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JP7582361B2 - 製鋼スラグの処理方法および製鋼スラグの水浸膨張比の予測方法 - Google Patents

製鋼スラグの処理方法および製鋼スラグの水浸膨張比の予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、製鋼スラグの処理方法および製鋼スラグの水浸膨張比の予測方法に関する。
転炉、電気炉、混銑車などで発生するスラグ(製鋼工程で発生するスラグ)を、製鋼スラグと呼ぶ。
製鋼工程では、溶銑中に含まれるリンやケイ素などを除去する目的で、多量の石灰を投入することから、製鋼スラグ中には、未溶解の石灰や冷却時に晶出する石灰が、遊離CaO(フリーライム、以下、「f-CaO」とも表記する)として残留する。
f-CaOは、水和反応によってCa(OH)となり、約2倍に体積膨張し、それに伴い粉化する。このため、製鋼スラグは、粉化の影響によって規定の粒度を外れたり、出荷後に膨張したりする懸念がある。
製鋼スラグの用途としては、路盤材やコンクリート用細骨材などがある。これらに用いられた製鋼スラグ中のf-CaOが水和反応して膨張すると、路盤が隆起したり、コンクリートに亀裂が生じたりする可能性がある。
そこで、従来、製鋼スラグが出荷後に膨張したり粉化したりすることを回避するため、出荷前の製鋼スラグにエージング処理を施して、安定化させる場合がある。
エージング処理としては、例えば、製鋼スラグをスラグヤード等で長期間保管して、空気中の水分とf-CaOとを水和反応させる大気エージング処理;水蒸気を用いて水和反応を促進させる蒸気エージング処理(特許文献1);等が挙げられる。
特開2009-227490号公報
近年、製鋼スラグを安定化させる処理として、従来のエージング処理とは異なる処理の開発が望まれている。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、従来のエージング処理とは異なる処理によって製鋼スラグを安定化させることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]製鋼スラグに、溶剤と接触させる接触処理を施すことにより、上記製鋼スラグのCa成分を上記溶剤に抽出する、製鋼スラグの処理方法。
[2]上記製鋼スラグの推定f-CaO量および遊離CaO含有量の少なくとも一方が閾値を超える場合に、上記接触処理を施した上記製鋼スラグに、エージング処理を更に施す、上記[1]に記載の製鋼スラグの処理方法。
[3]上記製鋼スラグの推定f-CaO量が12.0超の場合に、上記エージング処理を施す、上記[2]に記載の製鋼スラグの処理方法。
[4]上記製鋼スラグの遊離CaO含有量が8.0質量%超の場合に、上記エージング処理を施す、上記[2]または[3]に記載の製鋼スラグの処理方法。
[5]上記製鋼スラグの溶融状態から1000℃までの冷却速度が、50℃/h以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
[6]上記製鋼スラグの粒径が、53mm以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
[7]上記接触処理が、上記製鋼スラグを50℃以上のエチレングリコールと30分以上接触させる処理である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
[8]上記接触処理によって上記溶剤に抽出された上記Ca成分の量に基づいて、上記製鋼スラグの水浸膨張比を予測し、予測された上記水浸膨張比に基づいて、上記エージング処理の条件を決定する、上記[2]~[4]のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
[9]製鋼スラグの水浸膨張比を予測する方法であって、上記製鋼スラグに、溶剤と接触させる接触処理を施すことにより、上記製鋼スラグのCa成分を上記溶剤に抽出し、上記接触処理によって上記溶剤に抽出された上記Ca成分の量に基づいて、上記製鋼スラグの水浸膨張比を予測する、製鋼スラグの水浸膨張比の予測方法。
本発明によれば、従来のエージング処理とは異なる処理によって製鋼スラグを安定化させることができる。
Ca抽出量と水浸膨張比との関係を示すグラフである。
[製鋼スラグの処理方法]
本発明の製鋼スラグの処理方法は、製鋼スラグに、溶剤と接触させる接触処理を施すことにより、製鋼スラグのCa成分を溶剤に抽出する。
これにより、製鋼スラグ(以下、単に「スラグ」ともいう)は安定化する。
すなわち、水和反応を生じるf-CaOを含むCa成分が、溶剤に抽出されて除去されるため、スラグの膨張および粉化を抑制できる。
ところで、スラグから溶剤に抽出されて除去されるCa成分は、主に、スラグ表面(スラグが溶剤と接触する面)に存在するCa成分である。
