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JP7707443B2 - リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法 - Google Patents

リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法 Download PDF

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Description

この明細書は、リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法を開示するものである。
近年は、製品寿命もしくは製造不良その他の理由より廃棄されたリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
リチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収するに当っては、リチウムイオン電池廃棄物に対して熱処理、破砕、篩別等を行い、可能な限り正極活物質の金属が含まれるとともに回収対象外の不純物となる金属が除去された電池粉を得ることがある。そしてその後、湿式処理として、電池粉中の金属を酸等で浸出させ、それにより得られる浸出後液から各種の金属を回収する処理が行われ得る。
このうちの熱処理に関連する技術としては、たとえば特許文献1~4に記載されたものがある。
特許文献1には、「アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱して処理する方法であって、リチウムイオン電池の温度を、400℃を超えて上昇させるに当り、リチウムイオン電池の昇温速度をコントロールすることにより、リチウムイオン電池の温度が200℃~400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内からのガスの流出を終了させる、リチウムイオン電池の処理方法」が記載されている。
特許文献2には、「コバルトおよびニッケルを含むリチウムイオン電池を処理する方法であって、リチウムイオン電池を加熱し、リチウムイオン電池の温度を、1時間~4時間にわたって550℃~650℃に保持する加熱工程と、加熱工程後に得られる電池粉末を、該電池粉末に含まれる全金属成分を溶解するのに必要な0.9~1.5倍モル当量の硫酸を含む浸出液に添加し、該浸出液を60℃~80℃の温度として、前記電池粉末を浸出させる浸出工程とを含む、リチウムイオン電池の処理方法」が記載されている。
特許文献3には、「リチウムイオン電池を処理する方法であって、リチウムイオン電池を450℃~650℃に加熱する加熱工程と、加熱工程後に得られる電池粉末を、該電池粉末に含まれる全金属成分を溶解するのに必要な0.9~1.5倍モル当量の硫酸を含む浸出液で浸出させ、浸出液の酸化還元電位ORP値(銀/塩化銀電位基準)が、0mVを超える前に浸出を終了する浸出工程とを含む、リチウムイオン電池の処理方法」が記載されている。
特許文献4には、「アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を、電池加熱空間に配置し、前記電池加熱空間に熱ガスを送り込むことにより、前記リチウムイオン電池を加熱して処理する方法であって、前記電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を450℃未満とし、熱ガスにより加熱されるリチウムイオン電池の温度が200℃~400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させるとともに、当該電池ガスの流出を終了させる、リチウムイオン電池の処理方法」が記載されている。
特開2020-73732号公報 特開2017-36490号公報 特開2017-36489号公報 特開2017-37818号公報
ところで、リチウムイオン電池廃棄物は、不活性雰囲気下で熱処理を施すため、熱処理炉内にて所定の雰囲気下で加熱する場合がある。この際にリチウムイオン電池廃棄物からは、電解液その他の成分に由来する可燃性等のガスが比較的多量に発生し得る。そのような発生ガスを燃焼させて無害化するため、ガス燃焼炉を熱処理炉に併設することが考えられる。
ガス燃焼炉では、燃料を供給して発生ガスを燃焼させる。そのようなガス燃焼炉では、熱処理炉内でのリチウムイオン電池廃棄物の加熱時に、燃料供給量を変化させることにより、当該ガス燃焼炉内の温度が一定になるように制御することが望ましい。たとえば、熱処理炉内から送られる発生ガスが多いときは、ガス燃焼炉内での多量の発生ガスの燃焼による温度上昇を抑えるため、燃料供給量を絞って減らすように調整することができる。一例として、燃料としてLPGを使用するガス燃焼炉の場合、ガス燃焼炉に供給するLPG燃焼流量を絞るように調整することがあり、このときのガス燃焼炉内のLPG燃焼流量の絞り量(燃料の減量)を、ΔLPGという。
ここで、熱処理炉内を昇温してリチウムイオン電池廃棄物を加熱する際には、所定の時期に、ガス燃焼炉の上記の燃料の減量が大きくなること、つまり燃料供給量が大きく減少することがわかった。燃料の減量が大きくなると、ガス燃焼炉の負荷が大きくなる。具体的には、燃料の減量が大きいときは、燃料供給量がミニマムフロー(燃料供給量の最少量)に達して燃料供給量をさらに絞ることができず、内部の温度上昇を抑えることができなくなる結果、高温になって設備が消耗ないし焼損するおそれがある。このことは、設置スペース上の制約等により、小型のガス燃焼炉を採用した場合に顕在化する。
この明細書では、ガス燃焼炉の負荷を軽減することができるリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法を提供する。
