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JP7673740B2 - 中空樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、中空樹脂粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、本開示は、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される非反応性炭化水素系溶剤の残留量が低減された中空樹脂粒子を得ることができる製造方法に関する。
重合性単量体を重合することにより製造される中空樹脂粒子は、粒子の内部に空洞がある粒子であり、内部が実質的に樹脂で満たされた中実粒子と比べて、光を良く散乱させ、光の透過性を低くできる。そのため、中空樹脂粒子は、不透明度、白色度などの光学的性質に優れた有機顔料や隠蔽剤として水系塗料、紙塗被組成物などの用途で汎用されており、更に、光反射板、断熱材、遮音材等の成形体用の添加剤等としても利用されている。
特許文献1には、シェルが単層構造であって、空隙率の大きい中空高分子粒子を、短い工程で且つ簡便な方法により製造することを目的として、分散安定剤の水溶液中で、架橋性モノマー、又は、架橋性モノマーと単官能性モノマーとの混合物、開始剤、及び水難溶性の溶媒からなる混合物を分散させ、懸濁重合を行う方法が開示されている。特許文献1には、中空部に存在する溶媒を除去する方法として、サスペンジョンや粉体の形態の中空重合体粒子を、温度20~300℃、圧力1~100000Pa程度の条件下で乾燥する方法、自然蒸発、減圧処理等の方法が開示されている。特許文献1の実施例では、中空高分子微粒子を単離し、温度約70℃、圧力約100000Pa(大気圧下)の条件下で乾燥することにより、コア部のヘキサデカン(沸点287℃)を蒸発させている。
特許文献2には、空隙率が高く、シェルに形成される孔を備えることにより徐放性を有する中空樹脂粒子を製造することを目的として、多官能性モノマーと非反応性溶媒とを含む混合溶液を水溶液に分散し、次いで前記多官能性モノマーを重合させる方法が開示されている。特許文献2には、中空樹脂粒子中の非反応性有機溶媒を除去する方法として、中空樹脂粒子を非反応性有機溶媒の沸点T±10℃で加熱する方法が開示されているのみである。
一方、特許文献3には、熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張して中空樹脂粒子を製造する方法として、熱可塑性ポリマーからなるポリマーシェルに揮発性液体及び/又は昇華性固体が膨張剤として内包された熱膨張性マイクロカプセルを、伝熱面積/有効体積が10m-1以上である間接加熱型撹拌乾燥機に連続的に供給及び排出する方法が開示されている。
特開2002-80503号公報 特開2016-190980号公報 特開2007-191694号公報
懸濁重合法により、水系媒体中で重合性単量体を重合して中空樹脂粒子を得る製造方法において、中空樹脂粒子が内包する水難溶性の有機溶剤を除去する方法としては、特許文献1及び2にも開示されるように、従来、当該有機溶剤の沸点程度又はそれよりも低い温度で、中空樹脂粒子を乾燥する方法が採用されている。しかしながら、本発明者は、中空樹脂粒子のシェルを形成する重合性単量体として、シェルの強度を高めるために架橋性単量体の割合を多くすると、従来の方法で中空樹脂粒子を乾燥させても、中空樹脂粒子の内部に有機溶剤が多く残留してしまう場合があることを知見した。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、本開示の課題は、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を得ることができる中空樹脂粒子の製造方法を提供することである。
第一の本開示の中空樹脂粒子の製造方法は、
重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程と、
前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T+70≦T≦T-5を満たすことを特徴とする。
第一の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤の沸点Tが70~90℃であることが好ましい。
第一の本開示の製造方法においては、前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%であることが好ましい。
第一の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の際の圧力が0~101.3kPaであることが好ましい。
第一の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤が、炭素数4~7の炭化水素系溶剤であることが好ましい。
第一の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程に用いられる前記前駆体粒子の含水率が50%以下であることが好ましい。
第一の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。
第二の本開示の中空樹脂粒子の製造方法は、
重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、重力方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた縦型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする。
第二の本開示の製造方法においては、前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%であることが好ましい。
第二の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T≦T≦T-5を満たすことが好ましい。
第二の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程で用いられる前記撹拌容器が、円筒状又は円錐状であることが好ましい。
第二の本開示の製造方法においては、前記前駆体組成物を調製する工程後、且つ前記炭化水素系溶剤を除去する工程前に、前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程を更に有することが好ましい。
第二の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、前記撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。
第三の本開示の中空樹脂粒子の製造方法は、
重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、水平方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた横型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする。
第三の本開示の製造方法においては、前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%であることが好ましい。
第三の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T≦T≦T-5を満たすことが好ましい。
第三の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、水平方向に延びる複数のシャフト、及び撹拌翼を備えた多軸横型撹拌方式の撹拌容器を具備する連続式乾燥機を用いて行われることが好ましい。
第三の本開示の製造方法においては、前記前駆体組成物を調製する工程後、且つ前記炭化水素系溶剤を除去する工程前に、前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程を更に有することが好ましい。
第三の本開示の製造方法においては、前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、前記撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。
上記の如き本開示の製造方法によれば、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を製造することができる。
本開示の製造方法の一例を説明する図である。 本開示の製造方法に用いられる懸濁液の一実施形態を示す模式図である。 第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機の一例を示す模式断面図である。 第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機の別の一例を示す模式断面図である。 第三の本開示の製造方法に用いられる横型撹拌乾燥機の一例を示す模式断面図である。 図5に示す横型撹拌乾燥機のAA断面図である。
なお、本開示においては、シェルと当該シェルに取り囲まれた中空部とを備え、且つ当該中空部が炭化水素系溶剤で満たされた粒子を、本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の中間体と考えて、前駆体粒子と称する。また、本開示においては、当該前駆体粒子を含む組成物を、前駆体組成物と称する。
また、本開示において、数値範囲における「~」とは、その前後に記載される数値を各々独立して下限値及び上限値として含むことを意味する。
なお、本開示において「生産性」とは、得られた中空樹脂粒子の重量(kg)を、溶剤除去工程での加熱乾燥時間(h)で割り、更に溶剤除去工程で用いた乾燥機の有効容積(m)で割った値(kg/(h・m))を指標とするものである。炭化水素系溶剤の残留量が十分に低減された中空樹脂粒子においては、当該値(kg/(h・m))が大きいほど、生産性が高いとみなすことができる。
本開示において、縦型撹拌方式とは、重力方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備える撹拌容器により行われる撹拌方式であり、横型撹拌方式とは、水平方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備える撹拌容器により行われる撹拌方式である。ここで、重力方向に延びるシャフト及び水平方向に延びるシャフトとは、それぞれ重力方向及び水平方向に対して例えば±5°以内でわずかに傾斜していてもよい。
本開示においては、縦型撹拌方式の撹拌容器で乾燥を行う乾燥機を、縦型撹拌乾燥機と称する場合があり、横型撹拌方式の撹拌容器で乾燥を行う乾燥機を、横型撹拌乾燥機と称する場合がある。
I-1.第一の本開示の中空樹脂粒子の製造方法
第一の本開示における中空樹脂粒子の製造方法は、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程と、
前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T+70≦T≦T-5を満たすことを特徴とする。
第一の本開示の製造方法では、重合性単量体、炭化水素系溶剤、重合開始剤及び水系媒体を含む混合液を懸濁させることにより、重合性単量体と炭化水素系溶剤が相分離して、重合性単量体が表面側に偏在し、炭化水素系溶剤が中心部に偏在した分布構造を有する液滴が水系媒体中に分散してなる懸濁液を調製する。第一の本開示の製造方法は、このような懸濁液を重合反応に供することにより液滴の表面を硬化させて、樹脂で構成されるシェルと、炭化水素系溶剤で満たされた中空部を有する粒子を形成するという基本技術に従う。
このような基本技術により得られる中空樹脂粒子は、樹脂を含有するシェル(外殻)と、当該シェルに取り囲まれた中空部とを備える粒子である。中空部は、樹脂材料により形成されるシェルから明確に区別される空洞状の空間である。中空樹脂粒子のシェルは多孔質構造を有していても良いが、その場合には、中空部は、多孔質構造内に均一に分散された多数の微小な空間とは明確に区別できる大きさを有している。
前述したような基本技術に従って製造される中空樹脂粒子は、製造プロセスにおいて、一旦中空部が炭化水素系溶剤で満たされる。しかし、例えば、中空樹脂粒子を樹脂等のその他の材料と混練して用いる場合に、中空樹脂粒子が炭化水素系溶剤を内包していると、中空樹脂粒子中の炭化水素系溶剤が揮発して発泡したり、発火の原因となったりする恐れがある。また、炭化水素系溶剤の含有量が少ない中空樹脂粒子と比べ、炭化水素系溶剤の含有量が多い中空樹脂粒子は、比重が重いため、中空樹脂粒子の軽量化材としての効果が劣るという問題もある。よって、炭化水素系溶剤が十分に除去された中空樹脂粒子が求められている。
一方、重合性単量体中の架橋性単量体の割合を40~100質量%として製造した中空樹脂粒子は、シェル中に共有結合ネットワークが密に張り巡らされる結果、強固なシェルが形成される。このような中空樹脂粒子においては、中空部に存在する炭化水素系溶剤がシェルを透過し難いため、従来の方法で炭化水素系溶剤を十分に除去することが困難であった。
それに対し、第一の本開示の製造方法では、炭化水素系溶剤を内包した状態の前駆体粒子を、まず水系媒体から分離した後、炭化水素系溶剤の沸点T(℃)+70℃以上、且つ当該前駆体粒子の熱分解開始温度T-5℃以下の温度で加熱乾燥することにより、粒子の破損を抑制しながら、内包されていた炭化水素系溶剤を十分に除去することができる。
第一の本開示の製造方法により、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤の残留量を低減する効果は、連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子を製造する場合に特に効果的に発揮される。
一般に中空樹脂粒子には、シェルが中空部と粒子の外部空間を通じる連通孔を有さず、中空部がシェルによって粒子外部から隔絶されているものと、シェルが1又は2以上の連通孔を有し、中空部が当該連通孔を介して粒子外部と通じているものとがある。中空樹脂粒子の連通孔の大きさは、中空樹脂粒子の大きさに応じて適宜調整されるものであるが、通常、直径10~500nmである。また、本開示において、中空樹脂粒子のシェル欠陥とは、粒子の大きさの割には極めて大きいヒビ状の欠陥を意味する。中空樹脂粒子の大きさにもよるが、1μm以上の長さを有するヒビは、一般に中空樹脂粒子の強度を著しく悪くするため、シェル欠陥と認識される。
中空樹脂粒子のシェルが連通孔又はシェル欠陥を有する場合、当該中空樹脂粒子は、樹脂等の他の材料と混練された場合に、潰れやすかったり、当該他の材料が連通孔又はシェル欠陥から中空樹脂粒子の内部へと入り込みやすかったりするという問題がある。そのため、連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子が求められている。
なお、本開示において、シェルが連通孔及びシェル欠陥を有しないとは、連通孔及びシェル欠陥を実質的に有しなければよく、100個の中空樹脂粒子をSEM観察し、連通孔又はシェル欠陥を有する中空樹脂粒子が5個以下であれば、連通孔及びシェル欠陥を有しないとする。
連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子は、例えば、第一の本開示の製造方法において、シェルを形成する重合性単量体中の架橋性単量体として、二官能の架橋性単量体を用いることにより製造することができる。重合性単量体中の架橋性単量体が二官能であることにより、重合工程での重合性単量体の重合速度が速くなりすぎず、シェルに歪みが生じにくいため、連通孔及びシェル欠陥が形成されにくいと推定される。
第一の本開示の製造方法は、下記(1)~(5)の工程を含み、特に限定はされないが、これら以外の工程を更に含んでいてもよい。なお、本開示に記載する製造方法は、技術的に可能である限り、各工程の2つまたはそれ以上の工程を、1つの工程として同時に行っても良いし、順序を入れ替えて行っても良い。例えば、混合液を調製する材料を投入しながら同時に懸濁を行うというように、混合液の調製と懸濁液の調製を一つの工程中で同時に行ってもよい。
(1)混合液調製工程
重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程
(2)懸濁工程
前記混合液を懸濁させることにより、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程
(3)重合工程
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程
(4)固液分離工程
前記前駆体組成物を固液分離することにより、水系媒体から分離された前駆体粒子を得る工程、及び
(5)溶剤除去工程
水系媒体から分離された前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程
図1は、第一の本開示の製造方法の一例を示す模式図である。図1中の(1)~(5)は、前記各工程(1)~(5)に対応する。各図の間の白矢印は、各工程の順序を指示するものである。なお、図1は説明のための模式図に過ぎず、第一の本開示の製造方法は図に示すものに限定されない。また、本開示の各製造方法に使用される材料の構造、寸法及び形状は、これらの図における各種材料の構造、寸法及び形状に限定されない。
図1の(1)は、混合液調製工程における混合液の一実施形態を示す断面模式図である。この図に示すように、混合液は、水系媒体1、及び当該水系媒体1中に分散する低極性材料2を含む。ここで、低極性材料2とは、極性が低く水系媒体1と混ざり合いにくい材料を意味する。本開示において低極性材料2は、重合性単量体、炭化水素系溶剤及び重合開始剤を含む。
