JP7635621B2 - 改質分散液の製造方法及び分散液 - Google Patents
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Description
かかる分散液は、高周波帯域の周波数に対応するプリント基板の誘電体層を形成する、低誘電率、低誘電正接等の電気特性に優れた材料として注目されている。
本発明の目的は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と無機粒子と液状化合物と非フッ素系レベリング剤とを含み均一性、加工性、他の材料との接着性及び低線膨張性に優れた厚い成形物を形成できる改質分散液の製造方法及びかかる分散液の提供である。
<1> テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と無機粒子と液状分散媒とを含み、総量に占める前記無機粒子の割合が20~60質量%である分散液に、非フッ素系レベリング剤を添加し、前記分散液の表面張力を低下させて改質分散液を得る、改質分散液の製造方法。
<2> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子が、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と非熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子とを含む、<1>の製造方法。
<3> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの溶融温度が、200~325℃である、<1>又は<2>の製造方法。
<4> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、カルボニル基含有基又は水酸基含有基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>~<3>のいずれかの製造方法。
<5> 前記無機粒子が、シリカ粒子である、<1>~<4>のいずれかの製造方法。
<6> 前記非フッ素系レベリング剤が、(メタ)アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤及びアルコールアルコキシレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、<1>~<5>のいずれかの製造方法。
<7> 前記液状分散媒が、水、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、<1>~<6>のいずれかの製造方法。
<8> 前記改質分散液の表面張力と前記分散液の表面張力との差が、1mN/m以下である、<1>~<7>のいずれかの製造方法。
<9> 前記分散液が、さらに芳香族ポリマーを含む、<1>~<8>のいずれかの製造方法。
<10> 前記分散液が、さらにノニオン性界面活性剤を含む、<1>~<9>のいずれかの製造方法。
<11> <1>~<10>のいずれかの製造方法で得られる改質分散液を、基材の表面に塗布し、加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機粒子とを含むポリマー層を形成して、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
<12> 前記ポリマー層の厚さが、25μm以上である、<11>の製造方法。
<13> 前記基材の表面の十点平均粗さが、0.1μm以下である、<11>又は<12>の製造方法。
<14> テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、無機粒子と、液状分散媒と、(メタ)アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤及びアルコールアルコキシレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の非フッ素系レベリング剤とを含み、総量に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の割合と前記無機粒子の割合とが、この順に5~40質量%、20~60質量%である、改質分散液。
<15> 前記液状分散媒が、水、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、<14>の改質分散液。
「テトラフルオロエチレン系ポリマー」とは、テトラフルオロエチレンに基づく単位を含有するポリマーであり、以下、単に「Fポリマー」とも記す。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、対象物(粒子)の体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、対象物の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
対象物のD50は、対象物を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「平均粒子径(D90)」は、対象物の累積体積粒径であり、「D50」と同様にして求められる対象物の体積基準累積90%径である。
「ポリマーの溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「熱溶融性樹脂(ポリマー)」は、荷重49Nの条件下、樹脂(ポリマー)の溶融温度よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が1~1000g/10分となる温度が存在する溶融流動性の樹脂(ポリマー)を意味する。
「非熱溶融性樹脂(ポリマー)」は、荷重49Nの条件下、溶融流れ速度が1~1000g/10分となる温度が存在しない非溶融流動性の樹脂(ポリマー)を意味する。
「ポリマーのガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で測定される分散液又は液状組成物の粘度である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される分散液又は液状組成物の粘度η1を回転数が60rpmの条件で測定される粘度η2で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
本法により得られる改質分散液は、分散安定性及び造膜性に優れており、均一性、加工性、他の材料との接着性及び低線膨張性に優れた厚い成形物を形成できる。その理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
本法においては、F粒子と無機粒子と液状分散媒とを含む原分散液に対して、非フッ素系レベリング剤を添加する。これにより、F粒子の凝集を抑制しつつ、改質分散液の表面張力を適度に低下させることができる。
その結果、本法によれば、分散安定性と造膜性等のハンドリング性に優れた改質分散液が得られ、それから、均一性、加工性、他の材料との接着性及び低線膨張性に優れた厚い成形物が形成できたと考えられる。
Fポリマーは、熱溶融性であってもよく、非熱溶融性であってもよい。
Fポリマーが熱溶融性である場合、その溶融温度は、200℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。Fポリマーの溶融温度は、325℃以下が好ましく、320℃以下がより好ましい。Fポリマーの溶融温度は、200~320℃が特に好ましい。
Fポリマーの表面張力は、16~26mN/mが好ましく、16~20mN/mがより好ましい。なお、Fポリマーの表面張力は、Fポリマーで作製された平板上に、濡れ指数試薬(和光純薬社製)の液滴を載置して測定できる。
Fポリマーのフッ素含有量は、70質量%以上が好ましく、72~76質量%がより好ましい。フッ素含有量が高いFポリマーは、電気物性等の物性に優れる反面、表面張力が低く、原分散液中での分散安定性が低下しやすいが、改質分散液では、上述の作用機構により、かかるFポリマーの分散安定性が向上しやすい。
PAVEとしては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3又はCF2=CFOCF2CF2CF3(以下、「PPVE」とも記す。)が好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーは、酸素含有極性基を有するのが好ましい。この場合、分子集合体レベルで微小球晶を形成しやすくなり、F粒子の濡れ性が向上して、上述した本発明の効果が高度に発現しやすい。
酸素含有極性基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、Fポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として酸素含有極性基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる、酸素含有極性基を有するFポリマーが挙げられる。酸素含有極性基は、水酸基含有基、カルボニル基含有基及びホスホノ基含有基が好ましく、改質分散液の分散安定性の観点から、水酸基含有基及びカルボニル基含有基がより好ましく、カルボニル基含有基がさらに好ましい。
カルボニル基含有基は、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(-OC(O)NH2)、酸無水物残基(-C(O)OC(O)-)、イミド残基(-C(O)NHC(O)-等)又はカーボネート基(-OC(O)O-)が好ましく、酸無水物残基がより好ましい。この場合、F粒子と、無機粒子及び液状分散媒とが相互作用しやすく、改質分散液が分散安定性等の液物性に優れやすい。
また、カルボニル基含有基を有するモノマーは、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。かかるポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
分散安定性の観点から、F粒子の比表面積は、1~25m2/gが好ましく、1~8m2/gがより好ましい。
この場合、原分散液への非フッ素系レベリング剤の添加に伴う液物性の改質に際して、非熱溶融性Fポリマーが物性を保ちつつ適度にフィブリル化すると考えられる、その結果、改質分散液から形成される成形物において無機粒子が担持されやすくなり、成形物の強度がさらに向上しやすい。
また、この場合、溶融温度が200~320℃であるFポリマーの粒子のD50が0.1~1μmであり、非熱溶融性PTFEの粒子のD50が0.1~1μmである態様、溶融温度が200~320℃であるFポリマーの粒子のD50が1~4μmであり、非熱溶融性PTFEの粒子のD50が0.1~1μmである態様が好ましい。
Fポリマー以外の樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、(熱可塑性)ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、マレイミド等の耐熱性樹脂が挙げられる。無機粒子に含まれる無機物としては、酸化ケイ素(シリカ)、金属酸化物(酸化ベリリウム、酸化セリウム、アルミナ、ソーダアルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)、窒化ホウ素、メタ珪酸マグネシウム(ステアタイト)が挙げられる。無機粒子は、その表面の少なくとも一部が表面処理されていてもよい。
改質分散液におけるF粒子の含有量は、改質分散液の総量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。F粒子の含有量は、改質分散液の総量に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
