以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.本発明の概要≫
本発明は、ニッケル酸化鉱石を原料として、その酸化鉱石と還元剤とを混合して得られる混合物を還元することによって、還元物であるフェロニッケルのメタルを製造する酸化鉱石の製錬方法である。
そして、この製錬方法は、還元炉に石炭を含有し、さらに木炭及び澱粉のうち少なくとも1つ以上を含有する還元剤(第2の還元剤)を投入して混合物に還元処理を施すことを特徴としている。
このような方法によれば、還元炉に石炭を含有し、さらに木炭及び澱粉のうち少なくとも1つ以上を含有する還元剤(第2の還元剤)を投入して混合物に還元処理を施すことにより、得られるメタルの品位を高めることができる。
図1は、ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す図である。図1に示すように、この製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を原料として第1の還元剤と混合して混合物を得る混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形してペレット(塊状物)とする塊状化工程S2と、ペレット(混合物)を乾燥する乾燥工程S3と、ペレット(混合物)に還元処理を施す還元工程S4と、還元により生成した還元物からメタルを回収する回収工程S5と、を有する。
<2-1.混合処理工程>
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に第1の還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm以上0.8mm以下程度の粉末に混合処理を施し混合物を得る。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。ニッケル酸化鉱石の代表的な構成成分としては、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)を含有する。
第1の還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等の炭素質還元剤が挙げられる。また、その一部または全てを植物由来成分、例えば澱粉等で構成してもよい。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の大きさのものであると、均一に混合し易く、還元反応も均一に進みやすくなるため好ましい。
第1の還元剤の混合量としては、特に限定されないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましい。
また、第1の還元剤の混合量の上限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値を100%としたときに、300質量%以下とすることが好ましく、200質量%以下とすることが好ましく、100質量%以下とすることがさらに好ましく、50重量%以下とすることがさらになお好ましい。なお、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量とは、混合物に含まれる酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、混合物に含まれる酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と定義できる。
任意成分として添加する添加剤である鉄鉱石としては、特に限定されないが、例えば、鉄品位が50質量%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(質量%)の一例を示す。なお、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
混合処理工程S1では、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末の混合を、混合機等を用いて行うことができる。また、原料粉末を混合して混合物を得る際、混合性を高めるために原料粉末に対して混練処理を施してもよい。これにより、混合物にせん断力が加えられ、還元剤や原料粉末等の凝集が解けてより均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができるため、均一な還元処理を行い易くすることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。
混練処理は、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸混練機、二軸混練機等を用いて行うことができる。混合物を混練することによって、その混合物にせん断力を加え、還元剤や原料粉末等の凝集を解いて均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができる。これにより、その混合物において還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。
また、混合を行った後、あるいは混合及び混練を行った後、押出機を用いて押出してもよい。これにより、混合物に対して圧力(せん断力)が加えられ、還元剤や原料粉末等の凝集を解いてその混合物をより均一に混合させた状態とすることができる。さらに、混合物内の空隙を減少させることができる。これらのことから、後述する還元工程S3において混合物の還元反応が均一に起りやすくなり、得られるメタルの品位を高めることができ、高品質なメタルを製造することができる。