図1の(2)は、懸濁液調製工程における懸濁液の一実施形態を示す断面模式図である。懸濁液は、水系媒体1、及び当該水系媒体1中に分散する重合性単量体組成物の液滴10を含む。重合性単量体組成物の液滴10は、重合性単量体、炭化水素系溶剤及び重合開始剤を含むが、液滴内における各材料の分布は均一ではない。重合性単量体組成物の液滴10は、炭化水素系溶剤4aと、重合性単量体及び重合開始剤を含む炭化水素系溶剤以外の材料4bが相分離し、炭化水素系溶剤4aが中心部に偏在し、炭化水素系溶剤以外の材料4bが表面側に偏在した構造を有している。
図1の(3)は、重合工程後の前駆体組成物の一実施形態を示す断面模式図である。前駆体組成物は、水系媒体1、及び当該水系媒体1中に分散する前駆体粒子20を含む。この前駆体粒子20の外表面を形成するシェル6は、前記重合性単量体組成物の液滴10中の重合性単量体の重合により形成されたものである。シェル6内部の中空部は、炭化水素系溶剤4aで充填されている。
図1の(4)は、固液分離工程後の前駆体粒子の一実施形態を示す断面模式図である。固液分離工程後の前駆体粒子は、前記図1の(3)に示す前駆体組成物中の水系媒体1から分離された前駆体粒子20である。
図1の(5)は、溶剤除去工程後の中空樹脂粒子の一実施形態を示す断面模式図である。溶剤除去工程後の中空樹脂粒子100は、前記図1の(4)に示す固液分離工程後の前駆体粒子20から、当該前駆体粒子が内包する炭化水素系溶剤4aを除去した粒子であり、シェル6の内部に中空部7を有する。
以下、第一の本開示の製造方法が有する前記(1)~(5)の工程、及び第一の本開示の製造方法が更に有していても良いその他の工程について、順に説明する。
(1)混合液調製工程
本工程は、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程である。当該混合液には、更に懸濁安定剤等の他の材料を含有させても良い。
[重合性単量体]
重合性単量体とは、重合可能な官能基を有する化合物であり、重合可能な官能基としてエチレン性不飽和結合を有する化合物が一般に用いられる。
本開示において重合性単量体は、少なくとも架橋性単量体を含み、更に非架橋性単量体を含んでいても良い。ここで、非架橋性単量体は重合可能な官能基を1つだけ有する重合性単量体であり、架橋性単量体は重合可能な官能基を2つ以上有し、重合反応により樹脂中に架橋結合を形成する重合性単量体である。架橋性単量体は重合可能な官能基を複数有するため、重合性単量体として架橋性単量体を含むことにより、重合工程において単量体同士を連結することができ、シェルの架橋密度を高めることができる。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルジフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の二官能の架橋性単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の架橋性単量体等を挙げることができる。これらのうち、シェルに連通孔及びシェル欠陥が形成され難い点から、二官能の架橋性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、本開示において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの各々を意味する。
非架橋性単量体としては、モノビニル単量体が好ましく用いられる。モノビニル単量体とは、重合可能なビニル官能基を1つ有する化合物である。
モノビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系モノビニル単量体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体及びその誘導体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジン単量体;等が挙げられる。
モノビニル単量体としては、中でも、重合反応が安定し易く、かつ、耐熱性が高い中空樹脂粒子が得られる点から、(メタ)アクリル系モノビニル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
これらの非架橋性単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本開示に用いられる重合性単量体は、前記架橋性単量体及び前記非架橋性単量体を合わせた前記重合性単量体の総量100質量%に対し、前記架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有する。前記架橋性単量体の含有割合が前記下限値以上であることにより、中空樹脂粒子のシェル中に占める架橋性単量体単位の含有割合が十分に多いため、シェル中に共有結合ネットワークが密に張り巡らされる結果、得られる中空樹脂粒子は、強度に優れ、潰れ難く、外部から付与される熱等に対しても変形し難くなる。前記架橋性単量体の含有割合は、中でも、中空樹脂粒子の強度を向上する点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、一方、シェルにおける連通孔及びシェル欠陥の発生を抑制する点から、前記架橋性単量体の含有割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
本開示に用いられる重合性単量体は、前記非架橋性単量体を60質量%以下の割合で含有していても良い。前記重合性単量体が前記非架橋性単量体を含む場合は、シェルの連通孔及びシェル欠陥の発生が抑制されやすくなる。
前記重合性単量体が前記非架橋性単量体を含む場合は、前記架橋性単量体及び前記非架橋性単量体を合わせた前記重合性単量体の総量100質量%に対し、前記非架橋性単量体を好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上の割合で含有する。前記非架橋性単量体の含有割合が前記下限値以上であることにより、シェルの連通孔及びシェル欠陥の発生がより抑制されやすくなる。一方、前記架橋性単量体を十分に含有させて、中空樹脂粒子の強度及び耐熱性を向上する点から、前記非架橋性単量体の含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
混合液中の重合性単量体(非架橋性単量体及び架橋性単量体の総量)の含有量は、特に限定はされないが、中空樹脂粒子の空隙率、粒径及び機械的強度のバランスの観点、及び炭化水素系溶剤の残留量を低減する点から、水系媒体を除く混合液中成分の総質量100質量%に対し、通常15~55質量%、より好ましくは25~40質量%である。
[炭化水素系溶剤]
本開示においては、非重合性で且つ難水溶性の有機溶剤として炭化水素系溶剤を用いる。炭化水素系溶剤は、粒子内部に中空部を形成するスペーサー材料として働く。
炭化水素系溶剤の種類は、特に限定されない。炭化水素系溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、二硫化炭素、四塩化炭素等の比較的揮発性が高い溶剤が挙げられる。
炭化水素溶剤は、炭化水素系溶剤の総量100質量%中、飽和炭化水素系溶剤の割合が50質量%以上であることが好ましい。これにより、重合性単量体組成物の液滴内で相分離が十分に発生することにより、中空部を1つのみ有する中空樹脂粒子が得られやすく、多孔質粒子の生成を抑制することができる。飽和炭化水素系溶剤の割合は、多孔質粒子の生成を更に抑制する点、及び各中空樹脂粒子の中空部が均一になりやすい点から、好適には60質量%以上であり、より好適には80質量%以上である。
また、炭化水素系溶剤としては、炭素数4~7の炭化水素系溶剤が好ましい。炭素数4~7の炭化水素化合物は、重合工程時に前駆体粒子中に容易に内包され易く、かつ溶剤除去工程時に前駆体粒子中から容易に除去することができる。中でも、炭素数5又は6の炭化水素系溶剤が特に好ましい。
また、特に限定されないが、炭化水素系溶剤としては、後述する溶剤除去工程で除去されやすい点から、沸点が90℃以下のものが好ましく、85℃以下のものがより好ましく、一方、前駆体粒子に内包されやすい点から、沸点が70℃以上のものが好ましく、75℃以上のものがより好ましい。
なお、本開示において、前記炭化水素系溶剤が、複数種類の炭化水素系溶剤を含有する混合溶剤であり、沸点を複数有する場合、当該炭化水素系溶剤の沸点とは、当該混合溶剤に含まれる溶剤のうち最も沸点が高い溶剤の沸点、すなわち複数の沸点のうち最も高い沸点とする。
また、炭化水素系溶剤は、20℃における比誘電率が3以下であることが好ましい。比誘電率は、化合物の極性の高さを示す指標の1つである。炭化水素系溶剤の比誘電率が3以下と十分に小さい場合には、重合性単量体組成物の液滴中で相分離が速やかに進行し、中空部が形成されやすいと考えられる。
20℃における比誘電率が3以下の溶剤の例は、以下の通りである。カッコ内は比誘電率の値である。
ヘプタン(1.9)、シクロヘキサン(2.0)、ベンゼン(2.3)、トルエン(2.4)。
20℃における比誘電率に関しては、公知の文献(例えば、日本化学会編「化学便覧基礎編」、改訂4版、丸善株式会社、平成5年9月30日発行、II-498~II-503ページ)に記載の値、及びその他の技術情報を参照できる。20℃における比誘電率の測定方法としては、例えば、JISC 2101:1999の23に準拠し、かつ測定温度を20℃として実施される比誘電率試験等が挙げられる。
混合液中の炭化水素系溶剤の量を変えることにより、中空樹脂粒子の空隙率を調節することができる。後述する重合工程において、重合性単量体組成物の液滴が炭化水素系溶剤を内包した状態で重合反応が進行するため、炭化水素系溶剤の含有量が多いほど、得られる中空樹脂粒子の空隙率が高くなる傾向がある。
本開示において、混合液中の炭化水素系溶剤の含有量は、重合性単量体の総質量100質量部に対し、50~500質量部であることが、中空樹脂粒子の粒子径を制御しやすく、中空樹脂粒子の強度を維持しながら空隙率を高めやすく、粒子内における炭化水素系溶剤の残留量を低減しやすい点から好ましい。混合液中の炭化水素系溶剤の含有量は、重合性単量体の総質量100質量部に対し、より好適には60~400質量部であり、更に好適には70~300質量部であり、より更に好適には80~200質量部である。
[重合開始剤]
本開示においては、重合開始剤として油溶性重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤として油溶性重合開始剤を用いることにより、後述する懸濁工程で得られる懸濁液において、重合開始剤が重合性単量体組成物の液滴の内部に取り込まれる。
油溶性重合開始剤としては、水に対する溶解度が0.2質量%以下の親油性のものであれば特に制限されない。油溶性重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t一ブチルペルオキシド一2-エチルヘキサノエート、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、混合液中の重合性単量体の総質量100質量部に対し、好適には0.1~10質量部であり、より好適には0.5~7質量部であり、さらに好適には1~5質量部である。重合開始剤の含有量が0.1~10質量部であることにより、重合反応を十分進行させ、かつ重合反応終了後に重合開始剤が残存するおそれが小さく、予期せぬ副反応が進行するおそれも小さい。
[極性樹脂]
本開示において、混合液は、更に極性樹脂を含んでいてもよい。本開示において極性樹脂は、ヘテロ原子を含む繰り返し単位を含有する重合体よりなる群から選ばれる。前記極性樹脂としては、具体的には、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ヘテロ原子を含むビニル系樹脂等が挙げられる。
前記極性樹脂は、ヘテロ原子含有単量体の単独重合体又は共重合体であってもよいし、ヘテロ原子含有単量体とヘテロ原子非含有単量体との共重合体であってもよい。前記極性樹脂がヘテロ原子含有単量体とヘテロ原子非含有単量体との共重合体である場合は、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすい点から、当該共重合体を構成する全繰り返し単位100質量%中、ヘテロ原子含有単量体単位の割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
極性樹脂に用いられるヘテロ原子含有単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル系モノビニル単量体;ハロゲン化スチレン、スチレンスルホン酸等のヘテロ原子を含む芳香族ビニル単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジン単量体;クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体等のカルボキシル基含有単量体;アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体等を挙げることができる。これらのヘテロ原子含有単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
極性樹脂に用いられるヘテロ原子非含有単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン等のヘテロ原子を含まない芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を挙げることができる。これらのヘテロ原子非含有単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記極性樹脂は、中でも、前記重合性単量体との相溶性が高く、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすい点から、当該樹脂を構成する全繰り返し単位100質量%中、(メタ)アクリル系モノビニル単量体単位の総質量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上のアクリル系樹脂であることが好ましく、特に、当該樹脂を構成する全繰り返し単位が(メタ)アクリル系モノビニル単量体単位からなるアクリル系樹脂であることが好ましい。
また、前記極性樹脂は、前記ヘテロ原子含有単量体が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ポリオキシエチレン基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含む極性基含有単量体単位を含有することが、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすい点から好ましい。前記極性基としては、少ない添加量での粒子径制御が可能である点から、中でも、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
極性基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体等のカルボキシル基含有単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体等を挙げることができる。これらの極性基含有単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記極性樹脂が極性基含有単量体単位を含有する場合、前記極性基は主鎖又は側鎖の末端に位置する、或いは主鎖又は側鎖にペンダント状に結合していることが、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすくなる点から好ましい。
極性樹脂が前記極性基含有単量体単位を含まない場合に、当該極性樹脂が含む前記ヘテロ原子含有単量体単位としては、前記重合性単量体との相溶性が高く、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすい点から、アルキル(メタ)アクリレートに由来する単量体単位を含むことが好ましく、中でも極性が高い点から、好ましくはアルキル基の炭素数が3以下、より好ましくはアルキル基がメチル基又はエチル基、更に好ましくはアルキル基がメチル基であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する単量体単位を含むことが好ましい。
前記極性樹脂である前記アクリル系樹脂としては、中でも、前記重合性単量体との相溶性が高く、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みを制御しやすい点から、極性樹脂用重合性単量体の総質量を100質量%としたときに、メチルメタクリレートを50.0質量%以上含む極性樹脂用重合性単量体の重合体又は共重合体であることが好ましい。なお、本開示においては、極性樹脂の合成に用いられる重合性単量体を、極性樹脂用重合性単量体と称する場合がある。
前記極性樹脂である前記アクリル系樹脂としては、より好ましくは、メチルメタクリレート50.0質量%以上99.9質量%以下と、前記極性基含有単量体0.1質量%以上5.0質量%以下とを含む極性樹脂用重合性単量体の共重合体であり、更に好ましくは、メチルメタクリレート50.0質量%以上99.0質量%以下と、前記極性基含有単量体0.1質量%以上5.0質量%以下とを含む極性樹脂用重合性単量体の共重合体であり、より更に好ましくは、メチルメタクリレート50.0質量%以上98.0質量%以下と、メチルメタクリレートとは異なり且つ前記極性基を含有しない(メタ)アクリル系モノビニル単量体1.0質量%以上5.0質量%以下と、前記極性基含有単量体0.1質量%以上5.0質量%以下とを含む極性樹脂用重合性単量体の共重合体であり、特に好ましくは、メチルメタクリレート50.0質量%以上98.0質量%以下と、メチルメタクリレートとは異なり且つ前記極性基を含有しない(メタ)アクリル系モノビニル単量体1.0質量%以上5.0質量%以下と、前記極性基含有単量体0.2質量%以上3.0質量%以下とを含む極性樹脂用重合性単量体の共重合体である。
