JP7663115B2 - 水性樹脂分散体、その製造方法及び前記分散体を含有するインク - Google Patents
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Description
本願は、2021年3月16日に、日本に出願された特願2021-042708号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
水性コーティング材向け水性樹脂分散体としては、例えば、特許文献1には、アクリルブロックを架橋するウレタンブロックの側鎖にペンダントのノニオン性親水基及びペンダントのアニオン性親水基を有するアクリル・ウレタンブロック共重合体水性エマルジョンを使用する方法が記載されている。また、特許文献2は、両末端メルカプト基含有ウレタンウレア樹脂に対して、エチレン性不飽和単量体を反応させるアクリル・ウレタン複合樹脂エマルジョンを使用する方法が記載されている。
[1]ウレタン重合体A及びアクリル重合体Bを同一粒子内に含み、前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を有し、前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-60℃以上5℃未満である、水性樹脂分散体。
[2]前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を、前記アクリル重合体Bを構成する構成単位の総質量に対し、5質量%以上有する、[1]記載の水性樹脂分散体。
[3]前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-40℃以上-2℃以下である、[1]又は[2]に記載の水性樹脂分散体。
[4]前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-40℃以上-6℃以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[5]前記水性樹脂分散体の動的光散乱法により計測される流体力学的平均粒子径が120nm以下である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[6]前記水性樹脂分散体の固形分が、前記水性樹脂分散体の総質量に対し、35質量%以上である[1]~[5]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[7]前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を、前記アクリル重合体Bを構成する構成単位の総質量に対し、5質量%以上95質量%以下有することが好ましく、10質量%以上90質量%以下有することがより好ましく、30質量%以上85質量%以下有することがさらに好ましい、[1]~[6]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[8]前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体が、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及び4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい、[1]~[7]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[9]前記アクリル重合体Bが、脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体と共重合可能な他のビニル系単量体d由来の構成単位を含み、前記他のビニル系単量体d由来の構成単位の含有量は、10質量%以上90質量%以下有することがより好ましく、25質量%以上70質量%以下有することがさらに好ましい、[1]~[8]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[10]前記他のビニル系単量体dが、アルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、酸基を有する単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい、[1]~[9]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[11]前記ウレタン重合体Aの光子相関分光法により計測される平均粒子径が30~100nmであることが好ましく、40~80nmであることがより好ましい、[1]~[10]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[12]前記ウレタン重合体AのDIN53019に準拠して測定した20℃における粘度が、10~50mPa・sが好ましく、20~40mPa・sがより好ましい、[1]~[11]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[13]前記ウレタン重合体Aと前記アクリル重合体Bの合計質量に対する前記アクリル重合体Bの含有量は、10~80質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい、[1]~[12]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[14]前記ウレタン重合体Aと前記アクリル重合体Bの合計質量に対する前記アクリル重合体Bの含有量は、20~90質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましい、[1]~[13]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