押出機は、高圧、高せん断力で混合物を混練して成形できるものであることが好ましく、一軸押出機、二軸押出機等を挙げることができる。特に、二軸押出機を備えたものであることが好ましい。高圧、高せん断で混合物を混練することにより、原料粉の混合物の凝集を解くことができる。また効果的に混練することができ、混合物の強度を高めることができる。また、二軸押出機を備えたものを用いることにより、連続的に高い生産性を保ちながら混合物を得ることができる。
<2-2.塊状化工程>
塊状化工程S2は、混合処理工程S1にて得られた原料粉末の混合物を成形してペレットを得る工程である。塊状化工程は必須の工程ではないが、混合物を所定の形状に成形することで取り扱い性を向上させることができる。ペレットの形状としては、還元炉の炉床に積層できる形状であればよいが、例えば、球状、直方体状、立方体状、円柱状等の形状であることが好ましい。混合物をこのような形状に成形することで、混合物の成形が容易になるため、成形にかかるコストを抑えることができる。また、成形する形状が複雑でないため、成形不良のペレットの発生を低減でき、ペレットの強度も維持しやすくなる。
この中でも、なるべくペレットを高密で炉床に置けるような形状であることが好ましく、例えば楕円状や円柱状の形状であることが好ましい。ペレットを高密で還元炉の炉床に置いて還元処理を施すことで、不可避的に含まれる酸素や水などによって消費される割合が減り、よって効率的に還元雰囲気を保つことができる。
塊状化工程S2では、例えば、ペレット成形装置を用いて混合物を成形することができる。ペレット成形装置としては、特に限定されないが、高圧、高せん断力で混合物を混練して成形できるものであることが好ましい。高圧、高せん断で混合物を混練することにより、原料粉の混合物の凝集を解くことができ、また効果的に混練することができるうえ、得られるペレットの強度を高めることができる。
<2-3.乾燥処理>
乾燥工程S3は、得られたペレットに対し乾燥処理を施す。乾燥工程は必須の工程ではないが、ペレット形状に塊状化の処理を行って得られたペレットは、その水分が例えば50質量%程度と過剰に含まれている。そのため、過剰の水分を含むペレットを急激に還元温度まで昇温すると、水分が一気に気化し、膨張してペレットが破壊することがある。そこで、得られたペレットに対して乾燥処理を施し、例えば固形分が70質量%程度で、水分が30質量%程度となるようにすることで、次工程の還元工程S3における還元加熱処理においてペレットが崩壊することを防ぐことができる。またそれにより、還元炉からの取り出しが困難になることを防ぐことができる。さらに、ペレットは、過剰な水分によりべたべたした状態となっていることが多いため、乾燥処理を施すことで、取り扱いを容易にすることができる。
ペレットを乾燥する方法は、特に限定されず、ペレットを所定の乾燥温度(例えば、200℃以上400℃以下)に保持する方法や所定の乾燥温度の熱風を混合物に対して吹き付けて乾燥させる方法等、従来公知の手段を用いることができる。このような乾燥処理により、例えば、ペレットの固形分が70質量%程度で、水分が30質量%程度となるようにする。なお、この乾燥処理時における混合物自身の温度としては、100℃未満とすることが好ましく、これにより水分の突沸等による混合物の破裂を抑制することができる。
なお、この乾燥工程は、後述する還元炉の外で行ってもよいし、後述する還元炉内にペレットを装入して還元炉内で乾燥処理を施してもよい。
ここで、特に体積の大きなペレットを乾燥させる場合、乾燥前や乾燥後のペレットにひびや割れが入っていてもよい。ペレットの体積が大きい場合には、還元時にペレットが熔融して収縮するため、ひびや割れが生じることが多い。しかしながら、ペレットの体積が大きい場合には、ひびや割れによって生じる表面積の増加等の影響は僅かであるため、大きな問題は生じ難い。そのため、還元前のペレットにひびや割れがあってもよい。
また、乾燥処理は連続して一度に行ってもよいし複数回に分けて行ってもよい。乾燥処理を複数回に分けて行うことにより混合物の破裂をより効果的に抑制することができる。なお、乾燥処理を複数回に分けて行った場合において、2回目以降の乾燥温度としては、150℃以上400℃以下が好ましい。この範囲で乾燥することにより、還元反応が進むことなく乾燥することが可能となる。
下記表2に、乾燥処理後のペレット(混合物)における固形分中組成(質量部)の一例を示す。なお、ペレット(混合物)の組成としては、これに限定されるものではない。
<2-4.還元工程>
還元工程S4は、乾燥工程S3で乾燥されたペレットに還元処理を施す。具体的には、得られた塊状物(ペレット)を還元炉の炉床に載置し、還元炉により混合物に加熱還元処理を施す。還元工程S4における加熱還元処理により、混合物中の還元剤(第1の還元剤)に基づいて製錬反応(還元反応)が進行して、混合物中では、フェロニッケルメタル(以下、単に「メタル」という)と、フェロニッケルスラグ(以下、単に「スラグ」という)とが分かれて生成する。なお、以下、還元処理の対象であるペレットを便宜上、混合物と称する。
加熱還元処理では、例えば1分程度のわずかな時間で、先ず還元反応の進みやすい混合物の表面近傍において混合物中の酸化ニッケル及び酸化鉄が還元されメタル化してフェロニッケルとなり、殻(シェル)を形成する。一方で、殻の中では、その殻の形成に伴ってスラグ成分が徐々に熔融して液相のスラグが生成する。これにより、混合物中では、メタルと、スラグとが分かれて生成する。
