以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
[顕微鏡システム]
図1を参照して、本実施形態に係る顕微鏡システム1について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る顕微鏡システム1の全体概念図である。本実施形態に係る顕微鏡システム1は、本実施形態に係る精子選別補助装置10と、顕微鏡100とを備える。精子選別補助装置10と、顕微鏡100とは、無線又は有線により接続されている。
顕微鏡100は、光学的構成に加えて、投影装置110と、撮像装置120と、を備える。顕微鏡100において、光学的構成によって拡大された光学像が撮像装置120により撮像され、デジタル画像が取得される。また、顕微鏡100の観察像提示部(例えば、接眼レンズ、ディスプレイ、及びモニター等)には、精子選別補助装置が生成した合成像が投影装置110により表示される。
顕微鏡100は、精子を含むサンプルを観察する。サンプルは、顕微授精の実施を希望する患者又は被験者等から取得された精子を含む。サンプルは、精子の他、精子の培養液、精子の運動を抑制する高粘性液体(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)溶液)、PICSI(Physiologic intracytoplasmic sperm injection)において使用される成熟精子を選別するための物質(例えば、ヒアルロン酸)、卵子等を含んでいてよい。サンプルは、例えばガラス製又は樹脂製等のディッシュに配置されていてよい。
顕微鏡100において、サンプルは光学的構成により拡大され、拡大画像が撮像装置120により取得される。顕微鏡100の光学的構成は、サンプルの拡大画像が品質の評価に適切なサイズの精子を含むように調整される。顕微鏡100の構成の詳細は後述する。なお、投影装置110は、精子選別補助装置10と一体化していてよく、その場合、顕微鏡システム1は、顕微鏡100内に精子選別補助装置10を備える。
精子選別補助装置10は、撮像装置120により撮像された精子の観察像を解析することで精子選別を補助する。ただし、精子選別補助装置10は、別途撮像された精子の観察像を取得して、当該観察像に含まれる精子に対して精子選別の補助を実施してもよい。
(精子選別補助装置)
図2は、精子選別補助装置10の機能ブロック図である。精子選別補助装置10は、取得部11、受付部12、評価部13、表示制御部14、指標算出部15、記憶部16、及び認識部17を備える。
精子選別補助装置10において、取得部11が精子の観察像を取得し、受付部12が精子の評価手法を受け付ける。評価部13は、受け付けた評価手法に基づいて、取得した観察像に含まれる精子を評価する。表示制御部14は、顕微鏡100における観察像提示部に、観察像に対して評価部13による評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、評価手法をさらに表示した合成像を表示させるように、顕微鏡100に備えられた投影装置110を制御する。
以下に説明する実施形態では、評価部13が精子の品質を評価する際に、指標算出部15が観察像に含まれる精子の品質に関わる指標を算出する。また、算出された指標や精子の品質が記憶部16に記憶され、認識部17が精子の認識、識別、及び/又は追尾を行う。ただし、精子選別補助装置10は、指標算出部15、記憶部16、及び認識部17の少なくともいずれかの機能を備えていなくてもよく、取得部11、受付部12、評価部13、及び表示制御部14のいずれかが、指標算出部15、記憶部16、及び認識部17のいずれかの機能を有していてもよい。
取得部11は、撮像装置120が撮像した精子を含むサンプルの観察像を取得する。取得部11は観察像をデジタル画像又はデジタル動画像として取得する。取得部11は、典型的には、撮像装置120が撮像している観察像をリアルタイムで取得する。ただし、取得部11は、撮像装置120が過去に撮像した観察像を取得してもよい。過去に撮像した観察像は、精子が撮像されていない時間間隔を削除した編集された観察像であってよい。
取得した観察像は、少なくとも1つの精子が撮像された時間間隔を含む。本明細書において、観察像及び動画像の「時間間隔」とは、観察像及び動画像の各フレームにより画定される時間間隔であり、1又は複数のフレームからなる。上記した時間間隔は、1以上のフレームからなる時間間隔であればよいが、好ましくは2以上のフレームからなる時間間隔である。時間間隔が2以上のフレームからなることにより、当該時間間隔から精子の動きを識別することができるため、精子の運動性に基づいて精子の品質を評価することができる。なお、時間間隔が1のフレームからなる場合は、少なくとも精子の形態に基づいて品質評価をすることができる。また、2以上のフレームを含む場合、少なくとも時間的に隣接する2以上のフレームを含むことが好ましい。
取得した観察像は、少なくとも1つの精子を含むフレームからなる時間間隔を含んでいればよいが、複数の精子を含むフレームからなる時間間隔を含むことが好ましい。また、観察像は、撮像場所及び/又は撮像視野が変更されながら取得されてよい。この態様によれば、サンプル中の異なる場所における精子の相対評価を行うことができ、検体中の精子の中から顕微授精に適した良好な精子をより客観的に選択することができる。
取得部11は、後述の通信部10dにより実現されてよい。
受付部12は、精子の評価手法を受け付ける。受付部12が受け付けた評価手法に基づいて評価部13が精子の品質の評価を実施する。精子の品質とは、顕微授精に用いた場合の受精成功率、胚盤胞到達率、着床率、及び/又は出産成功率等に関する各精子が有する性質を意味する。精子の品質が高いとは、顕微授精に用いた場合の受精成功率、胚盤胞到達率、着床率、及び/又は出産成功率等が相対的に高いことを意味する。
精子の品質に関わる少なくとも1つの指標として、例えば世界保健機関(WHO)が発行するWHOラボマニュアル第6版(WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen; Sixth Edition)に記載の指標が挙げられる。そのような指標としては、例えば、精子の運動性、精子の形態性、及び精子のDNA断片化の発生の程度の少なくとも1つ、又はこれら2種以上から算出されたものが挙げられる。各精子における各指標の値は、例えば、後述の指標算出部15により算出されてよい。
精子の運動性は、運動の速度、及び移動軌跡の直線性等により評価してよく、具体的には、運動の速度、直線速度、曲線速度、及び移動軌跡の直線性等により評価してよい。精子の形態性は、例えば、精子の頭部の形状、尾部の形状、それらの欠損及びサイズのバランス等により評価してよく、具体的には、頭部空胞数、頭部縦横アスペクト比、及び/又は形態の異常部位と異常部位の個数等により評価してよい。精子のDNA断片化の発生の程度は、運動の速度及び移動軌跡の直線性等の精子の運動や、精子の形態を総合的に考慮して評価してよく、具体的には精子のDNAの損傷度合、及び/又は損傷個数等により評価してよい。
また、後述する評価部13においては、観察像に含まれる各精子の品質を個別で評価することもでき、観察像に含まれる複数の精子の品質の優劣を相対的に評価することもできる。以下では、各精子の品質を個別で評価することを絶対評価と称し、複数の精子の品質の優劣を相対的に評価することを相対評価と称する場合がある。このように評価部13が絶対評価と相対評価の両方を実施できることにより、ユーザは検体や精子選別の状況に応じて適切な手法で品質評価を実施できる。例えば、検体において絶対評価を用いて精子の品質を評価することにより、検体における精子の品質の分布を取得することができ、また、良好な精子として判断される精子を客観的に選別することができる。また、相対評価を用いて精子の品質を評価することにより、観察視野内において相対的に品質が優れた精子を選択することができ、選択する精子の品質をより高めることができ、また、品質に劣る精子が多く含まれ、一般的に良好であると判断される精子を含まない検体からでも、相対的に品質が高い精子を選別することができる。
したがって、受付部12は、精子の評価手法として、評価対象である精子の指標の値に基づいて評価する絶対評価と、母集団中における精子の品質を指標の値に基づいて評価する相対評価とのいずれにより評価を実施するかに関する情報を受け付けてよい。また、当該情報に代えて、あるいは当該情報に加えて、評価に用いる指標の種類を受け付けてよい。当該指標の種類は、例えば、精子の運動性、精子の形態性、及び精子のDNA断片化の発生の程度にそれぞれ関する指標の少なくとも1つ、又はこれら2種以上から算出された指標等が挙げられる。