[15]前記水性樹脂分散体の固形分が、水性樹脂分散体の総質量に対し、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、35質量%以上50質量%以下であることがより好ましい、[1]~[14]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[16]前記水性樹脂分散体の動的光散乱法により計測される流体力学的平均粒子径が30~150nmであることが好ましく、40~100nmであることがより好ましい、[1]~[15]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[17]前記水性樹脂分散体を含むインクを調製し、前記インクの粘度について23℃における粘度をザーンカップNо.3(テスター産業株式会社製)を用いて測定したときの、ザーンカップ通過時間が10秒未満であることが好ましく、10秒未満3秒以上がより好ましく、9.5秒以下5.0秒以上がさらに好ましい、[1]~[16]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[18]前記水性樹脂分散体を含むインクを調製し、前記インクを樹脂フィルムに印刷してインク塗膜を形成し、25℃、1日間の乾燥条件で乾燥し、乾燥後の厚さが1~2μmのインク塗膜としたときの光沢(60°)について、変角光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:GLOSS METER VG7000)を用いて測定したときの光沢値が、10.5以上20.0以下が好ましく、9.0以上18.0以下がより好ましい、[1]~[17]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[19]前記水性樹脂分散体を含むインクを調製し、前記インクを樹脂フィルムに印刷してインク塗膜を形成し、25℃、1日間の乾燥条件で乾燥し、乾燥後の厚さが1~2μmのインク塗膜とし、セロハンテープ(ニチバン社製、商品名:CT405AP-12)を貼り付け、垂直方向に剥離試験を行い基材密着性を測定した際の、インクの基材残存率が15面積%以上100面積%以下であることが好ましく、20面積%100面積%以下であることがより好ましく、30面積%99面積%以下であることがさらに好ましい、[1]~[18]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[20]前記アクリル重合体Bの原料単量体の仕込み比率からfedorsの推算式で計算されるSP値は9.5~11.0(cal/cm3)1/2が好ましく、9.7~10.1(cal/cm3)1/2がより好ましい、[1]~[19]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[21]前記アクリル重合体Bのガラス転移温度は-40℃以上-2℃以下が好ましく、-40℃以上-6℃未満がより好ましく、-40℃以上-10℃未満がさらに好ましい、[1]~[20]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[22]前記ウレタン重合体A:前記アクリル重合体Bで表される質量比は、20:80~90:10が好ましく、40:60~70:30がより好ましい、[1]~[21]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[23]前記粒子が、コア層とシェル層とを有するコアシェル粒子であって、前記コア層に前記ウレタン重合体Aを含み、前記シェル層に前記アクリル重合体を含む、[1]~[22]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
[24]前記アクリル重合体Bを構成するためのラジカル重合性単量体全量に対して0.35質量%以下のラジカル重合開始剤を用いて重合して前記アクリル重合体Bを製造する[1]~[23]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[25]前記ウレタン重合体Aをシードとして前記アクリル重合体Bを構成するためのラジカル重合性単量体をシード重合して前記粒子を製造する[1]~[23]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[26]前記重合の重合温度は10~90℃が好ましく、30~70℃がより好ましい、[24]又は[25]に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
[27]前記重合におけるラジカル重合開始剤の使用量は、前記アクリル重合体Bを構成するためのラジカル重合性単量体全量に対して0.01~5質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.10~1質量%がさらに好ましい、[24]~[26]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。[28][1]~[23]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体を含有するインク。
[29]さらに顔料ペーストを含む、[28]に記載のインク。
[30]インクを製造するための、[1]~[23]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の使用。
[31]前記インクが、[1]~[23]のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体を含む、[30]に記載の使用。
[32]前記インクが、顔料ペーストを含む、[30]又は[31]に記載の使用。
「単量体由来の構成単位」とは、重合体を構成する単量体由来の構成単位を意味する。
「固形分」とは、0.1MPa、105℃における不揮発成分を意味する。
