(本発明の基礎となった知見)
本願発明者らは、土壌から放射性物質を取り除きやすくするために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
従来の分級処理技術には、以下のような課題(1)、(2)がある。
(1)放射性セシウムなどの放射性物質は、層状粘土鉱物の粒子に吸着しやすいことが知られている。層状粘土鉱物は、例えば、風化黒雲母やその風化物であるバーミキュライトなどの雲母鉱物(以下、単に「雲母」と呼ぶ。)である。雲母などの鉱物の粒子は、粒径の大きい砂粒子、礫粒子などに付着したり、内包されたりしていることがある。鉱物の粒子が砂粒子などに付着している(または内包されている)と、分級処理を行っても、分級後の粗粒分のなかに、放射性物質が吸着された鉱物の粒子が含まれてしまう。また、放射性物質が吸着した鉱物の粒子の粒径が大きい場合には、その鉱物の粒子が粗粒分に分けられてしまう。このため、分級によって、放射性物質をより確実に除去することが難しい。これに対し、分級後の粗粒分に対して、高度な分級や洗浄などの処理を行い、放射性濃度を低減させることが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、砂粒子などに固着または内包されている鉱物の粒子をより確実に剥離させることは困難と考えられる。詳細については後述する。
また、近年の研究では、放射性セシウムなどの放射性物質が、層状粘土鉱物の粒子に吸着し、さらにその内部に閉じ込められる(固定される)ことが報告されている。層状粘土鉱物の粒子では、層間に位置する表面が負に帯電しているので、この表面に放射性物質が吸着しやすい。放射性物質が、層状粘土鉱物の粒子を構成する2つの層の間に吸着すると、時間の経過とともに、放射性物質を挟む2つの層が閉じられる。このようにして、放射性物質が層状粘土鉱物の粒子の内部に閉じ込められる。放射性物質が層状粘土鉱物の粒子に固定されていると、その粒子から脱離したり、溶出したりし難くなる。特に、粒径の大きい雲母の粒子において、風化によって変質した部分に放射性物質が閉じ込められていると、従来の分級処理技術によって放射性物質を取り除くことがさらに困難になる。
したがって、粗粒分の放射性物質の濃度をより低くして、除染率を高めることが難しい場合がある。
(2)また、分級によって土壌から放射性物質をより確実に取り除くには、放射性物質の濃度が高い細粒分として、鉱物の粒子を含む粒径範囲の土粒子群を分離除去する必要がある。上述したように、放射性物質が鉱物の粒子に閉じ込められて溶出または脱離しにくくなると、細粒分をより少なくして、減容化率を高めることが難しい場合がある。「減容化」は、放射性濃度が所定値(例えば8000Bq/kg)よりも高く、そのままでは再利用することができない土壌の容積を減少させることを指す。
そこで、本願発明者は、鋭意検討した結果、土壌を含むスラリーに対して、加圧液体を出射し、加圧液体とスラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させる方法を見出した。この方法によると、キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、放射性物質が吸着した鉱物の粒子を他の粒子から分離することができる。これにより、放射性物質を土壌から取り除きやすくすることができる。「放射性物質が吸着した鉱物の粒子」は、放射性物質が表面に吸着されている粒子に加えて、放射性物質が層間に吸着されている(層間に閉じ込められている)粒子をも含む。
上記方法によると、気泡崩壊時の衝撃力によって、砂粒子などの粒径の大きい土粒子に付着した鉱物の粒子を当該土粒子から分離することができる。または、気泡崩壊時の衝撃力によって、放射性物質が吸着された鉱物の粒子を砕いて、より小さい粒子にすることができる。この結果、分級後の粗粒分の放射性物質の濃度をより低くすることができる。さらに、放射性物質が付着した粒子の粒径をより小さくすることで、放射性物質の濃度の高い土壌(細粒分)の容積を減少させることができる。本願発明者は、この新規な知見に基づき、本発明に至った。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。図示の目的のために、図面内の各要素の寸法は誇張されて示されている場合があり、必ずしも縮尺通りとは限らない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「側」、「左」、「右」などの方向を示す用語を用いるが、本発明に係る装置の使用状態などを限定することを意味するものではない。図面には、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。Z軸は、例えば鉛直方向である。以下の説明において、単に、X方向、Y方向、またはZ方向と記載した場合には、それぞれの軸方向であり、逆向きの2方向(例えば-X方向および+X方向)を含む。
《第1実施形態》
第1実施形態に係る土壌処理装置および土壌処理方法を説明する。
[土壌処理装置]
図1、図2Aおよび図2Bは、第1実施形態に係る土壌処理装置の概略的な構造および原理を説明するための模式図である。図1は、土壌処理装置の模式的な側面図である。図2Aは、図1に示す領域Aの模式的な拡大断面図であり、図2Bは、図2AのIIB-IIB線における模式的な断面図である。
土壌処理装置1は、放射性物質が吸着された鉱物の粒子を含む土壌を処理する装置である。本実施形態では、被処理物である土壌は、放射性物質が吸着された鉱物の粒子と、その鉱物の粒子よりも粒径の大きい土粒子とを含む。土壌処理装置1で処理される土壌は、分級処理が行われていない土壌であってもよく、例えば、礫粒子(粒径:例えば2mm以上)、砂粒子(粒径:例えば74μm以上2mm未満)、シルトの粒子(粒径:例えば5μm以上74μm未満)、粘土の粒子(粒径:例えば5μm未満)を含む広い粒度分布を有する土壌であってもよい。
図1に示すように、土壌処理装置1は、処理部3と、処理部3に加圧液体20を出射する出射部2と、処理部3に土壌を含むスラリー40を供給するスラリー供給部4と、を備える。
処理部3は、流路30を備える。流路30は、例えば、円形の断面を有する配管によって構成されている。流路30は、例えば、鉛直方向に直交する水平方向に延在している。図1では、分かりやすくするため、鉛直上向き方向を+Z方向、流路30の上流側から下流側に向かう方向を+X方向として示す。流路30は、下流側の端部に、処理後のスラリー40および加圧液体20を含む混合物70を処理部3から排出する排出口37を備えてもよい。
出射部2は、流路30の上流側から下流側に向かう方向(+X方向)に加圧液体20を出射するように配置されている。出射部2は、流路30内のスラリー40に対して加圧液体20を出射する。出射部2は、例えば、高圧水を出射する高圧エジェクタである。
スラリー供給部4は、土壌に液体(例えば水)を混合したスラリー40を流路30に供給する。スラリー供給部4は、出射部2よりも流路30の下流側に接続されている。流路30において、スラリー供給部4は、出射部2により出射された加圧液体20に向けて、加圧液体20の出射方向と交差する方向に、スラリー40を供給する。図1に示す例では、スラリー供給部4は、出射方向と直交する方向(-Z方向)にスラリー40を供給するように構成されている。供給時のスラリー40に含まれる液体の圧力は、例えば略1気圧である。
本実施形態では、図2Aおよび図2Bに示すように、出射部2とスラリー供給部4とは、加圧液体20とスラリー40との界面20sに流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させるように構成されている。以下、キャビテーションを発生させるメカニズムを説明する。
図2Aおよび図2Bに示すように、出射部2から出射された加圧液体20は、流路30内を+X方向に高速で進む高速流体(例えば、圧力:4MPa、秒速:50m程度)である。流路30内において、加圧液体20はスラリー40に衝突し、図2Bに示すように、スラリー40の概ね中央部分を高速で進む。スラリー40は、加圧液体20の流れに引っ張られて、加圧液体20の周囲を、加圧液体20と同じ方向に流れる混相流を形成する。ここでいう混相流は、スラリー40に含まれる土壌(固相)および液体(液相)を少なくとも含む流れである。スラリー40の上方には空間80が存在してもよい。スラリー40は、加圧液体20よりも低速で流れるので、スラリー40と加圧液体20との界面20sに流速差が生じる。これにより、キャビテーションが発生する。具体的には、図2Aに示すように、加圧液体20とスラリー40との流速差に起因して生じるせん断力により、スラリー40内に渦82が生じる。渦82の中心部は局所的に低圧になるため、スラリー40中の液体が気化して気泡81が発生する。スラリー40は、気泡81を巻き込みながら下流側に流れる。スラリー40が下流側に流れる間に、気泡81は周囲の液体で圧縮され崩壊する。
キャビテーションによって発生した気泡81が崩壊するときには、大きな衝撃力が発生する。この衝撃力によって、スラリー40に含まれる鉱物の粒子が他の粒子から分離される。本明細書において、「鉱物の粒子を他の粒子から分離する」とは、砂粒子などの土粒子に付着した又は内包された鉱物の粒子をその土粒子から引き離すこと(以下、「解泥」と呼ぶ。)だけでなく、鉱物の粒子を砕いて、複数のより小さい粒子に分けること(以下、「解砕」と呼ぶ。)をも含む。本実施形態では、気泡81の崩壊時の衝撃力によって、鉱物の粒子の解泥、解砕、またはその両方が行われる。
