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JP7574999B2 - 積層型歯科切削加工用レジン系ブランク - Google Patents

積層型歯科切削加工用レジン系ブランク Download PDF

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JP7574999B2 JP2020162971A JP2020162971A JP7574999B2 JP 7574999 B2 JP7574999 B2 JP 7574999B2 JP 2020162971 A JP2020162971 A JP 2020162971A JP 2020162971 A JP2020162971 A JP 2020162971A JP 7574999 B2 JP7574999 B2 JP 7574999B2
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Description

本発明は、複数のレジン系材料層が積層された積層体からなる被切削加工部を有する積層型歯科切削加工用ミルブランクに関する。
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造体などの歯科用修復物(或いは歯科用補綴物)の作製において、デジタル化技術の利用が進んでいる。たとえば、特許文献1に開示されているように、口腔内の撮影画像から、コンピュータ支援設計(CAD)(Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM)(Computer Aided Manufacturing)技術によるCAD/CAM装置を用いて、非金属材料からなる歯科切削加工用ブランクに切削加工を施して歯科用修復物を成形するCAD/CAMシステムが多用されるようになってきている。ここで、歯科切削加工用ブランクとは、CAD/CAMシステムにおける切削加工機に取り付け可能にされた被切削体(ミルブランクとも呼ばれる。)を意味し、直方体や円柱の形状に成形された(ソリッド)ブロック又は板状若しくは盤状に形成された(ソリッド)ディスク等が一般的に知られている。なお、歯科切削加工用ブランクには、これを切削加工機に固定するための保持ピンが接合されることも多く、このような形態においては保持ピンと一体化したものを歯科切削加工用ブランクと呼ぶこともある。本発明では、このような保持ピンと一体化した形態を含めて歯科切削加工用ブランクと称する。そして、被切削体本体(歯科切削加工用ブランク本体)を被切削加工部と称することもある。
歯科切削加工用ブランクの被切削加工部となる材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料が用いられる。これらの中でも、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂などの重合性単量体、重合開始剤を含有する硬化性組成物の硬化体からなるレジン系材料(ハイブリッドレジンとも呼ばれる。)は、その作業性(切削加工性)の高さ、高審美性、強度等の点から注目を集めている。
ところで、歯科治療では、天然歯牙の色調に可能な限り近い外観を付与する事が要求されるが、このような審美的要求を満たすために、顔料物質や染料物質を、その種類や配合量を変えて添加し、色調が調整された単一成分からなる単層構造の歯科切削加工用レジン系ブランクや、異なる色調の成分を積層して構成される多層構造の歯科切削加工用レジン系ブランクが提案されている。
例えば、特許文献2には、汎用性と生産性に優れ、なおかつ天然歯の美観の再現性が高いとする歯科切削加工用レジン系ブランクとして、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を含有し、特定の拡散比を有する歯科CAD/CAM用レジンブロックが提案されている。また、特許文献3には、より天然歯と同様の色調及び透明性を有する歯科用補綴物を切削加工により提供できる、歯科用ミルブランクとして、前記積層体が、最上層、少なくとも1層の中間層、及び最下層の少なくとも3層を含み、前記積層体を構成する各層が、充填材(A)及び重合体(B)を含み、各層の前記充填材(A)が、少なくとも1種の無機粒子(a)及び少なくとも1種の顔料(C)を含み、前記最上層と前記最下層の色度差ΔE*Tが5.0以上15.0以下であり、前記最上層と前記最下層の透明性差ΔΔL*Tが5.0以上15.0以下であり、全ての隣接する層の色度差ΔE*が1.0以上5.5以下であり、全ての隣接する層の透明性差ΔΔL*が1.0以上5.0以下であり、最上層の透明性ΔL*Hが13.5以上25.0以下であり、最下層の透明性ΔL*Lが7.0以上13.0以下である、歯科用ミルブランクが提案されている。
また、単層構造の歯科切削加工用レジン系ブランクにおいては、所謂構造色を発現することにより、顔料等を用いることなく天然歯牙との色調和を図ることができるものも知られている。すなわち、特許文献4には、「樹脂マトリックス(A)及び平均粒子径が230nm~1000nmの範囲内にある球状フィラー(B)を含有する歯科切削加工用レジン系ブロックであって、前記球状フィラー(B)を構成する個々の粒子のうち90%以上が平均粒子径の前後の5%の範囲内に存在し、厚さ10mmでの、色差計を用いて測定した、黒背景下および白背景下での着色光のマンセル表色系による測色値の明度(V)が5.0未満、彩度(C)が2.0未満であり、且つ厚さ1mmでの色差計を用いて測定した、黒背景下での着色光のマンセル表色系による測色値の明度(V)が5.0未満であり、彩度(C)が0.05以上であり、且つ白背景下での着色光のマンセル表色系による測色値の明度(V)が6.0以上であり、彩度(C)が2.0未満であることを特徴とする歯科切削加工用レジン系ブロック」が開示されている。そして、特許文献4によれば、上記歯科切削加工用レジン系ブロックは、前記球状フィラー(B)を構成する個々の粒子のうち90%以上が平均粒子径の前後の5%の範囲内に存在し、且つ前記樹脂マトリックス(A)及び球状フィラー(B)は、前記樹脂マトリックス(A)の25℃における屈折率をnPとし、前記球状フィラー(B)の25℃における屈折率をnFとしたときに、nP<nFという条件を満足することにより、球状フィラー(B)の粒径に応じて、構造色として特定の色調の着色光を発現し、黒背景下ではその着色光に応じて特有の反射スペクトルとして明瞭に確認されるが、白背景下では、可視スペクトルの実質的な全範囲にわたり、実質的に均一な反射率を示し、可視スペクトルの光は確認されないという性質を示し、様々な周辺環境に対して幅広く調和する効果が発揮される、旨が説明されている。
なお、特許文献4に示される上記歯科切削加工用レジン系ブロックの被切削加工部となるハイブリッドレジンに相当する、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料については、無機粒子の形状及び粒度分布、無機粒子の屈折率と樹脂マトリックスの屈折率との関係、及び無機粒子の分散状態が特定の条件を満足するときに、光の入射角の変化に左右されない一定の色調の構造色を発色することが知られている(特許文献5参照。)。
特表2016-535610号公報 特開2017-213394号公報 国際公開第2018/074605号 国際公開第2019/189698号パンフレット 国際公開第2020/050123号パンフレット
天然歯牙は、歯頚部は不透明で赤黄色みが強く、切端に向かって白色透明な色調に徐々に変化しており、天然歯牙の切端と歯頚部は色が大きく異なるばかりでなく、天然歯牙の全体の色調(シェードと呼ばれることもある)には、個人差がある。そのため、天然歯牙の色調を高度に再現するためには、全体の色調(シェード)ごとに、歯頚部から切端部にかけての色調変化を再現するために(色調の異なる)多層構造のミルブランク(以下、「多層ミルブランク」とも言う。)を用意する必要があり、製造に労力を要するばかりでなく、使用に際しては、個別患者の歯牙のシェードを入念にチェックし、多くの候補の中からそれに適合する多層ミルブランクを選択する必要がある。
一方、前記特許文献4に記載された、構造色を発現するハイブリッドレジンからなる被切削加工部を有する歯科切削加工用レジン系ブロック(以下、「構造色レジン系ブランク」ともいう。)を用いた場合には、前記効果により、これを用いて製造される歯科用補綴物の色調を下地となる天然歯牙の色調と調和されることが可能である。
ところが、本発明者等が、前記特許文献4に記載された構造色レジン系ブランクを用いて作製した歯科用補綴物について種々検討を行ったところ、その態様によっては、審美性の高い修復を行うことができない場合があることが判明した。すなわち、例えば前歯を修復するための歯科用補綴物である前歯クラウンのように、歯頸部近傍から切端部にかけての比較的広い範囲で下地に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物においては、白背景下の場合と同様に、構造色が観測されず、色調調整効果が得られないことがあることが判明した。
そこで、本発明は、下地に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物を作製した場合においても、構造色レジン系ブランクの色調適合性に関する利点を可及的に生かして、様々な周辺環境に対して幅広く調和可能な歯科切削加工用レジン系ブランクを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく検討を行った。その結果、構造色を発現するハイブリッドレジンからなる層の下部層として着色されたハイブリッドレジン層を設けた場合には、下地に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物を作製した場合においても、構造色を発現するハイブリッドレジンからなる層が有する“様々な周辺環境に対して幅広く調和可能となる効果”が発揮されること、及び両層の色差が特定の範囲内であるときには、自然なグラデーション効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一の形態は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用レジン系ブランクにおいて、
前記複合材料は、第一層と第二層とが接合された積層構造を有し、
前記第一層は、光の入射角度によらない所定の色調の構造色を発現する複合材料である第一複合材料からなり、
前記第二層は、前記第一複合材料の色調とは異なる色調を有する複合材料からなる第二複合材料からなり、
単一色調を有する複合材料の色調を、厚さ1.0±0.1mmの試料について分光光度計を用いた背景色白での測定によって得られるL値、a値及びb値で表したときに、
前記第一複合材料の色調と前記第二複合材料の色調の差の指標となる、下記式
ΔE={(L1-L2+(a1-a2+(b1-b2 1/2
(上記式中、L1、a1及びb1は、前記第一複合材料におけるL値、a値及びb値であり、L2、a2及びb2は、前記第二複合材料におけるL値、a値及びb値である。)
で定義される色差:ΔEが2~30であり、
前記第一複合材料における顔料及び色素の合計配合量が当該第一複合材料の総質量に対して100質量ppm以下であり、前記第二複合材料における顔料及び色素の合計配合量が当該第二複合材料の総質量に対して500~7000質量ppmである、
ことを特徴とする積層型歯科切削加工用レジン系ブランクである。
上記形態の積層型歯科切削加工用レジン系ブランク(以下、「本発明のブランク」ともいう。)においては、前記第一複合材料が下記(a)~(d)に示される条件を全て満足することが好ましい。
(a)前記無機粒子が、100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)を、1又は複数含む。
(b)上記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID (但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aの自然数である。)で表したときに、aが2以上である場合の各G-PID の平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっている。