そして、処理時間が10分程度経過すると、還元反応に関与しない余剰の還元剤がメタルに取り込まれて融点を低下させて、メタルも液相となる。これにより、得られるメタルの品位を安定的に高めることが可能であり、高品質なメタルを得ることができる。
還元処理における温度(還元温度)としては、特に限定されないが、1200℃以上1450℃以下の範囲とすることが好ましく、1300℃以上1400℃以下の範囲とすることがより好ましい。このような温度範囲で還元することによって、均一に還元反応を生じさせることができ、品質のばらつきを抑制したフェロニッケルを生成させることができる。また、より好ましくは1300℃以上1400℃以下の範囲の還元温度で還元することで、比較的短時間で所望の還元反応を生じさせることができる。
還元処理における時間(処理時間)としては、還元炉の温度に応じて設定されるが、10分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましい。他方で、還元加熱処理を行う時間の上限は、製造コストの上昇を抑える観点から、50分以下としてもよく、40分以下としてもよい。
なお、還元温度(℃)と還元時間(分)の数値を乗じた値を還元に要した積算の熱量は、20000(℃×分)以上40000(℃×分)以下の範囲であることが好ましい。この熱量で還元処理を施すことで高品質なメタルを効率的に製造することができる。
さて、還元工程S4では、石炭を含有し、さらに木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤(第2の還元剤)を投入して混合物に還元処理を施すことを特徴としている。還元炉内の試料の挙動を解明する方法として、TG/DTA(示差熱・熱重量同時測定装置)を使用してTG曲線やDTA曲線を測定する方法が挙げられる。TG/DTAは、示差熱分析と熱重量測定とを同時に行うことのできる装置であり、試料に温度変化を与えたときに示す試料の分解や相転移等の挙動をTG曲線やDTA曲線により解明することができる。なお、TG曲線とは、温度に対する試料の重量を表し、DTA曲線とは、温度に対する試料と基準物質との温度差を表す。
図2は、TG/DTAを使用して測定された「澱粉」のTG曲線及びDTA曲線である。澱粉のTG曲線は、常温から昇温して240℃付近で急激に重量減少が生じることを示しており、さらに澱粉のDTA曲線は、600℃付近で大きく極大値を示している。このことから、澱粉の分解温度は、石炭の分解温度と比較して相対的に低いことを示している。このため、澱粉は、比較的低温の温度条件において還元反応を速い反応速度で進行させることができるものと推測される。これは、澱粉が、炭素と水素と酸素からなる重合物(ポリマー)であり、昇温によりこの水素と炭素との結合が切れてH2ガスが発生し、多孔質な組織となっており、澱粉を構成する炭素原子同士の結合が弱いことによると考えられる。
図3は、TG/DTAを使用して測定された「木炭」のTG曲線及びDTA曲線である。木炭のTG曲線は、常温から昇温するとすぐに重量減少が生じることを示しており、さらに木炭のDTA曲線は、600℃付近で大きく極大値を示している。このことから、木炭の分解温度は、石炭の分解温度と比較して相対的に低いことを示している。このため、木炭は、比較的低温の温度条件において還元反応を速い反応速度で進行させることができるものと推測される。これは、木炭が、材料である木材を蒸し焼きにして木材中の水分を揮発させて製造されるものであるため、多孔質な組織となっており、木炭を構成する炭素原子同士の結合が弱いことによると考えられる。
一方、図4は、TG/DTAを使用して測定された「石炭」のTG曲線及びDTA曲線である。石炭のTG曲線は、木炭と比較すると、常温から昇温しても重量がほとんど変化していないことを示しており、さらにほとんどブロードな曲線である。420℃付近における重量減少は揮発性有機物(Volatile Matter)が分解して揮発したものと考えられる。このことから、石炭の分解温度は、木炭の分解温度と比較して相対的に高いことを示している。このため、石炭は、比較的高温の温度条件において還元反応を長期間進行させることができるものと推測される。これは、石炭が、植物や酸化物等が地熱や地圧を長期間受けて変質(石炭化)したことにより生成する化石燃料であるため、植物に由来する炭素原子が濃縮されて、石炭を構成する炭素原子同士の結合が強いことによると考えられる。
本実施の形態に係る製錬方法では、分解温度が相対的に低く、酸化物等の他の成分を実質的に含まない木炭及び澱粉のうち少なくとも1つと、分解温度が相対的に高く、酸化物等を含み得る石炭と、を含有する第2の還元剤を還元炉に投入して混合物に還元処理を施すようにする。これにより、還元物の回収口や混合物の装入口や第2の還元剤の投入口等から不可避的に混入した酸素やバーナーにより供給される酸素やバーナーの燃料が燃焼することにより発生する水によって得られるメタルの一部が再酸化したとしても、澱粉と石炭とを含有する第2の還元剤により、再度還元することが可能となって、さらに得られるメタルの一部が酸化されることを抑制することが可能となるので、得られるメタルの品位を高めることができる。
また、本実施の形態に係る製錬方法では、第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用してもよい。これにより、得られるメタルの一部が酸化されることを抑制することが可能となるので、得られるメタルの品位を高めることができる。
また、本実施の形態に係る製錬方法では、第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用してもよい。これにより、得られるメタルの一部が酸化されることを抑制することが可能となるので、得られるメタルの品位を高めることができる。
