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JP7729031B2 - 細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法 - Google Patents

細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法

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JP7729031B2 JP2020189108A JP2020189108A JP7729031B2 JP 7729031 B2 JP7729031 B2 JP 7729031B2 JP 2020189108 A JP2020189108 A JP 2020189108A JP 2020189108 A JP2020189108 A JP 2020189108A JP 7729031 B2 JP7729031 B2 JP 7729031B2
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Description

本発明は、細胞培養技術に関し、特にガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合における細胞の増殖性を検出する細胞培養システムに関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織などを人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。
このような状況において、ガス透過性部材からなる袋状の培養容器を用いて閉鎖系で細胞を自動的に大量培養することが提案されている。
細胞の大量培養にあたっては、細胞の増殖性を検出して、培養が適切に行われているかを確認することが重要である。また、その細胞の増殖性の検出のために、例えば培養中の所望のタイミングにおける培養容器内の細胞数を確認可能にすることが望ましい。
培養容器内の細胞数を確認する手法として、以下の3つを挙げることができる。
(1)培養容器内の培地の一部を採取(サンプリング)して、計数盤等を用いて細胞数を計測する。
(2)培養容器内の細胞を顕微鏡とカメラにより撮影して得られた写真を画像処理することで細胞数を計測する。
(3)培養容器内における溶存酸素の減少量にもとづき細胞数を計測する。
特開昭63-15150号公報 特開平6-121667号公報
しかしながら、(1)の手法には、培地をサンプリングするために培養容器の一部を開放する必要があるため、コンタミネーションの危険性が増大するという問題があった。また、接着系細胞を培養する場合、培養の途中で細胞の一部のみを剥離することができず、所望のタイミングで細胞数を計測できないという問題があった。
また、(2)の手法には、浮遊系細胞を培養する場合、培養密度が小さいときは計測可能であるが、培養の中盤以降において細胞密度が高くなると細胞が積層してしまうため、計測することが困難になるという問題があった。また、この手法では顕微鏡とカメラと画像処理装置が必要になるため、細胞培養システムの機構が複雑になってしまうという問題もあった。
さらに、(3)の手法は、培養容器内における溶存酸素の減少量を測定する必要があるため、培養容器内からガスが外部に移動したり、外部から培養容器内にガスが流入しないように密閉状態にすることが必要であった。あるいは、培養容器内の培地上に空間が存在する場合には、その空間を窒素で置換することなどによって培地への酸素溶解を遮断し、培地中の溶存酸素の細胞による消費量を測定することが必要であった。
しかし、ガス透過性部材からなる培養容器を用いて細胞培養を行う場合は、培地中の細胞が消費する溶存酸素のみの濃度変化を検出することはできず、また培養容器内を撹拌して計測することが必要となるため、静置培養を行うことができないという問題があった。
ここで、特許文献1には、微生物を含有する試料溶液中の溶存酸素の減少量の測定を、試料溶液を容器内に密閉した状態で行う方法が開示されているが、この測定方法は、ガス透過性のない培養容器を用いて行う必要があった。
また、特許文献2には、培養容器内の培地に溶存する酸素量を測定する酸素量測定手段によって測定された酸素量により、培養容器内の細胞数に関連する酸素量の時間変動量を演算する細胞培養装置が開示されている。しかし、この細胞培養装置は、外部から培養容器内にガスが流入しない密閉容器を使用すると共に、通常の培養状態から計測可能な状態にするために、培養容器内の培地上の空間を窒素で置換して、培地への酸素溶解を遮断するなど培養条件を変化させて培地中の溶存酸素の消費を計測することが必要なものであった。
これらの特許文献に記載の発明は、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合に、好適に使用できるものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、培養中の所望のタイミングにおける培養容器内の細胞の増殖性を検出可能な細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の細胞培養システムは、少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養システムであって、前記培養容器内における培養面付近の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の増殖性を検出する増殖検出部とを有する構成としてある。
また、本発明の細胞培養システムを、前記増殖検出部が、前記細胞の増殖性として、前記細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出する構成とすることが好ましい。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
また、本発明の細胞培養システムを、前記増殖検出部が、前記培養容器に複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと前記培養容器の安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の前記培養容器内の酸素濃度の推定値を、前記酸素濃度センサの測定値として用いる構成とすることが好ましい。
また、本発明の細胞培養システムを、前記培養容器の周囲の酸素濃度が、前記培養容器が収容されたインキュベータ内の酸素濃度、又は、大気中の酸素濃度である構成とすることが好ましい。
また、本発明の細胞培養システムを、前記酸素濃度センサが、蛍光式である構成とすることが好ましい。
また、本発明の細胞培養システムを、前記酸素濃度センサが、前記培養容器内における培養面に穴あき樹脂部材を用いて固定されている構成とすることが好ましい。
また、本発明の細胞の増殖性の検出方法は、少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養における細胞の増殖性の検出方法であって、前記培養容器内における培養面に配置された酸素濃度センサにより前記培養容器内における培養面付近の酸素濃度を計測し、前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の単位面積当たりの個数を計算する方法としてある。
本発明によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、培養中の所望のタイミングにおける培養容器内の細胞の増殖性を検出可能な細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法の提供が可能となる。