(c)前記樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn (MX) とし、各G-PID を構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn (G-PIDm) としたときに、いずれのn (G-PIDm) に対しても、
(MX) <n (G-PIDm)
の関係が成り立っている。
(d)第一複合材料において、任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す関数であって、前記複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定される、当該観察平面内の前記無機球状粒子の平均粒子密度:〈ρ〉、及び当該観察平面内の任意の無機球状粒子からの距離rの円と距離r+drの円との間の領域中に存在する無機球状粒子の数:dn、並びに前記領域の面積:da(ただし、da=2πr・drである。)に基づいて下記式(1)
g(r)={1/〈ρ〉}×{dn/da} ・・・(1)
で定義される関数:g(r)を動径分布関数としたときに、前記複合材料にける全“同一粒径球状粒子群”(G-PID)を構成する無機球状粒子が、下記条件1及び下記条件2を満足する短距離秩序構造を有するように、マトリックス材料中に分散している。
[条件1]:前記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離:rを、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rで、除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記動径分布関数:g(r)をy軸として、前記r/rとその時のrに対応する前記g(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離:rが、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rの1倍以上2倍以下の値である。
[条件2]:前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離:rとしたときに、前記最近接粒子間距離:rと次近接粒子間距離:rとの間における前記動径分布関数:g(r)の極小値が0.56以上1.10以下の値である。
さらに、複合材料の透明性を、厚さ1.0±0.1mmの試料について分光光度計による色差測定を行ったときに得られる、白背景でのY値:Yに対する黒背景でのY値:Y/の比:Y/Yとして決定される値をコントラスト比:CRを指標として表したときに、前記第一複合材料のコントラスト比:CR1が0.28~0.46であり、前記第二複合材料のコントラスト比:CR2が0.50~0.65であることが好ましい。
本発明の積層型歯科切削加工用レジン系ブランクでは、歯頸部近傍から切端部にかけての比較的広い範囲で下地層に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物を作製する場合でも切端部が第一層で構成され、歯頸部近傍が第二層で構成されるようにして切削加工することにより、天然歯牙における歯頸部から切端部にかけてのグラデーションとなっている様子を高度に表現でき、より天然歯牙の色調を再現できるようになる。しかも、第一層は構造色を発現するハイブリッドレジンからなるので第二層の色調に合わせて自然に色調が適合する。このため、歯頸部近傍となる第二層のみついて顔料や染料を用いた色調調整を行えばよい。したがって、特許文献3に開示された方法にように3層間の色度差や透明性差を高度に調整して積層する場合と比べて、調整や積層に要する手間が大幅に削減され、製造効率が大幅に向上する。さらに、使用時におけるシェードテイキングの手間を削減することもできる。
1.本発明のブランクの概要について
本発明の積層型歯科切削加工用レジン系ブランクは、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料(ハイブリッドレジンに該当する。)からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用レジン系ブランクにおいて、前記被切削加工部を構成する複合材料(ハイブリッドレジン)は、第一層と第二層とが接合された積層構造を有し、前記第一層は、光の入射角度によらない所定の色調の構造色を発現する複合材料である第一複合材料からなり、前記第二層は、前記第一複合材料の色調とは異なる色調を有する複合材料からなる第二複合材料からなり、前記第一複合材料と前記第二複合材料の色調の違いの指標となる色差:ΔEが特定に範囲であることを特徴とする。なお、前記積層構造の第二層を構成する第二複合材料は、光の入射角度によらない所定の色調の構造色を発現するものであってもよく、このような構造色を発現しないものであってもよい。
また、上記積層構造においては、第一複合材料による、構造色に由来する色調適合性が顕著となるという理由から、前記第一複合材料のコントラスト比:CR1は0.28~0.46、特に0.28~0.43であり、前記前記第二複合材料のコントラスト比:CR2は0.50~0.65、特に0.55~0.63であることが好ましい。
本発明のブランクは、被切削加工部が上記積層構造を有する点を除けば従来のハイブリッドレジン系歯科切削加工用ブランクと特に変わる点は無く、必要に応じて保持ピン等の切削加工機に固定するための保持部材を有していてもよい。また、被切削部の形状及び大きさも特に限定されず、直方体や円柱の形状に成形された(ソリッド)ブロックであってもよく、板状若しくは盤状に形成された(ソリッド)ディスクであってもよい。
本発明のブランクの被切削加工部は、上記積層構造を有するものであれば、第一層及び第二層のみからなる2層構造のものであってもよく、更に層が追加された3層以上の積層構造のものであってもよい。各層の厚さは、特に限定されないが、通常は1~13mm、好ましくは2~12mmの範囲である。
被切削加工部を構成する複合材料(ハイブリッドレジン)が3層以上の積層構造である場合には、第一層の第二層と接合する側とは反対側及び/又は第二層の第一層と接合する側とは反対側に他の複合材料(ハイブリッドレジン)からなる層が接合された3層又は4層構造であることが好ましい。このとき、第一層の第二層と接合する側とは反対側に他の複合材料(ハイブリッドレジン)からなる層(「第一層側付加層」ともいう。)が接合する場合には、CR1よりも低いコントラスト比を有し、且つ光の入射角度によらない所定の色調の構造色を発現する複合材料(ハイブリッドレジン)からなることが好ましい。また、第二層の第一層と接合する側とは反対側に他の複合材料(ハイブリッドレジン)からなる層(「第二層側付加層」ともいう。)が接合する場合には、第二の複合材料のコントラスト比:CR2よりも高いコントラスト比を有する複合材料(ハイブリッドレジン)、特に構造色を発現しない複合材料(ハイブリッドレジン)からなることが好ましい。さらに第二層と第二層側付加層との色差は1~10であることが好ましく、特に2~8であることがより好ましい。
前記したように、前記特許文献4に記載された構造色レジン系ブランクを用いて歯頸部近傍から切端部にかけての比較的広い範囲の窩洞修復用の歯科用補綴物を作製した場合には、白背景下の場合と同様に、透過光の影響を強く受けて、発現した構造色が観測されず、色調調整効果が得られないことがある。これに対し、被切削加工部が、上記したような積層構造を有することにより、第二層が着色されていることから透過光の影響を減ずることができるので、第一層は構造色レジン系ブランクが本来有する特徴を発揮することができるようになる。したがって、下地層に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物を作製する場合でも、歯頸部近傍を第二層で構成し、切端部近傍が第一層で構成して歯科用補綴物を作製することにより、第一層で構成される部分については、顔料や染料を用いた色調調整を特に行わなくても、周囲の色調と適合させることができる。また、第一層と第二層との色差:ΔEを一定の範囲内であるので、両層間に適度に暈けた自然なグラデーションがみられるようになる。
第一層を構成する第一複合材料及び必要に応じて追加される第一層側付加層となる複合材料、並びに第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料が構造色を発現する場合の第二複合材料及び上記複合材料は、前記特許文献4に記載された構造色レジン系ブランクで使用される複合材料と同様に所定の平均(一次)粒子径及び所定の粒度分布を有する無機球状粒子を含み、光の入射角度に依存しない(含まれる同一粒径球状粒子群の平均粒子径に応じた)所定の色の構造色(以下、「特定構造色」とも言う。)を発現するものである。前記したように、このような特定構造色を発現する複合材料(ハイブリッドレジン)については、特定構造色を発現するために満たすべき条件が知られている(特許文献5参照)。本発明における、これら第一複合材料等としては、このような条件、具体的には後述する条件(a)~(d)の全て、を満足する複合材料{後述する条件(a)~(d)を全て満足し、特定構造色を発現するハイブリッドレジンを、以下、「構造色系ハイブリッドレジン」ともいう。}が特に制限なく使用できる。
一方、第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料が構造色を発現しない場合のこれら複合材料としては、前記条件を満足しない{後述する条件(a)~(d)の少なくとも一つを満足しない}ハイブリッドレジン、又は顔料等を多量に配合したために特定構造色の発現が目視で確認できなくなったハイブリッドレジン(以下、総称して「非構造色系ハイブリッドレジン」ともいう。)が使用される。
本発明のブランクにおいては、前記積層構造における第一層及び第二層を構成する第一複合材料及び第二複合材料が、それぞれ特定の特徴を有することが極めて重要である、そこで、先ず、これら特徴、すなわち、構造色、特定構造色及びハイブリッドレジンが特定構造色を発現するための条件、並びにコントラスト比及び色差について説明した上で、第一複合材料及び第二複合材料等の原材料及びその調製方法、並びに本発明のブランクの製造方法等について説明する。
なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系」との用語は「アクリル系」及び「メタクリル系」の両者を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」との用語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」との用語は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
2.構造色及び特定構造色について
構造色とは、微細構造を有する物体に入射した光が前記微細構造による光の干渉、回折、屈折等で特定の波長の光を反射する現象であり、オパールや油膜等において光の入射角度(或いは見る角度)によって異なる色の構造色が観察される。これに対し、本発明の積層型歯科切削加工用レジン系ブランクでは、上記したように光の入射角度に依存せずに所定の色が観察される特定構造色を利用している。
上記特定構造色は、均質な粒径を有する微粒子が、特定の短距離秩序構造を有しつつ全体的にはアモルファス構造となるように分散することによって発現することが知られており、歯科材料においても特定構造色を利用したレジン系材料、具体的には、このような構造色を発現する複合材料のみからなる単層の歯科切削加工用レジン系ブロック(特許文献4参照。)開発されている。そして、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散したレジン系材料であるハイブリッドレジンにおいては、特定構造色を発現するために必要な条件が明らにされている。
