以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクセット
本実施形態のインクセットは、金属顔料を含有するメタリックインク組成物と、下地用インク組成物とを含むインクセットであって、メタリックインク組成物の表面張力が、下地用インク組成物の表面張力より低く、金属顔料が、表面が処理された金属粒子である。
1.1.メタリックインク組成物
メタリックインク組成物は、金属顔料を含有する。
1.1.1.金属顔料
金属顔料は、金属光沢を有する画像を形成できるかぎり限定されない。金属顔料の粒子の形状は、特に限定されず、例えば、平板状、鱗片状、球状、柱状等であり得る。中でも金属光沢をより効率的に発現させる点で、金属顔料は、平板状粒子、鱗片状粒子であることがより好ましい。
ここで「平板状粒子」又は「鱗片状粒子」とは、略平坦な面(X-Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。平板状粒子又は鱗片状粒子は、例えば金属蒸着膜を破砕して作成できるため、略平坦な面と、略均一な厚みの金属の粒子として得ることができる。従って、平板状粒子又は鱗片状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義することができる。
金属顔料の材質は、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の各種の金属やそれらの合金等とすることができるが、コストの観点及び優れた金属光沢を確保する観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、合金とする金属元素又は非金属元素としては、特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。
金属顔料の粒子の金属又は合金層の厚さは、例えば2.0nm以上150.0nm以下が好ましい。5.0nm以上120.0nm以下がより好ましく、5.0nm以上90.0nm以下がさらに好ましい。上記範囲にすることにより、反射性、光輝性に優れ、金属顔料としての性能が高くなり、好ましくは100.0nm以下、より好ましくは90.0nm以下にすることで、見かけ比重の増加を抑え、金属顔料の分散安定性をより良好にすることができる。また、金属顔料の平均厚みを上記範囲としてもよい。平均厚みの測定は例えば下記の様に行う。金属顔料を含むインク等を希釈し、希釈液を基材に塗布して乾燥させ、乾燥させた金属顔料の厚みをAFMで測定する。測定は無作為な50点で測定し平均値をとる。
金属顔料の粒子の体積平均粒子径D50は、特に限定されないが0.05μm以上3.00μm以下が好ましく、0.10μm以上1.50μm以下がより好ましく、0.20μm以上1.00μm以下がさらに好ましい。体積平均粒子径D50は、粒子分散液をレーザー回折・散乱法を用いて測定された体積分布のメジアン径D50のことを指す。体積平均粒子径が上記範囲以上の場合、記録物の反射性・光輝性がより優れ、上記範囲以下の場合、分散安定性・吐出性がより優れ好ましい。
金属顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の金属又は合金層と剥離用樹脂層の界面を境界としてシート状基材より剥離し粉砕し微細化して平板状粒子を得る方法がある。金属又は合金層は、真空蒸着、イオンプレーティング又はスパッタリング法によって形成されることが好ましい。
複合化顔料原体における剥離用樹脂層は、金属又は合金層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリビニルブチラール、アクリル酸重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等により形成される。塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行う。
シート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレート又はその共重合体である。
金属又は合金層は、特開2005-68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、金属・合金層、金属酸化物層、有機膜層などが挙げられる。金属・合金層は顔料原体の金属又は合金とは異なる材料からなる金属(半金属含む)又は合金の層である。金属酸化物層は、金属(半金属含む)の酸化物の層であり、顔料原体の金属又は合金が自然酸化した膜でもよい。例えば、アルミナ層、酸化ケイ素層などが挙げられる。またセラミック層でもよい。有機膜層は、例えば樹脂層が挙げられ、上記剥離用樹脂層が保護用樹脂層として残った樹脂層でもよいし、剥離用樹脂とは別の樹脂層でもよい。
金属酸化物層の一例の酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾル-ゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシド又はその重合体から形成されることが好ましい。酸化ケイ素層は、例えばシリコンアルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより形成することができる。
さらに、金属酸化膜層を形成する場合には、例えば金属アルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより形成することができる。
シート状基材からの剥離処理法としては、特に限定されないが、複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法、また液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い、剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られる平板状の金属顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。
金属顔料は、メタリックインク組成物が水系の組成物である場合には、金属が水分や酸素と反応しにくいように、表面処理が為されていることがより好ましい。なお、メタリックインク組成物が溶剤系の組成物である場合においても、酸素や水分と反応しにくいように、表面処理が為されていることがより好ましい。
インクは、インクに含まれる固形分の成分を溶解又は分散する溶媒成分を含有する溶媒インクが好ましい。
ここで「水系インク」とは、溶媒インクのうち、インクを構成する溶媒の主成分として少なくとも水を含むインクのことをいう。溶媒としては水、有機溶剤があげられる。水系インクは、インクの総質量に対し水を20質量%以上含む。水は、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
また「溶剤系インク」とは、溶媒インクのうち、インクを構成する溶媒の主成分が有機溶剤であるインクのことをいう。溶剤系インクは、インクの総質量に対し、水が20質量%未満(20質量%を超えて含有しない)である。さらに10質量%以下が好ましく、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が好ましい。また、インクの総質量に対し有機溶剤の含有量が10質量%以上が好ましく、40質量%以上が好ましく、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%である。
なお、メタリックインク組成物は、UVインク(紫外線等の照射により硬化させて記録に用いるインク)であってもよい。