本発明の実施形態に係る細胞培養システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る細胞培養システムにおける培養容器内の酸素濃度の分布を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る細胞培養システムにおける培養容器内の酸素濃度センサの固定の様子を示す説明図である。 試験1の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを示す図である。 試験2の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを示す図である。 試験3の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフ(1)を示す図である。 試験3の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフ(2)を示す図である。 試験4の細胞培養で使用した本実施形態に係る細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法における培養バッグの構成の一部を示す模式図である。 試験4の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを示す図である。 試験5の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを示す図である。
以下、本発明の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態及び実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態の細胞培養システムは、少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養システムであって、培養容器内における培養面付近の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、ガス透過性部材の酸素透過度、酸素濃度センサの測定値、培養容器の周囲の酸素濃度、及び細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき細胞の増殖性を検出する増殖検出部とを有することを特徴とする。
具体的には、本実施形態の細胞培養システムは、例えば図1に示すような構成とすることができる。
まず、本実施形態の細胞培養システムの概略構成について説明する。
本実施形態の細胞培養システムにおいて、培養容器20が、インキュベータ10内に収容され載置台11に配置されている。培養容器20には2つのポートが備えられ、一方のポートに保冷庫20に収容されている培地供給容器40がチューブにより連結されている。また、培養容器20の他方のポートにインキュベータ10内の廃液容器50がチューブにより連結されている。
培養容器20と培地供給容器40を連結するチューブ上と、培養容器20と廃液容器50を連結するチューブ上には、送液手段が配設されている。この送液手段としては、例えばペリスタポンプやシリンジポンプのような低速で高精度な送液を行うことが可能なポンプを用いることが好ましい。
そして、制御装置60によって、所定のタイミングで培養容器20と培地供給容器40間の送液手段が制御され、培地が培地供給容器40から培養容器20へ送液される。また制御装置60によって、所定のタイミングで培養容器20と廃液容器50間の送液手段が制御され、培地が培養容器20から廃液容器50へ送液される。
インキュベータ10には、酸素ボンベO(酸素供給装置)と二酸化炭素ボンベC(二酸化炭素供給装置)からそれぞれ酸素ガス、二酸化炭素ガスが供給されることにより、その内部のガス濃度が制御されて、培養容器20の周囲のガス濃度を調整することが可能になっている。
すなわち、インキュベータ10には、酸素ボンベOと二酸化炭素ボンベCがそれぞれバルブを介して接続されており、制御装置60の制御によって各バルブの開閉動作が制御され、各ガスボンベからのインキュベータ10へのガスの供給が制御されて、インキュベータ10内の酸素濃度を調整することが可能になっている。
インキュベータ10としては、例えばCO2インキュベータなどを用いることができる。インキュベータ10内の載置台11としては、パンチングメタルなどからなるものを設置して用いることができ、載置台11に培養容器20が配置されて閉鎖的に収納される。なお、載置台11は省略してもよい。
本実施形態の細胞培養システムは、インキュベータ10を用いることなく細胞を培養する場合にも適用できるものであるため、インキュベータ10を省略してもよい。
次に、本実施形態の細胞培養システムにおける培養容器20について詳細に説明する。
培養容器20は、少なくとも一部がガス透過性部材からなる、ガス透過性を有する閉鎖系の細胞培養容器であり、例えば矩形状の2枚のガス透過性フィルムの周縁部をヒートシールすることによって形成されたものなどを用いることができる。
培養容器20の形状は、ポート付近の形状がポートに対して傾斜して形成され、これによって培地がポートに流れやすくしたものとすることができる。また、長方形などの矩形状とすることもできる。培養容器20に備えられるポートの個数は2個に限定されず、1個又は3個以上であってもよい。
本実施形態の細胞培養システムにおいて、培養容器20内の培養面上には、蛍光式酸素濃度センサ21が配設されている。また、インキュベータ10内において、蛍光式酸素濃度センサ21に対して、蛍光を受発信可能に蛍光受発光部22が配設されている。
蛍光受発光部22は、例えば載置台11の下側に配置され、載置台11が透明な場合にはこれを介して、あるいは載置台11に設けられた貫通孔を介して、蛍光式酸素濃度センサ21に対して蛍光の受発信を行うことができる。なお、蛍光受発光部22を培養容器20の下側に接触して配置させることもできる。
この蛍光受発光部22を制御装置60により制御することで、培養容器20内の酸素濃度を測定することが可能になっている。
図2に示すように、培養容器20内の培地における溶存酸素濃度は、場所によって大きく異なっている。すなわち、細胞が存在する培養面(下面ガス透過性フィルム202の上面)付近の培地では、細胞による酸素消費が活発に行われるため、酸素が急速に消費され、細胞密度が増大するにしたがって、次第に0%になっていく。これに対して、培養容器20内の液厚にもよるが、例えば液厚が10mm以上の場合には、培養面の反対側の培養容器20内の上面(上面ガス透過性フィルム201の下面)付近の培地では、細胞が近辺に存在していない場合、酸素濃度は初期の状態(例えば大気中の約21%)からなかなか減少していかない。培養容器20の中央付近の培地では、これらの中間程度の酸素濃度(例えば10%)になっている。
したがって、本実施形態の細胞培養システムでは、蛍光式酸素濃度センサ21を培養容器20内の培養面に配置させることによって、細胞による酸素消費にもとづく培養容器20内の酸素濃度を適切に計測することを可能にしている。
また、後述するように、本実施形態の細胞培養システムでは、培養容器20の酸素透過度と、培養容器20の周囲の酸素濃度を加味することによって、細胞による酸素の消費量を適切に算出することを可能にしている。
さらに、本実施形態の細胞培養システムによれば、培養容器20内の酸素濃度が0%~1%程度に継続してなり、蛍光式酸素濃度センサ21による酸素濃度の計測が困難な場合についても、細胞による酸素の消費量を適切に推定することを可能にしている。
ここで、ガス透過性フィルムにおけるガス透過のメカニズムについて説明する。
培養容器内の培地中の溶存ガスは、培養容器の周囲の分圧に平衡となる濃度で溶解している。インキュベータに置かれた培地に溶解している酸素の濃度は、インキュベータ内のガス濃度の制御を行っていない場合、大気中の濃度と同じで約21%である。培養容器内の溶存酸素を細胞が消費すると細胞周辺の培地の溶存酸素が減少して、培養容器の外側の酸素濃度と平衡を保つように酸素ガスがフィルムを透過して培養容器内に流入する。
フィルムのガス透過性(速度)は、フィルム両側のガス分圧差、フィルムとガスの親和性、及びフィルム中にガス分子が移動する拡散性などによって決定される。
次に、蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定原理について説明する。
