発明の簡潔な概要
本発明者らは、CTLA-4に結合する特定のCTLA-4遮断剤が、単独療法として投与された場合には低減した抗腫瘍活性を有するか又は測定可能な抗腫瘍活性を全く有さないが、PD-1遮断剤との併用療法で使用された場合には臨床的に適切な抗腫瘍活性を示しうることを見出した。本発明者らはまた、これらの特定のCTLA-4遮断剤が、現在承認されているCTLA-4/PD-1遮断併用療法に関連づけられている免疫媒介性副作用(irAE)(皮膚および腸におけるirAEを含む)を誘発することなく、CTLA-4/PD-1遮断併用療法において抗腫瘍活性をもたらしうることを見出した。本明細書に開示されているCTLA-4/PD-1遮断の組合せは、化学療法を含む併用療法を含んでいる現在のCTLA-4/PD-1遮断併用療法より高い治療指数の療法を可能にし、これは、患者の臨床結果の改善を伴う、より有効な癌治療をもたらしうる。
本発明のCTLA-4/PD-1遮断併用療法の一部として使用される特定のCTLA-4遮断剤は、(i)エフェクター-サイレント(effector-silent(エフェクター無効化))抗CTLA-4抗体、および(ii)結晶化可能フラグメント(fragment crystallizable)(Fc)ドメインを欠くエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメント、またはFc受容体(FcR)に結合するFcドメインにおけるその領域の欠失を含むFcドメインを有するエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されうる。エフェクター-サイレント抗体または抗体フラグメントは、(i)Biacore(ビアコア)アッセイで測定可能である、1以上のFcRへの測定可能な結合を示さない(ここで、マイクロモル範囲の会合定数は、測定可能な結合を示さない)、または(ii)同じアイソタイプの抗体に典型的である結合と比較して低減したBiacoreアッセイで測定可能な1以上のFcRへの測定可能な結合を示す。これらの特定のCTLA-4遮断剤は、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤である。
特定の実施形態において、これらのエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、抗癌単独療法においては測定可能な抗腫瘍活性を示さないかもしれないが、PD-1またはPD-L1遮断剤との併用抗癌療法においては、CTLA-4/PD-1遮断併用療法に典型的に関連するirAE、特に、皮膚または腸炎症性免疫関連毒性を示すことなく、測定可能な抗腫瘍活性を示すであろう。
本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、PD-1またはPD-L1遮断剤と組み合わされて、CTLA-4/PD-1遮断併用療法に典型的に関連するirAE、特に、皮膚または腸炎症性免疫関連毒性を示すことなく、より高い用量で、かつ、より長期にわたって使用されうる。現在、抗CTLA-4/PD-1遮断併用療法における使用に関して承認されている抗CTLA-4抗体イピリムマブの用量は1mg/kgであり、一方、単独療法における使用に関して承認されているのは3mg/kgまたは10mg/kg用量であり[Package Insert and Label for YERVOY(July 2018)を参照されたい]、あるいは、国際特許出願WO2018183408におけるCTLA-4/PD-1遮断併用療法に想定されているのは100mg以下の一定用量である。したがって、本発明のCTLA-4/PD-1遮断併用療法は、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントを、単独療法において抗CTLA-4抗体に関して現在承認されている用量と同じ又はそれより高い用量で使用することが可能である。本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体または抗CTLA-4抗体フラグメントはまた、CTLA-4/PD-1遮断併用療法において現在使用または想定されているものと同様の用量で、しかも、抗CTLA-4抗体で現在達成可能な時間より長い持続期間にわたって、そして、CTLA-4/PD-1遮断併用療法に典型的に関連するirAE、特に、皮膚または腸炎症性免疫関連毒性を示すことなく、抗PD-1または抗PD-L1抗体と組み合わせて使用されうる。
したがって、本発明は、癌治療を要する個体における癌を治療するための併用療法を提供し、該方法は、(i)PD-1またはPD-L1遮断剤の治療量、および(ii)エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤の治療量を、癌を有する個体に投与して癌を治療することを含み、ここで、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、PD-1またはPD-L1遮断剤を伴わない単独療法において個体に投与された場合にはそれが示さない抗腫瘍活性を、併用療法においては示す。他の実施形態において、併用療法は、エフェクター機能を示す抗CTLA-4抗体を含む併用療法と比較して、有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse events)(CTCAE)バージョン5.0における定義でグレード(Grade)2より大きな、併用療法の経過中の腸または皮膚における免疫媒介性副作用(irAE)を誘発せず、またはそれを誘発するリスクを低減する。特定の実施形態において、併用療法の一部として使用されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、併用療法の少なくとも最初の10週間にわたり、グレード2より大きな皮膚または腸におけるirAEを誘発しない。特定の実施形態において、併用療法は、併用療法の少なくとも最初の4週間にわたり検出可能なirAEをもたらさず、あるいは、併用療法の少なくとも最初の4週間にわたりグレード1より大きなirAEをもたらさない。
1つの実施形態において、本明細書に記載されている併用療法の一部として使用されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントである。
もう1つの実施形態において、本明細書に記載されている併用療法の一部として使用されるPD-1遮断剤は、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体または抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体フラグメントである。特定の実施形態において、抗PD-1または抗PD-L1抗体は、抗体をエフェクター-サイレントにする、Fcドメイン内の1以上の突然変異を含むHCドメインを含む。PD-1遮断剤は、抗PD-1または抗PD-L1抗体フラグメントであってもよく、それらのそれぞれは、Fcドメインをまたは1以上のFcRに結合するFcドメインの領域を欠いており、このことは抗体フラグメントをエフェクター-サイレントにする。
本発明は更に、(i)IgG4またはIgG2 Fcドメインを有する抗PD-1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-1抗体およびエフェクター-サイレント抗PD-1抗体フラグメントからなる群から選択されるPD-1遮断剤を含む第1製剤、ならびに、(ii)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤を含む第2製剤を、癌治療を要する個体に投与することを含む、抗癌併用療法を提供する。
本発明は更に、(i)IgG4またはIgG2 Fcドメインを有する抗PD-1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-1抗体およびエフェクター-サイレント抗PD-1抗体フラグメントからなる群から選択されるPD-1遮断剤と、(ii)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤と、を含む製剤を、癌治療を要する個体に投与することを含む、抗癌併用療法を提供する。
本発明は更に、(i)IgG4またはIgG2 Fcドメインを有する抗PD-L1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-L1抗体およびエフェクター-サイレント抗PD-L1抗体フラグメントからなる群から選択されるPD-L1遮断剤を含む第1製剤、ならびに、(ii)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤を含む第2製剤を、癌治療を要する個体に投与することを含む、抗癌併用療法を提供する。
本発明は更に、(i)IgG4またはIgG2 Fcドメインを有する抗PD-L1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-L1抗体およびエフェクター-サイレント抗PD-L1抗体フラグメントからなる群から選択されるPD-L1遮断剤と、(ii)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤と、を含む製剤を、癌治療を要する個体に投与することを含む、抗癌併用療法を提供する。
併用療法のより詳細な実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、N297A/D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265A/N297Gからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
併用療法の特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
併用療法の特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、N267A、P329G、およびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iii)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N267A、P329G、およびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
併用療法のもう1つの実施形態において、Fcドメインを欠くエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗原結合性フラグメント(Fab)または抗原結合性フラグメント二量体F(ab’)2であり、あるいは一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗原結合性フラグメント(Fab)または抗原結合性フラグメント二量体F(ab’)2を含む。
併用療法の特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、イピリムマブ、トレメリムマブ、REGN4659、AGEN1884w、8D2/8D2(RE)、8D2/8D2(RE)-変異体1、8D2H1L1、8D2H1L1-変異体1、8D2H2L2、8D2H2L2-変異体1、8D3H3L3、8D2H2L15、8D2H2L15-変異体1、8D2H2L17および8D2H2L17-変異体1からなる群から選択される抗CTLA-4抗体の、3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)および3つの軽鎖(LC)CDRを含む。
併用療法の特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、イピリムマブのVHおよびVL、トレメリムマブのVHおよびVL、REGN4659のVHおよびVL、AGEN1884wのVHおよびVL、8D2/8D2(RE)のVHおよびVL、8D2/8D2(RE)-変異体1のVHおよびVL、8D2H1L1のVHおよびVL、8D2H1L1-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L2のVHおよびVL、8D2H2L2-変異体1のVHおよびVL、8D3H3L3のVHおよびVL、8D2H2L15のVHおよびVL、8D2H2L15のVHおよびVL-変異体1、8D2H2L17のVHおよびVL、または、8D2H2L17-変異体1のVHおよびVLを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)配列番号7に記載されているアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号8に記載されているアミノ酸配列を含むVL、(ii)配列番号15に記載されているアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号16に記載されているアミノ酸配列を含むVL、(iii)配列番号95に記載されているアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号96に記載されているアミノ酸配列を含むVL、または、(iv)配列番号97に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号98に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)配列番号73に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号74に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ii)配列番号75に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号76に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iii)配列番号77に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号78に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iv)配列番号79に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号80に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(v)配列番号81に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号82に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vi)配列番号83に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号84に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vii)配列番号85に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号86に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(viii)配列番号87に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号88に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ix)配列番号89に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号90に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(x)配列番号91に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号92に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、または、(xi)配列番号93に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号94に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
併用療法の他の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、表4~18に開示されているエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体から選択されるエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体である。
併用療法の他の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4結合剤は、1以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み各ISVDがラクダ重鎖のみの抗体の可変ドメイン(VHH)を含むエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントであり;但し、ISVDはいずれも、アミノ配列FYGMG(配列番号69)を含むCDR1、アミノ酸配列DIRTSAGRTTYADSVKG(配列番号70)を含むCDR2およびアミノ酸EMSGISGWDY(配列番号71)またはEPSGISGWDY(配列番号72)を含むCDR3を有するVHHを含まず(それらのISVDは国際特許出願WO2008071447、WO2017087587およびWO2017087588に開示されている)、また、WO2008071447に開示されているCDR3における1、2または3個の突然変異を含むVHHを含まず;例外的に、前記の1以上のISVDがエフェクター-サイレント異種HCドメインまたはFcドメイン(例えば、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗体HCドメインまたはFcドメインのいずれかを含む)に融合または連結されている実施形態におけるCDRを含むISVDは、この但し書きによっては除外されない。
併用療法の特定の実施形態において、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントは、ペンブロリズマブ、ニボルマブまたはセミプリマブ-rwlcの3つの重鎖相補性決定領域(CDR)および3つの軽鎖CDRを含む。併用療法の特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)ペンブロリズマブのVHおよびVL、(ii)ニボルマブのVHおよびVL、または(iii)セミプリマブ-rwlcのVHおよびVLを含む。
他の実施形態において、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントは、(i)配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または(iii)配列番号99に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号100に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。もう1つの実施形態において、抗PD1抗体は、(i)配列番号27に記載されているアミノ酸配列を有するHCおよび配列番号28に記載されているアミノ酸配列を有するLC、(ii)配列番号25に記載されているアミノ酸配列を有するHCおよび配列番号26に記載されているアミノ酸配列を有するLC、または(iii)配列番号101に記載されているアミノ酸配列を有するHCおよび配列番号102に記載されているアミノ酸配列を有するLCを含む。
併用療法の特定の実施形態において、抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体フラグメントは、(i)アテゾリズマブのVHおよびVLドメイン、(ii)アベルマブのVHおよびVLドメイン、または(iii)デュルバルマブのVHおよびVLドメインを含む。
他の実施形態において、抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体フラグメントは、(i)配列番号103に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号104に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ii)配列番号105に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号106に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(iii)配列番号107に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号108に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
併用療法の特定の実施形態において、抗PD-1または抗PD-L1抗体は、本明細書に開示されているIgG1、IgG2またはIgG4 Fcドメインを含むことが可能であり、これらはC末端リジンを含むことが可能であり、あるいは、C-末端リジンまたはC末端グリシン-リジンジペプチドを欠いていることが可能である。
併用療法の特定の実施形態において、抗PD-1または抗PD-L1抗体は、(i)IgG2またはIgG4 Fcドメイン、(ii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を含むIgG1、IgG2もしくはIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(iii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、L235G/G236R、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、もしくはD265A/N297Gアミノ酸置換突然変異を含むIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(iv)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sアミノ酸置換を含むIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(v)S228Pアミノ酸置換とN267A、P329GもしくはD265A/N297Aアミノ酸置換とを含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、アミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、表19~27に開示されている抗PD-1抗体から選択される抗PD-1抗体、または表28~36に開示されているPD-L1抗体から選択される抗PD-L1抗体である。
併用療法のもう1つの実施形態において、Fcドメインをそれぞれが欠いている抗PD-1抗体フラグメントまたは抗PD-L1抗体フラグメントは、一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗原結合性フラグメント(Fab)または抗原結合性フラグメント二量体F(ab’)2である。
併用療法のもう1つの実施形態において、抗PD-1または抗PD-L1抗体フラグメントは、1以上のISVDを含み、各ISVDはラクダ重鎖のみの抗体のVHHを含む。
併用療法の特定の実施形態において、CTLA-4遮断剤は、約1mg/kg~約3mg/kgのCTLA-4遮断剤を含む用量または個体の体重に左右されず約100mgを超えるCTLA-4遮断剤の一定用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、CTLA-4遮断剤は、1mg/kg~3mg/kgのCTLA-4遮断剤を含む用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、CTLA-4遮断剤は、3mg/kg~10mg/kgのCTLA-4遮断剤を含む用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、CTLA-4遮断剤は、約10mg/kgを超えるCTLA-4遮断剤を含む用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、約2もしくは3mg/kgまたはそれ以上を含む用量または個体の体重に左右されず約200mg以上である一定用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、個体の体重に左右されない200mg~400mgの用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、個体の体重に左右されない400mgの用量で投与される。
併用療法の特定の実施形態において、最初にPD-1遮断剤が個体に投与され、そして、二番目にCTLA-4遮断剤が個体に投与され、あるいは、最初にCTLA-4遮断剤が個体に投与され、そして、二番目にPD-1遮断剤が個体に投与される。特定の実施形態において、PD-1遮断剤およびCTLA-4遮断剤が同時に投与される。
併用療法の特定の実施形態において、個体は、併用療法の前、それと同時またはその後に化学療法剤を投与される。特定の実施形態において、化学療法剤は、アクチノマイシン、全トランス-レチノイン酸、アリトレチノイン、アザシチジン、アザチオプリン、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルモフル、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロランブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イクサベピロン、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ニトロソウレア、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ロミデプシン、テガフール、テモゾロミド(経口ダカルバジン)、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、ウチデロン、バルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびボリノスタットからなる群から選択される。
併用療法の特定の実施形態において、癌は、黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、乳癌、胃腸癌、多発性骨髄腫、肝細胞癌、非ホジキンリンパ腫、腎癌、ホジキンリンパ腫、中皮腫、卵巣癌、小細胞肺癌、食道癌、肛門癌、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌または唾液腺癌である。
併用療法の特定の実施形態において、癌は、膵臓癌、気管支癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系癌、末梢神経系癌、子宮もしくは子宮内膜癌、口腔もしくは咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは虫垂癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である。
併用療法の特定の実施形態において、個体はヒトであり、CTLA-4遮断剤はヒトCTLA-4に結合し、PD-1遮断剤はヒトPD-1に結合し、そして、PD-L1遮断剤はヒトPD-L1に結合する。
抗体および組成物
本発明は更に、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントを提供し、それぞれがVHおよびVLを含み、ここで、VHは3つの重鎖CDRを含み、VLは3つの軽鎖CDRを含み、それらは一緒になってCTLA-4に結合する。特定の実施形態において、CTLA-4はヒトCTLA-4である。