3.構造色系ハイブリッドレジンが満足すべき条件について
特許文献5に開示されているように、ハイブリッドレジンが特定構造色を発現するためには、下記条件(a)~(d)を全て満足する必要がある。
(a)上記無機粒子が、100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)を、1又は複数含むこと。
(b)上記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID (但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aの自然数である。)で表したときに、aが2以上である場合の各G-PID の平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっていること。
(c)前記樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn (MX) とし、各G-PID を構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn G-PIDm) としたときに、いずれのn (G-PIDm) に対しても、 n (MX) <n (G-PIDm) の関係が成り立つこと。
(d)その複合材料(ハイブリッドレジン)において、任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す関数であって、前記複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定される、当該観察平面内の前記無機球状粒子の平均粒子密度:<ρ>、及び当該観察平面内の任意の無機球状粒子からの距離rの円と距離r+drの円との間の領域中に存在する無機球状粒子の数:dn、並びに前記領域の面積:da(ただし、da=2πr・drである。)に基づいて下記式(1)
g(r)={1/<ρ>}×{dn/da} ・・・(1)
で定義される関数:g(r)を動径分布関数としたときに、前記複合材料にける全“同一粒径球状粒子群”(G-PID)を構成する無機球状粒子が、下記条件1及び下記条件2を満足する短距離秩序構造を有するように、マトリックス材料中に分散していること。
[条件1]:前記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離:rを、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rで、除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記動径分布関数:g(r)をy軸として、前記r/rとその時のrに対応する前記g(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離:rが、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rの1倍以上2倍以下の値である。
[条件2]:前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離:rとしたときに、前記最近接粒子間距離:rと次近接粒子間距離:rとの間における前記動径分布関数:g(r)の極小値が0.56以上1.10以下の値である。
なお、前記動径分布関数:g(r)は、一般的には、x軸(距離軸)に前記距離rをとりy軸(縦軸)にそのrにおけるg(r)の値{前記式(1)による計算結果}をとった動径分布関数グラフ、或いは距離軸に前記rを粒子の平均粒子径で除して規格化した無次元数をとり、y軸(縦軸)にx軸の値に対応するrにおけるg(r)の値(前記式の計算結果)をとった動径分布関数グラフによって表されるものである。
〈ρ〉及びdnについては、の確認が容易で確実であるという理由から、第一複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定した〈ρ〉、及びdn、並びに上記dnを決定する際に採用したdrの値に応じた:da(=2πr・dr)に基づいて前記式(1)により計算したg(r)を採用することが好ましい。
第一複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づく、〈ρ〉、dn及びdaの決定は、次のようにして行うことができる。すなわち、先ず、第一複合材料の原料となる重合硬化性組成物を硬化させる等して複合材料を作製し、得られた複合材料の表面を研磨する等の手段により、複合材料内部における無機球状粒子の分散状態が観察可能な平面(観察平面)を表面に露出させる。次いで、当該観察平面を走査型電子顕微鏡により観測し、少なくとも平面内に500個以上の無機球状粒子を含有している領域の顕微鏡画像を取得する。その後、得られた走査型電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(例えば「Simple Digitizer ver3.2」フリーソフト)を用いて、前記領域内の無機球状粒子の座標を求める。得られた座標データから任意の無機球状粒子の座標を1つ選択し、選択した無機球状粒子を中心に少なくとも200個以上の無機球状粒子が含まれる距離rを半径とする円を描き、当該円内に含まれる無機球状粒子の個数をカウントすることにより平均粒子密度<ρ>(単位:個/cm2)を決定することができる。
また、dnについては、無機球状粒子の平均粒子径をrで表したときに、その長さがr/100~r/10程度の値となるdrを設定し、任意に選択した1つの無機球状粒子を中心粒子とし、その中心からの距離rを半径とする円と、当該円と同一の中心を有する、半径:r+drの円との間の領域内に含まれる無機球状粒子数をカウントすることによりdnを決定することができる。さらに、前記2つの円の間の領域の面積であるdaは、実際に設定したdrの長さに基づき、2πr・drとして決定される。
第一複合材料では、前記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離:rを、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数:g(r)をy軸として、前記r/rとその時のrに対応する前記g(r)との関係をあらわした動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離:rが、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rの1倍以上2倍以下の値である必要がある(条件1)。rがrの1倍未満(r/r<1)である場合には、平面内の粒子同士の重なりが多くなり、また、rがrの2倍を越える(r/r>2)場合には選択した中心の無機粒子近傍に粒子が存在しなくなることによって、短距離の秩序性がなくなり、構造色を発現しなくなる。すなわち、短距離の秩序性を維持し、構造色を発現しやすくなるという観点から、r/rは、1.0以上、2.0以下、特に1.0以上、1.5以下であることが好ましい。
また、第一複合材料では、前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離:rとしたときに、前記最近接粒子間距離:rと次近接粒子間距離:rとの間における前記動径分布関数:g(r)の極小値が0.56以上1.10以下の値である必要もある(条件2)。前記極小値が0.56未満となる場合は、無機球状粒子の配列構造の長距離秩序性が高くなり、発現する構造色の光の入射角度依存性が高まるばかりでなく、複合材料の彩度が高くなってしまい、歯科充填材料として用いた場合における、色調適合性が得られ難くなる。他方、前記極小値が1.10を越える場合には、無機球状粒子の配列構造がランダム構造となってしまい、目的とする反射性能が得られ難くなり、所期の構造色が発現し難くなる。すなわち、構造色を発現させ、歯科充填材料としての色調適合性を得易くするという観点から、前記極小値は、0.56以上、1.10以下、特に0.56以上、1.00以下であることが好ましい。
3.色差:ΔEについて
色差:ΔEとは2つの色の異なりの程度を表す指標であり、その値が大きいほど両者の色調が異なることを意味する。本発明における色差:ΔEは、対比すべき2つの色調について、明度をL、色相をa、彩度bで表すL色空間(表色系)における各座標軸の数値(L値、a値及びb値)についての差(ΔL、Δa及Δb)を用いて下記式で決定されるΔEを意味する。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
また、本明細書における単一色調を有する複合材料(ハイブリッドレジン)についてのL値、a値及びb値は、厚さ1.0±0.1mmの試料を用いた分光光度計による背景色白での測定によって得られるL、a及びbに意味するものとする。具体的には分光光度計(東京電色製、「TC-1800MKII」、ハロゲンランプ:12V100W、測定波長範囲380~780nm)を用いた反射光0°d法(JIS Z8722)にて、測定面積の5mmφでの背景色白(標準白色板を硬化体に重ねて光遮蔽した状態)の分光反射率を測定することによって得られるL、a及びbにより決定される。
例えば、第一複合材料と第二複合材料との色差:ΔEとは、第一複合材料及び第二複合材料のそれぞれについて、厚さ1.0±0.1mmの試料を用いた分光光度計による色差測定を行った場合の、第一複合材料におけるL、a及びbをL1、a1及びb1とし、第二複合材料におけるL、a及びbをL2、a2及びb2とすると、
ΔL=L1-L2
Δa=a1-a2
Δb=b1-b2
であるから、
ΔE={(L1-L2+(a1-a2+(b1-b21/2
となる。
色差は、主として第二複合材料に顔料及び色素を配合してその色調(L2、a2及びb2)を調整することにより調整することができる。このとき、第一複合材料の特定構造色発現による効果を損なわない範囲で第二複合材料に顔料及び色素を配合してその色調(L1、a1及びb1)を調整するようにしても良い。なお、色調の差が大きく異なるとΔEは増大し、目視で層間の積層界面が明確に確認されるようになり、境界を自然に暈すグラデーション効果が低下する傾向がある。
第一層が、構造色レジン系ブランクが本来有する特徴を発揮することができるようになり、更に自然なグラデーションを表現することが可能となるという理由から、第一複合材料と第二複合材料との色差:ΔEは、2~30である必要があり、2~25であることが好ましく、2~20であることがより好ましい。
3.コントラスト比:CR=Y/Yについて
コントラスト比:CRとは、マトリックス樹脂中に無機粒子が分散した複合材料(レジン系材料)の透明性の指標であり、本発明では、厚さ1.0±0.1mmの試料について分光光度計による色差測定を行ったときに得られる背景色白におけるY値:Yに対する背景色黒におけるY値:Y/の比:Y/Yとして決定される値を意味する。このコントラスト比:CRが小さな値であるほど透明性が高く、大きな値であるほど透明性は低くなる。
コントラスト比は、具体的には分光光度計(東京電色製、「TC-1800MKII」、ハロゲンランプ:12V100W、測定波長範囲380~780nm)を用いた反射光0°d法(JIS Z8722)にて、測定面積の5mmφでの背景色黒(光遮蔽状態)の分光反射率と背景色白(標準白色板を硬化体に重ねて光遮蔽した状態)の分光反射率を測定することにより決定される。
コントラスト比は、平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる超微細粒子群(G-SFP)や、顔料や染料等の着色物質の添加量を調整することにより調整することができる。
本発明の積層型歯科切削加工用レジン系ブランクでは、被切削加工部に含まれる上記積層構造における第一層及び第二層を夫々構成する第一複合材料及び第二複合材料のコントラスト比の値が、夫々所定の範囲内にあることが好ましい。すなわち、第一複合材料のコントラスト比:CR1は、0.28~0.46であり、第二複合材料のコントラスト比:CR2は、0.50~0.65であることが好ましい。CR1の値が上記範囲外である場合には特定構造色が観測され難なり、また周囲の色調との調和を図ることが困難となる傾向がある。またCR2の値が上記範囲外である場合には、下地層に天然歯牙が存在しない部分を含む歯科用補綴物を作製した場合に、構造色を発現する第一層が有する“様々な周辺環境に対して幅広く調和可能地なる効果”を発揮し難くする傾向がある。