キャビテーションによる気泡81は、スラリー40が加圧液体20と接触しながら流れる間に、スラリー40中に次々と発生し、その後に崩壊する。したがって、スラリー40が流れる間に亘って、気泡81の崩壊による衝撃力をスラリー40中の粒子に作用させることができる。
図1に示すように、流路30において、上記のメカニズムによってキャビテーションを発生させるように構成された領域Rcを「キャビテーション発生領域」と呼ぶ。キャビテーション発生領域Rcは、スラリー供給部4からスラリー40が供給される位置(以下、「スラリー供給位置」)Pよりも下流側に位置する。キャビテーション発生領域Rcでは、図2Aおよび図2Bに示すように、スラリー40が加圧液体20の周囲を流れる。スラリー40中の鉱物の粒子の分解は、主にキャビテーション発生領域Rcで行われる。キャビテーション発生領域Rcよりも下流側では、スラリー40と加圧液体20とが混合されて混合物70となる。混合物70は、排出口37から排出され、例えば分級装置に送られる。
図1に示す例では、流路30におけるスラリー供給位置Pの上流側に、外部から空気を流入させる空気流入口は設けられていない。本実施形態では、キャビテーションによって生じる気泡は、スラリー40中の液体が気化したものである。外部から流入させた空気によってキャビテーションを発生させるわけではないので、流路30に空気流入口を設けなくても構わない。なお、流速差によるキャビテーションの発生を阻害しないのであれば、流路30に空気流入口が設けられていてもよい。
本実施形態では、上記メカニズムによって発生させたキャビテーションを利用するので、より効率よく、かつ、より確実に鉱物の粒子の分離(例えば解泥、解砕)を行うことができる。
なお、特許文献1には、本願発明とは異なる方法で発生させたキャビテーションを利用して、土砂の洗浄を行うことが記載されている。特許文献1では、噴出部から加圧流体を噴出して気泡を発生させ、噴出部の近傍における気泡が存在する領域に土砂を供給している。しかしながら、本願発明者が検討したところ、このような構成では、気泡が存在する限られた領域に土砂を確実に供給することは困難である。また、土砂は、噴出部の近傍の限られた領域(気泡が存在する領域)でしか衝撃力を受けることができない。このため、土砂から放射性物質を十分に分離したり、鉱物の粒子を砕いたりするのに十分な衝撃力を効率よく土砂に与えることは難しい。
これに対し、本実施形態では、土壌を含むスラリー40の流れと加圧液体20の流れとの界面20sにキャビテーションを発生させるので、加圧液体20の出射部に近い領域のみでなく、流路30の長さに亘って気泡を発生させることができる。また、スラリー40が気泡を巻き込んで流れるので、気泡の崩壊による衝撃力をより確実にスラリー40に与えることができる。さらに、スラリー40と加圧液体20とが接触しながら流れる間に、気泡の発生および崩壊が繰り返されるので、スラリー40中の粒子に、高い衝撃力が繰り返しかかる。したがって、流路30の下流側に向かって、鉱物の粒子の分離をさらに進めることができる。
さらに、特許文献1の装置では、気泡が存在する領域が限られており、粒径が相対的に小さい粒子がキャビテーションの効果を受けにくい場合がある。これに対し、本実施形態の土壌処理装置1は、スラリー40が気泡を巻き込んで進むので、スラリー40に含まれる小さい粒子にもキャビテーションの効果が及びやすい。また、本実施形態の土壌処理装置1では、スラリー40における土壌に対する液体の量を少なくすることで、気泡81の崩壊時の衝撃力をさらに効率よく鉱物の粒子に与えることができる。
[土壌処理方法]
本実施形態の土壌処理方法は、図2Aおよび図2Bを参照して上述したメカニズムによってキャビテーションを発生させる工程(以下、「キャビテーション発生工程」)を含む。キャビテーション発生工程では、土壌に液体を混合したスラリーに対して、加圧液体を出射し、加圧液体とスラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させる(図2A、図2B参照)。キャビテーション発生工程は、例えば、図1に示す土壌処理装置1を用いて行うことができる。なお、本工程に使用する装置は、スラリーと加圧液体との流速差を利用してキャビテーションを発生させるように構成された装置であればよく、図1に示す装置に限定されない。
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、第1実施形態に係る土壌処理方法I、IIを例示する模式図である。参考例として、分級処理のみを行う処理方法を図12に模式的に示す。
図3A、図3Bおよび参考例の図12では、被処理物である土壌10が、礫粒子(粒径:例えば2mm以上)11、砂粒子(粒径:例えば74μm以上2mm未満)12、および、シルトや粘土の粒子(シルトの粒子の粒径:例えば5μm以上74μm未満、粘土の粒子の粒径:例えば5μm未満)13を含む場合を例示している。これらの粒子には、放射性セシウムなどの放射性物質が吸着された鉱物の粒子(以下、「放射性物質含有鉱物粒子」と呼ぶ。)15が含まれる。放射性物質含有鉱物粒子15の粒径は特に限定されない。ここでは、粒径が比較的小さいものから2mm以上のものまで、様々な粒径の放射性物質含有鉱物粒子15を例示している。放射性物質含有鉱物粒子15の一部は、その粒子よりも粒径の大きい土粒子(例えば、礫粒子11、砂粒子12など)に付着したり、内包されたりしている場合がある。
分かりやすさのため、まず、図12に示す参考例の方法を説明する。参考例では、上記の土壌10を、例えば粒径75μm以上の粗粒分と、粒径75μm未満の細粒分とに分級する。そうすると、粒径が75μm以上の放射性物質含有鉱物粒子15は、粗粒分に区分されてしまう。一方、粒径が75μm未満の放射性物質含有鉱物粒子15は、細粒分に分けられ得る。しかしながら、図示するように、粒径が75μm未満の放射性物質含有鉱物粒子15の一部は、砂粒子12や礫粒子11に付着した状態または内包された状態で、これらの粒子11、12などとともに粗粒分に区分されてしまうことがある。この結果、分級後の粗粒分の放射性物質の濃度を十分に低くすることが難しい。
これに対し、本実施形態の土壌処理方法I、IIでは、分級を行う前に、キャビテーション発生工程を行う。これにより、図12に示す参考例の方法よりも、分級後の粗粒分に含まれる放射性物質を少なくすることができる。
<土壌処理方法I>
図3Aに示すように、土壌処理方法Iでは、キャビテーション発生工程において、気泡が崩壊するときの衝撃力によって、放射性物質含有鉱物粒子15が他の粒子から分離される。この結果、砂粒子12、礫粒子11などの土粒子に付着していた放射性物質含有鉱物粒子15が、当該土粒子から分離される(解泥)。また、放射性物質含有鉱物粒子15や他の鉱物の粒子が砕かれて、より小さい粒子14になる(解砕)。放射性物質含有鉱物粒子15の解砕後、放射性物質は、粒子14に吸着した状態であってもよいし、粒子14から脱離した状態であってもよい。
キャビテーション発生工程では、図示するように、放射性物質含有鉱物粒子15のうち放射性物質が吸着している部分が少なくとも解砕されればよい。例えば放射性物質含有鉱物粒子15が雲母の場合、放射性物質は主に、雲母粒子における、風化を受けて変質した部分(風化部分)に吸着または固定されているので、少なくとも風化部分が解砕されればよい。風化部分は、例えば雲母粒子の表面近傍に位置する。風化されていない部分は、風化部分よりも固いので砕かれにくく、ある程度の大きさを保ったまま流路から排出され得る。同様に、雲母の風化部分よりも固い土粒子も砕かれにくいので、風化部分ほど小さく砕かれず、ある程度の大きさを保ったまま流路から排出され得る。
キャビテーション発生工程の後、処理後のスラリーと加圧液体とが混合された混合物を、大径粒子群と、大径粒子群よりも粒径の小さい小径粒子群とに分級する。本処理方法では、大径粒子群の粒径は、例えば、放射性物質含有鉱物粒子以上の粒径を有する粒子群である。小径粒子群は、例えば、放射性物質含有鉱物粒子未満の粒径を有する粒子群である。小径粒子群は、放射性物質含有鉱物粒子15が砕かれた後の粒子14を含む。放射性物質は、粒子14に吸着した状態または粒子14から脱離した状態であるため、小径粒子群に含まれる。比較的粒径の小さい放射性物質含有鉱物粒子15の粒径(例えばシルトや粘土の粒径)を基準として分級を行ってもよく、これによって、分級点の粒径をより小さくすることができる。分級点の粒径は、75μm未満、例えば20μm以下であってもよい。
土壌処理方法Iによると、キャビテーション発生工程によって、放射性物質含有鉱物粒子15が粒径の大きい土粒子から分離されている。また、粒径の大きい放射性物質含有鉱物粒子15が砕かれてより小さい粒子14になる。このため、その後の分級によって、放射性物質をより確実に小径粒子群に分けることができる。したがって、参考例の方法(図12)よりも、大径粒子群の放射性物質の濃度をさらに低減する(すなわち除染率を高める)ことができる。一例として、放射能濃度が8000Bq超の土壌を、再利用可能とされる8000Bq/kgを大きく下回る濃度(例えば1000Bq/kg以下)に低減することが可能になる。また、本処理後に、高度な分級、洗浄などの処理を行わなくてもよいので、土壌処理にかかる装置、コスト、工程数、使用水量を低減することができる。