より詳細な実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン(ただし、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、N297A置換のみからなるイピリムマブを含まない)、(ii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、N297A/D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265A/N297Gからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、N267A、P329GおよびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(iii)S228Pアミノ酸置換を有し、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N267A、P329G、およびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、イピリムマブ、トレメリムマブ、REGN4659、AGEN1884w、8D2/8D2(RE)、8D2H1L1、8D2H2L2、8D3H3L3、8D2H2L15および8D2H2L17からなる群から選択される抗CTLA-4抗体の、3つの重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)および3つの軽鎖(LC)CDRを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、イピリムマブのVHおよびVL、トレメリムマブのVHおよびVL、REGN4659のVHおよびVL、AGEN1884wのVHおよびVL、8D2/8D2(RE)のVHおよびVL、8D2H1L1のVHおよびVL、8D2H2L2のVHおよびVL、8D3H3L3のVHおよびVL、8D2H2L15のVHおよびVL、または、8D2H2L17のVHおよびVLを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、8D2/8D2(RE)-変異体1のVHおよびVL、8D2H1L1-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L2-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L15-変異体1のVHおよびVL、または8D2H2L17-変異体1のVHおよびVLを含む。これらの変異体は、VHアミノ酸配列における18位のメチオニンの、イソロイシンによる置換を含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体または抗エフェクター-サイレントCTLA-4抗体フラグメントは、(i)配列番号7に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号8に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号15に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号16に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(iii)配列番号95に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号96に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または(iv)配列番号97に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号98に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)配列番号73に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号74に記載されているアミノ酸配列、(ii)配列番号75に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号76に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iii)配列番号77に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号78に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iv)配列番号79に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号80に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(v)配列番号81に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号82に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vi)配列番号83に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号84に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vii)配列番号85に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号86に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(viii)配列番号87に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号88に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ix)配列番号89に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号90に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(x)配列番号91に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号92に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、または、(xi)配列番号93に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号94に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、F(ab)、F(ab’)2、FvおよびscFvからなる群から選択される。
もう1つの実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、1以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、各ISVDはラクダ重鎖のみの抗体の可変ドメイン(VHH)を含み;但し、ISVDは、いずれもアミノ配列FYGMG(配列番号69)を含むCDR1、アミノ酸配列DIRTSAGRTTYADSVKG(配列番号70)を含むCDR2およびアミノ酸EMSGISGWDY(配列番号71)またはEPSGISGWDY(配列番号72)を含むCDR3を含むVHHを含まず(それらのISVDは国際特許出願WO2008071447、WO2017087587およびWO2017087588に開示されている)、または、WO2008071447に開示されているCDR3における1、2または3個の突然変異を含むVHHを含まず;例外的に、前記の1以上のISVDがエフェクター-サイレント異種HCドメインまたはFcドメイン(例えば、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗体HCドメインまたはFcドメインのいずれかを含む)に融合または連結されている実施形態におけるCDRを含むISVDは、この但し書きによっては除外されない。
本発明は更に、表4~18に開示されているエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体のそれぞれを提供し;但し、該エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、N297A置換のみからなるイピリムマブを含まない。
本発明は更に、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
本発明は更に、
(a)重鎖(HC)可変ドメイン(VH)を有する重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変ドメイン(VL)を有する軽鎖(LC)[ここで、(i)VHはペンブロリズマブの少なくとも3つのHC相補性決定領域(CDR)を含み、VLはペンブロリズマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、(ii)VHはニボルマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、VLはニボルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、または、(iii)VHはセミプリマブ-rwlcの少なくとも3つのHC-CDRを含み、VLはセミプリマブ-rwlcの少なくとも3つのLC-CDRを含む]、ならびに
(b)(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を含むIgG1、IgG2もしくはIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、N297A/D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、もしくはD265A/N297Gアミノ酸置換を含むIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(iii)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sアミノ酸置換を含むIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(iv)S228Pアミノ酸置換と、N267A、P329G、D265A/N297Aアミノ酸置換と、を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、
を含む抗PD-1抗体を提供し、ここで、アミノ酸位置はEu番号付けに従い特定される。
前記の抗PD-1抗体の更に他の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または、(iii)配列番号99に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号100に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
抗PD-1抗体の特定の実施形態において、本明細書に開示されているIgG1、IgG2またはIgG4 Fcドメインは更に、C末端リジンを含むか、またはC末端リジンもしくはC末端グリシン-リジンジペプチドのいずれかを欠くことが可能である。
本発明は更に、重鎖(HC)可変ドメイン(VH)を有する重鎖(HC)と軽鎖(LC)可変ドメイン(VL)を有する軽鎖(LC)とを含む抗PD-1抗体フラグメントを提供し、ここで、(i)VHはペンブロリズマブの少なくとも3つのHC相補性決定領域(CDR)を含み、そして、VLはペンブロリズマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、(ii)VHはニボルマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはニボルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、または(iii)VHはセミプリマブ-rwlcの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはセミプリマブ-rwlcの少なくとも3つのLC-CDRを含む。
抗PD-1抗体フラグメントの更に他の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、(i)配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または、(iii)配列番号99に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号100に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
前記の抗PD-1抗体フラグメントの特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、F(ab)、F(ab’)2、FvおよびscFvからなる群から選択される。
本発明は更に、表19~27に開示されている抗PD-1抗体のそれぞれを提供する。
本発明は更に、本明細書に開示されている抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
本発明は更に、
(a)重鎖(HC)可変ドメイン(VH)を有する重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変ドメイン(VL)を有する軽鎖(LC)[ここで、(i)VHはデュルバルマブの少なくとも3つのHC相補性決定領域(CDR)を含み、そして、VLはデュルバルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、(ii)VHはアベルマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはアベルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、または、(iii)VHはアテゾリズマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはアテゾリズマブの少なくとも3つのLC-CDRを含む]、ならびに
(b)(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を含むIgG1、IgG2もしくはIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、N297A/D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、もしくはD265A/N297Gアミノ酸置換を含むIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(iii)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sアミノ酸置換を含むIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iv)S228Pアミノ酸置換と、N267A、P329G、D265A/N297Aアミノ酸置換と、を含むIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、
を含む抗PD-1抗体を提供し、ここで、アミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定され、ただし、VHおよびVLがそれぞれ配列番号107および配列番号108のアミノ酸配列を有する場合には、重鎖(HC)定常ドメインは、N297A/D356E/L358Mの置換組合せを有するIgG1アイソタイプではなく、あるいは、VHおよびVLがそれぞれ配列番号103および配列番号104のアミノ酸配列を有する場合には、HC定常ドメインは、L234F/L235E/P331S/D356E/L358Mの置換組合せを有するIgG1アイソタイプではない。
前記の抗PD-L1抗体の更に他の実施形態において、抗PD-L1抗体は、(i)配列番号103に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号104に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号105に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号106に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または、(iii)配列番号107に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号108に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
抗PD-L1抗体の特定の実施形態において、本明細書に開示されているIgG1、IgG2またはIgG4 Fcドメインは更に、C末端リジンを含むか、または、C末端リジンもしくはC末端グリシン-リジンジペプチドのいずれかを欠くことが可能である。
本発明は更に、重鎖(HC)可変ドメイン(VH)を有する重鎖(HC)と軽鎖(LC)可変ドメイン(VL)を有する軽鎖(LC)とを含む抗PD-L1抗体フラグメントを提供し、ここで、(i)VHはデュルバルマブの少なくとも3つのHC相補性決定領域(CDR)を含み、そして、VLはデュルバルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、(ii)VHはアベルマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはアベルマブの少なくとも3つのLC-CDRを含み、または、(iii)VHはアテゾリズマブの少なくとも3つのHC-CDRを含み、そして、VLはアテゾリズマブの少なくとも3つのLC-CDRを含む。
更に他の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、(i)配列番号103に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号104に記載されているアミノ酸配列を有するVL、(ii)配列番号105に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号106に記載されているアミノ酸配列を有するVL、または、(iii)配列番号107に記載されているアミノ酸配列を有するVHおよび配列番号108に記載されているアミノ酸配列を有するVLを含む。
前記の抗PD-L1抗体フラグメントの特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、F(ab)、F(ab’)2、FvおよびscFvからなる群から選択される。
本発明は更に、表28~36に開示されている抗PD-L1抗体のそれぞれを提供し、ただし、VHおよびVLがそれぞれ配列番号107および配列番号108のアミノ酸配列を有する場合には、重鎖(HC)定常ドメインは、N297A/D356E/L358Mの置換組合せを有するIgG1アイソタイプではなく、あるいは、VHおよびVLがそれぞれ配列番号103および配列番号104のアミノ酸配列を有する場合には、HC定常ドメインは、L234F/L235E/P331S/D356E/L358Mの置換組合せを有するIgG1アイソタイプではない。
本発明は更に、本明細書に開示されている抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
本発明は更に、(i)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体および本明細書に開示されている抗PD-1抗体および薬学的に許容される担体を含む、または、(ii)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体および本明細書に開示されている抗PD-L1抗体および薬学的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
本発明は更に、(i)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体フラグメントおよび本明細書に開示されている抗PD-1抗体および薬学的に許容される担体を含む、または、(ii)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体フラグメントおよび本明細書に開示されている抗PD-L1抗体および薬学的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
本発明は更に、(i)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体フラグメントおよび本明細書に開示されている抗PD-1抗体フラグメントおよび薬学的に許容される担体を含む、または、(ii)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体フラグメントおよび本明細書に開示されている抗PD-L1抗体フラグメントおよび薬学的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
本発明は更に、(i)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体および本明細書に開示されている抗PD-1抗体フラグメントおよび薬学的に許容される担体を含む、または、(ii)本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体および本明細書に開示されている抗PD-L1抗体フラグメントおよび薬学的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
本発明は更に、個体における癌の治療のためのまたは個体における癌の治療用医薬の製造のための、本明細書に開示されている抗CTLA-4、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体または組成物のいずれかを提供する。
本発明は更に、個体における癌の治療のためのまたは個体における癌の治療用医薬の製造のための、本明細書に開示されている抗CTLA-4、抗PD-1もしくは抗PD-L1抗体フラグメントまたは組成物のいずれかを提供する。
特定の実施形態において、癌は、黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、乳癌、胃腸癌、多発性骨髄腫、肝細胞癌、非ホジキンリンパ腫、腎癌、ホジキンリンパ腫、中皮腫、卵巣癌、小細胞肺癌、食道癌、肛門癌、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌または唾液腺癌である。
特定の実施形態において、癌は、膵臓癌、気管支癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系癌、末梢神経系癌、子宮もしくは子宮内膜癌、口腔もしくは咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは虫垂癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である。
図1A~1E:CTLA-4遮断媒介性大腸炎はFc依存性である。Balb/cマウスを、示されているとおりに、抗体で週2回、55日間処置した。図1A:Fcコンピテント(competent)抗CTLA-4抗体(α-CTLA4)またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体の投与の後の腸炎症遺伝子発現プロファイリングは、D265A置換(α-CTLA4(D265S))を有する。7週間にわたる週2回の処置の後、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による腸炎症マーカーの評価のために、近位小腸を収集した。アイソタイプ対照処置と比較した場合のそれらの2つの抗体に関する腸炎症遺伝子の発現の変化倍数のヒートマップが示されている。複数のパネルにおいて発現を分析し、各パネル内でサイクル閾値データをユビキチンに対して正規化した。複数のパネルの一部として分析された遺伝子からの正規化データを平均化した後、アイソタイプ対照に対する変化倍数を決定した。図1B:実験期間中の体重減少。図1C:第49日および第50日に血清中のFITC-デキストラン蛍光を測定することにより、腸透過性を評価した。図1D:相対的腸炎症および大腸炎重症度に関する組織学的所見が認定病理医によって検査され、スコア化された。図1E:第55日からの結腸のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色組織切片の代表的な顕微鏡写真。
図2A~2E:CTLA-4 ISVD(nAb)の特徴づけ。図2A:エフェクター-サイレントCTLA4 ISVD(CTLA4 nAb)とエフェクターコンピテントα-CTLA4との比較。図2B:脾臓活性化T細胞を、示されているとおりに、CLTA4 nAbまたはα-CTLA4の存在下、3日間培養した。増殖(図2C)、IFNγの産生(図2D)およびIL-2の産生(図22E)を測定し、アイソタイプ対照(マウスIgG2a)に対する変化倍数としてプロットした。データは2~3回の独立した実験の代表例である。
図3A~3D:抗PD-1抗体(α-PD1)と組合されたCTLA4 nAbは強力な抗腫瘍効果を有する。図3A:腫瘍が100mm3(範囲78~125mm3)の平均サイズに達したら、示されている抗体(α-CTLA4、α-PD1α-CTLA4(D265A))を20mpkで、および/またはCTLA4 nAbを30mpkで、CT26腫瘍担持マウスに4日ごとに5用量投与した。データは32日間にわたる平均腫瘍体積を示す。結果は2つの独立した実験の代表例である(n=マウス10匹/群)。図3B:示されているとおりの処置後第1日の腫瘍におけるCD8 T細胞/Foxp3+ Treg比。結果は2つの独立した実験の代表例である(n=マウス7匹/群)。図3Cおよび図3D:処置後第8日の全腫瘍からの遺伝子発現プロファイル。結果は1つまたは2つの独立した実験の代表例である(n=マウス5匹/群)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001(独立t検定)。エラーバー±SEM。図3E:アイソタイプ対照と比較した場合の各処置群に関する個々の動物腫瘍体積を示す。第39日までの完全奏効(CR)が応答性処置群に関して示されている。データは、n=マウス10匹/群の場合の2つの独立した実験の代表例である。
図4A~4D:抗CTLA-4抗体媒介性大腸炎はFc依存性である。Balb/cマウスを、示されているとおりに、抗体(α-CTLA4、α-PD1、α-CTLA4(D265A))のみで、またはCTLA4 nAbと組み合わせて、週2回、55日間処置した。図4A:実験期間中の体重減少。図4B:第55日における近位空腸における腸炎の組織学的評価。図4C:結腸のH&E染色組織切片の顕微鏡写真。図4D:アイソタイプ対照処置と比較した場合の、示されているサンプルに関する腸炎症遺伝子の発現の変化倍数のヒートマップを示す。複数のパネルにおいて発現を分析し、各パネル内でサイクル閾値データをユビキチンに対して正規化した。複数のパネルの一部として分析された遺伝子からの正規化データを平均化した後、アイソタイプ対照に対する変化倍数を決定した。
図5A~5C:Fcエフェクター機能性抗CTLA-4は皮膚炎症を誘発するが、系炎症を誘発しない。Balb/cマウスを、示されているとおりに、α-CTLA4またはα-CTLA4(D265A)で、週2回、55日間処置した。図5A:耳皮膚のH&E染色組織切片の顕微鏡写真。図5B:耳皮膚IL-17産生T細胞、Foxp3+ Treg細胞および好中球の絶対数をフローサイトメトリーにより測定した。図5C:腎臓(上パネル)、肝臓(中央パネル)および肺(下パネル)のH&E染色組織切片の顕微鏡写真。結果は、2つの独立した実験のうちの1つを表している(n=マウス4~8匹/群)。スケールバーは100μmを表す。エラーバー±SEM。
図6A~6D:Fc充足抗CTLA-4抗体は結腸Foxp3+ Tregを枯渇させない。図6A:示されている器官におけるCT26腫瘍担持マウスにおける細胞内CTLA-4染色。図6B:Foxp3+ Treg細胞におけるCTLA-4の平均蛍光強度(MFI)。**p<0.01、***p<0.001(対応t検定)。図6Cおよび図6D:示されているとおりに処置された24時間後の結腸粘膜固有層およびCT26腫瘍浸潤性Foxp3+ Tregの代表的なドットプロットおよび統計。データは2~4つの独立した実験の代表例である(n=マウス4~12匹/群)。**p<0.01、***p<0.001(独立t検定)。エラーバー±SEM。
