以下、本発明の実施形態に係る作業機械として油圧ショベルを例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る油圧ショベルの側面図である。図1に示すように、油圧ショベル901は、走行体201と、走行体201上に旋回可能に配置された旋回体202と、旋回体202に上下方向に回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置203とを備えている。旋回体202は、旋回モータ211によって駆動される。
作業装置203は、旋回体202に上下方向に回動可能に取り付けられたブーム204と、ブーム204の先端に上下方向に回動可能に取り付けられたアーム205と、アーム205の先端に上下方向に回動可能に取り付けられたバケット206と、ブーム204を駆動するアクチュエータであるブームシリンダ204aと、アーム205を駆動するアクチュエータであるアームシリンダ205aと、バケット206を駆動するアクチュエータであるバケットシリンダ206aとを有する。
旋回体202上の前側位置には運転室207が設けられており、後側位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト209が取り付けられている。運転室207とカウンタウエイト209の間には機械室208が設けられており、機械室208にはエンジン(図示せず)、油圧ポンプ1~3(図2Aに示す)、コントロールバルブ210等が収容されている。コントロールバルブ210は、油圧ポンプから各アクチュエータへの作動油の流れを制御する。
図2Aおよび図2Bは、本発明の第1の実施例における油圧駆動装置の回路図である。
図2Aに示すように、第1の実施例における油圧駆動装置902は、図示しないエンジンによって駆動される3つの主油圧ポンプ、例えばそれぞれ可変容量形油圧ポンプからなる第1油圧ポンプ1、第2油圧ポンプ2、および第3油圧ポンプ3を備えている。また、図示しないエンジンによって駆動されるパイロットポンプ4を備える(図2B参照)と共に、油圧ポンプ1~3およびパイロットポンプ4に油を供給する作動油タンク5を備えている。
第1油圧ポンプ1の傾転角は、第1油圧ポンプ1に付設したレギュレータによって制御される。第1油圧ポンプ1のレギュレータは、流量制御指令圧ポート1a、第1油圧ポンプ自己圧ポート1b、および第2油圧ポンプ自己圧ポート1cを含んでいる。第2油圧ポンプ2の傾転角は、第2油圧ポンプ2に付設したレギュレータによって制御される。第2油圧ポンプ2のレギュレータは、流量制御指令圧ポート2a、第2油圧ポンプ自己圧ポート2b、および第1油圧ポンプ自己圧ポート2cを含んでいる。第3油圧ポンプ3の傾転角は、第3油圧ポンプ3に付設したレギュレータによって制御される。第3油圧ポンプ3のレギュレータは、流量制御指令圧ポート3aおよび第3油圧ポンプ自己圧ポート3bを含んでいる。
第1油圧ポンプ1の吐出ライン40は、センターバイパスライン41を介して作動油タンク5へ接続されるとともに、過剰な圧力上昇から回路を保護するためにメインリリーフ弁18を介して作動油タンク5に接続される。センターバイパスライン41には、上流側から順に、走行右用方向制御弁6、バケット用方向制御弁7、第2アーム用方向制御弁8、および第1ブーム用方向制御弁9が配置される。方向制御弁7~9の各供給ポートは、走行右用方向制御弁6とバケット用方向制御弁7とを接続するセンターバイパスライン41の一部に、それぞれ油路42,43、油路44,45、および油路46,47を介してパラレルに接続されている。
走行右用方向制御弁6は、第1油圧ポンプ1から、走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない走行右モータへ供給される圧油の流れを制御する。バケット用方向制御弁7は、第1油圧ポンプ1からバケットシリンダ206aへ供給される圧油の流れを制御する。第2アーム用方向制御弁8は、第1油圧ポンプ1からアームシリンダ205aへ供給される圧油の流れを制御する。第1ブーム用方向制御弁9は、第1油圧ポンプ1からブームシリンダ204aへ供給される圧油の流れを制御する。
第2油圧ポンプ2の吐出ライン50は、センターバイパスライン51を介して作動油タンク5へ接続されるとともに、過剰な圧力上昇から回路を保護するためにメインリリーフ弁19を介して作動油タンク5に接続されている。センターバイパスライン51には、上流側から順に、第2ブーム用方向制御弁10、第1アーム用方向制御弁11、第1アタッチメント用方向制御弁12、および走行左用方向制御弁13が配置される。方向制御弁10~13の各供給ポートは、吐出ライン50に、それぞれ油路52,53、油路54,55、油路56,57、および油路58を介してパラレルに接続されている。