無機粒子は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
無機粒子の形状は、球状、針状(繊維状)、板状のいずれであってもよく、板状又は球状であるのが好ましく、球状であるのがより好ましく、略真球状であるのがさらに好ましい。なお、略真球状の無機粒子とは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した際に、長径に対する短径の比が0.7以上である球形の粒子の占める割合が95%以上である無機粒子を意味する。この場合、無機粒子とF粒子とが相互作用しやすく、改質分散液が分散安定性等の物性に優れやすい。また、改質分散液から形成される成形物が電気特性及び低線膨張性に優れやすい。
無機粒子は、カーボン粒子、窒化物粒子及び無機酸化物粒子が好ましく、炭素繊維粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、ベリリア粒子、ケイ酸塩粒子(シリカ粒子、ウォラストナイト粒子、タルク粒子)、及び金属酸化物粒子(酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)がより好ましく、改質分散液の分散安定性と、改質分散液から形成される成形物の電気特性及び低線膨張性とを高める観点から、窒化ホウ素粒子及びシリカ粒子がさらに好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。
無機粒子の比表面積は、1~20m2/gが好ましい。
無機粒子は、無機粒子の濡れ性を向上する観点から、その表面の少なくとも一部が、シランカップリング剤(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)で表面処理されていてもよい。
改質分散液において、F粒子の含有量に対する無機粒子の含有量の比は、0.8以上が好ましく、1超がより好ましい。上記比は、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。この場合、改質分散液が分散安定性及び造膜性に優れやすく、均一性、接着性、低線膨張性及び電気特性に優れた成形物を形成しやすい。
液状分散媒の沸点は、50~240℃が好ましい。液状分散媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコールが挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンが挙げられる。
液状分散媒の好適な具体例としては、水、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン及びシクロペンタノンが挙げられ、改質分散液の分散安定性、造膜性及び取り扱い性の観点から水が好ましい。
改質分散液における液状分散媒の含有量は、20~70質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。かかる範囲において、改質分散液の分散安定性等の液物性がより向上しやすい。
(メタ)アクリル系レベリング剤は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレートに由来する構造を有するレベリング剤を意味する。(メタ)アクリル系レベリング剤は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレートのポリマーであってもよく、その残基である(メタ)アクリロイルオキシ基を有する非ポリマー状の化合物であってもよい。
シリコーン系レベリング剤は、ポリシロキサン構造を有するポリマーであってもよく、加水分解性シリル基等のシロキサン構造を有する化合物であってもよい。
なお、(メタ)アクリル酸はメタクリル酸及びアクリル酸の総称であり、(メタ)アクリレートはメタクリレート及びアクリレートの総称であり、(メタ)アクリロイルオキシ基はメタクリロイルオキシ基及びアクリロイルオキシ基の総称である。
なお、ポリエーテル・シリコーン変性(メタ)アクリレートは、ポリエーテルとシリコーンのそれぞれで変性された(メタ)アクリレートを意味する。
非フッ素系レベリング剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
非フッ素系レベリング剤の平均分子量は、100~200000が好ましい。この場合、改質分散液が分散安定性と造膜性に優れやすい。
改質分散液の総量に占める非フッ素系レベリング剤の割合は、0.1~15質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。かかる範囲において、改質分散液の分散安定性等の液物性がより向上しやすい。
混合方法としては、液状分散媒にF粒子と無機粒子とを一括添加して混合する方法、液状分散媒にF粒子と無機粒子とを順次添加して混合する方法、F粒子と無機粒子とを混合して粉体混合物とし、さらに液状分散媒と混合する方法、F粒子と液状分散媒とを、無機粒子と液状分散媒とをそれぞれ予め混合し、得られた2種の混合物をさらに混合する方法等が挙げられ、F粒子と無機粒子とを混合して粉体混合物とし、さらに液状分散媒と混合する方法が好ましい。
また、混合に使用する装置としては、プロペラブレード、タービンブレード、パドルブレード、シェル状ブレード等のブレード(撹拌翼)を一軸あるいは多軸で備える撹拌装置や、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー又はプラネタリーミキサーによる撹拌;ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル(ガラスビーズ又は酸化ジルコニウムビーズ等の粉砕媒体を用いたビーズミル)、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル又はアジテーターミル等のメディアを使用する分散機による混合;マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等の、メディアを使用しない分散機を用いた混合が挙げられる。