図7A~7D:Fc機能は、抗CTLA-4阻害Treg媒介性大腸炎抑制において、腸に関与した。脾臓CD45RbhighナイーブT細胞をCB17-SCIDレシピエントマウスに導入し、示されているとおりにα-CTLA4またはCTLA4 nAbで処置した。図7A:実験期間中の体重減少。図7B:結腸のH&E染色組織切片の顕微鏡写真。図7C:第47日の病理学的スコア(n=マウス14~18匹/群)。図7D:ナイーブT細胞移植後第47日における結腸全体の遺伝子発現プロファイル(n=マウス6匹/群)。データは2つの独立した実験のうちの1つを表す。Ns=非有意。****p<0.0001(独立t検定)。エラーバー±SEM。
図8A~8E:FcγR結合およびCTLA-4遮断は結腸マクロファージを活性化する。図8Aおよび図8B:CT26担持マウスの脾臓、結腸粘膜固有層および腫瘍から単離されたマクロファージ上のCD16/CD32表面発現をフローサイトメトリーにより評価した。図8C:CT26担持マウスの脾臓、結腸粘膜固有層および腫瘍におけるマクロファージ(CD45+ CD11b+ F4/80+)の割合をフローサイトメトリーにより評価した。図8D:α-CTLA4、α-CTLA4(D265A)またはCTLA4 nAbで処置されたマウスの結腸からのIl1b、Tnfα、IfnγおよびStat1 mRNA発現を処置後第0日、第10日および第18日に評価した。データは2つの独立した実験の代表例である(n=マウス8~10匹/群)。ns=非有意、**p<0.01、***p<0.001(対応t検定)。エラーバー±SEM。図8E:結腸粘膜固有層IL-17産生CD4+ T細胞(CD45+ TCRb+ CD4+ CD8a- IL-17A+)の割合、IFNγ産生CD8a+ T細胞(CD45+ TCRb+ CD4- CD8a+ IFNγ+)の絶対数および好中球(CD45+ CD11b+ Ly6Ghigh)をフローサイトメトリーにより測定した。結果は2つの独立した実験のうちの1つを表す(n=マウス4~8匹/群)。**p<0.01(独立t検定)。スケールバーは100μm エラーバー±SEMを表す。
図9A~9B:マウス同系MB49膀胱腫瘍モデル研究における抗腫瘍効果。図9A:腫瘍が102mm3(87~117mm3の範囲)の平均サイズに達したら、示されている抗体の用量(30mg/kg CTLA-4 nAb、10mg/kg α-CTLA4、5mg/kg α-PD1、またはCTLA4 nAbとα-PD-1との組合せ)をMB49腫瘍担持マウスに4日ごとに4用量投与した。データは21日間にわたる平均腫瘍体積を示す。結果は2つの独立した実験の代表例である(n=マウス10匹/群)。図9B:各処置群に関する個々の動物の腫瘍体積を示す。第21日までの完全奏効(CR)が応答性処置群に関して示されている。データはn=マウス10匹/群の実験の結果を示す。
図10A~10B:マウス同系MC38結腸腫瘍モデル研究における抗腫瘍効果。図10A:腫瘍が220mm3(範囲179~261mm3)の平均サイズに達したら、示されている抗体の用量(30mg/kg CTLA-4 nAb、10mg/kg α-CTLA4、5mg/kg α-PD1、またはCTLA4 nAbとα-PD-1との組合せ)をMC38腫瘍担持マウスに4日ごとに4用量投与した。データは23日間にわたる平均腫瘍体積を示す。結果は2つの独立した実験の代表例である(n=マウス10匹/群)。図10B:各処置群に関する個々の動物の腫瘍体積を示す。第23日までの完全奏効(CR)が応答性処置群に関して示されている。データはn=マウス10匹/群の実験の結果を示す。
図11:エフェクター細胞による腸炎症の誘発。腸炎症のFc媒介性誘発がTreg枯渇には無関係にエフェクターT細胞により誘導されうることを例示するカートーン。
発明の詳細な説明
定義
本明細書中で用いる「有害事象」または「AE」は、ヒト個体における医学的治療または行為の実施による医学的治療の実施に一時的に関連しているいずれかの好ましくなく意図しない兆候(異常な検査所見を含む)、症状または疾患(これらは医学的治療または行為に関連しているとみなされてもみなされなくてもよい)として、米国保健福祉省(U.S.Department of health and Human Services)により2017年11月27日付で公開された有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse events)(CTCAE)バージョン5.0に記載されている。AEは、医学的考証および科学的分析に使用される特定の事象を一意的に表す用語である。医学的治療は1以上の関連AEを有する可能性があり、各AEは、同じまたは異なる重症度を有しうる。AEの重症度にはグレード(Grade)が割り当てられる。CTCAEは、この一般的な指針に基づいて、各AEに関する重症度の特有の臨床的説明と共に、グレード1~5を示している。グレード1:軽度、または無症候性または軽度の症状、臨床的または診断的観察のみ、あるいは介入が適応とならない。グレード2:中等度または最小限の、局所的または非侵襲的介入が適応となる、あるいは、年齢に適した手段的日常生活動作(ADL)が制限される。グレード3:重度、または医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすわけではない、あるいは入院または入院延長が適応となる、身体障害となる、セルフケア(ADL)が制限される。グレード4:生命を脅かす結果、または緊急の介入が適応となる。グレード5:AEに関連した死亡。
本明細書中で用いる「抗体」は、(a)ジスルフィド結合により相互連結された少なくとも2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)、または(b)ラクダ抗体の種の場合には、ジスルフィド結合により相互連結された少なくとも2つの重鎖(HC)を含む糖タンパク質を意味する。各HCは、重鎖可変領域またはドメイン(VH)と重鎖定常領域またはドメインとから構成される。天然に存在する特定のIgG、IgDおよびIgA抗体においては、重鎖定常領域は3つのドメイン、すなわち、CH1、CH2およびCH3から構成される。一般に、抗体の基本的な抗体構造単位は、2つのHC/LCペアを含む四量体であり、ただし、ラクダ抗体の種は2つのHCのみを含み、この場合、構造単位はホモ二量体である。各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアを含み、各ペアは1つのLC(約25kDa)およびHC鎖(約50~70kDa)を有する。
天然に存在する特定の抗体においては、各軽鎖は、LC可変領域またはドメイン(VL)とLC定常ドメインとから構成される。LC定常ドメインは1つのドメインCLから構成される。ヒトVHは6個のファミリーメンバー、すなわち、VH1、VH2、VH3、VH4、VH5およびVH6を含み、ヒトVLは16個のファミリーメンバー、すなわち、Vκ1、Vκ2、Vκ3、Vκ4、Vκ5、Vκ6、Vλ1、Vλ2、Vλ3、Vλ4、Vλ5、Vλ6、Vλ7、Vλ8、Vλ9およびVλ10を含む。これらのファミリーメンバーのそれぞれは、特定のサブタイプに更に分けられうる。VHおよびVLドメインは、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に更に細分可能であり、それらのなかに、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が散在している。各VHおよびVLは、3つのCDR領域と4つのFR領域とから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用するCDRを含む結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合をもたらしうる。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabatら;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabatら,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothiaら,(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothiaら,(1989)Nature 342:878-883の定義に従う。
典型的には、重鎖定常ドメインにおけるアミノ酸の番号付けは番号118から開始し、これはEu番号付けスキームに従うものである。Eu番号付けスキームはヒトIgG1(Eu)のアミノ酸配列に基づいており、これは、Edelmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.63:78-85(1969)に記載されているIgG1のアミノ酸配列の118位から開始する定常ドメインを有し、Berangerら編,Ginetoux,Correspondence between the IMGT unique numbering for C-DOMAIN,the IMGT exon numbering,the Eu and Kabat numberings:Human IGHG,作成日17/05/2001,バージョン:08/06/2016(これはwww.imgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.html#rにおいてアクセス可能である)に、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常ドメインに関して示されている。
一般に、抗体のVH/VLペアは6つのCDR(VH上の3つのCDRおよびVL上の3つのCDR)を含むが、最先端技術は、ほとんどの場合、重鎖のCDR3領域が抗体特異性の主要決定因子であると認識しており、重鎖のCDR3のみに基づく特異的抗体生成の例が当技術分野で公知である(例えば、Beiboerら,J.Mol.Biol.296:833-849(2000);Klimkaら,British J.Cancer 83:252-260(2000);Raderら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8910-8915(1998);Xuら,Immunity 13:37-45(2000))。Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)(抗体のCDR領域を配列により定めている)を参照されたい。また、Chothia & Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987)(抗体のCDR領域を構造により定めている)を参照されたい。
抗体が結合する抗原におけるエピトープを含むアミノ酸と特異的に相互作用するアミノ酸を含む抗体配列におけるCDRを特定するためには、www.bioinf.org.uk(Andrew C.R.Martin教授のグループ)に開示され、以下の表に再掲されている以下の一般則が用いられうる。これらの一般的に不変の特徴が見出されない稀な例が存在するが、Cys残基は最も保存された特徴である。
一般に、基本的な抗体構造単位は、四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一ペアを含み、各ペアは、1つのLC(約25kDa)およびHC(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識をもたらす約100~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。HCのカルボキシ末端部分は、抗体のエフェクター機能を主にもたらす定常領域を定めうる。典型的には、ヒトLCは、カッパおよびラムダLCとして分類される。更に、ヒトHCは、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体のアイソタイプを定める。LCおよびHCにおいては、可変領域および定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域により連結されており、HCは約10個以上のアミノ酸の「D」領域をも含む。全般的には、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.編,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい。
抗体の重鎖は、末端リジン(K)残基、または、末端グリシンおよびリジン(GK)残基を有する、または有さない可能性がある。したがって、特定の実施形態において、本発明における抗体は、本明細書中に示されている重鎖定常領域アミノ酸配列を含み、更に、末端リジンを欠き、グリシン残基で終結し、あるいは他の実施形態においては末端グリシン残基も欠く。これは、末端リジン、時にはグリシンとリジンとが一緒に、抗体の発現中に切断されうるか、または、人体に導入されると切断除去されるからであり、この場合、抗体の有効性、安定性または免疫原性に対する明らかな悪影響は伴わない。幾つかの場合には、重鎖をコードする核酸分子は、末端リジンをコードするコドンまたは末端リジンおよびグリシンのコドンが意図的に省略されうる。
本明細書中で用いる「抗体フラグメント」または「抗原結合性フラグメント」は、完全長抗体のフラグメント、すなわち、完全長抗体が結合する抗原に特異的に結合する能力を保有するが完全長より短い抗体フラグメントを意味し、これは、Fcドメイン全体を欠いているか、またはFcγRへの抗体の結合をもたらすFcドメインの部分を欠いている。抗体結合性フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ダイアボディ;scFv分子;ナノボディ(NANOBODY)、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いる「キメラ抗体」は、一次抗体からの可変ドメインと二次抗体からの定常ドメインとを有する抗体であり、ここで、(i)一次抗体および二次抗体は、異なる種に由来し(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))、または、(ii)一次抗体および二次抗体は、異なるアイソタイプに由来し、例えば、可変ドメインはIgG1抗体に由来し、定常ドメインはIgG4に由来する。1つの態様においては、可変ドメインは、非ヒト抗体、例えばマウス抗体(「親抗体」)から得られ、定常ドメイン配列は、ヒト抗体から得られる。もう1つの態様においては、可変ドメインは、マウス抗体由来のヒト化可変ドメインであり、定常ドメインはヒト抗体のものである。
本明細書中で用いる「併用療法」は、第1治療用物質および第2治療用物質を連続的または同時に個体に投与することを含む、ヒトまたは動物個体の治療を意味する。一般に、第1治療用物質および第2治療用物質は混合物としてではなく別々に個体に投与され;しかし、投与前に第1治療用物質と第2治療用物質とを混合する実施形態がありうる。
本明細書中で用いる「保存的置換」は、タンパク質の生物活性を改変することなく変化が頻繁に施されうるような、類似した特性(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格コンホメーションおよび剛性など)を有する他のアミノ酸によるアミノ酸の置換を意味する。一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換は、生物活性を実質的に変化させないと当業者は認識している(例えば、Watsonら Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Ed.)(1987)を参照されたい)。また、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換を表2に示す。
「細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4」、「CTLA4」、「CTLA4」、「CTLA4抗原」および「CD152」(例えば、Murata,Am.J.Pathol.155:453-460(1999)を参照されたい)は互換的に用いられ、変異体、アイソフォーム、ヒトCTLA-4の種ホモログ、およびCTLA-4と少なくとも1つの共通のエピトープを有する類似体を含む(例えば、Balzano,Int.J.Cancer Suppl.7:28-32(1992)を参照されたい)。完全なCTLA-4核酸配列は、GenBankアセッション番号L15006として見出されうる。
本明細書中で用いる「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因し抗体アイソタイプによって異なる生物活性を意味する。抗体エフェクター機能の例には、Clq結合および補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、およびB細胞活性化が含まれる。抗体は幾つかのメカニズムにより作用し、そのほとんどは免疫系の他の武器に関わる。抗体は分子の相互作用を単に遮断することが可能であり、あるいは、C1複合体上のC1qとクラスター化抗体との相互作用により古典的補体経路(補体依存性細胞傷害またはCDCとして公知である)を活性化することが可能である。重要なことに、抗体は、Fc受容体の関与により、抗体媒介性免疫応答と細胞性免疫応答とを結びつけるものとしても作用する。
本明細書中で用いる「エフェクター-サイレント」は、(i)Biacore(ビアコア)アッセイで測定可能である、1以上のFc受容体(FcR)への測定可能な結合を示さない(ここで、マイクロモル範囲の会合定数は、測定可能な結合を示さない)、または(ii)同じアイソタイプの抗体に典型的である結合と比較して、低減したBiacoreアッセイで測定可能な1以上のFcRへの測定可能な結合を示す抗体または抗体フラグメントに関するものである。特定の実施形態において、抗体は、HC定常ドメインおよびFcドメインに1以上の突然変異を含むことが可能であり、特に、それにより、突然変異抗体は、突然変異抗体と同じアイソタイプの野生型抗体と比較して、FcγRIIIa、FcγRIIaおよびFcγRIへの測定可能な結合が低減しており、または該結合を有さない。特定の実施形態において、FcγRIIIa、FcγRIIaおよびFcγRIの1以上に対するエフェクター-サイレント抗体のアフィニティまたは結合定数は、野生型アイソタイプのアフィニティと比較して少なくとも1000倍減少しており、野生型アイソタイプのアフィニティと比較して少なくとも100倍~1000倍減少しており、野生型アイソタイプのアフィニティと比較して少なくとも50倍~100倍減少しており、または野生型アイソタイプのアフィニティと比較して少なくとも10倍~50倍減少している。特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体は、野生型アイソタイプによる結合と比較して、FcγRIIIa、FcγRIIaおよびFcγRIの1以上への検出可能または測定可能な結合を示さない。一般に、エフェクター-サイレント抗体は、測定可能な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を欠いている。エフェクター-サイレント抗体フラグメントは、Fcドメイン、またはFcRへの結合をもたらすFcドメインの部分を欠いており、したがって、FcγRIIIa、FcγRIIaまたはFcγRIの1以上への検出可能または測定可能な結合を示さない。エフェクター-サイレント抗体または抗体フラグメントの場合、結合はヒトFcRに対して測定される。
本明細書中で用いる「Fabフラグメント」は、1つのLCと、1つのHCのVHおよびCH1とを含み、そして、HC定常ドメインの残部を含有しない。Fab分子のCH1は、別のFabフラグメントまたはHC含有分子とジスルフィド結合を形成できない。「Fabフラグメント」は、抗体のパパイン切断の産物でありうる。
本明細書中で用いる「Fab’フラグメント」は、1つのLCと、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域までのHC定常ドメインおよびVHドメインを含有する1つのHCのフラグメントとを含み、そして、HC定常ドメインの残部を含有せず、その結果、2つのFab’フラグメントの2つのHC間で鎖間ジスルフィド結合が形成されて、F(ab’)2分子が形成されうる。
本明細書中で用いる「F(ab’)2フラグメント」は、2つのLCおよび2つのHCフラグメントを含み、各HCフラグメントは、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域までのHC定常ドメインおよびVHドメインを含み、そして、HC定常ドメインの残部を含有せず、その結果、2つのHC間で鎖間ジスルフィド結合が形成される。したがって、F(ab’)2フラグメントは、2つの重鎖間のジスルフィド結合により互いに結合した2つのFab’フラグメントから構成される。F(ab’)2フラグメントは、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の部位で抗体を切断するペプシンで抗体を消化することにより得られうる。
本明細書中で用いる「Fcドメイン」または「Fc」は、抗体のCH2ドメインおよびCH3ドメインを含む抗体から得られる結晶化可能なフラグメントドメインまたは領域である。抗体において、2つのFcドメインは、2以上のジスルフィドにより、およびCH3ドメインの疎水性相互作用により互いに結合する。Fcドメインは、抗体をプロテアーゼパパインで消化することにより得られうる。
本明細書中で用いる「Fc受容体」または「FcR」は、抗体媒介性(体液性)免疫応答を細胞エフェクター機能と結び付ける重要な免疫調節性受容体である。FcγR(IgG)、FcεRI(IgE)、FcαRI(IgA)、FcμR(IgM)およびFcδR(IgD)を含む、全てのクラスの免疫グロブリンの受容体が特定されている。白血球上で見出されるヒトIgGに対する受容体の、以下の3つのクラスが存在する:CD64(FcγRI)、CD32(FcγRIIa、FcγRIIbおよびFcγRIIc)およびCD16(FcγRIIIaおよびFcγRIIIb)。FcγRIは高アフィニティ受容体(ナノモル範囲のKD)として分類され、一方、FcγRIIおよびFcγRIIIは、低から中程度のアフィニティ(マイクロモル範囲KD)である。抗体依存性細胞傷害(ADCC)においては、エフェクター細胞(ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球および好酸球)の表面上のFcRが、標的細胞に結合しているIgGのFc領域に結合する。結合に際して、シグナル伝達経路が始動し、これは溶解酵素、パーフォリン、グランザイムおよび腫瘍壊死因子のような種々の物質の分泌を引き起こし、これらは標的細胞の破壊をもたらす。ADCCエフェクター機能のレベルはヒトIgGサブタイプによって異なる。これはアロタイプおよび特定のFcRに左右されるが、簡単に言うと、ADCCエフェクター機能はヒトIgG1およびIgG3においては高く、IgG2およびIgG4においては低い。
本明細書中で用いる「Fv領域」は単一のVHおよびVLペアを含み、ここで、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドは、ジスルフィド結合により互いに結合している。
本明細書中で用いる「ヒト化」[リシェーピング(Reshaping)またはCDRグラフティングとも称される]は、異種(一般には、げっ歯類)由来のモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低下させるための、およびエフェクター機能(ADCC、補体活性化、C1q結合)を改善するための十分に確立された技術である。操作されるmAbは、分子生物学の技術を用いて操作されるが、ヒトフレームワークへのげっ歯類相補性決定領域(CDR)の単なるCDRグラフティングは、しばしば、元のmAbの結合アフィニティおよび/または特異性の喪失をもたらす。抗体をヒト化するために、ヒト化抗体の設計は、CDRの残基における保存的アミノ酸置換、およびげっ歯類mAbからヒトフレームワーク領域への残基の逆置換(逆突然変異)のような変異を含む。位置は、構造分析のための配列比較によりまたは可変領域の三次元構造の相同性モデルの分析により、識別または特定されうる。親和性(アフィニティ)成熟のプロセスは、ごく最近では、選択された位置におけるアミノ酸を変化させるためにファージライブラリーを使用している。同様に、げっ歯類CDRをグラフティングするための最も適切なヒトフレームワークを選択するために、多数のアプローチが用いられている。抗体構造に関する既知パラメーターのデータセットが増加するにつれて、これらの技術の高度化および洗練も促進される。単一抗体からのコンセンサスもしくは生殖細胞系列配列、または幾つかの異なるヒトmAbからの各軽鎖もしくは重鎖可変領域内のフレームワーク配列の断片が使用されうる。ヒト化のためのもう1つのアプローチは、げっ歯類配列の表面残基のみをヒトmAbにおいて見出される最も一般的な残基で修飾することであり、「リサーフェシング(resurfacing)」または「ベニアリング(veneering)」と呼ばれている。しばしば、ヒト抗体またはヒト化抗体はヒトにおいて実質的に非免疫原性である。
本明細書中で用いる「ヒト化抗体」は、ヒト抗体および非ヒト(例えば、マウス、ラット)抗体の両方からの配列を含有する抗体または抗体フラグメントの形態を意味する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを含み、ここで、超可変ループは、非ヒト免疫グロブリンのループに対応し、フレームワーク(FR)領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、所望により、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(例えば、Fcドメイン)を含みうる。
本明細書中で用いる「過剰増殖性疾患」は、細胞増殖が正常レベルを超えて増加する症状を意味する。例えば、過剰増殖性疾患または障害には、悪性疾患(例えば、食道癌、結腸癌、胆管癌)および非悪性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、良性過形成、良性前立腺肥大)が含まれる。
本明細書中で用いる「免疫関連有害事象」または「irAE」は、抗PD-1、抗PD-L1および抗CTLA-4抗体のような1以上の免疫チェックポイントインヒビターの使用に起因しうる免疫系の不均衡による自己免疫症状であるAEを意味する。
本明細書中で用いる「免疫応答」は、侵入病原体、病原体感染細胞もしくは組織、癌性細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合には正常ヒト細胞もしくは組織の選択的損傷、破壊、人体からの排除をもたらす、例えばリンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、および前記細胞または肝臓により産生される可溶性高分子(抗体、サイトカインおよび補体を含む)の作用を意味する。
本明細書中で用いる「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(「ISV」またはISVDとも称される)は、一般に、別の可変ドメインとの相互作用を伴わずに(例えば、通常の4本鎖モノクローナル抗体のVHドメインとVLドメインとの間で要求されるVH/VL相互作用を伴わずに)機能的抗原結合部位を形成しうる免疫グロブリン可変ドメイン(これは、VH、VHHまたはVLドメインを含む重鎖または軽鎖ドメインでありうる)を意味するものとして用いられる。ISVDの例には、ナノボディ(NANOBODY)(VHH、ヒト化VHHおよび/またはラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVHを含む)、IgNAR、ドメイン、VHドメインである又はVHドメイン由来である(単一ドメイン)抗体(例えば、dAb(商標))、およびVLドメインである又はVLドメイン由来である(単一ドメイン)抗体(例えば、dAb(商標))が含まれる。重鎖可変ドメイン(例えば、VHまたはVHHドメイン)に基づくおよび/または由来するISVDが一般に好ましい。
本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団を意味し、すなわち、集団を含む抗体分子は、少量で存在しうる考えられうる天然で生じる突然変異の場合を除き、アミノ酸配列において同一である。対照的に、通常の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープにしばしば特異的である可変ドメインにおける異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特性を示しており、いずれかの特定の方法による抗体の製造を要すると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら,Nature 256:495(1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法により製造可能であり、あるいは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)により製造可能である。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら,Nature 352:624-628(1991)およびMarksら,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されうる。Presta J.Allergy Clin.Immunol.116:731(2005)も参照されたい。