走行左用方向制御弁13の供給ポートに接続されている油路58は、第1油圧ポンプ1の吐出油を合流させるために、合流弁17を介して第1油圧ポンプ1の吐出ライン40に接続されている。吐出ライン50と油路58との間には、チェック弁30が設けられている。チェック弁30は、第1油圧ポンプ1の吐出ライン40から合流弁17を介して油路58に合流する圧油が走行左用方向制御弁13以外の方向制御弁10~12に流入することを防止する。
第2ブーム用方向制御弁10は、第2油圧ポンプ2からブームシリンダ204aへ供給される圧油の流れを制御する。第1アーム用方向制御弁11は、第2油圧ポンプ2からアームシリンダ205aへ供給される圧油の流れを制御する。第1アタッチメント用方向制御弁12は、第2油圧ポンプ2から、例えばバケット206に代えて設けられる小割機等の第1特殊アタッチメントを駆動する図示しない第1アクチュエータへ供給される圧油の流れを制御する。走行左用方向制御弁13は、第2油圧ポンプ2から、走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない走行左モータへ供給される圧油の流れを制御する。
第3油圧ポンプ3の吐出ライン60は、センターバイパスライン61を介して作動油タンク5へ接続されており、過剰な圧力上昇から回路を保護するためにメインリリーフ弁20を介して作動油タンク5に接続されている。センターバイパスライン61には、上流側から順に、旋回用方向制御弁14、第3ブーム用方向制御弁15、および第2アタッチメント用方向制御弁16が配置される。方向制御弁14~16の各供給ポートは、吐出ライン60に、それぞれ油路62,63、油路64,65、および油路66,67を介してパラレルに接続されている。
旋回用方向制御弁14は、第3油圧ポンプ3から旋回モータ211へ供給される圧油の流れを制御する。第3ブーム用方向制御弁15は、第3油圧ポンプ3からブームシリンダ204aへ供給される圧油の流れを制御する。第2アタッチメント用方向制御弁16は、第1特殊アタッチメントに加えて第2アクチュエータを備えた第2特殊アタッチメントが装着された際、または、第1特殊アクチュエータに代えて第1アクチュエータと第2アクチュエータの2つのアクチュエータを備えた第2特殊アタッチメントが装着された際に、第2アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する。
バケット用方向制御弁7の供給ポートに接続されている油路42,43、第2アーム用方向制御弁8の供給ポートに接続されている油路44,45、および第1ブーム用方向制御弁9の供給ポートに接続されている油路46,47には、複合操作時に第1油圧ポンプ1から各方向制御弁に供給される圧油の流量を制御する流量制御弁21~23がそれぞれ設けられている。
第2ブーム用方向制御弁10の供給ポートに接続されている油路52,53、第1アーム用方向制御弁11の供給ポートに接続されている油路54,55、および第1アタッチメント用方向制御弁12の供給ポートに接続されている油路56,57には、複合操作時に第2油圧ポンプ2から各方向制御弁に供給される圧油の流量を制御する流量制御弁24~26がそれぞれ設けられている。
旋回用方向制御弁14の供給ポートに接続されている油路62,63、第3ブーム用方向制御弁15の供給ポートに接続されている油路64,65、および第2アタッチメント用方向制御弁16の供給ポートに接続されている油路66,67には、複合操作時に第3油圧ポンプ3から各方向制御弁に供給される圧油の流量を制御する流量制御弁27~29がそれぞれ設けられている。
パイロットポンプ4の吐出ポートは、パイロット1次圧生成用のパイロットリリーフ弁92を介して作動油タンク5に接続されるとともに、油路73を介して電磁弁ユニット93に接続されている。電磁弁ユニット93は、電磁比例減圧弁93a~93gを内蔵している。電磁比例減圧弁93a~93gの一方の入力ポートは油路73に接続されており、他方の入力ポートは作動油タンク5に接続されている。電磁比例減圧弁93aの出力ポートは第2油圧ポンプ2のレギュレータの流量制御指令圧ポート2aに接続されており、電磁比例減圧弁93b,93cの出力ポートは第2ブーム用方向制御弁10のパイロットポートに接続されており、電磁比例減圧弁93d,93eの出力ポートは第1アーム用方向制御弁11のパイロットポートに接続され、電磁比例減圧弁93fの出力ポートは後述する第2ブーム用流量制御弁24のパイロット可変絞り弁32のパイロットポート32aに接続されており、電磁比例減圧弁93gの出力ポートは後述する第1アーム用流量制御弁25のパイロット可変絞り34のパイロットポート34aに接続されている。電磁比例減圧弁93a~93gは、コントローラ94からの指令信号に応じてパイロット1次圧を減圧し、パイロット指令圧として出力する。