蛍光式酸素濃度センサの蛍光素子に光を当てると、蛍光物質は光を吸収して励起状態となり、蛍光を放射しながら基底状態に戻る。このとき、蛍光物質の周りに酸素があると励起エネルギーが奪われて蛍光発光強度が下がる。したがって、酸素が多いほど蛍光発光強度が小さくなる。蛍光受発光部は、培地に溶存している酸素が蛍光素子に接触し、その接触している酸素分子の数による発光強度の変化にもとづき酸素の量を測定している。
培養容器20の材料としては、樹脂フィルムなどを好適に用いることができ、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。例えば、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマー等を挙げることができる。また、ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。さらに、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等を用いてもよい。
また、培養容器20の少なくとも一部に用いられるガス透過性部材としては、上記材料のうち、特にガス透過性能に優れた熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えばLLDPEなどのポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。また、ガス透過性部材は、透明材であることが好ましい。
また、図3に示すように、本実施形態の細胞培養システムの変形例として、蛍光式酸素濃度センサ21aが、培養容器20a内の培養面(同図の例では下面ガス透過性フィルム202aの上面)に穴あき樹脂部材23aを用いて固定されていることが好ましい。このとき、穴あき樹脂部材23aと培養面の間に蛍光式酸素濃度センサ21aに挟み込み、穴あき樹脂部材23aの溶着領域Hを培養面に溶着させて固定させることができる。
穴あき樹脂部材23aの材料としては、例えばLLDPEなどのポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。例えば、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマー等を挙げることができる。
穴あき樹脂部材23aは、蛍光式酸素濃度センサ21aを培養面に固定しつつ、蛍光式酸素濃度センサ21aを培地に接触させるものであるため、メッシュ状材料を好適に用いることができる。また、穴あき樹脂部材23aとして、例えばスポンジのような多孔質材を用いることもできる。
具体的なメッシュ状材料及び多孔質材としては、特に限定されないが、培養容器20aの材料と融点が近く、材質が同様のものが好ましく、例えばポリエチレン製メッシュ材(株式会社NBCメッシュテック,PE 200目等)やポリエチレン製多孔質(帝人株式会社,ミライム 大口径≦3μm)などを好適に用いることができる。
本実施形態の細胞培養システムを、このように穴あき樹脂部材23aを用いて蛍光式酸素濃度センサ21aが固定された構成とすることによって、培養容器20aへ培地を注入したり、培養容器20aから培地を排出したりする場合などに蛍光式酸素濃度センサ21aが外れて移動することを防止することが可能である。
培養容器20を用いて培養する細胞は、特に限定されず、培養液中に浮遊させて培養が行われるリンパ球や樹状細胞などの浮遊性細胞であっても、培養容器内の培養面に接着させて培養が行われる人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、間葉系幹細胞、肝細胞、膵島細胞、心筋細胞、角膜内皮細胞、及び活性化工程のリンパ球等の接着性細胞であってもよい。
また、培養容器20を用いて培養する細胞は、スフェロイドやオルガノイドなどの凝集塊を形成させたものであってもよく、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法は、凝集塊の培養にも適用することが可能である。
次に、本実施形態の細胞培養システムにおける制御装置60について詳細に説明する。
制御装置60(制御ユニット)は、図1に示すように、入出力部61、蛍光式センサ入出力部62、制御部63、操作部64、及び電源部65を有している。
入出力部61は、培養容器20と培地供給容器40の間に配置されたポンプと、培養容器20と廃液容器50の間に配置されたポンプに接続され、制御部63からの入力情報にもとづいて、これらのポンプの動作を制御する。これによって、培養容器20に培地供給容器40から培地が供給され、また培養容器20から培地が廃液容器50に排出される。
また、入出力部61は、インキュベータ10のガスセンサ12と、酸素ボンベOとインキュベータ10の間に配置されたバルブと、二酸化炭素ボンベCとインキュベータ10の間に配置されたバルブに接続され、ガスセンサ12からの入力情報を制御部63へ送信する。また、入出力部61は、制御部63からの入力情報にもとづいて、これらのバルブの動作を制御する。これによって、酸素ボンベOから酸素ガスがインキュベータ10内に供給され、また二酸化炭素ボンベCから二酸化炭素ガスをインキュベータ10内に供給することができ、インキュベータ10内のガス濃度を所望のレベルに制御することが可能になっている。
蛍光式センサ入出力部62は、蛍光受発光部22に接続され、制御部63からの入力情報にもとづき蛍光受発光部22による蛍光の発光を制御すると共に、蛍光式酸素濃度センサ21からの受光にもとづく情報を制御部63へ送信する。これによって、培養容器20内の培養面付近の酸素濃度を計測することができ、制御部63は、この酸素濃度を細胞の増殖性の検出に用いることが可能になっている。
制御部63は、PLC(programmable logic controller,プログラマブルロジックコントローラ)などにより構成され、所望の制御内容を予めプログラミングして記憶させ、これにもとづいて各部の動作を制御することができる。
すなわち、制御部63は、ポンプやバルブを制御するための情報を所定のタイミングで入出力部61に送信する。また、蛍光式センサ入出力部62からの入力情報、時間情報、その他の各種情報にもとづいて、ポンプやバルブを制御するための情報を入出力部61に送信するようにすることもできる。
また、制御部63は、培養容器20内の細胞の増殖性を検出する増殖検出部631を備えている。
増殖検出部631は、ガス透過性部材の酸素透過度、酸素濃度センサの測定値、培養容器の周囲の酸素濃度、及び細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづいて、細胞の増殖性を検出する。具体的には、増殖検出部631は、細胞の増殖性として、細胞の単位面積当たりの個数を算出することができる。
ガス透過性部材の酸素透過度、及び細胞の1個当たりの酸素消費量については、用途に応じて事前に算出し、増殖検出部631などに記憶させておく。
後述するように、PBMCの細胞1個の酸素消費量を算出した結果、1.0e-9mg/(hr・個)であった。また、Jurkat(リンパ球株化細胞)の細胞1個の酸素消費量を算出した結果、1.74e-9mg/(hr・個)であった。
酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))の決定に先だって、まず実際の培養形態を決定する。すなわち、酸素透過度は、容器サイズ、充填培地量、蛍光式センサ設置位置、押圧治具の使用の有無を決定した上で、以下のように算出することができる。
例えば、培養容器20として、厚みが110μmのポリエチレンフィルム2枚貼り合わせた底面積50cm2の後述する試験1における培養バッグを用いて、この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサ21を固定し、培養容器20を押圧治具に挟み込んで加圧した状態で培養を行うとする。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサ21に対応する位置に蛍光受発光部22を固定する。
