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JP7747511B2 - 水系顔料分散体 - Google Patents

水系顔料分散体

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JP7747511B2 JP2021213223A JP2021213223A JP7747511B2 JP 7747511 B2 JP7747511 B2 JP 7747511B2 JP 2021213223 A JP2021213223 A JP 2021213223A JP 2021213223 A JP2021213223 A JP 2021213223A JP 7747511 B2 JP7747511 B2 JP 7747511B2
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Description

本発明は、水系顔料分散体及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、記録媒体に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、被記録媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。特に記録物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
一方、水系顔料分散体及びそれを含有する水系インクは、顔料粒子が液中に分散しているため、顔料やポリマー由来の粗大粒子により、保存安定性、吐出性等が劣るという問題がある。
また、インクジェット記録方式については、普通紙への印刷に加えて、コート紙等の低吸水性記録媒体や樹脂フィルム等の非吸水性記録媒体への適用が進んでいるが、低吸水性や非吸水性の記録媒体では、水系インクが記録媒体内部に浸透しないため、顔料粒子は記録媒体の表面上に残留し、得られる記録物の定着性が劣るという問題がある。
そこで、水系顔料分散体及びそれを含有する水系インクの特性を改善するため、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、保存安定性、吐出性、定着性に優れた水系顔料分散体として、顔料をポリマー分散剤で分散させた水系顔料分散体であって、該ポリマー分散剤がカルボキシ基を有する水不溶性ポリマーであり、該カルボキシ基のうち少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物で中和されており、かつ該カルボキシ基の一部が水不溶性多官能エポキシ化合物と反応させて得られる架橋構造を有し、特定の条件を満たす水系顔料分散体が開示されている。
特開2017-119815号公報
近年、水系顔料分散体及びそれを含有する水系インクについて、保存安定性、吐出性、画像の定着性を更に高めてほしいとの要望がある。特許文献1の水系顔料分散体は、保存安定性等がある程度向上しているが、ポリマー分散剤の酸価が低いため、水系顔料分散体及びそれを含有する水系インクを長期間保存した場合、保存安定性、吐出性、画像の定着性に対する要望を十分に満足するには至っていない。
本発明は、水系インクに配合することにより、保存安定性、吐出性を向上させ、画像の定着性が優れた記録物を得ることができる水系顔料分散体、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、ポリマー分散剤として、酸価が非常に大きいポリマーaを中和、架橋してなるものであり、ポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、特定の条件を満たすものが、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]に関する。
[1]顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、
該ポリマー分散剤は、カルボキシ基を有するポリマーaから構成され、該カルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和され、かつ多官能エポキシ化合物で架橋されており、
該ポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たす水系顔料分散体。
条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
ここで、中和度は「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
[2]下記工程1~3を有し、かつポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たす水系顔料分散体の製造方法。
工程1:カルボキシ基を有するポリマーaをアルカリ金属水酸化物で中和する工程
工程2:工程1で得られたポリマーをポリマー分散剤として、水系媒体中で顔料を分散し、顔料水分散体を得る工程
工程3:工程2で得られた顔料水分散体を、多官能エポキシ化合物で架橋処理し、ポリマーaが架橋された水系顔料分散体を得る工程
条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
ここで、中和度は「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
本発明によれば、水系インクに配合することにより、保存安定性、吐出性を向上させ、画像の定着性が優れた記録物を得ることができる水系顔料分散体、及びその製造方法を提供することができる。
[水系顔料分散体]
本発明の水系顔料分散体は、顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、該ポリマー分散剤は、カルボキシ基を有するポリマーaから構成され、該カルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和され、かつ多官能エポキシ化合物で架橋されており、
該ポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たす。
条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
ここで、中和度は「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
なお、本明細書において、「水系」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。また、「記録」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念である。
本発明の水系顔料分散体は、水系インクに配合することにより、保存安定性を向上させ、画像の定着性が優れた記録物を得ることができるため、フレキソ印刷用、グラビア印刷用、又はインクジェット記録用の水系顔料分散体として好適に用いることができる。