効果の観点から、CR1は0.28~0.46、特に0.28~0.43であり、CR2は0.50~0.65、特に0.55~0.63であることが好ましい。また、コントラスト比との差:CR2-CR1=ΔCR=ΔY/Yは、0.10以上、特に0.12~0.27であることが好ましい。
5.構造色系ハイブリッドレジンの原材料及びその製造方法について
前記したように、第一層を構成する第一複合材料及び必要に応じて追加される第一層側付加層となる複合材料、並びに第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料が構造色を発現する場合の第二複合材料及び上記複合材料は、構造色系ハイブリッドレジンであり、第二複合材料が構造色を発現しない場合の当該第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料は、非構造色系ハイブリッドレジンである。
本発明で使用される構造色系ハイブリッドレジンは、平均一次粒子径が100nm未完の無機粒子から超微細粒子群(G-SFP)を必須としない点を除いて特許文献5の請求項1に記載された複合材料と特に変わる点は無く、その原材料及び調製方法についても上記点を除き、特許文献5の請求項9に記載された原材料及び調製方法と特に変わる点は無い。
すなわち、重合性単量体、特定の条件を満足する無機粒子、及び重合開始剤を含有する硬化性組成物を原料組成物(以下、「構造色系原料組成物」という。)とし、当該構造色系原料組成物中における前記無機粒子の分散状態を特定の分散状態としてから硬化させることにより、第一複合材料等の構造色系ハイブリッドレジンを製造することができる。
ここで、無機粒子が満足すべき条件とは、下記(i)~(iii)に示すものである。
(i) 100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)を含み、当該同一粒径球状粒子群の数が1又は複数であること。
(ii) 前記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aまでの自然数である。)で表したときに、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっていること。
(iii) 前記重合性単量体の硬化体の25℃における屈折率をn(MX)とし、各G-PIDを構成する無機球状粒子の25℃における屈折率をn(G-PIDm)としたときに、いずれのn(G-PIDm)に対しても、
(MX)<n(G-PIDm)
の関係が成り立つこと。
また、構造色系原料組成物が満足すべき分散状態の条件とは、下記(I)及び(II)に示すものである。
(I) 前記構造色系原料組成物の硬化体中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離rを、前記原料組成物の硬化体中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数g(r)をy軸として、r/rとそのときのrに対応するg(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離rが、前記混合物の硬化体中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rの1倍~2倍の値であること。
(II) 前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離rとしたときに、前記最近接粒子間距離rと前記次近接粒子間距離rとの間における前記動径分布関数g(r)の極小値が0.56~1.10の値であること。
上記条件(i)~(iii)は構造色系ハイブリッドレジンが満足すべき条件の(a)~(c)対応するものであり、構造色系原料組成物に含まれる重合性単量体の硬化体が構造色系ハイブリッドレジンの樹脂マトリックス(例えば第一複合材料における樹脂マトリックス)に該当し、構造色系原料組成物に含まれる無機粒子が構造色系ハイブリッドレジンの樹脂マトリックス中に分散する無機粒子(例えば第一複合材料における樹脂マトリックス中に分散する無機粒子)に該当する。なお、上記条件(iii)に関しては、構造色の視認性や鮮明さ及び歯科切削加工用ブランクとして使用したときの色調適合性の観点から、n(G-PIDm)とn(MX)との差であるΔn(=n(G-PIDm)-n(MX))は、0.001以上、0.1以下であることが好ましく、0.002以上、0.1以下であることが更に好ましく、0.005以上、0.05以下であることが最も好ましい。
また、上記条件(I)及び(II)を満足することは構造色系ハイブリッドレジンが満足すべき条件の(a)に対応する。
以下に、第一複合材料等の構造色系ハイブリッドレジンの原料となる(別言すれば、その硬化体が第一複合材料等の構造色系ハイブリッドレジンとなる)構造色系原料組成物の原材料について説明する。
5-1.構造色系原料組成物の原材料となる重合性単量体
前記構造色系原料組成物における重合性単量体は、その硬化体が構造色系ハイブリッドレジンの樹脂マトリックスとなるものである。当該重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体が好適に使用できる。上記ラジカル重合性単量体は、特に限定されず、(メタ)アクリル化合物、エポキシ類やオキセタン類等のカチオン重合性単量体等の中から適宜選択して用いることができる。たとえば、歯科用重合硬化性組成物を得るためには、(メタ)アクリル化合物を使用することが好ましい。好適に使用できる(メタ)アクリル化合物を例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N-(メタ)アクリロイルグリシン、p-ビニル安息香酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸無水物、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデカン-1,1-ジカルボン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,2-ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリレート系重合性単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。
重合性単量体としては、構造色系ハイブリッドレジンの樹脂マトリックスとなる硬化体の物性(機械的特性や歯科用途では歯質に対する接着性)調整のため、一般に、複数種の重合性単量体が使用されるが、この際、重合性単量体組成物(混合物)の25℃における屈折率が1.38~1.55の範囲となるように、重合性単量体の種類及び量を設定することが、前記屈折率に関する条件を満足し易いという観点から望ましい。即ち、無機球状粒子として屈折率の調整が容易なシリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物を用いる場合、その25℃における屈折率はシリカ分の含有量に応じて1.45~1.58程度の範囲となるが、重合性単量体組成物の屈折率を1.38~1.55の範囲に設定することにより、得られる硬化体の屈折率を、おおよそ1.40~1.57の範囲に調整でき、前記条件を満足するようにすることが容易となる。なお、重合性単量体や重合性単量体の硬化体の屈折率は、25℃にてアッベ屈折率計を用いて求めることができる。
5-2.構造色系原料組成物の原材料となる無機粒子
前記構造色系原料組成物は、前記重合性単量体100質量部に対して、通常100~900重量部、好ましくは150~700質量部の無機粒子を含む。構造色系原料組成物に含まれる無機粒子は、構造色系ハイブリッドレジンの樹脂マトリックスに分散する無機粒子でもあり、1又は複数の“同一粒径球状粒子群”(G-PID)を含んでなる。なお、G-PIDを構成する無機球状粒子が、前記条件を満足する短距離秩序構造を有するように、マトリックス材料中に分散するために、無機粒子は、G-PID以外に、平均一次粒子径が100~1000nmの範囲内にある無機粒子(その形状に拘わらない)を含まないことが好ましい。但し、平均一次粒子径が100nm未満の超微細粒子群(G-SFP)は、前記短距離秩序構造に影響を与えに難く、また、その配合量によって構造色系原料組成物の粘度や構造色系ハイブリッドレジンのコントラスト比を制御する機能を有するため、重合性単量体100質量部に対して、0.1~40質量部、特に0.2~30質量部の範囲で配合することが好ましい。
構造色系原料組成物が染料や顔料等の着色物質を実質的に含まず(例えば、着色物質の濃度が100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下である場合には)、G-SFPの配合量をこの範囲とすることにより、得られる構造色系ハイブリッドレジンのコントラスト比を0.28~0.46とすることができる。
前記同一粒径球状粒子群:G-PIDの配合量は、通常、含まれる全G-PIDの総量(すなわち無機球状粒子の総量)で、重合性単量体100質量部に対して、100~900質量部である。構造色系ハイブリッドレジンが適度な透明性を有し、構造色の発現効果も高いという理由から、G-PIDの前記配合量は、構造色系原料組成物が超微細粒子群(G-SFP)を含まない場合には、重合性単量体100質量部に対して100~900質量部であることが好適であり、150~700質量部であることが特に好適である。また、G-SFPを含む場合には、上記配合量からG-SFPの量を差し引いた量とすることが好ましい。
なお、複数種のG-PIDを含む場合の各G-PIDの配合量は、各G-PIDによる構造色の色調と、歯科切削加工用ブランクにおいて所望する色調とを勘案して、総量が上記範囲内となる量で適宜配分すればよい。
以下に、無機粒子を構成する無機球状粒子、G-PID、G-SFP等の詳細について説明する。
(1)無機球状粒子
G-PIDを構成する無機球状粒子としては、G-PIDを構成するための前記条件を満足するものであれば、その材質は特に限定されない。好適に使用できる材質を例示すれば、非晶質シリカ、シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子(シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニアなど)、石英、アルミナ、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ランタンガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フッ化イッテルビウム、ジルコニア、チタニア、コロイダルシリカ等のからなるものを挙げることができる。これらの中でも屈折率の調整が容易であることから、シリカとチタン族元素(周期律表第4族元素)酸化物との複合酸化物であるシリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物からなる粒子を使用することが好ましい。シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物では、シリカ分の含有量に応じてその25℃における屈折率を1.45~1.58程度の範囲で変化させることができる。シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子の具体例としては、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア・ジルコニア等を挙げることができる。
無機球状粒子は、シランカップリング剤により表面処理されても良い。
(2)同一粒径球状粒子群:G-PID