なお、説明を簡略化するため、第1油圧ポンプ1および第3油圧ポンプ3のレギュレータの流量制御指令圧ポート1a,3a用の電磁比例減圧弁、走行右用方向制御弁6用の電磁比例減圧弁、バケット用方向制御弁7用の電磁比例減圧弁、第2アーム用方向制御弁8用の電磁比例減圧弁、第1ブーム用方向制御弁9用の電磁比例減圧弁、第1アタッチメント用方向制御弁12用の電磁比例減圧弁、走行左用方向制御弁13用の電磁比例減圧弁、旋回用方向制御弁14用の電磁比例減圧弁、第3ブーム用方向制御弁15用の電磁比例減圧弁、第2アタッチメント用方向制御弁16用の電磁比例減圧弁、および流量制御弁21~23,26~29用の電磁比例減圧弁については、図示を省略してある。
流量制御弁24は、補助可変絞りを形成するシート形の主弁31と、主弁31の弁体31aに設けられた、弁体31aの移動量に応じて開口面積を変化させる制御可変絞り31bと、パイロット可変絞りとしてのパイロット可変絞り弁32とで構成される。主弁31が内蔵されるハウジングは、主弁31と油路52の接続部に形成された第1圧力室31cと、主弁31と油路53の接続部に形成された第2圧力室31dと、第1圧力室31cと制御可変絞り31bを介して連通するように形成された第3圧力室31eとを有する。第3圧力室31eとパイロット可変絞り弁32とは油路68aで接続され、パイロット可変絞り弁32と油路53とは油路68bで接続されており、油路68a,68bはパイロットライン68を形成している。
第2油圧ポンプ2の吐出ライン50には圧力センサ81が設けられ、第2ブーム用方向制御弁10の供給ポートと第2ブーム用流量制御弁24とを接続する油路53には圧力センサ82が設けられ、ブームシリンダ204aとブーム用方向制御弁9,10,15とを接続する油路48,49に圧力センサ84,85が設けられている。なお、説明を簡便にするため一部図示を省略しているが、流量制御弁21~29および周辺の機器、配管、配線は全て同じ構成である。
図2Bに示すように、油圧駆動装置902は、第1ブーム用方向制御弁9、第2ブーム用方向制御弁10、および第3ブーム用方向制御弁15を切り換え操作可能な操作装置であるブーム用操作レバー95aと、第1アーム用方向制御弁11および第2アーム用方向制御弁8を切り換え操作可能な操作装置であるアーム用操作レバー95bとを備えている。なお、説明を簡略化するため、走行右用方向制御弁6を切り換え操作する走行右用操作レバー、バケット用方向制御弁7切り換え操作するバケット用操作レバー、第1アタッチメント用方向制御弁12を切り換え操作する第1アタッチメント用操作レバー、走行左用方向制御弁13を切り換え操作する走行左用操作レバー、旋回用方向制御弁14を切り換え操作する旋回用操作レバー、第2アタッチメント用方向制御弁16を切り換え操作する第2アタッチメント用操作レバーについては、図示を省略してある。
油圧駆動装置902は、演算機能を有するコントローラ94を備えている。コントローラ94は、操作レバー95a,95bおよび圧力センサ81~85から入力される信号に応じて、電磁比例減圧弁93a~93g(図示しない電磁比例減圧弁を含む)へ指令信号を出力する。
図3は、コントローラ94の機能ブロック図である。図3において、コントローラ94は、アクチュエータ目標流量演算部94aと、ポンプ目標流量演算部94bと、流量制御弁目標開口演算部94cと、流量制御弁補助目標開口演算部94dと、圧力状態判定部94eと、流量制御弁目標開口決定部94fと、第1方向制御弁目標メータアウト開口演算部94gと、方向制御弁目標メータアウト開口調整部94hと、推力演算部94iと、第2方向制御弁目標メータアウト開口演算部94jと、方向制御弁目標メータアウト開口決定部94kとを有する。
アクチュエータ目標流量演算部94aは、操作レバー入力値を基に、アクチュエータに供給する流量の目標値(アクチュエータ目標流量)を算出する。ポンプ目標流量演算部94bは、アクチュエータ目標流量演算部94aの演算結果(アクチュエータ目標流量)を基に油圧ポンプ1~3の吐出流量の目標値(ポンプ目標流量)を算出する。コントローラ94は、ポンプ目標流量に応じた指令信号(ポンプ流量制御指令信号)を電磁弁ユニット93へ出力する。