金属顔料に表面処理を施す場合には、リン系化合物又はケイ素系化合物により表面処理されることがより好ましい。このようにすれば、金属顔料の粒子の表面の金属光沢がより良好に維持されるので、例えば、メタリックインク組成物の保存性を良好としたり、画像を保存した場合に光沢を長持ちさせることができる。なお、表面処理を施す場合、母粒子に上述した保護層があってもなくてもよい。
表面処理の具体的な手法としては、例えば、金属顔料粒子(母粒子)に対してリン系化合物、ケイ素系化合物、フッ素系化合物の少なくとも一種を作用させることが挙げられる。これらを作用させる手法としては例えば加熱、撹拌などである。
リン系化合物としては、例えば、リン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体等を用いることができる。誘導体としては、例えば、互変異性体、エステル化物、エーテル化物、構造式中の水素原子が有機置換基で置き換えられたもの、などが挙げられる。また、リン系化合物は、アルキル基、フルオロアルキル基等の疎水性の原子又は原子団を有することが好ましい。
疎水性の原子又は原子団としては、例えば、フッ素原子、炭素数が3以上のアルキル基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等が挙げられる。アルキル基又は水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等の炭素数は、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。また、炭素数は、特に限定されないが、35以下が好ましく、30以下がより好ましく、25以下がさらに好ましい。アルキル基又は水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等は、リン系化合物のリン原子に結合したもの、又は、リン系化合物のリン原子に結合した水酸基がエーテル化したものが好ましい。
中でも、リン系化合物は、分子内に、少なくとも1個のフッ素原子を有するリン化合物であるフッ素系リン系化合物であることがより好ましい。これにより、金属顔料の粒子に付着した状態での疎水性をより高めることができ、メタリックインク組成物中での金属顔料の粒子の分散安定性をより優れたものとすることができる。特に、インクジェット記録方法を用いて製造される記録物において、金属顔料の粒子を記録部の外表面付近に好適に配列させることができ、金属顔料の粒子を構成する金属材料が本来有している光沢感等の特性をより効果的に発揮させることができる。
リン系化合物がフッ素系リン系化合物である場合、当該フッ素系リン系化合物は、パーフルオロアルキル構造を有するものが好ましい。フッ素系リン系化合物は、リン含有基とフッ素含有基を有する化合物である。フッ素含有基はパーフルオロアルキル構造などが挙げられる。リン含有基としては、例えば、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などが挙げられる。
フッ素系リン系化合物として、より具体的には例えば、一般式 P(O)Rn(OH)3-nで表される化合物などが挙げられる。nは1~3の整数である。Rはパーフルオロアルキル基(パーフルオロアルキル構造)である。例えば2-(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸などが挙げられる。
メタリックインク組成物は、リン系化合物として、複数種の化合物を含んでいてもよい。このような場合、同一の金属粒子に複数種のリン系化合物による表面処理が施されていてもよい。また、メタリックインク組成物は、金属粒子として、互いに異なるリン系化合物で表面処理されたものを含んでいてもよい。
また、リン系化合物による金属顔料の粒子への表面処理は、例えば、気相成膜法により形成した金属製の膜を液体中で粉砕して金属顔料の粒子を形成する際に、当該液体中にリン系化合物を含ませておくことにより行うものであってもよい。
同一の粒子に対し、複数種のリン系化合物による表面処理を施す場合、各リン系化合物に対応する複数の工程に分けて表面処理を行ってもよいし、同一工程で、複数種のリン系化合物による表面処理を行ってもよい。
リン系化合物を用いる場合の含有量は、100質量%の金属顔料に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.25質量%以上である。また、リン系化合物を用いる場合の含有量の上限は、100質量%の金属顔料に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。リン系化合物を用いる場合の含有量がこの範囲であれば、メタリックインク組成物により形成される画像の光沢感を優れたものとしつつ、光沢を長持ちさせることができる。
ケイ素系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ケイ素系化合物として、ケイ素含有フッ素化合物を用いてもよい。ケイ素含有フッ素化合物は、ケイ素含有基とフッ素含有基を有する化合物である。フッ素含有基としてはは、例えば、パーフルオロアルキル構造などが挙げられる。ケイ素含有基としては、アルコキシシリル基などが挙げられる。ケイ素含有フッ素化合物を用いると、さらに光沢性及び分散性に優れた金属顔料が得られやすく、画像を記録した際に耐候性がより良好となる傾向がある。
ケイ素含有フッ素化合物としては、例えばパーフルオロアルキル構造を有する含フッ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、CF3-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)3-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)5-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)5-CH2CH2-Si(OC2H5)3、CF3(CF2)7-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3(CF2)11-CH2CH2-Si(OC2H5)3、CF3(CF2)3-CH2CH2-Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)7-CH2CH2-Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)8-CH2CH2-Si(CH3)(OC2H5)2、及びCF3(CF2)8-CH2CH2-Si(C2H5)(OC2H5)2、及び1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン、が挙げられる。
また、上述したパーフルオロアルキル構造としては、パーフルオロアルキルエーテル構造(CnF2n+1O)を用いることもできる。よってパーフルオロアルキルエーテル構造を有するフッ素化合物を用いることもできる。パーフルオロアルキルエーテル構造を有する含フッ素ケイ素系化合物としては、特に限定されないが、例えば、CF3O(CF2O)6-CH2CH2-Si(OC2H5)3、CF3O(C3F6O)4-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3O(C3F6O)2(CF2O)3-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3O(C3F6O)8-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3O(C4F9O)5-CH2CH2-Si(OCH3)3、CF3O(C4F9O)5-CH2CH2-Si(CH3)(OC2H5)2、CF3O(C3F6O)4-CH2CH2-Si(C2H5)(OCH3)2が挙げられる。
