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JP7528581B2 - スカンジウムの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スカンジウムの回収方法に関する。より詳しくは、不純物を含んだ硫酸酸性溶液からスカンジウムを選択的に回収するスカンジウムの回収方法に関する。
スカンジウムは、アルミニウム合金の添加元素としたり、燃料電池の電解質として極めて有用であることが知られている。しかしながら、従来から生産量が少なく、高価であるため、広く用いられるには至っていなかった。
スカンジウムは、希土類元素の中でも特にイオン半径が小さく、通常の希土類鉱物中には殆ど存在しない。その代わり、アルミニウム、スズ、タングステン、ジルコニウム、鉄、ニッケル等の酸化鉱中に広く、微量に存在していることが知られている。
近年、ニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器に装入し、高温に加熱してニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに固液分離するHPALプロセスが実用化されてきた。HPALプロセスで得られた浸出液に中和剤を添加して不純物を分離し、さらに硫化剤を添加してニッケルをニッケル硫化物として回収する。そして、回収したニッケル硫化物を既存のニッケル製錬工程で処理することで、電気ニッケルや硫酸ニッケル、塩化ニッケル等のニッケル塩化合物を得ることができる。
上記のようなHPALプロセスを用いる場合、ニッケル酸化鉱石に含まれるスカンジウムは、例えば特許文献1に示されるように、ニッケルと共に浸出されて浸出液に含まれる。そして、浸出液に中和剤を添加して不純物を分離し、次いで硫化剤を添加すると、ニッケルはニッケル硫化物として回収され、スカンジウムは硫化物を形成せずに硫化剤添加後の酸性溶液(硫酸酸性溶液)に含まれる。このように、HPALプロセスを使用することで、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離できることも知られている。
しかしながら、硫酸酸性溶液中のスカンジウム濃度は希薄(数十mg/L)であり、その他の、特に鉄やアルミニウム等の不純物の方がはるかに多く含まれる。
そこで、スカンジウムを濃縮し精製するために、イオン交換樹脂を用いた吸着法や溶媒抽出法によって選択的にスカンジウムを回収、濃縮する方法が用いられる。その後、さらにスカンジウム品位を向上させるために、濃縮されたスカンジウム溶液に対してアルカリを添加し晶析反応を生じさせることで水酸化物を形成させたり、シュウ酸を添加してシュウ酸化物を晶析させる等の処理を行うことで、回収している。
例えば、上述した方法の中で、スカンジウムを水酸化物として晶析させる方法については、始液中に様々な不純物金属が含まれているため、選択的にスカンジウムを分離することが難しいという問題がある。また、得られる水酸化物がゲル状であるため、濾過等の固液分離処理に時間が掛かる等、ハンドリング性が悪く生産性が劣る。
そこで、スカンジウムを選択的に回収する方法として、上述したように、シュウ酸((COOH))を用いた晶析反応(以下、「シュウ酸化」と称する)が多く用いられる。
シュウ酸化の方法としては、例えば特許文献2に示すような方法がある。すなわち、スカンジウム含有溶液から溶媒抽出によってスカンジウムを抽出し、逆抽出液からシュウ酸を用いてシュウ酸スカンジウムとして結晶化してスカンジウムを分離精製する。シュウ酸化の処理については、具体的には、スカンジウムや不純物としての鉄を含む酸性溶液に過酸化水素等の酸化剤を添加して酸性溶液の酸化還元電位(ORP)を一定範囲に制御し、シュウ酸化鉄(II)の沈澱生成を抑制しながら、シュウ酸溶液を添加してスカンジウムをシュウ酸化物の形態で回収する。
上述した処理において、スカンジウムや鉄を含む酸性溶液には、多くが2価イオンの形態の鉄が含まれており、そのままシュウ酸化を行った場合には、生成するシュウ酸化鉄(II)の溶解度が小さい(水への溶解度:0.022g/100g)ことにより、シュウ酸反応によってシュウ酸鉄(II)の沈澱が生じてしまう。
そこで、シュウ酸鉄(II)の沈澱を防止するために、酸化剤を添加して酸性溶液のORPを銀/塩化銀電極を参照電極とする値で700mV程度に酸化して維持し、2価の鉄イオンを3価の鉄イオンに酸化させる方法が用いられる。3価の鉄イオンがシュウ酸化されて生成するシュウ酸化鉄(III)は、溶解度が高いことから、シュウ酸鉄(II)の沈澱を防止しながら、スカンジウムのシュウ酸化物を生成させることができる。
また、シュウ酸化工程における更なる方法として、例えば特許文献3には、スカンジウムと鉄とを含んだ溶液から高純度の酸化スカンジウムの形態でスカンジウムを回収する方法である。特許文献3には、シュウ酸添加量の削減や工業設備スペースの節約のために、シュウ酸溶液中にスカンジウム硫酸酸性溶液を添加する手法(以下、「逆添加法」と称する)が開示されている。
この特許文献3では、シュウ酸化で逆添加法を行うとともに、スカンジウムと鉄とを含有する溶液のpHを-0.5以上1未満の範囲に調整し、次いで、pH調整後のスカンジウム含有溶液をシュウ酸溶液の中に添加してシュウ酸スカンジウムを得ることも開示されている。このようにすることで、過酸化水素等の酸化剤を添加しなくとも、シュウ酸鉄(II)の沈澱生成を防止でき、さらに、溶液中の不純物濃度が高い場合でも不純物の沈澱を防止できる。
しかしながら、逆添加法によるシュウ酸化を行った際の回収物においては、品位のばらつきが発生することがあり、不純物の品位上昇や最終品位のスペックアウトが生じるという問題がある。