プラネタリーミキサーは、互いに自転と公転を行う2軸の撹拌羽根を有し、撹拌槽中の被混合物を撹拌混合して混練する構造を有している。そのため、撹拌槽中に撹拌羽根の到達しないデッドスペースが少なく、羽根の負荷を軽減して、高度に内容物を混合できる。
原分散液が、後述する芳香族ポリマー、ノニオン性界面活性剤等の任意の添加成分をさらに含む場合は、任意の段階で混合できる。混合方法及び混合装置としては、上記と同様の混合方法及び混合装置が挙げられる。
非フッ素系レベリング剤は、原分散液に直接添加してもよく、液状分散媒との混合物として原分散液に添加してもよい。液状分散媒は、原分散液に含まれる液状分散媒と同じでもよく、異なっていてもよい。
原分散液と非フッ素系レベリング剤との混合方法及び混合装置としては、上述の原分散液を調製する混合方法及び混合装置が挙げられる。
改質分散液の表面張力と原分散液の表面張力との差は、0.1mN/m以上が好ましく、0.2mN/m以上がより好ましい。上記差は、1mN/m以下が好ましく、0.5mN/m以下がより好ましい。この場合、適度に原分散液の表面張力が低下して、F粒子の凝集が解消されやすく、改質分散液が分散安定性及び造膜性に優れやすい。
芳香族ポリマーは、熱可塑性であっても、熱硬化性であってもよい。また、芳香族ポリマーは、改質分散液中に溶解していてもよく、溶解せず分散していてもよい。芳香族ポリマーは、その前駆体として改質分散液中に含まれていてもよい。
芳香族ポリマーは、芳香族イミド系ポリマーが好ましく、芳香族ポリイミド、芳香族ポリイミド前駆体(ポリアミック酸又はその塩)、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアミドイミド前駆体、芳香族ポリエーテルイミド又は芳香族ポリエーテルイミド前駆体が好ましく、芳香族ポリイミド前駆体又は芳香族ポリアミドイミドがより好ましい。これらの芳香族ポリマーは、カルボン酸基、フェノール性水酸基等の酸性基がさらに導入された変性芳香族ポリマーであってもよい。
改質分散液が液状分散媒として水を含む場合、芳香族ポリマーは、水溶性であるのが好ましく、水溶性の芳香族ポリアミドイミドの前駆体又は水溶性の芳香族ポリイミドの前駆体であるのがより好ましい。
具体的には、この場合の芳香族ポリマーは、酸価が20~100mg/KOHであるのが好ましく、35~70mgKOH/gであるのがより好ましい。また、この場合の改質分散液のpHは、5~10であるのが好ましく、7~9であるのがより好ましい。
芳香族ポリマーの酸価と改質分散液のpHとが、上記範囲にあれば、改質分散液の分散安定性が向上するだけでなく、改質分散液から成形物を形成する際、芳香族ポリマーが高度に分散し、成形物の物性(紫外線吸収性、柔軟性、密着性等)を向上させやすい。
芳香族ポリマーの具体例としては、「Ultem 1000F3SP」(SABIC社製)、「HPC-1000」、「HPC-2100D」(いずれも昭和電工マテリアルズ社製)が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の親水部位は、オキシアルキレン基又はアルコール性水酸基を有するのが好ましい。
オキシアルキレン基は、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。後者の場合、種類の違うオキシアルキレン基は、ランダム状に配置されていてもよく、ブロック状に配置されていてもよい。なお、オキシアルキレン基は、オキシエチレン基が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の疎水部位は、アセチレン基、ポリシロキサン基、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基を有するのが好ましい。換言すれば、界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましく、シリコーン系界面活性剤がより好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、親水基としてポリオキシアルキレン構造を、疎水基としてポリジメチルシロキサン構造を有する、オルガノポリシロキサンが好ましい。シリコーン系界面活性剤を含む場合、改質分散液の長期保管安定性を向上する観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとシリコーン系界面活性剤とを併用してもよい。
改質分散液がノニオン性界面活性剤を含む場合、改質分散液におけるノニオン性界面活性剤の含有量は、0.1~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
改質分散液は、さらにpH調整剤又はpH緩衝剤を含んでもよい。。
pH調整剤としては、アミン、アンモニア、クエン酸が挙げられる。
pH緩衝剤としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エチレンジアミン四酢酸、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムが挙げられる。
pH調整剤又はpH緩衝剤を添加する段階は、混合前であってもよく混合中であってもい。
改質分散液は、上述した成分以外に、チキソ性付与剤、粘度調節剤、消泡剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、防腐剤、防カビ剤、有機フィラー等の添加剤を、さらに含んでもよい。
改質分散液のチキソ比は、1.0以上が好ましい。改質分散液のチキソ比は、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。この場合、改質分散液は、分散安定性等の液物性に優れ、より緻密な成形物を形成しやすい。