また、本実施の形態に係る製錬方法では、第2の還元剤として石炭と澱粉と木炭とを含有する還元剤を使用してもよい。これにより、得られるメタルの一部が酸化されることを抑制することが可能となるので、得られるメタルの品位を高めることができる。
還元炉への第2の還元剤の投入は、還元炉の所定の投入口から投入する方法が挙げられる。投入する位置としては特に制限はされず、混合物の付近であってもよく、熱源(例えばバーナーの火炎)の付近であってもよく、混合物と熱源(例えばバーナーの火炎)との間であってもよい。特に、投入する位置としては混合物の付近であることが好ましい。
還元炉への第2の還元剤の投入は、いずれのタイミングで行ってもよい。例えば、還元処理を施す前に還元炉に第2の還元剤を投入してもよく、設定した還元温度に昇温中に還元炉に第2の還元剤を投入してもよく、設定した還元温度に到達したときに還元炉に第2の還元剤を投入してもよく、還元温度に到達後ある程度還元反応が進んだとき(あるいは設定した還元温度に保持しているとき)に還元炉に第2の還元剤を投入してもよく、還元反応が終了したときに還元炉に第2の還元剤を投入してもよい。
還元炉に投入される第2の還元剤の量(投入量)は、特に限定されないが、混合物を構成するニッケル酸化鉱石に含まれる酸化鉄及び酸化ニッケルを過不足なく還元するために必要な還元剤の量を100質量%としたとき、3質量%以上100質量%以下の範囲の割合となるようにすることが好ましく、4質量%以上70質量%以下の範囲の割合となるようにすることがより好ましく、5質量%以上50質量%以下の範囲の割合となるようにすることがさらに好ましい。第2の還元剤の量が3質量%以上であることで、生成したメタルの再酸化をより効果的に抑制することができる。また、第2の還元剤の量が100質量%以下であることで、過還元となる可能性を軽減できるので、メタル中のニッケル品位の低下を抑制することができる。
第2の還元剤は、特に制限はされず、例えば、石炭、コークス等のような炭素質還元剤であってもよく、木炭、竹炭、澱粉等の植物由来の有機物還元剤であってもよい。
第2の還元剤として植物由来の有機物還元剤を使用する場合には、加熱還元処理の途中で植物由来の有機物還元剤が燃えてしまう可能性がある。そこで、還元炉内を低酸素濃度の雰囲気下にして混合物に還元処理を施すことが好ましい。低酸素濃度の雰囲気下とは、例えば酸素濃度が3.0体積%以下である雰囲気下で還元処理を施すことが好ましく、1.0体積%以下である雰囲気下で還元処理を施すことがより好ましい。また、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で還元処理を施してもよい。
第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における石炭の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、3質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上11質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における木炭の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上7.0質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上4.5質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における木炭と石炭の合計含有量は、第2の還元剤全量中50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、第2の還元剤が木炭と石炭とのみからなること(すなわち、木炭と石炭の合計含有量が還元剤全量中100質量%であること)が最も好ましい。
第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における石炭の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上11質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における澱粉の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における澱粉と石炭の合計含有量は、第2の還元剤全量中50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、第2の還元剤が澱粉と石炭とのみからなること(すなわち、澱粉と石炭の合計含有量が還元剤全量中100質量%であること)が最も好ましい。
第2の還元剤として石炭と木炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における澱粉と木炭との合計投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と木炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における澱粉と木炭との含有割合は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石と混合する澱粉の化学当量と、ニッケル酸化鉱石と混合する木炭の化学当量と、の混合割合は、30:70~70:30の範囲であることが好ましく、40:60~60:40の範囲であることがより好ましく、45:55~55:45の範囲であることがさらに好ましい。