次いで培地を培養温度である37℃に加温して、細胞と共に培養容器20に注入する。細胞として、PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells,末梢血単核細胞)とJurkat(リンパ球株化細胞)の2種類を使用し、それぞれ2回酸素濃度の変化量の測定を行って、以下のように酸素透過度を算出し、その平均値を得た。
PBMCの培地としては、AlyS505N-7(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。また、Jurkat培地としては、AlyS505N-0(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
PBMCを単位面積当たりの細胞充填量を2.1e6個/cm2として、上記培養バッグに充填後、概ね2時間後に細胞が沈み、酸素濃度が安定した。その際の酸素濃度は、6%であった。
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=2.1e6×1.0e-9/(21/100-6/100)
=1.40e-2(mg/(cm2・hr・atm))
PBMCを単位面積当たりの細胞充填量を4.0e6個/cm2として、上記培養バッグに充填後、培養バッグの周囲の酸素濃度を30%に制御した。概ね2時間後に細胞が沈み、酸素濃度が安定した。その際の酸素濃度は、2%であった。
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=4.0e6×1.0e-9/(30/100-2/100)
=1.43e-2(mg/(cm2・hr・atm))
Jurkatを単位面積当たりの細胞充填量を1.1e6個/cm2として、上記培養バッグに充填後、概ね2時間後に細胞が沈み、酸素濃度が安定する。その際の酸素濃度は、8%であった。
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=1.1e6×1.74e-9/(21/100-8/100)
=1.47e-2(mg/(cm2・hr・atm))
Jurkatを単位面積当たりの細胞充填量を1.9e6個/cm2として、上記培養バッグに充填後、培養バッグの周囲の酸素濃度を30%に制御した。概ね2時間後に細胞が沈み、酸素濃度が安定した。その際の酸素濃度は、5%であった。
この場合、酸素透過度Gは、以下のように算出することができる。
G=単位面積当たりの細胞充填量×細胞1個の酸素消費量/酸素濃度の変化量
=1.9e6×1.74e-9/(30/100-5/100)
=1.32e-2(mg/(cm2・hr・atm))
以上の結果から、上記の条件で使用する培養バッグの酸素透過度Gを以下のように決定した。
G=(1.40e-2+1.43e-2+1.47e-2+1.32e-2)/4
=1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))
細胞の1個当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、以下のように算出することができる。
まず、ガス透過しない密閉容器に予め細胞数を把握した状態で細胞と培地を注入する。密閉容器に極力気泡が混入していない状態になるようにシリンジ等を用いて気泡を排出する。密閉容器の容積から溶存酸素量を算出する。
具体的には、10mlの容積の密閉容器に37℃に加温した培地を充填した。37℃(大気中酸素濃度 約21%)で10mlの培地中には、6.86e-2mgの酸素が溶けている(6.86e-2mg/l@37℃(飽和溶存酸素))。培養中の密閉容器における酸素濃度変化を測定して、1時間あたりの溶存酸素の低下濃度を算出する。
PBMCを単位面積当たりの細胞充填量2e6個/mlの密度で10ml密閉容器に注入した場合、容器内には2e7個の細胞が浮遊する。その際の酸素濃度の低下は、0.1%/分であり、1時間当たりでは6%低下した。
21%の飽和溶存酸素に対し6%低下は、6/21=0.29分の低下にあたるから、単位時間当たりの酸素消費量は、以下のとおりである。
6.86e-2mg×0.29=1.99e-2mg/hr
よって、PBMCの細胞の1個当たりの酸素消費量S(mg/(hr・個))は、以下のように算出された。
S=1.99e-2/2e7=1.0e-9mg/(hr・個)
同様の方法で、Jurkatの細胞1個の酸素消費量S(mg/(hr・個))は、以下のように算出された。
S=1.74e-9mg/(hr・個)
酸素濃度センサの測定値は、蛍光式酸素濃度センサ21によって計測された培養容器20内における培養面付近の酸素濃度であり、蛍光受発光部22から蛍光式センサ入出力部62を介して増殖検出部631に入力される。
培養容器の周囲の酸素濃度は、培養容器20が収容されたインキュベータ10内の酸素濃度である。インキュベータ10内の酸素濃度を制御していない状態、あるいはインキュベータ10を使用しない場合は、大気中の酸素濃度である(約21%)。これは、制御部63において事前に設定される。
ここで、静置培養している状態では、培養容器を透過する酸素量と細胞が消費する酸素量が一致してつり合っているため、以下の式が成り立つ。
G×(M/100-D/100)=C×S
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))
したがって、本実施形態の細胞培養システムにおいて、増殖検出部631は、細胞の増殖性として、細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出することができる。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))
本実施形態の細胞培養システムによって算出される細胞の単位面積当たりの個数は、実際の細胞数を厳密に計測するものではなく、培養容器20の培養環境にもとづいて、細胞数を概算で推定するものである。
細胞の大量培養にあたっては、培養が適切に行われているかを確認することが重要であるため、培養容器内の細胞数を概算で推定することは非常に有益である。
また、本実施形態の細胞培養システムにおいて、増殖検出部631が、培養容器20に複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと、培養容器20の安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の培養容器20内の酸素濃度の推定値を、上記式(1)の酸素濃度センサの測定値Dとして用いるようにすることも好ましい。
すなわち、後述する試験5に示すとおり、細胞培養が進行して培養容器20内の細胞密度が高密度になると、培養容器20の周囲の酸素濃度を高濃度にしても、培養容器20内における培養面付近の酸素濃度が1%未満になり、蛍光式酸素濃度センサ21による測定限界を超えて正確に測定できなくなる。
本実施形態の細胞培養システムによれば、このような場合においても、上記の方法によって、培養容器20内の細胞の単位面積当たりの個数を概算で推定することが可能である。
すなわち、培養バッグに複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと培養バッグの安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の培養バッグ内の酸素濃度の推定値D’を、酸素濃度センサの測定値として用いることで、以下の式(2)にもとづき細胞の単位面積当たりの個数を計算することができる。
C=G×(M/100-D’/100)/S ・・・式(2)
なお、新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク時の酸素濃度は、追加する培地の温度に影響を受ける。このため、培地の温度を一定に保持して追加することが好ましい。
また、推定値D’の算出方法については、試験5において詳述する。
操作部64は、タッチパネルなどの表示部を備え、ユーザによる入力情報を制御部63に送信してPLCの設定などを実行する。また、制御部63からの入力情報を表示する。