また、本発明の水系顔料分散体を含む水系インクは、インクジェット記録方式における吐出性や画像の定着性に優れることから、インクジェット記録用の水系インクとして用いることが好ましい。
本発明の水系顔料分散体を含む水系インクは、保存安定性、吐出性、画像の定着性が優れている。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系顔料分散体は、酸価が非常に大きいポリマーaを用いることから、ポリマーが架橋された後に残存するポリマーa由来の酸価が大きく、前記条件1を満たしており、中和や架橋に寄与していないポリマー分散剤中のフリーのカルボキシ基の量が大きい。その結果、記録媒体上に水系顔料分散体を含むインクを吐出し画像を形成すると、インクビヒクルの乾燥時に、カルボキシ基由来の水素結合により、記録媒体上に強固なポリマー皮膜を形成できるため、優れた定着性が発現すると考えられる。
また、ポリマー分散剤が多官能エポキシ化合物により架橋されていることで、ポリマー分散剤が顔料から脱離しにくく、さらに、ポリマー分散剤に存在するカルボキシ基の少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物で中和されているため、強い電荷反発が得られ、水系顔料分散体及びそれを含有する水系インクの保存安定性、吐出性が高まると考えられる。
<顔料>
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物等が挙げられ、黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。白色インクにおいては、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、無彩色インクにおいては、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料、有彩色インクにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、ブルー、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、顔料はポリマー分散剤で分散され、水系顔料分散体中に含有される。
<ポリマー分散剤>
本発明に用いられるポリマー分散剤は、保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、カルボキシ基を有するポリマーaから構成され、該カルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和され、かつ多官能エポキシ化合物で架橋されてなるものである。
中和剤としてアルカリ金属水酸化物を使用することで、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、水系顔料分散体の保存時における増粘や凝集の発生が抑制され、保存安定性、吐出性、画像の定着性が向上すると考えられる。
(カルボキシ基を有するポリマーa)
本発明で用いられるカルボキシ基を有するポリマーa(以下、単に「ポリマーa」ともいう)は、顔料分散作用を発現する顔料分散剤としての機能と、記録媒体への定着剤としての機能を有する。
このポリマーaは、未中和の状態では勿論、そのカルボキシ基の一部を中和した後でも水不溶性であることが好ましい。ここで、「水不溶性」とは、ポリマーaの水分散体が透明とならないことを意味する。またポリマーaの水分散体が目視で透明に見えたとしても、レーザー光や通常光による観察でチンダル現象が認められる場合は水不溶性であると判断する。
ポリマーaの酸価は、好ましくは300mgKOH/g以上、より好ましくは310mgKOH/g以上、更に好ましくは320mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは480mgKOH/g以下、更に好ましくは450mgKOH/g以下、より更に好ましくは400mgKOH/g以下である。ポリマーaの酸価が前記範囲であれば、カルボキシ基及びその中和されたカルボキシ基の量は十分であり、保存安定性が確保される。またポリマー分散剤と水系媒体の親和性と、ポリマー分散剤と顔料との相互作用とのバランスの点からも好ましい。
ポリマーの酸価は、実施例に記載のとおり、JIS K0070-1992に記載の中和滴定法で求めることができる。また、構成するモノマーの質量比から算出することもできる。
水系顔料分散体中での顔料及びポリマー分散剤の存在形態としては、ポリマー分散剤が顔料に吸着している状態、ポリマー分散剤が顔料を含有している顔料内包(カプセル)状態等がある。これらの中では、保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)の形態が好ましく、水不溶性ポリマーが顔料を内包している顔料内包ポリマー粒子の形態がより好ましい。
用いられる水不溶性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、及びビニル系ポリマーから選ばれる1種以上が挙げられるが、水系顔料分散体の保存安定性を向上させる観点から、ビニル化合物、ビニリデン化合物、及びビニレン化合物等から選ばれるビニルモノマーの付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
ポリマー分散剤であるビニル系ポリマーとしては、(a)カルボキシ基含有モノマーと、(b)疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位を有する。このビニル系ポリマーは、更に(c)マクロモノマー由来の構成単位及び/又は(d)ノニオン性モノマー由来の構成単位を含有することができる。
〔(a)カルボキシ基含有モノマー〕
(a)カルボキシ基含有モノマーとしては、カルボン酸モノマーが挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、及びα,β-不飽和ジカルボン酸無水物から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
α,β-不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸、炭素数1以上3以下のアルキル基を有するモノアルキル無水マレイン酸及びジアルキル無水マレイン酸等が挙げられる。
これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸から選ばれる1種以上が好ましい。
〔(b)疎水性モノマー〕
(b)疎水性モノマーの「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。
(b)疎水性モノマーの具体例としては、特開2018-83938号公報の段落〔0020〕~〔0022〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、炭素数1以上18以下、好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数6以上22以下、好ましくは炭素数6以上18以下の芳香族基を有する芳香族基含有モノマーから選ばれる1種以上が好ましく、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上がより好ましい。
