溶解を遮断するなど培養条件を変化させて培地中の溶存酸素の消費を計測することが必要なものであった。
これらの特許文献に記載の発明は、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合に、好適に使用できるものではなかった。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
具体的には、本実施形態の細胞培養システムは、例えば図1に示すような構成とすることができる。
本実施形態の細胞培養システムにおいて、培養容器20が、インキュベータ10内に収容され載置台11に配置されている。培養容器20には2つのポートが備えられ、一方のポートに保冷庫20に収容されている培地供給容器40がチューブにより連結されている。また、培養容器20の他方のポートにインキュベータ10内の廃液容器50がチューブにより連結されている。
本実施形態の細胞培養システムは、インキュベータ10を用いることなく細胞を培養する場合にも適用できるものであるため、インキュベータ10を省略してもよい。
培養容器20は、少なくとも一部がガス透過性部材からなる、ガス透過性を有する閉鎖系の細胞培養容器であり、例えば矩形状の2枚のガス透過性フィルムの周縁部をヒートシールすることによって形成されたものなどを用いることができる。
培養容器20の形状は、ポート付近の形状がポートに対して傾斜して形成され、これによって培地がポートに流れやすくしたものとすることができる。また、長方形などの矩形状とすることもできる。培養容器20に備えられるポートの個数は2個に限定されず、1個又は3個以上であってもよい。
蛍光受発光部22は、例えば載置台11の下側に配置され、載置台11が透明な場合にはこれを介して、あるいは載置台11に設けられた貫通孔を介して、蛍光式酸素濃度センサ21に対して蛍光の受発信を行うことができる。なお、蛍光受発光部22を培養容器20の下側に接触して配置させることもできる。
この蛍光受発光部22を制御装置60により制御することで、培養容器20内の酸素濃度を測定することが可能になっている。
また、後述するように、本実施形態の細胞培養システムでは、培養容器20の酸素透過度と、培養容器20の周囲の酸素濃度を加味することによって、細胞による酸素の消費量を適切に算出することを可能にしている。
さらに、本実施形態の細胞培養システムによれば、培養容器20内の酸素濃度が0%~1%程度に継続してなり、蛍光式酸素濃度センサ21による酸素濃度の計測が困難な場合についても、細胞による酸素の消費量を適切に推定することを可能にしている。
培養容器内の培地中の溶存ガスは、培養容器の周囲の分圧に平衡となる濃度で溶解している。インキュベータに置かれた培地に溶解している酸素の濃度は、インキュベータ内のガス濃度の制御を行っていない場合、大気中の濃度と同じで約21%である。培養容器内の溶存酸素を細胞が消費すると細胞周辺の培地の溶存酸素が減少して、培養容器の外側の酸素濃度と平衡を保つように酸素ガスがフィルムを透過して培養容器内に流入する。
フィルムのガス透過性(速度)は、フィルム両側のガス分圧差、フィルムとガスの親和性、及びフィルム中にガス分子が移動する拡散性などによって決定される。
蛍光式酸素濃度センサの蛍光素子に光を当てると、蛍光物質は光を吸収して励起状態となり、蛍光を放射しながら基底状態に戻る。このとき、蛍光物質の周りに酸素があると励起エネルギーが奪われて蛍光発光強度が下がる。したがって、酸素が多いほど蛍光発光強度が小さくなる。蛍光受発光部は、培地に溶存している酸素が蛍光素子に接触し、その接触している酸素分子の数による発光強度の変化にもとづき酸素の量を測定している。
制御装置60(制御ユニット)は、図1に示すように、入出力部61、蛍光式センサ入出力部62、制御部63、操作部64、及び電源部65を有している。
すなわち、制御部63は、ポンプやバルブを制御するための情報を所定のタイミングで入出力部61に送信する。また、蛍光式センサ入出力部62からの入力情報、時間情報、その他の各種情報にもとづいて、ポンプやバルブを制御するための情報を入出力部61に送信するようにすることもできる。
増殖検出部631は、ガス透過性部材の酸素透過度、酸素濃度センサの測定値、培養容器の周囲の酸素濃度、及び細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづいて、細胞の増殖性を検出する。具体的には、増殖検出部631は、細胞の増殖性として、細胞の単位面積当たりの個数を算出することができる。
後述するように、PBMCの細胞1個の酸素消費量を算出した結果、1.0e-9mg/(hr・個)であった。また、Jurkat(リンパ球株化細胞)の細胞1個の酸素消費量を算出した結果、1.74e-9mg/(hr・個)であった。
PBMCの培地としては、AlyS505N-7(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。また、Jurkat培地としては、AlyS505N-0(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=2.1e6×1.0e-9/(21/100-6/100)
=1.40e-2(mg/(cm2・hr・atm))
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=4.0e6×1.0e-9/(30/100-2/100)
=1.43e-2(mg/(cm2・hr・atm))
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=1.1e6×1.74e-9/(21/100-8/100)
=1.47e-2(mg/(cm2・hr・atm))
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=1.9e6×1.74e-9/(30/100-5/100)
=1.32e-2(mg/(cm2・hr・atm))
G=(1.40e-2+1.43e-2+1.47e-2+1.32e-2)/4
=1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))
まず、ガス透過しない密閉容器に予め細胞数を把握した状態で細胞と培地を注入する。密閉容器に極力気泡が混入していない状態になるようにシリンジ等を用いて気泡を排出する。密閉容器の容積から溶存酸素量を算出する。
PBMCを単位面積当たりの細胞充填量2e6個/mlの密度で10ml密閉容器に注入した場合、容器内には2e7個の細胞が浮遊する。その際の酸素濃度の低下は、0.1%/分であり、1時間当たりでは6%低下した。
6.86e-2mg×0.29=1.99e-2mg/hr
よって、PBMCの細胞の1個当たりの酸素消費量S(mg/(hr・個))は、以下のように算出された。
S=1.99e-2/2e7=1.0e-9mg/(hr・個)
S=1.74e-9mg/(hr・個)
G×(M/100-D/100)=C×S
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))
細胞の大量培養にあたっては、培養が適切に行われているかを確認することが重要であるため、培養容器内の細胞数を概算で推定することは非常に有益である。
本実施形態の細胞培養システムによれば、このような場合においても、上記の方法によって、培養容器20内の細胞の単位面積当たりの個数を概算で推定することが可能である。
C=G×(M/100-D’/100)/S ・・・式(2)
また、推定値D’の算出方法については、試験5において詳述する。
電源部65(安定化電源など)は、制御装置60内の各部に電気を供給する。
また、図示しないが、制御装置60において、さらに継電部(リレー)や配線遮断部(ブレーカー)を備えた構成とすることができる。また、制御装置60における制御部63や操作部64などの一部又は全部の構成をマイコンやコンピュータにより実現してもよい。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
