JP7523261B2 - 希土類元素含有物から希土類酸化物を回収する方法 - Google Patents
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Description
前記ホウ酸塩の添加量が、前記ホウ酸塩と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量である、希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法;
ここで希土類磁石の主材料とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際に最も質量の大きい希土類酸化物であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。
前記ホウ酸塩の添加量が、前記ホウ酸塩と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量である、希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法である。ここで希土類磁石の主材料とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際に最も質量の大きい希土類酸化物であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を奏することができる。以下、本形態の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法につき、構成要件ごとに詳しく説明する。
本明細書における、「希土類元素含有物」は、希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物が含まれる。なかでも、希土類磁石と鋼材を含む製品または半製品の廃棄物が好ましい。希土類磁石は、希土類元素、すなわちスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの17元素のいずれか1種以上を含有する合金を用いた磁石であれば特に限定されない。本発明の実施形態においては、希土類磁石にはネオジム、プラセオジム及びジスプロシウムから選択される少なくとも一種が含まれる。
本発明の希土類酸化物の回収方法では、希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物に、炭素(融点降下剤)、酸化鉄(酸化剤)およびアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩(フラックス)を添加して加熱溶融し、前記廃棄物中の希土類元素が前記ホウ酸塩中に濃縮された希土類富化相と、ホウ素の含有量が例えば0.5質量%以下のFe-C相との二相に分離して、回収することができる。
アルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩の添加量は、前記ホウ酸塩と希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量であればよい。当該添加量とすることで、60mass%より少ない固相・液相混合領域の中のごく一部のみに生成可能な均一融体(液相領域)を形成させることができる。ここで希土類磁石の主材料とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際に最も質量の大きい希土類酸化物であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する(希土類磁石の主材料の定義に関しては、以下、同様である)。これにより前記ホウ酸塩の添加量を、従来のホウ酸塩の添加量(60mass%以上)に対して低減することができる。その結果、磁石リサイクルに関するコスト(原材料費、廃棄物処理費用)を低減することができる。また、前記ホウ酸塩の使用量を低減することで、環境規制物質であるホウ素の使用量を低減することができる。
図1は、前記ホウ酸塩の1種であるテトラホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図である。図1の状態図は、今まで未報告領域であった60mass%Na2B4O7以下の溶融状態についても測定して得られた、Nd2O3-Na2B4O7擬二元系型状態図である。図1に示すように、本実施形態では、前記ホウ酸塩の1種であるテトラホウ酸ナトリウムの添加量についても、上記したように、前記テトラホウ酸ナトリウムと前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量であればよい。これにより前記テトラホウ酸ナトリウムの添加量(図1の20mass%Na2B4O7近傍の液相領域;均一融体生成域)を、従来のホウ酸塩の添加量(60mass%以上)に対して、1/2~1/3に低減することができる。その結果、磁石リサイクルに関するコスト(原材料費、廃棄物処理費用)を低減することができる。また、前記テトラホウ酸ナトリウムの使用量を低減することで、環境規制物質であるホウ素の使用量を低減することができる。