金属顔料に表面処理を施す場合、フッ素化合物を用いてもよい。フッ素化合物としては含フッ素脂肪酸を用いてもよく、例えば、CF3-CH2CH2-COOH、CF3(CF2)3-CH2CH2-COOH、CF3(CF2)5-CH2CH2-COOH、CF3(CF2)6-CH2CH2-COOH、CF3(CF2)7-CH2CH2-COOH、及びCF3(CF2)9-CH2CH2-COOH及びこれらのエステルであってもよい。
さらに、フッ素化合物としては含フッ素イソシアネート化合物を用いてもよい。含フッ素イソシアネート化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化学構造を有するものを用いることができる。
RfNCO ・・・(1)
ここで、式(1)中、Rfは、CF3(CF2)m-、又は、CF3(CF2)m(CH2)l-であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。
このようなリン系化合物やケイ素系化合物を用いて母粒子を表面処理することにより、被膜を形成することができ、さらに光沢の良好な画像を形成することができる。なお、上記リン系化合物、ケイ素系化合物、フッ素系化合物から2種以上を選択して表面処理を行ってもよい。
メタリックインク組成物中の金属顔料の濃度は、0.1質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上8.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
1.1.2.その他の成分
メタリックインク組成物は、金属顔料の他に以下の成分を含むことができる。
(水)
メタリックインク組成物は、水系インクであっても、溶剤系インクであっても水を含有してもよい。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
(有機溶剤)
メタリックインク組成物は、有機溶剤を含有してもよい。メタリックインク組成物を、溶剤系インクとする場合には、水の含有量は1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、水を含有しないことが殊更好ましい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、グリコールエーテル系溶剤が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
R1O-(R2O)m-R3 ・・・(2)
(式(2)中、R1は水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であり、R2は炭素数2以上4以下のアルキレン基であり、R3は水素原子、アセチル基、又は炭素数1以上6以下のアルキル基である。ただし、R1とR3の少なくとも一方は炭素数1以上6以下のアルキル基である。mは1以上7以下の整数である。)
上記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、メチルグリコール(エチレングリコールモノメチルエーテル:EGMME)、メチルジグリコール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル:DEGMME)、メチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノメチルエーテル:TEGMME)、イソプロピルグリコール(エチレングリコールモノイソプロピルエーテル:EGMiPE)、イソプロピルジグリコール(ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル:DEGMiPE)、ブチルグリコール(エチレングリコールモノブチルエーテル:EGMBE)、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル:DEGMBE)、ブチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノブチルエーテル:TEGMBE)、イソブチルグリコール(エチレングリコールモノイソブチルエーテル:EGMiBE)、イソブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル:DEGMiBE)、ヘキシルグリコール(エチレングリコールモノヘキシルエーテル:EGMHE)、ヘキシルジグリコール(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル:DEGMHE)、メチルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノメチルエーテル:PGMME)、メチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:DPGMME)、メチルプロピレントリグリコール(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル:DPGMME)、プロピルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノプロピルエーテル:PGMPE)、プロピルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル:DPGMPE)、ブチルプロピレングリコール(プロピレングリコールモノブチルエーテル:PGMBE)、ブチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールモノブチルエーテル:DPGMBE)、ブチルプロピレントリグリコール(トリプロピレングリコールモノブチルエーテル:TPGMBE)等のグリコールモノエーテル、ジメチルグリコール(エチレングリコールジメチルエーテル:EGDME)、ジメチルジグリコール(ジエチレングリコールジメチルエーテル:DEGDME)、ジメチルトリグリコール(トリエチレングリコールジメチルエーテル:TEGDME)、メチルエチルジグリコール(ジエチレングリコールエチルメチルエーテル:DEGEME)、ジエチルジグリコール(ジエチレングリコールジエチルエーテル:DEGDEE)、ジブチルジグリコール(ジエチレングリコールジブチルエーテル:DEGDBE)、ジメチルプロピレンジグリコール(ジプロピレングリコールジメチルエーテル:DPGDME)等のグリコールジエーテルが挙げられる。
また、上記式(2)においてR2又はR3、特にR3が、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基であるものが、特に印刷ムラ、光沢、ドットサイズが一層優れる点で好ましい。また、印刷物の乾燥性及び光沢性の観点から、前記一般式(2)におけるR1及びR3のいずれもアルキル基である、グリコールジエーテルであることが好ましい。一方、インクの濡れ広がりに優れる点で、一方が水素であり他方がアルキル基であるグリコールモノエーテルが好ましい。また印刷物の乾燥性及び印字安定性の観点から、前記一般式(2)におけるR2の炭素数が2又は3が好ましく、2であるエチレングリコール(モノ又はジ)エーテルであることが好ましい。
メタリックインク組成物は、グリコールエーテル系溶剤の1種であるアルキレングリコールエーテルエステル類を含有することも好ましい。
アルキレングリコールエーテルエステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
メタリックインク組成物は、ラクトンを含有することも好ましい。環状ラクトンを含有することにより、低吸収性記録媒体(例えば、塩化ビニル系樹脂)の一部を溶解して記録媒体の内部にインク組成物を浸透させることができる。このように記録媒体の内部にインク組成物が浸透することで、記録媒体上に記録した画像の耐擦性を向上させることができる。
なお「ラクトン」とは、環内にエステル基(-CO-O-)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α-エチルラクトン、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、ζ-エナンチオラクトン、η-カプリロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘプタラクトン、γ-ノナラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、2-ブチル-2-エチルプロピオラクトン、α,α-ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ-ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示したラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
メタリックインク組成物は、さらにその他の溶剤として上記で例示した化合物以外の、エステル類、ケトン類、アルコール類、アミド類、アルカンジオール類、ピロリドン類等の溶剤を含有してもよい。
メタリックインク組成物における有機溶剤の合計の含有量は、組成物の全質量を100.0質量%としたときに、70.0質量%以上が好ましく、80.0質量%以上がより好ましく、90.0質量%以上が更に好ましく、95.0質量%以上が特に好ましく、上限は99.5質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましい。
(界面活性剤)
メタリックインク組成物は、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させるなどの観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を含有してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン、シリコンアクリル共重合系を用いることが好ましい。具体例としては、BYK-315、315N、325、333、347、348、BYK-UV3500、3510、3530、3550、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性オリゴマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-340(ビックケミー・ジャパン社製)、メガファックF-251、430、477、552、553、554、556、557、559、562、563、565、メガファックR-40等のメガファックシリーズ(DIC株式会社製)、サーフロンS-242、243、386、420、431、611、647、651、656、658、693等のサーフロンシリーズ(AGCセイケミカル社製)、フタージェンド251、208M、212M、215M、250、209F、222F、245F、208G、218GL、240G、212P、220P、228P、710FL、FTX-218、DFX-18等のフタージェントシリーズ(ネオス社製)、等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれ
も日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA-10R、A-13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG-740W、D-90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX-100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤を含有してもよい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,4-ジメチル-5-ヘキシン-3-オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK-347、BYK-348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、メタリックインク組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を含有することもできる。
また、界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、塗布対象への濡れ性を高めたり浸透性を高めることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,4-ジメチル-5-ヘキシン-3-オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Productsand Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK-347、BYK-348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を添加することもできる。そのような界面活性剤としては、Disperbyk102(ビックケミー社製)、ディスパロンDA-325(楠本化成株式会社製)等が挙げられる。
メタリックインク組成物に界面活性剤を用いる場合、組成物中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
(樹脂)
メタリックインク組成物は、上述の金属顔料を記録媒体に定着させるための樹脂(以下、「定着樹脂」ともいう。)を含有してもよい。
定着樹脂としては、アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン-α-メチルスチレン共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂及び塩化ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これらの定着樹脂を含有することにより、記録媒体への定着性を向上でき、また耐擦性も向上する。
メタリックインク組成物中における定着樹脂の固形分含有量は、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。定着樹脂の含有量が前記範囲であると、低吸収性記録媒体に対して優れた定着性が得られる。
アクリル樹脂としては、従来公知の重合性モノマーからなる共重合体を使用することができる。重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn-ブチル、フマル酸モノn-ブチル、イタコン酸モノn-ブチル等のカルボキシ基含有モノマーの他、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、水酸基含有アリル化合物、三級アミノ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等を単独又は複数組み合わせて用いることができる。アクリル樹脂はアクリルモノマーと他のモノマーとの共重合体でもよく、例えばスチレンアクリル樹脂でもよい。好ましくはアクリルモノマーを単量体の90質量%以上用いたアクリル樹脂であり、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
