以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「被検査物」としての錠剤が収容されてなるPTPシートの構成について詳しく説明する。
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態では、PTPシート1が「製品」に相当する。
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。尚、容器フィルム3やカバーフィルム4の材料については適宜変更してもよい。
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることにより製造される。
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。PTP包装機10は、ロット単位でPTPシート1を製造する。尚、「1ロット分のPTPシート1の生産期間」は、同一品質の原料を用いて同一条件でPTPシート1を生産する期間であり、均質のPTPシート1が生産される期間である。
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。
フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。フィルム受けロール20が容器フィルム3を搬送することで、複数の錠剤5は、複数列(本実施形態では5列)に並んだ状態で搬送される。従って、本実施形態では、フィルム受けロール20が「搬送手段」を構成する。
テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って検査装置51が配設されている。検査装置51を有してなる生産管理システム50については後述する。
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
シート打抜装置37により得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、検査装置51によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
また、完成品用ホッパ40に貯留されたPTPシート1は、所定の集積手段によって集積される。そして、集積された複数のPTPシート1に対し、例えばバンド結束やピロー包装、箱詰めなどの処理が施されることでシート梱包体が得られる。得られたシート梱包体のうち、後述する出荷許可装置81によって出荷を許可されたPTPシート1に係るもののみが最終的に出荷される。
加えて、連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に残ったスクラップ42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、スクラップ42を所定寸法に裁断する。裁断されたスクラップ42は、スクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
次いで、生産管理システム50について説明する。生産管理システム50は、検査装置51及び出荷許可装置81を備えている。本実施形態では、出荷許可装置81が「出荷許可部」を構成する。
検査装置51は、分光分析を利用して、錠剤5に対する異物の混入に係る検査を行うものである。検査装置51は、図5に示すように、照明装置52と、スペクトルカメラ53と、照明装置52やスペクトルカメラ53の駆動制御など検査装置51内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御装置54とを備えている。本実施形態では、照明装置52が「照射手段」を構成する。
照明装置52及びスペクトルカメラ53は、容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置されている(図6,7参照)。つまり、本実施形態では、カバーフィルム4が取着される前段階における容器フィルム3のポケット部2開口側から検査が行われる。尚、図7等では、容器フィルム3の図示を省略している。
照明装置52は、電磁波として近赤外光、可視光、紫外光又はX線を照射可能に構成された公知のものである。照明装置52は、連続搬送される容器フィルム3上の所定領域へ向け斜め上方から光を照射する。本実施形態において、照明装置52は、連続スペクトルを持つ近赤外光(例えば波長700~2500nmの近赤外領域)を出射可能な光源としてハロゲンランプで構成されている。この他、光源としては、重水素放電管、タングステンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
スペクトルカメラ53は、錠剤5に係る分光画像データを取得するためのものである。スペクトルカメラ53は、二次元分光器62及び撮像素子63を備えている。本実施形態では、二次元分光器62が「分光手段」を構成し、撮像素子63が「撮像手段」を構成する。