この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法は、熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料としてLPGを供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて、当該燃料供給量であるLPG燃焼流量を変化させるガス燃焼工程とを含み、前記熱処理炉内の昇温時に、前記ガス燃焼炉内の前記LPG燃焼流量の絞り量であるΔLPGを0.5Nm3/h以上に増大させるΔLPG増大期間が2回以上あり、少なくとも2回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持するというものである。
また、この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法は、樹脂を含むリチウムイオン電池廃棄物を対象とし、熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料を供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて当該燃料供給量を変化させるガス燃焼工程とを含み、前記熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、前記樹脂が熱分解する期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持するというものである。
また、この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法は、熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料を供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて当該燃料供給量を変化させるガス燃焼工程とを含み、前記熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、前記リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持するというものである。
上述したリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法によれば、ガス燃焼炉の負荷を軽減することができる。
リチウムイオン電池廃棄物を加熱する際のリチウムイオン電池廃棄物の温度及び、ガス燃焼炉のLPG燃焼流量の経時的な変化の一例を示すグラフである。 比較例の熱処理炉内の設定温度、リチウムイオン電池廃棄物の温度及び、LPG燃焼流量の経時的な変化を表すグラフ、並びに、それを模式的に表したグラフである。 比較例で熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置せずに稼働させたときのLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフのLPG燃焼流量を、図2のグラフのLPG燃焼流量から差し引いて得られるLPG燃焼流量の差分の経時変化を表すグラフである。 実施例の熱処理炉内の設定温度、リチウムイオン電池廃棄物の温度及び、LPG燃焼流量の経時的な変化を表すグラフ、並びに、それを模式的に表したグラフである。 実施例で熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置せずに稼働させたときのLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフのLPG燃焼流量を、図4のグラフのLPG燃焼流量から差し引いて得られるLPG燃焼流量の差分の経時変化を表すグラフである。
以下に、上記のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法の実施形態について詳細に説明する。
リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法には、電池加熱工程及びガス燃焼工程が含まれる。電池加熱工程では、熱処理炉内でリチウムイオン電池廃棄物を加熱する。ガス燃焼工程では、熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、ガス燃焼炉内で燃料を供給して発生ガスを燃焼させ、ガス燃焼炉内の温度に応じて当該燃料供給量を変化させる。
一例として、燃料がLPGであるガス燃焼炉内では、LPGを使用するLPGバーナーにより、発生ガスを燃焼させる。そのようなガス燃焼炉では、発生ガスの処理量が多くなったときに、内部が所定の温度よりも高くなることを防止するため、燃料供給量を絞って減らすことがある。たとえば燃料がLPGである場合、燃料供給量としてのLPGの燃焼流量(LPG燃焼流量)を絞り、このLPG燃焼流量の絞り量のことを、ここではΔLPGという。
一の実施形態では、熱処理炉内の昇温時に、ΔLPGを0.5Nm3/h以上に増大させるΔLPG増大期間(燃料減量増大期間)が2回以上あり、少なくとも2回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部にて、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は熱処理炉内の温度を保持する。他の実施形態では、熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、樹脂が熱分解する期間の少なくとも一部にて、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は熱処理炉内の温度を保持する。さらに他の実施形態では、熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間の少なくとも一部にて、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は熱処理炉内の温度を保持する。