図3を参照して、受付部12において評価手法を受け付ける際に表示される画面の例を説明する。受付部12は、ユーザから精子の評価手法を受け付けるが、その際に、例えば、精子選別補助装置10の表示部(後述の表示部10fに対応する。)に評価手法の入力を補助する画面を表示してよい。図3は、当該表示部10fに表示される画面の一例である。なお、当該画面は、精子選別補助装置10の表示部10fに代えて、あるいは加えて、投影装置110又は顕微鏡100の表示部に表示されてもよい。
図3に示す画面は、上部において、絶対評価と相対評価とのいずれにより評価を実施するかを選択するためのボタンオブジェクトが表示されている。ユーザは、絶対評価又は相対評価のボタンを選択することで、当該方法により評価を実施することを選択できる。なお、当該オブジェクトにおいては、表示制御部14において評価結果を表示させないことを選択するための「OFF」と記載されているボタンが配置されていてよい。
また、図3に示す画面は下部において、評価に用いる指標の種類を受け付けるための入力欄が表示されている。図3では、それぞれ絶対評価及び相対評価の際に用いるための閾値を入力するための欄が表示されているが、当該欄に代えて、あるいは加えて、単に評価に用いる指標の種類のみを選択するためのボタンオブジェクトが表示されていてもよい。あるいは、当該欄に代えて、あるいは加えて、精子を優れている又は劣っていると評価するための条件式を入力するための欄が表示されていてもよい。また、画面上部のアイコンにおいて絶対評価又は相対評価のボタンが選択されている場合に、当該選択されているボタンに対応して絶対評価又は相対評価の際に用いるための閾値を入力するための欄が表示されていてもよい。
図3に示す画面においては、絶対評価又は相対評価のボタンが選択され、かつ当該選択されたボタンに対応した絶対評価又は相対評価の欄に有効な値が入力されている場合に、評価手法が、当該入力された欄に対応する指標を用いて、絶対評価又は相対評価を実施することであると設定されてよい。例えば、画面上部のボタンオブジェクトにおいて絶対評価が選択され、画面下部の入力欄の絶対評価のカラムの「DNA正常確率≧」に対応する欄に60%の値が入力され、「≦頭部アスペクト比≦」に対応する欄に「1.2」及び「1.8」が入力されている場合は、評価手法が、DNA断片化の発生の程度と、形態性とに基づく絶対評価であると設定される。より具体的には、DNA正常確率が60%以上であり、頭部アスペクト比が1.2~1.8であると判断される精子を優れていると評価し、当該条件を満たさない精子を劣っていると評価する評価手法が設定される。
したがって、受付部12が受け付ける評価手法としては、絶対評価と相対評価とのいずれにより評価を実施するかに関する情報、絶対評価において用いる閾値、相対評価において用いる閾値、絶対評価において優れている又は劣っていると評価するための条件、及び相対評価において優劣を評価する際の条件等が挙げられる。
絶対評価において用いる閾値は、指標算出部15が算出する指標の少なくとも1種に対応して設定されてよい。相対評価において用いる閾値は、母集団とする複数の精子の細胞数を基準とする割合(例えば、上位50%以上、上位75%以上、若しくは上位90%以上等)又は数(例えば、上位の5つ、上位の3つ、上位の2つ、若しくは上位の1つ等)としてもよい。
絶対評価において優れている又は劣っていると評価するための条件は、指標算出部15が算出する指標の少なくとも1種と当該指標に対応して設定される閾値との1以上の組み合わせを含んでいてよい。相対評価において優劣を評価する際の条件は、指標算出部15が算出する指標の少なくとも1種と当該指標に対応して設定される閾値との1以上の組み合わせ、及び/又は品質評価に際して優先される指標の順番とを含んでいてよい。
上記の閾値は、ユーザが直接値を入力してもよく、ユーザが入力した情報に基づいて値が設定されてもよい。例えば、閾値は、精子を提供した顕微授精の実施を希望する患者又は被験者の男性不妊症の診断結果に基づいて設定されてもよい。あるいは、顕微授精の実施者による目視検査に基づいて設定されてもよく、CASA(Computer-Aided sperm analyzer)又はSQA(Sperm Quality Analyzer)により測定される値に基づいて設定されてもよい。あるいは、後述のようにして作成される複数の精子における指標の分布(ヒストグラム)を参照して設定されてもよい。
あるいは、評価手法は、比較対象とする複数の精子が有する指標の分布(ヒストグラム)を作成し、評価対象である精子が有する指標が当該分布のいずれに位置するか(例えば上位何%に位置するか)という手法としてもよい。当該評価手法を実施する場合、評価部13は、少なくとも1つの指標が記憶された複数の精子に関する情報を記憶部16から呼び出し、サンプル中の精子の総合的な評価を算出してもよい。例えば、評価部13は、サンプル中の精子の奇形数若しくは奇形率(精子の形態に奇形が生じている数若しくは割合)、運動性に関する指標が閾値を超える精子(運動精子)の数若しくは割合、運動性に関する指標が閾値を下回る精子(不動精子)の数若しくは割合、精子の濃度、及び運動精子と不動精子との割合(精子の運動率)からなる群より選択される少なくとも1種を算出してよい。
受付部12は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより生成される画面を表示部10fにより表示し、入力部10eによりユーザからの入力を受け付けることにより実現されてよい。受付部12が受け付けた評価手法は、RAM10b又はROM10cに記憶されてよく、通信部10dを介して、各部及び装置に送信されてよく、表示部10fに表示されてよい。
図2に戻って、評価部13は、受付部12が受け付けた評価手法に基づいて、取得された観察像に含まれる精子を評価する。評価部13は、受付部12により受け付けた評価手法が指定しない項目については、予め設定された評価手法における項目を用いてもよい。
例えば、受付部12が受け付けた評価手法が絶対評価と相対評価とのいずれにより評価を実施するかに関する情報のみを含む場合、評価部13は、予め設定された評価手法における指標及び閾値を用いて、指定された絶対評価と相対評価とのいずれかにより評価を実施してよい。
受付部12が受け付けた評価手法が、評価に用いる指標の種類に関する情報のみを含む場合、評価部13は、当該選択された指標に基づく評価を実施する限り様々な評価を実施し得る。例えば、AIモデルを用いた評価、指標の値と閾値との比較に基づく評価等が挙げられる。
評価部13は、指標算出部15が算出した指標に基づいて精子の品質を評価することが好ましい。例えば、指標算出部15が算出したいずれかの指標、好ましくは精子の運動性、精子の形態性、及び精子のDNA断片化の発生の程度の1種以上、2種以上若しくは3種、又はこれら2種以上若しくは3種から算出された指標に基づいて品質の評価を行ってよい。
評価部13は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。評価部13による評価は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されてよく、通信部10dを介して、各部及び装置に送信されてよい。
表示制御部14は、顕微鏡100における観察像提示部に、観察像に対して少なくとも1つの精子の評価部13による評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、評価手法をさらに表示した合成像を表示させるように、顕微鏡100に備えられた投影装置110を制御する。
後述するように、顕微鏡100の一例として、後述の図7にその構成の一例を示すような、観察像が光学像として接眼レンズに導かれ、接眼レンズを介して当該観察像に対して評価結果及び評価手法を重ねた合成像をユーザが視認できるように投影装置110が評価結果及び評価手法を投影する顕微鏡が挙げられる。また、顕微鏡100の別の一例として、後述の図8にその構成の一例を示すような、観察像に対して評価結果及び評価手法を重ねた合成像をデジタル画像として投影装置110が投影する顕微鏡が挙げられる。
したがって、顕微鏡100における観察像提示部とは、顕微鏡において観察像が通常提示される部分を意味する。観察像提示部としては、例えば、接眼レンズ、モニター、モニターの表示を導く鏡筒等が挙げられる。なお、投影装置110の構成及び制御については、後述する。
取得部11が観察像をリアルタイムで取得し、リアルタイムで精子の選別を実施する場合、表示制御部14は、評価部13による評価が得られ次第、リアルタイムで取得されている観察像に対して、評価部13による評価結果を各精子に対応させて表示させると共に、評価手法を併せて表示させる。表示制御部14の投影装置に対する具体的な制御方法は後述する。
図4を参照しながら顕微鏡100における観察像提示部に表示される合成像について説明する。図4は、観察像提示部に表示される合成像の一例を示す図である。合成像200において、取得部11が取得した観察像210に重ねて、精子211a,211bの評価結果220a,220bが各精子に対応して表示されると共に、評価手法230が表示されている。