二次元分光器62は、照明装置52から照射された電磁波による、錠剤5を反射した反射光を分光する機器である。二次元分光器62は、スリット62a、入射側レンズ62b及び分光部62cを備えている。
スリット62aは、細長い略矩形状(線状)に開口形成され、その開口幅方向(短手方向)が容器フィルム3の搬送方向(Y方向)に沿って配設され、その長手方向が前記搬送方向と直交する容器フィルム3の幅方向(X方向)に沿って配設されている。スリット62aを通過した光は、入射側レンズ62bにより平行光化された後、分光部62cにより分光スペクトルに分光され、撮像素子63に二次元分光画像(分光スペクトル像)として結像される。尚、二次元分光器62に代えて、分光手段として反射型回折格子やプリズム等を採用してもよい。
撮像素子63は、二次元分光器62により分光された分光スペクトルを撮像して分光画像データを得るためのものである。撮像素子63は、複数の受光素子(受光部)64が行列状に二次元配列された受光面63aを有している。本実施形態では、撮像素子63として、近赤外領域のうち例えば波長1300~2000nmの波長範囲に対して十分な感度を有した公知のCCDエリアセンサを採用している。勿論、撮像素子63は、これに限定されるものではなく、他のセンサであってもよい。撮像素子63として、例えばCMOSセンサやMCT(HgCdTe)センサ等を採用してもよい。
スペクトルカメラ53の視野領域(撮像領域)は、容器フィルム3の幅方向(X方向)に沿って延びる線状の領域であって、少なくとも容器フィルム3の幅方向全域を含む領域となる。一方、容器フィルム3の搬送方向(Y方向)におけるスペクトルカメラ53の視野領域は、スリット62aの開口幅に相当する領域となる。つまり、スリット62aを通過した光(スリット光)が撮像素子63の受光面63a上に像を結ぶ領域である。
これにより、容器フィルム3の幅方向(X方向)の各位置で反射した反射光の分光スペクトルの各波長帯域(例えば10~20nm帯域幅毎)を撮像素子63の各受光素子64がそれぞれ受光することとなる。そして、各受光素子64が受光した光の強度に応じた信号が、デジタル信号に変換された上でスペクトルカメラ53から制御装置54に対し出力される。つまり、撮像素子63の受光面63a全体で撮像された1画面分の画像信号(分光画像データ)が制御装置54へ出力されることとなる。
制御装置54は、検査装置51全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース71(以下、「CPU等71」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する表示装置73、各種画像データを記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72~76は、CPU等71に対し電気的に接続されている。
CPU等71は、PTP包装機10の構成装置と各種信号を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができる。
画像データ記憶装置74は、スペクトルカメラ53により取得される分光画像データや、後述する二値化画像データなどを記憶するためのものである。
演算結果記憶装置75は、分光画像データを基に取得される各種スペクトルデータ、検査結果データ、及び、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。各種スペクトルデータや検査結果データ等は、適宜表示装置73に表示させることができる。
設定データ記憶装置76は、例えばPTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法、錠剤5の良否判定を行うためのスペクトル許容範囲テーブル、錠剤5に対する継続的な異物の混入有無を判定するための基準スペクトルデータなどを記憶するものである。
次に、検査装置51によって行われる異物混入に係る個々の錠剤5の良否判定の手順について説明する。
まず、スペクトルデータを取得する測定ルーチンについて、図8のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、容器フィルム3が所定量搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
制御装置54は、まずステップS01において、連続搬送される容器フィルム3(錠剤5)に対し照明装置52から近赤外光を照射しつつ、スペクトルカメラ53による撮像処理(露光処理)を実行する。
ここで、制御装置54は、PTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいてスペクトルカメラ53を駆動制御し、該スペクトルカメラ53が撮像する分光画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。