〔(c)マクロモノマー〕
(c)マクロモノマーは、片末端にメタクリロイルオキシ基等の重合性官能基を有する数平均分子量500以上10万以下、好ましくは1000以上1万以下の化合物である。
(c)マクロモノマーとしては、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーが好ましい。芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記(b)疎水性モノマーの欄で記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロモノマーの市販品例としては、東亞合成株式会社の商品名:AS-6(S)、AN-6(S)、HS-6(S)等が挙げられる。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
(d)ノニオン性モノマーとしては、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレングリコール(オキシプロピレン基の平均付加モル数:2~30)(メタ)アクリレートがより好ましい。
(d)成分の市販品例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルMシリーズ、日油株式会社のブレンマーPEシリーズ、同PMEシリーズ、同PPシリーズ、同APシリーズ、同50PEP-300、同50POEP-800B、同43PAPE-600B等が挙げられる。
上記(a)~(d)の各成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
以上の観点から、ポリマーaとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選ばれる1種以上の(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーが好ましく、(i)(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、スチレン、α-メチルスチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上由来の構成単位を有するポリマーがより好ましい。このポリマーaは、更に(c)成分由来の構成単位及び/又は(d)成分由来の構成単位を含有することができる。
また、ポリマーaとしては、(ii)スチレン無水マレイン酸共重合体がより好ましい。(ii)スチレン無水マレイン酸共重合体は、無水マレイン酸由来の構成単位とスチレン由来の構成単位を有し、無水マレイン酸由来の構成単位とスチレン由来の構成単位が交互共重合している部分が存在し、無水マレイン酸由来の構成単位が加水分解して生じるマレイン酸由来の構成単位とスチレン由来の構成単位が規則的に配置されていることにより、ポリマーaの顔料への吸着がより均一になると考えられる。スチレン無水マレイン酸共重合体については、別途に後述する。
(ポリマーa中における各構成単位の含有量)
ポリマーa中における(a)及び(b)成分に由来する構成単位の含有量は、顔料含有ポリマー粒子の分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
(b)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
さらに(c)成分及び/又は(d)成分を含有する場合のポリマーa中における(a)~(d)成分に由来する構成単位の含有量は、顔料含有ポリマー粒子の分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
(b)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
(c)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
(d)成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
[(a)成分/(b)成分]の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下である。
また、(c)成分を含有する場合、[(a)成分/〔(b)成分+(c)成分〕]の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下である。
(ポリマーaの製造)
ポリマーaは、前記(a)~(d)成分の混合物を公知の重合法により共重合させることによって製造できる。重合法としては、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に制限はないが、水、炭素数1~3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒が好ましく、水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等がより好ましい。
重合の際には、公知の重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができ、重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましく、重合連鎖移動剤としては、2-メルカプトエタノール等のメルカプタン化合物が好ましい。
好ましい重合条件は、重合開始剤の種類等によって異なるが、重合温度は50~90℃が好ましく、重合時間は1~10時間であることが好ましい。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
ポリマーaの数平均分子量は、保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは8,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは18,000以下、更に好ましくは15,000以下である。
なお、ポリマーaの数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
(スチレン無水マレイン酸共重合体)
スチレン無水マレイン酸共重合体中の無水マレイン酸由来の構成単位に対するスチレン由来の構成単位のモル比(スチレン/無水マレイン酸)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.5以下である。
スチレン無水マレイン酸共重合体中の無水マレイン酸由来の構成単位の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは23質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
スチレン無水マレイン酸共重合体は、スチレン単位及び無水マレイン酸単位以外の構成単位を有してもよいが、スチレン無水マレイン酸共重合体中のスチレン単位及び無水マレイン酸単位の合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であることが更に好ましい。