ここで、分散層率とは、分散液(18mL)をスクリュー管(内容積:30mL)に入れ、25℃にて14日静置した際、静置前後のスクリュー管中の分散液全体の高さと沈降層(分散層)の高さとから、以下の式により算出される値である。なお、静置後に沈降層が確認されず、状態に変化がない場合には、分散液全体の高さに変化がないとして、分散層率は100%とする。
分散層率(%)=(沈降層の高さ)/(分散液全体の高さ)×100
なお、改質分散液における固形分量とは、改質分散液から形成される成形物において固形分を形成する物質の総量を意味する。例えば、分散液が、F粒子と無機粒子と、芳香族ポリイミドとを含む場合には、これらの成分の総含有量が改質分散液における固形分量となる。
改質分散液において、固形分量に占める無機粒子の割合は、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。固形分量に占める無機粒子の割合は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
改質分散液を、基材の表面に塗布し、加熱して、Fポリマー及び無機粒子を含む層(以下、「F層」とも記す。)を形成すれば、上記基材で構成される基材層と成形物としてのF層とを有する積層体(以下、「本積層体」とも記す。)が製造できる。
積層体の好適な態様としては、金属箔とその少なくとも一方の表面に形成されたF層とを有する金属張積層体、樹脂フィルムとその少なくとも一方の表面に形成されたF層とを有する多層フィルムが挙げられる。
上記積層体の製造においては、基材の表面の少なくとも片面にF層が形成されればよく、基材の片面のみにF層が形成されてもよく、基材の両面にF層が形成されてもよい。
基材の表面は、シランカップリング剤等により表面処理されていてもよい。
F層は、加熱により液状分散媒を除去した後に、さらに加熱によりFポリマーを焼成して形成するのが好ましい。液状分散媒を除去する工程で空気を吹き付けるのが好ましい。
液状分散媒を除去した後、基材をFポリマーが焼成する温度領域に加熱して形成するのが好ましく、例えば300~400℃の範囲でFポリマーを焼成するのが好ましい。F層は、F粒子の焼成物を含むのが好ましい。
これら工程は、1回でも2回以上でもよく、平滑性に優れた厚い膜を得る観点から、改質分散液の塗布、乾燥、焼成の工程を複数回行ってもよい。
例えば、上記改質分散液を基材に塗布し、加熱により液状分散媒を除去し膜を形成する。形成した膜の上にさらに改質分散液を塗布して加熱により液状分散媒を除去し、さらに加熱によりFポリマーを焼成してF層を形成してもよい。
また、上記改質分散液を基材に塗布し、加熱により液状分散媒を除去し膜を形成し、さらに加熱してFポリマーを焼成して焼成膜を形成する。形成した焼成膜の上にさらに改質分散液を塗布して加熱により液状分散媒を除去し、さらに加熱によりFポリマーを焼成して焼成膜を形成し、F層を形成してもよい。
F層の厚さは、25μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。厚さの上限は、200μmである。改質分散液は、造膜性に優れるため、かかる厚い膜を良好に形成できる、また、この範囲において、耐クラック性に優れたF層を容易に形成できる。
F層と基材層との剥離強度は、10N/cm以上が好ましく、15N/cm以上がより好ましい。剥離強度は、100N/cm以下が好ましい。改質分散液を用いれば、F層におけるFポリマーの物性を損なわずに、かかる積層体を容易に形成できる。
なお、空隙率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される成形物の断面におけるSEM写真から、画像処理にてF層の空隙部分を判定し、空隙部分が占める面積をF層の面積で除した割合(%)である。空隙部分が占める面積は、空隙部分を円形と近似して求められる。
基材の形状としては、平面状、曲面状、凹凸状が挙げられ、さらに、箔状、板状、膜状、繊維状のいずれであってもよい。
基材の厚さは、2~100μmが好ましい。基材が金属箔である場合には、基材の厚さは1~35μmであるのが好ましい。また、基材は、剥離層を介してキャリア銅箔上に積層された極薄銅箔(厚さ2~5μm)であるキャリア付金属箔であってもよい。
本積層体は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、放熱部品、塗料、化粧品等として有用である。プリント基板においては、電子部品が高密度に実装されたプリント基板の温度上昇を防ぐため、従来のガラスエポキシ板に替わる新たなプリント基板材料としても使用できる。
より具体的には、本積層体は、パソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装等、低酸素下で加熱処理する加工機や真空オーブン、プラズマ処理装置等のシール材や、スパッタや各種ドライエッチング装置等の処理ユニット内の放熱部品として有用である。
本分散液におけるF粒子、無機粒子、液状分散媒及び非フッ素系レベリング剤のそれぞれの定義及び範囲は、その好適な態様も含めて本法における、それらと同様である。
本分散液は、さらに芳香族ポリマー、ノニオン性界面活性剤、pH調整剤、pH緩衝剤、添加剤等を含んでもよい。本分散液における芳香族ポリマー、ノニオン性界面活性剤、pH調整剤、pH緩衝剤、添加剤の定義及び範囲は、その好適な態様も含めて本法における、それらと同様である。
他の方法としては、F粒子と無機粒子と液状分散媒と非フッ素系レベリング剤とを一括添加して混合する方法、液状分散媒に非フッ素系レベリング剤を添加し、さらにF粒子と無機粒子とを順次添加して混合する方法、F粒子と無機粒子とを、液状分散媒と非フッ素系レベリング剤とをそれぞれ予め混合し、得られた2種の混合物をさらに混合する方法等が挙げられる。
混合方法及び混合装置としては、本法と同様の混合方法及び混合装置が挙げられる。
1.各成分及び各部材の準備
[F粒子]
F粒子1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含み、カルボニル基含有基を主鎖の炭素数1×106個あたり1000個有し、溶融温度が300℃のFポリマー1からなる粒子(D50:2.1μm)