電源部65(安定化電源など)は、制御装置60内の各部に電気を供給する。
また、図示しないが、制御装置60において、さらに継電部(リレー)や配線遮断部(ブレーカー)を備えた構成とすることができる。また、制御装置60における制御部63や操作部64などの一部又は全部の構成をマイコンやコンピュータにより実現してもよい。
本実施形態の細胞の増殖性の検出方法は、少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養における細胞の増殖性の検出方法であって、培養容器内における培養面に配置された酸素濃度センサにより培養容器内における培養面付近の酸素濃度を計測し、ガス透過性部材の酸素透過度、酸素濃度センサの測定値、培養容器の周囲の酸素濃度、及び細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき細胞の単位面積当たりの個数を計算することを特徴とする。
本実施形態の細胞の増殖性の検出方法において、細胞の単位面積当たりの個数は、以下の式(1)によって算出することができる。
C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
C:細胞の単位面積当たりの個数(個/cm2)
G:ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))
M:培養容器の周囲の酸素濃度(%)
D:酸素濃度センサの測定値(%)
S:細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
また、本実施形態の細胞の増殖性の検出方法において、培養容器20に複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと、培養容器20の安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の培養容器20内の酸素濃度の推定値を、上記式(1)の酸素濃度センサの測定値Dとして用いるようにすることも好ましい。
以上のとおり、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、培養中の所望のタイミングにおける培養容器内の細胞の増殖性を検出することができ、細胞の増殖性として、細胞の単位面積当たりの個数を計算することができる。したがって、本実施形態によれば、細胞の大量培養にあたり、培養が適切に行われているかを確認することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法の効果を確認するために行った試験について説明する。
試験1ではJurkat(リンパ球株化細胞)を培養して増殖性の検出を行った。この試験では、試験期間において培養を中断することなく連続して培養し、細胞密度の推定値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験2ではPBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells,末梢血単核細胞)を培養して、培養後の細胞密度の実測値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験3ではPBMCを培養すると共に、所定のタイミングで培養を中断して実際の細胞数をカウントし、得られた細胞密度の実測値と本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験4ではiPS細胞を培養して、培養終了後に実際の細胞数をカウントし、得られた細胞密度の実測値と本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
試験5は、試験3による培養の続きの期間についてのものであり、培養容器内の細胞密度が高密度となって、培養面付近の酸素濃度の測定値が1%未満の期間を含むものである。培養終了後に実際の細胞数をカウントし、得られた細胞密度の実測値と本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を行った。
[試験1]
培養バッグとして、厚み110μmの直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外形のサイズが120mm×65mm、培養空間の底面積が48cmである培養バッグ(東洋製罐グループホールディングス株式会社製)を準備した。この培養バッグは、2枚のフラットなフィルムの周縁部をヒートシールすることにより形成した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサ(センサチップPSt3タイプ,PreSens社)を固定した。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。蛍光受発光部は、制御装置における蛍光式センサ入出力部に付属し、蛍光式センサ入出力部としては、OXY-4mini(タイテック株式会社)を使用した。
使用した蛍光式酸素濃度センサ、蛍光受発光部、及び蛍光式センサ入出力部については、以下の試験においても同様である。
細胞としては、Jurkat(ヒト白血病T細胞由来の細胞株)を1.20e6個/cm2の細胞密度(細胞の単位面積当たりの個数)で播種した。
培地としては、AlyS505N-0(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
インキュベータとしては、高酸素培養可能なマルチガスインキュベータ(PHC株式会社,型式MCO-5M-PJ)を使用し、インキュベータ内に自動送液機構を設置した。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。培地は、37℃のインキュベータ内を通過する間に加温されて、培養バッグに入る時点では約30℃になった。
チューブポンプの制御及びインキュベータの酸素濃度の制御は、制御装置における制御部により行った。なお、各試験において、制御部における増殖検出部は、コンピュータにより構成した。
そして、指定の時間に自動で培地の一部交換を実施することで、培養によって劣化した培地を培地バッグから排出し、新しい培地を充填した。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中25mlとした。送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
また、インキュベータの酸素濃度を指定のタイミングで増加させた。
具体的には、培養開始から23時間後のタイミングで、21%から25%に変更した。また、培養開始から32時間後のタイミングで、25%から30%に変更した。また、培養開始から50時間後のタイミングで、30%から35%に変更した。また、培養開始から53時間後のタイミングで、35%から40%に変更した。
試験1の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図4に示す。
この測定結果にもとづいて、細胞密度の推定値と、本実施形態による細胞の単位面積当たりの個数の計算値との比較を、培養開始から10,40,60時間後について行った。
具体的には、Jurkat細胞の増殖速度は、約1.4倍/24hrであり、比較的安定している。そこで、播種時細胞密度(1.20e6個/cm2)にもとづいて、培養開始から24, 48時間後の細胞密度をそれぞれ1.68e6個/cm2(=1.20e6×1.4)、2.35e6個/cm2(=1.68e6×1.4)と推定し、これらにもとづき10,40,60時間後の細胞密度の推定値を以下のように算出した。
10時間後の細胞密度の推定値1.40e6個/cm2(=(1.20e6×1.4-1.20e6)×10/24+1.20e6)
40時間後の細胞密度の推定値2.13e6個/cm2(=(1.68e6×1.4-1.68e6)×16/24+1.68e6)
60時間後の細胞密度の推定値2.82e6個/cm2(=(2.35e6×1.4-2.35e6)×12/24+2.35e6)
