JP7682367B1 - カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ分散液、バインダー組成物、電極用組成物、及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(1)~(3)を満たし、多層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ。
(1)ラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5以上3.0以下である。
(2)下記式(I)で示される濡れ指数が10以下である。
式(I): 濡れ指数=(X/Y)
[式(I)において、Yはカーボンナノチューブの質量(g)であり、Xは25℃環境下でY(g)のカーボンナノチューブにN-メチル-2-ピロリドンを滴下したときに、カーボンナノチューブに吸収されるN-メチル-2-ピロリドンの最大の質量(g)である。]
(3)アルミニウムの含有量が、3000ppm以下である。
Description
例えば、触媒金属等に由来する金属を含有するCNTを二次電池に用いると、金属が溶解し、析出して電池を短絡させる等の不具合が起こることがある。電池が短絡すると、発火、または爆発といった重大な事故に繋がることがある。そこで、CNTに含まれる金属による不具合を抑制し、安全性をより高めるために、CNTを精製して触媒金属等に由来する金属を除去する方法がいくつか提案されている。
(1)ラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5以上3.0以下である。
(2)下記式(I)で示される濡れ指数が10以下である。
式(I): 濡れ指数=(X/Y)
[式(I)において、Yはカーボンナノチューブの質量(g)であり、Xは25℃環境下でY(g)のカーボンナノチューブにN-メチル-2-ピロリドンを滴下したときに、カーボンナノチューブに吸収されるN-メチル-2-ピロリドンの最大の質量(g)である。]
(3)アルミニウムの含有量が、3000ppm以下である。
前記カーボンナノチューブ分散液は、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む、バインダー組成物。
前記カーボンナノチューブ分散液は、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む、電極用組成物。
上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液、
前記カーボンナノチューブ分散液とバインダーとを含むバインダー組成物、又は
前記カーボンナノチューブ分散液と電極活物質とを含む電極用組成物、を用いて得られる、二次電池。
本発明の一実施形態は、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも記す)に関する。本実施形態に係るCNTは、下記(1)~(3)を満たし、少なくとも、多層カーボンナノチューブを含む。
(1)ラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5以上3.0以下である。
(2)下記式(I)で示される濡れ指数が10以下である。
式(I): 濡れ指数=(X/Y)
[式(I)において、Yはカーボンナノチューブの質量(g)であり、Xは25℃環境下でY(g)のカーボンナノチューブにN-メチル-2-ピロリドンを滴下したときに、カーボンナノチューブに吸収されるN-メチル-2-ピロリドンの最大の質量(g)である。]
(3)アルミニウムの含有量が、3000ppm以下である。
本実施形態のCNTのG/D比(G-bandとD-bandのピーク比)は、ラマン分光分析法により求められる。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、本実施形態では、532nm及び632nmの波長を利用する。ラマンスペクトルにおいて1,590cm-1付近に見られるラマンシフトは、グラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1,350cm-1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボン及びグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。測定条件によってラマン分光分析の波数は変動することがあるため、ここで規定する波数は波数±10cm-1で規定するものとする。このG/D比が高いカーボンナノチューブほど、結晶性が高い。また、カーボンナノチューブを高温で焼成すると、G/D比が高くなる傾向にあり、焼成時間が長いほどG/D比が高くなる傾向にある。
濡れ指数とは、CNTの質量に対する、CNTに吸収された溶媒の最大質量の比であり、CNTの分散性、特に分散媒とCNTとを含む分散液調製時の初期粘度の指標の1つとなる。より具体的には、本実施形態のCNTは、下式(I)で示される濡れ指数が10以下である。濡れ指数は、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.5以下であってよい。濡れ指数が10以下である場合、分散媒とCNTとを含む分散液調製時に好適な初期粘度を得ることが容易となる。濡れ指数が10を超えると、分散液調製時に初期粘度が高くなり、撹拌機での撹拌及びポンプ輸送などが困難となる分散不良が生じやすい。また、初期粘度が高い場合、CNTの導電性が低下しやすくなる。
式(I): 濡れ指数=(X/Y)
CNTに吸収されるNMPの最大の質量(g)は、CNT粉末にNMPを滴下するときに、CNT粉末からNMPが流れ出す直前まで滴下したNMPの合計質量である。