F粒子2:非熱溶融性のPTFEからなる粒子(D50:0.3μm)
[F分散液]
F分散液1:F粒子2を60質量%で含む水分散液(AGC社製、「品番AD-915E」)
無機粒子1:フェニルアミノシランで表面処理されているD50が1μmの球状シリカ [非フッ素系レベリング剤]
レベリング剤1:ポリエーテル変性アクリレート(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK-381」)
[芳香族樹脂のワニス]
ワニス1:芳香族ポリアミドイミドの前駆体(PAI1、酸価:50mgKOH/g)を含む水ワニス(昭和電工マテリアルズ社製、「HPC-1000」)
[ノニオン性界面活性剤]
界面活性剤1:ノニオン性界面活性剤(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK-3450」)
(例1)
まず、ポットに、F粒子1、無機粒子1、ワニス1、界面活性剤1、アンモニア水及び炭酸水素アンモニウムを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、原分散液1(無機粒子1の含有量:45質量%)を調製した。
別のポットに、原分散液1とレベリング剤1を投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がした後、さらにポットにF分散液1を投入し、150rpmにて1時間、ポットを転がし、全体としてF粒子1(18.5質量部)、F粒子2(20質量部)、無機粒子1(60質量部)、PAI1(1.5質量部)、界面活性剤(1質量部)、レベリング剤1(2質量部)、アンモニア水(100質量部)及び炭酸水素アンモニウムを含む改質分散液1(粘度:300mPa・s、pH:8.0)を得た。
改質分散液1の表面張力は原分散液1の表面張力よりも低く、その差は0.1~1mN/mであり、その分散層率は60%以上であった。
長尺の無粗化銅箔(表面の十点平均粗さ:0.1μm以下、厚さ:18μm)の表面に、バーコーターを用いて、改質分散液1を塗布し、ウェット膜を形成した。次いで、このウェット膜が形成された銅箔を、110℃にて5分間、乾燥炉に通し、加熱により乾燥させて、ドライ膜を得た。その後、窒素ガス雰囲気のオーブン中で、ドライ膜を380℃にて3分間、加熱した。これにより、銅箔と、その表面にFポリマー1、PTFE、無機酸化物粒子1及びPAI1を含む、成形物としてのポリマー層(厚さ:50μm)を有する積層体1を製造した。
改質分散液に変えて原分散液1を用いた以外は、積層体1と同様にして積層体を製造すると、厚さが100μmのポリマー層にクラックが発生していた。
積層体1の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングにより除去して、単独のポリマー層を作製し、180mm角の四角い試験片を切り出した。切り出した試験片の線膨張係数を、JIS C 6471:1995に規定される測定方法にしたがって、25~260℃の範囲において測定した。試験片の線膨張係数は、30ppm/℃以下であった。
また、無機粒子1は、ポリマー層中で強固に担持されており、粉落ちしなかった。
Claims (11)
- 溶融温度が200~325℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と無機粒子と液状分散媒とを含み、総量に占める前記無機粒子の割合が20~60質量%である分散液に、(メタ)アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤及びアルコールアルコキシレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である非フッ素系レベリング剤を添加し、前記分散液の表面張力を低下させて改質分散液を得る、改質分散液の製造方法。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子が、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と非熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子とを含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、カルボニル基含有基又は水酸基含有基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記無機粒子が、シリカ粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記液状分散媒が、水、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記改質分散液の表面張力と前記分散液の表面張力との差が、1mN/m以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分散液が、さらに芳香族ポリマーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記分散液が、さらにノニオン性界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法で得られる改質分散液を、基材の表面に塗布し、加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機粒子とを含むポリマー層を形成して、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
- 前記ポリマー層の厚さが、25μm以上である、請求項9に記載の製造方法。
- 前記基材の表面の十点平均粗さが、0.1μm以下である、請求項9又は10に記載の製造方法。
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