メチルメタクリレートとは異なり且つ前記極性基を含有しない(メタ)アクリル系モノビニル単量体としては、ガラス転移点を制御できる点から、エチルアクリレート及びブチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、エチルアクリレートが特に好ましい。
前記極性基含有単量体としては、前記重合性単量体との相溶性の観点から、前記極性基を含有する(メタ)アクリル系モノビニル単量体が好ましく、更に少ない添加量で粒子径制御が可能である点から、カルボキシル基又はヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル系モノビニル単量体がより好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
前記極性樹脂は、例えば、前記ヘテロ原子含有単量体を含有する極性樹脂用重合性単量体を、溶液重合、乳化重合等の重合方法により重合させることで得ることができる。
また、前記極性樹脂が共重合体である場合、当該共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。
また、前記極性樹脂は、溶解性が向上する点から、より細かく粉砕されていることが好ましい。
前記極性樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に限定はされないが、テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算値で、好ましくは3000~20000であり、より好ましくは4000~17000であり、より更に好ましくは6000~15000である。前記極性樹脂の数平均分子量(Mn)が上記下限値以上であることにより、極性樹脂の溶解性が向上し、中空樹脂粒子の粒径及びシェルの厚みのコントロールがしやすく、上記上限値以下であることにより、シェルの強度の低下を抑制することができる。
混合液が前記極性樹脂を含有する場合、前記極性樹脂の含有量は、前記重合性単量体100質量部に対し、好ましくは0.1~10.0質量部であり、より好ましくは0.3~8.0質量部であり、より更に好ましくは0.5~8.0質量部である。前記極性樹脂の含有量が上記下限値以上であることにより、中空樹脂粒子の粒子径及びシェルの厚みを制御しやすく、一方、上記上限値以下であることにより、シェル強度の低下を抑制することができる。
[懸濁安定剤]
本開示において、混合液は、懸濁安定剤を含有することが好ましい。懸濁安定剤は、後述する懸濁工程において、重合性単量体組成物の液滴を水系媒体中に分散させる働きをするものであれば、特に限定はされない。
懸濁安定剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれも用いることができ、それらを組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が好ましく、陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
また、懸濁安定剤としては、難水溶性無機化合物を用いてもよい。混合液が前記極性樹脂を含有する場合は、懸濁安定剤として難水溶性無機化合物を用いることが、中空樹脂粒子の粒径を制御しやすい点から好ましい。難水溶性無機化合物としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物等が挙げられ、中でも、金属水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウムが特に好ましい。
なお、本開示において難水溶性無機化合物は、100gの水に対する溶解度が0.5g以下の無機化合物であることが好ましい。
懸濁安定剤の含有量は、混合液中の重合性単量体の総質量100質量部に対し、好適には0.1~4質量部であり、より好適には0.5~3質量部である。懸濁安定剤の前記含有量が0.1質量部以上の場合には、水系媒体中に重合性単量体組成物の液滴を形成しやすい。一方、懸濁安定剤の前記含有量が4質量部以下の場合には、炭化水素系溶剤を除去する工程において発泡による生産性の低下が起きにくい。
[水系媒体]
本開示において水系媒体とは、水、親水性溶媒、及び、水と親水性溶媒との混合物からなる群より選ばれる媒体を意味する。
本開示における親水性溶媒は、水と十分に混ざり合い相分離を起こさないものであれば特に制限されない。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン(THF);ジメチルスルフォキシド(DMSO)等が挙げられる。
水系媒体の中でも、その極性の高さから、水を用いることが好ましい。水と親水性溶媒の混合物を用いる場合には、重合性単量体組成物の液滴を形成する観点から、当該混合物全体の極性が低くなりすぎないことが重要である。この場合、例えば、水と親水性溶媒との混合比(質量比)を、水:親水性溶媒=99:1~50:50等としてもよい。
前記の各材料及び必要に応じ他の材料を混合し、適宜攪拌等することによって混合液が得られる。当該混合液においては、前述した重合性単量体、重合開始剤及び炭化水素系溶剤などの親油性材料を含む油相が、懸濁安定剤及び水系媒体などを含む水相中において、粒径数mm程度の大きさで分散している。混合液におけるこれら材料の分散状態は、材料の種類によっては肉眼でも観察することが可能である。
混合液調製工程では、前記の各材料及び必要に応じ他の材料を単に混合し、適宜攪拌等することによって混合液を得てもよいが、シェルの組成が均一になりやすい点から、前記油相と、前記水相とを予め別に調製し、これらを混合することにより、混合液を調製することが好ましい。
(2)懸濁工程
懸濁工程は、前述した混合液を懸濁させることにより、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程である。
重合性単量体組成物の液滴を形成するための懸濁方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
懸濁工程で調製される懸濁液においては、前述した重合性単量体、重合開始剤及び炭化水素系溶剤などの親油性材料を含み、且つ1.0~100.0μm程度の粒径を持つ重合性単量体組成物の液滴が、水系媒体中に均一に分散している。このような重合性単量体組成物の液滴は肉眼では観察が難しく、例えば光学顕微鏡等の公知の観察機器により観察できる。
懸濁工程においては、重合性単量体組成物の液滴中に相分離が生じるため、極性の低い炭化水素系溶剤が液滴の内部に集まりやすくなる。その結果、得られる液滴は、その内部に炭化水素系溶剤が、その周縁に炭化水素系溶剤以外の材料が分布することとなる。
図2は、懸濁工程における懸濁液の一実施形態を示す模式図である。図2中の重合性単量体組成物の液滴10は、その断面を模式的に示すものとする。なお、図2はあくまで模式図であり、本開示における懸濁液は、必ずしも図2に示すものに限定されない。
図2には、水系媒体1中に、重合性単量体組成物の液滴10及び重合性単量体4cが分散している様子が示されている。液滴10は、油溶性の重合性単量体組成物4の周囲を、懸濁安定剤3が取り囲むことにより構成される。重合性単量体組成物4中には重合開始剤5、並びに、重合性単量体及び炭化水素系溶剤(いずれも図示せず)が含まれる。
重合性単量体組成物の液滴10は、重合性単量体組成物4を含む微小油滴であり、重合開始剤5は当該微小油滴の内部で重合開始ラジカルを発生させる。したがって、微小油滴を成長させ過ぎることなく、目的とする粒径の前駆体粒子を製造することができる。
また、図2に示す懸濁重合においては、重合開始剤5が重合性単量体組成物の液滴10内に取り込まれているため、水系媒体1中に分散した重合性単量体4cは、重合開始剤5と接触する機会がない。そのため、目的とする中空樹脂粒子の他に、比較的粒径の小さい密実粒子等の余分なポリマー粒子が生成することを抑制することができる。なお、重合性単量体組成物の液滴10の内部に取り込まれる重合開始剤5としては、通常、油溶性重合開始剤が用いられる。
(3)重合工程
本工程は、前述した懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程である。
重合工程では、前記重合性単量体組成物の液滴が炭化水素系溶剤を内包したまま、当該液滴中の重合性単量体が重合することにより、重合性単量体の重合物である樹脂を含有するシェルと、炭化水素系溶剤で満たされた中空部とを有する前駆体粒子が形成される。
第一の本開示の製造方法では、重合性単量体組成物の液滴が炭化水素系溶剤を内包した状態で重合反応に供されることにより、形状を維持したまま重合反応が進行しやすく、前駆体粒子の大きさ及び空隙率を調整しやすい。また、重合性単量体と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いるため、前駆体粒子のシェルに対して炭化水素系溶剤の極性が低く、炭化水素系溶剤がシェルと馴染みにくいため、相分離が十分に発生して中空部が1つのみとなりやすい。また、炭化水素系溶剤の量を調整することで、前駆体粒子の大きさ及び空隙率を容易に調整することができる。
重合方式に特に限定はなく、例えば、回分式(バッチ式)、半連続式、連続式等が採用できる。重合温度は、好ましくは40~80℃であり、更に好ましくは50~70℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1~20時間であり、更に好ましくは2~15時間である。
(4)固液分離工程
本工程は、前述した前駆体組成物を固液分離することにより、炭化水素系溶剤を内包し、且つ水系媒体から分離された前駆体粒子を得る工程である。
前駆体組成物を固液分離する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。固液分離の方法としては、例えば、遠心分離法、ろ過法、静置分離等が挙げられ、この中でも遠心分離法又はろ過法を採用することができ、操作の簡便性の観点からろ過法を採用してもよい。
本工程においては、前駆体組成物を固液分離した後、後述する溶剤除去工程を実施する前に、前駆体粒子の予備乾燥を実施してもよい。なお、予備乾燥は、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去せずに、前駆体組成物を固液分離して得られる固体から、残留した水系媒体を除去するための乾燥である。当該予備乾燥は、本工程により得られる前駆体粒子の含水率が後述する好ましい範囲となるように、必要に応じて実施されるのが好ましい。
前記予備乾燥は、例えば、後述する溶剤除去工程における加熱乾燥の温度T(℃)よりも100℃低い温度(T-100(℃))以下の温度条件下で行うことが、炭化水素系溶剤を除去せずに水系媒体を除去する観点から好ましい。また、前記予備乾燥の温度は、水系媒体を十分に除去するため、通常40℃以上の温度条件下で行う。
また、前記予備乾燥を実施する際の圧力は、前記予備乾燥の温度に応じて、0~101.3kPaの範囲で、前駆体粒子の破損が抑制できる範囲で調整すればよい。
前記予備乾燥は、公知の乾燥方法により行うことができ、例えば、乾燥機等の乾燥装置又はハンドドライヤー等の乾燥器具等を用いる方法により行っても良いし、後述する溶剤除去工程と同様の方法により行ってもよい。
(5)溶剤除去工程
本工程は、水系媒体から分離された前駆体粒子を加熱乾燥することにより、当該前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程である。
本工程では、前記固液分離工程により得られる前駆体粒子を、気中で加熱乾燥することにより、当該前駆体粒子内部の炭化水素系溶剤を気体と入れ替えて、気体で満たされた中空樹脂粒子を得ることができる。ここで、「気中」とは、厳密には、前駆体粒子の外部に液体成分が全く存在しない環境下、及び、前駆体粒子の外部に、炭化水素系溶剤の除去に影響しない程度のごく微量の液体成分しか存在しない環境下を意味する。「気中」とは、前駆体粒子がスラリーから分離された状態と言い替えることもできるし、前駆体粒子が乾燥粉末中に存在する状態と言い替えることもできる。すなわち、本工程においては、前駆体粒子が外部の気体と直に接する環境下で炭化水素系溶剤を除去する。
溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子は、特に限定はされないが、含水率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは15~45%である。これにより、前駆体粒子を撹拌乾燥させる際の前駆体粒子の流動性が向上するため、前駆体粒子の撹拌容器への搬送性及び乾燥効率が向上し、乾燥時間が短縮化される。また、撹拌翼への粉体付着が抑制されることにより伝熱効率が向上するため、生産性を向上することができる。
なお、本開示において含水率は、下記式(i)により算出することができる。
式(i)
含水率(%)={(w1-w2)/w1}×100
前記式(i)において、w1は測定試料の質量を表し、w2は、測定試料を105℃で1時間乾燥してから、25℃に冷却した後の質量を表す。
また、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子を40℃で24時間静置乾燥して得られる前駆体粒子Aの質量(w3)と、当該前駆体粒子Aを更に105℃で2時間静置乾燥した後、25℃に冷却して得られる前駆体粒子Bの質量(w4)との変化率として求められる、前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の透過度(%)が、5%以下であることが好ましい。また、前記炭化水素系溶剤の透過度は、シェルの強度の観点からは5%以下であることが好ましいが、3%超過であると、生産性が向上する点から好ましい。
なお、前記炭化水素系溶剤の透過度は、下記式(ii)により算出することができる。
式(ii)
炭化水素系溶剤の透過度(%)={(w3-w4)/w3}×100
(前記式(ii)中、w3及びw4は前述の通りである。)
前記炭化水素系溶剤の透過度が5%以下であると、前駆体粒子は、シェルが連通孔及びシェル欠陥を有さず、且つシェル強度に優れると推定される。前記炭化水素系溶剤の透過度が5%以下の中空樹脂粒子を従来の方法で製造した場合、粒子内に炭化水素系溶剤が多量に残留してしまうが、第一の本開示の製造方法を用いることにより、前記炭化水素系溶剤の透過度が5%以下で、且つ炭化水素系溶剤の残留量が低減された中空樹脂粒子を得ることができる。
なお、本開示の各製造方法において、重合性単量体中の架橋性単量体として、二官能の架橋性単量体を用いることにより、前記炭化水素系溶剤の透過度が5%以下のシェルを形成することができる。
溶剤除去工程において、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する際の加熱乾燥の温度Tは、使用する乾燥装置に応じて設定される乾燥温度である。本開示において、溶剤除去工程で行う加熱乾燥に使用する乾燥装置は、熱風等により直接粒子を加熱する直接加熱型であってもよいし、熱媒が注入されたジャケット等に粒子を接触させることにより粒子を加熱する間接加熱型であってもよい。加熱乾燥の温度Tは、基本的には乾燥室内の温度であるが、間接加熱型の乾燥装置を用いる場合は、熱媒の温度を乾燥室内の温度とみなすことができるため、熱媒の温度を加熱乾燥の温度Tとすることができる。
本開示においては、溶剤除去工程における加熱乾燥の温度Tが、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、T+70≦T≦T-5を満たし、好ましくはT+75≦T≦T-5を満たす。
本開示において、前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)は、空気雰囲気下で、TG-DTA(熱重量示差熱分析)により測定される前駆体粒子の加熱減量に基づき、解析ソフトを用いて測定される。TG-DTA装置(示差熱熱重量同時測定装置)としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製のEXSTAR6000シリーズ等を用いることができ、解析ソフトとしては、装置付属の解析ソフトを用いることができる。
前駆体粒子のTG-DTA曲線は、具体的には、溶剤除去工程に用いる前駆体粒子を約15mg精秤し、アルミナを基準物質として、空気雰囲気下で、下記条件により測定して得られる。
空気流量:230mL/min
昇温速度:10℃/min
測定温度範囲:30℃から800℃
得られたTG-DTA曲線から、解析ソフトを用いて、前駆体粒子の熱分解開始温度を求めることができる。なお、本開示において、熱分解開始温度は、JIS K7120:1987「プラスチックの熱重量測定方法」に準拠して求められ、質量減少が一段階質量減少の場合は、質量減少の開始温度であり、多段階質量減少の場合は、質量減少の第一次開始温度を熱分解開始温度とする。
本工程に用いられる前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)は、耐熱性に優れる中空樹脂粒子を得ることができる点から、好ましくは150~350℃であり、より好ましくは200~300℃である。
本工程における前記加熱乾燥の時間は、加熱乾燥の方法に応じて適宜設定され、特に限定はされないが、通常30分~1500分であり、生産性の観点から、好ましくは800分以下であり、より好ましくは500分以下である。