先ず、25℃環境下で、Y(g)のCNT粉末を自然落下にて容器に収容する。容器を静置した状態で、容器内のCNT粉末の表面に、NMPを1回当たり5g、1分間隔で滴下する。次いで、NMPの液滴がCNT粉末に吸収されずにCNT粉末の表面に流れ出し始めるか否かを観察する。NMPの液滴がCNT粉末の表面に流れ出し始める直前までに滴下したNMPの合計質量(g)をX(g)とする。このようにして得たX(g)とY(g)の値から、式(I)で示される濡れ指数を算出する。
安全性の観点から、精製後のCNTに残存する金属等の不純物の含有量は少ないことが望ましい。ここで、CNTに含まれる金属とは、主に、CNT製造時に使用される触媒金属に由来する金属及び金属酸化物であるが、CNT製造時に混入する金属も含まれる。例えば、合成装置、充填装置、または配管等で用いられるステンレス等の金属が摩耗等によってCNTに混入する場合がある。
いくつかの実施形態において、安全性をより高める観点から、CNTに含まれる金属の総含有量は、13000ppm以下であることが好ましく、10000ppm以下であることがより好ましく、9000ppm以下であることがさらに好ましく、8000ppm以下であることが一層好ましい。
CNTを合成するときに触媒担持体として酸化アルミニウムを含む場合、絶縁成分である酸化アルミニウムナノ粒子がCNTに残存し、導電性を損なう恐れがある。CNTに含まれるアルミニウムの含有量が上記範囲である場合、絶縁成分である酸化アルミニウムナノ粒子が少なく、良好な導電性を有する電極膜を形成可能なカーボンナノチューブとなり得る。
CNTにおいて、マグネシウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンは、触媒金属に由来して含まれ得る。触媒金属として使用される金属及び金属酸化物のほかに、合成装置、充填装置、または配管等で用いられるステンレス等の金属が摩耗等によってCNTに混入する場合がある。このため、CNTにおいて、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンは、触媒金属に由来しない金属でもあり得る。
これらの金属の総含有量が上記の範囲であると、二次電池の安全性の向上がより容易となる。以下の説明において、マグネシウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンを単にその他金属と総称することがある。
CNTにおいて、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンは、それぞれ、金属単体、金属酸化物、及びこれらの複合酸化物等として含まれ得る。これらの金属は、短絡の原因になるため、その総含有量を低減することが望ましい。
いくつかの実施形態において、CNTにおけるコバルトの総含有量は、10000ppm以下であることが好ましく、7000ppm以下であることがより好ましく、6500ppm以下であることが特に好ましく、3000ppm以下であることがより好ましく、1700ppm以下であることがさらに好ましく、800ppm以下であることが一層好ましい。
また、いくつかの実施形態において、CNTにおける鉄の総含有量は、7000ppm以下であることが好ましく、3000ppm以下であることがより好ましく、2500ppm以下であることがさらに好ましく、1000ppm以下であることが一層好ましい。
さらに、いくつかの実施形態において、CNTにおけるコバルト及び鉄の総含有量は、7000ppm以下であることが好ましく、3000ppm以下であることがより好ましく、2000ppm以下であることがさらに好ましく、1000ppm以下であることが一層好ましい。
安全性の観点から、本実施形態のCNTは、200℃から1000℃まで10℃/分で昇温した際の示差熱分析(DTA)において、600℃以上800℃以下に発熱ピークを有することが好ましい。発熱ピークは、CNTを大気雰囲気下にて示差熱分析することで測定することができる。DTAは、試料及び基準物質の温度を一定条件によって変化させながら、その試料と基準物質との温度差を温度の関数として測定する方法であり、JIS K 0129に準拠している。試料と基準物質との温度差の変化を基に作成されるDTA曲線において、最も大きなピークを発熱ピークとする。
また、CNT表面において含酸素官能基を有する部位は、官能基を有しない部位と比較して燃焼しやすいため、含酸素官能基量が少ないほど(すなわち、表面酸素量が少ないほど)CNTは燃焼し難くなり、CNT表面の酸化度合が小さいほどCNTを燃焼させるための温度が高くなる。さらに、CNTの結晶性が高いほどCNTの燃焼開始温度が高くなる。CNTの結晶性は上述のG/D比により表すことができる。
本実施形態のCNTの体積抵抗率は、2.0×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。いくつかの実施形態において、上記体積抵抗率は、1.0×10-2~2.0×10-2Ω・cmであることが好ましい。いくつかの実施形態において、上記体積抵抗率は、1.0×10-2~1.9×10-2Ω・cmであることがより好ましく、1.0×10-2~1.8×10-2Ω・cmであることがさらに好ましく、1.2×10-2~1.7×10-2Ω・cmであることが特に好ましい。CNTの体積抵抗率が上記範囲内であると、電極膜の体積抵抗率が低減し、二次電池の性能が向上する。CNTの体積抵抗率は、粉体抵抗率測定装置(日東精工アナリテック株式会社製:ロレスタ-GP粉体抵抗率測定システムMCP-PD-51)を用いて測定することができる。
CNTの凝集力の弱さ、すなわち、CNT凝集体の崩れやすさが初期分散性に直接影響する。このような観点から、CNTの凝集力を、CNTの初期分散性の評価、及びその制御の指標とすることができる。いくつかの実施形態において、CNTの凝集力は7.5kPa以下であることが好ましく、7.0kPa以下がより好ましい凝集力が上記範囲である場合、CNTの初期分散性の向上が容易となる。また、CNT分散液において、優れた粘度安定性を容易に得ることができる。