同一粒径球状粒子群:G-PIDとは、100~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体を構成する個々の無機球状粒子は、実質的に同一物質で構成されると共に、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する、前記集合体を意味する。
ここでいう無機球状粒子の平均一次粒子径とは、走査型電子顕微鏡によりG-PIDの写真を撮影し、その写真の単位視野内に観察される粒子の30個以上を選択し、それぞれの一次粒子径(最大径)を求めた平均値を意味する。また、球状とは、略球状であればよく、必ずしも完全な真球である必要はない。走査型電子顕微鏡でG-PIDの写真を撮り、その単位視野内にあるそれぞれの粒子(30個以上)について最大径を測定し、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上、より好ましくは0.8以上のものであればよい。
第一複合材料などの構造色系ハイブリッドレジンでは、構成無機粒子が球状であり且つ、粒子径分布(個数基準粒度分布)が狭い無機粒子の集合体であるG-PIDの各構成粒子が特定の短距離秩序構造を有して樹脂マトリックス中に分散することにより、ブラッグ条件に則って回折干渉が起こり、特定波長の光が強調されて、平均一次粒子径に応じた色調の着色光が生じる(構造色が発現する)。すなわち、構造色が発現するためには、G-PIDを構成する無機球状粒子の90%(個数ベース)以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する必要がある。また、青色~黄色~赤色系の広い範囲内の特定の色調を有する構造色を発現するために、G-PIDを構成する無機球状粒子の平均一次粒子径は、100~1000nmの範囲内にある必要がある。平均一次粒子径が230~800nmである場合には、黄色~赤色系の構造色(着色光)が発現し易く、平均一次粒子径が150nm~230nm未満である場合には青色系の構造色(着色光)が発現し易い。
天然歯牙の修復治療として好ましい黄色~赤色系の構造色(着色光)を発現するという理由からG-PIDの平均一次粒子径は、230~800nmが好適であり、240~500nmがより好適であり、260~350nmが特に好適である。平均一次粒子径が230nm~260nmの範囲のG-PIDを用いた場合、得られる着色光は黄色系であり、シェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるB系(赤黄色)の範疇にある歯牙の修復に有用である。また平均一次粒子径が260nm~350nmの範囲のG-PIDを用いた場合、得られる着色光は赤色系であり、シェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるA系(赤茶色)の範疇にある歯牙の修復に有用である。象牙質の色相はこうした赤色系のものが多いため、平均一次粒子径260nm~350nmの範囲のG-PIDのみを用いる態様において、多様な色調の修復歯牙に対して、幅広く適合性が良くなり最も好ましい。一方、粒径150nm~230nm未満の範囲のG-PIDのみを用いた場合、上記したように、得られる着色光は青色系であり、エナメル質から象牙質に渡って形成された窩洞に対しては、歯質との色調適合性が不良となりやすいが、エナメル質の修復に有用で、特に切端部の修復に有用である。
構造色系原料組成物に含まれる(第一複合材料などの構造色系ハイブリッドレジンにおいて樹脂マトリックス中に分散する)無機粒子に含まれるG-PIDは1種であっても複数種であってもよい。含まれるG-PIDの数:aは、1~5であることが好ましく、1~3であることが特に好ましく、1又は2であることが最も好ましい。
但し、無機粒子にG-PIDが複数種含まれる場合には、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっている必要がある。すなわち、前記無機粒子に含まれるG-PIDの数を“a”(たとえば“3”)としたときの各G-PIDを、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aまでの自然数である。)で表したときに、各G-PID(たとえば、a=3のときにおけるG-PID、G-PID及びG-PID)における個々の粒子を構成する物質は互いに異なっていてもよいが、当該場合における各G-PIDの平均一次粒子径をそれぞれdとすると、各dは、それぞれ互いに25nm以上異なっている(たとえば、a=3のとき、|d-d|≧25nm、|d-d|≧25nm、で且つ当然のことながら|d-d|≧25nmである)必要がある。この条件を満足することにより、たとえば、各G-PIDが、20個程度を越えないような少数の無機球状粒子が非常にゆるい結合力で凝集した凝集体のような形で分散することなどによって、G-PIDごとに構造色を発現できる短距離秩序構造をもって分散できるようになったことによるものと思われるが、結果として各G-PIDごとに(平均一次粒子径に応じた)特有の構造色を発現することが可能となる。これに対し、この条件を満足しない場合には、無機球状粒子全体の粒子径分布がブロードとなり、恐らく、各G-PIDを構成する無機球状粒子が相互置換して分散してしまい、前記個数基準粒度分布の条件を満足しない単一の無機球状粒子の集合体を用いた時と同様の現象が起こることによるものと思われるが、構造色を発現し難くなってしまう。
複数のG-PIDを用いる場合、各G-PIDの平均一次粒子径dは、それぞれ互いに30nm以上、特に40nm以上異なっている(すなわちdとdm―1との差は30nm以上、特に40nm以上である)ことが好ましい。また、dとdm―1との差は、100nm以下、特に60nm以下であることが好ましい。
なお、構造色系原料組成物、延いては第一複合材料などの構造色系ハイブリッドレジンに複数のG-PIDが含まれる場合、各G-PIDは、極めてシャープな粒度度分布を有し、且つ平均一次粒子径には上記したような差があるため、各G-PIDの粒度分布は重なり難く、一部重なった場合でも各G-PIDの粒度分布を確認することが可能である。すなわち、無機粒子の粒度分布は、各G-PIDの粒度分布は、100nm~1000nmの範囲では、含まれるG-PIDの数と同数の独立したピークを有するものとなり、各ピークの一部が重なった場合でも波形処理を行うことにより、各G-PIDの平均一次粒子径及び個数基準粒度分布を確認することができる。また、第一複合材料などの構造色系ハイブリッドレジンに含まれる無機粒子の粒度分布は、たとえば、その内部表面の電子顕微鏡写真を画像処理することなどにより確認することができる。
(3)有機-無機複合フィラー
前記1又は複数の各“同一粒径球状粒子群”(G-PID)の少なくとも一部は、1種の“同一粒径球状粒子群”(G-PID)と、25℃における屈折率が当該1種の“同一粒径球状粒子群”(G-PID)を構成する無機球状粒子の屈折率よりも小さい樹脂とを含んでなり、前記1種の“同一粒径球状粒子群”(G-PID)以外の“同一粒径球状粒子群”(G-PID)を含まない有機―無機複合フィラー(Organic-Inorganic Hybrid Filler)、別言すれば“単一のG-PIDしか含まない有機―無機複合フィラー”として配合されることが好ましい。ここで、有機-無機複合フィラーとは、(有機)樹脂マトリックス中に無機フィラーが分散した複合体から成る体又は、無機フィラーの一次粒子どうしが(有機)樹脂で結着された凝集体からなるフィラーを意味する。
たとえば、平均一次粒子径が異なる3種類のG-PID、すなわちG-PID、G-PID及びG-PIDを含む場合、そのうちの少なくとも1種の全部または一部は“単一のG-PIDしか含まない有機―無機複合フィラー”として配合することが好ましい。G-PIDの全部をG-PIDのみを含む有機-無機複合フィラー(複合フィラー1)として構造色系原料組成物に配合した場合には、複合フィラー1内においては、G-PIDのみしか含まれていないため、G-PIDの構造色を発現するような前記短距離秩序構造が実現されているので、構造色系原料組成物を硬化させた第一複合材料などの構造色系ハイブリッドレジンにおいても確実にG-PIDの構造色が発現する。このような効果が期待でき、さらに構造色系原料組成物の粘度を調整し易いという観点から、各G-PIDの10%~90%、特に20%~80%、更には30%~70%は、“単一のG-PIDしか含まない有機―無機複合フィラー”で配合することが好ましい。
なお、G-PIDを“単一のG-PIDしか含まない有機―無機複合フィラー”以外の形態で配合する場合には、体(無機球状粒子集合体としてのG-PIDそのもの)の形態で配合するのが一般的であるが、複数種のG-PIDを含む有機-無機複合フィラーとして配合することも可能である。
有機―無機複合フィラーとして配合する場合には、その(有機)樹脂マトリックスを構成する樹脂として、25℃における屈折率が、当該有機―無機複合フィラーに含まれる無機球状粒子の屈折率よりも小さいことが重要である。当該樹脂は、このような条件を満足するものであれば特に限定されないが、原料組成物における前記重合性単量体の硬化体であることが好ましい。このとき、原料組成物の重合性単量体成分とまったく同じ組成のものである必要はないが、25℃における屈折率が当該重合性単量体成分の25℃における屈折率と同等となるものを使用することが好ましい。また、前記樹脂(Resin)の25℃における屈折率をn(R)とし、前記無機球状粒子の25℃における屈折率をn(F)としたときに、何れの有機-無機複合フィラーにおいても、
(R)<n(F)
の関係が成り立つ必要がある。そして、この関係は、有機-無機複合フィラーが25℃における屈折率が異なる無機球状粒子を含む場合には、全ての無機球状粒子に対して成り立つ必要がある。前記n(F)とn(R)との差であるΔn(=n(F) - n(R))は、0.001以上0.01以下であることが好ましく、0.001以上、0.005以下であることが更に好ましい。
有機無機複合フィラーの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、硬化体の機械的強度や硬化性ペーストの操作性を良好にする観点から、2~100μmであることが好ましく、5~50μm、特に5~30μmであることが好ましい。
原料組成物における有機―無機複合フィラーの配合量は原料組成物中に含まれる、有機―無機複合フィラー化されていない同一粒径球状粒子群:G-PIDの配合量を勘案し、含まれる全G-PIDの総量(すなわち無機球状粒子の総量)が、前記した量となるように、有機―無機複合フィラー中に含まれる無機球状粒子の量から換算して決定すればよい。
(4)超微細粒子群:G-SFP
無機粒子に含まれていてもよい、超微細粒子群(G-SFP)は、平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる粒子集合体であり、第一複合材料の前駆体(硬化させて歯科切削加工用ブランクを得るための材料)となる硬化性組成物の粘度を調整する目的、或いは本歯科切削加工用ブランクのコントラスト比を調整する目的などで配合する。ただし、G-SFPの平均一次粒子径は、無機粒子に配合される前記G-PIDの中で最も平均一次粒子径が小さいG-PIDの平均一次粒子径(d)よりも25nm以上小さい必要がある。このような条件を満足しない場合には無機球状粒子の分散状態に悪影響を与え、特定構造色が発現し難くなる。なお、G-SFPを構成する無機粒子の形状は特に限定されず、不定形であっても球状であってもよい。また、平均一次粒子径の下限は通常、2nmである。
構造色発現に対する影響が少ないという理由から、G-SFPの平均一次粒子径は、3nm以上75nm以下、特に5nm以上50nm以下であることが好ましい。また、同様の理由から、G-PIDの平均一次粒子径(d)よりも30nm以上、特に40nm以上小さいことが好ましい。
G-SFPを構成する無機粒子の材質としては、前記無機球状粒子と同様のものが特に制限なく使用できる。また、前記無機球状粒子と同様にシランカップリング剤による表面処理を行うこともできる。好適な態様も、平均一次粒子径及び形状を除いて、基本的には、前記無機球状粒子と同様である。
5-3.構造色系原料組成物の原材料となる重合開始剤