本工程における前記加熱乾燥の際の圧力は、中空樹脂粒子の破損を抑制する点から、好ましくは0~101.3kPa、より好ましくは0~71kPa、さらに好ましくは0~10kPaである。
本工程における前記加熱乾燥を行う乾燥雰囲気は、特に限定されず、中空樹脂粒子の用途によって適宜選択することができる。乾燥雰囲気としては、例えば、空気、酸素、窒素、アルゴン等が挙げられる。安全性及び乾燥効率の観点からは、窒素及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましいが、簡便性の観点から空気雰囲気としてもよい。気中における乾燥操作によって、前駆体粒子内部の炭化水素系溶剤が、外部の気体により置換される結果、中空部を気体が占める中空樹脂粒子が得られる。真空条件下で前記加熱乾燥を行った場合は、内部が真空の中空樹脂粒子が一時的に得られた後、常圧にすることで、気体で満たされた中空部を有する中空樹脂粒子を得ることができる。
本工程における前記加熱乾燥の際に仕込む前駆体粒子の量は、加熱乾燥の方法に応じて適宜調整され、特に限定はされないが、通常0.1~100Lであり、大量生産の観点からは、10L以上であることが好ましい。
本工程における加熱乾燥の方法としては、公知の方法を採用することができ、特に限定はされない。例えば、前駆体粒子を静置したまま乾燥を行う静置乾燥、又は前駆体粒子を気中で撹拌させながら乾燥を行う撹拌乾燥、気流乾燥等の方法を挙げることができる。中でも、大量の前駆体粒子から短時間で炭化水素系溶剤を除去することができ、生産性に優れる点から、撹拌乾燥が好ましい。
静置乾燥を行う乾燥機としては、例えば、ヤマト科学(株)製の角形真空乾燥器(型番:ADP300)等の棚段式真空乾燥装置等を挙げることができる。
静置乾燥により溶剤除去工程を行う場合は、通常、前駆体粒子のケーキを乾燥機内に置いて乾燥を行う。前駆体粒子中の炭化水素系溶剤を短時間で除去する観点から、前記前駆体粒子のケーキは厚みが1cm以下であることが好ましい。なお、静置乾燥を行う乾燥機が備える乾燥室の有効容積は、通常0.0001~1mである。
撹拌乾燥を行う乾燥機としては、所望の材料を撹拌させながら乾燥させることができる撹拌容器を備えるものであれば特に限定はされず、例えば、温度及び内圧の調整が可能な撹拌容器を備える撹拌乾燥機を好ましく用いることができる。このような撹拌乾燥機を用いることにより、前駆体粒子を撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することができる。撹拌乾燥機は、通常、静置乾燥を行う乾燥機よりも有効容積が大きい。撹拌乾燥機が備える撹拌容器の有効容積は、通常0.0001m以上であり、大量生産の観点から3m以上であることが好ましく、一方、生産性の観点から、通常20m以下であり、15m以下であってもよい。
撹拌乾燥機の種類としては、例えば、流動層乾燥装置等の直接加熱型のもの、及び、熱媒を流すジャケットを撹拌容器の外周に備える間接加熱型のものを挙げることができる。
撹拌乾燥機としては、例えば、後述する第二の本開示の製造方法に用いられる縦型攪拌乾燥機、及び後述する第三の本開示の製造方法に用いられる横型攪拌乾燥機を挙げることができる。
縦型撹拌乾燥機は、中空樹脂粒子の収率を向上できる点で好ましく、一方、横型撹拌乾燥機は、伝熱効率に優れることにより、溶剤除去工程における加熱乾燥の時間を短縮することができ、生産性に優れる点で好ましい。また、横型撹拌乾燥機は、縦型撹拌乾燥機に比べ、伝熱面積/有効容積の比を大きくしやすいことにより、乾燥効率を向上しやすく、それにより生産性を向上しやすい。
第一の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、下記式(iii)により算出される撹拌翼先端速度が、好ましくは2.0m/s以下、より好ましくは1.5m/s以下、更に好ましくは0.8m/s以下、より更に好ましくは0.6m/s以下である。なお、前記撹拌翼先端速度は、生産性を向上する観点からは、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.3m/s以上である。
式(iii)
撹拌翼先端速度(m/s)=円周率×撹拌翼径(m)×回転数( -1
なお、撹拌翼径とは、シャフトの中心軸方向から観察した撹拌翼において、シャフトの中心軸から撹拌翼先端までの直線距離の最大値を2倍した値である。
また、第一の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、撹拌翼の回転速度が好ましくは70rpm以下、より好ましくは40rpm以下、更に好ましくは30rpm以下である。生産性を向上する観点からは、好ましくは5rpm以上、より好ましくは10rpm以上である。
また、本工程における加熱乾燥を撹拌乾燥により行う場合、本工程は、水系媒体から分離された前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆することにより、前駆体粒子の撹拌時の流動性が向上するため、撹拌乾燥による乾燥効率が向上する結果、中空樹脂粒子の生産性が向上する。
前駆体粒子の表面を被覆する微粒子は、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子である。
無機微粒子の材料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子の材料としては、シリカ、炭酸カルシウム、及びアルミナが好ましく、シリカ及び炭酸カルシウムがより好ましい。
有機微粒子の材料としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド縮合物、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ワックス類等が挙げられる。これらの材料は、架橋処理又は表面処理等が行われていてもよい。また、有機微粒子は、耐熱温度が、溶剤除去工程における加熱乾燥の温度以上であることが好ましい。
これらの無機微粒子及び有機微粒子は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前駆体粒子の表面を被覆する微粒子としては、中でも、前駆体粒子の撹拌時の流動性を向上する効果に優れる点から、無機微粒子が好ましい。
前駆体粒子の表面を被覆する前記微粒子の一次平均粒径は、通常10~120nmであり、好適には15~90nmであり、より好適には20~80nmである。前記微粒子の平均一次粒径が、前記下限値以上であることにより、前駆体粒子同士の接触を抑制するスペーサーとして機能しやすい。また前記上限値以下であることにより、前記微粒子が前駆体粒子を均一に被覆しやすいため、前駆体粒子の流動性を向上させ、乾燥効率を向上することができる。
前駆体粒子の表面を被覆する前記微粒子の比重は、特に限定はされないが、好ましくは1.5~4.5、より好ましくは1.8~3.5、さらに好ましくは2.0~2.5である。前記微粒子の比重が前記範囲内であることにより、前駆体粒子の分散性及び得られる中空樹脂粒子の軽量化を両立することができる。
比重が2.0以上2.5以下の無機微粒子の材料としては、例えば、シリカを挙げることができる。比重が2.5超過3.5以下の無機微粒子の材料としては、例えば、炭酸カルシウムを挙げることができる。比重が3.5超過の無機微粒子の材料としては、例えば、酸化チタン及びアルミナを挙げることができる。
前駆体粒子の表面を被覆する前記微粒子の含有量は、得られる中空樹脂粒子における前記微粒子の被覆率が後述する好ましい範囲内になるように調整されることが好ましく、特に限定はされないが、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子100質量部に対して、通常0.1~180質量部であり、好適には1~100質量部であり、より好適には2~50質量部である。前記微粒子の前記含有量が、前記下限値以上であることにより、乾燥効率及び生産性を十分に向上させることができ、前記上限値以下であるにより、得られる中空樹脂粒子の比重の増大を抑制することができる。
(6)その他の工程
第一の本開示の製造方法は、前記(1)~(5)の工程とは異なるその他の工程を更に有していてもよい。その他の工程としては、例えば、洗浄工程、及び中空部の再置換工程等を挙げることができる。
洗浄工程は、前記懸濁安定剤として難水溶性無機化合物を用いる場合に、前駆体組成物中の難水溶性無機化合物を除去する工程であり、通常、前記重合工程後、且つ前記固液分離工程前に行われる。
洗浄工程の方法は、例えば、前駆体組成物に酸を添加し、pHを、好ましくは6.5以下、より好ましくは6以下に調整する方法が好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、および蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、難水溶性無機化合物の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
中空部の再置換工程とは、中空樹脂粒子内部の気体を、他の気体や液体に置換する工程である。このような置換により、中空樹脂粒子内部の環境を変えたり、中空樹脂粒子内部に選択的に分子を閉じ込めたり、用途に合わせて中空樹脂粒子内部の化学構造を修飾したりすることができる。第一の本開示の製造方法においては、溶剤除去工程により、中空部が空気等の気体で満たされた中空樹脂粒子が得られるが、その後に中空部の再置換工程を行うことにより、中空部に前記炭化水素系溶剤以外の溶剤を内包する中空樹脂粒子としてもよい。
I-2.中空樹脂粒子
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の形状は、内部に中空部が形成されていれば特に限定されない。中空樹脂粒子の外形としては、特に限定はされないが、製造の容易さから、球形が好ましい。
また、第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、1又は2以上の中空部を有していてもよいが、高い空隙率と機械強度との良好なバランスを維持するために、中空部を1つのみ有するものが好ましい。なお、中空樹脂粒子のシェル、及び中空部を2つ以上有する場合に隣接し合う中空部を仕切る隔壁は、多孔質状となっていてもよい。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、平均円形度が、0.950~0.995であってもよい。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の形状のイメージの一例は、薄い皮膜からなりかつ気体で膨らんだ袋であり、その断面図は、図1の(5)中の中空樹脂粒子100の通りである。この例においては、外側に薄い皮膜が設けられ、その内部が気体で満たされる。
なお、中空樹脂粒子の外形は、例えば、粒子をSEM又はTEMで観察することにより確認することができる。また、中空樹脂粒子の内部の形状は、例えば、粒子の断面のSEM観察又は粒子のTEM観察により確認することができる。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の体積平均粒径は、特に限定はされないが、好適には1.0~100.0μm、より好適には2.0~30.0μm、さらに好適には3.2~9.0μmである。
中空樹脂粒子の体積平均粒径が、前記下限値以上である場合には、中空樹脂粒子同士の凝集が抑制されるため、生産性が向上し、前記上限値以下である場合には、中空樹脂粒子が潰れにくくなるため、高い機械的強度を有する。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の粒度分布(体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn))は、例えば、1.1~2.5であってもよい。当該粒度分布が前記上限値以下であることにより、圧縮強度特性及び耐熱性が粒子間でバラつきの少ない粒子が得られる。また、当該粒度分布が前記上限値以下であることにより、例えば、シート状の成形体を製造する際に、厚さが均一な製品を製造することができる。
中空樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により中空樹脂粒子の粒径を測定し、その個数平均及び体積平均をそれぞれ算出し、得られた値をその粒子の個数平均粒径(Dn)及び体積平均粒径(Dv)とすることができる。粒度分布は、体積平均粒径を個数平均粒径で除した値とする。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の空隙率は、好ましくは50~95%、より好ましくは55~90%、更に好ましくは60~85%である。空隙率が前記下限値以上であることにより、中空樹脂粒子は、軽量性、耐熱性及び断熱性に優れ、炭化水素系溶剤が粒子内部に残留しにくくなる。また、空隙率が前記上限値以下であることにより、中空樹脂粒子は、シェルに連通孔及びシェル欠陥が形成され難く、また、潰れ難くなり、優れた強度を有する。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の空隙率は、中空樹脂粒子の見かけ密度D及び真密度Dから算出される。なお、中空樹脂粒子中に炭化水素系溶剤が残留している場合、炭化水素系溶剤の残留量が多いほど、以下の方法により求められる中空樹脂粒子の空隙率は小さくなる。これに対し、後述する理論空隙率は、中空樹脂粒子に炭化水素系溶剤が残留していないと仮定したときの空隙率であり、中空樹脂粒子の比重に対する中空部が占める割合を表す。
中空樹脂粒子の見かけ密度Dの測定法は以下の通りである。まず、容量100cmのメスフラスコに約30cmの中空樹脂粒子を充填し、充填した中空樹脂粒子の質量を精確に秤量する。次に、中空樹脂粒子が充填されたメスフラスコに、気泡が入らないように注意しながら、イソプロパノールを標線まで精確に満たす。メスフラスコに加えたイソプロパノールの質量を精確に秤量し、下記式(I)に基づき、中空樹脂粒子の見かけ密度D(g/cm)を計算する。
式(I)
見かけ密度D=[中空樹脂粒子の質量]/(100-[イソプロパノールの質量]÷[測定温度におけるイソプロパノールの比重])
見かけ密度Dは、中空部が中空樹脂粒子の一部であるとみなした場合の、中空樹脂粒子全体の比重に相当する。
中空樹脂粒子の真密度Dの測定法は以下の通りである。中空樹脂粒子を予め粉砕した後、容量100cmのメスフラスコに中空樹脂粒子の粉砕片を約10g充填し、充填した粉砕片の質量を精確に秤量する。あとは、前記見かけ密度の測定と同様にイソプロパノールをメスフラスコに加え、イソプロパノールの質量を精確に秤量し、下記式(II)に基づき、中空樹脂粒子の真密度D(g/cm)を計算する。
式(II)
真密度D=[中空樹脂粒子の粉砕片の質量]/(100-[イソプロパノールの質量]÷[測定温度におけるイソプロパノールの比重])
真密度Dは、中空樹脂粒子のうちシェル部分のみの比重に相当する。前記測定方法から明らかなように、真密度Dの算出に当たっては、中空部は中空樹脂粒子の一部とはみなされない。
中空樹脂粒子の空隙率(%)は、中空樹脂粒子の見かけ密度Dと真密度Dから、下記式(III)により算出される。
式(III)
空隙率(%)=100-(見かけ密度D/真密度D)×100
なお、このようにして求められる中空樹脂粒子の空隙率を、後述する理論空隙率と区別して、実測空隙率と称する場合がある。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の理論空隙率は、前記混合液調製工程における炭化水素系溶剤の仕込み質量Ws及び当該炭化水素系溶剤の比重Gs、並びに、中空樹脂粒子を構成する固形分の原材料の仕込み質量Wr及び中空樹脂粒子の真密度Dから、下記式(IV)により求めることができる。
式(IV)
理論空隙率(%)=(Ws/Gs)÷{(Ws/Gs)+(Wr/D)}×100
(前記式(IV)中、Ws、Gs、Wr及びDは前述の通りである。)
ここで、中空樹脂粒子を構成する固形分の原材料とは、重合性単量体、及び必要に応じて添加される極性樹脂及び微粒子等であり、重合開始剤等の分解されて中空樹脂粒子を構成しない材料は含まない。なお、本開示において固形分とは、溶剤以外のもの全てであり、例えば液状の単量体及び溶剤に溶解しているものは固形分に含まれる。
また、前記式(IV)における中空樹脂粒子の真密度Dは、前記式(II)により求められる真密度Dである。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、前述した中空樹脂粒子の理論空隙率及び実測空隙率から下記式(V)により算出される炭化水素系溶剤残留率が、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.3%以下であり、更に好ましくは0.2%以下である。
式(V)
炭化水素系溶剤残留率(%)=100-(実測空隙率/理論空隙率)×100
炭化水素系溶剤残留率が前記上限値以下であることにより、中空樹脂粒子を他の材料と混練する際に、中空樹脂粒子中の炭化水素系溶剤が揮発して発泡したり、発火の原因となったりするおそれがなく、また、中空樹脂粒子の比重を軽くすることができるため、軽量化材としての効果を向上することができる。
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、シェルの厚みが0.01~5.00μmであってよく、好適には0.10~1.00μmとすることができる。これにより、中空樹脂粒子の空隙率を維持しながら、機械的強度の低下を抑制することができる。
中空樹脂粒子のシェルの厚みは、中空樹脂粒子の体積平均粒子径R及び理論空隙率を用いて下記式(1)により中空樹脂粒子の内径rを算出し、当該内径r及び体積平均粒子径Rを用いて下記式(2)により、算出することができる。