いくつかの実施形態において、CNTの導電性の観点から、本実施形態のCNTは、表面酸素量が1.0atm%未満であることが好ましい。上記表面酸素量は、0.9atm%以下であることが好ましく、0.8atm%以下であることがより好ましい。いくつかの実施形態において、上記表面酸素量は、0.1~0.8atm%であってよく、より好ましくは0.2~0.7atm%であってよく、さらに好ましくは0.2~0.7atm%以下であってよい。表面酸素量が1.0atm%未満であると、CNTの使用によって、電極膜として優れた導電性を容易に得ることができる。本明細書において、「表面酸素量」とは、X線光電子分光分析によって決定したCNTの表面における炭素原子に対する酸素原子の割合(atm%)により表される値である。
CNTは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。CNTは単層CNTと多層CNTが混在するものであってもよい。単層CNTは一層のグラファイトが円筒状に巻かれた構造を有する。多層CNTは、二層又は三層以上のグラファイトが円筒状に巻かれた構造を有する。本開示におけるCNTは、単層CNTが含まれないものであってもよく、多層CNTであることが好ましい。あるいは、CNTは単層CNTと多層CNTが混在するものであってもよいが、そのような場合であっても、多層CNTが90質量%以上を占めるCNTが好ましく、多層CNTが99質量%以上を占めるCNTがより好ましい。CNTにおける多層CNTは100質量%であってもよい。このようなCNTを用いることで、G/D比を好適な範囲、例えば0.5以上3.0以下とすることが容易になる。また、CNTの側壁はグラファイト構造でなくともよい。例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるCNTをCNTとして用いることもできる。
CNTの比表面積は、CNTの平均外径と相関性がある場合が多く、比表面積が小さいほどCNTの外径が大きくなり、質量あたりのCNTの本数が少なくなる。一方、CNTの比表面積が大きいほどCNTの外径が小さくなり、質量あたりのCNTの本数が多くなる。CNTの比表面積が150m2/g以上であると、質量あたりのカーボンナノチューブの本数を確保でき、効率的に導電ネットワークを形成することができるため、電池の優れたレート特性及びサイクル特性を得ることができる。また、CNTの比表面積が800m2/g以下であると、CNTの分散が良好であり、電極膜において良好な導電ネットワークを形成することができる。
本実施形態のCNTは、例えば、レーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法で製造できるが、これらに限定されない。例えば、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気中、500~1000℃にて、炭素源を触媒金属と接触反応させることでCNTを製造することができる。炭素源は炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方でもよい。
以下、カーボンナノチューブ(CNT)の精製方法について説明する。なお、本実施形態のCNTは、以下に説明する精製方法を経て製造されたものに限定されないが、以下に説明する精製方法に従うことで本実施形態のCNTを容易に得ることができる。
上記範囲の内部圧力を得るために、段階的に減圧を行うことが好ましい。一実施形態として、減圧は2段階で実施することが好ましい。例えば、第1の段階において、内部気圧は、好ましくは10Pa以下、より好ましくは9.8Pa以下、さらに好ましくは9.6Pa以下に調整される。第1の段階において内部気圧は9.5~9.8Paの範囲であってよい。内部気圧を上記範囲に調整し、一定時間にわたって維持した後に、第2の段階として、内部気圧を好ましくは1Pa以下、より好ましくは0.1Pa以下、さらにこのましくは0.05Pa以下に調整することができる。いくつかの実施形態において、第2の段階における内部気圧は0.03Pa以下であってよい。
CNTの熱分解ガス及び金属の昇華によって内部圧力が上昇し、内部圧力を段階的に減圧することが難しい場合もある。そのような場合、先に説明したように減圧を2段階で実施する方法に限らず、所望とする減圧真空の状態を維持するために様々な方法を適用することができる。例えば、第1の段階の減圧のみを実施する方法、又は、第2の段階の減圧に続けて第3の段階を設けて減圧を実施する方法を適用してもよい。例えば、第3の段階の減圧において、内部気圧は、好ましくは10Pa以下、より好ましくは9.8Pa以下、さらに好ましくは9.6Pa以下に調整される。このように3段階以上の複数の段階を経て内部気圧を調整してもよく、その段階数は限定されない。いくつかの実施形態において、上記段階数は、6段階以上であってよく、7段階以上であってもよい。
このような観点から、熱処理温度は、1000℃以上、2000℃以下が好ましい。CNTの高結晶化を抑制する観点から、1800℃以下、1700℃以下、又は1600℃以下であってよい。いくつかの実施形態において、熱処理温度は、好ましくは1600℃以下であり、1500℃以下であってもよい。なお、熱処理温度とは、装置内の温度(内部温度)を意味する。
本実施形態のCNTは、粒子を破砕し、分散性を上げる観点から乾式粉砕を行ったCNTでもよい。乾式粉砕とは、液状物質を介在させないでCNTを粉砕する処理のことをいう。乾式粉砕としては、メディア粉砕であってもよく、メディアを用いない粉砕であってもよく、2つ以上の乾式粉砕を組み合わせてもよい。例えば、メディア粉砕では、ビーズ、スチールボール等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用することで、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用して粒子が粉砕される。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミル、ビーズミルなどの公知の方法を用いることができ、粉砕時間はその装置によってまたは粒子の粉砕の状態に応じて任意に設定できる。