これにより、照明装置52から容器フィルム3に向け照射された近赤外光のうち、ステップS01の撮像処理の実行期間(露光期間)中において、搬送方向撮像範囲W(図9にて散点模様を付した範囲)にて反射した反射光がスペクトルカメラ53に入射する。つまり、1回の撮像処理で搬送方向撮像範囲Wが撮像される。
スペクトルカメラ53に入射した反射光は二次元分光器62により分光スペクトルに分光され、この分光スペクトルが撮像素子63により撮像される。尚、撮像処理の実行期間(露光期間)中、容器フィルム3(錠剤5)は連続搬送されているため、ここでは、搬送方向撮像範囲Wの平均化された分光スペクトルが撮像される。撮像素子63により撮像された分光画像(分光スペクトル)データは、制御装置54へ出力され、画像データ記憶装置74に記憶される。
制御装置54は、分光画像データが取得されると、ステップS02のデータ生成処理を開始する。データ生成処理では、ステップS01において取得した分光画像データを基にスペクトルデータを生成する。制御装置54は、スペクトルデータを生成すると、これを画像データ記憶装置74に記憶し、本ルーチンを一旦終了する。
そして、容器フィルム3(錠剤5)が所定量搬送される毎に、搬送方向撮像範囲Wが断続的に相対移動していき、上記測定ルーチンが繰り返されることにより、画像データ記憶装置74には、各搬送方向撮像範囲Wに対応するスペクトルデータが容器フィルム3の搬送方向(Y方向)及び幅方向(X方向)の位置情報とともに時系列に順次記憶されていく。これにより、画素毎にスペクトルデータを有した二次元的なスペクトル画像Qが生成されていく。
スペクトル画像Qは、図10に示すように、複数の画素Qaが二次元配列された画像データである。各画素Qaには、それぞれスペクトルデータ〔所定数n個(例えばn=100バンド)の波長帯域におけるスペクトル強度(輝度)を示すデータ〕が含まれている。
そして、検査対象となる1つ分のPTPシート1に相当する所定の検査範囲(図10の二点鎖線部参照)のスペクトル画像Qが取得されると、制御装置54は検査ルーチンを実行する。尚、本ルーチンは、上記検査範囲のスペクトル画像Qが取得される毎に繰り返し行われる。
検査ルーチンにおいて、制御装置54は、図11に示すように、まずステップS11にて錠剤画素抽出処理を実行する。本処理においては、スペクトル画像Qの各画素Qaのうち、分析対象となる錠剤5に対応する画素(以下、「錠剤画素」という)Qbを抽出する。
本実施形態では、例えば各画素Qaのスペクトルデータ中の所定波長のスペクトル強度(輝度)が予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、スペクトル画像Qに対し二値化処理を行う。そして、得られた二値化画像データを基に錠剤画素Qbを抽出する(図10参照)。図10では、錠剤画素Qbとして抽出された画素を斜線で示している。本実施形態では、背景の影響を受けることなく錠剤5の範囲のみを撮像したデータを含んだ画素Qaが錠剤画素Qbとして抽出される。
続いて、制御装置54は、ステップS12の錠剤領域特定処理を実行する。本処理によって、検査範囲内の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5の領域が特定される。
本実施形態では、例えば上記ステップS11で得られた錠剤画素Qbについてラベリング処理を行い、隣接する全ての錠剤画素Qbを同一の錠剤5に属する錠剤画素Qbの連結成分とみなす。そして、1つの連結成分の範囲を所定のポケット部2内に収容された1つの錠剤5に係る錠剤領域として特定する。図10では、各錠剤5に属する複数の錠剤画素Qbの連結成分(錠剤領域)をそれぞれ太枠により囲んでいる。
尚、錠剤5の領域特定方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば特定の画素を中心とした所定の範囲に含まれる画素を該特定の画素と同一の錠剤5に属する画素と判断するようにしてもよい。
続いて、制御装置54は、ステップS13の平均スペクトル算出処理を実行する。本処理では、上記ステップS12において特定された各錠剤5の錠剤領域それぞれについて、そこに含まれる複数の錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、該錠剤5に係る平均スペクトルデータを算出する。
本実施形態では、1つの錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qb全てのスペクトルデータを平均化し、これを該錠剤5に係る平均スペクトルデータ(図12,13参照)として算出する。尚、1つの錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbのうちの一部を抽出し、該錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、該錠剤5に係る平均スペクトルデータを算出する構成としてもよい。本実施形態では、該平均スペクトルデータが「錠剤5のスペクトルデータ」に相当する。