特開2000-313928号公報 特開2014-12901号公報 特開2016-141839号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、不純物金属元素を含むスカンジウム含有溶液からシュウ酸化処理によってシュウ酸化スカンジウムを得る工程を含むスカンジウムの回収方法において、得られるシュウ酸化スカンジウムの不純物品位を効果的に低減し、またその不純物品位のばらつきを抑えて、高純度なスカンジウムを回収することを可能にする方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、シュウ酸化処理の工程において、シュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を添加する逆添加法によりシュウ酸化処理を行い、そのとき、シュウ酸化反応の反応温度を特定の範囲に調整し維持することで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、スカンジウムと、不純物金属元素とを含有する酸性溶液(スカンジウム含有溶液)からスカンジウムを回収する方法であって、容器に収容したシュウ酸溶液に前記スカンジウム含有溶液を添加する逆添加法によりシュウ酸化処理を行い、シュウ酸スカンジウムを得る工程を含み、前記工程では、前記シュウ酸化処理における反応温度を20℃以上35℃以下とする、スカンジウムの回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記スカンジウム含有溶液は、前記不純物金属元素として、少なくとも、鉄、ニッケル、及びマンガンからなる群から選ばれる1種以上を含有する、スカンジウムの回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明おいて、前記スカンジウム含有溶液は、ニッケル酸化鉱石を硫酸により浸出して得られた浸出液に硫化剤を添加して生成する硫化物を分離した後の溶液である、スカンジウムの回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記工程では、前記スカンジウム含有溶液のpHを-0.5以上1.0未満の範囲に調整して前記シュウ酸化処理を行う、スカンジウムの回収方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記シュウ酸化処理に供する前記スカンジウム含有溶液には、酸化剤を添加しない、スカンジウムの回収方法である。
本発明によれば、得られるシュウ酸化スカンジウムの不純物品位を有効に低減し、またその不純物品位のばらつきを抑えて、高純度なスカンジウムを回収することを可能にする方法を提供することができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れの一例を示すフロー図である。 キレート樹脂を使用したイオン交換反応により行うイオン交換処理の流れの一例を示すフロー図である。 シュウ酸化処理のフロー図を示す。 試験例1~試験例16において、シュウ酸化処理における反応温度とNi品位との関係を、2種類のシュウ酸当量で比較したときのグラフ図である。 試験例1~試験例16において、シュウ酸化処理における反応温度とMn品位との関係を、2種類のシュウ酸当量で比較したときのグラフ図である。 試験例1~試験例16において、シュウ酸化処理における反応温度とFe品位との関係を、2種類のシュウ酸当量で比較したときのグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意な数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.概要≫
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法は、スカンジウムと、不純物金属元素とを含有する酸性溶液(以下、「スカンジウム含有溶液」ともいう)からスカンジウムを回収する方法である。
具体的に、このスカンジウムの回収方法は、スカンジウムと不純物金属元素とを含むスカンジウム含有溶液に対し、シュウ酸を用いてスカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施す工程を含む。特に、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、シュウ酸化処理として、容器に収容したシュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を添加する、いわゆる「逆添加」法により処理を行ってシュウ酸スカンジウムを得る。
シュウ酸化処理に供する、不純物金属元素を含むスカンジウム含有溶液としては、ニッケル酸化鉱石に対する高圧酸浸出(HPAL)処理により得られた浸出液を硫化処理してニッケルを分離した後の溶液(硫化後液)を用いることができる。また、硫化後液に対してさらにイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施すことで不純物を分離してスカンジウムを濃縮させた溶液とし、その濃縮後の溶液を用いることもできる。なお、HPALプロセスでは、硫化処理によりニッケルを硫化物とする一方で、スカンジウムは溶液中に残留させることができ、ニッケルとスカンジウムを効果的に分離することができる。
そして、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、逆添加法によりシュウ酸化処理を行う工程において、反応温度を特定の範囲に調整してシュウ酸化反応を生じさせることを特徴としている。具体的には、シュウ酸化処理における反応温度を20℃以上35℃以下としてシュウ酸化反応を生じさせる。