観察像210は、顕微鏡の光学的構成により観察像提示部に導かれた光学像であってよく、投影装置110により観察像提示部に表示されたデジタル画像又はデジタル動画像であってよい。観察像210は、少なくとも1つの精子を含み、図4においては、複数の精子211a,211b,211cが観察視野に含まれている。
観察像210には、精子211a,211bの品質の評価結果220a,220bが各精子211a,211bに対応付けられて表示されている。図4において、評価結果220a,220bは、各精子を囲む図形として表示されている。当該図形は、精子を囲う図形であればよく、その形状は円形に限られず、例えば楕円形、多角形、星形等であってもよい。評価結果220a,220bは、各精子を囲む図形の態様により精子の品質を表示してよい。あるいは、品質が優れていると評価された精子についてのみ、評価結果が表示されてよい。この態様では、評価結果220a,220bが表示されている精子211a,211bは品質が高く、評価結果が表示されていない精子211cは品質が劣っていることに対応する。
本明細書において、図形の態様とは、例えば、図形の形状、大きさ、及び色彩、並びにこれらの組み合わせを含んでいてよい。例えば、絶対評価により精子の品質が評価された際には、推定される品質に応じて精子を囲む図形の色彩を変更してもよいし、推定される品質に応じてランク付けし、当該ランクに応じた形状、大きさ、又は色彩が付されてもよい。また、相対評価により精子の品質が評価された際には、精子の相対的な品質に応じて精子を囲む図形の色彩を変更してもよいし、相対的な品質に応じてランク付けし、当該ランクに応じた形状、大きさ、又は色彩が付されてもよい。
なお、評価結果は、各精子を囲む図形以外の態様で表示されてもよい。例えば、評価結果は、数字、文字、記号、及び精子を囲まない図形(例えば、精子の品質に関する指標をバーで示した図形等)、並びにこれらの組み合わせを含んでいてよい。より具体的には、絶対評価又は相対評価を実施した際に、観察像に含まれる精子の品質の順位を数字で示してよく、精子の品質に応じてランク付けされたランクを数字、文字、及び/又は記号で示してよく、精子の品質に関する指標をバーで示してよい。各精子を囲む図形の態様により評価結果を表示する場合、観察像210に対して重ねて表示する画像の面積を小さくすることができるため、多くの精子を含む観察像においても、評価結果が視認しやすいという利点がある。他方、各精子を囲む図形以外の態様により評価結果を表示する場合、精子の品質に関する情報を多く示すことができるため、精子のより詳細な評価が認識できるという利点がある。
合成像200には、評価結果220a,220bと共に、対応する精子211a,211bを特定するためのID情報が付されてもよい。ID情報は、例えば数字により表示し得る。
合成像200には、評価結果220a,220bと共に、評価手法230が表示されている。このように顕微鏡の観察像提示部に提示される観察像に重ねて評価手法230を表示することで、観察像を確認しながら表示している評価結果を算出するための評価手法を確認することができる。本実施形態では、合成像200に評価手法230を重ねて表示するため、受付部12において自由度高く評価手法を設定しても観察像を確認しながらも、表示している評価結果を算出するための評価手法を容易に認識することができる。
合成像200において、評価手法230は、評価結果220a,220bと重ならない位置に表示されることが好ましい。この態様では、評価手法230と評価結果220a,220bとの両方を容易に視認することができる。したがって、例えば合成像200において、観察像210における第1領域に評価結果220a,220bが表示され、第1領域とは異なる第2領域に評価手法230が表示されてよい。ここで、第1領域は、例えば、観察像210の中心部分を含む所定領域であってよく、円形、楕円形、矩形、又はその他の図形状であってよい。第2領域は、例えば観察像210の周囲(外周)を含む所定領域であってよい。また、第1領域は、撮像装置120において撮像されている領域であってよく、第2領域は、撮像装置120の撮像領域の範囲外であってよい。
図4において、評価手法230は、評価部13における評価において用いている評価のための項目が表示されている。評価手法230は、評価に用いている指標を表示するための指標表示領域230aと、絶対評価と相対評価とのいずれにより評価を実施しているかを示す手法表示領域230bとを含む。
指標表示領域230aには、選択可能な指標の候補が表示されると共に、評価に用いることが実際に選択されている指標が強調して表示されている。具体的には、評価部13における評価において考慮可能な指標の候補として、DNA(DNAの断片化の程度)、運動(運動性)、及び形状(形態性)が、当該指標に対応したオブジェクトと共に表示され、DNA及び形状が実際に選択されていることがオブジェクトの形態が変化することにより強調表示されている。なお、指標表示領域230aには、実際に選択されている指標のみを表示してもよい。また、各指標とそれに対応したオブジェクトは、各指標をアイコン化したオブジェクトにより表示してもよく、「DNA」、「運動」、及び「形状」といった文字を、文字、記号、若しくは図形、又はこれらの組み合わせにより簡易表示してもよい。さらに、指標表示領域230aには、評価において用いている指標と共に、当該指標に対応して設定された閾値や、精子の品質が優れている又は劣っていると判断する際の条件を示す情報が表示されてもよい。例えば、各指標に対応したオブジェクトをバーとして表示し、当該バーの中に設定された閾値を表示してもよい。
手法表示領域230bには、絶対評価及び相対評価に対応するオブジェクトが表示されると共に、絶対評価及び相対評価のうち、評価に用いることが実際に選択されている評価方法に対応したオブジェクトの形態が変化することにより強調表示されている。具体的には、絶対評価(絶対)及び相対評価(相対)が、当該項目に対応したオブジェクトと共に表示され、絶対評価が実際に選択されていることがオブジェクトの形態が変化することにより強調表示されている。なお、手法表示領域230bには、実際に選択されている項目のみを表示してもよい。また、各項目とそれに対応したオブジェクトは、各項目をアイコン化したオブジェクトにより表示してもよく、「絶対」及び「相対」といった文字を、文字、記号、若しくは図形、又はこれらの組み合わせにより簡易表示してもよい。なお、手法表示領域230bに表示される情報を、指標表示領域230aにおいて表示する場合、手法表示領域230bは省略してもよい。
なお、指標表示領域230aと手法表示領域230bとを含む態様は一例であり、評価手法230は、指標表示領域230a及び/又は手法表示領域230bに表示される情報として説明した情報を含んでいなくてよく、指標表示領域230a及び手法表示領域230bに表示される情報として説明しなかった情報を含んでいてもよい。
表示制御部14の機能について引き続き説明する。表示制御部14は、顕微鏡100における観察像提示部に、観察像に対して評価結果及び評価手法を重ねて表示した合成像を表示させるように、投影装置110を制御するが、さらに、顕微鏡100における観察像提示部に、観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示しない合成像を表示させるように投影装置110を制御してもよい。また、表示制御部14は、顕微鏡100における観察像提示部に、評価結果及び評価手法を含まない観察像のみを表示させるように投影装置110を制御してもよい。すなわち、顕微鏡システム1は、観察像のみを表示するモード、観察像と評価結果を表示するモード、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードをユーザの選択によって、あるいは自動的に切り替えることができる。なお、観察像と評価手法とを表示するモードを設けてもよい。
なお、以下では、観察像提示部に観察像に対して評価結果及び評価手法を重ねて表示した合成像を表示させるように投影装置110を制御する場合を観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードと称し、観察像提示部に観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示しない合成像を表示させるように投影装置110を制御する場合を観察像と評価結果を表示するモードと称し、観察像提示部に評価結果及び評価手法を含まない観察像のみを表示させるように投影装置110を制御する場合を観察像のみを表示するモードと称することがある。