流量制御弁目標開口演算部94cは、アクチュエータ目標流量演算部94aの演算結果(アクチュエータ目標流量)と圧力センサ出力値とを基に、流量制御弁の開口量の目標値(流量制御弁目標開口量)を算出する。流量制御弁補助目標開口演算部94dは、予め設定された操作レバー入力値と流量制御弁の開口量との対応マップを参照し、操作レバー入力値を基に流量制御弁の開口量の補助目標値(流量制御弁補助目標開口量)を算出する。圧力状態判定部94eは、圧力センサ出力値を基に算出される流量制御弁21~29の前後差圧と予め設定された閾値との大小関係を判定する。
流量制御弁目標開口決定部94fは、圧力状態判定部94eの判定結果を基に、流量制御弁目標開口演算部94cの演算結果(目標開口量)および流量制御弁補助目標開口演算部94dの演算結果(補助目標開口量)のいずれか一方を最終目標開口量として採用する。コントローラ94は、最終目標開口量に応じた指令信号(流量制御弁制御指令信号)を電磁弁ユニット93へ出力する。
第1方向制御弁目標メータアウト開口演算部94gは、予め設定された操作レバー入力値と方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量との対応マップを参照し、操作レバー入力値を基に方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量の目標値(第1目標メータアウト開口量)を算出する。方向制御弁目標メータアウト開口調整部94hは、圧力状態判定部94eの判定結果と圧力センサ出力値とを基に、流量制御弁21~29の前後差圧が所定の範囲に収まるように第1目標メータアウト開口量を調整する。
図4は、流量制御弁21~29の前後差圧と流量制御精度との関係を示す図である。図4に示すように、流量制御弁21~29の流量制御精度はある前後差圧ΔP(例えば、ΔPlowとΔPhighとの間の中央値)において最大となり、そこから前後差圧ΔPが減少または増加すると流量制御精度が低下する。流量制御精度には、油圧アクチュエータに供給する流量の制御精度の許容値(許容精度)が設定される。ここで、前後差圧ΔPに対する流量制御精度の特性を示す曲線と許容精度との交点における前後差圧ΔPを低い方から下限閾値ΔPlowと上限閾値ΔPhighと定義する。前後差圧ΔPが下限閾値ΔPlowから上限閾値ΔPhighまでの範囲(所定の範囲)にあれば、流量制御弁21~29の流量制御精度が許容精度以上となる。
推力演算部94iは、圧力センサ出力値を基に油圧アクチュエータの推力を算出する。油圧アクチュエータを油圧シリンダとして、油圧シリンダを伸長方向に駆動する場合の推力の算出方法を説明する。油圧シリンダのロッド側受圧面積をAr、ボトム側受圧面積をAb、ロッド側圧力をPr、ボトム側圧力をPbとすると、推力Fは以下の式で表される。
ここで、油圧アクチュエータが作業装置203の自重や旋回体202の慣性力によって駆動方向と同じ方向に動かされてしまう場合は、推力Fは負の値となる。
第2方向制御弁目標メータアウト開口演算部94jは、推力演算部94iの演算結果(推力F)を基に方向制御弁目標メータアウト開口量(第2目標メータアウト開口量)を算出する。方向制御弁目標メータアウト開口決定部94kは、方向制御弁目標メータアウト開口調整部94hの演算結果(第1目標メータアウト開口量)および第2方向制御弁目標メータアウト開口演算部94jの演算結果(第2目標メータアウト開口量)の小さい方の値を最終目標メータアウト開口量として採用する。コントローラ94は、最終目標メータアウト開口量に応じた指令信号(方向制御弁制御指令信号)を電磁弁ユニット93へ出力する。
図5は、第2方向制御弁目標メータアウト開口演算部94jによって参照される油圧アクチュエータの推力Fと目標メータアウト開口量との対応マップである。図5に示すように、油圧アクチュエータの負の推力が大きくなるほど、目標メータアウト開口量が小さくなる。これにより、油圧アクチュエータの負の推力に応じて油圧アクチュエータの背圧が大きくなる。
図6は、操作レバー入力値と方向制御弁の目標メータイン開口量との対応マップを示す図である。図6に示すように、目標メータイン開口量は、操作レバー入力値に応じてゼロから最大開口量まで急峻に増加する。これにより、油圧アクチュエータを駆動する際はメータイン開口量が最大開口量となり、流量制御弁から方向制御弁に供給される流量がそのまま油圧アクチュエータに流入する。すなわち、油圧アクチュエータに供給される流量は、流量制御弁21~29のみによって制御される。
図7は、操作レバー入力値と方向制御弁の目標メータアウト開口量との対応マップを示す図である。図7に示すように、目標メータアウト開口量は、操作レバー入力値に応じてゼロから最大開口量まで徐々に増加していく。これにより、メータアウト開口量をレバー操作によりゼロから最大開口量の間で調整することが可能となる。