本明細書中で用いる「NANOBODY」および「ナノボディ」は、Ablynx N.V.の登録商標である。
抗体または免疫グロブリンに関して本明細書中で用いる「非ヒトアミノ酸配列」は、非ヒト哺乳動物のアミノ酸配列に特徴的であるアミノ酸配列を意味する。この用語は、ライブラリーの多様性がインシリコで生成される完全ヒト抗体ライブラリーから得られる抗体または免疫グロブリンのアミノ酸配列を含まない(例えば、米国特許第8,877,688号または第8,691,730号を参照されたい)。
「PD-1」は、T細胞調節因子の拡張CD28/CTLA-4ファミリーの抑制性メンバーであるプログラム死1(PD-1)タンパク質を意味する(Okazakiら,Curr.Opin.Immunol.14:391779-82(2002);Bennettら,J.Immunol.170:711-8(2003))。CD28ファミリーの他のメンバーには、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAが含まれる。PD-1遺伝子は、55kDaのI型膜貫通タンパク質をコードしている(Agataら,Intl.Immunol.8:765-72(1996))。PD-1の2つのリガンド、すなわち、PD-L1(B7-H1)およびPD-L2(B7-DC)が特定されており、これらは、PD-1に結合すると、T細胞活性化をダウンレギュレートすることが示されている(Freemanら(2000)J.Exp.Med.192:1027-34;Carterら(2002)Eur.J.Immunol.32:634-43)。PD-1は、TCRシグナルを負に調節する免疫抑制性タンパク質として公知である(Ishida,Y.ら,EMBO J.11:3887-3895(1992);Blank,C.ら,Immunol.Immunother.56(5):739-745(Epub 2006 Dec.29))。PD-1とPD-L1との間の相互作用は免疫チェックポイントとして機能し、これは、例えば、腫瘍浸潤リンパ球の減少、T細胞受容体媒介性増殖の低減および/または癌細胞による免疫回避につながりうる(Dongら,J.Mol.Med.81:281-7(2003);Blankら,Cancer Immunol.Immunother.54:307-314(2005);Konishiら,Clin.Cancer Res.10:5094-100(2004))。免疫抑制は、PD-1とPD-L1またはPD-L2との局所相互作用を阻害することにより逆転可能であり、また、PD-1とPD-L2との相互作用が遮断された場合、効果は相加的である(Iwaiら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 99:12293-12297(2002);Brownら,J.Immunol.170:1257-66(2003))。
「プログラム死1」、「プログラム細胞死1」、「タンパク質PD-1」、「PD-1」、「PD1」、「PDCD1」、「hPD-1」および「hPD-1」は互換的に用いられ、変異体、アイソフォーム、ヒトPD-1の種ホモログ、およびPD-1と少なくとも1つの共通のエピトープを有する類似体を含む。完全なPD-1配列はGenBankアクセッション番号U64863において見出されうる。
本明細書中で用いる「ScFv」または「一本鎖可変フラグメント」は、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドにより互いに融合または連結されたVHおよびVLを含む融合タンパク質である。リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、また、溶解性のためにセリンまたはスレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端に連結することが可能であり、またはその逆も可能である。このタンパク質は、定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保有する。
本明細書中で用いる「治療量以下の用量」は、過剰増殖性疾患(例えば、癌)の治療のために単独で投与される場合の治療用化合物の通常のまたは典型的な用量より低い、治療用化合物(例えば、抗体)の用量を意味する。治療用化合物の用量は、標的とされる疾患に応じて変動しうる。例えば、CTLA-4抗体の治療量以下の用量は、切除不能または転移性黒色腫の治療のための抗CTLA-4抗体YERVOY(ヤーボイ)の既知単独療法用量である約3mg/kgより少ない抗体の単一用量、あるいは、黒色腫補助療法の既知単独療法用量である約10mg/kgより少ないYERVOYの単一用量である。
本明細書中で用いる「治療」または「治療する」は、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかを含有する組成物のような治療用物質を、該物質が治療活性または予防活性を示す疾患症状の1以上を有する又は疾患を有する疑いのある対象または患者に内的または外的に投与することを意味する。典型的には、治療用物質は、任意の臨床的に測定可能な度合によるそのような症状の退縮の誘導またはそのような症状の進行の抑制により、治療対象または集団における1以上の疾患症状を軽減するのに有効な量で投与される。いずれかの特定の疾患症状を軽減するのに有効な治療用物質の量は、患者の病態、年齢および体重、ならびに対象において所望の応答を惹起する薬物の能力のような要因によって変動しうる。疾患症状が軽減したかどうかは、その症状の重症度または進行状態を評価するために医師または他の熟練した医療提供者によって典型的に用いられる任意の臨床的尺度により評価されうる。この用語は更に、障害に関連した症状の発生の遅延および/またはそのような障害の症状の重症度の軽減を含む。この用語は更に、既存の無制御の又は望ましくない症状の改善、追加的な症状の予防、およびそのような症状の根本原因の改善または予防を含む。したがって、この用語は、障害、疾患もしくは症状を有するヒトまたは動物対象、またはそのような障害、疾患もしくは症状を発生する可能性を有するヒトまたは動物対象に、有益な結果がもたらされていることを示す。
本明細書中で用いる「治療的有効量」は、治療されている対象において所望の効果を達成するのに十分な特定の物質の量を意味する。例えば、これは、CTLA-4の活性化を抑制し、そして抗腫瘍応答を誘導するのに必要なCTLA-4遮断剤の量、またはそれぞれ抗PD-1または抗PD-L1遮断剤と共投与された場合に抗PD-1または抗PD-L1の応答性を増強するのに必要な量でありうる。
本明細書中で用いる「治療指数」は「治療域」、「安全域」または「治療比」としても公知であり、治療効果をもたらす治療用物質の量と毒性を引き起こす治療用物質の量との比較である。
本明細書中で用いる「治療」は、それがヒトまたは獣医個体に適用される場合には、抗体または抗原結合性フラグメントを、抗体または抗体フラグメントでの治療を要するヒトまたは動物個体と接触させることを含む治療的処置を意味する。
本明細書中で用いる「VHH」は、VHドメインが、HC抗体から得られるまたはHC抗体に由来する、またはHC抗体から誘導されることを示す。重鎖抗体は、2つのHCを有しLCを有さない機能的抗体である。重鎖抗体は、生物学的な科であるラクダ科のメンバーであるラクダ類に存在し、ラクダ類から入手可能である。
序論
市販されている抗PD-1抗体KEYTRUDAおよびOPDIVOのようなPD-1アンタゴニストは、低減したFcγR機能を有するヒトIgG4バックボーンを含み、というのも、FcγR結合機能を有する抗PD-1抗体を使用した前臨床試験は、腫瘍免疫療法に不可欠なCD8+ 細胞傷害性T細胞(CTL)の枯渇ゆえに不十分な抗腫瘍効果を示したからである(例えば、国際特許出願WO2014/089113を参照されたい)。対照的に、高いFcγR結合アフィニティを有するマウスIgG2a-抗CTLA-4抗体を、測定可能なFcγR結合アフィニティを欠く突然変異マウスIgG1-抗CTLA-4抗体と比較した前臨床実験において、抗CTLA-4抗体を使用した単独療法は、強力な抗腫瘍応答を引き起こすためにはFcγR機能を要することが示された(Selbyら,Cancer Immunol Res.1:32-42(2013))。CTLA-4発現は、TIL上では脾臓またはリンパ節におけるTreg集団と比較して高かったため(Simpsonら,J.Exp.Med.210:1695-710(2013))、抗CTLA-4アンタゴニスト単独療法におけるFcγR機能の必要性はマウス腫瘍モデルにおいて、T調節性細胞(Treg)枯渇と相関した。
本発明者らは、抗CTLA-4抗体の有効性のためにFcγR機能が必要であることは、抗CTLA-4抗体を抗PD-1抗体と組み合わせることにより回避されうると仮定した。この仮定は、枯渇CD8+ 細胞傷害性T細胞の抗PD-1媒介性活性化におけるCD28媒介性共刺激のための重要な役割を示す新たなデータにより支持されている。抗CTLA-4および抗PD-1抗体は、異なるメカニズムによりそれらの抗腫瘍活性をもたらす。重要なことに、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体との組合せ効果は、それらの2つの抗体によってもたらされる組合せ遮断は、いずれか一方の抗体のみによっては活性化されない多数の遺伝子(増殖関連遺伝子およびケモカイン遺伝子を含む)の活性化をもたらすので、単に相加的であるだけではない(例えば、図3Cおよび4Dを参照されたい)。これらのデータは、単独療法におけるCTLA-4遮断の作用メカニズムがPD-1遮断と組み合わせて実施された場合のその作用メカニズムとは異なることを示唆している。
新たなデータは、PD-1遮断後のエフェクターT(Teff)細胞の活性化におけるCD28媒介性共刺激の重要性を示している。PD-1シグナル伝達は、以前推定されていたTCRではなく、CD28を脱リン酸化し、そして、CD28シグナル伝達は、PD-1遮断後に観察される抗腫瘍応答の増強に必要である。したがって、単独療法のCTLA-4遮断は主にT細胞プライミング事象を標的としうるが、CTLA-4遮断とPD-1遮断との組合せは、PD-1遮断のみから予想されるもの以上に枯渇T細胞の活性化を促進させると予想される。本発明者らが仮定したところによると、このメカニズムはCTLA-4アンタゴニストにより増強され、これは、irAE媒介性毒性の重要な要因となりうるTreg細胞の枯渇、およびFc受容体の機能には無関係に、CD28媒介性活性化の増強を可能にする。
FcRに結合する抗CTLA-4抗体(Fc機能性抗体)に対するその場合の潜在的な警告は、Treg枯渇または骨髄細胞とT細胞との細胞架橋が、望ましくない免疫関連炎症を誘発しうることである。本発明者らは、CTLA-4遮断癌免疫療法に関連する観察されたirAEに寄与している可能性があるのはFc機能であると仮定した。irAEの誘発のためのFc機能の潜在的な役割に反論するために用いられてきた1つの批評は、イピリムマブ(ヒトIgG1バックボーン上のもの)治療およびトレメリムマブ(ヒトIgG2バックボーン上のもの)治療が共に腸炎症に関連していることである。ヒトIgG2 Fcドメインは、ヒトIgG1と比較して、ヒトFcγRに対する有意に低いアフィニティを有するが、ヒトIgG2バックボーンを有する抗体とIgG1バックボーンを有する抗体との直接比較は、インビトロADCCおよびADCPバイオアッセイを用いた場合、両方が類似レベルのFc機能を誘発することを示している(Vargasら,Cancer Cell.33:649-663(2018))。更に、ヒトIgG1アイソタイプバックボーンまたはヒトIgG2アイソタイプバックボーンのいずれかを有するキメラ抗マウスCTLA-4抗体のインビボTreg枯渇および抗腫瘍活性は、ヒトFcγRノックインマウスにおいて同等であった(Vargasら,同誌))。
同系腫瘍モデルにおいて腸炎症を誘発するためのFc機能の潜在的な役割を評価するための重要な障害は、マウス抗CTLA-4代用抗体を使用した場合の測定可能な炎症および大腸炎の欠如であった。この障害を回避するために、本発明者らは、Cayatteら,Clin.Transl.Gastroenterol.3:e10(2012)において既に開発されている、PCRに基づくパネルを採用して、マウスIBDモデルにおける炎症性腸疾患(IBD)に関連する腸炎症遺伝子のアップレギュレーションを測定した。本明細書中の実施例に示されているとおり、このPCRに基づくパネルは、明白な大腸炎または組織損傷の組織学的証拠の非存在下でさえも、Fc機能性抗マウスCTLA-4抗体(α-CTLA4)で処置されたマウスにおける腸炎症を示すバイオマーカー遺伝子の発現の増加を本発明者らが検出することを可能にした(図1A、3Cおよび4Dを参照されたい)。腸炎症遺伝子発現経路の無症候性刺激のこの観察は本発明者らを鼓舞して、根本的な炎症が臨床的大腸炎の発生へと進行するのかどうかを決定するための治療スケジュールを拡張させた。このirAE大腸炎マウスモデルは、免疫腫瘍学の前臨床開発で利用される同系腫瘍モデルにおいて、付随抗腫瘍応答の状況または非存在下、腸炎症の誘導のためのFc機能の必要性を評価するための実証的実験を本発明者らが実施することを可能にした。
実施例に記載されている結果は、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体もエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントも、測定可能な抗腫瘍活性を単独療法の場合に誘発しないことを明らかに示している。しかし、エフェクター-サイレント抗体またはエフェクター-サイレント抗体フラグメントを抗PD1抗体と組み合わせて投与すると、エフェクター機能性抗CTLA-4抗体の単独で又はそれと抗PD-1抗体との組合せで誘発される抗腫瘍活性に匹敵する抗腫瘍活性がもたらされ(図3Aを参照されたい)、そしてこの場合、エフェクター機能性抗CTLA-4抗体の単独で又はそれと抗PD-1抗体との組合せで観察される腸または皮膚irAEは生じず(図4Bおよび5A)、体重減少も生じない(図4A)。これらの結果、ならびにFc媒介性抗腫瘍活性および腸炎症に関連する潜在的なTreg非依存性メカニズムの本発明者らの発見を考慮すると、本発明は、改善された治療指数およびより広範な有用性を有するCTLA-4/PD-1遮断組合せ抗癌免疫療法を可能にする。
併用療法
本発明は、(i)抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-L1抗体、エフェクター-サイレント抗PD-1抗体フラグメントおよびエフェクター-サイレント抗PD-L1抗体フラグメントからなる群から選択されるPD-1遮断剤と、(ii)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体およびエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントからなる群から選択されるエフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤とを、癌治療を要する個体に投与することを含む、抗癌併用療法を提供する。
エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、PD-1遮断剤との併用療法において、進行性腎細胞癌またはマイクロサテライト不安定性-高またはミスマッチ修復欠損転移性結腸直腸癌を標的とするイピリムマブ/ニボルマブ併用療法として米国FDAにより承認されているイピリムマブの治療量以下の1mg/kg用量より多い用量で投与可能であり、この場合、併用療法の期間中または個体が併用療法を受けている期間の少なくとも一部にわたって、有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse events)(CTCAE)バージョン5.0に記載されている基準によるグレード(Grade)1~2を超える皮膚または腸irAEの誘発リスクがイピリムマブ/ニボルマブ併用療法で観察されるものより低い。特定の実施形態において、用量は、併用療法の期間中または個体が併用療法を受けている期間の少なくとも一部にわたって、グレード1を超えるirAEを誘発しない。
したがって、特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、1mg/kgを超える用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、少なくとも3mg/kgの用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は少なくとも10mg/kgの用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、少なくとも15mg/kgの用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、少なくとも20mg/kgの用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、3mg/kg~20mg/kgの用量で個体に投与されうる。特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、個体の体重に左右されない一定用量、例えば、100mgを超える用量で個体に投与されうる。
併用療法の特定の実施形態において、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤は、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体または(b)エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントである。抗CTLA-4抗体にはエフェクター機能活性が不要であるため、抗CTLA-4抗体は、「エフェクター-サイレント」となるように操作されたHCドメインを有し、すなわち、そのFcドメインは修飾されていて、該抗体は、Biacore(ビアコア)アッセイによる測定で、エフェクター-サイレント抗体と同じアイソタイプの野生型抗体のFcドメイン(例えば、突然変異していないIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 FcドメインのFcドメイン)と比較して、低減したFcR結合を有するか、または測定可能なFcR結合を全く有さない。エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、Fcドメインを欠いているか、または1以上のFcRに結合するFcドメインの領域を欠いている。
特定の実施形態において、本発明の併用療法は、腫瘍を除去するための手術の前または後に個体に投与され、そして、放射線療法の前、途中または後に使用されうる。
特定の実施形態において、本発明の併用療法は、生物療法剤または化学療法剤で以前に治療されていない個体に投与(適用)され、すなわち、個体は未治療である。他の実施形態において、併用療法は、生物療法剤または化学療法剤による以前の療法の後で持続的応答が得られなかった個体に投与され、すなわち、個体は治療経験を有する。
特定の実施形態において、本発明の併用療法は、触診によりまたは当技術分野で周知のイメージング技術、例えばMRI、超音波もしくはCATスキャンにより見出されるのに十分な大きさの腫瘍を治療するために使用される。幾つかの実施形態において、本発明の併用療法は、少なくとも約200mm3、300mm3、400mm3、500mm3、750mm3または最大1000mm3の寸法を有する進行期腫瘍を治療するために使用される。
特定の実施形態において、本発明の併用療法は、PD-L1発現に関して陽性試験結果を示す癌を有する個体に投与される。幾つかの実施形態において、PD-L1発現は、個体から摘出された腫瘍サンプルの固定ホルマリンパラフィン包埋(FFPE)または凍結組織切片における免疫組織化学的(IHC)アッセイにおいて、診断用抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性フラグメントを使用して検出される。個体の担当医は、本発明の併用療法による治療の開始前に個体から摘出された腫瘍組織サンプルにおけるPD-L1発現を決定するための診断試験を指示することが可能であるが、医師は、治療の開始後の任意の時点、例えば治療サイクルの完了後に、最初または後続の診断試験を指示しうると想定される。
併用療法は、本明細書に開示されている例示的な抗PD-1抗体もしくは抗PD-1抗体フラグメントのいずれか1つ、または本明細書に開示されている例示的な抗PD-L1抗体もしくは抗PD-L1抗体フラグメントのいずれか1つと組合された、本明細書に開示されている例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体またはエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントのいずれか1つを含みうる。
(a)エフェクター-サイレント抗体
本発明のエフェクター-サイレント抗体は、抗体が1以上のFcRへの測定可能な結合を示さないようにまたは同じIgGアイソタイプの未修飾抗体のものと比較して低減した1以上のFcRへの結合を示すように修飾されたHC定常ドメインまたはそのFcドメインを含む。他の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体は、FcγRIIIa、FcγRIIaおよびFcγRIのそれぞれへの測定可能な結合を示さない、または同じIgGアイソタイプの未修飾抗体のものと比較して低減した、FcγRIIIa、FcγRIIaおよびFcγRIのそれぞれへの結合を示しうる。特定の実施形態において、HC定常ドメインまたはFcドメインは、ヒトHC定常ドメインまたはFcドメインである。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体は、HC定常ドメインの297位(Eu番号付け系)のアスパラギン(Asn)残基のN-グリコシル化を欠くように修飾されているIgG1またはIgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプのFcドメインを含む。N-グリコシル化のコンセンサス配列はAsn-Xaa-Ser/Thr(ここで、298位のXaaはPro以外の任意のアミノ酸である)であり、4つ全てのアイソタイプにおいて、N-グリコシル化コンセンサス配列はAsn-Ser-Thrである。修飾は、HC定常ドメインをコードする核酸分子における297位のAsnをコードするコドンを、別のアミノ酸、例えばAla、Asp、Gln、GlyまたはGlu、例えば、N297A、N297Q、N297G、N297EまたはN297Dをコードするコドンで置換することにより達成されうる。あるいは、298位のSerのコドンはProのコドンで置換可能であり、299位のThrのコドンはSerのコドン以外の任意のコドンで置換可能である。もう1つの実施形態において、N-グリコシル化コンセンサス配列を含むアミノ酸のそれぞれが別のアミノ酸で置換される。そのような修飾IgG分子は、測定可能なエフェクター機能を有さない。特定の実施形態において、これらの突然変異HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含むことが可能であり、ここで、置換は保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。他の実施形態において、297位のN-グリコシル化を欠くように修飾されたそのようなIgGは、測定可能なエフェクター機能を排除するための本明細書に開示されている1以上の追加的な突然変異を更に含みうる。
HC定常ドメインのN-グリコシル化を阻止にする、297位で突然変異した例示的なIgG1 HC定常ドメインは、配列番号44に記載されており、HC定常ドメインのN-グリコシル化を阻止にする297位で突然変異した例示的なIgG2 HC定常ドメインは、配列番号50に記載されており、HC定常ドメインのN-グリコシル化を阻止する297位で突然変異した例示的なIgG4 HC定常ドメインは、配列番号56に記載されている。特定の実施形態において、これらの突然変異HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含むことが可能であり、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体を含むIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインのFcドメインは、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、D265SおよびP331S(ここで、位置はEu番号付けに従い特定される)から選択される1以上のアミノ酸置換を含むように修飾され、ここで、該HC定常ドメインはエフェクター-サイレントである。特定の実施形態において、修飾IgG1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、HC定常ドメインは、L234A、L235AおよびD265S置換(ここで、位置はEu番号付けに従い特定される)を含む。特定の実施形態において、HC定常ドメインは、Pro329位のアミノ酸置換と、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、D265SおよびP331S(ここで、位置はEu番号付けに従い特定される)から選択される少なくとも1つの更なるアミノ酸置換を含む。これらおよび他の置換は、WO9428027;WO2004099249;WO20121300831;米国特許第9,708,406号、第8,969,526号、第9,296,815号;Sondermannら,Nature 406,267-273(20 Jul.2000)に開示されている。
前記の特定の実施形態において、HC定常ドメインはL234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、D265A/N297G、またはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S置換を含み、ここで、位置はEu番号付けに従い特定される。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体は、IgG1アイソタイプを含み、ここで、HC定常ドメインのFcドメインは、IgG1の233位~236位のアミノ酸をヒトIgG2 HCの対応アミノ酸で置換すること、ならびに327、330および331位のアミノ酸をヒトIgG4 HCの対応アミノ酸で置換することにより、エフェクター-サイレントになるように修飾されており、ここで、位置は、Eu番号付けに従い特定される(Armourら,Eur.J.Immunol.29(8):2613-24(1999);Shieldsら,J.Biol.Chem.276(9):6591-604(2001))。特定の実施形態において、修飾IgG1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体は、N末端からC末端への方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含むハイブリッドヒト免疫グロブリンHC定常ドメインに融合または連結されたVHドメインを含み、ここで、ヒンジ領域は、ヒトIgG1ヒンジ領域またはヒトIgDヒンジ領域の少なくとも一部のアミノ酸配列を含み、CH2ドメインはヒトIgG4 CH2ドメインのものであり、その一部は、そのN末端領域においてヒトIgG2 CH2またはヒトIgD CH2ドメインのN末端領域の4~37アミノ酸残基により置換されている。そのようなハイブリッドヒトHC定常ドメインは、米国特許第7,867,491号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗体はIgG4 HC定常ドメインを含み、ここで、Eu系による228位のセリンはプロリンで置換されている。例えば、配列番号52を参照されたい。この修飾はEU系におけるCys226位のシステインとCys229位のシステインとの間の潜在的な鎖間ジスルフィド結合の形成を妨げ、適切な鎖内ジスルフィド結合の形成を妨げうる。Angalら,Mol.Imunol.30:105(1993)を参照されたい。また、Schuurmanら,Mol.Immunol.38:1-8,(2001);配列番号14および41も参照されたい。他の実施形態において、IgG4定常ドメインは、S228P置換に加えて、P239G、D265AまたはD265A/N297Gアミノ酸置換を含み、ここで、位置はEu番号付けに従い特定される。前記の特定の実施形態において、IgG4 HC定常ドメインはヒトHC定常ドメインである。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