構造色系原料組成物の原材料となる重合開始剤は、重合性単量体を重合硬化させる機能を有するものであれば特に限定されない。硬化性組成物の重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、光重合という)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、熱エネルギーによるもの(以下、熱重合という)等があり、いずれの方法であっても良い。光や熱などの外部から与えるエネルギーで重合のタイミングを任意に選択でき、操作が簡便である点から、光重合や熱重合が好ましく、光照射による重合ムラなどが生じ難く、均一に重合反応を行うことができるという理由から熱重合が特に好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4'-ジメチルベンゾフェノン、4-メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3-ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10-フェナントラキノン、9,10-アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4-ジエトキシチオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等が使用できる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N-メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2-メルカプトベンゾオキサゾール、1-デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
更に、上記光重合開始剤、還元性化合物に加えて光酸発生剤を加えて用いる例がしばしば見られる。このような光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換-S-トリアジン誘導体、ピリジニウム塩系化合物等が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p-フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
これら重合開始剤は単独で用いることもあるが、2種以上を混合して使用してもよい。また、重合方法の異なる複数の開始剤を組み合わせることも可能である。
重合開始剤の配合量は目的に応じて有効量を選択すればよいが、重合性単量体100質量部に対して通常0.01~10質量部の割合であり、より好ましくは0.1~5質量部の割合で使用される。
熱重合開始剤を用いる場合の重合温度については、60~200℃が好ましく、70~150℃がより好ましく、80~130℃がさらに好ましい。60℃以下の温度で重合を行った場合、重合反応が不十分となり、歯科切削加工用ブランクの強度が弱くなり、クラックの発生が生じる。一方、200℃以上の温度で重合を行った場合、構造色系ハイブリッドレジンが製造時に高温にさらされることにより樹脂成分の変色が生じ、本発明の効果である天然歯牙との色調適合性が得難くなる。
5-4.構造色系原料組成物の原材料となる、その他の添加剤
構造色系原料組成物には、その効果を阻害しない範囲で、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を配合することができる。
構造色系原料組成物の硬化体は、第一複合材料を含めて構造色系ハイブリッドレジンとなるものであり、前述したとおり、顔料などの着色物質を用いなくても、特定構造色を発現する。したがって、構造色系ハイブリッドレジンに、時間と共に変色する虞のある染料や顔料等の着色物質を配合する必要は特にはなく、上記変色防止の観点及び透明性の観点からは着色物質を含まないことが好ましい。しかし、これら着色物質の配合自体を排除するものではなく、特定構造色による効果を阻害しない範囲であれば配合することもできる。第一複合材料の原料となる構造色系原料組成物に含まれる無機粒子等の量にもよるが、構造色系原料組成物の総質量(第一複合材料の総質量でもある)を基準とする着色物質の(許容)配合量は、通常、は100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下である。ただし、第二複合材料及び必要に応じて形成される第二層側付加層となる複合材料の原料となる構造色系原料組成物に関しては、特定構造色による効果よりも着色による効果の方が優先されるため、後述するように第一複合材料との色差が所定の範囲となるように着色物質を配合する必要がある。
5-5.原料組成物の調製方法
原料組成物は、所定量の前記各成分を混練及び脱泡処理することにより調製することができる。確実に前記分散状態の条件(I)及び(II)を満足するために、次のようにして調整することが好ましい。すなわち、混練方法については、短時間で上記分散条件を満たすようにすることができ、且つスケールアップ製造が容易であるという理由から、遊星運動型撹拌機等の混練装置を用いて混練することが好ましい。また、脱泡処理は、粘度の高い組成物中からも短時間で気泡を除去可能であるという理由から、減圧下で脱泡する方法を採用することが好ましい。
当該方法では、前記混練及び脱泡処理は、得られる混練物について、これを硬化させて得られる硬化体における前記無機粒子(b)の分散状態が、前記条件(I)及び(II)を満足することが確認された混練及び脱泡処理条件を採用して行う必要がある。
このような条件は、(1)予め、別途、実際に製造する原料組成物と同一又は実質的に同一の組成を有する硬化性組成物を用いて、混練条件や脱泡処理条件を複数変化させて調製を行い、各条件で調製された合硬化性組成物の硬化体における前記動径動径分布関数:g(r)を調べることにより、前記条件(I)及び(II)を満足する条件を決定し、決定された当該条件と同一の条件を採用することが好ましい。予め定めた所定の混練条件を設定するだけで、確実に目的の第一重合硬化性組成物を製造することができるので、毎回同じ(同一組成且つ同一量の)第一重合硬化性組成物を製造する際に、毎回条件を変える必要がなく、また過剰混練(不必要に長時間の混練)を防止できるという点で、作業の効率化を図ることができる。
6.非構造色系ハイブリッドレジン及びその原材料等について
非構造色系ハイブリッドレジンは、前記条件(a)~(d)の少なくとも一つを満足しないハイブリッドレジン、又は顔料等を多量に配合したために特定構造色の発現が目視で確認できなくなったハイブリッドレジンであり、第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料が構造色を発現しない場合のこれら複合材料として使用される。
上記第二複合材料は、前記したように、第一複合材料と色調が異なり、その色差は特定の範囲にある必要がある。また、第二複合材料のコントラスト比:CR2は0.50~0.65であることが好ましい。第一複合材料は特定構造色による効果を得るため、通常は染料や顔料等の着色材料添加による着色は行われないので、第二複合材料及びその原料となる原料組成物には、通常、着色物質が配合される。この点は、必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料やその原料組成物についても同様である。
すなわち、第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる複合材料である非構造色系ハイブリッドレジンは、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなり、且つ第一複合材料との色差が特定の範囲となるように染料や顔料等の着色材料が添加された複合材料であり、重合性単量体、無機粒子、重合開始剤及び着色材料を含有する重合硬化性組成物(以下、「非構造色系原料組成物」とも言う。)を硬化させることによって得られる。非構造色系原料組成物は、構造色系原料組成物に着色材料を(特定構造色が目視確認できなくなるような量)添加したものであってもよく、重合性単量体及び重合開始剤としては構造色系原料組成物と同様のものが使用できる。無機粒子としては、構造色系原料組成物におけるような制約は特になく、従来の歯科切削加工用レジン系ブランクで使用できるとされているものが特に制限なく使用できる。なお、無機粒子の総配合量は、通常、重合性単量体100質量部に対して、100~900重量部であり好ましくは150~700質量部である。非構造色系原料組成物に含まれる着色物質の量は、通常、非構造色系原料組成物の総質量(その硬化体である複合材料の総質量でもある)を基準として、500~7000質量ppmであり、600~6500質量ppmであることが好ましい。また、硬化体の色調やコントラスト比を調整するための超微細粒子群(G-SFP)や、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を含んでいても良い。
本発明のブランクにおいて、第二複合材料及び必要に応じて追加される第二層側付加層となる非構造色系ハイブリッドレジンは、歯科用補綴物の歯頸部近傍を構成する材料となることが多く、また、歯牙の歯頸部の色調には個人差が大きく、個別患者ごとに合った色調を用意する必要があるが、着色物質を添加することにより、このような要求にも対応することが可能となる。
着色物質(着色剤)は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料としては、無機顔料が代表的であり、このような無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、カーボンブラック、酸化鉄、銅クロマイトブラック、酸化クロムグリーン、クロムグリーン、バイオレット、クロムイエロー、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、チタン酸カドミウム、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリーンブルー、コバルトブルー、ビスマスバナデート、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等を例示することができる。なお、本発明において無機顔料は、無機充填材にも該当する。また、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、ジアゾ縮合顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料等の有機顔料も使用することができる。また、染料としては、KAYASET RED G(日本化薬)、KAYASET REDB(日本化薬)等の赤色染料;KAYASET Yellow 2G、KAYASET Yellow GN等の黄色染料;KAYASET Blue N、KAYASET Blue G、KAYASET Blue B等の青色染料;などを挙げることができる。口腔内での色調安定性を考慮すると、水溶性の染料よりも不水溶性の顔料を使用することが好ましい。
7.本発明のブランクの製造方法
本発明のブランクは、前記積層構造を有するハイブリッドレジンの積層体を適宜加工して被切削加工部とすることにより製造することができる。
上記ハイブリッドレジンの積層体は、各層を構成するハイブリッドレジン(複合体)の原料となる硬化性原料組成物を用いた注型重合により、好適に製造することができる。ここで、注型重合とは、所定形状の成形型に重合硬化性組成物を充填した後に重合硬化を行うことを意味する。成形型の容積は目的とする形状に応じて適宜選択すればよい。成形型の形状についても同様に、角柱状、円柱状、角板状、円板状、その他の不規則形状であってもよく、特に制限はない。重合の際は、必要に応じて、窒素等の不活性ガスによる加圧を行ってもよい。被切削加工部と同一又は実質的に同一の形状を有した成形型を準備し、この内部に各層となる硬化性原料組成物を順次所定の厚さとなるように充填してから重合硬化して、得られたバルク体(ハイブリッドレジンの積層体)をそのまま被切削加工部としてもよいし、これより大きいサイズを有する型に充填してバルク体を製造し、これを抜き打ち加工や切削加工することにより被切削加工部としてもよい。充填の方法は公知の技術を用いることができ特に制限されないが、例えば、射出、押し出し、プレス等によって成形型に充填を行うことができる。