したがって、表示制御部14は、第1条件を満たした場合に、観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示した合成像を表示させ、第1条件を満たさない場合に、観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示しない合成像を表示させるように投影装置を制御してよい。この態様は、第1条件を満たした場合に、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択され、第1条件を満たさない場合に観察像と評価結果を表示するモードが選択されることに対応する。第1条件を満たさない場合には、観察像と評価結果を表示するモードに代えて、観察像のみを表示するモードが選択されてもよい。
上記第1条件は特に限定されないが、例えば、以下の(1)~(4)が挙げられる。以下の条件(1)~(4)の少なくともいずれかを満たした場合に、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択されてよい。
(1)評価手法が設定されてから第1の所定時間内であること。すなわち、受付部12が新たな評価手法を受け付けた後に、第1の所定時間が経過するまで、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択される。この態様において、ユーザが設定を変更した後、第1の所定時間が経過するまで評価手法を表示するため、変更された評価手法を認識しながら評価結果を確認することを補助できる。第1の所定時間が経過した後は、その他の第1条件を満たさない場合は、観察像と評価結果を表示するモードに移行してよく、観察像のみを表示するモード又は観察像と評価結果を表示するモードに移行してよい。第1の所定時間は、例えば、1~30秒又は5~20秒であってよい。
(2)評価手法が設定されてから第2の所定時間が経過した後、さらに第3の所定時間経過前であること。すなわち、受付部12が評価手法を受け付けた後、第2の所定時間が経過してから、当該第2の所定時間が経過した時点からさらに第3の所定時間が経過するまで、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択される。ここで、第2の所定時間は、第1の所定時間より長い時間であってよい。第3の所定時間は、第1の所定時間と同じであってよく、異なっていてもよい。この態様において、ユーザが設定を変更した後、第1の所定時間が経過し、評価手法が表示されなくなってからさらに所定時間が経過した時点(すなわち、第2の所定時間が経過した後)において、評価手法が表示される。したがって、当該表示を視認したユーザは現時点の評価手法を再認識することができる。第3の所定時間が経過した後は、その他の第1条件を満たさない場合は、観察像と評価結果を表示するモードに移行してよく、観察像のみを表示するモード又は観察像と評価結果を表示するモードに移行してよい。第2の所定時間は、例えば、1~5分であってよい。第3の所定時間は、例えば、1~30秒又は5~20秒であってよい。
(3)ユーザから所定の入力を受け付けてから所定時間内であること。すなわち、ユーザが評価手法を表示させることを希望する場合に、所定時間が経過するまで、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択される。この態様において、ユーザの操作により評価手法を表示させることができる。当該所定時間は、第1の所定時間又は第3の所定時間と同じであってよく、異なっていてもよい。当該所定時間が経過した後は、その他の第1条件を満たさない場合は、観察像と評価結果を表示するモードに移行してよく、観察像のみを表示するモード又は観察像と評価結果を表示するモードに移行してよい。所定時間は、例えば、1~30秒又は5~20秒であってよい。
(4)観察像のみを表示するモードが選択されるための第2条件が満たされた後、第2条件が満たされなくなってから所定時間内であること。すなわち、第2条件が満たされ、観察像のみを表示するモードが選択された後、第2条件が満たされなくなった時点から所定時間が経過するまで、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択される。なお、第2条件が満たされなくなった時点から第4の所定時間が経過した後、第5の所定時間が経過するまで、観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードを選択するようにしてもよい。観察像のみを表示するモードは、例えば精子の吸引や注入等、精子の選別を完了した後の作業において選択されることが好ましい。したがって、この態様において、所定の作業の間に第2条件が満たされ、観察像のみを表示するモードが選択された後、当該作業が終了し第2条件が満たされなくなった場合に、再度評価手法を表示することができる。所定時間の経過後は、その他の第1条件を満たさない場合は、観察像と評価結果を表示するモードに移行してよく、観察像のみを表示するモード又は観察像と評価結果を表示するモードに移行してよい。当該所定時間(第4、第5の所定時間も含む)は、例えば、1~30秒又は5~20秒であってよい。
表示制御部14は、第2条件を満たした場合に、観察像を含み、評価結果及び評価手法を含まない像を表示させるように投影装置を制御してよい。この態様は、第2条件を満たした場合に、観察像のみを表示するモードが選択されることに対応する。第2条件を満たさなくなった後は、観察像のみを表示するモードが継続されてよく、観察像と評価結果を表示するモード又は観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択されてよい。例えば、第2条件を満たさなくなった後は、観察像のみを表示するモードが継続され、所定時間経過後又は所定の条件を満たした場合に観察像と評価結果を表示するモードに移行し、さらにその後第1条件を満たした場合に観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択されてよい。あるいは、第2条件を満たさなくなった後、観察像と評価結果を表示するモードに移行し、さらにその後第1条件を満たした場合に観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択されてよい。あるいは、第2条件を満たさなくなった後、第1条件を満たしているか判断し、第1条件を満たしている場合に観察像と評価結果と評価手法とを表示するモードが選択され、第1条件を満たしていない場合に観察像と評価結果を表示するモードが選択されてよい。
上記第2条件は特に限定されないが、例えば、以下の(5)~(7)が挙げられる。以下の条件(5)~(7)の少なくともいずれかを満たした場合に、観察像のみを表示するモードが選択されてよい。
(5)ユーザから所定の入力を受け付けること。すなわち、ユーザが評価結果及び評価手法を表示させないことを希望する場合に、観察像のみを表示するモードが選択される。この態様において、ユーザから所定の入力を受け付けている間のみ観察像のみを表示するモードが選択されてよく、ユーザから所定の入力を受け付けてから所定時間が経過するまで観察像のみを表示するモードが選択されてよく、ユーザから所定の入力を受け付けてから別のモードに切り替えるための入力を受け付けるまでの間に観察像のみを表示するモードが選択されてよい。
(6)観察像に卵子が含まれると認識されること。すなわち、観察像に卵子が観察された際に、卵子への精子の注入が実施されると判断し、当該作業を阻害しないように観察像のみを表示するモードが選択される。観察像に卵子が含まれることは、例えば認識部17が認識してよい。画像又は動画像である観察像から卵子を認識する方法としては、卵子の代表的形状を示す代表画像を複数用意し、画像又は動画像中の各フレームに対して代表画像を用いてパターンマッチングする方法や、卵子の観察画像を教師データとして用いて学習させた学習モデルを用いる方法が挙げられる。また、卵子保持するためのデバイスに付されたマーカーに基づいて卵子を認識してもよい。この態様において、観察像に卵子が含まれると認識されている間のみ観察像のみを表示するモードが選択されてよく、観察像に卵子が含まれると認識された後、観察像から卵子が確認されなくなってからから所定時間が経過するまで観察像のみを表示するモードが選択されてよく、観察像に卵子が含まれると認識された後ユーザから別のモードに切り替えるための入力を受け付けるまでの間に観察像のみを表示するモードが選択されてよい。