上記の期間では、LPG燃焼流量がミニマムフロー(LPG燃焼流量の最少量)に到達するほど、ΔLPGが大きくなり得る。ΔLPGが大きすぎてLPG燃焼流量をそれ以上絞ることができなければ、ガス燃焼炉内が所定の温度を超える懸念がある。これに対し、かかる期間の少なくとも一部で、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は熱処理炉内の温度を保持すれば、リチウムイオン電池廃棄物からの発生ガスの流量が抑えられるので、ガス燃焼炉での発生ガスの処理量が少なくなる。その結果として、ガス燃焼炉の負荷を軽減することができる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、車載用もしくは民生用等のリチウムイオン二次電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。車載用のリチウムイオン二次電池としては、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載された車載用電池パックに含まれるもの等が挙げられる。民生用のリチウムイオン二次電池としては、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用されるものがある。このようなリチウムイオン電池廃棄物からコバルトやニッケルその他の有価金属を回収することは、資源の有効活用の観点から求められている。
車載用のリチウムイオン二次電池を含む車載用電池パックは一般に、その周囲の筐体を構成する金属製のケースと、ケース内部に収容されて、複数のバッテリーセルを有するリチウムイオン二次電池等のバッテリーおよびその他の構成部品とを備える。複数のバッテリーセルは、それらを束ねたバッテリーモジュールとして車載用電池パックに含まれることがある。車載用電池パックは、それを搭載する車両のスペース上の制約等に応じて様々な形状のものが存在するが、たとえば、平面視でほぼ長方形をなす直方体状等の、一方向に長い縦長の外形を有するものがある。
リチウムイオン電池廃棄物は、通常、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種以上の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質が、アルミニウム箔(正極基材)上に、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着された正極材と、炭素系材料等からなる負極材と、エチレンカルボナートもしくはジエチルカルボナート等の有機電解液その他の電解質とを含む。またその他に、リチウムイオン電池廃棄物には、銅、鉄等が含まれる場合がある。
リチウムイオン電池廃棄物には、車載用電池パックの他、車載用電池パック等から取り出されたバッテリーセルが含まれる。バッテリーセルを束ねたバッテリーモジュールを、リチウムイオン電池廃棄物としてもよい。またさらに、バッテリーセル等から取り出されて必要に応じて任意の処理が施されたアルミニウム箔付き正極材や電池粉を、リチウムイオン電池廃棄物とすることもある。つまり、この実施形態の熱処理方法は、車載用電池パック、バッテリーセル、バッテリーモジュール、アルミニウム箔付き正極材又は電池粉等に対して適用することができる。
リチウムイオン電池廃棄物は、バッテリーセル等に電解液や樹脂が含まれることがある。一例として、リチウムイオン電池廃棄物のバッテリーモジュール一個当たり、電解液は662g含まれることがあり、樹脂は230g含まれる場合がある。電解液や樹脂を含むリチウムイオン電池廃棄物を加熱すると発生ガスが生じる。
(電池加熱工程)
電池加熱工程では、熱処理炉内で不活性ガスを供給しながら、窒素、二酸化炭素及び/又は水蒸気等の不活性雰囲気の下、上記のリチウムイオン電池廃棄物を加熱し、たとえば300℃~650℃の温度に到達させて維持する。
不活性雰囲気下で熱処理を行うと、リチウムイオン電池廃棄物中に含まれ得る電解液等の爆発的な燃焼が抑えられて熱処理炉内の温度を制御しやすくなる他、酸化ニッケルや酸化コバルトの生成抑制、酸に溶解しやすいメタルのコバルトやニッケルの生成促進によって有価金属の回収率が高まる。酸素はある程度微量であれば含まれていてもよく、熱処理時の酸素分圧は、ジルコニア式酸素濃度計により測定し、たとえば0atm~4×10-2atmの範囲内に維持する。熱処理炉内への不活性ガスの供給流量は、6Nm3/h~60Nm3/hとすることが好ましい。
上述したようにして熱処理炉内でリチウムイオン電池廃棄物を加熱すると、リチウムイオン電池廃棄物の筐体内から、電解液や樹脂等に起因するガスが発生する。そのような発生ガスは可燃性であり、燃焼させる必要があるので、熱処理炉からガス燃焼炉に送って、ガス燃焼工程にてガス燃焼炉内で燃焼させる。
発生ガスとしては、主に、電解液に由来するガスと、樹脂の熱分解による樹脂分解ガス(CH系ガス等)の二種類のガスがある。
電解液の種類によって異なるが、電解液に由来するガスは、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃に達した時に発生する場合がある。多くの場合、リチウムイオン電池廃棄物が加熱されると、内部の電解液の成分中の低沸点のものから順次に蒸発していき、上記の温度領域に達した時に内部が所定の圧力に達し、安全弁が開いて電解液に由来するガスが発生する。