本発明の一実施形態は、CNT分散液に関する。本実施形態に係るCNT分散液は、上記実施形態のCNTと、分散剤と、分散媒とを含む。本明細書におけるCNT分散液は、電極活物質を含有しない。また、本実施形態によれば、上記実施形態のCNTと分散剤と分散媒とを含むCNT分散液の製造方法を提供することができる。
分散剤は、CNTを分散安定化できる範囲で特に限定されず、例えば、界面活性剤、樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性に分類される。CNTの分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。
分散媒は、CNTが分散可能なものであれば特に限定されないが、水及び水溶性有機溶媒の内、いずれか1種、もしくは2種以上からなるものであることが好ましい。
しかし、CNT分散液は、金属として、金属粒子、及び溶解した金属イオンを含み得る。金属粒子は、CNT分散液中に粒子状で存在している金属であり、具体的には、上述したCNTに含まれる金属等が挙げられる。CNT、分散剤、その他の材料には、それぞれの製造工程に由来する金属粒子が含まれている場合があり、CNT分散液の製造工程においても、金属粒子が混入する場合がある。
金属粒子が電池の内部に存在すると、電池が短絡しやすくなるため、金属粒子を除去することは安全性の観点から非常に重要である。そのため、CNT分散液を製造する工程において、任意のタイミングで金属粒子等のコンタミを除く工程(金属異物除去工程)を含むことが好ましい。金属異物除去工程は、効率の観点から、CNT分散液の分散工程の途中、及び/または分散工程の最後に行うことが好ましい。金属異物除去工程は複数回行ってもよい。
磁気フィルターによってCNT分散液中から金属粒子を除去する工程は、1,000ガウス以上の磁束密度以上の磁場を形成する磁気フィルターを通過させることにより行われることが好ましい。磁束密度が低いと金属粒子の除去効率が低下するため、好ましくは5,000ガウス以上、磁性の弱いステンレスを除去することを考慮するとさらに好ましくは10,000ガウス以上、最も好ましくは12,000ガウス以上である。
粗大な金属粒子は、濾過する流速によっては、磁気フィルターを通過してしまう恐れがあるため、製造ライン中に磁気フィルターを配置する際には、磁気フィルターの上流側に、カートリッジフィルターなどのフィルターにより粗大な異物、あるいは金属粒子を除く工程を含ませることが好ましい。また、磁気フィルターは、一回ろ過するのみでも効果はあるが、循環式であることがより好ましい。循環式とすることにより、金属粒子の除去効率が向上する。
CNT分散液の製造ライン中に、磁気フィルターを配置する場合は、磁気フィルターの配置場所は特に制限されないが、好ましくはカーボンナノチューブ分散液を容器に充填する直前、容器への充填前に濾過フィルターによる濾過工程が存在する場合には、濾過フィルターの前に配置することが好ましい。このように配置することにより、磁気フィルターから金属が脱離した場合に、製品への混入を防止することができる。
本発明の一実施形態は、バインダー組成物に関する。本実施形態に係るバインダー組成物は、上述のCNT分散液と、バインダーとを含む。本明細書におけるバインダー組成物は、電極活物質を含有しない。また、本実施形態によれば、上述のCNTと分散剤と分散媒とバインダーとを含むバインダー組成物の製造方法を提供することができる。
バインダーとは、電極膜において種々の物質同士を結着する樹脂である。
バインダーとしては、電池用として公知のバインダーが使用できる。例えばカルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体、混合物、及び共重合体であってもよい。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を有する高分子化合物であるポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
本発明の一実施形態は、電極用組成物に関する。本実施形態に係る電極用組成物は、上述のCNT分散液と、電極活物質とを含む。電極用組成物は、さらにバインダーと混合して合材スラリーを製造することができる。また、本実施形態によれば、上述のCNTと分散剤と分散媒と電極活物質とを含むバインダー組成物の製造方法、及び上述のCNTと分散剤と分散媒と電極活物質と合材スラリーとを含むバインダー組成物の製造方法を提供することができる。
電極活物質とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は起電力から正極活物質と負極活物質に分けられる。
正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、及び導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V2O5、V6O13、TiO2等の遷移金属酸化物粉末;層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末;オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料等が挙げられる。これら正極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。また、上記の無機化合物及び有機化合物を混合して用いてもよい。