平均スペクトルデータは、基本的には、錠剤5の含有成分(錠剤5の固有成分)に関するスペクトルSxの強度(輝度)が高くなる一方、その他の成分に関するスペクトルの強度が低いものとなる。但し、その他の成分に関するスペクトルは、該成分が実際に含有されている場合のみならず、含有されてない場合にも表れることがある。これは、ノイズの影響などによる。従って、錠剤5に対し微量の異物(例えば、かび毒など)が実際に混入している場合、その異物に関する低強度のスペクトルSzは、その他の成分のスペクトルの中に、いわば埋もれた状態となり得る。本実施形態では、平均スペクトルデータを取得するための処理を行う制御装置54が「スペクトルデータ取得手段」を構成する。
検査範囲内の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5それぞれに係る平均スペクトルデータが算出されると、制御装置54は、これらを1つの検査範囲に係る測定データとしてまとめて演算結果記憶装置75に記憶する。
尚、本実施形態では、1つの錠剤5の平均スペクトルデータにおいて、各波長帯域(バンド番号i=1~n)ごとのスペクトル強度V(i)が記憶される。ここで「バンド番号i(1≦i≦n、iは自然数)」は、平均スペクトルデータに含まれる所定数n個(例えばn=100バンド)の波長帯域に付された通し番号である。
続くステップS14において、制御装置54は、演算結果記憶装置75に設定されたポケット番号カウンタのカウンタ値Pに初期値である「1」を設定する。「ポケット番号」とは、1つの検査範囲内の10個のポケット部2にそれぞれ対応して設定された通し番号であり、ポケット番号カウンタのカウンタ値P(以下、単に「ポケット番号カウンタ値P」という)によりポケット部2の位置を特定することができる(図10参照)。
続いて、制御装置54は、ステップS15において錠剤データ抽出処理を実行する。本処理においては、上記ステップS13において取得した1つの検査範囲に係る測定データ(10個の錠剤5の平均スペクトルデータ)から、現在のポケット番号カウンタ値P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された錠剤5の平均スペクトルデータを抽出する。
次に、制御装置54は、ステップS15において抽出した錠剤5の平均スペクトルデータについて分析処理を実行する(ステップS16)。
分析処理において、制御装置54は、図14に示すように、ステップS31にて、演算結果記憶装置75に設定されたバンド番号カウンタのカウンタ値I(以下、単に「バンド番号カウンタ値I」という)に初期値である「1」を設定する。「バンド番号カウンタ値I」は、上記「バンド番号i」に対応したものであり、分析対象となる波長帯域を特定するためのものである。
続くステップS32において、制御装置54は、スペクトル判定処理を実行する。本処理においては、上記ステップS15において抽出した錠剤5の平均スペクトルデータに含まれるn個の波長帯域(バンド番号i=1~n)のスペクトル強度V(i)のうち、現在のバンド番号カウンタ値Iにより特定されるバンド番号iの波長帯域に係るスペクトル強度V(i)について、設定データ記憶装置76に設定されたスペクトル許容範囲テーブルを参照して良否判定を行う。
スペクトル許容範囲テーブルは、n個の波長帯域(バンド番号i=1~n)ごとに、スペクトル強度V(i)の許容範囲D(i)を定めたものである。スペクトル許容範囲テーブルは、1つの検査範囲内の10個のポケット部2の位置(ポケット番号カウンタ値P)にそれぞれ対応して1つずつ設定されている。つまり、本実施形態では、1つの検査範囲に対し、10個のスペクトル許容範囲テーブルが設定されている。スペクトル許容範囲テーブルには、検査開始前に予め取得した所定個数(例えば200個)の良品のPTPシート1の錠剤5に係るスペクトル測定データを基に算出した、波長帯域ごとの許容範囲D(i)が設定されている。尚、1つの検査範囲に対し、1個のスペクトル許容範囲テーブルを設定してもよい。
従って、本処理においては、現在のポケット番号カウンタ値Pに対応するスペクトル許容範囲テーブルを参照して、現在のバンド番号カウンタ値Iにより特定されるバンド番号iの波長帯域に係るスペクトル強度V(i)が、該バンド番号iの波長帯域に対応する許容範囲D(i)内であるか否かを判定する。
そして、制御装置54は、その判定結果(「良」又は「不良」)を演算結果記憶装置75に記憶する。
その後、制御装置54は、ステップS33において現在のバンド番号カウンタ値Iに「1」を加えた後、ステップS34へ移行し、新たに設定したバンド番号カウンタ値Iが最大値n(スペクトル測定データに含まれる波長帯域数n)を超えているか否かを判定する。
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS32へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、すべての波長帯域のスペクトル強度V(i)について良否判定が行われたとみなし、本処理を終了する。