(7)観察像において精子の不動化の作業を実施していること、又は実施したことが認識されること。すなわち、精子の不動化の作業の実施が確認された際に、精子の選別が完了したと判断し、その後の顕微授精の作業を阻害しないように観察像のみを表示するモードが選択される。精子の不動化の作業が実施されていることは、例えば認識部17が認識してよく、不動化に用いるツールに対する信号を受信して認識してもよい。この態様において、精子の不動化の作業が実施されていると認識されている間のみ観察像のみを表示するモードが選択されてよく、精子の不動化の作業が認識された後、当該作業が確認されなくなってからから所定時間が経過するまで観察像のみを表示するモードが選択されてよく、精子の不動化の作業が認識された後ユーザから別のモードに切り替えるための入力を受け付けるまでの間に観察像のみを表示するモードが選択されてよい。
表示制御部14は、観察像210に対して、各精子に対応させて表示された評価結果、及び評価手法以外の情報を表示するように投影装置110を制御してもよい。そのような情報としては、評価結果の表示方法に関する情報、評価中のサンプルに関する情報、評価中のサンプルに関して記憶部16に記憶された精子の品質に関する情報、評価結果を表示している精子の拡大画像等が挙げられる。あるいは、後述の変形例において図10~13を用いて説明する合成像において表示されている情報が表示されてもよい。
評価結果の表示方法に関する情報としては、評価結果を表示する精子の最大数が挙げられる。例えば、評価結果を表示している精子の数が何個以下に限定されているという情報が表示されてよい。当該、最大数は、精子選別補助装置10の入力部10eにより変更されてよい。
評価中のサンプルに関する情報としては、サンプルの提供者の属性情報(ID、氏名、生年月日、年齢、既往歴等)、サンプルの提供者の男性不妊症の診断結果、及びCASA(Computer-Aided sperm analyzer)又はSQA(Sperm Quality Analyzer)により測定される値等が挙げられる。
評価中のサンプルに関して記憶部16に記憶された精子の品質に関する情報としては、記憶部16に記憶されたサンプル中の複数の精子が有する指標又は品質のヒストグラム、及び記憶部16に記憶されたサンプル中の複数の精子が有する指標又は品質から推定されるサンプル中の精子の総合的な評価等が挙げられる。
指標又は品質のヒストグラムには、観察像において評価結果が表示されている精子が当該ヒストグラムのいずれに位置するかということを示す情報が表示されてもよい。この場合、観察像の視野内だけでなく、記憶部16に少なくとも1つの指標が記憶された複数の精子と、観察像において評価結果が表示されている精子との品質の相対評価を行うことができる。
精子の総合的な評価としては、サンプル中の精子の奇形数若しくは奇形率(精子の形態に奇形が生じている数若しくは割合)、運動性に関する指標が閾値を超える精子(運動精子)の数若しくは割合、運動性に関する指標が閾値を下回る精子(不動精子)の数若しくは割合、精子の濃度、及び運動精子と不動精子との割合(精子の運動率)等が挙げられる。
表示制御部14は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。表示制御部14は、通信部10dを介して投影装置110を制御し、顕微鏡の観察像提示部に合成像が表示されるようにする。投影装置110により投影する画像又は動画像は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されてよく、通信部10dを介して、各部及び装置に送信されてもよく、あるいは、表示部10fに表示されてもよい。
図2に戻って、指標算出部15は、観察像に含まれる精子の品質に関わる少なくとも1つの指標を算出する。そのような指標としては、例えば、精子の運動性、精子の形態性、及び精子のDNA断片化の発生の程度の少なくとも1つ、又はこれら2種以上から算出されたものが挙げられる。
指標算出部15は、精子の品質に関わる少なくとも1つの指標を種々の方法で算出してよい。例えば、精子の運動性は、所定の時間間隔における運動の速度、及び移動軌跡の直線性等により指標化することができる。指標算出部15は、所定の時間間隔において精子を追跡して、各フレームにおける精子の位置情報に基づいて運動の速度、直線速度、曲線速度、及び移動軌跡の直線性等を算出できる。精子の運動性は、精子の品質及び運動を教師データとして用いて学習させた学習モデルを用いて算出してもよい。指標算出部15は、サンプルの調製方法、粘度、サンプル中のポリビニルピロリドン(PVP)の濃度、PICSI(Physiologic intracytoplasmic sperm injection)において使用される成熟精子を選別するための物質(例えば、ヒアルロン酸)等の精子の運動性に影響する条件を受け付けて、当該条件に基づいて運動性の指標化を行ってもよい。なお、PICSIを実施する場合、精子の品質評価に運動性の指標を用いないようにしたり、運動速度が遅い精子を品質が優れた精子として評価するようにしてもよい。
精子の形態性は、各フレームにおいて撮像された精子の形態に基づいて指標化することができる。指標算出部15は、1つの精子について、複数のフレームに基づいて精子の形態性を指標化し、それらの値を平均して1つの指標として算出してもよい。精子の形態性は、例えば、精子の頭部の形状、尾部の形状、それらの欠損及びサイズのバランス等に基づいて指標化することができる。指標算出部15は、頭部空胞数、頭部縦横アスペクト比、及び/又は形態の異常部位と異常部位の個数等を算出し、これらの値に基づいて指標を算出してもよい。精子の運動性は、精子の品質及び形態を教師データとして用いて学習させた学習モデルを用いて算出してもよい。
精子のDNA断片化の発生の程度は、所定の時間間隔における運動の速度、及び移動軌跡の直線性等の精子の運動や、各フレームにおいて撮像された精子の形態を総合的に考慮して指標化することができる。精子のDNA断片化の発生の程度は、精子のDNA断片化の発生の程度と、精子の運動及び/又は形態とを教師データとして用いて学習させた学習モデルを用いて算出してもよい。指標算出部15は、精子のDNAの損傷度合、及び/又は損傷個数等を算出し、これらの値に基づいて指標を算出してもよい。なお、精子のDNA断片化の発生の程度は、DNA断片化を生じている精子を選択的に染色した染色画像を用いて計測することができる。
指標算出部15は、上記のような指標を2種以上考慮して、精子の品質を総合的に評価した指標を算出してもよい。指標算出部15は、精子の運動性、精子の形態性、及び精子のDNA断片化の発生の程度にそれぞれ関する指標を任意選択的に重み付けした後に平均した指標を算出してよい。その際、いずれかの指標が閾値を下回る場合には、算出する指標から一定数を減ずる罰則を与えてもよい。
指標算出部15は、算出した指標を規格化してもよく、例えば、最低評価を0とし、最高評価を10又は100として規格化してもよい。
指標算出部15は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。指標算出部15が算出した指標は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されてよく、通信部10dを介して、各部及び装置に送信されてよい。
記憶部16は、例えば、受付部12が受け付けた評価手法、指標算出部15が算出した少なくとも1つの指標、及び評価部13による評価を記憶してよい。図5を参照して、記憶部16が記憶する情報について説明する。図5は、記憶部16における精子の指標を記憶したデータベースの一例を示す図である。
図4に示す例においては、記憶部16は、取得部11が取得した観察像において後述の認識部17が認識し、指標算出部15が算出した指標を記憶する。観察像において認識部17が認識した精子に対して個別のIDが割り振られ、認識部17が認識した時刻(観察開始からの時間)及び/又は指標算出部15が指標の算出を完了した時刻(観察開始からの時間)が各IDに紐づけられて記憶される。
また、指標算出部15が算出した指標についても、各IDに紐づけられて記憶される。なお、記憶部16は、指標算出部15が算出した全ての指標を記憶してもよいし、一部の指標のみを記憶してもよい。
なお、図4において、取得時刻が01:23:68であるIDがXXXのレコードと、取得時刻が02:20:13であるIDがXXXのレコードとは、同一のIDが付されている。これは、認識部17が、取得時刻が01:23:68である精子と、取得時刻が02:20:13である精子とが同一と判断したためである。このように一度観察像の観察視野に入り指標が算出された精子が、観察像の観察視野から外れた後に、再度観察視野に戻った場合であっても、認識部17が同一の精子と判断した場合は同一のIDが付されてよい。なお、認識部17が同一の精子と判断しなかった場合は異なるIDが付されてよい。認識部17は複数の指標が一致する2つの精子を同一の精子と判断してよい。
記憶部16は、後述のRAM10b又はROM10cにより実現されてよい。
図2に戻って、認識部17は、観察像を解析して、精子の認識、識別、及び/又は追尾を行う。動画像である観察像から精子を認識する方法としては、精子の代表的形状を示す代表画像を複数用意し、観察像中の各フレームに対して代表画像を用いてパターンマッチングする方法や、精子の観察画像を教師データとして用いて学習させた学習モデルを用いる方法が挙げられる。