このような方法によれば、スカンジウム含有溶液に含まれる不純物金属元素がシュウ酸塩として沈澱物化することを抑え、得られるシュウ酸スカンジウムの結晶に含まれる不純物品位を効果的に低減できる。加えて、シュウ酸スカンジウム中の不純物品位のばらつきを抑えることもでき、高純度なシュウ酸スカンジウムを安定的に得ることができる。
なお、例えば、このようなシュウ酸化処理を施して得られるシュウ酸スカンジウムの結晶を焙焼することによって、酸化スカンジウムの形態として回収することができる。
≪2.スカンジウムの回収方法≫
以下、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法についてより詳細に説明する。
<2-1.ニッケル酸化鉱の湿式製錬プロセス>
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、上述したように、スカンジウムと、不純物金属元素とを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)として、ニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出処理して得られた浸出液からニッケルを硫化物として分離した後の溶液(硫化後液)を用いることができる。また、硫化後液に対して、イオン交換処理や溶媒抽出処理を行うことによって不純物成分を除去した溶液を用いることもできる。
これらのスカンジウム含有溶液には、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)等の不純物金属元素が含まれる。また、硫化物として分離されなかったニッケル(Ni)も不純物として含まれることがある。
以下では先ず、出発原料とするスカンジウム含有溶液を得るための、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて説明する。
図1は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示すフロー図である。ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出スラリーを得る浸出工程S11と、浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S12と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S13と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S14と、を有する。
(1)浸出工程
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用い、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加するとともに高圧蒸気と高圧空気を供給して、240℃~260℃の温度下で攪拌処理を施し、ニッケルを含有する浸出液とヘマタイトを含む浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる工程である。なお、スカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれる。
ここで、ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8~2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱石には、スカンジウムが含まれている。
(2)固液分離工程
固液分離工程S12は、上述した浸出工程S11で生成した浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とを固液分離する工程である。
固液分離工程S12では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離装置を用いて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合に応じて減少させることができる。実操業では、このような機能を持つシックナーを多段に連結して用いる。
(3)中和工程
中和工程S13は、浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。中和工程S13における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
中和工程S13では、中和剤としては公知のもの使用することができ、例えば、石灰石、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、中和処理においては、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1~4の範囲に調整することが好ましく、pHを1.5~2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり、中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウムをはじめとした不純物のみならず、スカンジウムやニッケル等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
(4)硫化工程
硫化工程S14は、中和工程S13により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と、硫化後液とを得る工程である。硫化工程S14における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となって回収され、スカンジウム等は硫化後液に残留することになる。したがって、このような湿式製錬プロセスにおける硫化処理により、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