負極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものを用いることができる。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系;LixFe2O3、LixFe3O4、LixWO2(xは0<x<1の数である。)、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系;ソフトカーボン及びハードカーボンなどのアモルファス系炭素質材料又は高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。特に、高黒鉛化炭素材料とケイ素酸リチウムを組み合わせて使用すると、容量及び寿命の観点から好ましい。
電極活物質の平均粒子径は、0.05~100μmが好ましく、さらに好ましくは0.1~50μmであってよい。本明細書において「電極活物質の平均粒子径」とは、電極活物質を電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値である。
合材スラリーに含まれるCNTの含有量は、電極活物質100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、合材スラリーに含まれるCNTの含有量は、電極活物質100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
合材スラリーに含まれるバインダーの含有量は、電極活物質100質量%に対して、0.3質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましい。また、合材スラリーに含まれるバインダーの含有量は、電極活物質100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
合材スラリーの固形分は、合材スラリー100質量%に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、合材スラリーの固形分は、合材スラリー100質量%に対して、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
合材スラリーに含まれる水分量は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態は、電極膜に関する。本実施形態に係る電極膜は、(i)カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液、(ii)当該カーボンナノチューブ分散液とバインダーとを含むバインダー組成物、又は(iii)当該カーボンナノチューブ分散液と電極活物質とを含む電極用組成物を用いて得られる電極膜である。カーボンナノチューブとして、上記した本実施形態のカーボンナノチューブを用いる。また、電極膜は、(iv)合材スラリーを用いて得られる電極膜であってもよい。(iv)合材スラリーは、前述の(i)カーボンナノチューブ分散液、(ii)バインダー組成物、又は(iii)電極用組成物を用いて得ることができる。
本発明の一実施形態は、二次電池に関する。本実施形態に係る二次電池は、上述の電極膜を含む。電極膜は、二次電池の電極として使用でき、特に有機電解液を用いる非水電解質二次電池の電極として用いるのが好ましい。非水電解質二次電池とは、正極と、負極と、有機電解液を含む電解質と、を備える電池である。電極膜は、正極、負極のいずれか、または両方に用いることができる。
一実施形態において、例えば、集電体に正極活物質を含む電極用組成物を塗工、及び乾燥して得た電極膜を、正極として使用することができる。
また、一実施形態において、例えば、集電体に負極活物質を含む電極用組成物を塗工、及び乾燥して電極膜を得た電極膜を、負極として使用することができる。
また、一実施形態において、集電体にCNT分散液、またはバインダー組成物を塗工、及び乾燥して得た電極膜を、下地層付き集電体として使用することができる。
特に、安全性の観点から、正極として使用することが好ましい。
[実施例1]
<CNTの製造>
直径10cm、高さ10cmの黒鉛性のるつぼに、60部のCNT(JEIO社製、JENOTUBE10B)を仕込み、多目的高温炉(富士電波工業株式会社製、ハイマルチ5000)を用いて減圧真空加熱を行った。窒素ガス置換操作を2回行ったのち、油回転ポンプを用いて減圧し、炉内圧力を9.8~9.5Paに調整した後、引き続き、油拡散ポンプを用いてさらに減圧し、炉内圧力を0.03Pa以下に調整した。続いて、油拡散ポンプによる減圧を維持しながら、昇温速度20℃/分で、1200℃まで昇温し、1200℃で6時間保持した。その後、炉内温度が50℃以下になるまで自然放冷し、CNT(A)を得た。
ステンレス容器に、水素化ニトリルブタジエンゴム重合体(日本ゼオン社製、Zetpole2000L、固形分8質量%)を含むNMP溶液及びNMPを加え、上記重合体が0.6質量部、NMP合計量が96.4質量部となるように調整した。
この溶液に、CNT(A)を3.0質量部秤量し、ディスパーで撹拌しながら添加して、ハイシアミキサー(L5M-A、SILVERSON製)にファインエマルサースクリーンを装着し、7,000rpmの速度で全体が均一になるまでバッチ式分散を行った。
次に、上記ステンレス容器の内容物を送液し、直径0.5mmφのジルコニアビーズを充填したビーズミル(アシザワファインテック社製、スターミルLMZ)により、滞留時間10分間の循環式分散処理(ビーズ充填量80%、周速12m/s)を行った。
続いて、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボ)に被分散液を供給し、10回パス式分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて行った。分散処理の後、デプスフィルター(3M製、PP製不織布デプスカートリッジNT-Tシリーズ、濾過精度40μm)を通過させた。このようにして、カーボンナノチューブ分散液(A)を作製した。
