以下、図面を参照して本開示に係る流量センサの実施形態を説明する。
図1は、本開示に係る流量センサの実施形態を示す内燃機関の制御システム1の概略図である。内燃機関の制御システム1は、たとえば、内燃機関10と、物理量検出装置100と、スロットルバルブ25と、スロットル角度センサ26と、アイドルエアコントロールバルブ27と、酸素センサ28と、制御装置4とを備えている。
詳細については後述するが、本実施形態の流量センサ150(図4参照)は、たとえば、内燃機関の制御システム1に使用される物理量検出装置100の一部を構成している。物理量検出装置100は、たとえば、主通路22である吸気ボディの通路壁に設けられた取り付け孔から主通路22の内部に挿入され、主通路22の通路壁に固定された状態で使用される。
物理量検出装置100は、エアクリーナ21を通して取り込まれて主通路22を流れる被計測気体2である吸入空気の物理量を検出して制御装置4へ出力する。物理量検出装置100は、主通路22の通路壁から主通路22を流れる被計測気体2の主流れ方向に沿う主通路22の中心線22aへ向けて主通路22の径方向に突出している。すなわち、主通路22における物理量検出装置100の突出方向は、たとえば、主通路22の中心線22aに直交する方向である。
以下の各図では、図1に示す主通路22における物理量検出装置100の突出方向に平行なX軸、主通路22の中心線22aに平行なY軸、および物理量検出装置100の厚さ方向に平行なZ軸からなる3次元直交座標系を示す。なお、以下の説明では、主通路22の中心線22a(Y軸)に沿って被計測気体2が流れるものとする。
スロットルバルブ25は、たとえば、被計測気体2の流れ方向において、吸気マニホールド24の上流側に配置されたスロットルボディ23に内蔵されている。制御装置4は、たとえば、アクセルペダルの操作量に基づいてスロットルバルブ25の開度を変化させ、内燃機関10のシリンダ11内の燃焼室へ流入する被計測気体2としての吸入空気の流量を制御する。スロットル角度センサ26は、スロットルバルブ25の開度を計測して制御装置4へ出力する。アイドルエアコントロールバルブ27は、スロットルバルブ25をバイパスする空気量を制御する。
内燃機関10は、たとえば、シリンダ11と、ピストン12と、点火プラグ13と、燃料噴射弁14と、吸気弁15と、排気弁16と、回転角度センサ17と、を備えている。内燃機関10のピストン12の動作に基づいてエアクリーナ21を通して取り込まれた吸入空気は、主通路22を流れ、スロットルボディ23においてスロットルバルブ25により流量が制御される。スロットルボディ23を通過した吸入空気は、吸気マニホールド24を通過し、さらに吸気ポートに設けられた燃料噴射弁14を通過して、吸気弁15を介してシリンダ11内の燃焼室へ流入する。
制御装置4は、物理量検出装置100から入力された被計測気体2としての吸入空気の物理量に基づいて燃料噴射弁14を制御して、吸入空気へ燃料を噴射させる。これにより、吸気マニホールド24を通過した吸入空気は、燃料噴射弁14から噴射された燃料と混合され、混合気の状態で燃焼室へ導かれる。制御装置4は、点火プラグ13の火花着火により燃焼室内の混合気を爆発的に燃焼させ、内燃機関10に機械エネルギを発生させる。
回転角度センサ17は、ピストン12、吸気弁15、および排気弁16の位置や状態、さらに内燃機関10の回転速度に関する情報を検出して制御装置4へ出力する。燃焼により発生したガスは、シリンダ11の燃焼室から排気弁16を介して排気管へ排出され、排気ガス3として排気管から車外へ排出される。酸素センサ28は、排気管に設けられ、排気管を流れる排気ガス3の酸素濃度を計測して制御装置4へ出力する。
制御装置4は、物理量検出装置100によって検出された主通路22を流れる被計測気体2としての吸入空気の物理量、たとえば、流量、温度、湿度、圧力などに基づいて、内燃機関の制御システム1の各部を制御する。具体的には、制御装置4がアクセルペダルの操作量に基づいてスロットルバルブ25の開度を制御すると、主通路22を流れる被計測気体2としての吸入空気の流量が変化する。制御装置4は、たとえば、物理量検出装置100によって検出された被計測気体2の流量に基づいて、燃料噴射弁14から噴射する燃料の供給量を制御する。これにより、内燃機関10が発生する機械エネルギが制御される。