例示的なIgG1 HC定常ドメインは、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44に記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHC定常ドメインを含む。例示的なIgG2 HC定常ドメインは、配列番号46、配列番号47、配列番号48および配列番号49に記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。例示的なIgG4 HC定常ドメインは、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56に記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
エフェクター-サイレント抗体のより具体的な例は、特定の例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体および抗PD-1抗体と組み合わせて、後記に記載されている。
(b)例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体
本発明の併用療法および抗体含有組成物において使用されうる例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体には、CTLA-4に結合しB7へのCTLA-4の結合を阻害する任意のエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体が含まれる。特定のエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体には、以下のエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体、およびこれらの抗体のいずれか1つと薬学的に許容される担体とを含む組成物が含まれる。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)Biacoreアッセイによる測定で、FcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIへの測定可能な結合を示さない、または野生型IgG定常ドメイン領域を含むポリペプチドと比較して低減した結合を示すHC定常ドメインに融合または連結されたイピリムマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)LCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されたイピリムマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。3つのHC-CDRは、それぞれ、配列番号4、配列番号5および配列番号6を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ、配列番号1、配列番号2および配列番号3を含む。
他の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)Biacoreアッセイによる測定で、FcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIへの測定可能な結合を示さない、または野生型IgG定常ドメイン領域を含むポリペプチドと比較して低減した結合を示すHC定常ドメインに融合または連結されたトレメリムマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)LCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されたトレメリムマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。3つのHC-CDRは、それぞれ、配列番号12、配列番号13および配列番号14を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ、配列番号9、配列番号10および配列番号11を含む。
他の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)イピリムマブのVHおよびVLドメイン、(ii)トレメリムマブのVHおよびVLドメイン、(iii)REGN4659のVHおよびVLドメイン、(iv)AGEN1884wのVHおよびVLドメイン、または(v)国際特許出願WO2017194265に開示されている抗CTLA-4抗体クローン2C8のVHおよびVLドメインを含む。イピリムマブのVHドメインは、配列番号7に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号8に記載されているアミノ酸配列を含む。トレメリムマブのVHドメインは、配列番号15に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号16に記載されているアミノ酸配列を含む。REGN4659のVHドメインは、配列番号95に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号96に記載されているアミノ酸配列を含む。AGEN1884wのVHドメインは、配列番号97に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号98に記載されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、VHおよびVLドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
他の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、8D2/8D2(RE)(米国公開特許出願第20170216433号および国際出願WO2018183480を参照されたい)、8D2H1L1、8D2H2L2、8D3H3L3、8D2H2L15または8D2H2L17のVHおよびVLドメインを含み、ここで、VHドメインは、Biacoreアッセイによる測定で、FcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIへの測定可能な結合を示さない、または野生型IgG定常ドメイン領域を含むポリペプチドと比較して低減した結合を示すHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、8D2/8D2(RE)、8D2H1L1、8D2H2L2、8D2H2L15または8D2H2L17の変異体を含み、ここで、変異体のVHアミノ酸配列の18位のメチオニンはイソロイシンで置換されている。したがって、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、8D2/8D2(RE)-変異体1のVHおよびVL、8D2H1L1-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L2-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L15-変異体1のVHおよびVL、または8D2H2L17-変異体1のVHおよびVLを含みうる。
他の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA4抗体は、(i)配列番号73に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号74に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ii)配列番号75に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号76に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iii)配列番号77に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号78に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iv)配列番号79に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号80に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(v)配列番号81に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号82に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vi)配列番号83に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号84に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vii)配列番号85に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号86に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(viii)配列番号87に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号88に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ix)配列番号89に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号90に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(x)配列番号91に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号92に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、または、(xi)配列番号93に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号94に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。特定の実施形態において、VHおよびVLドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体の他の実施形態において、VHドメインはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結されており、あるいは、生じる抗CTLA4抗体をエフェクター-サイレントにする1以上の突然変異を含むように修飾されているIgG1、IgG2またはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結されている。
1つの実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、N297A/D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265A/N297Gからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、L234A/L235A/D265A、L234A/L235A/P329G、L235E、D265A、E233A/L235A、S267E/L328F、S2339D/A330L/I332E、L235G/G236R、D356E/L358M、L234F/L235E/P331S/D365E/L358M、およびD265Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG1 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
もう1つの実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(iii)アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N297A/D265S、D265A、P329G/D265A/N297G、もしくはV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG2 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
もう1つの実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体は、(i)S228Pアミノ酸置換と、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異とを有するIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、(ii)S228Pアミノ酸置換と、更に、N267A、P329G、およびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメイン、あるいは、(iii)S228Pアミノ酸置換と、更に、アミノ酸297位から開始するN-グリコシル化部位Asn-Xaa-Ser/Thrにおける突然変異であって、該N-グリコシル化部位におけるN-グリコシル化を阻止する突然変異と、N267A、P329G、およびD265A/N297Aからなる群から選択されるアミノ酸置換突然変異と、を有するIgG4 Fcドメイン、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を更に含む該突然変異Fcドメインを含み、ここで、(i)、(ii)および(iii)におけるアミノ酸位置は、Eu番号付けに従い特定される。
表4~18は、癌を有する個体を治療するための療法において抗PD-1または抗PD-L1抗体と組み合わせて使用されうる特定の例示的な抗CTLA-4抗体を示す。本発明はまた、N297A置換のみからなるイピリムマブ以外の表に示されている抗体を提供し、また、N297A置換のみからなるイピリムマブを含む組成物以外の、表に示されている抗体と薬学的に許容される担体とを各組成物が含む組成物を提供する。表4~18における全てのHCアミノ酸置換位置は、Eu番号付けスキームに従っている。
(c)例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメント
本発明の併用療法および抗体含有組成物において使用されうる例示的なエフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントには、CTLA-4に結合しB7へのCTLA-4の結合を阻害する任意の抗体フラグメントが含まれる。これらの抗CTLA-4抗体フラグメントの特定の例には、以下の抗CTLA-4抗体フラグメントおよび組成物が含まれ、各組成物は、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)イピリムマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)イピリムマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含むFv、scFv、F(ab)またはF(ab’)2である。3つのHC-CDRは、それぞれ、配列番号1、配列番号2および配列番号3を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ、配列番号4、配列番号5および配列番号7を含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)トレメリムマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)トレメリムマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。3つのHC-CDRは、それぞれ、配列番号9、配列番号10および配列番号11を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ、配列番号12、配列番号13および配列番号14を含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)イピリムマブのVHおよびVLドメイン、(ii)トレメリムマブのVHおよびVLドメイン、(iii)REGN4659のVHおよびVLドメイン、(iv)AGEN1884wのVHおよびVLドメイン、または(v)国際特許出願WO2017194265に開示されている抗CTLA-4抗体クローン2C8のVHおよびVLドメインを含む。イピリムマブのVHドメインは、配列番号7に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号8に記載されているアミノ酸配列を含む。トレメリムマブのVHドメインは、配列番号15に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号16に記載されているアミノ酸配列を含む。REGN4659のVHドメインは、配列番号95に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号96に記載されているアミノ酸配列を含む。AGEN1884wのVHドメインは、配列番号97に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号98に記載されているアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、イピリムマブのVHおよびVL、トレメリムマブのVHおよびVL、REGN4659のVHおよびVL、AGEN1884wのVHおよびVL、8D2/8D2(RE)のVHおよびVL、8D2H1L1のVHおよびVL、8D2H2L2のVHおよびVL、8D3H3L3のVHおよびVL、8D2H2L15のVHおよびVL、または8D2H2L17のVHおよびVLを含む。
特定の実施形態において、抗CTLA-4抗体または抗CTLA-4抗体フラグメントは、8D2/8D2(RE)-変異体1のVHおよびVL、8D2H1L1-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L2-変異体1のVHおよびVL、8D2H2L15-変異体1のVHおよびVL、または、8D2H2L17-変異体1のVHおよびVLを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは、(i)配列番号73に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号74に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ii)配列番号75に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号76に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iii)配列番号77に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号78に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(iv)配列番号79に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号80に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(v)配列番号81に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号82に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vi)配列番号83に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号84に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(vii)配列番号85に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号86に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(viii)配列番号87に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号88に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(ix)配列番号89に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号90に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、(x)配列番号91に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号92に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(xi)配列番号93に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメインおよび配列番号94に記載されているアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
特定の実施形態において、エフェクター-サイレント抗CTLA-4抗体フラグメントは1以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、各ISVDは、ラクダ重鎖のみの抗体の可変ドメイン(VHH)を含み、但し、ISVDは、アミノ配列FYGMG(配列番号69)を含むCDR1、アミノ酸配列DIRTSAGRTTYADSVKG(配列番号70)を含むCDR2、およびアミノ酸EMSGISGWDY(配列番号71)またはEPSGISGWDY(配列番号72)を含むCDR3を含まず(それらのISVDは国際特許出願WO2008071447、WO2017087587およびWO2017087588に開示されている)、また、WO2008071447に開示されているCDR3における1、2または3個の突然変異を含むISVD変異体を含まず、例外的に、前記の1以上のISVDがエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメイン(例えば、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメインのいずれか)に融合または連結されている実施形態におけるCDRを含むISVDは、この但し書きによっては除外されない。
(d)例示的な抗PD-1抗体
本発明の併用療法において使用されうる例示的な抗PD-1抗体には、PD-1に結合しPD-L1へのPD-1の結合を阻害する任意の抗体が含まれる。もう1つの実施形態において、例示的な抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびセミプリマブ-rwlcからなる群から選択される。例示的な抗体には、以下の抗PD-1抗体、および抗PD1抗体と薬学的に許容される塩とを含む組成物が含まれる。
ペンブロリズマブは、KEYTRUDA、ランブロリズマブ、MK-3475またはSCH-900475としても公知であり、米国特許第8,354,509号およびWO2009/114335に記載されているヒト化抗PD-1抗体であり、Hamidら,New England J.Med.369(2):134-144(2013)に開示されている。ペンブロリズマブの重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号27および28に記載されているアミノ酸配列により示されている。
ニボルマブは、OPDIVO、MDX-1106-04、ONO-4538またはBMS-936558としても公知であり、WO2006/121168および米国特許第8,008,449号に記載されている完全ヒトIgG4抗PD-1抗体である。ニボルマブの重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号25および26に記載されているアミノ酸配列により示されている。
セミプリマブ-rwlcは、セミプリマブ、LIBTAYOまたはREGN2810としても公知であり、WO2015112800および米国特許第9,987,500号に記載されている組換えヒトIgG4モノクローナル抗体である。セミプリマブ-rwlcの重鎖および軽鎖は、それぞれ配列番号101および102に記載されているアミノ酸配列により示されている。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)エフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されたペンブロリズマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)LCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されたペンブロリズマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。3つのHC-CDRは、それぞれ配列番号31、配列番号32および配列番号33を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ配列番号34、配列番号35および配列番号36を含む。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)エフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されたニボルマブの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)LCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されたニボルマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。3つのHC-CDRは、それぞれ配列番号17、配列番号18および配列番号19を含み、そして、3つのLC-CDRは、それぞれ配列番号20、配列番号21および配列番号2を含む。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)エフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されたセミプリマブ-rwlcの3つのHC-CDRを含むVHと、(ii)LCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されたニボルマブの3つのLC-CDRを含むVLと、を含む。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、(i)ペンブロリズマブのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)、(ii)ニボルマブのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)、または、(iii)セミプリマブ-rwlcのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)を含む。ペンブロリズマブのVHドメインは、配列番号29に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号30に記載されているアミノ酸配列を含む。ニボルマブのVHドメインは、配列番号23に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号24に記載されているアミノ酸配列を含む。セミプリマブ-rwlcのVHドメインは、配列番号99に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号100に記載されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、VHおよびVLドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含むことが可能であり、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体VHドメインは、特定のVHに現在連結されていないIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結されることが可能であり、あるいは、生じる抗PD-1抗体をエフェクターサイレントにするFcドメイン内の1以上の突然変異を含むように修飾されているIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結される。
