JP7619531B1 - 両面摩擦撹拌接合用の回転ツール - Google Patents
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Abstract
Description
「一対の部材を共に付勢する間に両部材間に相対運動を生じさせるステップと、
少なくとも溶接サイクルの終了に向かう相対運動の速度を検知するステップと、
両部材間の相対運動の検知された速度に応じて制御される力の下で両部材を共に付勢するステップとから成ることを特徴とする1対の部材(45、46)を摩擦溶接する方法。」
が開示されている。
「加工物の連続した、または実質的に連続した表面に加工物の材質より硬い材質のプローブを提供し、プローブの回りで加工物の材質で可撓性層を作るためにプローブが加工物に入るように生じる摩擦熱によりプローブと加工物が一緒になるようにし、相対的な円運動を止め、プローブの回りを固めることで可撓性の材質を設けることを特徴とする摩擦溶接方法。」
が開示されている。
なお、本開示では、被接合材を突合わせた、または、重ね合わせた部分で未だ接合されていない状態にある領域を「未接合部」と称し、接合されて一体化された領域を「接合部」と称する。
・接合時における欠陥発生、特に、以下のような欠陥発生を抑制する。
接合速度の高速度化のために回転ツールの回転数を増加させると、回転ツールと被接合材との間で過剰な摩擦熱が生じる。これによって、回転ツールの先端部に被接合材が焼き付き、接合部の表面がえぐられる。
・接合速度を高速度化する。
・回転ツールの耐久性を向上する。
そのため、上記の点を同時に実現することが求められているのが現状である。
その結果、発明者らは、回転ツールの先端部を、動摩擦係数:0.30未満で、かつ、ビッカース硬さが2500HV以上の材料により構成することによって、上記の目的が達成されることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
1.両面摩擦撹拌接合用の回転ツールであって、
該回転ツールの先端部が、動摩擦係数:0.30未満で、かつ、ビッカース硬さが2500HV以上の材料からなる、両面摩擦撹拌接合用の回転ツール。
4×t ≦ D ≦ 20×t ・・・(1)
ここで、
t:被接合材の厚さ(mm)
D:回転ツールの先端部の直径(mm)
である。
[1]回転ツール
本発明の一実施形態に従う回転ツールは、先端部が、動摩擦係数:0.30未満で、かつ、ビッカース硬さ:2500HV以上の材料からなるものである。
発明者らは、両面摩擦撹拌接合、特に、構造用鋼に対する両面摩擦撹拌接合において、接合時における欠陥発生の抑制と、接合速度の高速度化と、回転ツールの耐久性の向上とを同時に実現すべく種々検討を重ね、以下の知見を得た。
・構造用鋼に対する両面摩擦撹拌接合において接合速度の高速度化のために回転ツールの回転数を増加させると、回転ツールと被接合材との間で過剰な摩擦熱が生じる。これによって、回転ツールの先端部に被接合材が焼き付き、接合部の表面がえぐられ、欠陥が生じる。
・上記の現象は、過剰な摩擦熱によって、被接合材が急激に高温に晒されて軟化し、軟化した被接合材が回転ツールの先端部に固着するために生じる。
・上記の現象を防止するには、急激な摩擦熱の発生を抑制することが有効である。そのためには、回転ツールの先端部に、動摩擦係数:0.30未満となる材料を使用することが有効である。
・また、接合速度の高速度化のために回転ツールの回転数を増加させると、回転ツールには大きな荷重が掛かる。そのため、回転ツールの破損や摩耗が生じやすい。これを防止するためには、回転ツールの先端部に、高硬度な材料、具体的には、ビッカース硬さ:2500HV以上となる材料を適用することが有効である。
以上のことから、回転ツールの先端部を、動摩擦係数:0.30未満で、かつ、ビッカース硬さ:2500HV以上の材料により構成する。
4×t ≦ D ≦ 20×t ・・・(1)
式中、
t:被接合材の厚さ(mm)
D:回転ツールの先端部の直径(mm)
である。
なお、突合せ接合において被接合材の厚さが異なる場合、tは被接合材の厚さの平均値とする。重ね接合の場合には、tは被接合材の重ね合せ部の厚さ(被接合材の合計厚さ)とする。また、Dは、回転軸に垂直な面における回転ツールの先端部の直径(回転ツールの先端部を、回転軸に平行な方向へ投影したときの投影領域の直径)である。