制御装置4は、物理量検出装置100の出力である吸入空気の物理量と、回転角度センサ17の出力に基づいて計測された内燃機関10の回転速度とに基づいて、燃料噴射量や点火時期を演算する。これらの演算結果に基づいて、制御装置4は、燃料噴射弁14による燃料噴射量や、点火プラグ13の点火時期を制御する。制御装置4は、実際には、さらに被計測気体2の温度、スロットルバルブ25の開度の変化状態、内燃機関10の回転速度の変化状態、排気ガス3の空燃比の状態に基づいて、燃料供給量や点火時期をきめ細かく制御している。
制御装置4は、さらに内燃機関10のアイドル運転状態において、スロットルバルブ25をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ27により制御し、アイドル運転状態での内燃機関10の回転速度を制御する。内燃機関10の主要な制御量である燃料供給量や点火時期は、いずれも物理量検出装置100の出力を主パラメータとして演算される。したがって、物理量検出装置100の測定精度の向上や、経時変化の抑制、信頼性の向上が、車両の制御精度の向上や信頼性の確保に関して重要である。
特に近年、車両の省燃費に関する要望が非常に高く、また排気ガス浄化に関する要望が非常に高い。これらの要望に応えるには、物理量検出装置100により検出される吸入空気の物理量の検出精度の向上が極めて重要である。また、物理量検出装置100が高い信頼性を維持していることも大切である。物理量検出装置100が搭載される車両は、温度や湿度の変化が大きい環境で使用される。物理量検出装置100は、その使用環境における温度や湿度の変化への対応や、塵埃や汚染物質などへの対応も、考慮されていることが望ましい。
また、物理量検出装置100は、内燃機関10からの発熱の影響を受ける吸気管に装着される。このため、内燃機関10の発熱が吸気管を介して物理量検出装置100に伝わる。物理量検出装置100は、被計測気体2と熱伝達を行うことにより被計測気体2の流量を検出するので、外部からの熱の影響をできるだけ抑制することが重要である。
以下、図2から図7を参照して、本実施形態の物理量検出装置100について、より詳細に説明する。図2から図4は、それぞれ、図1の内燃機関の制御システム1に用いられる物理量検出装置100の正面図、右側面図、および、カバー120を取り外した状態の背面図である。物理量検出装置100は、たとえば、ハウジング110とカバー120とを備えている。
ハウジング110は、たとえば、合成樹脂材料を射出成型することによって製造される。カバー120は、たとえば、金属や合成樹脂を素材とする板状の部材である。カバー120は、たとえば、合成樹脂材料の成形品を使用することができる。ハウジング110とカバー120は、主通路22内に配置される物理量検出装置100の筐体を構成する。ハウジング110は、たとえば、フランジ111と、コネクタ112と、計測部113とを有している。
フランジ111は、物理量検出装置100を突出方向(X軸方向)に見た平面視で、おおむね矩形の板状の形状を有し、対角線上の角部に一対の固定部111aを有している。固定部111aは、中央部にフランジ111を貫通して、固定ねじを挿通させる円筒状の貫通孔を有している。物理量検出装置100を主通路22に固定するには、主通路22に設けられた取り付け孔に計測部113を挿入する。そして、フランジ111の貫通孔に挿通させた固定ねじを主通路22のねじ穴にねじ込んで締結し、フランジ111を主通路22の通路壁に固定する。これにより、物理量検出装置100が吸気ボディである主通路22に固定され、ハウジング110が主通路22に設定される。
コネクタ112は、フランジ111から突出し、吸気ボディである主通路22の外部に配置され、外部機器に接続される。図3に示すように、コネクタ112の内部には、複数の外部端子112aと補正用端子112bが設けられている。外部端子112aは、たとえば、物理量検出装置100の計測結果である流量や温度などの物理量の出力端子と、物理量検出装置100を動作させる直流電力を供給するための電源端子とを含む。
補正用端子112bは、物理量検出装置100の製造後に物理量の計測を行い、それぞれの物理量検出装置100に対する補正値を求め、物理量検出装置100の内部のメモリに補正値を記憶するのに使用する。その後の物理量検出装置100による物理量の計測では、上記メモリに記憶された補正値に基づく補正データが使用され、補正用端子112bは使用されない。