特定の実施形態において、HC定常ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプのものであり、これは、HC定常ドメインをコードする核酸分子における297位のAsnのコドンを別のアミノ酸、例えばGlnのコドンで置換することにより、HC定常ドメインの297位のアスパラギン(Asn)残基のN-グリコシル化を欠くように修飾される。他の実施形態において、297位のN-グリコシル化を欠くように修飾されたそのようなIgGは更に、検出可能なエフェクター機能を排除するための本明細書に開示されている1以上の追加的な突然変異を含む。特定の実施形態において、HC定常ドメインは、ヒトHC定常ドメインである。特定の実施形態において、該分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、本発明は、S228P置換を有するように、そして更に、S228P置換に加えて、P239G、D265A、またはD265A/N297Gアミノ酸置換を含むように修飾されているIgG4 HC定常ドメインを含む抗PD-1抗体を提供し、ここで、位置は、Eu番号付けに従い特定される。前記の特定の実施形態において、IgG4 HC定常ドメインはヒトHC定常ドメインである。特定の実施形態において、該分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
もう1つの実施形態において、抗PD-1抗体はヒトIgG1アイソタイプを含むことが可能であり、ここで、HC定常ドメインのFcドメインは、IgG1の233位~236位のアミノ酸をヒトIgG2 HCの対応アミノ酸で置換すること、ならびに327、330および331位のアミノ酸をヒトIgG4 HCの対応アミノ酸で置換することにより、エフェクター-サイレントとなるように修飾されており、ここで、位置は、Eu番号付けに従い特定される。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
もう1つの実施形態において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインのFcドメインは、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、D265SおよびP331Sから選択される1以上のアミノ酸置換を含むように修飾され、ここで、該ポリペプチドは、Biacoreアッセイによる測定で、FcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIへの測定可能な結合を示さないか、または野生型IgG定常ドメイン領域を含むポリペプチドと比較して低減した結合を示す。これらの及び他の置換は、WO9428027、WO2004099249、WO20121300831;米国特許第9,708,406号、第8,969,526号、第9,296,815号;Sondermannら,Nature 406,267-273(2000年7月20日)に開示されている。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
表19~27は、癌を有する個体を治療するための療法において、本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体と組み合わせて使用されうる特定の例示的な抗PD-1抗体を示す。本発明はまた、表に示されている抗体および組成物を提供し、各組成物は、表に示されている抗体と薬学的に許容される担体とを含む。表19~27における全てのHCアミノ酸置換位置は、Eu番号付けスキームに従っている。
(e)例示的な抗PD-1抗体フラグメント
本発明の併用療法において使用されうる例示的な抗PD-1抗体フラグメントには、PD-1に結合しPD-L1へのPD-1の結合を阻害する任意の抗PD-1抗体フラグメントが含まれ、更に、PD-1に結合する以下の抗PD-1抗体フラグメント、および以下の抗PD-1抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む組成物が含まれる。
特定の実施形態において、抗体フラグメントは、配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVHと、配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVLとを含むFvまたはscFvである。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVHと、配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVHとを含むF(ab)である。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、配列番号29に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVHと、配列番号30に記載されているアミノ酸配列を有するペンブロリズマブVHとを含むF(ab’)2である。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHと、配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHとを含むFvまたはscFvである。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHと、配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHとを含むF(ab)である。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、配列番号23に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHと、配列番号24に記載されているアミノ酸配列を有するニボルマブVHとを含むF(ab’)2である。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体フラグメントは、1以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、各ISVDは、ラクダ重鎖のみの抗体の可変ドメイン(VHH)を含み、但し、ISVDは、アミノ酸配列THAMG(配列番号73)を含むCDR1、アミノ酸配列VITWSGGITTYADSVKG(配列番号74)またはVITVSGGITYYADSVKG(配列番号75)を含むCDR2、およびアミノ酸DKHQSSWYDY(配列番号76)またはDKHQSSFYDY(配列番号77)を含むCDR3を含まず(それらのISVDは、国際特許出願WO2008071447、WO2017087587およびWO2017087589に開示されている)、また、WO2008071447に開示されているCDR3における1、2または3個の突然変異を含むISVD変異体を含まず、例外的に、前記の1以上のISVDがエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメイン(例えば、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメインのいずれか)に融合または連結されている実施形態におけるCDRを含むISVDは、この但し書きによっては除外されない。
(f)例示的な抗PD-L1抗体
本発明の併用療法において使用されうる例示的な抗PD-L1抗体には、PD-L1へのPD-1の結合を阻害する任意の抗PD-L1抗体が含まれ、更に、以下の抗PD-L1抗体、および以下の抗PD-L1抗体と薬学的に許容される担体とを含む組成物が含まれる。特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブおよびデュルバルマブからなる群から選択される。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、(i)アテゾリズマブのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはHC定常ドメインまたはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)、(ii)アベルマブのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはHC定常ドメインまたはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)、または(iii)デュルバルマブのVHおよびVLドメイン(ここで、VHドメインはHC定常ドメインまたはエフェクター-サイレントHC定常ドメインに融合または連結されており、VLドメインはLCカッパまたはラムダ定常ドメインに融合または連結されている)を含む。デュルバルマブのVHドメインは、配列番号103に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号104に記載されているアミノ酸配列を含む。アベルマブのVHドメインは、配列番号105に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号106に記載されているアミノ酸配列を含む。アテゾリズマブのVHドメインは、配列番号107に記載されているアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号108に記載されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、VHおよびVLドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、抗PD-1抗体VHドメインは、特定のVHに現在連結されていないIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結されることが可能であり、あるいは、生じる抗PD-1抗体をエフェクターサイレントにするFcドメイン内の1以上の突然変異を含むように修飾されているIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインに融合または連結される。
特定の実施形態において、HC定常ドメインはIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプのものであり、これは、HC定常ドメインをコードする核酸分子における297位のAsnのコドンを別のアミノ酸、例えばGlnのコドンで置換することにより、HC定常ドメインの297位のアスパラギン(Asn)残基のN-グリコシル化を欠くように修飾される。あるいは、Serのコドンは、Proのコドンで置換されることが可能であり、またはThrのコドンはSerのコドン以外の任意のコドン(例えば、N297A、N297GまたはN297D)で置換されることが可能である。あるいは、3つ全てのコドンが修飾される。他の実施形態において、297位のN-グリコシル化を欠くように修飾されたそのようなIgGは更に、検出可能なエフェクター機能を排除するための本明細書に開示されている1以上の追加的な突然変異を含む。特定の実施形態において、HC定常ドメインは、ヒトHC定常ドメインである。特定の実施形態において、分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
特定の実施形態において、本発明は、S228P置換を有するように、そして更に、S228P置換に加えて、P239G、D265A、またはD265A/N297Gアミノ酸置換を含むように修飾されているIgG4 HC定常ドメインを含む抗PD-L1抗体を提供し、ここで、位置は、Eu番号付けに従い特定される。前記の特定の実施形態において、IgG4 HC定常ドメインはヒトHC定常ドメインである。特定の実施形態において、分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
もう1つの実施形態において、抗PD-L1抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを含むことが可能であり、ここで、HC定常ドメインのFcドメインは、IgG1の233位~236位のアミノ酸をヒトIgG2 HCの対応アミノ酸で置換すること、ならびに327、330および331位のアミノ酸をヒトIgG4 HCの対応アミノ酸で置換することにより、エフェクター-サイレントとなるように修飾されており、ここで、位置は、Eu番号付けに従い特定される。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
もう1つの実施形態において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 HC定常ドメインのFcドメインは、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、D265SおよびP331Sから選択される1以上のアミノ酸置換を含むように修飾され、ここで、該ポリペプチドは、Biacoreアッセイによる測定で、FcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIへの測定可能な結合を示さず、または野生型IgG定常ドメイン領域を含むポリペプチドと比較して低減した結合を示す。これらの及び他の置換は、WO9428027、WO2004099249、WO20121300831;米国特許第9,708,406号、第8,969,526号、第9,296,815号;Sondermannら,Nature 406,267-273(2000年7月20日)に開示されている。特定の実施形態において、HC分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の追加的なアミノ酸置換、挿入および/または欠失を更に含み、ここで、置換は、保存的突然変異または非保存的突然変異でありうる。
表28~36は、癌を有する個体を治療するための療法において、本明細書に開示されている抗CTLA-4抗体と組み合わせて使用されうる例示的な抗PD-L1抗体を示す。本発明はまた、抗体25-9および31-8以外の表に示されている抗体を提供し、また、抗体25-9および31-8以外の表に示されている抗体と薬学的に許容される担体とを各組成物が含む組成物を提供する。表28~36における全てのHCアミノ酸置換位置は、Eu番号付けスキームに従っている。
(g)例示的な抗PD-L1抗体フラグメント
本発明の併用療法において使用されうる例示的な抗PD-L1抗体フラグメントには、PD-L1に結合しPD-1へのPD-L1の結合を阻害する任意の抗PD-L1抗体フラグメントが含まれ、更に、以下の抗PD-L1抗体フラグメント、および以下の抗PD-L1抗体フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む組成物が含まれる。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号103に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVHと、配列番号104に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVLとを含むFvまたはscFvである。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号103に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVHと、配列番号104に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVHとを含むF(ab)である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号103に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVHと、配列番号104に記載されているアミノ酸配列を有するデュルバルマブVHとを含むF(ab’)2である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号105に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHと、配列番号106に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHとを含むFvまたはscFvである。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号105に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHと、配列番号106に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHとを含むF(ab)である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号105に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHと、配列番号106に記載されているアミノ酸配列を有するアベルマブVHとを含むF(ab’)2である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号107に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHと、配列番号108に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHとを含むFvまたはscFvである。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号107に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHと、配列番号108に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHとを含むF(ab)である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、配列番号107に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHと、配列番号108に記載されているアミノ酸配列を有するアテゾリズマブVHとを含むF(ab’)2である。
特定の実施形態において、抗PD-L1抗体フラグメントは、1以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、各ISVDはラクダ重鎖のみの抗体の可変ドメイン(VHH)を含み、但し、ISVDは、国際特許出願WO2008071447の開示における配列番号394~399を有する抗PD-L1 ISVDを含まず、また、WO2009030285に開示されている抗PD-L1 ISVDを含まず(それらの国際特許出願の両方を参照により本明細書に組み入れることとする)、例外的に、前記の1以上のISVDがエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメイン(例えば、本明細書に開示されているエフェクター-サイレント抗体定常ドメインまたはFcドメインのいずれか)に融合または連結されているISVDは、この但し書きによっては除外されない。
(h)例示的な併用療法の投与レジメン
本発明は、PD-1遮断剤の免疫刺激効果とCTLA-4遮断剤の抗腫瘍効果とを兼ね備えた抗癌療法であって、PD-1遮断剤と組み合わせて投与されたCTLA-4遮断剤で典型的に観察される皮膚または腸irAEを示さない抗癌療法を提供する。本発明の特徴は、CTLA-4遮断剤が、Biacoreアッセイによる測定で1以上のFcRへの測定可能な結合を示さず、またはBiacoreアッセイによる測定で、同じアイソタイプの野生型抗体の場合と比較して低減した1以上のFcRへの結合を示すことである。したがって、CTLA-4遮断剤は、測定可能なエフェクター機能を示さず、またはエフェクター機能の低減を示し、このことは、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤が、エフェクター機能を示すCTLA-4遮断剤では利用できない用量および投与期間でPD-1遮断剤との併用療法において使用されることを可能にする。この特徴は、本発明のCTLA-4遮断剤を、現在利用可能なCTLA-4遮断剤から際立たせるものである。
本発明の典型的な投与レジメンにおいては、CTLA-4遮断剤およびPD-1遮断剤は、別々の用量および異なる方法で同時に個体に投与されうる。一般に、本発明のCTLA-4遮断剤は、PD-1遮断剤との併用療法において、米国FDAによって特定の適応症に対するイピリムマブ/ニボルマブ併用療法に関して現在承認されているのと少なくとも同じ用量、投与頻度および治療期間で投与されうる。しかし、併用療法は、米国FDAによって承認されている特定の適応症には限定されず、本発明の併用療法から利益が得られうる任意の適応症を含みうる。現在承認されている用量は、3mg/kgの用量で投与されるニボルマブの投与の後のイピリムマブ1mg/kgである。ついで、この用量の組合せが3週間ごとに4用量にわたって繰り返されることが可能であり、ついで、必要に応じて、ニボルマブの用量が2週間ごとに継続されうる。しかし、他の実施形態において、本発明のCTLA-4遮断剤は、1mg/kgを超える用量、例えば、少なくとも3mg/kgの用量で併用療法において投与されうる。更にもう1つの実施形態において、用量は少なくとも10mg/kgであることが可能であり、更に他の実施形態において、用量は約1mg/kg~10mg/kgでありうる。特定の実施形態において、本発明のCTLA-4遮断剤は、承認されているイピリムマブ/ニボルマブ併用療法におけるものと同じ投与頻度および治療期間で投与されうる。特定の実施形態において、本発明のCTLA-4遮断剤は、承認されているイピリムマブ/ニボルマブ併用療法におけるニボルマブのものと同じ投与頻度および治療期間で投与されうる。
併用療法の特定の実施形態において、CTLA-4遮断剤は、個体の体重に基づかない用量で投与される。したがって、特定の実施形態において、CTLA-4結合剤は、約10mg~300mgの間の用量で投与されうる。もう1つの実施形態において、用量は、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mgおよび300mgからなる群から選択される。
本発明の併用療法において、PD-1遮断剤は、特定の適応症に対する単独療法におけるPD-1遮断剤に関して承認されているものと同じ用量、投与頻度および治療期間で投与されうる。CTLA-4遮断剤の用量は、前記のとおりであることが可能であり、CTLA-4遮断剤は、前記と同じ投与頻度および治療期間でまたはCTLA-4遮断剤と組合される特定のPD-1遮断剤の場合と同じ投与頻度および治療期間で、投与されうる。
現在市販されているPD-1遮断剤の特定の用量はPD-1遮断剤によって異なり、したがって、本発明の併用療法の特定の実施形態において、用量、投与頻度および/または治療期間は、特定の適応症に対する特定のPD-1遮断剤に関して米国FDAにより承認されているものと少なくとも同じでありうる。例えば、ペンブロリズマブは、必要に応じて[小児個体(2歳から18歳まで)では、必要に応じて、3週間ごとに2mg/kgから200mgまで]3週間ごとに投与される200mgの用量として承認されており、ニボルマブは2週間ごとの3mg/kgの用量として承認されており、セミプリマブ-rwlcは、必要に応じて3週間ごとに投与される350mgの用量として承認されており、アテゾリズマブは、必要に応じて3週間ごとに投与される1200mgの用量として承認されており、アベルマブは、必要に応じて2週間ごとに投与される10mg/kgまたは800mgの用量として承認されており、デュルバルマブは、必要に応じて2週間ごとに投与される10mg/kgの用量として承認されている。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントであり、これは約150mg~約250mg、約175mg~約250mg、約200mg~約250mg、約150mg~約240mg、約175mg~約240mg、または約200mg~約240mgの用量で投与されうる。幾つかの実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントの用量は、150mg、175mg、200mg、225mg、240mgまたは250mgである。他の実施形態において、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントは、必要に応じて、3週間ごとの頻度で投与されうる。本発明の併用療法のもう1つの実施形態において、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントは、250mgを超える用量で投与可能であり、例えば、必要に応じて6週間ごとの頻度で約400mgの用量で投与されうる。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントであり、これは約10mg/kg~約1200mgの用量で投与されうる。他の実施形態において、抗PD-1抗体または抗PD-1抗体フラグメントは、必要に応じて、2~3週間ごとの頻度で投与されうる。
PD-1遮断剤は、単独療法における現在市販されているPD-1遮断剤に関して承認されているのと少なくとも同じ用量、投与頻度および治療期間で投与されうるが、本発明の任意の特定の組合せに関する実際の用量、投与頻度および治療期間は、PD-1遮断剤単独療法に関して承認されているものとは異なりうる。したがって、本発明の併用療法の特定の実施形態において、併用療法における任意の特定のPD-1遮断剤の用量、投与頻度および治療期間は、併用療法に関して実施される臨床試験から決定される。