図6は、前記ホウ酸塩の1種であるテトラホウ酸バリウム(BaB4O7)と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図である。図6の状態図は、60mass%BaB4O7以下の溶融状態について測定して得られた、Nd2O3-BaB4O7擬二元系型状態図である。図6に示すように、本実施形態では、前記ホウ酸塩の1種であるテトラホウ酸バリウムの添加量についても、上記したように、前記テトラホウ酸バリウムと前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量であればよい。これにより前記テトラホウ酸バリウムの添加量(図6の27mass%BaB4O7近傍の液相領域;均一融体生成域)を、従来のホウ酸塩の添加量(60mass%以上)に対して、1/2~1/3に低減することができる。その結果、磁石リサイクルに関するコスト(原材料費、廃棄物処理費用)を低減することができる。また、テトラホウ酸バリウムの使用量を低減することで、環境規制物質であるホウ素の使用量を低減することができる。
図7は、前記ホウ酸塩の1種であるホウ酸カルシウム(CaB2O4)と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図である。図7の状態図は、60mass%CaB2O4以下の溶融状態について測定して得られた、Nd2O3-CaB2O4擬二元系型状態図である。図7に示すように、本実施形態では、前記ホウ酸塩の1種であるホウ酸カルシウムの添加量についても、上記したように、前記ホウ酸カルシウムと前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量であればよい。これにより前記ホウ酸カルシウムの添加量(図7の47mass%CaB2O4近傍の液相領域;均一融体生成域)を、従来のホウ酸塩の添加量(60mass%以上)に対して、概ね15%~30%低減することができる。その結果、磁石リサイクルに関するコスト(原材料費、廃棄物処理費用)を低減することができる。また、ホウ酸カルシウムの使用量を低減することで、環境規制物質であるホウ素の使用量を低減することができる。
図3は、本発明の一実施形態のアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩をフラックスとして使用する希土類磁石から最終的な回収物である希土類元素までのリサイクルプロセスを表す図面である。図4は、本発明の一実施形態の溶融処理の概略を表す図面である。図3、4に示すように、本実施形態においては、希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物に、のアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩をフラックスとして添加して加熱溶融すると、希土類元素およびフラックスを主体とした融体と鉄を主体とした融体の二元系融体が出現する。加熱溶融温度を適正化することにより、これらの融体は、密度差によって鉛直方向上部の希土類富化相と、鉛直方向下部のFe-C相とに二相分離する。上記希土類富化相中の希土類元素は、アルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩と希土類酸化物RE2O3の液体が均一に溶け合った形態で存在していると考えられる。
希土類元素含有物として前記製品に使用されていた廃棄モータを用いる場合、廃棄モータには、希土類磁石単体と比較して、モータの電磁鋼板部分に由来する鉄元素が非常に多く含まれている。鉄の融点は1538℃と高いことから、二相分離の効率と溶解時のエネルギー低減を考慮すると、融点降下剤の共存下で希土類元素含有物を溶融することが好ましい。本発明の実施形態においては、融点降下剤として炭素を用いることが好ましい。炭素は、鉄の酸化を防ぎ、鉄が希土類富化相へ移動するのを防止する効果があり、分離性が向上するので好ましい。炭素の供給源としては、例えば、加熱炉(溶融炉)に炭素るつぼを使用すること、炉壁を炭素コーティングすること、銑鉄等のFe-C合金、コークス、グラファイト、市販の加炭材、プラスチック、有機物等を添加剤として反応系に添加することなどが例示される。また、例えば、二酸化炭素、炭化水素系ガスなどのガス状の炭素源を吹き込むこと等が例示される。さらに、後述するように、融点降下剤として炭素を用いる場合において、Fe-C合金を生成する目的で添加する電解鉄などの高純度鉄も融点降下剤に含まれるものとする。また、上記したように加熱炉やその炉壁を炭素供給源(融点降下剤)とする場合、炉壁の表面の炭素材が、廃棄物等が溶融した溶体中に溶け出すことで、融点降下剤として添加される形態となる。
本実施形態の希土類酸化物の回収方法においては、希土類元素含有物の溶融時に酸化剤を添加する(図3、4参照)。酸化剤は、加熱溶融した希土類元素含有物に添加することにより、希土類元素の酸化に必要十分な酸素を供給することができる。希土類元素の酸化を促進することは、相分離性と希土類酸化物の回収率を良くする観点で好ましい。
本実施形態の希土類酸化物の回収方法の別の態様としては、少なくとも次の順次の工程;
(1)希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物に、融点降下剤を添加して、加熱溶融する工程;
(2)加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
(3)溶体にアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加する工程;
(4)溶体を冷却することなくまたは冷却して希土類富化相と、Fe-C相との二相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
を含むことが好ましい。