計測部113は、主通路22の通路壁に固定されるフランジ111から主通路22の中心線22aに向けて、中心線22aに直交する主通路22の径方向に突出するように延びている。計測部113は、おおむね直方体形状の扁平な角形の形状を有している。計測部113は、主通路22における計測部113の突出方向(X軸方向)に長さを有し、主通路22における被計測気体2の主流れ方向(Y軸方向)に幅を有している。また、計測部113は、突出方向(X軸方向)および被計測気体2の主流れ方向(Y軸方向)に直交する方向(Z軸方向)に厚さを有している。このように、計測部113が被計測気体2の主流れ方向に沿う扁平な形状を有することで、被計測気体2に対する流体抵抗を低減することができる。
計測部113は、正面113a、背面113b、上流側の側面113c、下流側の側面113d、および下面113eを有している。正面113aと背面113bは、計測部113の他の面よりも面積が大きく、計測部113の突出方向(X軸方向)および主通路22の中心線22a(Y軸方向)におおむね平行である。上流側の側面113cと下流側の側面113dは、正面113aと背面113bよりも面積が小さい細長い形状を有し、主通路22の中心線22a(Y軸方向)におおむね直交している。下面113eは、計測部113の他の面よりも面積が小さく、主通路22の中心線22a(Y軸方向)におおむね平行で計測部113の突出方向(X軸方向)におおむね直交している。
計測部113は、上流側の側面113cに副通路入口114を有し、下流側の側面113dに第1出口115および第2出口116を有している。副通路入口114、第1出口115、および、第2出口116は、計測部113の突出方向(X軸方向)における中央よりも先端側の計測部113の先端部に設けられている。これにより、主通路22の内壁面から離れた主通路22の中央部付近の被計測気体2を副通路入口114から取り込むことができる。そのため、物理量検出装置100は、内燃機関10の熱の影響による計測精度の低下を抑制できる。
ハウジング110は、図4に示すように、計測部113の背面113b側に、凹状の副通路溝117と、凹状の回路室118とを有している。回路室118は、回路基板140を収容している。副通路溝117は、開口部がカバー120によって閉鎖されることで、カバー120とともに副通路130を形成する。副通路130は、主通路22を流れる被計測気体2の一部を取り込んで迂回させる。主通路22を流れる被計測気体2の一部は、たとえば、計測部113の上流側の側面113cに開口する副通路入口114から副通路130に取り込まれる。
副通路溝117は、たとえば、第1副通路溝117aと、第2副通路溝117bとを有している。第1副通路溝117aは、計測部113の上流側の側面113cに開口する副通路入口114から、計測部113の下流側の側面113dに開口する第1出口115まで、主通路22の中心線22a(Y軸方向)に沿って延びている。第1副通路溝117aは、たとえば、図3に示すように、カバー120との間に第1副通路131を形成する。第1副通路131は、副通路入口114から取り込んだ被計測気体2を、第1出口115から主通路22へ戻す。
第2副通路溝117bは、図4に示すように、第1副通路溝117aの途中から分岐して、計測部113の突出方向(X軸方向)に沿ってフランジ111へ向けて延びている。さらに、第2副通路溝117bは、反対方向へ折り返すようにU字状にカーブして計測部113の突出方向(X軸方向)に沿って計測部113の先端部へ向けて延びている。
第2副通路溝117bは、計測部113の先端部で主通路22の中心線22a(Y軸方向)に沿う方向へカーブして、計測部113の下流側の側面113dに開口する第2出口116に接続されている。第2副通路溝117bは、たとえば、図3に示すように、開口部がカバー120によって閉鎖されることで、カバー120との間に第2副通路132を形成する。副通路130は、第1副通路131と第2副通路132とを含む。
回路室118は、ハウジング110の計測部113の背面113b側で、フランジ111に接続された計測部113の基端側に凹状に設けられ、回路基板140を収容している。回路室118は、副通路溝117の第1副通路溝117aよりも計測部113の基端側で、主通路22を流れる被計測気体2の主流れ方向(Y軸方向)における第2副通路溝117bの上流側に隣接して設けられている。
図5は、図4の物理量検出装置100の回路基板140の正面図である。回路基板140には、たとえば、流量センサ150と、温度センサ160と、圧力センサ170と、湿度センサ180とが実装されている。