また、樹脂分解ガスは、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になっている間にリチウムイオン電池廃棄物から放出されている傾向がある。この温度領域は、リチウムイオン電池廃棄物のバッテリーモジュールに付帯している樹脂の分解(気化)温度に依存する。典型的には400℃前後で樹脂分解ガスが発生し始める。なお、樹脂分解ガスは多くの場合、複数の炭化水素系化合物の混在物である。
熱処理炉としては、炉内でリチウムイオン電池廃棄物を移動させながら加熱する連続炉を使用することも可能である。一方、熱処理炉は、炉内でリチウムイオン電池廃棄物を移動させずに加熱するバッチ炉とするほうが、簡易な構造で熱処理を行うことができる点で好ましい。
なお、リチウムイオン電池廃棄物は、必要に応じて、上述したような不活性雰囲気下の熱処理の前もしくは後、好ましくは不活性雰囲気下の熱処理の後に、熱処理炉内に空気を送気しながら熱処理を施し、あるいは大気雰囲気下の熱処理を施してもよい。大気雰囲気下の熱処理は、雰囲気の調整が不要であり、大気下でリチウムイオン電池廃棄物を加熱し、300℃~650℃の温度に到達させて維持することができる。
(ガス燃焼工程)
ガス燃焼工程では、熱処理炉からガス燃焼炉に送られた発生ガスを、当該ガス燃焼炉内の所定の高温下で燃焼させて無害化する。燃焼後のガスはガス燃焼炉から燃焼済ガスとして排出され、ガス処理設備に送られて更に処理され得る。
ガス燃焼炉内は、好ましくは800℃~1000℃、より好ましくは850℃~900℃に維持することがある。ガス燃焼炉内の温度が低すぎると、発生ガスが有効に燃焼しないことが懸念され、この一方で、温度が高すぎると、ガス燃焼炉内で発生ガスが有効に燃焼するための時間が確保できなかったり、後段のガス処理設備の能力を超過したりするおそれがある。
ガス燃焼炉の燃料としては、たとえば、主成分がプロパンやブタンである液化石油ガス(LPG)、主成分がメタンであって都市ガス等として使用される液化天然ガス(LNG)、重油、再生油等がある。ここでは、燃料がLPGであるガス燃焼炉を例として、詳細に説明する。但し、LPGを燃焼とするガス燃焼炉の他、水素もしくはアンモニア又はそれらの混合ガス等のCO2フリー燃料を用いるガス燃焼炉や、ジメチルエーテル(DME)又は合成天然ガス(SNG)を燃料とするガス燃焼炉も使用できる場合がある。上記のDMEやSNGは、木質バイオマス由来のガス、水素(H2)及び一酸化炭素(CO)を主成分とするガス等から合成することができる。
LPGを使用するガス燃焼炉では、LPGをLPGバーナーに供給し、LPGバーナーにより発生ガスを燃焼させる。LPGバーナーへのLPGの供給流量であるLPG燃焼流量(燃料供給量)は、発生ガスの燃焼に伴うガス燃焼炉内の温度の変動に応じて変化させることができる。たとえば、ガス燃焼炉内での発生ガスの処理量が多くなったとき、ガス燃焼炉内が所定の温度よりも高くなることを防止するため、燃料供給量を減らすこと、具体的にはLPG燃焼流量を絞ることができる。
たとえば、図1に示すグラフでは、熱処理炉内を昇温させることでリチウムイオン電池廃棄物の加熱を開始してから時間が経過するに伴って、当該リチウムイオン電池廃棄物の温度(LIB温度)が上昇する様子を示している。このとき、LPG燃焼流量がミニマムフローに達しなければ、LPG燃焼流量を減らすことで、発生ガスの燃焼によるガス燃焼炉内の温度の過剰な上昇を抑えることができる。上記のミニマムフローとしては、0Nm3/hより大きい流量が設定される場合(LPG燃焼流量を最大限に絞ったときでも、一定量のLPGが供給され続ける場合)と、0Nm3/hの場合(LPGの供給を停止する場合)がある。いずれの場合であっても、LPG燃焼流量がミニマムフローに達すると、それ以上絞ることができず、温度超過を防ぐことができなくなる。
図1では、ΔLPGが大きくなる時期が二回あるが、一回目は、電解液に由来する多量のガスの発生時であり、二回目は樹脂の熱分解による樹脂分解ガスの発生時であると考えられる。リチウムイオン電池廃棄物の残留電圧が高いと、電解液に由来するガスの発生時にΔLPGが大きくなる傾向がある。
なお、LPGバーナーは、多くの場合、LPGと空気を混合させて燃焼させるものであるところ、前述のLPG燃焼流量やΔLPGは、空気との混合ガスの流量ではなく、LPGの流量のことを指している。
(熱処理炉内の温度調整)
熱処理炉内の昇温時には、燃料供給量が大きく減る燃料減量増大期間、すなわち、ガス燃焼炉のΔLPGが0.5Nm3/h以上に増大する期間(ΔLPG増大期間)が2回以上ある場合がある。例えばリチウムイオン電池廃棄物の残留電圧が低い場合は、このうち、2回目のΔLPG増大期間の方が1回目のΔLPG増大期間よりも相対的にΔLPGが大きくなる傾向にあり、LPG燃焼流量が上記のミニマムフローに達し得る。これに対し、一の実施形態では、少なくとも2回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部で、熱処理炉内の昇温速度をそれまでよりも低下させ、又は、熱処理炉内の温度を保持する。
また、リチウムイオン電池廃棄物に含まれる樹脂が熱分解すると、樹脂の熱分解による樹脂分解ガスの発生により、リチウムイオン電池廃棄物からの発生ガスが多くなり、ΔLPGが大きくなる。これに対処するため、他の実施形態では、樹脂が熱分解する期間の少なくとも一部で、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は、熱処理炉内の温度を保持する。
また、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になったときは、ΔLPGが大きくなる傾向がある。そのため、さらに他の実施形態では、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間の少なくとも一部で、処理炉内の昇温速度を低下させ、又は、熱処理炉内の温度を保持する。