図5は、本実施形態のシュウ酸塩沈殿による希土類酸化物の回収フローを表す図面である。本実施形態の希土類酸化物の回収方法の別の態様としては、図3、5に示すように、希土類磁石(好ましくは希土類磁石と鋼材)を含む製品または半製品の廃棄物に融点降下剤、酸化剤およびアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加して加熱溶融し、前記廃棄物中の希土類元素が前記アルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩中に濃縮された希土類富化相と、ホウ素の含有量が0.5質量%以下のFe-C相との二相に分離して、前記希土類富化相を酸で浸出処理し、得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させ、沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収することができる。
(1)希土類磁石と鋼材を含む製品または半製品の廃棄物に、融点降下剤を添加して、加熱溶融する工程;
(2)加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
(3)溶体にアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加する工程;
(4)溶体を冷却することなくまたは冷却して希土類富化相と、Fe-C相との二相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
(5)希土類富化相を酸で浸出処理する工程;
(6)得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させる工程;
(7)沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収する工程;
を含むことが好ましい。
<実施例1>
純度99.9mass%のNd2O3 0.81gと試薬のNa2B4O7 0.19gを秤量、混合した。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1350℃、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察とX線回折装置(XRD)による相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するNa2B4O7フラックスの溶解能を調べた。その結果、急冷した試料は、均一融体が冷却されガラス化した組織が観察され、高温で均一融体が生成していることを確認した。
純度99.9mass%のNd2O3と試薬のNa2B4O7を目的組成になるように、秤量、混合した(表1参照)。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1300~1500℃(表1参照)、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡とSEMによる組織観察とXRDによる相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するNa2B4O7フラックスの溶解能を調べた。急冷試料の組織は、均一融体が生成していればL、固相と液相が混合した状態であればL+Sと示した(表1参照)。得られた結果に基づき作成したNd2O3-Na2B4O7擬二元系状態図を図1に示す。図中の○印は、測定により液相領域であることが確認された箇所であり、×印は、測定により固相・液相混合領域であることが確認された箇所である。
<実施例9>
日本ルツボ株式会社製クレーボンド坩堝(番型:8)内に、希土類磁石の廃棄物(希土類元素含有物)としてネオジム磁石(磁石1)1,520g、融点降下剤として電解鉄150gおよび加炭材89gを入れ、高周波誘導炉を用いて加熱した。1500℃に昇温して溶融した後、酸化剤として酸化鉄(Fe2O3)215gを添加し、希土類成分を酸化させた。その後、フラックスの1種であるアルカリ金属元素のホウ酸塩としてテトラホウ酸ナトリウム(Na2B4O7) 110gを投入し、炭素棒で溶湯を撹拌した。30分保持後、傾注により坩堝内から希土類富化相であるRExOy-Na2B4O7系スラグ(RE:Nd、Pr、DyおよびTb)と溶融Fe-C相をそれぞれ取り出し、空冷した。なお、試験に用いたネオジム磁石(磁石1)の組成を下記表5に示す。ネオジム磁石(磁石1)の組成は、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)法により決定した。
日本ルツボ株式会社製フェニックス坩堝(型番:CD 100HP)内に、希土類磁石の廃棄物(希土類元素含有物)としてネオジム磁石(磁石1)10,090g、融点降下剤として銑鉄2,375gを入れ、高周波誘導炉を用いて加熱した。1500℃に昇温して溶融した後、酸化剤として酸化鉄2,554gを添加し、希土類成分を酸化させた。その後、フラックスの1種であるアルカリ金属元素のホウ酸塩としてテトラホウ酸ナトリウム(Na2B4O7) 887gを投入し、炭素棒で溶湯を撹拌した。30分保持後、傾注により坩堝内から希土類富化相であるRExOy-Na2B4O7系スラグ(RE:Nd、Pr、DyおよびTb)と溶融Fe-C相をそれぞれ取り出し、空冷した。なお、試験に用いたネオジム磁石(磁石1)の組成を下記表5に示す。
日本ルツボ株式会社製フェニックス坩堝(型番:CD 100HP)内に、希土類磁石と鋼材を含む廃棄物(希土類元素含有物)として磁石含有ロータ15.533kg、融点降下剤として銑鉄6,993gおよび加炭材981gを入れ、高周波誘導炉を用いて加熱した。なお、磁石含有ロータにはネオジム磁石(磁石2)1,761gが挿入されており、その組成は下記表6に示す通りである。1500℃に昇温して溶融した後、酸化剤として酸化鉄405gを添加し、希土類成分を酸化させた。その後、フラックスの1種であるアルカリ金属元素のホウ酸塩としてテトラホウ酸ナトリウム(Na2B4O7) 130gを投入し、炭素棒で溶湯を撹拌した。30分保持後、傾注により坩堝内から希土類富化相であるRExOy-Na2B4O7系スラグ(RE:Nd、Pr、DyおよびTb)と溶融Fe-C相をそれぞれ取り出し、空冷した。ネオジム磁石(磁石2)の組成は、ICP-AES法により決定した。