温度センサ160は、たとえば、たとえば、回路基板140に実装されたチップ型の温度センサである。温度センサ160は、たとえば、図5に示すように、計測部113の突出方向(X軸方向)において計測部113の先端へ向けて延びる回路基板140の延出部140cの先端部に配置されている。温度センサ160は、図2および図4に示す計測部113の温度計測通路190に配置され、主通路22から温度計測通路190に取り込まれた被計測気体2の温度を測定する。
圧力センサ170は、たとえば、図4および図5に示すように、回路基板140の表面に実装されて回路室118内に配置されている。回路室118は、フランジ111の近傍でU字状にカーブする第2副通路溝117bの折り返し部、すなわち第2副通路132の折り返し部に連通している。これにより、副通路130に取り込まれた被計測気体2の圧力を、回路室118に配置された圧力センサ170によって測定することが可能になる。
湿度センサ180は、たとえば、図4および図5に示すように、回路基板140の表面に実装され、回路室118よりも計測部113の先端側の区画された領域に配置されている。この区画された領域は、たとえば、副通路130の第2副通路132に連通している。これにより、湿度センサ180は、副通路130に取り込まれた被計測気体2の湿度を検出する。
図6は、図5のVI-VI線に沿う回路基板140と流量センサ150の断面図である。流量センサ150は、たとえば、回路基板140の表面に実装されるチップパッケージである。流量センサ150は、第1樹脂部150aと、第2樹脂部150bと、を有している。
第1樹脂部150aおよび第2樹脂部150bは、たとえば、熱硬化性樹脂のトランスファーモールドによって一体に成形された樹脂封止部である。図4に示すように、第1樹脂部150aは、ハウジング110に副通路を形成する第2副通路溝117bに配置され、第2樹脂部150bは、ハウジング110の回路室118に配置される。
流量センサ150は、図6に示すように、流量検出部151を有している。流量検出部151は、第1樹脂部150aに設けられ、副通路130を流れる被計測気体2の流量を検出する。流量センサ150は、たとえば、熱式流量センサであり、流量検出部151は、空洞部151bを有する半導体基板151aと、その半導体基板151aの空洞部151bに隣接して設けられた薄膜構造体151dと、を有している。
半導体基板151aは、たとえば、単結晶シリコン基板である。空洞部151bおよび薄膜構造体151dは、たとえば、半導体製造技術によって次のように製作することができる。まず、単結晶シリコン基板の上に、電気絶縁層としての二酸化シリコン層を熱酸化または化学蒸着(CVD)等によって形成する。さらにその上にCVD等によって多結晶シリコン層を形成し、さらにリン(P)などの不純物をドーピングして所望の抵抗値の多結晶シリコン層を得る。
その後、半導体基板151aの表面に形成された電気絶縁層の上の多結晶シリコン層をパターニングする。これにより、後述するヒータ素子および一対の測温素子、これらの素子にそれぞれ接続されるヒータ配線および測温配線、ヒータ測温素子、ならびに、基準温度測温素子および一対の抵抗素子などを、電気絶縁層の上に形成することができる。
なお、上記の素子や配線は、たとえば、電気絶縁層の上に白金(Pt)やモリブデン(Mo)等の金属層をCVD等によって形成してパターニングすることで製作してもよい。次に、上述の素子や配線が形成された電気絶縁層の上に、保護層としての窒化シリコン層や二酸化シリコン層をCVD等によって形成する。その後、保護層をパターニングして、電極パッドを形成する部分の保護層を取り除く。
次に、CVD等によって金属層を形成してパターンニングすることで、電極パッドや、後述する放熱パターンなどを形成する。そして、半導体基板151aに空洞部151bを形成するために、半導体基板151aの電気絶縁層や素子などを形成していない面にCVD等によりマスクとなる窒化シリコン層を形成してパターニングする。その後、異方性エッチングによって半導体基板151aに空洞部151bを形成する。
このように、半導体基板151aを空洞化することで、半導体基板151aの上に形成された電気絶縁層および保護層の素子や配線を含む領域は、空洞部151bに隣接し、半導体基板151aから熱的に絶縁された薄膜構造体151dとなる。最後に、半導体基板151aをダイシングして複数の流量検出部151に分割する。各々の流量検出部151は、たとえば、長辺が5mm、短辺が2.5mm程度の長方形の板状である。