さらに、土壌処理方法Iによると、キャビテーション発生工程によって、放射性物質含有鉱物粒子15が解砕されているので、その後の分級工程において、分級点の粒径をより小さくして、放射性物質の濃度が高い土壌(小径粒子群)の容積をより小さくする(すなわち減容化率を高める)ことができる。
<土壌処理方法II>
土壌処理方法IIでは、キャビテーション発生工程によって、少なくとも解泥処理が行われる。図3Bに示すように、キャビテーション発生工程において、気泡が崩壊するときの衝撃力によって、砂粒子12、礫粒子11などの土粒子に付着していた(または内包されていた)放射性物質含有鉱物粒子15が、当該土粒子から分離される(解泥)。
続いて、土壌処理方法Iと同様に、スラリーと加圧液体とが混合された混合物を大径粒子群と小径粒子群とに分級する分級工程を行う。大径粒子群は、例えば、解泥される前に放射性物質含有鉱物粒子15が付着していた土粒子(この例では、砂粒子12または礫粒子11)を含む粒子群である。小径粒子群は、例えば、放射性物質含有鉱物粒子15を含む粒子群である。小径粒子群は、土粒子から分離された放射性物質含有鉱物粒子15を含む。分級点の粒径は、例えば75μmである。
土壌処理方法IIによると、キャビテーション発生工程によって、放射性物質含有鉱物粒子15が粒径の大きい土粒子から分離されるので、その後の分級によって、放射性物質をより確実に小径粒子群に分けることができる。したがって、参考例の方法(図12)よりも、大径粒子群の放射性物質の濃度をさらに低減する(すなわち除染率を高める)ことができる。
(効果)
本実施形態の土壌処理装置1は、図1~図2Bに示すように、出射部2とスラリー供給部4とが、処理部3の流路30内において、加圧液体20とスラリー40との界面20sに流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させるように構成されている。このような構成によると、キャビテーションによる気泡が崩壊するときの衝撃力によって、鉱物の粒子を他の粒子から分離させる解泥、解砕などの処理を行うことができる。この結果、放射性物質を取り除きやすくすることができる。
また、上記構成によると、図2Aおよび図2Bを参照しながら前述したように、従来の装置(例えば特許文献1に記載の装置)と比べて、気泡の崩壊による衝撃力をより効率よく鉱物の粒子に与えることができる。したがって、鉱物の粒子を、より確実に他の粒子から分離させることができる。
さらに、上記構成によると、土壌を含むスラリー40および加圧液体20を同じ方向に流しながら鉱物の粒子の分解を進めることができる。このため、連続的な処理が可能であり、時間当たりの土壌の処理量を大きくすることができる(例えば12t/時間以上)。
出射部2とスラリー供給部4とは、キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、図3Bに示すように、砂粒子12などの土粒子に付着した(または内包された)放射性物質含有鉱物粒子15を当該土粒子から分離する解泥処理を行うように構成されていてもよい。このような構成によると、その後の分級処理において、分級後の大径粒子群に含まれる放射性物質をより少なくすることができる。
出射部2とスラリー供給部4とは、キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、図3Aに示すように、放射性物質含有鉱物粒子15を砕いて、放射性物質含有鉱物粒子15よりも粒径の小さい粒子14にする解砕処理を行うように構成されていてもよい。土壌処理装置1は、鉱物の粒子に強い衝撃力を繰り返し付与することができるので、高い解砕能力を有し得る。このような構成によると、その後の分級処理において、分級後の大径粒子群に含まれる放射性物質をさらに少なくすることができる。また、分級点となる粒径を小さく(例えば、放射性物質含有鉱物粒子15の粒径未満)しても、放射性物質を取り除くことが可能になる。したがって、放射性物質の濃度の高い小径粒子群の容積を減少させることができる。
出射部2とスラリー供給部4とは、キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、放射性物質含有鉱物粒子を土粒子から分離させた後、分離させた放射性物質含有鉱物粒子を砕くように構成されていてもよい。このような構成によると、スラリー40が加圧液体20と接触しながら流れる間に、解泥処理と解砕処理とを同時に進めることができる。したがって、解泥を行う装置と、解砕を行う装置とを別々に準備する必要がないので、処理に要するコスト、工程数、時間などをさらに低減することができる。
本実施形態によると、キャビテーション発生工程を含む土壌処理方法が提供される。キャビテーション発生工程では、土壌に液体を混合したスラリーに対して、加圧液体を出射し、加圧液体とスラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させる。図3Aおよび図3Bに示すように、キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、放射性物質が吸着された鉱物の粒子15が他の粒子から分離される。例えば、衝撃力によって、解泥、解砕またはその両方が行われる。これにより、放射性物質が取り除かれやすくなるので、除染率および/または減容化率をより高くすることができる。
鉱物の粒子に吸着している放射性物質は、例えば、放射性セシウムであり、放射性セシウムが吸着された鉱物の粒子は、例えば、雲母の粒子であってもよい。放射性セシウムの大部分は、雲母に吸着または固定されている報告されている。したがって、放射性セシウムが吸着された雲母の粒子の解砕、解泥を行うことで、放射性セシウムをより効果的に土壌から取り除くことができる。一例として、従来の分級処理では70%程度であった除染率を、80%以上、好ましくは90%程度まで高めることが可能になる。
本実施形態の土壌処理方法では、処理される土壌の重量に対する使用液体の重量の比(以下、「総固液比」と呼ぶ。)は、例えば、5以上15以下、好ましくは10以下である。「土壌の重量」は、土壌の乾燥重量を指す。「使用液体の重量」は、処理に使用した液体の総重量であり、スラリー40(図1)に含まれる液体の重量と、加圧液体20(図1)の重量とを含む。総固液比を15以下に抑えることで、土壌処理および使用液体の処理にかかるコストを低減し、実用性を高めることができる。
加圧液体20(図1)の土壌に対する重量比は、10以下、好ましくは6以下である。スラリー40に含まれる液体の土壌に対する重量比(スラリー固液比)は、5以下、好ましくは3以下である。スラリー40に含まれる液体量を小さく抑えることで、気泡崩壊による衝撃力が、スラリー40中の粒子にかかりやすくなり、鉱物の粒子の分離を効率よく進めることができる。
従来の処理方法では、例えば、トロンメルなどを用いて通常の分級を行った後に、粗粒分に対して、機械的な衝撃力を加える高度分級を行うことがある。このような方法では、使用液体量も多くなり、総固液比は、例えば20を超える。処理に使用した後の液体(水)は放射性物質を含むことから、その貯蔵や処理にさらにコストがかかってしまう。これに対し、本実施形態によると、分級を行う前に、土壌全体に、解泥、解砕のためのキャビテーション発生工程を行う。その後に行う分級工程では、解泥後の土壌の分級を行うので、従来のように高度な分級を行う必要がない。したがって、総固液比を従来よりも小さくにすることができる。
図3Aおよび図3Bでは、粘土、シルト、砂、礫を含む土壌10の処理を行う方法を例示したが、本実施形態の土壌処理方法は、通常の分級処理を行った後の粗粒分(砂、礫など)のみ、または細粒分(粘土、シルト)のみを被処理物とする処理にも適用可能である。また、本実施形態の土壌処理方法を、予め解泥処理が行われた後の土壌に適用して、鉱物の粒子を解砕することも可能である。
図3Aおよび図3Bに示すキャビテーション発生工程では、鉱物の粒子の解泥、解砕が生じることが示されているが、気泡の崩壊による衝撃力の影響で、鉱物の粒子の解泥だけでなく、スラリー中の粘土塊などの塊も解きほぐされることがある。また、鉱物の粒子以外の粒子が砕かれたり、礫粒子などの大きい粒子の角が取れて研磨されたりすることがある。鉱物の粒子や他の粒子に生じた変化は、例えば、キャビテーション発生工程の前後の土壌を観察したり、粒度分布を比較したりすることで確認することができる。
《第2実施形態》
図4は、本発明の第2実施形態に係る土壌処理装置を示す模式的な断面図である。以下では、第1実施形態の土壌処理装置と異なる点を主に説明し、重複する説明を適宜省略する。
図4に示す土壌処理装置1aは、流路30を有する処理部3と、加圧液体20を出射する出射部2と、スラリー40を供給するスラリー供給部(「スラリー供給装置」と呼ぶことがある。)4と、分級部7と、制御部8と、を備える。スラリー供給部4は、液体供給部5と、土壌供給部6と、混合部と、を備える。混合部は、液体供給部5から供給された液体50と、土壌供給部6から供給された土壌10とを混合するように構成されている。この例では、ホッパ41が混合部として機能する。