具体的に、硫化工程S14では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を供給して、不純物成分の少ないニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させスカンジウム等を含有させた硫化後液とを生成させる。
硫化工程S14における硫化処理では、ニッケル硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて分離処理し、ニッケル硫化物をシックナーの底部より分離回収する一方で、水溶液成分である硫化後液はオーバーフローさせて回収する。
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、例えば、上述したようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける各工程を経て得られる、硫酸酸性溶液である硫化後液を回収して出発原料として用いることができる。また、その硫化後液に対して後述するイオン交換処理及び溶媒抽出処理を施して得られた溶液を出発原料とすることができる。スカンジウムの回収方法では、このような溶液から酸化スカンジウムを生成させる。
<2-2.イオン交換処理、溶媒抽出処理>
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法においては、上述したように、スカンジウム含有溶液として、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの硫化工程を経て得られた硫化後液に対してイオン交換処理及び溶媒抽出処理を施して得られた溶液を用いることができる。このように、硫化後液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施すことで、溶液中の不純物を分離除去してスカンジウムを濃縮することができる。
以下では、イオン交換処理、溶媒抽出処理についてそれぞれ説明する。なお、溶媒抽出処理について、イオン交換処理を経て得られた溶離液に対して処理を施す態様を例にして説明しているが、イオン交換処理を行わず溶媒抽出処理のみを行うようにしてもよい。
(1)イオン交換処理
硫化後液には、不純物としてアルミニウムやクロム等が含まれている。このことから、溶液中のスカンジウムを酸化スカンジウムとして回収するにあたり、それら不純物を除去してスカンジウムを濃縮させることが好ましい。スカンジウムを濃縮させる方法としては、キレート樹脂を使用したイオン交換処理による方法が挙げられる。
図2は、キレート樹脂を使用したイオン交換反応により行うイオン交換処理の流れの一例を示すフロー図である。なお、図2では、イオン交換処理により得られたスカンジウム溶離液を溶媒抽出処理に付すまでの流れを併せて示す。イオン交換処理では、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程S14(図1)を経て得られた硫化後液を、キレート樹脂に接触させることによってその硫化後液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、スカンジウム(Sc)溶離液を得るというものである。
イオン交換処理の態様(各工程)は、特に限定されないが、例えば図2に示すように、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程S21と、キレート樹脂に硫酸を接触させてキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程S22と、アルミニウム除去工程S22を経たキレート樹脂に硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程S23と、スカンジウム溶離工程S23を経たキレート樹脂に硫酸を接触させて吸着工程S21にてキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程S24と、を有するものを例示できる。
[吸着工程]
吸着工程S21では、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる。キレート樹脂の種類は特に限定されず、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができる。
[アルミニウム除去工程]
アルミニウム除去工程S22では、吸着工程S21でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸を接触させ、キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する。なお、アルミニウムを除去する際、pHを1以上2.5以下の範囲に維持することが好ましく、1.5以上2.0以下の範囲に維持することがより好ましい。
[スカンジウム溶離工程]
スカンジウム溶離工程S23では、アルミニウム除去工程S22を経たキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸を接触させ、スカンジウム溶離液を得る。スカンジウム溶離液を得るに際して、溶離液に用いる硫酸の規定度を0.3N以上3N未満の範囲に維持することが好ましく、0.5N以上2N未満の範囲に維持することがより好ましい。
[クロム除去工程]
クロム除去工程S24では、スカンジウム溶離工程S23を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸を接触させ、キレート樹脂に吸着したクロムを除去する。クロムを除去する際に、溶離液に用いる硫酸の規定度が3Nを下回ると、クロムが適切にキレート樹脂から除去されないため、好ましくない。