図7は、図6の流量センサ150の流量検出部151の平面図である。図7は、図6に示す回路基板140の厚さ方向(Z軸方向)において、半導体基板151aの薄膜構造体151dを、空洞部151bの反対側から見た平面図である。なお、図7では、半導体基板151aの表面に形成された電気絶縁層151cの上の素子や配線を覆う保護層の図示を省略している。
前述のように、流量検出部151は、空洞部151bを有する半導体基板151aと、その半導体基板151aの空洞部151bに隣接して設けられた薄膜構造体151dと、を有している。また、流量検出部151は、薄膜構造体151dに設けられたヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fと、を有している。ヒータ素子151eは、たとえば、被計測気体2の流れ方向(X軸方向)に沿う薄膜構造体151dの長さ方向Dl、および、その長さ方向Dlに直交する薄膜構造体151dの幅方向Dwにおける中央部に設けられている。
ヒータ素子151eは、一対のヒータ配線151hに接続されている。ヒータ素子151eは、ヒータ配線151hを介して電力が供給されることで発熱し、薄膜構造体151dに沿って流れる被計測気体2を加熱する。また、ヒータ素子151eが発熱することで、薄膜構造体151dに温度分布が生じる。ヒータ素子151eおよびヒータ配線151hの材料は、たとえば、熱伝導率が約142[W/mK]程度のモリブデン(Mo)である。
一対の測温素子151fは、被計測気体2の流れ方向(X軸方向)に沿う薄膜構造体151dの長さ方向Dlにおいて、ヒータ素子151eの両側に配置されている。すなわち、薄膜構造体151dの長さ方向Dlにおいて、一対の測温素子151fの間にヒータ素子151eが配置されている。各々のヒータ素子151eは、たとえば、互いに並行して延び、繰り返し屈曲して蛇行する2本の抵抗線を有している。各々の測温素子151fは、各々の抵抗線の一端と他端に、それぞれ、測温配線151iが接続されている。
一対の測温素子151fは、被計測気体2の流れ方向(X軸方向)におけるヒータ素子151eの上流側と下流側に生じる温度差を検出する。このヒータ素子151eの上流側と下流側の温度差は、ヒータ素子151eによって加熱された被計測気体2が、薄膜構造体151dの長さ方向Dlに沿って流れることによって生じる。測温素子151fおよび測温配線151iの材料は、たとえば、ヒータ素子151eと同様にモリブデン(Mo)等の金属である。
また、流量検出部151は、薄膜構造体151dにおいて、ヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fと電気的に絶縁させて設けられた金属製の放熱パターン151gを有している。より具体的には、本実施形態では、薄膜構造体151dの長さ方向Dlに直交する幅方向Dwにおいて、一対の測温素子151fの両側に、二対の放熱パターン151gが配置されている。
これらの4つの放熱パターン151gは、たとえば、ヒータ素子151e、測温素子151f、ヒータ配線151h、および測温配線151iを含む周囲の素子や配線との間に間隔を有し、これら周囲の素子や配線に対して電気的に絶縁されている。なお、各々の放熱パターン151gは、グランド配線またはグランドパターンに接続されていてもよい。
また、各々の放熱パターン151gは、たとえば、三角形の形状を有し、薄膜構造体151dの幅方向Dwにおける寸法が、薄膜構造体151dの長さ方向Dlにおいてヒータ素子151eから遠ざかるほど減少している。また、放熱パターン151g、ヒータ素子151e、および一対の測温素子151fは、たとえば、モリブデン(Mo)等の同一の金属材料によって形成されている。
また、流量検出部151は、たとえば、ヒータ測温素子151jと、基準温度測温素子151mと、一対の抵抗素子151nとをさらに有している。ヒータ測温素子151jは、たとえば、薄膜構造体151dにおいて、ヒータ素子151eと一対の測温素子151fと間に設けられ、ヒータ素子151eの温度を検出する。ヒータ測温素子151jは、たとえば、ヒータ素子151eの三方を囲むように屈曲する抵抗線を有し、この抵抗線の一端と他端がそれぞれヒータ測温配線151kに接続されている。