図11に戻り、分析処理の後、制御装置54は、ステップS17において錠剤良否判定処理を実行する。
本処理においては、上記ステップS16の分析処理における分析結果を基に、現在のポケット番号カウンタ値P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された錠剤5が良品であるか、不良品であるか判定する。
具体的には、錠剤5の平均スペクトルデータに含まれるn個の波長帯域(バンド番号i=1~n)のスペクトル強度V(i)のうち、「不良」判定されたものが1つも存在しない場合には、該錠剤5を「良品」と判定する。一方、「不良」判定されたものが1つでも存在する場合には、該錠剤5を「不良品」と判定する。尚、錠剤5に対する異物の混入量が、人体などに影響を与えない程度のごく微量である場合、該錠剤5は「良品」と判定される。但し、後述する異物継続混入検査処理によって、この錠剤5を含む、1ロット分のPTPシート1に用いられる錠剤5に対し、継続的な異物の混入があると判定される場合がある。
そして、制御装置54は、錠剤5に係る判定結果(「良品」又は「不良品」)を演算結果記憶装置75に記憶する。従って、本実施形態では、錠剤5の良否判定処理を行う制御装置54が「良否判定手段」を構成する。
その後、制御装置54は、ステップS18において現在のポケット番号カウンタ値Pに「1」を加えた後、ステップS19へ移行し、新たに設定したポケット番号カウンタ値Pが最大値Pmaxを超えているか否かを判定する。尚、最大値Pmaxは、1つの検査範囲におけるポケット部2の個数の最大値(本実施形態では「10」)である。
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS15へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、すべてのポケット部2に係る錠剤5の良否判定が終了したとみなし、ステップS20へ移行する。
続くステップS20において、制御装置54は、シート良否判定処理を実行する。本処理においては、上記ステップS17の錠剤良否判定処理における判定結果を基に、検査範囲に対応するPTPシート1が「良品」であるか、「不良品」であるか判定する。
具体的には、検査範囲内に「不良品」と判定された錠剤5が1つでも存在する場合には、該検査範囲に対応するPTPシート1を「不良品」と判定し、ステップS21へ移行する。制御装置54は、ステップS21の不良品処理において、「不良品」という判定結果を演算結果記憶装置75に記憶するとともに、その旨をPTP包装機10の不良シート排出機構等へ出力し、検査ルーチンを終了する。
一方、検査範囲内に「不良品」と判定された錠剤5が1つも存在しない場合には、ステップS20において、該検査範囲に対応するPTPシート1を「良品」と判定し、ステップS22へ移行する。
制御装置54は、ステップS22の良品処理において、「良品」という判定結果を演算結果記憶装置に記憶するとともに、「良品」と判定されたPTPシート1に係る測定データ(10個の錠剤5の平均スペクトルデータ)を、演算結果記憶装置75に記憶する。演算結果記憶装置75には、検査が行われる毎に、「良品」と判定されたPTPシート1に係る平均スペクトルデータが時系列で順次記憶される。
さらに、制御装置54は、1ロット分のPTPシート1の生産が完了する度に、異物継続混入検査処理を行う。異物継続混入検査処理は、錠剤5に対する継続的な異物の混入有無を判定するための処理である。
異物継続混入検査処理において、制御装置54は、図15に示すように、まずステップS41にて良品データ抽出処理を実行する。本処理では、演算結果記憶装置75に記憶された1万個以上の良品の錠剤5に係る平均スペクトルデータを抽出する。つまり、制御装置54は、1ロット分のPTPシート1の生産に用いられる錠剤5のうち特に「良品」と判定された錠剤5に係る平均スペクトルデータであって、所定の期間(本実施形態では、1ロット分のPTPシート1の生産期間)に対応するものを1万個以上抽出する。
例えば、毎秒100錠の錠剤5を処理可能なPTP包装機10を8時間動作させることで、1ロット分のPTPシート1が得られるとする。この場合、1ロット分のPTPシート1には、288万個〔=100(秒/秒)×60(秒)×60(分)×8(時間)〕の錠剤5が用いられる。そして、通常、単体で「不良品」と判定される錠剤5の数は極めて少ない。そのため、抽出される平均スペクトルデータの数は、最大288万個であり、通常、288万個に極めて近い数となる。