土壌処理装置1aでは、被処理物である土壌10は、土壌供給部6によってホッパ41に供給される。また、土壌10と混合させる液体(ここでは水)50は、液体供給部5によってホッパ41に供給される。ホッパ41に別々に供給された土壌10および液体50は、ホッパ41の内壁上で混合されてスラリー40となり、処理部3の流路30に供給される。処理部3の流路30では、スラリー40に対して、出射部2から加圧液体20が出射される。流路30内では、前述の実施形態と同様に、キャビテーションを利用してスラリー40中の鉱物の粒子を他の粒子から分離する処理が行われる。処理後のスラリー40および加圧液体20は、流路30の排出口37から排出され、分級部7に送られる。
以下、土壌処理装置1aの各構成要素の具体的な構成を説明する。以下の説明では、土壌10を1kg/分で処理する場合の処理条件、各構成要素のサイズ、能力などを例示している場合がある。なお、処理条件、各構成要素のサイズ、能力などは、土壌の種類、土壌の処理量などに応じて適宜選択されればよく、例示した値に限定されない。
(出射部)
出射部2は、先端部に出射口を有するノズル22を備えた高圧エジェクタと、例えば3連プランジャ方式の高速ジェットポンプ(能力:例えば、6.3L/m×5.5MPa×0.83kw×100V)23と、ノズル22の上流側に位置し、高速ジェットポンプ23とノズル22とを流体接続する配管24と、を備える。ノズル22は、出射口から配管24側に向かって断面積が大きくなるように構成されている。
高圧エジェクタは、例えば、流路30のうちX方向に延在する部分に亘って高速で進むように設定される。本実施形態では、高圧エジェクタは、4MPaの加圧液体(ここでは加圧水)20を、0.1リットル/秒の流量でX方向に沿って出射させる。加圧水の秒速は、例えば50mである。
(処理部)
処理部3の流路30は、断面積の異なる複数の部分31~34を有する。流路30の断面積は、流路30の延在方向に直交する断面積を指す。図4に示す例では、径の異なる複数の配管が接続されて流路30を構成しているが、これらは一体的に形成されていてもよい。
本実施形態では、流路30は、流路30の断面積を拡大する拡大部36を有する。拡大部36は、流路30において、スラリー供給部4が接続されるスラリー供給位置Pよりも下流側に配置されている。拡大部36の下流側では、拡大部36の上流側よりも、スラリー40が低圧になり、かつ、スラリー40と加圧液体20との流速差が大きくなるので、キャビテーションによって発生する気泡の量を増加させることができる。したがって、拡大部36を設けることにより、流路30におけるキャビテーション発生領域Rcをより長くすることができる。
図4に示す例では、流路30は、第1部分31と、第1部分31よりも下流側(+X側)に位置し、断面積が第1部分31よりも小さい第2部分32と、第2部分32よりも下流側に位置し、断面積が第2部分32よりも大きい第3部分33と、を含む。第1部分31には、スラリー供給部4が接続されている。第2部分32の下流側端部と第3部分33の上流側端部とによって、流路30の断面積を拡大する拡大部36が形成されている。
図5A~図5Cを参照して、流路30の各部分の作用を具体的に説明する。図5Aは、流路30の一部を示す模式的な拡大断面図である。図5Bおよび図5Cは、それぞれ、図5Aに示すVB-VB線およびVC-VC線における拡大断面図である。
図示する例では、流路30の断面は、例えば円形である。この場合、第1部分31の直径D1および第3部分33の直径D3は、第2部分32の直径D2よりも大きい(D2<D1,D3)。第1部分31のスラリー供給位置Pから、第3部分33のうちの少なくとも一部までは、加圧液体20の出射方向(X方向)に延在している。図4では、第1部分31~第3部分33のそれぞれの直径は略一定であるが、各部分の直径は、以下に説明するような機能を有するように設定されていればよく、略一定でなくてもよい。
本実施形態では、キャビテーション発生領域Rcは、流路30のうちスラリー供給位置Pから第3部分33の少なくとも一部までX方向に延在する領域を含む。図示する例では、スラリー供給位置Pから、加圧液体20が第3部分33の配管の内壁に衝突する位置までがキャビテーション発生領域Rcである。
<第1部分>
第1部分31は、出射部2からの加圧液体20が、大気圧のスラリー40に最初に衝突する領域を含む。衝突後の加圧液体20は、スラリー40中を通って下流側に進む(図2B参照)。第1部分31では、スラリー40と加圧液体20との流速差が大きいので、流速差による渦82が形成されやすく、気泡81の発生量が多い。
第1部分31は、加圧液体20がスラリー40中を下流側に向かって流れることができるように、十分な断面積を有する。図5Aに示すように、第1部分31は、スラリー40の上方に、加圧液体20に衝突されたスラリー40が逃げることができる程度の空間80を有するように構成されていてもよい。この例では、第1部分31の直径(内径)D1は、例えば27.0mmである。
第1部分31のうちスラリー供給位置Pからテーパ部34までのX方向に沿った長さL1は、第2部分32および第3部分33のX方向に沿った長さL2、L3のそれぞれよりも小さくてもよい(L1<L2,L3)。第1部分31では、スラリー40が上方の空間80に逃げやすくしているので、スラリー40と加圧液体20との接触面積が小さくなりやすい。第1部分31の長さL1を、第2部分32および第3部分33よりも小さく抑えることで、キャビテーションを発生させるための接触面積(界面20sの面積)をより早く増加させることができる。
<第2部分>
第2部分32は、図5Bに示すように、加圧液体20の周囲を概ね埋めるようにスラリー40が流れるように構成されている。スラリー40の上方の空間80は、第1部分31よりも狭くなる。空間80が狭くなるので、気泡81の崩壊時の衝撃力からスラリー40が逃げにくくなり、衝撃力がスラリー40中の粒子に作用しやすい。また、スラリー40をより確実に加圧液体20の周面に接触させることができる。この結果、キャビテーションによる気泡81が発生する界面20sの面積を増加させることができる。さらに、スラリー40の径方向の厚さtが、第1部分31よりも小さく抑えられるので、気泡81の崩壊時の衝撃力がスラリー40の厚さt全体に伝わりやすい。
第2部分32の断面積は、加圧液体20の流れ(ジェット流)の周りにスラリー40の流れが形成されるように設定されればよい。図5に示すように、第2部分32の直径D2は、少なくとも加圧液体20(ジェット流)の直径Djよりも大きくなるように設定される。一方、直径D2が小さくなりすぎると、スラリー40の流量が低下したり、スラリー40が詰まったりすることがある。これを抑制するために、直径(内径)D2は、直径D1の1/2以上であってもよい。この例では、第2部分32の直径D2は、例えば21.6mmである。
第2部分32の断面積は、出射部2の配管24(図4)の断面積よりも大きくなるように設定されていてもよい。これにより、第2部分32の断面積を、より確実に、加圧液体20の断面積よりも大きくすることができる。したがって、図5Bに示すように、加圧液体20の周囲にスラリー40の流れを形成しやすい。
スラリー40の流量が略一定の場合、第2部分32では、スラリー40の断面積が小さくなるので、スラリー40が加速される。この結果、スラリー40と加圧液体20との流速差は徐々に小さくなり、キャビテーションが生じにくくなる。
第2部分32を設けることで、スラリー40の圧力が続く第3部分33で解放されるので、キャビテーションによる気泡の発生を促進させることができる。第2部分32の長さL2は、例えば第3部分33の長さL3よりも小さくてもよい。これにより、気泡の発生量が増加する第3部分33により早くスラリー40を移動させることができる。
<第3部分>
第3部分33では、流路30の断面積が拡大するので、スラリー40の圧力が急激に解放されて気泡81が発生する。また、スラリー40の流速が低下するので、スラリー40と加圧液体20との流速差が再び大きくなって渦82が形成されやすくなり、気泡81が増加する。第3部分33では、このように、気泡81の発生量が増加するので、気泡81の崩壊時の衝撃力によって、スラリー40中の土壌の解泥、解砕をさらに進めることができる。
第3部分33では、加圧液体20およびスラリー40の流速が低下しているので、コリオリの力の影響を受けやすい。図5Cに示すように、北半球では、加圧液体20の流れは、コリオリの力の影響を受けて、進行方向(+X方向)に対して右に曲がる。また、図5Cに拡大して示すように、スラリー40中の粒子のうち相対的に重い粒子p1は、コリオリの力の影響を受けやすいので、進行方向右側に集まりやすい。このように、スラリー40中の相対的に軽い粒子p2は、相対的に重い粒子p1と分かれて流れることができるので、軽い粒子p1にも気泡81の崩壊時の衝撃力が作用しやすくなる。したがって、相対的に軽い雲母などの鉱物の粒子を、より効率的に解砕することができる。第1部分31および第2部分32で解泥または解砕された雲母を、第3部分33でさらに小さく砕くことができる。または、第1部分31および第2部分32において、キャビテーションの効果が及びにくく十分に解砕されなかった雲母を、第3部分33で砕くことができる。