もっとも、スラグの膨張は、水がスラグの表層で拡散して、スラグ表面のf-CaOが水和および膨張することにより、亀裂の発生および進展とf-CaOの水和とが繰り返し起こることにより進行すると推定される。
このため、スラグ表面のCa成分を除去するだけで、スラグの膨張を実質的に抑制でき、ひいては、粉化も抑制できる。
〈接触処理〉
接触処理は、製鋼スラグを溶剤と接触させる処理である。
スラグを溶剤と接触させる方法は、特に限定されず、例えば、スラグを溶剤に浸漬させることにより両者を接触させる方法が挙げられる。
このとき、本発明の効果(製鋼スラグを安定化させて、膨張および粉化を抑制する効果)がより優れるという理由から、溶剤に浸漬させたスラグを攪拌することが好ましい。もっとも、撹拌は必須ではない。
以下、製鋼スラグおよび溶剤、ならびに、両者を接触させる条件等について説明する。
《製鋼スラグ》
接触処理が施される製鋼スラグは、製鋼工程で発生するスラグであり、例えば、転炉スラグ、電気炉スラグ、混銑車スラグなどが挙げられる。
上述したように、製鋼スラグは、製鋼工程で投入される石灰に由来する遊離CaO(f-CaO)を含有する。
製鋼スラグは、利用有姿の状態で、接触処理に供されることが好ましい。
利用有姿の状態とは、実際に使用されるときと(ほぼ)同じ状態を意味し、例えば、用途に応じて粒度を揃える等の処理が実施された状態などが挙げられる。
接触処理は、いずれの製鋼スラグに対しても実施できるが、特定の要件を満たす製鋼スラグを選択し、選択された製鋼スラグに対して実施してもよい。
接触処理が施される製鋼スラグは、例えば、以下のように選択する。
(推定f-CaO量)
接触処理を施す前に、予め、製鋼スラグの組成を、蛍光X線を用いた元素分析によって求め、下記(1)式にて定義される推定f-CaO量を算出する。
推定f-CaO量=[T-CaO]-(1.87×[SiO]+0.70×[Fe]+1.10×[Al]+1.18×[P])・・・(1)
ただし、上記式(1)中の[X]は、製鋼スラグにおける成分Xの含有量(単位:質量%)であり、T-CaOは、全CaOである。
推定f-CaO量が多いスラグに対して接触処理を施すと、f-CaOの抽出によって、スラグ内部に多くの空隙が生じる。この状態で、蒸気エージング処理(後述する)を更に実施すると、この空隙を蒸気が通り、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応が促進されやすい。
すなわち、推定f-CaO量が多いスラグについては、出荷前に接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)、出荷後に、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応が進行して、膨張したり粉化したりする可能性がある。
このため、接触処理のみが施される製鋼スラグの推定f-CaO量は、13.0以下が好ましく、12.5以下がより好ましく、12.0以下が更に好ましい。
推定f-CaO量が上記範囲内であれば、f-CaOの抽出によって生じるスラグ内部の空隙が少ない。これにより、出荷前に、接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)であっても、出荷後において、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応(ならびに、それに伴う膨張および粉化)の発生を抑制できる。
(遊離CaO含有量)
接触処理を施す前に、予め、製鋼スラグの遊離CaO含有量を、直接求めてもよい。
上記と同様の理由から、接触処理のみが施される製鋼スラグの遊離CaO含有量は、10.0質量%以下が好ましく、9.0質量%以下がより好ましく、8.0質量%以下が更に好ましい。
製鋼スラグの遊離CaO含有量は、以下の参考文献1に記載された方法に準拠して、エチレングリコール抽出法(スラグ:0.1g、エチレングリコール:25mL、抽出温度:80℃、抽出時間:30分)を用いて求める。
参考文献1:「エチレングリコール抽出/ICP発光分析法と熱重量分析法の併用による鉄鋼スラグ中のフリーCaOの定量」、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、2014年、第100巻、第3号、p.340-345
(溶融状態から1000℃までの冷却速度)
接触処理が施されるスラグについて、溶融状態から1000℃までの冷却速度(以下、単に「冷却速度」ともいう)が低い場合を考える。
この場合、f-CaOの結晶サイズが大きいため、接触処理後にスラグ表面に残存するf-CaOが多い。