第2の還元剤として石炭と木炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合、第2の還元剤における澱粉と石炭と木炭との合計含有量は、第2の還元剤全量中50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、第2の還元剤が澱粉と石炭と木炭のみからなること(すなわち、澱粉と石炭と木炭の合計含有量が還元剤全量中100質量%であること)が最も好ましい。
また、還元炉への第2の還元剤の投入は、二段階以上に分けて行ってもよい。具体的には、還元工程を二つの工程に分けて、還元処理の前期段階において、還元炉に第2の還元剤の少なくとも一部を投入して混合物に還元処理を施す還元第1工程と、還元処理の後期段階において、還元炉に残りの第2の還元剤を投入して混合物に還元処理を施す還元第2工程と、を有する還元工程としてもよい。このとき、還元炉への第2の還元剤の投入は、還元炉の一つの投入口から投入してもよいし、還元炉の複数の投入口から別々に投入してもよい。
還元第1工程と、還元第2工程と、を有する還元工程とした場合、還元第1工程における第2の還元剤の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
還元第1工程と、還元第2工程と、を有する還元工程とした場合、還元第2工程における第2の還元剤の投入量は、特に限定されるものではないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な還元剤の量を100質量%としたとき、1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、1質量%以上4質量%以下であることがさらに好ましい。
また、このように、還元第1工程と、還元第2工程と、を有する還元工程とした場合において、還元処理の前期段階である還元第1工程では、還元炉に石炭を含有する還元剤を投入して混合物に還元処理を施し、還元処理の後期段階である還元第2工程では、還元炉に木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤を投入して混合物に還元処理を施すようにしてもよい。石炭の分解温度は、木炭の分解温度と比較して相対的に高い。このため、比較的分解しづらい石炭を還元処理の前期段階である還元第1工程で還元炉内に投入することで、長時間還元雰囲気を保つことができる。そして、比較的分解しやすく還元反応を速い反応速度で進行させることができる木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを還元処理の後期段階である還元第2工程で還元炉内に投入することで、再酸化されたメタルを効果的に再度還元させることが可能となる。
このとき、同一の投入口から「石炭を含有する還元剤」と「木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤」とを投入してもよい。また、還元炉に複数の投入口を設けて、「木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤」を一方の投入口から投入し、「石炭を含有する還元剤」を他方の投入口から投入してもよい。
還元第1工程と、還元第2工程と、を有する還元工程とした場合において、還元第1工程と還元第2工程とを異なる温度で段階的に加熱処理を施してもよい。例えば還元第1工程の還元処理を1150℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように処理室内の温度を制御し、還元第2工程の還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御するようにしてもよい。このように異なる温度で段階的に加熱処理を施すことで、還元第1工程の比較的温度の低い温度域で比較的分解しづらい石炭を還元炉内に投入することで、長時間還元雰囲気を保ち還元反応を均一に行えてメタルを効率的に生成でき、また還元第2工程の比較的温度の高い温度域で比較的分解しやすく還元反応を速い反応速度で進行させることができる木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤を還元炉内に投入することで、再酸化されたメタルを短時間で効果的にメタルの再酸化を抑制することが可能となる。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用する場合において、例えば還元第1工程の還元処理を1250℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように処理室内の温度を制御し、還元第2工程の還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御するようにしてもよい。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合において、例えば還元第1工程の還元処理を1150℃以上1250℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように処理室内の温度を制御し、還元第2工程の還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御するようにしてもよい。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と木炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合において、例えば還元第1工程の還元処理を1150℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように処理室内の温度を制御し、還元第2工程の還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御するようにしてもよい。