上述したように熱処理炉内の昇温速度を低下させ又は温度を保持すると、リチウムイオン電池廃棄物からの発生ガスの流出が緩慢になる。それ故に、ΔLPGが大きくなる期間(2回目のΔLPG増大期間や、樹脂が熱分解する期間、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間)の少なくとも一部で、熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行うことにより、リチウムイオン電池廃棄物からの発生ガスが抑えられて、ガス燃焼炉内で処理すべき発生ガスの量が少なくなる。それにより、ガス燃焼炉の負荷を軽減することができる。
ΔLPG増大期間は、次のようにして決定することができる。熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置して、熱処理炉及びガス燃焼炉を稼働させると、図1に例示するようなLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフが得られる。また、熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置しないことを除いて同じ条件で、熱処理炉及びガス燃焼炉を稼働させると、リチウムイオン電池廃棄物からの発生ガスによる影響が無いLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフが得られる。そして、それらの稼働時の各時点について、熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置したときの当該グラフのLPG燃焼流量から、熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置しなかったときの当該グラフのLPG燃焼流量を差し引く。それにより得られるLPG燃焼流量の差分の経時変化のグラフで、ΔLPGが0.5Nm3/h以上になるピーク(山)の開始時から終了時までの期間を、ΔLPG増大期間とする。ピークの開始時及び終了時はそれぞれ、上述したLPG燃焼流量の差分の経時変化のグラフ上にて、上記のピークトップの両側のそれぞれにおいて、当該ピークトップに時期的に最も近い点であってLPG燃焼流量の差分の値がゼロになる点とする。つまり、ピークトップを挟んだ両側で、そのピークトップに隣接してLPG燃焼流量の差分の値がゼロになる各点の相互間の領域が、ΔLPG増大期間になる。
樹脂が熱分解する期間は、熱処理炉内の昇温に伴ってLPG燃焼流量を減らしている期間のうち、リチウムイオン電池廃棄物の温度が、リチウムイオン電池廃棄物中の少なくとも一種類の樹脂の熱分解を生じる温度領域内にある期間を意味する。また、後述する電解液に由来するガスが発生する期間は、熱処理炉内の昇温に伴ってLPG燃焼流量を減らしている期間のうち、リチウムイオン電池廃棄物の温度が、リチウムイオン電池廃棄物中の電解液からガスを発生させる温度領域内にある期間を意味する。樹脂の熱分解を生じる温度領域や、電解液からガスを発生させる温度領域は、リチウムイオン電池廃棄物に含まれる樹脂や電解液を調べることにより確認することができる。なお、上述のように、電解液はその成分中の低沸点のものから順次に蒸発していき、電解液に由来するガスは、所定の圧力に達して安全弁が開いたときに初めてリチウムイオン電池廃棄物の外部に放出される。このため、リチウムイオン電池廃棄物中の電解液からガスを発生させる温度領域は、電解液を構成する成分の割合や安全弁の機構等にも依存し、電解液の沸点よりも高くなる場合がある。
リチウムイオン電池廃棄物の温度が所定の温度(380℃~530℃、後述する150℃~190℃)になる期間は、熱処理炉内の昇温時に、リチウムイオン電池廃棄物の温度が当該温度領域内になっている期間を意味する。
いずれの実施形態でも、上記の2回目のΔLPG増大期間、樹脂が熱分解する期間又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間の少なくとも一部(一時期)に、熱処理炉内の昇温速度が低下しているか又は温度が保持されていればよい。好ましくは、当該期間の開始時点から終了時点までの間は常に、熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は温度を保持する。
リチウムイオン電池廃棄物に含まれる樹脂の種類その他の条件によっては、樹脂が熱分解する期間は、2回目のΔLPG増大期間に該当する場合がある。また、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間は、2回目のΔLPG増大期間に該当する場合がある。
熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持は、2回以上のΔLPG増大期間のうち、2回目のΔLPG増大期間だけでなく、1回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部にも行うことが好ましい。また、樹脂が熱分解する期間だけでなく、電解液に由来するガスが発生する期間の少なくとも一部にも、熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行うことが好ましい。また、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間の少なくとも一部にも、熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行うことが好ましい。1回目のΔLPG増大期間は、電解液に由来するガスが発生する期間、及び/又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間に該当することがある。このような期間にも、ΔLPGがある程度大きくなるからである。