このようなイオン交換処理により、アルミニウムやクロム等の不純物が除去されてスカンジウムが濃縮されたスカンジウム溶離液を得ることができる。なお、得られたスカンジウム溶離液に対して再び同様のイオン交換処理を繰り返すことで、スカンジウム溶離液の濃度を高めることができる。繰り返し回数としては、回数が多いほど回収されるスカンジウムの濃度が高まるが、多く繰り返し過ぎても回収されるスカンジウムの濃度上昇の程度は小さくなるため、工業的には8回以下程度であることが好ましい。
(2)溶媒抽出処理
溶媒抽出処理では、上述したイオン交換処理を経て得られたスカンジウム(Sc)溶離液を所定の抽出剤に接触させて、スカンジウムを抽出する。
溶媒抽出に使用する抽出剤としては、特に限定されず、アミン系抽出剤、リン酸系抽出剤等を使用することができる。また、抽出剤の種類に応じて、抽出剤を含む有機溶媒中に抽出対象のスカンジウムを抽出することができ、あるいは、抽出剤に不純物成分を選択的に抽出させ、抽残液中にスカンジウムを残存させるようにすることができる。例えば、アミン系抽出剤を用いた場合には、スカンジウムとの選択性が低い抽出剤であることから、有機溶媒中に不純物成分が選択的に抽出され、抽残液にスカンジウムが濃縮される。
溶媒抽出処理の態様(各工程)は、特に限定されないが、スカンジウム溶離液と抽出剤とを混合して不純物を抽出した抽出後有機溶媒とスカンジウムを含む抽残液とに分離する抽出工程S31と、抽出後有機溶媒に塩酸溶液又は硫酸溶液を混合して抽出後有機溶媒に微量含まれるスカンジウムを分離するスクラビング工程S32と、洗浄後有機溶媒に逆抽出始液を混合して洗浄後有機溶媒から不純物を逆抽出し、逆抽出液を得る逆抽出工程S33と、を有するものを例示できる。このように、溶媒抽出処理を行うことで、スカンジウム溶離液に含まれるスカンジウムの純度をより高めることができる。
[抽出工程]
抽出工程S31では、スカンジウム含有溶液と、抽出剤を含む有機溶媒とを混合して、有機溶媒中に不純物を選択的に抽出し、不純物を含有する有機溶媒と、スカンジウムを濃縮させた抽残液とを得る。
抽出剤としては、例えばアミン系抽出剤を用いる。アミン系抽出剤としては、1級アミンであるPrimeneJM-T、2級アミンであるLA-1、3級アミンであるTNOA(Tri-n-octylamine)、TIOA(Tri-i-octylamine)等の商品名で知られるアミン系抽出剤を用いることができる。
抽出時においては、アミン系抽出剤等の抽出剤を、例えば炭化水素系の有機溶媒等で希釈して使用することが好ましい。有機溶媒中の抽出剤濃度としては、特に限定されないが、抽出時、後述する逆抽出時における相分離性等を考慮すると、1体積%以上10体積%以下程度であることが好ましく、特に5体積%程度であることがより好ましい。また、抽出時における、有機溶媒とスカンジウム含有溶液との体積割合としては、特に限定されないが、スカンジウム含有溶液中のメタルモル量に対して有機溶媒モル量を0.01倍以上0.1倍以下程度にすることが好ましい。
[スクラビング(洗浄)工程]
抽出工程S31において、スカンジウム含有溶液から不純物を抽出させた有機溶媒中にスカンジウムが僅かに共存する場合には、得られた抽出液を逆抽出する前に、その有機溶媒(有機相)に対してスクラビング(洗浄)処理を施し、スカンジウムを水相に分離させて抽出剤から回収することが好ましい(スクラビング工程S32)。スクラビング工程S32を設けて有機溶媒を洗浄し、抽出剤により抽出された僅かなスカンジウムを分離させることで、洗浄液中にスカンジウムを分離させることができ、スカンジウムの回収率をより一層に高めることができる。
スクラビングに用いる溶液(洗浄溶液)としては、硫酸溶液や塩酸溶液等を使用することができる。また、水に可溶性の塩化物や硫酸塩を添加したものを使用することもできる。具体的に、洗浄溶液として硫酸溶液を用いる場合には、1.0mol/L以上3.0mol/L以下の濃度範囲のものを使用することが好ましい。
洗浄段数(回数)としては、不純物元素の種類、濃度にも依存することからそれぞれの抽出剤や抽出条件によって適宜変更することができる。例えば、有機相(O)と水相(A)の相比O/A=1とした場合、3~5段程度の段数とすることにより、有機溶媒中に抽出されたスカンジウムを分析装置の検出下限未満まで分離することができる。
[逆抽出工程]
逆抽出工程S33では、抽出工程S31にて不純物を抽出した有機溶媒から、不純物を逆抽出する。具体的に、逆抽出工程S33では、抽出剤を含む有機溶媒に逆抽出溶液(逆抽出始液)を添加して混合することで、抽出工程S31における抽出処理とは逆の反応を生じさせて不純物を逆抽出し、不純物を含む逆抽出後液を得る。
逆抽出溶液である炭酸塩を含有する溶液の濃度としては、過剰な使用を抑制する観点から、例えば0.5mol/L以上2mol/L以下程度とすることが好ましい。
なお、スクラビング工程S32にて抽出剤を含む有機溶媒に対してスクラビング処理を施した場合には、同様に、スクラビング後の抽出剤に対して逆抽出溶液を添加して混合することによって逆抽出処理を行うことができる。
このようにして抽出後の抽出剤又はスクラビング後の抽出剤に炭酸ナトリウム等の炭酸塩溶液を添加し、逆抽出処理を行って不純物を分離させた後の抽出剤は、再び、抽出工程S31における抽出処理に用いる抽出剤として繰り返して使用することができる。
<2-3.シュウ酸化処理>
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸化処理を施してスカンジウムをシュウ酸塩(シュウ酸スカンジウム)とする工程を有する。具体的には、上述した溶媒抽出処理を経て得られた逆抽出物であるスカンジウム含有溶液を用いて、シュウ酸スカンジウムの結晶を生成させるシュウ酸化処理を行う。このように、シュウ酸化処理によってスカンジウムをシュウ酸塩とすることで、濾過性等のハンドリング性を向上させることができ、スカンジウムを効率的に回収することができる。