スチレン無水マレイン酸共重合体のガラス転移温度(Tg)は、保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
ガラス転移温度は、実施例に記載の方法により測定される。
スチレン無水マレイン酸共重合体の酸価は、ポリマーaの酸価の欄で述べたとおり、好ましくは300mgKOH/g以上、より好ましくは310mgKOH/g以上、更に好ましくは320mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは480mgKOH/g以下、更に好ましくは450mgKOH/g以下、より更に好ましくは400mgKOH/g以下である。
スチレン無水マレイン酸共重合体の数平均分子量(Mn)は、上記と同様の観点から、好ましくは1,500以上、より好ましくは1,800以上、更に好ましくは2,000以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下である。
数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法により測定される。
スチレン無水マレイン酸共重合体は、市販品でも、公知の方法により合成したものでもよい。また、スチレン単位と無水マレイン酸単位の結合形態に特に制限はないが、ランダム重合又はブロック重合の形態が好ましい。
スチレン無水マレイン酸共重合体の市販品例としては、Polyscope社製のXIRANシリーズ商品、NOVA Chemicals社製のDYLARKシリーズ商品、Cray Valley社製のSMAシリーズ商品等が挙げられる。
(ポリマーaの中和と架橋)
本発明に係るポリマーaのカルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和されており、かつ、多官能エポキシ化合物で架橋されている。中和と架橋の詳細については、後述する〔水系顔料分散体の製造方法〕の欄で説明する。
(ポリマーaの酸価と中和度と架橋度)
本発明の水系顔料分散体は、保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、下記の条件1を満たし、好ましくは条件2及び条件3をさらに満たすことが好ましい。
〔条件1〕
条件1は、〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
条件1は、カルボキシ基が中和されておらず、かつ多官能エポキシ化合物と反応していないカルボキシ基の量(残酸価)を示すものであり、多官能エポキシ化合物と反応させる前のポリマーaを基準とする。
条件1の値は、静電反発による保存安定性を向上させる観点から、好ましくは134mgKOH/g以上、より好ましくは140mgKOH/g以上、更に好ましくは145mgKOH/g以上、より更に好ましくは150mgKOH/g以上、より更に好ましくは155mgKOH/g以上、より更に好ましくは160mgKOH/g以上である。そして、条件1の値は、ポリマーaの残存するカルボキシ基を特定の範囲に制御し、記録媒体上に強固な皮膜を形成させて、画像の定着性を向上させる観点から、好ましくは245mgKOH/g以下、より好ましくは240mgKOH/g以下、更に好ましくは230mgKOH/g以下、より更に好ましくは210mgKOH/g以下である。
〔条件2〕
条件2は、〔(中和度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、35mgKOH/g以上140mgKOH/g以下である。
条件2は、ポリマーaが有するカルボキシ基の中和される量を示す。
条件2の値は、静電反発による保存安定性を向上させる観点から、好ましくは38mgKOH/g以上、より好ましくは40mgKOH/g以上、更に好ましくは43mgKOH/g以上であり、そして、ポリマーaの顔料への吸着を阻害せず、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは135mgKOH/g以下、より好ましくは130mgKOH/g以下、更に好ましくは120mgKOH/g以下である。
また、条件2の値は、高温での保存安定性、画像の定着性を向上させる観点から、より更に好ましくは100mgKOH/g以下、より更に好ましくは80mgKOH/g以下、より更に好ましくは75mgKOH/g以下である。
〔条件3〕
条件3は、〔(架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、75mgKOH/g以上230mgKOH/g以下である。
なお、架橋度は、「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
条件3の値は、ポリマーaの顔料への吸着を阻害せず、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは80mgKOH/g以上、より好ましくは85mgKOH/g以上、更に好ましくは90mgKOH/g以上、より更に好ましくは95mgKOH/g以上であり、そして、皮膜の脆化を抑制し、画像の定着性を確保する観点から、好ましくは220mgKOH/g以下、より好ましくは200mgKOH/g以下、更に好ましくは180mgKOH/g以下、より更に好ましくは160mgKOH/g以下、より更に好ましくは140mgKOH/g以下である。
〔水系顔料分散体の製造方法〕
本発明の水系顔料分散体は、下記工程1~3を有し、かつポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たす方法により、効率的に製造することができる。
工程1:カルボキシ基を有するポリマーaをアルカリ金属水酸化物で中和する工程
工程2:工程1で得られたポリマーをポリマー分散剤として、水系媒体中で顔料を分散し、顔料水分散体を得る工程
工程3:工程2で得られた顔料水分散体を、多官能エポキシ化合物で架橋処理し、ポリマーaが架橋された水系顔料分散体を得る工程
条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
〔工程1〕
工程1は、カルボキシ基を有するポリマーaをアルカリ金属水酸化物で中和する工程である。工程1では、まず、ポリマーaを有機溶媒に溶解させ、中和剤としてアルカリ金属水酸化物を添加して中和する。
前記有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上8以下のケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトンが更に好ましい。ポリマーaを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
(中和)
ポリマーaのカルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和される。中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、上記と同様の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