成形型の材質としては、金属、セラミックス、樹脂等を目的に応じて使用することができ、実施する重合温度よりも耐熱性が高い材質を用いることが好ましい。成形型の材質としては、例えば、SUS、高速度工具鋼、アルミニウム合金、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
また、得られたバルク体に対して、必要に応じて、熱処理、研磨、切削、保持具の取り付け、印字等の後工程を行うことができる。さらに、必要に応じて、歯科切削加工用ブランクを切削加工機に固定するための保持ピンを接合してもよい。保持ピンの形状は、切削加工機に歯科切削加工用ブランクを固定できるような形状のものであれば特に制限はなく、歯科切削加工用ブランクの形状と加工機の要求によっては具備されなくともよい。保持ピンの材質としては、ステンレス、真鍮、アルミニウム等が挙げられる。保持ピンの被切削加工部(歯科切削加工用ブランク本体)への固定方法は、接着に限定されず、はめ込み、ネジ止め等の方法であってもよい。接着方法についても特に制限はなく、イソシアネート系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系等の各種市販の接着材を使用することができる。
次に、本発明の多層ミルブランクついて、実施例により具体的に説明する。なお、後述する各実施例及び比較例では、各種の構造色系原料組成物及び非構造色系原料組成物を調製し、得られた各組成物及びその硬化体について評価を行うと共に、これら組成物を所定の組み合わせで積層してから硬化させることによって、歯科切削加工用ブランクの削加工部となるハイブリッドレジン積層体を得、その評価を行っている。
1.構造色系原料組成物及び非構造色系原料組成物の原材料について
実施例及び比較例で用いた構造色系原料組成物及び非構造色系原料組成物の原材料並びに、その物性等について以下に説明する。
1-1.重合性単量体成分
構造色系原料組成物及び非構造色系原料組成物における重合性単量体成分としては、表1に示す組成を有する重合性単量体混合物:M1を使用した。なお、表1の重合性単量体欄の略号は以下に示す化合物を表し、略号後の括弧内の数字は使用した質量部を表す。
・UDMA:1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
また、M1の粘度並びにM1(硬化前)及びその硬化体の屈折率を次のようにして測定した。結果を合わせて表1に示す。すなわち、粘度は、E型粘度計(東京精機:VISCONIC ELD)を用いて25℃の恒温室にて測定した。また、M1(硬化前)及びその硬化体の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。このとき、硬化体試料は、重合性単量体100質量部あたり(光重合開始剤としての)カンファーキノン(CQ)0.2質量%、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMBE)0.3質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.15質量%を添加して均一に混合したものを、7mmφ×0.5mmの貫通した孔を有する型に入れ、両面にポリエステルフィルムを圧接した後に、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射し硬化させてから型から取り出すことにより作成した。なお、硬化体試料をアッベ屈折率計にセットする際に、硬化体試料と測定面を密着させる目的で、試料を溶解せず、かつ試料よりも屈折率の高い溶媒であるブロモナフタレンを試料に滴下した。
1-2.同一粒径球状粒子群:G-PID
G-PIDとしては、表2に示すG-PID1及びG-PID2を使用した。なお、G-PID1及びG-PID2は、特許文献5に開示されている方法(ゾルゲル法)と同様に調製し、何れもγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理されたものである。また、G-PID1及びG-PID2について、特許文献5の実施例に記載されている方法と同様に、以下のようにして、平均一次粒子径、±5%内粒子割合〔個数基準粒度分布において平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する粒子数の全粒子数に占める割合(%)〕、平均均斉度及び屈折率を測定した。結果を表2に合わせて示す。表2に示されるように、G-PID1及びG-PID2は、何れも前記条件(a)を満足する同一粒径球状粒子群であると言える。
(1)平均一次粒子径
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)で粉体の写真を5000~100000倍の倍率で撮り、画像解析ソフト(「IP-1000PC」、商品名;旭化成エンジニアリング社製)を用いて、撮影した画像の処理を行い、その写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)および一次粒子径(最大径)を測定し、測定値に基づき(その総和を粒子数で除した値を)数平均一次粒子径を算出した。
(2)±5%内粒子割合
上記写真の単位視野内における全粒子(30個以上)のうち、上記で求めた平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲外の一次粒子径(最大径)を有する粒子の数を計測し、その値を上記全粒子の数から減じて、上記写真の単位視野内における平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲内の粒子数を求め、下記式に従って算出した。
±5%内粒子割合(%)=[(走査型電子顕微鏡写真の単位視野内における平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲内の粒子数)/(走査型電子顕微鏡写真の単位視野内における全粒子数)]×100
(3)平均均斉度
走査型電子顕微鏡で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される同一粒径球状粒子群(G-PID)の粒子について、その数(n:30以上)、粒子の最大径を長径(Li)と該長径に直交する方向の径を短径(Bi)との比(Bi/Li)を求め、当該比の総和を粒子数で除した値を平均均斉度とした。
(4)屈折率
アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて液浸法によって測定した。すなわち、25℃の恒温室において、100mlサンプルビン中、同一粒径球状粒子群(G-PID)を無水トルエン50ml中に分散させる。この分散液をスターラーで攪拌しながら1-ブロモトルエンを少しずつ滴下し、分散液が最も透明になった時点の分散液の屈折率を測定し、得られた値を同一粒径球状粒子群(G-PID)の屈折率とした。
1-3.有機-無機複合フィラー(CF)
有機-無機複合フィラー(CF)も特許文献5の実施例と同様に、表2に示すG-PID2を用いて次のように調製した。すなわち、先ず、循環型粉砕機SCミル(日本コークス工業社製)を用いて水:200gにG-PID2:100gが分散した分散液を得た。次いで、別途調製したγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン:4g、酢酸:0.003g及び水:80gの混合溶液(pH4)を上記分散液に添加し、均一になるまで混合した後、分散液を軽く混合しながら、高速で回転するディスク上に供給して噴霧乾燥法により造粒した後に60℃で真空乾燥し、略球形状の凝集体を得た。その後、重合性単量体成分M1:10g、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.025g、有機溶媒であるメタノール:5.0g混合した重合性単量体溶液に、上記凝集体50g浸漬させ、十分撹拌してから有機溶媒を除去してから減圧度10ヘクトパスカル、100℃の条件下で、1時間加熱することにより上記重合性単量体成分を重合硬化させることにより略球形状で平均粒子径が12μmである有機-無機複合フィラー(CF)を得た。
1-4.超微細粒子(G-SFP)
G-SFPとしては、レオロシールQS-102(平均一次粒子径12nm、株式会社トクヤマ製)を使用した。
1-5.重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド(BPO」)からなる熱重合開始剤を用いた。
1-6.顔料
・赤色顔料(ピグメントレッド166)
・黄色顔料(ピグメントイエロー95)
・青色顔料(ピグメントブルー60)。
2.構造色系原料組成物及び非構造色系原料組成物の調製と硬化体の評価について
2-1.構造色系原料組成物(P1~P6)の調製
以下に示すようにして、構造色系原料組成物:P1を調製した。すなわち、M1:100質量部、BPO1.0質量部を混合した後に、G-PID1とG-SFPとを、両者の質量比がG-PID1:G-SFP=95:5となり、且つ構造色系原料組成物全体の質量占める無機粒子全体の質量の割合で定義される無機充填率が72質量%になるように添加し、プラネタリーミキサーを用いて均一になるまで混合することでペースト化し、構造色系原料組成物:P1を調製した。
また、無機充填率を表3に示す無機充填率とする他は上記と同様の方法で構造色系原料組成物:P2~6を調製した。
なお、M1の硬化体の屈折率:n(MX)は1.509であり、G-PID1の屈折率は夫々n(G-PID1)=1.515であり、n(MX)より大きな値となっているので、前記条件(c)を満足している。したがって、これら構造色系原料組成物:P1~P6の硬化体からなるハイブリッドレジンは、いずれも前記条件(a)~(c)を満足している{P1~P6で配合されるG-PIDは1種類であり、前記条件(b)も満足しているとした。}といえる。
2-2.非構造色系原料組成物(L1~L6)の調製
M1:100質量部、BPO1.0質量部を混合した後に、G-PID2:50質量%と、CF(有機-無機複合フィラー):50質量%の混合物を、無機充填率が76%になるようにして添加すると共に、各種顔料を表4に示した添加量で添加した他は、P1の調製と同様にして、非構造色系原料組成物:L1~L6を調製した。
2-3.各原料組成物の硬化体の評価
2-3-1.構造色系原料組成物(P1~P6)の硬化体が構造色系ハイブリッドレジンであることの確認
特許文献5に記載された方法に準じて、下記(1)~(3)に示す方法で、各構造色系原料組成物(P1~P6)の硬化体について、目視による着色光の評価、着色光のピーク波長測定、無機球状粒子の動径分布関数評価を行った。結果を表5に示す。
(1)目視による着色光の評価方法
構造色系原料組成物(P1~P6)を真空脱泡し、10mm×12mm×14mmの金型に充填し、填入し、上面を平滑化した後、加熱加圧重合器を用いて、窒素加圧下にて圧力0.4MPa、100℃、12時間の条件で加熱加圧重合を行った。取り出した硬化体から1mm×12mm×14mmの固体試料を切り出し、光沢研磨して作製した着色光測定用固体試料を作製した。各着色光測定用固体試料に10mm角程度の黒いテープ(カーボンテープ)の粘着面に対して垂直になるように載せ、目視にて着色光の色調を評価した。
(2)着色光のピーク波長測定方法
(1)と同様に作製した黒いテープを付着の着色光測定用固体試料に関して、分光光度計(東京電色製、「TC-1800MKII」、ハロゲンランプ:12V100W、測定波長範囲380~780nm)を用いて、背景色黒で分光反射率を測定し、反射率の極大点を着色光の波長とした。
(3)無機球状粒子の動径分布関数評価方法