基準温度測温素子151mは、たとえば、薄膜構造体151dの外側で、薄膜構造体151dの近傍の半導体基板151aの上に設けられ、基準温度を測定する。基準温度は、たとえば、空洞部151bに隣接する薄膜構造体151dの外側のヒータ素子151eの影響を受けない半導体基板151aの温度である。基準温度測温素子151mは、ヒータ測温素子151jの一端に接続されたヒータ測温配線151kの途中に設けられ、ヒータ測温配線151kを介してヒータ測温素子151jの一端に直列に接続されている。
一対の抵抗素子151nは、たとえば、薄膜構造体151dから離隔した半導体基板151aの一側に設けられた複数の電極パッド151pの近傍に設けられ、互いに直列に接続されている。一対の抵抗素子151nの一端は、共通の電極パッド151pに接続され、一対の抵抗素子151nの他端は、それぞれ、異なる電極パッド151pに接続されている。
流量検出部151において、直列に接続されたヒータ測温素子151jおよび基準温度測温素子151mと、直列に接続された一対の抵抗素子151nとが並列に接続され、温度制御用のブリッジ回路を構成している。一対の抵抗素子151nに接続された各々の電極パッド151pは、たとえば、ブリッジ回路の電源またはグランドに接続されている。
流量検出部151は、たとえば、図6に示すように、回路基板140と流量センサ150の凹溝150cとの間に形成された計測流路132aを流れる被計測気体2の流量を計測する。計測流路132aは、たとえば、図4に示すように、副通路溝117の第2副通路溝117b内、すなわち、副通路130の第2副通路132内に形成される。
図6に示すように、流量センサ150は、たとえば、電子部品152と、リードフレーム153、とを有している。電子部品152は、流量検出部151とともにリードフレーム153に実装される。電子部品152は、たとえば、LSIであり、ボンディングワイヤを介して流量検出部151に接続され、流量検出部151を駆動させる。流量センサ150は、たとえば、流量検出部151の一対の測温素子151fの温度差を検出することで、被計測気体2の流量を検出する。
以下、本実施形態の流量センサ150の作用を説明する。
前述のように、本実施形態の流量センサ150は、被計測気体2の流量を検出する流量検出部151を備えている。流量検出部151は、空洞部151bを有する半導体基板151aと、その半導体基板151aの空洞部151bに隣接して設けられた薄膜構造体151dと、その薄膜構造体151dに設けられたヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fと、を有している。さらに、流量検出部151は、薄膜構造体151dにおいてヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fと電気的に絶縁させて設けられた金属製の放熱パターン151gを有している。
このような構成により、本実施形態の流量センサ150によれば、ヒータ素子151eによって加熱された薄膜構造体151dの熱を、熱抵抗の小さい金属製の放熱パターン151gに伝導させて放熱することができる。ここで、放熱パターン151gは、ヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fと電気的に絶縁され、周囲の素子や配線と独立して設けられている。そのため、薄膜構造体151dの放熱性をより向上させることができる。
また、放熱パターン151gのレイアウトの自由度が向上し、放熱パターン151gの面積を広くすることができ、薄膜構造体151dの放熱性をより向上させることができる。また、薄膜構造体151dの放熱性が向上することで、一対の測温素子151fの温度差に基づいて被計測気体2の流量を検出する流量センサ150の流量検出の応答性が向上する。したがって、本実施形態の流量センサ150によれば、被計測気体2の脈動発生時における流量の検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態の流量センサ150は、被計測気体2の流れ方向(X軸方向)に沿う薄膜構造体151dの長さ方向Dlにおいて、一対の測温素子151fの間にヒータ素子151eが配置されている。そして、薄膜構造体151dの長さ方向Dlに直交する幅方向Dwにおいて、一対の測温素子151fの両側に二対の放熱パターン151gが配置されている。
このような構成により、本実施形態の流量センサ150によれば、ヒータ素子151eによって加熱される薄膜構造体151dの放熱性をより向上させることができる。より具体的には、被計測気体2の流れ方向におおむね直交する薄膜構造体151dの幅方向Dwにおいて、放熱パターン151gは、各々の測温素子151fの両側に配置され、片側のみに配置される場合と比較して面積が拡大される。