図8は、コントローラ94のポンプ流量制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2油圧ポンプ2の流量制御に関わる処理のみを説明するが、その他の油圧ポンプの流量制御に関わる処理もこれと同様である。
コントローラ94は、まず、操作レバー95a,95bの入力が無いか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101で操作レバー95a,95bの入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
ステップS101で操作レバー95a,95bの入力が有る(NO)と判定した場合は、アクチュエータ目標流量演算部94aは、操作レバー入力値を基にアクチュエータ目標流量QactA,QactB,…を算出する(ステップS102A,S102B,…)。ここで、アクチュエータ目標流量QactAは、油圧ポンプ2からアクチュエータA(例えばブームシリンダ204a)へ供給する流量の目標値であり、アクチュエータ目標流量QactBは、油圧ポンプ2からアクチュエータB(例えばアームシリンダ205a)へ供給する流量の目標値である。
ステップS102A,S102B,…に続き、ポンプ目標流量演算部94bは、アクチュエータ目標流量QactA,QactB,…の合計を目標ポンプ流量Qpmpとして算出する(ステップS103)。ここで、目標ポンプ流量Qpmpは、設計者によって適宜設定されるものであり、アクチュエータ目標流量QactA,QactB,…の合計と厳密に一致させる必要はなく、ブリードオフ流量やドレン流量などを加算しても良い。
ステップS103に続き、コントローラ94は、目標ポンプ流量Qpmpに応じた指令信号を油圧ポンプ2のポンプ流量制御用の電磁比例減圧弁93aへ出力し(S104)、電磁比例減圧弁93aに油圧ポンプ2のポンプ流量制御指令圧PiP2を生成させ(S105)、ポンプ流量制御指令圧PiP2に応じて第2油圧ポンプ2の傾転を変化させ(S106)、当該フローを終了する。
図9は、コントローラの流量制御弁開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2ブーム用流量制御弁24の流量制御に関わる処理のみを説明するが、その他の流量制御弁の流量制御に関わる処理もこれと同様である。
コントローラ94は、まず、ブーム用操作レバー95aの入力が無いか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201でブーム用操作レバー95aの入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
ステップS201でブーム用操作レバー95aの入力が有る(NO)と判定した場合は、アクチュエータ目標流量演算部94aは、操作レバー入力値を基にアクチュエータ目標流量Qactを算出する(ステップS202)。
ステップS202に続き、流量制御弁目標開口演算部94cは、アクチュエータ目標流量Qactと圧力センサ81,82で得られる第2ブーム用流量制御弁24の前後差圧ΔPとを基に第2ブーム用流量制御弁24の目標開口量Afcvを算出する(ステップS203)。流量制御弁21~29の絞り部をオリフィス絞りと定義すると、目標開口量Afcvは以下の式を用いて算出することができる。
ここで、Cdは流量係数、ρは作動油密度である。
ステップS202,S203と並行して、流量制御弁補助目標開口演算部94dは、予め設定された操作レバー入力値と流量制御弁開口量との対応マップを参照し、操作レバー入力値を基に第2ブーム用流量制御弁24の補助目標開口量Afcv_auxを算出する(ステップS204)。
ステップS203,S204に続き、圧力状態判定部94eは、第2ブーム用流量制御弁24の前後差圧ΔPが閾値ΔPlowよりも小さいか否かを判定する(ステップS205)。
ステップS205で前後差圧ΔPが閾値ΔPlow以上(NO)と判定した場合は、流量制御弁目標開口決定部94fは、流量制御弁目標開口演算部94cで算出された目標開口量Afcvを最終目標開口量Afcv_refとして採用する(ステップS206)。
ステップS205で前後差圧ΔPが閾値ΔPlowよりも小さい(YES)と判定した場合は、流量制御弁目標開口決定部94fは、流量制御弁補助目標開口演算部94dで算出された補助目標開口量Afcv_auxを最終目標開口量Afcv_refとして採用する(ステップS207)。その理由は、流量制御弁21~29の前後差圧ΔPが微小な場合は、前後差圧ΔPのわずかな変動に応じて目標開口量Afcvが大きく変化することとなり、前後差圧ΔPを基に目標開口量Afcvを算出すると却って流量制御精度が低下するためである。