ウレタン重合体Aは、ポリオールaとポリイソシアネートbとを反応させて得られるウレタン結合を有する重合体である。
前記ポリオールaの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量ポリオール;前記低分子量ポリオールの少なくとも一種と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等とを付加重合させて得られるポリエーテルジオール;前記低分子量ポリオールの少なくとも1種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とを重縮合して得られるポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリエーテルポリオール;その他、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアクリル酸エステルポリオール等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートbの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アクリル重合体Bは、(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を有する。前記重合体Bには(メタ)アクリル系単量体以外のラジカル重合性単量体由来の構成単位を含んでいてもよい。ラジカル重合性単量体とは、ラジカル性重合性基を有する単量体であり、ラジカル重合可能な炭素-炭素不飽和二重結合、ラジカル重合可能な炭素-炭素不飽和三重結合、ラジカル開環重合可能な環等を有する単量体等が挙げられる。
Wi:単量体iの質量分率
Tgi:単量体iの単独重合体のTg(℃)
なお、単独重合体のTgは、「ポリマーハンドブック第4版 John Wiley & Sons著」に記載の数値を用いることができる。なお、前記ポリマーハンドブックに記載のない単独重合体のTgは、示差走査熱量計でTgを実測した値を用いることができる。
前記アクリル重合体Bの原料単量体の仕込み比率からfedorsの推算式で計算されるSP値は9.5~11.0(cal/cm3)1/2が好ましく、9.7~10.1(cal/cm3)1/2がより好ましい。前記範囲内であれば、SP値が大きいほど塗膜の極性基材に対する密着性が向上する傾向がある。また、小さいほど低分子アルコールとの混和性に優れ、水性被覆用組成物が低粘度となって塗布性が良好となる傾向がある。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等の非反応性界面活性剤等が挙げられる。
ここで「流体力学的平均粒子径」とは、光子相関法による粒子径分布測定装置(例えば、大塚電子社製の濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000)を用いて室温下にて測定し、キュムラント解析によって算出した散乱光強度基準による調和平均粒子径の値を意味する。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水以外の溶剤の含有量は、全溶剤の合計質量に対して、3~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。前記範囲内であれば、水以外の溶剤の含有量は、高いほど水性被覆用組成物の成膜性が向上し、光沢が良好となる傾向がある。また、水以外の溶剤の含有量は、高いほど塗膜の乾燥性が向上する傾向がある。また、水以外の溶剤の含有量は、少ないほど水性被覆用組成物が低粘度化し塗布性が向上する傾向がある。
ワニス製造工程では、顔料分散樹脂とアルコールを含む水溶液とを混合する。前記混合の際には、加熱してもよいし、加熱しなくてもよい。
以下の顔料分散工程において顔料ペーストが取扱い易い粘度になる観点から、ワニスの濃度は、20~40質量%が好ましい。また、ワニスのpHは6~9が好ましい。
顔料分散工程では、まず、顔料とワニスを混合してプレミックスを製造し、次いで、得られたプレミックスを、分散機を用いて混練りする。混練りすることにより、凝集していた顔料を分散させ、顔料の表面に顔料分散樹脂が吸着した顔料ペーストを製造する。混練りの際に使用する分散機としては、例えば、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、アトライター、ロールミルが挙げられる。
製品仕上げ工程では、前記顔料ペーストと前記水性樹脂分散体とを混合してインク用組成物を製造する。製品仕上げ工程では、必要に応じて、水及び有機溶剤のうちの少なくとも一方を含む希釈剤を添加して、前記インクの固形分濃度を調整してもよい。
前記インクに前記補助剤を含有させる場合には、製品仕上げ工程において、補助剤も適宜配合することができる。また、前記補助剤は製品仕上げ工程より前の工程で配合することもできる。
前記インクの印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアーナイフコート法、流延法、刷毛塗り法、ディッピング法が挙げられる。