熱処理炉内は通常(昇温速度を低下させないとき)、リチウムイオン電池廃棄物の加熱を比較的短時間のうちに終了させるため、昇温速度を100℃/h~200℃/hとすることがある。これに対し、上述した期間にて熱処理炉内の昇温速度を低下させたときは、昇温速度を0℃/h~50℃/hとすることが好ましい。これよりも速い昇温速度では、ΔLPGを有効に低減できない懸念がある。
熱処理炉内の昇温速度が低下し、又は温度が保持されているかどうかは、熱処理炉内の実際の温度を測定することにより確認する。後述の実施例で説明する図2や図4のように、熱処理炉内の実際の温度が比較的短い時間間隔で小刻みに変動する場合、熱処理炉で設定する熱処理炉内の温度設定値を参照して、昇温速度の低下や温度保持の有無を判断する。具体的には、熱処理炉の温度設定値の経時変化を表すグラフで昇温速度の低下ないし温度保持を開始した時点と終了した時点を確認し、実際の炉内温度の経時変化を表すグラフ上にて、それらの開始時点及び終了時点における各プロットを結んだ線分の傾きが相対的に小さくなっているときは、昇温速度の低下ないし温度保持が行われたと認められる。当該線分の傾きを、上述した昇温速度とする。なお、熱処理炉内の昇温速度が0℃/h~10℃/hの範囲内で45分以上維持されていれば、熱処理炉内の温度が保持されているとみなすことができる。熱処理炉内の温度保持の間は、5℃/h~10℃/hの昇温速度で30分~45分維持される場合がある。
以上に述べたように、所定の期間で熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行うに当たっては、ガス燃焼炉のLPG燃焼流量の変化に応じて、熱処理炉内の昇温速度を変化させることができる。言い換えると、LPG燃焼流量の変化に基づいて、熱処理炉内の昇温速度が変化するように自動で制御してもよい。具体的には、たとえば、ガス燃焼炉のLPG燃焼流量を常に監視しておき、LPG燃焼流量がある程度大きく減少し始めたときは、熱処理炉内の昇温速度が低下するように調整し、その後、LPG燃焼流量がピークを超えて増加し始めたときは、熱処理炉内の昇温速度が上昇するように調整し、熱処理炉内の昇温速度を制御することができる。これにより、そのピーク前後のΔLPGを小さく抑えることが可能になる。
なお、熱処理炉内の昇温時には、上述したように、ΔLPGが大きくなる期間が2回以上ある。ここで述べた実施形態によれば、熱処理炉内の昇温速度を低下させ又は温度を保持することにより、ΔLPGの最大値がいずれの期間で発生したとしても、その最大値を小さくすることが可能である。その結果として、ガス燃焼炉の負荷を有効に軽減することができる。
具体的にはΔLPGは、熱処理時のリチウムイオン電池廃棄物の破裂の有無や、リチウムイオン電池廃棄物の残留電圧等によって変化し得る。残留電圧については、リチウムイオン電池廃棄物の残留電圧が比較的低い場合(たとえばリチウムイオン電池廃棄物のバッテリーセル一個当たりの残留電圧が2.1V/セル未満である場合)、ΔLPGは、1回目のΔLPG増大期間(あるいは、電解液に由来するガスが発生する期間又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間)よりも2回目のΔLPG増大期間(あるいは、樹脂が熱分解する期間又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間)で大きくなる傾向がある。そのため、この場合は、2回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部で、熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行えば、熱処理の間の全体で見たときのΔLPGの最大値を小さくすることができる。
一方、残留電圧が比較的高いリチウムイオン電池廃棄物(たとえばバッテリーセル一個当たりの残留電圧が、2.1V/セル以上であるリチウムイオン電池廃棄物)では、1回目のΔLPG増大期間(あるいは、電解液に由来するガスが発生する期間又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間)のΔLPGが大きくなる傾向がある。それ故に、この場合は、2回目のΔLPG増大期間(あるいは、樹脂が熱分解する期間又は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間)に加えて、1回目のΔLPG増大期間にも、熱処理炉内の昇温速度の低下又は温度保持を行うことが望ましい。このように、1回目のΔLPG増大期間に昇温速度の低下又は温度保持を行うか否かを決める際には、リチウムイオン電池廃棄物の残留電圧等に依存する1回目のΔLPG増大期間におけるΔLPGの大きさを考慮することができる。
(後工程)
上述した電池加熱工程を経たリチウムイオン電池廃棄物には、必要に応じて、破砕工程、解砕・粉化工程及び、篩別工程を行うことができる。
破砕は、車載用電池パック等のリチウムイオン電池廃棄物のケースからバッテリーを取り出し、そのバッテリーの筐体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、その具体例としては、リチウムイオン電池廃棄物を切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機、たとえば、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、バッテリーは、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