ステップS206またはステップS207に続き、コントローラ94は、最終目標開口量Afcv_refに応じた指令信号を第2ブーム用流量制御弁24用の電磁比例減圧弁93fへ出力し(S208)、電磁比例減圧弁93fに第2ブーム用流量制御弁24の指令圧を生成させ(S209)、当該指令圧に応じて第2ブーム用流量制御弁24を開口させ(S210)、当該フローを終了する。
図10は、コントローラ94の方向制御弁開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2ブーム用方向制御弁10の開口制御に関わる処理のみを説明するが、その他の方向制御弁の開口制御に関わる処理もこれと同様である。
コントローラ94は、まず、ブーム用操作レバー95aの入力が無いか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301でブーム用操作レバー95aの入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
ステップS301でブーム用操作レバー95aの入力が有る(NO)と判定した場合は、第1方向制御弁目標メータアウト開口演算部94gは、予め設定された操作レバー入力値と方向制御弁の目標メータアウト開口量との対応マップ(図7に示す)を参照し、操作レバー入力値を基に第2ブーム用方向制御弁10の第1目標メータアウト開口量Amsを算出する(ステップS302)。
ステップS302に続き、圧力状態判定部94eは、圧力センサ出力値を基に第2ブーム用流量制御弁24の前後差圧ΔPが所定の範囲ΔPlow~ΔPhighにあるか否かを判定する(ステップS303)。
ステップS303で前後差圧ΔPが所定の範囲ΔPlow~ΔPhighにない(NO)と判定した場合は、方向制御弁目標メータアウト開口調整部94hは、前後差圧ΔPが所定の範囲ΔPlow~ΔPhighに収まる暫定目標メータアウト開口量Ams_adjを算出する(ステップS304)。
ステップS303で前後差圧ΔPが所定の範囲ΔPlow~ΔPhigh範囲にある(YES)と判定した場合は、方向制御弁目標メータアウト開口調整部94hは、第1方向制御弁目標メータアウト開口演算部94gが算出した第1目標メータアウト開口量Amsを暫定目標メータアウト開口量Ams_adjとして採用する(ステップS305)。
ステップS302~ステップS305と並行して、推力演算部94iは、圧力センサ出力値を基にブームシリンダ204aの推力Fを算出する(ステップS306)。
ステップS306に続き、第2方向制御弁目標メータアウト開口演算部94jは、予め設定された負の推力Fと流量制御弁の目標開口量との対応マップ(図5に示す)を参照し、ステップS306で算出された推力Fを基に第2ブーム用方向制御弁10の第2目標メータアウト開口量Ams_thrを算出する(ステップS307)。
ステップS304,S305,S307に続き、方向制御弁目標メータアウト開口決定部94kは、ステップS304またはステップS305で算出された暫定目標メータアウト開口量Ams_adjが、ステップS307で算出された第2目標メータアウト開口量Ams_thr以上であるか否かを判定する(ステップS308)。
ステップS308で暫定目標メータアウト開口量Ams_adjが第2目標メータアウト開口量Ams_thr未満である(NO)と判定された場合は、暫定目標メータアウト開口量Ams_adjを最終目標メータアウト開口量Ams_refとして採用する(ステップS309)。
ステップS308で暫定目標メータアウト開口量Ams_adjが第2目標メータアウト開口量Ams_thr以上である(YES)と判定された場合は、第2目標メータアウト開口量Ams_thrを最終目標メータアウト開口量Ams_refとして採用する(ステップS310)。
ステップS309またはステップS310に続き、コントローラ94は、最終目標メータアウト開口量Ams_refに応じた指令信号を第2ブーム用方向制御弁10用の電磁比例減圧弁93b,93cへ出力し(ステップS311)、電磁比例減圧弁93b,93cに第2ブーム用方向制御弁10の指令圧を生成させ(ステップS312)、当該指令圧に応じて第2ブーム用方向制御弁10を開口させ(ステップS313)、当該フローを終了する。
なお、コントローラ94が流量制御弁21~29のパイロット圧を生成するために電磁弁ユニット93へ出力する指令信号の更新周期Tfcvは、方向制御弁7~12,14,15のパイロット圧を生成するために電磁弁ユニット93へ出力する指令信号の更新周期Tmsよりも短いことが望ましい。これにより、流量制御弁21~29の制御精度を向上させることが可能となる。
(まとめ)