ポリマーaのカルボキシ基の中和度は、得られる水系インクの保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上、更に好ましくは12モル%以上であり、そして、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
ここで中和度とは、アルカリ金属水酸化物のモル当量数をポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数で除した値、即ち「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。本来、中和度は100モル%を超えることはないが、本発明ではアルカリ金属水酸化物のモル当量数から計算するため、アルカリ金属水酸化物を過剰に用いた場合は100モル%を超える。
〔工程2〕
工程2は、工程1で得られたポリマーをポリマー分散剤として、水系媒体中で顔料を分散し、顔料水分散体を得る工程である。
ここで用いる水系媒体に特に制限はないが、水を主成分とするものが好ましい。水系媒体には、顔料への濡れ性、ポリマーの顔料への吸着性を向上させる観点から、更に有機溶媒を添加してもよい。前記有機溶媒としては、工程1で用いたものと同様のものが挙げられる。
工程2における分散処理は、剪断応力による本分散だけで顔料粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な顔料水分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料水分散体中の顔料粒子の平均粒径を調整することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上300MPa以下であり、パス回数は、好ましくは3以上30以下である。
工程2で得られた顔料水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。
得られた顔料水分散体は、顔料含有ポリマー粒子が水を主媒体とする媒体中に分散しているものである。ここで、顔料含有ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに顔料が内包された粒子形態、ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、ポリマーの粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
得られる顔料水分散体の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点、及び水系インクの調製を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
なお、顔料水分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体中の顔料の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
顔料水分散体中のポリマーの含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
顔料水分散体中のポリマーに対する顔料の質量比〔顔料/ポリマー〕は、得られる水系インクの保存安定性、吐出性、画像の定着性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。
顔料水分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、得られる水系インクの吐出性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、また、好ましくは200nm以下、より好ましくは160nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
また、水系顔料分散体及び水系インク中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、顔料水分散体中の平均粒径とほぼ同じであり、好ましい平均粒径の態様は、顔料水分散体中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
〔工程3〕
工程3は、工程2で得られた顔料水分散体を、多官能エポキシ化合物で架橋処理し、ポリマーaが架橋された水系顔料分散体を得る工程である。
工程3で、顔料水分散体中の顔料含有ポリマー粒子を構成するポリマーのカルボキシ基の一部を架橋し、顔料含有ポリマー粒子の表層部に架橋構造を形成させることによって、顔料水分散体は所定の水系顔料分散体となる。この水系顔料分散体は、ポリマーa由来の構成成分と多官能エポキシ化合物由来の構成成分からなり、顔料が架橋されたポリマー分散剤で水系媒体に分散された形態となっている。
(多官能エポキシ化合物)
本発明で用いられる多官能エポキシ化合物は、水不溶性でも水溶性でもよいが、水系媒体中で効率よくポリマー中のカルボキシ基と反応させる観点から、水不溶性であることがより好ましい。
多官能エポキシ化合物の水溶率は、上記と同様の観点から、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。また、上記と同様の観点から、水溶率は10質量%以上であることが好ましい。
なお、水溶率は、実施例に記載の方法により測定される。
多官能エポキシ化合物としては、分子中にエポキシ基を2以上有する多官能エポキシ化合物が好ましく、グリシジルエーテル基を2以上有する化合物がより好ましく、炭素数3以上4以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物が更に好ましい。
多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは90g/eq以上、より好ましくは100g/eq以上、更に好ましくは110g/eq以上であり、そして、好ましくは300g/eq以下、より好ましくは220g/eq以下、より好ましくは180g/eq以下である。
架橋剤の好適例としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(水溶率:31質量%)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(水溶率:0質量%)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(水溶率:27質量%)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(水溶率:0質量%)、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(水溶率:0質量%)等のポリグリシジルエーテル等から選ばれる1種以上の他、エチレングリコールジグリシジルエーテル(水溶率:100質量%)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(水溶率:94質量%)が挙げられる。これらの中では、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。