還元加熱処理に用いる還元炉としては、特に限定されない。例えば、固定炉床を用いても移動式炉床炉を用いてもよいが、移動式炉床炉を用いることが好ましい。このような還元炉として移動炉床炉を使用することにより、混合物をより効率的に処理することができる。また、移動炉床炉を用いることで、連続的に還元反応が進行し、一つの設備で反応を完結させることができ、各工程における処理を別々の炉を用いて行うよりも処理温度の制御を的確に行うことができる。さらに、各処理間でのヒートロスを低減して、より効率的な操業が可能となる。以下、移動炉床炉の一例として、回転炉床炉の構成について、図4を用いて説明する。
図4は、炉床が回転する回転炉床炉の構成例を示す図(平面図)である。図4に示すように、円形状であって複数の処理室20a~20dに区分けされた回転炉床炉2を用いることができる。回転炉床炉2では、所定の方向に回転しながら、各領域においてそれぞれの処理を行う。この回転炉床炉では、各領域を通過する際の時間(移動時間、回転時間)を制御することで、それぞれの領域での処理温度を調整することができ、回転炉床炉が1回転する毎に混合物1が製錬処理される。ここで、回転炉床炉2は、炉外に予熱室が設けられていてもよい。また、回転炉床炉2は、炉外に冷却室が設けられていてもよい。なお、移動炉床炉としては、ローラーハースキルン等であってもよい。
回転炉床炉を使用して還元処理を施す際には、異なる温度で段階的に加熱処理を施してもよい。還元炉に木炭及び澱粉のうち少なくとも1つ以上を含有する還元剤を投入して混合物に還元処理を施す還元第1工程と、還元炉に石炭を含有する還元剤を投入して混合物に還元処理を施す還元第2工程と、を有する還元工程とする場合には、回転炉床炉を使用して還元処理を施すことが好ましい。具体的には、還元第1工程における還元処理を1150℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように1つの処理室内の温度を制御し、還元第2工程における還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御する。比較的分解しづらい石炭を1150℃以上1350℃以下の範囲に制御された処理室内に投入することで、長時間還元雰囲気を保つことができ還元反応を均一に行えてメタルを効率的に生成できる。そして、比較的分解しやすく還元反応を速い反応速度で進行させることができる木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを1350℃以上1450℃以下の範囲に制御された処理室内に投入することで、再酸化されたメタルを短時間で効果的にメタルの再酸化を抑制することが可能となる。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用する場合において、還元第1工程における還元処理を1250℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように1つの処理室内の温度を制御し、還元第2工程における還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御してもよい。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合において、還元第1工程における還元処理を1150℃以上1250℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように1つの処理室内の温度を制御し、還元第2工程における還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御してもよい。
例えば、還元炉内に投入する第2の還元剤として石炭と木炭と澱粉とを含有する還元剤を使用する場合において、還元第1工程における還元処理を1150℃以上1350℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように1つの処理室内の温度を制御し、還元第2工程における還元処理を1350℃以上1450℃以下の範囲の還元温度で還元処理を施せるように他の処理室内の温度を制御してもよい。
このとき、異なる処理室内へ還元炉に木炭を含有する還元剤と石炭を含有する還元剤とを投入できるように、還元炉の処理室毎に複数の投入口を設けて、それぞれの投入口から「木炭及び澱粉のうち少なくとも1つを含有する還元剤」と「石炭を含有する還元剤」とを投入することが好ましい。また、「澱粉を含有する還元剤」と「木炭を含有する還元剤」を同一の投入口から投入してもよいし、「澱粉を含有する還元剤」と「木炭を含有する還元剤」をそれぞれ異なる投入口から投入してもよい。
還元炉の加熱手段は、特に制限はされないが、バーナーであっても、電気等を用いたものであってもよい。短時間で混合物に有効に加熱還元処理を施すことができることからバーナーであることが好ましい。また、バーナーを有する還元炉を用いる場合、燃料としては、例えばLPG、LNG、石炭、コークス、微粉炭等が用いられる。これらの燃料のコストは非常に安価であり、設備費やメンテナンス費に関しても電気炉等と比較して格段に安価に抑えることができる。