続くステップS42において、制御装置54は、抽出した平均スペクトルデータを加算することで、加算良品スペクトルデータを得る(図16参照)。加算良品スペクトルデータにおいては、微量の異物の継続的な混入が生じている場合、該異物に関するスペクトルSzの強度が、錠剤5の含有成分以外の成分に係るスペクトルの強度、つまりノイズによって表れ得るスペクトルの強度(ノイズ強度)と比べて突出して大きなものとなる。尚、加算良品スペクトルデータとして、平均スペクトルデータを加算した上で該データの数で除算したデータ、すなわち、平均スペクトルデータの平均値を用いてもよい。本実施形態では、加算平均スペクトルデータを得るための処理を行う制御装置54が「加算良品スペクトルデータ取得手段」を構成する。
次に、制御装置54は、ステップS43の比較処理にて、ステップS42で得られた加算良品スペクトルデータのスペクトル強度と、設定データ記憶装置76に予め記憶された基準スペクトルデータのスペクトル強度とを同一波長帯域のスペクトルごとに比較する。基準スペクトルデータは、予め取得された、継続的な異物の混入が生じていない錠剤5に係る加算良品スペクトルデータである。尚、比較処理S43においては、特定波長帯域(例えば、かび毒に対応する特定波長帯域)のスペクトル強度のみを比較してもよい。
そして、両スペクトルデータのスペクトル強度の強度差(輝度差)Kが、設定データ記憶装置76に予め記憶された最大許容値Kmaxよりも小さい場合(ステップS44:Yes)、制御装置54は、ステップS45にて、継続的な異物の混入はないと判定し、異物継続混入検査処理を終了する。
一方、強度差Kが最大許容値Kmax以上である場合(ステップS44:No)、制御装置54は、ステップS46にて、継続的な異物の混入があると判定するとともに、表示装置73などを用いて、その旨を外部に報知する。
継続的な異物の混入があると判定された場合、オペレータ等によって、1ロット分のPTPシート1に対する処理(例えば廃棄処理など)の要否が判定されたり、設備の清掃などの対策が行われたりする。本実施形態では、加算良品スペクトルデータに基づき、錠剤5に対する継続的な異物の混入有無を判定するための処理を行う制御装置54が「異物継続混入判定手段」を構成する。
出荷許可装置81は、PTP包装機10により得られた1ロット分のPTPシート1の出荷可否を判定する。出荷許可装置81は、1ロット分のPTPシート1の生産に用いられる錠剤5に係る加算良品スペクトルデータに基づき、錠剤5に対する継続的な異物の混入がないと判定された場合(つまり、ステップS44にて肯定判定された場合)、該1ロット分のPTPシート1(より正確には、この1ロット分のPTPシート1に係る複数のシート梱包体)の出荷を許可する。出荷許可装置81による許可があって初めて、出荷担当者などは、1ロット分のPTPシート1を出荷することができる。一方、出荷許可装置81は、錠剤5に対する継続的な異物の混入があると判定された場合、この錠剤5を用いて生産された、1ロット分のPTPシート1の出荷を不許可とする。
以上詳述したように、本実施形態によれば、1の錠剤5に混入している異物の量がごく微量であっても、複数の錠剤5に対し異物が継続的に混入している場合には、加算良品スペクトルデータにおいて、該異物のスペクトルデータを増幅させることができる。従って、加算良品スペクトルデータに基づき、錠剤5に対するごく微量の異物の継続的な混入の有無に関する検査をより正確に行うことができる。
また、スペクトルデータを利用した検査であるため、錠剤5を破壊することなく、検査をより迅速に行うことができる。
さらに、「良品」と判定された錠剤5に係る平均スペクトルデータのみを用いて、加算良品スペクトルデータが得られる。そのため、継続的な異物の混入有無に係る判定精度をより高めることができる。より詳しく説明すると、少数の錠剤5に対し、「不良品」と判定される程度の比較的多量の異物が混入している場合において、これら錠剤5に係る平均スペクトルデータを用いて得た加算スペクトルデータにより判定を行うと、これら錠剤5以外の錠剤5に対し継続的な異物の混入が何ら生じていなくても、継続的な異物の混入が生じていると誤判定するおそれがある。これに対し、本実施形態のように、「良品」と判定された錠剤5に係る平均スペクトルデータのみを用いて加算良品スペクトルデータを得ることで、「不良品」の錠剤5に起因する誤判定の発生をより確実に防止することができる。従って、継続的な異物の混入有無に係る判定精度をより高めることができる。
加えて、1ロット分のPTPシート1の生産に用いられる錠剤5に係る平均スペクトルデータであって該1ロット分のPTPシート1の生産期間に対応するものを加算することで、加算良品スペクトルデータが得られる。継続的な異物の混入が生じている場合、1ロット分の錠剤5の多くに同一の異物が混入していると考えられるため、加算良品スペクトルデータにおいて異物に係るスペクトルデータ(スペクトル強度)をより効果的に増幅させることができる。これにより、継続的な異物の混入有無に係る判定精度を一層高めることができる。
さらに、継続的な異物の混入有無に係る判定結果に基づき、均質の1ロット分のPTPシート1ごとに処理(例えば廃棄など)の要否を判定することができ、また、処理が必要となった場合に、その処理を容易に行うことができる。