例えば、図4Aに示す回転ツールでは、先端径:12mm、プローブの直径(以下、ピン径ともいう):4mm、プローブの長さ(以下、ピン長さともいう):0.5mm、凹面深さ:0.3mmである。
図4Bに示す回転ツールでは、先端径:20mm、ピン径:6.7mm、ピン長さ:0.7mm、凹面深さ:0.3mmである。
次に、本発明の一実施形態に従う回転ツールを適用する摩擦撹拌接合について、説明する。なお、摩擦撹拌接合では、本発明の一実施形態に従う回転ツールを適用すればよく、継手形式や接合条件は常法に従えばよい。
突合せ接合とは、被接合材の端面同士を対向させた状態で、被接合材の端面(突合せ面)を含む突合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、被接合材を接合するものである。
重ね接合とは、被接合材の端部の少なくとも一部を重ね合せ、重ね合せ部に回転ツールを回転させながら押圧する。そして、その状態で、回転ツールを接合方向に移動させることにより、被接合材を接合するものである。
図1および図2中、符号1-1が回転ツール(表面側回転ツール)、符号1-2が先端部、符号2-1が回転ツール(裏面側回転ツール)、符号2-2が先端部、符号3が被接合材、4が接合部である。
0°< α ≦ 3° ・・・(2)
ここで、αは、図3Bに示すように、接合方向と厚さ方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)とを含む面における、回転ツールの回転軸(以下、ツールの回転軸ともいう)の被接合材の厚さ方向(被接合材の表面に対して垂直な方向)からの傾斜角度である。また、回転ツールの先端部が接合方向に対して先行する向き(の角度)を+とする。なお、図3Aは、両面摩擦撹拌接合による突合せ接合の一例を示す上面図、すなわち、両面摩擦撹拌接合している状態を表面側回転ツールが配置される鉛直方向上側から見た図である。また、図3Bは、図3AのA-A’矢視図である。図3AおよびB中、符号1-1が回転ツール(表面側回転ツール)、符号1-2が先端部、符号1-3がプローブ、符号2-1が回転ツール(裏面側回転ツール)、符号2-2が先端部、符号2-3がプローブ、符号3が被接合材、4が接合部である。
0°≦ α ≦ 3° ・・・(3)
0.25×t-0.2×D×sinα≦ G ≦0.8×t-0.2×D×sinα ・・・(4)
ここで、Gは、図3Bに示すように、表面側回転ツールの肩部と裏面側回転ツールの肩部との間の、被接合材の厚さ方向での距離(最短距離)に相当する。t、Dおよびαの定義については、前述したとおりである。
接合対象とする被接合材は、特に限定されない。被接合材としては、例えば、鋼板などの高融点合金が挙げられる。具体的な鋼種としては、一般的な構造用鋼や炭素鋼、例えばJIS G 3106(2020)の溶接構造用圧延鋼材、JIS G 4051(2016)の機械構造用炭素鋼鋼材などが挙げられる。また、引張強さ:800MPa以上の高強度構造用鋼も、被接合材として有利に適用できる。この場合でも、接合部において、被接合材となる鋼材の引張強さの85%以上の引張強さ、さらには90%以上の引張強さ、さらに好ましくは95%以上の引張強さを得ることができる。
α:0°
G:0.80mm
回転ツールの回転数:1500r/min
接合速度:3000mm/min
接合長:0.5m
また、突合せ接合では、開先を被接合材である2枚の鋼板の端面に開先角度をつけないいわゆるI型開先とし、フライス加工程度の表面状態で2枚の鋼板を突合せ、接合を行った。
表面欠陥の有無は、特に、接合部の表面がえぐれることによって生じた凹部(以下、凹部ともいう)の有無を、目視で観察することより確認した。上記の凹形が確認された場合には、その深さDd(mm)をレーザ変位計により測定した。そして、以下の基準で表面欠陥の有無およびその有意性を判定した。評価結果を表2に併記する。なお、上記の観察は、定常部、すなわち、接合速度:3000mm/minに到達した状態で接合を行った領域で実施した。
<判定基準>
欠陥無し(合格、優れる):凹部が確認されない。
軽微な欠陥有り(合格):凹部の確認されるものの、当該凹部のDd/tがいずれも0.1以下である。
有意な欠陥有り(不合格):Dd/tが0.1超の凹部(接合部の表面から裏面に貫通している溝状の未接合状態を含む)が確認される。
(なお、接合部の表面から裏面に貫通している未接合状態が確認された場合には、接合不成立とみなし、以下の評価は省略した。)