試験1ではJurkat(リンパ球株化細胞)を培養して増殖性の検出を行った。この試験では、試験期間において培養を中断することなく連続して培養し、細胞密度の推定値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験2ではPBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells,末梢血単核細胞)を培養して、培養後の細胞密度の実測値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験4ではiPS細胞を培養して、培養終了後に実際の細胞数をカウントし、得られた細胞密度の実測値と本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
培養バッグとして、厚み110μmの直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外形のサイズが120mm×65mm、培養空間の底面積が48cm2である培養バッグ(東洋製罐グループホールディングス株式会社製)を準備した。この培養バッグは、2枚のフラットなフィルムの周縁部をヒートシールすることにより形成した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。蛍光受発光部は、制御装置における蛍光式センサ入出力部に付属し、蛍光式センサ入出力部としては、OXY-4mini(タイテック株式会社)を使用した。
使用した蛍光式酸素濃度センサ、蛍光受発光部、及び蛍光式センサ入出力部については、以下の試験においても同様である。
培地としては、AlyS505N-0(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。培地は、37℃のインキュベータ内を通過する間に加温されて、培養バッグに入る時点では約30℃になった。
チューブポンプの制御及びインキュベータの酸素濃度の制御は、制御装置における制御部により行った。なお、各試験において、制御部における増殖検出部は、コンピュータにより構成した。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中25mlとした。送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
具体的には、培養開始から23時間後のタイミングで、21%から25%に変更した。また、培養開始から32時間後のタイミングで、25%から30%に変更した。また、培養開始から50時間後のタイミングで、30%から35%に変更した。また、培養開始から53時間後のタイミングで、35%から40%に変更した。
この測定結果にもとづいて、細胞密度の推定値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を、培養開始から10,40,60時間後について行った。
40時間後の細胞密度の推定値2.13e6個/cm2(=(1.68e6×1.4-1.68e6)×16/24+1.68e6)
60時間後の細胞密度の推定値2.82e6個/cm2(=(2.35e6×1.4-2.35e6)×12/24+2.35e6)
したがって、10時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(21/100-5/100)/1.74e-9=1.29e6
これに対して、10時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、1.40e6個/cm2であった。
したがって、40時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(30/100-3/100)/1.74e-9=2.17e6
これに対して、40時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、2.13e6個/cm2であった。
したがって、60時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(40/100-2/100)/1.74e-9=3.06e6
これに対して、60時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、2.82e6個/cm2であった。
培養バッグとして、試験1と同じものを準備した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサを固定した。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。
培養バッグへの播種後3日間は酸素濃度の測定を行わず、続く3日間の約60hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中25mlとした。送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
また、本試験では、インキュベータ10の酸素濃度を増加させず、高酸素での培養は行わなかった。
試験2の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図5に示す。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(21/100-1.2/100)/1.00e-9=2.77e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、2.34e6個/cm2であった。
培養バッグとして、試験1と同じものを準備した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサを固定した。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。
培養バッグへの播種後4日間は酸素濃度の測定を行わず、続く3日間の約65hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
また、インキュベータの使用と培地交換については、試験1と同様に行った。
具体的には、図6のグラフにおいて、測定開始から4時間後のタイミングで、21%から30%に変更した。また、測定開始から23時間後のタイミングで、30%から40%に変更した。さらに、図7のグラフにおいて、測定開始から6時間後のタイミングで、40%から50%に変更した。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2である。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(40/100-7/100)/1.00e-9=4.62e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、4.04e6個/cm2であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(50/100-12/100)/1.00e-9=5.32e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、5.2e6個/cm2であった。
培養バッグとして、厚み110μmの直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外形のサイズが120mm×65mm、培養空間の底面積が48cm2である培養バッグ(東洋製罐グループホールディングス株式会社製)を準備した。
また、本試験では押圧治具を用いることなく培養を行った。培養バッグの下側の蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を配置した。