容量150cm3のプラスチック容器に、CNT分散液(A)と、予めNMP(N-メチル-2-ピロリドン)に、固形分が8質量%となるように溶解しておいたPVdF(ポリフッ化ビニリデン、sоlef5130、sоlvay製、不揮発分100%)を加えた。その後、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。このようにして、バインダー組成物(A)を得た。
バインダー組成物(A)に、正極活物質としてNMC(S800、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、金和製)とを加えた後、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。続いて、固まりをスパチュラで解した後、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで300秒間撹拌し、電極用組成物(A)を得た。電極用組成物の不揮発分は72.0質量%とした。電極用組成物の不揮発部の内、NMC:CNT:PVdFの不揮発分比率は、98.1:0.4:1.5とした。
電極用組成物(A)を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cm2となるようにアルミ箔上に塗工した。塗工後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間にわたって塗膜を乾燥させ、電極膜(A)を得た。その後、電極膜(A)に対してロールプレス(サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行って、正極(A)を得た。なお、合材層の単位当たりの目付量は20mg/cm2であり、圧延処理後の合材層の密度は3.1g/ccとした。
正極(A)及び標準負極を、各々45mm×40mm、50mm×45mmに打ち抜いた。これら電極と、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、60℃で1時間乾燥した。
その後、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解液(非水電解液)を2mL注入した後、アルミ製ラミネート袋を封口してラミネート型二次電池(A)を作製した。
なお、上記標準負極、非水電解液は以下のようにして作製した。
(標準負極)
容量150mlのプラスチック容器にアセチレンブラック(デンカブラック(登録商標)HS-100、デンカ製)0.5質量部と、MAC500LC(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 サンローズ特殊タイプ MAC500LC、日本製紙社製、不揮発分100%)1質量部と、水98.4質量部とを加えた後、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2000rpmで30秒間撹拌した。さらに活物質として人造黒鉛(日本黒鉛工業製、CGB-20)92質量部と、シリコン酸化物(大阪チタニウムテクノロジー社製、SILICON MONOOXIDE SiO 1.3C 5μm、不揮発分100%)5質量部とを添加し、高速撹拌機を用いて、3000rpmで10分間撹拌した。続いてスチレンブタジエンゴム(SBR)(TRD2001、JSR社製)3.1質量部を添加し、前記自転・公転ミキサーを用いて、2000rpmで30秒間撹拌して、負極用合材スラリーを得た。その後、負極用合材スラリーを、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が8mg/cm2となるように銅箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間、塗膜を乾燥させた。さらに、ロールプレス(株式会社サンクメタル社製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cm3となる標準負極を作製した。
(非水電解液)
先ず、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒を作製した。次に、この混合溶媒100質量部に対して、添加剤として2質量部のVC(ビニレンカーボネート)を加え、さらにLiPF6を1Mの濃度で溶解させて、非水電解液を得た。
表1に掲載したCNT種、保持温度、処理時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、CNT(B)~CNT(Y1)を得た。
さらに、得られた各CNTを使用し、実施例1と同様の方法にしたがい、CNT分散液、バインダー組成物、電極用組成物、電極膜、二次電池を作製した。
ガラス瓶(M-225、柏洋硝子株式会社製)に、15部のCNTと直径2mmのジルコニアビーズ40部を加え、オートマチックシェーカー(Fast and Fluid Management社製、SK450)で1分間乾式処理を行った。その後、この操作を繰り返して作製したCNT60部を用いて、実施例9に記載の方法と同様の方法にて、CNT(J)を得た。
さらに、上記のようにして得たCNT(J)を使用し、実施例1と同様の方法にしたがい、CNT分散液、バインダー組成物、電極用組成物、電極膜、二次電池を作製した。
電子天秤(Sartоrius社製、MSA225S100DI)を用いて、CNT(JEIO社製、JENOTUBE10B)をアルミナるつぼSSA-HB4(ニッカトー製)に50部計量し、CNTを収容したるつぼを、多目的高温炉(富士電波工業株式会社製、ハイマルチ5000)に入れた。次いで、窒素流量2.0L/分の窒素雰囲気下、炉内温度を昇温速度20℃/分で1200℃まで昇温し、1200℃で6時間保持した後、炉内温度が50℃まで自然放冷した。