併せて、1万個以上の錠剤5に係る平均スペクトルデータを用いて、加算良品スペクトルデータを得るため、加算良品スペクトルデータにおいて、異物に係るスペクトルデータ(スペクトル強度)をより一層効果的に増幅させることができる。従って、複数の錠剤5に対する異物の混入量がそれぞれ極めて微量である状態であっても、継続的な異物の混入有無をより正確に把握することができる。
加えて、継続的な異物の混入が生じていない錠剤5に係る加算良品スペクトルデータ(基準スペクトルデータ)を用いて、継続的な異物の混入の有無が判定される。従って、継続的な異物の混入有無を判定するにあたって、想定した異物に対応する特定の波長を選択的に確認する場合と異なり、想定外の異物の継続的な混入をより容易に検出することができる。
併せて、1ロット分のPTPシート1を出荷するにあたって、継続的な異物の混入のない錠剤5を有するPTPシート1のみを出荷することができる。従って、微量ながらも異物が混入しているおそれのある錠剤5の出荷を抑えることができ、市場に流通する錠剤5の安全性を高めることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、錠剤5を反射した反射光がスペクトルカメラ53に入射されるように構成されている。これに対し、図17に示すように、錠剤5を透過した透過光がスペクトルカメラ53に入射されるように構成してもよい。また、照明装置52が青色光や紫外光、X線を照射する場合には、錠剤5の発する蛍光がスペクトルカメラ53に入射されるように構成してもよい。
(b)上記実施形態では、被検査物が錠剤5である場合について具体化しているが、本発明の技術思想を、錠剤5以外の被検査物の検査に適用することも可能である。従って、例えば、錠剤や粉薬、水薬、塗り薬などの薬品、洗顔料や乳液、化粧水、口紅などの化粧品、調味料や菓子、加工肉、飲料水、ペットフードなどの食品といった人や動物が体内に取り入れたり、人や動物に塗布したりするものを被検査物としてもよい。
従って、例えば、食品を被検査物とする場合には、図18に示すように、所定の容器92に収容され、コンベア等で搬送される食品91をスペクトルカメラ53で順次撮像し、食品91のスペクトルデータに基づき食品91に対する継続的な異物の混入有無を検査するようにしてもよい。また、例えば、化粧品を被検査物とする場合には、図19に示すように、所定のチューブ96に収容され、コンベア等で搬送される化粧品95をスペクトルカメラ53で順次撮像し、化粧品95のスペクトルデータに基づき化粧品95に対する継続的な異物の混入有無を検査するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、「製品」としてPTPシート1を挙げているが、上記のように被検査物を薬品、化粧品又は食品とする場合、製品は、これら被検査物を有するものであればよい。従って、製品は、容器に食品などを収容してなるパック製品や、チューブに化粧品や薬品などが収容されてなるチューブ製品、ボトルに食品や薬品(例えば錠剤やカプセル)などが収容されてなるボトル製品などであってもよい。
従って、次の手段a~eのような検査装置を採用してもよい。
(b-1)手段a.薬品、化粧品又は食品を被検査物とし、該被検査物に対する継続的な異物の混入有無を検査するための検査装置であって、
複数の被検査物を1列又は複数列に並べた状態で搬送する搬送手段と、
搬送される被検査物に対し近赤外光、可視光、紫外光又はX線を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された電磁波による、被検査物を反射した反射光、被検査物を透過した透過光又は被検査物の発する蛍光を分光可能な分光手段と、
前記分光手段による分光された分光スペクトルを撮像して分光画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた分光画像データに基づき、被検査物のスペクトルデータを取得するスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータに基づき、被検査物の良否を判定する良否判定手段と、
前記良否判定手段により良品と判定された被検査物に係る複数のスペクトルデータであって、所定の期間に対応するものを加算して加算良品スペクトルデータを得る加算良品スペクトルデータ取得手段と、
前記加算良品スペクトルデータ取得手段により得られた加算良品スペクトルデータに基づき、被検査物に対する継続的な異物の混入の有無を判定する異物継続混入判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
上記手段aによれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
(b-2)手段b.前記加算良品スペクトルデータ取得手段は、1ロット分の被検査物に係るスペクトルデータであって該1ロット分の被検査物の生産期間に対応するもの、又は、1ロット分の製品の生産に用いられる被検査物に係るスペクトルデータであって該1ロット分の製品の生産期間に対応するものを加算して加算良品スペクトルデータを得るように構成されていることを特徴とする手段aに記載の検査装置。