併用療法の特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、ニボルマブまたはニボルマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて、2~3週間ごとに30~60分にわたって3mg/kgの用量で個体に静脈内投与され、この場合、CTLA-4遮断剤の各用量は、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたって静脈内投与される。特定の実施形態において、ニボルマブまたはニボルマブのエフェクター-サイレント変異体は、3mg/kgの初期用量で30分にわたって個体に静脈内投与され、ついで、CTLA-4遮断剤が、同じ日に30分にわたって3週間ごとに4用量にわたって静脈内投与され、ついで、ニボルマブが、30分にわたる2週間ごとの240mgまたは30分にわたる4週間ごとの480mgの一定用量で静脈内投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて、3週間ごとに30分にわたって200mgの用量で成体個体に静脈内投与され、または3週間ごとに30分間にわたって2mg/kg~最大約200mgの用量で小児個体に静脈内投与され、この場合、各治療の後、CTLA-4遮断剤の用量が投与され、ここで、CTLA-4遮断剤の各用量は、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたって静脈内投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて6週間ごとに30分にわたって400mgの用量で成体個体に静脈内投与され、この場合、各治療の後、CTLA-4遮断剤の用量が投与され、ここで、CTLA-4遮断剤の各用量は、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたって静脈内投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、セミプリマブ-rwlcまたはセミプリマブ-rwlcのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて3週間ごとに30分にわたって350mgの用量で個体に静脈内投与され、この場合、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたって、CTLA-4遮断剤の各用量が静脈内投与される。特定の実施形態において、セミプリマブ-rwlcまたはセミプリマブ-rwlcのエフェクター-サイレント変異体は、350mgの初期用量で30分にわたって個体に静脈内投与され、ついで、CTLA-4遮断剤が同じ日に30分にわたって3週間ごとに必要に応じて投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、アテゾリズマブまたはアテゾリズマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて3週間ごとに60分にわたって1200mgの用量で個体に静脈内投与され、この場合、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたってCTLA-4遮断剤の各用量が静脈内投与される。特定の実施形態において、アテゾリズマブまたはアテゾリズマブのエフェクター-サイレント変異体は、1200mgの初期用量で60分にわたって個体に静脈内投与され、ついで、CTLA-4遮断剤が同じ日に30分にわたって、3週間ごとに必要に応じて投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、アベルマブまたはアベルマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて2週間ごとに60分にわたって10mg/kgまたは800mgの用量で個体に静脈内投与され、この場合、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたってCTLA-4遮断剤の各用量が静脈内投与される。特定の実施形態において、アベルマブまたはアベルマブのエフェクター-サイレント変異体は、10mg/kgまたは800mgの初期用量で60分にわたって個体に静脈内投与され、ついで、CTLA-4遮断剤が同じ日に30分にわたって、2週間ごとに必要に応じて投与される。
特定の実施形態において、PD-1遮断剤は、デュルバルマブまたはデュルバルマブのエフェクター-サイレント変異体であり、これは、必要に応じて2週間ごとに60分にわたって10mg/kgの用量で個体に静脈内投与され、この場合、PD-1遮断剤の投与の後、PD-1遮断剤と同じ治療期間またはPD-1遮断剤の期間より短い若しくは長い期間にわたってCTLA-4遮断剤の各用量が静脈内投与される。特定の実施形態において、デュルバルマブまたはデュルバルマブのエフェクター-サイレント変異体は、10mg/kgの初期用量で60分にわたって個体に静脈内投与され、ついで、CTLA-4遮断剤が同じ日に30分にわたって、2週間ごとに必要に応じて投与される。
現在承認されているCTLA-4遮断剤およびPD-1遮断剤は、30~60分の時間枠にわたって個体への静脈内投与を可能にする濃度の製剤中で提供されるが、本発明の併用療法は、CTLA-4遮断剤および/またはPD-1遮断剤のそれぞれが1回の注射でそれぞれが別々に個体に投与されることを可能にする製剤中で提供される実施形態を想定している。それらの2つの遮断剤の少なくとも1つを1回の注射で投与しうることは、両方の遮断剤を個体に投与するための時間を有意に短縮するであろう。
もう1つの実施形態において、本発明は、CTL-4遮断剤およびPD-1遮断剤が同時に共投与される併用療法を提供する。共投与は、CTLA-4遮断剤およびPD-1遮断剤を別々の製剤中で提供し、各製剤を、別々のIVによって同時に個体に提供することにより、または混合後に混合物をIVによって個体に投与することにより、または各製剤を個体に別々に注射することにより、達成されうる。共投与は、CTL-4遮断剤およびPD-1遮断剤を単一製剤中で提供し、ついでそれを1回のIVまたは1回の注射で個体に投与することによっても達成されうる。
(i)併用療法処置
本発明の併用療法は、任意の増殖性疾患の治療、特に癌の治療に使用されうる。特定の実施形態において、本発明の併用療法は、黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、乳癌、胃腸癌、多発性骨髄腫、肝細胞癌、非ホジキンリンパ腫、腎癌、ホジキンリンパ腫、中皮腫、卵巣癌、小細胞肺癌、食道癌、肛門癌、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌または唾液腺癌を治療するために使用されうる。
もう1つの実施形態において、本発明の併用療法は、膵臓癌、気管支癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系癌、末梢神経系癌、子宮もしくは子宮内膜癌、口腔もしくは咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは虫垂癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌を治療するために使用されうる。
現在市販されているPD-1遮断剤は、黒色腫(転移性または切除不能)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、MSIHC、胃癌、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(進行性を含む)および皮膚扁平上皮癌から選択される少なくとも1以上の癌を治療するために米国FDAにより承認されている。したがって、本発明の併用療法は、黒色腫(転移性または切除不能)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、MSIHC、胃癌、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(進行性を含む)および皮膚扁平上皮癌から選択される少なくとも1以上の癌を治療するために使用されうる。
(j)化学療法と組合された併用療法
本発明の併用療法は、化学療法と組み合わせて癌を有する個体に投与されうる。個体は、本発明の併用療法を個体が受けているのと同時に化学療法を受けることが可能である。個体は、化学療法を完了した後、本発明の併用療法を受けることが可能である。個体は併用療法の完了後に化学療法が投与されうる。本発明の併用療法は、化学療法を受けている又は化学療法を完了しており疾患進行または再発癌を伴う再発性または転移性癌を有する個体にも投与されうる。
化学療法は、以下のものからなる群から選択される化学療法剤を含みうる。
(i)アルキル化剤、例えば二官能性アルキル化剤、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシルおよびメルファラン(これらに限定されるものではない);
(ii)単官能性アルキル化剤、例えばダカルバジン、ニトロソウレアおよびテモゾロミド(経口ダカルバジン)(これらに限定されるものではない);
(iii)アントラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンおよびバルビシン(これらに限定されるものではない);
(iv)細胞骨格破壊因子(タキサン)、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサンおよびタキソテール(これらに限定されるものではない);
(v)エポチロン、例えばイキサベピロンおよびウチデロン(これらに限定されるものではない);
(vi)ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えばボリノスタットおよびロミデプシン(これらに限定されるものではない);
(vii)トポイソメラーゼiのインヒビター、例えばイリノテカンおよびトポテカン(これらに限定されるものではない);
(viii)トポイソメラーゼiiのインヒビター、例えばエトポシド、テニポシドおよびタフルポシド(これらに限定されるものではない);
(ix)キナーゼインヒビター、例えばボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブおよびビスモデギブ(これらに限定されるものではない);
(x)ヌクレオチド類似体および前駆体類似体、例えばアザシチジン、アザチオプリン、フルオロピリミジン(例えば、カペシタビン、カルモフル、ドキシフルリジン、フルオロウラシルおよびテガフル)、シタラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサートおよびチオグアニン(tioguanine)(旧称:thioguanine)(これらに限定されるものではない);
(xi)ペプチド抗生物質、例えばブレオマイシンおよびアクチノマイシン(これらに限定されるものではない);白金に基づく物質、例えばカルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチン(これらに限定されるものではない);
(xii)レチノイド、例えばトレチノイン、アリトレチノインおよびベキサロテン(これらに限定されるものではない);ならびに
(xiii)ビンカアルカロイドおよびその誘導体、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン(これらに限定されるものではない)。
化学療法用の化学療法剤の用量の選択は、物質の血清または組織代謝回転速度、症状の程度、物質の免疫原性、および治療される個体における標的細胞、組織または器官の接近可能性を含む幾つかの要因に左右される。追加的な治療用物質の用量は、許容レベルの副作用をもたらす量であるべきである。したがって、各追加的治療用物質の用量および投与頻度は、部分的には、個々の治療用物質、治療される癌の重症度、および患者の特性に左右される。抗体、サイトカインおよび小分子の適切な用量を選択する際の指針が利用可能である。例えば、以下のものを参照されたい:Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(編)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel Dekker,New York,NY;Baertら(2003)New Engl.J.Med.348:601-608;Milgromら(1999)New Engl.J.Med.341:1966-1973;Slamonら(2001)New Engl.J.Med.344:783-792;Beniaminovitzら(2000)New Engl.J.Med.342:613-619;Ghoshら(2003)New Engl.J.Med.348:24-32;Lipskyら(2000)New Engl.J.Med.343:1594-1602;Physicians’Desk Reference 2003(Physicians’Desk Reference,57th Ed);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(2002年11月)。適切な投与レジメンの決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られている若しくは疑われている又は治療に影響を及ぼすと予想されるパラメータまたは因子を用いて、臨床家によりなされることが可能であり、例えば、個体の臨床履歴(例えば、過去の治療)、治療される癌の型および病期、ならびに併用療法における治療用物質の1以上に対する応答のバイオマーカーに左右される。
例えば、ペンブロリズマブは、(i)ペメトレキセドおよび白金化学療法またはカルボプラチンならびにパクリタキセルまたはnab-パクリタキセルのいずれかとペンブロリズマブとを含む非小細胞肺癌(NSCLC)の治療のための、および、(ii)ペンブロリズマブおよび白金含有化学療法を含む頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の治療のための併用療法に関して米国FDAにより現在承認されており、そして、アテゾリズマブは、ベバシズマブ(商品名AVASTINで販売されている抗VEGF-A抗体)、パクリタキセルおよびカルボプラチンを含むNSCLCの治療のための併用療法に関して現在承認されている。
したがって、本発明は、白金含有化学療法、ペメトレキセドおよび白金化学療法、または、カルボプラチンならびにパクリタキセルまたはnab-パクリタキセルのいずれかを含む化学療法の工程を更に含む、本発明の併用療法の実施形態を含む。特定の実施形態において、化学療法工程を伴う併用療法は、少なくともNSCLCおよびHNSCCを治療するために使用されうる。
化学療法工程と更に組合された併用療法は、任意の増殖性疾患の治療、特に癌の治療に使用されうる。特定の実施形態において、本発明の併用療法は、黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、乳癌、胃腸癌、多発性骨髄腫、肝細胞癌、非ホジキンリンパ腫、腎癌、ホジキンリンパ腫、中皮腫、卵巣癌、小細胞肺癌、食道癌、肛門癌、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌または唾液腺癌を治療するために使用されうる。
もう1つの実施形態において、化学療法工程と更に組合された併用療法は、膵臓癌、気管支癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系癌、末梢神経系癌、子宮もしくは子宮内膜癌、口腔もしくは咽頭癌、肝癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは虫垂癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌を治療するために使用されうる。
特定の実施形態において、化学療法工程を伴う併用療法は、黒色腫(転移性または切除不能)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、MSIHC、胃癌、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(進行性を含む)および皮膚扁平上皮癌から選択される少なくとも1以上の癌を治療するために使用されうる。
以下の実施例は、本発明の更に詳細な理解を促すことを意図したものである。
実施例1
Fc機能は腸炎症irAEの誘発に必要である
腸炎症性irAEは、抗CTLA-4抗体単独療法またはそれと抗PD-1抗体との併用による免疫療法中の癌患者において観察されている。構成的および条件付きノックアウトモデルにおけるCTLA-4欠損マウスの前臨床試験は、複数の器官における重度の免疫性炎症疾患の発生を示している。しかし、代理抗CTLA-4抗体による同系腫瘍モデルの治療は、癌患者で観察される毒性を予測する明白なirAEを誘発することが報告されていない。同様に、腸炎症の組織病理学的評価を、CT26同系モデルまたは異種移植モデル(CT26結腸癌細胞株を接種したマウス)において評価した。Fcコンピテント抗マウスCTLA-4 mAb 9D9-mIgG2a(α-CTLA-4またはα-CTLA4)(q4×4)で処置されたCT26腫瘍担持マウスは、腸組織粘膜固有層において観察された最小限度の顆粒球浸潤(グレード1/5)を引き起こした。Fc-突然変異抗mCTLA-4 mAb 9D9-mIgG1-D265A(α-CTLA-4(D265A))、無Fc抗mCTLA-4 ISVD F894(CTLA-4 Nab)またはアイソタイプで処置されたコホートにおいては、顆粒球浸潤は観察されなかった。一方、付随する潰瘍形成も他の組織損傷も観察されなかった。
α-CTLA-4(D265A)Fc突然変異体は、Fcγ受容体に対する測定可能なアフィニティを欠いており(Nimmerjahnら,Immunity,23:41-51(2005))、したがって、Fcエフェクター機能を欠いている。マウスにおいては、抗マウスCTLA4 mAb単独療法の抗腫瘍効果は、Fcエフェクター機能を介して腫瘍内制御性T細胞枯渇をもたらす抗体の能力に依存する(Selbyら,前掲)。したがって、CTLA-4 Nabおよびα-CTLA-4(D265A)は共に、単独療法の抗腫瘍効果を有するとは予想されていなかった。
前記の最小限度の組織病理学的所見は、腸における炎症性細胞活性化のマーカーを検出するための、潜在的により高感度の手段として、遺伝子発現プロファイルを評価するように促した。本発明者らは、炎症性腸疾患(IBD)前臨床モデルおよび患者の糞便サンプルおよび生検における腸炎症に関連する遺伝子のプロテオミクスおよび発現プロファイリングのために、本発明者らが既に開発していたPCR遺伝子発現パネルを利用した(Cayatte,Cら,Clinical and Translational Gastroenterology,3:e10(2012))。
α-CTLA-4での処置の開始後の種々の時点で小腸および結腸組織サンプルにおいて遺伝子発現プロファイルを測定し、α-CTLA-4(D265A)と比較して、腸炎症誘発のためのFc機能の役割を詳細に評価した。図1Aに示されているとおり、α-CTLA-4で処置されたマウスの近位小腸サンプルにおいては多数の腸炎症遺伝子の発現がアップレギュレーションされたが、α-CTLA-4(D265A)で処置されたマウスの場合にはアップレギュレーションされなかった。その結果は、無症状の状況での小腸および結腸組織における遺伝子発現により腸炎症経路の発現が検出されうることを示した。
腸炎症に関連する遺伝子のアップレギュレーションは、6~7週間以上の処置の後のイピリムマブ処置患者において観察されたとおり、臨床的腸炎への進行に対する持続的処置の効果を評価することを可能にした(Samaanら,Nat.Rev.Gastroenterol.Hepatol.15:222-234(2018))。腸炎症と腸炎への進行とに対するCTLA-4遮断およびFc機能の相対的効果を評価するために、BALB/cマウスにα-CTLA-4、α-CTLA-4(D265A)を週2回投与した。2つの群のマウス(1つの群はCT26腫瘍を有し、ナイーブBALB/cマウスの1群は腫瘍を有さない)をFcコンピテントα-CTLA-4で処置して、腸炎症の誘導に対する腫瘍免疫の誘導および腫瘍増殖からの潜在的寄与を評価した。腸炎への進行をモニターするために、体重および体調スコアを持続的処置の全期間にわたって週2回評価した。
アイソタイプ抗体およびα-CTLA-4(D265A)が投与されたマウスにおいては、体重は第50日まで増加し続けた。対照的に、α-CTLA-4が投与されたマウスは、約35~40日後に平均体重の減少を示した(図1B)。第49日および第50日のFITC-デキストラン強制飼養マウスにおける評価では、腸透過性はα-CTLA-4処置群の両方で増加したが、α-CTLA-4(D265A)処置マウスにおいては増加しなかった(図1C)。病理学者(L.A)により評価された近位小腸および結腸の炎症の組織学的証拠は、α-CTLA-4処置群における中等度および重度の腸炎への進行を示し(図1Dおよび図1E)、広範な免疫浸潤、粘膜の肥厚および杯細胞の喪失を伴っていた。対照的に、α-CTLA-4(D265A)処置マウスにおいては腸炎は観察されず、これは、CTLA-4遮断誘発性腸炎にはFc機能が必要であるという証拠を示している。注目すべきことに、腫瘍増殖および抗腫瘍応答は、α-CTLA-4誘発性腸炎に必要でなかった。
高いFcγRアフィニティを有するマウスIgG2aキメラ抗体を、検出可能なFcγR結合を有さない突然変異IgG1キメラと比較した実験において、強力な単独療法抗腫瘍応答には、強力なFcγR機能を有する抗CTLA-4抗体が必要であることが既に報告されている(Selbyら,Cancer Immunol.Res.1:32-42(2013))。マウスIgG2a(mIgG2a)バックボーン上の抗CTLA-4抗体で観察される強力な単独療法において、腫瘍におけるTregの特異的枯渇が表面上重要な役割を果たしている(Simpsonら,J.Exp.Med.210:1695-710(2013))。抗PD-1の効果に対するCD28の重要性を示す最近の報告(参考文献を参照されたい)は、リガンドCD80およびCD86に対するCTLA-4の、より強力な相互作用をCTLA-4アンタゴニストで遮断することによる、CD28機能の増強が、Treg TILの枯渇を要することなく強力な併用抗腫瘍効果をもたらしうることを、本発明者らに示唆した。CD80およびCD86への結合を阻害しうる、マウスCTLA-4(mCTLA-4)に特異的なISVDを、重鎖のみのラクダ抗体から誘導された単一ドメインVHH抗体フラグメントを使用して開発した。これらの小さな15kDaのタンパク質はFc領域を欠いているため、FcγRに結合しない。完全なFc機能を有する抗体と比較するために、強力な単独療法抗腫瘍効果を有することが既に示されているα-CTLA-4(参考文献を参照されたい)を使用した。異なるCTLA-4エピトープに結合する潜在的影響に関する対照実験を行うために、FcγRに対する検出可能なアフィニティを欠くα-CTLA-4(D265A)を使用して、抗腫瘍効果および忍容性のための強力なFcγR機能の必要性に関する対照実験を行った。
CTLA-4 nAbは、半減期延長(HLE)サブユニットとしての抗ヒトアルブミンVHHドメインおよび35GSリンカーより連結された2つの抗CTLA-4 VHHドメインから構成される(配列番号61を参照されたい)。参照アンタゴニスト(100%)として使用したα-CTLA-4と比較して、抗CTLA-4 VHHはCD80およびCD86の両方に対して96%の阻害を示した(図2Aおよび図2B)。増殖(図2C)、IFNγ(図2D)およびIL-2応答(図2E)を増強する能力に関して、インビトロMLRベースのバイオアッセイにおいて、CTLA-4 nAbをα-CTLA-4およびエフェクター-サイレントα-CTLA-4(D265A)と更に比較した。
CTLA-4遮断のためのFc機能はPD-1併用免疫療法に必要でない
3つのCTLA-4アンタゴニストでの単独療法および抗マウスPD-1抗体mDX400(α-PD-1)との併用療法により誘発される相対的な抗腫瘍効果を、抗PD-1単独療法に対して中等度の応答しか示さない同系CT26結腸癌腫瘍モデルにおける腫瘍体積の経時的変化を測定することにより評価した(図3A~3E)。CTLA-4 nAbまたはα-CTLA-4(D265A)のいずれかで処置された単独療法コホートにおいては抗腫瘍活性は観察されず、アイソタイプ対照(図3Aの群1)と同等であった。α-CTLA-4で処置されたマウスにおいて強力な抗腫瘍単独療法活性が観察され、これは、マウス同系腫瘍モデルにおける抗腫瘍単独療法の有効性のためには抗CTLA-4抗体におけるFc機能が必要であることを示した以前の報告と一致している(Simpsonら,J.Exp.Med.210:1695-710(2013))(図3Aの群2)。α-PD-1単独での処置は、α-CTLA-4と比較して低ないし中程度の抗腫瘍増殖阻害を示した。しかし、CTLA-4 nAbまたはα-CTLA-4(D265A)とα-PD-1との併用療法は、α-CTLA-4単独またはα-CTLA-4とα-PD-1との併用で観察されたものに匹敵する強力な抗腫瘍効果をもたらした(図3Aの群2)。CTLA-4 nAbおよびα-CTLA-4(D265A)はCTLA-4上の別々のエピトープに結合するため、その効果はエピトープに特異的ではない。CTLA-4 nAb、α-CTLA-4(D265A)およびα-CTLA-4の間のα-PD-1併用処置において同様の抗腫瘍応答が観察されたため、Fc機能とは無関係に強力な併用効果の更なる証拠が明らかであった。図3Dは、図3Aに要約されている10匹のマウス処置のそれぞれに関する個々の結果を示す。α-CTLA-4処置マウスにおいて、およびα-CTLA-4(D265S)とα-PD-1との組合せで処置されたマウスにおいて、α-CTLA-4(D265S)のみが投与されたマウスと比較して、CD8 T細胞の増殖およびCD8/Treg比の増加が観察された(図3B)。これらの結果が示すところによると、Fc機能を欠く抗CTLA-4アンタゴニストを抗PD-1アンタゴニストと組み合わせることにより、抗PD-1アンタゴニスト単独療法で達成可能なものより優れた抗腫瘍効果が得られ、単独療法におけるFc機能を有する抗CTLA-4抗体の抗腫瘍効果と同様の抗腫瘍効果が組合せにおいて得られた。
強力な組合せ活性に関連する潜在的な相補的メカニズムを解明するために、処置開始の9日後の腫瘍における有効な癌免疫療法に関連する免疫応答遺伝子の調節を調べた。α-CTLA-4処置マウスからの腫瘍のPCR発現プロファイリングは、IFNγ、IFN応答遺伝子、ケモカイン、炎症性サイトカインおよびMHCを含む、有効な免疫療法に関連する多数の遺伝子の強力なアップレギュレーションを示した(図3C)。α-CTLA-4(D265A)処置マウスからの腫瘍においては中程度のアップレギュレーションしか観察されず、このことは、α-CTLA-4処置腫瘍において観察された強力なアップレギュレーションが少なくとも部分的にFc機能に依存していたことを示している。CTLA-4 nAbおよびα-PD-1処置マウスからの腫瘍においても中程度の応答が観察された。対照的に、CTLA-4 nAbまたはα-CTLA-4(D265A)とα-PD-1とで処置された併用療法コホートにおいては、腫瘍免疫応答遺伝子の強力なアップレギュレーションが観察された。図3Dは、PD-1遮断の非存在下では、CTLA-4 nAbもα-CTLA-4(D265A)も抗腫瘍活性を有さないことを示している。これらのデータは、純粋なCTLA-4遮断およびPD-1遮断の相補的メカニズムがFcに非依存的に強力な組合せ利益をもたらしうるという仮説を支持している。
抗PD-1と組合された、Fc機能非含有CTLA-4遮断は優れた治療指数をもたらす
免疫チェックポイント遮断の顕著な特徴は、いずれかのチェックポイントのみを標的化する場合と比較して優れた臨床効果をもたらす、抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体の臨床的に検証された併用(組合せ)の利点である。しかし、抗PD-1とのCTLA-4遮断併用療法に関連する免疫関連毒性(irAE)は患者の腸炎症の誘発の増加に関連づけられている(Ribas & Wolchok,Science 359:1350-1355(2018))。また、α-CTLA(D265A)および無Fc CTLA-4 nAbは共に、強力な抗腫瘍免疫を誘導するためにはα-PD-1との組合せが必要であった。腸炎症の誘発に対する強力な腫瘍免疫の潜在的影響に関する対照実験を行うために、処置開始後第18日に、5回の処置の後でα-PD-1とα-CTLA、α-CTLA(D265A)またはCTLA-4 nAbのいずれかとの併用療法を受けたマウスにおいて腸炎症発現プロファイルを調べた(図4D)。
腸炎症に対するCTLA-4遮断およびFc機能の相対的効果を評価するために、α-CTLA、α-CTLA(D265A)、無Fc CTLA4 nAb、α-PD-1を、またはα-PD-1と種々の抗mCTLA4アンタゴニストとの組合せをナイーブBALB/cマウスに週2回投与した。体重および体調スコアを研究の全期間にわたって週2回評価した。全ての群におけるマウスの体重は約第20日まで増加した(図4A)。アイソタイプ、α-CTLA(D265A)、CTLA4 nAbもしくはα-PD-1またはそれらの組合せが投与されたマウスにおいては、体重は第50日まで増加し続けた。α-CTLAが投与されたマウスは約第30日の後から平均体重の減少を示し、第50日までに処置前のレベル付近までの減少を示した。α-PD-1と組合されたα-CTLAの投与は平均体重のより急速な減少を招き、第20日から第50日にかけて処置前レベル未満までの減少を示した。注目すべきことに、α-PD-1と組合されたα-CTLAで処置されたマウスにおいては第28日から、そしてα-CTLAが投与されたマウスにおいては第42日から、8匹中2匹のマウスの体調スコアが2(体調不良)に低下した。これらのコホートは光沢のあるモジャモジャな毛皮を示し、これらのコホートにおいては腹部腫脹が観察された。
炎症の分析は7週間の投与の後に予定され、このとき、α-CTLAが投与されたマウスはその期間にわたって体重の減少を示し、それは、α-PD-1と組合せて投与された場合に悪化した(図4Aの群B)。対照的に、エフェクター-サイレントCTLA-4遮断剤またはα-PD-1はいずれも、その期間中にアイソタイプ対照と比較して有意な体重減少を示さなかった(図4Bの群A)。
併用処置群の全てのマウスならびにアイソタイプ対照およびα-PD-1処置群の4匹のマウスを、組織収集のために第50日に安楽死させた。アイソタイプ対照群およびα-PD-1処置群の残りの4匹のマウスならびに単剤処置群の全てのマウスを、組織収集のために第54日に安楽死させた。剖検時に、炎症遺伝子の発現を決定するためのRT-qPCRのために、および組織病理学的検査による炎症の評価のために、近位小腸および結腸を摘出した。