4/3π×(R/2)×理論空隙率=4/3π×(r/2) 式(1)
シェル厚=(R-r)/2 式(2)
このように算出されるシェルの厚みと、実際に測定されるシェルの20点での厚みの平均値との差は、通常、これらの平均値の±10%以内であるため、前記のように算出されるシェルの厚みを、中空樹脂粒子のシェルの厚みとみなすことができる。
シェルの20点での厚みの平均値を求める際に使用する中空樹脂粒子のシェルの各点での厚みは、例えば、中空樹脂粒子を割って得たシェルの欠片をSEMで観察することにより測定することができる。
また、第一の本開示の製造方法によれば、得られる中空樹脂粒子の含水率を、1%未満とすることができる。中空樹脂粒子の含水率が1%未満であると、中空樹脂粒子をより軽量化することができる。
また、第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の表面が前記微粒子で被覆されている場合、当該中空樹脂粒子は、下記式(A)より求められる前記微粒子の被覆率が、60~180%であってよく、生産性の観点からは、好適には65%以上であり、一方、軽量化の観点からは、好適には175%以下、より好適には170%以下、更に好適には160%以下である。
中空樹脂粒子の表面積に対する微粒子の被覆率は、微粒子を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の体積平均粒径R(nm)、微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の見かけ密度S(g/cm)、微粒子の平均一次粒径d(nm)、微粒子の比重s、及び、微粒子の添加量n(質量部)から、下記式(A)の通りに算出する。なお、微粒子の添加量n(質量部)は、微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子100質量部に対する微粒子の添加量である。
式(A)
微粒子の被覆率(%)={31/2/2π}×{(R×S)/(d×s)}×n
(前記式(A)中、R、S、d、s及びnは前述の通りである。)
なお、微粒子を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の体積平均粒径(R)は、前駆体粒子の体積平均粒径と同じとみなすことができる。また、微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の見かけ密度(S)は、前駆体粒子を230℃で24時間静置乾燥させた粒子の見かけ密度と同じとみなすことができる。前駆体粒子を230℃で24時間静置乾燥させた粒子の見かけ密度は、中空樹脂粒子の見かけ密度Dと同様の方法により測定することができる。
また、第一の本開示の製造方法によれば、得られる中空樹脂粒子の重量(kg)を、溶剤除去工程で行った加熱乾燥時間(h)で割り、更に乾燥機の有効容積(m)で割った値(kg/(h・m))を、例えば0.01以上とすることができ、好ましくは3以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは100以上とすることができる。前記値(kg/(h・m))が大きいほど、短時間でより多くの中空樹脂粒子を製造することができるため、生産性に優れる。
I-3.中空樹脂粒子の用途
第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の用途としては、例えば、感熱紙のアンダーコート材等が考えられる。一般的に、アンダーコート材には断熱性、緩衝性(クッション性)が要求され、これに加えて感熱紙用途に即した耐熱性も要求される。また、第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、例えば、光沢、隠ぺい力等に優れたプラスチックピグメントとしても有用である。
また、第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、優れた強度を有するため、樹脂等の他の材料との混練時に潰れ難く、成形体に添加された場合に、軽量化材、断熱材、防音材、制振材等としての効果に優れるため、成形体用添加剤として好適であり、特に、樹脂製成形体用添加剤として特に好適に用いられる。
また、第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子は、その内部に香料、薬品、農薬、インキ成分等の有用成分を浸漬処理、減圧又は加圧浸漬処理等の手段により封入することができる。そのような有用成分を封入した中空樹脂粒子は、内部に含まれる成分に応じて各種用途に利用することができる。
II-1.第二の本開示の中空樹脂粒子の製造方法
懸濁重合法により、水系媒体中で重合性単量体を重合して中空樹脂粒子を得る従来の製造方法では、上述したように、中空樹脂粒子のシェルを形成する重合性単量体として、シェルの強度を高めるために架橋性単量体の割合を多くすると、中空樹脂粒子を乾燥させても、中空樹脂粒子の内部に有機溶剤が多く残留してしまう場合があるという問題がある。従来の製造方法は、更に、粒子内部に残留した有機溶剤を乾燥除去する際に、多量の粒子に対して、短時間で有機溶剤の乾燥除去を行うことが困難であり、生産性の向上が困難であるという問題もある。
第二の本開示の課題は、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を得ることができる、生産性に優れた中空樹脂粒子の製造方法を提供することである。
第二の本開示の中空樹脂粒子の製造方法は、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、重力方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた縦型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする。
第二の本開示の製造方法によれば、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を効率的に製造することができる。
第二の本開示の製造方法は、上述した第一の本開示の製造方法と同様の基本技術に従うものである。第二の本開示の製造方法では、炭化水素系溶剤を内包した状態の前駆体粒子を、縦型撹拌方式の撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、粒子の破損を抑制しながら、内包されていた炭化水素系溶剤を短時間で十分に除去することができ、中空樹脂粒子の生産性に優れる。
また、第二の本開示の製造方法では、撹拌方式として縦型撹拌方式を採用することにより、横型撹拌方式等を採用する場合に比べて、中空樹脂粒子の収率を高めることができる。
第二の本開示の製造方法により、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤の残留量を低減する効果は、連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子を製造する場合に特に効果的に発揮される。連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子は、例えば、第一の本開示の製造方法と同様に、シェルを形成する重合性単量体中の架橋性単量体として、二官能の架橋性単量体を用いることにより製造することができる。
第二の本開示の製造方法の一例としては、(1)混合液調製工程、(2)懸濁工程、(3)重合工程、(4)固液分離工程、及び(5)溶剤除去工程を含む方法を挙げることができる。
第二の本開示の製造方法は、前記(1)~(5)の工程のうち、少なくとも混合液調製工程、懸濁工程、重合工程及び溶剤除去工程を有する。第二の本開示の製造方法は、固液分離工程を更に有することにより、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤を除去しやすく、生産性を向上できる点で好ましい。
前記(1)~(4)の各工程は、上述した第一の本開示の製造方法が有する前記(1)~(4)の各工程と同じである。図1は、第二の本開示の製造方法の一例を示す模式図でもあり、図2は、第二の本開示の製造方法が有する懸濁工程における懸濁液の一実施形態を示す模式図でもある。
以下に、第二の本開示の製造方法の溶剤除去工程について説明する。
第二の本開示の製造方法における溶剤除去工程は、前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程である。
本工程は、好ましくは前記固液分離工程の後に行われる工程であり、水系媒体から分離された前駆体粒子を用いて行われることが好ましい。
本工程では、前駆体粒子を、気中で加熱乾燥することにより、当該前駆体粒子内部の炭化水素系溶剤を気体と入れ替えて、気体で満たされた中空樹脂粒子を得ることができる。ここで、「気中」とは、上述した第一の本開示の製造方法で述べた通りである。
また、第二の本開示の製造方法において、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子の含水率及び炭化水素系溶剤の透過度については、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。
第二の本開示の製造方法においては、溶剤除去工程で、重力方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた縦型撹拌方式の撹拌容器内で前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥する。このような加熱乾燥に用いられる縦型撹拌乾燥機としては、例えば、直接加熱型のもの、及び間接加熱型のものを挙げることができ、中でも、間接加熱型の縦型撹拌乾燥機が好ましい。
前記撹拌翼は、シャフトに固定されていることが好ましい。撹拌翼としては、例えば、螺旋リボン型、スクリュー型、パドル型、フルゾーン型等が挙げられ、特に限定はされない。また、撹拌翼及びシャフトはそれぞれ、内部に熱媒を流すことができる伝熱撹拌翼及び伝熱シャフトであってもよい。
第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機が備える撹拌容器の形状としては、円筒状又は円錐状であることが好ましい。なお、円錐状の撹拌容器は、通常、円錐の底面から頂点への向きが、重力の向きとなるように設置される。
縦型撹拌乾燥機が備える撹拌容器は、その内部において、シャフトの長さaに対する、シャフトと直交方向の距離の最大値bの比(b/a)が、通常0.5~2.0である。中でも、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下であると、伝熱率が向上し、且つ撹拌効率が向上する。一方、設置スペースに制限がある場合は、前記比(b/a)が1.0以上であると、前記撹拌容器の有効容積が増大し、生産性が向上する点から好ましい。
図3は、第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機の一例の断面模式図であり、図4は、第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機の別の一例の断面模式図である。図3及び図4に示す各縦型撹拌乾燥機30Aは、重力方向に延びるシャフト31、及びシャフト31に固定された撹拌翼32を備えた縦型撹拌方式の撹拌容器33を備え、撹拌容器33の外周を、熱媒を流すことができるジャケット34が覆っている。図3に示す縦型撹拌乾燥機30Aは、撹拌容器の形状が円錐状で、撹拌翼がパドル型である。図4に示す縦型撹拌乾燥機30Aは、撹拌容器の形状が円筒状であり、撹拌翼がフルゾーン型である。また、図3及び図4に示す各撹拌乾燥機30Aにおいては、供給口35から供給された前駆体粒子が、撹拌容器33内で撹拌乾燥されて、炭化水素系溶剤が除去された中空樹脂粒子として、排出口36から排出される。
縦型撹拌乾燥機は、ギアボックスを有していても良い。ギアボックスの耐熱温度が熱媒の温度以上であれば、ギアボックスの設置位置は特に限定はされないが、ギアボックスの耐熱温度が熱媒の温度未満である場合は、ギアボックスは、熱媒に曝されない位置に設置されていることが好ましく、例えば、ギアボックスがジャケットの外側に設置されていることが好ましい。
好ましく用いられる市販の縦型撹拌乾燥機としては、例えば、(株)大川原製作所製の製品名「リボコーン」、(株)神鋼環境ソリューション製の製品名「PVミキサー」等を挙げることができる。「リボコーン」は、縦型撹拌方式の円錐状撹拌容器内で乾燥を行う乾燥機であり、シャフトに固定された螺旋リボン型撹拌翼を備える。「PVミキサー」は、縦型撹拌方式の円錐状撹拌容器内で乾燥を行う乾燥機であり、シャフトに固定されたパドル型撹拌翼を備える。
溶剤除去工程において、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する際の加熱乾燥の温度Tは、使用する乾燥装置に応じて設定される乾燥温度であり、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。第二の本開示の製造方法において、溶剤除去工程における加熱乾燥の温度Tは、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、T≦T≦T-5を満たすことが好ましく、T+70≦T≦T-5を満たすことがより好ましく、T+140≦T≦T-5を満たすことが更に好ましい。
本工程における前記加熱乾燥の時間は、生産性の観点から、好ましくは80~210分、より好ましくは80~160分である。
第二の本開示の製造方法において、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)、溶剤除去工程での前記加熱乾燥の際の圧力、前記加熱乾燥を行う乾燥雰囲気、及び前記加熱乾燥の際に仕込む前駆体粒子の量については、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。
第二の本開示の製造方法に用いられる縦型撹拌乾燥機が備える撹拌容器の有効容積は、通常、0.0001m以上であり、大量生産の観点から、3m以上であることがより好ましく、一方、生産性の観点から、通常20m以下であり、15m以下であってもよい。
第二の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、第一の本開示の製造方法で説明した前記式(iii)により算出される撹拌翼先端速度が、好ましくは2.0m/s以下、より好ましくは1.5m/s以下、更に好ましくは0.8m/s以下、より更に好ましくは0.6m/s以下である。なお、前記撹拌翼先端速度は、生産性を向上する観点からは、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.3m/s以上である。
また、第二の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、撹拌翼の回転速度が好ましくは70rpm以下、より好ましくは40rpm以下、更に好ましくは30rpm以下である。生産性を向上する観点からは、好ましくは5rpm以上、より好ましくは10rpm以上である。
また、第二の本開示の製造方法において、溶剤除去工程は、上述した第一の本開示の製造方法で攪拌乾燥を行う場合と同様に、前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。
前駆体粒子の表面を被覆する微粒子としては、上述した第一の本開示の製造方法に用いられるものと同様のものが挙げられ、第一の本開示の製造方法で好ましい微粒子を、第二の本開示の製造方法においても同様に好ましく用いることができる。また、前記微粒子の好ましい含有量についても、第一の本開示の製造方法と同様である。
第二の本開示の製造方法は、前記(1)~(5)の工程とは異なるその他の工程を更に有していてもよい。その他の工程としては、例えば、上述した第一の本開示の製造方法が有していてもよいその他の工程と同様の工程を挙げることができる。
II-2.中空樹脂粒子
第二の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子において、形状、体積平均粒径、粒度分布、空隙率、炭化水素系溶剤残留率、シェルの厚み、含水率、及び微粒子の被覆率については、上述した第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子と同様である。
一方で、第二の本開示の製造方法によれば、得られる中空樹脂粒子の重量(kg)を、溶剤除去工程で行った加熱乾燥時間(h)で割り、更に乾燥機の有効容積(m)で割った値(kg/(h・m))を、好ましくは15以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上とすることができる。
II-3.中空樹脂粒子の用途
第二の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の用途としては、例えば、上述した第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の用途と同様のものを挙げることができる。第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子において好適な用途は、第二の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子においても同様に好適である。
III-1.第三の本開示の中空樹脂粒子の製造方法
第三の本開示の課題は、第二の本開示の課題と同様であり、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を得ることができる、生産性に優れた中空樹脂粒子の製造方法を提供することである。