なお、溶媒抽出処理を経て得られたスカンジウム含有溶液は、上述したイオン交換処理や溶媒抽出処理によって大部分の不純物金属元素が除去されてスカンジウムが濃縮された溶液ではある。ところが、これらの処理によって除去されなかった不純物金属元素が一定量含まれている(後述する実施例における表1に示すシュウ酸化始液の組成を参照)。具体的に、その不純物金属元素としては、少なくとも、鉄、ニッケル、マンガン、アルミニウム、クロム、マグネシウム等が挙げられる。
ここで、シュウ酸化処理の方法としては、いわゆる「逆添加」法により行う。具体的には、所定の容器に収容したシュウ酸溶液に、スカンジウム含有溶液を徐々に添加していくことによって、シュウ酸スカンジウムの固体結晶を析出生成させる方法により行う。このような逆添加法に基づくシュウ酸化処理によれば、過酸化水素等の酸化剤を添加して酸化還元電位(ORP)を調整する操作を行うことなく、不純物金属元素である鉄のシュウ酸化を抑制し、シュウ酸鉄(II)の沈澱生成を防ぐことができる。
そして、逆添加法によるシュウ酸化処理に際しては、反応温度を特定の範囲、具体的には20℃以上35℃以下とすることを特徴としている。また、好ましくは、20℃以上30℃以下とし、より好ましくは、23℃以上30℃以下とする。
従来のシュウ酸化処理においては、スカンジウム含有溶液にシュウ酸溶液を添加する、いわゆる「正添加」法(標準添加法)により行うことが一般的であり、また、その反応温度も成り行きとしていた。ところが、そのシュウ酸化処理では、スカンジウムのシュウ酸塩を優先的に生じさせて不純物金属元素の沈澱物化を抑制できるものの、処理条件に依存して、得られるシュウ酸スカンジウム中の不純物品位にばらつきが生じやすく、安定的に所定のスペックのシュウ酸スカンジウムを得ることができなかった。
シュウ酸化処理では、希土類元素であるスカンジウム以外の金属元素もシュウ酸と反応して錯体を形成するが、錯体の安定度が低い不純物金属元素は、シュウ酸スカンジウムの沈澱に吸着して共沈する。そして、このような錯体の安定度は、金属元素の種類のみならずシュウ酸化処理の条件にも依存し、これにより、得られるシュウ酸スカンジウム中の不純物品位にばらつきが生じることになると考えられる。
本実施の形態においては、上述したように、所定の容器に収容したシュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を添加してシュウ酸化反応を生じさせる「逆添加」法によるシュウ酸化処理を行い、かつ、そのときの反応温度を20℃以上35℃以下とするようにしている。このことにより、スカンジウム含有溶液に含まれる不純物金属元素のシュウ酸塩化を抑制してシュウ酸スカンジウムの結晶に含まれる不純物品位を有効に低減できる。またそれに加え、シュウ酸化処理の条件に依らず、結晶に含まれる不純物品位のばらつきを抑えることができる。特に、スカンジウム含有溶液に含まれる不純物金属元素のうち、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びマンガン(Mn)について品位のばらつきを効果的に抑えることができる。
反応温度を特定の範囲とすることでシュウ酸スカンジウム中の不純物品位のばらつきを抑えられるメカニズムは不明であるが、シュウ酸化反応において温度によって水和水の数が変化し、これが不純物の溶解度に影響を与えている可能性が考えられる。
このようなシュウ酸化処理の方法によれば、不純物含有スペックが安定した、スカンジウムを高純度に含有するシュウ酸スカンジウムを得ることができ、またそのシュウ酸スカンジウムを焙焼することで、高品質な酸化スカンジウムを得ることができる。
図3に、シュウ酸化処理のフロー図を示す。上述したように、本実施の形態においては、逆添加法によるシュウ酸化処理に際して反応温度を20℃以上35℃以下とすることを特徴としている。具体的に、シュウ酸化処理は、スカンジウム含有溶液の温度を調整する温度調整工程S41と、温度調整した溶液(シュウ酸化始液)を容器に収容したシュウ酸溶液に添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を析出させる晶析工程S42と、を有する。なお、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶は、濾過・洗浄処理を行う濾過・洗浄工程S43を経ることによって回収することができる。
また、晶析工程S42での処理に先立って、スカンジウム含有溶液のpHを-0.5以上1.0以下の範囲に調整することが好ましい。すなわち、図3には図示しないがpH調整工程を設けて、晶析工程S42での処理に供するスカンジウム含有溶液のpHを上記の範囲に予め調整する。これにより、シュウ酸鉄(II)等の溶解度を上昇させることができ、高価な酸化剤等を用いることなく、不純物の沈澱生成をより効果的に抑制して、より高純度のスカンジウムを回収することができる。なお、スカンジウム含有溶液のpH調整については、温度調整工程S41の前に行っても、あるいはその後に行ってもよく、もしくは温度調整と同じタイミングで行ってもよい。
(温度調整工程)
温度調整工程S41では、シュウ酸化処理に供するスカンジウム含有溶液の温度を、20℃以上35℃以下、好ましくは20℃以上30℃以下、より好ましくは23℃以上30℃以下に調整する。このように、スカンジウム含有溶液の温度を20℃以上35℃以下の範囲に調整し、その温度を維持して次の晶析工程S42で反応を生じさせることで、得られるシュウ酸スカンジウムの結晶に含まれる不純物品位を低減し、また、その不純物品位のばらつきを抑えることができる。
スカンジウム含有溶液の温度調整方法としては、特に限定されず、例えばヒーター等を用いて調整することができる。