その後、熱処理されたCNTを、1Lのガラス製容器に10部計量し、10%塩酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)を500部投入した後、スターラーを用いて十分に撹拌した。その後、イオン交換水を用いて、十分に希釈し、メンブレンフィルターを用いて減圧濾過を行った。希釈と濾過の作業を繰り返し行い、濾液のpHが4以上になることを確認した後、PTFE製のバットにCNTを移した。次いで、オーブンを用いて、140℃で乾燥した。このようにして、CNT(X4)を得た。
さらに、上記のようにして得たCNT(X4)を使用し、実施例1と同様の方法にしたがい、CNT分散液、バインダー組成物、電極用組成物、電極膜、二次電池を作製した。
2-1.CNTの特性の評価
上述の実施例及び比較例のカーボンナノチューブ(CNT)について、以下のようにして測定を行った。特に説明のない限り、測定は、精製後のCNTを使用して実施した。それぞれの結果を表1に示す。
マイクロ波試料前処理装置(マイルストーンゼネラル株式会社製、ETHOS)を使用し、CNTを酸分解し、CNTに含まれる金属を抽出した。抽出した金属の分析を、マルチ型ICP発光分光分析装置(Agilent社製、720-ES)を用いて行い、CNTに含まれる金属の含有量を算出した。後述する表1では、金属の含有量として、アルミニウム、鉄、コバルト、マグネシウムの含有量を示す。
また、算出した金属の含有量の中から、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンの総含有量を求めた。
CNTのマグネシウム、アルミニウム、コバルト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンの総含有量は、金属抽出前のCNTの質量に対し、抽出されたマグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン及びモリブデンの総含有量の質量割合(ppm)で表す。
ラマン顕微鏡(株式会社堀場製作所製、XploRA)にCNTを設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行った。測定条件は取り込み時間60秒、積算回数2回、減光フィルター10%、対物レンズの倍率20倍、コンフォーカスホール500、スリット幅100μm、測定波長は100~3000cm-1とした。測定用のCNTはスライドガラス上に分取し、スパチュラを用いて平坦化した。得られたピークの内、スペクトルで1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとし、G/Dの比を算出し、CNTのG/D比とした。
25℃環境下で、直径10cmの円筒状ポリプロピレン製容器に、5g(Y(g))のCNT粉末を自然落下にて収容し、静置した状態で、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を1回当たり5g、1分間隔でCNT粉末の表面に滴下し、NMPがCNT粉末に吸収されずにCNT粉末の表面に流れ出し始める直前まで滴下したNMPの合計質量(X(g))を測定する。下記、式(I)からCNTの濡れ指数を算出する。
式(I):濡れ指数=(X/Y)
[式(I)において、YはCNTの質量(g)であり、Xは25℃環境下でY(g)のCNTにNMPを滴下したときに、CNTに吸収されるNMPの最大の質量(g)である。]
レーザー回折法(例えば、Malvern社製 MasterSizer3000)を用いてCNTの粒子径測定を行った。平均粒子径D50は粒度分布において体積基準の積算値が50%となる粒子径である。D10及びD90については、体積基準の積算値がそれぞれ10%及び90%となる粒子径である。
熱重量示差熱分析装置(株式会社リガク製、Tg-DTA 8122 Thermo plus EVO2)を用いて、試料質量1.0mgとし、アルミナパン容器に加え、大気雰囲気中、昇温速度10℃/分で25℃から1000℃まで昇温した。得られたDTA曲線について、200℃から1000℃までの温度範囲にてピーク頂点における温度を発熱ピークの温度とした。
X線光電子分光装置(XPS、ThermoFisher Scientific社製、K-Alpha)を用いて、CNTの表面酸素量を測定した。CNTをペレット化した後、この試料を試料台に両面テープにより固定して測定を行った。XPSによって試料であるCNTの表面の炭素原子及び酸素原子を検出した。ここでは、炭素原子に対する酸素原子の割合(atm%)を表面酸素量として算出した。
粉体抵抗率測定装置(日東精工アナリテック株式会社製:ロレスタ―GP粉体抵抗率測定システムMCP-PD-51)を用い、試料質量1.2gとし、粉体用プローブユニット(四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mm)により、印加電圧リミッタを90Vとして、種々加圧下のCNT粉体の体積抵抗率[Ω・cm]を測定した。1g/cm3の密度におけるCNTの体積抵抗率の値について評価した。
レオメータ(Anton Paar社製、MCR302e)を用いて、CNTの凝集力を測定した。まず、専用のアルミ容器(C-CC27/D/Al)にCNTを4.0g入れ、圧縮用のシリンダー治具でカーボンナノチューブを12kPaで圧縮した。その後、凝集力測定用の羽型治具に交換し、治具を125μm/s、0.1回転/分で動かしながらカーボンナノチューブに貫入させ、せん断力をかけた時のトルクを計測し、その最大ピーク値をCNTの凝集力とした。温度制御デバイスはC-PTD200を使用し、温度25℃で測定した。
上述の実施例及び比較例で調製したCNT分散液、バインダー組成物、電極用組成物、電極膜、及び二次電池について、以下のようにして測定を行い、特性を評価した。それぞれの評価結果を表1に示す。
<CNT分散液の粘度安定性>
CNT分散液を40℃の恒温槽に1週間静置保管した後、CNT分散液を25℃に冷却後、B型粘度計を用いて、ローター回転速度30rpmにて直ちに行った。粘度安定性の評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(優良):3000mPa・s以下