尚、「1ロット分の被検査物の生産期間」は、同一品質の原料を用いて同一条件で被検査物を生産する期間であり、均質の被検査物が生産される期間である。
上記手段bによれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
(b-3)手段c.前記加算良品スペクトルデータ取得手段は、1万個以上の被検査物に係るスペクトルデータを加算して加算良品スペクトルデータを得るように構成されていることを特徴とする手段bに記載の検査装置。
上記手段cによれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
(b-4)手段d.前記異物継続混入判定手段は、継続的な異物の混入が生じていない被検査物に係る加算良品スペクトルデータを用いて、被検査物に対する継続的な異物の混入の有無を判定するように構成されていることを特徴とする手段aに記載の検査装置。
上記手段dによれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
(b-5)手段e.手段bに記載の検査装置と、
前記異物継続混入判定手段によって、1ロット分の被検査物又は1ロット分の製品の生産に用いられる被検査物に係る加算良品スペクトルデータに基づき、被検査物に対する継続的な異物の混入がないと判定された場合に、該1ロット分の被検査物又は製品の出荷を許可する出荷許可手段とを備えることを特徴とする生産管理システム。
上記手段eによれば、上記手段5と同様の作用効果が奏される。尚、上記手段a~eに係る各技術事項を適宜組み合わせてもよい。
(c)上記実施形態では、ポケット部2に対する錠剤5の充填後であって、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着前に、検査装置51による検査が行われる構成となっている。
これに対し、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着後であって、PTPフィルム6の打抜前に、PTPフィルム6の容器フィルム3側からポケット部2越しに、検査装置51による検査を行う構成としてもよい。また、コンベア39によって搬送されているPTPシート1の容器フィルム3側からポケット部2越しに、検査装置51による検査を行ってもよい。
(d)上記実施形態において、検査装置51は、PTP包装機10に適用されており、ポケット部2に充填された後の錠剤5を検査しているが、ポケット部2に充填される前の錠剤5を検査するものであってもよい。
従って、検査装置51を、錠剤5を製造するための打錠装置や、打錠装置により得られた錠剤5を検査するための検査装置などに適用してもよい。この場合、1ロット分の錠剤5に係る平均スペクトルデータであって該1ロット分の錠剤5の生産期間に対応するものを加算することによって、加算良品スペクトルデータを得ることとしてもよい。「1ロット分の錠剤5の生産期間」は、同一品質の原料を用いて同一条件で錠剤を生産する期間であり、均質の錠剤5が生産される期間である。
(e)上記実施形態では、基準スペクトルデータとして、予め取得された、継続的な異物の混入が生じていない錠剤5に係る加算良品スペクトルデータを用いているが、基準スペクトルデータはこれに限られるものではない。従って、例えば、次のようなAIモデルを利用して得た基準スペクトルデータを用いてもよい。
AIモデルは、継続的な異物の混入が生じていない錠剤5に係る加算良品スペクトルデータ(混入なしデータ)のみを学習したものであって、入力された加算良品スペクトルデータに応じて再構成した再構成加算良品スペクトルデータを出力する。AIモデルは、混入なしデータのみを学習させて生成したものであるため、継続的な異物の混入が生じている錠剤5に係る加算良品スペクトルデータ(混入ありデータ)が入力された場合、再構成加算良品スペクトルデータとして、継続的に混入した異物に係るスペクトルが正常化された入力データとほぼ一致するものを出力する。すなわち、AIモデルは、混入ありデータが入力されたとき、再構成加算良品スペクトルデータとして、継続的な異物の混入がないものと仮定した場合の仮想的な混入なしデータを生成する。そして、この仮想的な混入なしデータを、基準スペクトルデータとして用いてもよい。
(f)上記実施形態において、搬送される錠剤5の列数は5列とされているが、PTPシート1の構成などに応じて錠剤5の列数は適宜変更される。従って、例えば、PTPシート1が3列12個のポケット部を有するものである場合には、搬送される錠剤5の列数を3列としてもよい。勿論、検査装置51を打錠装置などに適用する場合には、搬送される錠剤5の列数を1列としてもよい。
(g)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更してもよい。