また、上述のように、シュウ酸化処理においては、容器に収容したシュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を徐々に添加してシュウ酸化反応を生じさせることから、予め、シュウ酸化処理に用いるシュウ酸溶液の温度も20℃以上35℃以下の範囲に調整し、その温度を維持して反応させることが好ましい。これにより、反応温度を20℃以上35℃以下の範囲に適切に維持させることができ、得られるシュウ酸スカンジウムにおける不純物品位のばらつきをより効果的に抑えることができる。
(晶析工程)
晶析工程S42では、反応温度を20℃以上35℃以下として、シュウ酸溶液に対してスカンジウム含有溶液(シュウ酸化始液)を添加してスカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施し、スカンジウムのシュウ酸塩(シュウ酸スカンジウムの結晶)を得る。
シュウ酸化反応の反応温度に関して、反応温度が35℃よりも高いと、得られるシュウ酸スカンジウム中の不純物品位のばらつきが生じる。また、反応温度が20℃未満であると、反応速度が低下するとともに、シュウ酸塩の溶解度が減少して供給配管等の好ましくない場所で析出するといった問題が生じる可能性がある。
上述したように、反応容器にシュウ酸溶液を収容し、そのシュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を添加して反応を生じさせる「逆添加」法により行う。シュウ酸溶液の量としては、少なくとも、スカンジウム含有溶液中のスカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍以上とすることが好ましく、2.0倍以上とすることがより好ましい。使用量が必要な当量の1.05倍未満であると、スカンジウムを有効に全量回収できなくなる可能性がある。
また、シュウ酸溶液としては、そのpHを-0.5以上1.0以下の範囲に調整したものを用いることが好ましい。特に、スカンジウム含有溶液のpHを-0.5以上1.0以下の範囲に調整する場合には、シュウ酸溶液のpHも併せて調整することで、より不純物品位を低減させることができ、高純度のスカンジウムを回収することができる。
なお、上述した例では、スカンジウム含有溶液を予め20℃以上35℃以下の温度に調整し、その温度を維持しながら、当該晶析工程S42における反応温度を20℃以上35℃以下とする態様について説明したが、これに限られない。すなわち、シュウ酸溶液にスカンジウム含有溶液を添加して反応を生じさせるときの反応温度が20℃以上35℃以下の範囲に維持されていればよい。
<2-4.酸化スカンジウムの生成(焙焼)>
本実施の形態においては、上述のようにしてシュウ酸化処理を行って得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を焙焼することによって酸化スカンジウムとする。
焙焼処理は、シュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を水で洗浄し、また乾燥させた後に焙焼する処理である。この焙焼処理を経ることで、スカンジウムを酸化スカンジウムとして回収することができる。
特に、本実施の形態においては、上述したシュウ酸化処理における反応温度を特定の範囲として反応を生じさせているため、生成するシュウ酸スカンジウムの不純物品位が有効に低減されているとともに、その不純物品位のばらつきも抑えられている。したがって、そのようなシュウ酸スカンジウムを焙焼することで、不純物品位が低減され、かつ、不純物品位のばらつきが抑えられた、高純度なスカンジウムを含有する酸化スカンジウムを得ることができる。
焙焼処理の条件としては、特に限定されないが、例えば管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱すればよい。なお、工業的には、ロータリーキルン等の連続炉を用いることによって、乾燥と焙焼とを同じ装置で行うことができるため好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
(ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス)
オートクレーブを用いてニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出し、得られた浸出液に消石灰を添加して中和した。次いで、得られた中和後液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、ニッケルやコバルト等を硫化物として分離し、スカンジウムを含有する硫化後液を得た。
(イオン交換処理、中和処理)
次に、得られた硫化後液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換処理に付し、溶液中の不純物を分離するとともに、キレート樹脂から溶離したスカンジウムを含む溶離液(スカンジウム溶離液)を得た。その後、スカンジウム溶離液に対して中和剤を添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を生成させた。
(溶媒抽出処理)
次に、水酸化スカンジウムの沈殿物に硫酸を添加して再度溶解して溶解液(スカンジウム溶解液)とし、このスカンジウム溶解液に対してアミン系抽出剤を用いた溶媒抽出処理に付し、抽残液として、大部分の不純物を除去して精製し並びにスカンジウムを濃縮させたスカンジウム溶液(スカンジウム含有溶液)を得た。
(シュウ酸化処理)
次に、得られたスカンジウム含有溶液を用いて、溶液中のスカンジウムをシュウ酸塩とするシュウ酸化処理を行った。