<実施例12>
純度99.9mass%のNd2O3 0.75gと試薬のBaB4O7 0.25gを秤量、混合した。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1350℃、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察とX線回折装置(XRD)による相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するBaB4O7フラックスの溶解能を調べた。その結果、急冷した試料は、均一融体が冷却されガラス化した組織が観察され、高温で均一融体が出来ていることを確認した。
純度99.9mass%のNd2O3と試薬のBaB4O7を目的組成になるように、秤量、混合した(表7参照)。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1350~1500℃(表7参照)、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡とSEMによる組織観察とXRDによる相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するBaB4O7フラックスの溶解能を調べた。急冷試料の組織は、均一融体が生成していればL、固相と液相が混合した状態であればL+Sと示した(表7参照)。得られた結果に基づき作成したNd2O3-BaB4O7擬二元系状態図を図6に示す。図中の○印は、測定により液相領域であることが確認された箇所であり、×印は、測定により固相・液相混合領域であることが確認された箇所である。
<実施例18>
日本ルツボ株式会社製クレーボンド坩堝(番型:8)内に、希土類磁石の廃棄物(希土類元素含有物)としてネオジム磁石(磁石1)1,534g、融点降下剤として銑鉄1,168gおよび加炭材82gを入れ、高周波誘導炉を用いて加熱した。1500℃に昇温して溶融した後、酸化剤として酸化鉄(Fe2O3)370gを添加し、希土類成分を酸化させた。その後、フラックスの1種であるアルカリ土類金属元素のホウ酸塩としてテトラホウ酸バリウム(BaB4O7) 247gを投入し、炭素棒で溶湯を撹拌した。30分保持後、傾注により坩堝内から希土類富化相であるRExOy-BaB4O7系スラグ(RE:Nd、Pr、DyおよびTb)と溶融Fe-C相をそれぞれ取り出し、空冷した。なお、試験に用いたネオジム磁石(磁石1)の組成を下記表11に示す。ネオジム磁石(磁石1)の組成は、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)法により決定した。
日本ルツボ株式会社製フェニックス坩堝(型番:CD 100HP)内に、希土類磁石と鋼材を含む廃棄物(希土類元素含有物)として磁石含有ロータ15.880kg、融点降下剤として銑鉄7,111gおよび加炭材981gを入れ、高周波誘導炉を用いて加熱した。なお、磁石含有ロータにはネオジム磁石(磁石2)1,761gが挿入されており、その組成は下記表12に示す通りである。1500℃に昇温して溶融した後、酸化剤として酸化鉄403gを添加し、希土類成分を酸化させた。その後、フラックスの1種であるアルカリ土類金属元素のホウ酸塩としてテトラホウ酸バリウム(BaB4O7) 198gを投入し、炭素棒で溶湯を撹拌した。30分保持後、傾注により坩堝内から希土類富化相であるRExOy-BaB4O7系スラグ(RE:Nd、Pr、DyおよびTb)と溶融Fe-C相をそれぞれ取り出し、空冷した。ネオジム磁石(磁石2)の組成は、ICP-AES法により決定した。
<実施例20>
純度99.9mass%のNd2O3 0.53gと試薬のCaB2O4 0.47gを秤量、混合した。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1300℃、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察とX線回折装置(XRD)による相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するCaB2O4フラックスの溶解能を調べた。その結果、急冷した試料は、均一融体が冷却されガラス化した組織が観察され、高温で均一融体が出来ていることを確認した。
純度99.9mass%のNd2O3と試薬のCaB2O4を目的組成になるように、秤量、混合した(表13参照)。その試料を、内径7mm、厚さ0.2mm、高さ25mmのPt坩堝に挿入し、カンタル炉にて1300~1500℃(表13参照)、空気雰囲気で2時間加熱保持した。所定の時間保持した試料は、水冷により急冷した。急冷した試料について、光学顕微鏡とSEMによる組織観察とXRDによる相の同定を行った。これらの結果に基づき、Nd2O3に対するCaB2O4フラックスの溶解能を調べた。急冷試料の組織は、均一融体が生成していればL、固相と液相が混合した状態であればL+Sと示した(表13参照)。得られた結果に基づき作成したNd2O3-CaB2O4擬二元系状態図を図7に示す。図中の○印は、測定により液相領域であることが確認された箇所であり、×印は、測定により固相・液相混合領域であることが確認された箇所である。
Claims (8)
- 希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物に、融点降下剤、酸化剤およびアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加して加熱溶融し、前記廃棄物中の希土類元素が前記ホウ酸塩中に濃縮された希土類富化相と、Fe-C相との二相に分離することを含む、希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法であって、