上記のアクリル樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えばアクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG-1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)、UC-3000(商品名、東亞合成株式会社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、アクリルモノマーは(メタ)アクリルモノマーを含み、例えば、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の一方又は両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味するものとする。
メタリックインク組成物が、アクリル系樹脂を含有する場合、より定着性の良好な画像を形成することができる。
塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、マレイン酸、ビニルアルコール等の他のモノマーとの共重合体が挙げられるが、これらの中でも塩化ビニル及び酢酸ビニルに由来する構成単位を含む共重合体(以下、「
塩酢ビ共重合体」ともいう。)が好ましく、ガラス転移温度が60~80℃である塩酢ビ共重合体がより好ましい。
塩酢ビ共重合体は、常法によって得ることができ、例えば懸濁重合によって得ることができる。具体的には、重合器内に水と分散剤と重合開始剤を仕込み、脱気した後、塩化ビニル及び酢酸ビニルを圧入し懸濁重合を行うか、塩化ビニルの一部と酢酸ビニルを圧入して反応をスタートさせ、残りの塩化ビニルを反応中に圧入しながら懸濁重合を行うことができる。
塩酢ビ共重合体は、その構成として、塩化ビニル単位を70~90質量%含有することが好ましい。上記範囲であれば、インク組成物中に安定して溶解するため長期の保存安定性に優れる。さらには、吐出安定性に優れ、記録媒体に対して優れた定着性を得ることが
できる。
また、塩酢ビ共重合体は、塩化ビニル単位及び酢酸ビニル単位とともに必要に応じて、その他の構成単位を備えていても良く、例えばカルボン酸単位、ビニルアルコール単位、ヒドロキシアルキルアクリレート単位が挙げられ、とりわけビニルアルコール単位が好ましく挙げられる。前述の各単位に対応する単量体を用いることで得ることができる。カルボン酸単位を与える単量体の具体例としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。ヒドロキシアルキルアクリレート単位を与える単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの単量体の含有量は、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、例えば単量体全量の15質量%以下の範囲で共重合させることができる。
また、塩酢ビ共重合体は市販されているものを用いてもよく、例えば、ソルバインCN、ソルバインCNL、ソルバインC5R、ソルバインTA5R、ソルバインCL、ソルバインCLL(以上、日信化学工業株式会社製)などが挙げられる。
これらの樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、好ましくは150~1100、より好ましくは200~750である。これらの樹脂の平均重合度が上記の範囲である場合、メタリックインク組成物中に安定して溶解するため、長期の保存安定性に優れる。さらには、吐出安定性に優れ、記録媒体に対して優れた定着性を得ることができる。なお、これらの樹脂の平均重合度は、比粘度を測定し、これから算出されるものであり、「JIS K6720-2」に記載の平均重合度算出方法に準じて求めることができる。
また、これらの樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10000~50000、より好ましくは12000~42000である。なお、数平均分子量は、GPCによって測定することが可能であり、ポリスチレン換算とした相対値として求めることができる。
(その他)
メタリックインク組成物は、上記の成分の他にも、必要に応じて、キレート剤、防腐剤、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び防黴剤など、所定の性能を付与するための物質を含有してもよい。
メタリックインク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上15mPa・s以下である。メタリックインク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルからメタリックインク組成物が適量吐出され、メタリックインク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。
メタリックインク組成物は、上記した各成分を適宜の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
1.2.下地用インク組成物
下地用インク組成物は、色材を含まないクリアインク組成物であっても色材を含む着色インク組成物であってもよい。下地用インク組成物が着色インク組成物である場合には、有彩色に着色されても無彩色に着色されてもよい。さらに下地用インク組成物は、水系のインク組成物であってもよいし溶剤系のインク組成物であってもよく、形成する画像やメタリックインク組成物に応じて適宜設計できる。
下地用インク組成物は、色材、水、有機溶剤、界面活性剤、樹脂、その他の成分を含有してもよい。
(1)色材
下地用インク組成物に色材を含有させる場合、インクセットにより形成される画像を着色メタリック画像として着色することができる。色材としては、有彩色や、白から灰色を経て黒に至る系列の色(無彩色)の色材などが挙げられ、本明細書ではいずれの色材も「着色色材」と称する場合がある。
着色色材としては、顔料、染料のいずれも用いることができるが、耐光性、耐候性、耐ガス性等の保存安定性の観点から顔料であることが好ましい。下地用インク組成物としては、例えばプロセスカラーインクと呼ばれるシアンインク、イエローインク、マゼンタインク、ブラックインクや、特色インク等と呼ばれるホワイトインク、オレンジインク、グリーンインク、レッドインク、ブルーインク等、さらにはライトインク等と呼ばれる色材濃度の低いインクの態様を例示できる。なお、下地用インク組成物に色材を含有させない場合には、下地用インク組成物は、クリアインクとなる。
着色顔料としては、白色顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。
着色顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、129、138、139、150、153、154,155、180、185、213、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、C.I.ピグメントヴァイオレット19、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できる。なお、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても使用できる。また上記顔料は1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