(架橋反応)
架橋反応の温度は、反応の完結と経済性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、反応時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは15時間以下、より好ましくは8時間以下である。
ポリマーの架橋度は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。
架橋度は、ポリマーの酸価と架橋剤のエポキシ基の当量から計算される見かけの架橋度である。即ち、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
[水系インクの製造方法]
水系インクは、本発明の水系顔料分散体に有機溶媒の他、必要に応じて界面活性剤を添加することにより調製することができる。
有機溶媒は、水系インクの保存安定性等を向上させる観点から用いられる。ここで用いられる有機溶媒は、沸点90℃以上の1種又は2種以上の有機溶媒を含むことが好ましく、沸点の加重平均値が250℃以下である有機溶媒が好ましい。有機溶媒の沸点の加重平均値は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
当該有機溶媒の具体例としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。これらの中では、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、グリセリン、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパンから選ばれる1種以上が更に好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられるが、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤等がより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、炭素数8~22のアセチレングリコール及び該アセチレングリコールのエチレン付加物が挙げられ、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及びそのエチレンオキシド付加物が好ましい。
ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤の具体例としては、PEG-9ジメチコン、PEG-9PEG-9ジメチコン、PEG-9メチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン等が挙げられる。
水系インクには、更に必要に応じて、水系インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加することができる。
水系インク中の顔料の含有量は、水系インクの印刷濃度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、保存安定性、吐出性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましく7質量%以下である。
水系インク中の顔料とポリマーとの合計含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは17質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
[インクジェット記録方法]
本発明に係る水系インクは、公知のインクジェット記録装置に装填し、記録媒体にインク液滴として吐出させて画像等を記録することができる。
インクジェット記録装置としては、サーマル式及びピエゾ式があるが、ピエゾ式のインクジェット記録用水系インクとして用いることがより好ましい。
用いることができる記録媒体としては、普通紙、コート紙等の低吸水性の記録紙、PETフィルムやポリプロピレンフィルム等の非吸水性の樹脂フィルム等が挙げられる。本発明に係る水系インクは、保存安定性、吐出性に優れ、低吸水性や非吸水性の記録媒体への記録においても、画像の定着性に優れた記録物を得ることができる。
なお、「低吸水性」及び「非吸水性」とは、記録媒体と純水との接触時間100m秒間における該記録媒体の吸水量が10g/m2以下であることを意味する。
以下の製造例、調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、各物性等の測定方法は以下のとおりである。
(1)ポリマーの数平均分子量(Mn)の測定
N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製、GPC装置(HLC-8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolumn Super AW-H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中にポリマー0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC-13HP、PTFE、0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
(2)ポリマーの酸価の測定
JIS K0070-1992に記載の中和滴定法に従い、測定溶媒を、エタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕に変更して、ポリマーの酸価(mgKOH/g)を測定した。
(3)スチレン無水マレイン酸共重合体のガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:Q-100)を用いて、試料0.01~0.02部をアルミパンに計量し、室温(20℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
(4)顔料水分散体、水系顔料分散体の固形分濃度の測定
30mLのポリプロピレン製容器(φ:40mm、高さ:30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して混合した後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で更に15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(5)顔料水分散体、水系顔料分散体中の粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム(大塚電子株式会社製、商品名:ELS-8000)を用いて、動的光散乱法により粒径を測定し、キュムラント法解析により算出した。