第三の本開示の中空樹脂粒子の製造方法は、重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、水平方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた横型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする。
第三の本開示の製造方法によれば、製造プロセスで一旦粒子内部に保持される炭化水素系溶剤の残留量が低減され、且つ破損が抑制された中空樹脂粒子を効率的に製造することができる。
第三の本開示の製造方法は、上述した第一の本開示の製造方法と同様の基本技術に従うものである。第三の本開示の製造方法では、炭化水素系溶剤を内包した状態の前駆体粒子を、横型撹拌方式の撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、粒子の破損を抑制しながら、内包されていた炭化水素系溶剤を短時間で十分に除去することができ、中空樹脂粒子の生産性に優れる。
横型撹拌方式では、撹拌容器の有効容積に対する伝熱面積の比(伝熱面積/有効容積)が大きく、伝熱効率に優れるため、シェルが強固な前駆体粒子においても炭化水素系溶剤の乾燥除去効率が良好であり、生産性に優れる。
第三の本開示の製造方法により、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤の残留量を低減する効果は、連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子を製造する場合に特に効果的に発揮される。連通孔及びシェル欠陥を有しないシェルを備える中空樹脂粒子は、例えば、第一の本開示の製造方法と同様に、シェルを形成する重合性単量体中の架橋性単量体として、二官能の架橋性単量体を用いることにより製造することができる。
第三の本開示の製造方法の一例としては、(1)混合液調製工程、(2)懸濁工程、(3)重合工程、(4)固液分離工程、及び(5)溶剤除去工程を含む方法を挙げることができる。
第三の本開示の製造方法は、前記(1)~(5)の工程のうち、少なくとも混合液調製工程、懸濁工程、重合工程及び溶剤除去工程を有する。第三の本開示の製造方法は、固液分離工程を更に有することにより、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤を除去しやすく、生産性を向上できる点で好ましい。
前記(1)~(4)の各工程は、上述した第一の本開示の製造方法が有する前記(1)~(4)の各工程と同じである。図1は、第三の本開示の製造方法の一例を示す模式図でもあり、図2は、第三の本開示の製造方法が有する懸濁工程における懸濁液の一実施形態を示す模式図でもある。
以下に、第三の本開示の製造方法の溶剤除去工程について説明する。
第三の本開示の製造方法における溶剤除去工程は、前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程である。
本工程は、好ましくは前記固液分離工程の後に行われる工程であり、水系媒体から分離された前駆体粒子を用いて行われることが好ましい。
本工程では、前駆体粒子を、気中で加熱乾燥することにより、当該前駆体粒子内部の炭化水素系溶剤を気体と入れ替えて、気体で満たされた中空樹脂粒子を得ることができる。ここで、「気中」とは、上述した第一の本開示の製造方法で述べた通りである。
また、第三の本開示の製造方法において、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子の含水率及び炭化水素系溶剤の透過度については、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。
第三の本開示の製造方法においては、溶剤除去工程で、水平方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた横型撹拌方式の撹拌容器内で前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥する。このような加熱乾燥に用いられる横型撹拌乾燥機としては、例えば、直接加熱型のもの、及び間接加熱型のものを挙げることができ、中でも、間接加熱型の横型撹拌乾燥機が好ましい。
前記撹拌翼は、シャフトに固定されていることが好ましい。撹拌翼としては、例えば、螺旋リボン型、スクリュー型、パドル型、フルゾーン型等が挙げられ、特に限定はされない。また、撹拌翼及びシャフトはそれぞれ、内部に熱媒を流すことができる伝熱撹拌翼及び伝熱シャフトであってもよい。伝熱撹拌翼及び伝熱シャフトの少なくともいずれかを用いることにより、伝熱効率が向上するため、炭化水素系溶剤の乾燥除去効率が向上し、中空樹脂粒子の生産性を向上させることができる。
横型撹拌乾燥機が備える撹拌容器の形状としては、例えば、円筒状、円錐状、球状、四角柱状等の形状を挙げることができる。
横型撹拌乾燥機が備える撹拌容器は、その内部において、シャフトの長さaに対する、シャフトと直交方向の距離の最大値bの比(b/a)が、通常0.2~1.5である。中でも、好ましくは0.5以下であると、伝熱率が向上し、且つ撹拌効率が向上する。一方、設置スペースに制限がある場合は、前記比(b/a)が0.6以上であると、撹拌容器の有効容積が増大し、生産性が向上する点から好ましい。
また、横型撹拌乾燥機は、シャフトを複数有する多軸式とすること、及び連続式とすることが容易である。生産性の観点から、第三の本開示の製造方法においては、水平方向に延びる複数のシャフト、及び撹拌翼を備えた多軸横型撹拌方式の撹拌容器を具備する連続式乾燥機を用いて溶剤除去工程を行うことが好ましい。
また、横型撹拌乾燥機は、伝熱面積/有効容積の比を大きくしやすいことにより、乾燥効率を向上しやすく、それにより生産性を向上しやすい。横型撹拌乾燥機における伝熱面積/有効容積の比は、好ましくは3~40であり、より好ましくは10~40である。
ここで、伝熱面積とは、粒子に熱を加えることができる部分の総面積であって、撹拌容器内の粒子が接触可能な部分であり、且つ、熱媒により加熱することが可能な部分の面積である。有効容積とは、撹拌容器内部において粒子が移動可能な領域の容積であって、撹拌容器内部の総体積から、撹拌容器内にある攪拌翼及びシャフト等の部品の体積を差し引いて求められる。
図5は、第三の本開示の製造方法に用いられる横型撹拌乾燥機の一例の断面模式図であり、図6は、図5に示す横型撹拌乾燥機のAA断面図である。図5及び図6に示す横型撹拌乾燥機30Bは、水平方向に延びる2本のシャフト31、及び各シャフト31に固定された撹拌翼32を備えた横型撹拌方式の撹拌容器33を備え、撹拌容器33の外周を、熱媒を流すことができるジャケット34が覆っている。図5及び図6に示す横型撹拌乾燥機30Bは、撹拌容器の形状が四角柱状で、撹拌翼がパドル型である。図5及び図6に示す各撹拌乾燥機30Bにおいては、供給口35から供給された前駆体粒子が、撹拌容器33内で撹拌乾燥されて、炭化水素系溶剤が除去された中空樹脂粒子として、排出口36から排出される。
横型撹拌乾燥機は、ギアボックスの耐熱温度が熱媒の温度以上であれば、ギアボックスの設置位置は特に限定はされないが、ギアボックスの耐熱温度が熱媒の温度未満である場合は、ギアボックスは、熱媒に曝されない位置に設置されていることが好ましく、例えば、ギアボックスがジャケットの外側に設置されていることが好ましい。
好ましく用いられる市販の横型撹拌乾燥機としては、例えば、(株)奈良機械製作所製の製品名「パドルドライヤー」、ホソカワミクロン(株)製の製品名「ソリッドエアー(登録商標)SJ」、株式会社(株)栗本鐵工所製の製品名「CDドライヤ」等を挙げることができる。
溶剤除去工程において、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する際の加熱乾燥の温度Tは、使用する乾燥装置に応じて設定される乾燥温度であり、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。第三の本開示の製造方法において、溶剤除去工程における加熱乾燥の温度Tは、前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、T≦T≦T-5を満たすことが好ましく、T+70≦T≦T-5を満たすことがより好ましく、T+140≦T≦T-5を満たすことが更に好ましい。
本工程における前記加熱乾燥の時間は、生産性の観点から、好ましくは30~90分、より好ましくは30~70分である。
第三の本開示の製造方法において、溶剤除去工程に用いられる前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)、溶剤除去工程での前記加熱乾燥の際の圧力、前記加熱乾燥を行う乾燥雰囲気、及び前記加熱乾燥の際に仕込む前駆体粒子の量については、上述した第一の本開示の製造方法と同様である。
第三の本開示の製造方法に用いられる横型撹拌乾燥機が備える撹拌容器の有効容積は、大量生産の観点から、3m以上であることが好ましく、5m以上であることがより好ましく、一方、生産性の観点から、通常20m以下であり、15m以下であってもよい。
第三の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、第一の本開示の製造方法で説明した前記式(iii)により算出される撹拌翼先端速度が、好ましくは2.0m/s以下、より好ましくは1.5m/s以下、更に好ましくは0.8m/s以下、より更に好ましくは0.6m/s以下である。なお、前記撹拌翼先端速度は、生産性を向上する観点からは、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.3m/s以上である。
また、第三の本開示の製造方法で行われる撹拌乾燥においては、前駆体粒子乃至中空樹脂粒子の破損を抑制する観点から、撹拌翼の回転速度が好ましくは70rpm以下、より好ましくは40rpm以下、更に好ましくは30rpm以下である。生産性を向上する観点からは、好ましくは5rpm以上、より好ましくは10rpm以上である。
また、第三の本開示の製造方法において、溶剤除去工程は、上述した第一の本開示の製造方法で攪拌乾燥を行う場合と同様に、前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される炭化水素系溶剤を除去する工程であることが好ましい。
前駆体粒子の表面を被覆する微粒子としては、上述した第一の本開示の製造方法に用いられるものと同様のものが挙げられ、第一の本開示の製造方法で好ましい微粒子を、第三の本開示の製造方法においても同様に好ましく用いることができる。また、前記微粒子の好ましい含有量についても、第一の本開示の製造方法と同様である。
第三の本開示の製造方法は、前記(1)~(5)の工程とは異なるその他の工程を更に有していてもよい。その他の工程としては、例えば、上述した第一の本開示の製造方法が有していてもよいその他の工程と同様の工程を挙げることができる。
III-2.中空樹脂粒子
第三の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子において、形状、体積平均粒径、粒度分布、空隙率、炭化水素系溶剤残留率、シェルの厚み、含水率、及び微粒子の被覆率については、上述した第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子と同様である。
一方で、第三の本開示の製造方法によれば、得られる中空樹脂粒子の重量(kg)を、溶剤除去工程で行った加熱乾燥時間(h)で割り、更に乾燥機の有効容積(m)で割った値(kg/(h・m))を、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは300以上とすることができる。
III-3.中空樹脂粒子の用途
第三の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の用途としては、例えば、上述した第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子の用途と同様のものを挙げることができる。第一の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子において好適な用途は、第三の本開示の製造方法により得られる中空樹脂粒子においても同様に好適である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
なお、第一の本開示の製造方法に対応する実施例Iシリーズのうち、実施例I-1~I-7、I-9、I-12~I-13及びI-17~I-18は参考例である。但し、実施例I-7、I-9、I-12及びI-13は第二の本開示の製造方法に包含され、実施例I-17及びI-18は第三の本開示の製造方法に包含される。
<実施例Iシリーズ>
[製造例1:極性樹脂A(MMA/AA/EA共重合体)の製造]
反応容器内にトルエン200部を投入し、トルエンを攪拌しながら反応容器内を十分に窒素で置換した後、90℃に昇温させ、その後メタクリル酸メチル(MMA)96.2部、アクリル酸(AA)0.3部、アクリル酸エチル(EA)3.5部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)2.8部の混合溶液を、2時間かけて反応容器中へ滴下した。更に、トルエン還流下で10時間保持することにより、重合を完了させ、その後、減圧下で溶媒を蒸留除去して、極性樹脂A(MMA/AA/EA共重合体)を得た。
得られた極性樹脂A(MMA/AA/EA共重合体)を構成する繰り返し単位の総質量100%中、MMA由来の繰り返し単位の割合は96.2%、AA由来の繰り返し単位は0.3%、EA由来の繰り返し単位は3.5%であった。
また、得られた極性樹脂A(MMA/AA/EA共重合体)の数平均分子量は、10000であった。
[実施例I-1]
(1)混合液調製工程
下記材料を混合し、得られた混合物を油相とした。
メタクリル酸 40部
エチレングリコールジメタクリレート 60部
2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(油溶性重合開始剤、和光純薬社製、商品名:V-65) 3部
シクロヘキサン(沸点81℃) 187部
一方で、イオン交換水650部に、界面活性剤3.0部を加えて得られた混合物を水相とした。
水相と油相を混合することにより、混合液を調製した。
(2)懸濁液調製工程
前記混合液を、インライン型乳化分散機で攪拌して懸濁させ、シクロヘキサンを内包した重合性単量体組成物の液滴が水中に分散した懸濁液を調製した。
(3)重合工程
前記懸濁液を、窒素雰囲気で65℃の温度条件下で4時間攪拌し、重合反応を行った。この重合反応により、シクロヘキサンを内包した前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製した。
(4)固液分離工程
前記前駆体組成物をろ過することにより、水から分離された前駆体粒子のケーキを得た。
(5)溶剤除去工程
得られた前駆体粒子のケーキ0.25Lを、0.1cmの厚さに成形し、棚段真空乾燥機に設置して、空気雰囲気下で、表1に示す条件で加熱乾燥を行うことにより、実施例I-1の中空樹脂粒子を得た。
[実施例I-2~I-5、比較例I-1~I-2]
実施例I-1において、前記「(5)溶剤除去工程」で行う加熱乾燥の条件を、表1に示すように変更した以外は、実施例I-1と同様の手順で、実施例I-2~I-5及び比較例I-1~I-2の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-6]
実施例I-1において、前記「(1)混合液調製工程」で油相に添加するメタクリル酸の量を20部に変更し、エチレングリコールジメタクリレートの量を80部に変更し、前記「(5)溶剤除去工程」で行う加熱乾燥の条件を、表1に示すように変更した以外は、実施例I-1と同様の手順で、実施例I-6の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-7]
実施例I-1において、前記「(5)溶剤除去工程」を下記のように変更した以外は、実施例I-1と同様の手順で、実施例I-7の中空樹脂粒子を製造した。
実施例I-7の溶剤除去工程では、固液分離工程により得られた前駆体粒子のケーキ0.1L(ケーキ厚3cm)を、縦型円筒状撹拌乾燥機の撹拌容器に投入して、表2に示す条件で加熱乾燥を行った。
実施例I-7で用いた縦型円筒状撹拌乾燥機は、縦型撹拌方式の円筒状撹拌容器を備え、重力方向に延びるシャフトに固定されたフルゾーン型撹拌翼を備え、撹拌容器内において、シャフトの長さaに対する、シャフトと直交方向の距離の最大値bの比(b/a)が1.67であり、撹拌容器の有効容積は0.0001mであった。
[実施例I-8]
実施例I-7において、前記縦型円筒状撹拌乾燥機の撹拌容器に、前駆体粒子のケーキを投入する際に、併せて炭酸カルシウム(平均一次粒径:20nm、比重:2.71)2.2部を投入し、更に加熱乾燥の時間を表2に示すように変更した以外は、実施例I-7と同様の手順で、実施例I-8の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-9]
実施例I-7において、前記「(1)混合液調製工程」で油相に添加するメタクリル酸の量を20部に変更し、エチレングリコールジメタクリレートの量を80部に変更した以外は、実施例I-7と同様の手順で、実施例I-9の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-10]
実施例I-1において、前記「(5)溶剤除去工程」を下記のように変更した以外は、実施例I-1と同様の手順で、実施例I-10の中空樹脂粒子を製造した。