第3部分33の直径D3は、第2部分32の直径D2の例えば2倍以下であってもよい(D2<D3≦2×D2)。これにより、第2部分32の下流側の端部で詰まりが生じにくい。第3部分33の直径(内径)D3は、例えば41.6mmである。
第2部分32と第3部分33との間に、第3部分33に向かうにつれて直径が大きくなるテーパ部を設けてもよい。この場合には、第3部分33の直径D3をさらに大きくすることができる。
第3部分33の長さL3は、第1部分31の長さL1および第2部分32の長さL2のそれぞれよりも大きくてもよい。長さL3は、流路30における、スラリー供給位置Pから第3部分33の上流端までの長さL4よりも大きくてもよい。第3部分33の長さL3を大きくすることで、キャビテーションによる解泥および解砕(特に解砕)をさらに進めることができる。特に、コリオリの力を利用した効率的な解砕を行うことができる。また、土壌に、比較的大きい(例えば粒径:2mm以上)の鉱物の粒子が含まれている場合でも、その粒子の風化部分を十分に解砕することができる。
第3部分33において、キャビテーション発生領域Rcよりも下流側に位置する部分は、例えば-Z方向に延在し、分級部7に接続されている。図4に示す例では、第3部分33を構成する配管は曲げ配管であり、X方向に延在した後、下向きに曲がっている。代わりに、第3部分33を構成する曲げ配管は、水平方向に曲がって分級部7まで延在していてもよい。あるいは、X方向に延在する直管状の配管を用いて第3部分33を構成してもよい。この場合には、第3部分33の側面に、例えば鉛直下向きの排出口が設けられてもよい。
なお、第3部分の流路を塞ぐように壁面を設けて、加圧液体とスラリーとを壁面に衝突させて、衝突によって鉱物の粒子の解泥、解砕を行う構成も考えられる。しかしながら、本願発明者の検討結果によると、鉱物の粒子は液体中に分散されているので、衝突による衝撃力が、鉱物の粒子自体にかかりにくい。このため、十分な効果(特に十分な解砕能力)が得られにくい。むしろ、上述したように、第3部分33の長さL3を他の部分よりも拡大して、キャビテーション効果とともにコリオリの力を利用することで、鉱物の粒子の解砕能力をより効果的に高めることができる。
本願発明者は、第3部分33による上記効果を確認するために確認実験を行った。確認実験では、図5Cに示す位置Rにフリンジを設置して、土壌処理装置1aによる処理を実行し、処理後のフリンジの表面状態を観察した。図6は、実験に使用したフリンジの模式的な上面図であり、流路側に位置する表面を示す。観察の結果、フリンジ35の表面の中央部分35cが摩耗していることが確認された。これは、高圧水の衝撃によるものと考えられる。また、中央部分35cにおいて、加圧液体の進行方向の右側に位置する右側部分352には錆がみられたが、左側に位置する左側部分351には錆はみられなかった。これは、右側部分352には、比較的重い粒子が衝突することで凹凸が形成されたためと考えられる。この結果から、流路の第3部分では、スラリーが、コリオリの力により重い粒子と軽い粒子とが分けられながら流れることが確認された。
<テーパ部>
図4および図5Aに示すように、流路30は、第1部分31と第2部分32との間に、第1部分31から第2部分32に向かうにつれて断面積が減少するテーパ部34をさらに有してもよい。
テーパ部34の内部には、第1部分31のような大きな渦82が生じにくい。このため、スラリー40をよりスムーズに、径の小さい第2部分32に流入させることができる。テーパ部34を設けることで、第1部分31の下流側端部に、スラリー40またはスラリー40中の土壌が詰まりにくい。したがって、特に土壌に粒径の小さい粒子(粘土、シルトなどの粒子)が含まれている場合や、土壌の粒径分布が広い場合でも、詰まりによる処理速度の低下を抑制することができる。テーパ部34の内側面の傾斜角度αは、特に限定しないが、例えば45°以下であってもよい。これにより、より効果的に詰まりを抑制することができる。
(スラリー供給部)
図4に示すように、スラリー供給部4は、ホッパ41と、液体供給部5と、土壌供給部6と、を備える。
<ホッパ>
ホッパ41は、上方開口部411と、下方開口部412とを有する。ホッパ41は、上方開口部411から下方開口部412に向かって内径が小さくなるテーパ形状を有する。上方開口部411は、例えば鉛直上向きの開口である。下方開口部412は、処理部3の流路30の第1部分31に流体接続されている。本実施形態では、ホッパ41は、円錐台状であるが、多角錐台状であってもよい。
ホッパ41は、上方開口部411から別々に供給された液体50および土壌10を、ホッパ41の内壁上で混合してスラリー40とし、下方開口部412から流出させるように構成されている。下方開口部412から流出したスラリー40は、処理部3の流路30に供給される。
<液体供給部>
液体供給部5は、上方開口部411からホッパ41の内壁に向けて液体50を供給する。液体50は、例えば水である。液体供給部5は、渦巻き式の水中ポンプ(能力:例えば、40L/m×4.2m×0.1kw×100V)53と、水中ポンプ53に接続された液体ライン51と、を備える。液体ライン51には、液体をホッパ41に供給する液体供給口が設けられている。液体供給部5は、例えば、0.05リットル/秒の流量でホッパ41に水を供給するように設定されている。
液体ライン51は、ホッパ41の上方開口部411の周縁の少なくとも一部に沿って延在する部分を有する。図4に示す例では、液体ライン51は、上方開口部411の周縁に沿うように環状に延在する環状部511を有する。環状部511には、液体50をホッパ41の内壁に向けて供給する複数の液体供給口が設けられている。「環状」は、円環状に限らず、矩形環状などの多角形環状も含む。上方開口部411の周縁が円形であり、環状部511が矩形環状であってもよい。この例では、液体ライン51における、上方開口部411の周縁に沿って延在する部分は環状であるが、弧状、直線状などであってもよい。
土壌処理装置1aの運転時において、液体ライン51からホッパ41への液体供給速度(ここでは水供給速度)は、例えば、0.05リットル/秒である。なお、供給速度は、特に限定されず、土壌供給速度、加圧液体の流速などにより適宜設定される。土壌処理装置の運転状態などにより、運転中に、制御部8を通じて液体供給速度を変化させることも可能である。
<土壌供給部>
土壌供給部6は、上方開口部411からホッパ41の内壁41sに向けて土壌10を供給する。図4に示す例では、土壌供給部6は、土壌10を貯留する土壌貯留槽61と、土壌貯留槽61から供給された土壌10を搬送する搬送装置62と、を備える。搬送装置62は、例えばベルトコンベアである。搬送装置62に供給された土壌10は、ホッパ41の上方における所定の投入位置Qまで搬送されて、投入位置Qからホッパ41に供給される。土壌の供給量は、例えば1kg/分である。
図7Aは、搬送装置およびホッパの模式的な上面透視図である。図7Bは、図7Aに示すVIIB-VIIB線に沿った模式的な断面図である。
図7Aおよび図7Bに示すように、搬送装置62は、ホッパ41の上方において、土壌10を投入位置Qまで搬送するベルト621を備える。投入位置Qは、平面視において、ホッパ41の上方開口部411の内部に位置する。ベルト621は、投入位置Qまで一方向(ここでは-X方向)に進んだ後、投入位置Qで下方にUターンして逆方向(ここでは+X方向)に進むように構成されている。これにより、ベルト621上の土壌10が、投入位置Qからホッパ41の内壁41sに向けて供給される。
搬送装置62の位置および搬送速度は、土壌10が、例えば、ホッパ41の内壁41sのうち上端部に近い領域410に供給されるように設定されている。領域410は、ホッパ41の下方開口部412からのZ方向に沿った高さが、ホッパ41の高さHの例えば1/2以上となる領域である。これにより、土壌10が液体50とともに内壁41s上を流れる距離を長くすることができるので、土壌10と液体50とを十分に混合することができる。
本実施形態では、図7Bに示すように、搬送による慣性力を利用して、土壌10の重い粒と軽い粒とを、内壁41s上の異なる位置に落下させることができる。例えば、土壌10が、重い順に礫粒子11、砂粒子12および鉱物の粒子13を含有する場合、重い粒子ほど搬送方向に対して上流側(+X側)に落下する。このようにして、土壌10の投入時に、土壌10の塊を解きほぐして、液体50と混合しやすくすることができる。したがって、より均一なスラリー40を形成することができる。また、土壌の塊が残った状態で処理部3に供給されることをより効果的に抑制することができる。
図7Aに示すように、投入位置Qは、平面視において、下方開口部412の中心Cからずれた位置である。投入位置Qを下方開口部412の中心Cからずらすことで、土壌10をより確実にホッパ41の内壁41sに供給することができる。したがって、投入された土壌10の粒子が、液体50と混合されずに直接下方開口部412から処理部3に送られることを抑制することができる。
投入位置Qは、平面視において、下方開口部412の中心Cよりも、搬送装置62の搬送方向(図7Aおよび図7Bでは-X方向)の下流側に位置してもよい。このような構成により、土壌10中の粒子が、慣性力によって、投入位置Qから、内壁41sの対向する部分に向かって飛び出し、内壁41s上に落下しやすくなる。したがって、粒子が、内壁41sに接触せずに下方開口部412に落下することを抑制することができる。また、比較的重い粒子でも、内壁41sにおける上端部に近い領域410に落下しやすくなるので、液体50と十分に混合させることができる。