測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定サンプルには、水系顔料分散体をスクリュー管(マルエム株式会社製、No.5)に計量し、固形分濃度が2×10-4質量%(固形分濃度換算)になるように水を加えてマグネチックスターラーを用いて25℃で1時間撹拌したものを用いた。
(6)多官能エポキシ化合物の水溶率の測定
室温25℃にてイオン交換水90質量部及び架橋剤10質量部をガラス管(25mmφ×250mmh)に添加し、該ガラス管を水温25℃に調整した恒温槽中で1時間静置した。次いで、該ガラス管を1分間激しく振とうした後、再び恒温槽中で10分間静置した。次いで、未溶解物を秤量し、水溶率(質量%)を算出した。
調製例1(ポリマーa1の調製)
アクリル酸79.5部、スチレン111.5部、α-メチルスチレン9.0部を混合しモノマー混合液を調製した。反応容器内に、MEK20部、2-メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、2-メルカプトエタノール0.27部、メチルエチルケトン(MEK)60部及びラジカル重合開始剤(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:V-65、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、カルボキシ基を有するポリマーa1のMEK溶液(数平均分子量:12,000、酸価:310mgKOH/g)を得た。結果を表1に示す。
調製例2(ポリマーa2の調製)
メタクリル酸113.4部、ベンジルアクリレート26.6部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS-6S、数平均分子量:6000、固形分濃度:50%)40.0部(固形分として20.0部)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP-800、プロピレンオキシド平均付加モル数:13、末端:ヒドロキシ基)40.0部を混合し、モノマー混合液を調製した。反応容器内に、MEK20部及び2-メルカプトエタノール0.3部、前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、2-メルカプトエタノール0.27部、MEK60部、及びラジカル重合開始剤(商品名:V-65)2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、カルボキシ基を有するポリマーa2のMEK溶液(数平均分子量:12,000、酸価:370mgKOH/g)を得た。結果を表1に示す。
調製例3、4(ポリマーa3、a4の入手)
カルボキシ基を有するポリマーa3として、スチレン無水マレイン酸共重合体(Cray Valley社製、商品名:SMA2000、(スチレン/マレイン酸)モル比:2、酸価:355mgKOH/g、Tg:135℃、数平均分子量:3,000)を用意し、カルボキシ基を有するポリマーa4として、スチレン無水マレイン酸共重合体(Cray Valley社製、商品名:SMA1000、(スチレン/マレイン酸)モル比:1、酸価:480mgKOH/g、Tg:155℃、数平均分子量:2,000)を用意した。
製造例1(顔料水分散体A1の製造)
調製例1で得られたポリマーa1のMEK溶液を減圧乾燥させて得られたカルボキシ基を有するポリマーa1 66.6部をMEK78.6部と混合し、更に中和剤として5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分:16.9%)13.5部を加え、ポリマーa1に由来するカルボキシ基のモル当量数に対する水酸化ナトリウムのモル当量数の百分率が15.5モル%になるように中和し(中和度:15.5モル%)、更にイオン交換水600部を加えた。さらに、カーボンブラック顔料(キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Monarch800)100部を加え、ディスパー(浅田鉄工株式会社製、商品名:ウルトラディスパー)を用いて、20℃でディスパー翼を7000rpmで回転させる条件で60分間攪拌した。
得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。得られた分散液にイオン交換水330部を加え、攪拌した後、減圧下、60℃でMEKを完全に除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体A1を得た。
製造例2~9(顔料水分散体A2~A9の製造)
製造例1において、表2に示すように、ポリマーaの種類、中和剤の種類と量を変えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体A2~A9を得た。結果を表2に示す。
製造例10(顔料水分散体A10の製造)
製造例1において、ポリマーa1の代わりにポリマーa4(スチレン無水マレイン酸共重合体:SMA1000(スチレン/無水マレイン酸)モル比:2)を使用し、表2に示す条件とした以外は、製造例1と同様にして(ポリマーa4の中和度:27.0モル%)顔料水分散体A10を得た。
製造例11(顔料水分散体A11の製造)
製造例2において、5N水酸化ナトリウムを26.6部とした以外は、製造例2と同様にして(ポリマーa2の中和度:25.5モル%)顔料水分散体A11を得た。
実施例1(水系顔料分散体B1の製造)
製造例1で得られた顔料水分散体A1の100部(固形分濃度:20%)をねじ口付きガラス瓶に取り、多官能エポキシ化合物(架橋剤)として、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX-321、水溶率:27質量%、エポキシ当量:140g/eq)2.4部(架橋度:38.7モル%)とイオン交換水9.6部を加えて密栓し、スターラーで撹拌しながら70℃で5時間加熱した。5時間経過後、室温まで降温し、5μmのアセチルセルロース製フィルターを取り付けたシリンジで濾過して、固形分濃度20%の水系顔料分散体B1を得た。
実施例2~15、比較例1~2(水系顔料分散体B2~B15、B21~B22の製造)
実施例1において、表3に示すように、顔料水分散体Aの種類、架橋剤の種類と量、イオン交換水の量を変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分濃度20%の水系顔料分散体B2~B15、B21~B22を得た。結果を表3に示す。
なお、実施例12、14、15で用いた架橋剤は、以下のとおりである。
・EX-212:1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX-212、水溶率:0質量%、エポキシ当量:151g/eq)
・EX-810:エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、水溶率:100質量%、商品名:デナコールEX-810、エポキシ当量:113g/eq)
・EX-614B:ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX-614B、水溶率:94質量%、エポキシ当量:173g/eq)