また、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法による細胞の単位面積当たりの個数の計算値は、10,40,60時間後について、それぞれ以下のように算出される。まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.74e-9であった。
また、10時間後において、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は21%、酸素濃度センサの測定値(%)は、5%であった。
したがって、10時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(21/100-5/100)/1.74e-9=1.29e6
これに対して、10時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、1.40e6個/cm2であった。
また、40時間後において、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は30%、酸素濃度センサの測定値(%)は、3%であった。
したがって、40時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(30/100-3/100)/1.74e-9=2.17e6
これに対して、40時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、2.13e6個/cm2であった。
さらに、60時間後において、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は40%、酸素濃度センサの測定値(%)は、2%であった。
したがって、60時間後の細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(40/100-2/100)/1.74e-9=3.06e6
これに対して、60時間後の細胞密度の推定値は、上述のとおり、2.82e6個/cm2であった。
以上のとおり、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、培養中の所望のタイミングにおける細胞の単位面積当たりの個数の概算を算出できることが分かった。
[試験2]
培養バッグとして、試験1と同じものを準備した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサを固定した。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。
細胞としては、PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells,末梢血単核細胞)を使用した。培養バッグへの播種に先立って、抗CD3抗体を塗工、固層化したフラスコを用いて、PBMCを3日間活性化した後、培養バッグに1.6e6個/cm2の細胞密度で播種した。
培地としては、AlyS505N-7(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
培養バッグへの播種後3日間は酸素濃度の測定を行わず、続く3日間の約60hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
インキュベータとしては、高酸素培養可能なマルチガスインキュベータ(PHC株式会社,型式MCO-5M-PJ)を使用し、インキュベータ内に自動送液機構を設置した。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。
そして、指定の時間に自動で培地の一部交換を実施することで、培養によって劣化した培地を培地バッグから排出し、新しい培地を充填した。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中25mlとした。送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
また、本試験では、インキュベータ10の酸素濃度を増加させず、高酸素での培養は行わなかった。
そして、測定開始61時間後に培養バッグ内を撹拌して細胞を培地中に均一に浮遊させ、シリンジを用いて培養バッグから培地を約0.5ml採取して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。その結果、測定開始61時間後の細胞密度は、2.34e6個/cm2であった。
試験2の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図5に示す。
また、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法による細胞の単位面積当たりの個数の計算値は、61時間後について、以下のように算出される。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
また、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は21%、酸素濃度センサの測定値(%)は、1.2%であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(21/100-1.2/100)/1.00e-9=2.77e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、2.34e6個/cm2であった。
すなわち、本試験によっても、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、細胞の単位面積当たりの個数の概算を算出できることが分かった。
[試験3]
培養バッグとして、試験1と同じものを準備した。この培養バッグにおける酸素透過度は、1.4e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサを固定した。
この培養バッグを押圧治具に挟み込み加圧した状態で培養を行った。押圧治具の底面は透明の樹脂板であり、樹脂板における蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を固定した。
細胞としては、PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells,末梢血単核細胞)を使用した。培養バッグへの播種に先立って、抗CD3抗体を塗工、固層化したフラスコを用いて、PBMCを3日間活性化した後、培養バッグに1.06e6個/cm2の細胞密度で播種した。
培地としては、AlyS505N-7(株式会社細胞科学研究所製)にFBS2%を添加したものを使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
培養バッグへの播種後4日間は酸素濃度の測定を行わず、続く3日間の約65hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
ただし、試験3では試験2と異なり、細胞数を計測するために、自動送液を停止させて、培養バッグを撹拌して細胞を培地中に均一に浮遊させ、シリンジを用いて培養バッグから培地を約0.1ml採取して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。なお、採取した細胞数は極少量であり、全体の細胞密度に影響はない。
また、インキュベータの使用と培地交換については、試験1と同様に行った。
試験3の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図6及び図7に示す。図6のグラフは1回目、図7のグラフは2回目の細胞数の計測までの酸素濃度の測定結果を表している。
本試験では、インキュベータ10の酸素濃度を指定のタイミングで増加させた。