下地用インク組成物において、着色色材として顔料を使用する場合には、該顔料を分散するための分散剤を含有するものが好ましい。分散剤は、この種の顔料インクに使用可能であるものを特に制限なく用いることができ、例えば、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤や界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン性分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
分散剤としての界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等のノニオン性界面活性剤、が挙げられる。特に、顔料の分散安定性を高める観点から、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。
色材として染料を用いてもよく、そのような染料としては、水溶解系として酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料、水分散系として分散染料、油溶染料、昇華型染料等を挙げることができる。
上記例示した色材は、好適な色材の例であり、これらによって本発明が限定されるものではない。これらの色材は一種又は二種以上を用いてよいし、顔料と染料とを併用しても構わない。
下地用インク組成物は、白色顔料を含有する白色インク組成物又は色材を含有しないクリアインク組成物とすることがより好ましい。下地用インク組成物が白色インク組成物又はクリアインク組成物であると、より明度の高い金属光沢画像を得られることがある。
下地用インク組成物に色材を用いる場合の色材の含有量は、適宜調整することができるが、好ましくは0.10質量%以上20.0質量%以下であり、より好ましくは0.20質量%以上15.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下である。さらには1.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
(2)水
下地用インク組成物は、水系インクであっても、溶剤系インクであっても水を含有してもよい。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
(3)有機溶剤
下地用インク組成物は、有機溶剤を含有してもよい。下地用インク組成物を、溶剤系インク組成物とする場合には、水の含有量は1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、水を含有しないことが殊更好ましい。下地用インク組成物に用い得る有機溶剤は、上述のメタリックインク組成物の項の「(有機溶剤)」で述べたと同様であり、同項の「メタリックインク組成物」を「下地用インク組成物」と読み替えることにより説明される。
(4)界面活性剤
下地用インク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。下地用インク組成物に用い得る界面活性剤は、上述のメタリックインク組成物の項の「(界面活性剤)」で述べたと同様であり、同項の「メタリックインク組成物」を「下地用インク組成物」と読み替えることにより説明される。
(5)樹脂
下地用インク組成物は、樹脂を含有してもよい。下地用インク組成物に用い得る樹脂は、上述のメタリックインク組成物の項の「(樹脂)」で述べたと同様であり、同項の「メタリックインク組成物」を「下地用インク組成物」と読み替えることにより説明される。
(6)その他の成分
下地用インク組成物は、上述のメタリックインク組成物の項の「(その他の成分)」で例示した成分を含有してもよい。その成分は、「(その他の成分)」で述べたと同様であるので、同項の「メタリックインク組成物」を「下地用インク組成物」と読み替えることにより説明される。
下地用インク組成物は、上記した各成分を適宜の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。
下地用インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上15mPa・s以下である。メタリックインク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルからメタリックインク組成物が適量吐出され、メタリックインク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。
1.3.表面張力の関係
本実施形態のインクセットでは、メタリックインク組成物の表面張力が、下地用インク組成物の表面張力より低く設定されている。したがって、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物が濡れ広がりやすくなっている。これによりメタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングが生じやすく、金属顔料の粒子の金属光沢面が記録媒体の表面に沿うように定着しやすい。その結果、金属光沢感に優れた画像が形成される。
インクセットにおいて、メタリックインク組成物の下地用インク組成物上での濡れ広がりをさらに良好とする点で、メタリックインク組成物の表面張力は、下地用インク組成物の表面張力よりも0.5mN/m以上低いことがより好ましく、1.0mN/m以上低いことがさらに好ましく、2.0mN/m以上低いことがさらに好ましい。メタリックインク組成物の下地用インク組成物上での濡れ広がりが過剰とならないようにする点では、メタリックインク組成物の表面張力と下地用インク組成物の表面張力との差は、15.0mN/m以下が好ましく、10.0mN/m以下がより好ましく、5.0mN/m以下がさらに好ましい。
メタリックインク組成物及び下地用インク組成物の表面張力は、界面活性剤、溶媒等の成分の種類、含有量により調節することができる。なお、メタリックインク組成物及び下地用インク組成物の表面張力は、いずれも15.0mN/m以上35.0mN/m以下とすることが好ましく、20.0mN/m以上30.0mN/m以下とすることがより好ましく、22.0mN/m以上28.0mN/m以下とすることがさらに好ましい。
1.4.その他のインク組成物
本実施形態のインクセットは、表面張力の関係を満たす上記のメタリックインク組成物及び下地用インク組成物を含む限り、その他のインク組成物を含んでもよい。インクセットは、例えば、表面張力とは無関係に、上述の下地用インク組成物をさらに含んでもよい。
1.5.インクセットの用途等
本実施形態のインクセットは、メタリックインク組成物及び下地用インク組成物をインクジェットインクとし、インクジェット記録方法に用いられてもよい。これにより、より簡便に高精細な金属光沢画像を得ることができる。
また、本実施形態のインクセットにおいて、メタリックインク組成物及び下地用インク組成物の両方を溶剤系インクとしてもよい。このようにすることで、両者の表面張力の関係を
1.6.作用効果