アイソタイプ対照と比較した、各処置群からの近位小腸における遺伝子発現のヒートマップを(図4D)に示す。α-CTLAの投与は、空腸(図4D)および結腸(図4E)の炎症遺伝子のアップレギュレーションを誘導するのに十分であった。α-CTLAとα-PD-1との組合せは、α-CTLA単独療法より一層強力な、炎症遺伝子のアップレギュレーションを誘導した。対照的に、CTLA-4 nAbの投与は腸炎症遺伝子発現をほとんど又は全く誘導せず、α-PD-1と組合された場合にわずかなアップレギュレーションを誘発したに過ぎなかった。同様に、α-CTLA(D265A)の単独またはα-PD-1との組合せの投与は、炎症遺伝子の最小限度ないし低度の誘発をもたらした。FITC-デキストラン強制経口投与後の血清において評価された腸透過性は、α-CTLA処置マウスおよびα-CTLAとα-PD-1との併用処置を受けたマウスにおいて有意に増加した。
近位小腸における炎症の重症度を第50日の近位空腸における腸炎の組織学的評価によりスコア化した。組織病理学的評価により、α-CTLAの投与はほとんどのマウスにおいて軽度ないし重度の炎症をもたらした。α-CTLAとα-PD-1との組合せで処置されたコホートにおいては、持続的処置は全てのマウスにおいて中等度ないし非常に重度の炎症を誘発した(図4B)。非常に重度の腸炎を有するマウスは、空腸炎、中程度の数の肥満細胞を伴うびまん性好中球病変およびマイスナー神経叢のニューロンの変性を示した。対照的に、CTLA-4 nAbまたはα-CTLA(D265A)のいずれかの投与は、組織病理学的評価において炎症を誘発しなかった。α-PD-1と組合されたCTLA-4 nAbの投与は、炎症を引き起こさずまたは数匹のマウスにおいて最小限度ないし軽度の炎症を引き起こした。α-PD-1と組合されたα-CTLA(D265A)の投与は、8匹中僅か1匹のマウスにおいて軽度の炎症を引き起こした。代表的な顕微鏡写真は各処置群における炎症の相対レベルを示している(図4C)。
図5A~5Cに示されているとおり、α-CTLA-4 Fcエフェクター機能は皮膚炎症を誘発するが(図5A)、全身炎症を引き起こさず、この場合、腎臓、肝臓または肺においては検出可能な炎症が認められなかった(図5C)。耳の皮膚のIL-17産生T細胞、Foxp3+ Treg細胞および好中球の絶対数をフローサイトメトリーで測定した。図5Bに示されているとおり、α-CTLA-4処置マウスの耳の皮膚には高レベルのIL-17産生T細胞、Foxp3+ Treg細胞および好中球が存在したが、α-CTLA-4(D265A)処置マウスのものには存在しなかった。総合すると、これらのデータは、エフェクター機能を有する抗マウスCTLA-4抗体による腸炎症の誘発におけるFcエフェクター機能の重要な役割を裏付けている。Fcエフェクター機能は腸炎のBALB/cマウスモデルにおいて抗マウスα-CTLA誘発性腸炎症に寄与したが、CTLA-4 nAb処置マウスまたはα-CTLA(D265A)処置マウスにおいては腸炎症は軽度であり、または存在しなかった。
要約すると、2つの特性がα-CTLA-4によるCT26腫瘍モデルの腸炎症の誘発に関連していた。第1に、Fc機能性アイソタイプ対照は、炎症に関連する遺伝子発現を誘導しなかったので、CTLA-4の特異性が必要であった。しかし、CD80/CD86リガンドへのCTLA-4結合の遮断は、CTLA-4 nAbおよびα-CTLA-4(D265A)処置マウスの腸における炎症遺伝子のアップレギュレーションを誘導するには不十分であった。したがって、α-CTLA-4におけるIgG2aアイソフォームに存在する強力なFc機能の能力が腸炎症の誘発に必要であった。
腸炎症の活性化はTregの枯渇とは無関係にTeff細胞の活性化により開始される
抗CTLA-4媒介性抗腫瘍免疫の作用メカニズム(MOA)は、理論的には、T制御性(Treg)細胞およびTエフェクター(Teff)細胞集団(CTL、TH1細胞など)に対する薬力学(PD)効果により媒介される。腫瘍微小環境(TIL)内のTreg細胞の枯渇は、マウス同系腫瘍モデルにおける抗CTLA-4抗体の顕著なMOAである(Simpsonら,前掲)。また、抗CTLA-4 mAbによるFc-FcγRの同時篏合は、T細胞受容体(TCR)およびCD28シグナル伝達を調節して、Tregの枯渇に無関係にT細胞活性化の増強をもたらす(Waightら,Cancer Cell,33:1033-1047(2018)。
TregおよびTエフェクター細胞に対するCTLA- 4nAbからのα-CTLA-4の効果の差次的効果を特徴づけるために、腫瘍(TIL)、結腸粘膜固有層、血液および脾臓からのT細胞集団に対するフローサイトメトリーを皮下投与の20時間後に行った。交差遮断せずに薬物結合CTLA-4の染色を可能にする抗CTLA-4 mAbクローンUC10-4B9(ThermoFisher)を使用して、α-CTLA-4またはα-CTLA-4(D265A)で処置されたマウスからのTregにおけるCTLA-4発現レベルを測定することが可能であった。文献に既に文献で報告されているとおり(Selbyら,前掲,Simpsonら,前掲)、本発明者らは、CT26腫瘍担持マウスの脾臓(CTLA-4lo)および腫瘍微小環境(Treg
hi)内のTregにおけるCTLA-4の差次的発現を観察した。PBMC内のTregは、二峰性レベルのCTLA-4lo-midを発現した。興味深いことに、結腸粘膜固有層からのTregは二峰性レベルのCTLA-4mid-hiを発現した。結腸におけるCTLA-4hi Tregは同様のレベルのTreg TIL集団を発現した。種々のT細胞集団上のCTLA-4の差次的発現レベルは、受容体密度に依存する殺傷メカニズムにより、ADCC媒介性枯渇の能力に影響を及ぼす。Treg集団は、通常より高いレベルのCTLA-4を発現するが、腫瘍環境中のTregは、脾臓で見出されるもの(MFI=2,400)より遥かに高いレベル(3.3倍高い;Treg TILのアイソタイプ対照においてはMFI=8,100)を発現する。より高いCTLA-4レベル(CTLA-4hi モードMFI=10,000)を発現した結腸からの粘膜固有層Tregは、フローサイトメトリーを使用した相対的発現レベルに関してTreg TILに類似していた(図6A)。図6B~6Dに示されているとおり、Tregの有意な枯渇は、最も高いCTLA-4発現密度を示すα-CTLA-4処置マウスの腫瘍微小環境からのTILに限定されていた。Fc機能を欠くFc突然変異α-CTLA-4(D265A)での処置は、Tregの枯渇を引き起こさなかった。
より高いCTLA-4レベルを発現する細胞はα-CTLAによる枯渇を受けやすいという仮定に基づいて、本発明者らは、Treg TIL集団と同様に、粘膜固有層におけるCTLA-4hi Tregが枯渇すると予想した。驚いたことに、α-CTLA-4処置マウスの腫瘍から単離されたTreg TILだけが枯渇しているようであった。α-CTLA-4処置マウスの結腸からの粘膜固有層由来Tregは枯渇していないようであった。α-CTLA-4処置マウスの結腸からの粘膜固有層由来Tregの検出可能な枯渇は観察されなかった。このことは、腸炎症の誘発が腸粘膜におけるTregの喪失によって開始されなかったことを示唆している。
本発明者らは、α-CTLA-4誘発性腸炎症に寄与した可能性のあるサプレッサー機能をもたらすTregにおける可能な表現型の変化を調べた。MC38腫瘍が移植されたFoxP3 GLDレポーターマウスからの結腸粘膜固有層(LP)Tregを、Treg機能に関連する遺伝子のPCR発現プロファイリングのために選別した(図7A)。しかし、α-CTLA-4(D265A)処置マウスと比較して、α-CTLAのLP Treg細胞においては有意な遺伝子発現の差異は観察されなかった。大腸炎のCD45RBhi T細胞移入モデルを使用して、Tregに対するFc機能の潜在的効果を更に詳細に調べた。CD45RBhi T細胞の存在下のTreg細胞の受動的移入は大腸炎の発生からマウスを防御した(図7B~7C)。Treg細胞とCD45RBhi T細胞とが共投与されたマウスをα-CTLA-4で処置すると、Treg防御の喪失および大腸炎の発生がもたらされた。対照的に、CTLA-4 nAb処置マウスにおいては防御の喪失は観察されなかった(図7B~7C)。処置の24時間後のマウスからのフローサイトメトリー選別結腸Foxp3+ Treg細胞の遺伝子発現プロファイルは、CTLA-4 nAbまたはアイソタイプ対照で処置されたマウスから得られた細胞で観察された遺伝子発現と比較して、α-CTLA-4処置マウスの遺伝子発現の有意なアップレギュレーションを示し、これは、CD45RBhighで観察されたものに類似している。全体として、これらの結果が示唆しているところによると、Fc媒介性Treg枯渇はα-CTLA-4による腸炎症の誘発に必須ではないが、腸炎症に応答したTregの調節機能はモジュレーションされうる。
抗原提示細胞上のCD80、CD86およびFcγRならびにT細胞上のCTLA-4およびCD28の限定的発現は、Treg枯渇には無関係にT細胞のFc機能的α-CTLA-4 nAb活性化に重要な役割を果たしている可能性がある(Waightら,Cancer Cell,33:1033-1047,2018)。腫瘍におけるFc増強活性化は有利であるが、腸組織における意図しないirAEをもたらしうる。本発明者らは、腸組織の免疫エフェクター細胞活性化におけるFc機能の寄与の可能性を調べた。腫瘍と結腸との両方からのマクロファージにおけるCD16/32発現のフローサイトメトリー分析は、脾臓マクロファージと比較して、抗原提示細胞上の有意に高いレベルのFcRを示した(図8Aおよび8B)。また、腫瘍および結腸粘膜固有層におけるCD45+ CD11b+ F4/80+ マクロファージの割合は、脾臓におけるものよりも実質的に高かった(図8C)。Fc機能は腸組織におけるIL1β、TNFαおよびIFNγサイトカイン応答の活性化に必要であり、処置開始の10日後という早い時期に明らかであり、これは腸炎症の明白な証拠が見られるかなり前であり、このことはirAE誘導における重要な役割を示唆している(図8C)。
1ヶ月間の処置の後にα-CTLA-4処置マウスの結腸粘膜固有層から単離されたCD4 T細胞におけるサイトカイン応答は、Fc媒介性腸炎症に関連するIL-17、TNFαおよびIFNγ産生細胞の、より高い割合を示した(図8E)。また、α-CTLA-4処置マウスにおいては好中球のFc依存的増加もで誘導された(図8E)。全体的に、これらの結果は、CTLA-4遮断関連腸炎症がエフェクター細胞のFc媒介性活性化により誘発されたことを示しており、これは、図11に示されているとおり、炎症性サイトカイン応答の刺激をもたらすT細胞とのAPCの細胞架橋のFcγR抗体増強により増強される。腸炎症のFc媒介性誘発は、Treg枯渇には無関係にエフェクターT細胞により誘発されうる。
考察
幾つかの最近の報告は同系マウス癌免疫療法腫瘍モデルにおけるCTLA-4遮断単独療法のためのFc機能の重要な役割を支持している(国際特許出願WO 2014/089113;Selbyら,Cancer Immunol.Res.32-42(2013);Vargasら,Cancer Cell,33:649-663(2018))。IngramらはProc.Natl.Acad.Sci.USA 115:3912-3917,(2018)において、抗CTLA-4 ISVDに抗腫瘍効力を付与するには、Fcドメインを該ISVDに融合させる必要があることを報告している。実際、本発明者らは、単独療法として腫瘍をCTLA-4 nAbまたはα-CTLA-4(D265A)で処置したところ、効力の欠如を観察した。より高い細胞表面CTLA-4レベルを発現する腫瘍浸潤Tregの特異的枯渇は腫瘍モデルにおける腫瘍効力に寄与することが示されている(Simpsonら,J.Exp.Med.,210:1695-1710(2013);Selbyら,Cancer Immunol.Res 1:32-42(2013))。
α-CTLA-4による腸炎の誘発は、粘膜固有層に存在するTregの検出可能な枯渇には関連していなかった。本発明者らの研究は、抗PD-1抗体と組合された場合に、強力な腸炎症を誘発することなく強力な抗腫瘍活性を示すことにより抗癌治療におけるCTLA-4遮断の可能性を拡大するものである。CTLA-4遮断とPD-1遮断との組合せの利益を得るためには、Fc機能は必要なかった。CTLA-4 nAbまたはα-CTLA-4(D265A)とα-PD-1とを含む併用治療は、強力なFc機能を有するα-CTLA-4により誘導されるものと同様の、腫瘍におけるIFNγ関連免疫応答遺伝子の活性化を誘導した。対照的に、腸炎へと進行する強い腸炎症は、主にα-CTLA-4処置マウスにおいて観察され、抗PD-1抗体mDX400と組合された場合に増強した。これらの結果は、CD28の活性化を促進するCTLA-4の単純な遮断が、PD-1遮断と組合された場合、枯渇T細胞の抗腫瘍応答を増強するのに十分であることを示している。
Kamphorstら,Science 355:1423-1427(2017)における以前の報告は、枯渇CD8 T細胞のPD-1遮断レスキューがTCR活性化のCD28共刺激を要することを示した。更に、Huiら,Science 355:1428-1433(2017)における随伴報告は、補助受容体CD28がPD-1リクルートShp2ホスファターゼによる脱リン酸化の標的としてTCRよりも非常に好ましいこと、およびCD28が優先的に脱リン酸化されることを示した。本発明者らの結果は、Fc機能を有さない抗CTLA-4抗体によるCTLA-4の単純な遮断とCD28のPD-1媒介性脱リン酸化の遮断とによりもたらされるTCR補助受容体CD28の相補的活性化が、癌免疫療法のための組合せの利益を得るのに十分でありうることを示している。Fc-FcγR架橋によるFc媒介性増強活性化を伴わない単純な組合せ遮断の利点は、それが、より高い用量範囲およびより長い治療時間を可能にする、より大きな治療指数を可能にすることでありうる。この利点はまた、より低い腸炎症irAEリスクプロファイルゆえに、化学療法標準治療との更なる組合せを促進しうる。
実験手順
マウス
野生型C57BL/6Jマウスをジャクソン研究所(Jackson laboratories)から入手した。野生型Balb/cおよびCB17-SCIDマウスをTaconicから入手した。B6.Foxp3GDL(GFP-DTR-ルシフェラーゼ)マウスを特定病原体除去条件下で誕生させ、維持し、Merck Research Laboratories(MRL)動物施設(Palo Alto,California)において濾過空気の存在下のマイクロアイソレーター内で飼育した。全ての動物の取り扱いは、実験動物管理の評価認定協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)のガイドラインに従い、MRLの施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により承認された。
腫瘍チャレンジおよび処置
同系腫瘍実験のために、CT26、MC38およびMB49腫瘍モデルを使用した。8~12週齢のBalb/CまたはC57BL/6Jマウスの脇腹に3×105個のCT26細胞を皮下(s.c.)注射した。腫瘍直径を電子ノギスで測定し、長さ×幅×幅×1/2により腫瘍体積を算出した。腫瘍が約100mm3に達したら、処置を開始した。α-CTLA-4、α-CTLA-4(D265A)、マウス抗IgG1-D265A抗体アイソタイプ対照、マウス抗IgG2a抗体アイソタイプ対照、α-PD-1抗体の10mg/kgで、週2回、マウスを皮下(s.c.)処置した。CTLA-4 nAbまたはISVD対照の30mg/kgで、週2回、マウスを皮下処置した。
α-CTLA-4は、配列番号58に記載されているアミノ酸配列を有するHCと配列番号59のアミノ酸配列を有するLCとを含む。
α-CTLA-4(D265A)は、配列番号60に記載されているアミノ酸配列を有するHCと配列番号60のアミノ酸配列を有するLCとを含む。
α-PD-1は、配列番号63に記載されているアミノ酸配列を有するHCと配列番号64のアミノ酸配列を有するLCとを含む。
CTLA-4 nAbは、配列番号61に記載されているアミノ酸配列を含む。
抗PD-1 ISVD F037(PD-1 nAb)は、配列番号62に記載されているアミノ酸配列を含む。
大腸炎および皮膚炎症の誘発
8~12週齢のナイーブBalb/cマウスをα-CTLA-4(D265A)、マウス抗IgG1-D265Aアイソタイプ対照、マウス抗IgG2aアイソタイプ対照の抗体の20mg/kgで8週間にわたって週2回、皮下処置した。マウスをCTLA-4 nAbまたはISVD対照の30mg/kgで週2回、皮下処置した。第55日に、ELISAおよびルミネックスアッセイのために血漿を採集した。器官を採集し、以下のとおりに処置した:1)10% 中性緩衝化ホルマリン中で固定し、組織病理学評価のためにパラフィン包埋組織切片をH&Eで染色した;2)更なるRNA抽出のために液体窒素中で急速凍結した;または3)細胞単離のためにHBSS中に配置した。
T細胞誘発性大腸炎
Balb/cマウスの脾臓細胞を処理し、磁気ビーズ分離(STEM CELL Technologies)を用いてCD4に関して精製した。TCRb+ CD4+ CD25- CD45RBhigh T細胞(CD45RBhigh T細胞)およびTCRb+ CD4+ CD25+ CD45RBlow(Treg細胞)をFACS Aria(BD)で選別した。3×105個のCD45RBhigh T細胞および1×105個のTreg細胞を静脈内注射した。350μgのα-CTLA-4もしくはアイソタイプ対照または600μgのCTLA-4 nAbもしくはISVD対照をマウスに週2回投与(i.p.)した。注射後7週間にわたってマウスをモニターし、体重を測定した。
腸透過性
血清中のFITCの蛍光測定の4時間前に、マウスにFITC-デキストラン(4kDa、Sigma-Aldrich)で強制飼養した。
結腸粘膜固有層、皮膚および腫瘍細胞単離
結腸粘膜固有層細胞を単離した。これは、まず、5mM EDTAおよび10mM HEPESを含有するハンクス緩衝塩類溶液中で0.5cmの腸組織片を37℃で20分間インキュベートすることより上皮細胞を取り出し、ついで、このインキュベーションをもう一度繰り返すことにより行った。残りの組織を小さな断片へと切断し、ついで、0.250mg/mL LIBERASE(Roche)、30U/mL DNアーゼI(Sigma-Aldrich)およびDISPASE(Corning)を含有するHBSS 1×培地で同一条件で消化した。得られた細胞懸濁液を40%/80% PERCOLL勾配上に重層し、600gで10分間遠心分離した。境界部においてLP細胞を回収した。
耳の皮膚を細断し、0.250mg/ml LIBERASE(Roche)、30U/mL DNアーゼI(Sigma-Aldrich)およびDISPASE(Corning)を含有するHBSS 1×培地で37℃で90分間消化した。細胞懸濁液を濾過し、HBSS 1×バッファーで2回洗浄した。腫瘍を細断し、0.250mg/ml LIBERASE(Roche)、30U/mL DNアーゼI(Sigma-Aldrich)およびDISPASE(Corning)を含有するHBSS 1×培地で37℃で30分間消化した。細胞懸濁液を濾過し、HBSS 1×バッファーで2回洗浄した。
結腸、耳皮膚、肝臓、肺、腎臓片からの組織学的試料を10% 中性緩衝化ホルマリン中で一晩固定し、70% エタノールに移し、常法により処理し、パラフィン内に包埋し、4~5μmに切断し、ついでヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。結腸は、疾患の重症度に関して、以下の3つの基準に従い、病理学者により盲検様式でスコア化された:炎症:存在する場合には、多数(60~70%)の単核細胞(マクロファージおよびリンパ球)ならびに30~40%の好中球および帯状核細胞の浸潤により特徴づけられた。炎症のスコア化は浸潤の重症度、腺の喪失、びらん(浸食)、腺腔の拡張、陰窩膿瘍および上皮細胞の変性の存在を含む。炎症は0~4のスケールでスコア化された:0=陰性;1=最小;2=軽度;3=中等度;4=重度。アポトーシス:アポトーシス小体の保有度を0~3のスケールでスコアした:0=陰性;1=低;2=中等度;3=高。再生:評価された再生変化は粘膜の上部1/3における有糸分裂像の保有度、個々の腺構造内の核密度(核密集度)、表面上皮の規則性のスコア化を含む。アポトーシスは0~3のスケールでスコア化された:0=陰性;1=低;2=中等度;3=高。
フローサイトメトリーおよび抗体
細胞をPBSに再懸濁させ、固定可能生存率解析用染料(fixable viability stain)(BD Bioscience)で暗所の氷上で30分間染色した。ついで、細胞を染色バッファー(FBS,BD bioscience)に再懸濁させ、蛍光色素直接結合体(directly fluorochrome-conjugated)の種々の組合せで氷上で30分間染色した。細胞内抗原に関しては、表面染色細胞を透過処理し、Foxp3染色バッファーセット(eBiosciences)で氷上で30分間固定し、ついで、特異的抗体で染色した。マウス抗体:CD45(30-F11)、CD8a(53-6.7)、CTLA-4(UC10-4B9)、CD11c(HL3)、CD11b(M1/70)、TCRβ(H57-597)、TCRγδ(GL3)、CD4(RM4-5またはGK1.5)、CD25(PC61)、CD45RB(16A)、Ly6G(1A8)、F4/80(T45-2342)、CD16/32(2.4G2)、IFNγ(XMG1.2)、IL-17A(TC11-18H10)、TNFα(MP6-XT22)、Foxp3(FJK-16s)。抗体の全てはBD biosciences、BiolegendまたはeBioscienceから購入した。全てのサンプルについて、LSR IIフローサイトメーター(BD)でデータ取得を行った。FLOWJOソフトウェア(Tree Star)を使用して、データを解析した。
サイトカイン産生をフローサイトメトリーで測定する際に、細胞を500ng/mL イオノマイシン、50ng/mL PMA(Sigma-Aldrich)で刺激した。1時間後、ブレフェルジンA(BD Bioscience)を染色前に更に2時間添加した。
マウス同種混合リンパ球反応(MLR)アッセイ
2.105のマウスC57B6/J(8~12週齢、雌)脾臓T細胞を、EASYSEPマウスT細胞単離キット(STEMCELL)を使用して単離し、示されている濃度のα-CTLA-4、α-CTLA-4(D265A)、CTLA-4 nAbまたはアイソタイプ対照の存在下、1×105個の照射(2000ラド)Balb/cマウス脾細胞と共培養した。第3日に上清を回収し、IL-2およびIFN-γ産生を製造業者のプロトコール(Meso Scale Discovery)に従うELISAにより測定した。ついで細胞を[3H]-チミジン(1μCi/ウェル)で6時間または16~18時間パルスした。細胞ハーベスターを使用して、細胞をガラス繊維フィルター上に回収した。製造業者の説明に従いMicroBetaプレートカウンター(PerkinElmer Microbeta 2450)を使用して、フィルターをカウントした。
組織および細胞からの全RNAの単離ならびにそれに続くFluidigm BIOMARKプラットフォームを使用する遺伝子発現解析
リアルタイムPCR分析のために、2つの方法のいずれかにより全RNAを単離した。器官をRNA STAT-60(Tel-Test Inc.,Friendswood,TX)においてポリトロンホモジナイザーでホモジナイズし、ついで、MagMAX-96 for Microarrays Kit(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA)を製造業者の説明に従い使用して、RNA抽出を行った。細胞サンプルに関しては、ARCTURUS PICOPURE RNA単離キットを製造業者の説明に従い使用して、RNAを単離した。
DNアーゼで処理された全RNAを、QUANTITECT逆転写(Qiagen,Valencia,CA)を製造業者の説明に従い使用して逆転写した。プライマーをThermoFisher Scientific(Foster City,CA)から商業的に入手した。遺伝子特異的前増幅を、Fluidigm BIOMARKの製造業者の説明(Fluidigm,Foster City)に従い、少なくとも2ngのcDNAに対して行った。ついで、それぞれ900nMの2つの未標識プライマーおよび250nMのFAM標識プローブ(ThermoFisher Scientific,Foster City,CA)をUNG含有TAQMAN Universal PCR Master Mixと共に使用して、Fluidigm BIOMARKにおいてリアルタイム定量PCRを行った。48×48アレイまたは96×96アレイにおいて、製造業者の説明(Fluidigm,Foster City)に従い、サンプルおよびプライマーを実施に付した。ユビキチレベルを別個の反応において測定し、ΔCt法によりデータを正規化するために使用した[各サンプルに関する関心遺伝子およびユビキチンに関する平均サイクル閾値を使用し、式1.8?(Ctユビキチン - Ct関心遺伝子)×104を使用して、正規化値を得た]。プライマー参照配列は要求に応じて入手可能である。
統計
この研究の残りにおいて統計的有意性を計算するために両側対応t検定および独立t検定を用いた。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。GraphPad PRISM7ソフトウェアを使用して、統計処理を行った。
実施例2
CTLA-4 nAbの抗腫瘍効果をマウス同系MB49腫瘍モデルにおいて評価した。MB49細胞は尿路上皮癌株であり、これは、初代膀胱上皮細胞外植片を7,12-ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)に24時間曝露させ、ついで長期培養することにより、成体C57BL/6マウスから誘導された。膀胱癌の同系マウスモデルは35年以上にわたって広範に使用されている。
MB49マウス膀胱癌細胞を80匹のマウスに皮下(s.c.)移植し、各群10匹のマウスからなる5つの処置群に動物を割り当てた。開始腫瘍体積の中央値が103mm3に達したら、マウスに4日に1回、合計4用量の皮下注射を行った。無関係な対照ISVD(30mg/kg、ロット番号01AQL)および5mg/kg mIgG1アイソタイプ対照mAb(ロット番号64AIS)を処置対照として投与した。処置は30mg/kg CTLA-4 nAb、10mg/kg Fcコンピテントα-CTLA-4(D265A)、5mg/kg α-PD-1、またはCTLA4標的化剤とα-PD-1との組合せを含むものであった。処置開始後21日間にわたって腫瘍成長をモニターした。
図9Aは各処置群の個々の動物の腫瘍体積を示す。第21日までの完全奏効(CR)が応答性処置群に関して示されている。図9Bは各処置群(開始時の数n=10/群)の平均腫瘍体積および平均の標準誤差を示す。腫瘍体積が大きいために研究から除外された動物の腫瘍体積は、その処置群について最後の測定が行われるまで平均において繰り越された。図9A~9Bは、CT26結腸腫瘍モデル(図3Aを参照されたい)、MB49膀胱腫瘍モデルおよびMC38結腸腫瘍モデルの場合と同様に、無Fc-CTLA-4 nAbとα-PD-1との併用療法が、Fc機能に無関係に、強力な抗腫瘍効果をもたらしたことを示している。
実施例3
CTLA-4 nAbの抗腫瘍効果をマウス同系MC38腫瘍モデルにおいて評価した。MC38マウス結腸癌細胞を80匹のマウスに皮下移植し、各群10匹のマウスからなる5つの処置群に動物を割り当てた。開始腫瘍体積の中央値が246mm3に達したら、マウスに4日に1回、合計4用量の皮下注射を行った。無関係な対照ISVD(30mg/kg)および5mg/kg mIgG1アイソタイプ対照mAbを処置対照として投与した。処置は30mg/kg CTLA-4 nAb、10mg/kg Fcコンピテントα-CTLA-4(D265A)、5mg/kg α-PD-1、またはCTLA4標的化剤とα-PD-1との組合せを含むものであった。処置開始後23日間にわたって腫瘍成長をモニターした。
図10Aは各処置群の個々の動物の腫瘍体積を示す。第23日までの完全奏効(CR)が応答性処置群に関して示されている。図10Bは各処置群(開始時の数n=10/群)の平均腫瘍体積および平均の標準誤差を示す。腫瘍体積が大きいために研究から除外された動物の腫瘍体積は、その処置群について最後の測定が行われるまで平均において繰り越された。図10A~10Bは、CT26結腸腫瘍モデル(図3Aを参照されたい)、MB49膀胱腫瘍モデルおよびMC38結腸腫瘍モデルの場合と同様に、無Fc-CTLA-4 nAbとα-PD-1との併用療法が、Fc機能に無関係に強力な抗腫瘍効果をもたらしたことを示している。
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