インク塗膜を形成した後の乾燥条件は、印刷方法等により適宜選択すればよい。例えば、樹脂フィルムにグラビア印刷する場合、20~60℃の温度範囲で10秒~10時間の乾燥条件で乾燥することが好ましい。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに、ウレタン重合体Aとしてアニオン系水系ウレタン樹脂 バイヒドロールUH2648/1(住化コベストロウレタン株式会社製、固形分35.0%)を固形分濃度35.0%の分散液として285.7部(固形分100.0部)と、脱イオン水247部と、シクロヘキシルアクリレート(以下、CHAと略す)79.0部、ブチルアクリレート(以下、BAと略す)21.0部からなる(メタ)アクリル系単量体を仕込み、フラスコを40℃に昇温した。その後、重合開始剤として、t-ブチルヒドロパーオキサイド水溶液(アルケマ吉富株式会社製、商品名:ルペロックスTBH68X、固形分68%)0.02部と、還元剤として硫酸第一鉄0.0002部と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.00027部と、イソアスコルビン酸ナトリウム一水和物0.082部と、脱イオン水4部とを添加した。引き続き、0.5℃の重合発熱を確認後、t-ブチルヒドロパーオキサイド水溶液0.03部と、脱イオン水20部を15分間滴下した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を60℃に昇温し、t-ブチルヒドロパーオキサイド水溶液0.05部、イソアスコルビン酸ナトリウム一水和物0.082部及び脱イオン水4部を2度に分けて添加した。その後、反応液を冷却し、ウレタン重合体A及びアクリル重合体Bを同一粒子内に含む固形分濃度30%の水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の合成結果と樹脂の形態を表1に記載した。
表1に記載した単量体組成比とした以外は合成例1と同様の操作を行うことによりウレタン重合体A及びアクリル重合体Bを同一粒子内に含む固形分濃度30%の水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の合成結果と樹脂の形態を表1に記載した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水180部とアデカリアソープSR-1025(株式会社ADEKA製、固形分25.0%)固形分濃度25.0%の分散液として3.8部(固形分0.95部)を仕込み、フラスコの内温を80℃に昇温した。温度が安定してから0.5時間後に、シクロヘキシルメタクリレート(以下、CHMAと略す)2.5部、BA2.5部、脱イオン水2.0部及びアデカリアソープSR-1025 0.19部を予め乳化分散させたプレエマルション液と脱イオン水1.0部を仕込み0.5時間攪拌した。その後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水3.0部に溶解した重合開始剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認し、内温が80℃に戻った後、CHMA47部、BA47部、脱イオン水38部及びアデカリアソープSR-1025 3.6部を予め乳化分散させたプレエマルション液を2時間30分かけ滴下した。滴下中は内温を80℃に維持した。内温を80℃に維持しながら滴下終了から1時間30分攪拌を続けた後、反応液を冷却し、固形分濃度30%のアクリル重合体B水性樹脂分散体を得た。ウレタン重合体A水性樹脂分散体としてバイヒドロールUH2648/1と、前記アクリル重合体B水性樹脂分散体を等量混合し、ウレタン重合体A及びアクリル重合体Bを同一粒子内に含まないウレタン重合体Aとアクリル重合体Bの水性樹脂分散体混合物を得た。得られた水性樹脂分散体混合物の合成結果と樹脂の形態を表1に記載した。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメチルメタクリレート(以下、MMAと略す)12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。次に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。前記滴下により添加したMMAの合計量は18部であった。滴下終了後、反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分濃度10%の分散剤を得た。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び前記分散剤(固形分濃度10%)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、MMA13部、スチレン(以下、Stと略す)10部、n-ブチルメタクリレート(以下、n-BMAと略す)67部、メタクリル酸(以下、MAAと略す)10部を加え再度攪拌を開始し、2,2-ジメチル-2,2-ジアゼンジイルジブタンニトリル(以下、AMBNと略す)0.5部及びn-ドデシルメルカプタン(以下、n-DMと略す)1.9部、1-オクタンチオール(以下、n-OMと略す)1.9部、チオグリコール酸2-エチルヘキシルエーテル(以下、OTGと略す)1.9部を加え80℃に昇温し、反応温度を80~85℃を維持するように2時間反応させ、その後95℃に昇温し1時間維持し反応を終了させた。得られた顔料分散樹脂は、分子量8,000、酸価61mgKOH/gであった。
攪拌機、温度計を備えた200mlフラスコ中に前記顔料分散樹脂を90g及びイソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)81.3g、脱イオン水120gを投入し攪拌を開始し、ジメチルアミノエタノール(以下、DMAEと略す)8.7gを徐々に添加した。その後、室温(25℃)に2時間温度を維持し溶解を完了し、顔料分散樹脂をジメチルアミノエタノールで中和することで顔料分散樹脂のワニスを得た。