構造色系原料組成物(P1~P6)を5mmφ×10mmの金型に充填する他は(1)と同様の方法で硬化体を作成し、当該硬化体中の球状粒子の分散状態を走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)により観察することにより動径分布関数を求め、評価を行った。具体的には、イオンミリング装置((株)日立製作所製、「IM4000」)を用いて硬化体の断面ミリングを2kV、20分間の条件にて行い、観察平面とした。当該観察面について走査型電子顕微鏡により平面内に1000個の球状粒子を含有している領域の顕微鏡画像を取得し、得られた走査型電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(「Simple Digitizer ver3.2」フリーソフト)により解析し、上記領域内の球状粒子の座標を求めた。得られた座標データから任意の球状粒子の座標を1つ選択し、選択した球状粒子を中心に少なくとも200個以上の球状粒子が含まれる距離rを半径とする円を描き、円内に含まれる球状粒子の個数を求め、平均粒子密度<ρ>(単位:個/cm)を算出した。drは、r/100~r/10(rは球状粒子の平均粒子径を示す。)程度の値であり、中心の球状粒子から距離rの円と距離r+drの円との間の領域内に含まれる粒子の数dn、及び上記領域の面積da(ただし、da=2πr・drである。)を求めた。このようにして求めた<ρ>、dn、daの値を用いて、
式:g(r)={1/<ρ>}×{dn/da}
で定義される動径分布関数g(r)を求めた。そして、動径分布関数とr/r(rは円の中心からの任意の距離を示し、rは球状粒子の平均粒子径を示す。)との関係を示すグラフを作成し、動径分布関数の条件1及び条件2について、条件を満足するものを「S」、満足しないものを「N」として評価した。
表5に示されるように、構造色系原料組成物(P1~P6)の硬化体は無機球状粒子の分散状態が前記条件(d)を満足し、特定構造色を発現することが確認された。
2-3-2.各原料組成物硬化体の明度をL、色相をa及び彩度b並びにコントラスト比(CR)評価
構造色系原料組成物(P1~P6)及び非構造色系原料組成物(L1~L6)の硬化体について、下記(4)及び(5)に示す方法によりL、a及びb並びにCRの測定を行った。結果を表6に示す。
(4)明度をL、色相をa及び彩度bの測定
各原料組成物を真空脱泡し、10mm×12mm×14mmの金型に充填し、填入し、上面を平滑化した後、加熱加圧重合器を用いて、窒素加圧下にて圧力0.4MPa、100℃、12時間の条件で加熱加圧重合を行った。取り出した硬化体から14mm×12mm×1mmの固体試料を切り出し、色差測定用固体試料を作製した。この固体試料について、分光光度計(東京電色製、「TC-1800MKII」」、ハロゲンランプ:12V100W、測定波長範囲380~780nm)を用いた反射光0°d法(JIS Z8722)にて、測定面積の5mmφでの背景色黒(光遮蔽状態)の分光反射率と背景色白(標準白色板を硬化体に重ねて光遮蔽した状態)の分光反射率を測定してL値、a値及びb値を求めた。
(5)コントラスト比(CR)の測定
上記試料について上記色差計を用い、背景色黒におけるY値であるYと、背景色白におけるY値であるYに基づきコントラスト比CR=Y/Yを算出した。
3.実施例及び比較例
上記のP1~6、L1~6ペーストを表7に示す組み合わせで用い、次のようにして第一層用の原料組成物の硬化体からなるハイブリッドレジン層と第二層用の原料組成物の硬化体からなるハイブリッドレジン層とが同じ層厚で接合した2層構造のハイブリッドレジン積層体からなる被切削加工部を作製した。
すなわち、金型内において第一層用の原料組成物を金型の半分の高さ(5mm)迄充填して表面が平面となるまで静置した後に、界面を乱さないように注意しながら第二層用の原料組成物を、金型内を満たすように充填する他は、前記L、a及びb測定用の試料作製と同様にして硬化を行い、上記被切削加工部を作製した。
得られた被切削加工部について積層界面の評価を行うとともに、当該被切削加工部に保持ピンを接着して歯科切削加工用レジン系ブランクとし、これを用いて作製した歯科用修復物(歯冠)の積層界面状態、および天然歯牙近似性を評価した。具体的な評価方法を以下に示す。また評価結果を、第一層と第二層の色差:ΔE及びコントラスト比差:ΔCR(=CR2-CR1)と合わせて表7に示す。
(1)積層界面の評価
目視にて観察し、積層界面が見えるか、確認した。評価基準を以下に示す。
5:上層と下層の積層界面が全く見えない。
4:上層と下層の積層界面が見えない。
3:上層と下層の積層界面がほとんど見えない。
2:上層と下層の積層界面が僅かに見える。
1:上層と下層の積層界面が明瞭に見える。
(2)歯科用模擬修復物の積層界面評価
右上1番の歯冠を切削加工機(ローランド製、「DWX-50」)にて切削加工して歯科用修復物(修復物)を作製した後、エステセムII(トクヤマデンタル社製、接着性レジンセメント)を用いてレジン支台歯(A3色相当)に接着し、研磨し、模擬修復を行った。修復後の積層界面状態を目視にて確認した。評価基準を以下に示す。
5:上層と下層の積層界面が全く見えず、自然な色調である。
4:上層と下層の積層界面がほとんど見えず、自然な色調である。
3:上層と下層の積層界面が見えにくい。
2:上層と下層の積層界面がうっすら見える。
1:上層と下層の積層界面が明瞭に見え、不自然な色調である。
(3)歯科用模擬修復物の天然歯牙近似性評価
(2)と同様に作製した模擬修復物の歯頚部から切端部までの色調が天然歯牙に近い色調になっているか、目視にて確認した。評価基準を以下に示す。
5:天然歯牙のような、自然な色調である。
4:天然歯牙に近似している、色調である。
3:天然歯牙に少し近似している、色調である。
2:天然歯牙とあまり近似しておらず、若干違和感を覚える色調である。
1:天然歯牙と全く近似していない、不自然な色調である。
表7に示されるように、(P1硬化体の)単一層の構造色レジン系ブランクである比較例1及び(L1硬化体の)単一層の非構造色レジン系ブランクである比較例2の「天然歯牙近似性評価」は、「1」となっている。すなわち、比較例1では歯頚部が濃く、切端部が薄く透明である色調は表現されたものの、歯冠の色が白いため、天然歯牙への近似性目視評価において、低評価であった。また、比較例2では歯冠全体が非構造色系であるため、歯頚部が濃く切端部が薄い色調が再現されず、天然歯牙との近似性目視評価において低評価であった。これに対し、実施例1~11の「天然歯牙近似性評価」は、程度の差はあるものの、何れも比較例1や比較例2の評価と比べて高い評価となっている。なかでもΔE、CR1、CR2及びΔCRが共に好適な範囲(ΔE=2~20、CR1=0.28~0.43、CR1=0.55~0.63、ΔCR=0.12~0.27)である実施例1、2、8~10については、「積層界面の評価」、「歯科用模擬修復物の積層界面評価」及び「天然歯牙近似性評価」の全ての評価において「4」以上の評価となっている。

Claims (3)

  1. 樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用レジン系ブランクにおいて、
    前記複合材料は、第一層と第二層とが接合された積層構造を有し、
    前記第一層は、光の入射角度によらない所定の色調の構造色を発現する複合材料である第一複合材料からなり、
    前記第二層は、前記第一複合材料の色調とは異なる色調を有する複合材料からなる第二複合材料からなり、
    単一色調を有する複合材料の色調を、厚さ1.0±0.1mmの試料について分光光度計を用いた背景色白での測定によって得られるL値、a値及びb値で表したときに、
    前記第一複合材料の色調と前記第二複合材料の色調の差の指標となる、下記式
    ΔE={(L1-L2+(a1-a2+(b1-b2 1/2
    (上記式中、L1、a1及びb1は、前記第一複合材料におけるL値、a値及びb値であり、L2、a2及びb2は、前記第二複合材料におけるL値、a値及びb値である。)
    で定義される色差:ΔEが2~30であり、
    前記第一複合材料における顔料及び色素の合計配合量が当該第一複合材料の総質量に対して100質量ppm以下であり、前記第二複合材料における顔料及び色素の合計配合量が当該第二複合材料の総質量に対して500~7000質量ppmである、
    ことを特徴とする積層型歯科切削加工用レジン系ブランク。
  2. 前記第一複合材料が下記(a)~(d)に示される条件を全て満足することを特徴とする請求項1に記載の積層型歯科切削加工用レジン系ブランク。
    (a)前記無機粒子が、100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)を、1又は複数含む。
    (b)上記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID (但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aの自然数である。)で表したときに、aが2以上である場合の各G-PID の平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっている。
    (c)前記樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn (MX) とし、各G-PID を構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn G-PIDm) としたときに、いずれのn (G-PIDm) に対しても、
    (MX) <n (G-PIDm)
    の関係が成り立っている。
    (d)第一複合材料において、任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す関数であって、前記複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定される、当該観察平面内の前記無機球状粒子の平均粒子密度:<ρ>、及び当該観察平面内の任意の無機球状粒子からの距離rの円と距離r+drの円との間の領域中に存在する無機球状粒子の数:dn、並びに前記領域の面積:da(ただし、da=2πr・drである。)に基づいて下記式(1)
    g(r)={1/<ρ>}×{dn/da} ・・・(1)
    で定義される関数:g(r)を動径分布関数としたときに、前記複合材料にける全同一粒径球状粒子群(G-PID)を構成する無機球状粒子が、下記条件1及び下記条件2を満足する短距離秩序構造を有するように、マトリックス材料中に分散している。
    [条件1]:前記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離:rを、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rで、除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記動径分布関数:g(r)をy軸として、前記r/rとその時のrに対応する前記g(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離:rが、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径:rの1倍以上2倍以下の値である。
    [条件2]:前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離:rとしたときに、前記最近接粒子間距離:rと次近接粒子間距離:rとの間における前記動径分布関数:g(r)の極小値が0.56以上1.10以下の値である。
  3. 複合材料の透明性を、厚さ1.0±0.1mmの試料について分光光度計による色差測定を行ったときに得られる、白背景でのY値:Yに対する黒背景でのY値:Y/の比:Y/Yとして決定される値をコントラスト比:CRを指標として表したときに、
    前記第一複合材料のコントラスト比:CR1が0.28~0.46であり、前記第二複合材料のコントラスト比:CR2が0.50~0.65である、
    請求項1又は2の何れか一項に記載の積層型歯科切削加工用レジン系ブランク。
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