接合垂直方向と厚さ方向とが含まれる面が観察面となるように、接合継手を厚さ(鉛直)方向に切断し、3枚の試験片を採取した。なお、接合方向における切断位置(観察面)は、接合開始側の定常部端部から20mmの位置、接合終了側の定常部端部から20mmの位置、および、定常部の中間位置とし、当該切断位置での切断面が観察面となるように試験片を採取した。ついで、得られた試験片の観察面を、光学顕微鏡(倍率:10倍)で観察した。そして、以下の基準により、内部欠陥の有無およびその有意性を判定した。
<判定基準>
欠陥無し(合格、優れる):3枚の試験片全てにおいて、トンネル状になった未接合状態が確認されない。
軽微な欠陥あり(合格):3枚の試験片のうち、1枚の試験片において、トンネル状になった未接合状態が確認される。
有意な欠陥あり(不合格):3枚の試験片のうち、2枚以上の試験片において、トンネル状になった未接合状態が確認される。
さらに、以下の要領で、回転ツールの耐久性の評価を行った。
すなわち、回転ツールの破損や摩耗が生じると、内部欠陥による接合不良が高い確率で発生する。そこで、上記と同じ条件でそれぞれ、接合長:0.5mの接合を繰り返し行い、得られた接合継手について、上記の「(II)内部欠陥の有無」に示した判定方法により、内部欠陥の有無を判定した。
そして、内部欠陥無しと判定される継手の数が全体の90%以上を維持する最大接合回数(以下、90%維持最大接合回数ともいう)により、以下の基準で、回転ツールの耐久性の評価をした。評価結果を表2に併記する。
良(合格、特に優れる):90%維持最大接合回数が200回以上
不可(不合格):90%維持最大接合回数が200回未満
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しと判定された接合継手の数]÷[内部欠陥の有無を確認した接合継手の数]×100≧90 ・・・式(a)
N=4では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷4×100=100≧90
となり、
N=5では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=4÷5×100=80<90
となる。
すなわち、この場合では、N=4までは式(a)を満足し、N=5の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は4となる。
N=11では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=10÷11×100≒90.9≧90
となり、
N=20では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷20×100=90≧90
となり、
N=21では、
[内部欠陥の有無を確認した接合継手のうち、内部欠陥無しの接合継手の合計数]÷[内部欠陥を確認した接合継手の数N]×100
=18÷21×100=85.7<90
となる。
すなわち、この場合では、N=20までは式(a)を満足し、N=21の際にはじめて式(a)を満足しなくなるので、90%維持最大接合回数は20となる。
一方、比較例ではいずれも、回転ツールの耐久性が十分ではなかった。また、比較例6および7では、有意な表面欠陥が確認された。
1-2:先端部
1-3:プローブ
2-1:回転ツール(裏面側回転ツール)
2-2:先端部
2-3:プローブ
3:被接合材
4:接合部
Claims (4)
- 両面摩擦撹拌接合用の回転ツールであって、
該回転ツールの先端部が、動摩擦係数:0.30未満で、かつ、ビッカース硬さが2500HV以上の材料からなる、両面摩擦撹拌接合用の回転ツール。 - 前記回転ツールがプローブなしの回転ツールであり、前記回転ツールの先端面が、平面、凸型の曲面、または、凹型の曲面である、請求項1に記載の両面摩擦撹拌接合用の回転ツール。
- 前記回転ツールの先端面が、回転反対方向の渦状の段差部を有する、請求項2に記載の両面摩擦撹拌接合用の回転ツール。
- 次式(1)の関係を満足する、請求項1~3のいずれかに記載の両面摩擦撹拌接合用の回転ツール。
4×t ≦ D ≦ 20×t ・・・(1)
ここで、
t:被接合材の厚さ(mm)
D:回転ツールの先端部の直径(mm)
である。
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