具体的には、図6のグラフにおいて、測定開始から4時間後のタイミングで、21%から30%に変更した。また、測定開始から23時間後のタイミングで、30%から40%に変更した。さらに、図7のグラフにおいて、測定開始から6時間後のタイミングで、40%から50%に変更した。
そして、図6のグラフにおいて、測定開始42時間後に培養バッグを撹拌して細胞を培地中に均一に浮遊させ、培養バッグから培地を約0.1ml採取して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。その結果、測定開始42時間後の細胞密度は、4.04e6個/cm2であった。
そして、図7のグラフにおいて、測定開始22.5時間後に培養バッグを撹拌して細胞を培地中に均一に浮遊させ、培養バッグから培地を約0.1ml採取して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。その結果、測定開始22.5時間後の細胞密度は、5.2e6個/cm2であった。
また、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法による細胞の単位面積当たりの個数の計算値は、以下のように算出される。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2である。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
また、図6のグラフの測定開始42時間後において、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は40%、酸素濃度センサの測定値(%)は、7%であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(40/100-7/100)/1.00e-9=4.62e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、4.04e6個/cm2であった。
また、図7のグラフの測定開始22.5時間後において、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は50%、酸素濃度センサの測定値(%)は、12%であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=1.4e-2×(50/100-12/100)/1.00e-9=5.32e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、5.2e6個/cm2であった。
すなわち、本試験によっても、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、細胞の単位面積当たりの個数の概算を算出できることが分かった。
[試験4]
培養バッグとして、厚み110μmの直鎖状低密度ポリエチレンからなり、外形のサイズが120mm×65mm、培養空間の底面積が48cmである培養バッグ(東洋製罐グループホールディングス株式会社製)を準備した。
この培養バッグは、図8に示すように、内側に複数の突起を備えると共に、外面に複数の小突起部が形成されたものである。具体的には、ピッチが0.11mm、高さが0.19mm、角度が75°の複数の略三角柱を山脈状に並列して間隔を空けずに加工した2枚のフィルムの周縁部をヒートシールすることによって形成した。フィルムの最も薄い部分(薄肉部)の厚みは、25μmである。この培養バッグにおける酸素透過度は、8.0e-2(mg/(cm2・hr・atm))であった。なお、この培養バッグの酸素透過度は、試験1で用いた培養バッグを例として上述した方法と同様にして算出した。
この培養バッグ内面のほぼ中央に蛍光式酸素濃度センサを固定した。
また、本試験では押圧治具を用いることなく培養を行った。培養バッグの下側の蛍光式酸素濃度センサに対応する位置に蛍光受発光部を配置した。
細胞としては、iPS細胞(1231A3株,京都大学iPS細胞研究所)を1.7e4個/cm2の細胞密度で播種した。本試験では、培養バッグ内の上面と下面の両方を培養面として使用しており、この播種細胞密度は両面分である。
培地としては、StemFit(R)(AK-02N ,味の素ヘルシーサプライ株式会社)を使用し、培養バッグ内に35mlの培地を細胞と共に充填した。
インキュベータとしては、高酸素培養可能なマルチガスインキュベータ(PHC株式会社,型式MCO-5M-PJ)を使用した。なお、本試験では、自動送液機構を使用せず、手作業により培地交換を行った。
培地を充填した培地供給バッグを10℃の保冷庫に保管すると共に、培養バッグにチューブで接続した。また、廃液バッグを培養バッグにチューブで接続した。培地の送液は、チューブポンプの制御により行った。培地は、37℃のインキュベータ内を通過する間に加温されて、培養バッグに入る時点では約30℃になった。
そして、指定の時間に自動で培地の全量交換を実施することで、培養によって劣化した培地を培地バッグから排出し、新しい培地を充填した。
具体的には、培養開始から所定のタイミングで、培地交換を実施した。このとき、培地排出量は、35ml中35mlであり、送液速度は2ml/分とした。培地交換によって新培地が追加されると、培養バッグ内の酸素濃度が一時的に上昇し、後述するグラフにおいてピークが表示された。
また、本試験では、インキュベータ10の酸素濃度を増加させず、高酸素での培養は行わなかった。
そして、測定開始63時間後に培養バッグから培地を除去した後、細胞剥離液(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社,TrypLE)を用いて培養バッグから細胞を剥離した。そして、培養バッグに培地を充填して剥離した細胞を培地に懸濁させ、シリンジを用いて培養バッグから培地を全量回収して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。その結果、細胞密度は、3.20e6個/cm2であった。
試験4の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図9に示す。
また、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法による細胞の単位面積当たりの個数の計算値は、以下のように算出される。
まず、ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、8.0e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、2.34e-9であった。
また、培養容器の周囲の酸素濃度(%)は21%、酸素濃度センサの測定値(%)は、12%であった。
したがって、細胞の単位面積当たりの個数C(個/cm2)は、以下のとおりである。
C=8.0e-2×(21/100-12/100)/2.34e-9=3.08e6
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、3.20e6個/cm2であった。
すなわち、本試験によっても、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、細胞の単位面積当たりの個数の概算を算出できることが分かった。
[試験5]
本試験は、試験3に連続して行ったものであり、試験3における酸素濃度の測定に続く3日間の約60hrにおいて培養バッグ内の酸素濃度の測定を行った。
試験5の細胞培養における、培養バッグに固定された蛍光式酸素濃度センサによる酸素濃度の測定結果を表すグラフを図10に示す。
測定開始56時間後に培養バッグを撹拌して細胞を培地中に均一に浮遊させ、培養バッグから培地を約0.1ml採取して、トリパンブルーで染色し血球計数盤を用いて細胞密度を計測した。その結果、測定開始56時間後の細胞密度は、1.04e7個/cm2であった。
本試験では、図10に示されるように、測定開始25時間以降、培養バッグ内の細胞密度が非常に高密度になっている。特に測定開始56時間後の時点では、培養バッグ内の酸素濃度が1%未満になっている。