認識部17は、観察像において撮像された精子に対して個別のID情報を付してもよい。認識部17は、各フレームにおいて精子にID情報を付してよく、同一の精子に対しては同一のID情報を付してよい。異なる時間間隔における2つの精子が同一であるか、異なるかを正確に判断することは困難である場合がある。したがって、認識部17により同一であると判断されない2つの精子について、実際にそれらの精子が同一であるか異なるかどうかは限定されない。すなわち、認識部17は、2つのフレームに含まれる精子が確実に同一であると判断できる場合にそれらの精子を同一と判断し、同一のID情報を付与してよい。認識部17は、例えば第1のフレームにおいて撮像される精子が、第1のフレームと第2のフレームとの間において常に観察像の観察視野に存在する場合、当該精子を追跡することで第2のフレームにおいて同一の精子であると判断してよい。2つの精子が同一であるかの判断において、各精子に対して指標算出部15が算出する少なくとも1つの指標を考慮してもよい。例えば、指標算出部15が算出する指標の1又は複数が一致するか、略一致する場合、2つの精子が同一であると判断されてよい。指標が略一致するとは、2つの精子の指標の差の絶対値が、いずれかの精子の指標を基準として、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%%以下、又は10%以下であることをいう。
認識部17は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されCPU10aにより実行されるプログラムにより実現されてよい。認識部17による認識は、後述のRAM10b又はROM10cに記憶されてよく、通信部10dを介して、各部及び装置に送信されてよい。
次いで、図7を参照して精子選別補助装置10の物理的構成について説明する。図7は、精子選別補助装置10の物理的構成の一例を示す図である。精子選別補助装置10は、プロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10b、及びROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では精子選別補助装置10の機能が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、精子選別補助装置10の機能は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図7で示す構成は一例であり、精子選別補助装置10はこれら以外の構成要素を有してもよいし、これらの構成要素のうち一部を有さなくてもよい。
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う。CPU10aは、コンピュータを、取得部11、受付部12、評価部13、表示制御部14、指標算出部15、記憶部16、及び認識部17として機能させるプログラムを実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行するプログラムを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよい。
ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば書き換えが行われないデータを記憶してよい。
通信部10dは、精子選別補助装置10を他の部及び装置、例えば、投影装置110、及び撮像装置120に接続するインターフェースである。通信部10dは、有線又は無線でネットワークに接続されてよい。
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、及びマイク等を含んでよい。
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、撮像装置120が撮像した観察像の動画像、受付部12が評価手法を受け付けるための画面、及び表示制御部14により生成される合成像等を表示してよい。
なお、本実施形態に係る精子選別補助プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。精子選別補助装置10では、CPU10aが本実施形態に係るプログラムを実行することにより、図2を用いて説明した機能が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、精子選別補助装置10は、CPU10aとRAM10b及び/又はROM10cとが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
(顕微鏡)
顕微鏡100は、サンプルを拡大観察するための光学的構成と、観察像を提示する観察像提示部と、投影装置110と、撮像装置120とを備えていれば特に限定されない。顕微鏡100の構成としては、例えば、特許文献1~4等の公知の構成を参照し得る。顕微鏡100は、例えば、明視野観察法、暗視野観察法、位相差観察法、偏光観察法、紡錘体観察法、微分干渉観察法、及びレリーフコントラスト観察法等による観察が可能なように構成されていてよい。また、光学的構成の倍率も適宜調整すればよく、例えば対物レンズの倍率は20倍、40倍、60倍等であってよい。精子選別補助装置10が顕微鏡100の設定を調整してもよい。当該調整は、顕微授精の実施者が行ってもよい。
図7及び図8を参照して、顕微鏡100の構成の一例について説明する。図7は、顕微鏡100の構成の一例を示す概略概念図である。図8は、顕微鏡100の構成の別の一例を示す概略概念図である。図7及び図8において、光路が一点鎖線で示されている。図7に示す顕微鏡100では、観察像が光学像として観察像提示部(接眼レンズ)101に導かれると共に、投影装置110からの出力が観察像に重ねて表示されている。図8に示す顕微鏡100では、観察像に対して評価結果及び評価手法を重ねた合成像をデジタル画像として投影装置110が出力し、観察像提示部101に投影される。
まず図7に示す顕微鏡100について説明する。顕微鏡100は、観察像提示部(接眼レンズ)101、対物レンズ102、結像レンズ、投影装置110、及び撮像装置120を備える。顕微鏡100は、さらに、顕微授精に用いられる無染色のサンプルを可視化するための変調素子を、照明光路と観察光路のそれぞれに備えていてよい。なお、図7においては、対物レンズ102がサンプルの鉛直上方向に配置されているが、例えば倒立顕微鏡のように対物レンズ102がサンプルの鉛直下方向に配置されていてもよい。また、対物レンズ102は複数備えられてよい。
顕微鏡100では、対物レンズ102と結像レンズによってサンプルの光学像が形成されている像面に、投影装置110を用いて投影画像を投影する。これにより、顕微鏡100のユーザは、光学像に投影画像が重畳した合成像を観察できる。顕微鏡100は、さらに、顕微鏡本体と、顕微鏡本体に取り付けられた、ステージ111、及び透過照明系130を備えている。顕微鏡100により、明視野(BF)観察、偏光(PO)観察、微分干渉(DIC)観察、及び変調コントラスト(MC)観察等が実施されてよい。
ステージ111には、容器に入れられたサンプルが配置される。容器は、例えばシャーレであり、サンプルには生殖細胞が含まれている。ステージ111は、光路上に配置された対物レンズ102の光軸方向、及び、対物レンズ102の光軸と直交する方向に移動する。なお、ステージ111は、手動ステージであっても、電動ステージであってもよい。
透過照明系130は、ステージ111に配置されたサンプルを、ステージ111の下方から照明する。ただし、透過照明系130がステージ111の上方から照明し、対物レンズ102がステージ111の下方に配置されていてもよい。透過照明系130は、光源、及びユニバーサルコンデンサ等を含んでよい。光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源であってもよく、ハロゲンランプ光源であってもよい。
結像レンズは、観察像提示部(接眼レンズ)101と対物レンズ102の間に配置される。結像レンズは、観察像提示部(接眼レンズ)101と結像レンズの間の像面に、透過光に基づいてサンプルの光学像を形成する。また、像面には、投影装置110からの出力に基づいて投影画像が重ねて形成される。これにより、像面において光学像に投影画像が重畳された合成像が形成される。顕微鏡100のユーザは、像面に形成されている合成像の虚像を、観察像提示部(接眼レンズ)101を用いて観察する。