そのため、ヒータ素子151eで発生した熱は、薄膜構造体151dの幅方向Dwにおいて、各々の測温素子151fの両側の面積が拡大された放熱パターン151gへ伝導し、さらに薄膜構造体151dの外側の半導体基板151aへ伝導して放熱される。したがって、薄膜構造体151dの放熱性をより向上させることができる。
また、本実施形態の流量センサ150において、薄膜構造体151dの幅方向Dwにおける放熱パターン151gの寸法は、薄膜構造体151dの長さ方向Dlにおいてヒータ素子151eから遠ざかるほど減少している。
このような構成により、本実施形態の流量センサ150によれば、薄膜構造体151dの長さ方向Dlにヒータ素子151eに近づくほど、放熱パターン151gによる流量検出部151の幅方向Dwへの放熱性を向上させることができる。また、薄膜構造体151dの長さ方向Dlにヒータ素子151eから離れた一対の測温素子151fに対する放熱パターン151gの影響を低減させ、流量センサ150による流量検出の感度低下を抑制することができる。したがって、流量センサ150による流量検出の応答性を向上させつつ、流量検出の感度低下を抑制することができる。
また、本実施形態の流量センサ150において、放熱パターン151g、ヒータ素子151e、および一対の測温素子151fは、同一の金属材料によって形成されている。
このような構成により、本実施形態の流量センサ150によれば、前述の半導体製造技術によって、流量検出部151の放熱パターン151g、ヒータ素子151e、および一対の測温素子151fを同時に製作することができる。したがって、流量センサ150の流量検出部151の構造簡略化および生産性向上を実現することができる。
また、本実施形態の流量センサ150において、流量検出部151は、ヒータ測温素子151j、基準温度測温素子151m、および一対の抵抗素子151nを含むブリッジ回路を有している。ヒータ測温素子151jは、薄膜構造体151dにおいてヒータ素子151eと一対の測温素子151fと間に設けられる。基準温度測温素子151mおよび一対の抵抗素子151nは、薄膜構造体151dの外側で半導体基板151aの上に設けられる。
このような構成により、本実施形態の流量センサ150によれば、ヒータ測温素子151j、基準温度測温素子151m、および一対の抵抗素子151nを含むブリッジ回路によって、ヒータ素子151eの温度制御を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒータ素子151eと測温素子151fを含み半導体基板151aの空洞部151bに隣接して設けられる流量検出部151の放熱性を向上させることが可能な流量センサ150を提供することができる。
図8は、図7に示す流量センサ150の流量検出部151の変形例を示す平面図である。本変形例に係る流量センサ150の流量検出部151は、薄膜構造体151dの幅方向Dwにおけるヒータ素子151eおよび一対の測温素子151fの片側のみに設けられた放熱パターン151gが薄膜構造体151dの外側まで延びている。本変形例に係る物理量検出装置100の流量検出部151のその他の構成は、図7に示す前述の実施形態に係る流量センサ150の流量検出部151と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例の流量センサ150の流量検出部151において、放熱パターン151gは、薄膜構造体151dのヒータ素子151eの近傍から、薄膜構造体151dの外側の半導体基板151aの上まで延びている。このような構成により、ヒータ素子151eによって加熱された薄膜構造体151dの熱を、放熱パターン151gを介して薄膜構造体151dの外側の半導体基板151aへ放熱することができる。
したがって、本変形例に係る流量センサ150においても、前述の実施形態に係る流量センサ150と同様に、薄膜構造体151dの放熱性を向上させることができる。その結果、流量センサ150の流量検出の応答性を向上させ、被計測気体2の脈動発生時における流量の検出精度を向上させることができる。
以上、本開示に係る流量センサの実施形態およびその変形例を説明したが、本開示に係る流量センサは上記の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。