培地としては、StemFit(R)(AK-02N ,味の素ヘルシーサプライ株式会社)を使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。培地は、37℃のインキュベータ内を通過する間に加温されて、培養バッグに入る時点では約30℃になった。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中35mlであり、送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
また、本試験では、インキュベータ10の酸素濃度を増加させず、高酸素での培養は行わなかった。
試験4の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図9に示す。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、8.0e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、2.34e-9であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=8.0e-2×(21/100-12/100)/2.34e-9=3.08e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、3.20e6個/cm2であった。
本試験は、試験3に連続して行ったものであり、試験3における酸素濃度の測定に続く3日間の約60hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
試験5の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図10に示す。
まず、培養バッグ内の細胞密度が非常に高密度になる前の培養時間において、培養バッグに複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きPTと、培養バッグの安定時の酸素濃度の変化の傾きQTを計算し、その比率(QT/PT)を算出する。
Q4における酸素濃度は、P3からP4の酸素濃度の変化量に対して、上記比率(QT/PT)にもとづきQ3から変化すると推定することができる。
したがって、推定する酸素濃度D’は、以下のように計算することができる。
D’=Q3の酸素濃度-(P3からP4の酸素濃度の変化量)×QT/PT
C=G×(M/100-D’/100)/S ・・・式(2)
ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
=-27.9
C=1.4e-2×(50/100+27.9/100)/1.00e-9=1.09e7個/cm2
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、1.04e7個/cm2であった。
11 載置台
12 ガスセンサ
20,20a 培養容器
201,201a 上面ガス透過性フィルム
202,202a 下面ガス透過性フィルム
21,21a 蛍光式酸素濃度センサ
22,22a 蛍光受発光部
23a 穴あき樹脂部材
30 保冷庫
40 培地供給容器
50 廃液容器
60 制御装置
61 入出力部
62 蛍光式センサ入出力部
63 制御部
631 増殖検出部
64 操作部
65 電源部
H 溶着領域
i 細胞
L 培地
O 酸素ボンベ
C 二酸化炭素ボンベ
Claims (6)
- 少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養システムであって、
前記培養容器内における培養面上の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、
前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の増殖性を検出する増殖検出部と、を有し、
前記増殖検出部が、静置状態で培養中の前記細胞の増殖性を検出し、
前記培養容器の周囲の酸素濃度が、前記培養容器が収容されたインキュベータ内の酸素濃度、又は、大気中の酸素濃度であり、
前記増殖検出部が、前記細胞の増殖性として、前記細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出することを特徴とする細胞培養システム。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:前記細胞の単位面積当たりの個数(個/cm 2 )
G:前記ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm 2 ・hr・atm))
M:前記培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:前記酸素濃度センサの測定値(%)
S:前記細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) ) - 前記増殖検出部が、前記培養容器に複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと前記培養容器の安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の前記培養容器内の酸素濃度の推定値を、前記酸素濃度センサの測定値として用いることを特徴とする請求項1記載の細胞培養システム。
- 前記酸素濃度センサが、蛍光式であることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システム。
- 前記酸素濃度センサが、前記培養容器内における培養面に穴あき樹脂部材を用いて固定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の細胞培養システム。
- 前記培養容器及び前記穴あき樹脂部材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマーから選択されるいずれかからなることを特徴とする請求項4記載の細胞培養システム。
- 少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養における細胞の増殖性の検出方法であって、
前記培養容器内における培養面に配置された酸素濃度センサにより前記培養容器内における培養面上の酸素濃度を計測し、
前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の単位面積当たりの個数を計算することにより、
静置状態で培養中の前記細胞の増殖性を検出し、
前記培養容器の周囲の酸素濃度が、前記培養容器が収容されたインキュベータ内の酸素濃度、又は、大気中の酸素濃度であり、
前記細胞の増殖性として、前記細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出することを特徴とする細胞培養における細胞の増殖性の検出方法。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:前記細胞の単位面積当たりの個数(個/cm 2 )
G:前記ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm 2 ・hr・atm))
M:前記培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:前記酸素濃度センサの測定値(%)
S:前記細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
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