撮像装置120は、透過光に基づいてサンプルのデジタル画像データを取得する。撮像装置120は、結像レンズと観察像提示部(接眼レンズ)101の間に配置されている。撮像装置120は、光路上に配置されたスプリッタHMから透過光を受光する。スプリッタHMは、例えば、ハーフミラーである。結像レンズは、サンプルの光学像を撮像装置120の受光面に形成する。撮像装置120は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等であり、サンプルからの光を検出し、検出した光を光電変換によって電気信号へ変換する。撮像装置120は、得られた電気信号に基づいて、サンプルのデジタル画像データを生成する。
投影装置110は、結像レンズと観察像提示部(接眼レンズ)101の間に配置されている。投影装置110からの出力はレンズを介してスプリッタHMにより観察像提示部(接眼レンズ)101に導かれてよい。スプリッタHMは、例えば、ハーフミラーである。投影装置110は、表示制御部14が生成した投影画像データに基づいて投影画像を投影する。投影画像が結像レンズの像面、すなわち光学像が形成されている像面と同じ位置に投影されるようにレンズが調整される。
顕微鏡100は、上述した素子及び装置以外の素子又は装置を備えていてよい。そのような素子又は装置としては、特許文献1~4に記載されているものが挙げられる。
次に、図8に示す顕微鏡100について説明する。図8に示す顕微鏡100は、図7示す顕微鏡100と異なり、観察像が光学像として観察像提示部101に導かれるのではなく、投影装置110により導かれる。かかる顕微鏡100では、観察像がミラーMにより撮像装置120に撮像される。撮像装置120は精子選別補助装置10に観察像を送信し、精子選別補助装置10の表示制御部14が投影装置110に対して観察像に対して任意選択的に他の画像(例えば評価結果及び評価手法)を重ね合わせた合成像を投影するように制御する。投影装置110は、表示制御部14から受信した合成像を、ミラーMを介して観察像提示部101に投影する。観察像提示部101は、図7に示す顕微鏡100と異なり、接眼レンズを備えていなくてもよい。
なお、図8に示す顕微鏡100においては、合成像が投影装置により投影されるため、観察像提示部101と投影装置110とが一体化していてもよい。例えば、図8に示す顕微鏡100において、観察像提示部101と投影装置110とが一体化したモニター(表示部)を備えていてもよい。この態様においては、表示制御部14は、当該モニターに対して合成像を表示するようにモニターを制御する。
[精子選別方法]
以下、本実施形態に係る顕微鏡システムを用いて精子を選別する方法について説明する。本実施形態に係る精子選別方法は、本実施形態に係る顕微鏡システムを用いるため、検体中の精子の中から顕微授精に適した良好な精子を選択することを効率的に補助することができる。特に、顕微授精における精子の選別の効率又は正確性を向上させることができる。
図9は、本実施形態に係る精子選別方法の工程の一例を示すフローチャートである。なお、図9には示していないが、顕微授精の実施者(典型的には胚培養士)は、本実施形態に係る顕微鏡システムに対してサンプルを配置し、顕微鏡100のステージ上の観察視野にサンプルを設けるようにセッティングを行う。
本実施形態に係る精子選別方法の工程は、顕微鏡システム1が自動的に、顕微授精の実施者の処理を介さずに実施されてよく、各工程の全て又は一部は顕微授精の実施者が手動で行ってもよい。また、以下の各ステップは、観察像を取得しながら所定の時間間隔ごとに並列して実施してもよい。
図9に示すように、本実施形態に係る精子選別方法では、まず、取得部11を通じて撮像装置120から精子の観察像を取得する(以下、「ステップS1」ともいう)。ステップS1において、事前に撮像された観察像を取得してもよいが、撮像装置120が取得している観察像をリアルタイムで取得することが好ましい。
次いで、受付部12により評価手法を受け付ける(以下、「ステップS2」ともいう)。ステップS2では、例えば受付部12は、例えば図3に示すような評価手法を受け付けるための画面を精子選別補助装置10の表示部に表示させ、ユーザに入力を促してもよい。受付部12は、精子の品質を行う他の装置から情報を受け付け、自動的に評価手法を設定してもよい。
次いで、取得した観察像において各精子の認識を行う(以下、「ステップS3」ともいう)。ステップS3では、取得した観察像を認識部17が解析し、観察像の所定の時間間隔において観察された精子を認識する。この際、認識部17は、各精子にID情報を割り当ててよい。また、認識部17により認識された精子について、認識された時刻と割り当てられたID情報とを記憶部16に記憶してよい。
次いで、ステップS3で認識した精子に対して、指標算出部15が少なくとも1つの指標を算出する(以下、「ステップS4」ともいう)。ここで、算出した指標を各精子に紐づけて記憶部16に記憶してもよい。ステップS4では、ステップS2において受け付けた評価手法において精子を評価するための指標が含まれている場合、少なくとも指定された指標を含むように、指標を算出する。
次いで、ステップS4で指標を算出された少なくとも1つの精子の品質を評価する(以下、「ステップS5」ともいう)。ステップS5では、ステップS2において受け付けた評価手法に基づいて各精子を評価する。評価に際してステップS4で算出された指標を適宜使用する。
ステップS5では、リアルタイムで撮像装置120が撮像している精子のうちの1つについて、品質の評価を行ってよい。あるいは、ステップS5では、サンプルの観察を開始してから所定の時間において複数の精子を確認し、ステップS4で算出された少なくとも1つの指標に関するヒストグラムを作成したり、評価手法を再度受け付けた後に、精子の品質を行ってよい。
次いで、表示制御部14が、ステップ1で取得した観察像に対してステップS5で評価した評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、ステップS2で受け付けた評価手法をさらに表示した合成像を生成する(以下、「ステップS6」ともいう)。ステップS6では、リアルタイムで撮像装置120が撮像している観察像に基づいてリアルタイムで合成像を生成してよい。また、表示制御部14は、さらに観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示しない合成像を生成してもよい。
次いで、ステップS1で取得した観察像又はステップS6で生成した合成像を観察像提示部に表示させる(以下、「ステップS7」ともいう)。ステップS7では、例えば、上述した第1条件及び第2条件に基づいて、(i)ステップS1で取得した観察像、(ii)観察像に対してステップS5で評価した評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、ステップS2で受け付けた評価手法をさらに表示した合成像、及び(iii)観察像に対して少なくとも1つの精子の評価結果を各精子に対応させて表示すると共に評価手法を表示しない合成像を切り替えて表示してよい。ステップS7では、観察像提示部以外にも、精子選別補助装置10の表示部10fに観察像又は合成像を表示させてもよい。
[変形例]
以上、本実施形態の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものではない。例えば、各構成要素及びステップの説明における例示及び/又は好ましい態様等(好ましい、より好ましい、さらに好ましい、さらにより好ましい態様等。)は、特に言及がない限り、それぞれを任意に組み合わせて本実施形態とすることができる。例えば、各実施形態について、好ましい態様として記載されている実施形態と、好ましい態様として記載されている実施形態とを組み合わせてもよいし、好ましい態様等として記載されている実施形態と、より好ましい実施形態(あるいは更に好ましい実施形態等)として記載されている構成とを組み合わせてもよい。また、各構要素成及びステップは、本実施形態の効果を阻害しない限り、適宜省略することができる。
例えば、図1に示す顕微鏡システム1は、サンプルにおける精子を不動化させるツール、及び/又は精子を吸引しその後卵子の細胞質に注入するための精子注入ツールを備えていてよい。
精子注入ツールは、例えば、顕微授精に一般的に用いられるインジェクションピペットであってよい。精子注入ツールは、精子選別補助装置10が選別した精子を不動化させるための手段を備えていてもよい。精子を不動化させるための手段としては、ピエゾ素子等の微弱な振動を与える手段、及びレーザー光照射手段等が挙げられる。精子注入ツールは、精子を吸引し、注入するための圧力制御機構を備えていてよい。
また、表示制御部14は、図10~図13を用いて説明するような合成像を表示させるように、顕微鏡100に備えられた投影装置110を制御してもよい。図10~図13は、表示制御部14により表示される合成像の変形例である。