実施例I-10における溶剤除去工程では、固液分離工程により得られた前駆体粒子のケーキ50L(ケーキ厚80cm)、及び炭酸カルシウム(平均一次粒径:20nm)2.6部を縦型円錐状撹拌乾燥機の撹拌容器に投入して、空気雰囲気下で、表2に示す条件で加熱乾燥を行うことにより、実施例I-10の中空樹脂粒子を得た。
実施例I-10で用いた縦型円錐状撹拌乾燥機は、縦型撹拌方式の円錐状撹拌容器を備え、重力方向に延びるシャフトに固定された螺旋リボン型撹拌翼を備え、撹拌容器内において、シャフトの長さaに対する、シャフトと直交方向の距離の最大値bの比(b/a)が0.74であり、撹拌容器の有効容積は0.05mであった。
[実施例I-11]
実施例I-10において、前記「(1)混合液調製工程」及び前記「(4)固液分離工程」を下記のように変更し、更に前記「(5)溶剤除去工程」で行う加熱乾燥の条件を表2に示すように変更した以外は、実施例I-10と同様の手順で、実施例I-11の中空樹脂粒子を製造した。
実施例I-11における混合液調製工程においては、下記材料を混合し、得られた混合物を油相とした。
エチレングリコールジメタクリレート 100部
製造例1で得られた極性樹脂A(MMA/AA/EA共重合体) 0.5部
2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(油溶性重合開始剤、和光純薬社製、商品名:V-65) 3部
シクロヘキサン 120部
一方で、攪拌槽において、室温(25℃)条件下で、イオン交換水225部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)7.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水55部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液(水酸化マグネシウム4部)を調製し、水相とした。
水相と油相を混合することにより、混合液を調製した。
実施例I-11における固液分離工程では、まず、重合工程により得られた前駆体組成物を、希硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、pHを5.5以下にした後、ろ過により水を分離した。その後、新たにイオン交換水200部を加えて再スラリー化し、ろ過により水を分離する水洗浄処理を室温(25℃)で数回繰り返し行うことにより、水から分離された前駆体粒子のケーキを得た。
[実施例I-12]
実施例I-10において、攪拌容器に炭酸カルシウムを投入せず、加熱乾燥の時間を表2に示す時間に変更した以外は、実施例I-10と同様の手順で、実施例I-12の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-13]
実施例I-10において、前記「(1)混合液調製工程」で油相に添加するメタクリル酸の量を20部に変更し、エチレングリコールジメタクリレートの量を80部に変更し、攪拌容器に炭酸カルシウムを投入せず、加熱乾燥の時間を表2に示す時間に変更した以外は、実施例I-10と同様の手順で、実施例I-13の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-14]
実施例I-1において、前記「(5)溶剤除去工程」を下記のように変更した以外は、実施例I-1と同様の手順で、実施例I-14の中空樹脂粒子を製造した。
実施例I-14の溶剤除去工程では、固液分離工程により得られた前駆体粒子のケーキ12L(ケーキ厚30cm)、及び炭酸カルシウム(平均一次粒径:20nm)2.6部を二軸横型連続式撹拌乾燥機の撹拌容器に投入して、空気雰囲気下で、表2に示す条件で加熱乾燥を行うことにより、実施例I-14の中空樹脂粒子を得た。
実施例I-14で用いた二軸横型連続式撹拌乾燥機は、横型撹拌方式の円筒状撹拌容器を備え、水平方向に延びる2本のシャフト及び当該シャフトに固定されたパドル型伝熱撹拌翼を備え、シャフトの長さaに対する、シャフトと直交方向の距離の最大値bの比(b/a)が0.6であり、撹拌容器の有効容積が12mであり、伝熱面積/有効容積の比が25.8であった。
[実施例I-15]
実施例I-14において、加熱乾燥の条件を表2に示すように変更した以外は、実施例I-14と同様の手順で、実施例I-15の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-16]
実施例I-14において、前記「(1)混合液調製工程」及び前記「(4)固液分離工程」を、実施例I-11と同様に変更し、更に前記「(5)溶剤除去工程」で行う加熱乾燥の条件を、表2に示すように更した以外は、実施例I-14と同様の手順で、実施例I-16の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-17]
実施例I-14において、二軸横型連続式撹拌乾燥機に炭酸カルシウムを投入せず、加熱乾燥の時間を表2に示す時間に変更した以外は、実施例I-14と同様の手順で、実施例I-17の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例I-18]
実施例I-14において、前記「(1)混合液調製工程」で油相に添加するメタクリル酸の量を20部に変更し、エチレングリコールジメタクリレートの量を80部に変更し、二軸横型連続式撹拌乾燥機に炭酸カルシウムを投入せず、加熱乾燥の時間を表2に示す時間に変更した以外は、実施例I-14と同様の手順で、実施例I-18の中空樹脂粒子を製造した。
<前駆体粒子についての測定>
各実施例及び各比較例において、固液分離工程により得られた前駆体粒子を約4g採取して、溶剤除去工程を行う前に、以下の測定を行った。
A.前駆体粒子の熱分解開始温度(T
前記「(4)固液分離工程」で得られた前駆体粒子を約15mg精秤して測定試料とした。TG-DTA装置としてはセイコーインスツルメンツ(株)製の型式TG/DTA6200(EXSTAR6000シリーズ)を用い、空気雰囲気下で、下記条件により測定してTG-DTA曲線を得た。
空気流量:230mL/min
昇温速度:10℃/min
測定温度範囲:30℃から800℃
得られたTG-DTA曲線から、装置付属の解析ソフトを用いて、熱分解開始温度を求めた。
B.前駆体粒子の含水率
前記「(4)固液分離工程」で得られた前駆体粒子を約0.1mg精秤したときの質量(w1)と、当該精秤した前駆体粒子を105℃で1時間乾燥し、25℃に冷却した後、再度精秤したときの質量(w2)とから、下記式(i)により含水率を算出した。なお、乾燥には、乾燥室内における温度誤差を1℃以下とした乾燥機を用いた。
式(i)
含水率(%)={(w1-w2)/w1}×100
C.前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の透過度
前記「(4)固液分離工程」で得られた前駆体粒子を40℃で24時間静置乾燥した前駆体粒子Aを約3gサンプリングし、更に約0.1mgまで精秤したときの質量(w3)と、当該精秤した前駆体粒子Aを更に105℃で2時間静置乾燥した後、25℃に冷却して得られる前駆体粒子Bの質量(w4)とから、下記式(ii)により、前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の透過度を算出した。なお、乾燥には、乾燥室内における温度誤差を1℃以下とした乾燥機を用いた。
式(ii)
炭化水素系溶剤の透過度(%)={(w3-w4)/w3}×100
D.前駆体粒子の体積平均粒径
レーザー回析式粒度分布測定器(島津製作所社製、商品名:SALD-2000)を用いて前記「(4)固液分離工程」で得られた前駆体粒子の粒径を測定し、その体積平均を算出して、前駆体粒子の体積平均粒径とした。
<中空樹脂粒子についての測定及び評価>
各実施例及び各比較例で得られた中空樹脂粒子について、以下の測定及び評価を行った。
1.中空樹脂粒子のSEM観察
各実施例及び各比較例で得られた中空樹脂粒子を各々100個ずつSEM観察し、各粒子表面において、100nm以上の細孔の有無を確認した。100nm以上の細孔がある中空樹脂粒子が5個未満の場合を粒子破損「なし」として評価し、100nm以上の細孔がある中空樹脂粒子が5個以上の場合を粒子破損「あり」として評価した。
2.中空樹脂粒子の体積平均粒径
レーザー回析式粒度分布測定器(島津製作所社製、商品名:SALD-2000)を用いて中空樹脂粒子の粒径を測定し、その体積平均を算出して、中空樹脂粒子の体積平均粒径とした。
3.中空樹脂粒子の密度及び空隙率
3-1.中空樹脂粒子の見かけ密度の測定
まず、容量100cmのメスフラスコに約30cmの中空樹脂粒子を充填し、充填した中空樹脂粒子の質量を精確に秤量した。次に、中空樹脂粒子の充填されたメスフラスコに、気泡が入らないように注意しながら、イソプロパノールを標線まで精確に満たした。メスフラスコに加えたイソプロパノールの質量を精確に秤量し、下記式(I)に基づき、中空樹脂粒子の見かけ密度D(g/cm)を計算した。
式(I)
見かけ密度D=[中空樹脂粒子の質量]/(100-[イソプロパノールの質量]÷[測定温度におけるイソプロパノールの比重])
3-2.中空樹脂粒子の真密度の測定
予め中空樹脂粒子を粉砕した後、容量100cmのメスフラスコに中空樹脂粒子の粉砕片を約10g充填し、充填した粉砕片の質量を精確に秤量した。
あとは、上記見かけ密度の測定と同様にイソプロパノールをメスフラスコに加え、イソプロパノールの質量を精確に秤量し、下記式(II)に基づき、中空樹脂粒子の真密度D(g/cm)を計算した。
式(II)
真密度D=[中空樹脂粒子の粉砕片の質量]/(100-[イソプロパノールの質量]÷[測定温度におけるイソプロパノールの比重])
3-3.実測空隙率の算出
中空樹脂粒子の見かけ密度Dと真密度Dから、下記式(III)に基づき、中空樹脂粒子の実測空隙率を計算した。
式(III)
実測空隙率(%)=100-(見かけ密度D/真密度D)×100
3-4.理論空隙率の算出
混合液調製工程における炭化水素系溶剤の仕込み質量Ws及び当該炭化水素系溶剤の比重Gs、並びに、中空樹脂粒子を構成する固形分の原材料の仕込み質量Wr、及び前記で求めた中空樹脂粒子の真密度Dから、下記式(IV)により中空樹脂粒子の理論空隙率を求めた。
式(IV)
理論空隙率(%)=(Ws/Gs)÷{(Ws/Gs)+(Wr/D)}×100
なお、各実施例及び各比較例で用いた炭化水素系溶剤はシクロヘキサンであり、シクロヘキサンの比重は0.778である。中空樹脂粒子を構成する固形分の原材料の仕込み質量Wrとしては、重合性単量体、極性樹脂及び微粒子として用いた炭酸カルシウムの仕込み質量の合計を用いた。
4.中空樹脂粒子のシェルの厚み
中空樹脂粒子の体積平均粒子径R及び理論空隙率を用いて下記式(1)より中空樹脂粒子の内径rを算出し、当該内径r及び体積平均粒子径Rを用いて下記式(2)より、中空樹脂粒子のシェルの厚みを算出した。
4/3π×(R/2)×理論空隙率=4/3π×(r/2) 式(1)
シェル厚=(R-r)/2 式(2)
5.中空樹脂粒子中の炭化水素系溶剤残留率
中空樹脂粒子の理論空隙率及び実測空隙率から、下記式(V)により中空樹脂粒子中の炭化水素系溶剤残留率を求めた。
式(V)
炭化水素系溶剤残留率(%)=100-(実測空隙率/理論空隙率)×100
6.中空樹脂粒子の含水率
約0.1mgの中空樹脂粒子を精秤した質量(w1)と、当該精秤した中空樹脂粒子を105℃で1時間乾燥し、25℃に冷却した後、再度精秤した質量(w2)とから、前記式(i)により含水率を算出した。なお、乾燥には、前駆体粒子の含水率を求める際に用いた乾燥機と同じ乾燥機を用いた。
7.中空樹脂粒子における微粒子の被覆率
溶剤除去工程において微粒子の添加を行った実施例においては、微粒子を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の体積平均粒径R(nm)、微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の見かけ密度S(g/cm)、微粒子の平均一次粒径d(nm)、並びに微粒子の比重s及び添加量n(質量部)(微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子100質量部に対し)から、下記式(A)により、中空樹脂粒子の表面積に対する微粒子の被覆率(%)を算出した。
式(A)
微粒子の被覆率(%)={31/2/2π}×{(R×S)/(d×s)}×n
なお、微粒子を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の体積平均粒径Rとしては、前記で求めた前駆体粒子の体積平均粒径を用いた。
微粒子及び炭化水素系溶剤を含有しないと仮定した中空樹脂粒子の見かけ密度Sは、中空樹脂粒子の製造に用いた前駆体粒子と同じ前駆体粒子を、230℃で24時間静置乾燥した粒子について、前記「3-1.中空樹脂粒子の見かけ密度の測定」と同様の方法で見かけ密度を求めることにより求めた。
8.生産性
得られた中空樹脂粒子の重量(kg)を、溶剤除去工程で行った加熱乾燥時間(h)で割り、更に乾燥機の有効容積(m)で割った値(kg/(h・m))を生産性の指標として算出した。
9.撹拌翼への粉体付着
撹拌乾燥機を用いた実施例においては、得られた中空樹脂粒子を乾燥機から取り出した直後に、乾燥機が備える撹拌翼を目視で確認し、粉体の付着の有無を確認した。撹拌翼に粉体の付着が無い方が、乾燥効率に優れる。
10.圧壊強度
微小粒子圧壊力測定装置NS-A100型(ナノシーズ社製)を用いて、下記試験条件の下、得られた中空樹脂粒子の圧壊強度を測定した。
(試験条件)
測定方法:中空樹脂粒子のサンプルをステージへ自由落下により散布し、圧壊針により圧壊力を測定した。
測定温度:室温(25℃)
解析方法:中空樹脂粒子のサンプルに対して圧壊針を圧縮速度0.3μm/sで押し込み、中空樹脂粒子が潰れるのに必要な荷重Fの波形チャートを記録した。圧壊時のピーク値とベースライン(荷重がかかっていない状態時)との差を圧壊力F「N]とした。圧壊強度S[Pa]は下記式(B)より算出した。
式(B)
S=2.8F/(π×D
前記式(B)中、Fは前述の通りであり、Dは中空樹脂粒子の粒子径[m]である。圧壊針が中空樹脂粒子に接触したときの圧壊針(圧子)先端からステージ(平面)までの距離を、画像解析ソフト(商品名:WinROOF、三谷商事社製)を用いて測定時の画像から測定し、中空樹脂粒子の粒子径Dとした。
圧壊強度が大きいほど、中空樹脂粒子の強度が高いことを示す。
Figure 0007673740000001
Figure 0007673740000002
[考察]
比較例I-1は、炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥の温度が低すぎたため、得られた中空樹脂粒子は、内部に炭化水素系溶剤が多量に残留していた。比較例I-1で得られた中空樹脂粒子は、中空部に炭化水素系溶剤を内包していたことにより比重が大きかったため、前記値(kg/(h・m))を生産性の指標とすることができず、圧壊強度も測定するに値しなかった。
比較例I-2は、炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥の温度が高すぎたため、得られた中空樹脂粒子は、シェルに100nm以上の細孔を多く有する破損の多いものであった。なお、比較例I-2で得られた中空樹脂粒子は破損が多かったため、空隙率及び炭化水素系溶剤残留率を求めることができなかった。また、比較例I-2では、得られた中空樹脂粒子の破損が多く、所望の中空樹脂粒子が得られなかったため、生産性の指標となる前記値(kg/(h・m))を算出せず、圧壊強度も測定しなかった。
実施例I-1~I-18は、懸濁重合法による中空樹脂粒子の製造において、重合性単量体中の架橋性単量体の割合を40~100質量%とし、且つ炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥の温度Tを、炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、T+70≦T≦T-5としたため、得られた中空樹脂粒子は、破損がなく球形であり、炭化水素系溶剤が十分に除去されていた。
中でも、実施例I-7~I-18は、炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥を、撹拌乾燥により行ったため、生産性に優れていた。更に、実施例I-8、実施例I-10~I-11及び実施例I-14~I-16を、各々同じ撹拌装置を用いた実施例I-7、実施例I-12、実施例I-17と対比すると、前駆体粒子の撹拌乾燥を微粒子と共に行った実施例I-8、実施例I-10~I-11及び実施例I-14~I-16では生産性がより向上していた。これは、撹拌乾燥の際に、前駆体粒子の表面が微粒子で被覆されたことにより、前駆体粒子の流動性が向上した結果、炭化水素系溶剤の乾燥除去効率が向上し、更に、撹拌翼への粉体付着が抑制されたためと考えられる。
また、実施例I-11及び実施例I-16を、各々同じ撹拌装置を用いた実施例I-10、I-12及び実施例I-14、I-15、I-17と対比すると、炭化水素系溶剤の透過度が5%であった実施例I-11及び実施例I-16では生産性がより向上していた。実施例I-11及び実施例I-16では、105℃においてシェルが炭化水素系溶剤をわずかに透過するものであったことにより、前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の除去効率が向上したためと考えられる。
また、中空樹脂粒子の製造に用いた重合性単量体中の架橋性単量体の含有割合が比較的多い実施例I-6、I-9、I-11、I-13、I-16及びI-18は、中空樹脂粒子の圧壊強度が向上していた。これは、中空樹脂粒子のシェル中に占める架橋性単量体単位の含有割合が増加したことにより、中空粒子の強度が向上したためと考えられる。
<実施例IIシリーズ>