搬送装置62は、ベルト上の投入位置Qよりも上流側に、土壌10の高さを調整するための調整部材622をさらに備えてもよい。調整部材622は、平面視において、ベルト621の幅を横切るように延在している。調整部材622の下端部は、ベルト621の上面からZ方向に所定の距離tを空けて配置されている。調整部材622を設けることで、ベルト621上の土壌10の高さを距離t以下に抑えることができる。これにより、土壌10の供給量の増加による処理部3の詰まりを抑制することができる。また、土壌10のホッパ41への単位時間あたりの供給量を概ね一定にすることができる。
<分級部>
図4に示すように、分級部7には、処理部3の排出口37から、加圧液体20とスラリー40とが混合された混合物70が送られる。分級部7は、混合物70を、所定の分級点以上の粒径を有する大径粒子群と、分級点未満の粒径を有し、大径粒子群よりも放射性濃度が高い小径粒子群とに分級する。本実施形態では、振動篩を用いて分級を行うが、振動篩に限らず、公知の様々な分級装置を用いることができる。分級は、複数段階に分けて行ってもよい。
図4に示す例では、分級部7は、目開き2mmの篩72と、篩72の下流側に配置した目開き75μmの篩73とを備える。これにより、篩72によって礫粒子11、篩73によって砂粒子12が取り除かれる。篩72を通過した混合物70は、鉱物の粒子13を含む粘土、シルトなどの粒径75μm未満の粒子を含む泥水である。放射性物質の大部分は泥水に含まれる。泥水は、例えばハイメッシュセパレータなどによりさらに分級されてもよい。
キャビテーション発生領域Rcにおいて、放射性物質が吸着された鉱物の粒子が土粒子から分離される解泥処理が行われる場合、分級部7は、混合物70を、土粒子(例えば粒径75μm以上)を含む大径粒子群と、鉱物の粒子(例えば粒径75μm未満)を含む小径粒子群とに分級するように構成されていてもよい(図3B参照)。
あるいは、キャビテーション発生領域Rcにおいて、解泥処理および鉱物の粒子の解砕処理が行われる場合、分級部7は、混合物70を、鉱物の粒子の粒径(例えば粒径20μm)以上の粒径を有する大径粒子群と、鉱物の粒子よりも小さい粒径を有する小径粒子群とに分級するように構成されていてもよい(図3A参照)。
(制御部)
制御部8は、例えば、出射部2、液体供給部5、土壌供給部6などの動作を制御するように構成されている。これにより、例えば、被処理物となる土壌10の種類や状態、土壌処理装置1aの運転状態などによって、適宜、スラリー40に含まれる土壌10と液体50との混合比、加圧液体20の流量などを調整することが可能である。
(効果)
本実施形態の土壌処理装置1aでは、図4~図5Cに例示したように、処理部3の流路30は、スラリー供給位置Pよりも下流側に、断面積を拡大する拡大部36を有する。スラリー供給部4および出射部2は、拡大部36の下流側では、拡大部36の上流側よりも、スラリー40と加圧液体20との流速差が大きくなり、キャビテーションによって発生する気泡81の量が増加するように構成されている。
このような構成によると、拡大部36の下流側でスラリー40の圧力が急激に低下する。また、スラリー40の流速が低下するので、スラリー40と加圧液体20との流速比が大きくなる。このため、拡大部36の下流側でキャビテーションによる気泡81の発生量を、拡大部36の上流側よりも増加させることができる。この結果、スラリー40中の鉱物の粒子の分離をさらに進めることができる。また、拡大部36の下流側では、スラリー40の流速が低下することで、コリオリの力の影響が大きくなる。このため、スラリー40中の粒子が重さによって分かれながら流れるので、鉱物の粒子などの相対的に軽い粒子に、より効率よく気泡崩壊時の衝撃力を作用させることができる。
さらに、上記構成によると、流路30内のキャビテーション発生領域Rcをより長くすることができる。流路30内でキャビテーションを発生させ続けることが可能になるので、使用する水の量を増加させずに、スラリー40中の鉱物の粒子の解泥、解砕を行う処理時間を長くすることができる。
また、本実施形態の土壌処理装置1aでは、スラリー供給部4は、ホッパ41と、ホッパ41の内壁41sに向けて土壌10を供給する土壌供給部6と、ホッパ41の内壁41sに向けて液体50を供給する液体供給部5と、を備える。土壌供給部6と液体供給部5とは、液体50と土壌10とが、ホッパ41の内壁41s上で混合されてスラリー40となり、ホッパ41の下方開口部412から処理部3の流路30に供給されるように構成されている。
このような構成によると、液体50の量を少なく抑えつつ、土壌10と液体50とをより確実に混合することができる。したがって、総固液比を小さくすることが可能になる。
また、上記構成によると、略一定の速度で、略一定の混合比(土壌10と液体50との混合比)を有するスラリー40を、連続的に処理部3に供給することができる。さらに、液体50と土壌10との混合比の調整が容易である。例えば、運転中に制御部8によって混合比を調整することもできる。
さらに、上記構成によると、土壌10が、粘土などの比較的粒径の小さい粒子を含む場合でも、粒子がホッパ41の内壁41s上で液体50と接触するので、内壁41sに付着しにくい。したがって、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。
さらに、上記構成によると、予め作製したスラリーを搬送して処理部に供給する場合と比べて、攪拌操作や大型の混合装置、スラリーの搬送装置が不要となり、スラリー40の形成に要するコストを低減することができる。また、スラリーを搬送しなくてもよいので、スラリーを搬送しやすくするために液体量を増やす必要がない。
さらに、上記構成によると、ホッパ41を伝って流れる分量の土壌10に対して、攪拌などを行うことなく液体50を混合させることができる。このため、土壌10が放射性物質を含有する場合に、放射性物質を含む粉塵などが舞い上がりにくいので有利である。
本実施形態の土壌処理装置1aでは、液体供給部5は、ホッパ41の上方開口部411の周縁の少なくとも一部に沿って延在し、液体50を搬送する液体ライン51と、液体ライン51に互いに間隔をあけて配置され、液体50を排出する複数の液体供給口と、を備える。このような構成によると、ホッパ41の内壁41sの上端部近傍に液体50を供給しやすい。また、液体50は、慣性力により、内壁41s上を周方向に流れようとするので、液体50の流れる経路を長くすることができる。したがって、液体50と土壌10とをより確実に混合させることができる。さらに、複数の液体供給口を設けることで、ホッパ41の内壁41sのより広い範囲に液体50を流すことができる。したがって、内壁41sへの土粒子の付着を抑制することができる。
さらに、本実施形態によると、キャビテーション発生工程を含む土壌処理方法において、図5Aに示すように、加圧液体20が出射方向にスラリー40とともに流れる間に、キャビテーションによる気泡の発生量が減少した後に再び増加するように、加圧液体20とスラリー40との流速差を制御することが可能になる。この方法では、キャビテーション発生工程において、スラリー40中の鉱物の粒子は、スラリー40に加圧液体20が衝突した直後だけでなく、気泡の発生量を再び増加させた後でも解泥または解砕され得る。したがって、使用液体量を抑えつつ、解泥または解砕をより効率的に進めることができる。
(変形例1:スラリー供給部)
スラリー供給部4は、液体50と土壌10とが、ホッパ41の内壁41s上を、旋回しながら下方に向かって流れ、その間に混合されてスラリー40となるように構成されていてもよい。このような構成によると、土壌10と液体50とをより確実に、かつ、より均一に混合させることができる。
図8Aは、それぞれ、液体供給部およびホッパの変形例を示す模式的な斜視図である。図8Bは、図8Aに示す変形例の上面図である。
図8Aおよび図8Bに示す例では、液体ライン51は、ホッパ41の上方開口部411の周縁に沿って環状に延在する環状部511を備える。環状部511には、複数の液体供給口512が、互いに間隔をあけて配置されている。各液体供給口512には、下方に延在するノズル52が接続されている。図8Bに示すように、ホッパ41の高さ方向(Z方向)に沿った平面視において、ノズル52の延在方向は、液体供給口512から下方開口部412の中心Cに向かう方向dに対して、環状部511を流れる液体50の流通方向に角度θ(0°<θ<90°)だけ傾斜している。角度θは、例えば20°以上である。
このような構成によると、ノズル52からの液体50は、慣性力により周方向に流れようとするため、液体50が土壌10とともにホッパ41の内壁41s上を旋回しながら下方に流れやすい。したがって、液体50と土壌10とを混合させるための経路が長くなるので、液体50と土壌10とをより確実に、かつ、より均一に混合することができる。
図8Aおよび図8Bに示す例では、複数のノズル52が全て方向dに対して同じ角度θで傾斜しているが、角度θは互いに異なっていてもよい。また、少なくとも1つの液体供給口512に設けられたノズル52が方向dに対して傾斜していれば、液体50を旋回して流す効果が得られる。