図10に示される合成像は、図4に示される合成像と比較して、精子211cに対しても評価結果220cが表示され、さらに各精子の評価結果220a,220b,220cにおいて、絶対評価により評価された品質の順位が数字で表示されている。また、評価結果220a,220b,220cにおいて、各精子の品質の良否が精子を囲む図形の形態(色彩)により示されている。すなわち、品質が優れていると評価される精子211a,211bに対しては品質が優れていることを示す色彩により精子が囲まれ、品質が劣っていると評価される精子211cに対しては品質が劣っていることを示す色彩により精子が囲まれている。
図11に示される合成像は、図10に示される合成像と比較して、評価結果を表示する第1領域と評価手法を表示する第2領域との境界240が表示されている。境界240は、撮像装置120の撮像視野と第1領域とが略一致するように表示されてよい。
図12に示される合成像は、図10に示される合成像と比較して、各精子211a,211b,211cに対して、精子の運動の軌跡、及び予想される移動方向が表示されている。運動の軌跡及び予想される移動方向は、認識部17により生成され、評価結果220a,220b,220cと共に、表示制御部14により表示されてよい。
図13に示される合成像は、図10に示される合成像と比較して、指標表示領域230aにおいて、評価部13における評価に用いられている指標のみをアイコンにより表示し、当該アイコンに対応した図形により精子の評価結果220a,220b,220cを表示している。
図13に示される合成像においては、図13(A),(B),(C)に示されるように、受付部12が受け付けた評価手法に含まれる指標の数において、指標表示領域230aに表示されるアイコンを分割する。例えば、図13(A)では、「DNA」、「形状」、及び「運動」の3つの指標により評価を行う状況であり、指標表示領域230aに表示されるアイコンが3分割されている。図13(B)及び(C)では、それぞれ「DNA」及び「形状」と、「DNA」により評価を行う状況であり、指標表示領域230aに表示されるアイコンがそれぞれ2分割又は1分割(すなわち分割されていない)されている。
また、評価結果220a,220b,220cは、指標表示領域230aに表示されるアイコンと略同形のアイコンにより表示され、指標表示領域230aに表示されるアイコンの各部分に対応した指標に基づく評価の結果に対応して評価結果を示すアイコンの一部の形態(色彩)を変化させることで、評価結果を表示する。
例えば、図13(A)では、「DNA」、「形状」、及び「運動」の評価結果がいずれも優れる精子211aにおいて、評価結果220aとして示されるアイコンは、「DNA」、「形状」、及び「運動」のそれぞれに対応した箇所が、品質が優れていることを示す色彩により表されている。また、「DNA」及び「運動」の評価結果が優れ、「形状」の評価結果が劣る精子211bにおいて、評価結果220bとして示されるアイコンは、「DNA」及び「運動」のそれぞれに対応した箇所が、品質が優れていることを示す色彩により表され、「形状」に対応した箇所が、品質が劣っていることを示す色彩により表されている。
また、「DNA」、「形状」、及び「運動」の評価結果がいずれも劣る精子211cにおいて、評価結果220cとして示されるアイコンは、「DNA」、「形状」、及び「運動」のそれぞれに対応した箇所が、品質が劣っていることを示す色彩により表されている。
また、図13に示される合成像においては、指標表示領域230aに表示されるアイコンの形態(色彩)により、指標算出部15による指標の算出又は評価部13による評価が進行中であることを示してもよい。例えば、精子が認識されてから短時間が経過した際には、特定の指標のみが算出されたり、特定の指標による評価のみが完了したりする場合がある。例えば、「DNA」及び「形状」の評価が終了し、「運動」の評価が進行中である場合は、図13(D)に示すように、「運動」の評価が進行中であることを指標表示領域230aに表示されるアイコンにおける「運動」の指標に対応した箇所の形態(色彩)を変更することで、表示することができる。
[付記]
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
精子の観察像を取得する取得部と、
精子の評価手法を受け付ける受付部と、
取得された前記観察像に含まれる精子を前記評価手法に基づいて評価する評価部と、
顕微鏡における観察像提示部に、前記観察像に対して少なくとも1つの精子の前記評価部による評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、前記評価手法をさらに表示した合成像を表示させるように、前記顕微鏡に備えられた投影装置を制御する表示制御部と、
を備える、精子選別補助装置。
[2]
前記表示制御部は、第1条件を満たした場合に、前記観察像に対して少なくとも1つの精子の前記評価結果を各精子に対応させて表示すると共に前記評価手法を表示した合成像を表示させ、第1条件を満たさない場合に、前記観察像に対して少なくとも1つの精子の前記評価結果を各精子に対応させて表示すると共に前記評価手法を表示しない合成像を表示させるように前記投影装置を制御する、
[1]に記載の精子選別補助装置。
[3]
前記第1条件は、前記評価手法が設定されてから第1の所定時間内であることを含む、
[2]に記載の精子選別補助装置。
[4]
前記第1条件は、前記評価手法が設定されてから第2の所定時間が経過した後、さらに第3の所定時間内であることを含む、
[2]又は[3]に記載の精子選別補助装置。
[5]
前記第1条件は、ユーザから所定の入力を受け付けてから所定時間内であることを含む、
[2]~[4]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[6]
前記評価部は、精子の品質に関わる少なくとも1つの指標に基づき前記評価を実施し、
前記評価手法は、評価対象である精子の前記指標の値に基づいて評価する絶対評価と、母集団中における精子の品質を前記指標の値に基づいて評価する相対評価とのいずれにより前記評価を実施するかに関する情報を含む、
[1]~[5]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[7]
前記評価部は、精子の品質に関わる少なくとも1つの指標に基づき前記評価を実施し、
前記評価手法は、前記評価に用いる前記指標の種類を含む、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[8]
前記表示制御部は、各精子を囲む図形の態様により前記評価結果を表示する、
[1]~[7]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[9]
前記表示制御部は、第2条件を満たした場合に、前記観察像を含み、前記評価結果及び前記評価手法を含まない像を表示させるように前記投影装置を制御する、
[1]~[8]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[10]
前記表示制御部は、第1条件を満たした場合に、前記観察像に対して少なくとも1つの精子の前記評価結果を各精子に対応させて表示すると共に前記評価手法を表示した合成像を表示させ、
前記第1条件は、前記第2条件が満たされた後、前記第2条件が満たされなくなってから所定時間内であることを含む、
[9]に記載の精子選別補助装置。
[11]
前記第2条件は、前記観察像に卵子が含まれると認識されることを含む、
[9]又は[10]に記載の精子選別補助装置。
[12]
前記第2条件は、ユーザから所定の入力を受け付けることを含む、
[9]~[11]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[13]
前記合成像は、前記観察像における第1領域に前記評価結果が表示され、前記第1領域とは異なる第2領域に前記評価手法が表示されている、
[1]~[12]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置。
[14]
[1]~[13]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置を備える、
投影装置。
[15]
[1]~[13]のいずれか1つに記載の精子選別補助装置又は[14]に記載の投影装置と、
撮像装置と、
を備える、
顕微鏡システム。
[16]
コンピュータを、
精子の観察像を取得する取得部と、
精子の評価手法を受け付ける受付部と、
取得された前記観察像に含まれる精子を前記評価手法に基づいて評価する評価部と、
顕微鏡における観察像提示部に、前記観察像に対して少なくとも1つの精子の前記評価部による評価結果を各精子に対応させて表示した合成像であって、前記評価手法をさらに表示した合成像を表示させるように、前記顕微鏡に備えられた投影装置を制御する表示制御部と、
として機能させる、精子選別補助プログラム。