前記顔料分散樹脂のワニスから45gをとり、顔料分散剤のTEGO740(エボニック製)を9.0g、顔料(石原産業株式会社製酸化チタン、商品名:CR-90)を157.5g、脱イオン水を36.0g、IPAを67.5g、ガラスビーズを60.0gの順で混合及び撹拌してプレミックスを得た。前記プレミックスを、ロッキングシェーカーを使用して3時間混練りして顔料ペーストを得た。前記顔料ペーストの分散度を粒ケージを用いて評価した。そして、顔料ペーストから20gをとり、合成例1で得られた水性樹脂分散体を8.6g添加し、よくかき混ぜてインクを作製した。前記インクをIPA10.3g、純水12.6gで希釈した。希釈した前記インクを用いて、グラビア印刷機(イギリスRK製、商品名:GP-100)で、二軸延伸ポリプロピレン(以下、OPPと略す)フィルム(東洋紡社製、商品名:P-2108)及びポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルム(フタムラ化学社製、商品名:FE2001)のコロナ処理面に印刷した。厚さが1~2μmとなる様に、インク塗膜を形成した。インク塗膜は、25℃、1日間の乾燥条件で乾燥した。乾燥後の前記インク塗膜の平滑性を評価した。インクの粘度並びに塗膜の平滑性、光沢、各種基材への密着性の評価結果を表2に記載した。なお、評価方法は次の通りである。
配合したインクの23℃における粘度をザーンカップNо.3(テスター産業株式会社製)を用いて測定することで、以下評価基準によりインクの粘度を評価した。
(評価基準)
○:ザーンカップ通過時間が10秒未満であり、粘度が低くて塗布性に優れる。
×:ザーンカップ通過時間が10.0秒以上で粘度が高くて塗布性が悪い。
乾燥後の厚さが1~2μmのインク塗膜の光沢(60°)を変角光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:GLOSS METER VG7000)を用いて測定することで、以下評価基準により光沢を評価した。
(評価基準)
◎:光沢値が11.5以上である。
〇:光沢値が11.0以上、11.5未満である。
△:光沢値が10.5より高く、11.0未満である。
×:光沢値が10.5以下である。
乾燥後の厚さが1~2μmのインク塗膜にセロハンテープ(ニチバン社製、商品名:CT405AP-12)を貼り付け、垂直方向に剥離試験をおこない、インクの剥がれた面積の割合から以下評価基準により基材密着性を評価した。
(評価基準)
◎:剥離試験後のインクの基材残存率が80%以上であり、密着性に優れていた。
○:剥離試験後のインクの基材残存率が25%以上、80%未満であり、密着性が良好であった。
△:剥離試験後のインクの基材残存率が15%以上、25%未満であり、実用可能レベルであった。
×:剥離試験後のインクの基材残存率が15%未満であり、実用可能レベルを満たさなかった。
合成例1の水性樹脂分散体の代わりに合成例2~10の水性樹脂分散体を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクを製造し、実施例1と同じ評価項目について評価した。評価結果を表2に記載した。
CHMA:シクロヘキシル(メタ)アクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
St:スチレン
ガラス転移温度が本願規定の範囲外であるアクリル重合体を使用した比較例1及び比較例4は、乾燥後のインク塗膜の光沢が悪かった。
一方、脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を有さないアクリル重合体を使用した比較例2及び比較例3は、乾燥後のインク塗膜の基材に対する密着性及び光沢のうちのいずれかが悪かった。
ウレタン重合体A及びアクリル重合体Bを同一粒子内に含まない水性樹脂分散体を使用した比較例5は、インクの粘度が高くて塗布性が悪かった。
Claims (8)
- ウレタン重合体Aと脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体をシード重合させてなるアクリル重合体Bを同一粒子内に含む水性樹脂分散体であって、前記ウレタン重合体Aと前記アクリル重合体Bの合計質量に対する前記アクリル重合体Bの含有量が10~80質量%であり、前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位とアルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とを有し、前記アクリル重合体Bが脂環式骨格を有するラジカル重合性単量体由来の構成単位を、前記アクリル重合体Bを構成する構成単位の総質量に対し、10質量%以上有し、前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-60℃以上5℃未満である、水性樹脂分散体。
- 前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-40℃以上-2℃以下である、請求項1又は請求項1に記載の水性樹脂分散体。
- 前記アクリル重合体Bのガラス転移温度が-40℃以上-6℃以下である、請求項1~2のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
- 前記水性樹脂分散体の動的光散乱法により計測される流体力学的平均粒子径が120nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
- 前記水性樹脂分散体の固形分が、前記水性樹脂分散体の総質量に対し、35質量%以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体。
- 前記アクリル重合体Bを構成するためのラジカル重合性単量体全量に対して0.35質量%以下のラジカル重合開始剤を用いて重合して前記アクリル重合体Bを製造する請求項1~5のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 前記ウレタン重合体Aをシードとして前記アクリル重合体Bを構成するためのラジカル重合性単量体をシード重合して前記粒子を製造する請求項1~5のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体の製造方法。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体を含有するインク。
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