<水系インクの調製と評価試験>
(水系インクの調製)
実施例、比較例で得られた各水系顔料分散体B(固形分濃度:20%)40部、プロピレングリコール30部、界面活性剤(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系非イオン性界面活性剤、商品名:サーフィノール104、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール)1部、合計量が100部となるようイオン交換水29部を添加して、水系インクを得た。
上記で得られた水系インクを用いて、以下の方法で、保存安定性、吐出性、及び定着性の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)保存安定性(粘度変化率)の評価
密閉容器内で、水系インクを70℃恒温室下で7日間保存した後、平均粒径を測定した。70℃、7日間保存後における粘度変化率を下記式により算出(小数点以下は切り捨て)し、保存安定性を評価した。
粘度変化率(%)=[〔保存後の粘度/保存前の粘度〕-1]×100
粘度変化率が20%以下であれば実使用が可能であり、10%以下であれば好適に実使用でき、5%以下であれば特に好適に使用できる。
(2)吐出性の評価
インクジェットプリンター(株式会社リコー製、商品名:IPSiO GX 2500、ピエゾ式)で普通紙100枚の全面ベタ印刷指令を出し、100枚目を印刷中に電源コードを抜いて記録ヘッドがホームポジションに戻らない状態で停止させた。その状態で室温25℃、相対湿度50%の環境下で1日静置した後、通電して記録ヘッドがホームポジションに戻ったことを確認した後、ヘッドクリーニング操作を実施した。ヘッドクリーニング操作終了後、コート紙「OKトップコート+」(王子製紙株式会社製)にA4ベタ画像1枚を印刷し、白線(吐出されていないノズル数に相当)が認められた場合は再度ヘッドクリーニング操作を行うことを繰り返し、以下の基準で吐出性を評価した。
(評価基準)
○:白線発生なしになるまでのヘッドクリーニング操作1回。
△:白線発生なしになるまでのヘッドクリーニング操作2回。
×:白線発生なしになるまでのヘッドクリーニング操作3回以上。
上記評価基準で○であれば実使用に特に好適に使用でき、△であれば好適に使用できる。×であれば実使用に問題がある。
(3)定着性の評価
水系インクを、上記インクジェットプリンター(商品名:IPSiO GX 2500)に充填し、コート紙「OKトップコート+」(王子製紙株式会社製)に、A4ベタ画像を印刷した。次いで、120℃の乾燥機にて2分間乾燥し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で1日静置し、評価用印刷物を得た。
得られた印刷物を、学振形摩耗試験機(株式会社大栄科学精器製作所製、商品名:RT-300)を用いて、2×2cmに切り取った無印刷のコート紙を印刷面に乗せ、荷重10Nで10往復させて、転写したインクの濃度を、分光光度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製、商品名:スペクトロアイ)を用いて測定した。
転写したインクの濃度が低いほど定着性が優れていると判断され、数値として0.2以下であれば、実用上使用できる。
表3から、本発明の実施例で得られた水系顔料分散体B1~B15を含有する水系インクは、比較例で得られた水系顔料分散体B21~B22を含有する水系インクに比べて、保存安定性、吐出性に優れ、画像の定着性が優れた記録物を得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、
    該ポリマー分散剤は、カルボキシ基を有するポリマーaから構成され、該カルボキシ基の少なくとも一部は、アルカリ金属水酸化物で中和され、かつ多官能エポキシ化合物で架橋されており、
    該ポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たし、
    さらに下記条件3を満たす、
    水系顔料分散体。
    条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
    ここで、中和度は「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
    条件3:〔(架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、75mgKOH/g以上230mgKOH/g以下である。
  2. ポリマーaの酸価が、300mgKOH/g以上500mgKOH/gである、請求項1に記載の水系顔料分散体。
  3. さらに下記条件2を満たす、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体。
    条件2:〔(中和度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、35mgKOH/g以上140mgKOH/g以下である。
  4. ポリマーaを構成するカルボキシ基含有モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  5. ポリマーaがスチレン無水マレイン酸共重合体である、請求項1~4のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  6. 多官能エポキシ化合物の水溶率が45質量%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  7. インクジェット記録用である、請求項1~6のいずれかに記載の水系顔料分散体。
  8. 下記工程1~3を有し、かつポリマーaの酸価と中和度と架橋度が、下記条件1を満たし、
    さらに下記条件3を満たす、水系顔料分散体の製造方法。
    工程1:カルボキシ基を有するポリマーaをアルカリ金属水酸化物で中和する工程
    工程2:工程1で得られたポリマーをポリマー分散剤として、水系媒体中で顔料を分散し、顔料水分散体を得る工程
    工程3:工程2で得られた顔料水分散体を、多官能エポキシ化合物で架橋処理し、ポリマーaが架橋された水系顔料分散体を得る工程
    条件1:〔(100-中和度-架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、132mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である。
    ここで、中和度は「アルカリ金属水酸化物のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率、架橋度は「多官能エポキシ化合物に由来するエポキシ基のモル当量数/ポリマーaに由来するカルボキシ基のモル当量数」の百分率である。
    条件3:〔(架橋度)/100〕×(ポリマーaの酸価)の値が、75mgKOH/g以上230mgKOH/g以下である。
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