本実施形態のインクセットは、メタリックインク組成物の表面張力が、下地用インク組成物の表面張力より低く設定されている。したがって、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物が濡れ広がりやすくなっている。これによりメタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングが生じやすく、金属顔料の粒子の金属光沢面が記録媒体の表面に沿うように定着しやすい。その結果、金属光沢感に優れた画像が形成される。
一般に、メタリックインク組成物が濡れ広がると、金属光沢画像と空気との接触面積が増大する。本実施形態のインクセットのメタリックインク組成物に含まれる金属顔料は、表面処理が施されているので、画像の金属光沢が良好なままで維持されやすい。したがって本実施形態のインクセットによれば、良好な金属光沢を長期間維持できる画像を得ることができる。
2.記録方法
本実施形態に係る記録方法は、上述のインクセットを用いた記録方法であって、記録媒体に下地用インク組成物を付着させる工程と、付着させた下地用インク組成物に、メタリックインク組成物を付着させる工程と、を含む。
この記録方法によれば、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物が濡れ広がりやすく、メタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングが生じやすい。そのうえ金属顔料の表面が処理されているので、金属光沢が良好に維持されやすい。これにより、良好な光沢を長期間維持できる画像を得ることができる。
2.1.記録媒体
本実施形態の記録方法で用いる記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙、光沢紙)、ガラス、塩ビ等のプラスチックフィルム、基材にプラスチックや受容層をコーティングしたフィルム、金属、プリント配線基板等の種々の記録媒体を用いることができる。記録媒体がインク受容層を有している場合は、熱ダメージを与えにくいという観点から、記録媒体を非加熱で印刷することが好ましい。一方、記録媒体がインク受容層を有していない場合は、乾燥速度を高め、高光沢が得られるという観点から、記録媒体を加熱して記録を行うことが好ましい。
2.2.下地用インク付着工程
記録媒体に下地用インク組成物を付着させる。下地用インク組成物を記録媒体に付着させる方法としては、インクジェット法、塗布による方法、各種のスプレーを用いて記録媒体に塗布する方法、下地用インク組成物に記録媒体を浸漬させて塗布する方法、下地用インク組成物を刷毛等により記録媒体に塗布する方法等の非接触式及び接触式のいずれか又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
下地用インク組成物が、インクジェット法によって記録媒体に付着される場合、所定の画像を効率的に記録媒体に形成することが容易である。また、このようにすれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。
2.3.メタリックインク付着工程
メタリックインク付着工程は、記録媒体に付着させた下地用インク組成物に、メタリックインク組成物を付着させる。メタリックインク組成物を付着させる方法としては、インクジェット法、塗布による方法、各種のスプレーを用いて記録媒体に塗布する方法、メタリックインク組成物に記録媒体を浸漬させて塗布する方法、メタリックインク組成物を刷毛等により記録媒体に塗布する方法等の非接触式及び接触式のいずれか又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
メタリックインク組成物が、インクジェット法によって記録媒体に付着される場合、所定の画像を効率的に記録媒体に形成することが容易である。また、このようにすれば、小型の装置で少量多種類の印刷を効率よく行うことができる。
2.4.工程の順序等
下地用インク付着工程は、メタリックインク付着工程よりも先に行われる。本実施形態のインクセットでは、上述の通り、メタリックインク組成物の表面張力が下地用インク組成物の表面張力よりも小さい。そのため、下地用インク組成物を記録媒体の特定の領域に付着させた後に、その領域にメタリックインク組成物を付着させた場合に、メタリックインク組成物の濡れ広がりが良好となる。これにより、金属光沢に優れた画像を形成することができる。また、上述のように、金属顔料の表面が処理されているので、金属光沢が良好に維持されやすい。これにより、良好な光沢を長期間維持できる画像を得ることができる。
各工程をインクジェット法により行う場合は、プリンターのインクジェットヘッドから、記録媒体に対してインク組成物のインク滴(液滴)を付着させる。このとき、インク滴を、所定のタイミングで間欠的に、かつ所定の質量で吐出させることにより、記録媒体にインク滴を付着させ、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが形成(記録)される。
インクジェット法によるインク組成物の付着は、シリアル型のインクジェットヘッドを搭載したシリアル型記録装置によっても、ライン型のインクジェットヘッドを搭載したライン型の記録装置によっても行うことができる。
2.5.その他の工程
本実施形態の記録方法は、上述のメタリックインク付着工程、着色インク付着工程の他に、加熱した記録媒体にインクを付着させる一次乾燥工程、インクの付着後に記録媒体を加熱する二次乾燥工程、ラミネート工程等を備えてもよく、これらの工程は複数回行われてもよい。
2.6.記録装置
図1は、本発明の記録方法に用いることができるインクジェット記録装置の一例の構成を示す模式断面図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド2と、IRヒーター3と、プラテン及びプラテンヒーター4と、加熱ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、送風ファン8とを備える。インクジェット記録装置1は、図示しない制御部CONTにより、インクジェット記録装置1における全体の動作が制御される。図1の記録装置の例は、ラインプリンターの例であり、搬送方向Xに記録媒体10が搬送されながら、インクジェットヘッド2からインクを吐出して記録が行われる。プラテンヒーター4、プレヒーター7、送風ファン8、IRヒーター3などにより一次乾燥が行われ、加熱ヒーター5により二次乾燥が行われる。
3.実施例及び比較例
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。なお評価は、特に断りが無い場合は、温度25.0℃、相対湿度40.0%の環境下で行った。
3.1.下地用インク組成物の製造
表1に記載の配合となるように、各成分を混合して、各例で用いる下地用インク組成物を調製した。
3.2.金属顔料懸濁液の作成
厚さ20μmのPET基材上に、アセトンに可溶化させた樹脂をロールコーターを用いてコーティングした。コーティング後、5m/sの速度でアルミニウム真空蒸着機に搬送し、4×10-3kPaの圧力下、厚さ20nmのアルミニウム層を樹脂/PET基材上に形成した。作製したアルミニウム/樹脂/PET基材をアセトン槽内に浸漬し、40kHzの超音波を照射し、アルミニウム顔料をPET基材から剥離した。次いで、遠心分離機にてアセトンを除去後、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)を適当量添加し粉砕加工を施しアルミニウム顔料濃度5質量%のアルミニウム顔料懸濁液を得た。
粉砕加工後に、得られたアルミニウム顔料懸濁液に、表2に示したリン系化合物を、アルミニウム100部に対し6部添加し、28kHz超音波照射下にて55℃3時間熱処理することで顔料表面にリン系化合物を反応させ、リーフィング能力の高いアルミニウム顔料分散液を得た。なお、アルミニウム顔料は、体積平均粒子径D50が0.5μmであり、平板状粒子として厚さが19nmであった。