本実施例では、油圧ポンプ1~3と、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211と、油圧ポンプ1~3から油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211に供給される圧油の流れ方向を制御する方向制御弁7~12,14,15と、油圧ポンプ1~3から油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211に供給される圧油の流量を制御する流量制御弁21~29と、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の動作を指示するための操作装置95a,95bと、操作装置95a,95bの入力値に応じて方向制御弁7~12,14,15および流量制御弁21~29を制御するコントローラ94とを備えた作業機械901において、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の圧力を検出する第1圧力センサ84~91と、流量制御弁21~29の前後差圧ΔPを検出する第2圧力センサ81~83とを備え、コントローラ94は、第1圧力センサ84~91の出力値を基に油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の推力Fを算出し、第2圧力センサ81~83で検出した流量制御弁21~29の前後差圧ΔPと油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の推力Fと操作装置95a,95bの入力値とに基づき方向制御弁7~12,14,15を制御する。
また、本実施例におけるコントローラ94は、方向制御弁7~12,14,15の制御方法の一例として、操作装置95a,95bの入力値を基に、方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量の目標値である第1目標メータアウト開口量Amsを算出し、第2圧力センサ81~83で検出した流量制御弁21~29の前後差圧ΔPが、流量制御弁21~9の流量制御精度を基に設定された所定の範囲ΔPlow~ΔPhighに収まる場合は、第1目標メータアウト開口量Amsを暫定目標メータアウト開口量Ams_adjに設定し、第2圧力センサ81~83で検出した流量制御弁21~29の前後差圧Δが所定の範囲ΔPlow~ΔPhighを超える場合は、流量制御弁21~29の前後差圧ΔPを所定の範囲ΔPlow~ΔPhighに収める方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量を暫定目標メータアウト開口量Ams_adjに設定し、第2圧力センサ84~91の出力値を基に油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の推力Fを算出し、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の推力Fを基に、方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量の目標値である第2目標メータアウト開口量Ams_thrを算出し、方向制御弁7~12,14,15のメータアウト開口量が暫定目標メータアウト開口量Ams_adjおよび前記第2目標メータアウト開口量Ams_thrの小さい方の値と一致するように方向制御弁7~12,14,15を制御する。
以上のように構成した本実施例によれば、方向制御弁7~12,14,15制御で油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の背圧を調整することにより、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の逸走を防止して、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の駆動をスムーズに停止させることが可能となる。また、方向制御弁7~12,14,15の制御で流量制御弁21~29の前後差圧を調整することにより、流量制御弁21~29を流量制御精度が高い差圧条件で作動させることができる。これにより、油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211の制御精度が必要となる小流量高圧力差または大流量低圧力差条件においても、流量制御弁21~29の流量制御精度の低下を招くことなく正確に目標流を供給することで、より正確に油圧アクチュエータ204a,205a,206a,211を駆動させることが可能となる。