具体的には、スカンジウム含有溶液に硫酸を添加してpHが0.28となるように調整し、さらに溶液中のスカンジウム濃度が4.5g/L程度になるまでに水を加えて希釈して、シュウ酸化始液を調製した。下記表1、2に示す条件下での試験1回につき500mlのシュウ酸化始液を準備した。なお、pH調整はそれぞれの試験の反応時の温度(反応温度)と同じ温度条件下で行った。当該スカンジウム含有溶液の酸化還元電位(ORP)は、銀/塩化銀電極を標準電極とする値で500mV~560mVであった。
また、シュウ酸化処理に用いるシュウ酸溶液として、液量1Lあたりシュウ酸100gを溶解した溶液を準備した。
シュウ酸化処理においては、各試験で用いるシュウ酸化始液に含まれるスカンジウムに対して2.7当量となる183ml、もしくは5.1当量となる344mlの量のシュウ酸溶液を容器に収容し、そのシュウ酸溶液の中に、シュウ酸化始液(スカンジウム含有溶液)を2.3ml/minの流量で添加して反応させた。また、その反応時における温度(反応温度)は、試験ごとに、室温(23℃)、30℃、35℃、42℃、及び50℃のいずれかで設定し、シュウ酸溶液に対するシュウ酸化始液の添加を開始してから1時間の撹拌終了まで、その温度を維持した。
下記表1に、各試験におけるシュウ酸溶液の当量及び反応温度の試験条件と、シュウ酸化処理に供したスカンジウム含有溶液(シュウ酸化始液)に含まれる金属成分の濃度の分析結果を示す。表1に示すように、スカンジウム含有溶液には、種々の不純物金属元素が含まれていることがわかる。
Figure 0007528581000001
撹拌終了後、静置して、晶析したシュウ酸スカンジウムを沈澱させた。次いで、容器内の液が残り150mlになるまで上澄みを取り、150mlの純水を投入して撹拌洗浄する洗浄操作を2回繰り返した。なお、洗浄操作はそれぞれ、シュウ酸添加時の温度(反応温度)と同じ温度条件下で行った。
次に、洗浄後、吸引濾過装置と孔径0.45μmのメンブレンフィルターを使用して全量濾過を行い、シュウ酸スカンジウムの結晶を分離した。さらに、分離した結晶を約50g/Lのスラリー濃度になるように140mlの純水中に投入してレパルプ洗浄することを2回繰り返した。
レパルプ洗浄後、同じ吸引濾過装置とメンブレンフィルターを用いて全量濾過を行い、シュウ酸スカンジウムの結晶を回収した。その後、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を温度105℃の大気乾燥機で一晩乾燥させ、乾燥した結晶をICP原子吸光光度法により分析し、不純物品位を確認した。
下記表2に、試験例1~試験例16において得られたシュウ酸スカンジウムの不純物品位の分析結果を示す。
Figure 0007528581000002
表2に示すように、シュウ酸化処理に際しての反応温度を20℃以上35℃以下の範囲とした試験例1~試験例10では、反応温度を35℃よりも高い条件とした試験例11~16と比べて、不純物品位を有効に低減できたとともに、同じ反応温度条件下においてシュウ酸当量等の他の条件で違いがあっても、不純物品位のばらつきを抑えることができた。試験例11~16では、不純物品位の低減効果が劣るものであっただけでなく、同じ反応温度条件下においてシュウ酸当量の条件の違いによって、不純物品位のばらつきが生じてしまった。
得られたシュウ酸スカンジウムに含まれる不純物品位のばらつきを確認するために、下記表3に、試験例1~試験例16の全16の例において、不純物金属元素として特に、Ni、Mn、Fe、及びAlの品位について着目したときの、反応温度を及びシュウ酸当量と不純物品位とを関係をまとめた。また、図4~図6は、下記表3に基づき、それぞれ、Ni品位(図4)、Mn品位(図5)、Fe品位(図6)と反応温度との関係を、2種類(2.7当量、5.1当量)のシュウ酸当量で比較したときのグラフ図である。
Figure 0007528581000003
図4~図6のグラフ図からもわかるように、反応温度が20℃以上35℃以下の範囲でシュウ酸化処理を行った場合には、シュウ酸当量がいずれの条件であっても不純物品にばらつきは生じず低品位であった。一方で、反応温度が35℃を超える条件では、シュウ酸当量の違いによって、不純物品位のばらつきが生じていることが明確にわかる。

Claims (4)

  1. スカンジウムと、不純物金属元素とを含有する酸性溶液(スカンジウム含有溶液)からスカンジウムを回収する方法であって、
    前記スカンジウム含有溶液は、前記不純物金属元素として、少なくとも、鉄、ニッケル、及びマンガンからなる群から選ばれる1種以上を含有し、
    容器に収容したシュウ酸溶液に前記スカンジウム含有溶液を添加する逆添加法によりシュウ酸化処理を行い、シュウ酸スカンジウムを得る工程を含み、
    前記工程では、前記シュウ酸化処理における反応温度を20℃以上35℃以下として生成する前記シュウ酸スカンジウムにおける鉄品位を8ppm以下、ニッケル品位を180ppm以下、マンガン品位を71ppm以下とする
    スカンジウムの回収方法。
  2. 前記スカンジウム含有溶液は、ニッケル酸化鉱石を硫酸により浸出して得られた浸出液に硫化剤を添加して生成する硫化物を分離した後の溶液である、
    請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記工程では、前記スカンジウム含有溶液のpHを-0.5以上1.0未満の範囲に調整して前記シュウ酸化処理を行う、
    請求項1又は2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 前記シュウ酸化処理に供する前記スカンジウム含有溶液には、酸化剤を添加しない、
    請求項1乃至のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
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