3.3.メタリックインク組成物の製造
表2に記載の配合となるように、各成分を混合して、各例で用いるメタリックインク組成物を調製した。
表1及び表2中の略称は以下の通りである。
・TiO2=50%:固形分50質量%の二酸化チタン顔料(白色顔料)懸濁液
・パラロイドB60:ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂
・DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
・MEDG:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
・γBL:γ-ブチロラクトン
・BYK-350:ビックケミー株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・ディスパロンUVX-35:楠本化成株式会社製、アニオン系界面活性剤(アクリル系)
・BYK-315N:ビックケミー株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・BYK-325:ビックケミー株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・BYK-333:ビックケミー株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・メガファックR-40:DIC株式会社製、フッ素系界面活性剤
・AL=5%:固形分を50質量%に調整したアルミニウム顔料懸濁液
・JP512:城北化学工業社製、アルキル(C12,C14,C16,C18)アシッドホスフェート
・JP518S:城北化学工業社製、ステアリルリン酸
・FHP:ユニマテック株式会社製、2-(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸
・BTGH:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・BYK-3550:ビックケミー株式会社製、シリコーン系界面活性剤
また、表1、表2には、各組成物の表面張力を記載した。
3.4.評価試験
記録試験:記録試験機:SC-S606850(セイコーエプソン株式会社製 プリンターの改造機を用いた。ノズル列のノズル密度は360dpi、360個のノズルとした。
インク付着量:下地用インク組成物は、付着量3.0mg/inch2とし、記録解像度は1440×1440dpiとした。メタリックインク組成物も、付着量3.0mg/inch2とし、メタリックインク層に重ねて記録した。
インク付着中にはプラテンヒーターにより、記録媒体の表面温度を45℃とし、アフターヒーターによる加熱では記録媒体の温度を50℃とした。
記録媒体:塩化ビニルフィルムを用いた。
なお、表3には、各例で用いた下地用インク組成物及びメタリックインク組成物を記載し、各々の表面張力及びその差(表面張力差)「下地用インク組成物-メタリックインク組成物」を記載した。
3.5.初期光沢
初期の光沢:記録物の画質評価(60°光沢)
光沢の測定:光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、測定値を以下の基準で評価して結果を表3に記載した。
A:450超
B:430以上450以下
C:400以上430以下
D:350以上400以下
E:350未満
3.6.耐久試験後の光沢
耐久性試験後の光沢:初期の光沢を測定した記録物を耐久性試験に供した。
耐久試験条件:50℃80%RHの高温高湿槽に1週間放置し、その後の光沢を上記光沢の測定と同様にして測定した。測定値を初期からの光沢の低下により、以下の基準で評価して結果を表3に記載した。
A:低下が10以下
B:低下が10超20以下
C:低下が20超50以下
D:低下が50超70以下
E:低下が70超
3.7.評価結果
表1~表3から明らかなように、メタリックインク組成物の表面張力が、下地用インク組成物の表面張力より低く、金属顔料が、表面が処理された金属粒子である各実施例のインクセットを用いた記録では、良好な金属光沢及びその耐久性の良好な画像が得られた。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
インクセットは、
金属顔料を含有するメタリックインク組成物と、下地用インク組成物とを含むインクセットであって、
前記メタリックインク組成物の表面張力が、前記下地用インク組成物の表面張力より低く、
前記金属顔料が、表面が処理された金属粒子である。
このインクセットによれば、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物が濡れ広がりやすく、メタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングが生じやすい。そのうえ金属顔料の表面が処理されているので、金属光沢が良好に維持されやすい。これにより、良好な光沢を長期間維持できる画像を得ることができる。
上記インクセットにおいて、
前記メタリックインク組成物の表面張力が、前記下地用インク組成物の表面張力よりも0.5mN/m以上低くてもよい。
このインクセットによれば、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物がさらに濡れ広がりやすく、メタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングがより生じやすい。
上記インクセットにおいて、
前記下地用インク組成物が、白色インク組成物又はクリアインク組成物であってもよい。
上記インクセットにおいて、
前記金属顔料の粒子が、表面処理剤としてリン系化合物又はケイ素化合物により表面が処理されていてもよい。
このインクセットによれば、金属光沢をより良好に維持することができる。
上記インクセットにおいて、
前記金属顔料の粒子が鱗片状であってもよい。
このインクセットによれば、さらに金属光沢の強い画像を形成することができる。
上記インクセットにおいて、
前記金属顔料の粒子の平均厚さが5.0nm以上90.0nm以下であってもよい。
上記インクセットにおいて、
前記金属顔料の粒子が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなってもよい。
このインクセットによれば、メタリック感により優れた画像を得ることができる。
上記インクセットにおいて、
前記金属顔料の粒子の体積平均粒子径D50が、0.2μm以上1.0μm以下であってもよい。
このインクセットによれば、メタリック感により優れた画像を得ることができる。
上記インクセットにおいて、
前記メタリックインク組成物がインクジェットインクであってもよい。
このインクセットによれば、より簡便に高精細な金属光沢画像を得ることができる。
上記インクセットにおいて、
前記メタリックインク組成物と前記下地用インク組成物が、それぞれ溶剤系インクであってもよい。
記録方法は、上記のいずれかのインクセットを用いた記録方法であって、
記録媒体に前記下地用インク組成物を付着させる工程と、
付着させた下地用インク組成物に、前記メタリックインク組成物を付着させる工程と、を含む。
この記録方法によれば、下地用インク組成物の上でメタリックインク組成物が濡れ広がりやすく、メタリックインク組成物に含まれる金属顔料のリーフィングが生じやすい。そのうえ金属顔料の表面が処理されているので、金属光沢が良好に維持されやすい。これにより、良好な光沢を長期間維持できる画像を得ることができる。