〇(良):3000mPa・sを超えて5000mPa・s以下
△(可):5000mPa・sを超えて10000mPa・s以下
×(不良):10000mPaを超える
粒子径(D90)は、粒度分布測定装置(Partica LA-960V2、HORIBA製)を用いて測定した。循環/超音波の動作条件は、循環速度:3、超音波強度:7、超音波時間:1分、撹拌速度:1、撹拌モード:連続とした。また、空気抜き中は超音波強度7、超音波時間5秒で超音波作動を行った。NMPの屈折率は1.468、CNTの屈折率は1.920とした。測定は、測定試料を赤色レーザーダイオードの透過率が60~70%となるように希釈した後に行い、粒子径基準は体積とした。粒子径の評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(優良):0.6μm以上2.0μm未満
〇(良):2.0μm以上5.0μm未満
-(不良):0.6μm未満、または5.0μm以上
とした。
二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流50mA(1C)にて充電終止電圧4.2Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流1.25mA(0.025C))を行った後、放電電流50mA(1C)にて、放電終止電圧2.5Vで定電流放電を行った。この操作を200回繰り返した。1Cは正極の理論容量を1時間で放電する電流値とした。サイクル特性は25℃における3回目の1C放電容量と200回目の1C放電容量の比、以下の式3で表すことができる。
(式3):
サイクル特性=200回目の1C放電容量/3回目の1C放電容量×100(%)
二次電池のサイクル特性の評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎(優良):90%以上
〇(良):85%以上90%未満
△(可):80%以上85%未満
×(不良):80%未満
実施例及び比較例で調製した電極用組成物を、アプリケーターを用いて、電極の単位当たりの目付量が20mg/cm2となるように厚さ100μmのPET箔上に塗工し、次いで、電気オーブン中で120℃±5℃で30分間乾燥し、合材塗膜を作製した。
作製した合材塗膜を、三菱化学アナリテック製:ロレスタ―GP、MCP-T610を用いて合材層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、合材層の厚みを乗算し、電極の体積抵抗率(Ω・cm)とした。合材層の厚みは、膜厚計(NIKON製、DIGIMICRO MH-15M)を用いて、電極中の3点を測定した平均値から、PET箔の膜厚を減算したものを用いた。電極の体積抵抗率の評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎(優良):7Ω・cm未満
〇(良):7Ω・cm以上15Ω・cm未満
△(可):15Ω・cm以上20Ω・cm未満
×(不良):20Ω・cm以上
・10B:多層カーボンナノチューブ(JEIO社製、JENOTUBE10B)
・6A:多層カーボンナノチューブ(JEIO社製、JENOTUBE6A)
Claims (9)
- 下記(1)~(3)を満たし、多層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ。
(1)ラマンスペクトルにおいて1560~1600cm-1の範囲内での最大ピーク強度をG、1310~1350cm-1の範囲内での最大ピーク強度をDとした際に、G/D比が、0.5以上3.0以下である。
(2)下記式(I)で示される濡れ指数が10以下である。
式(I): 濡れ指数=(X/Y)
[式(I)において、Yはカーボンナノチューブの質量(g)であり、Xは25℃環境下でY(g)のカーボンナノチューブにN-メチル-2-ピロリドンを滴下したときに、カーボンナノチューブに吸収されるN-メチル-2-ピロリドンの最大の質量(g)である。]
(3)アルミニウムの含有量が、3000ppm以下である。 - 前記カーボンナノチューブは、体積抵抗率が2.0×10-2Ω・cm以下である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
- 前記カーボンナノチューブは、凝集力が7.5kPa以下である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
- 前記カーボンナノチューブは、200℃から1000℃まで10℃/分で昇温した際の示差熱分析において、600℃以上800℃以下に発熱ピークを有する、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液。
- 40℃で1週間静置保管した後、B型粘度計により測定した25℃での粘度が、5000mPa・s以下である、請求項5に記載のカーボンナノチューブ分散液。
- カーボンナノチューブ分散液と、バインダーとを含み、
前記カーボンナノチューブ分散液は、請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む、バインダー組成物。 - カーボンナノチューブ分散液と、電極活物質とを含み、
前記カーボンナノチューブ分散液は、請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む、電極用組成物。 - 電極膜を含む二次電池であって、前記電極膜は、
請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含むカーボンナノチューブ分散液、
前記カーボンナノチューブ分散液とバインダーとを含むバインダー組成物、又は
前記カーボンナノチューブ分散液と電極活物質とを含む電極用組成物、を用いて得られる、二次電池。
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