(変形例2:処理部の流路)
図9は、流路の変形例を示す模式的な断面図である。図9に示す流路30は、スラリー供給位置Pよりも下流側に、複数の拡大部36を有している。複数の拡大部36は、互いに距離を空けて配置されている。この例では、第3部分33の下流側に、第3部分33よりも断面積の小さい第4部分320と、第4部分320よりも下流側に、第4部分320よりも断面積の大きい第5部分330とがこの順で接続されている。第4部分320と第5部分330とによって、キャビテーションの発生を促進する拡大部36が形成される。第4部分320の断面積は、第2部分32と同じでもよいし異なっていてもよい。同様に、第5部分330の断面積は、第3部分33と同じでもよいし異なっていてもよい。流路30は、第3部分33の下流側に、第4部分320と第5部分330とを交互に含み、これによって、より多くの拡大部36が有していてもよい。
このような構成によると、流路30に複数の拡大部36を設けることで、キャビテーション発生領域Rcをさらに長くすることができる。
(実施例)
本実施形態の効果を確認するために、図4に示す土壌処理装置1aを用いて雲母の解砕実験を行ったので、その方法および結果を説明する。ここでは、被処理物として、実際の土ではなく、乾燥雲母のみを主成分とした市販のバーミキュライトを用い、処理後の粒度分布を測定した。
<解砕実験の方法>
実施例では、1kgのバーミキュライトを、図4に示す土壌処理装置1aのスラリー供給部4に液体(水)50とともに供給し、処理部の流路30を通過させて、キャビテーションを利用した解砕処理を行った。被処理物(バーミキュライト)の供給速度、バーミキュライトに混合させる水の流量、加圧液体(加圧水)の出射条件などの処理条件は、図4を参照しながら例示した条件と同じになるように設定した。
次いで、流路30から排出された混合物(処理後のバーミキュライトを含むスラリーと加圧水との混合物)70を貯留容器に回収し、十分に攪拌した。この後、容器の底部および上部からそれぞれ一定量の混合物を採取して混合し、測定用試料とした。
<比較例>
比較例として、加圧水の出射部を備えていない比較例の装置に、1kgのバーミキュライトを水とともに流通させた後のバーミキュライトの粒度分布を測定した。比較例の装置は、実施例と同条件でスラリーを作製して粒度分布を測定するための装置である。
図10は、比較例の装置の模式的な側面図である。比較例の装置101は、加圧水を出射する高圧エジェクタを備えていない点、および、流路30の断面積が略一定である点で、図4に示す土壌処理装置1aと異なる。装置101の流路30は、水平方向に対して下方(-Z方向)に傾斜している。
比較例では、1kgのバーミキュライトを水とともにスラリー供給部に供給し、流路30を通過させた。被処理物(バーミキュライト)の供給速度、バーミキュライトに混合させる水の流量は、実施例と同様とした。次いで、実施例と同様の方法で、流路30から排出された混合物70から測定用試料を採取した。
比較例では、バーミキュライトには加圧水の衝突やキャビテーションによる衝撃力がかからない。このため、比較例で得られた測定用試料の粒度分布は、比較例の装置に供給されたバーミキュライトの粒度分布と略同じである。したがって、比較例で測定された粒度分布を、実施例の解砕実験前のバーミキュライトの粒度分布と略同じであるとみなすことができる。
<粒度分布の比較>
図11Aおよび図11Bは、それぞれ、実施例および比較例の測定用試料を示す写真である。これらの写真から、実施例の解砕実験後のバーミキュライトの粒径が、比較例のバーミキュライトの粒径よりも明らかに小さくなっていることが確認される。
続いて、目視での確認が困難な小さい粒径範囲における粒度分布を比較するために、実施例および比較例の測定用試料の粒度分布測定を行った。ここでは、実施例および比較例のそれぞれの測定用試料を分級して、粒径0.212mm以上の粒子群を取り除いた後、レーザー回折法により、残った粒子群の粒度分布を測定した。
図11Cは、実施例および比較例において、レーザー回折法によって得られた粒径加積曲線を示す図である。図11Cに示す結果では、実施例では、比較例よりも0.02mm~0.04mmまでの粒子径を有する粒子の比率が高くなっている。このことから、実施例では、バーミキュライトの粒子の一部(例えば0.2mm以上の粒径を有する粒子)が、例えば0.02mm近傍の粒径まで解砕されたと考えられる。
このように、図11A~図11Cに示す結果から、本実施形態の土壌処理装置1aが、バーミキュライト等の鉱物の粒子に対して十分な解砕能力を有することが確認される。なお、ここでは、被処理物としてバーミキュライトを用いたが、バーミキュライトと他の土粒子とが混合された土壌を用いても、一定の解砕能力を示すと考えられる。
(その他の変形例)
本発明の土壌処理装置および土壌処理方法は、図1~図9に例示した装置、方法に限定されない。
図1、図4、図8Aおよび図8Bでは、スラリー供給部4はホッパ41を備えるが、ホッパを備えていなくてもよい。例えば、予め混合されたスラリーが配管によって搬送され、この配管が処理部の流路に接続されていてもよい。また、図4に示す例では、土壌および液体がホッパに別々に供給されるが、予め混合されたスラリーがホッパに供給されてもよい。
また、第1、2実施形態の土壌処理装置を複数台用いて土壌の処理を行うことも可能である。この場合には、複数の土壌処理装置から排出される混合物が、共通の分級部または共通の分級装置に送られるように構成されていてもよい。例えば、複数の土壌処理装置の流路が合流して、共通の分級部に送られるように構成されていてもよい。
図1~図9に例示した構成を有する装置および方法は、放射性物質を含む土壌に広く適用され得る。例えば有機成分を含む土壌にも適用可能である。また、放射性物質を含む土壌に限らず、油などの不純物を含む土壌の浄化、土壌の除菌などにも適用可能である。さらに、被処理物として、土壌に限らず、様々な粉粒体を用いることができる。本装置または方法を適用することで、キャビテーションを利用して、スラリーに含まれる粒子同士の分離、粒子の分散、粒子と不純物との分離、粒子の粉砕などを効率よく行うことができる。
図4および図8A、図8Bを参照しながら前述したスラリー供給装置(スラリー供給部)は、種々の処理装置に適用され得る。上記スラリー供給装置は、スラリーと加圧液体との流速差によって発生したキャビテーション(図2A、図2B参照)を利用して、土壌に含まれる土粒子(鉱物の粒子を含む)を他の粒子や付着物から分離するための装置に広く適用され得る。上記スラリー供給装置を適用することで、スラリーにおける固液比を小さくすることができるので、土粒子の分離をより効率よく行うことが可能になる。また、スラリーに含まれる液体量を減らすことができるので、処理後に液体の浄化にかかるコストを低減することができる。さらに、スラリー化の際に攪拌などの操作が不要となるため、放射性物質が飛散しにいというメリットがある。上記スラリー供給装置は、また、上記実施形態で説明した方法以外の方法で土粒子を放射性物質から分離するための装置にも適用され得る。
上記スラリー供給装置は、土粒子を油などの不純物から分離する浄化装置、土粒子の除菌を行うための装置などにも適用され得る。さらに、土壌以外の粉粒体の分散、混合、粉砕、研磨などを行う装置にも適用され得る。これにより、土壌や粉粒体に混合させる液体の量を低減することができる等の上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。また、例示した様々な実施形態(変形例を含む)のうちの任意の実施形態の構成を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本明細書は、以下の項目に記載の土壌処理方法を開示している。
[項目1]
放射性物質が吸着された鉱物の粒子を含む土壌を処理する方法であって、
前記土壌に液体を混合したスラリーに対して、加圧液体を出射し、前記加圧液体と前記スラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させることを含み、
前記キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、前記鉱物の粒子が他の粒子から分離される、土壌処理方法。
[項目2]
前記土壌は、前記鉱物の粒子よりも粒径の大きい土粒子をさらに含み、
前記衝撃力によって、前記土粒子に付着した又は内包された前記鉱物の粒子が、当該土粒子から分離される、項目1に記載の土壌処理方法。
[項目3]
前記衝撃力によって、前記土粒子から分離された前記鉱物の粒子が砕かれて、前記鉱物の粒子よりも粒径の小さい粒子になる、項目2に記載の土壌処理方法。
[項目4]
前記衝撃力によって、前記鉱物の粒子よりも粒径の小さい粒子になる、項目1に記載の土壌処理方法。
[項目5]
前記放射性物質は放射性セシウムであり、前記鉱物は雲母である、項目1から4のいずれか1つに記載の土壌処理方法。
[項目6]
処理される前記土壌の乾燥重量に対する、前記液体および前記加圧液体を含む使用液体の重量の比は、5以上15以下である、項目1から5のいずれか1つに記載の土壌処理方法。
[項目7]