<2-5.回収工程>
回収工程S5は、還元工程S4で得られた還元物からメタルを回収する。具体的には、加熱還元処理によって得られた、メタル相とスラグ相とを含む還元物(混合物)を冷却し、必要に応じて粉砕して粉末化して、メタル(メタル粉末粒子)を分離して回収する。
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、先述した還元工程S4によって得られる大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させ、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を付与することで、その混在物から、メタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによって、メタル相を回収する。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(第1の実施形態)
[混合処理工程]
各試料について原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び第1の還元剤を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、還元剤としては、石炭を使用して、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe2O3)とを必要な化学当量100質量%に対して30~45質量%含有させた。
[塊状化工程]
次に混合処理工程で得られた混合物に適宜水分を添加してペレタイザーにより球状に成形された直径15±0.2mmの塊状物(試料)を得た。
[乾燥工程]
次に塊状化工程で得られた塊状物に対して、固形分が70質量%程度、水分が30質量%程度となるように、200℃~250℃の熱風を吹き付けて乾燥処理を施した。下記表3に、乾燥処理後の塊状物(試料)の固形分組成(炭素を除く)を示す。
[還元工程]
次に、乾燥工程で得られた塊状物(試料)を、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にした還元炉に各々装入した。なお、還元炉内の装入時の温度条件は、500±20℃とした。
次に、還元温度を1380℃、還元時間を50分で、混合物のペレットに対して還元加熱処理を施した。このとき、還元開始から10分後に第2の還元剤として石炭を還元炉内に還元炉の一方の投入口から投入した(還元第1工程)。また、還元開始から40分後に第2の還元剤として木炭を還元炉の他方の投入口から還元炉内に投入した(還元第2工程)。なお、還元炉内は窒素パージを行うことで実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にすることで、投入口から外気の酸素が炉内に入らないようにした。下記表4に、第2の還元剤の添加量を示す。なお、比較例1-1~1-3については、第2の還元剤を還元炉内に投入しなかった。還元処理後は、窒素雰囲気中で速やかに室温まで冷却して、試料を大気中へ取り出した。
[回収工程]
還元加熱処理後の各還元物(試料)について、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100型)により分析して算出した。
ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率は、以下の式(1)、(2)、(3)により算出した。
ニッケルメタル化率=メタル中のニッケルの質量/(還元物中の全てのニッケルの質量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=メタル中のニッケルの質量/(メタル中のニッケルと鉄の合計質量)×100(%) ・・・(2)式
ニッケルメタル回収率=回収されたニッケルの量/(投入した鉱石の量×鉱石中のニッケル含有割合)×100 ・・・(3)式
下記表4に、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
表4の結果に示されるように、還元炉に第2の還元剤を投入して混合物に還元処理を施した実施例1-1~1-5では、ニッケルメタル化率、及びメタル中ニッケル含有率において良好な結果が得られた。
この中でも、第2の還元剤として石炭と木炭とを含有する還元剤を使用した実施例1-3~1-5では、実施例1-1、1-2と比較してもニッケルメタル化率、及びメタル中ニッケル含有率においてさらに良好な結果が得られた。
一方、還元炉に第2の還元剤を投入せずに混合物に還元処理を施した比較例1-1~1-3ではNiメタル化率、Ni含有率、メタル回収率のいずれにおいても実施例に比べて低い値となっており、本発明の効果を奏するものとはなっていない。
(第2の実施形態)
[混合処理工程]
各試料について原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び第1の還元剤を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、還元剤としては、石炭を使用して、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe2O3)とを必要な化学当量100質量%に対して30~45質量%含有させた。
[塊状化工程]