[実施例II-1]
前記実施例Iシリーズの実施例I-10と同様の手順で、実施例II-1の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例II-2]
前記実施例Iシリーズの実施例I-11と同様の手順で、実施例II-2の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例II-3]
前記実施例Iシリーズの実施例I-12と同様の手順で、実施例II-3の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例II-4]
前記実施例Iシリーズの実施例I-7において、加熱乾燥条件を表3に示すように変更した以外は、実施例I-7と同様の手順で、実施例II-4の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例II-5]
前記実施例Iシリーズの実施例I-8において、加熱乾燥条件を表3に示すように変更した以外は、実施例I-8と同様の手順で、実施例II-5の中空樹脂粒子を製造した。
[比較例II-1~II-5]
実施例II-1において、溶剤除去工程を下記のように変更した以外は、実施例II-1と同様の手順として、比較例II-1~II-5の中空樹脂粒子を製造した。
比較例II-1~II-5の溶剤除去工程では、固液分離工程により得られた前駆体粒子のケーキを表3に示す量で、表3に示す厚さに成形し、棚段真空乾燥機に設置して、表3に示す条件で加熱乾燥を行った。
<前駆体粒子についての測定>
各実施例及び各比較例の固液分離工程で得られた前駆体粒子について、前記実施例Iシリーズと同様の測定を行った。
<中空樹脂粒子についての測定及び評価>
各実施例及び各比較例で得られた中空樹脂粒子について、前記実施例Iシリーズと同様の測定及び評価を行った。
Figure 0007673740000003
[考察]
比較例II-1~II-5では、炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥を静置乾燥で行い、縦型撹拌方式での撹拌乾燥を行わなかった。比較例II-1、II-2では、180℃で静置乾燥を行った結果、実施例II-1と同じ乾燥時間では、前駆体粒子の仕込み量を減らしても、得られた中空樹脂粒子内に多量の炭化水素系溶剤が残留していた。比較例II-1、II-2で得られた中空樹脂粒子は、中空部に炭化水素系溶剤を内包していたことにより比重が大きかったため、前記値(kg/(h・m))を生産性の指標とすることができず、圧壊強度も測定するに値しなかった。
比較例II-3、II-4では、230℃で静置乾燥を行った結果、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤を除去することはできたが、生産性が劣っていた。
比較例II-5では、280℃で静置乾燥を行った結果、得られた中空樹脂粒子はシェルに100nm以上の細孔を多く有する破損の多いものであった。比較例II-5では、得られた中空樹脂粒子の破損が多く、所望の中空樹脂粒子が得られなかったため、生産性の指標となる前記値(kg/(h・m))を算出せず、圧壊強度も測定しなかった。
実施例II-1~II-5は、懸濁重合法による中空樹脂粒子の製造において、重合性単量体中の架橋性単量体の割合を40~100質量%とし、且つ炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥を、縦型撹拌方式の撹拌容器内で前駆体粒子を撹拌しながら行ったため、得られた中空樹脂粒子は、破損がなく球形で、炭化水素系溶剤が十分に除去されており、更に、生産性にも優れていた。
中でも、実施例II-1、II-2及び実施例II-5を、各々同じ撹拌装置を用いた実施例II-3及び実施例II-4と対比すると、前駆体粒子の撹拌乾燥を微粒子と共に行った実施例II-1、II-2及び実施例II-5では生産性がより向上していた。これは、撹拌乾燥の際に、前駆体粒子の表面が微粒子で被覆されたことにより、前駆体粒子の流動性が向上した結果、炭化水素系溶剤の乾燥除去効率が向上し、更に、撹拌翼への粉体付着が抑制されたためと考えられる。
また、実施例II-2を、同じ撹拌装置を用いた実施例II-1、II-3と対比すると、炭化水素系溶剤の透過度が5%であった実施例II-2では生産性がより向上していた。実施例II-2では、105℃においてシェルが炭化水素系溶剤をわずかに透過するものであったことにより、前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の除去効率が向上したためと考えられる。
また、中空樹脂粒子の製造に用いた重合性単量体中の架橋性単量体の含有割合が比較的多い実施例II-2は、中空樹脂粒子の圧壊強度が向上していた。これは、中空樹脂粒子のシェル中に占める架橋性単量体単位の含有割合が増加したことにより、中空粒子の強度が向上したためと考えられる。
<実施例IIIシリーズ>
[実施例III-1]
前記実施例Iシリーズの実施例I-14と同様の手順で、実施例III-1の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例III-2]
前記実施例Iシリーズの実施例I-15と同様の手順で、実施例III-2の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例III-3]
前記実施例Iシリーズの実施例I-16と同様の手順で、実施例III-3の中空樹脂粒子を製造した。
[実施例III-4]
前記実施例Iシリーズの実施例I-17と同様の手順で、実施例III-4の中空樹脂粒子を製造した。
[比較例III-1~III-5]
実施例III-1において、溶剤除去工程」を下記のように変更した以外は、実施例III-1と同様の手順として、比較例III-1~III-5の中空樹脂粒子を製造した。
比較例III-1~III-5の溶剤除去工程では、固液分離工程により得られた前駆体粒子のケーキを表4に示す量で、表4に示す厚さに成形し、棚段真空乾燥機に設置して、表4に示す条件で加熱乾燥を行った。
<前駆体粒子についての測定>
各実施例及び各比較例の固液分離工程で得られた前駆体粒子について、前記実施例Iシリーズと同様の測定を行った。
<中空樹脂粒子についての測定及び評価>
各実施例及び各比較例で得られた中空樹脂粒子について、前記実施例Iシリーズと同様の測定及び評価を行った。
Figure 0007673740000004
[考察]
比較例III-1~III-5では、炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥を静置乾燥で行い、横型撹拌方式での撹拌乾燥を行わなかった。比較例III-1、III-2では、180℃で静置乾燥を行った結果、実施例III-1と同じ乾燥時間では、前駆体粒子の仕込み量を減らしても、得られた中空樹脂粒子内に多量の炭化水素系溶剤が残留していた。比較例III-3、III-4では、230℃で静置乾燥を行った。その結果、前駆体粒子の仕込み量を10Lとした比較例III-3では、得られた中空樹脂粒子内に多量の炭化水素系溶剤が残留していた。前駆体粒子の仕込み量を0.25Lに減らした比較例III-4では、中空樹脂粒子内の炭化水素系溶剤を除去することはできたが、生産性が劣っていた。比較例III-1~III-3で得られた中空樹脂粒子は、中空部に炭化水素系溶剤を内包していたことにより比重が大きかったため、前記値(kg/(h・m))を生産性の指標とすることができず、圧壊強度も測定するに値しなかった。
比較例III-5では、280℃で静置乾燥を行った結果、得られた中空樹脂粒子はシェルに100nm以上の細孔を多く有する破損の多いものであった。比較例III-5では、得られた中空樹脂粒子の破損が多く、所望の中空樹脂粒子が得られなかったため、生産性の指標となる前記値(kg/(h・m))を算出せず、圧壊強度も測定しなかった。
実施例III-1~III-4は、懸濁重合法による中空樹脂粒子の製造において、重合性単量体中の架橋性単量体の割合を40~100質量%とし、且つ炭化水素系溶剤を除去するための加熱乾燥を、横型撹拌方式の撹拌容器内で前駆体粒子を撹拌しながら行ったため、得られた中空樹脂粒子は、破損がなく球形で、炭化水素系溶剤が十分に除去されており、更に、生産性にも優れていた。
中でも、実施例III-1~III-3を、実施例III-4と対比すると、前駆体粒子の撹拌乾燥を微粒子と共に行った実施例III-1~III-3では生産性がより向上していた。これは、撹拌乾燥の際に、前駆体粒子の表面が微粒子で被覆されたことにより、前駆体粒子の流動性が向上した結果、炭化水素系溶剤の乾燥除去効率が向上し、更に、撹拌翼への粉体付着が抑制されたためと考えられる。
また、実施例III-3を、実施例III-1、III-2及びIII-4と対比すると、炭化水素系溶剤の透過度が5%であった実施例III-3では生産性がより向上していた。実施例III-3では、105℃においてシェルが炭化水素系溶剤をわずかに透過するものであったことにより、前駆体粒子からの炭化水素系溶剤の除去効率が向上したためと考えられる。
また、中空樹脂粒子の製造に用いた重合性単量体中の架橋性単量体の含有割合が比較的多い実施例III-3は、中空樹脂粒子の圧壊強度が向上していた。これは、中空樹脂粒子のシェル中に占める架橋性単量体単位の含有割合が増加したことにより、中空粒子の強度が向上したためと考えられる。
1 水系媒体
2 低極性材料
3 懸濁安定剤
4 重合性単量体組成物
4a 炭化水素系溶剤
4b 炭化水素系溶剤以外の材料
4c 水系媒体中に溶出した重合性単量体
5 重合開始剤
6 シェル
7 中空部
10 重合性単量体組成物の液滴
20 前駆体粒子
30A 縦型撹拌乾燥機
30B 横型撹拌乾燥機
31 シャフト
32 撹拌翼
33 撹拌容器
34 ジャケット
35 供給口
36 排出口
100 中空樹脂粒子

Claims (18)

  1. 中空樹脂粒子の製造方法であって、
    重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
    前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
    前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
    前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程と、
    前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
    前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
    前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T+70≦T≦T-5を満たし、
    前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする中空樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記炭化水素系溶剤の沸点Tが70~90℃である、請求項1に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%である、請求項1又は2に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の際の圧力が0~101.3kPaである、請求項1~3のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記炭化水素系溶剤が、炭素数4~7の炭化水素系溶剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程に用いられる前記前駆体粒子の含水率が50%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  7. 中空樹脂粒子の製造方法であって、
    重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
    前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
    前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
    前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
    前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
    前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、重力方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた縦型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする中空樹脂粒子の製造方法。
  8. 前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%である、請求項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  9. 前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T≦T≦T-5を満たす、請求項又はに記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  10. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程で用いられる前記撹拌容器が、円筒状又は円錐状である、請求項のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  11. 前記前駆体組成物を調製する工程後、且つ前記炭化水素系溶剤を除去する工程前に、前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程を更に有する、請求項10のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  12. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、前記撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程である、請求項11のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  13. 中空樹脂粒子の製造方法であって、
    重合性単量体と、炭化水素系溶剤と、重合開始剤と、水系媒体とを含む混合液を調製する工程と、
    前記混合液を懸濁させることにより、前記重合性単量体と、前記炭化水素系溶剤と、前記重合開始剤とを含む重合性単量体組成物の液滴が前記水系媒体中に分散した懸濁液を調製する工程と、
    前記懸濁液を重合反応に供することにより、中空部を有し且つ当該中空部に前記炭化水素系溶剤を内包する前駆体粒子を含む前駆体組成物を調製する工程と、
    前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程と、を有し、
    前記重合性単量体が、架橋性単量体を40~100質量%の割合で含有し、
    前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、水平方向に延びるシャフト、及び撹拌翼を備えた横型撹拌方式の撹拌容器内で、前記前駆体粒子を撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程であることを特徴とする中空樹脂粒子の製造方法。
  14. 前記中空樹脂粒子の空隙率が50~95%である、請求項13に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  15. 前記炭化水素系溶剤の沸点T(℃)及び前記前駆体粒子の熱分解開始温度T(℃)に対し、前記炭化水素系溶剤を除去する工程における前記加熱乾燥の温度T(℃)が、T≦T≦T-5を満たす、請求項13又は14に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  16. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、水平方向に延びる複数のシャフト、及び撹拌翼を備えた多軸横型撹拌方式の撹拌容器を具備する連続式乾燥機を用いて行われる、請求項1315のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  17. 前記前駆体組成物を調製する工程後、且つ前記炭化水素系溶剤を除去する工程前に、前記前駆体組成物を固液分離することにより、前記水系媒体から分離された前記前駆体粒子を得る工程を更に有する、請求項1316のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
  18. 前記炭化水素系溶剤を除去する工程が、前記前駆体粒子を、無機微粒子及び有機微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子と共に、前記撹拌容器内で撹拌しながら加熱乾燥することにより、前記前駆体粒子の表面を前記微粒子で被覆し、且つ前記前駆体粒子に内包される前記炭化水素系溶剤を除去する工程である、請求項1317のいずれか一項に記載の中空樹脂粒子の製造方法。
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