前記土粒子の粒径は、0.075mm以上であり、前記鉱物の粒子の粒径は、0.075mm未満である、項目2または3に記載の土壌処理方法。
[項目8]
前記キャビテーションを発生させた後、前記スラリーと前記加圧液体とが混合された混合物を、前記土粒子を含む大径粒子群と、前記鉱物の粒子を含む小径粒子群と、に分級することをさらに含む、項目2または3に記載の土壌処理方法。
[項目9]
前記キャビテーションを発生させた後、前記スラリーと前記加圧液体とが混合された混合物を、前記鉱物の粒子の粒径以上の粒径を有する粒子群と、前記鉱物の粒子よりも小さい粒径を有する粒子群と、に分級することをさらに含む、項目4に記載の土壌処理方法。
[項目10]
前記キャビテーションを発生させることは、前記加圧液体が出射方向に前記スラリーとともに流れる間に、前記気泡の発生量が減少した後に増加するように前記流速差を制御することを含む、項目1から9のいずれか1つに記載の土壌処理方法。
本明細書は、以下の項目に記載の土壌処理装置を開示している。
[項目1]
放射性物質が吸着された鉱物の粒子を含む土壌に対して、前記鉱物の粒子を他の粒子から分離する処理を行う土壌処理装置であって、
流路を有する処理部と、
前記流路の上流側から下流側に向かって加圧液体を出射する出射部と、
前記出射部よりも前記流路の下流側に接続され、前記出射部により出射された前記加圧液体に向けて、前記土壌に液体を混合したスラリーを供給する供給部と、を備え、
前記出射部と前記供給部とは、前記加圧液体と前記スラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させるように構成されている、土壌処理装置。
[項目2]
前記土壌は、前記鉱物の粒子と前記鉱物の粒子よりも粒径の大きい土粒子とが混合した土壌であり、
前記出射部と前記供給部とは、前記キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、前記土粒子に付着した又は内包された前記鉱物の粒子を当該土粒子から分離するように構成されている、項目1に記載の土壌処理装置。
[項目3]
前記出射部と前記供給部とは、前記衝撃力によって、前記土粒子から分離された前記鉱物の粒子を砕いて、前記鉱物の粒子よりも粒径の小さい粒子にするように構成されている、項目2に記載の土壌処理装置。
[項目4]
前記出射部と前記供給部とは、前記キャビテーションによって発生する気泡が崩壊するときの衝撃力によって、前記鉱物の粒子を砕いて、前記鉱物の粒子よりも粒径の小さい粒子にする処理を含む、項目1に記載の土壌処理装置。
[項目5]
前記流路は、前記供給部が接続された位置よりも下流側に、前記流路の延在方向に直交する断面積を拡大する拡大部を含み、
前記出射部と前記供給部とは、前記拡大部の下流側では、前記拡大部の上流側よりも前記流速差が大きくなり、前記キャビテーションによって発生する気泡の量が増加するように構成されている、項目1から4のいずれか1つに記載の土壌処理装置。
[項目6]
前記供給部は、
上方開口部から下方開口部に向かって内径が小さくなるテーパ形状を有するホッパと、
前記上方開口部から前記ホッパの内壁に向けて前記土壌を供給する土壌供給部と、
前記上方開口部から前記ホッパの前記内壁に向けて前記液体を供給する液体供給部と、を備え、
前記土壌供給部と前記液体供給部とは、前記液体と前記土壌とが、前記ホッパの前記内壁上で混合されて前記スラリーとなり、前記下方開口部から前記流路に供給されるように構成されている、項目1から5のいずれか1つに記載の土壌処理装置。
[項目7]
前記流路の下流側に流体接続され、前記加圧液体と前記スラリーとが混合された混合物を、前記土粒子を含む大径粒子群と、前記鉱物の粒子を含む小径粒子群と、に分級する分級部をさらに備える、項目2または3に記載の土壌処理装置。
[項目8]
前記流路の下流側に流体接続され、前記加圧液体と前記スラリーとが混合された混合物を、前記鉱物の粒子以上の粒径を有する粒子群と、前記鉱物の粒子未満の粒径を有する粒子群と、に分級する分級部をさらに備える、項目4に記載の土壌処理装置。
[項目9]
前記放射性物質は放射性セシウムであり、前記鉱物は雲母である、項目1から8のいずれか1つに記載の土壌処理装置。
本明細書は、また、以下の項目に記載の土壌処理装置を開示している。
[項目1]
放射性物質が吸着された鉱物の粒子を含む土壌に対して、前記鉱物の粒子を他の粒子から分離する処理を行う土壌処理装置であって、
流路を有する処理部と、
前記流路の上流側から下流側に向かって、加圧液体を出射する出射部と、を備え、
前記出射部は、前記流路内において、前記土壌に液体を混合させたスラリーに対して前記加圧液体を出射し、前記加圧液体と前記スラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させるように構成されており、
前記流路は、
第1部分と、
前記第1部分よりも下流側に位置し、前記流路の延在方向に直交する断面積が前記第1部分よりも小さい第2部分と、
前記第2部分よりも下流側に位置し、前記断面積が前記第2部分よりも大きい第3部分と、を含むように構成されている、土壌処理装置。
[項目2]
前記流路は、前記第3部分において、前記キャビテーションによって発生する気泡の量が前記第2部分よりも多くなるように構成されている、項目1に記載の土壌処理装置。
[項目3]
前記第1部分に接続され、前記スラリーを供給する供給部をさらに備え、
前記第3部分の長さは、前記流路における、前記供給部が接続された位置から前記第3部分の上流端までの長さよりも大きい、項目1または2に記載の土壌処理装置。
[項目4]
前記出射部は、前記加圧液体を出射する出射口を有するノズル部と、前記ノズル部の上流側に位置し、前記ノズル部に接続された配管と、を備え、前記ノズル部は、前記出射口から前記配管側に向かって断面積が大きくなるように構成され、
前記第2部分の前記断面積は、前記出射部の配管の断面積よりも大きい、項目1から3のいずれか1つに記載の土壌処理装置。
[項目5]
前記流路は、
前記第3部分側に位置し、前記断面積が前記第3部分よりも小さい第4部分と、
前記第4部分よりも下流側に位置し、前記断面積が前記第4部分よりも大きい第5部分と、をさらに含むように構成されている、項目1または2に記載の土壌処理装置。
[項目6]
前記流路は、前記第1部分と前記第2部分との間に、前記第1部分から前記第2部分に向かうにつれて断面積が減少するテーパ部をさらに含む、項目1から5のいずれか1つに記載の土壌処理装置。
本明細書は、以下の項目に記載のスラリー供給装置を開示している。
[項目1]
土壌に液体を混合したスラリーを供給するスラリー供給装置であって、
上方開口部から下方開口部に向かって内径が小さくなるテーパ形状を有するホッパと、
前記上方開口部から前記ホッパの内壁に向けて前記土壌を供給する土壌供給部と、
前記上方開口部から前記内壁に向けて前記液体を供給する液体供給部と、を備え、
前記土壌供給部と前記液体供給部とは、前記液体と前記土壌とが、前記内壁上で混合されて前記スラリーとなり、前記下方開口部から流出するように構成されている、スラリー供給装置。
[項目2]
前記土壌供給部および前記液体供給部は、前記液体および前記土壌が、前記内壁上を、旋回しながら下方に向かって流れる間に混合されて前記スラリーとなるように構成されている、項目1に記載のスラリー供給装置。
[項目3]
前記液体供給部は、
前記上方開口部の周縁の少なくとも一部に沿って延在し、前記液体を搬送する液体ラインと、
前記液体ラインに互いに間隔をあけて配置され、前記液体を前記ホッパに供給する複数の液体供給口と、を備えるように構成されている、項目1または2に記載のスラリー供給装置。
[項目4]
前記複数の液体供給口は第1液体供給口を含み、
前記第1液体供給口には、前記第1液体供給口から下方に延在するノズルが設けられ、
前記ホッパの高さ方向に沿って見た平面視において、前記ノズルの延在方向は、前記第1液体供給口から前記下方開口部の中心に向かう方向に対して傾斜している、項目3に記載のスラリー供給装置。
[項目5]
前記土壌供給部は、前記ホッパの高さ方向に沿って見た平面視において、前記下方開口部の中心からずれた投入位置から前記土壌を前記内壁に向けて投入するように構成されている、項目1から4のいずれか1つに記載のスラリー供給装置。
[項目6]
前記土壌供給部は、前記平面視において、前記上方開口部の外側から前記投入位置まで前記土壌を搬送し、前記投入位置で前記土壌を前記上方開口部に落下させる搬送装置を備える、項目5に記載のスラリー供給装置。
[項目7]
前記投入位置は、前記平面視において、前記下方開口部の中心よりも、前記搬送装置の搬送方向の下流側にある、項目6に記載のスラリー供給装置。
[項目8]
前記土壌は、放射性物質を含有する土壌である、項目1から7のいずれか1つに記載のスラリー供給装置。
[項目9]
土壌に含まれる土粒子を他の粒子または付着物から分離する処理を行う土壌処理装置であって、
項目1から8のいずれか1つに記載のスラリー供給装置を備える供給部と、
前記供給部から前記土壌を含むスラリーが供給される流路と、
前記流路の上流側から下流側に向かって加圧液体を出射する出射部と、を備え、
前記出射部と前記供給部とは、前記加圧液体と前記スラリーとの界面に流速差を生じさせることによってキャビテーションを発生させるように構成されている、土壌処理装置。