次に混合処理工程で得られた混合物に適宜水分を添加してペレタイザーにより球状に成形された直径15±0.2mmの塊状物(試料)を得た。
[乾燥工程]
次に塊状化工程で得られた塊状物に対して、固形分が70質量%程度、水分が30質量%程度となるように、200℃~250℃の熱風を吹き付けて乾燥処理を施した。下記表5に、乾燥処理後の塊状物(試料)の固形分組成(炭素を除く)を示す。
[還元工程]
次に、乾燥工程で得られた塊状物(試料)を、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にした還元炉に各々装入した。なお、還元炉内の装入時の温度条件は、500±20℃とした。
次に、還元温度を1380℃、還元時間を50分で、混合物のペレットに対して還元加熱処理を施した。このとき、還元開始から10分後に第2の還元剤として石炭を還元炉内に還元炉の一方の投入口から投入した(還元第1工程)。また、還元開始から40分後に第2の還元剤として澱粉を還元炉の他方の投入口から還元炉内に投入した(還元第2工程)。なお、還元炉内は窒素パージを行うことで実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にすることで、投入口から外気の酸素が炉内に入らないようにした。下記表6に、第2の還元剤の添加量を示す。実施例2-1~2-5については、澱粉を還元炉内に投入して10分後に還元炉内で速やかに室温まで冷却して、試料を大気中へ取り出した。なお、一方比較例1~4については、第2の還元剤を還元炉内に投入しなかった。
[回収工程]
還元加熱処理後の各還元物(試料)について、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、上記の第1の実施形態と同様に、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を測定した。
下記表6に、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
表6の結果に示されるように、還元炉に石炭と澱粉を含有する第2の還元剤を投入して混合物に還元処理を施した実施例2-1~2-5では、ニッケルメタル化率、及びメタル中ニッケル含有率において良好な結果が得られた。
一方、還元炉に第2の還元剤を投入せずに混合物に還元処理を施した比較例2-1~2-4ではNiメタル化率、Ni含有率、メタル回収率のいずれにおいても実施例に比べて低い値となっており、本発明の効果を奏するものとはなっていない。
(第3の実施形態)
[混合処理工程]
各試料について原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び第1の還元剤を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、還元剤としては、石炭を使用して、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe2O3)とを必要な化学当量100質量%に対して30~45質量%含有させた。
[塊状化工程]
次に混合処理工程で得られた混合物に適宜水分を添加してペレタイザーにより球状に成形された直径15±0.2mmの塊状物(試料)を得た。
[乾燥工程]
次に塊状化工程で得られた塊状物に対して、固形分が70質量%程度、水分が30質量%程度となるように、200℃~250℃の熱風を吹き付けて乾燥処理を施した。下記表7に、乾燥処理後の塊状物(試料)の固形分組成(炭素を除く)を示す。
[還元工程]
次に、乾燥工程で得られた塊状物(試料)を、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にした還元炉に各々装入した。なお、還元炉内の装入時の温度条件は、500±20℃とした。
次に、還元温度を1380℃、還元時間を50分で、混合物のペレットに対して還元加熱処理を施した。このとき、還元開始から10分後に第2の還元剤として石炭を還元炉内に還元炉の一方の投入口から投入した(還元第1工程)。また、還元開始から40分後に第2の還元剤として澱粉と木炭とを還元炉の他方の投入口から還元炉内に投入した(還元第2工程)。還元剤である澱粉と木炭は重量比で1:1の割合とした。なお、還元炉内は窒素パージを行うことで実質的に酸素を含まない窒素雰囲気下にすることで、投入口から外気の酸素が炉内に入らないようにした。下記表8に、第2の還元剤の添加量を示す。実施例3-1~3-5については、澱粉と木炭とを還元炉内に投入して10分後に還元炉内で速やかに室温まで冷却して、試料を大気中へ取り出した。なお、比較例3-1~3-4については、第2の還元剤を還元炉内に投入しなかった。
[回収工程]
還元加熱処理後の各還元物(試料)について、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、上記の第1の実施形態と同様に、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を測定した。
下記表8に、それぞれの試料における、ニッケルメタル化率、メタル中のニッケル含有率、ニッケルメタル回収率を示す。
表8の結果に示されるように、還元炉に澱粉と木炭とを含有する第2の還元剤を投入して混合物に還元処理を施した実施例3-1~3-5では、ニッケルメタル化率、及びメタル中ニッケル含有率において良好な結果が得られた。
一方、還元炉に第2の還元剤を投入せずに混合物に還元処理を施した比較例3-1~3-4ではNiメタル化率、Ni含有率、メタル回収率のいずれにおいても実施例に比べて低い値となっており、本発明の効果を奏するものとはなっていない。