前記希土類磁石は、ネオジム、鉄およびホウ素を含有するネオジム磁石を含み、
前記ホウ酸塩は、テトラホウ酸ナトリウム(Na 2 B 4 O 7 )、テトラホウ酸バリウム(BaB 4 O 7 )またはホウ酸カルシウム(CaB 2 O 4 )を含み、
前記融点降下剤は、鉄の融点を降下させるものであり、炭素を含み、
前記酸化剤は、希土類元素を酸化するものであり、
前記ホウ酸塩の添加量が、前記ホウ酸塩と前記希土類磁石の主材料との擬二元系型状態図における固相・液相混合領域に挟まれた液相領域に対応する量である、希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法;
ここで希土類磁石の主材料とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際に最も質量の大きい希土類酸化物であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。 - 前記酸化剤は、空気、酸素、二酸化炭素、Al 2 O 3 、SiO 2 、PbO、CuO、酸化鉄および酸化鉄を含む複合酸化物から選択される少なくとも1種を含み、請求項1に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法。
- 前記ホウ酸塩が、テトラホウ酸ナトリウム(Na 2 B 4 O 7 )を含み、
前記テトラホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)の添加量は、前記添加量と前記希土類磁石の希土類質量との総和に対して、15~23mass%である、請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法;
ここで希土類質量とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際の質量であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。 - 前記ホウ酸塩が、テトラホウ酸バリウム(BaB 4 O 7 )を含み、
前記テトラホウ酸バリウム(BaB4O7)の添加量は、前記添加量と前記希土類磁石の希土類質量との総和に対して、22~33mass%である、請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法;
ここで希土類質量とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際の質量であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。 - 前記ホウ酸塩が、ホウ酸カルシウム(CaB 2 O 4 )を含み、
前記ホウ酸カルシウム(CaB2O4)の添加量は、前記添加量と前記希土類磁石の希土類質量との総和に対して、42~52mass%である、請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法;
ここで希土類質量とは、希土類磁石中の希土類成分が全てRE2O3形式の酸化物に酸化した、とみなした際の質量であり、REとは、Nd、Ce、La、Pr、Dy、Tbのうちいずれか1つ以上の希土類元素を意味する。 - 少なくとも次の(1)~(4)の順次の工程;
(1)希土類磁石を含む製品または半製品の廃棄物に、融点降下剤を添加して、加熱溶融する工程;
(2)加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
(3)溶体にアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加する工程;
(4)溶体を冷却することなくまたは冷却して希土類富化相と、Fe-C相との二相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法。 - 前記希土類富化相を酸で浸出処理し、得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させ、沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法。
- 少なくとも次の(1)~(7)の順次の工程;
(1)希土類磁石と鋼材を含む製品または半製品の廃棄物に、融点降下剤を添加して、加熱溶融する工程;
(2)加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
(3)溶体にアルカリ金属元素のホウ酸塩又はアルカリ土類金属元素のホウ酸塩を添加する工程;
(4)溶体を冷却することなくまたは冷却して希土類富化相と、Fe-C相との二相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
(5)希土類富化相を酸で浸出処理する工程;
(6)得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させる工程;
(7)沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収する工程;
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の希土類元素含有物からの希土類酸化物の回収方法。
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