また、f-CaOの結晶サイズが大きいため、接触処理後に生じる空隙径が大きい。この状態で、蒸気エージング処理(後述する)を更に実施すると、スラグ内部において、蒸気と接触する面積が多くなり、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応が促進されやすい。
すなわち、冷却速度が低いスラグについては、出荷前に接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)、出荷後に、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応が進行して、膨張したり粉化したりする可能性がある。
このため、接触処理が施されるスラグの冷却速度は、50℃/h以上が好ましく、75℃/h以上がより好ましく、100℃/h以上が更に好ましい。
冷却速度が上記範囲内であれば、接触処理後に生じる空隙径が小さい。これにより、出荷前に、接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)であっても、出荷後において、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応(ならびに、それに伴う膨張および粉化)の発生を抑制できる。
(粒径)
接触処理に際してのハンドリング性が優れるという理由から、接触処理が施される製鋼スラグの粒径は、75mm以下が好ましく、63mm以下がより好ましく、53mm以下が更に好ましい。
一方、接触処理が施される製鋼スラグの粒径の下限は、ハンドリング性の観点からは、特に限定されない。
もっとも、製鋼スラグを、路盤材やコンクリート用細骨材として用いる場合、その粒径は、例えば1mm以上であり、2mm以上が好ましい。
粒径は、スラグを篩にかけて、篩目を通過しないスラグの質量(篩上質量)が0(ゼロ)であるときの目開き径である。
《溶剤》
接触処理に用いる溶剤としては、製鋼スラグからCa成分を抽出できる溶剤であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールなどのグリコール系溶剤;塩酸などの酸性溶剤;水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶剤;等が挙げられる。
これらのうち、本発明の効果がより優れるという理由から、グリコール系溶剤が好ましく、エチレングリコールがより好ましい。
溶剤としてエチレングリコールを用いる場合、スラグに接触させる溶剤の量は、スラグ1kgに対して、例えば1.5L以上であり、1.8L以上が好ましく、2.0L以上がより好ましい。
上限は、特に限定されず、例えば、スラグ1kgに対して、例えば3.5Lであり、3.0Lが好ましい。
《接触温度》
溶剤としてエチレングリコールを用いる場合、本発明の効果がより優れるという理由から、スラグと接触させる溶剤の温度(接触温度)は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、85℃以上が特に好ましく、90℃以上が最も好ましい。
接触温度の上限は、特に限定されず、例えば、100℃である。
《接触時間》
溶剤としてエチレングリコールを用いる場合、本発明の効果がより優れるという理由から、スラグと溶剤とを接触させる時間(接触時間)は、30分以上が好ましく、35分以上がより好ましく、40分以上が更に好ましく、45分以上が特に好ましく、50分以上が最も好ましい。
接触時間の上限は、特に限定されず、例えば、100分であり、80分が好ましい。
エチレングリコール以外の溶剤を用いる場合、接触温度および接触時間などの条件は、その溶剤に応じて、適宜調整する。
〈エージング処理〉
接触処理を施したスラグに対しては、エージング処理を更に施してもよい。
上述したように、接触処理で除去されるスラグのCa成分は、主に、スラグ表面(スラグが溶剤と接触する面)に存在するCa成分である。
スラグの推定f-CaO量および/または遊離CaO含有量が少なければ、出荷前に接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)であっても、出荷後において、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応(ならびに、それに伴う膨張および粉化)の発生を抑制できる。
一方で、スラグの推定f-CaO量および/または遊離CaO含有量が多いときは、出荷前に接触処理だけを実施する場合(更に蒸気エージング処理を実施しない場合)、出荷後に、スラグ内部に存在するf-CaOの水和反応が進行して、膨張したり粉化したりする可能性がある。
このため、スラグの推定f-CaO量および遊離CaO含有量の少なくとも一方が閾値を超える場合には、接触処理を施したスラグに対して、エージング処理を更に施すことが好ましい。