破砕の後は、必要に応じて破砕されたバッテリーを軽く解砕して粉末状にすることがあり、その後、適切な目開きの篩を用いて篩別する。解砕・粉化により、アルミニウム箔に固着していた正極活物質の、アルミニウム箔からの分離性が向上する。但し、解砕・粉化は省略する場合もある。これにより、篩上には、たとえば、アルミニウムや銅等が残り、篩下には、アルミニウムや銅等がある程度除去されたリチウム、コバルト及びニッケル等を含む電池粉を得ることができる。
上記の電池粉に対しては、必要に応じてリチウム溶解工程を行った後、酸浸出工程を行う。リチウム溶解工程では、電池粉を弱酸性溶液、水又はアルカリ性溶液のいずれかと接触させ、電池粉に含まれるリチウムを溶液に溶解させて、リチウム溶解液を得る。リチウム溶解液に対しては、たとえば、溶媒抽出、中和、炭酸化等の処理を施すことにより、リチウム溶解液中のリチウムを炭酸リチウムとして回収することができる。
酸浸出工程では、リチウム溶解工程で水もしくは溶液に溶けずに残った残渣の電池粉を、フィルタープレスやシックナー等を用いた固液分離により取り出した後に、酸に浸出させる。酸浸出工程は、公知の方法ないし条件で行うことが可能である。たとえば、pHは0.0~3.0とすることがある。
酸浸出工程での酸浸出及び固液分離により得られる浸出後液に対し、たとえば中和、溶媒抽出その他の工程を行うことにより、コバルト、ニッケル等の各種金属を回収することができる。
次に、上述したリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
(比較例)
12個のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールをリチウムイオン電池廃棄物とし、熱処理炉内で3個の該リチウムイオン電池廃棄物を同時に同じ昇温速度で加熱するとともに、熱処理炉内の発生ガスをガス燃焼炉内に送って燃焼させる試験を行った。各リチウムイオン電池廃棄物は放電済みであり、その残留電圧はほぼ0V/セルであった。熱処理炉では、リチウムイオン電池廃棄物の加熱の間、熱処理炉内の昇温速度が100℃/hでほぼ一定となるように熱処理炉内の温度を設定した。またこの際に、熱処理炉内には窒素を供給し、その窒素の供給流量を140L/minとした。ガス燃焼炉では、内部の温度が850℃になるように、LPG燃焼流量を0.3Nm3/h~3Nm3/hの範囲内で変化させた。
その結果、図2に示す熱処理炉内の温度及びLPG燃焼流量(LPG流量)の経時変化を表すグラフが得られた。この試験では、図2に模式的なグラフで示すように、電解液に由来するガスによるΔLPG(電解液負荷)は0.51Nm3/hとなり、樹脂の熱分解によるΔLPG(CHガス負荷)は1.09Nm3/hとなった。
また、熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置しなかったことを除いて、上述したところと同様の条件の下、熱処理炉及びガス燃焼炉を稼働させた。それにより得られたLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフ(リチウムイオン電池廃棄物設置無し)のLPG燃焼流量を、図2のグラフ(リチウムイオン電池廃棄物設置有り)のLPG燃焼流量から差し引いて、LPG燃焼流量の差分のグラフを得た。これを図3に示す。図3の差分のグラフより、ΔLPGが0.5Nm3/h以上になるピークを有するΔLPG増大期間は2回あったことがわかる。2回のΔLPG増大期間は、リチウムイオン電池廃棄物を配置した場合の、リチウムイオン電池廃棄物の温度が181℃~234℃になった期間(電解液に由来するガスが発生する期間)と、414℃~509℃になった期間(樹脂が熱分解する期間)であった。
(実施例)
熱処理炉内の温度が290℃になったとき及び470℃になったとき(リチウムイオン電池廃棄物の温度が170℃になったとき及び410℃になったとき)に、それぞれ熱処理炉内の昇温をせずに温度を保持するように熱処理炉内の温度を設定したことを除いて、比較例と実質的に同様の試験を行った。
その結果、図4に示す熱処理炉内の温度及びLPG燃焼流量(LPG流量)の経時変化を表すグラフが得られた。この試験では、図4に模式的なグラフで示すように、電解液に由来するガスによるΔLPG(電解液負荷)は0.36Nm3/hであり、比較例の試験における同様のΔLPGの約3割減であった。また、樹脂の熱分解によるΔLPG(CHガス負荷)は0.35Nm3/hとなり、比較例の試験における同様のΔLPGの約6~7割減となった。
なお、図4に示すように、熱処理炉内の昇温時には、2回のΔLPG増大期間(ΔLPGが0.5Nm3/h以上に増大した期間)があった。1回目のΔLPG増大期間は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間と、また2回目のΔLPG増大期間は、リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間とそれぞれほぼ一致していた。それらの温度領域はそれぞれ、リチウムイオン電池廃棄物中の電解液に由来するガスが発生する温度領域、リチウムイオン電池廃棄物中の樹脂が熱分解する温度領域と実質的に同じである。そのため、1回目のΔLPG増大期間は、電解液に由来するガスが発生する期間であり、2回目のΔLPG増大期間は、樹脂が熱分解する期間であると考えられる。
また、熱処理炉内にリチウムイオン電池廃棄物を配置しなかったことを除いて、上述したところと同様の条件の下、熱処理炉及びガス燃焼炉を稼働させた。それにより得られたLPG燃焼流量の経時変化を表すグラフ(リチウムイオン電池廃棄物設置無し)のLPG燃焼流量を、図4のグラフ(リチウムイオン電池廃棄物設置有り)のLPG燃焼流量から差し引いて、LPG燃焼流量の差分のグラフを得た。これを図5に示す。図5の差分のグラフより、ΔLPGが0.5Nm3/h以上になるピークを有するΔLPG増大期間は2回あったことがわかる。2回のΔLPG増大期間は、リチウムイオン電池廃棄物を配置した場合の、リチウムイオン電池廃棄物の温度が188℃~217℃になった期間(電解液に由来するガスが発生する期間)と、414℃~500℃になった期間(樹脂が熱分解する期間)であった。