このような場合、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法では、以下の方法によって、細胞の単位面積当たりの個数を計算する。
まず、培養バッグ内の細胞密度が非常に高密度になる前の培養時間において、培養バッグに複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きPTと、培養バッグの安定時の酸素濃度の変化の傾きQTを計算し、その比率(QT/PT)を算出する。
具体的には、図10において、P1(5.5, 36.3)とP2(20.1, 34.1)の上昇ピーク値の変化の傾きPTは、-15%(=(34.1-36.3)/(20.1-5.5)×100)であり、Q1(7.7, 9.3)とQ2(22.9, 2.6)の上昇ピーク値の変化の傾きQTは、-44%(=(2.6-9.3)/(22.9-7.7))であり、その比率(QT/PT)は、2.9である。
次に、測定開始56時間後Q4(56, 1未満)の直前のピークは、P4(55.1, 22.3)であり、酸素濃度が計測できる時点Q3(31.1, 2.3)の直前のピークは、P3(29.5, 32.7)である。
Q4における酸素濃度は、P3からP4の酸素濃度の変化量に対して、上記比率(QT/PT)にもとづきQ3から変化すると推定することができる。
したがって、推定する酸素濃度D’は、以下のように計算することができる。
D’=Q3の酸素濃度-(P3からP4の酸素濃度の変化量)×QT/PT
すなわち、培養バッグに複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと培養バッグの安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の培養バッグ内の酸素濃度の推定値D’を、酸素濃度センサの測定値として用いることで、以下の式(2)にもとづき細胞の単位面積当たりの個数を計算することができる。
C=G×(M/100-D’/100)/S ・・・式(2)
よって、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、細胞の単位面積当たりの個数は、以下のように計算される。
ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm2・hr・atm))は、1.4e-2であった。また、細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個))は、1.00e-9であった。
D’=2.3-(22.3-32.7)×2.9
=-27.9
C=1.4e-2×(50/100+27.9/100)/1.00e-9=1.09e7個/cm2
これに対して、細胞密度の実測値は、上述のとおり、1.04e7個/cm2であった。
すなわち、本試験によっても、本実施形態の細胞培養システム、及び細胞の増殖性の検出方法によれば、ガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する場合において、細胞の単位面積当たりの個数の概算を算出できることが分かった。
本発明は、以上の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、培養容器としては、例示したものに限定されず、例えば1ポートのものや3ポートを有するもの、培養面に複数のウェルを有するものなど培養の目的に応じて適宜変更したものを使用することなどが可能である。
本発明は、細胞培養バッグを用いて細胞を高密度で大量培養する場合などに好適に利用することが可能である。
10 インキュベータ
11 載置台
12 ガスセンサ
20,20a 培養容器
201,201a 上面ガス透過性フィルム
202,202a 下面ガス透過性フィルム
21,21a 蛍光式酸素濃度センサ
22,22a 蛍光受発光部
23a 穴あき樹脂部材
30 保冷庫
40 培地供給容器
50 廃液容器
60 制御装置
61 入出力部
62 蛍光式センサ入出力部
63 制御部
631 増殖検出部
64 操作部
65 電源部
H 溶着領域
i 細胞
L 培地
O 酸素ボンベ
C 二酸化炭素ボンベ

Claims (6)

  1. 少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養システムであって、
    前記培養容器内における培養面の酸素濃度を計測する酸素濃度センサと、
    前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の増殖性を検出する増殖検出部と、を有し、
    前記増殖検出部が、静置状態で培養中の前記細胞の増殖性を検出し、
    前記培養容器の周囲の酸素濃度が、前記培養容器が収容されたインキュベータ内の酸素濃度、又は、大気中の酸素濃度であり、
    前記増殖検出部が、前記細胞の増殖性として、前記細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出することを特徴とする細胞培養システム。
    C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
    C:前記細胞の単位面積当たりの個数(個/cm 2 )
    G:前記ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm 2 ・hr・atm))
    M:前記培養容器の周囲の酸素濃度(%)
    D:前記酸素濃度センサの測定値(%)
    S:前記細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
  2. 前記増殖検出部が、前記培養容器に複数回新培地を追加した時の酸素濃度の上昇ピーク値の変化の傾きと前記培養容器の安定時の酸素濃度の変化の傾きとの比率にもとづいて得られる所望の時点の前記培養容器内の酸素濃度の推定値を、前記酸素濃度センサの測定値として用いることを特徴とする請求項記載の細胞培養システム。
  3. 前記酸素濃度センサが、蛍光式であることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システム。
  4. 前記酸素濃度センサが、前記培養容器内における培養面に穴あき樹脂部材を用いて固定されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の細胞培養システム。
  5. 前記培養容器及び前記穴あき樹脂部材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマーから選択されるいずれかからなることを特徴とする請求項記載の細胞培養システム。
  6. 少なくとも一部がガス透過性部材からなる培養容器によって細胞を静置状態で培養する細胞培養における細胞の増殖性の検出方法であって、
    前記培養容器内における培養面に配置された酸素濃度センサにより前記培養容器内における培養面の酸素濃度を計測し、
    前記ガス透過性部材の酸素透過度、前記酸素濃度センサの測定値、前記培養容器の周囲の酸素濃度、及び前記細胞の1個当たりの酸素消費量にもとづき前記細胞の単位面積当たりの個数を計算することにより、
    静置状態で培養中の前記細胞の増殖性を検出し、
    前記培養容器の周囲の酸素濃度が、前記培養容器が収容されたインキュベータ内の酸素濃度、又は、大気中の酸素濃度であり、
    前記細胞の増殖性として、前記細胞の単位面積当たりの個数を、以下の式(1)によって算出することを特徴とする細胞培養における細胞の増殖性の検出方法。
    C=G×(M/100-D/100)/S ・・・式(1)
    C:前記細胞の単位面積当たりの個数(個/cm 2 )
    G:前記ガス透過性部材の酸素透過度(mg/(cm 2 ・hr・atm))
    M:前記培養容器の周囲の酸素濃度(%)
    D:前記酸素濃度センサの測定値(%)
    S:前記細胞1個の単位時間当たりの酸素消費量(mg/(hr・個) )
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