ここで、推定f-CaO量の閾値は、上述したように、13.0が好ましく、12.5がより好ましく、12.0が更に好ましい。同様に、遊離CaO含有量の閾値は、10.0質量%が好ましく、9.0質量%がより好ましく、8.0質量%が更に好ましい。
これにより、接触処理後のスラグ表面に僅かに残るf-CaOが水和反応して、本発明の効果がより優れる。
なお、上記閾値は一例であり、スラグの推定f-CaO量および/または遊離CaO含有量が上記閾値以下であっても、接触処理を施したスラグに対して、エージング処理を更に施してもよい。
エージング処理としては、水蒸気を用いて水和反応を促進させる蒸気エージング処理が好ましい。蒸気エージング処理の条件(温度、圧力、処理時間など)は、特に限定されず、適宜調整すればよい。
〈水浸膨張比の予測〉
本発明者らは、以下に説明するように、スラグから溶剤に抽出されたCa成分の量(Ca抽出量)と、スラグの水浸膨張比との間に相関があることを見出した。
まず、本発明者らは、組成が異なる10種類の製鋼スラグ(スラグA~J)を、利用有姿の状態で準備した。
次いで、スラグA~Jに対して、接触処理を同じ条件(溶剤:エチレングリコール、接触温度:70℃、接触時間:40分)で施して、Ca抽出量(単位:mg/L)を求めた。Ca抽出量は、ICP発光分光分析計を用いた定量分析によって求めた。
更に、スラグA~Jのうち、接触処理を施したスラグA~Jとは別のスラグA~Jについて、JIS A 5015で規定される水浸膨張試験で実施して、水浸膨張比(単位:%)を求めた。
図1は、Ca抽出量と水浸膨張比との関係を示すグラフである。
図1に示すように、Ca抽出量と水浸膨張比との間には比例関係が認められる。具体的には、図1のグラフにおいては、一次近似により、y=0.0001x+0.0143(y:水浸膨張比、x:Ca抽出量)の関係式(近似式)が認められる。
そこで、予め、上記と同様にして、組成が異なる複数種類(例えば3種類以上)のスラグについて、同じ条件でCa抽出量および水浸膨張比を求め、両者の関係式を求める。
そのうえで、対象となるスラグについて、接触処理を実施し、得られたCa抽出量に基づいて、予め求めた関係式を用いて、水浸膨張比を予測する。
その後、予測された水浸膨張比に基づいて、エージング処理の条件を決定してもよい。
例えば、予測された水浸膨張比の値が小さい場合は、エージング処理の処理時間を短くする等の決定ができる。
水浸膨張比の予測、および、エージング処理の条件の決定を実行する主体は、特に限定されない。例えば、接触処理を実施する作業者の操作に応じて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置が実行してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。
[試験1]
〈製鋼スラグ〉
下記表1に示す製鋼スラグ(最大粒径:53mm)を準備した。
〈接触処理〉
準備した製鋼スラグを、溶剤であるエチレングリコールに浸漬して、下記表1に示す条件(接触温度および接触時間)で、接触処理を実施した。
接触処理では、製鋼スラグ1kgに対して、2Lの溶剤を用いた。
〈粉化率〉
スラグを目開き2.36mmの篩にかけて、篩目を通過しなかったスラグ(スラグ1)の質量を求めた。
次いで、スラグ1に、蒸気エージング処理(温度:100℃、圧力:大気圧、処理時間:48時間)を施し、その後、目開き2.36mmの篩にかけて、篩目を通過したスラグ(スラグ2)の質量を求めた。
スラグ1に対するスラグ2の質量比を、粉化率(単位:質量%)として求めた。
このような粉化率を、接触処理前の製鋼スラグ、および、接触処理後の製鋼スラグの両方について、求めた。
粉化率が1質量%未満であった場合は「極低」を、粉化率が1質量%以上5質量%未満であった場合は「低」を、粉化率が5質量%以上50質量%未満であった場合は「中」を、粉化率が50質量%以上であった場合は「高」を、下記表1に記載した。
Figure 0007582361000001
〈評価結果まとめ〉
上記表1に示すように、下記(1a)または(2a)を満たさない実施例18~23は、接触処理後の粉化率が「高」であった。
これに対して、下記(1a)および(2a)を満たす実施例1~17は、接触処理後の粉化率が「極低」、「低」または「中」であった。
なお、実施例1~23は、下記(3a)および(4a)を満たす。
(1a)スラグの推定f-CaO量が13.0以下である、または、スラグの遊離CaO含有量が10.0質量%以下である。
(2a)スラグの冷却速度が50℃/h以上である。
(3a)接触温度が50℃以上である。
(4a)接触時間が30分以上である。
更に、実施例1~17について見ると、下記(1b)~(4b)のいずれかを満たさない実施例1~3および12~16は、接触処理後の粉化率が「中」であった。
これに対して、下記(1b)~(4b)を全て満たす実施例4~11および17は、接触処理後の粉化率が「極低」または「低」であった。