以上より、先述したリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法によれば、ガス燃焼炉の負荷を軽減できることがわかった。

Claims (11)

  1. リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法であって、
    熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、
    前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料としてLPGを供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて、当該燃料供給量であるLPG燃焼流量を変化させるガス燃焼工程と
    を含み、
    前記熱処理炉内の昇温時に、前記ガス燃焼炉内の前記LPG燃焼流量の絞り量であるΔLPGを0.5Nm3/h以上に増大させるΔLPG増大期間が2回以上あり、少なくとも2回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  2. 1回目のΔLPG増大期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、請求項1に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  3. 樹脂を含むリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法であって、
    熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、
    前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料を供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて当該燃料供給量を変化させるガス燃焼工程と
    を含み、
    前記熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、前記樹脂が熱分解する期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  4. 前記リチウムイオン電池廃棄物が電解液を含み、
    前記熱処理炉内の昇温時に、前記電解液に由来するガスが発生する期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、請求項3に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  5. リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法であって、
    熱処理炉内で前記リチウムイオン電池廃棄物を加熱する電池加熱工程と、
    前記熱処理炉内での発生ガスをガス燃焼炉内に送り、前記ガス燃焼炉内で燃料を供給して前記発生ガスを燃焼させ、前記ガス燃焼炉内の温度に応じて当該燃料供給量を変化させるガス燃焼工程と
    を含み、
    前記熱処理炉内の昇温時に、少なくとも、前記リチウムイオン電池廃棄物の温度が380℃~530℃になる期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、リチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  6. 前記熱処理炉内の昇温時に、前記リチウムイオン電池廃棄物の温度が150℃~190℃になる期間の少なくとも一部にて、前記熱処理炉内の昇温速度を低下させ、又は前記熱処理炉内の温度を保持する、請求項5に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  7. 前記熱処理炉内の昇温速度を低下させたときの当該昇温速度を、0℃/h~50℃/hとする、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  8. 前記熱処理炉内の昇温速度を低下させないときの当該昇温速度を、100℃/h~200℃/hとする、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  9. 前記燃料供給量の変化に応じて、前記熱処理炉内の昇温速度を変化させる、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  10. 前記電池加熱工程に用いるリチウムイオン電池廃棄物がバッテリーセルを含み、
    前記リチウムイオン電池廃棄物の前記バッテリーセル一個当たりの残留電圧が、2.1V/セル未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
  11. 前記電池加熱工程に用いるリチウムイオン電池廃棄物がバッテリーセルを含み、
    前記リチウムイオン電池廃棄物の前記バッテリーセル一個当たりの残留電圧が、2.1V/セル以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の熱処理方法。
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