(1b)スラグの推定f-CaO量が12.0以下である、または、スラグの遊離CaO含有量が8.0質量%以下である。
(2b)スラグの冷却速度が100℃/h以上である。
(3b)接触温度が60℃以上である。
(4d)接触時間が40分以上である。
実施例4~11および17のうち、接触温度が85℃以上、かつ、接触時間が40分以上である実施例11、および、接触温度が80℃以上、かつ、接触時間が45分以上である実施例17は、接触処理後の粉化率が「極低」であった。
[試験2]
〈水浸膨張比の予測〉
次に、上述した図1のグラフから導かれる、y=0.0001x+0.0143(y:水浸膨張比、x:Ca抽出量)の関係式を用いて、水浸膨張比を予測した。
具体的には、まず、複数種類の製鋼スラグを準備した。
準備したスラグについて、上記関係式を求めたときと同じ条件で接触処理を実施して、Ca抽出量(単位:mg/L)を求めた。次いで、求めたCa抽出量に基づいて、上記関係式を用いて、水浸膨張比(単位:%)を予測した。以下、これを「水浸膨張比(予測)」とも表記する。結果を下記表2に示す。
更に、準備したスラグについて、実際に測定される水浸膨張比(以下、「水浸膨張比(実測)」とも表記する)が一定値以下になるまで、蒸気エージング処理を実施した。
このとき、実施例24~26では、水浸膨張比(予測)が同程度かつ低めのスラグをまとめて、蒸気エージング処理を実施した。
一方、実施例27~28では、水浸膨張比(予測)が異なるスラグをまとめて、蒸気エージング処理を実施した。
また、下記表2には、実際の操業で実施される蒸気エージング処理の処理時間との時間差(下記表2では、単に「時間差」と表記)を記載した。
なお、実際の操業では、f-CaOが非常に多いスラグであっても安定化できるように、蒸気エージング処理の処理時間は、長めに設定している。
Figure 0007582361000002
〈評価結果まとめ〉
実施例24~26では、水浸膨張比(予測)が同程度かつ低めのスラグをまとめて、蒸気エージング処理を実施した。このため、「時間差」は-72時間であり、水浸膨張比(実測)が一定値以下になるまでの時間を短縮できた。
一方、実施例27~28では、水浸膨張比(予測)が高めのスラグに合わせて、蒸気エージング処理を実施した。このため、「時間差」は0時間であり、水浸膨張比(実測)が一定値以下になるまでの時間を短縮できなかった。

Claims (8)

  1. 製鋼スラグに、溶剤と接触させる接触処理を施すことにより、前記製鋼スラグのCa成分を前記溶剤に抽出し、
    前記溶剤が、グリコール系溶剤であり、
    前記製鋼スラグの溶融状態から1000℃までの冷却速度が、50℃/h以上であり、
    前記製鋼スラグの推定f-CaO量が13.0以下である、または、前記製鋼スラグの遊離CaO含有量が10.0質量%以下であり、
    前記接触処理が、前記製鋼スラグを50℃以上の前記溶剤と30分以上接触させる処理である、製鋼スラグの処理方法。
  2. 前記製鋼スラグの推定f-CaO量および遊離CaO含有量の少なくとも一方が閾値を超える場合に、前記接触処理を施した前記製鋼スラグに、エージング処理を更に施す、請求項1に記載の製鋼スラグの処理方法。
  3. 前記製鋼スラグの推定f-CaO量が12.0超の場合に、前記エージング処理を施す、請求項2に記載の製鋼スラグの処理方法。
  4. 前記製鋼スラグの遊離CaO含有量が8.0質量%超の場合に、前記エージング処理を施す、請求項2に記載の製鋼スラグの処理方法。
  5. 前記製鋼スラグの粒径が、53mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法。
  6. 前記グリコール系溶剤、エチレングリコールである、請求項1~4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法。
  7. 前記接触処理によって前記溶剤に抽出された前記Ca成分の量に基づいて、前記製鋼スラグの水浸膨張比を予測し、
    予測された前記水浸膨張比に基づいて、前記エージング処理の条件を決定する、請求項2~4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法。
  8. 製鋼スラグの水浸膨張比を予測する方法であって、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法によって、前記製鋼スラグに、溶剤と接触させる接触処理を施すことにより、前記製鋼スラグのCa成分を前記溶剤に抽出し、
    前記接触処理によって前記溶剤に抽出された前記Ca成分の量に基づいて、前記製鋼スラグの水浸膨張比を予測する、製鋼スラグの水浸膨張比の予測方法。
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